JP2001039264A - 乗員保護装置制御装置およびソフトクラッシュ検出方法 - Google Patents

乗員保護装置制御装置およびソフトクラッシュ検出方法

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JP2001039264A
JP2001039264A JP11219043A JP21904399A JP2001039264A JP 2001039264 A JP2001039264 A JP 2001039264A JP 11219043 A JP11219043 A JP 11219043A JP 21904399 A JP21904399 A JP 21904399A JP 2001039264 A JP2001039264 A JP 2001039264A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝突状況に応じて従来よりさらに良好に作動
し得る乗員保護装置制御装置,ソフトクラッシュ検出方
法を提供する。 【解決手段】 ソフトクラッシュ発生時には、車体の前
後方向減速度は一旦増大した後、減少し、再度増大す
る。前後方向減速度の時間微分値は、減速度の増減に対
応して増減し、減速度の1回目の増減により第1極大値
が得られ、その後、第1極大値より大きい時間微分値が
生ずる。減速度を横軸、その減速度の時間微分値を縦軸
にとれば明らかなように、増大してきた減速度Gs が初
めて減少に転じるまでの時間微分値dGs /dtの最大
値を第1極大値dGmaximal として取得することがで
き、第1極大値dGmaximal に定数をかけてしきい値d
fireを設定し、そのしきい値を超える時間微分値dG
s /dtが生じたとき、ソフトクラッシュ発生と判定
し、エアバッグを高速で膨張させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乗員保護装置制御装
置およびソフトクラッシュ検出方法に関するものであ
り、特に、衝突検出の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】乗員保護装置には、例えば、エアバッグ
装置,プリテンショナ付シートベルト装置,自動ドアロ
ック解除装置等がある。エアバッグ装置の構成は後に発
明の実施の形態において説明する。プリテショナ付シー
トベルト装置は、シートベルト巻取装置,プリテンショ
ナ装置およびインフレータ等を含む。プリテンショナ装
置は、シートベルト巻取シャフトとシリンダとの間に設
けられたクラッチを含み、非作動時にはシリンダの駆動
力がシートベルト巻取シャフトに伝達されないようにさ
れている。衝突により規定以上の衝撃が発生するとイン
フレータが点火され、高圧ガスを発生してシリンダのピ
ストンを移動させ、それによりクラッチがシリンダの駆
動力をシートベルト巻取シャフトに伝達する状態とさ
れ、シートベルト巻取シャフトが回転させられてシート
ベルトが巻き取られ、乗員を拘束する。乗員保護装置
は、構成がいずれであっても、車両衝突時に作動して乗
員を保護する。そのため、乗員保護装置制御装置は、衝
突を検出して乗員保護装置を作動させるのであり、例え
ば、特開平10−152014号公報に記載の乗員保護
装置制御装置においては、車両中央にフロアセンサを設
けるとともに、車両前部の左右にそれぞれフロントセン
サを設け、フロアセンサによる車体の前後方向減速度の
検出と、フロントセンサによる基準値以上の衝撃の発生
の検出とに基づいて衝突を検出するようにされている。
この乗員保護装置制御装置においてはまた、正突と正突
以外の衝突とを区別し、衝突形態に応じて、異なる減速
度で乗員保護装置を作動させるようにされている。
【0003】正突以外の衝突には、例えばソフトクラッ
シュがある。ソフトクラッシュは、衝突による車体の前
後方向減速度の変化に基づいて規定される衝突の一種で
ある。ソフトクラッシュの場合、車体の前後方向減速度
(車体の前後方向の減速度を検出するセンサの出力信号
またはデジタル化された出力値からノイズを除去したも
の)は、概して、一旦増大した後減少し、再度増大して
極大値が2つ、極小値が1つ生ずるとともに、1回目の
増大による減速度の極大値より、2回目の増大による減
速度の極大値の方が大きい特徴を有する。ポール衝突が
ソフトクラッシュの一例である。ポール衝突は、車両の
幅方向の中央部が電柱等強固な衝突対象物であるポール
にぶつかる衝突であり、まず、バンパがポールに衝突
し、その後、バンパの背後にある部材が変形しつつ車体
がポールに対して相対移動し、最後にエンジンがポール
に衝突して止まることが多い。バンパがポールに衝突す
ることにより減速度が増大し、その後、車体前部の弾性
変形および塑性変形により減速度が減少し、エンジンの
衝突により再度増大した後、減少して車両が停止する。
エンジンはバンパより強度が大きいため、エンジンのポ
ールとの衝突により生ずる減速度の方が、バンパとの衝
突による生ずる減速度より大きくなる。ソフトクラッシ
ュの他の例としては、車両の衝突後、衝突対象物が車両
の進行方向に倒れ込む形態や、車両が衝突物の下にもぐ
り込む形態等があり、これらにおいても、減速度がポー
ル衝突の場合に類似の変化を示す。それに対し、正突の
場合は、減速度の増減が1回生ずるのみである。正突
は、車両の左右のサイドフレームが衝突対象物に同時に
衝突する衝突であるが、サイドフレームは固いため、サ
イドフレームと衝突対象物との衝突により車両は停止
し、短時間で大きい減速度が1回生ずるとともに、この
増減による減速度の極大値(正突による減速度の最大
値)は、ソフトクラッシュの減速度の1回目の増減によ
る極大値より大きい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】本発明は、以上の事情を背景とし、衝突の状況に応
じて従来よりさらに良好に乗員保護装置制御装置を作動
させ得るようにすることを課題としてなされたものであ
り、本発明によって、下記各態様の乗員保護装置制御装
置およびソフトクラッシュ検出方法が得られる。各態様
は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必
要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。こ
れは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであ
り、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わ
せが以下の各項に記載のものに限定されると解釈される
べきではない。また、1つの項に複数の事項が記載され
ている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなけ
ればならないわけではなく、一部の事項のみを取り出し
て採用することも可能である。 (1)車体の前後方向の減速度の時間に対する変化率の
第1極大値に基づいてしきい値を設定するしきい値設定
部と、少なくとも、車体の前後方向の減速度の時間に対
する変化率が前記しきい値を超えるという条件が満たさ
れた場合に乗員保護装置を作動させるべきことを指令す
る作動指令を発する作動指令部とを含む乗員保護装置制
御装置(請求項1)。本態様の乗員保護装置制御装置に
おいては、車体の前後方向の減速度(ノイズを除いた減
速度であり、以後、特に必要がない限り単に減速度と称
する)の時間に対する変化率(以下、単に減速度変化率
と称する)の最初の極大値である第1極大値に基づい
て、しきい値設定部がしきい値を設定する。そして、作
動指令部が、少なくとも、減速度変化率がしきい値を超
えるという条件が満たされた場合に、乗員保護装置に作
動指令を発する。「少なくとも、減速度変化率がしきい
値を超えるという条件が満たされた場合」とは、減速度
変化率がしきい値を超えることは必要条件ではあるが、
必ずしも十分条件とは限らないという意味である。上記
条件の他に、さらに別の条件が満たされて始めて作動指
令が出されるようにした方がよい場合もあるのである。
例えば、エアバッグ装置のように、作動の必要がないの
に作動してしまったという事態が発生することを極力回
避することが望ましいものにおいては、次の (2)項にお
けるように、第1極大値が下限値より大きいという別の
条件も共に満たされた場合に作動指令が発せられるよう
にすることが望ましいのであり、あるいは、後述の (3)
項におけるように、第1極大値が予め定められた下限値
より大きくかつ上限値より小さいというさらに多くの条
件が満たされた場合に、エアバッグ装置を高速で作動さ
せるべき旨の作動指令が発せられるようにすることが望
ましいのである。逆に、例えば、自動ドアロック解除装
置のように、不必要に作動しても容易に元の状態に復帰
させ得るものにおいては、減速度変化率がしきい値を超
えるという条件が満たされれば、それだけで作動指令が
発せられるようにしてもよい。減速度変化率は、衝突状
況、例えば、衝突時の速度,衝突形態,車両の種類(特
に車体自体の前部の構造や、内部装置の配置)等に応じ
て種々に変化するが、第1極大値に基づいてしきい値を
設定すれば、実際の衝突状況に応じてしきい値を設定す
ることになり、乗員保護装置を作動させるか否か、作動
させるのであればその時期あるいは作動形態等を適切に
決定することが可能になる。特に、ポール衝突等のソフ
トクラッシュにおいては、第1極大値が早期にかつ顕著
に現れるため、ソフトクラッシュ時の乗員保護に顕著な
効果が得られる。 (2)前記作動指令部が、さらに、前記第1極大値が予
め定められた下限値より大きいという条件が満たされた
場合に、前記作動指令を発するものである (1)項に記載
の乗員保護装置制御装置。減速度変化率の第1極大値
は、車両の衝突の他に、例えば、路面の凹凸等によって
も生じるが、乗員保護装置の作動は不要である。また、
車両の衝突により第1極大値が得られても、衝撃が小さ
い場合等には、乗員保護装置を作動させない方がよい。
したがって、下限値を、乗員保護装置を作動させること
が不要な衝突や衝撃を排除し得る大きさに設定すること
によって、乗員保護装置の不要な作動を回避することが
望ましい。特に、路面の凹凸等に起因して第1極大値が
得られた場合には、その第1極大値が下限値を超え、か
つ、その第1極大値に基づくしきい値を超える減速度変
化率が生じることは稀であるので、本態様によれば、必
要のない乗員保護装置の作動が指令されることを良好に
回避し得る。 (3)前記作動指令部が、前記車体の前後方向の減速度
の時間に対する変化率が前記しきい値を超えるという条
件の他に、前記第1極大値が予め定められた下限値より
大きく、上限値より小さい場合に前記作動指令を発する
ものである (1)項または (2)項に記載の乗員保護装置制
御装置(請求項2)。第1極大値の大きさや発生時期
は、衝突の形態によって異なり、第1極大値の下限値の
みならず上限値をも設定すれば、目的とする形態の衝突
を良好に検出することができる。例えば、ソフトクラッ
シュを正突と区別して検出することが可能となるのであ
る。ソフトクラッシュと正突とでは、乗員保護装置を作
動させる必要のある減速度変化率が異なるのが普通であ
り、一般に、ソフトクラッシュの第1極大値は、正突に
おいて乗員保護装置を作動させる必要がある減速度変化
率より小さい。したがって、第1極大値の上限値を正突
において乗員保護装置を作動させるべき減速度変化率よ
り小さく設定しておけば、上限値より小さい第1極大値
が得られた場合には、ソフトクラッシュが発生したと判
断することができる。結局、減速度変化率の第1極大値
が下限値より大きく上限値より小さい場合には、ソフト
クラッシュが発生した可能性が高いのであり、後に、そ
の第1極大値に基づいて設定されたしきい値を減速度変
化率が超えれば、ソフトクラッシュが発生したと判断し
てよいのである。このように、ソフトクラッシュを正突
と区別して検出することができれば、乗員保護装置をソ
フトクラッシュに適した形態で作動させることが可能と
なる。例えば、エアバッグ装置が複数に異なる速度で作
動し得るものである場合には、高速で作動させることが
できる。一般に、ソフトクラッシュの検出は、衝突末期
に行わざるを得ないため、エアバッグを高速で作動させ
れば、乗員保護の遅れを防止することができる。 (4)前記しきい値設定部が、前記第1極大値が予め定
められた下限値より大きく、上限値より小さい場合に前
記しきい値の設定を行うものである (3)項に記載の乗員
保護装置制御装置。第1極大値が得られるまでの減速度
変化率に基づいてもしきい値が設定されるようにしても
よいが、それら変化率は第1極大値より小さく、しきい
値を設定しても、最終的にしきい値として採用されない
ため無駄であり、本態様によれば、無駄なしきい値の設
定を省略することができる。また、しきい値が設定され
るまでは、減速度変化率としきい値との比較も行われな
いようにしておけば、一層無駄が省ける。逆に、第1極
大値が得られるまでは、しきい値が通常あり得ない大き
な値に保たれるようにしておけば、減速度変化率と比較
されても、作動指令は発せられないため、比較が常時行
われるようにしてもよい。 (5)前記しきい値設定部が、前記第1極大値に予め定
められた定数を掛けることにより前記しきい値を設定す
るものである (1)項ないし (4)項のいずれか1つに記載
の乗員保護装置制御装置(請求項3)。この定数は、例
えば、実験により車両の種類に応じた大きさに設定さ
れ、各車両に適した時期に乗員保護装置が作動させられ
る。第1極大値に設定数を加えてしきい値としたり、さ
らに一般的に第1極大値の関数としてしきい値を求めた
りすることも可能であるが、車両ごとに異なる定数を掛
ければ最も簡単に適正なしきい値を設定することができ
る。 (6)前記車体の前後方向の減速度を横軸、その減速度
の時間に対する変化率を縦軸とした場合に、増大してき
た減速度が初めて減少に転じるまでの減速度の時間に対
する変化率の最大値を前記第1極大値として取得する第
1極大値取得部を含む (1)項ないし (5)項のいずれか1
つに記載の乗員保護装置制御装置(請求項4)。車体の
前後方向の減速度を横軸に、減速度変化率を縦軸にとっ
た場合には、車両のソフトクラッシュ時に、衝突の開始
から増大し続けた減速度が初めて減少に転じるまでに、
一つの極大値が現れる。この極大値が第1極大値であ
り、この現象は車両の種類を問わず安定している。した
がって、本態様に従って第1極大値を取得すれば、ソフ
トクラッシュ時の第1極大値を確実に取得することがで
きる。 (7)車体の運転席近傍部に車体の前後方向の減速度を
検出可能な状態で配設された減速度センサの出力をフィ
ルタにより平滑化して、前記車体の前後方向の減速度を
取得する減速度取得部を含む (1)項ないし (6)項のいず
れか1つに記載の乗員保護装置制御装置(請求項5)。
フィルタとしては、例えばカルマンフィルタを採用可能
である。減速度センサの出力の平滑化は、減速度センサ
の出力信号をフィルタ回路等の平滑化回路により平滑化
して行ってもよく、減速度センサの出力信号をデジタル
化した検出値をデジタルフィルタ手段や勾配制限手段に
より平滑化して行ってもよい。減速度センサの出力がノ
イズを含まず、あるいは小さければ、平滑化手段を設け
ることは不可欠ではないが、ノイズを含むことが多い。
したがって、フィルタによって減速度センサの出力値を
平滑化すれば、ノイズが減少させられ、第1極大値の検
出が容易になる。 (8)前記減速度センサが、車体のフロアに配設された
フロアセンサを含む (1)項ないし (7)項のいずれか1つ
に記載の乗員保護装置制御装置。フロアセンサは、フロ
アの左右方向中央部、例えば、フロアトンネル上に配設
することが望ましい。フロアセンサは、検出した減速度
をそのままの値で出力するセンサとしてもよく、複数段
階のレベルに分けて出力するセンサとしてもよい。 (9) (1)項ないし (8)項のいずれか1つに記載の乗員
保護装置制御装置である第1制御部と、その第1制御部
と並列に設けられ、少なくとも正突時における乗員保護
装置の起動を制御する第2制御部とを備え、それら両制
御部からそれぞれ発せられる指令のうち早期に発っせら
れる指令に従って前記乗員保護装置を制御する乗員保護
装置制御装置(請求項6)。前述のように、正突により
生ずる減速度の変化はソフトクラッシュにより生ずる減
速度の変化とは異なる特徴を有し、本態様によれば、ソ
フトクラッシュのように、減速度の増減が2回以上生
じ、減速度変化率の第1極大値を取得してしきい値を設
定した後に、しきい値を超える変化率が生ずる衝突は第
1制御部により検出され、正突のように、減速度変化の
別の特徴を有する衝突は第2制御部により検出される。
異なる形態の衝突が異なる制御部によって検出されるこ
とにより、乗員保護装置が衝突の形態に応じて適切な時
期に作動させられる。また、第1制御部と第2制御部と
で、乗員保護装置の作動形態(作動速度や作動する乗員
保護装置の種類)を変えることもできる。例えば、エア
バッグ装置が異なる速度で作動可能なものである場合に
は、第1制御部で作動させられる場合は高速で、第2制
御部で作動させられる場合には低速で作動させられるよ
うにすることができるのである。 (10)前記第2制御部が、前記車体の運転席近傍部に
車体の前後方向の減速度を検出可能な状態で配設された
減速度センサであるメインセンサの他に、車体の前部に
その前部の前後方向の減速度を検出可能な状態で配設さ
れたサブセンサを備え、それらメインセンサおよびサブ
センサの検出結果に基づいて前記乗員保護装置を制御す
るものである (9)項に記載の乗員保護装置制御装置。サ
ブセンサは、検出した減速度をそのままの値で出力する
ものとしてもよく、あるいはレベル化して出力するもの
としてもよく、あるいは乗員保護装置の作動が必要なほ
ど大きい衝撃が生じたか否かを2種類の異なる信号によ
って出力するものとしてもよい。サブセンサは、1つ設
けてもよく、複数設けてもよい。2個設ける場合は車体
の左右前部に設けることが望ましい。第1制御部および
第2制御部は共に車体の前後方向の減速度をメインセン
サの出力から得る。この場合、第1制御部あるいは第2
制御部がメインセンサを備え、その出力を他方に供給す
るようにしてもよく、あるいはメインセンサの出力が第
1,第2制御部の両方に供給されるようにしてもよい。
メインセンサに加えてサブセンサを設ければ、最初に衝
突する車体前部の減速度が得られ、早期に衝突に関する
情報を取得することができる。さらに、サブセンサを車
体前部の左右に設ければ、一層情報が豊かになって、衝
突の形態を判別することが容易になる。 (11)前記乗員保護装置が、エアバッグと、そのエア
バッグに気体を供給してエアバッグを膨らませる気体供
給装置とを備えたエアバッグ装置を含むものである (1)
項ないし(10)項のいずれか1つに記載の乗員保護装置制
御装置(請求項7)。 (12)前記気体供給装置が、高速,低速の両態様で気
体を供給可能なものであり、当該乗員保護装置制御装置
が、前記「少なくとも、車体の前後方向の減速度の時間
に対する変化率がそのしきい値を超える」という条件が
満たされたとき、前記気体供給装置を高速で作動させる
ものである(11)項に記載の乗員保護装置制御装置(請求
項8)。気体供給装置は複数段階に異なる速度でエアバ
ッグを膨らませ得るものでも、連続的に変化する速度で
膨らませ得るものでもよい。高速と低速との2段階でエ
アバッグを膨らませ得る気体供給装置においては、真ん
中以上の速さとは高速のことであり、高速,中速および
低速の3段階でエアバッグを膨らませ得る気体供給装置
においては、中速または高速のことである。ただし、ソ
フトクラッシュにおいては検出が遅れがちであるため、
最高速でエアバッグを膨らませることが望ましい場合が
多い。気体供給装置は、エアバッグを膨らませる速度が
同じであるインフレータを複数有し、それらのうち、同
時にエアバッグを膨らませるインフレータの数を異なら
せることにより、エアバッグの膨張速度を異ならせても
よく、あるいはエアバッグを膨らませる速度が異なるイ
ンフレータを複数設け、必要な膨張速度に応じて選択的
に使用してもよく、あるいはインフレータを1つで膨張
速度を複数段階あるいは無段階で変えることができるも
のとし、必要な速度でエアバッグを膨らませるようにし
てもよい。第1極大値に基づいて設定されたしきい値を
超える減速度変化率が生じた後にエアバッグ装置が膨張
させられるが、高速で膨張させられるため、乗員の保護
に遅れが生ずることが回避される。 (13) 少なくとも、車体の前後方向の減速度の時間
に対する変化率がしきい値を超えるという条件が満たさ
れた場合に乗員保護装置を作動させる乗員保護装置制御
装置において、前記しきい値を車体の前後方向の減速度
の時間に対する変化率の第1極大値に応じて調整するし
きい値調整部を設けた乗員保護装置制御装置(請求項
9)。しきい値の調整は、例えば、しきい値を第1極大
値に応じて設定するという形態や、予め定められている
しきい値を第1極大値に応じて変更するという形態で行
うことができる。要するに、しきい値が、第1極大値に
応じて少なくとも2つの値に変えられればよいのであ
る。 (14)車体の前後方向の減速度の時間に対する変化率
の第1極大値に基づいてしきい値を設定し、少なくと
も、車体の前後方向の減速度の時間に対する変化率がそ
のしきい値を超えるという条件が満たされたとき、ソフ
トクラッシュが発生したとするソフトクラッシュ検出方
法。ソフトクラッシュ発生時の減速度の変化は、前述の
ように、一旦、増大した後、減少し、その後、再び増大
する特徴を有し、減速度変化率の第1極大値が生じた
後、その第1極大値に基づいて設定されたしきい値を超
える変化率が生じ、本態様の条件によりソフトクラッシ
ュが検出される。前述のように、ソフトクラッシュの一
例はポール衝突であるが、発明の実施の形態において説
明するように、ポール衝突の他にも、減速度の時間に対
する変化率の第1極大値が生じた後、その第1極大値に
基づいて設定されたしきい値を超える変化率が生じる衝
突であればソフトクラッシュであり、本態様の方法によ
って検出可能である。 (15)さらに、前記前後方向の減速度の時間に対する
変化率が予め定められた下限値より大きく、上限値より
小さいという条件が満たされたとき、ソフトクラッシュ
が発生したとする(14)項に記載のソフトクラッシュ検出
方法(請求項10)。本態様によれば、例えば、 (3)項
に記載の作用および効果が得られる。 (16)車体の前後方向の減速度を横軸、その減速度の
時間に対する変化率を縦軸とした場合に、増大してきた
減速度が初めて減少に転じるまでの減速度の時間に対す
る変化率の最大値を第1極大値として取得する第1極大
値取得方法。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明をエアバッグ装置制
御装置に適用した場合を例に取り、図面に基づいて詳細
に説明する。図1にエアバッグ装置10およびエアバッ
グ装置制御装置12を示す。エアバッグ装置10は、エ
アバッグ14と気体供給装置16とを備えている。気体
供給装置16は、2個のインフレータ18を備えてお
り、これらインフレータ18はそれぞれ、点火装置20
およびガス発生剤(図示省略)を備えている。点火装置
20に通電され、点火されれば、ガス発生剤に点火さ
れ、ガスが発生してエアバッグ14に供給され、エアバ
ッグ14が膨張させられる。2個のインフレータ18に
同時にガスを発生させれば、ガスがエアバッグ14に高
速で供給されてエアバッグ14が高速で膨張させられ、
2個のインフレータ18に時間差を有してガスを発生さ
せれば、ガスがエアバッグ14に低速で供給されてエア
バッグ14が低速で膨張させられる。気体供給装置20
は多段インフレータにより構成されているのであり、気
体供給装置20の高速でのガス供給をハイモード、低速
でのガス供給をローモードと称する。
【0006】エアバッグ装置制御装置12は、第1制御
部24と第2制御部26とを備えている。第1制御部2
4は、電子制御ユニット28を備えており、電子制御ユ
ニット28は、マイクロコンピュータ30(以下、マイ
コン30と略称する)および2個の駆動回路32を有し
ている。マイコン30は、PU(プロセッシングユニッ
ト)34,ROM36,RAM38,それらを接続する
バス40および入出力回路であるI/O回路42を含
み、図2に示すように、車両44のほぼ中央にあって車
体を構成するフロアトンネル上であって、運転席近傍部
に設けられている。
【0007】マイコン30のROM36には、図3およ
び図4にそれぞれフローチャートで表すメインルーチン
およびソフトクラッシュ検出ルーチンが記憶されてい
る。また、RAM38には、図5に示すように、今回減
速度メモリ50等がワーキングメモリと共に設けられて
いる。PU34は、RAM38を使用しつつ、メインル
ーチンおよびソフトクラッシュ検出ルーチンを実行し、
ソフトクラッシュを検出する。
【0008】マイコン30は、ソフトクラッシュの検出
に基づいてI/O回路42から駆動回路32に起動信号
を出力し、駆動回路32はその起動信号によってインフ
レータ18の点火装置20に通電し、点火させる。
【0009】前記第2制御部26は、電子制御ユニット
70を備えており、電子制御ユニット70は、マイクロ
コンピュータ72(以下、マイコン72と略称する)を
有している。マイコン72は、PU74,ROM76,
RAM78,それらを接続するバス80およびI/O回
路82を含み、マイコン30と共に、フロアトンネル上
に設けられている。マイコン72には、I/O回路82
により、メインセンサたるフロアセンサ84および2個
のサブセンサたるフロントセンサ86,88の各検出信
号が入力される。フロアセンサ84は、図2に示すよう
に、マイコン72と共にフロアトンネル上に設けられ、
運転席近傍に配設されている。フロアセンサ84は、本
実施形態においては減速度センサにより構成され、車体
の中央部であって、運転席近傍部の前後方向の減速度を
検出する。フロアセンサ84の出力信号は、ハードの電
子回路(アナログ回路)により構成されるカルマンフィ
ルタにより平滑化され、その平滑化された信号がマイコ
ン72に入力される。
【0010】2個のフロントセンサ86,88はそれぞ
れ、車両44の左右両側にそれぞれ設けられて車体を構
成するサイドフレームの前部に設けられ、車体左右前部
に設けられている。これらフロントセンサ86,88は
それぞれ、本実施形態においては減速度センサにより構
成され、車体左右前部の前後方向の減速度を検出する。
左右の各フロントセンサ86,88の出力信号は、ハー
ドの電子回路により構成されるカルマンフィルタによっ
て平滑化されるとともに、フロントセンサ86,88と
共に車両左右前部に設けられたマイクロコンピュータ
(図示省略)により複数段階、例えば12段階のレベル
に分けられ、例えば、電流通信によりマイコン72に入
力される。フロアセンサ84の出力信号により得られる
減速度は、マイコン72からマイコン30へ供給され
る。
【0011】マイコン72のROM76には、図6にフ
ローチャートで表すメインルーチンが記憶されており、
PU74はRAM78を使用しつつ、メインルーチンを
実行し、正突,斜突およびオフセット衝突を検出する。
第2制御部26においては、メインルーチンのステップ
1(以下、S1と略記する。他のステップおよびルーチ
ンについても同じ。)において初期設定が行われ、各種
メモリのクリア,カウンタ,フラグのリセット等が行わ
れる。そして、S2,S3,S4においてそれぞれ、正
突検出ルーチン,斜突検出ルーチンおよびオフセット衝
突検出ルーチンが実行される。これらルーチンにおいて
は、フロアセンサ84およびフロントセンサ86,88
により検出される減速度および減速度レベルを用いて衝
突の検出が行われ、それぞれの衝突形態に応じて気体供
給装置16の作動モードが設定されるが、各衝突の検出
および作動モードの設定は既に知られており、本発明と
は直接関係がないため、図示および説明を省略する。
【0012】第2制御部26のマイコン72は、正突,
斜突あるいはオフセット衝突の検出に基づいて、I/O
回路82から2個の駆動回路32に起動信号を出力し、
気体供給装置16を高速あるいは低速で作動させる。第
1制御部24と第2制御部26とはそれぞれ衝突を検出
し、駆動回路32に起動信号を出力するが、気体供給装
置16は、第1,第2制御部24,26から発せられる
起動信号のうち、早期に発せられる信号に従って作動さ
せられる。本実施形態においては、2個の駆動回路3
2,マイコン72が電子制御ユニット70を構成し、フ
ロアセンサ84,フロントセンサ86,88と共に第2
制御部26を構成している。第2制御部26は第1制御
部24と並列に設けられており、第1制御部24は、第
2制御部26と駆動回路32を共用している。
【0013】第1制御部24におけるソフトクラッシュ
の検出を説明する。ソフトクラッシュの検出は、ソフト
クラッシュ発生時には減速度が特有の波形を描いて変化
することに基づいて行われる。ソフトクラッシュ発生時
における車体の運転席近傍部の前後方向の減速度であっ
て、フロアセンサ84により検出された生の減速度Gの
時間tに対する変化を図7(a)に示し、フィルタによ
って平滑化された減速度Gs の時間tに対する変化を図
7(b)に示す。図7(b)から明らかなように、減速
度Gs は、一旦、増大し、減少した後、再び増大し、1
回目の増大による減速度Gs より、2回目の増大による
減速度Gs の方が大きい。本実施形態のエアバッグ装置
10およびエアバッグ装置制御装置12が設けられた車
両においては、エンジンが車両前部であって、バンパか
ら離れた位置に設けられており、バンパの中央部が衝突
対象物(例えば電柱)に衝突した後、車両の前部の弾性
変形および塑性変形に伴って車体がさらに前進し、その
後、強度の大きいエンジンが衝突対象物に衝突すること
により、2回目の増大で大きい減速度Gs が生ずるので
ある。
【0014】そして、図7(c)に示すように、減速度
s の時間に対する変化率である時間微分値dGs /d
tを縦軸、時間tを横軸にとれば、減速度Gs の増減に
対応して時間微分値dGs /dtが増減し、減速度Gs
の1回目の増減に対応する時間微分値dGs /dtの増
減により、時間微分値の第1極大値dGmaximal が生ず
るとともに、減速度Gs の2回目の増大に対応して第1
極大値dGmaximal より大きい時間微分値が生ずる。衝
突対象物のエンジンとの衝突により、減速度が急激に増
大するのである。
【0015】平滑化された減速度Gs を横軸、その減速
度Gs の時間微分値dGs /dtを縦軸にとれば、図7
(d)に示すグラフが得られる。減速度Gs は、1回目
の増減時の最大値が得られるまで増大し続け、初めて減
少に転じたとき、すなわち1回目の増減において減速度
s が最大になって極大値が得られたときには、既に減
速度時間微分値dGs /dtは最大値に達していて、そ
の最大値を減速度時間微分値dGs /dtの第1極大値
dGmaximal として取得することができる。また、減速
度時間微分値dGs /dtの第1極大値dGmaximal
得られた後、減速度Gs の再度の増大に伴って第1極大
値dGmaximal より大きい減速度時間微分値dGs /d
tが生ずる。
【0016】ソフトクラッシュ検出ルーチンは、この特
徴に基づいてソフトクラッシュを検出するように構成さ
れている。ソフトクラッシュ検出ルーチンにおけるソフ
トクラッシュの検出を概略的に説明すれば、車体の運転
席近傍部の前後方向の平滑化された減速度Gs につい
て、1回目の増大から減少に転ずる際の極大値Gmaxima
l を検出するとともに、その検出と並行して減速度Gs
の時間微分値dGs /dtを演算し、減速度Gs の極大
値Gmaximal が得られるまでの時間微分値dGs/dt
の最大値dGmaximum を第1極大値dGmaximal として
取得する。そして、この最大値に基づいて、ソフトクラ
ッシュ発生を検出するためのしきい値dG fireを設定
し、その後、減速度Gs の時間微分値dGs /dtを演
算してしきい値dGfireと比較し、しきい値dGfire
越えた場合にソフトクラッシュ発生とする。
【0017】ソフトクラッシュの一例は、前述のよう
に、ポール衝突であるが、その他の形態のソフトクラッ
シュも本発明に従って検出可能である。その一例は、特
殊な形態のアンダライド衝突である。アンダライド衝突
は、衝突対象物が、例えばトラックのように、地面との
距離が大きい部分を有し、車両が衝突対象物と地面との
間に突っ込む衝突であるが、車両が突っ込む際、フロン
トガラスではなく、車体前部のバンパおよびサイドフレ
ームより上の部分が衝突対象物に衝突すれば、ソフトク
ラッシュが生ずる。減速度が、一旦、増大し、減少した
後、再び増大し、各増減により生ずる2つの極大値のう
ち、後に生ずる極大値の方が先に生ずる極大値より大き
い衝突であれば、ソフトクラッシュとして検出されるの
である。
【0018】図示しないイグニッションスイッチがON
にされ、電源が投入されれば、図3に示すメインルーチ
ンが実行される。メインルーチンのS11において初期
設定が行われ、今回減速度メモリ50等のクリアおよび
第1フラグF1 のリセット等が行われる。次いでS12
が実行され、ソフトクラッシュの検出が行われる。
【0019】ソフトクラッシュの検出をソフトクラッシ
ュ検出ルーチンに基づいて説明する。ソフトクラッシュ
検出ルーチンにおいては、図4に示すように、S21に
おいてフロアセンサ84の平滑化された減速度Gs が読
み込まれる。そして、今回減速度メモリ50に記憶され
ている減速度Gs(t)が先回減速度メモリ52に移されて
先回減速度Gs(t-1)とされるとともに、読み込まれた減
速度Gs が今回減速度メモリ50に記憶されて今回減速
度Gs(t)とされる。
【0020】次いでS22が実行され、第1フラグF1
がセットされているか否かの判定が行われる。第1フラ
グF1 は初期設定においてリセットされており、S22
の判定結果はNOになってS23が実行され、今回減速
度メモリ50に記憶されている減速度Gs(t)が先回減速
度メモリ52に記憶されている先回減速度Gs(t-1)以上
であるか否か、すなわち減速度が増大しているか否かの
判定が行われる。減速度が増大していれば、S23の判
定結果はYESになってS24が実行され、減速度G
s(t)が減速度最大値Gmaximum に置き換えられて減速度
最大値メモリ54に記憶される。次にS23が実行され
るとき、先回減速度メモリ52に記憶されている値は、
減速度最大値メモリ54に記憶されている値と同じであ
り、S23における相前後して取得された2つの減速度
の比較は、今回減速度メモリ50に記憶された値と減速
度最大値メモリ54に記憶された最大値との比較でもあ
り、S23をそのように構成してもよい。今回減速度が
最大減速度以上であるか否かを判定するようにするので
ある。
【0021】S24においてはまた、減速度Gs(t)の時
間に対する変化率である時間微分値dGs(t)/dtが演
算されて、減速度時間微分値メモリ56に記憶される。
時間微分値dGs(t)/dtは、本実施形態においては、
今回減速度メモリ50に記憶された減速度Gs(t)から先
回減速度メモリ52に記憶された先回減速度Gs(t-1)
引いた値を、決まった時間、ここではソフトクラッシュ
検出ルーチンの実行間隔時間で割ることにより行われ
る。時間微分値として、ソフトクラッシュ検出ルーチン
の実行間隔時間内における平均変化量が求められるので
ある。
【0022】次いでS25が実行され、S24において
演算された時間微分値dGs(t)/dtが、減速度時間微
分値最大値メモリ58に記憶されている時間微分値dG
s(t)/dtの最大値dGmaximum より大きいか否かの判
定が行われる。減速度時間微分値最大値メモリ58は初
期設定においてクリアされていて値は0であり、S25
の判定結果はYESになってS26が実行され、S24
において演算された時間微分値dGs(t)/dtが時間微
分値最大値dGmaximum に置き換えられて、減速度時間
微分値最大値メモリ58に記憶される。
【0023】減速度Gs(t)が増大している間、S23の
判定結果はYESになってS24が実行され、減速度G
s(t)の最大値Gmaximum が更新されるとともに、減速度
s( t)の時間微分値dGs(t)/dtが演算される。そし
て、時間微分値dGs(t)/dtが最大値Gmaximum より
大きければ、最大値Gmaximum が更新され、時間微分値
dGs(t)/dtが最大値Gmaximum 以下であれば、S2
5の判定結果はNOになって最大値Gmaximum は更新さ
れず、そのままである。
【0024】そして、増大してきた減速度Gs(t)が減少
に転ずれば、S23の判定結果がNOになってS27が
実行され、第1フラグF1 がセットされる。それにより
次にS22が実行されるとき、その判定結果はYESに
なり、減速度Gs(t)および時間微分値dGs(t)/dtの
各最大値Gmaximum ,dGmaximum の更新は行われな
い。そのため、S23の判定結果がNOになったとき、
減速度が増大から初めて減少に転じ、減速度の極大値が
得られたことがわかり、それまでに得られた時間微分値
dGs(t)/dtの最大値dGmaximum が第1極大値dG
maximal として取得される。また、S23の判定結果が
NOになったときに減速度最大値メモリ54に記憶され
ている値が減速度の極大値Gmaximal である。第1フラ
グF1 のセットにより、第1極大値dGmaximal が得ら
れたことが記憶される。このように減速度Gs(t)が増大
から減少に転じたか否かは、相前後して取得された2つ
の減速度を比較することにより検出される。そのため、
フロアセンサ84により検出された全部の減速度を記憶
して減速度の第1極大値を取得することも可能である
が、その場合に比較して記憶容量が少なくて済む。
【0025】S27において第1フラグF1 がセットさ
れた後、S28が実行され、減速度の時間微分値dG
s(t)/dtの第1極大値dGmaximal が下限値より大き
いか否かの判定が行われる。下限値は、エアバッグ装置
10を作動させることが不要な衝突や衝撃を排除し得る
大きさに設定されている。第1極大値dGmaximal が下
限値以下であれば、ソフトクラッシュではなく、S28
の判定結果はNOになってS31が実行され、今回減速
度メモリ50等のクリア,第1フラグF1 のリセットが
行われて、新たにソフトクラッシュの検出が行われる状
態とされる。
【0026】時間微分値の第1極大値dGmaximal が下
限値より大きければ、S28の判定結果はYESになっ
てS29が実行され、第1極大値dGmaximal が上限値
より小さいか否かの判定が行われる。上限値は、正突に
おいてエアバッグ装置10を作動させる減速度時間微分
値より小さく設定されている。したがって、第1極大値
dGmaximal が上限値以上であれば、ソフトクラッシュ
ではなく、S29の判定結果はNOになってS31が実
行される。それに対し、第1極大値dGmaxima l が下限
値より大きく、上限値より小さければ、S30が実行さ
れ、ソフトクラッシュ検出のためのしきい値dGfire
演算される。この演算は、時間微分値dGs /dtの第
1極大値dGmaximal に定数Aを掛けることにより行わ
れ、得られた値はしきい値メモリ60に記憶される。定
数Aは、車両の種類に応じて実験によって設定されてお
り、しきい値dGfireは車両の種類に応じた大きさに設
定される。また、第1極大値dGmaximal は、実際の減
速度Gs(t)に基づいて取得されており、車両の走行速度
に応じたしきい値dGfireが得られる。
【0027】次いでS32が実行され、減速度Gs(t)
時間微分値dGs(t)/dtが演算される。この演算は、
S24におけると同様に行われる。その後、S33が実
行され、時間微分値dGs(t)/dtがしきい値dGfire
より大きいか否かの判定が行われる。時間微分値dG
s(t)/dtがしきい値dGfire以下であれば、S33の
判定結果はNOになる。第1フラグF1 がセットされて
いるため、S22が行われるとき、その判定結果はYE
Sになり、S23〜S27と共に、S28〜S31がス
キップされる。時間微分値dGs /dtの第1極大値d
maximal は、取得後、変化しないため、下限値と上限
値との比較を1回行えば、以後は行う必要がなく、ま
た、第1極大値dGmaximal に基づいて演算されるしき
い値dGfireも、演算後、変化しないため、S28〜S
30は第1極大値dGmaximal を取得する毎に1回行う
のみでよく、スキップされるのである。第1フラグF1
のセットにより、第1極大値dGmaximal と下限値およ
び上限値との比較が行われたこと、およびしきい値dG
fireの設定も記憶される。
【0028】減速度Gs(t)の時間微分値dGs(t)/dt
がしきい値dGfireより大きくなれば、S33の判定結
果はYESになり、ソフトクラッシュが発生したとされ
る。そのため、S34が実行され、気体供給装置16を
ハイモードで作動させるべく、点火指令が2つの駆動回
路32に同時に出力される。それによりエアバッグ14
が高速で膨張させられ、乗員保護の遅れを防止すること
ができる。しきい値dGfireは、衝突時に生じた第1極
大値dGmaximal および車両の種類に応じた定数を用い
て設定されており、ソフトクラッシュ発生時に、エアバ
ッグ装置10を適切な時期に作動させることができる。
第1極大値dGmaximal は衝突対象物や車体の固さ,衝
突時の車両の走行速度等が大きくなるほど大きくなり、
それによりしきい値も大きく設定されるため、衝突時の
車両の走行速度等、種々の衝突状況の各々において最も
適切な時期にエアバッグ装置10を作動させることがで
きるのである。
【0029】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、第1制御部24のS30を実行する部分
がしきい値設定部ないししきい値調整部を構成し、S3
4を実行する部分が作動指令部を構成し、S23〜S2
7を実行する部分が第1極大値取得部を構成し、S21
を実行する部分が減速度取得部を構成している。
【0030】上記実施形態においては、フロアセンサの
平滑化された出力信号により得られる減速度であって、
相前後して取得された2つの減速度を比較して、後に取
得された減速度が前に取得された減速度より小さくなれ
ば、すなわち減速度最大値メモリ54に記憶された減速
度最大値が、1回でも、次に演算された減速度より大き
くなれば、減速度が初めて増大から減少に転じたとし、
減速度時間微分値の第1極大値を取得したが、減速度最
大値が複数回連続して、次に演算された減速度より大き
くなったとき、減速度が増大から減少に転じたとし、減
速度時間微分値の第1極大値を取得するようにしてもよ
い。また、フロアセンサにより検出された複数の減速度
の平均値を求め、その平均値と減速度最大値とを比較し
てもよい。それらの例を図8および図9にフローチャー
トで表すソフトクラッシュ検出ルーチンに基づいて説明
する。このソフトクラッシュ検出ルーチンを実行するた
めに、RAM100は図10に示すように構成されてい
る。
【0031】ソフトクラッシュ検出ルーチンのS51に
おいては、フロアセンサにより検出されて平滑化された
減速度Gs が読み込まれる。そして、今回減速度メモリ
102に記憶されている減速度Gs(t)が先回減速度メモ
リ104に移されて先回減速度Gs(t-1)とされるととも
に、読み込まれた減速度Gs が今回減速度メモリ102
に記憶されて今回減速度Gs(t)とされる。次いでS52
が実行され、第2フラグF2 がセットされているか否か
の判定が行われる。第2フラグF2 は初期設定において
リセットされており、S52の判定結果はNOになって
S53が実行され、第1カウンタC1 のカウント値C1
が設定数、例えば2以上であるか否かの判定が行われ
る。第1カウンタC1 は初期設定においてリセットされ
ており、S53の判定結果はNOになってS54が実行
され、減速度Gs が積分される。検出値積分値メモリ1
06に記憶された積分値に、S51で読み込んだ減速度
sが加算されるのである。なお、検出値積分値メモリ
106は初期設定においてクリアされている。そして、
第1カウンタC1 のカウント値C1 が1増加させられ、
減速度Gs の積分回数がカウントされる。
【0032】減速度Gs の積分が設定回数、例えば2回
行われれば、S53の判定結果はYESになってS55
が実行され、減速度Gs の積分値の平均値Ga が演算さ
れる。この演算は、減速度Gs の積分値を第1カウンタ
1 のカウント値C1 で割ることにより行われる。2個
の減速度Gs の平均が求められるのであり、平均値G a
は減速度平均値メモリ105に記憶される。また、検出
値積分値メモリ106がクリアされるとともに、第1カ
ウンタC1 がリセットされる。
【0033】次いでS56が実行され、減速度平均値G
a が減速度最大値メモリ108に記憶されている減速度
最大値Gmaximum 以上であるか否かの判定が行われる。
減速度平均値Ga が減速度最大値Gmaximum 以上であれ
ば、S56の判定結果はYESになってS57が実行さ
れ、減速度平均値Ga が減速度最大値Gmaximum と置き
換えられて減速度最大値メモリ108に記憶されるとと
もに、第2カウンタC 2 がクリアされる。第2カウンタ
2 の用途は後述する。
【0034】次いでS58が実行され、減速度Gs の時
間微分値dGs(t)/dtが前記実施形態におけると同様
に演算される。続いてS59が実行され、時間微分値d
s( t)/dtが時間微分値最大値dGmaximum より大き
いか否かの判定が行われる。時間微分値dGs(t)/dt
が時間微分値最大値dGmaximum より大きければ、S5
9の判定結果はYESになってS60が実行され、S5
8において演算された時間微分値dGs(t)/dtが最大
値dGmaximum と置き換えられて、減速度時間微分値最
大値メモリ112に記憶される。
【0035】減速度平均値Ga が減速度最大値G
maximum より小さくなれば、S56の判定結果はNOに
なってS61が実行され、第2カウンタC2 のカウント
値C2 が1増加させられる。減速度最大値メモリ108
に記憶されている減速度最大値Gma ximum が、連続し
て、その減速度最大値Gmaximum の取得に続いて演算さ
れた減速度平均値Ga より大きくなる回数がカウントさ
れるのである。そして、S62においてカウント値C2
が設定回数、例えば3回以上であるか否かの判定が行わ
れる。減速度最大値メモリ108に記憶されている値が
連続して、直後に取得された3個の減速度平均値Ga
いずれよりも大きいか否かの判定が行われるのである。
この判定結果は、カウント値C2 が3になるまでNOで
ある。
【0036】減速度が、1回の増減による最大値に達す
るまで増減を繰返しながら増大することがあれば、減速
度最大値メモリ108に記憶されている最大値G
maximum が減速度平均値Ga より大きくなることはある
が、設定回数、連続して減速度平均値Ga より大きくな
ることはなく、S62の判定結果がYESになる前にS
56の判定結果がYESになってS57が実行される。
それにより第2カウンタC2がリセットされて、減速度
最大値Gmaximum が連続して減速度平均値Ga より大き
くなる回数がカウントし直され、減速度最大値G
maximum が設定回数連続して減速度平均値Ga より大き
くなったとき、減速度が増大から減少に転じたと判定さ
れるようにされる。
【0037】この間、減速度Gs(t)の時間微分値dG
s(t)/dtが演算されるとともに、減速度時間微分値最
大値メモリ112に記憶された時間微分値最大値dG
maximumと比較され、時間微分値最大値dGmaximum
り大きければ、時間微分値最大値dGmaximum が更新さ
れる。そして、減速度最大値メモリ108に記憶された
最大値Gmaximum が、連続して、直後に演算された3個
の減速度平均値Ga より大きくなれば、増大してきた減
速度が初めて減少に転じたと判定され、S62の判定結
果がYESになってS63が実行され、第2フラグF2
がセットされる。それにより、次にS52が実行される
とき、その判定結果はYESになり、減速度時間微分値
dGs(t)/dtの最大値dGmaximum の更新は行われ
ず、S62の判定結果がYESになったときの最大値d
maximum が第1極大値dGmaximal として取得され
る。
【0038】S52の判定結果がYESになれば、S6
4が実行され、第3フラグF3 がセットされているか否
かの判定が行われる。第3フラグF3 は初期設定におい
てリセットされており、その判定結果はNOになる。そ
して、S65〜S68が前記S28〜S31と同様に実
行される。第1極大値dGmaximal が下限値より大き
く、上限値より小さくて、しきい値dGfireが設定され
れば、S67において第3フラグF3 がセットされる。
それにより、以後、S65〜S67がスキップされ、S
51,S52,S64,S69,S70が繰返し実行さ
れ、減速度時間微分値dGs(t)/dtがしきい値dG
fireより大きくなれば、S71が実行されて2個の駆動
回路に同時に点火指令が出力される。
【0039】このように複数の減速度の平均値と減速度
最大値Gmaximum とを比較するとともに、減速度最大値
maximum が連続して複数回、直後に演算された減速度
平均値Ga 以上である場合に減速度が初めて増大から減
少に転じたと判定するようにすれば、減速度の増大から
減少への転換をより確実に検出することができ、減速度
時間微分値dGs(t)/dtの第1極大値をより正確に取
得することができる。本実施形態においては、第1制御
部のS56〜S63を実行する部分が第1極大値取得部
を構成している。なお、減速度最大値Gmaximum を減速
度平均値と比較するのに代えて、フロアセンサにより検
出されて平滑化された減速度であって、平均化されてい
ない減速度と比較して、減速度の増大から減少への転換
を検出するようにしてもよい。また、相前後する2つの
減速度平均値を比較し、後に取得された減速度平均値が
先に取得された減速度平均値より小さくなったことによ
り、減速度の増大から減少への転換を検出するようにし
てもよい。この場合、減速度の積分回数は、平滑化して
もノイズ成分が残っていて、ノイズ成分により減速度が
増減することがあっても、減速度が最大値に達するまで
は、相前後して得られる2つの減速度平均値の大きさが
反転することなく単調に増加するように設定される。
【0040】上記各実施形態においては、増大してきた
減速度が初めて増大から減少に転じるまでの減速度時間
微分値の最大値を第1極大値として取得するようにされ
ていたが、減速度時間微分値の第1極大値は、減速度と
は関係なく、取得するようにしてもよい。その例を図1
1にフローチャートで表すソフトクラッシュ検出ルーチ
ンに基づいて説明する。このルーチンを実行するため
に、RAM120は、図12に示すように構成される。
このソフトクラッシュ検出ルーチンは、図8に示すソフ
トクラッシュ検出ルーチンにおける減速度の初めての増
大から減少への転換の検出と同様にして、減速度時間微
分値の増大から減少への転換を検出し、第1極大値を取
得するように構成されている。複数の時間微分値の平均
値を求め、時間微分値最大値が、連続して、直後に演算
された複数個の時間微分値の平均値より大きくなったと
き、時間微分値が増大から減少に転じたとし、その際の
時間微分値最大値を第1極大値として取得するのであ
る。
【0041】ソフトクラッシュ検出ルーチンのS81に
おいて、フロアセンサにより検出されて平滑化された減
速度が読み込まれる。そして、今回減速度メモリ122
に記憶されている今回減速度Gs(t)が先回減速度メモリ
124に移されて先回減速度Gs(t-1)にされるととも
に、読み込まれた減速度が今回減速度メモリ122に記
憶されて今回減速度Gs(t)とされる。次いで、S82に
おいて第4フラグF4 がセットされているか否かの判定
が行われる。第4フラグF4 は、セットにより、減速度
時間微分値の第1極大値が取得されたことを記憶する
が、初期設定においてリセットされており、S82の判
定結果はNOになってS83が実行され、減速度時間微
分値が演算される。この演算は、前述のように、今回減
速度Gs(t)および先回減速度Gs(t-1)を用いて行われ
る。
【0042】次いでS84が実行され、減速度時間微分
値dGs(t)/dtの積分が設定回数、例えば、2回行わ
れたか否かの判定が行われる。この判定結果は当初はN
Oであり、S85が実行されて減速度時間微分値dG
s(t)/dtが積分される。S83において演算された値
dGs(t)/dtが減速度時間微分値積分値メモリ126
に記憶されている値に加算されるのである。なお、減速
度時間微分値積分値メモリ126は初期設定においてク
リアされている。また、第3カウンタC3 のカウント値
3 が1増加され、積分回数がカウントされる。
【0043】減速度時間微分値dGs(t)/dtの積分が
設定回数、例えば2回行われれば、S84の判定結果は
YESになってS86が実行され、減速度時間微分値d
s( t)/dtの平均値dGa が演算され、減速度時間微
分値平均値メモリ128に記憶されるとともに、減速度
時間微分値積分値メモリ126がクリアされる。平均値
dGa の演算は、減速度時間微分値dGs(t)/dtの積
分値をカウント値C3で割ることにより行われる。ま
た、第3カウンタC3 がリセットされる。そして、S8
7が実行され、減速度時間微分値dGs(t)/dtの平均
値dGa が時間微分値最大値dGmaximum 以上であるか
否かの判定が行われる。減速度時間微分値dGs(t)/d
tの平均値dGa が時間微分値最大値dGmaximum 以上
であれば、S87の判定結果はYESになってS88が
実行され、減速度時間微分値の平均値dGa が時間微分
値最大値dGmaximum に置き換えられる。減速度時間微
分値が増大している間は、S87においては、最新の減
速度時間微分値dGs(t)/dtと、減速度時間微分値最
大値メモリ130に記憶された値であって、最新の1つ
前に演算された減速度時間微分値dGs(t-1)/dtとの
大きさの比較が行われることとなる。それに対し、平均
値dGa が時間微分値最大値dGmaximum より小さけれ
ば、S87の判定結果がNOになってS89が実行さ
れ、第4カウンタC4 のカウント値C4 が1増加させら
れる。減速度時間微分値最大値が平均値より大きい回数
がカウントされるのであり、次いでS90が実行され、
カウント値C4 が設定回数、例えば3以上である否かの
判定が行われる。減速度時間微分値の最大値dG
maximum が、連続して設定回数以上、直後に取得された
減速度時間微分値の平均値より大きくなったか否かの判
定が行われるのである。
【0044】減速度時間微分値が増減しながら増大すれ
ば、第1極大値が得られる前に、減速度時間微分値の平
均値が減速度時間微分値最大値より小さくなることもあ
るが、その場合にはS90の判定結果がYESになる前
にS87の判定結果がYESになり、S88において第
4カウンタC4 がリセットされて、減速度時間微分値が
増大から減少に転じたか否かの判定がやり直される状態
とされる。減速度時間微分値dGs(t)/dtの最大値d
maximum が、設定回数、連続して、直後に演算された
減速度時間微分値より大きくなれば、減速度時間微分値
が増大から減少に転じたと判定され、S90の判定結果
はYESになってS91が実行され、第4フラグF4
セットされる。それにより、次にS82が実行されると
き、その判定結果はYESになり、減速度時間微分値最
大値の更新は行われず、減速度時間微分値が増大から減
少に転じた際の最大値が第1極大値dGmaximal として
取得される。減速度時間微分値の最大値が、直後に演算
された時間微分値より大きくなる回数は、減速度時間微
分値が確実に増大から減少に転じたと判定し得る回数に
設定される。その後は、図示は省略するが、図9に示す
S64〜S71と同様のステップが実行され、第1極大
値dGmaximal が下限値より大きく、上限値より小さけ
れば、しきい値が設定され、減速度時間微分値との比較
によりソフトクラッシュが検出される。本実施形態にお
いては、第1制御部のS83〜S91を実行する部分が
第1極大値取得部を構成している。
【0045】なお、減速度時間微分値の最大値を、減速
度時間微分値の複数の平均値と比較するのに代えて、平
均されず、減速度に基づいて演算されたままの複数の減
速度時間微分値と比較して、減速度時間微分値の増大か
ら減少への転換を検出し、第1極大値を取得するように
してもよい。
【0046】また、上記各実施形態においてフロントセ
ンサ86,88は、検出値をレベル化して出力するもの
とされていたが、レベル化されない検出値をマイコンに
供給するものとしてもよい。
【0047】さらに、フロアセンサ84,フロントセン
サ86,88の各出力信号を平滑化する平滑化手段は、
カルマンフィルタを、ソフトウェアにより実現されるデ
ジタルフィルタにより構成したものとしてもよい。
【0048】また、上記各実施形態においては乗員保護
装置としてエアバッグ装置を例に取って説明したが、乗
員保護装置は、乗員保護機能を異にする複数種類のもの
を設け、ソフトクラッシュあるいは正突等他の形態の衝
突の検出に基づいてそれらを選択的にあるいは全部を作
動させてもよい。全部を作動させる場合、同時に作動さ
せてもよく、あるいは時期をずらして作動させてもよ
い。複数種類の乗員保護装置の使い分けは、衝突形態,
車両の走行速度,衝撃の大きさ,車両に対する乗員の相
対移動速度(車両の減速度の積分)等に応じて為され
る。例えば、衝突時における車両の走行速度が低い場合
には、プリテンショナ付シートベルト装置を作動させ、
高い場合にはエアバッグ装置を作動させる。走行速度
は、乗員保護装置が作動する車両そのものの速度でもよ
く、衝突対象物との相対速度でもよい。また、衝突時の
衝撃が比較的小さい時期にまずプリテンショナ付シート
ベルト装置を作動させ、さらに大きくなればエアバッグ
装置も作動させる。乗員保護装置の種類に応じて、それ
ぞれ作動判定用のしきい値を設定すればよい。
【0049】さらに、本発明に係るソフトクラッシュ検
出方法は、エアバッグ装置制御装置等の乗員保護装置制
御装置におけるソフトクラッシュの検出に限らず、他に
ソフトクラッシュの検出を必要とする制御装置において
実施してもよい。
【0050】以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細
に説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者
の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるエアバッグ装置制御装
置およびエアバッグ装置を概略的に示すブロック図であ
る。
【図2】上記エアバッグ装置を備えた車両を示す平面図
である。
【図3】上記エアバッグ装置制御装置を構成する第1制
御部の電子制御ユニットを構成するマイコンのROMに
記憶されたメインルーチンを表すフローチャートであ
る。
【図4】上記メインルーチンを構成するソフトクラッシ
ュ検出ルーチンを表すフローチャートである。
【図5】上記マイコンのRAMのうち、本発明に関連の
深い部分を示すブロック図である。
【図6】上記エアバッグ装置制御装置を構成する第2制
御部の電子制御ユニットを構成するマイコンのROMに
記憶されたメインルーチンを表すフローチャートであ
る。
【図7】ソフトクラッシュ発生時における車体の前後方
向の減速度,減速度の時間微分値の変化を表すグラフで
ある。
【図8】本発明の別の実施形態であるエアバッグ装置制
御装置を構成する第1制御部のマイコンのROMに記憶
されたソフトクラッシュ検出ルーチンの一部を表すフロ
ーチャートである。
【図9】図8に示すソフトクラッシュ検出ルーチンの残
りを表すフローチャートである。
【図10】図8に示すソフトクラッシュ検出ルーチンを
実行するためのRAMの構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の更に別の実施形態であるエアバッグ
装置制御装置を構成する第1制御部のマイコンのROM
に記憶されたソフトクラッシュ検出ルーチンの一部を表
すフローチャートである。
【図12】図11に示すソフトクラッシュ検出ルーチン
を実行するためのRAMの構成を示すブロック図であ
る。
【符号の説明】
10:エアバッグ装置 12:エアバッグ装置制御装
置 14:エアバッグ 16:気体供給装置 2
4:第1制御部 26:第2制御部 30,72:
マイクロコンピュータ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体の前後方向の減速度の時間に対する
    変化率の第1極大値に基づいてしきい値を設定するしき
    い値設定部と、 少なくとも、車体の前後方向の減速度の時間に対する変
    化率が前記しきい値を超えるという条件が満たされた場
    合に乗員保護装置を作動させるべきことを指令する作動
    指令を発する作動指令部とを含むことを特徴とする乗員
    保護装置制御装置。
  2. 【請求項2】 前記作動指令部が、前記車体の前後方向
    の減速度の時間に対する変化率が前記しきい値を超える
    という条件の他に、前記第1極大値が予め定められた下
    限値より大きく、上限値より小さい場合に前記作動指令
    を発するものであることを特徴とする請求項1に記載の
    乗員保護装置制御装置。
  3. 【請求項3】 前記しきい値設定部が、前記第1極大値
    に予め定められた定数を掛けることにより前記しきい値
    を設定するものであることを特徴とする請求項1または
    2に記載の乗員保護装置制御装置。
  4. 【請求項4】 前記車体の前後方向の減速度を横軸、そ
    の減速度の時間に対する変化率を縦軸とした場合に、増
    大してきた減速度が初めて減少に転じるまでの減速度の
    時間に対する変化率の最大値を前記第1極大値として取
    得する第1極大値取得部を含むことを特徴とする請求項
    1ないし3のいずれか1つに記載の乗員保護装置制御装
    置。
  5. 【請求項5】 車体の運転席近傍部に車体の前後方向の
    減速度を検出可能な状態で配設された減速度センサの出
    力をフィルタにより平滑化して、前記車体の前後方向の
    減速度を取得する減速度取得部を含むことを特徴とする
    請求項1ないし4のいずれか1つに記載の乗員保護装置
    制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1つに記載
    の乗員保護装置制御装置である第1制御部と、その第1
    制御部と並列に設けられ、少なくとも正突時における乗
    員保護装置の起動を制御する第2制御部とを備え、それ
    ら両制御部からそれぞれ発せられる指令のうち早期に発
    っせられる指令に従って前記乗員保護装置を制御するこ
    とを特徴とする乗員保護装置制御装置。
  7. 【請求項7】 前記乗員保護装置が、エアバッグと、そ
    のエアバッグに気体を供給してエアバッグを膨らませる
    気体供給装置とを備えたエアバッグ装置を含むものであ
    ることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに
    記載の乗員保護装置制御装置。
  8. 【請求項8】 前記気体供給装置が、高速,低速の両態
    様で気体を供給可能なものであり、当該乗員保護装置制
    御装置が、前記「少なくとも、車体の前後方向の減速度
    の時間に対する変化率がそのしきい値を超える」という
    条件が満たされたとき、前記気体供給装置を高速で作動
    させるものであることを特徴とする請求項7に記載の乗
    員保護装置制御装置。
  9. 【請求項9】 少なくとも、車体の前後方向の減速度の
    時間に対する変化率がしきい値を超えるという条件が満
    たされた場合に乗員保護装置を作動させる乗員保護装置
    制御装置において、前記しきい値を車体の前後方向の減
    速度の時間に対する変化率の第1極大値に応じて調整す
    るしきい値調整部を設けたことを特徴とする乗員保護装
    置制御装置。
  10. 【請求項10】 車体の前後方向の減速度の時間に対す
    る変化率の第1極大値に基づいてしきい値を設定し、少
    なくとも、車体の前後方向の減速度の時間に対する変化
    率がそのしきい値を超えるという条件および前記前後方
    向の減速度の時間に対する変化率が予め定められた下限
    値より大きく、上限値より小さいという条件が満たされ
    たとき、ソフトクラッシュが発生したとすることを特徴
    とするソフトクラッシュ検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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