JP2001037478A - 遺伝子増幅細胞の迅速選択法 - Google Patents

遺伝子増幅細胞の迅速選択法

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JP2001037478A
JP2001037478A JP11217095A JP21709599A JP2001037478A JP 2001037478 A JP2001037478 A JP 2001037478A JP 11217095 A JP11217095 A JP 11217095A JP 21709599 A JP21709599 A JP 21709599A JP 2001037478 A JP2001037478 A JP 2001037478A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】目的蛋白質の比生産速度が最高の細胞の高信頼
性選別のための指標の提供。更に遺伝子増幅により耐性
獲得細胞高頻度、短時間で得るMTX(メソトレキセー
ト)濃度上昇方法及びこれにより得られた細胞群から最
高の目的蛋白質比生産速度を有する細胞の迅速選別方法
及び該方法で選別された細胞の提供。 【解決手段】外来遺伝子導入宿主細胞において、導入外
来遺伝子が2コピー以上に増幅された細胞を、そのコピ
ー数に対応した標識化をして該細胞の発する標識強度を
指標にして高いコピー数の外来遺伝子を持つ細胞を選別
する方法。更に外来遺伝子及びジヒドロ葉酸還元酵素遺
伝子を含有するベクターを用いて形質転換された宿主細
胞の外来遺伝子の増幅を誘導して2コピー以上に増幅さ
れた遺伝子の増幅方法において、該形質転換後の初めて
のMTXを含む培地での培養の際に該培地におけるMT
X濃度が低濃度の外来遺伝子の増幅方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子組換えによ
って外来遺伝子が導入された宿主細胞によって、有用外
来蛋白質を工業的に生産する際に、その生産効率が高い
細胞株を効率良く製造し、かつ効率良くそれを選択する
方法に関する。さらに、本発明は、その方法によって得
られる宿主細胞、及びそれを用いた蛋白質の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子組換えを用いて、糖鎖が付加され
る蛋白質を生産する場合、糖鎖を付加する能力を持つ真
核生物細胞を宿主として用いる必要がある。糖鎖がその
生理機能に重要である糖蛋白質の多くは、糖鎖の有無だ
けでなく、糖鎖の質が重要である。しかし、蛋白質に付
加される糖鎖の質は宿主によって異なる。このため、例
えばヒト由来の糖蛋白質を生産する場合、ヒトに近い質
の糖鎖を付加できる高等動物細胞を宿主に用いる必要が
ある。高等動物細胞は、例えば酵母のような下等真核生
物とは異なり、その細胞増殖が遅く培地も高価であるい
という問題点を有している。これを補うため、高等動物
細胞を宿主に用いる場合は、細胞当たり時間当たりの蛋
白質の生産性、即ち比生産速度を向上させる必要があ
る。
【0003】比生産速度を向上させるには、当該遺伝子
を強力なプロモーターに接続するという方法も提案され
ているが、それだけでなく当該遺伝子のコピー数を増加
させる遺伝子増幅と言う手法が用いられる。遺伝子増幅
は、阻害剤などの薬剤の添加に対して細胞が耐性を獲得
する機構の一つとして、その耐性を担う遺伝子のコピー
数が増加する場合があり、この現象を利用した手法であ
る。動物細胞において遺伝子増幅が起こる場合、薬剤で
選択圧をかけた遺伝子そのものだけでなく、その遺伝子
の近傍に存在する他の遺伝子も同時に増幅されるので、
結果として外来遺伝子も同時に増幅される。例えば、当
該遺伝子とジヒドロ葉酸還元酵素(以下、DHFRとい
う。)遺伝子を有するべクターを宿主動物細胞に導入し
た後、DHFRの拮抗阻害剤であるメソトレキセート
(以下、MTXという。)の存在下で培養すれば、DH
FR遺伝子と共に当該遺伝子のコピー数が増加した細胞
株が取得できることが知られている。
【0004】しかし、この遺伝子増幅は全ての細胞に同
時に起こるのではなく、一部の細胞で様々なタイミング
で起こるため、ある濃度のMTXを含む培地で選択した
細胞は、様々なコピー数の遺伝子を持つ細胞のへテロな
集団となる。従って、目的蛋白質の生産性を最大とする
ためには、この細胞集団の中から、目的蛋白質の比生産
速度が最も高い細胞(即ち、遺伝子のコピー数が最も高
い細胞)をクローニングして株化することが望まれてい
る。さらに、組換え蛋白質を工業生産する場合、とりわ
け医薬品に供するために生産される場合には、厳しい品
質管理が要求されるが、前記したヘテロな細胞集団を用
いて生産すると、品質にバラツキが生じ品質管理が容易
でないため、このクローニング作業が望まれていた。し
かしながら、比生産速度が最も高い細胞(即ち、遺伝子
のコピー数が最も高い細胞)を効率よくクローニングす
るための指標が確立されておらず、形質転換体からのヘ
テロな細胞集団から目的の細胞をクローニングすること
は困難であった。
【0005】ところで、形質転換された宿主細胞をいき
なり高濃度の薬剤にさらせば、遺伝子増幅が起こる前に
全ての細胞が死滅してしまう。このため、遺伝子増幅細
胞を選択する薬剤の濃度は低い濃度から段階的に上昇さ
せなければならないが、低い濃度から緩やかに上昇させ
ることにすると、細胞の選択には時間を要することにな
る。逆に細胞の選択を比較的短時間で行うために、薬剤
の濃度を急激に上昇させれば、全ての細胞が死滅するほ
ど極端でない場合であっても遺伝子増幅以外の機構で耐
性を獲得する細胞の出現頻度が高まる。この場合には薬
剤耐性は獲得することができるが、遺伝子増幅はされて
いないのでその細胞の当該蛋白質比生産速度は低いまま
となるは、より低くなる。例えば、DHFRのMTXに
対する親和性が低下する変異やMTXを取り込みにくく
なる変異が生じた株の目的蛋白質の比生産速度は、遺伝
子増幅によって同じMTX耐性レベルを獲得した株のそ
れに比べて低くなる。
【0006】このような薬剤による選択で得られた細胞
は上記のようにへテロな細胞集団であるため、仮に薬剤
耐性の獲得が一様であったとしても、薬剤耐性の獲得が
遺伝子増幅のみにとるものではないので、目的の蛋白質
の生産性の高い株を選別するためにはクローンを取得し
てそれぞれについて比生産速度の評価をしなければなら
なかった。しかし、当該蛋白質の比生産速度の評価は手
作業であり、クローンの取得には1〜2ヶ月もの時間を
要していた。以上のことから、当該遺伝子が増幅した細
胞を効率良く迅速に選別する手法が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、遺伝子
組換えによって外来遺伝子により形質転換された細胞の
中から、目的の蛋白質の比生産速度が最も高い細胞(即
ち、遺伝子のコピー数が最も高い細胞)を効率よくクロ
ーニングするための方法を確立すること望まれており、
本発明は目的の蛋白質の比生産速度が最も高い細胞を選
別するための指標を提供するものである。また、本発明
は、遺伝子増幅によって耐性を獲得する細胞を高頻度か
つ短時間で得るMTX濃度上昇方法、及び、これによっ
て得られた細胞群から最も高い目的蛋白質比生産速度を
有する細胞を迅速に選別する方法、及び当該方法で選別
された細胞を提供するものである。
【0008】ところで、外来遺伝子により形質転換され
た細胞の中から、目的の蛋白質の比生産速度が最も高い
細胞(即ち、遺伝子のコピー数が最も高い細胞)を効率
よくクローニングするための方法を確立するためには、
当該外来遺伝子のコピー数に対応する指標を確立するこ
とが重要であると考えられる。そして、当該外来遺伝子
は薬剤耐性に伴って増幅する遺伝子と共に増幅するので
あるから、薬剤耐性に伴って増幅する遺伝子との対応関
係を高信頼性で担保することができれば、薬剤耐性に伴
って増幅する遺伝子のコピー数を当該外来遺伝子のコピ
ー数の指標とすることができる。さらに、薬剤耐性に伴
って増幅する遺伝子のコピー数を標識化することが可能
であれば、これを「標識化が可能な遺伝子」とすること
もできることになる。しかしながら、前述してきたよう
に外来遺伝子と薬剤耐性に伴って増幅する遺伝子との対
応関係を高信頼性で担保することが大きな問題であっ
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、外来遺伝
子と薬剤耐性に伴って増幅する遺伝子との対応関係を高
信頼性で担保することができる方法について鋭意研究し
てきた結果、形質転換細胞の薬剤選択において、最初の
選択の薬剤濃度を低く設定することによって、遺伝子増
幅以外の機構で耐性を獲得する細胞の出現頻度を抑えら
れること、及び、このようにして選択したへテロな細胞
集団について、蛍光標識した薬剤を細胞に取り込ませ、
発する蛍光強度が高い細胞をフローサイトメーターで選
別することによって、当該遺伝子が増幅された細胞を迅
速に選択できることを見いだした。
【0010】本発明は、遺伝子組換えによって外来遺伝
子が導入された宿主細胞において、導入した外来遺伝子
が2コピー以上に増幅された細胞を、外来遺伝子のコピ
ー数に対応した標識化をして、標識化された細胞の発す
る標識の強度を指標にして高いコピー数の外来遺伝子を
持つ細胞を選別する方法に関する。また、本発明は、外
来遺伝子及びジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子
を含有するベクターを用いて形質転換された宿主細胞の
外来遺伝子の増幅を誘導して外来遺伝子が2コピー以上
に増幅された遺伝子の増幅方法において、当該形質転換
後の初めてのメソトレキセート(MTX)を含む培地で
の培養の際に、当該培地におけるメソトレキセート(M
TX)濃度が低濃度であることを特徴とする外来遺伝子
の増幅方法に関する。
【0011】さらに、本発明は、前記した外来遺伝子の
増幅方法により外来遺伝子が増幅された宿主細胞を、外
来遺伝子のコピー数に対応した標識化をして、標識化さ
れた細胞の発する標識の強度を指標にして高いコピー数
の外来遺伝子を持つ細胞を選別する方法に関する。ま
た、本発明はこれらの方法により得られる高いコピー数
の外来遺伝子を持つ宿主細胞に関する。そして、これら
の宿主細胞は、高いコピー数の外来遺伝子を持っている
ので、本発明はこれらの宿主細胞を培養して外来遺伝子
がコードする蛋白質又は糖蛋白質を効率よく製造する方
法に関する。さらに、本発明は、遺伝子組換えによって
外来遺伝子が導入された宿主細胞における導入した外来
遺伝子を増幅する方法において、外来遺伝子が増幅され
目的の蛋白質の比生産速度の高い宿主細胞であること
を、染色体のテロメア近傍において増幅が行われている
ことを指標とする外来遺伝子を増幅する方法に関する。
【0012】本発明者らは、外来遺伝子と薬剤耐性に伴
って増幅する遺伝子との対応関係を高信頼性で担保でき
るかという問題を研究してきたところ、形質転換された
細胞を比較的に低い薬剤濃度から徐々に高い濃度にして
培養することにより、高頻度でかつ高信頼性でこの問題
を解決できることを見出した。また、目的の蛋白質の比
生産速度の高い宿主細胞は、染色体のテロメア近傍にお
いて増幅が行われていることを見出した。
【0013】本発明の方法を、例えば、薬剤耐性に関す
るものとしてジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を例に
してより具体的に説明する。DHFRは、核酸の生合成
に必須であり、DHFR遺伝子を欠損する細胞は核酸を
含まない培地で生育できない。DHFR遺伝子を欠損す
る細胞に遺伝子組換え技術によりDHFR遺伝子を導入
すると、形質転換により核酸要求性が回復した形質転換
体を容易に選択することができるようになる。しかし、
メソトレキセート(MTX)という薬剤は、生体内にお
いてDHFRの作用を阻害するので、DHFR遺伝子が
導入された形質転換体においても、MTX存在下ではM
TX耐性を獲得しないと生存することはできなくなる。
【0014】さらに具体的には、DHFR遺伝子を有す
る適当な発現べクターに発現させたい蛋白質の外来遺伝
子を挿入し、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞
(以下CHO細胞)などの宿主細胞にこのべクターをエ
レクトロポレーション法、リン酸カルシウム法などの適
当な方法を用いて導入して形質転換する。使用される宿
主細胞は、例えばCHO DG44株のように、DHF
R遺伝子が欠損しているものが好ましい。しかし、DH
FR欠損株が利用できない場合であっても、用いるべク
ターに例えばG−418などの薬剤に対する耐性遺伝子
を更に挿入しておくことによって、薬剤耐性を指標に形
質転換体を選択することもできる。
【0015】例えば、外来遺伝子としてヒト顆粒球マク
ロファージコロニー刺激因子(hGM−CSF)遺伝子
を、DHFR遺伝子を持つ発現べクターに挿入し、DH
FR遺伝子を欠損したチャイニーズハムスター卵巣(C
HO)細胞DG44株に導入し、IMDM培地(核酸含
有)に10%牛胎児血清を添加した培地で培養して形質
転換体を得た。次いで、形質転換細胞をIMDM培地
(核酸不含)、10%透析牛胎児血清を添加した培地
で、形質転換体のみを選択した。得られた形質転換体を
図1に示すように、最初に50nM、100nMのMT
Xを含み、核酸を含まないIMDM培地を用いて、初発
細胞数が1×10cells/mlをその10から1
00倍程度に増加するまで培養した。その後、図1に示
すように、MTX濃度を穏やかに上昇させる系列から急
激に上昇させる系列からなる1から5の5系列で、最終
濃度1000nMまででMTXの濃度上昇試験を行っ
た。
【0016】それぞれの系列(パターン)における比増
殖速度μ(h−1)特許比生産速度ρ(10−16g−
hGM−CSF・cell・h−1)を測定した結果を
図2に示す。図2における黒丸印(●)は系列1(パタ
ーン1)の場合を示し、黒上三角印(▲)は系列2(パ
ターン2)の場合を示し、黒四角印(■)は系列3(パ
ターン3)の場合を示し、黒下三角印(▼)は系列4
(パターン4)の場合を示し、黒菱形印(◆)は系列5
(パターン5)の場合を示す。系列1〜3はMTXの濃
度を穏やかに上昇させたものであり、この場合のものは
MTXの濃度を急激に上昇させた系列4及び5のものに
比べて比生産速度の高い細胞が得られることがわかっ
た。
【0017】さらに、本発明者らは、これらの各系列の
各ステップにおける遺伝子増幅領域分布の解析を行っ
た。その結果を図3に示す。図3の黒部分は増幅された
遺伝子がテロメア近傍に位置しているもの(以下、テロ
メアタイプという。)を示し、灰色部分は増幅された遺
伝子がテロメア近傍以外の領域にに位置しているもの
(以下、他のタイプという。)を示し、白色部分は増幅
された遺伝子が遺伝子中に見出せないもの(以下、シグ
ナル無しタイプという。)を示している。この結果、最
初のステップでMTXの濃度を50nMとしたグループ
(系列1〜3)では、テロメアタイプが約70%とな
り、シグナル無しタイプがほとんど消失してゆくのに対
して、最初のステップでMTXの濃度が100nMとし
たグループ(系列4及び5)では、テロメアタイプが約
40%程度で他のタイプもほぼ同程度となり、シグナル
無しタイプも約20%残されることがわかった。
【0018】また、最初のステップでMTXの濃度を5
0nMとしたグループ(系列1〜3)では、その後のM
TXの濃度上昇に余り関係無く増幅遺伝子の領域分布が
決定されるのに対して、最初のステップでMTXの濃度
を100nMとしたグループ(系列4及び5)では、M
TXの濃度上昇のパターンによりテロメアタイプと他の
タイプの割合が変化することもわかった。
【0019】シグナル無しタイプの細胞は、遺伝子増幅
が行われていないか、又は検出不可能な程度しか遺伝子
増幅が行われていない細胞であると考えられる。テロメ
アタイプの細胞と他のタイプの細胞について、両者の相
違を検討した。パターン1とパターン4におけるMTX
濃度上昇試験によって得られたテロメアタイプのクロー
ン細胞16個と他のタイプのクローン細胞11個を用い
て、これらの細胞の1000nMMTX存在下における
比増殖速度と比生産速度を測定した。結果を次の表1に
示す。
【0020】
【表1】 この結果より、テロメアタイプのクローン細胞は、他の
タイプのクローン細胞に比べて比増殖速度は約1.5倍
であり、比生産速度も約6倍大きいことがわかった。ま
た、テロメアタイプと他のタイプのクローン細胞を1株
づつ取り出して、DHFR遺伝子とhGM−CSF遺伝
子のコピー数を解析した結果を表2に示す。
【0021】
【表2】 これらの結果から、テロメアタイプの細胞はDHFR遺
伝子も蛋白質をコードする遺伝子も十分に増幅されてい
るが、他のタイプの細胞は十分な増幅が行われていない
にも拘わらず、MTX耐性を獲得していることから薬剤
耐性は遺伝子増幅以外の機構で獲得したものと考えられ
る。したがって、他のタイプの細胞は、テロメアタイプ
の細胞に比べてシグナル強度が非常に低いにもかかわら
ず、同程度のMTX耐性を獲得しており、プラスミドが
染色体に組み込まれたものの、遺伝子増幅以外の機構で
MTX耐性を得ている細胞と考えられる。そして、いず
れの系統(パターン)による培養においても最終的には
シグナル無しタイプの細胞はほとんど無くなるものの、
遺伝子増幅操作の初期段階でMTX濃度を低く抑えた場
合には、テロメアタイプの細胞が多く得られるのに対し
て、MTX濃度を高くした場合には、他のタイプの細胞
が多数混入することがわかった。
【0022】これらの結果から、遺伝子増幅において
は、培養段階の途中のMTX濃度の上昇のさせかたより
も、最初に遺伝子が組み込まれる染色体位置が重要であ
ることは判明した。そして、最初に遺伝子が組み込まれ
る染色体の位置は、最初の培養における薬剤の濃度に依
存していることが判明した。
【0023】即ち、形質転換された細胞をMTXを含む
培地で培養すれば、DHFR遺伝子及び目的蛋白質の遺
伝子が増幅されるが、初めて添加するMTXの濃度が5
0nMより高ければ、DHFR遺伝子の増幅以外の機構
でMTX耐性を獲得する細胞の割合が増加し、また、D
HFR遺伝子の増幅によってMTX耐性を獲得した細胞
であっても、その遺伝的な安定性が低い、即ち、非選択
培地(核酸不含)で培養した場合に増幅遺伝子が容易に
脱落する細胞株の割合が増加してしまう。これは、遺伝
子増幅の際にはDHFR遺伝子のコピー数が一気に増加
するのではなく、細胞周期を重ねるうち次第に増加する
ため、初めて添加するMTXの濃度が高い場合には、遺
伝子増幅以外の耐性獲得機構、例えば、DHFR遺伝子
が変異してDHFR蛋白質のMTXに対する親和性が低
下する、あるいは、MTXを細胞内に取り込みにくくな
るような変異が起こるなどの現象によってMTXに対す
る耐性を獲得した株が、耐性獲得のために長い時間を必
要とする遺伝子増幅細胞に比べ、優先的に生育するため
であると考えられる。しかしながら、染色体中のコピー
数が少ないため、高い耐性の割に、組換え蛋白質の生産
性は低い(表1及び2参照)。
【0024】遺伝子増幅によってMTX耐性を獲得する
細胞が生育できるようにするためには、初めて添加する
MTXの濃度を低く設定することが重要であり、これに
よってDHFR遺伝子が、一旦ある程度のコピー数にま
で増加すれば、その後はMTXの濃度を一気に10倍程
度上げても遺伝子増幅による耐性獲得が可能であるた
め、遺伝子増幅以外の機構でMTX耐性を獲得する株が
優先的に生育する頻度は極めて低くなる。
【0025】上記の方法で侍られた遺伝子増幅細胞に
は、最終的に培地に添加したMTXに対してぎりぎりの
耐性を与えるコピー数のDHFR遺伝子を持つ株、余裕
ある耐性を与える更に高いコピー数のDHFR遺伝子を
持つ株が含まれ、更に、低頻度ではあるが、遺伝子増幅
以外の機構でMTX耐性を獲得した株が含まれている。
従来は、このような細胞群からクローンを単離し、それ
ぞれについて目的蛋白質の比生産速度を評価していた。
しかし、目的蛋白質の比生産速度が高い株は目的蛋白質
遺伝子のコピー数も高く、このような細胞はDHFR遺
伝子のコピー数も高く、即ち、細胞内のDHFRの量も
多いことも明らかとなった。従って、DHFRに特異的
に結合する蛍光物質、例えばフルオレセイン標識したM
TX(F−MTX)で細胞内DHFRを蛍光標識し、個
々の細胞が発する蛍光強度を指標にして高い蛍光強度を
持つ細胞を選別すれば、目的蛋白質の比生産速度が高い
株を得ることができることになる。
【0026】そこで、遺伝子増幅した細胞及びそれ以外
のクローン細胞を用いて、DHFR活性や組換え蛋白質
の生産性と、蛍光標識したMTXの蛍光強度の相関につ
いて検討を行った。前記のMTX濃度上昇試験における
パターン1とパターン4から得られたテロメアタイプの
クローン細胞6個と他のタイプのクローン細胞7個につ
いて、DHFR活性とF−MTX平均蛍光強度との関係
を解析した。結果を図4に示す。図4から分かるよう
に、テロメアタイプの遺伝子が増幅されたクローン細胞
(●)のF−MTX平均蛍光強度は、他のタイプのクロ
ーン細胞(▲)よりも高い値を示し、蛍光強度とDHF
R活性の間には、直線関係が得られることが確認され
た。
【0027】また、DHFR高生産細胞株が目的蛋白質
高生産株であることを確認するために、F−MTX平均
蛍光強度と比生産遠度の関係を解析した。その結果を図
5に示し、両タイプクローン細胞における平均蛍光強度
および非生産速度の平均値を表3に示す。
【0028】
【表3】 図5から分かるように、テロメアタイプのクローン細胞
(●)と他のタイプのクローン細胞(▲)とは、それぞ
れことなる相関があることが確認された。
【0029】以上の結果から、比生産速度とF−MTX
蛍光強度の間にも相関関係があることが明らかとなっ
た。そして、遺伝子が増幅されたテロメアタイプの細胞
は、明らかにその他の耐性細胞と比較して高い蛍光強度
を有しているため、これらの細胞をフローサイトメトリ
によって選別することが可能となる。例えば、高い蛍光
強度を持つ細胞を選別するには、短時間で膨大な数の細
胞を選別可能な、図6に示すようなフローサイトメトリ
(セルソーター)を用いて選別することができる。ま
た、マイクロマニピュレーターを装備した蛍光顕微鏡を
用いて高い蛍光強度を持つ細胞を採取しても良いし、光
ピンセット機能を持つ共焦点レーザー顕微鏡を用いて選
別することもできる。
【0030】以上のように本発明の方法によれば、薬剤
選択の最初に加えるMTX濃度を低く押さえ、遺伝子増
幅した細胞のみを選択的に効率よく出現させ、様々な細
胞が存在する細胞群から、遺伝子増幅によって高頻度に
染色体中のコピー数を増加した細胞を、迅速かつ膨大な
数の細胞について選択を行えるフローサイトメトリなど
をを用いることによって、高い比生産速度を有する遺伝
子増幅細胞を従来のクローニングによる選択法に比べ迅
速かつ簡便に取得することが可能となった。
【0031】即ち、本発明は、目的の外来遺伝子と標識
化が可能な遺伝子との増幅において、標識化が可能な遺
伝子を増幅する条件下において、両遺伝子の増幅を一定
の相関を持って増幅することができるという新規な技術
的思想を提供するものであり、係る本発明の技術的思想
を具現化する手段は、使用する遺伝子や宿主細胞などの
特性に応じて当業者が適宜実験的に設定することがで
き、本発明はこれらの具体的な手段にかかわらず本発明
の前記した技術的思想に基づくものは全て包含してい
る。そして、前記した本発明の技術的思想に基づいて遺
伝子が増幅された細胞は、目的の外来遺伝子と標識化が
可能な遺伝子とが高信頼性で相関を保っていることか
ら、迅速かつ簡便な手段により遺伝子のコピー数に応じ
た細胞の選別をすることができるものであり、本発明は
当該選別方法を包含するものでもある。次に本発明の実
施の形態を例示するが、本発明はこれらの例示に限定さ
れるものではない。
【0032】本発明における薬剤選択の最初に加える薬
剤の濃度としては、テロメアタイプの遺伝子導入細胞が
選択的に出現する濃度であればよく、例えば薬剤がMT
Xの場合では50nM以下、好ましくは1〜50nM、
より好ましくは10〜50nMである。本発明における
「標識化が可能な遺伝子」としては、薬剤耐性などによ
り増幅が可能な遺伝子であって、蛍光又は放射性同位元
素などにより標識化でき得る遺伝子であればよい。DH
FR遺伝子が本発明の好ましい例であるが、この遺伝子
に限定されるものではない。本発明の外来遺伝子として
は、有用な蛋白質(糖蛋白質などの蛋白質誘導体を含
む。)を製造することができる遺伝子であって前記した
「標識化が可能な遺伝子」と共に増幅することができる
ものであればよい。好ましくは、hGM−CSF、EP
O、t−PAなどの生理活性蛋白質をコードする遺伝子
を例示することができる。
【0033】本発明における「コピー数に対応した標識
化」としては、蛍光標識や放射性同位元素などによる標
識を例示することができるが、これらに限定されるもの
ではなく、遺伝子の数を定量化できる手段であれば標識
物質を使用しない機器分析手段のようなようなものであ
ってもよい。本発明の宿主細胞としては、遺伝子導入が
可能であればよいが、真核細胞のみならず原核細胞であ
ってもよいが、動物細胞のような真核細胞が好ましい。
宿主細胞を形質転換するためのベクターとしては、発現
ベクターが好ましいがこれに限定されるものではない。
【0034】また、本発明は前記した本発明の遺伝子増
幅方法又は選別方法により、遺伝子が増幅された細胞及
び選別された細胞を包含するものである。本発明の細胞
は、目的の外来遺伝子が多数コピーされたものであり、
当該コピー数としては好ましくは10コピー以上、より
好ましくは50コピー以上であり、100コピー以上で
あってもよい。また、本発明の細胞の特徴は細胞群中の
細胞の均質性が優れている点が挙げられ、コピー数の高
い細胞、より好ましくはコピー数の均一な細胞が高確率
で細胞群中に存在していることである。さらに、本発明
は前記した本発明の細胞を使用して効率よく目的の蛋白
質(糖蛋白質などの蛋白質誘導体を含む。)を製造する
方法を提供するものである。前記したように本発明の細
胞はコピー数の均一な細胞を主としているために、品質
のむらが少ない蛋白質を効率的に製造することができ
る。
【0035】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0036】実施例1(形質転換体の製造) SV40アリープロモーター及びマウスのdhfr遺伝
子を有するプラスミドpSV2−dhfr(ATCC
No.37146)と、SV40アリープロモーター及
びhGM−CSF遺伝子を有するプラスミドpCD−h
GM−CSF(ATCC No.57594)とから、
図7に示すプラスミドを構築した。構築されたプラスミ
ドをCHO DG44株に導入し、形質転換された細胞
をイスコフ培地(核酸+)で1〜2日間培養した後、イ
スコフ培地(核酸−)に1×10細胞/mlの濃度で
接種して、培地交換を4日ごとに行い、コロニーが形成
されるまで培養を続けた。
【0037】実施例2(形質転換体のMTX存在下での
培養) 実施例1で選択した細胞の遺伝子の増幅を所定のMTX
を含むイスコフ培地(核酸−)に、細胞を1×10
(cells/ml)の濃度で接種することによって
行った。細胞がコンフルエントになった時、耐性を獲得
したものとみなし、MTX濃度をさらに上昇させた。M
TX濃度の上限を1000nMとし、緩やかに上昇させ
る系から急激に上昇させる系まで、図1に示すように5
系列の上昇条件を設定した。また、この実験において
は、これらのMTX濃度上昇条件によって生じるいろい
ろな性質を有する細胞を集団として選択するために、濃
度上昇各ステッフにおけるクローニング操作は一切行わ
ず、細胞集団がどの様な挙動を示すかを解析した。
【0038】実施例3(細胞のクローニング) 96穴マイクロプレートそれぞれに細胞を1個ずつとな
るよう接種した(全量200μL)。1個の細胞からの
コロニーであることを確認し、古い培地をベンチメイト
で吸引して捨てた後、0.25%トリブシン溶液100
μLを加え、37℃で10分間インキュベートした。細
胞がはがれて丸くなったら、新しい培地100μLを加
えてよくビベッティングして、24穴マイクロプレート
に継代した(全量2mL)。コンフルエント後、古い培
地をベンチメイトで吸引して捨て、0.25%トリプシ
ン溶液1mLを加え、37℃で10分間インキュベート
した。さらに、細胞がはがれて丸くなったら、新しい培
地1mLを加えてよくピベッティングして、継代(全量
10mL)てクローンを得た。
【0039】実施例4(hGM−CSF濃度の測定(E
LISA法)) 培養上清中のhGM−CsF濃度をELISA法により
測定した。ヒツジ抗hGM−CSF抗体(Endoge
n P−521)1mg/PBSからなる固層抗体50
μLを0.05Mリン酸緩衝液10mLに希釈し、96
穴プレート(greinerイミュロン600)に各ウェル1
00μLずつ分注し、4℃で一夜インキュベートした。
ELISA洗浄液で3回洗浄した後、ブロッキング溶液
(プレート1枚あたり約70mL)を各ウェルにいっぱ
いになる様に分注し、37℃で2時間インキュベートし
た。ELISA洗浄液で3回洗浄した後、酵母由来hG
M−CSF(Genzyme RH-CSF-C)1μg/PBS標準サ
ンプルと適当な濃度に希釈した培養上澄みサンプルを、
各ウェルに100μLずつ分注し、37℃で2時間イン
キュベートした。ELISA洗浄液で3回洗浄した後、
ウサギ抗hGM−CSF抗体(GenzumeLP-174)1mg
/PBS1mLからなる一次抗体20μLをPBS10
mLに希釈したものを各ウェルに100μLずつ分注
し、37℃で2時間インキュベートした。ELISA洗
浄液で3回洗浄した後、アルカリホスファターゼ標識抗
ウサギIgG(BIOSOURCE社 65OO)からなる二次抗体2
μLを希釈液10mLで希釈し、各ウェルに100μL
ずつ分注し37℃で2時間インキュベートした。ELI
SA洗浄液で5回洗浄した後、基質(p−ニトロフェニ
ル ホスフェート(Sigma N-9389)4錠を酵素反応基質
溶液20mLに希釈し、各ウェルに5秒おきに200μ
Lずつ分注し、37℃で1時間インキュベートした。反
応停止液を各ウェルに5秒おきに100μLずつ分注
し、マイクロプレートリーダー(東ソー MPR−A
4)でA405の測定を行った。
【0040】実施例5(遺伝子増幅領域の解析) 目的の遺伝子が染色体上のどの領域に存在するかを、蛍
光 in situハイブリダイゼーシヨン(FISH)法によ
って解析した。T−フラスコ中の細胞が80〜90%程
度のコンフルエントの状態になった時、古い培地をピペ
ットで吸引して捨て、新しい培地30mLを加えた。次
いで、コルセミド溶液60μLを加え、4〜5時間イン
キュベートした。シェイクオフ(Shake-off)法によ
り、M期の細胞を浮遊させ、95×gで10分間遠心分
離した後、上清を捨て、75mMKCl 1.5mLに
懸濁して、室温で20分間細胞を膨張させた。これに固
定液を加えて、遠心分離し上清を捨てる操作を繰り返
し、核膜を破壊した後、位相差顕微鏡で観察して、核の
まわりに残さが残っていないことを確認した。得られた
標本にプローブ反応液8μL(スライド1枚当たり)とサ
ケ精子DNA溶液8μLを混合し、エタノール沈殿させ
た。これに、精製したブローフにホルムアミド6.5μ
L(スライド1枚当たり)を加えて、さらに、20%デキ
ストラン硫酸溶液6.5μL(スライド1枚当たり)を加
えた後、80℃で変性し、エタノールを加えてインキュ
ベートした。これにTNBブロッキング溶液、FTスト
ック溶液及びDAPI溶液を加えてスライドガラスにの
せて、蛍光を蛍光顕微鏡で観察した。
【0041】実施例6(コピー数の定量) 細胞内のDNAは、RapidPrepTM Micro Genomic DNA
Isolation Kit(Pharmacia Biotech 27-5225-01)を用い
て抽出した。プローブに用いるためのDNAは、細胞に
導入したブラスミドであるpSV2−dhfr/hGM
−CSF中のdhfr遺伝子のみをPrep-A-Gene DNA pu
rification Kit(Bio-rad 732-6009)を用いて回収したも
のを使用した。コピー数の定量は、DIG-DNA Labeling a
nd Detection Kit(Boehringer Mannheim 1093657)を用
いて、ドットブロッティング(DotBlotting)法によっ
て行った。
【0042】実施例7(DHFR活性の測定) 1×10個の細胞を500μLのPBSに懸濁し、超
音波により細胞を破砕した後、遠心分離し、上清を粗酵
素液とした。これに、ジヒドロ葉酸100μL、MTX
ストック溶液、NADPH溶液10μLなどを加えて、
分光光度計により、340nmの吸光度を測定した。
【0043】実施例8(DHFR量の測定と細胞の選
別) MTXを含まない培地(核酸−)で細胞を培養して、D
HFRに結合しているMTXを完全に流出させる。5×
10個の細胞を取り、これにFITC標識したMTX
(F−MTX)溶液200μL、イスコフ培地(核酸
+)2.5mLを加えてインキュベートした。次いでイ
スコフ培地(核酸−)を用いて洗浄、インキュベートし
て余分のF−MTXを流出させた。トリプシン処理をし
た後、遠心分離して上清を捨て、PBS1mLに懸濁し
た。これをフローサイトメーター(COULTER;EPICSELIT
E)を用いて励起波長488nmでDHFR量を測定し
た。同様な方法で、蛍光強度に応じて細胞を分離した。
【0044】
【発明の効果】本発明は、目的の外来遺伝子のコピー数
の多い宿主細胞を簡便でかつ高信頼性で選別氏得る方法
を提供するものである。本発明の方法によれば、目的の
外来遺伝子のコピー数が均一な宿主細胞を選択的に選別
することができるので、遺伝子組換え手段による生理活
性蛋白質などの蛋白質の製造において、その生産性を質
的又は量的に改善することができる。また、本発明の方
法は薬剤耐性などによる外来遺伝子の増幅される染色体
上の領域を明らかにするものであり、外来遺伝子の増幅
のされかたの指標を提供するものであり、外来遺伝子の
増幅方法に広く応用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、MTX濃度の上昇試験における濃度の
上昇条件を示したものである。
【図2】図2は、MTX濃度の上昇条件と比生産速度の
関係を示したものである。図中の黒丸(●)は上昇試験
のパターン1の場合を示し、黒上三角(▲)は上昇試験
のパターン2の場合を示し、黒四角(■)は上昇試験の
パターン3の場合を示し、黒下三角(▼)は上昇試験の
パターン4の場合を示し、黒菱形(◆)は上昇試験のパ
ターン5の場合を示す。
【図3】図3は、MTX濃度の各上昇条件における遺伝
子増幅領域の分布を示す。図中の黒色部分はテロメアタ
イプを示し、灰色部分は他のタイプを示し、白色部分は
シグナル無しタイプを示す。
【図4】図4は、F−MTX平均蛍光強度とDHFR活
性の関係を示す。図中の黒丸(●)はテロメアタイプを
示し、黒三角(▲)は他のタイプを示し、左端の黒丸は
元の宿主細胞を示す。
【図5】図5は、F−MTX平均蛍光強度と比生産速度
(ρ)の関係を示す。図中の黒丸(●)はテロメアタイ
プを示し、黒三角(▲)は他のタイプを示し、左端の黒
丸は元の宿主細胞を示す。
【図6】図6は、フローサイトメーターの模式図を示
す。
【図7】図7は、形質転換に用いたプラスミドを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 BA08 BA30 CA02 CA09 DA02 EA04 GA11 GA18 GA27 HA13 HA14 4B050 CC03 LL03 LL05 4B063 QA01 QA05 QA20 QQ05 QQ08 QQ22 QQ44 QQ53 QQ79 QR42 QR56 QR67 QS34 QS38 QS39 QX02 4B065 AA90X AA94Y AA99Y AB01 AC14 BA01 BA02 BA25 BA30 BB01 BC01 BD50 CA24 CA28 CA44 CA46

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遺伝子組換えによって外来遺伝子が導入
    された宿主細胞において、導入した外来遺伝子が2コピ
    ー以上に増幅された細胞を、外来遺伝子のコピー数に対
    応した標識化をして、標識化された細胞の発する標識の
    強度を指標にして高いコピー数の外来遺伝子を持つ細胞
    を選別する方法。
  2. 【請求項2】 コピー数に対応した標識化が、その蛍光
    強度が増加する蛍光染色法であり、標識の強度が蛍光強
    度である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 外来遺伝子のコピー数に対応した標識化
    が可能な遺伝子を有する請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 遺伝子組換えによって外来遺伝子が導入
    された宿主細胞が、外来遺伝子及び標識化が可能な遺伝
    子を有するベクターで形質転換された宿主細胞である請
    求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 標識化が可能な遺伝子が、ジヒドロ葉酸
    還元酵素(DHFR)遺伝子である請求項3又は4に記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 宿主細胞が、動物細胞である請求項1〜
    5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 標識化された細胞の発する標識の強度を
    指標にして高いコピー数の外来遺伝子を持つ細胞を選別
    する方法が、セルソーターによる選別である請求項1〜
    6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 外来遺伝子及びジヒドロ葉酸還元酵素
    (DHFR)遺伝子を含有するベクターを用いて形質転
    換された宿主細胞の外来遺伝子の増幅を誘導して外来遺
    伝子が2コピー以上に増幅された遺伝子の増幅方法にお
    いて、当該形質転換後の初めてのメソトレキセート(M
    TX)を含む培地での培養の際に、当該培地におけるメ
    ソトレキセート(MTX)濃度が低濃度であることを特
    徴とする外来遺伝子の増幅方法。
  9. 【請求項9】 初めてのメソトレキセート(MTX)を
    含む培地におけるメソトレキセート(MTX)濃度が、
    50nM以下である請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 請求項8〜9のいずれかに記載の方法
    により外来遺伝子が増幅された宿主細胞を、請求項1〜
    7のいずれかに記載の外来遺伝子のコピー数に対応した
    標識化をして、標識化された細胞の発する標識の強度を
    指標にして高いコピー数の外来遺伝子を持つ細胞を選別
    する方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜7のいずれかに記載の選別
    する方法によって選別された高いコピー数の外来遺伝子
    を持つ宿主細胞。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の選別する方法によ
    って選別された高いコピー数の外来遺伝子を持つ宿主細
    胞。
  13. 【請求項13】 請求項8〜9のいずれかに記載の方法
    により外来遺伝子が増幅された宿主細胞。
  14. 【請求項14】 請求項11〜13のいずれかに記載の
    高いコピー数の外来遺伝子を持つ宿主細胞を培養して外
    来遺伝子がコードする蛋白質又は糖蛋白質を製造する方
    法。
  15. 【請求項15】 遺伝子組換えによって外来遺伝子が導
    入された宿主細胞における導入した外来遺伝子を増幅す
    る方法において、外来遺伝子が増幅され目的の蛋白質の
    比生産速度の高い宿主細胞であることを、染色体のテロ
    メア近傍において増幅が行われていることを指標とする
    外来遺伝子を増幅する方法。
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