JP2001037117A - ブラシレスdcモータ - Google Patents

ブラシレスdcモータ

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JP2001037117A JP11234476A JP23447699A JP2001037117A JP 2001037117 A JP2001037117 A JP 2001037117A JP 11234476 A JP11234476 A JP 11234476A JP 23447699 A JP23447699 A JP 23447699A JP 2001037117 A JP2001037117 A JP 2001037117A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブラシレスDCモータのロータ表面磁束分布
を低負荷から高負荷ま正弦波状に保ち、高効率で、且
つ、低振動のブラシレスDCモータを実現する。 【解決手段】 ロータコアにスリットを施し、該スリッ
トに永久磁石を配して界磁極を形成するブラシレスモー
タにおいて、該スリット形状を円弧状にロータの外周に
沿って湾曲させ、且つ、配置がロータの界磁極間側でロ
ータ外周寄りであって界磁極中心側でロータ内周寄りと
なるよう施し、該スリットに永久磁石を配することで、
当該ロータの外周表面での磁束を正弦波状に分布させて
実現するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブラシレスDCモー
タに関し、特に、ロータ内に永久磁石を配する構造のブ
ラシレスDCモータの特性向上と低音、低振動化に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ロータ内にスリットを施し、これに永久
磁石を配するものは通常永久磁石埋め込み型ロータと呼
ばれ広い分野で数多く使用されている。従来のブラシレ
スDCモータにおけるロータ構造の一例を図4及び図5
に示す。
【0003】図4はロータの外周に沿って施されたスリ
ットに永久磁石が配されたものである。図5はロータの
外周に対して弦をなすように施されたスリットに永久磁
石が配されたものである。図4、図5において、1及び
4はスリット、2及び5は永久磁石、3及び6はロータ
のコアを示す。図4においては永久磁石2はロータ径方
向に磁気的にラジアル配向のものが使用されロータの極
毎において外周表面磁束はほぼ均一になっている。
【0004】図5においては永久磁石5は極毎に径方向
に磁気的に平行配向された平板が一般的に使用される。
このタイプでは、永久磁石とロータ表面間に介在する図
4と比較してロータ径方向に厚い磁性材であるコアによ
って、通常の永久磁石トルク以外にリラクタンストルク
を作用させてモータのトルクを向上させることが出来る
ようになされているが、永久磁石の磁束は図4の場合と
同様に、ロータの表面磁束は永久磁石の発する磁束が永
久磁石とロータ表面間に介在する磁性材であるコアで分
散してほぼ均一になっている。
【0005】永久磁石の配される位置がロータの内径側
になればなるほど、即ちモータとしてリラクタンストル
クをより有効的に利用しようとすればするほど永久磁石
とロータ表面間に介在する磁性材であるコアの径方向が
広くなるため、磁束の分散は容易になり、ロータ表面で
の磁束分布は更に均一に成り易くなる。図6と図7に永
久磁石の発する磁束の分散する様子を示す。其々の図中
の同一記号は図4及び図5と同一部分を表す。
【0006】ここで、この様なロータと組み合わされて
構成されるモータのステータとロータの対向部分につい
て図8に示す。この図はステータのロータと対向する面
で円周方向に展開して図示したものである。図8におい
て、ロータ部は図6のタイプで示し同一記号は同一部分
を示す。7はステータで、通常良く使用される12スロ
ットのものを示す。S1〜S12はステータ7のスロッ
ト番号を示しており、本例では12スロットであるので
S12まで順に並びS1に戻る。該スロットにはU・V
・Wの相巻線が省略巻で4極構成となるよう施されてい
る。本図において、ロータが右回転で回転するものとす
るとロータコア3からステータ7へと流れる永久磁石の
磁束は左から右へと移動する。
【0007】今、ロータが一定速で回転している状態で
は、ロータからステータへ流れる磁束は均一であるの
で、それぞれの相巻線に鎖交する磁束量Φの変化は図8
の状態を時間起点(t0)とすると例えばU相巻線につ
いてみてみれば図9の上段に示すような波形となり、こ
の時の該U相巻線に発生する誘起電圧Vsは理論的には
同図9の下段に示す波形となる。
【0008】従って、この図から容易に判断出来るよう
に極めて高次に至るまでの高調波成分を含んだ誘起電圧
波形である。この様なモータでは相の誘起電圧の位相に
合わせて電流の方向を急峻に変更して通電をおこなわな
くてはならず、わずかなタイミングのずれでも大きな逆
トルクが発生することになり,騒音や振動が発生した
り、最悪はモータとしての使用を逸脱してしまうと言っ
た危険がある。この事は、該モータを制御し駆動しよう
とする装置に対して極めて繊細且つ高速の制御性を要求
することになり、実用に値しない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のこの種のモータ
においては、低振動であって、該モータを駆動しようと
する外部の制御装置の制御に対して複雑な手法を使用せ
ずとも制御性を維持させようとする場合、ステータの巻
線に発生する誘起電圧を極力正弦波状にすることが望ま
れることは周知の事実である。
【0010】しかし、前述の従来例のようにロータの表
面磁束が極内においてほぼ均一である場合、ロータの回
転によってステータの巻線に鎖交する磁束の変化は一定
となるので、相巻線毎の誘起電圧を正弦波状にするには
該相巻線の分布を正弦波状にする必要があり、このため
のステータ巻線構成は複雑に成らざるを得なかった。
又、ステータの構造そのものもこれに対応するには、よ
り多スロットにして相巻線の正弦波分布を可能にしてや
る必要があり、事実上例えば12スロットや6スロット
といったステータでは巻線の正弦波分布は成し得ない。
【0011】特に、ロータの外周と永久磁石との間に介
在する磁性材でリラクタンストルクを利用してモータ性
能を向上させようとすると、図7で示されたロータ構造
の場合では、永久磁石の発する磁束が介在する磁性材で
あるコアで分散してロータ外周表面ではほぼ均一になっ
てしまう。前述のように、ロータの外周表面の磁束分布
を正弦波状にすれば相巻線の分布は正弦波状にしなくと
も例えば1コイルの集中巻で設計でき得ることになる。
【0012】本発明は上記に鑑みなされたもので、ロー
タの外周表面での磁束分布を正弦波状にしてステータ巻
線を簡単な構成とせしめ、且つ、モータの性能を向上さ
せるものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明では、ロータコアの永久磁石を配するスリット
を界磁極間から界磁極中心に向かうにつれロータの外周
から内側に向かって円弧状に湾曲させて、該スリットに
永久磁石を配することで永久磁石の磁束を効果的に利用
しつつロータの外周表面での磁束分布を正弦波状にさせ
るものである。
【0014】また、該スリットの外周と内周の平均円弧
中心線の界磁極中心線側円弧端部での接線が界磁極中心
となす交差角度を0度〜90度の範囲で設定し、該スリ
ットに配される永久磁石の有する磁束密度が大きくなる
ほど、この角度を小さくする。更に、このようにされた
スリットに配する永久磁石はスリットの円弧の中心側に
おいて配向焦点を有するラジアルに配向されたものとす
ることでより一層効果的に上記課題を解決するものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係わる好適な実施形態に
ついて図面に従って説明する。図1は本発明の実施形態
に係わる界磁極数4極のロータ構造である。該ロータは
ロータのコア10内に界磁極間と界磁極中心との間に永
久磁石9を配するスリット8を、一方の界磁極間におい
てはロータの外周寄りに設定し該界磁極の界磁極中心に
おいてはロータの内周寄りとなるよう設定すると共に、
界磁極間から界磁極中心に至るスリット形状を任意の曲
率でもって円弧状に湾曲させロータの外周と同方向の円
弧を成すようにしてある。
【0016】スリット8は同一界磁極のもう一方端の界
磁極間からも同様のものを施してある。そして該両界磁
極間から界磁極の極中心へ至るスリット8はロータの当
該界磁極中心において該界磁極中心線と角度θ1(以下
交差角θ1と略す。)で接するようにしてある。
【0017】この様にしてロータのコア10に施された
スリットに、該スリット8と同様形状の永久磁石9が配
される。以下においては磁束の流れや強さ及び方向の説
明を容易にするために、本発明のスリットには該スリッ
トと同一形状同一寸法の永久磁石が配されたものとして
扱い、特に断りがない限り、寸法や配置に関する記述に
おいて永久磁石とスリットは同義である。
【0018】今、この永久磁石がラジアル方向で配向さ
れてモータが構成されている場合のロータ部磁束の流れ
を図2に示す。本図では1極のみを示しており、他の極
も同様である。湾曲された永久磁石9が湾曲の内側に焦
点を有する形でラジアル配向されているなら、永久磁石
9からの磁束の方向は湾曲に沿って滑らかに且つ各点に
おいてほぼ直角に向いていることになる。 従ってスリ
ット8に挿入された永久磁石9から流出する磁束は左右
の界磁極間付近ではほぼロータのラジアル方向に向か
い、極中心に近づくにつれて次第にロータの界磁極中心
に向かう。
【0019】この様に界磁極中心線を基準として左右に
配された永久磁石が同一の能力を有しているなら多くの
磁束は極中心線付近に集中するような形態で界磁極が形
成される。該磁束の集中具合は界磁極中心軸両側の永久
磁石9のなす角度に左右される。
【0020】図2における界磁極中心と、スリット8に
配された永久磁石9の平均径の円弧で最も界磁極中心線
寄りの場所での接線とのなす交差角θ1は、0度以上9
0度以下が設定し得る範囲である。 交差角θ1が90
°以上であれば界磁中心線を挟んで両側の永久磁石9か
らの磁束の方向は互いに広がる方向となり本発明の趣旨
と異なる。 又、交差角θ1が0°以下つまり負の角度
で交差するということは、永久磁石9からの磁束の方向
は0°以下の部分に関してロータの外周方向ではなく内
周方向に向かってしまい本発明の趣旨からは逸脱する。
今、個々の永久磁石9の有する磁束密度をBrpとすれ
ば、界磁極としての有効磁束密度成分は界磁極の径方向
であるので、その大きさの関数をF1とすると F1∝2×Brp×cos (θ1) (1) 本発明が意図する磁束の集中度合の関数をF2とすると F2∝2×Brp×sin(θ1) (2) 前記式(1)と式(2)を使って界磁極としての磁束密
度の大きさと界磁極中心への磁束の集中度合の能力をF
pとすると Fp∝F1×F2∝cos (θ1)×sin(θ1) (3) を導き出すことが出来る。
【0021】(3)式より明らかなように交差角θ1は
45°の場合が最大値を示し、合成磁束密度の大きさと
集中力をうまく両立させる角度といえる。交差角θ1が
45度より小さければ合成磁束密度は少なくなるが、合
成磁束密度のロータ界磁極中心への集中力が強まり、逆
に45度より大きければ前記の集中力は弱まる。従っ
て、該交差角θ1を適宜設定することにより目的とする
ロータ表面での正弦波状磁束分布に対応することが出来
る。通常、磁束の集中を重視する場合は交差角を小さく
し、磁束の量を重視する場合は交差角を大きくする。
又、スリット8に挿入される永久磁石9の有する磁束密
度が高い場合はロータの磁性材での磁束密度を均一にし
ようとして分散が強まるので、相対的に交差角θ1を小
さく取ることでその影響を低くすることが出来る。
【0022】ここで、図2に示した界磁極に関してロー
タ表面を基準として円周方向に展開したときの磁束の流
れと磁束密度分布を表すと図3のようになる。図3の下
段は永久磁石からの磁束φの流れる様子を示し上段は下
段のロータ表面での磁束密度Brの分布を示している。
【0023】永久磁石9の単体としての平均的な合成磁
束は永久磁石9の平均円弧中心線での両端を結ぶ弦の界
磁極中心線となす角θ2(以下傾き角θ2と略す。)で
代表されるが、局部的に個々の部分を見てみると、任意
のロータ界磁極を形成すべく界磁極の両端からそれぞれ
ロータ中心側に湾曲して永久磁石9が配されていている
ので、永久磁石9からの磁束方向は該界磁極の中心に対
して当該界磁極中心に近づくにつれ次第に大きな角度で
交差する。しかし、界磁磁極中心線に対して左右対称に
永久磁石9が構成されていれば、互いの磁束は合成さ
れ結果としてロータの外周に対して直交し、その大きさ
は各部でのベクトル合成された値となる。同図から明ら
かなように、界磁極中心では比較的多くの磁束が合成さ
れ、両極間よりの磁束は自身の磁束の方向が界磁極中心
方向に向いているため、その内側に当たる界磁極中心線
寄りに存在する磁束は分散しようとするのを妨げ様とす
る方向に作用する。
【0024】従って、永久磁石9の外周側に磁性材が介
在していても磁束の分散が押さえられ図3の上段のよう
な正弦波状の磁束分布を得ることが出来る。上記の磁束
を保持しようとする作用は界磁極中心線とその両側の永
久磁石9のなす角度、即ち交差角θ1及び傾き角θ2の
適切な設定により任意に変更することが出来る。永久磁
石9の傾き角度がθ2である時の界磁極としての有効磁
束密度成分と磁束の集中度合の能力をFsとすると交差
角の場合と同様に考えることができ、 Fs∝cos(θ2)×sin(θ2) (4) と表される。ここで式(4)は、傾き角θ2=45度の
条件で最も大きくなることは論を待たない。傾き角θ2
が45度より小さければ合成磁束量は少なくなるが、合
成磁束量のロータ界磁極中心への集中力が強まる。逆
に、45度より大きければ前記の集中力は弱まる。
【0025】従って、該傾き角θ2を適宜設定すること
により目的とするロータ表面での正弦波状磁束分布を得
ることが出来る。今、ひとつの界磁極の開角をθkとし
て、該モータの極数をPと置くと、 θk=360/P (5) ふたつの永久磁石9でひとつの界磁極を作る場合、同一
極を構成しようとする一方の永久磁石9の傾き角θ2は
界磁極の1/2開角と当該1/2界磁極のロータ外周円
弧における弦とで成る2等辺三角形の界磁極中心線と共
通の辺でのロータ外周側内角に対する余角が設定し得る
最大θmaxで、 θmax=90°+ θk/4 (6) なる式で表すことが出来る。
【0026】図10は4極ロータの場合についてのその
模式的な関係図である。図10において、11は界磁極
中心線、12は界磁極間を示す線を表す。本発明の趣旨
を満足する傾き角としては図10から明らかなように θmax>θ2>θk/2 (7) なる範囲が有効である。
【0027】この中でも特に効果的な傾き角θ2の範囲
は式(4)からも類推できるように45°付近前後であ
る。 通常、磁束の集中を重視する場合は傾き角θ2を
小さくし、磁束の量を重視する場合は傾き角θ2を大き
くする。又、前述と同様にスリットに挿入される永久磁
石の有する磁束密度が高い場合は、ロータの磁性材での
磁束密度を均一にしようとして分散が強まるので、相対
的に傾き角θ2を小さく取ることでその影響を低くする
ことが出来る。以上の説明ではスリットの湾曲に関して
特に曲率について言及していなかったが、曲率が大きく
なれば永久磁石の傾き角θ2が大きくても交差角θ1が
小さくなり、界磁極中心線付近での磁束集中の具合を大
きくすることが出来る。従って、目的に応じて曲率を変
更してやることでも界磁極としての全体の磁束量を操作
しつつ界磁極中心線付近の磁束を強めてやることが出来
る。尚、図11及び図12は本発明の第2及び第3の実
施形態を示しており図1と構成内容において同一または
相当部分については同一の符号を付して重複する説明を
省略する。図11は永久磁石の傾き角θ2及び交差角θ
1が共に比較的大きい例であり、磁束の集中より界磁極
全体としての磁束量の確保を重視する場合を示してお
り、また、磁束量の確保とは無関係で界磁極中心側での
永久磁石の円弧端が界磁極中心と比較的離れている場合
の構成をも示している。図12は永久磁石の傾き角θ2
及び交差角θ1が共に比較的小さく、磁束量の確保より
界磁極中心付近での磁束の集中を重視した場合の構成を
示したものである。
【0028】図13は第4の実施形態を示しており、曲
率は単一である必要は無く、界磁極の極間側で曲率が大
きく極中心線側で小さくなる様にすることでも同様の効
果が得られることは容易に推察されるものであり、本発
明の趣旨を満足する範囲で部分的に直線であっても構わ
ない。更には対象となるスリットの湾曲を複数に分割
し、直線状のスリットを所定の角度でもって縦列させて
等価的に湾曲させてもやはり同様の効果が得られる。こ
の場合、該スリットの挿入される永久磁石は、上記説明
でのラジアル配向のものでなくても厚み方向に平行配行
された平板ものでもよい。尚、同一界磁極を構成する界
磁極中心線を挟んで両側の永久磁石は必ずしも分割され
ている必要は無く、スリットが連続している限りにおい
て単体構成されていてもよい。
【0028】又、ある程度スリットに配する永久磁石が
磁束密度の高いものであれば、モータの使用される用途
によっては、例えば定格範囲内で使用され過負荷の恐れ
がない場合等では、通常界磁極の中心で合流するスリッ
トを合流させずロータの磁性材で分割することが可能で
ある。即ち、界磁極の極間と同じ様に永久磁石を挟んで
ロータの外周と内周をつなぐ磁性材でのブリッジを施す
ことが可能である。これは界磁極中心で集中する磁束の
一部がブリッジを飽和させ、それ以上の磁束を通過させ
ないようにするので、それ程磁束の集中を損なうことな
く本発明のロータを得ることが可能である。
【0029】
【発明の効果】本発明では、同一界磁極を構成すべくロ
ータの磁性材に界磁極中心線を挟んで対象に円弧状のス
リットを施し、且つ、該スリットは界磁極間側でロータ
の外周側、界磁極中心線側で内周側となるよう施すよう
にしているので、該スリットにスリットと同形状同極の
永久磁石を配することで必然的に磁束は界磁極中心に集
まろうとする。従って、界磁極としてのロータ表面での
磁束分布は、永久磁石とロータ外周間に磁性材が介在し
ても磁束の分散が抑制されて正弦波状になる。特に、ス
リットに配される永久磁石が該永久磁石の円弧中心側を
焦点位置とするラジアルに配向されていると、磁束は界
磁極中心に近づくにしたがって界磁極中心線に向かう方
向となるので磁束の分散がより強く抑制される。
【0030】ロータ表面磁束が滑らかに正弦波状になる
ことで、該ロータと組み合わされてモータを構成するス
テータの巻線構成は、例えば1コイルの集中巻というよ
うな簡単な構成にしても誘起電圧を正弦波状とすること
が出来る。このことは、ステータのスロット数が少ない
ものにおいて極めて有効な効果であり、例えば、3スロ
ットや6スロットといったようなステータでひとつのス
テータの歯に巻線を集中巻して任意の相の励磁極を発生
させようとする場合等は特に有効である。
【0031】又、本発明の実施例で取り上げた12スロ
ットや24スロットにおいても、巻線を簡素化し製造が
容易なモータとするに好適な方法と言える。結果として
低振動のモータを容易に得ることが出来るものである。
又、従来例のロータにおいてはロータの表面磁束がほぼ
一様であるため、一般的にモータとして構成された時負
荷時に於いて電機子反作用を受け界磁極中心位置が変化
し易い。従って、ロータ位置を検出してステータ巻線へ
の電流を流そうとする制御にとって、最適な通電タイミ
ングと該位置が負荷によって変動することになるため極
めて制御が難しくなり、モータを安定して効率良く駆動
することが出来なくなるばかりか、モータの発生トルク
が脈打つことになるため、音や振動の発生原因となって
いる。
【0032】本発明においては、前述の説明の通り、界
磁磁極中心軸に永久磁石の磁束が集中すべくロータのス
リットが施されて該スリットに永久磁石が配されるの
で、従来のロータ構造で一般的に指摘される電機子反作
用による界磁極中心の負荷に対する変動が少なく、制御
に特別な工夫をしなくても安定した駆動が行え、この面
からも安定した効率と低振動、低騒音を実現することが
できる。
【0033】又、従来例図5で示した構造に代表される
ロータにおいては、ロータの永久磁石によるトルク以外
に永久磁石の磁束方向と直交するステータからの励磁磁
束によるリラクタンストルクを利用することでトルクを
向上させようとする場合があるが、巻線の励磁領域に該
当の界磁極が差し掛かると、永久磁石とロータ外周との
間の磁性材料の介在によって励磁磁束通路の断面が急激
に広がるため、一気に当該巻線による励磁磁束が増大し
てかなり大きなリラクタンストルクを発生させる。この
ことは平均トルク的には有効ではあるが音、振動に関し
ては問題になる。本発明では、図1の構造からも明らか
なように該当励磁巻線の励磁に関してリラクタンストル
クに関与する励磁磁束通路断面は徐々に広がる構成にさ
れているので、リラクタンストルクを確保しつつも急激
な変化を起こさない。従ってこの面での音、振動に関し
ても大きな効果がある。
【0034】この様に、本発明を実施することで、低振
動、低騒音のモータを構成するに、ステータ構造やその
巻線に関して特別な操作や工夫をすることなく行えると
同時に、該モータを駆動する制御に関してもモータの脈
動トルクを押えるような高速且つ複雑な制御手法や構成
を行わなくとも音、振動の低いモータシステムを構築す
ることが可能である。
【0035】以上の説明の如く、本発明はブラシレスD
Cモータ及びこれを駆動制御する装置にとって極めて有
益なものである。更には、場合によってはロータ界磁極
中心で永久磁石を挟んでロータの外周と内周をつなぐ磁
性材でのブリッジを施すことが可能であるので、ロータ
の回転による遠心力に対する強度が格段に向上すると共
に、該ロータの外周の変形を押えることが出来得るもの
である。製造面においても、図4の従来例の様な細くて
長いロータ外周ブリッジが無いため、これを打抜くプレ
ス型の構造や工程が簡単になり安価にロータが製作でき
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すロータの横断面
図である。
【図2】図1のロータにおける任意界磁極の磁束の流れ
を示す説明図である。
【図3】図2に示した界磁極に関して、ロータ表面を基
準として円周方向に展開した時の磁束の流れと磁束分布
を表す説明図である。
【図4】従来例を示すロータの横断面図。
【図5】別の従来例を示すロータの横断面図。
【図6】図4のロータにおける磁束の流れを示す説明図
である。
【図7】図5のロータにおける磁束の流れを示す説明図
である。
【図8】図4のロータを用いたブラシレスDCモータの
構成例を示す展開説明図である。
【図9】図8に示すモータの任意相における鎖交磁束の
変化と当該相に発生する誘起電圧波形を示すものであ
る。
【図10】傾き角θmaxを説明するための模式図であ
る。
【図11】本発明の第2の実施形態を示すロータの横断
面図。
【図12】本発明の第3の実施形態を示すロータの横断
面図。
【図13】本発明の第4の実施形態を示すロータの横断
面図。
【符号の説明】
1,4,8…スリット、2,5,9…磁石、3,6,1
0…磁性材、7…ステータ、U,V,W…ステータの相
巻線、S1〜S12…ステータのスロット、θ1,θ
2,θmax…角度、11…界磁極中心線、12…界磁
極間を示す線、13…平均円弧中心線、φ…磁束、Φ…
磁束量、Br…磁束密度。
【手続補正書】
【提出日】平成11年9月1日(1999.9.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】図13は第4の実施形態を示しており、曲
率は単一である必要は無く、界磁極の極間側で曲率が大
きく極中心線側で小さくなる様にすることでも同様の効
果が得られることは容易に推察されるものであり、本発
明の趣旨を満足する範囲で部分的に直線であっても構わ
ない。更には対象となるスリットの湾曲を複数に分割
し、直線状のスリットを所定の角度でもって縦列させて
等価的に湾曲させてもやはり同様の効果が得られる。こ
の場合、該スリットの挿入される永久磁石は、上記説明
でのラジアル配向のものでなくても厚み方向に平行配行
された平板ものでもよい。尚、同一界磁極を構成する界
磁極中心線を挟んで両側の永久磁石は必ずしも分割され
ている必要は無く、スリットが連続している限りにおい
て単体構成されていてもよい。又、ある程度スリットに
配する永久磁石が磁束密度の高いものであれば、モータ
の使用される用途によっては、例えば定格範囲内で使用
され過負荷の恐れがない場合等では、通常界磁極の中心
で合流するスリットを合流させずロータの磁性材で分割
することが可能である。即ち、界磁極の極間と同じ様に
永久磁石を挟んでロータの外周と内周をつなぐ磁性材で
のブリッジを施すことが可能である。これは界磁極中心
で集中する磁束の一部がブリッジを飽和させ、それ以上
の磁束を通過させないようにするので、それ程磁束の集
中を損なうことなく本発明のロータを得ることが可能で
ある。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータコアにスリットが施され、該スリ
    ットに永久磁石を配して界磁極を形成するブラシレスモ
    ータにおいて、該スリット形状がロータの外周より曲率
    が小さく円弧状にロータの外周に沿って湾曲するもので
    あって、且つ、配置がロータの界磁極間側がロータ外周
    寄りであって界磁極中心側がロータ内周寄りとなるよう
    施され、該スリットに永久磁石を配するようにしたこと
    を特徴とするブラシレスDCモータ。
  2. 【請求項2】 前記スリットは外周と内周の平均円弧中
    心線の界磁極中心線側円弧端部での接線又はその延長線
    と界磁極中心線となす交差角度θ1が0〜90度の範囲
    に設定されていることを特徴とする請求項1記載のブラ
    シレスDCモータ。
  3. 【請求項3】 ロータ外周での任意極の界磁極間と界磁
    極中心線とを結ぶ弦の界磁極中心線となす角度をθma
    xとし、界磁極の開角をθkとした時、前記スリットの
    外周と内周の平均円弧中心線の円弧両端を結ぶ弦もしく
    はその延長線と界磁極中心線のなす傾き角θ2が θmax>θ2>θk/2 の範囲内にあることを特徴とする請求項1または請求項
    2記載のブラシレスDCモータ。
  4. 【請求項4】 前記スリットの内に配される永久磁石の
    有する磁束密度が高いほど、前記交差角度θ1を小さく
    することを特徴とする請求項1及至請求項3のいずれか
    に記載のブラシレスDCモータ。
  5. 【請求項5】 前記スリットの内に配される永久磁石の
    有する磁束密度が高いほど、前記傾き角度θ2を小さく
    することを特徴とする請求項1及至請求項3のいずれか
    に記載のブラシレスDCモータ。
  6. 【請求項6】 前記スリットの内に配される永久磁石は
    円弧中心側に焦点を有しラジアル方向に配向されている
    ことを特徴とする請求項1及至請求項5のいずれかに記
    載のブラシレスDCモータ。
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