JPH11155247A - 埋め込み磁石型回転子 - Google Patents

埋め込み磁石型回転子

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JPH11155247A
JPH11155247A JP9361998A JP36199897A JPH11155247A JP H11155247 A JPH11155247 A JP H11155247A JP 9361998 A JP9361998 A JP 9361998A JP 36199897 A JP36199897 A JP 36199897A JP H11155247 A JPH11155247 A JP H11155247A
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magnetic
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孝俊 原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 円柱状の鉄心1と、この鉄心の内部に軸4と
平行に埋め込まれて磁極を形成する複数の磁石5aを備
え、この磁石5aを各極毎に凸面側を軸心に向けて配置
した埋め込み磁石型回転子において、トルク脈動に起因
する電動機の振動や騒音を低減する。 【構成】 磁石5aの磁気配向を磁極軸方向異方性とす
る。あるいは磁極端部近傍の磁気配向の焦点を中央部近
傍の配向の焦点よりも遠方に焦点を有する配向もしくは
磁極軸方向異方性に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍機や空調機の圧縮
機駆動用電動機等に代表される永久磁石(以下、磁石と
称す)の界磁を有する同期電動機に関し、特に回転子の
鉄心の内部に磁石を埋め込んで構成するいわゆる埋め込
み磁石構造の回転子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記回転子として、図7に示す構成のも
のが知られており、例えば特開平6−339241号公
報等に開示されている。
【0003】図7は回転子の軸方向に垂直な断面を示す
平面断面図であって、図中1は鉄心であり、円形薄鉄板
を多数積層して円柱状に形成されており、中心部に軸4
が嵌着されている。鉄心1には軸4と平行に複数の収容
孔3が設けられ、この収容孔3には、一方が凸面で他方
が凹面に形成されたC形の磁石2が、凸面側を軸心に向
けて軸方向から挿入されて埋め込まれている。そして
N,Sにて図示するように、1個の磁石2が1極を形成
するように着磁されて、図示例の場合4極の界磁を構成
するようになっている。このような回転子は、その外周
部が所定のエアギャップを介して固定子と対向配置され
て電動機を構成する。
【0004】上記構成の回転子の場合には、磁石2の凹
面側と回転子外周部との間の鉄心部分の寸法が大きくで
きるため、q軸インダクタンスを大きくとることができ
る。従って、図7に破線で示すような流路を形成するq
軸の固定子磁束7a,7bのうち、7bで示されるよう
な流路の磁束が増加し、この結果、磁石2による主磁束
トルクに加えて、割と大きなリラクタンストルクが得ら
れるといった特長がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】周知のようにフェライ
ト等の異方性磁石は、粒子が磁化容易方向に並ぶように
磁界中にて成形されて、所定の磁気配向を備えている。
図7に示すような回転子においては、通常、磁石の磁気
配向は図8に示すようなラジアル異方性のものが使用さ
れる。この磁気配向は、磁石2の円弧の中心とほぼ同一
地点P1に配向の焦点を有するものであり、この構成に
より、着磁後の磁石の磁束が効率良くエアギャップに流
出入し、毎極のエアギャップの磁束密度が大きくなるこ
とによって大きな主磁束トルクが得られるものである。
【0006】上記ラジアル異方性における磁石の磁束の
流れを分析すると、各極の磁石の端部において図9に破
線で示すような流れを形成している。即ち、磁石2によ
る磁束6d,6e,6f等は、磁気配向の方向5bに沿
って磁石2から流出あるいは磁石2へ流入している。図
示するように、磁石端部の極間部においては磁気配向の
方向5bが回転子外周に対して平行に近い方向となるた
め、エアギャップを介して回転子外周部と固定子間で流
出入する磁束のループが大きくなる。この結果極間部に
おいてエアギャップの磁束量が極端に粗となる部分が生
じ、回転子の1回転当たりの磁束量の粗密のむらによっ
て磁石による主磁束トルク成分の脈動が大きくなる。
【0007】一方、固定子巻線への通電によって発生す
る固定子磁束の場合も、エアギャップを介して固定子と
回転子外周部間で流出入を行う。この場合、磁石端部と
回転子外周部との間に介在する鉄心部分8は幅が狭いた
めに円周方向の磁路は容易に磁気飽和してしまい、固定
子磁束は隣接磁石間の鉄心部分9へ集中して流出入する
ことになる。そして回転子内に磁路を形成する際、磁石
2の磁気配向5bに沿った方向の磁気抵抗が比較的小さ
いために、鉄心部分9へ流出入する固定子磁束は磁石に
よる磁束6d,6e,6fの経路に沿った磁路を形成す
ることになる。従って、この固定子磁束の場合も極間部
において磁束量の粗密のむらが生じて、リラクタンスト
ルク成分の脈動が大きくなってしまう。これら主磁束ト
ルク成分とリラクタンストルク成分の脈動によって、電
動機の振動や騒音が著しく大きなものとなる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、中心部に軸が
嵌着された円柱状の鉄心と、この鉄心の内部に前記軸と
平行に埋め込まれて磁極を形成する複数の磁石を備え、
前記軸に垂直な断面において前記磁石の形状が一方が凸
面で他方が凹面をなし、この磁石を各極毎に前記凸面側
を軸心に向けて配置した埋め込み磁石型回転子におい
て、下記構成を特徴としている。
【0009】即ち本発明における第1の発明は、前記磁
石の磁気配向を磁極軸方向異方性とするものである。こ
れは、必ずしも厳密に磁極軸方向異方性に形成する必要
はなく、概ね磁極軸の方向へ向けたものであればよい。
【0010】また、本発明における第2の発明は、前記
磁石の磁気配向を磁極中央部近傍を例えばラジアル異方
性等の前記磁石の凹面側に焦点を有する配向に形成する
とともに、磁極端部近傍を前記中央部近傍の配向の焦点
よりも遠方に焦点を有する配向もしくは磁極軸方向異方
性に形成するものである。上記第2の発明においては、
磁極中央部近傍と端部近傍それぞれの磁気配向の焦点を
必ずしも所定位置に限定する必要はなく、前記磁極中央
部から端部へ向けて焦点距離を漸増させるような配向で
あってもよい。
【0011】
【作用】例えば図1に破線5aとして示すように、磁石
2aの磁気配向が各極毎の磁極中心軸Zと平行な磁極軸
方向異方性に形成されている場合、各極の磁石2aの端
部においては、図2に破線で示すような磁束の流れが形
成される。即ち、磁石2aによる磁束6a,6b,6c
等は、磁気配向の方向5aに沿って磁石2aから流出あ
るいは磁石2aへ流入する。
【0012】図2に示すように、磁石端部の極間部にお
いては、磁気配向の方向5aの回転子外周に対する交差
角が大きくなり、エアギャップを介して回転子外周部と
固定子間で流出入する磁束のループが小さくなる。即
ち、磁石端部と回転子外周部との間に介在する鉄心部分
8へ向けて磁石2aの端部から磁束6a,6b,6cが
流出すると同時に、該鉄心部分8から磁石2aの端部へ
向けて磁束6a,6b,6cが流入する。この結果、回
転子の1回転当たりのエアギャップの磁束量の粗密が少
なくなり、主磁束トルク成分の脈動が削減される。
【0013】また、隣接磁石間の鉄心部分9へ流出入す
る固定子磁束についても、回転子内に磁路を形成する
際、磁石2aの磁気配向5aに沿った方向の磁気抵抗が
比較的小さいために、磁石による磁束6a,6b,6c
の経路に沿った磁路を形成することになる。従って、こ
の固定子磁束の場合においても回転子の1回転当たりの
磁束量の粗密が小さくなり、リラクタンストルク成分の
脈動が削減される。
【0014】
【実施例】図1及び図2は本発明の第1の実施例を示
し、その作用に関しては前述した通りである。この回転
子の全体形状は図7と同様であり、鉄心1の収容孔3に
磁極軸方向異方性の磁石2aを挿入したものであり、そ
の他の構成は図7に関して説明した通りである。尚、こ
れら図面はやや簡略的に描いてあるが、実用上において
は、磁石2a及び収容孔3のコーナー部分には面取り状
のカット面やアール面等がが存在し、また磁石2aと収
容孔3とは相似形に形成する必要はなく、相互間に隙間
が存在するような埋め込み構成であってもよい。
【0015】図3は、本発明の第2の実施例を示してい
る。この例における磁石2bの磁気配向は、磁極中央部
近傍の配向5bを磁石2bの円弧の中心とほぼ同一地点
P1に配向の焦点を有するラジアル異方性に形成し、磁
極端部近傍の配向5cを中央部近傍の配向の焦点P1よ
りも遠方に焦点P2を有する配向としたものである。こ
の焦点P2へ向かう磁気配向5cは、図1及び図2にて
説明した磁極軸方向異方性の配向5aと角度的に近似し
ており、この結果P1のみを配向の焦点とするものに比
べて、磁石端部と回転子外周部との間に介在する鉄心部
分8を経路とした磁束の流出入が増えて、図1のものと
同様の作用、効果を得ることができる。
【0016】図4は本発明の第3の実施例を示してい
る。この例における磁石2cの磁気配向は、磁極中央部
近傍の配向5bを磁石2cの円弧の中心とほぼ同一地点
P1に配向の焦点を有するラジアル異方性に形成し、磁
極端部へ向かうに従って配向の焦点距離を漸増させて、
例えばP3,P4といった焦点を有する配向5d,5e
としたものである。この結果、磁極端部近傍における磁
気配向が磁極軸方向異方性の配向5aと角度的に近似
し、P1のみを配向の焦点とするものに比べて、磁石端
部と回転子外周部との間に介在する鉄心部分8を経路と
した磁束の流出入が増えて、図1のものと同様の作用、
効果を得ることができる。
【0017】尚、図3及び図4において、磁気配向5b
はラジアル異方性に限定するものではなく、一般にはラ
ジアル異方性の近辺で所望の距離を選択する。また図3
の磁気配向5cや図4の磁気配向5e等の磁極端部近傍
の配向は、焦点P2やP4を無限遠とした磁極軸方向異
方性に形成してもよい。
【0018】以上説明したような本発明による磁石の磁
気配向に係わる構成は、図7に示したような構成の回転
子のみならず、図5及び図6に示すような回転子につい
ても同様に適用できる。図5に示す回転子は、各極当た
りの磁石2d,2eを凸面側を軸心に向けて2重に配置
して構成したものである。このような回転子の場合は、
鉄心1aの収容孔3aと3bとの間にq軸の磁路が形成
されているために、q軸インダクタンスがさらに大きく
なってリラクタンストルクをさらに大きくすることがで
きる。図5の実施例は各極の収容孔及び磁石を2重に配
置したものであるが、さらに多重に配置した構成のもの
についても本発明は同様に適用できる。
【0019】また、図6に示す回転子は、各極当たり略
V字形の磁石2fを凸面側を軸心に向けて配置して構成
したものである。このような回転子の場合は、平板状の
2個の磁石によって1つのV字を形成するようにしても
よい。以上のように本発明は、磁石の凸面側を軸心に向
けて配置した埋め込み磁石型回転子であれば、どのよう
な構成のものに対しても適用できるものである。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、磁石による磁束及び固
定子磁束の双方が回転子の1回転当たりの粗密が少なく
なり、主磁束トルク成分及びリラクタンストルク成分の
脈動が削減され、この結果電動機の振動や騒音が著しく
低減されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示し、回転子における
磁石の磁気配向の説明図。
【図2】図1の回転子における磁石の磁束の流れを示す
要部拡大説明図。
【図3】本発明の第2の実施例を示し、回転子における
磁石の磁気配向の説明図。
【図4】本発明の第3の実施例を示し、回転子における
磁石の磁気配向の説明図。
【図5】回転子の構成例を示す平面断面図。
【図6】回転子の構成例を示す平面断面図。
【図7】回転子の構成例を示す平面断面図。
【図8】従来の回転子における磁石の磁気配向の説明
図。
【図9】図8の回転子における磁石の磁束の流れを示す
要部拡大説明図。
【符号の説明】
1,1a,1b…鉄心 2,2a,2b,2c,2d,2e,2f…磁石 3,3a,3b,3c…収容孔 4…軸 5a,5b,5c,5d,5e…磁気配向の方向

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心部に軸が嵌着された円柱状の鉄心
    と、この鉄心の内部に前記軸と平行に埋め込まれて磁極
    を形成する複数の磁石を備え、前記軸に垂直な断面にお
    いて前記磁石の形状が一方が凸面で他方が凹面をなし、
    この磁石を各極毎に前記凸面側を軸心に向けて配置した
    埋め込み磁石型回転子において、前記磁石の磁気配向を
    磁極軸方向異方性としたことを特徴とする埋め込み磁石
    型回転子。
  2. 【請求項2】 中心部に軸が嵌着された円柱状の鉄心
    と、この鉄心の内部に前記軸と平行に埋め込まれて磁極
    を形成する複数の磁石を備え、前記軸に垂直な断面にお
    いて前記磁石の形状が一方が凸面で他方が凹面をなし、
    この磁石を各極毎に前記凸面側を軸心に向けて配置した
    埋め込み磁石型回転子において、前記磁石の磁気配向を
    磁極中央部近傍を前記磁石の凹面側に焦点を有する配向
    に形成するとともに、磁極端部近傍を前記中央部近傍の
    配向の焦点よりも遠方に焦点を有する配向もしくは磁極
    軸方向異方性に形成したことを特徴とする埋め込み磁石
    型回転子。
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