JP2010178489A - 同期電動機 - Google Patents

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篤 松岡
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Abstract

【課題】固定子に9個のスロットと回転子に永久磁石による8個の磁極を有する同期電動機でありながら、回転軸に発生するラジアル方向の磁気吸引力を低減するとともに、同期電動機の出力するトルクの低下を抑えることができる同期電動機を提供する。
【解決手段】この発明に係る同期電動機300は、9個のスロット13を有する固定子10と、永久磁石21により8磁極を形成する回転子20とを備える同期電動機300であって、固定子10に対向する回転子20表面において、磁極の中心付近が他の部分よりも固定子10との距離が大きくなっているものである。
【選択図】図8

Description

この発明は、回転子に永久磁石を用いる同期電動機に関する。以下、同期電動機を単にモータと呼ぶ場合もある。
一般的な同期電動機の多くは、固定子のスロット数(ティースの数と同じ)と回転子の極数との比が3:2である。これに対し、固定子に巻線を集中的に巻回するティースの数が9(巻線を収納するスロット数が9)で、回転子の永久磁石磁極数(回転子の極数)が8の同期電動機(9スロット8極の同期電動機と定義する)は、一般的な固定子のスロット数と回転子の極数との比が3:2である同期電動機と比較すると、巻線係数が大きくとれることから、同体格のモータであっても同一電流に対して出力を大きく取ることができる。
言い換えれば、同一トルクを出力するために必要な電流が小さくなるため、より効率の良いモータを得ることができる。
また、回転子に永久磁石を有する同期電動機に特有のコギングトルクは、固定子のスロット数と回転子の磁極数の最小公倍数の脈動数で発生する。前述の9スロット8極の同期電動機ではその脈動数が72と多くなり、コギングトルクのエネルギーが分散され振幅が小さくなり、低騒音な同期電動機の実現が可能である。
この固定子のスロット数と回転子の極数との組合せについては、より効率の良い同期電動機が得られる組合せが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、モータ効率をより高めるため、固定子の同相の巻線を並べて配置する中で、中央のティースの幅を両端のティースを大きくすることにより同一電流で発生するトルクを大きくする方法が提案されている(例えば、特許文献2参照) 。
特開平09−272396号公報 特開2000−253602号公報
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載された9スロット8極の同期電動機の場合、回転子の8個の磁極は、回転軸に対して対称に配置される(回転軸の中心点に対して点対称)。これに対して、固定子の9個のティースは回転軸に対して対称に配置することができない。そのため、回転子の永久磁石に生じる固定子のティースへの吸引力が回転軸に対して対称に発生せず、打ち消すことができないため、常にラジアル方向に磁気吸引力が発生した状態にある。
また、9スロット8極の同期電動機は、固定子の同一相の巻線(コイル)の3つが集中して配置される。そのため、トルクを出力するために巻線に電流を流すと、回転子にラジアル方向の磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力は回転子の回転(通電する電流)に伴って、発生する方向が変化していく。
回転軸の軸受けの固定が十分でない場合、回転子の回転に伴って生じるラジアル方向の磁気吸引力によって回転子が振動し、同期電動機自体から振動・騒音が発生する。
このラジアル方向の磁気吸引力は、固定子と回転子の間の空隙を広げることで低減することは可能である。しかし、空隙の拡大は回転子の永久磁石から固定子の巻線に鎖交する磁束量を減少させることとなるため、同期電動機の効率の低下の要因となる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、固定子に9個のスロットと回転子に永久磁石による8個の磁極を有する同期電動機でありながら、回転軸に発生するラジアル方向の磁気吸引力を低減するとともに、同期電動機の出力するトルクの低下を抑えることができる同期電動機を提供する。
この発明に係る同期電動機は、9個のスロットを有する固定子と、永久磁石により8磁極を形成する回転子とを備える同期電動機であって、固定子に対向する回転子表面において、磁極の中心付近が他の部分よりも固定子との距離が大きくなっているものである。
この発明に係る同期電動機は、9個のスロットを有する固定子と、永久磁石により8磁極を形成する回転子とを備える同期電動機であって、固定子に対向する回転子表面において、磁極の中心付近が他の部分よりも固定子との距離が大きくなっていることによって、回転軸に発生するラジアル方向の磁気吸引力を低減しながら、同期電動機の出力するトルクの低下を抑えることができる。
比較のために示す図で、一般的な9スロット8極の同期電動機100の断面図。 図1の固定子鉄心11の一部を拡大した断面図。 図1の同期電動機100の一部を拡大した断面図。 図1の固定子巻線16の巻線方法を示す展開図。 図1の固定子巻線16の結線方法を示す図。 図1の回転子20の断面図。 比較のために示す図で、一般的な12スロット8極の同期電動機200の横断面図。 実施の形態1を示す図で、同期電動機300の要部拡大図。 実施の形態1を示す図で、図8のA部拡大図。 実施の形態1を示す図で、変形例1の同期電動機300の要部拡大図。 実施の形態1を示す図で、図10のB部拡大図。 実施の形態1を示す図で、従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300との誘起電圧比率を比較した図。 実施の形態1を示す図で、従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのトルク比率を比較した図。 実施の形態1を示す図で、従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのラジアル方向磁気吸引力比率(負荷時)を比較した図。 実施の形態1を示す図で、従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのラジアル方向磁気吸引力比率(無負荷時)を比較した図。 実施の形態1を示す図で、従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのコギングトルク比率を比較した図。
実施の形態1.
図1乃至図7は比較のために示す図で、図1は一般的な従来の9スロット8極の同期電動機100の横断面図、図2は図1の固定子鉄心11の一部を拡大した断面図、図3は図1の同期電動機100の一部を拡大した断面図、図4は図1の固定子巻線16の巻線方法を示す展開図、図5は図1の固定子巻線16の結線方法を示す図、図6は図1の回転子20の断面図、図7は一般的な12スロット8極の同期電動機200の横断面図である。
先ず、図1を参照しながら、一般的な従来の9スロット8極の同期電動機100の構成を説明する。この同期電動機100は、固定子10と回転子20とを備える。
固定子10と回転子20との間には、所定の径方向寸法の空隙17が設けられる(図3参照)。
固定子10は、固定子鉄心11と、この固定子鉄心11に絶縁部材(図示せず)を介して施される固定子巻線16とを備える。
固定子鉄心11の構成を、図2も参照しながら説明する。図1では、固定子10、固定子鉄心1、固定子巻線16、回転子20のみに符号を付している。その他の符号については、図2、図6を参照のこと。
固定子鉄心11は、板厚が0.1〜1.5mmの電磁鋼板を所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数軸方向に積層し、抜きカシメや溶接等により固定して製作される。
所定の形状に打ち抜いた固定子鉄心11は、全体が略リング状(ドーナッツ状)である。
固定子鉄心11は、外周側に環状のコアバック14を備える。そして、環状のコアバック14の内側に、径方向に略平行に延びるティース12(9個)が周方向に略等間隔に形成されている。
ティース12は、固定子10の内側で回転する回転子20に向かって突出する。9つのティース12の先端に回転子対向部12aを有する。
通常、回転子対向部12aは、回転子20からの磁束をより多く集めるためにティース12よりも周方向に広がった形状(傘状)になっている。
隣接するティース12の間の空間を、スロット13という。スロット13の数は、ティース12の数と同数の9個である。
スロット13には、ティース12に絶縁部材を介して施される固定子巻線16が収納される。スロット13は、内周縁(回転子20側)に開口するスロット開口部15を備える。このスロット開口部15から、固定子巻線16が挿入される巻線形態もある。
固定子巻線16について説明する。固定子巻線16は三相巻線であり、U相巻線、V相巻線及びW相巻線で構成される。
U相巻線は、U1、U2及びU3の三個の集中巻線で構成される。図1、図4に示すように、U1、U2及びU3は、連続する三個のティースに集中的に施される。但し、U1とU3は同じ方向に巻かれるが、U2はU1及びU3と反対方向に巻かれる。
同様に、V相巻線は、V1、V2及びV3の三個の集中巻線で構成される。図1、図4に示すように、V1、V2及びV3は、連続する三個のティースに集中的に施される。但し、V1とV3は同じ方向に巻かれるが、V2はV1及びV3と反対方向に巻かれる。
同様に、W相巻線は、W1、W2及びW3の三個の集中巻線で構成される。図1、図4に示すように、W1、W2及びW3は、連続する三個のティースに集中的に施される。但し、W1とW3は同じ方向に巻かれるが、W2はW1及びW3と反対方向に巻かれる。
U3、V3及びW3の端末は接続されて中性点Nとなる。図5に示すように、固定子巻線16は、三相Y結線である。
9スロットの固定子鉄心11で、8極の三相の固定子巻線16を構成するには、上述のように特殊な構成となる。即ち、各相の巻線を三個(例えば、U相でいえば、U1、U2及びU3)で構成し、それらの三個の巻線を連続した三個のティース12に集中的に巻線する。さらに、三個の巻線の巻線方向は、中央が両端と異なる。そして、三相Y結線の固定子巻線16を構成する。
既に、発明の概要の欄で述べたが、9スロット8極の同期電動機の場合、回転子の8個の磁極は、回転軸に対して対称に配置されるが、固定子の9個のティースは回転軸に対して対称に配置することができない。そのため、回転子の永久磁石に生じる固定子のティースへの吸引力が回転軸に対して対称に発生せず、打ち消すことができないため、常にラジアル方向に磁気吸引力が発生した状態にある。
また、9スロット8極の同期電動機は、同一相の固定子巻線16の3つ(例えば、U1、U2及びU3)が集中して連続するティース12に配置されるため、トルクを出力するために固定子巻線16に電流を流すと、回転子20にラジアル方向の磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力は回転子20の回転(通電する電流)に伴って、発生する方向が変化していく。
回転軸の軸受けの固定が十分でない場合、回転子20の回転に伴って生じるラジアル方向の磁気吸引力によって回転子20が振動し、同期電動機100自体から振動・騒音が発生する。
本実施の形態は、詳細は後述するが、回転子20表面の固定子10に対向する部分において、磁極の中心付近が他の部分よりも固定子10との距離が大きくなる構成とすることにより、上記ラジアル方向の磁気吸引力を低減するものである。
図6に示すように、同期電動機100を構成する回転子20は、リング状の永久磁石21と、永久磁石21の内側に配置されるバックヨーク22と、回転軸23とを少なくとも備える。
リング状の永久磁石21は、隣接する極の極性が互いに異なるように、径方向に8極に着磁されている。
バックヨーク22は、固定子鉄心11と同様、板厚が0.1〜1.5mmの電磁鋼板を所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数軸方向に積層し、抜きカシメや溶接等により固定して製作される。
バックヨーク22の略中心部に、回転軸23が配置される。永久磁石21の8磁極は、回転軸23に対して対称に配置されている。
図1、図6に示す同期電動機100は、リング状の永久磁石21が回転子20の表面に存在し、内部に磁路として用いるバックヨーク22を配置した構成となっているが、回転子20の表面の永久磁石21は必ずしもリング状の一体部材でなくてもよい。例えば、磁極毎に分割されたマグネットであっても良い。
また、回転子20は、極異方性を持った配向を施されたリング磁石を用いて、バックヨーク22を用いない構成をとっても良い。
前述の固定子10において、電流を通電する固定子巻線16は、図1、図4に示すように、3相(U相、V相及びW相)それぞれの巻線(例えば、U相では、U1、U2及びU3)をまとめて3つ並べて配置する構成である。
3つ並べられた巻線(例えば、U相では、U1、U2及びU3)のうち、中央の巻線(例えば、U相では、U2)は、両端の巻線(例えば、U相では、U1、U3)とは巻かれる向きが反対になっている。
9スロット8極の同期電動機100は、前述のように各相の巻線がそれぞれ集中して配置されているため、回転子20の回転軸23に対して、対称な位置に同じ相の巻線が存在しない。このため、同期電動機100よりトルクを出力するために、固定子巻線16に通電を行うと、磁気吸引力により、回転子20には、回転方向の力とラジアル方向の力が発生する。
図7に示す一般的な従来の12スロットの8極の同期電動機200の場合、各相(U相、V相及びW相)の巻線は、回転子20の回転軸23に対して、対称に配置される。但し、図7では各相(U相、V相及びW相)の巻線の位置のみを、U、V、Wで示し、巻線の図示は省略している。
図7に示すように、各相の巻線は、90°間隔で回転軸23に対して点対称に4箇所のティース12に配置される。4箇所に配置される巻線の巻き方向は全て同じである。この固定子巻線により、8極の磁界が生成される。
このような構成であるから、電流を固定子巻線に通電した際に、回転子20に生じるラジアル方向の磁気吸引力は、対向する同相の巻線によってキャンセルされるため、回転方向の磁気吸引力が回転トルクとなって発生し、ラジアル方向への吸引力は発生しない。
回転子20にラジアル方向の吸引力が発生すると、軸受けの固定が十分でない場合、回転子20に振動が発生し、同期電動機200本体からの振動・騒音の要因となる。
本実施の形態による同期電動機300は、9スロット8極の構成において避けられない上述の振動・騒音を抑えるため、回転子20に発生するラジアル方向の磁気吸引力を低減するものである。以下、その具体例について説明する。
図8乃至図16は実施の形態1を示す図で、図8は同期電動機300の要部拡大図、図9は図8のA部拡大図、図10は変形例1の同期電動機300の要部拡大図、図11は図10のB部拡大図、図12は従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300との誘起電圧比率を比較した図、図13は従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのトルク比率を比較した図、図14は従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのラジアル方向磁気吸引力比率(負荷時)を比較した図、図15は従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのラジアル方向磁気吸引力比率(無負荷時)を比較した図、図16は従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのコギングトルク比率を比較した図である。
図8に示す同期電動機300は、図1に示した9スロット8極の同期電動機100と概ね同様の構成であるが、以下の点が異なる。即ち、各永久磁石21の磁極の中心部分の外周面に、凹部24を設けている。
図9は図8のA部拡大図である。この部分(A部)では、永久磁石21の磁極中心と、固定子10のティース12の中心線(径方向)とが略一致している。そのため、凹部24の中心が固定子10のティース12の中心線に略一致している。
同期電動機300は9スロット8極の構成であるから、図8のA部の右隣のティース12では、凹部24の中心は固定子10のティース12の中心線と一致せずに、時計方向にずれる。他のティース12では、凹部24の中心の固定子10のティース12の中心線に対するずれが順次大きくなる。図8のA部の永久磁石21に対して180°異なる永久磁石21では、凹部24の中心が固定子10のスロット開口部15に対向する。
凹部24を設けることにより、凹部24では固定子10の回転子対向部12aとの間の距離が、凹部24の存在しない部分に比べを大きくなる。
凹部24の形状は、図8では円弧であるが、円弧に限定されない。例えば、三角形、長方形、台形、多角形等でもよく、また直線(平面)でもよい。
また、図10、図11の変形例1の同期電動機300のように、各永久磁石21の磁極の中心部分の外周面に加えて、永久磁石21の各磁極間の外周面に凹部24を設けてもよい。
この場合も、凹部24の形状は、円弧に限定されず、例えば、三角形、長方形、台形、多角形等でもよく、また直線(平面)でもよい。
図12乃至図16は、従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300の諸特性を比較したものである。
図12乃至図16において、比較したモータは次の4種類である。
(1)従来の9スロット8極の同期電動機100(回転子20の表面が真円);
(2)従来の9スロット8極の同期電動機100(回転子20の表面が真円で径を縮小して固定子10との空隙17を拡大した場合(空隙17拡大));
(3)実施の形態1の9スロット8極の同期電動機300(磁極中心に固定子10との空隙17を広げる凹部24を設けた場合);
(4)実施の形態1の変形例1の9スロット8極の同期電動機300(磁極中心及び極間に固定子10との空隙17を広げる凹部24を設けた場合)。
上記(1)〜(4)のすべての場合において、以下の条件を満たす。
(a)固定子10の形状は同一;
(b)回転子20の最大外径は、空隙17拡大の場合を除き同一;
(c)従来の空隙17拡大(3)の空隙17寸法と、実施の形態1の凹部24部分の最大の空隙17寸法は同一とする。
図12は従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300との誘起電圧比率を比較した図である。従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300を同一速度で回転させた時の固定子巻線16に発生する誘起電圧の基本波成分を比較したものである。
図12に示すように、従来の9スロット8極の同期電動機100で空隙17を拡大した場合(2)は、(1)の従来の9スロット8極の同期電動機100に比較して、固定子巻線16に発生する誘起電圧の低下が大きい。
それに対して、実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)、実施の形態1の極中心及び極間に凹部24を設けた場合(4)のどちらも、(1)の従来の9スロット8極の同期電動機100に比較して、固定子巻線16に発生する誘起電圧の低下は小さい。
その理由は、実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)、実施の形態1の極中心及び極間に凹部24を設けた場合(4)のどちらも、従来の9スロット8極の同期電動機100で空隙17を拡大した場合(2)よりも、平均の空隙17寸法が小さいからである。
実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)と、実施の形態1の極中心及び極間に凹部24を設けた場合(4)とを比べれば、後者の方が前者よりも平均の空隙17寸法が大きいため、後者の誘起電圧の低下が前者の誘起電圧の低下よりも大きい。
図13は従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのトルク比率を比較した図である。従来の9スロット8極の同期電動機100及び本実施の形態の同期電動機300の固定子巻線16に同一の電流を通電したときに発生するトルクを比較したものである。
図13に示すように、従来の9スロット8極の同期電動機100で空隙17を拡大した場合(2)は、(1)の従来の9スロット8極の同期電動機100に比較して、トルクの低下が大きい。
それに対して、実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)、実施の形態1の極中心及び極間に凹部24を設けた場合(4)のどちらも、(1)の従来の9スロット8極の同期電動機100に比較して、トルクの低下は小さい。
実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)と、実施の形態1の極中心及び極間に凹部24を設けた場合(4)とを比べれば、トルクは略同等である。
実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)及び実施の形態1の極中心及び極間に凹部24を設けた場合(4)の同期電動機300は、従来の9スロット8極の同期電動機100に対して、共に出力トルクの低下が少なく、効率の低下の少ない同期電動機300であることを示している。
図14は従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのラジアル方向磁気吸引力比率(負荷時、通常トルクを発生している場合)を比較した図、図15は従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのラジアル方向磁気吸引力比率(無負荷時、無負荷若しくは軽負荷で運転している場合)を比較した図である。以下、ラジアル方向磁気吸引力を単に磁気吸引力と呼ぶ。
従来の9スロット8極の同期電動機100で空隙17を拡大した場合(2)は、比較した4種類のモータの中で、負荷時の磁気吸引力が最も小さい。
但し、(2)の従来の9スロット8極の同期電動機100で空隙17を拡大した場合は、無負荷時の磁気吸引力は、実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)と略同等である。
実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)、実施の形態1の極中心及び極間に凹部24を設けた場合(4)のどちらも、従来の9スロット8極の同期電動機100で空隙17を拡大した場合(2)ほどではないが(特に、負荷時)、(1)の従来の9スロット8極の同期電動機100よりも、負荷時及び無負荷時の磁気吸引力が低下している。
特に無負荷時(無負荷若しくは軽負荷の場合)、実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)は、従来の9スロット8極の同期電動機100で空隙17を拡大した場合(2)と同等若しくはそれ以下まで磁気吸引力が低減している。
このように実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)は、従来の9スロット8極の同期電動機100で空隙17を拡大した場合(2)と比較して、図12、図13で示したように誘起電圧及びトルクの低下を抑えながら、磁気吸引力を同等に低減していることを示している。
従って、実施の形態1の同期電動機300(特に、極中心に凹部24を設けた場合を)を、例えば送風機用に用いる場合、低速回転時(低トルク)の振動騒音を低減しやすいという効果が期待される。
図16は従来の9スロット8極の同期電動機100と本実施の形態の同期電動機300とのコギングトルク比率を比較した図である。
回転子20に永久磁石21を有する同期電動機に特有のコギングトルクは、固定子10のスロット数と回転子20の磁極数の最小公倍数の脈動数で発生する。9スロット8極の同期電動機ではその脈動数が72と多くなり、コギングトルクのエネルギーが分散され振幅が元来小さい。
従って、コギングトルクに関しては、(1)の従来の9スロット8極の同期電動機100と同等であればよい。
図16に示すように、4種類のモータのコギングトルクに大差はない。細かくみれば、従来の9スロット8極の同期電動機100で空隙17を拡大した場合(2)及び実施の形態1の極中心及び極間に凹部24を設けた場合(4)は、(1)の従来の9スロット8極の同期電動機100よりもコギングトルクは低減される。反面、実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)は、(1)の従来の9スロット8極の同期電動機100よりもコギングトルクは逆に大きくなっている。
いずれにしろ、9スロット8極の同期電動機ではその脈動数が72と多く、コギングトルクのエネルギーが分散され振幅が元来小さいので、実施の形態1の極中心に凹部24を設けた場合(3)及び実施の形態1の極中心及び極間に凹部24を設けた場合(4)のコギングトルクは問題のないレベルである。
上述の結果より、極中心に凹部24を設けることにより、その場合の最大の空隙17寸法に全体の空隙17を拡大するよりも、固定子巻線16に発生する誘起電圧及びトルクの低下を抑え、特に低負荷運転時の回転子20のラジアル方向磁気吸引力を低減することができる。このため、9スロット8極の同期電動機300において、特に低負荷運転時にモータより発生する振動・騒音を低減したい場合に有効である。
また、極中心及び磁極間に凹部24を設ける場合、その場合の最大の空隙17寸法に全体の空隙17を拡大するよりも、固定子巻線16に発生する誘起電圧及びトルクの低下を抑え、回転子20のラジアル方向磁気吸引力を低減し、同時にコギングトルクを低減することができる。このため、9スロット8極の同期電動機300において、モータより発生する振動・騒音および、トルクリップルを低減したい場合に有効である。
9スロット8極の同期電動機300は、永久磁石21に特性の高い希土類マグネットを用いると、回転子20に発生するラジアル方向の磁気吸引力は、磁力に応じて大きくなる。このような場合に、本実施の形態を適用することによって、同期電動機300より発生する振動・騒音を低減することが可能である。
磁力の高い希土類マグネットは、材料コストも高価であることから、薄肉形状で利用され、回転子20の内部にバックヨーク22となる磁性体を配置することが多い。永久磁石21が薄肉となって1磁極がより円弧形状に近くなると、回転子20と固定子10との間に発生する磁気吸引力は回転子20の回転方向よりもラジアル方向の方が大きくなっていくため、ラジアル方向の磁気吸引力は大きくなる。このような同期電動機300に対して、本実施の形態を用いることで、同期電動機300より発生する振動・騒音を低減することができる。
以上の説明では、永久磁石21を回転子20の表面に配置する例について示したが、表面配置に限定されない。
本発明の活用例として、送風機に用いられる同期電動機への適用が可能である。
10 固定子、11 固定子鉄心、12 ティース、12a 回転子対向部、13 スロット、14 コアバック、15 スロット開口部、16 固定子巻線、17 空隙、20 回転子、21 永久磁石、22 バックヨーク、23 回転軸、24 凹部、100 同期電動機、200 同期電動機、300 同期電動機。

Claims (5)

  1. 9個のスロットを有する固定子と、永久磁石により8磁極を形成する回転子とを備える同期電動機であって、
    前記固定子に対向する前記回転子表面において、前記磁極の中心付近が他の部分よりも前記固定子との距離が大きくなっていることを特徴とする同期電動機。
  2. 前記固定子に対向する前記回転子表面において、前記磁極の中心付近に加えて極間付近も他の部分よりも前記固定子との距離が大きくなっていることを特徴とする請求項1記載の同期電動機。
  3. 前記永久磁石を前記回転子の表面に配置することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の同期電動機。
  4. 前記永久磁石は希土類磁石であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の同期電動機。
  5. 前記永久磁石は薄肉のリング磁石であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の同期電動機。
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