JP2001030272A - ノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法 - Google Patents

ノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法

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JP2001030272A
JP2001030272A JP2000042997A JP2000042997A JP2001030272A JP 2001030272 A JP2001030272 A JP 2001030272A JP 2000042997 A JP2000042997 A JP 2000042997A JP 2000042997 A JP2000042997 A JP 2000042997A JP 2001030272 A JP2001030272 A JP 2001030272A
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Nobuhiro Goto
信弘 後藤
Masafumi Nakatani
政史 中谷
Hajime Naito
一 内藤
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Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境に左右されず、硬化不良のない良好なノ
ルボルネン系ポリマー成形品を得ることができ、また、
インサート部材や繊維補強材の存在下にノルボルネン系
モノマーを重合させても、ボイドや硬化不良等のない良
好な複合成形品を得ることができる、注型成形によるノ
ルボルネン系ポリマー成形品の製造方法。 【解決手段】 注型用型2内に、必要によりインサート
部材や繊維補強材を配置した後、ノルボルネン系モノマ
ー(好ましくはジシクロペンタジエン)1と、酸素や水
分に対して安定な特定の一般式で表されるルテニウム−
カルベン錯体又はルテニウムビリニデン錯体とを必須成
分とする重合性組成物1を、流し込み、メタセシス重合
させ、注型用型2の表面形状を、硬化したノルボルネン
系ポリマー成形品に転写させて所望の製品を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる注型成形
方法によるノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ノルボルネン系モノマーを重
合成形する技術は知られている。その一例として、金型
内を不活性ガスに置換させてから、ノルボルネン系モノ
マーを成形材料として金型内に射出し、反応させる反応
射出成形方法がある(特公平7−73859号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ノルボルネ
ン系モノマーを用いて重合成形をする場合、酸素や水分
の存在により重合反応が阻害され、完全な不活性ガス雰
囲気下でないと、良好な重合が進行しないという問題が
ある。すなわち、ノルボルネン系モノマーを用いた重合
成形は、閉塞空間内でしか重合を良好に進行させること
ができず、反応射出成形のような、閉じられた金型の中
に重合性組成物を射出成形する以外に、ノルボルネン系
モノマーの重合成形はできないものとされていた。
【0004】また、ノルボルネン系モノマー単体で成形
品を得るのではなく、強化繊維等の強化材と複合化して
成形品を成形する場合には、強化繊維を予め金型内にセ
ットしてから強化繊維内部に含まれる空気を除去しなけ
ればならず、このため、金型内において不活性ガスによ
って入念にパージする必要があり、 手間がかかる上に品
質が安定しないという問題があった。なお、強化材等を
混入する場合にも、空気はもとより、水分の存在が重合
反応を阻害するため、充分な乾燥等により水分を蒸散す
ることが必要である。
【0005】従来、ノルボルネン系モノマーを反応射出
成形する場合、以下の、A液及びB液の2種の溶液が用
いられており、これらA液とB液とを金型の直前で衝突
混合させ、金型内に重合性溶液として射出して重合反応
させることにより、ノルボルネン系モノマーの重合成形
体を得ている。
【0006】(A液)ノルボルネン系モノマーと活性剤
及び活性調節剤を含む溶液 (B液)ノルボルネン系モノマーと触媒を含む溶液 このような溶液において、触媒としては、タングステ
ン、モリブデン、レニウム、タンタルなどのハロゲン化
物、 オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩
などが用いられている。
【0007】活性剤としては、アルキルアルミニウムハ
ライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド、ア
リールオキシアルキルアルミニウムハライド、有機スズ
化合物などが用いられている。また、活性調節剤として
は、n−プロピルアルコールなどのアルコール類が使用
されている。
【0008】ところで、上記重合性溶液は、ノルボルネ
ン系モノマーに、触媒、活性剤、活性調節剤を配合して
から反応射出成形するまでは、製造現場等で保管されて
いるが、その保管用の貯蔵タンクや成形機などを、水分
や空気の混入を防止できる構造にする必要がある。具体
的には、配管も含めたノルボルネン系モノマーが通る経
路を、できるかぎり不活性ガス(例えば窒素)でパージ
する必要があり、余分な設備投資が必要となる上に、管
理に細心の注意が必要である。また、従来は、製造休止
後等、前の成形から間隔をあけた後に反応射出成形を行
う場合、ノルボルネン系モノマーに配合している触媒や
活性剤が酸素や水分の影響により劣化しており、反応射
出成形を行っても硬化不良になってしまい、必要な品質
を満足できない上に、ノルボルネン系モノマー特有の臭
気がかなり成形品に残ってしまうという問題があった。
【0009】さらに、反応射出成形は、オープンモール
ド成形(例えば、ハンドレイアップ成形やスプレーアッ
プ成形)に比べると設備への投資額が大きいという問題
もあった。
【0010】本発明はそのような実情に鑑みてなされた
もので、環境に左右されず、硬化不良のない良好なノル
ボルネン系ポリマー成形品を得ることができ、また、イ
ンサート部材や繊維補強材の存在下にノルボルネン系モ
ノマーを重合させても、ボイドや硬化不良等のない良好
な複合成形品を得ることができる、注型成形によるノル
ボルネン系ポリマー成形品の製造方法を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法
は、ノルボルネン系モノマー及び下記一般式(I)で表
されるルテニウム−カルベン錯体又は下記一般式(II)
で表されるルテニウムビニリデン錯体を必須成分とする
重合性組成物を注型用型に流し込み、その注型用型内で
重合させることを特徴としている。
【化3】 (式中、R1 及びR2 は、互いに独立に、水素、C2 〜
C20−アルケニル基、C1 〜C20−アルキル基、アリー
ル基、C1 〜C20−カルボキシレート、C1 〜C20−ア
ルコキシ基、C2 〜C20−アルケニルオキシ基、アリー
ルオキシ基、C2〜C20−アルコキシカルボニル基、又
はC1 〜C20−アルキルチオ基(これらは、C1 〜C5
−アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基に
よって置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −
アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5−アルコキシ基によ
って置換されたフェニル基によって置換されていてもよ
い)を表し、X1 及びX2 は、互いに独立に、任意のア
ニオン性配位子を表し、L1及びL2 は、互いに独立
に、任意の中性電子供与体を表し、X1 、X2 、L1
びL2 の内、2個または3個は、一緒に多座キレート化
配位子を形成してもよい)
【化4】 (式中、R3 及びR4 は、互いに独立に、水素、C2 〜
C20−アルケニル基、C1 〜C20−アルキル基、アリー
ル基、C1 〜C20−カルボキシレート、C1 〜C20−ア
ルコキシ基、C2 〜C20−アルケニルオキシ基、アリー
ルオキシ基、C2〜C20−アルコキシカルボニル基、C1
〜C20−アルキルチオ基(これらは、C1 〜C5 −ア
ルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によっ
て置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −アル
キル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって
置換されたフェニル基によって置換されていてもよい)
又は、フェロセン誘導体を表し、X3 及びX4 は、互い
に独立に、任意のアニオン性配位子を表し、L3 及びL
4 は、互いに独立に、任意の中性電子供与体を表し、X
3 、X4 、L3 及びL4 の内、2個または3個は、一緒
に多座キレート化配位子を形成してもよい)
【0012】また、請求項2記載の本発明は、インサー
ト部材を予め注型用型内に配置しておき、ノルボルネン
系モノマー及び上記一般式(I)のルテニウム−カルベ
ン錯体又は上記一般式(II)のルテニウムビニリデン錯
体を必須成分とする重合性組成物を注型用型に流し込
み、重合によりインサート部材と一体化させることを特
徴とするノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法を提
供する。また、請求項3記載の本発明は、インサート部
材がオレフィン系熱可塑性樹脂製であることを特徴とす
る請求項2記載のノルボルネン系ポリマー成形品の製造
方法を提供する。
【0013】また、請求項4記載の本発明は、繊維補強
材を注型用型内に配置した状態で、重合性組成物を注型
用型内に流し込むことを特徴とする請求項1〜3いずれ
か1項記載のノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法
を提供する。また、請求項5記載の本発明は、ノルボル
ネン系モノマーがジシクロペンタジエンであることを特
徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のノルボルネン
系ポリマー成形品の製造方法を提供する。また、請求項
6記載の本発明は、注型用型内に重合性組成物を流し込
み、重合により注型用型とノルボルネン系ポリマーとを
一体化することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項
記載のノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法を提供
する。
【0014】以下に本発明のノルボルネン系ポリマー成
形品の製造方法を更に詳しく説明する。まず、本発明の
注型成形によるポリマー成形品の製造方法の具体的な例
として、図1に示すように、ノルボルネン系モノマー
と、酸素や水分に対して安定な一般式(I)で表される
ルテニウム−カルベン錯体又は一般式(II)で表される
ルテニウムビニリデン錯体とを必須成分とする重合性組
成物1を、注型用型2に流し込み、重合させ、注型用型
2の表面形状を硬化したノルボルネン系ポリマー成形品
に転写させて所望の製品を得る方法を挙げることができ
る。そして、この際、注型用型2内に流し込んだ重合性
組成物1が、空気中でも迅速に重合(メタセシス重合)
を開始するので、窒素置換を行わなくてもノルボルネン
系ポリマーからなる注型成形品を得ることができる点
が、実用的に大きな効果をもたらすのである。
【0015】ここで、本発明のポリマー成形品の製造方
法に用いるノルボルネン系モノマーとしては、ノルボル
ネンやノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタ
ジエンやジヒドロジシクロペンタジエンなどの三環体、
テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセ
ン、フェニルテトラシクロドデセンなどの四環体、トリ
シクロペンタジエンなどの五環体、テトラシクロペンタ
ジエンなどの七環体、及びこれらのアルキル置換体(例
えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体な
ど)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換
体)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換
体)はもちろんのこと、エポキシ基、メタクリル基、水
酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン
基、エーテル基、エステル結合含有基等の極性基を有す
る誘導体などが挙げられる。このような極性基を有する
ノルボルネン系モノマーは、従来触媒ではうまく重合が
進行しなかったが、本発明のように一般式(I)で表さ
れるルテニウム−カルベン錯体又は一般式(II)で表さ
れるルテニウムビニリデン錯体を重合触媒として用いる
ことにより、重合を完了させることができる。これら
は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用い
てもよい。
【0016】これらのノルボルネン系モノマーの中で、
請求項5記載の如く、反応性、入手容易性、ポリマーの
物性バランス、価格等の点で、ジシクロペンタジエンが
好ましい。
【0017】本発明のポリマー成形品の製造方法に用い
る重合性組成物には、消泡剤、酸化防止剤、充填材、着
色剤、高分子改質剤、難燃剤、発泡剤、揺変性付与剤、
帯電防止剤、分子量調節剤、顔料、染料、耐衝撃改良剤
としてのエラストマーなどの各種添加剤を配合してもよ
い。特に、充填材については、本発明に用いる重合性組
成物に配合しても、酸素や水分によりメタセシス重合活
性が低下しないので、充填材を多量に配合することがで
きる。これは、重合触媒として、酸素や水分に安定な一
般式(I)で表されるルテニウム−カルベン錯体又は一
般式(II)で表されるルテニウムビニリデン錯体を用い
ることによってはじめて可能になったことである。
【0018】充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化
アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウ
ム、クレー、タルク、マイカ、カオリン、フライアッシ
ュ、モンモリロナイト、ガラスバルーン、シリカバルー
ン、熱膨張性塩化ビニリデン粒子等が挙げられる。エラ
ストマーとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共
重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共集
合体、EPDM、エチレン−酢酸ビニル共集合体及びこ
れらの水素化物等が挙げられる。
【0019】次に、一般式(I)で表されるルテニウム
カルベン錯体について以下に詳述する。上記一般式
(I)で表されるルテニウム−カルベン錯体の内、好ま
しい錯体は以下のものである。すなわち、式中、R1 及
びR2 が、互いに独立に、水素、C2 〜C5 −アルケニ
ル基、C1 〜C5 −アルキル基、フェニル基、C1 〜C
5 −カルボキシレート、C1 〜C5 −アルコキシ基、フ
ェノキシ基、又はC2 〜C5 −アルコキシカルボニル基
(これらは、C1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1
〜C5 −アルコキシ基によって置換されていてもよく、
あるいはC1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C
5 −アルコキシ基によって置換されたフェニル基によっ
て置換されていてもよい)であり、また、X1 及びX2
が、互いに独立に、C1 、Br、C1 〜C5 −カルボキ
シレート、C1 〜C5 −アルコキシ基、フェノキシ基、
又はC1 〜C5 −アルキルチオ基(これらは、C1 〜C
5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基
によって置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5
−アルキル基、ハロゲン、 C1 〜C5 −アルコキシ基に
よって置換されたフェニル基によって置換されていても
よい)の群からのアニオン性配位子であり、さらに、L
1 及びL2 が、互いに独立に、アリール基またはC1 〜
C10−アルキルホスフィン基(これらは、C1 〜C5 −
アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によ
って置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −ア
ルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によっ
て置換されたフェニル基によって置換されていてもよ
い)の群からの中性配位子である、ルテニウム−カルベ
ン錯体が好ましい。
【0020】更に好ましい、一般式(I)で表されるル
テニウム−カルベン錯体としては、式中、R1 及びR2
が、互いに独立に、水素、メチル基、エチル基、フェニ
ル基、またはメチル基、エチル基もしくはフェニル基に
よって必要に応じて置換されたビニルであり、また、X
1 及びX2 が、互いに独立に、C1 またはBrであり、
さらに、L1 及びL2 が、互いに独立に、トリメチルホ
スフィン基、トリエチルホスフィン基、トリフェニルホ
スフィン基またはトリシクロヘキシルホスフィン基であ
る、ルテニウム−カルベン錯体が挙げられる。
【0021】次に、一般式(II)で表されるルテニウム
ビニリデン錯体について以下に詳述する。上記一般式
(II)で表されるルテニウムビニリデン錯体の内、好ま
しい錯体は以下のものである。すなわち、式中、R3 及
びR4 は、互いに独立に、水素、メチル基、エチル基、
フェニル基、フェロセニル基、又はメチル基、エチル
基、フェニル基もしくはフェロセニル基によって必要に
応じて置換されたビニル基であり、X3 及びX4は、互
いに独立に、Cl、Brであり、L3 及びL4 は、互い
に独立に、トリメチルホスフィン基、トリエチルホスフ
ィン基、トリフェニルホスフィン基又はトリシクロヘキ
シルホスフィン基である、ルテニウムビニリデン錯体が
好ましい。
【0022】上記一般式(I)で表されるルテニウム−
カルベン錯体又は一般式(II)で表されるルテニウムビ
ニリデン錯体については、ノルボルネン系モノマーに対
する分散性の面から、溶媒に希釈して用いることが好ま
しい。溶媒の例としては、トルエン、ベンゼン、テトラ
ヒドロフラン(THF)、ジクロロメタンなどが挙げら
れる。なお、ルテニウム−カルベン錯体を活性水素が存
在する溶媒あるいは酸に溶解させるのは、錯体の安定性
を損なうので好ましくない。一般式(II)で表されるル
テニウムビニリデン錯体については、一般式(I)で表
されるルテニウム−カルベン錯体よりは安定性が高いが
同様のことが言える。
【0023】上記一般式(I)で表されるルテニウム−
カルベン錯体又は一般式(II)で表されるルテニウムビ
ニリデン錯体については、ノルボルネン系モノマーに対
する分散性の面から溶媒に希釈して用いることが好まし
い。溶媒の例としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒ
ドロフラン(THF)、ジクロロメタンあるいはプロセ
スオイルなどの液状炭化水素などが挙げられる。なお、
一般式(I)で表されるルテニウム−カルベン錯体又は
一般式(II)で表されるルテニウムビニリデン錯体を、
活性水素が存在する溶媒あるいは酸に溶解させるのは錯
体の安定性を損なうので好ましくない。一般式(II)で
表されるルテニウムビニリデン錯体については、一般式
(I)で表されるルテニウム−カルベン錯体よりは空気
中での安定性が高いが、同様のことが言える。
【0024】ノルボルネン系モノマーに対する一般式
(I)で表されるルテニウム−カルベン錯体又は一般式
(II)で表されるルテニウムビニリデン錯体の混合比率
は1/5〜1/500000モルの範囲が好ましく、更
に好ましくは、 1/30〜1/200000モルの範囲
である。この範囲で必要なポツトライフ及び硬化時間を
基に、触媒の混合比率を設定すればよい。
【0025】本発明のポリマー成形品の製造方法に用い
る重合性組成物に、連鎖移動剤を添加しておけば分子量
や反応速度を調整することができる。その連鎖移動剤の
一例としては、炭素−炭素二重結合を有する化合物、具
体的には、C1 〜C12アルケン、アリルエーテル、アル
キルアリルエーテル、スチレン等が挙げられる。
【0026】また、上記重合性組成物には粘度調整剤を
配合してもよい。粘度調整剤としては、オレフィン性不
飽和基を有するポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙
げられ、このような粘度調整剤はメタセシス重合時に重
合物内に組み込まれ得る。粘度調整剤の含有量は重合性
組成物中のノルボルネン系モノマーに対して0.1〜5
0重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜2
0重量%の範囲である。
【0027】本発明のポリマー成形品の製造方法におい
て、注型用型は加熱してもしなくてもよいが、反応速度
を考慮すると加熱する方が好ましい。また、注型用型の
材質としては、軟鋼(SS)、ステンレス(SUS)、
アルミニウムをはじめとする金属材料を主体としたもの
の他、ウレタン、シリコン、IR、SBR等のゴム材
料、PP、PE、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂も使用で
きる。
【0028】次に、本発明のポリマー成形品の製造方法
の他の具体例として、図2に示すように、注型用型2に
予めインサート部材4をセットしておき、ノルボルネン
系モノマーと一般式(I)で表されるルテニウム−カル
ベン錯体又は一般式(II)で表されるルテニウムビニリ
デン錯体とを必須成分とする重合性組成物1を、注型用
型2に流し込み、重合させ、注型用型2の表面形状を硬
化した成形品に転写させて所望の製品を得る方法を挙げ
ることができる。そして、この際も、インサート部材4
が空気を含有していても、注型用型2内に流し込んだ重
合性組成物1が、迅速に重合(メタセシス重合)を開始
するので、ノルボルネン系ポリマー3とインサート部材
4とが一体化された注型成形によるポリマー成形品を得
ることができるのである。
【0029】インサート部材の形状は限定されず、板状
部材はもちろんのこと、複雑形状部材、網状部材あるい
はネジ付き部材であっても使用可能である。
【0030】インサート部材としては、アルミニウム、
鋼材等の金属材料、コンクリート等の無機材料、木材、
熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の合成樹脂材料、ポリエ
チレンやウレタンなどの発泡体等の各種材料が使用可能
である。
【0031】これらのうち、オレフィン系熱可塑性樹脂
製のものが最も好ましい。インサート部材がオレフィン
系熱可塑性樹脂製であると、ノルボルネン系モノマーと
一般式(I)で表されるルテニウム−カルベン錯体又は
一般式(II)で表されるルテニウムビニリデン錯体を必
須成分とする重合性組成物がメタセシス重合する際の重
合発熱により、ノルボルネン系ポリマーとオレフィン系
熱可塑性樹脂製のインサート部材とが融着して強固な界
面が形成されたノルボルネン系ポリマー成形品を製造す
ることができるからである。なお、より強固な融着界面
を形成するには、注型用型は40〜100℃程度に加熱
しておくことが好ましい。
【0032】オレフィン系熱可塑性樹脂としては、低密
度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレ
ン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、
ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共集合
体(EVA)等が挙げられる。
【0033】また、図2に示したノルボルネン系ポリマ
ー成形品は、ノルボルネン系ポリマー3の下部にインサ
ート部材4が一体化されてなるものであるが、勿論、こ
の様な構成に限定されることはなく、インサート部材4
の寸法形状、注型用型2における配置等を調整すること
により、ノルボルネン系ポリマー3の中央部にインサー
ト部材4が挿入されてなる構成とすることも可能であ
る。
【0034】本発明のポリマー成形品の製造方法の他の
具体例として、図3に示すように、注型用型2に予め繊
維補強材5をセットしておき、ノルボルネン系モノマー
と一般式(I)で表されるルテニウム−カルベン錯体又
は一般式(II)で表されるルテニウムビニリデン錯体と
を必須成分とする重合性組成物1を、注型用型2に流し
込み、重合させ、注型用型2の表面形状を硬化した成形
品に転写させて所望の製品を得る方法を挙げることがで
きる。そして、この際も、繊維補強材5が空気を含有し
ていても、注型用型2内に流し込んだ重合性組成物1
が、迅速に重合(メタセシス重合)を開始するので、ノ
ルボルネン系ポリマー3と繊維補強材5とが一体化され
る結果、ノルボルネン系ポリマー単体品に比べて、高強
度・高弾性の注型成形によるポリマー成形品を得ること
ができるのである。
【0035】そして、以上のような繊維強化を行って
も、重合触媒として酸素や水分に安定な一般式(I)で
表されるルテニウム−カルベン錯体又は一般式(II)で
表されるルテニウムビニリデン錯体を用いているので、
繊維補強材とノルボルネン系ポリマーとの間に、ノルボ
ルネン系ポリマーの硬化不良が発生することがなく、良
好な界面を形成できる。
【0036】繊維補強材の種類としては、ガラス繊維や
炭素繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテ
レフタレート繊維、 LDPEやPP製延伸繊維、ジュー
ト等の天然繊維等の有機繊維等が挙げられる。この中で
も、LDPEやPP製延伸繊維はポリオレフィンである
ことから、ノルボルネン系ポリマーとの融着可能であ
り、特殊な表面処理を行わなくても良好な界面密着性を
発現することが可能である。
【0037】繊維補強材の形態としては、チョップドス
トランドマット、コンテイニュアスマット、ロービング
クロス、すだれロービング等が挙げられる。なお、繊維
補強材には、その種類に応じて、ノルボルネン系ポリマ
ーと良好な接着性を示す表面処理等を行っておいてもよ
い。
【0038】本発明のポリマー成形品の製造方法の別の
具体例として、図4に示すように、ノルボルネン系モノ
マーと一般式(I)で表されるルテニウム−カルベン錯
体又は一般式(II)で表されるルテニウムビニリデン錯
体とを必須成分とする重合性組成物1を注型用型2に流
し込み、重合させることにより、注型用型2とノルボル
ネン系ポリマー3とを一体化した注型成形品を得るとい
う方法を挙げることができる。
【0039】この例は、注型用型を成形時には成形型と
して使用し、成形後において成形品の一部を構成すると
いう方法であり、その注型用型の材質には、HDPEや
PP等のオレフィン系熱可塑性樹脂を用いることが好ま
しい。その理由は、ノルボルネン系モノマーのメタセシ
ス重合における重合発熱により、オレフィン系熱可塑性
樹脂製の注型用型と融着して良好な界面を形成できるこ
とによる。この成形方法で得られる好適な製品例として
は、ガソリンタンク等の容器類、パイプや継手等の管工
機材等が挙げられる。
【0040】このように、図4に示すポリマー成形品の
製造方法では、注型用型に用いる材質の特徴と、耐衝撃
性等の機械的物性や耐熱性に優れたノルボルネン系ポリ
マーの特徴を併せ持ち、欠点を補い合った複合成形品
を、複雑で高価な成形型を用いずに、簡単に製造でき
る。また、脱型作業が不要であるという利点もある。
【0041】そして、以上の特徴をもつ本発明のノルボ
ルネン系ポリマー成形品の製造方法によれば、図5に示
すように、ノルボルネン系ポリマー3とインサート部材
4とが積層された成形品(A)、ノルボルネン系ポリマ
ー3とインサート部材4が多層に積層された成形品
(B)、インサート部材4がノルボルネン系ポリマー3
で被覆された成形品(C)、繊維補強材5によって強化
されたノルボルネン系ポリマー成形品(D)、あるいは
(E)に示すような、パイプ形状のノルボルネン系ポリ
マー成形品3をはじめとする様々な形状・構造の成形品
を提供することができる。
【0042】<作用>本発明のノルボルネン系ポリマー
成形品の製造方法によれば、ノルボルネン系モノマー
を、酸素や水分に対して安定な一般式(I)で表される
ルテニウム−カルベン錯体又は一般式(II)で表される
ルテニウムビニリデン錯体(重合触媒)を用いて重合さ
せているので、空気存在下でも硬化不良が少なくなる。
【0043】このことにより、ノルボルネン系ポリマー
単体の成形品はもちろんのこと、インサート部材とノル
ボルネン系ポリマーとが一体化した成形品を高品質で得
ることができる。つまり、界面等での硬化不良がなく、
良好な物性を示すノルボルネン系ポリマー成形品を得る
ことができる。特に、オレフィン系熱可塑性樹脂をイン
サート部材として用いると、重合発熱によりオレフィン
系熱可塑性樹脂とインサート部材とが融着するので、界
面密着性の良好な成形品を得ることができる。また、繊
維補強材の存在下で注型することにより、形状に応じた
強度設計が可能となる。さらに、従来のノルボルネン系
ポリマー成形品に比べて、環境に左右されにくく硬化不
良を大幅に低減できることから、残存モノマーが少な
く、臭気の少ない成形品を得ることができる。
【0044】
【実施例】以下、単に「部」とあるのは「重量部」を意
味する。 <実施例1> モノマー:ジシクロペンタジエン ルテニウム−カルベン錯体:ビス(トリシクロヘキシル
ホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド 非極性溶媒:トルエン まず、トルエン400部にビス(トリシクロヘキシルホ
スフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド20部を
溶解させた溶液を、ビス(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリドのジシクロペン
タジエンに対するモル比が1/10000になるように
混合攪拌し、その攪拌した重合性組成物を、80℃に温
調した注型用平板金型(250mm×250mm×6m
m)に流し込んだ。そして、3分後に脱型を行い、ポリ
ジシクロペンタジエン製の平板を得た。得られた成形品
は、硬化性が良好で表面のべたつきもなく、臭気もほと
んどなかった。
【0045】<実施例2> モノマー:ジシクロペンタジエン ルテニウムビニリデン錯体:下記の化5で表されるもの
を用いた。
【0046】
【化5】 (式中、Cyはシクロヘキシル基を表し、Fcはフェロ
セニル基を表す。)
【0047】非極性溶媒:トルエン まず、トルエン400部に上記のルテニウムビニリデン
錯体20部を溶解させた溶液を、ルテニウムビニリデン
錯体のジシクロペンタジエンに対するモル比が1/20
00になるように混合攪拌し、その攪拌した重合性組成
物を、80℃に温調した注型用平板金型(250mm×
250mm×6mm)に流し込んだ。そして、20分後
に脱型を行い、ポリジシクロペンタジエン製の平板を得
た。得られた成形品は、硬化性が良好で表面のべたつき
もなく、臭気もほとんどなかった。
【0048】<比較例1> モノマー(A液):活性剤、活性調節剤及びジシクロペ
ンタジエンよりなる溶液(商品名メトン:帝人メトン株
式会社製) モノマー(B液):触媒及びジシクロペンタジエンより
なる溶液(商品名メトン:帝人メトン株式会社製) 従来の活性剤を含むジシクロペンタジエンA液と、従来
の触媒を含むジシクロペンタジエンB液(触媒及び活性
剤の化合物名は不明)とを、混合比率が1/1になるよ
うに混合攪拌し、80℃に温度調節した注型用平板金型
(250mm×250mm×6mm)に流し込んだとこ
ろ、ほとんどが硬化不良の重合物となり、良好な成形品
を得ることができなかった。
【0049】<比較例2> 樹脂成分: オルソ系不飽和ポリエステル 硬化剤:メチルエチルケトンパーオキサイド オルソ系不飽和ポリエステル100部に対してメチルエ
チルケトンパーオキサイドの混合量が1.0部になるよ
うに混合攪拌し、その攪拌した混合物を80℃に温調し
た注型用平板金型(250mm×250mm×6mm)
に流し込んだ。そして、1時間後に脱型を行い、不飽和
ポリエステル樹脂製の平板を得た。得られた成形品は、
良好で表面のべたつきもなく、成形品の臭気もほとんど
なかったが、硬化に1時間後という長時間を要した。
【0050】<実施例3> モノマー:ジシクロペンタジエン ルテニウム−カルベン錯体:ビス(トリシクロヘキシル
ホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド 非極性溶媒:トルエン 注型用シリコン型(8mm×250mm×250mm)
に架橋ポリエチレン製発泡体(発泡倍率30倍、4mm
×250mm×250mm)をセットした。次に、トル
エン400部にビス(トリシクロヘキシルホスフィン)
ベンジリデンルテニウムジクロリド20部を溶解させた
溶液を、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジ
リデンルテニウムジクロリドのジシクロペンタジエンに
対するモル比が1/20000になるように混合攪拌
し、その攪拌した重合性組成物を注型用シリコン型に流
し込んだ。次いで、80℃に設定した加熱炉で5分間硬
化させた後に脱型を行い、架橋ポリエチレン製発泡体と
ポリジシクロペンタジエンが積層一体化された平板を得
た。得られた成形品は、硬化性が良好で表面のべたつき
もなく、成形品の臭気もほとんどなかった。また、成形
品の界面はハンマーでたたいても剥がれず、良好な界面
密着性が確認できた。
【0051】<実施例4> モノマー:ジシクロペンタジエン ルテニウムビニリデン錯体:<実施例2>と同じもの 非極性溶媒:トルエン 注型用シリコン型(8mm×250mm×250mm)
に架橋ポリエチレン製発泡体(発泡倍率30倍、4mm
×250mm×250mm)をセットした。次に、トル
エン400部にルテニウムビニリデン錯体20部を溶解
させた溶液を、ルテニウムビニリデン錯体のジシクロペ
ンタジエンに対するモル比が1/2000になるように
混合攪拌し、その攪拌した重合性組成物を注型用シリコ
ン型に流し込んだ。次いで、80℃に設定した加熱炉て
20分間硬化させた後に脱型を行い、架橋ポリエチレン
製発泡体とポリジシクロペンタジエンが積層一体化され
た平板を得た。得られた成形品は、硬化性が良好で表面
のべたつきもなく、成形品の臭気もほとんどなかった。
また、成形品の界面はハンマーでたたいても剥がれず、
良好な界面密着性が確認できた。
【0052】<比較例3> モノマー(A液):活性剤、活性調節剤及びジシクロペ
ンタジエンよりなる溶液(商品名メトン:帝人メトン株
式会社製) モノマー(B液):触媒及びジシクロペンタジエンより
なる溶液(商品名メトン:帝人メトン株式会社製) まず、80℃に温調した射出成形(RIM:Reaction i
njection Molding)用金型(8mm×250mm×25
0mm)内に、架橋ポリエチレン製発泡体(発泡倍率3
0倍、4mm×250mm×250mm)をセットし、
金型を閉じ、金型内に30秒間窒素を供給して空気をパ
ージした。
【0053】次に、従来の活性剤を含むジシクロペンタ
ジエンA液と、従来の触媒を含むジシクロペンタジエン
B液(触媒及び活性剤の化合物名は不明)とを混合比率
が1/1になるように、RIM成形機にて上記金型内に
注入した。注入時間は約6秒であった。そして、注入終
了より3分後に型開きを行ったところ、架橋ポリエチレ
ン製発泡体とポリジシクロペンタジエンとが積層された
平板を得ることができたが、空気を排出しきれなかった
のか、発泡体との界面や成形品の周囲の部分に若干の硬
化不良が見られ、部分的にボイドが見られた。また、注
入圧力によるためか発泡体にしわが発生していた。
【0054】<実施例5> モノマー:ジシクロペンタジエン ルテニウム−カルベン錯体:ビス(トリシクロヘキシル
ホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド 非極性溶媒:トルエン 繊維補強材:ガラス繊維製チョップドストランドマット
( 番手450g/ m2)注型用シリコン型(6mm×25
0mm×250mm)にガラス繊維製チョップドストラ
ンドマットを3プライセットした。
【0055】次に、トルエン400部にビス(トリシク
ロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロ
リド20部を溶解させた溶液を、ビス(トリシクロヘキ
シルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドの
ジシクロペンタジエンに対するモル比が1/10000
になるように混合攪拌し、その攪拌した重合性組成物を
注型用シリコン型に流し込んだ。次いで60℃に設定し
た加熱炉にて5分間硬化させた後に脱型を行って、ガラ
ス繊維強化ポリジシクロペンタジエン製平板を得た。成
形品は、硬化性が良好で表面のべたつきもなく、臭気も
ほとんどなかった。
【0056】<実施例6> モノマー:ジシクロペンタジエン ルテニウムビニリデン錯体:<実施例2>と同じもの 非極性溶媒:トルエン 繊維補強材:ガラス繊維製チョップドストランドマット
( 番手450g/ m2)注型用シリコン型(6mm×25
0mm×250mm)にガラス繊維製チョップドストラ
ンドマットを3プライセットした。
【0057】次に、トルエン400部にルテニウムビニ
リデン錯体20部を溶解させた溶液を、ルテニウムビニ
リデン錯体のジシクロペンタジエンに対するモル比が1
/1000になるように混合攪拌し、その攪拌した重合
性組成物を注型用シリコン型に流し込んだ。次いで80
℃に設定した加熱炉にて20分間硬化させた後に脱型を
行って、ガラス繊維強化ポリジシクロペンタジエン製平
板を得た。成形品は、硬化性が良好で表面のべたつきも
なく、臭気もほとんどなかった。
【0058】<比較例4> モノマー(A液):活性剤、活性調節剤及びジシクロペ
ンタジエンよりなる溶液(商品名メトン:帝人メトン株
式会社製) モノマー(B液):触媒及びジシクロペンタジエンより
なる溶液(商品名メトン:帝人メトン株式会社製) 繊維補強材:ガラス繊維製チョップドストランドマット
( 番手450g/ m2)まず、80℃に温調したRIM成
形用金型(8mm×250mm×250mm)内に、ガ
ラス繊維製チョップドストランドマットを3プライセッ
トした。金型を閉じ、金型内に30秒間窒素を供給して
空気をパージした。
【0059】次に、従来の触媒を含むジシクロペンタジ
エンA液と、従来の活性剤を含むジシクロペンタジエン
B液(触媒及び活性剤の化合物名は不明)とを混合比率
が1/1になるように、RIM成形機にて上記金型内に
注入した。注入時間は約6秒であった。そして、注入終
了より3分後に型開きを行ったところ、ガラス繊維強化
ポリジシクロペンタジエン製平板を得ることができた
が、ガラス繊維中の空気を排出しきれなかったのか、か
なりの硬化不良が見られ、部分的に充填不良が見られ
た。
【0060】以上の実施例1から実施例4と、比較例2
の各例で得られたサンプル(平板)を治具に固定した状
態で、2mの高さから重量1kgで直径50mmの球形
重錘を落下させる落錘衝撃試験(JIS K 7211
準拠)を行ったところ、実施例1から実施例4のサンプ
ルは若干変形した程度で割れなかったが、比較例2のサ
ンプルは完全に割れてしまった。ただし、比較例1、3
及び4については、硬化不良により、製品とはなり得な
いものであったので、上記落錘衝撃試験は行わなかっ
た。
【0061】以上の実施例からわかるように、本発明の
ノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法は、空気存在
下でも良好な反応性を示し、かつ反応が迅速であり、特
にインサート部材や繊維補強材の存在下でノルボルネン
系ポリマーを重合させる際に硬化不良がないので、良好
な物性を発現可能な成形品を得ることができる。また、
本発明のポリマー成形品の製造方法に用いる重合性組成
物は、ポリエステル樹脂のような従来の注型成形に用い
られている重合性原料と比較して、常温で迅速に重合さ
せることができ、耐衝撃性等の機械物性にも優れた成形
品を得ることができる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のノルボル
ネン系ポリマー成形品の製造方法は、ノルボルネン系モ
ノマーを、酸素や水分に対して安定なルテニウム−カル
ベン錯体又はルテニウムビニリデン錯体(触媒)を用い
て重合させているので、空気存在下でも硬化不良が少な
くなる。これにより、従来不可能であった空気存在下の
成形法である注型成形にてノルボルネン系モノマーを重
合成形することが可能となり、十分な衝撃強度を有する
ノルボルネン系ポリマー成形品を得ることができる。
【0063】また、ノルボルネン系モノマーをインサー
ト部材や繊維補強材と複合成形する際に、硬化不良に起
因する界面密着不良が生じないので、容易に高強度・高
弾性率の成形品を得ることができる。さらに、シリコン
型、木型、樹脂型等の安価な型により容易にノルボルネ
ン系ポリマー成形品を得ることができるので、RIM成
形のような設備投資を必要としない。また、プラスチッ
クをはじめとする各種素材との多層成形品を容易に得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のノルボルネン系ポリマー成形品の製造
方法の一例の説明図である。
【図2】本発明のノルボルネン系ポリマー成形品の製造
方法の、他の例の説明図である。
【図3】本発明のノルボルネン系ポリマー成形品の製造
方法の、更に他の例の説明図である。
【図4】本発明のノルボルネン系ポリマー成形品の製造
方法の、更に他の例の説明図である。
【図5】本発明のポリマー成形品の製造方法で得られる
成形品の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 重合性組成物 2 注型用型 3 ノルボルネンポリマー 4 インサート部材 5 繊維補強材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:08 105:20 Fターム(参考) 4F204 AA12L AB04 AB25 AG02 AK01 AM30 EA03 EB01 EE22 EE23 EF01 EF27 EK13 EK17 4J011 CA01 CA03 CC03 CC08 4J032 CA34 CA38 CA45 CB01 CD02 CE06 CG07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノルボルネン系モノマー及び下記一般式
    (I)で表されるルテニウム−カルベン錯体又は下記一
    般式(II)で表されるルテニウムビニリデン錯体を必須
    成分とする重合性組成物を注型用型に流し込み、その注
    型用型内でノルボルネン系モノマーを重合させることを
    特徴とするノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法。 【化1】 (式中、R1 及びR2 は、互いに独立に、水素、C2 〜
    C20−アルケニル基、C1 〜C20−アルキル基、アリー
    ル基、C1 〜C20−カルボキシレート、C1 〜C20−ア
    ルコキシ基、C2 〜C20−アルケニルオキシ基、アリー
    ルオキシ基、C2〜C20−アルコキシカルボニル基、又
    はC1 〜C20−アルキルチオ基(これらは、C1 〜C5
    −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基に
    よって置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −
    アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5−アルコキシ基によ
    って置換されたフェニル基によって置換されていてもよ
    い)を表し、X1 及びX2 は、互いに独立に、任意のア
    ニオン性配位子を表し、L1及びL2 は、互いに独立
    に、任意の中性電子供与体を表し、X1 、X2 、L1
    びL2 の内、2個または3個は、一緒に多座キレート化
    配位子を形成してもよい) 【化2】 (式中、R3 及びR4 は、互いに独立に、水素、C2 〜
    C20−アルケニル基、C1 〜C20−アルキル基、アリー
    ル基、C1 〜C20−カルボキシレート、C1 〜C20−ア
    ルコキシ基、C2 〜C20−アルケニルオキシ基、アリー
    ルオキシ基、C2〜C20−アルコキシカルボニル基、C1
    〜C20−アルキルチオ基(これらは、C1 〜C5 −ア
    ルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によっ
    て置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −アル
    キル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって
    置換されたフェニル基によって置換されていてもよい)
    又は、フェロセン誘導体を表し、X3 及びX4 は、互い
    に独立に、任意のアニオン性配位子を表し、L3 及びL
    4 は、互いに独立に、任意の中性電子供与体を表し、X
    3 、X4 、L3 及びL4 の内、2個または3個は、一緒
    に多座キレート化配位子を形成してもよい)
  2. 【請求項2】 インサート部材を予め注型用型内に配置
    しておき、ノルボルネン系モノマー及び上記一般式
    (I)のルテニウム−カルベン錯体又は上記一般式(I
    I)のルテニウムビニリデン錯体を必須成分とする重合
    性組成物を注型用型に流し込み、重合によりインサート
    部材と一体化させることを特徴とするノルボルネン系ポ
    リマー成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 インサート部材がオレフィン系熱可塑性
    樹脂製であることを特徴とする請求項2記載のノルボル
    ネン系ポリマー成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 繊維補強材を注型用型内に配置した状態
    で、重合性組成物を注型用型内に流し込むことを特徴と
    する請求項1〜3いずれか1項記載のノルボルネン系ポ
    リマー成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】 ノルボルネン系モノマーがジシクロペン
    タジエンであることを特徴とする請求項1〜4いずれか
    1項記載のノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 注型用型内に重合性組成物を流し込み、
    重合により注型用型とノルボルネン系ポリマーとを一体
    化することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載
    のノルボルネン系ポリマー成形品の製造方法。
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