JP2001026772A - 持続性帯電防止剤 - Google Patents

持続性帯電防止剤

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JP2001026772A
JP2001026772A JP19820499A JP19820499A JP2001026772A JP 2001026772 A JP2001026772 A JP 2001026772A JP 19820499 A JP19820499 A JP 19820499A JP 19820499 A JP19820499 A JP 19820499A JP 2001026772 A JP2001026772 A JP 2001026772A
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quaternary ammonium
ammonium compound
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Hiroshi Igarashi
宏 五十嵐
Masayasu Sato
正康 佐藤
Kinichi Ono
金一 小野
Yoshinobu Komatsu
善伸 小松
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Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第四級アンモニウム系帯電防止剤を有効成分
として含有するにもかかわらず、優れた耐熱性と有効成
分の徐放性乃至帯電防止作用の持続性とを有する帯電防
止剤を提供する。 【解決手段】 長鎖アルキル第4級アンモニウム化合物
とこの第4級アンモニウム化合物を囲むシリカ壁のハニ
カム状ネットワークとから成り且つ回折角2.2乃至
4.4゜(Cu−α)にX線回折ピークを有する複合体
から成ることを特徴とする帯電防止剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、徐放性と耐熱性と
に優れ、取り扱いも容易な帯電防止剤に関するもので、
より詳細には、特定の帯電防止成分の周囲がシリカのネ
ットワークで囲まれた複合体からなる持続性帯電防止剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】帯電防止剤には、アニオン系、カチオン
系、ノニオン系の帯電防止剤が知られているが、これら
の帯電防止剤の内でも帯電防止作用に最も優れているの
がカチオン系帯電防止剤、有機第4級アンモニウム塩で
あることも知られている。
【0003】しかしながら、第4級アンモニウム化合物
は耐熱性に乏しいのが難点であり、樹脂中に配合する
と、分解して帯電防止剤としての作用が失われたり、或
いは樹脂を着色する傾向があり、熱安定性の点で未だ満
足できるものではない。また、第4級アンモニウム化合
物などの帯電防止剤は、樹脂成形品などの表面に移行す
ることにより、帯電防止性能を発現するものであるが、
樹脂中に配合された帯電防止剤の大部分が成形時に樹脂
表面に移行するため、一度樹脂成形品の表面が湿潤さ
れ、或いは表面が払拭されると、帯電防止性能が失わ
れ、その持続性においても未だ十分満足しうるものでは
ない。
【0004】第4級アンモニウム化合物を種々の無機担
体に担持させて用いることも既に提案されている。例え
ば、特開昭64−65158号公報には、層間に有機カ
チオンを組み込んだ有機スメクタイト粘土と、過塩素酸
イオンを有する安定剤と、可塑剤及び/または滑剤とを
配合したことを特徴とする帯電防止塩化ビニル系樹脂組
成物が記載されている。
【0005】特許第2733266号公報には、第4級
アンモニウム塩−過塩素酸塩錯体(A)を、式(3) MO・nSiO ‥‥(3) 式中、Mはアルカリ土類金属を表し、nは1.2乃至5
の数である、で表される組成を有し、平均粒径が44μ
m以下且つ80ml/100g以上の吸油量を有するケ
イ酸アルカリ土類金属塩(B)に、A:B=0.25:
1乃至1.5:1の範囲の重量比で保持せしめた複合体
を、鉛系安定剤並びに可塑剤及び/または滑剤と共に塩
素含有重合体に配合したことを特徴とする帯電防止性塩
素含有重合体組成物が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術にみられるように、予め形成した多孔性担体に帯電
防止剤の有効成分を担持させるという手段では、有効成
分の徐放性、即ち配合した有効成分が表面に徐々に移行
するという特性において未だ限度があると共に、熱安定
性や耐熱性の点でも未だ十分満足しうるものではない。
【0007】即ち、用いた帯電防止性有効成分の内の一
部分は多孔性担体の細孔中に保持されるとしても、有効
成分の大部分は多孔性担体の表面に付着した状態となっ
ており、表面に付着した有効成分は、成形時に殆ど表面
に移行し、徐放性の有効成分が少なく、帯電防止性の持
続性に欠けている。
【0008】また、第4級アンモニウム化合物が耐熱性
に乏しいことは既に指摘したが、多孔性担体担持型の帯
電防止剤を樹脂中に配合した場合にも、樹脂成形品への
成形段階で著しく着色や着臭を生じるという欠点があ
る。
【0009】従って、本発明の目的は、第四級アンモニ
ウム系帯電防止剤を有効成分として含有するにもかかわ
らず、優れた耐熱性と有効成分の徐放性乃至帯電防止作
用の持続性とを有する帯電防止剤を提供するにある。本
発明の他の目的は、樹脂成形品、繊維製品或いは塗料等
に配合することができ、これらの加工に耐える耐熱性を
有し、しかも安定して持続した帯電防止性を付与するこ
とができる帯電防止剤を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、長鎖ア
ルキル第4級アンモニウム化合物とこの第4級アンモニ
ウム化合物を囲むシリカ壁のハニカム状ネットワークと
から成り且つ回折角2.2乃至4.4゜(Cu−α)に
X線回折ピークを有する複合体から成ることを特徴とす
る帯電防止剤が提供される。本発明の帯電防止剤では、
赤外線吸収スペクトルにおいて、下記式(1) R=A/A ‥‥(1) 式中、Aは波数2700〜3100cm−1の範囲に
存在する最大ピークの吸光度を示し、Aは波数830
〜1400cm−1の範囲に存在する最大ピークの吸光
度を示す、で定義される吸光度比(R)が0.1以上で
あることが好ましく、更に、下記式(2) H=(R'/R )×100 ‥‥(2) 式中、R'は R'=A'/A'で表され、A'は複
合体を200重量倍の水(温度25℃)に24時間浸漬
後に測定した赤外線吸収スペクトルにおける波数270
0〜3100cm−1の範囲に存在する最大ピークの吸
光度を示し、A'は波数830〜1400cm−1
範囲に存在する最大ピークの吸光度を示す、で定義され
る長鎖アルキル第4級アンモニウム化合物の保持率
(H)が65乃至99%の範囲にあることが好ましい。
更にまた、本発明に用いる複合体は、ケイ酸アルカリと
長鎖アルキル第4級アンモニウム化合物とを水中で混合
し、得られる溶液に酸を添加して沈殿させ、生成する沈
殿を乾燥することにより得られたものであることが好ま
しい。
【0011】本発明によればまた、(A)上記複合体か
ら成る持続性帯電防止剤と(B)過塩素酸塩と、或いは
更に(C)ポリエーテルまたは可塑剤とを含有して成る
ことを特徴とする持続帯電防止剤組成物が提供される。
この組成物においては、持続性帯電防止剤(A)と過塩
素酸塩(B)とを (A):(B)=50:50乃至95:5 の重量比で含有することが好ましく、ポリエーテルまた
は可塑剤を含有する場合には、ポリエーテルまたは可塑
剤(C)を過塩素酸塩(B)当たり70乃至98重量%
で含有することが望ましい。後者の場合、過塩素酸塩は
ポリエーテルまたは可塑剤中に溶解して存在することが
好ましい。
【0012】
【発明の実施形態】[作用]本発明の帯電防止剤は、長
鎖アルキル第4級アンモニウム化合物を有効成分として
含有する複合物から成るが、(1)この複合物が長鎖ア
ルキル第4級アンモニウム化合物と、この第4級アンモ
ニウム化合物を囲むシリカのハニカム状ネットワークと
から成る構造を有すること、及び(2)この複合体が回
折角2.2乃至4.4゜(Cu−α)にX線回折ピーク
を有するというX線回折学的構造を有すること、が顕著
な特徴である。
【0013】添付図面の図1は、本発明の複合体の赤外
線吸収スペクトルであり、図2は図1の複合体中の有効
成分として用いた塩化ベンザルコニウムの赤外線吸収ス
ペクトルであり、図3は図1の複合体を650℃の温度
で焼成し、塩化ベンザルコニウムを除去して得られるシ
リカの赤外線吸収スペクトルである。これらの赤外線吸
収スペクトルを対比すると、この複合体には、塩化ベン
ザルコニウム及びシリカの各々に特有の吸収以外には格
別のピークは認められなく、塩化ベンザルコニウム及び
シリカがそのままの形で含まれていることが了解され
る。
【0014】更に、本発明の複合体において、長鎖アル
キル第4級アンモニウム化合物を囲むシリカ壁のハニカ
ム状ネットワークが存在することは、X線回折像と、複
合体焼成物の細孔分布とから確認できる。
【0015】図4は図1に示した本発明の複合体のX線
回折像であり、この複合体は、実質上回折角2.2乃至
4.4゜(Cu−α)にのみX線回折ピークを有してい
る。この回折ピークは、面指数[001]に対応するも
のであるが、シリカ壁の配列に一定の方向性があると共
に、その間隔にも一定の規則性があることが了解され
る。
【0016】図5は、本発明に用いる複合体の焼成物
(長鎖アルキル第4級アンモニウム化合物が除かれたも
の)についての細孔分布曲線を示す。この焼成物は、一
般に細孔径20乃至40オングストロームに細孔容積の
極大値を有している。
【0017】上記複合物についてのX線回折像と焼成物
についての細孔分布とを総合すると、長鎖アルキル第4
級アンモニウム化合物を囲むシリカ壁がハニカム状ネッ
トワークとして存在していることが確認できる。
【0018】本発明においては、長鎖アルキル第4級ア
ンモニウム化合物を囲む形でシリカ壁が形成されるので
あり、シリカ壁で囲まれた空間内に長鎖アルキル第4級
アンモニウム化合物が充填されるのではない点が注目さ
れるべきである。
【0019】即ち、本発明に用いる複合体では、長鎖ア
ルキル第4級アンモニウム化合物がシリカ壁のハニカム
状ネットワークで囲まれているため、第4級アンモニウ
ム化合物の耐熱性が顕著に向上している。図6は、本発
明の複合体の示差熱分析曲線であり、一方、図7は、図
6に示す複合体を焼成して、シリカ壁のハニカム状ネッ
トワークのみを残留させ、このシリカに再度、長鎖アル
キル第4級アンモニウム化合物を担持させたものの示差
熱分析曲線である。図6と図7とを対比すると、本発明
の複合体と第4級アンモニウム化合物を後から担持させ
た複合体の250〜300℃の発熱ピークを比べると本
発明の複合体の方のピークが小さく、熱分解が抑制され
ていると思われる。かくして、本発明によれば、熱に対
して不安定な第4級アンモニウム化合物を熱安定化さ
せ、樹脂成形品、繊維製品或いは塗料等に配合し、これ
らの製品に安定し且つ持続した帯電防止性を付与するこ
とができる。
【0020】本発明の帯電防止剤は、前述した複合体の
構造にも関連して、長鎖アルキル第4級アンモニウム化
合物を高い濃度で含有している。複合体中の第4級アン
モニウム化合物の濃度は赤外線吸収スペクトルから求め
ることができる。本発明では、この赤外線吸収スペクト
ルにおいて、下記式(1) R=A/A ‥‥(1) 式中、Aは波数2700〜3100cm−1の範囲に
存在する最大ピークの吸光度を示し、Aは波数830
〜1400cm−1の範囲に存在する最大ピークの吸光
度を示す、で定義される吸光度比(R)が0.1以上、
特に0.3乃至0.6の範囲にあることが好ましい。
尚、上記吸光度Aは長鎖アルキル第4級アンモニウム
化合物のメチレン基に基づく特性吸収によるものであ
り、また、吸光度AはシリカのSi−O伸縮振動に基
づく特性吸収によるものである。この吸光度比(R)は
第4級アンモニウム化合物の濃度に対してほぼ比例して
おり、第4級アンモニウム化合物の種類によっても相違
するが、塩化ベンザルコニウムの場合上記下限値がほぼ
40重量%の濃度に対応する。吸光度比(R)が上記範
囲よりも低い場合には帯電防止性やその持続性の点で好
ましくない。
【0021】また、本発明の帯電防止剤は、前述した複
合体の構造に関連して、有効成分である第4級アンモニ
ウム化合物の徐放性を有する。本発明の帯電防止剤は、
下記式(2) H=(R'/R )×100 ‥‥(2) 式中、R'は R'=A'/A'で表され、A'は複
合体を200重量倍の水(温度25℃)に24時間浸漬
後に測定した赤外線吸収スペクトルにおける波数270
0〜3100cm−1の範囲に存在する最大ピークの吸
光度を示し、A'は波数830〜1400cm−1
範囲に存在する最大ピークの吸光度を示す、で定義され
る長鎖アルキル第4級アンモニウム化合物の保持率
(H)が65乃至99%、特に85乃至99%の範囲に
ある。本発明の複合体を焼成して、シリカ壁のハニカム
状ネットワークのみを残留させ、このシリカに再度、長
鎖アルキル第4級アンモニウム化合物を担持させたもの
では、この第4級アンモニウム化合物の保持率(H)は
わずか45%程度である。このことから、本発明の帯電
防止剤ではシリカ構造中に保持されている第4級アンモ
ニウム化合物の量が大であり、従って樹脂成形品中に配
合した場合にも、第4級アンモニウム化合物が樹脂成形
時に一度に成形品表面に移行することなく、樹脂中に保
持されており、徐放性、結果として帯電防止性の持続性
に優れていることの理由が明らかとなる。
【0022】本発明の帯電防止剤を配合した樹脂成形品
は、25℃、65%RHの条件で測定して、表面固有抵
抗が1×1012Ω/□以下、特に1×1011Ω/□
以下であり、しかも帯電圧減衰半減期が10秒以下、特
に1秒以下であるという特徴を有している。この静電気
的特性に加えて、本発明の帯電防止剤を配合した樹脂成
形品では、過度のブリードアウトがなく、表面にべたつ
きを発生せず、また表面に曇りを発生しないという利点
をも有しており、外観特性及び表面特性が改善された樹
脂成形品を提供することが可能となる。
【0023】帯電防止性と、表面固有抵抗及び帯電圧減
衰半減期との間には、一定の関係があることが知られて
おり、例えば、宮本憲興著「帯電防止剤の現状」、静電
気学会誌第11巻第3号(1987)によれば、25
℃、50%RHの測定条件において、表面固有抵抗が1
×1013Ω/□より大、帯電圧減衰半減期が30se
cより大では帯電防止効果不良、表面固有抵抗が1×1
11〜1×1013Ω/□、帯電圧減衰半減期が2〜
10secでは帯電防止効果良好、表面固有抵抗が1×
1011Ω/□より小、帯電圧減衰半減期が2secよ
り小では帯電防止効果非常に良好、と分類されている。
この分類に従えば、本発明の帯電防止剤は、良好乃至非
常に良好な帯電防止効果を示すものに属することが明白
である。
【0024】本発明の複合体から成る帯電防止剤は、過
塩素酸塩、特に過塩素酸リチウムと組み合わせて用いる
ことが初期帯電防止性及び樹脂の着色防止の点で好まし
い。本発明の第4級アンモニウム化合物・シリカ複合体
が帯電防止性及びその持続性に優れていることは既に指
摘したとおりであるが、有効成分である第4級アンモニ
ウム化合物の放出が徐々に起こるため、樹脂成形の直後
における表面帯電防止性がやや低いレベルにある場合も
ある。これに対して、この複合体と共に、過塩素酸塩、
特に過塩素酸リチウムを配合すると、表面の電気抵抗が
より低いレベルに抑制されると共に、帯電圧減衰半減期
も低いレベルに抑制されるのである。
【0025】更に、本発明の帯電防止剤は耐熱性に優れ
ているが、樹脂の種類や加工温度によって、配合樹脂組
成物を若干着色する場合がある。この場合にも、第4級
アンモニウム化合物・シリカ複合体に過塩素酸塩を配合
することに着色傾向を抑制することが可能となる。この
改善は、過塩素酸塩のマスキング作用によるものと思わ
れる。
【0026】本発明において、過塩素酸塩を併用する場
合、ポリエーテルとともに用いることが特に有効であ
る。過塩素酸塩とポリエーテルとを組み合わせて用いた
場合、樹脂成形の直後における表面帯電防止性を一層向
上させることができると共に、マスキングによる色消し
効果も一層顕著なものとなる。
【0027】[複合体の製造]本発明に用いる複合体
は、ケイ酸アルカリと長鎖アルキル第4級アンモニウム
化合物とを水中で混合し、得られる溶液に酸を添加して
沈殿させ、生成する沈殿を乾燥することにより得られ
る。
【0028】本発明の複合体の製造原理は、これによっ
て本発明を何らかの意味で拘束するものではないが、次
のように考えられる。即ち、溶液中の長鎖アルキル第4
級アンモニウム化合物が親油性基を中心及び親水性カチ
オン性基を表面としたミセル構造を形成し、一方溶液中
の負に帯電したシリカのモノマー乃至オリゴマーが上記
ミセルと相互作用し、シリカ−第4級アンモニウム化合
物メソ構造体のヘキサゴナル相が形成することによると
解される。
【0029】複合体を製造するには、先ず、ケイ酸アル
カリ溶液と長鎖アルキル第4級アンモニウム化合物と
を、アルカリ性水性媒体中で加熱混合する。混合時のp
Hは12以上であることが好ましい。原料のケイ酸アル
カリとしては、式(4) MO・mSiO ‥‥(4) 式中、Mはアルカリ金属であり、mは1乃至4の数、特
に2.5乃至3.5の数である。の組成を有するケイ酸
アルカリの水溶液を使用する。ケイ酸カリウム及びケイ
酸ソーダの何れをも使用可能であるが、経済的見地から
はケイ酸ソーダが好適である。
【0030】ケイ酸アルカリは、pHが12よりも大き
いアルカリ性媒体中で、長鎖アルキル第4級アンモニウ
ム化合物と混合するのがよく、この目的でケイ酸アルカ
リを水酸化アルカリと組み合わせて使用する。水酸化ア
ルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
が好適に使用され、媒体のpHが上記範囲となるように
用いる。媒体のpHは、好ましくは12.1乃至13.
5、更に好ましくは12.1乃至12.5である。
【0031】長鎖アルキル第4級アンモニウム化合物と
しては、それ自体公知の任意の化合物を用いることもで
きる。長鎖アルキル第4級アンモニウム化合物の適当な
例は、これらに限定されないが、次の通りである。長鎖
アルキル第4級アンモニウム塩;特に下記式(5) 式中、R、R、R及びRの各々はその内の少な
くとも1個が炭素数10乃至24のアルキル基であると
いう条件下に1価炭化水素基であり、Xは酸アニオンで
ある、の4級アンモニウム塩。例えばアルキルトリメチ
ルアンモニウムハライド、ジアルキルジメチルアンモニ
ウムハライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウム
ハライド等。一層具体的には、ヘキサデシルトリメチル
アンモニウムクロリド(以後、HDTMAと記すことが
ある)、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデ
シルトリメチルアンモニウムクロリド(以後、DDTM
Aと記すことがある)、テトラデシルトリメチルアンモ
ニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウム
クロリド(以後、ODTMAと記すことがある)、ヘキ
サデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシ
ルジメチルベンジルアンモニウムクロリド等。
【0032】また、下記式(6) 式中、Rは炭素数8乃至24のアルキル基であり、
(N)はピリジン基を表す、の4級アンモニウム塩。例
えばドデシルピリジニウムクロライドの如きアルキルピ
リジニウム・クロライド。これらの中でも、塩化ベンザ
ルコニウム、HDTMA、DDTMA、ODTMAが好
適である。
【0033】混合溶液中におけるケイ酸アルカリの濃度
は、SiO基準で5乃至50g/Lの濃度、特に8乃
至20g/Lの範囲にあるのが、生産性や作業性の点で
好適である。シリカ原料を高濃度で含有する混合溶液を
調製し、この混合溶液から複合体を晶出させることがで
き、これにより、高い生産性をもって複合体を製造する
ことができる。SiO濃度が上記範囲よりも低い場合
には、生産性が低下するので好ましくなく、一方上記濃
度よりも高い場合には、粘度が高くなり、撹拌による混
合溶液の均質化が困難になるなど、作業性の点で好まし
くない。
【0034】混合溶液の作成に当たっては、シリカ−第
4級アンモニウム化合物のメソ構造体が安定に形成され
るように、シリカと第4級アンモニウム化合物との量比
を選択すべきであるが、一般に、第4級アンモニウム化
合物をSiO基準で50乃至150重量%、特に60
乃至100重量%の量で用いることが望ましい。即ち、
第4級アンモニウム化合物の量が上記範囲よりも少ない
と、メソ構造体の安定な生成が困難となる傾向があり、
一方上記範囲よりも多い量で使用しても、メソ構造体の
安定性や複合体の物性の点では格別の利点はなく、経済
的には不利であるようになる。なお、SiO基準と
は、シリカ源として用いるケイ酸アルカリ中のSiO
分を基準としている。
【0035】ケイ酸アルカリと第4級アンモニウム化合
物とのアルカリ性水性媒体中での加熱混合を10乃至9
5℃、特に50乃至75℃の温度で1乃至10時間撹拌
下に行うことが好ましく、特にアルカリ性水性媒体中で
の加熱混合を溶液が透明な状態に維持されるように行う
ことが望ましい。
【0036】透明で均質な混合溶液が形成された後、こ
の混合溶液に酸水溶液を添加し、pHを8以上で10.
5未満の範囲、特に8.5乃至10に調節して、シリカ
と第4級アンモニウム化合物との複合物を沈殿として析
出させる。酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類が
好適に使用されるが、勿論これに限定されない。この複
合物の沈殿の形成は、一般に10乃至95℃、特に50
乃至75℃の温度で、1乃至10時間撹拌下に行うこと
ができる。
【0037】生成する沈殿を、濾過等の固液分離により
母液から分離し、イオン交換水或いは純粋等により、水
洗し、乾燥して製品とする。乾燥は、複合体中の水分を
除去するためのものであって、複合体中の第4級アンモ
ニウム化合物の分解や熱劣化を避けるように、一般に5
0乃至70℃の温度で、1乃至50時間程度行うのがよ
い。
【0038】[複合体]本発明に用いる複合体は、回折
角2.2乃至4.4゜(Cu−α)にX線回折ピークを
有する。即ち、図4に示すように、X線回折像におい
て、低角度側にX線回折ピークが観察される。また、図
8からは、非晶質シリカに特有のブロードなハロー(2
θ=20〜25゜)も観察される。この回折ピークの面
間隔((d)オングストローム)は用いる第4級アンモ
ニウム化合物の長鎖アルキル基の鎖長によって変化す
る。即ち、アルキル基の鎖長が長くなると、シリカのハ
ニカム状ネットワークのX線回折ピークの面間隔は増大
する。X線回折像において、低角側のX線回折ピーク以
外のピークが認められないことからみて、このハニカム
状ネットワークのシリカ壁は本質的に非晶質であり、前
記X線回折ピークは規則正しいシリカ壁の配列を反映し
ているものと認められる。
【0039】本発明の複合体におけるシリカ壁のハニカ
ム状ネットワークとは、シリカ壁断面形状が、六角形の
場合だけでなく、三角形状、四角形状、平行四辺形状、
円形状、楕円形状、サインカーブと反転サインカーブと
で囲まれた形状等の任意の形状であってよく、第4級ア
ンモニウム化合物の空間の周りを閉じた壁面で取り囲む
ものであればよい。
【0040】本発明による複合体のシリカ壁面の間隔
は、前述したX線回折像の面間隔に相当するものであ
り、下記のBraggの式(7) nλ=2dhkl Sinθ ‥‥(7) 式中、nは次数であり、λはX線の波長であり、dhkl
はシリカ壁面の(hkl)の面間隔であり、θは回折角
である、から求められる。この間隔は、用いる第4級ア
ンモニウム化合物の種類によっても相違するが、一般に
20乃至50オングストロームの範囲内にある。
【0041】一方、本発明の複合体から、焼成により第
4級アンモニウム化合物を除去し、シリカ壁のハニカム
状ネットワークを残留させたシリカは、細孔径20乃至
40オングストロームに細孔容積の極大値を有するもの
であって、X線回折の結果とよく対応している。
【0042】また、焼成により得られたシリカのハニカ
ム状ネットワークについて求めた細孔容積は、一般に、
細孔径10〜50オングストロームの範囲において、一
般に0.1乃至0.5cm/g、特に0.2乃至0.
4cm/gの範囲内にある。更に、シリカのハニカム
状ネットワークは、一般に1000乃至1400m
g、特に1050乃至1300m/gの比表面積(気
圧0.1以下での窒素吸着法)を有する。
【0043】本発明の複合体は、取り扱いの容易な粉体
であり、レーザ散乱法で求めたメジアン径は一般に1乃
至5μmの範囲にあり、その粒子径状は不定形である。
添付図面の図9は本発明の複合体の粒子構造を示す走査
型電子顕微鏡(SEM)写真である。また、この複合体
は、比較的デンスであり、鉄シリンダー法で測定した嵩
密度は、0.1乃至0.5g/mlの範囲にある。更
に、本発明の複合体は、粉砕容易であり、これをそれ自
体公知の微粉砕機で微粉砕して、メジアン径が0.5乃
至5.0μmのサブミクロン粒子とすることもできる。
【0044】[帯電防止剤乃至帯電防止剤組成物]本発
明による複合体は、優れた有効成分の徐放性と改善され
た耐熱性とを有しており、有効成分の第4級アンモニウ
ム化合物の徐放性を有する帯電防止剤、特に樹脂配合型
の帯電防止剤としての用途に有用である。即ち、ブリー
ド性が大であり、やや安定性や熱安定性に乏しい第4級
アンモニウム化合物の周囲にシリカ壁のハニカム状ネッ
トワークを形成させることにより、有効成分を安定に維
持することが可能となると共に、有効成分が持続して徐
々に放出される徐放性を付与することが可能となる。
【0045】上記複合体との組合せで用いる過塩素酸塩
としては、式(8) M(ClO)m・nHO ‥‥(8) 式中、Mは無機カチオンの価数であり、nは6以下の数
である、の化合物が挙げられ、その例として、過塩素酸
リチウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過
塩素酸カルシウム、過塩素酸マグネシウムが挙げられ
る。過塩素酸リチウムが特に好適である。
【0046】この組成物においては、持続性帯電防止剤
(A)と過塩素酸塩(B)とを (A):(B)=50:50乃至95:5 特に60:40乃至90:10 の重量比で含有することが好ましい。
【0047】本発明では、上記過塩素酸塩は、ポリエー
テルまたは可塑剤とともに用いるのが前述した効果の増
強の点で好ましい。
【0048】ポリエーテルとしては、ポリアルキレンオ
キシド、例えばポリエチレングリコール(以下、PEG
と記すことがある)、ポリプロピレングリコール、ポリ
ブチレングリコール、ポリオキシエチレン/ポリオキシ
プロピレン共重合体;或いはグリセリン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリ
トール、マンニトール、ソルビトール等へのエチレンオ
キサイド付加物などが使用される。
【0049】ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレ
ン単位を含有する非イオン型界面活性剤を用いることが
でき、その例として、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸アミドエーテル、ポリオキシエチレン多価アル
コール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0050】本発明においては、上に述べたポリエーテ
ルの内でも、ポリエチレングリコール、特に下記式
(9) HO(CHCHO)nH ‥‥(9) 式中、nは4乃至100の数である、で表されるポリエ
チレングリコールを用いることが望ましい。この範囲の
分子量のポリエチレングリコールは、前述した帯電防止
性の増大や、着色に対するマスキング作用に特に優れて
いる。
【0051】可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑
剤、アジピン酸エステル系可塑剤、コハク酸エステル系
可塑剤等のエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、
燐酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤、エポキシ系滑剤
などがあげられる。
【0052】ポリエーテルまたは可塑剤(C)は、過塩
素酸塩(B)当たり70乃至98重量%、特に70乃至
90重量%の量で含有させることが望ましい。
【0053】本発明においては、過塩素酸塩はポリエー
テルまたは可塑剤中に溶解して存在することが、帯電防
止性の増大や、着色に対するマスキング作用を増大させ
る目的に、特に好ましい。
【0054】本発明の複合体は、粉体の形で、或いは粒
状物の形で、或いは更に成形体の形で用いることができ
る。即ち、複合体を単独で、或いはその他の造粒媒体と
共に、粒状物や成形体に成形できる。例えば、この粒状
体や成形体の成形には、後述するワックス類や低融点樹
脂等を造粒媒体として配合することができる。
【0055】有機成分としてはシリコンオイルの他にワ
ックス類や低融点樹脂類等が好適に使用される。これら
の有機処理剤は、本発明の複合体100重量部当たり1
乃至30重量部の量で用いるのがよい。
【0056】これらの有機成分としてのワックス類や低
融点樹脂類には、 (1)脂肪酸及びその金属塩:高級脂肪酸(炭素数が8
〜22のもの)またその金属塩(アルカリ金属塩、アル
カリ土類金属塩、Zn塩、Al塩): (2)アマイド、アミン、一価、多価アルコールの脂肪
酸エステル:高級脂肪酸アマイド、エルカ酸アミド、ス
テアリルエルカミド、2−ステアロミドエチルステアレ
ート、エチレンビス脂肪酸アマイド、脂肪酸ジエタノー
ルアミン、ステアリン酸n−ブチル、グリセリン脂肪酸
エステル、ペンタエリスリト−ル、ポリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエ
チレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコ
ールジラウレート、ジエチレングリコールステアリン酸
ジエステル、トリグリセライドワックス、ポリエチレン
ワックス、エポキシ変性ポリエチレンワックス: (3)低融点樹脂としては、融点或いは軟化点が40乃
至160℃、例えば、エポキシ樹脂、キシレン−ホルム
アルデヒド樹脂、スチレン系樹脂、アルキッド樹脂、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、低融点アクリル樹脂、ポ
リビニルプチラーアル、テルペン樹脂、石油樹脂等:が
挙げられ、これらのワックス類及び低融点樹脂は、単独
或いは2種以上の組合せで使用できる。
【0057】複合体からの第4級アンモニウム化合物の
徐放性を強調するために、複合体の粉粒体乃至成形体を
シリコンオイル等の有機処理剤で処理して、被覆層を形
成することができる。
【0058】以下に実施例により本発明を説明する。な
お、物性は以下の方法で測定を行った。
【0059】(1)XRD測定 理学電機(株)製のGeigerflexを用いて、C
u−Kαにて測定した。 ターゲット Cu フィルター Ni 検出器 SC 電圧 35KVP 電流 15mA カウントフルスケール 80000c/s(図4) 8000c/s(図8) 時定数 1sec 走査速度 1°/min スリット DS1° RS0.3mm SS1° 照角 6° 方射角 1゜
【0060】(2)赤外吸収スペクトル(IR)分析 測定試料は予め恒温乾燥機を用いて60℃で乾燥したも
のを調製した。調製した測定試料を、日本分光(株)製の
FT/IR−610型赤外吸収スペクトル分析装置を用
いて測定を行った。測定結果より、吸光度比(R)及び
保持率(H)を求めた。
【0061】(3)熱分析(DTA) 理学(株)製TAS−100−TG8110を用いて測
定した。測定条件としては、標準物質α−Al
昇温速度10℃/分、空気雰囲気の25乃至900℃迄
の範囲での熱分析を行なった。尚、測定試料は60℃で
乾燥して調製したものである。
【0062】〔帯電防止性〕帯電防止剤の帯電防止性を
見るためにPVCとL-LDPE樹脂にそれぞれ配合して評価し
た。シートの配合及び作成条件は以下のとおりである。 (PVCシート配合条件) 配合品 重量部 PVC(中央PVC製ビニクロン4000M) 100部 DOP(フタル酸ジオクチル) 50部 安定剤(水澤化学製スタビネックスNL-120) 2部 帯電防止剤 2部 (但し、帯電防止剤が市販品のニューエレガンAの時は1部) 3.5インチの混練ロールで150℃で3分間混練し、
165℃で150kg/cmで3分間プレスし、厚さ0.
8mmの軟質塩ビシートを作成した。作成した各シートと
も、関係湿度65%のデシケータ中に24時間保存した
後に各測定を行った。 (L-LDPEシート配合条件) 配合品 重量部 L-LDPE(住友化学製FS240A) 100部 帯電防止剤 3部 (但し、帯電防止剤が市販品のTS-3の時は1部) 混練ロールで125℃で5分間混練し、150℃で15
0kg/cmで2分間プレスし、厚さ1.0mmのL-LDPEシ
ートを作成した。作成した各シートとも、関係湿度65
%のデシケータ中に24時間保存した後に各測定を行っ
た。
【0063】(4)ギヤオーブン耐熱試験方法 プレスシートを185℃のギヤオーブン中で、その温度
条件下に保持し、シートが熱劣化により着色度を以下の
ように7段階で評価し、熱安定性を評価した。 1.白色 2.淡黄色 3.黄色 4.淡褐色 5.褐色 6.濃褐色 7.黒色
【0064】(5)表面固有抵抗及び体積抵抗の測定 JIS K 6911,5,13に準拠して行った。
【0065】(6)帯電圧と減衰時間(半減期)の測定 JIS L 1094,3,1に準拠して、シシド静電気(株)製スタ
ティックネオストメーターを使用し、印加電圧+10k
Vで測定した。
【0066】(7)ブリード持続性の評価方法 相対湿度65%でのブリード性と60℃乾燥後の表面状
態を5人に観察してもらい、ブリード性について以下の
基準で官能評価をしてもらい、その総合点で評価した。 0点:ブリード無し 1点:ブリードがほとんど無い 2点:ブリードがややある 3点:ブリードが大量にある
【0067】(8)エタノール洗浄条件及び耐水性試験
方法 試験片を関係湿度65%のデシケータ中に24時間保存
した後に、試験片をエタノールにどぶ漬けした後、窒素
ガスにて表面のエタノールを吹き飛ばし、乾燥し、エタ
ノール洗浄後の表面抵抗、摩擦帯電圧、帯電圧減衰速度
の測定を行った。またエタノール洗浄後のシートを流水
(2L/min)にて6日間水洗を行い60℃で乾燥後、表
面抵抗、摩擦帯電圧、帯電圧減衰速度の測定を行い変化
を観察した。
【0068】帯電防止剤は、以下のように調製した。 (帯電防止剤1)1Lの容器に、イオン交換水600g
に3号ケイ酸ソーダ(SiO=23%、NaO=7
%)54g、水酸化ナトリウム6g、濃度40%のヘキ
サデシルトリメチルアンモニウムクロリド(HDTM
A:日本油脂製ニッサンカチオンBP−40)ブタノー
ル溶液26.6gをこの順に加えて、70℃で3時間、
加熱しながら混合した。次に、得られた溶液に2NのH
Clを加えてpHを8.0に調整し、70℃で3時間加
熱しながら混合した。その後、混合物を濾過、水洗し、
60℃で2日間乾燥し帯電防止剤を得た。この帯電防止
剤をS−1とする。
【0069】(帯電防止剤2)実施例1の、HDTMA
ブタノール溶液を、サニゾールC(塩化ベンザルコニウ
ム50%水溶液:花王(株)製)21.3gに変えた以
外は実施例1と同様にして行い、帯電防止剤を得た。こ
の帯電防止剤をS−2とする。
【0070】(帯電防止剤3)S−1と過塩素酸リチウ
ムを、S−1:過塩素酸リチウム=2:1の割合で混合
し帯電防止剤を得た。この帯電防止剤をS−3とする。
【0071】(帯電防止剤4)S−2と過塩素酸リチウ
ムを、S−2:過塩素酸リチウム=2:1の割合で混合
し帯電防止剤を得た。この帯電防止剤をS−4とする。
【0072】(帯電防止剤5)PEG(ポリエチレング
リコール)70重量%に過塩素酸リチウム30重量%を
加えた混合物1重量部に、S−1を2重量部混合し帯電
防止剤を得た。この帯電防止剤をS−5とする。
【0073】(帯電防止剤6)S−1が70重量%に対
して、PEG(ポリエチレングリコール)70重量%に
過塩素酸リチウム30重量%を加えた混合物を30重量
%混合し帯電防止剤を得た。この帯電防止剤をS−6と
する。
【0074】(帯電防止剤7)PEG(ポリエチレング
リコール)70重量%に過塩素酸リチウム30重量%を
加えた混合物1重量部に、S−2を2重量部混合し帯電
防止剤を得た。この帯電防止剤をS−7とする。
【0075】(帯電防止剤8)S−2が70重量%に対
して、PEG(ポリエチレングリコール)70重量%に
過塩素酸リチウム30重量%を加えた混合物を30重量
%混合し帯電防止剤を得た。この帯電防止剤をS−8と
する。
【0076】(帯電防止剤9)DOP(フタル酸ジオク
チル)80重量%に過塩素酸リチウム20重量%を加え
た混合物1重量部に、S−1を2重量部混合し帯電防止
剤を得た。この帯電防止剤をS−9とする。
【0077】(帯電防止剤10)実施例1で得られた複
合体を650℃で焼成し、得られたメソポーラスシリカ
に、HDTMA/メソポーラスシリカ=1となるように
HDTMA40%ブタノール溶液を添加含浸し、帯電防
止剤を得た。この帯電防止剤をS−10とする。
【0078】(帯電防止剤11)実施例2の複合体を6
50℃で焼成し、得られたメソポーラスシリカに、塩化
ベンザルコニウム/メソポーラスシリカ=1となるよう
にサニゾールCを添加含浸し、帯電防止剤を得た。この
帯電防止剤をS−11とする。
【0079】(帯電防止剤12)市販の帯電防止剤であ
るニューエレガンA(日本油脂製)を用いた。この帯電
防止剤をS−12とする。
【0080】(帯電防止剤13)市販の帯電防止剤であ
るTS−3(花王製)を用いた。この帯電防止剤をS−
13とする。
【0081】(帯電防止剤14)水澤化学製の非晶質シ
リカ(ミズカシルP−707)にHDTMA/シリカ=
1となるようにHDTMA40%ブタノール溶液を添加
含浸し、帯電防止剤を得た。この帯電防止剤をS−14
とする。
【0082】(帯電防止剤15)水澤化学製の非晶質シ
リカ(ミズカシルP−707)に、塩化ベンザルコニウ
ム/シリカ=1となるようにサニゾールCを添加含浸
し、帯電防止剤を得た。この帯電防止剤をS−15とす
る。
【0083】各帯電防止剤について実験を行い、IR分
析の結果を表1に示す。また、軟質PVCでの評価(実施
例1〜7、比較例1〜6)結果を表2及び表3に示し、
L-LDPEでの評価(実施例8〜11、比較例7〜12)結
果を表4に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、第4級アンモニウム系
帯電防止剤を有効成分として含有するにもかかわらず、
優れた耐熱性と有効成分の徐放性とを有する帯電防止剤
が得られた。また、本発明の徐放性を有する帯電防止剤
は、樹脂成形品、繊維製品或いは塗料等に配合すること
ができ、これらの加工に耐える耐熱性を有し、しかも安
定して持続した帯電防止性を付与することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電防止剤(塩化ベンザルコニウム−
シリカ複合体)の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】本発明の帯電防止剤の有効成分として用いた塩
化ベンザルコニウムの赤外線吸収スペクトルである。
【図3】本発明の帯電防止剤を650℃の温度で焼成し
て得られたシリカの赤外線吸収スペクトルである。
【図4】本発明の帯電防止剤のX線回折スペクトル(回
折角(2θ)が2〜10°)である。
【図5】本発明の帯電防止剤を650℃の温度で焼成し
て得られたシリカの細孔分布曲線である。
【図6】本発明の帯電防止剤の示差熱分析曲線である。
【図7】本発明の帯電防止剤を650℃の温度で焼成し
て得られたシリカに再度、塩化ベンザルコニウムを担持
させたものの示差熱分析曲線である。
【図8】本発明の帯電防止剤を650℃の温度で焼成し
て得られたシリカのX線回折スペクトル(回折角(2
θ)が3〜40°)である。
【図9】本発明の帯電防止剤の走査型電子顕微鏡写真で
ある。
【図10】本発明の帯電防止剤を200重量倍の水(温
度25℃)に24時間浸漬後に測定した赤外線吸収スペ
クトルである。
【図11】本発明の帯電防止剤を650℃の温度で焼成
して得られたシリカに再度、塩化ベンザルコニウムを担
持させたものの赤外線吸収スペクトルである。
【図12】本発明の帯電防止剤を650℃の温度で焼成
して得られたシリカに再度、塩化ベンザルコニウムを担
持させたものを200重量倍の水(温度25℃)に24
時間浸漬後に測定した赤外線吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 金一 東京都中央区日本橋室町四丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 (72)発明者 小松 善伸 東京都中央区日本橋室町四丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CD001 CF001 CH021 CH051 DE197 EH098 EH148 EN136 EU046 EW048 FB076 FD021 FD028 FD106 FD107 FD200 FD311 GT00 HA09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長鎖アルキル第4級アンモニウム化合物
    と、この第4級アンモニウム化合物を囲むシリカ壁のハ
    ニカム状ネットワークとから成り且つ回折角2.2乃至
    4.4゜(Cu−α)にX線回折ピークを有する複合体
    から成ることを特徴とする持続性帯電防止剤。
  2. 【請求項2】 赤外線吸収スペクトルにおいて、下記式
    (1) R=A/A ‥‥(1) 式中、Aは波数2700〜3100cm−1の範囲に
    存在する最大ピークの吸光度を示し、 Aは波数830〜1400cm−1の範囲に存在する
    最大ピークの吸光度を示す、で定義される吸光度比
    (R)が0.1以上であることを特徴とする請求項1に
    記載の持続性帯電防止剤。
  3. 【請求項3】 下記式(2) H=(R'/R )×100 ‥‥(2) 式中、R'は R'=A'/A'で表され、 A'は複合体を200重量倍の水(温度25℃)に2
    4時間浸漬後に測定した赤外線吸収スペクトルにおける
    波数2700〜3100cm−1の範囲に存在する最大
    ピークの吸光度を示し、 A'は波数830〜1400cm−1の範囲に存在す
    る最大ピークの吸光度を示す、で定義される長鎖アルキ
    ル第4級アンモニウム化合物の保持率(H)が65乃至
    99%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2
    に記載の持続性帯電防止剤。
  4. 【請求項4】 前記複合体がケイ酸アルカリと長鎖アル
    キル第4級アンモニウム化合物とを水中で混合し、得ら
    れる溶液に酸を添加して沈殿させ、生成する沈殿を乾燥
    することにより得られたものであることを特徴とする請
    求項1乃至3の何れかに記載の持続性帯電防止剤。
  5. 【請求項5】 (A)請求項1乃至4の何れかに記載の
    持続性帯電防止剤と(B)過塩素酸塩とを含有して成る
    ことを特徴とする持続帯電防止剤組成物。
  6. 【請求項6】 持続性帯電防止剤(A)と過塩素酸塩
    (B)とを (A):(B)=50:50乃至95:5 の重量比で含有することを特徴とする請求項5に記載の
    持続性帯電防止剤組成物。
  7. 【請求項7】 更に、(C)ポリエーテルまたは可塑剤
    を含有して成ることを特徴とする請求項5または6に記
    載の持続性帯電防止剤組成物。
  8. 【請求項8】 ポリエーテルまたは可塑剤(C)を過塩
    素酸塩(B)当たり70乃至98重量%で含有すること
    を特徴とする請求項7に記載の持続性帯電防止剤組成
    物。
  9. 【請求項9】 過塩素酸塩(B)がポリエーテルまたは
    可塑剤(C)に溶解された状態で存在することを特徴と
    する請求項7または8に記載の持続性帯電防止剤組成
    物。
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