JP2001025922A - 細穴加工完了検出手段を備えた細穴放電加工方法 - Google Patents

細穴加工完了検出手段を備えた細穴放電加工方法

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JP2001025922A
JP2001025922A JP11196914A JP19691499A JP2001025922A JP 2001025922 A JP2001025922 A JP 2001025922A JP 11196914 A JP11196914 A JP 11196914A JP 19691499 A JP19691499 A JP 19691499A JP 2001025922 A JP2001025922 A JP 2001025922A
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pipe electrode
workpiece
machining
electrode
small hole
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Tsutomu Watanabe
勉 渡邉
Takashi Mitsuyasu
隆 光安
Tatsuji Komatsu
達司 小松
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Seibu Electric and Machinery Co Ltd
Original Assignee
Seibu Electric and Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この細穴放電加工方法は,パイプ電極の下降
量によって工作物への細穴加工の完了状態を判断する。 【解決手段】 この細穴放電加工方法は,パイプ電極の
工作物への下降によってパイプ電極と工作物との近接状
態を検出する検出センサーのオンによって工作物に対す
るパイプ電極の放電加工開始位置を決定する。次いで,
工作物への加工細穴距離に対応するパイプ電極の加工有
効長さを演算し,パイプ電極の長さが加工有効長さ以上
であることに応答してパイプ電極と工作物との間に加工
電圧を印加し,パイプ電極による工作物の細穴加工を実
行し,放電加工開始位置から加工細穴距離に対応するパ
イプ電極の送り込み量に達した状態で工作物への所定の
距離の細穴加工の完了状態であると判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,パイプ電極によ
って工作物に細穴を加工し,細穴加工の完了状態を検出
できる細穴加工完了検出手段を備えた細穴放電加工方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の細穴放電加工機は,上下動可能な
パイプ電極とテーブルの所定の位置に設置された工作物
との間に極間電圧を印加して発生させる放電エネルギー
によって前記工作物に細穴を加工するものであり,細穴
の加工に際して電極位置検出装置を備えたものが知られ
ている。通常,ワイヤ放電加工機は,工作物をワイヤ電
極で放電加工するため,ワイヤ電極を工作物の穴に挿通
しておく必要があり,工作物にスタートホールやパイロ
ットホール(以下,スタートホールという)が予め穿設
されている。例えば,ワイヤ放電加工機を用いて工作物
である金型や導電特性を備えた各種部品を加工する場合
に,工作物の端面からワイヤ放電加工を行う例はまれで
あり,プレス加工に提供される金型を構成するダイ形状
では,工作物に予め形成されているスタートホールにワ
イヤ電極を挿通し,スタートホールから工作物にワイヤ
放電加工を行うものであり,工作物が同じく金型を構成
するポンチ形状にあっても,ワイヤ放電加工の加工精度
の点からポンチ形状を描く加工軌跡の外側に位置する部
分に,スタートホールが形成されている。
【0003】ワイヤ電極で工作物に放電加工するワイヤ
放電加工機では,上記のように,工作物にスタートホー
ルを穿設する必要があるが,工作物が熱処理前の鋼材で
あり,ある程度の大きさを有するスタートホールであれ
ば,ドリルを用いてドリル加工で工作物に穿孔すること
も可能であるが,現在ではワイヤ放電加工が普及してい
る今日,既に鋼材の内部歪みが除去された熱処理の鋼材
が,各種金型用素材として市販されている。これらの市
販される各種金型用素材を用いるとなればドリル加工で
窄設するのは不可能に近く,ましてや超硬合金となれば
ドリル加工は無理であり,そこで,細穴放電加工機によ
る工作物のスタートホールの穿孔が行われている。ワイ
ヤ放電加工機に用いるワイヤ電極は,一般的にφ0.2
mm〜φ0.25mmの真鍮線が多く用いられており,
真鍮線を用いたときのスタートホールの孔径は,φ1m
m〜φ2mmに穿孔されている。
【0004】例えば,従来の電極位置検出装置を備えた
放電加工機は,パイプ電極を貫通状態にガイドするため
工作物に対向状態に配置した電極ガイド,該電極ガイド
を支持する支持体,及び該電極ガイドの上方に配置し且
つ前記支持体に対して取外し可能に取付けたパイプ電極
の先端位置を検出するセンサーを有するものであり,電
極を貫通状態にガイドするため前記工作物に対向状態に
配置した電極ガイドの手前に前記電極の先端が位置する
ことを検出し,該検出信号に応答して前記電極の送り速
度を低速に切り換え,次いで前記電極の先端を前記工作
物に対して対向状態に所定の位置に移動させて位置設定
するものである(特開平3−221321号公報参
照)。
【0005】また,従来の細穴放電加工機における電極
貫通検出装置は,例えば,図4に示すように,工作物2
に対して電気絶縁状態に保持し且つ工作物2に加工され
る細穴8の下端よりも下方に配置した接触子3,及びパ
イプ電極1が工作物2を加工貫通してパイプ電極1の下
端9が接触子3に接触した時点で,加工貫通検出信号を
発する検出装置を有するものである。該電極貫通検出装
置は,工作物2にパイプ電極1で細穴8を加工するため
の加工回路に組み込んだ接触子3と抵抗とを有する放電
加工貫通検出回路の抵抗間に発生する検出電圧を検出す
ることで加工貫通検出信号を発するものであるか,又は
工作物2にパイプ電極1で細穴8を加工するための加工
回路に組み込んだ接触子3と変流器とを有する放電加工
貫通検出回路の変流器で検出される電流を検出すること
で加工貫通検出信号を発するものである(特開平4−2
83022号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に,放電加工機に
ついて,その性能を表すときに,電極消耗率,加工速度
及び加工面粗度の三要素が挙げられる。細穴放電加工機
では,工作物に細穴を穿設する位置は正確性を必要とす
るが,電極消耗率と加工面粗度(細穴の内周面)に関し
ては余り重要視されておらず,細穴放電加工機を用いて
細穴を穿孔するときは,加工速度を最重要項目として考
慮し,電極消耗に関してはある程度無視されているのが
現状である。従って,工作物の材質が鋼材の場合は一般
的に電極の総全長は,工作物の板厚に対して2倍ないし
3倍程度の電極長さを必要とされ,また,加工面粗度に
関しては製品と成ったときは意味をもたぬことから無視
してもよい程度のものである。
【0007】細穴放電加工機について,上記のように,
工作物に穿孔した細穴は貫通していることが絶対条件で
あるし,細穴放電加工機に用いられるパイプ電極等の電
極も約φ2mm以下であり,直径に比べて全長がはるか
に長く形成される細いパイプ形状に形成されており,剛
性も大きなものであるとは言い難いものである。従っ
て,剛性の強くないパイプ電極の一端を把持して工作物
の上面に対して垂直に降下させるとき,パイプ電極の回
転駆動とパイプ電極の内部に供給される噴流圧の影響を
受け,パイプ電極の他端が不規則に振動して工作物にス
タートホールを穿孔する箇所の真上に配された電極ガイ
ドに確実に挿入されない恐れがある。また,電極ガイド
にパイプ電極の他端が衝突してパイプ電極を破損させる
ようなことも懸念される。更に,細穴放電加工機に用い
られるパイプ電極の消耗はある程度は度外視されてお
り,次に実施する細穴穿孔に際して,パイプ電極が十分
な長さを有するサイズであるか否かをチェックする必要
がある。
【0008】また,前掲特開平4−283022号公報
に開示された電極貫通検出装置は,穿設した細穴が貫通
したか否かの状態を検出できるものの,専用の細穴放電
加工機に採用されたものであるが,高度にNC化された
細穴放電加工装置付きのワイヤ放電加工機等では工作物
の下面空間部には他の部品や装置を組み込むスペースが
なく,工作物の下方に接触子を配置することができず,
適用できないものである。また,電極の他端が不規則に
振動する課題に対しては,前もって電極の他端を電極ガ
イドに挿入しておくことも考えられるが,電極が新品の
場合であれば十分な加工可能長さを有しているものとし
て使用できるが,一度でも細穴放電加工機で細穴を穿孔
するのに用いられた電極では,放電加工を行ったことに
より,消耗しており,その分だけ電極は短くなってい
る。例えば,高度にNC化されて無人作業で運転される
細穴放電加工装置付きのワイヤ放電加工機は,その都
度,電極の端部を電極ガイドに挿入する作業を行ってお
り,完全に無人化してたものでなく,如何に無人化する
かの課題がある。
【0009】また,前記電極が最も上部に上昇した位置
が細穴放電加工の原点とすれば,その位置に把持された
前記電極の一端から前記電極の他端までの距離は前記電
極が新品の場合は常に所定の長さAを有しており,電極
の他端が常に所定の位置に存在する状態になる。電極が
原点から下降を開始した時,電極が新品の場合は電極の
先端が工作物の細穴加工長さBだけ下がった時に,降下
した電極の先端が電極ガイドに設けた検出センサーによ
って検出される。この時,電極の先端が距離Bだけ下が
って時,実際には電極自体が距離B+αだけ下降したと
すると,距離α分だけ前記電極が消耗したことになる。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記
の課題を解決することであり,工作物にスタートホール
等の細穴を加工する細穴放電加工方法において,細穴放
電加工で発生するパイプ電極の消耗量を考慮して工作物
に対する細穴加工する細穴距離で決定されるパイプ電極
の加工有効長さ分だけ,パイプ電極が細穴加工の開始位
置から下降した時点を細穴加工完了状態と決定し,パイ
プ電極の無効となる動きを排除して加工効率を向上さ
せ,次の加工処理に自動的に移行して細穴加工の自動化
を達成できる細穴加工完了検出手段を備えた細穴放電加
工方法を提供することである。この発明では,パイプ電
極について「加工有効長さ」又は「パイプ電極の長さ」
とは「加工可能長さ」と「消耗量」の総和の長さをいう
ものとする。
【0011】この発明は,上下動可能なパイプ電極とテ
ーブルのに設置された工作物との間に極間電圧を印加し
て発生させる放電エネルギーによって前記工作物に細穴
を加工する細穴放電加工方法において,前記パイプ電極
の前記工作物への下降によって前記パイプ電極と前記工
作物との近接状態を検出する検出センサーによって前記
工作物に対する前記パイプ電極の放電加工開始位置を決
定すると共に前記工作物への加工細穴距離に対応する前
記パイプ電極の加工有効長さを演算し,前記パイプ電極
の長さが前記加工有効長さ以上であることに応答して前
記パイプ電極と前記工作物との間に加工電圧を印加し,
前記パイプ電極による前記工作物の細穴加工を実行し,
前記放電加工開始位置から前記加工細穴距離に対応する
前記パイプ電極の送り込み量に達した時に前記工作物へ
の所定の長さの細穴の加工が完了したと判断することを
特徴とする細穴放電加工方法に関する。前記パイプ電極
の前記送り込み量は加工有効長さ以内の長さに相当する
ものである。
【0012】この細穴放電加工方法は,前記パイプ電極
による前記工作物の細穴加工の実行開始時に前記パイプ
電極を回転駆動すると共に,前記放電加工領域に前記パ
イプ電極を通じて加工液を噴出させ,気中放電を防止す
る制御を行うものである。
【0013】また,この細穴放電加工方法は,前記パイ
プ電極の前記長さが前記加工有効長さ以上でないことに
応答して前記パイプ電極を新しいパイプ電極に交換する
制御を行うものである。
【0014】前記パイプ電極の前記加工有効長さは,前
記パイプ電極の実加工可能長さと前記パイプ電極の放電
加工時の消耗量とを合計した値であり,前記消耗量は前
記工作物の材質や加工長さやサイズで予め決まっている
ものである。
【0015】前記パイプ電極を摺動回転可能に支持する
電極ガイドは,セラミックス,硬質性樹脂等の非導電材
料で作製されている。
【0016】前記検出センサーは,前記パイプ電極が前
記工作物に接触する直前の位置に設けられ,前記パイプ
電極の先端の機械的接触によってオンするワイヤ等の導
電性スイッチで構成できる。或いは,前記検出センサー
は,前記パイプ電極が前記工作物に接触する直前の位置
に設けられ,前記パイプ電極の先端の通過によってオン
する非接触形光電リレー又はエアフローメータで構成で
きるものである。
【0017】或いは,前記検出センサーは,前記パイプ
電極の前記工作物への下降によって前記パイプ電極と前
記工作物との間に印加される検出電圧が所定値以下に低
下した時にオンする電圧検出センサーで構成できる。又
は,前記検出センサーは,前記パイプ電極の前記工作物
への下降によって前記パイプ電極が前記工作物に近接す
ることによってオン即ち動作する近接スイッチで構成で
きる。
【0018】この細穴放電加工方法は,上記のように構
成したので,工作物に対する細穴加工の終了時を直ちに
検出することができ,直ちに新しい細穴加工を行うこと
ができ,細穴加工の能率を向上させることができる。し
かも,パイプ電極の工作物の放電加工位置を検出センサ
ーによって直ちに認識することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
による細穴加工完了状態の検出手段を備えた細穴放電加
工方法の実施例を説明する。図1はこの発明による細穴
放電加工方法を達成するためのワイヤ放電加工機を示す
正面図,図2は図1のワイヤ放電加工機の側面図,及び
図3はこの発明による細穴放電加工方法の作動工程を説
明する処理フロー図である。
【0020】この細穴放電加工方法を達成するための細
穴放電加工機は,ワイヤ放電加工機の前面に装着されて
いるものである。ワイヤ放電加工機は,一般的に,ソー
スボビン18から繰り出されるワイヤ電極20を各種の
ガイドローラ19,断線センサ21等を備えたワイヤ供
給系を通じて工作物2に形成されたスタートホール等の
細穴に挿通し,ワイヤ電極20と工作物2との間に極間
電圧を印加して発生する放電エネルギーによって工作物
2を放電加工するものである。工作物2は,テーブル5
上の所定の位置にクランプ6で固定され,テーブル5上
の加工槽23内に設定されている。工作物2は,細穴放
電加工機のパイプ電極1によって所定の位置にスタート
ホール等の細穴が形成され,次いで,工作物はスタート
ホールにワイヤ電極20が挿通されて所定の加工形状に
放電加工される。
【0021】細穴放電加工機では,パイプ電極1をセッ
トした電極プラグ14が電極パレット16に多数設置さ
れている。電極パレット16に準備されている電極プラ
グ14は,パイプ電極交換機(図示せず)の作動によっ
て,電極パレット16から所定の電極プラグ14がピッ
クアップされ,細穴放電加工機に設けた電極ソケット1
3にセットされる。即ち,電極プラグ14は,パイプ電
極交換機の作動によってヘッド12に設けた電極ソケッ
ト13に取り付けたり,電極ソケット13から取り外し
たりされる。細穴放電加工機では,ヘッド12から垂下
して設けられた一対のスライドロッド17の下端の支持
体22には電極ガイド11が取り付けられている。電極
ガイド11は,パイプ電極1を摺動回転可能に支持する
機能を有し,パイプ電極1との間で絶縁されるため,セ
ラミックス,硬質性樹脂等の非導電材料で作製されてい
る。
【0022】この細穴放電加工方法は,上下動可能なパ
イプ電極1と工作物テーブル5の所定の位置に設置され
た工作物2との間に極間電圧を印加して発生させる放電
エネルギーによって工作物2に細穴を加工するものであ
り,細穴加工が完了したことを検出する検出手段とし
て,コントローラ15によってパイプ電極1の下降量が
加工するべき工作物2の加工長さで演算設定されてお
り,細穴加工に際してパイプ電極1の先端9がその設定
量だけ下降した時点の情報を検出し,その情報に応答し
て工作物2への細穴加工が完了した時期であると判断す
るように制御されるものである。
【0023】コントローラ15には,細穴放電加工機が
作動するに先立って,細穴加工される工作物2に対する
各種の情報,即ち,材質,厚さ,細穴加工されるべき距
離,細穴のサイズ,加工条件等の諸条件が数値化されて
入力されている。また,電極ガイド11のテーブル5上
への設定高さ位置は,加工条件の情報としてコントロー
ラ15に入力されている。細穴放電加工機には,例え
ば,パイプ電極1の先端9を検出するセンサとしての検
出センサー10が電極ガイド11に設けられている。細
穴放電加工機では,コントローラ15は,検出センサー
10からの検出信号に応答してパイプ電極1の工作物2
への加工完了時に相当するパイプ電極1の下降量を演算
し,その情報に応じて次の処理を行うように設定されて
いる。
【0024】検出センサー10は,次のようなタイプの
ものを使用できる。即ち,検出センサー10は,パイプ
電極1が工作物2に接触する直前の位置に設けられ,パ
イプ電極1の先端9を機械的接触によってオンするワイ
ヤ等の導電性スイッチで構成される。又は,検出センサ
ー10は,パイプ電極1が工作物2に接触する直前の位
置に設けられ,パイプ電極1の先端の通過によってオン
する非接触形光電リレー又はエアフローメータで構成さ
れる。或いは,検出センサー10は,パイプ電極1の工
作物2への下降によってパイプ電極1と工作物2との間
に印加される検出電圧が所定値以下に低下することでオ
ンする電圧検出スイッチであるか,又は,パイプ電極1
の工作物2への下降によってパイプ電極1が工作物2に
近接することで動作(オン)する近接スイッチで構成さ
れる。
【0025】この細穴放電加工方法は,パイプ電極1に
よる工作物2の細穴加工の実行開始時に,パイプ電極1
を回転駆動すると共に,放電加工領域に対してパイプ電
極1を通じて加工液を噴出させる制御を行うものであ
る。即ち,パイプ電極1による工作物2の細穴加工の実
行開始時に,放電加工領域に加工液を噴出させないと,
気中放電が発生し,異常放電を起こし,高精度の細穴加
工ができないからである。更に,この細穴放電加工方法
は,パイプ電極1の長さが,加工有効長さ以上でないこ
とに応答してパイプ電極交換機を作動してパイプ電極1
を新しいパイプ電極1に交換する制御を行うものであ
る。パイプ電極1の長さが,加工有効長さ以上である
と,そのパイプ電極1で工作物2に細穴加工しても,十
分な長さであり,細穴加工の途中でパイプ電極1が消耗
して細穴加工ができなくなる現象は発生しない。
【0026】工作物2は,テーブル5,或いはテーブル
5上に設けられた工作物取付台の上に載置される。工作
物取付台の上面は常に一定の高さに保たれており,ここ
に工作物2の下面が密接固定される,それ故に,工作物
2の上面24は工作物2の板厚さに相当する分だけ上に
位置することになる。また,電極ガイド11は,把持装
置を含むヘッド12に支持体22を介してヘッド12と
は上下方向に摺動状態に保持されており,把持装置とは
上下方向に相対移動する機構に作られており,工作物2
の上面に当接状態に配された電極ガイド11は,工作物
2の板厚さに比例して把持装置とは上下方向に相対移動
する。同時に,電極ガイド11に取り付けられた検出セ
ンサー10もその高さ方向の位置を変える。
【0027】また,細穴放電加工機は,上記のように,
パイプ電極1の先端9を検出する検出センサー10がB
mm+αの距離においてパイプ電極1の先端9を検出し
たとしても,工作物2の板厚に比例して検出センサー1
0もその高さを変えており,同じ数値のBmm+αであ
ってもその状態は異なる。従って,電極ガイド11の高
さ位置をコントローラ15に変数として入力しておけ
ば,工作物2の状態を知り,コントローラ15は,補正
計算の結果を出力してくれるので,いかなる状態の工作
物2やパイプ電極1の先端が消耗していても正確な判断
を下すことができる。
【0028】また,パイプ電極1の加工有効長さは,パ
イプ電極1の実加工長さと工作物2に対するパイプ電極
1の放電加工時の消耗量とから演算され,実加工可能長
さと消耗量とを合計した値である。パイプ電極1の消耗
量は,工作物の材質や加工長さやサイズで予め決まって
いるものである。パイプ電極1による工作物2の加工デ
ータとしては,工作物2の材質がSKD11である場合
を例にとると,次のとおりである。φ0.5mmのパイ
プ電極1でSKD11材料から成る工作物2を細穴加工
した加工データは,次のとおりであった。この時,パイ
プ電極1と工作物2との極間に印加する加工電圧,加工
電流,及び加工液の噴流圧を等しくすると,工作物2の
板厚が10mmの場合にはパイプ電極1の消耗量が10
mmであった。更に,工作物2の板厚が20mmの時に
はパイプ電極1の消耗量が25mm,工作物2の板厚が
30mmの時にはパイプ電極1の消耗量が40mm,工
作物2の板厚が40mmの時にはパイプ電極1の消耗量
が55mm,工作物2の板厚が50mmの時にはパイプ
電極1の消耗量が65mm,及び工作物2の板厚が60
mmの時にはパイプ電極1の消耗量が80mmであっ
た。これらのパイプ電極1の消耗に関する情報はコント
ローラ15に記憶させておくことで,細穴放電加工に着
手する事前に必要な数値を入手すれば,その結果をソフ
トウェア上で計算して細穴放電加工が開始する前に,パ
イプ電極1が適している有効加工長さであるか否かの判
定,及び工作物2に対する細穴放電加工の完了を検出す
ることができる。
【0029】次に,特に図3を参照して,この細穴放電
加工方法の一実施例を説明する。細穴放電加工方法にお
いて,細穴放電加工機付きワイヤ放電加工機に設けたコ
ントローラ15には工作物2の材質,板厚,電極ガイド
11の設定位置,細穴加工される加工距離,加工条件等
の各種の情報が入力されており,各種の情報は,例え
ば,自動的に中央コントローラからコントローラ15に
自動的入力されたり,或いは,手動によってコントロー
ラ15に入力される(ステップ30)。パイプ電極交換
機等によってパイプ電極パレット16からパイプ電極1
をセットした電極プラグ14をピックアップし,細穴放
電加工機の電極ソケット13に電極プラグ14が取り付
けられてパイプ電極1が設定され,そこで工作物1に対
する細穴加工を開始する(ステップ31)。コントロー
ラ15の指令で,スライドロッド17にガイドされた電
極プラグ14に設置したパイプ電極1を工作物2へと高
速下降させる(ステップ32)。パイプ電極1の工作物
2への下降によってパイプ電極1と工作物2との近接状
態を検出する検出センサー10のオンによって工作物2
に対するパイプ電極1の放電加工開始位置が決定される
(ステップ33)。そこで,工作物2への加工細穴距離
に対応するパイプ電極1の加工有効長さ,言い換えれ
ば,パイプ電極1の加工に使用される残りの長さが演算
される。即ち,コントローラ15は事前に入力された数
値に基づき,検出信号から工作物2を貫通させるに足り
るパイプ電極1の長さが残っているか否かを瞬時に演算
する(ステップ34)。
【0030】そこで,細穴放電加工機に現在装着されて
いるパイプ電極1の長さが,加工有効長さ以上であるか
否かを判断する(ステップ35)。パイプ電極1の長さ
が,加工有効長さ以上である場合には,パイプ電極1を
微速下降させ,工作物2に細穴を加工するため,パイプ
電極1の回転駆動を開始すると共にパイプ電極1の内部
を通じて加工液の噴流を開始する。パイプ電極1と工作
物2との間に加工電圧を印加し,パイプ電極1による工
作物2の細穴加工を実行する(ステップ37)。工作物
2への細穴加工が進行し,工作物2への細穴の放電加工
開始位置から加工細穴距離に対応するパイプ電極1の送
り込み量を演算し(ステップ38),パイプ電極1の送
り込みが設定した所定の送り込み量に達したか否かを判
断する(ステップ39)。工作物2が貫通するに必要な
加工降下距離は,事前に入力された数値に基づいてコン
トローラ15で演算され,パイプ電極1の加工降下距離
が数値化されており,数値化された所定の加工降下距離
の信号値になれば,工作物2に細穴が貫通されたものと
判断して細穴放電加工が完了する。即ち,パイプ電極1
の送り込み量が所定の値に達している場合には工作物2
への所定の距離の細穴加工の完了状態であると判断する
(ステップ40)。そこで,細穴加工の処理を最初に戻
って繰り返し,同一又は別の工作物2に所定の細穴を加
工するか,又は工作物2の細穴8にワイヤ電極20を挿
通して所定の加工形状を放電加工する処理へ進む。
【0031】また,ステップ35において,パイプ電極
1の長さが加工有効長さ以上でない場合には,電極プラ
グ14をスライドロッド17に沿って上昇させ,そこ
で,パイプ電極交換機を作動し,消耗したパイプ電極1
を取り外すと共に,電極パレット16から新しい電極プ
ラグ14をピックアップして電極ソケット13に取り付
ける(ステップ36)。ヘッド12の電極ソケット13
に新しい電極プラグ14を取り付けると,再びステップ
32以下の処理を行う。更に,ステップ39において,
パイプ電極1の下降量が所定の量に達していない場合に
は,パイプ電極1の下降を引き続き続行し,パイプ電極
1の送り込み量が所定の値に達するまで繰り返す制御を
行う。
【0032】
【発明の効果】この発明による細穴加工完了検出手段を
備えた細穴放電加工方法は,上記のように構成されてい
るので,工作物への細穴放電加工を自動的に行うことを
可能にし,細穴加工完了時が確実に検出できるので,加
工効率を向上できると共に,ハード的には電極ガイドに
検出センサーを設けるだけで済み,その他の制御は全て
ソフト的に処理できるので,工作物の下面空間部が確保
でき細穴放電加工装置付のワイヤ放電加工機に不可欠な
装置や部品の装着スペースがなくても,容易に検出手段
を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による細穴加工完了状態の検出手段を
備えた細穴放電加工方法を達成するためのワイヤ放電加
工機を示す正面図である。
【図2】図1のワイヤ放電加工機の側面図である。
【図3】この発明による細穴放電加工方法の作動工程を
説明する処理フロー図である。
【図4】従来の細穴加工完了状態の検出手段を備えた細
穴放電加工機の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
1 パイプ電極 2 工作物 4 下アーム 5 テーブル 6 クランプ 8 細穴 9 パイプ電極の先端 10 検出センサー 11 電極ガイド 12 ヘッド 13 電極ソケット 14 電極プラグ 15 コントローラ 16 電極パレット 17 スライドロッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松 達司 福岡県古賀市駅東3丁目3番1号 西部電 機株式会社内 Fターム(参考) 3C059 AA01 AB03 AB07 CB08 CC03 CC04 CF02 CF05 CH01 CH07 DA03 DA08 DD03 DD10 HA14

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下動可能なパイプ電極とテーブルに設
    置された工作物との間に極間電圧を印加して発生させる
    放電エネルギーによって前記工作物に細穴を加工する細
    穴放電加工方法において,前記パイプ電極の前記工作物
    への下降によって前記パイプ電極と前記工作物との近接
    状態を検出する検出センサーによって前記工作物に対す
    る前記パイプ電極の放電加工開始位置を決定すると共に
    前記工作物への加工細穴距離に対応する前記パイプ電極
    の加工有効長さを演算し,前記パイプ電極の長さが前記
    加工有効長さ以上であることに応答して前記パイプ電極
    と前記工作物との間に加工電圧を印加し,前記パイプ電
    極による前記工作物の細穴加工を実行し,前記放電加工
    開始位置から前記加工細穴距離に対応する前記パイプ電
    極の送り込み量に達した時に前記工作物への所定の長さ
    の細穴の加工が完了したと判断することを特徴とする細
    穴放電加工方法。
  2. 【請求項2】 前記パイプ電極による前記工作物の細穴
    加工の実行開始時に前記パイプ電極を回転駆動すると共
    に,前記放電加工領域に前記パイプ電極を通じて加工液
    を噴出させ,気中放電を防止する制御を行うことを特徴
    とする請求項1に記載の細穴放電加工方法。
  3. 【請求項3】 前記パイプ電極の前記実加工可能長さが
    前記加工有効長さ以上でないことに応答して前記パイプ
    電極を新しいパイプ電極に交換する制御を行うことを特
    徴とする請求項1又は2に記載の細穴放電加工方法。
  4. 【請求項4】 前記パイプ電極の前記長さは,前記パイ
    プ電極の実加工可能長さと前記パイプ電極の放電加工時
    の消耗量とを合計した値であり,前記消耗量は前記工作
    物の材質や加工長さやサイズで予め決まっているもので
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の細穴放電加工方法。
  5. 【請求項5】 前記パイプ電極を摺動回転可能に支持す
    る電極ガイドは,セラミックス,硬質性樹脂等の非導電
    材料で作製されていることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の細穴放電加工方法。
  6. 【請求項6】 前記検出センサーは,前記パイプ電極が
    前記工作物に接触する直前の位置に設けられ,前記パイ
    プ電極の先端の機械的接触によってオンするワイヤ等の
    導電性スイッチであることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の細穴放電加工方法。
  7. 【請求項7】 前記検出センサーは,前記パイプ電極が
    前記工作物に接触する直前の位置に設けられ,前記パイ
    プ電極の先端の通過によってオンする非接触形光電リレ
    ー又はエアフローメータであることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の細穴放電加工方法。
  8. 【請求項8】 前記検出センサーは,前記パイプ電極の
    前記工作物への下降によって前記パイプ電極と前記工作
    物との間に印加される検出電圧が所定値以下に低下した
    時にオンする電圧検出センサーであることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の細穴放電加工方
    法。
  9. 【請求項9】 前記検出センサーは,前記パイプ電極の
    前記工作物への下降によって前記パイプ電極が前記工作
    物に近接することによってオンする近接スイッチである
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    細穴放電加工方法。
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