JP3659179B2 - 型彫り微細放電加工による高精度孔加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射ノズル及びオリフィス等の異形状孔を形成し且つ仕上げる際に、電極の電極送り量を適正化した型彫り微細放電加工による高精度孔加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術においては、異形状のテーパ孔あるいはスプレット孔の加工には、ドリル及びエンドミルらによる切削加工形成、プレス加工、ワイヤカット放電加工、型彫り放電加工などにより行なわれている。
しかしながら、切削加工及びプレス加工では加工後に加工された孔にバリが形成され、次の工程に進む前にバリ取り工程を追加する必要がある。また、加工される孔の寸法が小さくなるにしたがって、工具寸法もそれに従って小さくなるので、工具自体の低靭性化が進み、工具の破損が生じるといった問題がある。
【0003】
また、ワイヤカット放電加工では、あらかじめワークに下孔(加工開始点となる部分)を加工する必要があること、この下孔を貫通させてワイヤを結線する必要があることなどから、作業時間(サイクルタイム)が増加するといった問題につながる。
上記問題を考慮すると、型彫り放電加工機を採用することによって、加工される孔にバリが発生することもなく、この加工された孔を貫通させてワイヤーを結線する必要もないことから、異形状のテーパ孔あるいはスプレット孔の加工には有効な加工手段であると考えられる。型彫り放電加工機を用いて、例えばテーパ孔を放電加工する場合、通常は図2の(a)〜(d)に示すように、先ず切削工具に相当する電極1と電極成形板2を加工槽5内の所定の位置に設置し(図2の(a)に示す初期状態)、電極1(+)と電極成形板2(−)との間で通常とは逆の放電をさせて電極をテーパ形状に成形する(図2の(b)に示す電極成形工程)。次に電極1のゼロ点をワーク3の加工点上で検出し(図2の(c)に示す電極先端位置検出工程)、検出位置から電極を一定量送り込むことによって、テーパ孔を放電加工する(図2の(d)に示す放電加工工程)。型彫り放電加工機を使用した上記加工方法では、加工する穴の精度を確保するためには、電極の位置検出を正確に検出する必要がある。
【0004】
しかし、電極先端位置検出工程においては、図3の(a)及び(b)に示すように、電極の先細りのテーパ電極先端部pは放電が集中しやすので(図3の(a))、その結果、脆い電極は電極成形時に先端部pが吹き飛ばされてしまう恐れがある(図3の(b))。吹き飛ばされてしまう先端部の量(電極先端だれ量tと呼ぶ)は、図4の(a)及び(b)に示すように、電極を成形する時の放電のばらつき、及び電極材料の状態(組織、内部応力等)等の要因でばらつくために、電極を成形する度に相違する。図4の(b)に示す電極先端だれ量tにより、図5の(a)及び(B)に示すようにだれ量少ない電極では孔径が小さくなり、だれ量の多い電極では孔径が大きくなり、電極先端検出位置精度が低下し、その結果として図5の(c)に示すように加工すべきテーパ孔の径にばらつきをもたらす。
【0005】
上記問題を解決するために、特開平11−300530号では、放電加工を行なった孔の径を測定し、それらの測定値を基にフィードバックすることにより、加工された孔の精度向上を図っているが、孔径の測定のための専用装置が必要であること(設備費、コストの上昇)、測定時間が必要であること(作業時間、サイクルタイムの増加)が問題点となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するために、異形状孔であるテーパ孔あるいはスプレット孔を放電加工する電極を成形する場合に脆い電極は電極成形時に先端部が吹き飛ばされたり、あるいはワークを放電加工している間に電極先端部が消耗してしまい、電極先端位置検出工程が正確に実施することができない点に着目し、上記電極先端部を再成形する工程を設けるか、あるいは電極先端部の形状に依存しないで型彫り微細放電加工による高精度孔加工方法を提供しすることを目的とし、並びに作業時間の短縮と装置を簡素化することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のワークに異形状孔を形成する型彫り微細放電加工による高精度孔加工方法は、ワークに異形状孔を形成するために形状孔に対応する雄形状の電極を成形する工程、成形した電極の先端が一定直径を有する裁断頭台形形状に再成形する工程、裁断頭台形形状に再成形した電極の電極先端位置を検出する電極先端位置検出工程、裁断頭台形形状にした電極の電極先端位置をもとに電極をワークに対して送り込む電極送り量を決定する工程、及び電極送り込み量をワークに送り込み電極の雄型形状に倣ってワークを加工する放電加工工程を採用する。
【0008】
すなわち、本発明においては、電極を成形する工程後に、成形した電極の先端が一定直径を有する裁断頭台形形状に再成形することによって、裁断頭台形形状に再成形した電極の先端部は一定形状備えることが可能となり、図3及び図4を参照して前述した電極先端のばらつきが回避され、したがって、電極先端位置を非常に正確に検出することが可能となり、裁断頭台形形状にした電極をワークに対して正確に送り込むことによって、異形状孔の寸法を高精度に加工することが可能となる。
【0009】
さらに、本発明のワークに異形状孔を形成する型彫り微細放電加工による高精度孔加工方法は、ワークに異形状孔を形成するために異形状孔に対応する雄形状の電極を成形する工程、成形された電極の側面位置を複数個所測定して側面位置のそれぞれの測定値を基に計算から電極先端位置を算出する電極側面測定工程、成形された電極の電極先端位置を電極位置検出板で測定して算出した電極先端位置と測定した電極先端位置との差を求める電極側面測定の補正量算出工程、算出した電極先端位置と測定した電極先端位置との差をもとに電極をワークに対して送り込む電極送り量を決定する工程、及び電極送り込み量をワークに送り込み電極の雄型形状に倣ってワークを加工する放電加工工程を採用する。
【0010】
すなわち、本発明においては、電極を成形する工程後に、成形された電極の側面位置を複数個所測定して側面位置のそれぞれの測定値を基に計算から電極先端位置を算出し且つ成形された電極の電極先端位置を測定して、算出且つ測定した両者の電極先端位置との差を求め、その差をもとに電極をワークに対して送り込むことによって、電極を再成形する上記工程を省略しても電極先端位置を正確に補償することができるので、作業時間を短縮し且つ異形状孔を高精度に加工する方法を提供できる。
【0011】
さらに、本発明のワークに異形状孔を形成する型彫り微細放電加工による高精度孔加工方法は、ワークに異形状孔を形成するために異形状孔に対応する雄形状の電極を成形する工程、成形終了直後の成形工程位置で成形した電極の位置と加工槽に配置されたワークの位置との相対位置を測定する工程、成形された電極の位置と加工槽に配置されたワークの位置との相対位置から算出した位置をもとに電極をワークに対して送り込む電極送り量を決定する工程、及び電極送り込み量をワークに送り込み電極の雄型形状に倣ってワークを加工する放電加工工程を採用する。
【0012】
すなわち、本発明においては、電極を成形する工程後に、成形終了直後の成形工程位置で成形した電極の位置と加工槽に配置されたワークの位置との相対位置を測定して、相対位置から算出した位置をもとに電極をワークに対して送り込み電極の雄型形状に倣ってワークを加工するので、電極を成形するとともにワークとの相対位置を検出できるので、電極を再成形する上記工程はもとより、電極の側面あるいは先端の位置を測定する工程も省略することができるので、作業時間をさらに短縮し且つ異形状孔を高精度に加工する方法を提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
比較例
従来技術において、異形状孔であるテーパ孔あるいはスプレット孔を放電加工する場合は、図1に示す放電加工装置12を用いて図2に示す工程で行なわれる。すなわち、従来技術によるテーパ孔あるいはスプレット孔の放電加工方法は、つぎの工程、
工程1. 放電加工機20に装備した加工槽5内の所定の位置に、電極1と、電極成形板10と、ワーク3とを初期状態に設置する工程(図2の(a))、
工程2. 電極1を電極成形板10上に移動して、放電電源8により電極1と電極成形板10との間に電圧パルスを印加(電極+、電極成形板−)した状態で、電極回転装置11により電極1を回転(矢印R)させ、電極送りヘッド4により電極1を送り出すことによって、電極成形板8に倣った形状の電極先端を成形する工程(図2の(b))、
工程3. 電極1をワーク3上に移動し、電極1とワーク3との間に電圧を印加(電極−、電極成形板+)した状態で、電極送りヘッド4により電極1を送り出し、ワーク3に接触させることで電極先端位置を検出する工程(図2の(c))、及び
工程4. 電極1を加工点まで移動し、放電電源8により電極1とワーク3との間に電圧パルスを印加(電極−、電極成形板+)した状態で、電極送りヘッド4により電極1を一定量送り出し、電極1の電極形状に倣った形状でワーク3の下孔部分を加工除去する放電加工工程(図2の(d))、
を含んでなる。
【0014】
従来技術の工程2において成形された電極の先端は本来必要とする形状とならず、従来技術の工程3おいて検出した電極位置に誤差が生じるという問題がある。そこで、本発明においては、従来技術の課題を以下の実施例1〜3の高精度孔加工方法によって解決する。
先ず、異形状孔であるテーパ孔あるいはスプレット孔を放電加工するにおいて、本発明の高精度孔加工方法に使用する型彫り微細放電加工機12について説明する。図1に示すごとく、電極1は電極ガイド2を介して電極送りヘッド4に取り付けられ、電極送りヘッドには電極回転装置12が設けてあり、電極回転装置により電極1は回転可能に構成されている。また、電極送りヘッド4はNC軸制御装置9により制御されるNC軸7取り付けられている。電極1の下方には加工液6が満たされた加工槽5が配置されている。この加工槽内にワーク3は、放電電源8からの電圧を電極1に付加して放電加工される。
【0015】
実施例1
実施例1においては、図6の(b)に示す電極成形工程において電極1の先端形状を所定の形状に形成し、その後図6の(b’)に示す電極先端再成形工程において、電極の先端部が一定直径を有するように裁断頭台形形状に再成形した新たな形状にする。先端部を再成形して一定直径を有する裁断頭台形形状にした電極によって、図6の(c)に示す電極先端位置検出工程においては常に一定位置を検出することが可能となる。
【0016】
すなわち、実施例1においては、異形状孔であるテーパ孔あるいはスプレット孔を高精度孔加工する場合は、図1に示す型彫り微細放電加工機を用いて図6の(a)〜(d)に示す次のそれぞれの工程(電極1内に示す矢印は電極移動方向を示す)、
工程1. 放電加工機20に装備した加工槽5内の所定の位置に、電極1と、電極成形板10と、ワーク3とを初期状態に設置する工程(図6の(a))、
工程2. NC軸7を垂直方向(図1のZ方向)及び加工槽5を水平方向(図1のX、Y方向)にNC軸加工槽制御装置9により制御し且つ電極送りヘッド4で電極1の垂直方向(図1のZ方向)を制御することにより、電極1を電極成形板10の斜面上に移動して、放電電源8により電極1と電極成形板10との間に電圧パルスを印加(電極+、電極成形板−)した状態で、電極回転装置11により電極1を回転(矢印R)させ、電極送りヘッド4により電極1を送り出すことによって、電極成形板8に倣った形状の電極先端を成形する工程(図6の(b))、
工程3. 上記工程2と同様にNC軸7と加工槽5とを制御し且つ電極送りヘッド4で電極1を制御することにより、電極1を電極成形板10の平面上に移動して、放電電源8により電極1と電極成形板10との間に電圧パルスを印加(電極+、電極成形板−)した状態で、電極回転装置11により電極1を回転(矢印R)させ、電極送りヘッド4により電極1を送り出しながら電極平面上を移動させることによって、電極1の先端が一定直径を有する裁断頭台形形状に再成形する工程(図6の(b’))、
工程4. 上記工程2及び3と同様にNC軸7と加工槽5とを制御し且つ電極送りヘッド4で電極1を制御することにより、電極1をワーク3上に移動し、電極1とワーク3との間に電圧を印加(電極−、電極成形板+)した状態で、電極送りヘッド4により電極1を送り出し、ワーク3に接触させることで電極先端位置を検出する工程(図6の(c))、及び
工程5. 上記工程2、3及び4と同様にNC軸7と加工槽5とを制御し且つ電極送りヘッド4で電極1を制御することにより、電極1をワークの加工点まで移動し、放電電源8により電極1とワーク3との間に電圧パルスを印加(電極−、電極成形板+)した状態で、電極送りヘッド4により電極1を一定量送り出し、電極1の電極形状に倣った形状でワーク3の下孔部分を加工除去する放電加工工程(図6の(d))、
を含んでなる。
【0017】
図7に示すように、先端を裁断頭台形形状に再成形した電極の電極先端だれ量tのばらつきは、図4の(b)に示す先端部を再成形しなかったそれと比較して非常に小さくすることができた。したがって、先端を裁断頭台形形状に再成形した電極を用いて、上記の工程4(図6の(c))及び工程5(図6の(c))を経ることによって、異形状孔であるテーパ孔あるいはスプレット孔を放電加工において高精度に孔明け加工することが可能となった。
【0018】
すなわち、図10の(a)及び(b)に示すように、先端部を再成形した電極を使用した孔径のばらつき3σは、先端部を再成形しなかった電極を使用した孔径のばらつき3σと比較して、孔の加工入口であっても加工出口であっても約2分の1であり、この結果から見てもテーパ孔あるいはスプレット孔を放電加工において高精度に孔明け加工することが可能であることは明らかである。
【0019】
実施例2
電極の先端は、図3の(a)及び(b)を参照して説明したように、放電が集中するために崩壊する可能性が高く、しかしながら、先端部から離れた電極側面は常に安定して高精度に成形加工することができる。
そこで、実施例2においては、図8の(b)に示す電極成形工程において電極1の先端形状を所定の形状に形成した後、図8の(b’)に示す電極側面測定工程において、成形された電極の側面の複数箇所を測定して、この測定値を基に計算から電極先端位置を算出する。併せて図8の(b’’)に示す電極側面測定の補正量算出工程において、実際の電極先端位置の測定も行ない、計算から電極先端位置と、測定からの実際の電極先端位置との差を求めておく。その後、図8の(c)に示す電極先端位置検出工程において電極先端位置を検出して、図8の(d)に示す放電加工工程において電極を一定量送り込む際に、上記工程において算出した計算値と測定値との差を補正して電極を送り込むことによって、テーパ孔あるいはスプレット孔の放電加工において高精度に孔明け加工することが可能になる。
【0020】
すなわち、実施例2においては、異形状孔であるテーパ孔あるいはスプレット孔を高精度孔加工する場合は、実施例1と同様に図1に示す型彫り微細放電加工機を用い、且つ図8の(a)〜(d)に示す次のそれぞれの工程、
工程1. 放電加工機20に装備した加工槽5内の所定の位置に、電極1と、電極成形板10と、ワーク3とを初期状態に設置する工程(図8の(a))、
工程2. NC軸7を垂直方向(図1のZ方向)及び加工槽5を水平方向(図1のX、Y方向)にNC軸加工槽制御装置9により制御し且つ電極送りヘッド4で電極1の垂直方向(図1のZ方向)を制御することにより、電極1を電極成形板10の斜面上に移動して、放電電源8により電極1と電極成形板10との間に電圧パルスを印加(電極+、電極成形板−)した状態で、電極回転装置11により電極1を回転(矢印R)させ、電極送りヘッド4により電極1を送り出すことによって、電極成形板8に倣った形状の電極先端を成形する工程(図8の(b))、
工程3. 上記工程2と同様にNC軸7と加工槽5とを制御し且つ電極送りヘッド4で電極1を制御することにより、成形された電極1の側面を電極位置検出板14の側面に移動して、成形された電極の側面の位置を複数箇所測定して、この測定値を基に計算から電極先端位置を算出する電極側面測定工程(図8の(b’))、
工程4. 上記工程2及び3と同様にNC軸7と加工槽5とを制御し且つ電極送りヘッド4で電極1を制御することにより、成形された電極1の先端を電極位置検出板14の平面上に移動して、成形された電極先端位置を測定して、算出した電極先端位置と測定した電極先端位置との差を求める電極側面測定の補正量算出工程(図8の(b’’))
工程5. 上記工程2、3及び4と同様にNC軸7と加工槽5とを制御し且つ電極送りヘッド4で電極1を制御することにより、電極1をワーク3上に移動し、電極1とワーク3との間に電圧を印加(電極−、電極成形板+)した状態で、電極送りヘッド4により電極1を送り出し、ワーク3に接触させることで電極先端位置を検出する工程(図8の(c))、及び
工程6. 上記工程2、3、4及び5と同様にNC軸7と加工槽5とを制御し且つ電極送りヘッド4で電極1を制御することにより、電極1をワークの加工点まで移動し、放電電源8により電極1とワーク3との間に電圧パルスを印加(電極−、電極成形板+)した状態で、電極送りヘッド4により電極1を一定量送り出し、電極1の電極形状に倣った形状でワーク3の下孔部分を加工除去する放電加工工程(図8の(d))、
を含んでなる。
【0021】
実施例3
電極成形板10は放電加工機1の加工槽5に固定されているために、成形直後の電極1の位置は電極成形板10に対して常に一定の位置にある。そこで、実施例3においては、この位置関係に着目して、成形直後の電極1の位置とワーク3との位置との相対的位置関係を測定しておく。そしてワーク3を放電加工する際には、図9の(b)に示す電極成形工程が終了した後に、比較例、実施例1及び実施例2における電極位置検出工程を設けることなく、図9の(c)に示す放電加工工程で、先に測定した成形直後の電極1の位置とワーク3との位置との相対的位置関係から算出した位置を電極送り量として、電極を送って放電加工する。それによって、実施例3のテーパ孔あるいはスプレット孔の放電加工において高精度に孔明け加工することが可能になる。
【0022】
すなわち、実施例3においては、異形状孔であるテーパ孔あるいはスプレット孔を高精度孔加工する場合は、実施例1および2と同様に図1に示す型彫り微細放電加工機を用い、且つ図9の(a)〜(c)に示す次のそれぞれの工程、
工程1. 放電加工機20に装備した加工槽5内の所定の位置に、電極1と、電極成形板10と、ワーク3とを初期状態に設置する工程(図9の(a))、
工程2. NC軸7を垂直方向(図1のZ方向)及び加工槽5を水平方向(図1のX、Y方向)にNC軸加工槽制御装置9により制御し且つ電極送りヘッド4で電極1の垂直方向(図1のZ方向)を制御することにより、電極1を電極成形板10の斜面上に移動して、放電電源8により電極1と電極成形板10との間に電圧パルスを印加(電極+、電極成形板−)した状態で、電極回転装置11により電極1を回転(矢印R)させ、電極送りヘッド4により電極1を送り出すことによって、電極成形板8に倣った形状の電極先端を成形する工程、及び成形直後の電極1の位置とワーク3との位置との相対的位置関係を測定する工程(図9の(b))、及び
工程3. 上記工程2と同様にNC軸7と加工槽5とを制御し且つ電極送りヘッド4で電極1を制御することにより、電極1をワークの加工点まで移動し、放電電源8により電極1とワーク3との間に電圧パルスを印加(電極−、電極成形板+)した状態で、電極送りヘッド4により先に測定した成形直後の電極1の位置とワーク3との位置との相対的位置関係から算出した位置を電極送り量として、電極1を一定量送り出し、電極1の電極形状に倣った形状でワーク3の下孔部分を加工除去する放電加工工程(図9の(c))、
を含んでなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に使用する放電加工機の模式図を示す。
【図2】図2は、従来技術によるテーパ(スプレット)孔の放電加工工程を示す図であり、それぞれ(a)は初期状態、(b)は電極成形工程、(c)は電極先端位置検出工程、及び(d)は放電加工工程を示す。
【図3】図3は、(a)に電極成形時の放電状態と(b)に電極の先端を模式的に示す図である。
【図4】図4は、従来の電極先端を模式的に(a)に示し、(b)は従来の電極と電極先端だれ量とを示す図である。
【図5】図5は、電極先端だれ量と放電加工後の孔径との関係を示し、だれ量の少ない電極を(a)に示し、だれ量の多い電極を(b)に示し、それぞれの電極で加工した孔を(c)に示す。
【図6】図6は、本発明の実施例1の再成形した電極先端から電極先端位置検出して、孔放電加工をする各工程を示し、それぞれ(a)は初期状態、(b)は電極成形工程、(b’)は電極先端再成形工程、(c)は電極先端位置検出工程、及び(d)は放電加工工程を示す。
【図7】図7は、本発明の実施例1の再成形した電極先端を模式的に(a)に示し、(b)は再成形した電極本数と電極先端だれ量とを示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施例2の成形した電極側面から電極先端位置検出して、孔放電加工をする各工程を示し、それぞれ(a)は初期状態、(b)は電極成形工程、(b’)は電極側面測定工程、(b’’)は電極側面測定の補正量算出工程、(c)は電極先端位置検出工程、及び(d)は放電加工工程を示す。
【図9】図9は、本発明の実施例3の電極とワークとの相対位置関係から電極送り量を決定して、孔放電加工をする各工程を示し、それぞれ(a)は初期状態、(b)は電極成形工程、及び(c)は電極先端位置検出工程(電極とワークとの相対位置を基にした送り)を示す。
【図10】図10は、先端部を再成形した電極を使用した孔径のばらつき3σの関係を(a)に示し、(b)に孔の加工入口と加工出口との放電加工状態を示す。
【符号の説明】
1…電極
2…電極ガイド
3…ワーク
4…電極送りヘッド
5…加工槽
6…加工液
7…NC軸
8…放電電源
9…NC軸加工槽制御装置
10…電極成形板
11…電極回転装置
12…放電加工機
13…電極先端の消耗部分
14…電極位置検出板
p…電極の先端部
R…電極回転方向
t…電極先端だれ量
X…加工槽移動方向
Y…加工槽移動方向
Z…NC軸及び電極移動方向
Claims (1)
- ワークに異形状孔を形成する型彫り微細放電加工による高精度孔加工方法において、
前記ワークに異形状孔を形成するために、電極を電極成形板の斜面上に移動して前記電極を回転させて、前記異形状孔に対応する前記電極成形板に倣った形状の雄型形状の前記電極を成形する工程、
前記電極を前記電極成形板の平面上に移動して前記電極を回転させて、成形した前記電極の先端が一定直径を有する裁断頭台形形状に再成形する工程
裁断頭台形形状に再成形した前記電極の電極先端位置を検出する電極先端位置検出工程、
裁断頭台形形状にした前記電極の電極先端位置をもとに、前記電極をワークに対して送り込む電極送り量を決定する工程、及び
前記電極送り込み量を前記ワークに送り込み、前記電極の雄型形状に倣って前記ワークを加工する放電加工工程、
を含むことを特徴とする型彫り微細放電加工による高精度孔加工方法。
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JP2002254246A (ja) | 2002-09-10 |
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