JP3715090B2 - 放電加工装置および放電加工方法 - Google Patents

放電加工装置および放電加工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、放電加工装置および放電加工方法に関し、特に、単純形状の工具電極を用いて三次元加工を行う放電加工装置および放電加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、円筒状、円柱状、角柱などの単純形状をした工具電極(加工電極)を用い、数値制御装置により三次元制御を行い、所望の三次元形状加工を行うことができる放電加工装置が知られている。このような放電加工装置であって、複雑な三次元形状の総型工具電極を製作する必要がないため、金型製作コストおよび製作時間を改善できる。また、加工に用いる工具電極は、単純形状の工具電極を用いるため、CAMシステムの構築が容易となり、加工工程の自動化も期待できる。しかし、このような放電加工装置では、単純形状の工具電極を用いて幅広い面積の加工を行うため、総型電極による放電加工と比較して、加工形状の精度が問題となる。
【0003】
このような問題を解決するために、特開平5−345228号公報には、工具電極の消耗補正(Z補正)制御を行うことによって、高精度な加工を行う方法が示されている。図7はそのような放電加工の原理を示している。
【0004】
図7に示されているように、この放電加工では、円柱状の工具電極100を回転させながら被加工物Wの放電加工面に対して角度(電極斜め送り角度)αで斜めに送ることにより、工具電極100の輪郭形状および加工深さが変化する位置(a)から(d)までの過渡状態を経て、工具電極100の輪郭形状および加工深さが変化しない位置(d)以降で定常状態を作り出すことができる。
【0005】
この放電加工の場合、工具電極消耗量の大きい加工条件であるならば、位置(a)から位置(d)までの過渡状態をほとんど無視することができ、適切な送り角度αで工具電極100を斜めに送ることによって、加工深さが一定の層状の除去加工を行うことができる。
【0006】
この放電加工においては、定常状態での加工量と電極消耗量を考慮することで、厚さ(深さ)Eの一層分を除去するための電極斜め送り角度αは、層の厚さE、加工電極の半径R、加工電極の断面積S、体積消耗率Uより、式(1)によって求めることができる。
【0007】
tan(α)=R・E・U/S ・・・(1)
【0008】
また、工具電極100が円筒形状のものである場合、工具電極の外側半径R1、内側半径R2とすると、電極斜め送り角度αは式(2)により求めることができる。
【0009】
tan(α)=(R1+R2)・E・U/S=E・U/π(R1−R2)・・・(2)
【0010】
従って、上述のような放電加工では、工具電極100の形状に応じた電極消耗補正のための計算式をいくつか準備しておく必要がある。
【0011】
特開平5−345228号公報に開示されている技術では、工具電極100の長手方向の消耗を補正するための値を計算するためのシミュレータを備え、除去層の厚さE、電極半径R、体積消耗比Uを与えることにより、放電加工している層の平面に対する電極の送り角度αを計算し、傾斜運動により工具電極100の長手方向の消耗を補償して加工深さが一定の層状の除去加工を行うようになっている。
【0012】
この放電加工では、工具電極の長さ方向の消耗補正を斜め方向の送りを行うことにより補正できるため、加工速度が稼げる工具電極消耗領域を利用でき、加工効率が向上できるとしている。
【0013】
つぎに、図8を参照して加工パスと工具電極の動きの具体例について説明する。図8は被加工物Wに星形の2個のポケットP1、P2を加工する場合の電極移動軌跡を示している。はじめに、工具電極100は、任意のXY座標位置Aにおいて被加工物Wの上面よりZ軸方向(垂直方向)に距離aだけ離れた位置にある(図9参照)。
【0014】
工具電極100は、上述の位置によりポケットP1の加工開始位置Bまで水平移動し、その後、工具電極100と被加工物Wとの間に所定の電圧を印加した状態でポケットP1の加工開始位置Bにて被加工物Wの上面へ向けて距離aだけ真下に降下し、ポケットP1の加工を開始する。
【0015】
この状態で、工具電極100が星形輪郭状に移動し、工具電極100が1周して1周分の加工が完了すると、工具電極100は一つ内側のパスへ移り、これを1周する。工具電極100が最も内側のパスを1周して一つのポケットP1の加工を完了し、工具電極100が位置Cに位置すると、工具電極100は、図10(a)〜(d)に示されているように、位置Cで真上に距離aだけ上昇し、この状態で水平移動してもう一つのポケットP2の加工開始位置Dまで水平移動し、この加工開始位置Dにて被加工物Wの上面へ向けて距離aだけ真下に降下することで、ポケットP2の加工処理を開始する。
【0016】
そして、同様に、工具電極100が星形輪郭状に移動してポケットP2の加工を完了し、加工完了位置Eに位置すると、工具電極100は、距離aだけ真上に上昇し、水平移動して最初の位置Aに戻る。
【0017】
また、他の従来技術として、特開昭61−19511号公報には、加工開始時や加工再開時には、工具電極を被加工物に対して接近させて強制的に放電を発生させ、放電検出により通常の放電加工に切り換える技術が示されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
従来の放電加工では、加工開始位置B、Dにおいて、工具電極100を被加工物Wに対して真下に降下させる動作、すなわちアプローチ動作時に、工具電極100は、被加工物Wに対して放電が発生する距離、すなわち放電ギャップに関係なく設定距離aだけ真下に降下するため、加工開始位置B、Dにおいて被加工物Wの深さ方向に放電ギャップ分程度過剰加工が行われ、定常深さより深い窪みhが発生することになる(図9参照)。このため、加工底面の平面精度が低下するという問題点があった。
【0019】
加工底面の平面精度を向上させる方法として、事前に放電ギャップ長を求めておき、被加工物Wの上面より放電ギャップ長の手前で、工具電極100の降下を終了させ、星形輪郭形状に移動して加工を行うようにする方法も考えられるが、使用する電極や被加工物の材質、電極径、電気条件、工具電極や被加工物の表面状態、加工液によって放電ギャップ長は大きく変化することから、事前に放電ギャップ長を求めておくことは非常に困難なことである。
【0020】
特開昭61−19511号公報に開示されている放電加工方法では、工具電極が所定の位置に達しても放電が発生しなければ、さらに工具電極を被加工物に接近させて放電を強制的に発生させようとするため、アプローチポイント(加工開始位置)の平面精度の悪化を防止できない。
【0021】
この発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、加工開始位置に定常深さより深い窪みができることを回避し、加工底面の平面精度が高い放電加工を行う放電加工装置および放電加工方法を得ることを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明による放電加工装置は、工具電極と被加工物の間にパルス状の電圧を印加し、工具電極の長さ方向消耗量を補正するZ軸方向の送りを、XY平面の送りと合成して三次元制御を行い、三次元形状を加工する放電加工装置において、前記工具電極と被加工物間に放電が発生したことを検出する放電検出手段と、前記工具電極を被加工物の上面まで接近させるアプローチパス、所望の加工形状を得るための加工形状パスおよび放電加工の電気条件を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、前記放電検出手段によって放電の発生が検出されたとき、前記記憶手段に記憶されている加工形状パスに基づいて放電加工を行うようにする制御手段とを具備しているものである。
【0023】
つぎの発明による放電加工装置は、前記放電検出手段によって検出される放電のパルス数を計数する計数手段を備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、前記計数手段により計数される放電パルス数が所定値になったときに直ちに前記記憶手段に記憶された加工形状パスに基づいて放電加工を行うよう構成されているものである。
【0024】
つぎの発明による放電加工装置は、工具電極と被加工物の間にパルス状の電圧を印加し、工具電極の長さ方向消耗量を補正するZ軸方向の送りを、XY平面の送りと合成して三次元制御を行い、三次元形状を加工する放電加工装置において、前記工具電極と被加工物間に発生する放電電圧を計測し、当該放電電圧を平均化する平均化手段と、前記平均化手段によって平均化された平均放電電圧に対する基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、前記工具電極を被加工物の上面まで接近させるアプローチパス、所望の加工形状を得るための加工形状パスおよび放電加工の電気条件を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、前記平均化手段によって平均化された平均放電電圧が前記基準電圧設定手段に設定された基準電圧と等しくなったときに前記記憶手段に記憶されている加工形状パスに基づいて放電加工を行うようにする制御手段とを具備しているものである。
【0025】
また、上述の目的を達成するために、この発明による放電加工方法は、工具電極と被加工物の間にパルス状の電圧を印加し、工具電極の長さ方向消耗量を補正するZ軸方向の送りを、XY平面の送りと合成して三次元制御を行い、三次元形状を加工する放電加工方法において、前記工具電極を被加工物の上面まで接近させるアプローチパス、所望の加工形状を得るための加工形状パスおよび放電加工の電気条件を記憶手段に記憶し、記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、前記工具電極と前記被加工物間に放電が発生したとき、記憶された加工形状パスに基づいて放電加工を行うものである。
【0026】
つぎの発明による放電加工方法は、前記工具電極が被加工物に接近する過程での放電のパルス数を計数し、放電パルス数が所定値になったとき、前記記憶手段に記憶された加工形状パスに基づいて放電加工を行うものである。
【0027】
つぎの発明による放電加工方法は、工具電極と被加工物の間にパルス状の電圧を印加し、工具電極の長さ方向消耗量を補正するZ軸方向の送りを、XY平面の送りと合成して三次元制御を行い、三次元形状を加工する放電加工方法において、前記工具電極を被加工物の上面まで接近させるアプローチパス、所望の加工形状を得るための加工形状パスおよび放電加工の電気条件を記憶手段に記憶し、記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、前記工具電極と前記被加工物との間に発生する放電電圧の平均値が所定の基準電圧と等しくなれば、記憶された加工形状パスに基づいて放電加工を行うものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照して、この発明に係る放電加工装置および放電加工方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
実施の形態1.
図1はこの発明による放電加工装置の実施の形態1を示している。この放電加工装置は、中空円筒状の単純パイプ電極による工具電極1と、工具電極1を中心線軸周りに回転させる電極回転装置2と、ワークテーブル3上において内部に加工液4を蓄えて被加工物Wを配置される加工槽5と、工具電極1と被加工物Wとを相対的にX軸、Y軸、Z軸方向に移動させるための軸駆動装置6、7、8と、工具電極1と被加工物Wの間に電圧を印加するための加工用電源9と、工具電極1と被加工物Wとの間に発生する放電を検出する放電検出手段10と、アプローチパスを記憶するアプローチパス記憶部11aと加工形状パスを記憶する加工形状パス記憶部11bと電気条件を記憶する電気条件記憶部11cとからなる記憶手段11と、記憶手段11に格納されたアプローチパスや加工形状パス、電気条件に基づき各軸駆動装置や加工用電源の動作を制御する制御手段12と、放電パルス数を計数する放電パルス計数手段13を有している。
【0030】
制御手段12は、記憶手段11に記憶されたアプローチパスに基づいて工具電極1が被加工物Wに接近する過程で、換言すれば、アプローチパスの範囲内で、放電検出手段10によって放電の発生が検出されれば、直ちに記憶手段11に記憶されている加工形状パスに基づいて放電加工が行われるように制御する。
【0031】
この場合、制御手段12は、記憶手段11に記憶されたアプローチパスに基づいて工具電極1が被加工物Wに接近する過程で、放電パルス計数手段13により計数される放電パルス数が所定値になった時点で直ちに記憶手段11に記憶された加工形状パスに基づいて放電加工が行われるように制御することができる。
【0032】
なお、アプローチパスが終了しても、放電パルス計数手段13により計数される放電パルス数が所定値に達しない場合には、記憶手段11に記憶された加工形状パスに基く放電加工を開始する。
【0033】
つぎに、上述のような構成による放電加工装置を用いて行う単純パイプ電極による放電加工における工具電極の被加工物へのアプローチ方法について図2〜図5を参照して説明する。
【0034】
図2において、工具電極1は、初期状態として被加工物Wの上面よりZ軸方向に距離aだけ離れた位置Fにある。このとき、所望の加工形状を得るために、制御手段12は、まず記憶手段11内のアプローチパス記憶部11aに記憶されたアプローチパスに基づいてZ軸駆動装置8に指令を与える。
【0035】
これにより工具電極1が被加工物Wに対して真下に降下し始める(ステップS10)。そして同時に、制御手段12からの指令によって、加工用電源9は電気条件記憶部11cに記憶された電気条件に基づいた所定のパルス状の電圧を工具電極1と被加工物Wとの間に印加する。
【0036】
工具電極1と被加工物Wとの間に印加されたパルス状電圧は、放電が発生するまでは、図3に示されているように、印加電圧Vo が現れる。このとき、放電が発生するまでの時間を遅延時間To とする。その後、工具電極1が被加工物Wに対して近づき、放電が発生すると、パルス幅Tonに亙って放電電圧Vg が現れ、そして、休止時間Toff 後につぎのパルス状の電圧が印加される。このときの工具電極1と被加工物Wとの間の距離は、放電加工を行うのに必要な放電ギャップになったと考えてよい。
【0037】
よって放電検出手段10は、工具電極1と被加工物Wとの間の電圧が放電電圧Vgになったことを検出すると、放電検出手段10は放電パルス計数手段13へ信号を出力し、放電パルス計数手段13は、アプローチパスが終了する以前において(ステップS20肯定)、放電パルス数を計数する(ステップS30)。
【0038】
放電パルス計数手段13は放電パルス数の計数結果を逐次制御手段12へ出力し、放電パルス数nが制御手段12内に予め設定された放電パルス数A(1〜数パルス)に達すると(ステップS40肯定)、制御手段12は、記憶手段11内の加工形状パス記憶部11bに記憶された加工形状パスに基づいてX、Y、Z軸駆動装置6、7、8へ指令を出力する。これにより工具電極1はZ軸補正量を与えられながら加工パス上を移動して放電加工を行う(ステップS50)。
【0039】
なお、アプローチパスが終了する以前において、放電パルス数nが制御手段12内に予め設定された放電パルス数Aに達しない場合には(ステップS40否定)、制御手段12は、記憶手段11内の加工形状パス記憶部11bに記憶された加工形状パスに基づいてX、Y、Z軸駆動装置6、7、8へ指令を出力する。これにより、アプローチパスが終了すれば、放電パルス数に拘わらず、工具電極1はZ軸補正量を与えられながら加工パス上を移動して放電加工を行う(ステップS50)。
【0040】
上述の制御により、工具電極1と被加工物Wとの間に所定の放電ギャップを得ることができ、図4に示されているように、アプローチ部分において被加工物Wの加工底部に深さ方向への過剰加工を防いで、換言すれば、加工開始位置に定常深さより深い窪み(段差)ができることを回避し、加工底面の平面精度が高い放電加工が行われるようになる。
【0041】
なお、放電パルス数Aが1である場合には、放電パルス計数手段13を省略することができる。
【0042】
実施の形態2.
図5はこの発明による放電加工装置の実施の形態1を示している。なお、図5において、図1に示されているもの同等あるいは同一の構成要件には、図1に付けた符号と同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0043】
この実施の形態では、工具電極1と被加工物Wとの間に発生する放電電圧を計測し、当該放電電圧を平均化する平均化手段14と、平均化手段14によって平均化された平均放電電圧に対する基準電圧を設定する基準電圧設定手段15とが設けられ、制御手段12は、記憶手段11に記憶されているアプローチパスに基づいて工具電極1が被加工物Wに接近する過程で、換言すれば、アプローチパスの範囲内で、平均化手段14によって平均化された平均放電電圧が基準電圧設定手段15に設定された基準電圧と等しくなったときに直ちに記憶手段11に記憶されている加工形状パスに基づいて放電加工が行われるように制御する。
【0044】
この実施の形態でも、アプローチパスが終了しても、平均化手段14によって平均化された平均放電電圧が基準電圧設定手段15に設定された基準電圧に等しくならない場合には、記憶手段11に記憶された加工形状パスに基く放電加工を開始する。
【0045】
つぎに、上述のような構成による放電加工装置を用いて行う単純パイプ電極による放電加工における工具電極の被加工物へのアプローチ方法について説明する。
【0046】
工具電極1は、先の実施の形態1と同様に、図2に示されているように、初期状態として被加工物Wの上面よりZ軸方向に距離aだけ離れた位置Fにある。このとき、所望の加工形状を得るために、記憶手段11内のアプローチパス記憶部11aに記憶されたアプローチパスに基づいて、制御手段12はZ軸駆動装置8に指令を与える。これにより、工具電極1が被加工物Wに対して真下に降下し始める。そして同時に、制御手段12からの指令によって、加工用電源9は電気条件記憶部11cに記憶された電気条件に基づいた所定のパルス状の電圧を工具電極1と被加工物Wとの間に印加する。
【0047】
ここで、工具電極1と被加工物Wとの間に印加された電圧の平均化について説明する。工具電極1と被加工物Wとの間に印加されたパルス状電圧は、放電が発生するまでは、図3に示されているように、印加電圧Vo が現れる。このとき、放電が発生するまでの時間を遅延時間To とする。その後、工具電極1が被加工物Wに対して近づき、放電が発生すると、パルス幅Tonに亙って放電電圧Vg が現れ、そして、休止時間Toff 後につぎのパルス状の電圧が印加される。このとき、平均化手段1で平均化された平均放電電圧Vave は式(3)により近似できる。
【0048】
Vave =(Vo ×To +Vg ×Ton)/(To +Ton+Toff )・・・(3)
【0049】
被加工物Wに対する工具電極1の距離が遠く、放電が発生していない間は、Ton=Toff =0となるため、このときの平均電圧Vave1は式(3)より、
Vave1=Vo
となる。
【0050】
この後、工具電極1が被加工物にさらに近づくと、放電が発生するが、近づくにつれ遅延時間To は短く(小さく)なる。このため、式(3)より明らかなように、平均電圧Vave は小さくなっていくが、電極1と被加工物Wとの間の距離が適正な放電ギャップになると、遅延時間To はほぼ一定時間となるので、平均電圧Vave は定常値となり、これをVave2とする。
【0051】
そこで、平均放電電圧Vave に対する基準電圧をVave2として基準電圧設定手段1に設定し、この基準電圧をVave2と平均化手段1によって平均化された平均放電電圧Vave とを比較し、Vave =Vave2となれば、工具電極1と被加工物Wとの間の距離は適正な放電ギャップになったとして、制御手段12は、記憶手段11内の加工形状パス記憶部11bに記憶された加工形状パスに基づいてX、Y、Z軸駆動装置6、7、8へ指令を出力する。これにより工具電極1はZ軸補正量を与えられながら加工パス上を移動して放電加工を行う。
【0052】
基準電圧をVave2と平均化手段1によって平均化された平均放電電圧Vave との比較は、アプローチパスの範囲内で行われるから、アプローチパスが終了すれば、Vave =Vave2とならなくとも、制御手段12は、記憶手段11内の加工形状パス記憶部11bに記憶された加工形状パスに基づいてX、Y、Z軸駆動装置6、7、8へ指令を出力する。これにより工具電極1はZ軸補正量を与えられながら加工パス上を移動して放電加工を行うことを開始する。
【0053】
上述の制御により、工具電極1と被加工物Wとの間に所定の放電ギャップを得ることができ、図4に示されているように、アプローチ部分において被加工物Wの加工底部に深さ方向への過剰加工を防いで、換言すれば、加工開始位置に定常深さより深い窪み(段差)ができることを回避し、加工底面の平面精度が高い放電加工が行われるようになる。
【0054】
【発明の効果】
上述の説明から理解されるように、この発明による放電加工装置によれば、記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて工具電極が被加工物に接近する過程で、放電検出手段によって放電の発生が検出されれば、記憶手段に記憶されている加工形状パスに基づいて直ちに放電加工を行うから、工具電極と被加工物との間に所定の放電ギャップを得ることができ、アプローチ部分において被加工物の加工底部における深さ方向への過剰加工を防いで、加工底面の平面精度が高い放電加工が行われるようになる。
【0055】
つぎの発明による放電加工装置によれば、記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて工具電極が被加工物に接近する過程で、計数手段により計数される放電パルス数が所定値になれば、前記記憶手段に記憶された加工形状パスに基づいて直ちに放電加工を行うから、工具電極と被加工物との間に所定の放電ギャップを高精度に得ることができ、アプローチ部分において被加工物の加工底部における深さ方向への過剰加工を防いで、加工底面の平面精度が高い放電加工が行われるようになる。
【0056】
つぎの発明による放電加工装置によれば、記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて工具電極が被加工物に接近する過程で、平均化手段によって平均化された平均放電電圧が前記基準電圧設定手段に設定された基準電圧と等しくなれば、記憶手段に記憶されている加工形状パスに基づいて直ちに放電加工を行うから、工具電極と被加工物との間に所定の放電ギャップを高精度に得ることができ、アプローチ部分において被加工物の加工底部における深さ方向への過剰加工を防いで、加工底面の平面精度が高い放電加工が行われるようになる。
【0057】
つぎの発明による放電加工方法によれば、記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて工具電極が被加工物に接近する過程で、工具電極と前記被加工物間に放電が発生することを監視し、放電が発生すれば、直ちに記憶手段に記憶された記憶された加工形状パスに基づいて放電加工を行うから、工具電極と被加工物との間に所定の放電ギャップを得ることができ、アプローチ部分において被加工物の加工底部における深さ方向への過剰加工を防いで、加工底面の平面精度が高い放電加工が行われるようになる。
【0058】
つぎの発明による放電加工方法によれば、工具電極が被加工物に接近する過程での放電のパルス数を計数し、放電パルス数が所定値になれば、記憶手段に記憶された加工形状パスに基づいて直ちに放電加工を行うから、工具電極と被加工物との間に所定の放電ギャップを高精度に得ることができ、アプローチ部分において被加工物の加工底部における深さ方向への過剰加工を防いで、加工底面の平面精度が高い放電加工が行われるようになる。
【0059】
つぎの発明による放電加工方法によれば、記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、工具電極と前記被加工物との間に発生する放電電圧の平均値が所定の基準電圧と等しくなれば、記憶手段に記憶された加工形状パスに基づいて直ちに放電加工を行うから、工具電極と被加工物との間に所定の放電ギャップを高精度に得ることができ、アプローチ部分において被加工物の加工底部における深さ方向への過剰加工を防いで、加工底面の平面精度が高い放電加工が行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による放電加工装置の実施の形態1を示す構成図である。
【図2】 電極アプローチの一つの動作例を示す説明図である。
【図3】 放電電圧波形を示す説明図である。
【図4】 本発明における電極アプローチの一つの動作例を示す説明図である。
【図5】 実施の形態1による放電加工装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】 この発明による放電加工装置の実施の形態2を示す構成図である。
【図7】 (a)〜(e)は電極消耗補正制御を用いた単純工具電極による加工要領を示す説明図である。
【図8】 加工パスと工具電極の動きの具体例を示す平面図である。
【図9】 従来における電極アプローチ動作を示す説明図である。
【図10】 (a)〜(d)は形状加工時の工具電極の動きを示す説明図である。
【符号の説明】
1 工具電極,2 工具電極回転装置,3 ワークテーブル,4 加工液,5加工槽,6 X軸駆動装置,7 Y軸駆動装置,8 Z軸駆動装置,9 加工用電源,10 放電検出手段,11 記憶手段,11a アプローチパス記憶部,11b 加工形状パス記憶部,11c 電気条件記憶部,12 制御手段,13 放電パルス計数手段,14 平均化手段,15 基準電圧設定手段。

Claims (6)

  1. 工具電極と被加工物の間にパルス状の電圧を印加し、工具電極の長さ方向消耗量を補正するZ軸方向の送りを、XY平面の送りと合成して三次元制御を行い、三次元形状を加工する放電加工装置において、
    前記工具電極と被加工物間に放電が発生したことを検出する放電検出手段と、
    前記工具電極を被加工物の上面まで接近させるアプローチパス、所望の加工形状を得るための加工形状パスおよび放電加工の電気条件を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、前記放電検出手段によって放電の発生が検出されたとき、前記記憶手段に記憶されている加工形状パスに基づいて放電加工を行うようにする制御手段と、
    を具備したことを特徴とする放電加工装置。
  2. 前記放電検出手段によって検出される放電のパルス数を計数する計数手段を備え、
    前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、前記計数手段により計数される放電パルス数が所定値になったときに直ちに前記記憶手段に記憶された加工形状パスに基づいて放電加工を行うよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の放電加工装置。
  3. 工具電極と被加工物の間にパルス状の電圧を印加し、工具電極の長さ方向消耗量を補正するZ軸方向の送りを、XY平面の送りと合成して三次元制御を行い、三次元形状を加工する放電加工装置において、
    前記工具電極と被加工物間に発生する放電電圧を計測し、当該放電電圧を平均化する平均化手段と、
    前記平均化手段によって平均化された平均放電電圧に対する基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、
    前記工具電極を被加工物の上面まで接近させるアプローチパス、所望の加工形状を得るための加工形状パスおよび放電加工の電気条件を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、前記平均化手段によって平均化された平均放電電圧が前記基準電圧設定手段に設定された基準電圧と等しくなったとき前記記憶手段に記憶されている加工形状パスに基づいて放電加工を行うようにする制御手段と、
    を具備したことを特徴とする放電加工装置。
  4. 工具電極と被加工物の間にパルス状の電圧を印加し、工具電極の長さ方向消耗量を補正するZ軸方向の送りを、XY平面の送りと合成して三次元制御を行い、三次元形状を加工する放電加工方法において、
    前記工具電極を被加工物の上面まで接近させるアプローチパス、所望の加工形状を得るための加工形状パスおよび放電加工の電気条件を記憶手段に記憶し、記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、前記工具電極と前記被加工物間に放電が発生したとき、記憶された加工形状パスに基づいて放電加工を行うことを特徴とする放電加工方法。
  5. 前記工具電極が被加工物に接近する過程での放電のパルス数を計数し、放電パルス数が所定値になったとき、前記記憶手段に記憶された加工形状パスに基づいて放電加工を行うことを特徴とする請求項4に記載の放電加工方法。
  6. 工具電極と被加工物の間にパルス状の電圧を印加し、工具電極の長さ方向消耗量を補正するZ軸方向の送りを、XY平面の送りと合成して三次元制御を行い、三次元形状を加工する放電加工方法において、
    前記工具電極を被加工物の上面まで接近させるアプローチパス、所望の加工形状を得るための加工形状パスおよび放電加工の電気条件を記憶手段に記憶し、記憶されたアプローチパスに基づいて前記工具電極が被加工物に接近する過程で、前記工具電極と前記被加工物との間に発生する放電電圧の平均値が所定の基準電圧と等しくなれば、記憶された加工形状パスに基づいて放電加工を行うことを特徴とする放電加工方法。
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