JP2001025904A - 断続重切削で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 - Google Patents
断続重切削で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具Info
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Abstract
ング性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具を提供す
る。 【解決手段】 表面被覆超硬合金製切削工具が、炭化タ
ングステン基超硬合金基体の表面に、(a)いずれも
0.1〜5μmの平均層厚および粒状結晶組織を有す
る、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、T
iNO層、およびTiCNO層のうちの1種または2種
以上からなるTi化合物層と、(b)3〜15μmの平
均層厚を有し、縦長成長結晶組織を有し、かつTiの割
合がZrとの合量に占める原子比で0.05〜0.3を
満足するl−(Zr,Ti)CN層からの熱分解生成層
にして、粒状結晶組織を有するZrCN結晶粒とTiC
N結晶粒の混合層と、(c)0.5〜10μmの平均層
厚および粒状結晶組織を有するAl2 O3 層、以上
(a)〜(c)で構成された硬質被覆層を5〜25μm
の全体平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸着して
なる。
Description
連続切削や断続切削は勿論のこと、特に断続切削を高送
りや高切り込みなどの重切削条件で行った場合にも硬質
被覆層がすぐれた耐チッピング性を示し、長期に亘って
すぐれた切削性能を発揮する表面被覆炭化タングステン
基超硬合金製切削工具(以下、被覆超硬工具という)に
関するものである。
合金基体(以下、超硬基体という)の表面に、(a)
いずれも0.1〜5μmの平均層厚および粒状結晶組織
を有する、炭化チタン(以下、TiCで示す)層、窒化
チタン(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化チタン
(以下、TiCNで示す)層、炭酸化チタン(以下、T
iCOで示す)層、窒酸化チタン(以下、TiNOで示
す)層、および炭窒酸化チタン(以下、TiCNOで示
す)層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物
層と、(b) 5〜15μmの平均層厚および縦長成長
結晶組織を有する炭窒化チタン(以下、l−TiCNで
示す)層と、(c) 0.5〜10μmの平均層厚およ
び粒状結晶組織を有する酸化アルミニウム(以下、Al
2 O3 で示す)層と、で構成された硬質被覆層を5〜2
5μmの全体平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸
着してなる被覆超硬工具が知られており、またこの被覆
超硬工具が鋼や鋳鉄などの連続切削や断続切削に用いら
れることも知られている。また、一般に上記の被覆超硬
工具の硬質被覆層を構成するAl2 O3 層として、α型
結晶構造をもつものやκ型結晶構造をもつものなどが広
く実用に供されることも良く知られており、さらに上記
l−TiCN層は、例えば特開平6−8010号公報や
特開平7−328808号公報などにより公知であり、
通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとして有機炭窒化物
を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の中温温度
域で化学蒸着することにより形成されるものである。
のFA化はめざましく、かつ切削加工に対する省力化お
よび省エネ化、さらに低コスト化の要求も強く、これに
伴い、切削工具には切削条件に影響されない汎用性が求
められる傾向にあるが、上記の従来被覆超硬工具におい
ては、これを通常の条件での連続切削や断続切削に用い
た場合には問題はないが、特に高靭性が要求される断続
重切削に用いた場合、すなわち断続切削を高送りや高切
り込みなどの重切削条件で行なうのに用いた場合には、
硬質被覆層の靭性不足が原因で切刃にチッピングが発生
し、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
上述のような観点から、上記の従来被覆超硬工具の硬質
被覆層のより一段の靭性向上を図るべく研究を行った結
果、 (a)通常の化学蒸着装置を用い、 反応ガス組成-容量%(以下、同じ)で、ZrCl4 :
0.5〜5%、CH3CN :0.1〜3%、必要に応じ
てN2:0.5〜20%、H2 :残り、 反応雰囲気温度:850〜950℃、 反応雰囲気圧力:40〜400Torr、 の条件で蒸着を行うと、従来被覆超硬工具の硬質被覆層
を構成するl−TiCN層と同じ破面組織および光学顕
微鏡組織をもった縦長成長結晶組織の炭窒化ジルコニウ
ム(以下、l-ZrCNで示す)層を形成することがで
きること。
記のl−TiCN層に比して著しく軟質であるために、
これを硬質被覆層の構成層とした場合、切刃の耐チッピ
ング性は著しく向上するようになるが、摩耗進行の速い
ものとなり、実用に供するには不充分であるが、同じく
通常の化学蒸着装置を用い、 反応ガス組成:ZrCl4 :0.5〜5%、TiCl
4 :0.1〜2%、CH 3CN :0.1〜3%、必要に
応じてN2:0.5〜20%、H2 :残り、 反応雰囲気温度:850〜950℃、 反応雰囲気圧力:40〜400Torr、 の条件で蒸着を行うと、前記l-ZrCN層おけるZr
の一部がTi成分で置換され、かつ上記のl−TiCN
層およびl-ZrCN層と同じ破面組織および光学顕微
鏡組織の縦長成長結晶組織をもったZrとTiの複合炭
窒化物固溶体[以下、l−(Zr,Ti)CNで示す]
層を形成することができ、この結果のl−(Zr,T
i)CN層は、ZrのTiによる一部置換によって硬さ
が向上したもになるが、実用に供するには未だ十分な硬
さをもつものではないこと。
N層は、上記の通り高含有のZrおよび縦長成長結晶組
織によって高靭性を有し、かつTi固溶によって十分で
はないが硬さの向上したものになっているが、これを、 組成式:(Zr1-XTix)C1-yNy、 で表した場合、xおよびy値は、原子比で、x:0.0
5〜0.3、y:0.3〜0.6とするのが望ましいこ
と。この場合、上記組成式において、x値を0.05〜
0.3としたのは、その値が0.05未満では所望の耐
摩耗性向上効果が得られず、一方その値が0.3を超え
ると層自体の靭性が急激に低下するようになり、これが
原因で切刃にチッピングが発生し易くなるという理由に
よるものであること。また、y値を0.3〜0.6とし
たのは、その値が0.3未満になると、相対的に炭素の
割合が増大し、窒素の割合が減少して、硬さは増すが靭
性が急激に低下し、チッピングの原因となり、一方その
値が0.6を超えると、反対に炭素の割合が減少し、窒
素の割合が増大して、靭性は増すが硬さが急激に低下
し、耐摩耗性低下の原因となるという理由によるもので
あること。
して、これの形成直後および/または硬質被覆層全体を
形成した後で、 雰囲気:水素、アルゴン、あるいは水素+アルゴン、 温度:1000〜1150℃、 保持時間:1〜5時間、 の条件で熱処理を施すと、上記l−(Zr,Ti)CN
層はいずれも粒状結晶組織を有するが、微細粒にして均
粒のZrCN結晶粒とTiCN結晶粒に熱分解し、この
結果のZrCN結晶粒とTiCN結晶粒の混合層からな
る熱分解生成層は、前記熱処理前のl−(Zr,Ti)
CN層のもつ高靭性と同等な高靭性を具備した上で、さ
らに一段と硬さが向上し、上記の従来被覆超硬工具の硬
質被覆層の構成層であるl−TiCN層と同等の硬さを
もつようになり、したがってこの熱分解生成混合層を硬
質被覆層の構成層とする被覆超硬工具は、通常の条件で
の連続切削や断続切削は勿論のこと、断続切削を高送り
や高切り込みなどの重切削条件で行うのに用いた場合に
も硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を示し、かつ前
記熱分解生成混合層による硬さ向上と相俟って、切刃に
チッピングの発生なく、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性
を発揮するようになること。以上(a)および(d)に
示される研究結果を得たのである。
されたものであって、超硬基体の表面に、(a) いず
れも0.1〜5μmの平均層厚および粒状結晶組織を有
する、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、
TiNO層、およびTiCNO層のうちの1種または2
種以上からなるTi化合物層と、(b) 3〜15μm
の平均層厚を有し、縦長成長結晶組織を有し、かつTi
の割合がZrとの合量に占める原子比で0.05〜0.
3を満足するl−(Zr,Ti)CN層からの熱分解生
成層にして、粒状結晶組織を有するZrCN結晶粒とT
iCN結晶粒の混合層と、(c) 0.5〜10μmの
平均層厚および粒状結晶組織を有するAl2 O3層と、
で構成された硬質被覆層を5〜25μmの全体平均層厚
で化学蒸着および/または物理蒸着してなる、断続重切
削で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被
覆超硬工具に特徴を有するものである。
層における構成層の平均層厚は以下の理由により定めた
ものである。すなわち、Ti化合物層のそれぞれには、
共通する性質として構成層相互間の層間密着性を向上さ
せる作用があり、したがってその平均層厚が0.1μm
未満では、所望のすぐれた層間密着性を確保することが
できず、一方その平均層厚が5μmを越えると、急激に
粒成長するようになり、切刃にチッピングが発生し易く
なることから、その平均層厚を0.1〜5μmと定め
た。
摩耗性を向上させる作用があるが、その平均層厚が0.
5μm未満では、所望のすぐれた耐摩耗性を確保するこ
とができず、一方その平均層厚が10μmを越えると切
刃にチッピングが発生し易くなることから、その平均層
厚を0.5〜10μmと定めた。
N層と同等の高靭性を具備した上でl−TiCN層と同
等の硬さを有し、硬質被覆層の耐チッピング性向上に一
段と寄与するが、その平均層厚が5μm未満では、耐チ
ッピング性向上効果が不充分であり、一方その平均層厚
が15μmを越えると切刃にチッピングが発生し易くな
ることから、その平均層厚を3〜15μmと定めた。ま
た、硬質被覆層の全体平均層厚を5〜25μmとしたの
は、その平均層厚が5μm未満では、所望の耐摩耗性を
確保することができず、一方その平均層厚が25μmを
越えると、切刃にチッピングが発生し易くなるという理
由からである。
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、平
均粒径:1.5μmの細粒WC粉末、3.0μmの中粒
WC粉末、同1.2μmの(Ti,W)CN(重量比
で、以下同じ、TiC/TiN/WC=24/20/5
6)粉末、同1.3μmの(Ta,Nb)C(TaC/
NbC=90/10)粉末、同1.2μmのZrC粉
末、同1.0μmのCr粉末、および同1.2μmのC
o粉末を用意し、これら原料粉末を表1に示される配合
組成に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥
した後、この混合粉末をISO規格CNMG12041
2に則したスローアウエイチップ形状の圧粉体にプレス
成形し、この圧粉体を同じく表1に示される条件で真空
燒結することにより超硬基体a〜eをそれぞれ製造し
た。さらに、上記超硬基体eに対して、50torrの
CH4ガス雰囲気中、温度:1400℃に1時間保持
後、徐冷の条件で浸炭処理を施し、処理後超硬基体表面
に付着するカーボンとCoを酸およびバレル研磨で除去
することにより、表面から6μmの位置で最大Co含有
量:12.8重量%、深さ:28μmのCo富化帯域を
基体表面部に形成した。また、いずれも焼結したまま
で、上記超硬基体cには表面部に表面から16μmの位
置で最大Co含有量:8.6重量%、深さ:20μmの
Co富化帯域、上記超硬基体dには表面部に表面から2
0μmの位置で最大Co含有量:12.7重量%、深
さ:26μmのCo富化帯域がそれぞれ形成されてお
り、残りの超硬基体aおよびbには前記Co富化帯域の
形成はなく、全体的に均一な組織をもつものであった。
さらに、表1には上記超硬基体a〜eの内部硬さ(ロッ
クウエル硬さAスケール)をそれぞれ示した。
の形状に加工およびホーニング加工した状態で、その表
面に、通常の化学蒸着装置を用い、表2、3に示される
条件にて、表4、5に示される目標組成および目標層厚
(切刃の逃げ面)の硬質被覆層を形成することにより硬
質被覆層の構成層として表3、4に記号A-1〜A-4と
して示されるZrCN結晶粒とTiCN結晶粒の混合層
からなる熱分解生成層を形成(前記熱分解生成層は硬質
被覆層全体を蒸着した後でそれぞれ表3に示される条件
で熱処理を施すことにより形成した)してなる本発明被
覆超硬工具1〜10、および前記熱分解生成層に代わっ
てl−TiCN層を形成してなる従来被覆超硬工具1〜
10をそれぞれ製造した。なお、この結果得られた各種
の被覆超硬工具について、硬質被覆層の構成層の組成お
よび平均層厚を電子プローブマイクロアナライザーおよ
び光学顕微鏡を用いて測定したところ、いずれも表3〜
5に示される目標組成および目標層厚と実質的に同じ組
成および平均層厚を示した。
および従来被覆超硬工具1〜10について、 被削材:JIS・SCM440長さ方向等間隔4本縦溝
入り丸棒、 切削速度:200m/min.、 切り込み:4.5mm、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、 の条件での合金鋼の乾式断続高切り込み切削試験、並び
に、 被削材:JIS・SCr420Hの長さ方向等間隔4本
縦溝入り丸棒、 切削速度:200m/min.、 切り込み:1.5mm、 送り:0.45mm/rev.、 切削時間:10分、 の条件での合金鋼の乾式断続高送り切削試験を行い、い
ずれの切削試験でも切刃の最大逃げ面摩耗幅を測定し
た。この測定結果を表6に示した。
層中に構成層として微細粒にして均粒のZrCN結晶粒
とTiCN結晶粒の混合層からなる熱分解生成層が存在
する本発明被覆超硬工具1〜10は、いずれも前記熱分
解生成層がすぐれた靭性を有し、かつl-TiCN層と
同等の硬さを有することから、きわめて過酷な条件であ
って、高靭性が要求される鋼の断続重切削にも切刃にチ
ッピングの発生なく、すぐれた耐摩耗性を発揮するのに
対して、l−TiCN層が硬質被覆層の構成層として存
在する従来被覆超硬工具1〜10においては、いずれの
切削にもチッピングが発生し、これが原因で比較的短時
間で使用寿命に至ることが明らかである。上述のよう
に、この発明の被覆超硬工具は、例えば鋼や鋳鉄などの
通常の条件での連続切削や断続切削は勿論のこと、断続
切削を高送りや高切り込みなどの重切削条件で行った場
合にも硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を示し、長
期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものであるか
ら、切削装置のFA化、並びに切削加工の省力化および
省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるも
のである。
Claims (1)
- 【請求項1】 炭化タングステン基超硬合金基体の表面
に、 (a) いずれも0.1〜5μmの平均層厚および粒状
結晶組織を有する、炭化チタン層、窒化チタン層、炭窒
化チタン層、炭酸化チタン層、窒酸化チタン層、および
炭窒酸化チタン層のうちの1種または2種以上からなる
Ti化合物層と、 (b) 3〜15μmの平均層厚を有し、縦長成長結晶
組織を有し、かつTiの割合がZrとの合量に占める原
子比で0.05〜0.3を満足するZrとTiとの複合
炭窒化物固溶体層からの熱分解生成層にして、粒状結晶
組織を有する炭窒化ジルコニウム結晶粒と炭窒化チタン
結晶粒の混合層と、 (c) 0.5〜10μmの平均層厚および粒状結晶組
織を有する酸化アルミニウム層と、で構成された硬質被
覆層を5〜25μmの全体平均層厚で化学蒸着および/
または物理蒸着してなる、断続重切削で硬質被覆層がす
ぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆炭化タングス
テン基超硬合金製切削工具。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP19710899A JP3887812B2 (ja) | 1999-07-12 | 1999-07-12 | 断続重切削で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP3887812B2 JP3887812B2 (ja) | 2007-02-28 |
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Country Status (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105506580A (zh) * | 2014-09-25 | 2016-04-20 | 株洲钻石切削刀具股份有限公司 | 表面改性涂层切削刀片及其制备方法 |
US11614623B2 (en) | 2018-02-26 | 2023-03-28 | Veyezer, Llc | Holographic real space refractive system |
-
1999
- 1999-07-12 JP JP19710899A patent/JP3887812B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN105506580A (zh) * | 2014-09-25 | 2016-04-20 | 株洲钻石切削刀具股份有限公司 | 表面改性涂层切削刀片及其制备方法 |
CN105506580B (zh) * | 2014-09-25 | 2018-11-20 | 株洲钻石切削刀具股份有限公司 | 表面改性涂层切削刀片及其制备方法 |
US11614623B2 (en) | 2018-02-26 | 2023-03-28 | Veyezer, Llc | Holographic real space refractive system |
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