JP2001024281A - 半導体発光装置 - Google Patents

半導体発光装置

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JP2001024281A
JP2001024281A JP11199142A JP19914299A JP2001024281A JP 2001024281 A JP2001024281 A JP 2001024281A JP 11199142 A JP11199142 A JP 11199142A JP 19914299 A JP19914299 A JP 19914299A JP 2001024281 A JP2001024281 A JP 2001024281A
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JP
Japan
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layer
conductivity type
light emitting
emitting device
semiconductor light
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JP11199142A
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English (en)
Inventor
Kenji Shimoyama
謙司 下山
Kazumasa Kiyomi
和正 清見
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高出力においてもCODすることなく、かつ
キンクレベルが高い高性能な半導体発光装置を提供する
こと。 【解決手段】 基板、該基板上に形成された第1導電型
光ガイド層、前記光ガイド層上であって端面近傍を除く
部分に形成された活性層、前記活性層上に形成された第
2導電型第1クラッド層、前記第2導電型第1クラッド
層上および前記光ガイド層上の端面近傍部分に形成され
たストライプ状の開口部を有する電流ブロック層、前記
ストライプ状の開口部上の少なくとも一部に形成された
第2導電型第2クラッド層を有することを特徴とする半
導体発光装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザなどとし
て有用な半導体発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体レーザ素子は、その光出力
を増していくと、出射端面での光密度が上昇し、端面で
の光の吸収により温度が上昇し、非可逆的な破壊(以
下、「COD」(Catastrophic Optical Damage)とい
う)を生じレーザ発振をしなくなってしまう。このCO
Dを防ぎつつ高出力を得るために、現在主として以下の
2つの方法が用いられている。1つはブロードエリアレ
ーザであり、これは発光領域を大きくすることにより、
光の密度は低いままで全光出力を大きくするものである
が、発光領域が大きいため、単一モードで安定作動させ
るのは困難である。
【0003】もう1つの方法は、端面に光を実質的に吸
収しない非吸収領域を設けた構造のレーザ素子であり、
端面の反射鏡の部分が非吸収領域(NAM領域)となっ
ているため、通常NAMレーザ(Non-Absorbing Mirro
r)と呼ばれている。NAMレーザは端面での光の吸収
が起こらなくすることができるため、CODを完全に抑
制することが可能となり、かつ誘導放出が行われる活性
層付近の構造はブロードエリアレーザの場合のように制
限されることなく、端面の非吸収領域とは独立に自由に
設計できるために、単一モードの高い光出力で動作させ
ることができる。
【0004】NAMレーザの代表的な作製例として、 (1)端部領域での量子井戸構造無秩序化プロセス(H.
Nakashima et al., Japanese Journal of Applied Phys
ics, vol.24, No.8, L647 (1985)) (2)端部領域での活性層埋込プロセス(H.Naito et a
l., IEEE Journal Quantum Electronics, vol.QE-25, 1
495 (1989)) があげられる。上記(1)には、不純物拡散を用いるた
めに作製プロセスが容易であるという利点はあるもの
の、活性層内部の高濃度の不純物により内部損失が増大
したり、有効に量子井戸構造を無秩序化するために量子
井戸構造に制約が生じるなどの欠点がある。上記(2)
には、優れたレーザ特性の実現が可能となるという利点
があるものの、素子構造および作製プロセスが複雑であ
るという欠点がある。
【0005】上記(2)の端部活性層埋込構造を、選択
成長技術を用いることにより、素子構造及び作製プロセ
スの簡素化を実現したリッジ構造を有するNAMレーザ
の具体的な構成が特開平6−291405号公報に記載
されている。これにより、CODの起こらない高出力レ
ーザが実現できている。特開平6−291405号公報
に記載されるような従来のNAM構造レーザ素子は、基
板上に第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型クラ
ッド層を形成して、リッジ上面部になる部分にのみ保護
膜を形成してからエッチングにより第2導電型クラッド
層と活性層を除去し、かつ第1導電型光ガイド層でエッ
チングをエッチングを停止する方法により作製されてい
る。このようにして作製したレーザ素子は、活性層の左
右が電流ブロック層に挟まれた埋め込み構造となってい
るため、ストライプ内外での屈折率段差が大きくなりす
ぎる。従って、活性層内での横方向の光閉じ込めが強く
なりすぎて、キンクレベルが低下しやすいという問題が
ある。
【0006】また、活性層が埋め込まれたインナースト
ライプ構造の半導体レーザの作製方法について、特開平
6−21568号公報に記載されている。これにより、
高出力において単一モードで発振するレーザが実現でき
ている。しかしながら、特開平6−291405号公報
に記載されるような従来のNAM構造レーザ素子は、出
射端面において活性層近傍に低Al組成、すなわち低屈
折率の保護層が形成されているために、NFP形状の対
称性が劣化し、ビーム形状の裾付近での乱れが発生する
可能性がある。また、素子構造が複雑なためエッチング
工程が4回も必要であり製造工程が煩雑である。さら
に、端部付近で発生する凹凸のためにエッチングにより
ストライプを形成するときに、活性領域の共振器方向の
両端でストライプ幅の乱れが発生したり、エッチングス
トップ層が均一に形成されない可能性がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの従
来技術の問題点を解決することを課題とした。すなわち
本発明は、高出力においてもCODすることなく、かつ
キンクレベルが高い高性能な半導体発光装置を提供する
ことを解決すべき課題とした。また本発明は、簡素で再
現性が高いプロセスにより製造することが可能な半導体
発光装置を提供することも解決すべき課題とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を進めた結果、図1に例示され
る構成を有する半導体発光装置によれば所期の効果が十
分に得られることを見出し、本発明を提供するに至っ
た。すなわち本発明は、基板、該基板上に形成された第
1導電型光ガイド層、前記光ガイド層上であって端面近
傍を除く部分に形成された活性層、前記活性層上に形成
された第2導電型第1クラッド層、前記第2導電型第1
クラッド層上および前記光ガイド層上の端面近傍部分に
形成されたストライプ状の開口部を有する電流ブロック
層、前記ストライプ状の開口部上の少なくとも一部に形
成された第2導電型第2クラッド層を有することを特徴
とする半導体発光装置を提供する。
【0009】本発明の好ましい態様として、前記電流ブ
ロック層が、前記第2導電型第2クラッド層よりも屈折
率が小さい半導体層を有する態様;前記電流ブロック層
が、活性層に近い側から順に、第2導電型あるいは高抵
抗の半導体層と第1導電型半導体層で構成されている態
様;前記電流ブロック層上に表面保護層を有する態様;
前記第1導電型光ガイド層のAl組成が0.2以下であ
る態様;前記第1導電型光ガイド層の屈折率が前記活性
層の屈折率よりも小さい態様;前記基板と前記第1導電
型光ガイド層との間に第1導電型クラッド層を有する態
様;前記第1導電型クラッド層の屈折率が前記第1導電
型光ガイド層よりも小さい態様;前記第1導電型クラッ
ド層の屈折率が前記第2導電型第1クラッド層よりも大
きい態様;前記活性層がInGaAs、GaInPある
いはGaInAsPからなる態様;前記電流ブロック層
の側壁が(111)B面からなる態様;および、前記電
流ブロック層が選択成長により形成された態様を挙げる
ことができる。
【0010】
【発明の実施の態様】以下において、本発明の半導体発
光装置についてその構造と製造方法を詳細に説明する。
本発明の半導体発光装置は、基板、該基板上に形成され
た第1導電型光ガイド層、前記光ガイド層上であって端
面近傍を除く部分に形成された活性層、前記活性層上に
形成された第2導電型第1クラッド層、前記第2導電型
第1クラッド層上および前記光ガイド層上の端面近傍部
分に形成されたストライプ状の開口部を有する電流ブロ
ック層、前記ストライプ状の開口部上の少なくとも一部
に形成された第2導電型第2クラッド層を有する。本発
明の半導体発光装置は、これらの層の他に半導体発光装
置に通常形成される層を適宜有していてもよい。
【0011】本明細書において「A層の上に形成された
B層」という表現は、A層の上面にB層の底面が接する
ようにB層が形成されている場合と、A層の上面に1以
上の層が形成されさらにその層の上にB層が形成されて
いる場合の両方を含むものである。また、A層の上面と
B層の底面が部分的に接していて、その他の部分ではA
層とB層の間に1以上の層が存在している場合も、上記
表現に含まれる。具体的な態様については、以下の各層
の説明と実施例の具体例から明らかである。
【0012】本発明の半導体発光装置を構成する基板
は、その上にダブルへテロ構造の結晶を成長することが
可能なものであれば、その導電性や材料については特に
限定されない。好ましいものは、導電性がある基板であ
る。具体的には、基板上への結晶薄膜成長に適したGa
As、InP、GaP、ZnSe、ZnO、Si、Al
23等の結晶基板、特に閃亜鉛鉱型構造を有する結晶基
板を用いるのが好ましい。その場合、基板結晶成長面は
低次な面またはそれと結晶学的に等価な面が好ましく、
(100)面が最も好ましい。なお、本明細書において
(100)面という場合、必ずしも厳密に(100)シ
ャストの面である必要はなく、最大30°程度のオフア
ングルを有する場合まで包含する。オフアングルの大き
さは上限は30°以下が好ましく、16°以下がより好
ましい。下限は0.5°以上が好ましく、2°以上がよ
り好ましく、6°以上がさらに好ましく、10°以上が
最も好ましい。
【0013】また、基板は六方晶型の基板でもよく、例
えばAl23、6H−SiC等からなる基板を用いるこ
ともできる。基板上には、通常基板の欠陥をエピタキシ
ャル成長層に持ち込まないために厚さ0.2〜2μm程
度のバッファ層を形成しておくことが好ましい。
【0014】基板上には、活性層を含む化合物半導体層
を形成する。化合物半導体層は、通常、活性層の上下に
活性層より屈折率の小さい層を含んでいるのが好まし
く、そのうち基板側の層は第1導電型クラッド層、他方
のエピタキシャル側の層は第2導電型第1クラッド層と
して機能する。また、活性層の基板側には第1導電型光
ガイド層を有している。第1導電型クラッド層の屈折率
は第1導電型光ガイド層よりも小さいことが好ましく、
第1導電型クラッド層の屈折率は第2導電型第1クラッ
ド層よりも小さいことが好ましい。これらの屈折率の大
小関係は、各層の材料組成を当業者に公知の方法にした
がって適宜選択することにより調節することができる。
例えば、AlxGa1-xAs、(AlxGa1-x0.5In
0.5PなどのAl組成を変化させることによって屈折率
を調節することができる。
【0015】第1導電型クラッド層は、活性層よりも屈
折率の小さい材料で形成される。また、第1導電型クラ
ッド層の屈折率は、第2導電型クラッド層の屈折率より
も大きいことが好ましい。例えば、第1導電型のAlG
aInP、AlInP、AlGaAs、AlGaAs
P、AlGaInAs、GaInAsP、AlGaIn
N、BeMgZnSe、MgZnSSe、CdZnSe
Te等の一般的なIII−V族、II−VI族半導体を
用いることができる。第1導電型クラッド層のキャリア
濃度は、下限は1×1018cm-3以上が好ましく、3×
1018cm-3以上がより好ましく、5×1018cm-3
上が最も好ましい。上限は2×1020cm -3以下が好ま
しく、5×19cm-3以下がより好ましく、3×1018
-3以下が最も好ましい。
【0016】第1導電型クラッド層は、単層からなるも
のであるときは、好ましくは0.5〜4μm、より好ま
しくは1〜3μm程度の厚みを有することが必要とされ
る。第1導電型クラッド層は複数層からなるものであっ
てもよく、具体的にはAlGaInP又はAlInPか
らなるクラッド層と、その層よりも基板側に第1導電型
のAlGaAs又はAlGaAsPからなるクラッド層
が形成されている態様を例示することができる。このと
き、基板側の層の厚さは薄くすることが好ましく、厚さ
の下限としては0.01μm以上が好ましく、0.05
μm以上がより好ましい。上限としては、0.5μm以
下が好ましく、0.3μm以下がより好ましい。また、
基板側の層のキャリア濃度は、2×1017cm-3〜3×
1018cm-3の範囲が好ましく、その範囲内では5×17
cm-33以上が好ましく、2× 18cm-3以下が好まし
い。
【0017】本発明の半導体発光装置では、第1導電型
光ガイド層のAl組成は0.3以下であることが好まし
く、0.2以下であることがより好ましく、0.15以
下であることがさらにより好ましい。第1導電型光ガイ
ド層の屈折率は、光導波機能及び端面での光の非吸収効
果を得るために、活性層の屈折率よりも小さくする必要
がある。第1導電型光ガイド層の厚みは、薄くなりすぎ
ると活性層での光閉じ込めが大きくなりすぎて、活性領
域(活性層の存在する部分)からNAM領域への光導波
損失が大きくなる、一方、厚くなりすぎると活性層での
光閉じ込めが小さくなりすぎるという問題が発生し、し
きい値電流の増大やスロープ効率の低減などレーザ特性
の劣化を招いてしまう。このため、第1導電型光ガイド
層の厚みは、下限として50nm以上が好ましく、10
0nm以上がより好ましい。上限としては、500nm
以下が好ましく、300nm以下が好ましい。
【0018】本発明の半導体発光装置を構成する活性層
の構造は、特に制限されない。例えば、量子井戸層及び
前記量子井戸層を上下から挟む光閉じ込め層からなる単
一量子井戸構造(SQW)や、複数の量子井戸層及びそ
れらに挟まれたバリア層ならびに最上の量子井戸層の上
及び最下の量子井戸層の下に積層された光閉じ込め層か
らなる多量子井戸構造(MQW)であってもよい。活性
層を量子井戸構造とすることにより、単層のバルク活性
層と比較して、短波長化(630nm〜660nm)か
つ低しきい値化を達成することができる。活性層の材料
としては、GaInP、AlGaInP、GaInA
s、AlGaInAs、GaInAsPなどを例示する
ことができる。GaとInを構成元素として含む材料で
ある場合は、自然超格子が形成されやすいために、オフ
基板を用いることによる自然超格子抑制の効果が大きく
なる。
【0019】活性層の上には、第2導電型第1クラッド
層が形成される。このクラッド層は、活性層よりも屈折
率の小さい材料で形成される。例えば、第2導電型のA
lGaInP、AlInP、AlGaAs、AlGaA
sP、AlGaInAs、GaInAsP、AlGaI
nN、BeMgZnSe、MgZnSSe、CdZnS
eTe等の一般的なIII−V族、II−VI族半導体
を用いることができる。第2導電型クラッド層がAlを
含むIII−V族化合物半導体で構成されている場合
は、その成長可能な実質的全面をGaAs、GaAs
P、GaInAs、GaInP、GaInN等のAlを
含まないIII−V族化合物半導体で覆えば表面酸化を
防止することができるため好ましい。
【0020】第2導電型第1クラッド層のキャリア濃度
は、下限は1×1018cm-3以上が好ましく、3×10
18cm-3以上がより好ましく、5×1018cm-3以上が
最も好ましい。上限は2×1020cm-3以下が好まし
く、5×1019cm-3以下がより好ましく、3×1018
cm-3以下が最も好ましい。
【0021】第2導電型第1クラッド層は活性層の上に
形成する。本発明の好ましい実施様態では、第2導電型
第1クラッド層の屈折率は、第1導電型クラッド層の屈
折率よりも小さい。このような態様を採用することによ
り、活性層から光ガイド層側へ有効に光がしみ出すよう
に光分布(近視野像)を制御することができる。また、
活性領域(活性層の存在する部分)からNAM領域への
光導波損失を低減することもできるため、高出力動作に
おけるレーザ特性や信頼性の向上を達成することができ
る。
【0022】第2導電型第1クラッド層の上に第2導電
型キャップ層を形成することにより、少なくともグルー
ブ内に第2導電型第2クラッド層を再成長させる際に、
再成長界面で通過抵抗を増大させるような高抵抗層の発
生を防ぐことを容易にすることができる。また、キャッ
プ層はコンタクト層として機能させてもよい。キャップ
層の材料は、酸化されにくいか或いは酸化されてもクリ
ーニングが容易な材料であれば特に限定されない。具体
的には、Al等の酸化されやすい元素の含有率の低い
(0.3以下程度)III−V族化合物半導体層が挙げ
られる。また、材料と厚みを選択することによって活性
層からの光を吸収しないようにすることが好ましい。キ
ャップ層の材料は、一般に活性層の材料よりもバンドギ
ャップが大きい材料から選択されるが、バンドギャップ
が小さい材料であっても、厚さが50nm以下、より好
ましくは30nm以下、最も好ましくは10nm以下で
あれば、実質的に光の吸収が無視できるので使用可能で
ある。
【0023】本発明の半導体発光装置を構成する電流ブ
ロック層は、第2導電型第1クラッド層上および光ガイ
ド層上の端面近傍部分に形成され、ストライプ状の開口
部を有する。電流ブロック層の材料は特に限定されず、
誘電体であっても半導体であってもよい。誘電体と半導
体にはそれぞれ以下に記載するような利点と欠点がある
ため、電流ブロック層の材料はこれらの利点と欠点を考
慮して適宜決定するのが好ましい。
【0024】電流ブロック層の材料として誘電体を用い
る場合は、例えばSiNx、SiO 2、Al23などを
用いることができる。誘電体を用いると、低屈折率でか
つ絶縁特性の優れた層を形成することができるなどの利
点がある反面、熱伝導率が低いために放熱性が悪い、劈
開性が悪い、平坦化しにくいためにジャンクション・ダ
ウンで組み立てにくいなどの欠点も有している。
【0025】一方、電流ブロック層の材料として半導体
を用いた場合は、誘電体膜と比較して熱伝導率が高いた
めに放熱性が良い、劈開性が良い、平坦化しやすいため
にジャンクション・アップで組み立てやすい、コンタク
ト層を全面に形成しやすいのでコンタクト抵抗を下げや
すいなどの利点がある反面、低屈折率にするためにAl
GaAs、AlInPなどの高Al組成化合物が必要に
なる時は表面酸化などの対策が必要であるなどの欠点が
ある。
【0026】電流ブロック層の屈折率は、電流ブロック
層に挟まれたAlGaAs又はAlGaAsPからなる
第2導電型第2クラッド層の屈折率よりも低くする(実
屈折率ガイド構造)。このような屈折率の制御を行うこ
とによって、従来のロスガイド構造に比べて動作電流を
低減することが可能になる。電流ブロック層と第2導電
型第2クラッド層との屈折率差は、電流ブロック層が化
合物半導体の場合、下限は0.001以上が好ましく、
0.003以上がより好ましく、0.007以上が最も
好ましい。上限は、1.0以下が好ましく、0.5以下
がより好ましく、0.1以下が最も好ましい。電流ブロ
ック層が誘電体の場合、下限は0.1以上が好ましく、
0.3以上がより好ましく、0.7以上が最も好まし
い。上限は、3.0以下が好ましく、2.5以下がより
好ましく、1.8以下が最も好ましい。
【0027】第2導電型第2クラッド層よりも低屈折率
にすることや、GaAs基板との格子整合を考慮する
と、半導体としてAlGaAs又はAlGaAsP、も
しくはAlGaInP又はAlInPを用いることが好
ましい。AlGaInP又はAlInPは、AlGaA
s又はAlGaAsPと比べて、熱伝導が悪い、自然超
格子の形成による屈折率の変化、選択成長(グルーブ側
壁と底面)におけるIn組成の不安定性などがあるの
で、選択成長時の保護膜へのポリの堆積防止(HCl添
加選択成長)ができるのであれば、AlGaAs又はA
lGaAsPを選択する方が好ましい。ただし、AlG
aAs又はAlGaAsPの場合は、Al組成がAlA
sに近くなりすぎると潮解性を示すので、Al組成の上
限は0.95以下が好ましく、0.92以下がより好ま
しく、0.90以下が最も好ましい。第2導電型クラッ
ド層よりも低屈折率にする必要があることから、Al組
成の下限は0.3以上が好ましく、0.35以上がより
好ましく、0.4以上が最も好ましい。
【0028】電流ブロック層は、光分布(特に横方向の
光分布)を制御したり電流阻止の機能を向上させるため
に、屈折率、キャリア濃度又は導電型が異なる2つ以上
の層から形成してもよい。電流ブロック層の上に表面保
護層を形成して、表面酸化の抑制あるいはプロセス上の
表面保護を図ることができる。表面保護層の導電型は特
に規定されないが、第2導電型とすることにより、電流
阻止機能の向上を図ることができる。
【0029】電流ブロック層の導電型は、第1導電型又
は高抵抗(アンドープもしくは深い順位を形成する不純
物(O、Cr、Feなど)をドープ)、あるいはこれら
2つの組み合わせのいずれであってもよく、導電型ある
いは組成の異なる複数の層から形成されていてもよい。
例えば、活性層に近い側から第2導電型あるいは高抵抗
の半導体層、および第1導電型の半導体層の順に形成さ
れている電流ブロック層を好ましく用いることができ
る。また、あまり薄いと電流阻止に支障を生じる可能性
があるため、厚さは0.1μm以上であるのが好まし
く、0.5μm以上であるのがより好ましい。素子とし
てのサイズ等を勘案すれば、0.1〜3μm程度の範囲
から選択するのが好ましい。
【0030】ストライプ状の開口部上の少なくとも一部
には、第2導電型第2クラッド層が形成される。第2導
電型第2クラッド層は、通常はストライプ状開口部の上
側表面をすべて覆うように形成される。第2導電型第2
クラッド層のキャリア濃度は、下限は1×1018cm-3
以上が好ましく、3×1018cm-3以上がより好まし
く、5×1018cm-3以上が最も好ましい。上限は2×
1020cm-3以下が好ましく、5×1019cm-3以下が
より好ましく、3×1018cm-3以下が最も好ましい。
第2導電型第2クラッド層の厚さは、薄くなりすぎると
光閉じ込めが不十分となり、厚くなりすぎりと通過抵抗
が増加してしまうことを考慮して、下限は0.5μm以
上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。上限は
3.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ま
しい。
【0031】電流ブロック層を形成した後にさらに電極
を形成するに先立ち、電極材料との接触抵抗を低減する
ために、低抵抗(高キャリア濃度)のコンタクト層を形
成することが好ましい。特に電極を形成しようとする最
上層表面の全体にコンタクト層を形成したうえで電極を
形成することが好ましい。このとき、コンタクト層の材
料は、通常はクラッド層よりバンドギャップが小さい材
料の中から選択し、金属電極とのオーミック性を取るた
め低抵抗で適当なキャリア密度を有するのが好ましい。
キャリア密度の下限は、1×1018cm-3以上が好まし
く、3×1018cm-3以上がより好ましく、5×1018
cm-3以上が最も好ましい。上限は、2×1020cm-3
以下が好ましく、5×1019cm-3以下がより好まし
く、3×1018cm-3以下が最も好ましい。コンタクト
層の厚みは、0.1〜10μmが好ましく、1〜8μm
がより好ましく、2〜6μmがもっとも好ましい。ま
た、電流ブロック層の開口部は、上側(コンタクト層
側)よりも下側(活性層側)の方が小さくなるようにす
る方が、通過抵抗の低減(動作電圧及ぶ発熱の低減)の
観点から好ましい。電流ブロック層をNAM領域上に形
成することにより、NAM領域でのリーク電流を無くす
ことができる。また、電流ブロック層をNAM領域より
もさらに内側に形成することにより、活性層の端部への
電流注入も抑制することができる。これにより、再成長
界面を有する端部領域での劣化(特にバルブ劣化)を低
減することができる。
【0032】オフアングルの方向は、電流ブロック層に
形成されるストライプ状開口部の伸びる方向に直交する
方向から、±30°以内の方向が好ましく、±7°以内
の方向がより好ましく、±2°以内の方向が最も好まし
い。また、ストライプ領域の方向は、基板の面方位が
(100)の場合、[0−11]またはそれと等価な方
向が、オフアングルの方向は[011]方向またはそれ
と等価な方向から±30°以内の方向が好ましく、±7
°以内の方向がより好ましく、±2°以内の方向が最も
好ましい。なお、本明細書において「[01−1]方
向」という場合は、一般的なIII−V族、II−VI
族半導体において、(100)面と[01−1]面との
間に存在する[11−1]面が、それぞれV族又はVI
族元素が現れる面であるように[01−1]方向を定義
する。
【0033】本発明の実施態様は上記のストライプ領域
が[01−1]方向の場合に限定されない。例えば、ス
トライプ領域が[011]方向又はそれと結晶学的に等
価な方向に伸びている場合、例えば、成長条件により、
成長速度に異方性をもたせることができ、(100)面
では速く、(111)B面ではほとんど成長しないよう
にすることができる。その場合、(111)B面を側面
とする第2導電型第2クラッド層が形成される。この場
合も次にコンタクト層を形成する際、より等方性の強い
成長が起こる条件を選ぶことにより、(100)面の頂
部とともに(111)B面からなる側面にも全面的にコ
ンタクト層が形成される。
【0034】同様の理由により、ウルツァイト型の基板
を用いた場合には、ストライプ領域の伸びる方向は、例
えば(0001)面上では[11−20]又は[1−1
00]が好ましい。HVPE(Hydride Vapor Phase Ep
itaxy)ではどちらの方向でもよいが、MOVPEでは
[11−20]方向がより好ましい。
【0035】本発明の構造において、まず、所望の垂直
拡がり角を得るために活性層の厚みとクラッド層の組成
を決定する。通常、垂直拡がり角を狭くすると活性層か
らクラッド層への光の浸みだしが促進され、端面での光
密度が小さくなり、出射端面の光学的損傷(COD)レ
ベルが向上することができるので、高出力動作を必要と
する時には比較的に狭めに設定されるが、下限は活性層
内の光閉じ込めの低減による発振しきい値電流の増大及
びキャリアのオーバーフローによる温度特性の低下を抑
制することで制限があり、下限は、15°以上が好まし
く、17°以上がより好ましく、19°以上が最も好ま
しい。上限は、32°以下が好ましく、29°以下がよ
り好ましく、27°以下が最も好ましい。次に、垂直拡
がり角を決定すると、高出力特性を大きく支配する構造
パラメータは活性層と電流ブロック層との間の距離dp
とストライプ状開口部底部における幅(以下「ストライ
プ幅」という)Wとなる。なお、活性層と電流ブロック
層との間に第2導電型第1クラッド層のみが存在する場
合、dpは第2導電型第1クラッド層の厚みとなる。ま
た、活性層が量子井戸構造の場合、最も電流ブロック層
に近い活性層と電流ブロック層との距離がdpになる。
【0036】dpについては、上限は0.30μm以下
が好ましく、0.20μm以下がより好ましく、0.1
5μm以下がもっとも好ましい。下限は0.03μm以
上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.
07μm以上がもっとも好ましい。ただし、使用目的
(拡がり角をどこに設定するかなど)、材料系(屈折
率、抵抗率等)などが異なると、上記の最適範囲も少し
シフトする。また、この最適範囲は上記の各構造パラメ
ータがお互いに影響し合うことにも注意を要する。開口
部底部におけるストライプ幅Wは、上限が100μm以
下であることが好ましく、50μm以下であることがよ
り好ましい。下限が1μm以上であることが好ましく、
1.5μm以上であることがより好ましく、2μm以上
であることがもっとも好ましい。また、横モードをシン
グルモード(単一ピークの横方向光強度分布)にするた
めには、高次モードのカットオフ及び空間的ホールバー
ニングの防止の観点からWをあまり大きくすることがで
きず、Wの上限は7μm以下が好ましく、6μm以下が
より好ましい。
【0037】高出力動作を実現するには、開口部底部に
おけるストライプ幅Wを広くすることが端面での光密度
低減の観点から有効であるが、動作電流を低減するため
にはストライプ幅を狭くすることが、導波路ロス低減の
観点から好ましい。そこで、ゲイン領域となる中央付近
のストライプ幅W2を比較的狭くし、端部付近のストラ
イプ幅W1を比較的広くなるようにすることにより、低
動作電流と高出力動作を同時に実現することができ、高
い信頼性も確保することができる(図6(a))。すな
わち、端部(劈開面)幅W1については、上限が100
0μm以下であることが好ましく、500μm以下であ
るがより好ましい。下限が2μm以上であることが好ま
しく、3μm以上であることがより好ましい。中央部幅
W2については、上限が100μm以下であることが好
ましく、50μm以下であることがより好ましい。下限
が1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上で
あることがより好ましく、2μm以上であることがもっ
とも好ましい。端部幅W1と中央部幅W2の差について
は、上限は1000μm以下が好ましく、500μm以
下がより好ましい。下限については、0.2μm以上が
好ましく、0.5μm以上がより好ましい。
【0038】さらに横モードをシングルモードにするた
めには、W1の上限は、7μm以下が好ましく、6μm
以下がより好ましい。W2の上限は、6μm以下が好ま
しく、5μm以下がより好ましい。端部幅W1と中央部
幅W2の差については、上限は5μm以下が好ましく、
3μm以下がより好ましく、2μm以下が最も好まし
い。下限については、0.2μm以上が好ましく、0.
5μm以上がより好ましい。
【0039】高い信頼性を維持しつつビームが円形に近
いレーザを達成するためには、上記dpとWを適切な範
囲に制御性良く納めることが必要となる。円形に近いビ
ームを実現するには、ストライプ幅を狭くすることが有
効であるが、ストライプ幅を狭くすると注入電流密度が
密度がバルク劣化抑制の観点から好まくない。そこで、
ゲイン領域となる中央付近のストライプ幅W1を比較的
広くし、端部付近を比較的狭くなるようにすることによ
り、ビームスポット低減と低動作電流を同時に実現する
ことができ、高い信頼性も確保することができる(図6
(b))。すなわち、端部(劈開面)幅W1について
は、上限が10μm以下であることが好ましく、5μm
以下であるがより好ましく、3μm以下であるがもっと
も好ましい。下限が0.5μm以上であることが好まし
く、1μm以上であることがより好ましい。中央部幅W
2については、上限が100μm以下であることが好ま
しく、50μm以下であることがより好ましい。下限が
1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であ
ることがより好ましく、2μm以上であることがもっと
も好ましい。端部幅W1と中央部幅W2の差について
は、上限は100μm以下が好ましく、50μm以下が
より好ましい。下限については、0.2μm以上が好ま
しく、0.5μm以上がより好ましい。
【0040】上記の漸増部分あるいは漸減部分、端部の
長さは所望の特性に応じて、設計すればよいが、漸減部
分の長さは、導波路損失低減の観点から、それぞれ5〜
10μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
端部の長さは、劈開精度の観点から5〜30μmが好ま
しく、10〜20μmがより好ましい。ただし、必要に
応じて、以下のようにストライプの窓を作製してもよ
い。 (1)端部、漸増部分あるいは漸減部分のストライプ幅
あるいは長さがチップ両側で非対称となるもの。 (2)端部の幅一定となる領域を設定せずに、端部まで
漸増あるいは漸減としたもの。 (3)端面の片側(通常、高出力光取り出し(前端面)
側)だけストライプ幅が漸増あるいは漸減するようにし
たもの。 (4)端部ストライプ幅が前端面と後端面とで異なるも
の。 (5)上記の(1)〜(4)のいくつかを組み合わせた
もの。 また、端面付近に電極を設けないようにして、端部近傍
ストライプ領域への電流注入によるバルク劣化の抑制や
端面での再結合電流を低減することは、高い信頼性での
小スポット径のレーザ作製の観点から有効である。
【0041】端部での共振器方向におけるNAM領域の
長さは、短くなりすぎると再現性よく劈開することが困
難となり、一方、長くなりすぎるとNAM領域での損失
が増加するためにしきい値電流の増大やスロープ効率の
低減などレーザ特性の劣化を招いてしまう。そこで、N
AM領域の長さは、下限として、1μm以上が好まし
く、5μm以上がより好ましい。上限としては、50μ
m以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。な
お、本明細書でいう「端面近傍」は、このようなNAM
領域が形成される部分をさす。
【0042】本発明の半導体発光装置を製造する方法は
特に制限されない。いかなる方法により製造されたもの
であっても、上記請求項1の要件を満たすものであれば
本発明の範囲に含まれる。本発明の半導体発光装置を製
造する際には、従来から用いられている方法を適宜選択
して使用することができる。結晶の成長方法は特に限定
されるものではなく、ダブルヘテロ構造の結晶成長や電
流ブロック層等の選択成長には、有機金属気相成長法
(MOCVD法)、分子線エピタキシー法(MBE
法)、ハイドライドあるいはハライド気相成長法(VP
E法)、液相成長法(LPE法)等の公知の成長方法を
適宜選択して用いることができる。
【0043】本発明の半導体発光装置の製造方法として
は、まず基板上に第1導電型光ガイド層及び第2導電型
第1クラッド層と活性層を有するダブルヘテロ構造を形
成後、保護膜を用いて端面近傍で活性層が除去されかつ
前記第1導電型光ガイド層の表面が露出するようにエッ
チングし、第2導電型第1クラッド層上および前記光ガ
イド層上の端面近傍部分に電流ブロック層を形成する工
程を例示することができる。
【0044】各層の具体的成長条件等は、層の組成、成
長方法、装置の形状等に応じて異なるが、MOCVD法
を用いてIII−V族化合物半導体層を成長する場合、
ダブルへテロ構造は、成長温度650〜750℃程度、
V/III比20〜60程度(AlGaAsの場合)あ
るいは300〜600程度(InGaAsP、AlGa
InPの場合)、NAM領域及びブロック領域は成長温
度600〜700℃、V/III比40〜60程度(A
lGaAsの場合)あるいは350〜550程度(In
GaAsP、AlGaInPの場合)で行うのが好まし
い。
【0045】特に保護膜を用いて選択成長する部分がA
lGaAs、AlGaInPのようにAlを含む場合、
成長中に微量のHClガスを導入することにより、マス
ク上へのポリの堆積を防止することができるため非常に
好ましい。Alの組成が高いほど、あるいはマスク幅あ
るいはマスク面積比が大きいほど、他の成長条件を一定
とした場合、ポリの堆積を防止し、かつ半導体表面露出
部のみに選択成長を行う(セレクティブモード)のに必
要なHCl導入量は増加する。一方、HClガスの導入
量が多すぎるとAlGaAs層の成長が起こらず、逆に
半導体層がエッチングされてしまうが(エッチングモー
ド)が、Al組成が高くなるほど他の成長条件を一定と
した場合、エッチングモードになるのに必要なHCl導
入量は増加する。このため、最適なHCl導入量はトリ
メチルアルミニウム等のAlを含んだIII族原料供給
モル数に大きく依存する。具体的には、HClの供給モ
ル数とAlを含んだIII族原料供給モル数の比(HC
l/III族)は、下限は0.01以上が好ましく、
0.05以上がより好ましく、0.1以上が最も好まし
い。上限は、50以下が好ましく、10以下がより好ま
しく、5以下が最も好ましい。ただし、Inを含む化合
物半導体層を選択成長(特に、HCl導入)させる場合
は、組成制御が困難になりやすい。
【0046】グルーブ形成や選択成長に使用する保護膜
は、誘電体であることが好ましく、具体的には、SiN
x膜、SiO2膜、SiON膜、Al23膜、ZnO
膜、SiC膜及びアモルファスSiからなる群から選択
される。保護膜は、マスクとしてMOCVDなどを用い
てグルーブを選択再成長により形成する場合に用いられ
る。
【0047】本発明を用いた半導体レーザ装置として、
情報処理用光源(通常AlGaAs系(波長780nm
近傍)、AlGaInP系(波長600nm帯)、In
GaN系(波長400nm近傍))、通信用信号光源
(通常InGaAsPあるいはInGaAsを活性層と
する1.3μm帯、1.5μm帯)レーザ、ファイバー
励起用光源(InGaAs歪み量子井戸活性層/GaA
s基板を用いる980nm近傍、InGaAsP歪み量
井戸活性層/InP基板を用いる1480nm近傍な
ど)レーザなどの通信用半導体レーザ装置などの、特に
高出力動作が求められる多用な装置を挙げることができ
る。また、通信用レーザでも、円形に近いレーザはファ
イバーとの結合効率を高める点で有効である。また、遠
視野像が単一ピークであるものは、情報処理や光通信な
どの幅広い用途に好適なレーザとして供することができ
る。さらに、本発明の構造は半導体レーザ以外に端面発
光型などの発光ダイオード(LED)としても応用可能
である。
【0048】
【実施例】以下に具体例を挙げて、本発明を更に詳細に
説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作
等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更するこ
とができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具
体例に制限されるものではない。
【0049】(実施例)本実施例において、図4に示す
半導体発光装置を製造した。厚さ350μmで表面が
(100)面であるn型GaAs(n=1×1018cm
−3)基板101上に、MOCVD法により、厚さ2.
0μmのn型Al0.35Ga0.65As(Siドープ:n=
1×1018cm-3)からなるn型クラッド層102、厚
さ0.2μmのn型Al0.15Ga0.85As(Siドー
プ:n=1×10 18cm-3)光ガイド層103、厚さ3
0nmのGaAs光閉じ込め層(ノンドープ)121、
厚さ6nmのIn0.2Ga0.8As井戸層(ノンドープ)
122、厚さ8nmのGaAsバリア層(ノンドープ)
123、厚さ6nmのIn0.2Ga0 .8As井戸層(ノン
ドープ)122及び厚さ30nmのGaAs光閉じ込め
層(ノンドープ)121を順次積層してなる二重量子井
戸(DQW)活性層104、厚さ0.1μmのp型Al
0.4Ga0.6As(Znドープ:p=1×1018cm-3
からなるp型クラッド層105、厚さ0.01μmのp
型GaAs(Znドープ:p=1×1018cm-3)キャ
ップ層106を順次積層することにより、ダブルヘテロ
構造を形成した。次にこのダブルヘテロ基板の表面にレ
ジスト107を塗布した後に、フォトリソグラフィーに
より[0−11]方向を長手方向とするストライプ状の
窓(GaAs表面露出)を多数形成した。ストライプ状
の窓の幅は40μm、ストライプ状の窓のスペース間隔
は700μmとした。
【0050】次に、このストライプ状の窓の領域におい
て、まず、p型GaAs106及びp型Al0.4Ga0.6
As第1クラッド層105をエッチングにて除去し、二
重量子井戸活性層の途中でエッチングを停止させた。こ
のときのエッチング液としては、エッチングレートがA
l組成にあまり依存しないエッチング液(リン酸:過酸
化水素:水の体積比率を1:1:15としたエッチング
液)を用いた。この後さらに、光ガイド層103の表面
までエッチングを行った(図4(a))。このとき、I
0.2Ga0.8As層及びGaAs層がエッチングされ易
く、Al0.15Ga0.85As層がエッチングされにくいエ
ッチング液(50%のクエン酸水溶液と30%の過酸化
水素水を体積比50:1で混合した溶液)を選択するこ
とにより、再現性良くガイド層表面でエッチングを停止
することができた。これによって、非吸収ミラー(NA
M)領域の光ガイド層厚を一定に形成することができ
た。次にレジストを除去した後に、このダブルヘテロ基
板の表面に厚さ100nmのSiNx保護膜をプラズマ
CVDにより堆積させ、フォトリソグラフィーにより
[011]方向を長手方向とするストライプ状の保護膜
108を多数形成した。ストライプ状のSiNx保護膜
の横幅は2.2μmとし、ストライプ状の保護膜の横方
向スペース間隔は350μmとした。
【0051】上記のストライプ状のSiNx保護膜10
8の両側にMOCVD法を用いた選択成長により、厚さ
1.0μmの高抵抗Al0.5Ga0.5As電流ブロック層
(アンドープ)109及び厚さ0.01μmのn型Ga
As表面保護層(Siドープ:n=1×1018cm-3
110を形成した(図4(b))。このとき、SiNx
保護膜108の両脇に(111)B面(B面はAs面を
意味する)からなる側壁が形成された。SiNx保護膜
のストライプ方向を[011]方向に選択することによ
り、保護膜上への横方向成長や上方向成長を抑制しやす
くなり、後の保護膜除去プロセスも容易になった。次
に、矩形状のSiNx保護膜108をエッチングにより
除去した(図1(b))。このとき、SiNx膜の除去
には緩衝フッ酸液などのウェットエッチングもしくはS
6、CF4などのガスを用いたドライエッチングを用い
た。その後、再びMOCVD法により厚さ2.0μmの
p型Al0.4Ga0.6As(Znドープ:p=1×1018
cm-3)からなるp型第2クラッド層111及び厚さ
3.0μmのp型GaAs(Znドープ:p=2×10
19cm-3)からなるコンタクト層112を成長させた。
【0052】この後、p側の電極113を蒸着し、基板
を100μmまで薄くした後に、n側電極114を蒸着
し、アロイした(図4(c))。こうして作製したウエ
ハーにおいて、40μm幅の埋込領域のほぼ中央で劈開
して、レーザ光出射端面を形成(1次劈開)するように
チップバーに切り出した。このときの共振器長は740
μmとした。前端面5%−後端面95%の非対称コーテ
ィングを施した後、2次劈開によりチップに分離した。
チップをジャンクションダウンで組立した後、25℃で
連続通電(CW)にて電流−光出力、電流−電圧特性を
測定した。
【0053】このようにして作製したレーザ素子の電流
−光出力特性を、図5に示す。本実施例によって作製し
たNAMレーザでは動作電流の増加とともに光出力が増
加し、約450mWまでキンクフリーでかつ約600m
WまでCODせずに光出力が得られた。しかし、それ以
上に動作電流を増加させても光出力は増加せず、素子自
体の発熱による熱飽和によって光出力が制限された。発
振波長が平均978nm、しきい値電流が平均15m
A、スロープ効率が平均0.8mW/mAである等特性
が非常に良好であり、250mW出力時における垂直広
がり角は平均28°、水平拡がり角は平均8°であっ
た。また、高い信頼性(70℃、250mWの高温、高
出力における3000時間以上の安定動作)が得られる
ことが判明した。また、開口部の形成を選択成長を用い
て行っているため、開口部幅の均一性を高めることがで
き、上記の半導体レーザ素子を高歩留まりで作製するこ
とができた。
【0054】なお、上記のMOCVD法において、II
I族原料にはトリメチルガリウム(TMG)、トリメチ
ルインジウム(TMI)及びトリメチルアルミニウム
(TMA)を、V族原料にはアルシン及びホスフィン
を、キャリアガスには水素を用いた。また、p型ドーパ
ントにはジメチル亜鉛(DEZ)、n型ドーパントには
ジシランを用いた。また、Al0.5Ga0.5As層(アン
ドープ)110の成長時には、SiNx保護膜上へのポ
リの堆積を抑制するために、HClガスをHCl/II
I族のモル比が0.12、特にHCl/TMAのモル比
が0.22となる様に導入した。
【0055】(比較例)端部領域をエッチングしていな
いことを除き、実施例と同じ工程によってレーザ素子を
作製した。本比較例のレーザ素子は、実施例とはNAM
領域を有していない点で異なっている。この素子構造の
レーザでは、動作電流を増加させたところ、約350m
Wの光出力が得られた時にCODが発生し、レーザ素子
が壊れてしまった(図5)。
【0056】
【発明の効果】本発明の半導体発光装置は、非吸収ミラ
ーを形成することにより端面劣化を抑制することによ
り、高出力動作における素子の信頼性を高めることがで
き、かつ電流注入領域での活性層内での横方向の光閉じ
込めを弱くすることにより、端面劣化キンクレベルを高
くすることも可能となり、実用光出力レベルを大きく向
上することができる。また、本発明では端部でNFP形
状を乱すような層構成となっていないため、ビーム形状
の裾付近での乱れは発生せず、端部領域においても横方
向の光ガイドを有効に行えるので、横方向の光拡がり分
布を安定に制御することが可能となる。このため、本発
明は、半導体レーザなどをはじめとして広範な分野に応
用されうるものである。また、本発明では、開口部の形
成を選択成長を用いて行っているため、開口部幅の均一
性を高めることができ、上記の半導体レーザ素子を高歩
留まりで作製することができる。特に、構造設計マージ
ンの小さいレーザの作製においては、本発明のレーザの
作製方法は有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の半導体発光装置の斜視図(a)およ
び第2導電型第2クラッド層形成前の構造の斜視図
(b)である。
【図2】 実施例の半導体発光装置の上面図である。
【図3】 実施例の半導体発光装置の側断面図である。
【図4】 実施例の半導体発光装置の製造工程を説明す
る図である。
【図5】 実施例と比較例1の半導体発光装置の動作電
流と光出力の関係図である。
【図6】 本発明の半導体発光装置の上断面図である。
【符号の説明】
101: 基板 102: 第1導電型クラッド層 103: 第1導電型光ガイド層 104: 活性層 105: 第2導電型第1クラッド層 106: 第2導電型キャップ層 107: レジスト 108: 保護膜 109: 電流ブロック層 110: 表面保護層 111: 第2導電型第2クラッド層 112: 第2導電型コンタクト層 113: エピタキシャル側電極 114: 基板側電極 115: 活性層形成部分 116: NAM領域(端面近傍) 121: 光閉じ込め層 122: 井戸層 123: バリア層 W1: 端部幅 W2: 中央部幅

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板、該基板上に形成された第1導電型
    光ガイド層、前記光ガイド層上であって端面近傍を除く
    部分に形成された活性層、前記活性層上に形成された第
    2導電型第1クラッド層、前記第2導電型第1クラッド
    層上および前記光ガイド層上の端面近傍部分に形成され
    たストライプ状の開口部を有する電流ブロック層、前記
    ストライプ状の開口部上の少なくとも一部に形成された
    第2導電型第2クラッド層を有することを特徴とする半
    導体発光装置。
  2. 【請求項2】 前記電流ブロック層が、前記第2導電型
    第2クラッド層よりも屈折率が小さい半導体層を有する
    ことを特徴とする請求項1の半導体発光装置。
  3. 【請求項3】 前記電流ブロック層が、活性層に近い側
    から順に、第2導電型あるいは高抵抗の半導体層、第1
    導電型半導体層で構成されていることを特徴とする請求
    項1または2の半導体発光装置。
  4. 【請求項4】 前記電流ブロック層上に表面保護層を有
    することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの半導体
    発光装置。
  5. 【請求項5】 前記第1導電型光ガイド層のAl組成が
    0.2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかの半導体発光装置。
  6. 【請求項6】 前記第1導電型光ガイド層の屈折率が前
    記活性層の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかの半導体発光装置。
  7. 【請求項7】 前記基板と前記第1導電型光ガイド層と
    の間に第1導電型クラッド層を有することを特徴とする
    請求項1〜6のいずれかの半導体発光装置。
  8. 【請求項8】 前記第1導電型クラッド層の屈折率が前
    記第1導電型光ガイド層よりも小さいことを特徴とする
    請求項7の半導体発光装置。
  9. 【請求項9】 前記第1導電型クラッド層の屈折率が前
    記第2導電型第1クラッド層よりも大きいことを特徴と
    する請求項7または8の半導体発光装置。
  10. 【請求項10】 前記活性層がInGaAs、GaIn
    PあるいはGaInAsPからなることを特徴とする請
    求項1〜9のいずれかの半導体発光装置。
  11. 【請求項11】 前記電流ブロック層の側壁が(11
    1)B面からなることを特徴とする請求項1〜10のい
    ずれかの半導体発光装置。
  12. 【請求項12】 前記電流ブロック層が選択成長により
    形成されたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか
    の半導体発光装置。
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JP2003158344A (ja) * 2001-09-07 2003-05-30 Nec Corp 半導体構造、半導体光素子およびそれらの製造方法
WO2021009006A1 (de) * 2019-07-12 2021-01-21 Osram Opto Semiconductors Gmbh Kantenemittierende halbleiterlaserdiode und verfahren zur herstellung einer solchen

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