JP2001023909A - 機能性堆積膜の製造方法及び該機能性堆積膜の製造装置 - Google Patents

機能性堆積膜の製造方法及び該機能性堆積膜の製造装置

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JP2001023909A JP11196093A JP19609399A JP2001023909A JP 2001023909 A JP2001023909 A JP 2001023909A JP 11196093 A JP11196093 A JP 11196093A JP 19609399 A JP19609399 A JP 19609399A JP 2001023909 A JP2001023909 A JP 2001023909A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 堆積膜の特性むらを抑制する。 【解決手段】 堆積膜製造装置10は、反応容器9内
に、堆積膜の形成される基板8が載置される、アースに
接続されたアース電極7と、外部の高周波電源5から高
周波電力が印加される、アース電極7に対向して配置さ
れたカソード6とを有し、外部から堆積膜の原料となる
ガスを反応容器9内に導入する、複数のガス管からなる
第1のガス供給経路1と、第2のガス供給経路2とが配
設されている。第1のガス供給経路1と第2のガス供給
経路2とには、それぞれ、第1のガス流量制御部1aと
第2のガス流量制御部2aとが配設されており、それぞ
れ独立してガス流量に「ゆらぎ」を与えながら、ガス流
量を制御する。また、反応容器9内を所望の真空圧とす
るため、不図示の排気装置が反応容器9に接続されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体デバイス、電
子写真用感光体デバイス、画像入力用ラインセンサ、撮
像デバイス、光起電力デバイスなどに有用な結晶質、非
単結晶質の機能性堆積膜を良好に形成し得るプラズマC
VD法を利用した機能性堆積膜の製造方法及び該機能性
堆積膜の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体などで使用されているプラズマ処
理装置はそれぞれの用途に応じてさまざまな方法があ
る。特に酸化膜、窒化膜やアモルファスシリコン系の半
導体膜などの機能性堆積膜の形成には、その制御性の高
さ、堆積膜の物性値の良好さ等からプラズマCVD法が
広く用いられている。例えば、直流又は高周波(RF,
VHF)又はマイクロ波を用い、堆積膜の原料となるガ
スをグロー放電等によって分解し、ガラス、石英、耐熱
性合成樹脂フィルム、ステンレス、アルミニウム等の基
体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、電子写真用ア
モルファスシリコン光受容部材の形成方法等において実
用化され、そのための装置も各種提案されている。
【0003】近年、半導体デバイスの大面積化が進み、
大面積における均一性の向上、低コスト化が大きな課題
となっている。
【0004】従来のプラズマ処理装置では、膜厚や特性
の均一性を高めるためにガスの分布を均一化することに
主眼を置いて開発が進められてきた。例えば、平行平板
型のプラズマCVD装置では、電極を兼ねるガス供給手
段をシャワーヘッド構造とし、ガスを基板表面に均一に
供給したり、電子写真感光体の製造装置における円筒型
同軸構造のプラズマCVD装置では、特開昭59−21
3439号公報に開示されているように電極を兼ねた壁
面放出型のガス供給手段が採用されている。
【0005】これらによって膜厚や特性の均一性を向上
させることはできたが、ガスが直接基板方向に吹き付け
られる構造であるため、ガスの流れに乗ってダストや粉
状の気相反応生成物等が基板表面に付着しやすく、半球
状又は突起状の異常成長(以後、球状突起と称する)が
発現してしまう場合があった。これに対し、例えば特開
平10−168573号公報には、ガス供給手段として
複数のガス導入管(以後、ガス管と称する)をカソード
と基板との間に配し、ガス管の左右からガスを吐出させ
る際に、基板面と平行あるいは若干カソード方向よりの
角度に吐出させることで、ダスト等が基板面に到達する
のを防止する方法が開示されている。また、円筒形の堆
積膜製造装置を用いた場合には、周方向の膜厚や特性の
均一性を更に高めるために、基体を回転させながら堆積
膜を形成する方法も用いられている。
【0006】その他にも、厳密にはプラズマCVD装置
ではないが、例えば特開平9−202967号公報に
は、スパッタ装置において複数のガスノズルから交互に
ガスを供給することで、ターゲットの侵食むら、膜の特
性むらを防止する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したような改良が
行われた結果、膜の特性向上と均一性向上の両立を図る
ことが可能になってきた。しかし、近年の機能性デバイ
スの高密度化や高集積化、画像デバイスではさらなる高
精細化が進み、微小な膜厚むらや特性むらを低減する必
要性が高まってきている。例えば電子写真感光体では、
写真等の複写時やフルカラーの複写時において、ハーフ
トーン画像を要求される場合も多く、このような際には
微小な特性むらが大きな問題となって来る。この様な理
由から、堆積膜の膜厚や特性に対して更なる均一性が求
められるようになってきた。
【0008】また、基体あるいは基板を回転させること
によって周方向の堆積膜の特性むらを抑制する方法が用
いられることがある。この方法はむらを抑制するために
は非常に効果的であるが、装置が複雑化することで装置
コストが増大するばかりか、回転部を真空封止する必要
があるため、回転軸付近からリークが発生する恐れが常
にある。そのためメンテナンスコストや管理コストも無
視できない。
【0009】一方、堆積膜製造装置内のガスの流れに注
目すると、従来技術の多くはガスの流れが定常的であ
り、部分的にガスの滞留が生じる場合がある。図13に
従来の一例である堆積膜製造装置内に生じたガスの滞留
を説明する図を示す。
【0010】堆積膜製造装置210は、反応容器209
内に、堆積膜の形成される基板208が載置されるアー
ス電極207と、アース電極207に対向して配置され
たカソード206とを有するとともに、ガスを供給する
ためのガス管からなるガス供給経路201が配設されて
いる。また、反応容器209内を所望の真空圧とするた
め、不図示の排気装置が反応容器209に接続されてい
る。
【0011】次に、堆積膜の形成手順の概略を説明す
る。
【0012】まず、基板208をアース電極207上に
載置した後、反応容器209内の圧力を所望の真空圧ま
で下げるために排気装置により排気を行う。次に、ガス
供給経路201から原料となるガスを反応容器209内
に供給する。この際、ガスは、ガス供給経路201のガ
ス管より、カソード206方向に向かって吐出される。
次に、外部の高周波電源205からカソード206に高
周波電力を印加することでカソード206とアース電極
207との間にプラズマを生起させる。これにより、基
板208上に堆積膜が生成される。
【0013】この堆積膜製造装置210は、ガス流量は
基本的にガス供給経路201は定常である。また、ガス
管はカソード6側に吐出するように管理されているが、
ガス管203aに管理時のばらつきが生じていると仮定
する。すると、管理不備のガス管203aと隣のガス管
203bとのちょうど中間部分の空間にガスの滞留20
4が生じてしまう。このように滞留が生じた状態で一定
流量のガスを定常的に流し続けたうえで、高周波電源2
05から高周波電力を印加し、カソード206とアース
電極207との間にプラズマを生起させて膜堆積を行っ
た場合、滞留204に対応する基板208の表面に形成
された堆積膜には特性むらが発生すると考えられる。従
来の堆積膜製造装置210では、このような滞留の発生
を抑制するため、ガス吐出方向の管理やガス管203
a、203bの精度管理を行うことが要求されていた。
【0014】一方、このような問題を回避するために、
例えば前述した特開平9−202967号公報などの技
術も考えられるが、プラズマCVDにおいては放電の変
動が大きすぎ、堆積膜の特性むらが拡大するばかりか、
堆積膜全体の平均的特性が大きく変わってしまう。ま
た、ガス流量の変化が大きすぎるために、堆積膜製造装
置内部で発生する粉体が舞い上がりやすく、球状突起が
発生しやすい。
【0015】そこで本発明は、機能性堆積膜の特性むら
が抑制される機能性堆積膜の製造方法及び該機能性堆積
膜の製造装置を提供することを第1の目的とする。
【0016】また、滞留の抑制に関する精度管理の低減
された機能性堆積膜の製造方法及び該機能性堆積膜の製
造装置を提供することを第2の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の機能性堆積膜の製造方法は、機能性堆積膜
を形成すべき基体が内部に載置される真空容器内に、前
記機能性堆積膜の原料となるガスをガス供給経路から供
給するガス供給工程と、前記真空容器内でプラズマを発
生させるプラズマ発生工程とを含む機能性堆積膜の製造
方法において、前記ガス供給工程は、複数系統の前記ガ
ス供給経路から前記ガスを供給するものであるととも
に、前記各ガス供給経路からのガス流量を一定とする一
定供給工程と、前記各ガス供給経路からのガス流量の総
和が、前記一定供給工程のガス流量の総和と略同一とな
るように、ガス流量を前記一定供給工程のガス流量に対
して変化させる変動供給工程とを含む。
【0018】上記の通りの本発明の機能性堆積膜の製造
方法は、ガスの供給が、ガス流量を独立して制御する複
数のガス供給経路によりなされ、かつ、ガス供給工程
が、各ガス流量を時間的に、所望の一定量で供給する一
定供給工程だけでなく、各ガス流量を一定供給工程に対
して変動させる変動供給工程とを含むため、各ガスの供
給に際して「ゆらぎ」が発生し、これにより、真空容器
内でのガスの滞留が抑制される。また、変動供給工程に
おける各ガス供給経路から供給されるガスのガス流量の
総和が、一定供給工程の各ガス供給経路からのガス流量
の総和と略同一であるため、所望の機能性堆積膜の形成
に必要なガス流量が確保される。なお、ここで言う変動
供給工程は、ガス流量がステップ状に変化するものでも
よいし、あるいは以下に説明するように、正弦波状、三
角波状のように、時間的に連続して変化するものであっ
てもよい。
【0019】本発明の機能性堆積膜の製造方法の変動供
給工程は、ガス流量を時間的に連続して変化させる工程
を含むものであってもよいし、一定供給工程と、変動供
給工程とが交互に繰り返されてもよい。
【0020】また、変動供給工程におけるガス流量のピ
ーク値と、一定供給工程におけるガス流量との差分が、
一定供給工程におけるガス流量の5%以上60%以下で
あってもよいし、変動供給工程に要する時間が、一定供
給工程に要する時間の1%以上30%以下であってもよ
いし、変動供給工程と一定供給工程とが周期的に繰り返
され、かつ、その周期が、 s=pV/f s:真空容器内でのガスの平均滞在時間 V:真空容器内の内容積 p:プラズマ発生工程時の圧力 f:真空容器内に供給されるガス流量 で表される平均滞在時間sの0.5倍以上100倍以下
であってもよい。
【0021】さらに、ガス供給工程は、各ガスを基体の
表面に平行な仮想の平面に対して±20度の範囲で、複
数のガス供給経路からガスを吐出させることで真空容器
内に各ガスを供給する工程を含むものであってもよい。
【0022】本発明の機能性堆積膜の製造装置は、機能
性堆積膜を形成すべき基体が内部に載置される真空容器
と、前記機能性堆積膜の原料となるガスを供給するガス
供給手段と、前記真空容器内でプラズマを発生させるプ
ラズマ手段とを有する機能性堆積膜の製造装置におい
て、前記ガス供給手段は、少なくとも1つのガス源及び
前記ガス源からのガスを前記真空容器内に供給する複数
のガス供給経路からなり、前記各ガス供給手段からのガ
ス流量を一定とする一定供給時間と、前記各ガス供給手
段からのガス流量の総和が、前記一定供給時間の前記ガ
ス流量の総和と略同一となるように、ガス流量を前記一
定供給時間のガス流量に対して変化させる変動供給時間
とからなるガス流量変化パターンにより、前記各ガス供
給手段の各ガス流量を制御する複数のガス流量制御手段
を有する。
【0023】なお、ここで言う変動供給時間は、ガス流
量がステップ状に変化させるものでもよいし、あるいは
以下に説明するように、正弦波状、三角波状のように、
時間的に連続して変化させるものであってもよい。
【0024】本発明の機能性堆積膜の製造装置に用いら
れるガスは、複数の種類のガスからなる混合ガスであっ
てもよいし、各ガス流量制御手段は、変動供給時間では
ガス流量を時間的に連続して変化させるものであっても
よいし、各ガス流量制御手段によるガス流量変化パター
ンは、一定供給時間と、変動供給時間とが交互に繰り返
されるものであってもよい。
【0025】また、変動供給時間におけるガス流量のピ
ーク値と、一定供給時間におけるガス流量との差分が、
一定供給時間におけるガス流量の5%以上60%以下で
あってもよいし、変動供給時間が、一定供給時間の1%
以上30%以下であってもよいし、変動供給時間と一定
供給時間とが周期的に繰り返され、かつ、その周期が s=pV/f s:真空容器内でのガスの平均滞在時間 V:真空容器内の内容積 p:プラズマの発生時の圧力 f:真空容器内に供給されるガス流量 で表される平均滞在時間sの0.5倍以上100倍以下
であってもよい。
【0026】さらに、ガス供給手段は、ガスを真空容器
内に吐出する吐出孔が基体の表面に平行な仮想の平面に
対して±20度の範囲で形成された複数のガス管からな
るものであってもよい。
【0027】次に、上記の諸問題を解決するに至った経
緯を説明する。
【0028】本発明者らは、まず定常的なガスの流れを
分析し、球状突起を抑えながら、堆積膜の膜厚や特性を
更に均一化できないか試みた。例えばガスの供給手段と
してシャワーヘッドや壁面放出型に替えて、球状突起の
発生を抑える効果の高いガス管を採用し、かつ、ガスの
吐出方向を様々に変えてガスの分布の均一化を検討し
た。ガス管の本数、ガスの吐出方向、ガス吐出孔の数を
増やすなどの対策を行うことでガス分布が均一化し、膜
厚や特性の均一性は向上した。しかし、ガス管の吐出方
向はガス管を設置する際に厳密に管理しなければなら
ず、ガス管の数や吐出方向が多くなればなるほど管理が
煩雑になってしまう。また、大面積になった場合にはガ
ス管の長さが長くなり、ガス管の歪みやたわみが無視で
きなくなる場合が生ずることが判った。これらを放置す
ると予期せぬ部位にガスの滞留が発生することがあり、
特性むらや球状突起が発生してしまう場合があった。
【0029】そこで、ガスの滞留に着目し、ガスの流れ
をなるべく均一に保ったまま、ガスの滞留を防止できな
いかと考えた。本発明者らは、まずガス供給手段を複数
のグループに分け、それぞれのグループにあらかじめ混
合したガスを分配し、それぞれ独立に流量を制御できる
ようにした。次にそれぞれのグループで、基本的には定
常的なガスの流れを実現した上で、ガスの流れに若干の
「ゆらぎ」を与えることにした。この「ゆらぎ」量を適
切に選択することによって、ガス管の精度管理や設置時
の管理をこれまでのように厳密に行わなくても、堆積膜
の膜厚のむらや特性のむらが飛躍的に減少することが見
出された。
【0030】この理由としては、以下のように考えられ
る。
【0031】定常的なガスの吐出方法では、CVD装置
内でのガスの流れも定常的になり、特定の場所にガス分
布のむらが生じてしまうと考えられる。そのガス分布む
らは前述したようにガスの吐出方法を工夫することでか
なりのレベルで抑えることが可能であるが、ガス供給手
段のばらつき、管理上のばらつきによってそのバランス
が微妙に変化してしまう。その際に発生するガスの滞留
は、非常に小さなものであっても、微小な均一性が要求
される堆積膜の場合には無視できなくなってしまう。こ
のような微妙な滞留によるガス分布のむらの蓄積によっ
て、堆積膜の膜厚むらや特性むらが発生すると考えられ
る。
【0032】そこで前述したようにガス流に適度な「ゆ
らぎ」を与え、また「ゆらぎ」が十分に緩和する程度に
ガス流量を一定とする時間を設け、両者のバランスをと
ることで、上記のような微妙なばらつきによる不必要な
滞留を実質的になくすことが可能になり、堆積膜の特性
むらが減少したと考えられる。加えて、これまで要求さ
れてきたガス吐出方向の管理やガス管の精度管理が大幅
に緩和され、それらに係ってきた管理コストを大幅に抑
えることが可能になった。
【0033】また、仮にガス管の管理を厳密に行うこと
だけで、前述の不必要な滞留を抑えようとした場合、堆
積膜の種類や形成条件を変更する度に反応容器内のガス
の分布が変わってしまうため、その都度管理項目を見直
したり、ガス吐出孔の配置や角度を最適化しなければな
らず、開発に関するコストや期間の点で不利であった。
これに対し、本発明の方法は、大掛かりな設備を必要と
せず、ガス流のみを変化させるだけであり、変化パター
ンを多様に変化させて最適化することにより、様々な堆
積膜、様々な形成条件、あるいは様々な形状を持つ装置
に応用が可能である。また、堆積膜に求められる特性や
むら形状に応じて適切、かつ、柔軟に対応可能である。
加えて、費用対効果が高く、結果的に生産コストを下げ
ることも可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。 (第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態の一
例である堆積膜製造装置10の概略構成図を示す。
【0035】堆積膜製造装置10は、反応容器9内に、
堆積膜の形成される基板8が載置されるアース電極7
と、アース電極7に対向して配置されたカソード6とを
有し、ガス供給手段4a、4bからのガスを反応容器9
内に供給する第1のガス供給経路1と、第2のガス供給
経路2とが配設されている。複数のガス管からなる第1
のガス供給経路1と第2のガス供給経路2とには、それ
ぞれ、第1のガス流量制御部1aと第2のガス流量制御
部2aとが配設されており、それぞれ独立してガス流量
を制御する。また、反応容器9内を所望の真空圧とする
ため、不図示の排気装置が反応容器9に接続されてい
る。
【0036】次に、堆積膜の形成手順の概略を説明す
る。
【0037】まず、基板8をアース電極7上に載置した
後、反応容器9内の圧力を所望の真空圧まで下げるため
に排気装置により排気を行う。次に、第1のガス供給経
路1及び第2のガス供給経路2からガスを供給する。こ
の際、ガスは、第1のガス供給経路1のガス管3a及び
第2のガス供給経路2のガス管3bより、カソード6方
向に向かって吐出される。ガス管3a及びガス管3bは
図1の奥行き方向に水平に延びた管であり、これらの管
にはカソード6方向に向かってガスが吐出される複数の
孔が並列に形成されている。次に、外部の高周波電源5
からカソード6に高周波電力を印加することでカソード
6とアース電極7との間にプラズマを生起させる。これ
により、基板8上に堆積膜が生成される。
【0038】以上のようにして、基板8に堆積膜を形成
する際、第1のガス供給経路1及び第2のガス供給経路
2から供給されるガスのガス流量変化パターンは、第1
のガス流量制御部1aと第2のガス流量制御部2aとに
より、図2に示すように、矩形波状に変化させる時間T
2と、ガス流量を一定とする時間T1とを周期Tで周期
的に変動させている。
【0039】図2において、上図は第1のガス供給経路
1から供給されるガスのガス流量変化パターンを、ま
た、下図は第2のガス供給経路2から供給されるガスの
ガス流量変化パターンをそれぞれ示している。図2中の
縦軸の100%とは、規定された時間内で、ガス流量を
時間変動させず一定量で供給した場合の、堆積膜形成に
必要とされるガスの総量を満足するためのガス流量を意
味している。また、この100%からの変動分を、増加
した場合は+A%、減少した場合は−A%として示して
いる。また、周期Tにおいて、時間T1はガス流量を1
00%で一定とし、時間T2ではそれぞれ、ガス流量が
100%から±A%だけ変動させている。また、時間T
2の前半は第1のガス供給経路1から供給されるガスの
ガス流量を+A%だけ増加させた分、第2のガス供給経
路2から供給されるガスのガス流量を−A%だけ減少さ
せ、後半は第1のガス供給経路1から供給されるガスの
ガス流量を−A%だけ減少させた分、第2のガス供給経
路2から供給されるガスのガス流量を+A%だけ増加さ
せることで、各ガス管からのガス流量は常に100%を
保持するようにしている。
【0040】なお、この微妙な「ゆらぎ」に関しては、
ガス流量変化分Δf(ピーク位置での流量と、一定部分
の流量との差分であり、図2においては±A%)や、ガ
ス流量が一定の時間T1、変化する時間T2及び周期T
を適切に選び、プラズマが不必要に大きく変動しないよ
うに組み合わせを注意すれば、個別には如何なる範囲で
も本実施形態の効果が得られるが、望ましくは、個別の
値に関して以下のような範囲が好ましい。
【0041】ガス流量変化分Δfに関しては、時間T1
におけるガス流量を100%として、これに対して5%
〜60%の範囲内の値となることが望ましい。この範囲
内が望ましいのは、ガス流量変化分Δfが大きすぎる
と、ガス流の変化が大きくなりすぎることでガスの変化
に対応するプラズマ分布の変化が大きくなりすぎて、か
えって堆積膜の特性むらを増大させてしまう恐れがある
ためであり、また、逆にガス流量変化分Δfが小さすぎ
るとガス流の「ゆらぎ」による滞留の除去効果がなくな
ってしまう場合があることによるものである。
【0042】時間T1と時間T2との時間比に関して
は、時間T1、時間T2を用いて表される時間比T2/
T1が、1%〜30%の範囲内の値となることが望まし
い。この範囲内が望ましいのは、時間比T2/T1が1
%より小さい場合には、滞留したガスの影響が除かれな
いために、全て一定のガス流量にて堆積膜を形成した場
合と顕著な差が現われにくくなる場合があることと、時
間比T2/T1が30%より大きい場合には、ガス流の
変化が大きく、それに伴ってプラズマが大きく変動して
しまい、堆積膜の特性が低下してしまう場合があること
によるものである。
【0043】周期Tに関しては、堆積膜製造装置10内
での平均の滞在時間、即ちガス供給手段4a、4bから
排気手段に至るまでに反応容器9内にとどまる時間を基
準に考える。この平均滞在時間s[sec]は、プラズ
マ処理装置の内容積をV[m 3]、反応時の圧力をp
[atm]、混合ガスの合計流量をf[m3/sec]
として、 s=pV/f で表すことができる。この平均滞在時間sを基準とした
時、1周期Tは、sの0.5倍〜100倍の範囲内の値
となることが望ましい。この範囲内が望ましいのは、
0.5倍未満にすると、常にガス流量が変化している状
態に近くなるため、プラズマが不安定になりやすい場合
があることと、100倍より大きくすると、ガスの「ゆ
らぎ」によって不必要な滞留を払拭しても、流量が一定
の時間T1が長すぎるために、結果的に一定流量で形成
した場合との顕著な差が現れにくくなる場合があること
によるものである。
【0044】以上、図2に示した矩形波状のガス流量変
化パターンを基に説明してきたが、これ以外のガス流量
変化パターン例として、図3(a)〜図3(c)に別の
ガス流量変化パターンを示す。
【0045】なお、図(a)〜図3(c)中の各記号の
意味は、すでに上述しているため説明を省略する。
【0046】図3(a)は、時間T2におけるガス流量
を正弦波状に変化させる例を示したものである。なお、
時間T2における第1のガス供給経路1と、第2のガス
供給経路2との正弦波の位相は逆転している。この様な
変化パターンは、ガス流量の変化がなだらかであるた
め、比較的振幅が大きい場合でもプラズマを乱しにくい
ため、より好ましい。
【0047】図3(b)は時間T2内には周期性がない
が、時間T1と合わせることで周期性をもたせたパルス
波状のガス流量変化パターンを示したものである。この
場合、周期Tを隔てた次の時間T2’の各位相は時間T
2とは逆であり、時間T1と時間T2による周期Tと、
時間T1と時間T2’による周期Tとが順に繰り返され
るものである。
【0048】また、図1に示した本実施形態の堆積膜製
造装置10は、一例としてガスの供給経路が2経路のも
のを用いて説明したが、3経路以上であってもよく、こ
のような場合のガス流量変化パターンを図3(c)に示
す。なお、図3(c)は、堆積膜製造装置10がガスの
供給経路が第1のガス供給経路1と第2のガス供給経路
2とに加え、不図示の第3のガス流量制御部を備えた、
不図示の第3のガス供給経路を有する、ガスの供給経路
が3経路の場合の各ガス流量変化パターンの一例を示し
たものである。このように各時間における合計流量が常
に一定であるように変化させることができれば、3経路
以上の場合でも応用可能である。また、このように3経
路以上の構成とする場合、各供給経路を交互にあるいは
順番に配置するのが望ましい。
【0049】この他、図3(a)〜図3(c)に示した
ガス流量変化パターンにおける変動が周期性を持ち、各
供給経路の流量が相補的に変化することで、堆積膜製造
装置に流れ込む全ガス流量が一定となるように設定され
ており、望ましくは各供給経路が交互ないしは順番に配
置されていれば、例えば三角波状など、如何なるガス流
量変化パターンでもよい。
【0050】以上説明したように本実施形態によれば、
堆積膜を形成する際、第1のガス流量制御部1aと第2
のガス流量制御部2aとにより、第1のガス供給経路1
及び第2のガス供給経路2からの供給されるガスのガス
流量に、ガス流量変化分Δfと、時間比T2/T1と、
周期Tとを所望の範囲内に設定し「ゆらぎ」を与えるこ
とで、ガスの滞留を防止できる。これにより、実質的に
特性むらのない堆積膜を形成できる。また、ガスの滞留
の抑制を第1のガス供給経路1及び第2のガス供給経路
2の機械的特性の精度管理によらず、各ガスの供給に際
する「ゆらぎ」により行うため、精度管理の低減がなさ
れる。 (第2の実施形態)次に図4(a)及び図4(b)に本
発明の第2の実施形態の堆積膜製造装置100の反応容
器111の上面断面図及び堆積膜製造装置100の概略
構成図を示す。
【0051】本実施形態の堆積膜製造装置100は、電
子写真装置に用いられる電子写真感光体となる円筒形の
円筒状基体112に堆積膜を形成するのに好適な円筒型
同軸構造のプラズマCVD法を用いたものの一例であ
る。
【0052】堆積膜製造装置100は、円筒形状で、内
周縁部に複数の第1のガス管114aと第2のガス管1
14bとが周方向に沿って交互に配され、中央部に円筒
状基体112が載置される反応容器111を有する堆積
膜形成部197と、反応容器111に、ガス供給源19
6からのガス流量を制御しながらガスの供給を行うガス
供給部200と、ガス供給部200及び反応容器111
内を減圧するための不図示の排気装置を含む排気部19
8と、反応容器111内でグロー放電を行わせるための
高周波電源部199とにより概略構成される。
【0053】まず、堆積膜形成部197の構成に関して
詳細に説明する。
【0054】カソード電極を兼ねる反応容器111内に
は、各4本ずつの第1のガス管114aと第2のガス管
114bとが、1本おきに交互に反応容器111の内周
に沿って設けられている。また、中央部に載置される円
筒形状の円筒状基体112を円筒内周側から加熱する基
体加熱用ヒータ113が設けられている。
【0055】ここで、第1のガス管114aと第2のガ
ス管114bからのガスの吐出に関して説明しておく。
【0056】第1のガス管114aと第2のガス管11
4bとには、多数の吐出孔が形成されており、これらの
吐出孔からガスが反応容器111内に放出される。この
際、ガスの吐出方向はいかなる方向であっても本発明の
効果が得られるが、より好ましくは、図4(a)の拡大
図にあるようにガスの吐出方向を円筒状基体112の表
面の接線に対して平行(で表す方向)、ないしはその
角度から±20度の範囲に設定したほうが、特性むらや
球状突起を更に抑える効果があるため、望ましい。±2
0度の範囲を超え、特に円筒状基体112方向の場合に
はシャワーヘッド型や壁面放出型と同様にガスが円筒状
基体112に直接当りやすくなるため、ダストや粉状の
気相反応生成物が円筒状基体112に付着しやすくなる
場合がある。
【0057】ガスの吐出方向は1方向あるいは2方向
(双方向)が好適であり、ガスの分布に注意すればそれ
以上の多数の方向に吐出させてもよい。例えば1方向の
場合には、一例として上面から見て時計周りに1方向に
吹き出させるグループと、反時計周りに吐出させるグル
ープとを混在させる。通常は例えば時計周りにガスを一
定に流し、ガス流量変化時に反時計周りのガスを少量吐
出させることでガスの定常的な流れに「ゆらぎ」を発生
させることができる。2方向の場合には、一例として図
4(a)の拡大図にあるように円筒状基体112の表面
の接線に対して平行方向(で表す方向)でもよく、平
行方向から角度を持たせたもの(で表す方向)でもよ
い。ガスの流れに「ゆらぎ」を与えたことに加え、図4
(a)の拡大図に示すように、ガスを吐出させることで
隣接するガス管からのガス同士がぶつかりあって拡散し
やすくなり、不必要な滞留を抑えながらガス分布の均一
化を更に促進させることが可能となる。
【0058】次に、ガス供給部200の構成に関して詳
細に説明する。
【0059】ガス供給部200は、SiH4、GeH4
2、CH4、B26、PH3等の各原料ガスのボンベ2
1、22、23、24、ボンベ用バルブ31、32、3
3、34、圧力調整器61、62、63、64及び流入
バルブ41、42、43、44を備えるガス供給源19
6と、マスフローコントローラ11、12、13、14
と、流出バルブ51、52、53、54と、補助バルブ
60と、マスフローコントローラ71、72、73とを
有する。
【0060】なお、図4(b)では、4本のボンベ2
1、22、23、24からガスが供給される4系統のみ
を図示しているが、3系統以下であってもよいし、5系
統以上であってもよい。
【0061】各圧力調整器61、62、63、64は、
各ボンベ用バルブ31、32、33、34を介して供給
される各ボンベ21、22、23、24からのガスの圧
力を調整するものである。
【0062】各マスフローコントローラ11、12、1
3、14は、各ガスが各流入バルブ41、42、43、
44を介して流入される、圧力調整された各ガスのガス
流量の測定及び調整を行うものである。
【0063】流出バルブ51、52、53、54は、流
量及び圧力の調整された各ガスのうち、必要なガスを下
流の補助バルブ60へと供給するためのバルブである。
【0064】マスフローコントローラ71は、ガスの供
給が4系統から1系統にまとめられた後、補助バルブ6
0を介して供給される、各ボンベからのガスからなる混
合ガスのガス流量の測定及び調整を行うものである。
【0065】マスフローコントローラ72、73は、マ
スフローコントローラ71からの混合ガスを2系統に分
けた下流に設置されており、それぞれが独立して、2系
統に分けられた混合ガスのガス流量を測定するとともに
第1の実施形態で示したようなガス流量変化パターンに
より「ゆらぎ」を与えながら、反応容器111に混合ガ
スを供給するものである。なお、これらマスフローコン
トローラ72、73の制御は不図示のコンピュータ等に
よりなされる。
【0066】なお、図4(b)に示すガス供給部200
のような構成以外にも例えば矩形波状の流量変化であれ
ば、電磁弁やニードルバルブを多数組み合わせること
で、あらかじめ設定されたガス流量変化パターンを実現
することは可能であるが、例えば第1の実施形態で示し
た図3(a)のような正弦波状のガス流量変化パターン
等を実現するにはマスフローコントローラを用いる方が
好ましい。また、図4(b)では、単独のガス供給源1
96をマスフローコントローラ72、73において分岐
してから反応容器111に混合ガスを供給しているが、
複数のガスの供給源を用いてそれぞれ独立してガス流量
を制御し、反応容器111に混合ガスを供給するもので
あってもよい。
【0067】次に、排気部198に関して説明する。
【0068】排気部198は、ガス供給部200及び反
応容器111内を減圧するための、例えば真空ポンプ等
の不図示の排気装置と、反応容器111と排気装置との
間に設けられたメイン排気バルブ118と、反応容器1
11内の真空圧を測定するための真空計119と、反応
容器リークバルブ117とを有する。
【0069】次に、高周波電源部199に関して説明す
る。
【0070】高周波電源部199は、RF電源116
と、高周波マッチングボックス115とを有する。本実
施形態では、RF電源116は周波数13.56[MH
z]の所望のRF電力を発生する。このRF電力は、高
周波マッチングボックス115を介して、反応容器11
1内に供給されグロー放電を生起させる。
【0071】次に、本実施形態の堆積膜製造装置100
を用いた堆積膜の形成手順について、以下に説明する。
【0072】まず、カソード電極を兼ねる反応容器11
1内に円筒状基体112を設置し、例えば真空ポンプ等
の不図示の排気装置により反応容器111内を排気す
る。続いて、基体加熱用ヒータ113により円筒状基体
112の温度を200℃ないし350℃の所定の温度に
制御する。
【0073】次にメイン排気バルブ118を開いて反応
容器111及びガス供給部200内部を排気する。真空
計119の読みが約1×10-2[Pa]になった時点で
補助バルブ60を閉じる。
【0074】その後、ボンベ21、22、23、24の
各ボンベ用バルブ31、32、33、34を開き、各圧
力調整器61、62、63、64により各ガス圧を2
[kg/cm2]に調整する。次に、各流入バルブ4
1、42、43、44を徐々に開けて、各ガスを各マス
フローコントローラ11、12、13、14内に導入す
る。
【0075】以上のようにして膜堆積形成の準備が完了
した後、以下の手順で各層の形成を行う。
【0076】円筒状基体112が所定の温度になったと
ころで各流出バルブ51、52、53、54のうちの所
望のものおよび補助バルブ60を開き、マスフローコン
トローラ71を用いて徐々にガスを流していく。その
際、マスフローコントローラ71により実測されたガス
流量の半分ずつをそれぞれ2つのマスフローコントロー
ラ72、73に分配し、それぞれ、第1のガス管114
a及び第2のガス管114bを介して反応容器111内
にガスを供給する。次に各マスフローコントローラ1
1、12、13、14によって各ガスが所定の混合比、
ガス流量になるように調整する。その際、反応容器11
1内の圧力が1.5×102[Pa]以下の所定の圧力
になるように真空計119を見ながらメイン排気バルブ
118の開口を調整する。なお、第1のガス管114a
及び第2のガス管114bから供給されるガスのガス流
量は第1の実施形態及び本実施形態で説明した「ゆら
ぎ」をマスフローコントローラ72、73により与えな
がら供給する。内圧が安定したところで、周波数13.
56[MHz]のRF電源116を所望の電力に設定し
て、高周波マッチングボックス115を通じて反応容器
111内にRF電力を与え、グロー放電を生起させる。
この放電エネルギーによって反応容器111内に供給さ
れたガスが分解され、円筒状基体112上に所定の機能
性堆積膜が形成されることとなる。所望の膜厚の堆積膜
の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、流出バル
ブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形
成を終える。同様の操作を複数回繰り返せば、多層構造
の機能性堆積膜の形成も可能である。
【0077】さらに、上述のガスの種類および各バルブ
の操作は各々の膜、各々の層の形成条件にしたがって変
更が加えられることは言うまでもない。
【0078】以上説明したように本実施形態によれば、
堆積膜を形成する際、ガス流量に「ゆらぎ」を与えるこ
とで、ガスの滞留を防止できる。これにより、本実施形
態も第1の実施形態と同様に、実質的に特性むらのない
堆積膜を形成できる。また、ガスの滞留の発達の抑制を
第1のガス管114aと第2のガス管114bの機械的
特性の精度管理によらず、各ガスの供給に際する「ゆら
ぎ」により行うため、精度管理の低減がなされる。
【0079】なお、本発明は、第1及び第2の実施形態
を例として説明してきたが、これらになんら限定される
ものではない。また、以下に第1及び第2の実施形態の
実施例を示すが、本発明はこれらによって何ら限定され
るものでもない。
【0080】
【実施例】まず、本発明の第1の実施形態についての実
施例に関して、以下に説明する。 (第1の実施例)本実施例では、堆積膜の製造装置とし
て、図1に示した第1の実施形態の平行平板型の堆積膜
製造装置10を用い、3種類のa−Si:H堆積膜を基
板8に形成した。
【0081】カソード6とアース電極7との電極間距離
は5[cm]であり、第1のガス供給経路1と第2のガ
ス供給経路2ガスとには、それぞれ、ガス管3a、3b
が基板8と平行な方向に形成されている。よって、ガス
の吐出方向は基板8と平行な方向に吐出される。
【0082】また、基板8としては、12インチSiウ
エハと、12インチ四方のガラス板を用い、プラズマ形
成用電力として不図示の電源から13.56[MHz]
の高周波を与えた。
【0083】なお、堆積膜製造装置10の詳細の説明に
関しては、すでに上述したため省略する。
【0084】次に、本実施例の堆積膜の形成条件を表1
に示す。
【0085】
【表1】 この時の圧力、ガス流量から換算すると、ガスの平均滞
在時間は約0.4秒程度であった。
【0086】本実施例では、図5(a)〜図5(c)に
示すような3通りのガス流量変化パターンにより3種類
のサンプルを作製した。
【0087】サンプルは、図5(a)に示すように、
ガス流量が一定の時間と、この一定の時間のガス流量に
対して矩形波状にガス流量が変化する時間とを有する、
いわゆるガスに「ゆらぎ」を与えるものであり、周期T
として4秒、T2として0.4秒として堆積膜を形成し
たものである。なお、ガス流量変化分Δfは、時間T1
における流量の20%とした。
【0088】サンプルはサンプルに対する比較用の
サンプルであり、図5(b)に示すように、ガス流量を
一定とし堆積膜を形成したものである。
【0089】サンプルもサンプルに対する比較用の
サンプルであり、図5(c)に示すように、T=T2=
0.4秒とし、ガス流量が一定の時間がないものとして
堆積膜を形成したものである。なお、ガス流量変化分Δ
fは、サンプルの時間T2におけるガス流量変化分Δ
fと同じ20%とした。
【0090】また、サンプルではガス流量変化分Δf
を時間T1における流量の20%とし、サンプルで
は、サンプルのT2におけるガス流量変化と同じにな
るようにした。
【0091】作製した各サンプルについて、結合状態を
ウエハ上で、膜厚、導電率をガラス上で、以下に示す測
定ポイントにおいて測定し、そのばらつきを評価した。
測定ポイントは、第1のガス供給経路1と第2のガス供
給経路2直下の点を8ヶ所と、第1のガス供給経路1と
第2のガス供給経路2の間の点を8ヶ所との、計16ヶ
所とした。
【0092】まず、測定ポイントを中心として1cm角
の領域を切り出し、紫外・可視光吸収分光計を用いて膜
厚を測定した。次に赤外吸収分光にてSiHとSiH2
に起因するピークをそれぞれ求め、両者の面積比(Si
2/SiH)を計算した。最後にガラス基板上の堆積
膜に櫛形電極を真空蒸着法により形成し、堆積膜の導電
率を測定した。
【0093】本実施例の測定結果を表2に示す。
【0094】
【表2】 なお、表1は、膜厚、SiH2/SiH比、暗導電率の
測定結果に関して、16ヶ所のデータからばらつきを評
価した後、標準偏差を計算し、ガス流量を一定としたサ
ンプルの標準偏差の値を1とした相対値で表してい
る。
【0095】膜厚のばらつきの少なさに関しては、ガス
流量が変化する時間T2をもつガス流量変化パターンを
用いたサンプル及びサンプルの結果が良好であっ
た。
【0096】SiH2/SiH比、暗導電率の標準偏差
に関しては、サンプルが最も良好で、サンプルが最
も悪かった。これは、サンプルの方法が供給するガス
に適度な「ゆらぎ」を与えているのに対し、サンプル
ではガスの流れを乱しすぎており、その差が暗導電率の
むらとして現れていると考えられる。
【0097】以上の結果から、供給するガスに適度な
「ゆらぎ」を持たせ、かつ、複数のグループで相補的に
ガス流量を変化させる機能性堆積膜の製造方法により、
堆積膜の特性むらが改善することが分かった。その際に
はガス流量を常に変化させるだけでは本発明の効果が得
られず、ガス流量を一定とする時間とガス流量を変化さ
せる時間の双方が必要不可欠であるとともに両者のバラ
ンスを取ることで初めて本発明の効果が得られることが
判明した。
【0098】(第2の実施例)本実施例では、堆積膜を
形成する装置として第1の実施例で示した堆積膜製造装
置10を用いた。また、第1の実施例で説明した基板8
と同等の12インチSiウエハ及び12インチ四方ガラ
ス基板上に表1で示す条件にてa−Si:H堆積膜を形
成した。
【0099】ガス流量変化パターンとして、図6に示す
ように「ゆらぎ」となるところに正弦波状のガス流量の
変化を与え、ガス流量変化分Δfを、時間T1における
流量の1%、5%、30%、60%、80%とする5種
類のガス流量変化パターンにて行った。周期Tは8秒、
時間T2は2秒とした。また、比較としてガス流量を一
定としたサンプルも同様に形成した。
【0100】得られたサンプルについて、膜厚、SiH
2/SiH比、導電率を第1の実施例と同様の16ヵ所
の測定ポイントにおいて求め、各測定値のばらつきを評
価した。
【0101】本実施例の測定結果を表3に示す。
【0102】
【表3】 なお、表3はガス流量を一定としたサンプルによる標準
偏差を1とし、相対評価で表している。
【0103】ガス流量変化分Δfが1%のものに関して
は、ガス流量を一定としたものに比べて効果は見られる
ものの、その違いは僅差であったのに対し、ガス流量変
化分Δfが5%〜60%の範囲においては、膜厚、Si
2/SiH比、導電率の全てに関して顕著な改善効果
が見られた。一方、ガス流量変化分Δfを80%とした
場合、膜厚、SiH2/SiH比、導電率のばらつき改
善は見られたものの、一定流量の際の値に近づいてしま
った。この結果から、ガス流量変化分Δfが5%〜60
%の範囲において、本発明の効果が最大限に得られるこ
とが確かめられた。
【0104】(第3の実施例)本実施例でも、堆積膜を
形成する装置として第1の実施例で示した堆積膜製造装
置10を用いた。また、第1の実施例で説明した基板8
と同等の12インチSiウエハ及び12インチ四方ガラ
ス基板上に表1で示す条件にてa−Si:H堆積膜を形
成した。
【0105】ガス流量変化パターンとして、図7に示す
ように「ゆらぎ」となるところにパルス状のガス流量の
変化を与え、時間T2の時間T1に対する時間比T2/
T1が、0.5%、1%、15%、30%、40%とす
る5種類のガス流量変化パターンにて堆積膜の製造を行
った。ガス流量変化分Δfに関しては30%とし、周期
Tを10秒とした。また、比較としてガス流量を一定と
したサンプルも同様に形成した。
【0106】得られたサンプルについて、膜厚、SiH
2/SiH比、導電率を第1の実施例と同様の16ヶ所
の測定ポイントにおいて求め、各測定値のばらつきを評
価した。
【0107】本実施例の測定結果を表4に示す。
【0108】
【表4】 なお、表4はガス流量を一定としたサンプルによる標準
偏差を1とし、相対評価で表している。
【0109】時間比T2/T1が0.5%のものに関し
ては、ガス流量を一定としたものに比べて効果は見られ
るものの、その違いは少なかった。これは流量を変化さ
せる時間が短すぎたためにガスが追従せず、ガスの「ゆ
らぎ」の効果が充分に発揮されなかったためと考えられ
る。それに対し、時間比T2/T1が1%〜30%の範
囲においては、膜厚、SiH2/SiH比、導電率の全
てに関して顕著な改善効果が見られた。また、ガス流量
変化分Δfが40%の割合でガス流量を変化させた場合
と比べても、時間比T2/T1が1〜30%の結果は、
膜厚、SiH2/SiH比、暗導電率の全てにおいて標
準偏差が良好であることがわかった。この結果から、時
間比T2/T1が1%〜30%の範囲において、本発明
の効果が最大限に得られることが確かめられた。
【0110】(第4の実施例)本実施例でも、堆積膜を
形成する装置として第1の実施例で示した堆積膜製造装
置10を用いた。また、第1の実施例で説明した基板8
と同等の12インチSiウエハ及び12インチ四方ガラ
ス基板上に表1で示す条件にてa−Si:H堆積膜を形
成した。
【0111】ガス流量変化パターンとして、図8に示す
ように「ゆらぎ」となるところに矩形波状のガス流量の
変化を与え、ガスの反応容器内における平均滞在時間s
[sec]を基準として、周期Tを平均滞在時間sの
0.5、1、10、100、200倍とする6種類のガ
ス流量変化パターンにて堆積膜の製造を行った。ガス流
量変化分Δfに関しては40%とし、時間比T2/T1
を20%とした。また、比較としてガス流量を一定とし
たサンプルも同様に形成した。
【0112】得られたサンプルについて、膜厚、SiH
2/SiH比、導電率を第1の実施例と同様の16ヶ所
の測定ポイントにおいて求め、各測定値のばらつきを評
価した。
【0113】本実施例の測定結果を表5に示す。
【0114】
【表5】 なお、表5は、ガス流量を一定としたサンプルによる標
準偏差を1とし、相対評価で表している。
【0115】周期Tが平均滞在時間sの0.5倍から1
00倍までの範囲においては、膜厚、SiH2/SiH
比、導電率の全てに関して顕著な効果が見られた。一
方、周期Tが平均滞在時間sの200倍の周期でガスを
変化させた場合、効果は見られるものの、膜厚、SiH
2/SiH比、暗導電率とも一定流量の際の値に近づい
てしまった。この原因としては次のように考えられる。
周期Tが平均滞在時間sの200倍では、一定流量の時
間T1が平均滞在時間に比べて十分に長く、一定流量の
寄与が大きくなってしまう場合があるために最適な効果
が得られなかったと考えられる。この結果から、本発明
のガス流量変化に際し、周期Tが平均滞在時間sの0.
5倍〜100倍の範囲において、本発明の効果が最大限
に得られることが確かめられた。
【0116】(第5の実施例)本実施例でも、堆積膜を
形成する装置として、第1の実施例で示した堆積膜製造
装置10と基本的に同等のものを用いた。すなわち、第
1の実施例で用いた堆積膜製造装置10でのガス管3
a、3bの吐出孔の方向は、基板8と平行な方向に形成
されていたのに対し、本実施例では、後述するように、
ガス管3a、3bの吐出孔の方向の角度を変化させて、
堆積膜を形成するものであるが、それ以外は全て第1の
実施例で用いた堆積膜製造装置10と同じである。
【0117】堆積膜を形成する基板は、第1の実施例で
説明した基板8と同等であり、12インチSiウエハ及
び12インチ四方ガラス基板上に表1で示す条件にてa
−Si:H堆積膜を形成した。
【0118】使用する第1のガス供給経路1と第2のガ
ス供給経路2としては図9(a)〜図9(f)に示すよ
うに、ガスの吐出方向に関して、基板と平行な面に対し
てカソード側に10度、20度、30度と変化させたも
の(図9(a)〜図9(c))と、基板側に角度を持た
せたもの(図9(d)〜図9(f))との計6種類を用
いた。ガス流量変化パターンとしては、周期Tとして6
秒、時間T2として1秒、ガス流量変化分Δfを35%
とした。また比較のために、一定流量による堆積膜製造
に関しても行った。
【0119】得られたサンプルについて、膜厚、SiH
2/SiH比、導電率を第1の実施例と同様の16ヶ所
の測定ポイントにおいて求め、各測定値のばらつきを評
価した。また本実験例では上記の検討に加え、球状突起
の数を顕微鏡写真から見積もり、ガス流量を一定とした
サンプルによる球状突起数と比較し、相対値で示した。
【0120】本実施例の測定結果を表6に示す。
【0121】
【表6】 なお、表6は、ガス流量を一定としたサンプルによる標
準偏差を1とし、相対評価で表した。
【0122】全てのサンプルにおいて、ガス流量が一定
のサンプルに比べてばらつきが少ないという結果が得ら
れたが、球状突起の数に関しては、30度のものがガス
流量が一定のものとほとんど変わらなかったのに対し、
10、20度のものに関しては球状突起の数が減少して
いた。
【0123】この結果から、ガス吐出方向の基板面に平
行な面に対する角度が、±20度の範囲にある場合に、
本発明の効果が最大限に得られることが確かめられた。
【0124】以上、本発明の第1の実施形態の実施例と
して第1ないし第5の実施例について説明してきたが、
以下に、本発明の第2の実施形態の実施例に関して説明
する。
【0125】(第6の実施例)第1ないし第5の実施例
では平行平板型の堆積膜製造装置を用いたが、本実施例
では、円筒形同軸型のプラズマCVD装置を用いて基体
に堆積膜を形成し、以下に示す試験を行い、形成された
堆積膜の評価を行った。
【0126】図10(a)及び図10(b)に本実施例
で用いた堆積膜製造装置400の反応容器411の上面
断面図及び堆積膜製造装置400の概略構成図及びを示
す。堆積膜製造装置400は、円筒形状で、内周に各3
本ずつの第1のガス管414a、第2のガス管414b
及び第3のガス管414cが1本ごとに交互に配され
(計9本)、中央部に直径80mmの鏡面加工を施した
アルミニウムシリンダである円筒状基体412が載置さ
れる反応容器411を有する。また、ガス供給源496
から第1ないし第3のガス管414a、414b、41
4cへのガス流量を独立に制御しながら供給する第1の
ガス管用マスフローコントローラ421a、第2のガス
管用マスフローコントローラ421b及び第3のガス管
用マスフローコントローラ411cとを有し、さらに、
反応容器411内を減圧するための不図示の排気装置
と、反応容器411内でグロー放電を行わせるための高
周波電源部499と有する。また、第1ないし第3のガ
ス管414a、414b、414cからのガスの吐出方
向は、円筒状基体412の表面の接線に平行な平面から
20度反応容器411の壁面側に角度が付けられてお
り、左右2方向にガスの吐出がなされる。
【0127】各ガス管から供給されるガスのガス流量変
化パターンを、図11に示す。堆積膜製造装置400に
おける反応容器411内のガスの平均滞留時間sは、本
実施例の内部のガス圧力、ガス流量では約1秒程度であ
ることから、周期Tとしては20秒、時間T2としては
3秒とした。またガス流量は時間T1においては全ガス
流量を3等分したガス流量とし、ガス流量変化分Δfに
関しては25%とした。
【0128】表7に本実施例における電子写真感光体の
作製条件を示す。
【0129】
【表7】 なお、表7に示すように、SiH4及びCH4の流量は、表面
層の形成時に時間的に変化させた。
【0130】以上、表7に示す条件により作製された感
光体の膜厚を測定したところ、同一装置でガス流量を一
定としたものに比べ、均一性の向上が見られた。次に、
この感光体を実験用に改造した電子写真装置(キヤノン
製NP−6550)にセットして、電位特性の評価を行
ったところ、感度の周方向むら、帯電能の周方向むらと
も良好で、一定のガス流量で作製した感光体に比べてむ
らが減少していた。
【0131】また、作製した感光体を正帯電して画像評
価をした。画像欠陥の有無について、全面黒、全面白、
全面ハーフトーンの複写原稿を用い、画像を詳細に調べ
たが、画像欠陥は全く見られなかった。
【0132】(第7の実施例)本実施例では、堆積膜の
製造装置として、円筒形同軸型のプラズマCVD装置で
ある図4(a)及び図4(b)に示した第2の実施形態
の堆積膜製造装置100を用いて、基体に堆積膜を形成
し、以下に示す試験を行い、形成された堆積膜の評価を
行った。
【0133】上述の第6の実施例で用いた堆積膜製造装
置400では各ガス管が各3本ずつの3つのグループに
分けられ、計9本のガス管によりガスが供給されていた
のに対し、本実施例の堆積膜製造装置100は、各4本
ずつの第1のガス管114aと、第2のガス管114b
とが1本ごと交互に配された(計8本)ものが用いられ
た。また、これに伴い、ガス供給源196からのガスの
ガス流量を独立に制御しながら第1及び第2のガス管1
14a、114bへのガスの供給を行うマスフローコン
トローラも第1のガス管用マスフローコントローラ12
1aと第2のガス管用マスフローコントローラ121b
との2つが用いられた。また、第1及び第2のガス管1
14a、114b、からのガスの吐出方向は、円筒状基
体112の表面の接線に平行な平面から10度反応容器
111の壁面側に角度が付けられており、左右2方向に
ガスの吐出がなされる。
【0134】なお、堆積膜製造装置100の詳細の説明
に関しては、すでに上述したため省略する。
【0135】以上のような構成の堆積膜製造装置100
に、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシ
リンダからなる円筒状基体112をセットし、その表面
に電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真
感光体を作製した。光導電層を2つに分離し、主に電荷
発生をさせる領域と、主に電荷輸送を担う領域を設ける
ことで機能分離型の感光体を完成させた。
【0136】次に、本実施例におけるガス流量変化パタ
ーンを図12に示す。堆積膜製造装置100におけるガ
スの平均滞留時間sは、本実施例の内部のガス圧力、ガ
ス流量では約1秒程度であることから、周期Tとしては
15秒、時間T2としては2秒とした。またガス流量は
時間T1においては全ガス流量を2等分したガス流量と
し、ガス流量変化分Δfに関しては20%とした。
【0137】表8に本実施例における電子写真感光体の
作製条件を示す。
【0138】
【表8】 なお、表8に示すように、SiH4及びCH4の流量は、表面
層の形成時に時間的に変化させた。
【0139】以上、表8に示した条件により作製された
感光体の膜厚を測定したところ、同一の装置によりガス
の供給を一定流量としたものに比べ、均一性の向上が見
られた。次に、この感光体を実験用に改造した電子写真
装置(キヤノン製NP−6085を基に、像露光を波長
680nmの半導体レーザで行うように改造したもの)
にセットして、電位特性の評価を行った。レーザによる
露光を行う複写機においては、特に明電位の感度のむ
ら、ハーフトーン電位むらについて低く抑える必要があ
るが、本実施例で作製した感光体は一定流量で作製した
感光体に比べてむらが減少し、極めて良好な結果が得ら
れた。
【0140】また、作製した感光体を正帯電して画像評
価をした。画像欠陥の有無について、全面黒、全面白、
全面ハーフトーンの複写原稿を用い、画像を詳細に調べ
たが、画像欠陥は全く見られなかった。
【0141】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ガ
ス供給工程が、ガス流量を独立して制御する複数のガス
供給経路によりなされ、かつ、時間的に変動させる変動
供給工程とを含むため、各ガスの供給に際して「ゆら
ぎ」が発生し、これにより、真空容器内のガスの滞留の
発達を抑制することができる。よって、滞留による影響
を受けることなく、特性むらの抑制された機能性堆積膜
が製造されることとなる。また、変動供給工程における
各ガス供給経路から供給されるガスのガス流量の総和
が、一定供給工程のガス流量の総和と略同一であるた
め、所望の機能性堆積膜の形成に必要なガス流量が確保
される。
【0142】さらに、ガスの滞留の発達の抑制をガス供
給手段の機械的特性の精度管理によらず、各ガスの供給
に際する「ゆらぎ」により行うため、精度管理の低減が
なされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の一例である堆積膜製
造装置の概略構成図である。
【図2】矩形波状のガス流量変化パターンを説明するグ
ラフである。
【図3】別のガス流量変化パターンを説明するグラフで
ある。
【図4】本発明の第2の実施形態の一例である堆積膜製
造装置の上面断面図及び概略構成図である。
【図5】本発明の第1の実施例で用いた各ガス供給経路
から供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラ
フである。
【図6】本発明の第2の実施例で用いた各ガス供給経路
から供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラ
フである。
【図7】本発明の第3の実施例で用いた各ガス供給経路
から供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラ
フである。
【図8】本発明の第4の実施例で用いた各ガス供給経路
から供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラ
フである。
【図9】本発明の第5の実施例で試された、各ガス管か
らのガスの吐出方向を示す模式図である。
【図10】本発明の第6の実施例で用いた堆積膜製造装
置の上面断面図及び概略構成図である。
【図11】本発明の第6の実施例で用いた各ガス管から
供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラフで
ある。
【図12】本発明の第7の実施例で用いた各ガス管から
供給されるガスのガス流量変化パターンを示すグラフで
ある。
【図13】従来の一例である堆積膜製造装置内に生じた
ガスの滞留を説明する図である。
【符号の説明】
1 第1のガス供給経路 1a 第1のガス流量制御部 2 第2のガス供給経路 2a 第2のガス流量制御部 3a、3b ガス管 4a、4b ガス供給手段 5 高周波電源 6 カソード 7 アース電極 8 基板 9 反応容器 10 堆積膜製造装置 11、12、13、14、71、72、73 マスフ
ローコントローラ 21、22、23、24 ボンベ 31、32、33、34 ボンベ用バルブ 41、42、43、44 流入バルブ 51、52、53、54 流出バルブ 60 補助バルブ 61、62、63、64 圧力調整器 100、400 堆積装置 111、411 反応容器 112、412 円筒状基体 113 基体加熱用ヒータ 114a、414a 第1のガス管 114b、414b 第2のガス管 414c 第3のガス管 115 マッチングボックス 116 高周波電源 117 反応容器リークバルブ 118 メイン排気バルブ 119 真空計 197 堆積膜形成部 198 排気部 199、499 高周波電源部 200 ガス供給部 421a 第1のマスフローコントローラ 421b 第2のマスフローコントローラ 421c 第3のマスフローコントローラ 496 ガス供給源
フロントページの続き (72)発明者 古島 聡 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 土田 伸史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4K030 AA06 AA17 BA30 CA04 CA06 EA01 FA01 FA03 JA05 JA06 JA11 KA41 LA15 LA16 LA17 5F045 AA08 AB04 AC01 AC17 AC19 CA16 DA65 DP03 EE04 EE12 EE17 EH14 EH15 GB07

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機能性堆積膜を形成すべき基体が内部に
    載置される真空容器内に、前記機能性堆積膜の原料とな
    るガスをガス供給経路から供給するガス供給工程と、前
    記真空容器内でプラズマを発生させるプラズマ発生工程
    とを含む機能性堆積膜の製造方法において、 前記ガス供給工程は、複数系統の前記ガス供給経路から
    前記ガスを供給するものであるとともに、 前記各ガス供給経路からのガス流量を一定とする一定供
    給工程と、 前記各ガス供給経路からのガス流量の総和が、前記一定
    供給工程のガス流量の総和と略同一となるように、ガス
    流量を前記一定供給工程のガス流量に対して変化させる
    変動供給工程とを含むことを特徴とする機能性堆積膜の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記変動供給工程は、前記ガス流量を時
    間的に連続して変化させる工程を含む請求項1に記載の
    機能性堆積膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記一定供給工程と、前記変動供給工程
    とが交互に繰り返される請求項1または2に記載の機能
    性堆積膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記変動供給工程におけるガス流量のピ
    ーク値と、前記一定供給工程におけるガス流量との差分
    が、前記一定供給工程におけるガス流量の5%以上60
    %以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
    機能性堆積膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記変動供給工程に要する時間が、前記
    一定供給工程に要する時間の1%以上30%以下である
    請求項1ないし4のいずれか1項に記載の機能性堆積膜
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記変動供給工程と前記一定供給工程と
    が周期的に繰り返され、かつ、その周期が、 s=pV/f s:真空容器内でのガスの平均滞在時間 V:真空容器内の内容積 p:プラズマ発生工程時の圧力 f:真空容器内に供給されるガス流量 で表される前記平均滞在時間sの0.5倍以上100倍
    以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の機
    能性堆積膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ガス供給工程は、前記各ガスを前記
    基体の表面に平行な仮想の平面に対して±20度の範囲
    で、前記複数のガス供給経路から前記ガスを吐出させる
    ことで前記真空容器内に前記各ガスを供給する工程を含
    む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の機能性堆積
    膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 機能性堆積膜を形成すべき基体が内部に
    載置される真空容器内に、前記機能性堆積膜の原料とな
    るガスをガス供給経路から供給するガス供給工程と、前
    記真空容器内でプラズマを発生させるプラズマ発生工程
    とを含む機能性堆積膜の製造方法において、 前記ガス供給工程は、複数系統の前記ガス供給経路から
    前記ガスを供給するものであるとともに、 前記各ガス供給経路からのガス流量を所望量で一定とす
    る一定供給工程と、 前記各ガス供給経路からのガス流量の総和が、前記一定
    供給工程の前記各ガス供給経路からのガス流量の総和と
    略同一となるように、前記各ガス供給経路からのガス流
    量を前記一定供給工程の前記各ガス供給経路からのガス
    流量に対して変化させる変動供給工程とを含むことを特
    徴とする機能性堆積膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 機能性堆積膜を形成すべき基体が内部に
    載置される真空容器と、前記機能性堆積膜の原料となる
    ガスを供給するガス供給手段と、前記真空容器内でプラ
    ズマを発生させるプラズマ手段とを有する機能性堆積膜
    の製造装置において、 前記ガス供給手段は、少なくとも1つのガス源及び前記
    ガス源からのガスを前記真空容器内に供給する複数のガ
    ス供給経路からなり、 前記各ガス供給手段からのガス流量を一定とする一定供
    給時間と、前記各ガス供給手段からのガス流量の総和
    が、前記一定供給時間の前記ガス流量の総和と略同一と
    なるように、ガス流量を前記一定供給時間のガス流量に
    対して変化させる変動供給時間とからなるガス流量変化
    パターンにより、前記各ガス供給手段の各ガス流量を制
    御する複数のガス流量制御手段を有することを特徴とす
    る機能性堆積膜の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記ガスは、複数の種類のガスからな
    る混合ガスである請求項9に記載の機能性堆積膜の製造
    装置。
  11. 【請求項11】 前記各ガス流量制御手段は、前記変動
    供給時間では前記ガス流量を時間的に連続して変化させ
    る請求項9または10に記載の機能性堆積膜の製造装
    置。
  12. 【請求項12】 前記各ガス流量制御手段によるガス流
    量変化パターンは、前記一定供給時間と、前記変動供給
    時間とが交互に繰り返されるものである請求項9ないし
    11のいずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造装置。
  13. 【請求項13】 前記変動供給時間におけるガス流量の
    ピーク値と、前記一定供給時間におけるガス流量との差
    分が、前記一定供給時間におけるガス流量の5%以上6
    0%以下である請求項9ないし12のいずれか1項に記
    載の機能性堆積膜の製造装置。
  14. 【請求項14】 前記変動供給時間が、前記一定供給時
    間の1%以上30%以下である請求項9ないし13のい
    ずれか1項に記載の機能性堆積膜の製造装置。
  15. 【請求項15】 前記変動供給時間と前記一定供給時間
    とが周期的に繰り返され、かつ、その周期が、 s=pV/f s:真空容器内でのガスの平均滞在時間 V:真空容器内の内容積 p:プラズマの発生時の圧力 f:真空容器内に供給されるガス流量 で表される前記平均滞在時間sの0.5倍以上100倍
    以下である請求項9ないし14のいずれか1項に記載の
    機能性堆積膜の製造装置。
  16. 【請求項16】 前記ガス供給手段は、前記ガスを前記
    真空容器内に吐出する吐出孔が前記基体の表面に平行な
    仮想の平面に対して±20度の範囲で形成された複数の
    ガス管からなるものである請求項9ないし15のいずれ
    か1項に記載の機能性堆積膜の製造装置。
  17. 【請求項17】 機能性堆積膜を形成すべき基体が内部
    に載置される真空容器と、前記機能性堆積膜の原料とな
    るガスを供給するガス供給手段と、前記真空容器内でプ
    ラズマを発生させるプラズマ手段とを有する機能性堆積
    膜の製造装置において、 前記ガス供給手段は、少なくとも1つのガス源及び前記
    ガス源からのガスを前記真空容器内に供給する複数のガ
    ス供給経路からなり、 前記各ガス供給手段からのガス流量を所望量で一定とす
    る一定供給時間と、前記各ガス供給手段からのガス流量
    の総和が、前記一定供給時間の前記各ガス供給経路から
    の前記ガス流量の総和と略同一となるように、前記各ガ
    ス供給経路からのガス流量を前記一定供給時間の前記各
    ガス供給経路からのガス流量に対して変化させる変動供
    給時間とからなるガス流量変化パターンにより、前記各
    ガス供給手段の各ガス流量を制御する複数のガス流量制
    御手段を有することを特徴とする機能性堆積膜の製造装
    置。
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JP2015511766A (ja) * 2012-02-29 2015-04-20 オックスフォード インストルメンツ ナノテクノロジー ツールス リミテッド 基板に物質を堆積及び/又は基板から物質をエッチング除去する方法及び装置

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