JP2001019661A - エステル化物の製造方法およびポリカルボン酸系重合体の製造方法 - Google Patents

エステル化物の製造方法およびポリカルボン酸系重合体の製造方法

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JP2001019661A
JP2001019661A JP11193231A JP19323199A JP2001019661A JP 2001019661 A JP2001019661 A JP 2001019661A JP 11193231 A JP11193231 A JP 11193231A JP 19323199 A JP19323199 A JP 19323199A JP 2001019661 A JP2001019661 A JP 2001019661A
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Hirokazu Niwa
宏和 丹羽
Hiromichi Tanaka
宏道 田中
Tsutomu Yuasa
務 湯浅
Takeshi Hirata
健 枚田
Eriko Maeda
枝里子 前田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二種類以上のエステル化物の混合物を、任意
の組成で、安価で、生産性良く製造する方法を提供す
る。また、このようにして得られた二種類以上のエステ
ル化物を原料としてポリカルボン酸系重合体を安価で、
生産性良く製造する方法を提供する。また、ポリカルボ
ン酸系重合体を必須成分とするセメント添加剤を安価
で、生産性良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 原料(カルボン酸系化合物とアルコー
ル)を二段階以上に分けて仕込み反応させ、かつ少なく
とも一つの段階において仕込む原料の組成を、他の段階
において仕込む原料の組成とは異なったものとして、二
種類以上のエステル化物の混合物を製造する。得られた
二種類以上のエステル化物を含む反応生成物に、必要に
応じて共重合可能な単量体を加えて単量体混合物とした
後、これを重合してポリカルボン酸系重合体を製造す
る。このようにして得られたポリカルボン酸系重合体を
必須成分とするセメント添加剤を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エステル化物の製
造方法、ポリカルボン酸系重合体の製造方法およびセメ
ント添加剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリル酸エステル系単量体と
不飽和カルボン酸を共重合して得られるポリカルボン酸
系重合体は、セメント添加剤や炭酸カルシウム、カーボ
ンブラック、インクなどの顔料分散剤、スケール防止
剤、石膏・水スラリー用分散剤、CWM用分散剤、増粘
剤等として有用であることが知られている。このとき、
例えばアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを併
用する等、二種類以上の(メタ)アクリル酸エステル系
単量体を用いることで、より優れた分散性能を示す重合
体となることが知られている。
【0003】エステル化物を製造する方法としては、塩
化チオニルや五塩化リン等を用いて、酸塩化物や酸無水
物を製造し、これをエステル化する方法が知られている
が、塩化チオニルや五塩化リン等の試薬は非常に反応性
に富むため扱いにくく、しかも高価であるという欠点を
有する。また、エステル交換によりエステル化物を製造
する方法も知られているが、蒸留等の精製工程が必要で
あり、また廃液等の処理も必要であるため、生産性が悪
いという欠点を有する。一種類のエステル化物を製造し
使用する場合には、これらの欠点はさほど問題とはなら
ないが、二種類以上のエステル化物を使用する場合には
生産性やコストの問題は非常に大きな障害となるため、
上記方法によりエステル化物をそれぞれ単独で製造して
混合する方法は実用的ではない。
【0004】二種類以上のエステル化物を一括で製造す
る方法として、目的とするエステル化物の原料となるカ
ルボン酸系化合物およびアルコールを全て一括で反応器
に仕込み、エステル化反応を行う方法が考えられる。し
かしながら、この方法では反応性の高いものが優先的に
反応してしまうために、得られた反応物は目的とする組
成とは異なったものとなってしまい、任意の組成の反応
物を得ることは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明で
は、二種類以上のエステル化物の混合物を、任意の組成
で、安価で、生産性良く製造する方法を提供することを
課題とする。また、このようにして得られた二種類以上
のエステル化物を原料としてポリカルボン酸系重合体を
安価で、生産性良く製造する方法を提供することをも課
題とする。また、ポリカルボン酸系重合体を必須成分と
するセメント添加剤を安価で、生産性良く製造する方法
を提供することをも課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、以下の構成を提供する。 (1) カルボン酸系化合物とアルコールとのエステル化反
応によりエステル化物を製造するに際し、原料のカルボ
ン酸系化合物およびアルコールの少なくとも一方を二種
類以上用いることで二種類以上のエステル化物の混合物
を製造する方法であって、原料を二段階以上に分けて仕
込み反応させ、かつ少なくとも一つの段階において仕込
む原料の組成を、他の段階において仕込む原料の組成と
は異なったものとすることを特徴とするエステル化物の
製造方法。 (2) 不飽和カルボン酸系化合物とアルコールとのエステ
ル化物を含む単量体成分を重合することでポリカルボン
酸系重合体を製造する方法であって、原料の不飽和カル
ボン酸系化合物およびアルコールの少なくとも一方を二
種類以上用い、原料を二段階以上に分けて仕込み反応さ
せ、かつ少なくとも一つの段階において仕込む原料の組
成を、他の段階において仕込む原料の組成とは異なった
ものとすることで、二種類以上のエステル化物を含む反
応生成物を得た後、前記反応生成物に、必要に応じて共
重合可能な単量体を加えて単量体混合物とした後、これ
を重合することを特徴とするポリカルボン酸系重合体の
製造方法。 (3) 不飽和カルボン酸系化合物とアルコールとのエステ
ル化物を含む単量体成分を重合して得られるポリカルボ
ン酸系重合体を必須成分とするセメント添加剤を製造す
る方法であって、原料の不飽和カルボン酸系化合物およ
びアルコールの少なくとも一方を二種類以上用い、原料
を二段階以上に分けて仕込み反応させ、かつ少なくとも
一つの段階において仕込む原料の組成を、他の段階にお
いて仕込む原料の組成とは異なったものとすることで、
二種類以上のエステル化物を含む反応生成物を得た後、
前記反応生成物に、必要に応じて共重合可能な単量体を
加えて単量体混合物とした後、これを重合して得られる
ポリカルボン酸系重合体を用いることを特徴とする、セ
メント添加剤の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明でエステル化物の原料とし
て用いられるカルボン酸系化合物としては、特に限定さ
れず、飽和カルボン酸系化合物および不飽和カルボン酸
系化合物のいずれも好ましく用いることができる。但
し、得られたエステル化物からポリカルボン酸系重合体
を製造する場合は、カルボン酸系化合物として不飽和カ
ルボン酸系化合物を用いて、重合可能な不飽和結合を有
するエステル化物を製造する必要がある。
【0008】本発明で好ましく用いられる不飽和カルボ
ン酸系化合物としては、下記の一般式(1)で表される
単量体またはその無水物が挙げられる。
【0009】
【化1】
【0010】(但し、式中R1 、R2 、R3 は水素原
子、メチル基又は(CH2 p COOX基を表し、Xは
水素、一価金属、二価金属、アンモニウム基又は有機ア
ミン基を表し、pは0〜2の整数を表す。) このような不飽和カルボン酸系化合物としては、アクリ
ル酸系単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、及びこれらの金属塩、アンモニウム塩、アミン
塩等;不飽和ジカルボン酸系単量体として、マレイン
酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、及びこれら
の金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等、さらにこれら
の無水物として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無
水シトラコン酸等が挙げられる。中でもアクリル酸系単
量体が好ましい。
【0011】また、飽和カルボン酸系化合物としては、
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、トルイル
酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク
酸、フタル酸等のジカルボン酸;トリカルバリル酸、ベ
ンゼントリカルバリル酸等のトリカルボン酸等を例示で
きる。本発明でエステル化物の原料として用いられるア
ルコールとしては、特に限定されないが、下記の一般式
(2)で表されるアルコールが好ましい。
【0012】
【化2】
【0013】(但し、R4 は炭素原子数1〜30の炭化
水素基を表す。R5 Oは炭素原子数2〜18のオキシア
ルキレン基を表す。この際、各R5 Oの繰り返し単位は
同一であっても異なっていてもよく、R5 Oが2種以上
の混合物の形態である場合には、各R5 Oの繰り返し単
位はブロック状に付加していてもランダム状に付加して
いてもよい。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数
を表し、0〜300の数である。) 上記一般式(2)において、R4 は炭素原子数1〜30
の炭化水素基を表す。好適なR4 の範囲はその使用用途
により異なるものであり、例えば、得られたエステル化
物からポリカルボン酸系重合体を製造し、これをセメン
ト添加剤として用いる場合には、R4 は、炭素原子数1
〜18の直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキル基およびア
リール基が好ましい。R4 としては、具体的には、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、ノニル基、2−エチルヘキシル基、
デシル基、ドデシル基、ウンデシル基、トリデシル基、
テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘ
プタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコ
シル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基等のアルキル
基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基、ノニルフ
ェニル基等のアルキルフェニル基;シクロヘキシル基等
のシクロアルキル基;アルケニル基;アルキニル基等が
挙げられる。これらのうち、得られたエステル化物から
ポリカルボン酸系重合体を製造し、これをセメント添加
剤として用いる場合には、上述したように、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基が好まし
い。
【0014】また、R5 Oは、炭素原子数2〜18、好
ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基を表
す。この際、各R5 Oの繰り返し単位は同一であっても
異なっていてもよい。R5 Oが2種以上の混合物の形態
である場合には、各R5 Oの繰り返し単位はブロック状
に付加していてもランダム状に付加していてもよい。R
5 Oとしては、オキシエチレン基、オキシプロピレン
基、オキシブチレン基であることが好ましい。
【0015】nは0〜300の数であり、R5 O(オキ
シアルキレン基)の平均付加モル数を表す。好適なnの
範囲もその使用用途により異なるが、一般に2〜300
の数が好ましく、例えば、得られたエステル化物からポ
リカルボン酸系重合体を製造し、これをセメント添加剤
として用いる場合には、nは、5〜200の数がより好
ましく、さらに好ましくは8〜150である。また、前
記ポリカルボン酸系重合体を増粘剤として用いる場合に
は、10〜250の数がより好ましく、さらに好ましく
は50〜200の数である。また、n=0の場合には、
水との溶解性および沸点の観点から、上記R4 が炭素原
子数4以上の炭化水素基であることが好ましい。n=0
の場合、特にメタノールやエタノール等の低級アルコー
ルでは低沸点のために生成水とともに蒸発し、さらに生
成水を溶解することから当該アルコール原料の一部が系
外に留去され、目的とするエステル化物の収率が低下す
るためである。
【0016】本発明では、カルボン酸系化合物およびア
ルコールの少なくとも一方を二種類以上併用して、二種
類以上のエステル化物の混合物を製造する。カルボン酸
系化合物を二種類以上併用する場合、その形態は特に制
限されるものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸から選ばれる2種類または3種類を併用する
ことが好ましい。
【0017】アルコールを二種類以上併用する場合、そ
の形態は特に制限されるものではなく、R4 、R5 Oま
たはnの少なくともいずれか1つが異なる二種類以上を
併用すればよいが、好ましい併用形態としては、R4
がメチル基と炭素数4以上の炭化水素基の二種類で構成
されている場合、R5 Oがオキシエチレン基とオキシ
プロピレン基の二種類で構成されている場合、nが1
〜10のものと11〜150のものの二種類で構成され
ている場合、一級アルコールと二級アルコールの二種
類で構成されている場合、および〜を適宜組み合わ
せたもの、が挙げられる。
【0018】本発明では、原料(カルボン酸系化合物お
よびアルコール)を二段階以上に分けて仕込み反応さ
せ、かつ少なくとも一つの段階において仕込む原料の組
成を、他の段階において仕込む原料の組成とは異なった
ものとする。このようにすることで、反応系の組成をそ
の都度細かく調整することができるので、生成物の組成
を容易に制御することができる。しかも、生成する二種
類以上のエステル化物の組成を制御できるだけでなく、
残存する未反応のカルボン酸系化合物やアルコールの量
も制御することができるので、得られた反応生成物をそ
のまま重合に供する場合等には非常に有利である。ま
た、この方法によると二種類以上のエステル化物の混合
物を一つの反応器内で製造できるので、設備が単純化で
き、安価で生産性が高い。
【0019】本発明で「組成」とは、対象としている物
質を構成している一群の成分、およびそれらの量的関係
をいい、「組成が異なる」とは、成分が異なる場合、
あるいは、成分が同じでも、比が異なる場合をいう。
本発明で「少なくとも一つの段階において仕込む原料の
組成が、他の段階において仕込む原料の組成とは異な
る」とは、問題となる二つの段階において、以下の
(a)および/または(b)の関係を満たす場合であ
る。
【0020】(a)両方の段階で、酸が添加されてお
り、かつ、一つの段階で加える酸は、他の段階で加える
酸と組成が異なる。 (b)両方の段階で、アルコールが添加されており、か
つ、一つの段階で加えるアルコールは他の段階で加える
アルコールと組成が異なる。具体的なケースについて述
べると、 (ケース1) 1段階目:酸A1を60モル,アルコールB1を100
モル 2段階目:酸A1を70モル このようなケース1の場合、両方の段階で酸が添加され
ているが、いずれも同じ酸(A1)のみであるため、本
発明の「少なくとも一つの段階において仕込む原料の組
成が、他の段階において仕込む原料の組成とは異なる」
には該当しない。 (ケース2) 1段階目:酸A1を60モル,アルコールB1を100
モル 2段階目:酸A2を70モル このようなケース2の場合、両方の段階で酸が添加され
ており、1段階目の酸A1と、2段階目の酸A2が異な
る酸であるため、本発明の「少なくとも一つの段階にお
いて仕込む原料の組成が、他の段階において仕込む原料
の組成とは異なる」に該当する。 (ケース3) 1段階目:酸A1を59モル,酸A2を1モル,アルコ
ールB1を100モル 2段階目:酸A1を1モル,酸A2を69モル このようなケース3の場合、両方の段階で酸が添加され
ており、1段階目も2段階目も酸成分はいずれも酸A1
と酸A2を含むが、その比が異なるため、本発明の「少
なくとも一つの段階において仕込む原料の組成が、他の
段階において仕込む原料の組成とは異なる」に該当す
る。
【0021】また、本発明で「一つの段階」には、原料
の一括投入だけでなく滴下による投入も含めるが、同じ
成分を2回以上に分けて投入するいわゆる分割投入は
「多段階」として扱う。また、原料を滴下により投入す
る場合、各段階は滴下時間が一部重複していてもよい。
例えば、酸成分A1(メタクリル酸)を、0〜10分の
間、計10分間かけて滴下し、酸成分A2(アクリル
酸)を、7〜15分の間、計8分間かけて滴下した場
合、1段階目の酸成分/組成は、0〜10分の間に滴下
しているA1であり、2段階目の酸成分/組成は、7〜
15分の間に滴下しているA2である。
【0022】本発明において、各段階で仕込む原料の組
成については、特に制限はないが、一つの段階で仕込む
原料は一種類のカルボン酸系化合物および/または一種
類のアルコールであることが好ましい。一つの段階で仕
込む原料に、二種類以上のカルボン酸系化合物や二種類
以上のアルコールが含まれると、組成の制御が困難にな
り、本発明の効果が得られにくいためである。また、最
終的に未反応で残存させたくない原料は最終段階より前
に仕込むことが好ましい。その方が、該原料が消費され
やすいためである。
【0023】一段階目の原料は、カルボン酸系化合物と
アルコールのどちらかが過剰になるようにして、エステ
ル化反応が終了した段階で、どちらかが残存するように
することが好ましい。そして、次の段階では、カルボン
酸系化合物が残存した場合はアルコールを、アルコール
が残存した場合はカルボン酸系化合物を、仕込むことが
好ましい。もちろん、一段階目でカルボン酸系化合物が
残存した場合に二段階目でアルコールとともにカルボン
酸系化合物を仕込んでもかまわないし、一段階目でアル
コールが残存した場合に二段階目でカルボン酸系化合物
と共にアルコールを仕込んでもかまわない。但し、反応
系に反応性の著しく異なるアルコール同士またはカルボ
ン酸系化合物同士が同時に存在すると、組成の制御が困
難となるため、注意すべきである。例えば、アクリル酸
系化合物とメタクリル酸系化合物とは大半のアルコール
との反応性が著しく異なるので、これらは同時に反応系
に存在しないことが好ましく、これらが同時に存在する
場合には一方(アクリル酸系化合物またはメタクリル酸
系化合物)は全カルボン酸系化合物の30モル%以下で
あることが好ましく、20モル%以下であることがより
好ましい。逆に、上記一般式(2)におけるnの数のみ
が異なるアルコール同士は、大半のカルボン酸系化合物
との反応性が比較的似通っているので、同時に反応系に
存在していても問題は少ない。カルボン酸系化合物とア
ルコールのどちらかが過剰となる場合の過剰率として
は、1.05当量以上が好ましく、1.2当量以上がよ
り好ましい。
【0024】本発明で、一段階目で、少なくともメタク
リル酸と、前記メタクリル酸の当量を超える量のアルコ
ールとを仕込み両者を反応させ、続いて二段階目で少な
くともアクリル酸を仕込み、該アクリル酸と一段階目の
反応で残存した未反応のアルコールと反応させることが
特に好ましい。これにより、メタクリル酸エステル、ア
クリル酸エステル、アクリル酸を任意の組成で含み、メ
タクリル酸をほとんど含まない反応混合物を得ることが
できる。後述するようにこの反応混合物は重合用原料
(単量体)として有用であり、特に得られる重合体をセ
メント添加剤として用いる場合に有用である。
【0025】二段階目以降の原料を仕込む時期について
は、前の段階の反応が十分に進行した後であることが好
ましく、具体的にはエステル化率が70%以上となった
後が好ましく、80%以上となった後がより好ましい。
前の段階の反応が十分に進行しきっていない状態で次の
原料を仕込むと、仕込みを二段階以上に分けた意味が薄
れるためである。反応が十分に進行したかどうかは、例
えば液体クロマトグラムで確認することができる。な
お、ここでエステル化率とは、カルボン酸系化合物を
過剰に仕込んだ場合は、仕込まれたアルコールのモル数
に対する生成したエステル化物中のエステル結合のモル
数の百分率を意味し、アルコールを過剰に仕込んだ場
合は、仕込まれたカルボン酸系化合物中のカルボキシル
基のモル数に対する生成したエステル化物中のエステル
結合のモル数の百分率を意味する。
【0026】原料の仕込みを三段階以上に分ける場合、
少なくとも一つの段階において仕込む原料の組成を、他
の段階において仕込む原料の組成とは異なったものとす
ればよいが、各段階において仕込む原料の組成を異なっ
たものとした方が本発明の効果は大きい。本発明におけ
るエステル化反応においては、必要に応じて、反応系に
酸触媒を加えて行ってもよい。酸触媒としては、例え
ば、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン
酸、パラトルエンスルホン酸水和物、キシレンスルホン
酸、キシレンスルホン酸水和物、ナフタレンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸水和物、トリフルオロメタン
スルホン酸、「Nafion」レジン、「Amberl
yst 15」レジン、リンタングステン酸、リンタン
グステン酸水和物、塩酸等が挙げられ、これらのうち、
硫酸、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン
酸水和物、メタンスルホン酸等が好ましく使用される。
これらの中でも特に、エステル化物の品質および性能の
低下の原因となる不純物のジエステルの生成原因の一つ
であるアルコール原料の切断を起こしにくいという点
で、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸
水和物が好ましい。
【0027】本発明におけるエステル化反応において
は、必要に応じて反応系に脱水溶剤を加えることもでき
る。ここで、脱水溶剤とは、水と共沸する溶剤として規
定されるものである。脱水溶剤を用いることにより、エ
ステル化反応により生成する生成水を効率良く共沸させ
ることができるものである。このような脱水溶剤として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、
ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベ
ンゼン、イソプロピルエーテル等が挙げられ、これらを
単独であるいは二種以上の混合溶剤として使用すること
ができる。あるいは、本発明のエステル化反応において
は、脱水溶剤を用いずに無溶媒下でエステル化反応を行
うこともできる。この場合には、生成する水を除去する
ために反応液に空気、不活性ガス(窒素ガス、ヘリウム
ガス、アルゴンガス、二酸化炭素)等の気体(好ましく
は水蒸気を含まない気体)を用いたバブリング処理を行
うことが好ましい。かかるバブリング処理としては、例
えば、反応槽内の下部に設けられたエアノズル等から連
続して気体(バブル)を反応液内に吹き出させ、反応液
内を通過する過程で反応液内の水分を気泡(バブル)内
に取り込ませ、反応液中を通過してきた水蒸気含有気体
を反応系外に排気する(好ましくは、排気した気体に含
まれる水蒸気を液化除去し、再び乾燥された気体を循環
する)方法等が例示できるが、これに限定されない。
【0028】また、本発明におけるエステル化反応にお
いては、必要に応じて重合禁止剤が反応系に加えられて
いても良い。本発明で用いることのできる重合禁止剤と
しては、例えば、フェノチアジン、トリ−p−ニトロフ
ェニルメチル、ジ−p−フルオロフェニルアミン、ジフ
ェニルピクリルヒドラジル、N−(3−オキシアニリノ
−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ベ
ンゾキノン、ハイドロキノン、メトキノン、ブチルカテ
コール、ニトロソベンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾ
イルジスルフィド、クペロン、塩化銅(II)等が挙げら
れる。これらのうち、脱水溶剤や生成水の溶解性の理由
から、フェノチアジン、ハイドロキノン、メトキノンが
好ましく使用される。
【0029】本発明において、エステル化反応は、回分
式あるいは連続式のいずれで行ってもよいが、回分式で
行うことが好ましい。また、エステル化反応における反
応条件は、エステル化反応が円滑に進行する条件であれ
ばよいが、例えば、反応温度は30〜140℃、好まし
くは60〜130℃、さらに好ましくは90〜125
℃、特に好ましくは100〜120℃である。
【0030】本発明のエステル化物の製造方法によって
得られる反応生成物は、目的物である二種類以上のエス
テル化物を含み、場合により未反応のカルボン酸系化合
物またはアルコールを含む。反応生成物から目的のエス
テル化物を単離するためには、未反応の原料や副生物を
蒸留、透析、限外ろ過、イオン交換等の方法により除去
すればよいが、重合用の原料として用いる場合は、後述
するようにエステル化物を単離することなく、得られた
反応生成物をそのまま重合に供することもできる。
【0031】得られたエステル化物を重合用の原料(単
量体)として用いる場合について詳細に説明する。エス
テル化物の原料のカルボン酸系化合物として不飽和カル
ボン酸系化合物を用いた場合、目的物のエステル化物は
不飽和カルボン酸エステルであるため、重合可能な単量
体であり、これを重合することでポリカルボン酸系重合
体を得ることができる。この場合は、エステル化物を単
離する必要はなく、反応生成物に必要に応じて共重合可
能な単量体を加えて単量体混合物とし、これを重合すれ
ばよい。このとき好ましくは、全段階で用いる不飽和カ
ルボン酸系化合物中のカルボキシル基の合計モル数を、
全段階で用いるアルコール中の水酸基の合計モル数より
も多いものとして、反応生成物に未反応の不飽和カルボ
ン酸系化合物が含まれるようにすると、反応生成物には
主に不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸系化
合物が含まれるので、このまま重合用の原料として共重
合することができる。
【0032】このとき加えることのできる共重合可能な
単量体としては、上記した不飽和カルボン酸系化合物、
上記した不飽和カルボン酸系化合物と一般式(2)で表
されるアルコールとのエステル化物、およびその他の単
量体である。上記した不飽和カルボン酸系化合物と一般
式(2)で表されるアルコールとのエステル化物に該当
する単量体であっても、例えばアクリル酸メチルのよう
な汎用モノマーの場合、上記にしたがってアルコールと
アクリル酸とのエステル化から行うよりも、市販品を反
応生成物に添加する方がコスト的に有利な場合がある。
【0033】その他の単量体としては、例えば、前記し
た不飽和モノカルボン酸類(アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸など)と炭素数1〜22のアミンとのア
ミド類;前記した不飽和ジカルボン酸類(マレイン酸、
イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸およびこれらの無
水物)と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、ジ
アミド;マレアミン酸と炭素数2〜4のグリコールもし
くはこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリ
アルキレングリコールとのハーフアミド;トリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレング
リコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アク
リレートなどの(ポリ)アルキレングリコールジ(メ
タ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレー
トなどの二官能以上の(メタ)アクリレート類;トリエ
チレングリコールジマレート、ポリエチレングリコール
ジマレートなどの(ポリ)アルキレングリコールジマレ
ート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネ
ート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、
3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−
(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホ
ネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプ
ロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロ
キシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエー
ト、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、
(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)ア
クリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンス
ルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸
などの不飽和スルホン酸類;並びにそれらの一価金属
塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メ
チルスチレンなどのビニル芳香族類;1,4−ブタンジ
オールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジ
オールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ
オールモノ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオー
ルモノ(メタ)アクリレート;ブタジエン、イソプレ
ン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−
1,3−ブタジエンなどのジエン類;(メタ)アクリル
アミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロ
ール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類;(メタ)ア
クリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどの不
飽和シアン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの
不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、
(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アク
リル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメ
チルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミ
ノエチル、ビニルピリジンなどの不飽和アミン類;ジビ
ニルベンゼンなどのジビニル芳香族類;トリアリルシア
ヌレートなどのシアヌレート類;(メタ)アリルアルコ
ール、グリシジル(メタ)アリルエーテルなどのアリル
類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテ
ル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メト
キシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテ
ル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテ
ルなどのビニルエーテル或いはアリルエーテル類;ポリ
ジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、
ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレイ
ンアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピ
ルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン
−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポ
リジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレ
ート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3
−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−
(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシ
ロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレー
ト)などのシロキサン誘導体等を挙げることができる。
【0034】重合に供する単量体混合物の組成は特に限
定されないが、重合により得られるポリカルボン酸系重
合体をセメント添加剤や顔料分散剤等として使用する場
合には、不飽和カルボン酸系化合物99〜20モル%、
不飽和カルボン酸エステル1〜80モル%、その他の単
量体0〜50モル%であることが好ましく、不飽和カル
ボン酸系化合物98〜30モル%、不飽和カルボン酸エ
ステル2〜70モル%、その他の単量体0〜30モル%
であることがより好ましい。
【0035】上記単量体混合物には重合開始剤を加える
こともできる。このような重合開始剤としては、例え
ば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カ
リウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2−メチ
ルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリル
等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイル
パーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオ
キシド;などを挙げることができる。また、促進剤とし
て亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール
塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリ
ウムスルホキシレート、アスコルビン酸などの還元剤;
エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウ
ム、グリシンなどのアミン化合物;などを併用すること
もできる。
【0036】上記単量体混合物にはこの他に連鎖移動剤
等を加えることもできる。連鎖移動剤としては、公知の
ものを使用でき、特に限定されないが、例えばメルカプ
トプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘ
キシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエス
テル、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタ
ン、デカントリチオール、ドデシルメルカプタン、ヘキ
サデカンチオール、デカンチオール、四塩化炭素、四臭
化炭素、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレ
ン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、2
−アミノプロパン−1−オールなどを挙げることができ
る。
【0037】上記単量体混合物の重合方法は、特に限定
されず、例えば重合開始剤を用いての溶液重合や塊状重
合などの公知の重合方法を採用できる。重合方法は、回
分式でも連続式でも行うことができ、その際必要に応じ
て使用される溶媒としては、公知のものを使用でき、特
に限定されない。そのような溶剤としては、例えば、
水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、
キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳香族あ
るいは脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;等が挙げ
られるが、単量体混合物及び得られるポリカルボン酸系
重合体の溶解性からは、水および炭素数1〜4の低級ア
ルコールが好ましい。
【0038】上記単量体混合物の重合の温度は、用いら
れる重合方法、溶媒、重合開始剤等により適宜定められ
るが、通常0〜150℃の範囲内で行われる。上記単量
体混合物の重合により得られるポリカルボン酸系重合体
は、主鎖と側鎖とからなるポリマーであり、主鎖は不飽
和カルボン酸系化合物に由来する構造部分であり、側鎖
は不飽和カルボン酸系化合物のエステルに由来する構造
部分である。
【0039】上記ポリカルボン酸系重合体の重量平均分
子量は特に制限されないが、好ましくは500〜1,0
00,000、より好ましくは5,000〜500,0
00、さらに好ましくは10,000〜100,00
0、特に好ましくは15,000〜50,000であ
る。上記ポリカルボン酸系重合体は、セメント添加剤や
炭酸カルシウム、カーボンブラック、インクなどの顔料
分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、
CWM用分散剤、増粘剤等として有用であるが、特にセ
メント添加剤として有用である。
【0040】上記ポリカルボン酸系重合体をセメント添
加剤として用いる場合、上記ポリカルボン酸系重合体
は、セメント組成物中でセメント重量の0.01〜1.
0%、好ましくは0.02〜0.5%となる比率の量を
添加すれば良い。この添加により、単位水量の低減、強
度の増大、耐久性の向上、等の各種の好ましい諸効果が
もたらされる。使用量が0.01%未満では性能的に不
十分であり、逆に1.0%を超える量を使用しても、そ
の効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利とな
る。
【0041】上記ポリカルボン酸系重合体をセメント添
加剤として用いる場合、公知のセメント混和剤と組み合
わせて用いてもよい。このような公知のセメント混和剤
としては、例えば、従来のセメント添加剤、空気連行
剤、セメント湿潤剤、膨張材、防水剤、遅延剤、急結
剤、水溶性高分子物質、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減
剤、強度増進剤、硬化促進剤、消泡剤等を挙げることが
できる。
【0042】
【実施例】以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実
施例中で「部」、「%」とは特にことわりがない限り、
それぞれ「重量部」、「重量%」を表すものとする。 <実施例1>温度計、攪拌機、生成水分離器、還流冷却
管を備えたガラス製反応器に、メトキシポリ(n=2
5)エチレングリコール2131部(1.9モル)、メ
タクリル酸110部(1.3モル)、そしてシクロヘキ
サン122部、p−トルエンスルホン酸1水和物81
部、フェノチアジン0.5部を仕込み、攪拌下に昇温し
てエステル化反応を開始した。釜内の温度は115℃か
ら125℃であった。液体クロマトグラムにより、メタ
クリル酸が十分反応したのを確認後、さらにアクリル酸
193部(2.7モル)、シクロヘキサン122部を加
えてエステル化反応を行った。液体クロマトグラムによ
り、メトキシポリ(n=25)エチレングリコールが十
分反応したのを確認後、水456部、30%水酸化ナト
リウム水溶液71部を加えた。これを110℃に加熱し
てシクロヘキサンを留去し、単量体混合物[1]を得
た。液体クロマトグラムにより反応終了後の組成を求め
ると、メトキシポリ(n=25)エチレングリコールメ
タクリル酸エステル、メトキシポリ(n=25)エチレ
ングリコールアクリル酸エステル、アクリル酸のモル比
は32:16:52で、メタクリル酸は0.5%以下で
あった。一方、反応器に仕込んだ原料から計算される組
成のモル比は32:15:53であった。これから、目
的とする組成に極めて近い組成の反応生成物が得られた
ことがわかる。
【0043】次に、上記単量体混合物[1]を用いて重
合反応を行った。温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導
入管、及び還流冷却管を備えたガラス製反応器に、水1
00部を仕込み、攪拌下に反応器内を窒素置換し、80
℃に昇温した。上記単量体混合物[1]169部に3−
メルカプトプロピオン酸1.5部を溶解させた水溶液を
4時間、並びに過硫酸アンモニウム1.6部を水28部
に溶解させた水溶液を5時間で反応容器内に滴下した。
そして滴下終了後、さらに1時間80℃を維持した。反
応終了後、水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中
和し、重量平均分子量18000のポリカルボン酸
(1)を得た。
【0044】上記ポリカルボン酸(1)をセメント添加
剤として用いてモルタル試験を行った。セメントとして
太平洋セメント社製の普通ポルトランドセメントを用
い、細骨材として大井川水系産陸砂(比重2.63、F
M値2.69)を用いた。配合は、水/セメント比を5
0とし、細骨材/セメントの重量比を2.9、練り量を
3Lとした。攪拌はダルトン社製万能混合攪拌機15A
M−rr(ピーター羽根1枚付き、容量15リットル)
を、回転数265(回転/分)で用いた。混練は上記ミ
キサーでセメントを30秒間空練りした後、上記ポリカ
ルボン酸(1)及び消泡剤(オキシアルキレン系)を所
定量の水に溶解した水溶液を投入し、さらに30秒混練
した。ここで、一旦混練を停止して細骨材を投入し(こ
の間90秒)、さらに2分間混練してモルタルを得た。
【0045】水平な台に置いた上端内径5cm、下端内
径10cm、及び高さ15cmの鉄製中空円錐にモルタ
ルを擦り切りまで充填した後、この鉄製中空円錐を静か
に水平に持ち上げた。台上に広がったモルタルの直径を
2方向について測定し、平均値をフロー値とした。ま
た、モルタルの容積と重量を測定し、用いた材料の比重
から空気量を算出した。この後、フロー値の経時変化を
測定するためにモルタルの一部を練り鉢に移し、所定の
時間が経過した後、練り匙を用いてモルタルを1分間良
くかき混ぜフロー値を測定した。以下に測定結果を示
す。ポリカルボン酸(1)の添加量はセメントに対して
0.24wt%とした。また、消泡剤は、混練直後の空
気量が5±1%になるように添加量を決定した。
【0046】−フロー値の変化− 混練直後 152(mm) 30分後 172(mm) 60分後 164(mm) 120分後 152(mm) 180分後 148(mm) ポリカルボン酸(1)を添加したモルタルは良好な流動
性を長時間保持した。 <比較例1>温度計、攪拌機、生成水分離器、還流冷却
管を備えたガラス製反応器に、メトキシポリ(n=2
5)エチレングリコール1758部(1.6モル)、メ
タクリル酸148部(1.7モル)、アクリル酸122
部(1.7モル)そしてシクロヘキサン162部、p−
トルエンスルホン酸1水和物67部、フェノチアジン
0.4部を仕込み、攪拌下に昇温してエステル化反応を
開始した。釜内の温度は100℃から110℃であっ
た。液体クロマトグラムにより、メトキシポリ(n=2
5)エチレングリコールが十分反応したのを確認後、エ
ステル化反応を終了した。液体クロマトグラムにより反
応終了後の組成を求めると、メトキシポリ(n=25)
エチレングリコールメタクリル酸エステル、メトキシポ
リ(n=25)エチレングリコールアクリル酸エステ
ル、メタクリル酸、アクリル酸のモル比は19:29:
33:19であった。メタクリル酸とアクリル酸の仕込
みモル比は1:1であるが、反応によって得られたメト
キシポリ(n=25)エチレングリコールメタクリル酸
エステルとメトキシポリ(n=25)エチレングリコー
ルアクリル酸エステルのモル比は、19:29となっ
た。
【0047】なお、実施例1と同様にして、次のような
エステル化反応を行うことができる。 <例1>反応器にメトキシポリ(n=25)エチレング
リコール2264部(2モル)、無水マレイン酸49部
(0.5モル)を仕込んでエステル化反応を行う。無水
マレイン酸が十分反応した後、アクリル酸144部(2
モル)を投入して引き続きエステル化反応を行う。得ら
れるエステル化物は、メトキシポリ(n=25)エチレ
ングリコールマレイン酸ジエステル、メトキシポリ(n
=25)エチレングリコールアクリル酸エステル、アク
リル酸のモル比が約20:40:40となる。 <例2>反応器にメトキシポリ(n=25)エチレング
リコール2264部(2モル)、アクリル酸72部(1
モル)を仕込んでエステル化反応を行う。アクリル酸が
十分反応した後、無水マレイン酸98部(1モル)を投
入して引き続きエステル化反応を行う。得られるエステ
ル化物は、メトキシポリ(n=25)エチレングリコー
ルアクリル酸エステル、メトキシポリ(n=25)エチ
レングリコールマレイン酸ハーフエステルのモル比が約
50:50となる。 <例3>反応器にメトキシポリ(n=25)エチレング
リコール2264部(2モル)、メタクリル酸86部
(1モル)を仕込んでエステル化反応を行う。メタクリ
ル酸が十分反応した後、メトキシポリ(n=4)エチレ
ングリコール208部(1モル)、アクリル酸216部
(3モル)を投入して引き続きエステル化反応を行う。
得られるエステル化物は、メトキシポリ(n=25)エ
チレングリコールメタクリル酸エステル、メトキシポリ
(n=25)エチレングリコールアクリル酸エステル、
メトキシポリ(n=4)エチレングリコールアクリル酸
エステル、アクリル酸のモル比が約25:25:25:
25となる。 <例4>反応器にメトキシポリ(n=25)エチレング
リコール2262部(2モル)、メタクリル酸を86部
(1モル)を仕込んでエステル化反応を行う。メタクリ
ル酸が十分反応した後、アクリル酸144部(2モル)
を投入して引き続きエステル化反応を行う。メトキシポ
リ(n=25)エチレングリコールが十分反応した後、
メトキシポリ(n=4)エチレングリコール416部
(2モル)を投入して引き続きエステル化反応を行う。
アクリル酸が十分反応した後、メタクリル酸を144部
(2モル)を投入して引き続きエステル化反応を行う。
得られるエステル化物は、メトキシポリ(n=25)エ
チレングリコールメタクリル酸エステル、メトキシポリ
(n=25)エチレングリコールアクリル酸エステル、
メトキシポリ(n=4)エチレングリコールメタクリル
酸エステル、メトキシポリ(n=4)エチレングリコー
ルアクリル酸エステル、メタクリル酸のモル比が約2
0:20:20:20:20となる。
【0048】
【発明の効果】本発明によると、次のような効果が得ら
れる。 (1) 二種類以上のエステル化物の混合物を製造する場合
に、生成物の組成を容易に制御できるので、組成の設計
の自由度が高い。 (2) 二種類以上のエステル化物の混合物を一つの反応器
内で製造できるので、設備が単純化でき、安価で生産性
が高い。 (3) 反応生成物をそのまま重合に使用できるので、ポリ
カルボン酸系重合体を安価で、生産性よく製造すること
ができる。 (4) 反応生成物をそのまま重合に使用できるので、セメ
ント添加剤を安価で、生産性よく製造することができ
る。
フロントページの続き (72)発明者 湯浅 務 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 枚田 健 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 前田 枝里子 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AB74 AC48 BC31 BD70 KA06 4J100 AJ01Q AJ02Q AJ08Q AJ09Q AK31Q AK32Q AL08P AL39P AL46P BA04P BA05P BA06P BA08P JA07 JA67

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボン酸系化合物とアルコールとのエス
    テル化反応によりエステル化物を製造するに際し、原料
    のカルボン酸系化合物およびアルコールの少なくとも一
    方を二種類以上用いることで二種類以上のエステル化物
    の混合物を製造する方法であって、 原料を二段階以上に分けて仕込み反応させ、かつ少なく
    とも一つの段階において仕込む原料の組成を、他の段階
    において仕込む原料の組成とは異なったものとすること
    を特徴とするエステル化物の製造方法。
  2. 【請求項2】カルボン酸系化合物が不飽和カルボン酸系
    化合物である、請求項1記載のエステル化物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】一段階目で、少なくともメタクリル酸と、
    前記メタクリル酸の当量を超える量のアルコールとを仕
    込み両者を反応させ、続いて二段階目で少なくともアク
    リル酸を仕込み、該アクリル酸と一段階目の反応で残存
    した未反応のアルコールと反応させる、請求項2記載の
    エステル化物の製造方法。
  4. 【請求項4】不飽和カルボン酸系化合物とアルコールと
    のエステル化物を含む単量体成分を重合することでポリ
    カルボン酸系重合体を製造する方法であって、 原料の不飽和カルボン酸系化合物およびアルコールの少
    なくとも一方を二種類以上用い、原料を二段階以上に分
    けて仕込み反応させ、かつ少なくとも一つの段階におい
    て仕込む原料の組成を、他の段階において仕込む原料の
    組成とは異なったものとすることで、二種類以上のエス
    テル化物を含む反応生成物を得た後、 前記反応生成物に、必要に応じて共重合可能な単量体を
    加えて単量体混合物とした後、これを重合することを特
    徴とするポリカルボン酸系重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】全段階で用いる不飽和カルボン酸系化合物
    中のカルボキシル基の合計モル数を、全段階で用いるア
    ルコール中の水酸基の合計モル数よりも多いものとし
    て、反応生成物に未反応の不飽和カルボン酸系化合物が
    含まれるようにする、請求項4記載のポリカルボン酸系
    重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】不飽和カルボン酸系化合物とアルコールと
    のエステル化物を含む単量体成分を重合して得られるポ
    リカルボン酸系重合体を必須成分とするセメント添加剤
    を製造する方法であって、 原料の不飽和カルボン酸系化合物およびアルコールの少
    なくとも一方を二種類以上用い、原料を二段階以上に分
    けて仕込み反応させ、かつ少なくとも一つの段階におい
    て仕込む原料の組成を、他の段階において仕込む原料の
    組成とは異なったものとすることで、二種類以上のエス
    テル化物を含む反応生成物を得た後、 前記反応生成物に、必要に応じて共重合可能な単量体を
    加えて単量体混合物とした後、これを重合して得られる
    ポリカルボン酸系重合体を用いることを特徴とする、セ
    メント添加剤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014050426A1 (ja) * 2012-09-25 2014-04-03 富士フイルム株式会社 液晶組成物およびその製造方法ならびにフィルム

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