JP2001019450A - 合成石英ガラスおよびその製造方法 - Google Patents
合成石英ガラスおよびその製造方法Info
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Abstract
英ガラスの提供。 【解決手段】フッ素を含有し、レーザラマンスペクトル
における800cm-1の散乱ピーク強度I800 に対する
2250cm-1の散乱ピーク強度I2250の値(I2250/
I800 )が1×10-4以下であり、かつ245nmの光
の吸収係数が2×10-3cm-1以下である合成石英ガラ
ス。
Description
下の紫外線を光源とする装置の光学部材に用いられる合
成石英ガラスおよびその製造方法に関する。より詳細に
はエキシマレーザ(XeCl:308nm、KrF:2
48nm、ArF:193nm)、F2 レーザ(157
nm)、低圧水銀ランプ(185nm)、Xe2 * エキ
シマランプ(172nm)、重水素ランプ(110〜4
00nm)などの光源から発せられる紫外域から真空紫
外域までの光に用いられるレンズ(投影系、照明系)、
プリズム、エタロン、フォトマスク、ペリクル(ペリク
ル材、ペリクルフレームまたはその両者)、窓材などの
光学部材(製品化したものと半製品化したものとを含
む)として用いられる合成石英ガラスおよびその製造方
法に関する。
外域までの広範囲の波長域にわたって透明な材料である
こと、熱膨張係数がきわめて小さく寸法安定性に優れて
いること、また、金属不純物をほとんど含有しておらず
高純度であることなどの特徴がある。そのため、従来の
g線(436nm)、i線(365nm)を光源として
用いた光学装置の光学部材には合成石英ガラスが主に用
いられてきた。
に集積回路パターンを描画する光リソグラフィ技術にお
いて、より線幅の細い微細な描画技術が要求されてお
り、これに対応するために露光光源の短波長化が進めら
れている。例えばリソグラフィ用ステッパの光源には、
従来のg線、i線に代わって、KrFエキシマレーザ、
ArFエキシマレーザが用いられつつあり、さらにはF
2 レーザが用いられようとしている。
ランプや重水素ランプは、1)光CVDなどの装置、
2)シリコンウェハのアッシング装置やエッチング装
置、または3)オゾン発生装置などに用いられており、
また今後光リソグラフィ技術に適用すべく開発が進めら
れている。低圧水銀ランプ、エキシマランプ、重水素ラ
ンプなどに用いられるガス封入管、または前述の短波長
光源を用いた光学装置など、これらの短波長光を照射し
て用いる光学部材にも合成石英ガラスを用いる必要があ
る。
ラスは、紫外域から真空紫外域にわたる波長での光透過
性が要求されるとともに、紫外線照射により透過率が低
下しないこと(以下、単に「耐紫外線性」という)が要
求される。また、ArFエキシマレーザ、F2 レーザ、
低圧水銀ランプ、Xe2 * エキシマランプ、重水素ラン
プ等等の光を照射して用いられる光学部材には、波長2
00nm以下の真空紫外域での光透過性(以下、単に
「真空紫外線透過性」という)に優れることが要求され
る。また、波長200nm以下の光に使用する光学部材
では、従来よりもさらに屈折率変動幅(Δn)が小さい
こと(以下、「均質性」という)も要求される。
エキシマレーザやArFエキシマレーザなどの光源から
発せられる高エネルギ光を照射すると、紫外域に新たな
吸収帯を生じ、紫外線を光源とした光学系を構築する際
の光学部材としては問題があった。すなわち、紫外線が
長時間照射されると、いわゆるE’センタ(≡Si・)
と呼ばれる略215nmの吸収帯とNBOHC(非架橋
酸素ラジカル:≡Si−O・)と呼ばれる略260nm
の吸収帯が生起する。
つに分類でき、一つは合成石英ガラス中の構造欠陥、す
なわち≡Si−Si≡(酸素欠乏型欠陥)や≡Si−H
などの還元型欠陥、あるいは≡Si−O−O−Si≡な
どの酸化型欠陥によるもの、別の一つは合成石英ガラス
中の不安定な構造、すなわち三員環構造や四員環構造に
よるものである。これらの欠陥が、次式(1)〜(4)
に示すように、紫外線照射により切断され、常磁性欠陥
(E’センタおよびNBOHC)が生成し、常磁性欠陥
があると透過率の低下、耐紫外線性の低下、絶対屈折率
の上昇、屈折率分布の変動や蛍光が生じると考えられて
いる。
が検討されており、合成石英ガラス中に水素分子を何ら
かの形で含有させればよいことが知られている。例え
ば、特開平3−88742号公報には、合成石英ガラス
中に水素分子を5×1016分子/cm3 以上含有し、か
つOH基を100ppm以上含有させることにより、紫
外線照射による透過率低下を抑制する方法が開示されて
いる。
線照射により下記式(5)の反応が進んでNBOHCが
生じ260nm吸収および650nm蛍光が生成するた
め問題であった。 ≡Si−OH + hν → ≡Si−O・(NBOHC)+H・ (5)
反応を完全には防げず、特にOH基濃度が多い場合には
650nm蛍光が強くなり、問題であった。またOH基
濃度が多いと、150〜180nmにおける光の透過率
が低下するため、特に低圧水銀ランプ、Xe2 * エキシ
マランプ、F2 レーザなどを光源とする装置に使用され
る場合には問題であった。
27827号公報には、OH基濃度が10ppm以下か
つハロゲン濃度が400ppm以上であり水素分子を含
有する合成石英ガラスが提案されている。この合成石英
ガラスによれば、OH基濃度が少ないため耐紫外線性に
も優れ、さらに150〜180nmにおいて高い透過率
が得られる。
(1)ガラス形成原料を火炎加水分解して多孔質石英ガ
ラス体を形成する工程と、(2)多孔質石英ガラス体を
ハロゲン含有雰囲気下にて800〜1250℃の温度で
加熱し脱水処理する工程と、(3)脱水処理した多孔質
石英ガラス体を透明ガラス化温度まで昇温し透明ガラス
化する工程と、(4)透明ガラス化した合成石英ガラス
を水素を含む雰囲気下で500〜1100℃の温度にて
加熱処理し水素を含有させる工程とからなることを特徴
とする製造方法が提案されている。
合成石英ガラスを保持すると≡Si−Si≡および≡S
i−Hの還元型欠陥が生成しやすくなるため、特開平8
−75901号公報には、特開平6−227827号公
報に開示の方法とほぼ同様に、透明ガラス化したフッ素
含有石英ガラスを形成し、さらに500℃以下の温度で
水素を含有した雰囲気下で水素を含有させる製造方法が
提案されている。
27号公報や特開平8−75901号公報に記載される
方法について検討した結果、必ずしも充分な耐紫外線性
が得られない場合があることが判明した。すなわち、多
孔質石英ガラス体をフッ素化合物を含んだ雰囲気下で8
00〜1250℃の高温で処理すると、前記≡Si−S
i≡欠陥が生成する。この≡Si−Si≡欠陥は、前述
のように紫外線照射によりE’センタを生成するだけで
なく、245nmおよび163nmに吸収を持つため問
題であった。
有処理を行っても下記式(6)により≡Si−Hが生成
し、この≡Si−Hも紫外線照射によりE’センタを生
成するため問題であった。 ≡Si−Si≡ + H2 → ≡Si−H + ≡Si−H (6)
に、特開平8−91867号公報には、OH基濃度が2
00ppm以下、塩素濃度が2ppm以下、かつ≡Si
−Si≡濃度が1×1015個/cm3 以下である合成石
英ガラスが提案されている。特開平9−235134号
公報には、OH基濃度が10〜400ppmかつ還元型
欠陥および酸化型欠陥の濃度がそれぞれ5×1016個/
cm3 以下である合成石英ガラスが提案されている。特
開平7−267674号公報には、OH基濃度が100
〜2000ppm、かつ遷移金属、アルカリ金属やアル
カリ土類金属をそれぞれ所定濃度以下含む合成石英ガラ
スが提案されている。これら従来の合成石英ガラスは、
いずれもOH基濃度を所定の範囲にすることにより真空
紫外線透過性の向上を図るものであるが、必ずしも真空
紫外域において高い透過率が得られなかった。
方法として、特公平6−27014号公報には、合成石
英ガラス中にOH基および塩素を含有させ、OH基およ
び塩素濃度の変動幅を調整する方法が提案されている。
しかしながら、塩素は≡Si−Clの形で合成石英ガラ
ス中に存在し、この≡Si−Clの結合は結合エネルギ
ーが7〜8eVと弱く、紫外線照射によって下式に示す
ように容易に開裂し、やはりE’センタが生起する。 ≡Si−Cl + hν → ≡Si・(E’センタ)
+ Cl・ したがって、上記公報に示される方法では均質性に優れ
た合成石英ガラスが得られるものの、耐紫外線性に問題
があった。
および蛍光発光の発生が低減され、耐紫外線性に優れる
合成石英ガラスを提供する。本発明は、また、真空紫外
線透過性に優れる合成石英ガラスを提供する。本発明
は、均質性に優れる合成石英ガラスを提供する。本発明
は、これらの合成石英ガラスを製造するために好適な方
法を提供する。
性および紫外線透過性に対して、合成石英ガラス中のハ
ロゲン濃度が及ぼす影響、ならびに合成石英ガラス中の
不安定な構造が及ぼす影響について、詳細な検討を行な
った。その結果、合成石英ガラス中において、フッ素は
≡Si−Fの形で存在し、この≡Si−F結合は結合エ
ネルギーが20eV以上と非常に強く紫外線照射によっ
ても開裂しないため、耐紫外線性については問題ないこ
とを知見した。さらにフッ素は、その機構は定かではな
いが、石英ガラス中の歪んだ構造を低減し、耐紫外線性
を改善することを知見した。
ザラマンスペクトルにおける800cm-1の散乱ピーク
強度I800 に対する2250cm-1の散乱ピーク強度I
2250の値(I2250/I800 )が1×10-4以下であり、
かつ245nmの光の吸収係数(以下、単に245nm
の吸収係数という)が2×10-3cm-1以下である合成
石英ガラスを提供する。
の結合(ケイ素と酸素との間の基本振動)を示すピーク
であり、2250cm-1の散乱ピークは還元型欠陥であ
る≡Si−Hの結合を示すピークであって、I2250/I
800 の値は、≡Si−H欠陥の濃度(≡Si−H濃度)
の指標となる。本発明においては、I2250/I800 が1
×10-4以下であることが重要である。1×10-4超で
は、E’センタを生起しやすい。
陥である≡Si−Si≡欠陥の濃度の指標となる。本発
明においては、245nmの吸収係数が2×10-3cm
-1以下であることが重要である。2×10-3cm-1超で
は、やはりE’センタを生起しやすい。また、2×10
-3cm-1超では、150〜180nmにおける高透過性
の達成が困難となる。また、163nmの光の吸収も低
減されていることが好ましい。本発明における2250
cm-1の散乱ピークの規定、および245nmの吸収係
数の規定は、還元型欠陥量を規定するものである。
ザ光をショット照射した直後の214nmの光の透過率
を紫外可視分光光度計により測定し、照射前後での吸収
係数変化量Δk214 [cm-1]を求めることで評価でき
る。Δk214 は、1×10-1以下であることが好まし
い。特に、1×10-2以下であることが好ましい。
光をショット照射した場合の650nm蛍光強度L650
およびKrFエキシマレーザ散乱光強度S248 をKrF
レーザ光の入射軸の直角方向から測定し、KrFレーザ
(248nm)散乱光強度に対する650nm蛍光強度
の比L650 /S248 を求めることにより評価できる。L
650 /S248 は、5×10-4以下であることが好まし
く、1×10-4以下であることが特に好ましい。
合成石英ガラス中のハロゲン濃度およびOH基濃度の影
響についてさらに詳細な検討を行った結果、合成石英ガ
ラス中において、フッ素と塩素はその作用が異なり、塩
素は≡Si−Clの形で合成石英ガラス中に存在し、こ
の≡Si−Cl結合は結合エネルギが7〜8eVと弱
く、紫外線照射によって次式(7) ≡Si−Cl + hν → ≡Si・(E' センター)+ Cl・(7) に示すように容易に開裂し、前記E' センターを生じる
ため、耐紫外線性を低下させることを知見した。
製造した、塩素を含有しない合成石英ガラスも提案され
ている(特開平7−291635号公報)。これは高エ
ネルギ光線の照射による透過率の低下抑止のためにフッ
素濃度を1000ppm以上とし、酸素欠乏型欠陥≡S
i−Si≡による245nmでの吸収を抑制するために
OH基濃度を50ppm以上としたものであるが、その
反面150〜180nmにおける透過率の低下問題に言
及しておらず、低圧水銀ランプ、Xe2 * エキシマラン
プおよびF2 レーザなどを光源とする装置に使用するに
際し支障があった。
本質的な耐紫外線性の向上を達成するためには、合成石
英ガラス中のOH基、塩素、フッ素濃度の最適化を図る
必要があると考え、この点に関する検討をさらに行った
結果、合成石英ガラス中のフッ素濃度を増やし、塩素濃
度を低減すれば、OH基濃度がやや少なくなっても耐紫
外線性に優れた合成石英ガラスが得られることを見い出
した。
元型欠陥を特定量以下とし、塩素濃度が100ppm以
下である合成石英ガラスを提供する。特に、合成石英に
おける不安定な構造、E’センター、蛍光発光の抑制に
有効で、優れた耐紫外線性を示す合成石英ガラスとし
て、合成石英ガラス中のOH基濃度が50ppm未満、
フッ素濃度が100ppm以上、塩素濃度が100pp
m以下、水素分子濃度が5×1016分子/cm3 以上で
あることを特徴とする合成石英ガラスが好ましい。
よび水素分子濃度が及ぼす影響、ならびに石英ガラス中
の不安定な構造が及ぼす影響の相互の関係について検討
した。その結果、フッ素ドープにより不安定な構造の存
在量を一定の限度まで低減するとともに、水素分子の含
有による常磁性欠陥の修復作用を併用すれば、短波長光
源から発せられる光に対する合成石英ガラスの紫外線透
過性および耐紫外線性を満足できるレベルまで向上でき
ることを知見した。
も、石英ガラス中の不安定な構造に帰属されるレーザラ
マンスペクトルの495cm-1の散乱ピーク強度
(I1 )および606cm-1の散乱ピーク強度(I2 )
と、440cm-1の散乱ピーク強度(I0 )との強度比
I1 /I0 およびI2 /I0 が特定の範囲にある合成石
英ガラスが、紫外線透過性および耐紫外線性の向上に有
効であることを知見した。
ッ素を含有して、還元型欠陥を特定量以下として、かつ
レーザーラマンスペクトルにおける495cm-1の散乱
ピーク強度(I1 )および606cm-1の散乱ピーク強
度(I2 )が、440cm-1の散乱ピーク強度(I0 )
に対してそれぞれI1 /I0 ≦0.585、I2 /I 0
≦0.136であることを特徴とする合成石英ガラスを
も提供する。特にフッ素を100ppm以上、水素分子
を5×1016分子/cm3 以上含有することが好まし
い。
100ppm(重量ppmの意であり、以下も同様。p
pbについても同様。)以上であることが好ましい。1
00ppm未満では、合成石英ガラス中の不安定な構造
を低減する作用が充分でない場合がある。フッ素濃度が
400ppm以上であることがより好ましく、400〜
3000ppmの範囲が特に好ましい。フッ素の濃度が
3000ppmを超えて含有する場合には、還元型欠陥
が生成して耐紫外線性が低下するおそれがある。
100ppm以下であることが好ましい。100ppm
超では、略170nm以下の波長領域での透過率が低下
し、例えば、Xe2 * エキシマランプ、F2 レーザ、重
水素ランプを光源とする装置の光学部材として適さない
おそれがある。OH基濃度が50ppm以下であれば、
良好な耐紫外線性が得られ、真空紫外域において高い透
過率が得られる点で、20ppm以下、さらには10p
pm未満が好ましい。特に、OH基濃度は波長200n
m以下の真空紫外域における光透過性に影響を及ぼし、
波長175nm以下の真空紫外域の光に使用される合成
石英ガラスでは、OH基濃度が10ppm未満であるこ
とが好ましい。さらに、波長160nm以下の真空紫外
域の光に使用される合成石英ガラスでは、OH基濃度が
5ppm以下であることが好ましい。
(≡Si−Si≡)は、真空紫外線透過性に大きな影響
を及ぼし、この酸素欠乏型欠陥は、波長163nmを中
心とする吸収帯を有する。波長163nmにおける内部
透過率T163 (%/cm)は、合成石英ガラス中のOH
基濃度COH(ppm)により次式(a)のように推測さ
れる。 T163 (%/cm)≧exp(−0.02COH 0.85)×100 (i)
nmを中心とした吸収帯があるため、実際の波長163
nmにおける透過率(T163 )は、式(i)の右辺の値
よりも小さくなり、さらに、その吸収帯の大きさにもよ
るが、波長200nm以下の透過率が低下する。したが
って、酸素欠乏型欠陥を実質的に含有しないことが、優
れた真空紫外線透過性を得るために重要であり、酸素欠
乏型欠陥を実質的に含有しないこと、すなわち、波長1
63nmにおける内部透過率に関する式(i)を満足す
ることが好ましい。
空紫外線透過性の観点から、157nmにおける内部透
過率が70%/cmであることが好ましく、特に内部透
過率が80%/cm以上であることが好ましい。
度は、少なければ少ないほど好ましく、塩素濃度は10
0ppm以下であれば、良好な耐紫外線性が得られ、均
質性の点からは25ppm以下が好ましく、特に良好な
真空紫外線透過性が得られる点から10ppm以下であ
ることが好ましい。さらに、波長175nm以下の真空
紫外域における耐紫外線性の点では、塩素は極力少ない
方が好ましく、具体的には100ppb以下、特に50
ppb以下が好ましい。
子濃度が5×1016分子/cm3 以上にすると、紫外線
照射により生成した常磁性欠陥を修復する作用を生じ
る。特に、水素分子濃度が1×1017分子/cm3 以
上、さらには1×1017〜5×1018分子/cm3 、特
に5×1017〜5×1018分子/cm3 であることが好
ましい。
−O−Si≡結合におけるSi−O−Si結合角はある
分布を有している。合成石英ガラス中の不安定な構造と
は、歪んだ≡Si−O−Si≡結合のことをいう。合成
石英ガラス中の不安定な構造は、正常な構造に比べて結
合エネルギーが弱いため、不安定な構造が多いほど真空
紫外線透過性が低下する。この不安定な構造は、合成石
英ガラスの仮想温度に依存するとともに、合成石英ガラ
ス中のフッ素濃度に影響を受ける。すなわち、合成石英
ガラス中にフッ素をドープすると不安定な構造を低減す
ることができ、また仮想温度が低いほど不安定な構造は
低減される。具体的には合成石英ガラスの仮想温度が1
100℃以下であれば、不安定な構造を低減することが
でき、優れた真空紫外線透過性が得られる。この場合、
フッ素濃度は100ppm以上であることが好ましい。
本発明において、仮想温度とは、A.Agarwalら
の方法(J.Non−Cryst.,185,191,
1995)を用いて求めた仮想温度をいう。
属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属不純物は、紫
外域から真空紫外域における透過率を低下させるだけで
なく、耐紫外線性を低下させる原因ともなるため、その
濃度は極力少ない方が好ましい。具体的には金属不純物
の合計量が100ppb以下、特に50ppb以下が好
ましい。
ス中のOH基およびフッ素は屈折率に影響を与えるた
め、OH基およびフッ素の濃度に分布が存在すると、均
質性が悪化する。
紫外線性を向上させ、かつ、均質性の向上を達成するた
めには、OH基、フッ素濃度の分布を最適化する必要が
あると考え、この点に関する検討を行った。その結果、
光が透過する領域、すなわち光使用領域におけるフッ素
濃度およびOH基濃度の分布を制御することにより、フ
ッ素濃度およびOH基濃度の変動幅をともに、15pp
m以下の範囲とすると、均質性を向上できるという知見
を得た。また、光が通過する領域において、OH基とフ
ッ素が互いに濃度分布を打ち消しあうように分布する場
合には、フッ素濃度およびOH基濃度の変動幅の上限を
25ppm以下としても、均質性を向上できるという知
見も得た。
の光を照射して使用される光学用合成石英ガラスにおい
て、OH基およびフッ素を含有する合成石英ガラスで形
成され、光使用領域においてOH基濃度の変動幅が15
ppm以下、フッ素濃度の変動幅が15ppm以下であ
り、かつ塩素濃度が25ppm以下である合成石英ガラ
スを提供する。さらに、均質性および耐紫外線性に優れ
た合成石英ガラスとして、OH基およびフッ素を含有す
る合成石英ガラスで形成され、光使用領域において、O
H基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消しあうように分
布し、かつOH基濃度の変動幅が25ppm以下、フッ
素濃度の変動幅が25ppm以下、および塩素濃度が2
5ppm以下である合成石英ガラスを提供する。
基濃度の変動幅およびフッ素濃度の変動幅が、ともに1
5ppm以下である合成石英ガラスは、優れた均質性を
安定して発現できるため、好ましい。また、光使用領域
において、OH基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消し
あうように分布する場合には、OH基濃度の変動幅が2
5ppm以下、およびフッ素濃度の変動幅が25ppm
以下である合成石英ガラスであっても、優れた均質性を
安定して発現できる。このとき、入射光に直交する平面
内における屈折率変動幅(Δn)が20×10-6以下で
あることが好ましく、特に10×10-6以下、さらには
5×10-6以下であることが好ましく、最も好ましくは
2×10-6以下である。このΔnの観点からは、光使用
領域におけるフッ素濃度の変動幅とOH基濃度の変動幅
との合計が5ppm以下であることが、特に好ましい。
英ガラスの使用時に、紫外域から真空紫外域までの光が
透過または反射する領域をいう。さらに、本発明におい
て、OH基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消しあうよ
うに分布するとは、合成石英ガラスの光が通過する領域
において、入射光に直交する任意の平面におけるフッ素
濃度およびOH基濃度が互いに増減を相補する分布状態
にあることをいう。すなわち、例えば、フッ素濃度が任
意の平面の中心から外側に向けて増加する場合には、O
H基濃度は平面の中心から外側に向けて減少するように
分布している状態、またはその逆の分布状態をいう。具
体的には、後記の例82〜94の合成石英ガラスについ
て、表14〜17に示すフッ素濃度およびOH基濃度の
分布状態を表すグラフに図示されるように、入射光に直
交する平面において、フッ素濃度が中心で最小値となる
下に凸のグラフを示すのに対して、OH基濃度が中心で
最大値となる上に凸のグラフを示し、両者の濃度が相補
関係にある分布状態であること、またはその逆の相補関
係にある分布状態をいう。
る方法としては、直接法、スート法(VAD法、OVD
法)、プラズマ法等を挙げることができる。製造時の温
度が低く、塩素および金属などの不純物の混入を避ける
ことができる観点で、スート法が特に好ましい。また、
スート法によれば、フッ素をドープすることで、OH基
がフッ素により置換される。スート法によれば、フッ素
ドープ量と置換されるOH基量とはほぼ等しく、OH基
を効率よく減少させることができるため、OH基濃度の
少ない紫外線透過性に優れた合成石英ガラスを生産性よ
く得ることができる。
スを製造する方法を具体的に説明する。このスート法に
よる合成石英ガラスの製造は、下記の(a)、(b)お
よび(c)の工程を含む方法である、(a)石英ガラス
形成原料を火炎加水分解させて得られる石英ガラス微粒
子を基材に堆積・成長させて多孔質石英ガラス体を形成
させる工程と、(b)多孔質石英ガラス体をフッ素含有
雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した多孔質石英ガラ
ス体を得る工程と、(c)フッ素を含有した多孔質石英
ガラス体を透明ガラス化温度まで昇温して透明ガラス化
し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得る工程
(a)、(b’)、(c’)、(d)の各工程をこの順
で行うことで製造される。 (a)石英ガラス形成原料を火炎加水分解させて得られ
る石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて多孔質石
英ガラス体を形成させる工程。 (b’)多孔質石英ガラス体を600℃以下の温度にフ
ッ素含有雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した多孔質
石英ガラス体を得る工程。 (c’)フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を実質的
にフッ素を含まない雰囲気下にて透明ガラス化温度まで
昇温して透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガ
ラス体を得る工程。 (d)フッ素を含有した透明石英ガラス体を600℃以
下の温度に水素ガス含有雰囲気下にて保持し、フッ素を
含有した透明石英ガラス体に水素を含有させて合成石英
ガラスを得る工程。
だ雰囲気下で保持する際の温度が高いと、≡Si−Si
≡欠陥が生成しやすい。すなわち、多孔質石英ガラス体
をフッ素化合物を含んだ雰囲気下で高温で処理すると、
フッ素化合物の活性が強く下記式(8)、(9)により
≡Si−Si≡欠陥が生成する傾向にある。
化合物を含んだ雰囲気にて多孔質石英ガラス体を処理す
れば、フッ素化合物の活性を抑制でき、式(8)の反応
が生じることなく上記式(9)の反応のみ起こるため、
≡Si−Si≡欠陥は生成しない。
(a)においては、石英ガラス形成原料を酸素ガスおよ
び水素ガスを多重管バーナーに供給し、火炎加水分解さ
せて得られる石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させ
て多孔質石英ガラス体を形成させる。石英ガラス形成原
料としては、ガス化可能な原料であれば特に限定されな
いが、SiCl4 、SiHCl3 、SiH2 Cl2 、S
iCH3 Cl3 などの塩化物、SiF4 、SiHF3 、
SiH2 F2 などのフッ化物、SiBr4 、SiHBr
3 などの臭化物、SiI4 などのヨウ化物、といったハ
ロゲン化ケイ素化合物、またはRn Si(OR)
4-n (ここにRは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜
3の整数)で示されるアルコキシシランが挙げられる。
また前記基材としては石英ガラス製の種棒(例えば特公
昭63−24973記載の種棒)を使用できる。また棒
状に限らず板状の基材を使用してもよい。また、酸素ガ
スと水素ガスとの比率は、水素過剰雰囲気であると還元
型欠陥が生成するため、酸素過剰雰囲気が好ましく、具
体的には酸素ガスに対する水素ガスの比率は1.6〜
1.9が好ましい。
英ガラス体を600℃以下の温度にフッ素含有雰囲気下
にて保持し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を得
る。このフッ素含有雰囲気としては、含フッ素ガス(例
えばSiF4 、SF6 、CHF3 、CF4 、F2 )を
0.1〜100体積%、特に1〜20体積%含有する不
活性ガス雰囲気が好ましい。これらの雰囲気下、600
℃以下の温度にて圧力0.1〜10気圧で数十分〜数時
間処理することが好ましい。特に、500〜100℃の
高温下でフッ素ドープを行なう場合は酸素を5〜90体
積%含有する雰囲気とし、還元型欠陥の生成を抑制する
ことが好ましい。なお、本明細書において、「気圧」お
よび後述する「Torr」は、ともにゲージ圧ではなく
絶対圧の意である。
英ガラス体へ均一に短時間でフッ素をドープできること
から、1200℃以下、好ましくは600℃以下の所定
温度に減圧下(好ましくは100Torr以下、特に1
0Torr以下)で保持した状態とし、次いで、含フッ
素ガスを常圧になるまで導入し、フッ素含有雰囲気とす
ることが好ましい。
含有した多孔質石英ガラス体を実質的にフッ素を含まな
い雰囲気下にて透明ガラス化温度まで昇温して透明ガラ
ス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得る。透
明ガラス化温度は、1300℃以上であり、好ましくは
1300〜1600℃であり、1350〜1500℃で
あることが特に好ましい。
は、工程(c)による処理開始時において、含フッ素ガ
ス(例えばSiF4 、SF6 、CHF3 、CF4 、
F2 )が0.1体積%以下であれば特に限定されず、ヘ
リウムなどの不活性ガス100%の雰囲気、またはヘリ
ウムなどの不活性ガスを主成分とする雰囲気であること
が好ましい。圧力については、減圧または常圧であれば
よい。特に常圧の場合はヘリウムガスを使用できる。ま
た、減圧の場合は100Torr以下、特に10Tor
r以下が好ましい。
気を減圧し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を減
圧下に所定時間放置する工程(e)をさらに有すること
が好ましい。具体的には、フッ素を含有した多孔質石英
ガラス体を、前記工程(b)のフッ素ドープを行う温度
において、圧力100Torr以下、より好ましくは1
0Torr以下の不活性ガス雰囲気中で数十分〜数時間
保持する工程を含むことが好ましい。工程(b)の後に
は、雰囲気からフッ素を取り除くことが必要である。常
圧でもよいが長時間を要するため、工程(e)のように
減圧にすれば短時間でフッ素を取り除ける。
(c)で得られたフッ素を含有した透明石英ガラス体を
水素ガスを含んだ雰囲気中にて、温度600℃以下で加
熱処理して、合成石英ガラスを得る。圧力は、例えば1
〜30気圧である。600℃以下で水素処理を行うこと
により、≡Si−Hおよび≡Si−Si≡の還元型欠陥
の生成を防止できる。水素ガスを含んだ雰囲気として
は、水素ガスを0.1〜100体積%含有する不活性ガ
ス雰囲気とすることが好ましい。さらに仮想温度を制御
するためには以下の工程(f)を透明石英ガラス体に行
なうことが好ましい。
ラス体を、800℃〜1100℃の温度にて5時間以上
保持した後、10℃/hr以下の降温速度で750℃以
下まで降温する熱処理を行ない、合成石英ガラスの仮想
温度を制御する。750℃以下まで降温した後は放冷で
きる。この場合の雰囲気は、ヘリウム、アルゴン、窒素
などの不活性ガス100%の雰囲気下、これらの不活性
ガスを主成分とする雰囲気下、又は空気雰囲気下で、圧
力は減圧又は常圧が好ましい。
H基を極力低減するためには、工程(a)の後に、多孔
質石英ガラス体を1Torr以下の圧力で1000〜1
300℃の温度にて所定時間保持して脱水を行った後、
引き続き1Torr以下の圧力で透明ガラス化温度まで
昇温して透明ガラス化することによってもよい。
ズその他の光学部品に用いられる。この光学部品として
必要な光学特性を与えるため、均質化、成形、アニール
などの各熱処理(以下、光学的熱処理という)を適宜行
う必要があるが、光学的熱処理は工程(d)の前でもよ
く後でもよい。
℃の高温を要するため、工程(d)で水素を含有させた
としても、その後の光学的熱処理により水素分子濃度が
低下する可能性がある。したがって、工程(d)以後に
光学的熱処理を行う場合は、水素ガスを0.1〜100
体積%含み、圧力1〜30気圧の雰囲気下にて行うこと
が好ましい。また、工程(d)以降に光学的熱処理を行
う場合は、光学的熱処理のための炉を防爆構造とする必
要がある。したがって、工程(d)の前に光学的熱処理
を行う方が好ましい。
とにより、より多くのフッ素をドープできる。ホウ素を
ドープする場合のホウ素源としては、BF3 、BC
l3 、ホウ素のアルコキシドなどが挙げられる。また、
ホウ素とフッ素とをドープする方法としては、例えば、
まず、ホウ素をドープし、次いで、フッ素とをドープす
る方法が挙げられる。具体的には、例えば以下の1)ま
たは2)のような方法でホウ素とフッ素とをドープす
る。
ス体を圧力容器内にセットし、圧力容器内の圧力を1T
orr程度にまで減圧し、次いで、ホウ素源を含有する
ガス(例えば、He等の不活性ガスで5体積%程度に希
釈されたBCl3 蒸気)を導入する。常圧付近になった
ところで、前記のホウ素源を含有するガスの導入を停止
し、所定時間放置することで多孔質石英ガラス体にホウ
素をドープする。次いで、工程(b)に従ってフッ素を
ドープする。
ス体をホウ素のアルコキシドの蒸気で処理し、次いで、
加湿雰囲気にして、ホウ素のアルコキシドの加水分解を
行わせて多孔質石英ガラス体中にB2 O3 微粒子を析出
させる。次いで、工程(b)に従ってフッ素をドープす
る。
素をドープした多孔質石英ガラス体に、さらにフッ素を
もドープでき、しかも、より多くのフッ素をドープでき
る。フッ素ドープ後は、工程(c)、(d)に従って、
光学部材用合成石英ガラスを得ることができる。
以下のような手順で行う。前記圧力容器内に不活性ガス
を(例えばHeやN2 等)を導入し圧力を常圧とする。
再度、圧力容器内の圧力を1Torr程度にまで減圧
し、次いで、不活性ガス(例えばHe等)で希釈したS
iF4 ガスを導入する。常圧付近になったところで、前
記の不活性ガスで希釈したSiF4 ガスの導入を停止
し、所定時間放置することでホウ素含有多孔質石英ガラ
ス体にフッ素をドープする。
明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下
の例で製造した合成石英ガラスの評価は、下記の方法に
したがって、行った。
し、得られた融液に蒸留水および塩酸(体積比1:1)
を加えて試料液を調製した。試料液の起電力を、フッ素
イオン選択性電極および比較電極としてラジオメータト
レーディング社製No945−220およびNo945
−468をそれぞれ用いてラジオメータにより測定し、
フッ素イオン標準溶液を用いてあらかじめ作製した検量
線に基づいて、フッ素濃度を求めた(日本化学会誌,1
972(2),350)。
35cm-1の散乱ピークにより検出した強度I4135と、
800cm-1の散乱ピークの強度I800 との強度比(=
I4135/I800 )より、水素分子濃度[分子/cm3 ]
を求めた(V.S.Khotimchenko et.
al.,Zhurnal Prikladnoi Sp
ektroskopii,46(6),987〜997
(1986))。なお本法による検出限界は1×1016
分子/cm3 である。
吸収ピークからOH基濃度を求めた(J.P.Wiil
iams et.al.,Ceram. Bull.,
55(5),524(1976))。
50cm-1の散乱ピークにより検出した強度I2250を、
800cm-1の散乱ピークの強度I800 で割った値(I
2250/I800 )から≡Si−H欠陥の濃度(≡Si−H
濃度)を評価した。ここで検出限界はI2250/I800 =
1×10-4である。I2250/I800 の値が小さい方が良
好な結果である。
み35mmの試料の245nmの光の透過率を測定し、
これらの透過率から245nmの吸収係数を算出し、≡
Si−Si≡欠陥の生成の有無を評価した。245nm
の吸収係数の値が小さい方が良好な結果である。
502)を用いて、厚さ10mmと4mmの試料につい
て、波長163nmの透過率を測定し、その測定結果か
ら波長163nmの吸収係数(k163 )を求めた。該試
料中に含まれるOH基濃度(COH、単位はppm)との
関係が、k163 ≧0.02×(COH)0. 85を満たすと
き、還元型欠陥「有り」とし、満たさない場合は還元型
欠陥「無し」とした。
120i)からの光をエネルギ密度100mJ/cm2
/Pulse、周波数200Hzの条件にて試料に照射
した。KrFエキシマレーザ光を5×106 ショット照
射した直後の214nmでの透過率を紫外可視分光光度
計により測定し、KrFエキシマレーザ照射により生じ
る常磁性欠陥E’センタによる214nm吸収強度を、
照射前後での吸収係数変化量Δk214 [cm-1]によ
り、評価した。Δk214 の値が小さい方がE' センター
が低減されていることを示し、良好な結果である。
120i)をエネルギ密度100mJ/cm2 /Pul
se、周波数200Hzの条件にて試料に照射した。K
rFエキシマレーザを1×106 ショット照射した場合
の650nmの蛍光強度L650 および248nmの散乱
光強度S248 をファイバ導光タイプの分光光度計を用い
てそれぞれ測定し、248nmの散乱光強度S248 に対
する650nmの蛍光強度L650 の比L650 /S248 を
求めることにより、650nmの蛍光強度を評価した。
L650 /S248 の値が小さい方が蛍光発光が抑制されて
いることを示し、良好な結果である。
502)を用いて、厚さ10mmと4mmの試料につい
て、波長175nm以下の真空紫外域の透過率の指標と
して172nmの内部透過率を測定した。 (評価10)157nmの内部透過率 真空紫外分光光度計(アクトンリサーチ社製VTMS−
502)を用いて厚さ10mmと4mmの試料につい
て、波長160nm以下の真空紫外域の透過率の指標と
して157nmの内部透過率を測定し、次式により同波
長における内部透過率を求めた。 内部透過率(%/cm)=exp(−ln(T1 /T2 )/
(d1 −d2 ))×100 ここで T1 :厚みd1 [cm]の試料の透過率(%) T2 :厚みd2 [cm]の試料の透過率(%) た。透過率が高い方が良好な結果である。
0mW/cm2 の条件で、厚さ10mmの試料に3時間
照射した。照射前後での163nmにおける透過率を測
定し、照射による163nmにおける透過率の変化(Δ
T163 )を算出した。ΔT163 が小さいほど耐紫外線性
に優れている。
on−Cryst.,185,191,1995)を用
いて求めた。鏡面研磨された石英ガラスを10%HF−
2.5%H2 SO4 水溶液に浸漬し、表面に残留した研
磨砥粒や傷などを除去する。その表面の反射スペクトル
を赤外分光計(Nikolet社製Magna760)
を用いて取得する。この際の赤外光入射角は6.5度に
固定し、データ間隔は約0.5cm-1とし、64回スキ
ャンさせた平均値を用いる。このようにして得られた赤
外反射スペクトルにおいて、約1120cm-1に観察さ
れる最も大きなピークが石英ガラスのSi−O−Si結
合による伸縮振動に起因する。このピーク位置をν(c
m-1)とすると、仮想温度(Tf 、単位:K)は下記の
相関式により求められる。ν=1114.51+(11
603.51/Tf )。
X線強度を測定することにより、合成石英ガラス中の塩
素濃度を求めた。なお本法による検出限界は2ppmで
ある。
or T64000,励起光源:アルゴンイオンレーザ
(波長514.5nm))を行い、レーザラマンスペク
トルにおける495cm-1の散乱ピーク強度I1 および
605cm-1の散乱ピーク強度I2 と、440cm-1の
散乱ピーク強度I0 との強度比I1 /I 0 およびI2 /
I0 を求めた。強度比I1 /I0 、強度比I2 /I0 の
値が小さいほど良好である。
の求め方は以下の通りである。495cm-1の散乱ピー
クおよび605cm-1の散乱ピークに対してそれぞれ1
本のローレンツ関数によりカーブフィッティングを行
い、実スペクトルとの最小二乗誤差が最低となるように
近似を行って各関数の係数を決定した。440cm-1の
散乱ピークに対しては3本のガウス関数の合成により、
また495cm-1の散乱ピークと605cm-1の散乱ピ
ークと440cm-1の散乱ピークとを除いた残余(ベー
スライン)に対しては2次関数により、それぞれカーブ
フィッティングを行い、実スペクトルとの最小二乗誤差
が最低となるように近似を行って各関数の係数を決定し
た。以上により求められた関数を用いて各散乱ピークの
強度を求めた。
インスツルメンツ社製SPQ9000)により、合成石
英ガラス中のNa、Ca、Mg、Fe、Ni、Cu、Z
n、Ti濃度を分析した。これら不純物の検出限界は、
NiおよびCuについては0.1ppb、その他は0.
3ppbである。
オンプレート法で、合成石英ガラス試料の200mmφ
の面にヘリウムネオンレーザ光を垂直にあて、200m
mφの面内での屈折率分布を測定した。
成原料であるSiCl4 を酸水素火炎中で加熱加水分解
(火炎加水分解)させて得られる石英ガラス微粒子を基
材に堆積・成長させて、直径35cm、長さ100cm
の多孔質石英ガラス体を形成した(工程(a))。得ら
れた多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設
置し、室温にて10Torrまで減圧して1時間保持し
た後、He/SiF4 =99/1(体積比)の混合ガス
を導入しながら、この雰囲気にて室温常圧下5時間保持
しフッ素ドープを行った(工程(b))。その後SiF
4 の供給を遮断しHe100%雰囲気下で10時間保持
した後、He100%雰囲気下1450℃まで昇温し、
この温度で10時間保持し透明ガラス化し、フッ素を含
有した透明石英ガラス体を得た(工程(c))。
体を、カーボン製発熱体を有する電気炉内で、軟化点以
上の1750℃に加熱して自重変形を行わせ、250m
m×250mm×120mmのブロック形状に成形した
後、厚み30mmのブロックにスライスした。得られた
250mm×250mm×30mmのブロックを水素1
00%、10気圧、500℃の雰囲気下で250時間保
持し、水素ドープ処理を行い、合成石英ガラスを得た
(工程(d))。
て、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300
℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持した
後、He/SiF4 =99/1(体積比)の混合ガスを
導入し、この雰囲気にて300℃常圧下5時間保持しフ
ッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法
により合成石英ガラスを作製した。
て、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず500
℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、
He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入
し、この雰囲気にて500℃常圧下5時間保持しフッ素
ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法によ
り合成石英ガラスを作製した。
て、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず700
℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、
He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入
し、この雰囲気にて700℃常圧下5時間保持しフッ素
ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法によ
り合成石英ガラスを作製した。
て、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず120
0℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持
し、He/SiF 4 =99/1(体積比)の混合ガスを
導入し、この雰囲気にて1200℃常圧下5時間保持し
フッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方
法により合成石英ガラスを作製した。
て、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300
℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、
He/SiF4=99.9/0.1(体積比)の混合ガ
スを導入し、この雰囲気にて300℃、常圧で1時間保
持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様
の方法により合成石英ガラスを作製した。
て、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300
℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、
He/SiF4=99.9/0.1(体積比)の混合ガ
スを導入し、この雰囲気にて300℃、300Torr
で1時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1
と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
て、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300
℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、
He/SiF4=99.9/0.1(体積比)の混合ガ
スを導入し、この雰囲気にて300℃、100Torr
で1時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1
と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
て、水素100%、1気圧、温度500℃の雰囲気下で
250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以外
は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製し
た。
て、水素/ヘリウム=10/90(体積比)の混合ガス
1気圧、温度500℃の雰囲気下で250時間保持し、
水素ドープ処理を行った。これ以外は例1と全く同様の
方法により合成石英ガラスを作製した。
て、水素100%、10気圧、温度700℃の雰囲気下
で250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以
外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製
した。
て、水素100%、10気圧、温度900℃の雰囲気下
で250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以
外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製
した。
せず、He100%雰囲気下で1450℃まで昇温し、
この温度で10時間保持し透明ガラス化した。これ以外
は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製し
た。
SiF4 の供給を遮断し、1Torrまで減圧して、こ
の状態で1時間保持した(工程(e))。次いで、He
100%を導入し常圧まで戻した後、再度1Torrま
で減圧して実質的にフッ素を含まない雰囲気とした。該
雰囲気下にて1450℃まで昇温し、1450℃で10
時間保持し、透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石
英ガラス体を得た(工程(c))。これ以降は例1と同
様に処理し、合成石英ガラスを作製した。
SiF4 の供給を遮断し、He100%雰囲気下で10
時間保持し、さらにHe/SiF4 =99.95/0.
05(体積比)の混合ガス雰囲気にて10時間保持し、
続いて1450℃まで昇温し、1450℃で10時間保
持し、透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラ
ス体を得た(工程(c))。これ以降は例1と同様に処
理し、合成石英ガラスを作製した。
SiF4 の供給を遮断し、He100%雰囲気下で10
時間保持し、さらにHe/SiF4 =99.8/0.2
(体積比)の混合ガス雰囲気にて10時間保持し、続い
て1450℃まで昇温し、1450℃で10時間保持
し、透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス
体を得た(工程(c))。これ以降は例1と同様に処理
し、合成石英ガラスを作製した。
ラスを評価した。各評価の結果を表1に示す。NDは検
出限界以下であることを示す。なお例1〜3、例6〜1
0および例14〜15は実施例、例4〜5、例11〜1
3および例16は比較例に相当する。
よびフッ素濃度の合成石英ガラスの特性への影響を調べ
た実験例である。 (例17〜31)公知のスート法により、SiCl4 ま
たはSi(CH3 O)4 を1200〜1500℃の酸水
素火炎中で加水分解させて形成されたSiO2 微粒子を
基材上に堆積させて直径500mm、長さ600mmの
多孔質石英ガラス体を製造した。多孔質石英ガラス体を
雰囲気制御可能な電気炉に設置し、圧力10Torr以
下の減圧下で、表2に示す割合のSiF4 を含んだヘリ
ウムガスを導入し、この雰囲気下にて常圧・室温で表2
に示す時間保持することにより、多孔質石英ガラス体中
の脱水を行うと同時にフッ素をドープした。続いて圧力
10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃ま
で昇温し、この温度にて10時間保持し透明石英ガラス
体(直径200mm、長さ450mm)を製造した。さ
らに得られた透明石英ガラス体を直径200mm、厚さ
10mmに切断し、表2に示す割合の水素含有雰囲気
下、表2に示す圧力で500℃にて30時間保持した。
上記の製法において、石英ガラス中のOH基濃度および
フッ素濃度の制御は、多孔質石英ガラスを製造する際の
原料ガスに対する酸素および水素ガスの流量比、または
フッ素化合物を含んだ雰囲気下に多孔質石英ガラス体を
保持する際のフッ素化合物の濃度および保持時間を調整
することにより実施した。また石英ガラス中の水素分子
濃度は、水素雰囲気下に保持する時の雰囲気中の水素濃
度および全圧を調整することにより制御した。なお製造
条件(ガラス形成原料、酸素および水素ガスの流量比、
フッ素化合物濃度と圧力、水素濃度と圧力)の詳細を表
2に示した。
ラス形成原料としてSiCl4 を用い、SiF4 を表3
に示す割合の原料ガスに対する酸素および水素ガスの流
量で、1800〜2000℃の酸水素火炎中で加水分解
・酸化させ、基材上に直接透明石英ガラス体を製造し
た。この製法において、得られた石英ガラス中のフッ素
濃度の制御は、SiCl4 とSiF4 との混合比を調整
することにより行い、またOH基濃度および水素濃度は
酸素と水素の流量比を調整することにより行った。な
お、製造条件(SiF4 、酸素および水素ガスの流量
比)の詳細を表3に示した。
ラス中のOH基濃度、塩素濃度、フッ素濃度、水素分子
濃度を表4に示す。なお各濃度は前記の方法により求
め、NDは検出限界以下を示す。
石英ガラスについて、それぞれ散乱ピーク強度比(I1
/I0 、I2 /I0 )、Δk214 、L650 /S248 、波
長157nmにおける内部透過率、合成石英ガラス中の
不純物濃度を測定して評価した。 評価結果を表5に示
す。例17〜34の内、例20、21、22、32およ
び34はOH基濃度が高いため、例29は塩素濃度が高
いため、また例23および34はフッ素を含有しないた
め、他のものより特性が劣っている。
の合成石英ガラスの特性への影響を調べた実験例であ
る。 (例35〜例47)公知のスート法により、SiCl4
を酸水素火炎中で加水分解させ、形成されたSiO2 微
粒子を基材上に堆積させて500mmφ×長さ600m
mの多孔質石英ガラス体を作製した(工程(a))。多
孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、
10Torr以下の減圧状態から室温下で、フッ素化合
物を含んだヘリウムガスを常圧になるまで導入した。こ
の雰囲気下にて常圧・室温で数時間保持することによ
り、多孔質石英ガラス中の脱水を行うと同時にフッ素を
ドープした(工程(b))。続いて圧力10Torr以
下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この
温度にて10時間保持し透明石英ガラス体(200mm
φ×長さ450mm)を作製した。
0mmφ×厚さ10mmに切断し、水素含有雰囲気下、
表6に示す条件で500℃にて30時間保持して石英ガ
ラス中に水素ドープを行って、表7に示す例35〜47
の合成石英ガラスを得た(工程(c))。上記の製法に
おいて、石英ガラス中のOH基濃度およびフッ素濃度の
制御は、工程(a)における原料ガスに対する酸素およ
び水素ガスの流量比、工程(b)におけるフッ素化合物
の濃度および処理時間を調整することにより実施した。
また石英ガラス中の水素分子濃度は、工程(c)におけ
る水素処理時の雰囲気中の水素濃度および全圧を調整す
ることにより制御した。なお、各例の工程(a)、工程
(b)および工程(c)における処理条件の詳細を表6
に示した。
調製された試料について、OH基濃度、フッ素濃度およ
び水素分子濃度を、下記の方法にしたがって測定した。
また、散乱ピーク強度比(I1 /I0 、I2 /I0 )、
Δk214 、L650 /S248 、波長157nmにおける内
部透過率を測定して評価した。評価結果を表7に示す。
例35〜47の内、例45〜47はI1 /I0 、I2 /
I0 が高いため、他のものより特性が劣っている。
の濃度の合成石英ガラスの特性への影響を調べた実験例
である。 (例48〜60)スート法により、SiCl4 を酸水素
火炎中で加水分解させて、形成されたSiO2 微粒子を
基材上に堆積させて400mmφ×長さ600mmの多
孔質石英ガラス体を作製した。多孔質石英ガラス体を雰
囲気制御可能な電気炉に設置し、室温で10Torr以
下の減圧状態に保持した後、SiF4 を含んだヘリウム
ガスを常圧になるまで導入した。この雰囲気下にて常圧
・室温で数時間保持することにより、多孔質石英ガラス
体中の脱水を行った。続いて、実質的にフッ素を含まな
い雰囲気下にて圧力10Torr以下の減圧に保持した
状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保
持し合成石英ガラス(200mmφ×長さ450mm)
を作製した。
0mmφ×厚さ10mmに切断し、水素含有雰囲気下、
表8に示す条件に30時間保持して合成石英ガラス中に
水素ドープを行った。
ス体を製造する際の酸水素炎の酸素および水素ガスの体
積比、ならびにフッ素化合物を含んだ雰囲気で多孔質ガ
ラス体を保持する際のフッ素化合物の濃度、処理時間、
および処理温度を調整することにより、得られる合成石
英ガラス中のOH基濃度および還元型欠陥濃度を制御し
た。また、合成石英ガラス中の水素分子濃度は、水素ド
ープを行う際の処理温度、雰囲気中の水素濃度および全
圧を調整することにより制御した。なお、各例の製造工
程における処理条件の詳細を表8に示した。
l4 を酸水素火炎中で加水分解させて、形成されたSi
O2 微粒子を基材上に堆積させて400mmφ×長さ6
00mmの多孔質石英ガラス体を作製した。多孔質石英
ガラス体を、雰囲気制御可能な電気炉に設置し、1To
rr以下の減圧下で昇温し、1200℃にて所定時間保
持し、続いて1450℃まで昇温し、この温度にて10
時間保持し合成石英ガラス(200mmφ×長さ450
mm)を作製した。得られた合成石英ガラスを200m
mφ×厚さ10mmに切断し、水素含有雰囲気下、表9
に示す条件にて30時間保持して合成石英ガラス中に水
素ドープを行った。
保持時間を調整することにより、合成石英ガラス中のO
H基濃度および還元型欠陥の濃度を制御した。また、合
成石英ガラス中の水素分子濃度は、水素ドープを行う際
の処理温度、雰囲気中の水素濃度および全圧を調整する
ことにより制御した。なお各例の製造工程における処理
条件の詳細を表9に示した。
OH基濃度、水素分子濃度、163nm内部透過率およ
び還元型欠陥の有無を、前記の方法にしたがって求め
た。また、172nmの内部透過率、157nmの内部
透過率、および耐紫外線性の指標としてΔT163 を測定
し、それぞれ波長175nm以下の真空紫外透過性、波
長160nm以下の真空紫外線透過性、および耐紫外線
性を評価した。各評価結果を表10および表11に示
す。例48〜65の内、例52〜54は還元性欠陥があ
るため、例55〜58および例64はOH基濃度が比較
的高いため、他のものより内部透過率が低い。
度、仮想温度および還元性欠陥の有無の合成石英ガラス
の特性への影響を調べた実験例である。
iCl4 を用い、公知のスート法によりSiCl4 を1
200〜1500℃の酸水素火炎中で加水分解させて形
成されたSiO2 微粒子を基材上に堆積させて300m
mφ×長さ800mmの多孔質石英ガラス体を作製し
た。酸水素火炎の条件は表12の工程(a)に示した。
表12の工程(a)は、ガラス形成原料であるSiCl
4 に対する酸素と水素の体積比率を示している。多孔質
石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、表1
2の工程(b)に示した雰囲気、処理温度、処理時間に
て多孔質石英ガラス体中の脱水(OH基低減)を行なう
と同時にフッ素をドープした。なお、表12の工程
(b)において、雰囲気は体積%で示している。続いて
10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃ま
で昇温し、この温度にて10時間保持し透明石英ガラス
体(105mmφ×長さ650mm)を作製した。さら
に得られた透明石英ガラス体をカーボン製発熱体を有す
る電気炉内で、窒素ガス100%、常圧下で、軟化点以
上の1750℃に加熱して成長軸方向に自重変形を行な
わせ円柱状のブロックに成形した。引き続き電気炉内に
成形ブロックを設置したまま電気炉の温度を表12の工
程(d)に記載した処理温度、処理時間で処理した後、
表12の工程(d)に記載した降温プロファイルで室温
まで降温させ仮想温度を制御した。
体を製造する際の原料ガスに対する酸素および水素のガ
スの流量比、またはフッ素化合物を含んだ雰囲気下で多
孔質体石英ガラス体を保持する際の雰囲気ガス組成、温
度を調整することにより、得られる合成石英ガラス中の
OH基濃度およびフッ素濃度を制御した。また仮想温度
は、成形した円柱状ブロックを高温保持する際の温度お
よび降温プロファイルを調整することにより、制御し
た。各例で得られた合成石英ガラスのフッ素濃度、OH
基濃度、仮想温度、還元型欠陥の有無を測定して表13
に示した。また、波長200nm以下の真空紫外域の透
過率の指標として波長157nmの内部透過率を測定し
た。評価結果を表14に示す。なお表12から14を通
じて、例67〜例81の内、例66および例73はOH
基濃度が高いため、例73はフッ素濃度が低いため、例
74は仮想温度が高いため、また、例81は還元性欠陥
があるため、他のものより特性が劣っている。
SiCl4 およびSiF4 を1800〜2000℃の酸
水素火炎中で加水分解および酸化させ、基材上に250
mmφの透明石英ガラスを直接合成した。透明石英ガラ
スを200mmφの棒状体に延伸した後、横型帯域融解
法(FZ法)により混練し均質化させた。次に、電気炉
内にセットして1250℃にて一定時間保持し、800
℃まで1℃/hrの冷却速度で徐冷を行い、その後放冷
して合成石英ガラスを得た。上記の製造工程において、
SiCl4 とSiF4 との混合比を調整することにより
フッ素濃度およびその分布を制御し、また、酸素と水素
との流量比を調整することによりOH基濃度およびその
分布と、水素分子濃度とを制御し、表15および16の
例82〜85に示す合成石英ガラスを得た。
り、SiCl4 を1200〜1500℃の酸水素火炎中
で加水分解させて形成されたSiO2 微粒子を基材上に
堆積させて300mmφ×長さ800mmの多孔質石英
ガラス体を作製した。多孔質石英ガラス体を雰囲気制御
可能な電気炉に設置し、圧力10Torr以下の減圧下
で、フッ素化合物を1体積%含んだヘリウムガスを導入
した。この雰囲気下にて常圧・室温で数時間保持するこ
とにより、多孔質石英ガラス中の脱水を行うと同時にフ
ッ素をドープした。続いて圧力10Torr以下の減圧
に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて
10時間保持し透明石英ガラス体(105mmφ×長さ
650mm)を作製した。
ーボン製発熱体を有する電気炉内で、軟化点以上の17
50℃に加熱して成長軸方向に自重変形を行わせ円柱状
のブロックに成形した。引き続き、電気炉内に成形ブロ
ックを設置したまま電気炉の温度を1250℃まで降温
させ、以後1℃/hrの冷却速度で徐冷を行い、炉内温
度が800℃になったところで給電を停止した。得られ
た石英ブロックを厚さ30mmに切断し、水素含有雰囲
気下、500℃にて240時間保持して石英ガラス中に
水素ドープを行って、表16〜19の例86〜94の合
成石英ガラスを得た。
ス体を製造する際の原料ガスに対する酸素および水素ガ
スの流量比、またはフッ素化合物を含んだ雰囲気下で多
孔質石英ガラス体を保持する際のフッ素化合物の濃度お
よび保持時間を調整することにより、得られる合成石英
ガラス中のOH基濃度およびフッ素濃度を制御した。ま
た、合成石英ガラス中のOH基濃度およびフッ素濃度の
変動幅の制御は、成形時のサイズを調整することにより
実施した。さらに合成石英ガラス中の水素分子濃度は、
水素含有雰囲気において熱処理する際の条件を調整する
ことにより制御した。
フッ素濃度およびその変動幅、OH基濃度およびその変
動幅、塩素濃度ならびに水素分子濃度を測定した。
調製された試料について、屈折率分布、L650 /
S248 、157nmにおける内部透過率を測定し、評価
した。各評価の結果を表15〜表21に示す。なお例8
2〜84および例87〜91および例94は、本発明の
実施例に相当し、その他は比較例に相当する。
とともに、エキシマレーザなどの光源からの高エネルギ
光や放射線などの照射によるE’センタの発生に基づく
透過率の低下や蛍光発光が低減され、耐紫外線性に優れ
る合成石英ガラスが得られる。また、本発明によれば、
真空紫外線透過性に優れた合成石英ガラスを得ることが
できる。特に、波長200nm以下の真空紫外域でも透
過率の高い合成石英ガラスを得ることができる。さら
に、本発明によれば、均質性および耐紫外線性に優れた
合成石英ガラスを得ることができる。したがって、本発
明の合成石英ガラスは、紫外域から真空紫外域までの光
に使用される光学系を構成する部材としてきわめて好適
である。また、本発明によれば,上記の耐紫外線性、真
空紫外線透過性、または均質性に優れる合成石英ガラス
を容易に製造することができる。
Claims (18)
- 【請求項1】紫外域から真空紫外域の光を照射して使用
される光学用合成石英ガラスにおいて、フッ素を含有
し、レーザラマンスペクトルにおける800cm-1の散
乱ピーク強度I800 に対する2250cm-1の散乱ピー
ク強度I2250の比(I2250/I 800 )が1×10-4以下
であり、かつ245nmの光の吸収係数が2×10-3c
m-1以下である合成石英ガラス。 - 【請求項2】フッ素濃度が100ppm以上である請求
項1に記載の合成石英ガラス。 - 【請求項3】OH基濃度が100ppm以下である請求
項1または2に記載の合成石英ガラス。 - 【請求項4】塩素濃度が100ppm以下である請求項
1〜3のいずれか1項に記載の合成石英ガラス。 - 【請求項5】レーザラマンスペクトルにおける440c
m-1の散乱ピーク強度I440 に対する495cm-1の散
乱ピーク強度I495 、および606cm-1の散乱ピーク
強度I606 の比I495 /I440 およびI606 /I440 が
それぞれ0.585以下、0.136以下であることを
特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成石
英ガラス。 - 【請求項6】OH基濃度が50ppm以下である請求項
1〜5のいずれか1項に記載の合成石英ガラス。 - 【請求項7】OH基濃度が10ppm以下である請求項
1〜5のいずれか1項に記載の合成石英ガラス。 - 【請求項8】160nm以下の波長域にて使用される光
学部材用合成石英ガラスであって、OH基濃度が5pp
m以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の合成
石英ガラス。 - 【請求項9】仮想温度が1100℃以下であることを特
徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の合成石英
ガラス。 - 【請求項10】波長157nmにおける内部透過率が8
0%/cm以上である請求項8または9に記載の合成石
英ガラス。 - 【請求項11】紫外域から真空紫外域の光を照射して使
用される光学用合成石英ガラスにおいて、OH基および
フッ素を含有する合成石英ガラスで形成され、光使用領
域においてOH基濃度の変動幅が15ppm以下、フッ
素濃度の変動幅が15ppm以下であり、かつ塩素濃度
が25ppm以下である合成石英ガラス。 - 【請求項12】紫外域から真空紫外域の光を照射して使
用される光学用合成石英ガラスにおいて、OH基および
フッ素を含有する合成石英ガラスで形成され、光使用領
域において、OH基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消
しあうように分布し、かつOH基濃度の変動幅が25p
pm以下、フッ素濃度の変動幅が25ppm以下、およ
び塩素濃度が25ppm以下である合成石英ガラス。 - 【請求項13】光使用領域におけるフッ素濃度の変動幅
とOH基濃度の変動幅の合計が5ppm以下であること
を特徴とする請求項11または12に記載の合成石英ガ
ラス。 - 【請求項14】入射光に直交する平面内における屈折率
変動幅(Δn)が20×10-6以下である請求項11〜
13のいずれか1項に記載の合成石英ガラス。 - 【請求項15】入射光に直交する平面内における屈折率
変動幅(Δn)が5×10-6以下である請求項11〜1
3のいずれか1項に記載の合成石英ガラス。 - 【請求項16】紫外域から真空紫外域までの光を照射し
て使用される合成石英ガラスの製造方法であって、 (a)石英ガラス形成原料を火炎加水分解させて得られ
る石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて多孔質石
英ガラス体を形成させる工程と、 (b)多孔質石英ガラス体をフッ素含有雰囲気下にて保
持し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を得る工程
と、 (c)フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を透明ガラ
ス化温度まで昇温して透明ガラス化し、フッ素を含有し
た透明石英ガラス体を得る工程とを含むことを特徴とす
る合成石英ガラスの製造方法。 - 【請求項17】工程(b)において、600℃未満の温
度に減圧下で保持した状態とし、次いでフッ素含有ガス
を導入してフッ素含有雰囲気とする請求項16に記載の
合成石英ガラスの製造方法。 - 【請求項18】工程(b)と工程(c)の間に、さらに
下記(e)の工程を行なう請求項16または17に記載
の合成石英ガラスの製造方法。 (e)雰囲気を減圧し、フッ素を含有した多孔質石英ガ
ラス体を減圧下に所定時間放置する工程
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