JP2001017939A - セメントキルン排ガスダストの処理方法 - Google Patents

セメントキルン排ガスダストの処理方法

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JP2001017939A
JP2001017939A JP11193217A JP19321799A JP2001017939A JP 2001017939 A JP2001017939 A JP 2001017939A JP 11193217 A JP11193217 A JP 11193217A JP 19321799 A JP19321799 A JP 19321799A JP 2001017939 A JP2001017939 A JP 2001017939A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】セメントキルン排ガスダストを閉鎖系で処理し
て無害なセメント原料として再資源化すると同時に、除
去した成分も工業原料として再利用できる品位で回収で
きる方法を提供する。 【解決手段】(1)(a)セメントキルン排ガスダストを水洗
処理し、(b)得られた洗浄水をpH調整した後、硫化剤を
添加し、沈殿と液体成分を固液分離し、(c)液体成分を
加熱濃縮した後、冷却して塩化カリウムを析出回収し、
(2)(a)第一段階の(a)工程における水洗処理後の脱水ケ
ーキに、塩酸を添加して溶解浸出させ、スラリーの液性
をpH1以下とした後、残渣と塩酸水溶液を固液分離し、
(b)残渣については、水洗して残留固形分を回収し、(c)
塩酸浸出液については、pH調整した後、硫化剤を添加
し、沈殿と液体成分を固液分離し、(d)分離された沈殿
と第一段階(b)工程で分離された沈殿を水洗して固形分
を回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、セメントキルン排
ガス中のダストの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、セメント工場においては、製造コ
ストの低減や地元自治体などからの廃棄物の処理要請に
対応し、従来から使用している高炉スラグや石炭灰等の
産業廃棄物に加えて、廃タイヤ、廃棄プラスチックス、
廃油、廃白土、ペーパースラッジ、鋳物砂、各種鉱滓、
浄水汚泥、下水汚泥、下水汚泥焼却灰、RDF(ゴミ固
形化燃料)、都市ゴミ焼却灰等、様々な廃棄物がセメン
ト原燃料化されつつある。
【0003】しかしながら、これらの廃棄物由来の原燃
料中には、セメントの品質や製造工程に悪影響を及ぼす
塩素やアルカリ、鉛等の重金属が含まれている場合が多
い。セメントキルン内に持ち込まれる塩素やアルカリが
増えると、プレヒーター等へのコーティングが増加して
操業状態が不安定となったり、最悪の場合閉塞事故を引
き起こす危険性がある。更に、セメントの中間製品であ
るクリンカー中の塩素やアルカリ量が増加することによ
って、セメントの品質がJIS規格(塩素量:0.02
%以下、全アルカリ量:Na2O+0.658K2O=
0.75%以下と規定)から逸脱する可能性もある。
【0004】また、鉛等の重金属に関しては、JIS規
格では特に規制値は定められていないが、セメントの品
質上できるだけ低い含有量に押さえることが望ましい。
【0005】上記のような問題を回避するために、セメ
ントキルンに塩素バイパスと呼ばれるバイパス経路を設
けることによって、カリウム、ナトリウム等のアルカリ
塩が付着したダストを排ガスとともに系外に抜き出すこ
とが行われている(特開昭62−252351号公報、
特開昭63−166740号公報、特開昭63−166
416号公報、特開昭63−265847号公報等参
照)。
【0006】抜き出された排ガスダストは、セメントの
品質に悪影響を与えない範囲内で仕上げ工程でセメント
に戻すか、水洗による脱塩処理を行った後、再度セメン
ト原料として焼成工程に戻すか、或いは廃棄物として処
分されている。
【0007】しかしながら、抜き出された排ガスダスト
中には、セメントキルン内の高温下で揮発した塩素やカ
リウム等のアルカリがそれぞれ数%から十数%もの極め
て高い濃度で含有されている。更に、鉛、亜鉛、カドミ
ウムなどの低沸点重金属もキルン内で揮発しているた
め、排ガスの抽気冷却過程でダストに付着してくる。特
に、鉛が数千ppmから数%程度の高い濃度で含有され
ている場合がある。
【0008】また、排ガスダストは、予熱工程を経て脱
炭酸反応がほぼ終了した状態にあり、多量の生石灰を含
んでいるので水に触れると大量の熱が発生し、その液性
はpH12以上の高アルカリ性を呈する。この様な高ア
ルカリ性のために、水が存在する状況ではダストに含ま
れる鉛や亜鉛等の両性金属の一部が塩分と共に溶出する
ので、そのまま投棄することは極めて問題がある。そし
て今後セメント工場における廃棄物原燃料の使用量が増
大するに伴って、排ガスダストの排出量も増大すること
が予想される。
【0009】本発明者は、この様な問題に対応するため
に、既に、排ガスダストの無害化処理方法を提案し(特
開平10−76239号公報)、更に、排ガスダストに
複数回の水洗脱塩処理を施すことによって、残渣をセメ
ント焼成原料として再利用し、さらに重金属を含まない
塩化カリウムなどの固形塩を回収する処理方法も提案し
てきた(特開平10−76247号公報)。
【0010】その他に、セメントキルン排ガスダストを
水で洗浄したり(特開平7−277786号公報、特開
平9−295841号公報、特開平10−99817号
公報)、炭酸やpH調整剤を用いて処理する方法が提案
されている(特許第2764508号)。
【0011】しかしながら、これらの方法では、主に、
ダスト中の塩素とアルカリを除去するだけであり、ダス
ト中に含まれる鉛等の重金属に関しては、その大部分を
除去しないままセメント原料としてキルンに戻してい
る。言い換えると、廃棄物由来のセメント原燃料中に含
まれる鉛、亜鉛、カドミウム等の低沸点重金属は高温の
セメントキルン中では揮発して系内を循環しており、塩
素バイパスによって一旦排ガスダストの形で系外に持ち
出されても、水洗だけの単純な処理では、これらの重金
属はほとんど除去されないままキルンに戻されて、最終
的にセメントの中間製品であるクリンカーに取り込まれ
てしまう。
【0012】また、水洗によって脱塩処理するにして
も、水洗処理に伴って大量に発生する排水の処理方法を
考慮する必要がある。この排水中には、ダストから溶出
した塩類であるカリウムイオン、ナトリウムイオン、カ
ルシウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオン等や、鉛等
の重金属イオンが非常に高い濃度で含まれている。
【0013】前述の各提案では、排水規制のある鉛等の
有害重金属は、pH調整や硫化剤の添加等によって除去
されるが、その他の塩類を含んだ排水は、そのまま下水
道或いは河川等の自然環境中に放出する形態をとってい
る。
【0014】現在のところ、塩化物イオンなどの排出規
制がないとはいえ、下水処理場では一般に微生物を用い
た浄水処理を行っているので、高濃度の塩類を含んだ排
水が流入することにより微生物の活性を低下させたり、
配管や機器施設等の腐食を引き起こしたり、カルシウム
スケールの発生等の悪影響を及ぼす可能性がある。
【0015】そして、河川等の自然環境中に放出した場
合は、高濃度の塩類が下流の水稲等の農業に被害を与え
たり、河川や湖沼等に海藻類似の汽水域珪藻(アンフィ
プローラ・アターラ)を出現させる等、生態系に大きな
影響を与えることが知られている。更に、現在のセメン
ト工場は、排水設備を伴っていない場合がほとんどであ
り、今後新たに塩類を高濃度に含んだ排水を出す許認可
を得ることは、非常に困難であると考えられる。
【0016】
【発明の解決しようとする課題】従って、本発明は、セ
メントキルン排ガスダストからセメントの製造や品質に
とって有害な塩素、アルカリ、鉛等の重金属を除去し
て、ダストを無害なセメント原料として再資源化すると
同時に、除去した塩素、アルカリ、鉛等の重金属も工業
原料として再利用できる品位で分離回収し、系外に塩類
や有害な重金属を含む排水を出さないことを可能とする
新たな技術を提供することを主な目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した如
き課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、下記の工程から
なる処理方法を採用する場合には、セメントキルン排ガ
スダストを無害なセメント原料として再資源化すること
が可能となると同時に、除去した塩素、アルカリ、鉛等
の重金属も工業原料として再利用することができ、しか
も、塩類や有害な重金属を含む排水を自然環境中に排出
することなく、閉鎖系でダストの処理を行うことが可能
となることを見出し、ここに本発明を完成するに至っ
た。
【0018】即ち、本発明は、下記のセメントキルン排
ガスダストの処理方法を提供するものである。 1.セメントキルン排ガスダストを下記の第一段階及び
第二段階の処理に順次供することを特徴とするセメント
キルン排ガスダストの処理方法: (1)第一段階: (a)セメントキルン排ガスダストを水洗処理し、
(b)得られた洗浄水をpH7〜10に調整した後、硫
化剤を添加し、生成した沈殿と液体成分を固液分離して
沈殿を回収し、(c)液体成分を加熱濃縮した後、冷却
して塩化カリウムを析出させて回収する; (2)第二段階: (a)第一段階の(a)工程における水洗処理後の脱水
ケーキに、塩酸を添加して溶解浸出させ、スラリーの液
性をpH1以下とした後、塩酸で溶解しなかった残渣と
塩酸浸出液を固液分離し、(b)分離された残渣につい
ては、水洗して残留固形分を回収し、(c)塩酸浸出液
については、pH7〜10に調整した後、硫化剤を添加
し、生成した沈殿と液体成分を固液分離し、(d)第二
段階の(c)工程で分離された沈殿及び第一段階の
(b)工程で分離された沈殿を水洗して固形分を回収す
る。2.上記項1の方法における第二段階の処理後、第
三段階として、下記の処理を行うことを特徴とするセメ
ントキルン排ガスダストの処理方法:(a)第二段階の
(c)工程で固液分離して得た液体成分に硫酸を添加
し、加熱して塩酸を揮発させて回収し、(b)残留した
固形分を水中に分散させてスラリーとし、該スラリーか
ら石膏と液体成分を固液分離し、分離した石膏を下記
(c)工程で分離される石膏と共に水洗して回収し、
(c)スラリーから石膏を分離した後の液体成分を、p
H7〜10に調整した後、加熱濃縮して残留する石膏を
沈殿させて分離し、石膏分離後の液体成分を加熱濃縮し
た後、冷却して硫酸アルカリを析出させて回収する。 3.第三段階の(a)工程で回収した塩酸を、第二段階
の(a)工程で溶解浸出用の塩酸として用いる上記項2
に記載のセメントキルン排ガスダストの処理方法。 4.第二段階の(b)工程、第二段階の(d)工程及び
第三段階の(b)工程における各水洗処理後に回収した
水洗水を、第一段階の(a)工程の水洗水として用いる
上記項2又は3に記載の方法。 5.第一段階の(c)工程において塩化カリウムを析出
させた後に残留する液体成分、及び第三段階の(c)工
程において硫酸アルカリを析出させた後に残留する液体
成分を、第二段階の(c)工程で処理する塩酸浸出液に
添加する上記項2〜4のいずれかに記載の方法。 6.処理対象となるセメントキルン排ガスダストが、カ
ルシウムを酸化カルシウムとして30重量%以上、カリ
ウムを酸化カリウムとして10重量%以上、塩素を単体
として5重量%以上、鉛を単体として0.3重量%以上
含有するものである上記項1〜5のいずれかに記載の方
法。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の処理方法では、処理対象
とする排ガスダストは、クリンカー中に取り込まれる塩
素やアルカリ、鉛等の重金属を低減させるために、塩素
バイパス又はアルカリバイパスと呼ばれる装置(以下、
「塩素バイパス装置」という)によってセメントキルン
から抜き出されるダストである限り、特に限定されな
い。
【0020】塩素バイパス装置についても特に限定はさ
れず、一例として、セメントキルンの窯尻近傍からバイ
パス経路によってキルン排ガスとともにダストを抜き出
し、これに冷気(空気)を吹き込むことによって、気化
状態にある塩化物などをダスト表面に凝縮付着させ、集
塵機でダストと共に捕集して系外に取り出す形式の装置
を挙げることができる。
【0021】本発明の処理対象とされるダストの化学組
成の一例を挙げると、カルシウムを酸化カルシウムとし
て30重量%以上、カリウムを酸化カリウムとして10
重量%以上、塩素を単体として5重量%以上、鉛を単体
として0.3重量%以上含有する排ガスダストがある。
【0022】以下に、本発明の処理方法について、図1
に示すフロー図を参照しつつ、各工程ごとに詳細に説明
する。 1.第一段階 (a)一次水洗処理:この工程では、セメントキルン排
ガスダストを水洗処理することによって、水に容易に溶
解する塩化カリウム、塩化ナトリウム等のアルカリ金属
塩をダストから分離除去する。(図中、符号1) 水洗に用いる水としては、特に限定はなく、通常の工業
用水を用いてもよいが、後述する第二段階の(b)工
程、第二段階の(d)工程及び第三段階の(b)工程に
おける各二次水洗処理後に回収した水洗水(二次洗浄塩
水)を用いて水洗を行うことによって、水洗水の排出を
防止して、閉鎖系での処理が可能となる。
【0023】水洗方法については、特に限定はなく、ダ
スト中に含まれるアルカリ金属塩を溶解除去できる程度
に洗浄すれば良い。水洗水量が多いほどダストの脱塩効
果は高くなるが、使用水量が多すぎると第一段階(c)
工程において、液体成分から塩化カリウムを回収するた
めの濃縮操作が不利になるので、通常ダスト重量に対し
て2〜5倍程度の水量が好ましい。
【0024】また、水洗水の温度が高いほど塩化カリウ
ムや塩化鉛の溶解が促進されるので、水洗水温は60℃
程度以上が好ましく、洗浄槽自体を加熱保温して60℃
程度以上の恒温で水洗を行うことがより好ましい。な
お、水洗による脱塩効果は短時間で頭打ちになるので、
1〜2分間程度、撹拌による水洗処理を行えば十分であ
る。
【0025】この様にして一次水洗を行った後、洗浄水
(一次洗浄塩水)と脱水ケーキとに固液分離する(図
中、符号2)。
【0026】固液分離した脱水ケーキは、付着する水
(一次洗浄塩水)が少ないほど脱塩率が向上するので、
脱水ケーキの含水率が、少なくとも80%程度以下にな
るまで脱水するのが好ましい。固液分離の方法は、常法
に従えば良く、例えば、フィルタープレス等の圧力や遠
心力を用いた濾過器等を用いて固液分離できる。また、
以下の各工程における固液分離も同様にして行えば良
い。 (b)一次洗浄塩水からの重金属の回収:この工程で
は、まず、上記(a)工程で固液分離された洗浄水(一
次洗浄塩水)をpH7〜10に調整し、硫化剤を添加す
る(図中、符号3)。
【0027】この一次洗浄塩水は、通常pH12以上の
高アルカリ性であり、塩化カリウム以外に、不純物とし
て、塩化ナトリウム、カルシウムイオン、硫酸イオン等
を含み、更に、両性金属である鉛を、二酸化鉛イオン、
亜鉛酸イオン(PbO2 2-)等の形態で含んでいる。こ
れらの不純物を分離するため、一次洗浄塩水中にセメン
トキルンや石炭発電ボイラーから得られる炭酸ガス(C
2)を高濃度に含んだ排気ガス或いは純炭酸ガスを吹
き込み、一次洗浄塩水のpHを7〜10に調整する。こ
の操作によって、カルシウムイオンは炭酸カルシウムと
して沈殿し、鉛イオンの大部分は炭酸鉛または水酸化鉛
として沈殿する。
【0028】また、このpH調整操作を簡略化するた
め、炭酸ガスの代わりに硫酸を加えてpH7〜10に調
整し、カルシウムイオンを硫酸カルシウム、即ち、石膏
として沈殿させ、鉛イオンの大部分を硫酸鉛として沈殿
させても良いが、カルシウムと鉛は、いずれも硫酸塩に
比べて炭酸塩の方が水に対する溶解度が小さく、不純物
の低減効果に差があるため、回収する塩化カリウムの品
位を重視する場合は、炭酸ガスを含む排気ガスや純炭酸
ガスを用いてpH調整を行うことが好ましい。
【0029】pH調整を終えたら直ちに、洗浄水(一次
洗浄塩水)に硫化剤を適宜添加し、洗浄水中にわずかに
残留する鉛等の重金属イオンを硫化物として沈殿させる
ことができる。この時、高価な硫化剤の過剰消費や硫化
剤の過剰添加によって生じる重金属硫化物の再溶解を防
ぐために、洗浄水の酸化還元電位が−100mV程度
(Ag/AgCl電極基準)になるまで硫化剤を添加す
るのが好ましい。硫化剤としては、硫化ソーダ、水硫化
ソーダ、硫化カリウム等を用いることができる。
【0030】この工程で生成した沈殿と液体成分(脱重
金属済みの一次洗浄塩水)とに固液分離することによっ
て、塩化カリウムを主成分とし、塩化ナトリウムが混入
した洗浄塩水と鉛等の重金属を含む沈殿が得られる(図
中、符号4)。
【0031】これら一連の操作では洗浄水(一次洗浄塩
水)の塩化カリウム濃度が高い場合、塩水温度が低下す
ると塩化カリウムが析出してくる場合があるので、保温
または適宜加熱して第一段階(a)工程の水温を維持し
て操作を行う。
【0032】分離した液体成分(脱重金属済みの一次洗
浄塩水)については、下記(c)工程において塩化カリ
ウムを回収する。沈殿は、第二段階の(d)工程におい
て水洗処理を行なうことによって、非鉄金属精錬用原料
として再利用できる。 (c)洗浄塩水からの塩化カリウム回収:上記(b)工
程で得られた液体成分(一次洗浄塩水)は、塩化カリウ
ムを主成分とし、これに塩化ナトリウムが混入したもの
である。
【0033】この工程では、塩化カリウムの水に対する
溶解度は水温変化によって大きな差があるが、塩化ナト
リウムの溶解度は水温によってほとんど変化しないこと
を利用して、液体成分(一次洗浄塩水)を加熱濃縮した
後、冷却することによって、高品位の塩化カリウムを析
出させる(図中、符号5)。
【0034】具体的には、液体成分(一次洗浄塩水)を
加熱して塩化カリウムの結晶が析出し始めるまで濃縮し
た後、冷却することによって、塩化カリウムを選択的に
析出させることができる。加熱温度は、60℃程度以上
とすることが好ましく、80℃以上とすることがより好
ましい。冷却温度は低ければ低いほど好ましく、通常、
20℃程度以下、好ましくは10℃程度以下まで冷却す
れば良い。
【0035】加熱濃縮には、セメントキルンや石炭発電
ボイラー等から発生する排熱等を利用することが好まし
く、この様な排熱を利用することによって、エネルギー
を有効利用して、処理コストを削減することができる。
【0036】加熱濃縮と冷却を組み合わせた塩化カリウ
ムの析出操作は、1回だけの操作では液体成分(一次洗
浄塩水)に含まれる塩化カリウムを十分に回収できない
場合があるので、必要に応じて、2〜3回繰り返し行う
ことができる。
【0037】なお、参考のために、塩化カリウム及び塩
化ナトリウムについての、水温と溶解度との関係を図2
に示す。図2には、後述する第三段階の(c)工程にお
いて、同様の方法で塩化ナトリウムと分離する硫酸アル
カリについての水温と溶解度との関係も示す。
【0038】この操作によって析出した塩化カリウムと
液体成分(不純物塩水)とを固液分離することによっ
て、高品位の塩化カリウムを回収できる(図中、符号
6)。
【0039】回収された塩化カリウムは、不純物が少な
く、酸化カリウム換算で60%程度以上の品位があり、
化学工業や肥料用のカリ原料として利用することができ
る。
【0040】液体成分(不純物塩水)は、塩化ナトリウ
ム等の不純物を含む水溶液であるが、後述する第二段階
の(c)工程において、処理対象とする塩酸浸出水に添
加することによって、系外への排出を防止できる(図
中、符号11)。 2.第二段階 (a)脱水ケーキの塩酸による溶解浸出:この工程で
は、第一段階(a)工程の一次水洗処理後、固液分離し
て得られた脱水ケーキに、塩酸を加えて溶解浸出させ、
スラリーのpHを1以下に維持して脱水ケーキ中に含ま
れる重金属分を塩酸浸出液中に溶解させる(図中、符号
7)。
【0041】溶解浸出に用いる塩酸の濃度は特に限定さ
れないが、脱水ケーキのスラリーのpHを1以下まで効
率よく下げるために、1規定程度以上の濃度を持つ塩酸
を用いるのが好ましい。
【0042】排ガスダストは、生石灰を多量に含むもの
であり、第一段階の一次水洗工程では、生石灰の影響で
洗浄液はpH12以上の高アルカリ性となる。この様な
石灰による高アルカリ性領域では、ダスト中の鉛、亜
鉛、カドミウム等の重金属は水に対する溶解度が大きい
塩化物の形態で存在し、一旦水に溶解しても直ちに水酸
化物となって沈殿する。また、両性金属の鉛や亜鉛につ
いても、大部分が直ちに水酸化物の沈殿を形成する。こ
のため、一次水洗工程で得られた脱水ケーキには、これ
らの重金属分が多量に含まれ、単純な水洗処理では、こ
れらの重金属をほとんど分離することができない。
【0043】この様な脱水ケーキに塩酸を加えてpH1
以下とすることによって、ダスト中のカルシウム分は、
水に対する溶解度が極めて大きい塩化カルシウムとなっ
てほぼ全て溶解する。その他の重金属も水に対する溶解
度が大きい塩化物に変化して溶出する。塩化鉛(PbC
2)は、純水に対する溶解度は比較的小さいが、濃度
の高い塩酸や塩化ナトリウム、塩化カリウム等の濃い塩
水には、比較的溶解する。更に、塩化鉛は、冷水に対す
る溶解度は小さいが、熱水に対する溶解度が比較的大き
いので、塩酸浸出液の温度を高くすることによって、溶
解を促進させることができる。
【0044】この工程では、塩酸を用いることが必要で
ある。塩酸に代えて硫酸を用いる場合には、ダスト中に
多量に含まれる生石灰等のカルシウムと反応して水に対
する溶解度の小さい硫酸カルシウム、即ち、石膏が生成
し、同時に、ダスト中に高濃度で含まれる鉛も水に対す
る溶解度が極めて小さい硫酸鉛を生成するため、ダスト
から分離することは困難となる。また、硝酸を用いる
と、カルシウムや鉛等の重金属は、いずれも効率よく溶
解するが、硝酸は塩酸と同様に揮発性の酸であるため
に、後述する第三段階で塩酸浸出液中に溶解しているカ
ルシウムを石膏として回収するために、第三段階の
(a)工程において不揮発性の酸である硫酸を添加する
と、ダストに含まれている塩化ナトリウム等の塩化物か
ら生成する塩化水素、即ち塩酸と浸出に用いた硝酸が同
時に揮発して、腐食性が極めて強い王水が生成する可能
性が大きく、装置の腐食等運用上の問題が大きい。更
に、硝酸イオンが混入することによって後述する最終工
程で回収する硫酸アルカリの品位が低下する。また、酢
酸などの有機酸は、一般に弱酸で溶解浸出効果が鉱酸に
比べて劣り、価格的にも鉱酸に比べて高価である。更
に、化石燃料等を燃焼させた排ガス等に含まれる炭酸ガ
スを水に吹き込んで生成する炭酸を用いる場合には、炭
酸は酢酸より更に弱い酸であり、溶解浸出効果は極めて
小さく、また、前述の通り、ダストには、生石灰等の形
で多量のカルシウムが含まれており、炭酸ガスを吹き込
むことで水に対する溶解度が極めて小さい炭酸カルシウ
ムが生成し、同時に鉛等の重金属も溶解度が極めて小さ
い炭酸鉛等の炭酸塩を形成するという欠点がある。
【0045】塩酸による溶解浸出処理は、長時間行うほ
ど鉛等の重金属浸出効果が向上するが、極端に長過ぎる
と作業効率が低下するので、溶解浸出時間は15〜30
分間程度が好ましい。また浸出液の温度は、塩酸の揮発
を最低限に抑えるため常温(20℃程度)とするのが好
ましい。
【0046】塩酸による溶解浸出処理を行った後、塩酸
で溶解しなかった脱水ケーキ残渣と液体成分(塩酸浸出
液)とに固液分離する(図中、符号8)。
【0047】脱水ケーキ残渣については、下記(b)工
程において水洗処理を行い、液体成分(塩酸浸出液)に
ついては、下記(c)工程において重金属の回収処理を
行う。 (b)脱水ケーキ残渣の二次水洗処理:この工程では、
上記(a)の塩酸による溶解浸出処理後、塩酸で溶解し
なかったシリカ分、アルミ分、鉄分等を含む脱水ケーキ
残渣を水で洗浄する(図中、符号9)。この二次水洗処
理により、脱水ケーキ残渣中の塩素分、アルカリ等をほ
とんど除去できる。
【0048】二次水洗方法については、特に限定はな
く、脱水ケーキ残渣に含まれる塩素やアルカリ、塩化鉛
等を溶解除去できる程度に洗浄すれば良い。通常、清浄
な工業用水を用いて水洗すれば良い。水洗に用いる水量
は、脱水ケーキ残渣の重量に対して2〜5倍程度とする
ことが好ましい。また水洗水の温度が高いほど塩化カリ
ウムや塩化鉛の溶解が促進されるので、水洗水温は80
℃程度以上が好ましく、洗浄槽自体を加熱保温して80
℃以上の恒温で水洗を行うことがより好ましい。なお、
水洗による脱塩効果は短時間で頭打ちになるので、1〜
2分間程度、撹拌による水洗処理を行えば十分である。
【0049】水洗処理後、固液分離を行って、塩素やア
ルカリ、鉛等の重金属がほとんど除去された固形分と洗
浄水(二次洗浄塩水)とに分離する(図中、符号1
0)。
【0050】この様にして分離された固形分は、塩素や
アルカリ、鉛等の重金属が除去されたものであり、無害
なセメントの焼成原料として再利用できる。また、回収
された洗浄水(二次洗浄塩水)は、第一段階の(a)工
程の一次水洗水として再利用する。 (c)塩酸浸出液からの重金属回収:この工程では、上
記(a)工程で固液分離して得た液体成分(塩酸浸出
液)にアルカリ化合物を添加して中和し、pHを7〜1
0程度に調整し、硫化剤を添加する。(図中、符号1
1) この塩酸浸出液は、pH1前後の強酸性を呈し、塩化カ
ルシウムを多量を含有し、更に、鉛、亜鉛、カドミウム
等の重金属塩化物、塩化アルミニウム、塩化鉄等も含む
ものであるが、該塩酸浸出液にアルカリ化合物を添加し
て、pHを7〜10程度に調整することによって、鉛、
亜鉛、カドミウム等の重金属、アルミニウム、鉄等の大
部分を水酸化物として沈殿させることができる。
【0051】pH調整に用いるアルカリ化合物として
は、特に限定されないが、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソ
ーダ、炭酸水素ソーダ、消石灰、生石灰、炭酸カルシウ
ム、苛性カリ、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等を用
いることができる。
【0052】塩酸浸出液のpH調整を終えたら直ちに、
硫化剤を適宜添加し、塩酸浸出液中にわずかに残留する
鉛等の重金属イオンを硫化物として沈殿させることがで
きる。この時、高価な硫化剤の過剰消費や硫化剤の過剰
添加によって生じる重金属硫化物の再溶解を防ぐため
に、塩酸浸出液の酸化還元電位が−100mV程度(A
g/AgCl電極基準)になるまで硫化剤を添加するの
が好ましい。硫化剤としては、硫化ソーダ、水硫化ソー
ダ、硫化カリウム等を用いることができる。
【0053】pH調整及び硫化剤の添加を行った後、固
液分離を行うことによって、鉛、亜鉛、カドミウム等の
重金属、アルミニウム、鉄等の水酸化物、鉛等の硫化物
等を含む沈殿と、重金属分を除去した液体成分(塩酸浸
出液)に分離する(図中、符号12)。
【0054】沈殿については、下記(d)工程において
水洗処理を行い、液体成分(脱重金属塩酸浸出液)につ
いては、第三段階に送って塩酸、硫酸アルカリを回収す
る。 (d)重金属沈殿の水洗処理:この工程では、上記
(c)工程で形成された沈殿を水洗して塩素、アルカリ
等を除去する(図中、符号13)。この際に第一段階の
(b)工程で回収した鉛等の重金属を含む沈殿を加えて
同時に水洗処理することによって、重金属分を有効に回
収できる。
【0055】水洗方法については、特に限定はなく、沈
殿に含まれる塩素やアルカリを除去できる程度に洗浄す
れば良い。通常、清浄な工業用水を用いて水洗すれば良
く、水洗に用いる水量は、沈殿重量に対して2〜5倍程
度とすることが好ましい。水洗水の温度は常温(20℃
程度)で十分である。なお、水洗による脱塩効果は短時
間で頭打ちになるので、1〜2分間程度、撹拌による水
洗処理を行えば十分である。
【0056】水洗処理後、固液分離を行って、重金属を
含む沈殿と洗浄水(二次洗浄塩水)とに分離する(図
中、符号14)。
【0057】分離された重金属を含む沈殿は、非鉄金属
精錬用の原料として有害な塩素やアルカリが除去された
ものであり、非鉄金属精錬用の原料として山元還元でき
る。回収した洗浄水(二次洗浄塩水)は、第一段階の
(a)工程の一次水洗水として再利用することができ
る。 3.第三段階: (a)塩酸回収工程 この工程では、第二段階の(c)工程において重金属を
除去した液体成分(塩酸浸出液)に硫酸を添加し、加熱
して塩酸を揮発させる(図中、符号15)。
【0058】この液体成分は、塩化カルシウム、塩化ナ
トリウム等を含有するものであり、これに不揮発性の酸
である硫酸を加えて加熱することによって、揮発性の酸
である塩化水素、即ち塩酸が遊離する。
【0059】硫酸の添加量は、硫酸が2価の酸であるか
ら、塩酸浸出液に含まれている塩化物イオン(Cl-
のモル数の半分のモル数を添加すれば良く、通常は、反
応を促進させるために、濃硫酸を使用し、やや過剰に添
加することが好ましい。
【0060】加熱方法としては、100℃程度以上に加
熱して蒸発乾固させた後、最終的に150℃以上に強熱
して塩化水素を十分に揮発させればよい。
【0061】揮発させた塩化水素は、蒸発した水と共に
冷却するか、或いは、水に溶解させることによって塩酸
として回収する(図中、符号16)。
【0062】回収した塩酸は、溶液から揮発させて回収
するため、塩類等の不純物を含まない品位の高いもので
あり、第二段階の(a)工程に戻してダストの脱水ケー
キ溶解浸出用の塩酸として再利用できる。
【0063】本工程によれば、硫酸を添加することによ
って塩酸を再生できるので、処理の始動時に必要とされ
る塩酸を除いて補充する必要はなく、最終的に消費され
る酸は最も安価な硫酸となる。 (b)石膏回収工程:この工程では、上記(a)工程で
塩酸回収後に残留した固形分に、水を加えてスラリーと
した後(図中、符号17)、再度固液分離する(図中、
符号18)。
【0064】上記(a)工程で揮発せずに残留した固形
分は、硫酸カルシウム(石膏)と硫酸アルカリの混合物
である。この固形分に水を加えてスラリーとした後、固
液分離することによって、水に対する溶解度の小さい石
膏と、水に対する溶解度の大きい硫酸アルカリを多量に
含む液体成分(最終塩水)とに分離できる。
【0065】スラリーを形成させる条件としては、使用
水量は固形分重量の2〜5倍量程度、水温は80℃程度
以上が好ましく、撹拌槽自体を加熱保温して80℃以上
の恒温で操作を行うことがより好ましい。撹拌時間は3
〜10分間程度が好ましい。
【0066】分離した石膏は、水で洗浄して、硫酸アル
カリなどの塩類や残留する塩酸、硫酸等を取り除く(図
中、符号19)。洗浄方法については、特に限定はな
く、石膏に含まれる硫酸アルカリなどの塩類や塩酸、硫
酸等を除去できる程度に洗浄すれば良い。通常、清浄な
工業用水を用いて水洗すれば良く、水洗水量は、石膏重
量に対して2〜5倍程度とすることが好ましい。水洗水
の温度は常温(20℃程度)で十分である。なお、水洗
による脱塩効果は短時間で頭打ちになるので、1〜2分
間程度、撹拌による水洗処理を行えば十分である。
【0067】洗浄後、固液分離を行い(図中、符号2
0)、固形分はセメント添加用の石膏としてセメント製
造工程で用いることができる。洗浄に用いた洗浄水(二
次洗浄塩水)は、第一段階の(a)工程の一次水洗水と
して再利用することができる。 (c)硫酸アルカリ回収工程:上記(b)工程におい
て、スラリーを固液分離して得た液体成分(最終塩水)
は、硫酸アルカリを主成分として含み、その他に塩化ナ
トリウム等の不純物を含む水溶液であり、過剰分の硫酸
が残留して強酸性を呈する。この工程では、まず、この
水溶液に苛性ソーダ、炭酸ソーダ、炭酸水素ソーダ、苛
性カリ、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のカルシウ
ムを含まないアルカリ化合物を適宜添加してpH7〜1
0に調整する(図中、符号21)。
【0068】pH調整を行った水溶液には、不純物とし
て一部溶解した石膏や塩化ナトリウム等が含まれてい
る。石膏の溶解度は、硫酸アルカリに比べて著しく小さ
いので、80℃程度で徐々に濃縮し、溶解度の小さな石
膏の白色沈殿だけを沈殿させる(図中、符号22)。
【0069】次いで、沈殿した石膏を含む溶液を固液分
離して石膏を回収する(図中、符号23)。回収された
石膏は、上記(b)工程においてスラリーから分離した
石膏に加えて、水洗処理を行って硫酸アルカリ等の塩類
を取り除き(図中、符号19)、セメント添加用の石膏
としてセメント製造工程で用いることができる。
【0070】石膏を分離した水溶液に含まれる硫酸ソー
ダ、硫酸カリウム等の硫酸アルカリの水に対する溶解度
は、水温変化によって大きな差があるが、塩化ナトリウ
ムの溶解度は水温によってほとんど変化がない。この溶
解度の差を利用して、溶液を加熱濃縮した後、冷却する
ことによって、この水溶液から硫酸アルカリを選択的に
析出させることができる(図中、符号24)。
【0071】具体的には、水溶液を40〜80℃程度ま
で加熱して硫酸アルカリの結晶が析出し始めるまで濃縮
した後、できるだけ低い温度まで冷却する。冷却温度
は、低ければ低いほど好ましく、通常、20℃程度以
下、好ましくは10℃程度以下まで冷却する。
【0072】なお、この加熱濃縮と冷却による硫酸アル
カリの析出操作は、1回だけの操作では水溶液に含まれ
る硫酸アルカリを十分に回収できない場合があるので、
必要に応じて、2〜3回繰り返し行うことができる。
【0073】この操作によって析出した硫酸アルカリを
液体成分から固液分離することにより、高品位の硫酸ア
ルカリを回収することができる(図中、符号25)。回
収された硫酸アルカリは、不純物が少なく、化学工業の
原料として利用することができる。硫酸アルカリを回収
した後の液体成分(不純物塩水)は、塩化ナトリウム等
の不純物を含む水溶液であるが、第二段階の(c)工程
において、処理対象とする塩酸浸出液に添加することに
よって、系外への排出を防止できる。
【0074】なお、上述した本発明処理方法の各工程で
は、起動時等に洗浄水等が不足する場合は、工業用水を
適宜補充すれば良い。以上のプロセスに従ってセメント
キルン排ガスダストを処理することによって、セメント
の品質及び製造に有害な塩素、アルカリ、鉛等の重金属
を分離したセメント焼成用原料と、セメント添加用石膏
を回収することができる。
【0075】また、分離回収した塩素、アルカリ化合物
等は、化学原料用の塩化カリウムや硫酸アルカリとして
利用でき、鉛等の重金属沈殿も非鉄金属原料として、全
てが再資源化可能となる。
【0076】
【発明の効果】本発明の処理方法によれば、セメントキ
ルン排ガスダストに含まれるカリ塩、ソーダ塩、鉛等の
重金属を、工業用原料として再利用できる品位で回収す
ることが可能であり、それ以外のシリカ分、アルミニウ
ム分、鉄分、カルシウム分等は、無害なセメント製造原
料として再資源化することができる。また、本発明の処
理方法は、閉鎖系で行うことが可能であり、自然環境中
に塩類や有害な重金属を含む排水を排出することを防止
できる。
【0077】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説
明する。 実施例1 セメント工場から回収したセメントキルン排ガスダスト
1kgに対して、純水:15リットル、13N塩酸:
1.5リットル、36N硫酸:400ml、96%苛性
ソーダ:30g、30%水硫化ソーダ:約30mlを用
いて、図1に示すフロー図に従って処理を行った。
【0078】処理対象とした排ガスダストの組成、及び
各工程における回収物の主要な化学組成と収率を下記表
1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】以上の結果から判る様に、第一段階(c)
工程で回収した塩化カリウムは、カリ品位がK2O換算
で60%以上あり、不純物であるナトリウムの含有量が
Na2O換算で1%未満であって、有害な鉛等の重金属
を全く含有せず、工業用カリ原料として十分に利用でき
る品質であった。なお、収率は32.5%であった。
【0081】第二段階(b)工程で回収した脱塩脱重金
属残渣は、有害なアルカリ、塩素、鉛等の重金属の大部
分が除去されており、セメント焼成原料として問題なく
使用できるものであった。収率は16.2%であった。
【0082】第二段階(d)工程で回収した重金属沈殿
は、鉛品位が約21%で、精錬に有害な塩素やアルカリ
等の含有量が極めて少なく、非鉄精錬原料として利用で
きるものであった。収率は10.7%であった。
【0083】また、第三段階(b)工程で回収した石膏
は、アルカリや塩素等の含有量が極めて少なく、鉛等の
重金属を全く含有しないため、セメント添加用の石膏と
して問題なく使用できるものであった。収率は74.0
%であった。
【0084】また、第三段階(c)工程で回収した硫酸
アルカリは、硫酸ソーダと硫酸カリウムの混合物であ
り、塩素や重金属等の不純物をほとんど含有しないた
め、工業用原料として十分利用できるものであった。収
率は21.5%であった。
【0085】また、第三段階(a)工程において硫酸を
用いて再生した塩酸は、13N塩酸換算で約1.1リッ
トルであり、再生率は91.6%であった。 比較例1 第一段階(a)工程で排ガスダストを水洗処理して得ら
れた脱水ケーキについて、その後の処理を行わなかった
試料の主要な化学組成と収率を下記表2に示す。
【0086】この脱水ケーキは、アルカリと塩素の大部
分が水洗除去され、鉛等の重金属の含有量が相対的に増
加したものであり、製品中の重金属含有量が高くなって
しまうために、セメント焼成原料としては不適当であ
る。 比較例2 第一段階(a)工程で排ガスダストを水洗処理して得ら
れた洗浄水(一次洗浄塩水)について、その後の処理を
行うことなく乾固させて回収した粗塩化カリウムの主要
な化学組成と収率を下記表2に示す。
【0087】この粗塩化カリウムは、カリ品位がK2
換算で46%と低く、また、カルシウム、ナトリウム、
SO3、鉛等の不純物量が極めて多いために、工業用カ
リ原料としての利用価値は低いものであった。 比較例3 第二段階(a)工程における塩酸による溶解浸出処理後
の脱水ケーキ残渣について、その後二次水洗処理を行わ
なかった試料(粗脱塩脱重金属残渣)の主要な化学組成
と収率を下記表2に示す。
【0088】この試料には、セメント製造に有害なアル
カリ、塩素、鉛等が残留しているために、セメント焼成
原料としては不適当である。 比較例4 第一段階(b)工程で一次洗浄塩水から回収された重金
属を含む沈殿、及び第二段階(c)工程で塩酸浸出液か
ら回収された重金属を含む沈殿について、その後の二次
水洗処理を行わなかった試料(粗重金属沈殿)の主要な
化学組成と収率を下記表2に示す。
【0089】この試料には、非鉄金属精錬に有害なアル
カリや塩素が残留しているために、被的金属精錬原料と
しては不適当である。 比較例5 第三段階(b)工程で固液分離して得られた石膏につい
て、その後の二次水洗処理を行なわなかった試料(粗石
膏)の主要な化学組成と収率を下記表2に示す。
【0090】この試料には、セメントの品質に有害なア
ルカリ、塩素が残留しているために、セメント添加用石
膏としては不適当である。 比較例6 第三段階(b)工程で石膏回収後の硫酸アルカリを含む
最終塩水を無処理で乾固させて回収した粗硫酸アルカリ
の主要な化学組成と収率を下記表2に示す。
【0091】この硫酸アルカリは、不純物である塩化カ
リウムを多く含むために、工業原料としての利用価値は
低い。
【0092】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理工程を示すフロー図。
【図2】化合物の水に対する溶解度を示すグラフ。
【符号の説明】
1…一次洗浄槽、2…濾過器、3…pH調整・硫化槽、
4…濾過器、5…加熱濃縮・冷却析出槽、6…濾過・乾
燥機、7…塩酸溶解浸出槽、8…濾過器、9…二次洗浄
槽、10…濾過・乾燥機、11…pH調整・硫化槽、1
2…濾過器、13…二次洗浄槽、14…濾過・乾燥機、
15…硫酸添加・加熱槽、16…塩酸捕集器、17…撹
拌槽、18…濾過器、19…二次洗浄槽、20…濾過・
乾燥機、 21…pH調整槽、22…加熱濃縮槽、23
…濾過器、24…加熱濃縮・冷却析出槽、25…濾過・
乾燥機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D004 AA37 AC05 BA02 BA05 CA13 CA15 CA32 CA35 CA40 CC03 CC06 CC11 CC12 DA03 DA10 DA11 DA20 4G012 KA08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメントキルン排ガスダストを下記の第一
    段階及び第二段階の処理に順次供することを特徴とする
    セメントキルン排ガスダストの処理方法: (1)第一段階: (a)セメントキルン排ガスダストを水洗処理し、 (b)得られた洗浄水をpH7〜10に調整した後、硫
    化剤を添加し、生成した沈殿と液体成分を固液分離して
    沈殿を回収し、 (c)液体成分を加熱濃縮した後、冷却して塩化カリウ
    ムを析出させて回収する; (2)第二段階: (a)第一段階の(a)工程における水洗処理後の脱水
    ケーキに、塩酸を添加して溶解浸出させ、スラリーの液
    性をpH1以下とした後、塩酸で溶解しなかった残渣と
    塩酸浸出液を固液分離し、 (b)分離された残渣については、水洗して残留固形分
    を回収し、 (c)塩酸浸出液については、pH7〜10に調整した
    後、硫化剤を添加し、生成した沈殿と液体成分を固液分
    離し、 (d)第二段階の(c)工程で分離された沈殿及び第一
    段階の(b)工程で分離された沈殿を水洗して固形分を
    回収する。
  2. 【請求項2】請求項1の方法における第二段階の処理
    後、第三段階として、下記の処理を行うことを特徴とす
    るセメントキルン排ガスダストの処理方法: (a)第二段階の(c)工程で固液分離して得た液体成
    分に硫酸を添加し、加熱して塩酸を揮発させて回収し、 (b)残留した固形分を水中に分散させてスラリーと
    し、該スラリーから石膏と液体成分を固液分離し、分離
    した石膏を下記(c)工程で分離される石膏と共に水洗
    して回収し、 (c)スラリーから石膏を分離した後の液体成分を、p
    H7〜10に調整した後、加熱濃縮して残留する石膏を
    沈殿させて分離し、石膏分離後の液体成分を加熱濃縮し
    た後、冷却して硫酸アルカリを析出させて回収する。
  3. 【請求項3】第三段階の(a)工程で回収した塩酸を、
    第二段階の(a)工程で溶解浸出用の塩酸として用いる
    請求項2に記載のセメントキルン排ガスダストの処理方
    法。
  4. 【請求項4】第二段階の(b)工程、第二段階の(d)
    工程及び第三段階の(b)工程における各水洗処理後に
    回収した水洗水を、第一段階の(a)工程の水洗水とし
    て用いる請求項2又は3に記載の方法。
  5. 【請求項5】第一段階の(c)工程において塩化カリウ
    ムを析出させた後に残留する液体成分、及び第三段階の
    (c)工程において硫酸アルカリを析出させた後に残留
    する液体成分を、第二段階の(c)工程で処理する塩酸
    浸出液に添加する請求項2〜4のいずれかに記載の方
    法。
  6. 【請求項6】処理対象となるセメントキルン排ガスダス
    トが、カルシウムを酸化カルシウムとして30重量%以
    上、カリウムを酸化カリウムとして10重量%以上、塩
    素を単体として5重量%以上、鉛を単体として0.3重
    量%以上含有するものである請求項1〜5のいずれかに
    記載の方法。
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