JP2001017863A - エポキシ化触媒及び該触媒を用いたオレフィン類のエポキシ化物の製造方法 - Google Patents

エポキシ化触媒及び該触媒を用いたオレフィン類のエポキシ化物の製造方法

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JP2001017863A
JP2001017863A JP11191569A JP19156999A JP2001017863A JP 2001017863 A JP2001017863 A JP 2001017863A JP 11191569 A JP11191569 A JP 11191569A JP 19156999 A JP19156999 A JP 19156999A JP 2001017863 A JP2001017863 A JP 2001017863A
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JP11191569A
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Takaaki Sakamoto
高章 坂本
Shiyoushin Boku
鐘震 朴
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Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応溶媒として、地球環境に優しい水や毒性
の低い有機溶媒を用いることができ、反応に使用した触
媒を回収再利用でき、選択的にエポキシドのみを製造で
きる方法を提供すること。 【解決手段】 活性炭又は表面処理剤と反応可能な官能
基を有する無機固体に表面処理剤を反応させて表面処理
して得られる担体に、分子中に周期律表第V族原子及び
タングステン原子を有するヘテロポリ酸を担持してなる
エポキシ化触媒。オレフィン類と過酸化水素とを上記エ
ポキシ化触媒の存在下、水又は有機溶媒中で反応させて
オレフィンのエポキシ化物を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エポキシ化触媒及
び該触媒を用いたオレフィン類のエポキシ化方法に関
し、更に詳しくは、低濃度の過酸化水素水を用いて、エ
ポキシ樹脂の原料や有機化学薬品、医薬、農薬等の合成
中間体として有用なエポキシ化合物を製造する際に用い
るエポキシ化触媒及び該触媒を用いたオレフィン類のエ
ポキシ化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】過酸化水素を用いてオレフィン類をエポ
キシ化する方法が知られている。この方法では、オレフ
ィンの転化率及びエポキシドへの選択率がともに低いと
いう問題点がある。転化率が低い原因としては、過酸化
水素が低温反応では未反応で残り、高温では分解して酸
素を発生し、反応に有効に消費されないことが挙げられ
る。また、エポキシドへの選択率が低い原因としては、
過酸化水素と共に反応系に導入される水及び反応により
生ずる水が原因となり加水分解反応によりポリオールが
副生することが挙げられる。
【0003】上記の問題点を解決するために、「ケミカ
ル レヴュウス(Chem. Rev.,)」[第89号、第43
1貢(1989年)]には、特定の触媒を使用する方法
が提案されている。また、「ジャーナル オブ オーガ
ニック ケミストリー(J. Org. Chem.,)」[第53
号、第3587貢(1988)]及び特開昭62−23
4550号公報には、タングステンやモリブデンを有す
るヘテロポリ酸と層間移動触媒を併用する方法が提案さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たエポキシドの製造方法では、(1)反応に使用した触
媒が使い捨てであり、重金属を含む排液の無害化処理が
必要となる、(2)反応溶媒として、クロロホルム、
1,2−ジクロロメタンの如き毒性の強いハロゲン溶媒
を使用する、(3)ほとんどのオレフィンで、エポキシ
ドの選択性が98%を超えるが、アリルアルコール類の
エポキシ化では、98%未満である、など地球環境保護
の観点から致命的な欠点を有し、工業的見地から好まし
いものではなかった。
【0005】本発明が解決しようとする課題は、反応溶
媒として、地球環境に優しい水や毒性の低い有機溶媒を
用いることができ、反応に使用した触媒を回収再利用で
き、選択的にエポキシドのみを製造できる方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討を行った結果、(1)活性炭又
は表面処理剤と反応可能な官能基を有する無機固体に表
面処理剤を反応させて表面処理して得られる担体に、分
子中に周期律表第V族原子及びタングステン原子を有す
るヘテロポリ酸を担持させたものを触媒として用い、オ
レフィン類と過酸化水素とを水又は有機溶媒中で反応さ
せることにより、エポキシドだけが選択的に製造でき、
触媒の回収及び再利用が容易であることを見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は上記課題を解決するた
めに、(I)活性炭又は表面処理剤と反応可能な官能基
を有する無機固体に表面処理剤を反応させて表面処理し
て得られる担体に、分子中に周期律表第V族原子及びタ
ングステン原子を有するヘテロポリ酸を担持してなるエ
ポキシ化触媒を提供する。
【0008】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(II)オレフィン類と過酸化水素とを水又は有機溶
媒中で触媒の存在下に反応させてオレフィンのエポキシ
化物を製造する方法において、触媒として、上記(I)
に記載のエポキシ化触媒を用いるエポキシ化物の製造方
法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の触媒は、活性炭又は表面
処理剤と反応可能な官能基を有する無機固体に表面処理
剤を反応させて表面処理して得られる担体に、分子中に
周期律表第V族原子及びタングステン原子を有するヘテ
ロポリ酸を担持させたものである。前記触媒の調製法
は、特に限定されるものではないが、通常は、表面処理
剤を予め適宣な溶媒に(以下、この溶媒を触媒調製用溶
媒と記す。)に溶解させておき、次いで、この溶液に活
性炭又は表面処理剤と反応可能な官能基を有する無機固
体を添加し、所定温度で激しく攪拌させた後、前記溶媒
を留去し、更に触媒調製用溶媒に溶解させたヘテロポリ
酸(塩)を加え、所定温度で攪拌させた後、前記溶媒を
留去し、乾燥させる方法が挙げられる。
【0010】表面処理剤と反応可能な官能基を有する無
機固体としては、ヘテロポリ酸(塩)を分解せずに担持
できるものであれば、特に制限はない。そのような無機
固体としては、例えば、アルミナ、シリカゲル、モレキ
ュラーシーブス、フロリジル、セライト、などが挙げら
れる。これらの中でも、アルミナ、シリカゲルが好適で
ある。これらの無機固体は、1種のみを用いてもよい
し、2種以上を併用して用いてもよい。
【0011】表面処理剤としては、アルキル化剤、トリ
メチルシリル化剤及びシランカップリング剤が挙げられ
るが、ヘテロポリ酸(塩)と反応しないものであれば任
意である。これらは単独で用いることができるが、アル
キル化剤、トリメチルシリル化剤又は両者の混合物は、
シランカップリング剤と併用させることが好ましく、特
に活性の低いオレフィンのエポキシ化に効果的である。
【0012】アルキル化剤としては、例えば、N,N−
ジメチルフォルムアミド ジ−エチルアセタール、N,
N−ジメチルフォルムアミド ジ−ノルマル−プロピル
アセタール、N,N−ジメチルフォルムアミド ジ−イ
ソ−プロピルアセタール、N,N−ジメチルフォルムア
ミド ジ−ノルマル−ブチルアセタール、N,N−ジメ
チルフォルムアミド ジ−イソ−ブチルアセタール、
N,N−ジメチルフォルムアミド ジ−シクロヘキシル
アセタール、N,N−ジメチルフォルムアミドジ−ベン
ジルアセタール、などが挙げられる。これらの中でも、
N,N−ジメチルフォルムアミド ジ−ベンジルアセタ
ールの如き親油性のものが好ましいが、他のアルキル化
剤もほぼ同様な活性を有するため、特に好適ということ
ではない。これに対し、アルキル鎖が長いものや立体的
に嵩高いものは、オレフィンの転化率が下がり好ましく
ない。これらのアルキル化剤は、1種のみを用いてもよ
いし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0013】トリメチルシリル化剤としては、例えば、
N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、1,
1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンが挙げら
れるが、これらの中でも、N,O−ビス(トリメチルシ
リル)アセトアミドが好適である。これらのトリメチル
シリル化剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を
併用して用いてもよい。
【0014】シランカップリング剤としては、例えば、
フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシ
ラン、トリフェニルエトキシシラン、パラ−クロロフェ
ニルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラ
ン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチ
ルジメトキシシランの如き親油性を有するシランカップ
リング剤が挙げられる。これらの中でも、フェニルトリ
メトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフ
ェニルエトキシシランが好適であり、トリフェニルエト
キシシランが特に好ましい。これらのシランカップリン
グ剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用し
て用いてもよい。
【0015】活性炭又は無機固体に対する表面処理剤
(アルキル化剤、トリメチルシリル化剤、シランカップ
リング剤)の処理量は、活性炭又は無機固体100重量
部に対し、5〜300重量部の範囲が好ましく、10〜
200重量部の範囲が特に好ましく、30〜150重量
部の範囲が更に好ましい。アルキル化剤、トリメチルシ
リル化剤又は両者の混合物とシランカップリング剤を併
用する場合の混合比は、アルキル化剤又は/及びトリメ
チルシリル化剤100重量部に対し、シランカップリン
グ剤5〜300重量部の範囲が好ましく、10〜200
重量部の範囲の範囲が特に好ましく、50〜150重量
部の範囲が更に好ましい。
【0016】表面処理して得られた担体に担持する分子
中に周期律表第V族原子及びタングステン原子を有する
ヘテロポリ酸類は、ヘテロポリ酸及び第4級アンモニウ
ムイオンとヘテロポリ酸との反応により得られる塩であ
る。
【0017】周期律表第V族原子及びタングステン原子
を有するヘテロポリ酸類としては、〔アイ ブイ コゼ
ブニコブ(I. V. Kozhevnikov)、アプライド カタリ
シス(Appl. Cat.,) 第5号、第135貢(1983
年)〕等に記載されているものが挙げられ、例えば、ホ
スホノタングステン酸(リンタングステン酸、12−タ
ングストリン酸)、アルセノタングステン酸及びこれら
のナトリウム塩等が挙げられる。これらの中でも、ホス
ホノタングステン酸が特に好ましい。これらの周期律表
第V族原子及びタングステン原子を有するヘテロポリ酸
類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用して
用いてもよい。
【0018】第4級アンモニウムイオンとヘテロポリ酸
との反応により得られる第4級アンモニウム化合物とし
ては、一般式(1)
【0019】
【化2】
【0020】(式中、R1、R2、R3及びR4は、少なく
とも一つの基が炭素原子数8〜18のアルキル基であ
り、残りの基が炭素原子数1〜18のアルキル基又はベ
ンジル基である)で表わされる第4級アンモニウムイオ
ン又は含窒素複素環を有する第4級アンモニウム化合物
から誘導される第4級アンモニウムイオンである。
【0021】上記一般式(1)で表わされる第4級アン
モニウム化合物としては、例えば、トリオクチルメチル
アンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニ
ウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロ
マイド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムハイドロオ
キサイド、ステアリルジメチルアンモニウムブリマイ
ド、などが挙げられる。
【0022】含窒素複素環を有する第4級アンモニウム
化合物としては、含窒素複素環がピリジン環、ピコリン
環、キノリン環、イミダゾリン環及びモルホリン環等か
らなる第4級アンモニウム化合物が挙げられるが、これ
らの中でも、ピリジン環を有する第4級アンモニウム化
合物が好ましい。
【0023】含窒素複素環を有する第4級アンモニウム
化合物としては、例えば、アルキル基の炭素原子数が8
〜20の範囲にあるアルキルピリジニウム塩(以下、こ
の項のアルキル基は同様のものを示す。)、N−セチル
ピリジニウムクロライド(以下、この項の対アニオンは
同様なものを示す。)、N−ラウリルピコリニウムブロ
マイドの如きアルキルピコリニウム塩、アルキルキノリ
ニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、アルキルヒド
ロキシルエチルイミダゾリン塩、アルキルヒドロキシル
エチルモルホリン塩、などが挙げられる。
【0024】活性炭又は無機固体に対するヘテロポリ酸
類の担持比は、活性炭又は無機固体100重量部に対し
て、5〜300重量部の範囲が好ましく、10〜200
重量部の範囲が特に好ましく、30〜150重量部の範
囲が更に好ましい。
【0025】本発明の触媒を調整する際の攪拌時の所定
温度は、室温程度であるが、これに限定されるものでは
なく、使用する触媒調製用溶媒の沸点以下であれば任意
である。また、攪拌時間についても特に制限はないが、
通常10分〜2時間程度である。さらに、乾燥温度につ
いては、使用した触媒調製用溶媒を除去できる温度であ
れば特に制限はないが、乾燥温度が高すぎると触媒の活
性が低下もしくは失活する可能性があるので、通常、使
用した触媒調製用溶媒の沸点より、若干高めであること
が好ましい。なお、乾燥工程は常圧下のみならず減圧下
でおこなってもよく、更に、空気や窒素以外にもアルゴ
ン等の不活性ガス雰囲気下で行ってよい。
【0026】本発明の製造方法に適用できるオレフィン
類としては、一般式(2)
【0027】
【化3】
【0028】(式中、R1’、R2’、R3’及びR4’は
二重結合を有していてもよい一価の炭化水素基を表わ
す。また、R1’とR2’とが、あるいはR3’とR4’と
が一緒になって二重結合を有していてもよいニ価の炭化
水素基を表わすか、あるいは、R 1’とR3’とが、ある
いはR2’とR4’とが一緒になって二重結合を有してい
てもよいニ価の炭化水素基を表わす。)で表わされる化
合物が挙げられる。
【0029】一般式(2)において、R1’、R2’、R
3’及びR4’は二重結合を有していてもよい一価の炭化
水素基であり、この炭化水素基としては、例えば、炭素
原子数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アル
ケニル基の如き脂肪族炭化水素基;炭素原子数3〜12
の分岐基を有していてもよいシクロアルキル基、シクロ
アルケニル基、ポリシクロアルキル基の如き脂環式炭化
水素基;アリール基、アルカリオール基の如き芳香族炭
化水素基、などが挙げられる。また、R1’とR2’と
が、あるいはR3’とR4’とが一緒になって表わされる
二重結合を有していてもよいニ価の炭化水素基として
は、例えば、炭素原子数3〜11のアルキレン基、アル
ケニレン基、などが挙げられる。さらに、R1’とR3
とが、あるいはR2’とR4’とが一緒になって表わされ
る二重結合を有していてもよいニ価の炭化水素基として
は、例えば、炭素原子数1〜10のアルキレン基、アル
ケニレン基、などが挙げられる。
【0030】一般式(2)で表わされるオレフィン類
は、脂肪族オレフィン性不飽和炭化水素、芳香族オレフ
ィン性炭化水素、脂環式オレフィン性炭化水素などに分
類できる。
【0031】脂肪族オレフィン性不飽和炭化水素として
は、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテ
ン、1−ヘキセン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、1−
オクテン、1−ノネン、1−ウンデセン、1−ドデセ
ン、1−トリデセン、1−エトラデセン、1−ペンタデ
セン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オク
タデセン、1−ノナデセン、1−アイコセン、ジイソブ
チレン、プロピレンの三又は四量体、の如きアルケン;
ミルセンの如きテルペン、ポリブタジエン、の如きポリ
エン、などが挙げられる。
【0032】芳香族オレフィン性炭化水素としては、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼ
ン、スチルベン、などが挙げられる。
【0033】脂環式オレフィン性炭化水素としては、例
えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、1−フェニル
−1−シクロヘキセン、1−メチル−1−シクロヘキセ
ン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、
シクロペンタジエン、シクロオクタジエン、シクロドデ
カトリエン、の如きシクロアルケン又はシクロポリエ
ン;ジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデンの如
きジシクロアルカポリエン;メチレンシクロプロパン、
メチレンシクロペンタン、メチレンシクロヘキセンの如
きアルキレンシクロアルカン;ビニルシクロヘキセンの
如きビニルシクロアルケン;α−リモネン、ピレン、カ
ンフェンの如き環式テルペン;ノルボルネン、メチルノ
ルボルネン、エチルノルボルネン、ビニルノルボルネ
ン、エチリデンノルボルネンの如きノルボルネン化合
物、などが挙げられる。
【0034】本発明の製造方法に適用できるオレフィン
類は、上記例示の化合物に限定されるものではない。ま
た、上記例示のオレフィン類は2種以上の混合物として
も使用できる。また、1−フェニル−1−シクロヘキセ
ンのエポキシドに代表されるように、酸に対して非常に
不安定なエポキシドが選択的に合成できることも本発明
の特徴の一つである。
【0035】本発明の製造方法で使用する過酸化水素は
慣用のものでよく、その濃度が通常3〜70重量%の水
溶液のものを使用することができる。35%以上の濃度
の過酸化水素を使用する場合には、反応時間を短縮する
ことができるが、副反応によりエポキシドの選択性が低
下するため、なるべく取り扱いの容易な35%以下の濃
度のものを使用することが好ましい。35%以上の濃度
の過酸化水素を使用する場合は、反応温度を低くし、反
応時間を長くすることによって、選択的にエポキシドを
合成することができる。このように、従来法と比較し
て、35%以下の濃度の過酸化水素を用いることで、効
率的に反応が進行するのが、本発明の特徴の一つであ
る。
【0036】オレフィン類と過酸化水素との使用比率は
当モルでよいが、いずれか一方の原料をモル過小又は過
大にすることもできる。例えば、オレフィン1モル当た
りの過酸化水素の使用比率は、0.1〜5モルの範囲が
好ましく、0.7〜2モルの範囲が特に好ましい。
【0037】触媒の使用量は、オレフィン1モル当た
り、0.0005〜0.5モルの範囲が好ましく、0.
001〜0.1モルの範囲が特に好ましく、0.004
〜0.05モルの範囲が更に好ましい。
【0038】本発明の製造方法において用いる溶媒は、
水又は有機溶媒であるが、オレフィンの反応性に関して
は、有機溶媒を反応溶媒とする系がやや反応性が高い程
度であり、地球環境保護の観点から、水を反応溶媒とす
る系が推奨される。水又は有機溶媒の使用量は任意であ
るが、通常、オレフィン1モルに対して、100〜50
00cm3 程度である。
【0039】有機溶媒は、反応剤(オレフィン類、過酸
化水素)及び生成したエポキシドに対して可能な限り不
活性なものを使用する必要がある。有機溶剤としては、
例えば、メタノール、エタノール、ノルマル又はイソプ
ロパノール、第3級ブタノール、アミルアルコール、シ
クロヘキサノールの如き炭素原子数1〜6の第1、2、
3級の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、グリセリンの如き多価アルコール類;ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコールの如きエチレンオキサイド又はプロピ
レンオキサイドのオリゴマー、ジメトキシエチレングリ
コール、ジエトキシエチレングリコール、ジメトキシジ
エチレングリコールの如きエチレンオキサイド又はプロ
ピレンオキサイドのオリゴマーのエーテルなどの多価ア
ルコール誘導体;エチルエーテル、イソプロピルエーテ
ル、ジオキサン、テトラヒドロフランの如きエーテル
類;酢酸エチルの如きアルコール、多価アルコールのギ
酸エステル又は酢酸エステルなどのエステル類;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ
エチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノ
ン、アセチルアセトンの如きケトン類;
【0040】ジメチルホルムアミド、ニトロメタンの如
き窒素化合物;リン酸トリエチル、リン酸トリオクチ
ル、リン酸ジエチルヘキシルの如きリン酸エステルなど
のリン化合物;クロロホルム、ジクロロメタン、二塩化
エチレンの如きハロゲン化炭化水素;ノルマルヘキサ
ン、ノルマルヘプタンの如き脂肪族炭化水素;トルエ
ン、キシレンの如き芳香族炭化水素;シクロヘキサン、
シクロペンタンの如き脂環式炭化水素、などの中から、
反応剤及びエポキシドに対して可能な限り不活性なもの
が挙げられる。これらの中でも、非親水性溶媒である脂
肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び脂環式炭化水素が好
ましく、芳香族炭化水素が特に好ましい。また、これら
の溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用
して用いてもよい。
【0041】本発明の製造方法は、酸素含有気体雰囲気
下又は不活性ガス雰囲気下にて行なうことが望ましい
が、反応スケールが大きい場合には、酸素含有気体雰囲
気下では爆発の危険があるために好ましくなく、この場
合は、不活性ガス雰囲気下にて行うことが好ましい。
【0042】また、原料であるオレフィン類、触媒、反
応溶媒、過酸化水素等の反応槽への投入順序(仕込順
序)は任意であり、これらを一括して投入してもよい。
反応性の低いオレフィン類のエポキシ化を行なう場合に
は、触媒、反応溶媒及び過酸化水素の混合物中に、オレ
フィン類を滴下させる方法を採用することにより、反応
を効率的に進行させることができる。
【0043】反応温度は、0〜120℃の範囲が好まし
く、20〜110℃の範囲が特に好ましい。反応温度が
110℃より高くなると過酸化水素の自己分解が著し
く、更にエポキシドの選択性も低下する傾向にある。ま
た、反応温度が0℃未満では反応が著しく遅くなる傾向
にある。反応時間は、使用する触媒、溶媒、オレフィ
ン、過酸化水素の濃度により種々変えることができる
が、通常、数分〜24時間の範囲である。反応後は、濾
過により触媒を分離した後、抽出又は/及び蒸留などの
手段により、水、溶媒を除去して、目的とするエポキシ
ドを得ることができる。濾過により分離した触媒は、洗
浄又は/及び乾燥により繰り返し使用することができ
る。
【0044】
【実施例】次に、実施例を用いて、本発明を更に詳細に
説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるも
のではない。
【0045】(実施例1)容量50cm3 の丸底フラスコ
に、室温で、N,N−ジメチルフォルムアミドジ−ノル
マル−ブチルアセタール500mg及びヘキサン10cm3
を加えた。攪拌しながら、中性アルミナ500mgを加
え、窒素雰囲気下、同温度で1時間激しく攪拌した。攪
拌終了後、減圧下(133Pa)に、50℃で溶媒を留去
した。その後、蒸留水5cm3 に溶解させた12−タング
ストリン酸500mgを加え、窒素雰囲気下、室温で1時
間激しく攪拌した。攪拌終了後、減圧下(133Pa)、
80℃で溶媒を留去した後、減圧下(133Pa)、80
℃で5時間乾燥させて、触媒を調製した。また、乾燥後
は前記触媒をデシケーター中にて保存した。
【0046】容量10cm3 の丸底フラスコに、前記触媒
0.021ミリモル、蒸留水1cm3、シクロヘキセン
0.246g(3ミリモル)及び30%過酸化水素水
0.68g(6ミリモル)を加え、窒素雰囲気下、90
℃で7時間激しく攪拌した。反応終了後、反応液を室温
に冷却した。その後、濾過して、反応液と触媒を分離し
た。濾液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液10cm3 を滴
下して未反応の過酸化水素を分解した。水相をジクロロ
メタン10cm3 で2回抽出した後、抽出液に無水硫酸マ
グネシウムを加えて乾燥させた。抽出液を濃縮した後、
濃縮液にテトラデカン(内標準物質)を加え、ガスクロ
マトグラフィーを用いて分析した結果、シクロヘキセン
の転化率及び対応するエポキシド(シクロヘキセンオキ
シド)の選択性は共に100%であった。
【0047】(比較例1)容量50cm3 の丸底フラスコ
に、室温で、12−タングストリン酸500mg及び蒸留
水10cm3 を加えた。攪拌しながら、中性アルミナ50
0mgを加え、窒素雰囲気下、同温度で1時間激しく攪拌
した。攪拌終了後、減圧下(133Pa)、80℃で水を
留去した後、減圧下(133Pa)、同温度で5時間乾燥
させて、触媒を調製した。また、乾燥後は前記触媒をデ
シケーター中にて保存した。
【0048】容量10cm3 の丸底フラスコに、前記触媒
0.021ミリモル、蒸留水1cm3、シクロヘキセン
0.246g(3ミリモル)及び30%過酸化水素水
0.68g(6ミリモル)を加え、窒素雰囲気下、90
℃で7時間激しく攪拌した。反応終了後、反応液を室温
に冷却した。その後、濾過して、反応液と触媒を分離し
た。濾液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(10cm3
を滴下して未反応の過酸化水素を分解した。水相をジク
ロロメタン10cm3 で2回で抽出した後、抽出液に無水
硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。抽出液を濃縮し
た後、濃縮液にテトラデカン(内標準物質)を加え、ガ
スクロマトグラフィーを用いて分析した結果、シクロヘ
キセンの転化率は5%であり、対応するエポキシド(シ
クロヘキセンオキシド)の選択性は85%であった。
【0049】(比較例2)容量50cm3 の丸底フラスコ
に、室温で、N,N−ジメチルフォルムアミドジ−ノル
マル−ブチルアセタール500mg及びヘキサン10cm3
を加えた。攪拌しながら、中性アルミナ500mgを加
え、窒素雰囲気下、同温度で1時間激しく攪拌した。攪
拌終了後、減圧下(133Pa)、50℃で溶媒を留去し
た。その後、蒸留水5cm3 に溶解させた12−モリブド
リン酸500mgを加え、窒素雰囲気下、室温で1時間激
しく攪拌した。攪拌終了後、減圧下(133Pa)、80
℃で溶媒を留去した後、減圧下(133Pa)、80℃で
5時間乾燥させて、触媒を調製した。また、乾燥後は前
記触媒をデシケーター中にて保存した。
【0050】容量10cm3 の丸底フラスコに、前記触媒
(0.021ミリモル)、蒸留水1cm3、 シクロヘキセ
ン0.246g(3ミリモル)及び30%過酸化水素水
0.68g(6ミリモル)を加え、窒素雰囲気下、90
℃で7時間激しく攪拌した。反応終了後、反応液を室温
に冷却した。その後、濾過して、反応液と触媒を分離し
た。濾液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液10cm3 を滴
下して未反応の過酸化水素を分解した。水相をジクロロ
メタン10cm3 で2回抽出した後、抽出液に無水硫酸マ
グネシウムを加えて乾燥させた。抽出液を濃縮した後、
濃縮液にテトラデカン(内標準物質)を加え、ガスクロ
マトグラフィーを用いて分析した結果、シクロヘキセン
の転化率は3%であり、対応するエポキシド(シクロヘ
キセンオキシド)の選択性は78%であった。
【0051】(比較例3)容量50cm3 の丸底フラスコ
に、室温で、N,N−ジメチルフォルムアミドジ−ノル
マル−ブチルアセタール500mg及びヘキサン10cm3
を加えた。攪拌しながら、中性アルミナ500mgを加
え、窒素雰囲気下、同温度で1時間激しく攪拌した。攪
拌終了後、減圧下(133Pa)、50℃で溶媒を留去し
た。その後、蒸留水5cm3 に溶解させた12−タングス
トケイ酸500mgを加え、窒素雰囲気下、室温で1時間
激しく攪拌した。攪拌終了後、減圧下(133Pa)、8
0℃で溶媒を留去した後、減圧下(133Pa)、80℃
で5時間乾燥させて、触媒を調製した。また、乾燥後は
前記触媒をデシケーター中にて保存した。
【0052】容量10cm3 の丸底フラスコに、前記触媒
0.021ミリモル、蒸留水1cm3、シクロヘキセン
0.246g(3ミリモル)及び30%過酸化水素水
0.68g(6ミリモル)を加え、窒素雰囲気下、90
℃で7時間激しく攪拌した。反応終了後、反応液を室温
に冷却した。その後、濾過し、反応液と触媒を分離し
た。濾液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液10cm3 を滴
下して未反応の過酸化水素を分解した。水相をジクロロ
メタン10cm3 で2回抽出した後、抽出液に無水硫酸マ
グネシウムを加えて乾燥させた。濃縮した後、濃縮液に
テトラデカン(内標準物質)を加え、ガスクロマトグラ
フィーを用いて分析した結果、反応は全く進行せず、対
応するエポキシド(シクロヘキセンオキシド)は全く検
出されなかった。
【0053】(実施例2)実施例1において、アルミナ
に代えて、シリカゲルを用いた以外は、実施例1と同様
にして触媒を調製した。また、調製後は前記触媒をデシ
ケーター中にて保存した。
【0054】エポキシ化反応は、実施例1において、ア
ルミナを担体とする触媒(0.7モル%)に代えて、前
記シリカゲルを担体とする触媒(0.7モル%)を用い
た以外は、実施例1と同様にして、反応を行った。濃縮
液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、シ
クロヘキセンの転化率は98%であり、対応するエポキ
シド(シクロヘキセンオキシド)の選択性は100%で
あった。
【0055】(実施例3)実施例1において、アルミナ
に代えて、活性炭を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、触媒を調製した。また、調製後は前記触媒をデシケ
ーター中にて保存した。
【0056】エポキシ化反応は、実施例1において、ア
ルミナを担体とする触媒(0.021ミリモル)に代え
て、前記活性炭を担体とする触媒(0.021ミリモ
ル)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行
った。濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて分析し
た結果、シクロヘキセンの転化率は97%であり、対応
するエポキシド(シクロヘキセンオキシド)の選択性は
100%であった。
【0057】(実施例4)実施例1において、N,N−
ジメチルフォルムアミド ジ−ノルマル−ブチルアセタ
ール(500mg)に代えて、N,O−ビス(トリメチル
シリル)アセトアミド(500mg)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、触媒を調製した。また、調製後は
前記触媒をデシケーター中にて保存した。
【0058】エポキシ化反応は、実施例1において、
N,N−ジメチルフォルムアミド ジ−ノルマル−ブチ
ルアセタールを表面処理剤とする触媒(0.021ミリ
モル)に代えて、前記N,O−ビス(トリメチルシリ
ル)アセトアミドを表面処理剤とする触媒(0.021
ミリモル)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反
応を行った。濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて
分析した結果、シクロヘキセンの転化率及び対応するエ
ポキシド(シクロヘキセンオキシド)の選択性は共に1
00%であった。
【0059】(実施例5)実施例1において、N,N−
ジメチルフォルムアミド ジ−ノルマル−ブチルアセタ
ール(500mg)に代えて、N,N−ジメチルフォルム
アミド ジ−ノルマル−ブチルアセタール(200mg)
を用い、かつ、12−タングストリン酸(500mg)に
代えて、12−タングストリン酸(100mg)を用いた
以外は、実施例1と同様にして、触媒を調製した。ま
た、調製後は前記触媒をデシケーター中にて保存した。
【0060】エポキシ化反応は、実施例1において、前
記触媒(0.021ミリモル)を用いた以外は、実施例
1と同様にして、反応を行った。濃縮液をガスクロマト
グラフィーを用いて分析した結果、シクロヘキセンの転
化率は98%であり、対応するエポキシド(シクロヘキ
センオキシド)の選択性は100%であった。
【0061】(実施例6)実施例1において、用いた触
媒(0.021ミリモル)に代えて、実施例1において
回収した触媒(0.021ミリモル)を用いた以外は、
実施例1と同様にして反応を行った。濃縮液をガスクロ
マトグラフィーを用いて分析した結果、シクロヘキセン
の転化率及び対応するエポキシド(シクロヘキセンオキ
シド)の選択性は共に100%であった。
【0062】(実施例7)実施例1において、反応温度
を90℃から60℃に変更し、更に反応時間を7時間か
ら18時間に変更した以外は、実施例1と同様にして反
応を行った。濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて
分析した結果、シクロヘキセンの転化率及び対応するエ
ポキシド(シクロヘキセンオキシド)の選択性は共に1
00%であった。
【0063】(実施例8)実施例1において、水を用い
ずに無溶媒とし、反応温度を90℃から50℃に変更
し、更に反応時間を7時間から20時間に変更した以外
は、実施例1と同様にして、反応を行った。濃縮液をガ
スクロマトグラフィーを用いて分析した結果、シクロヘ
キセンの転化率及び対応するエポキシド(シクロヘキセ
ンオキシド)の選択性は共に100%であった。
【0064】(実施例9)実施例1において、水の使用
量を1gから2gに変更し、更に反応時間を7時間から
15時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、反
応を行った。濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて
分析した結果、シクロヘキセンの転化率及び対応するエ
ポキシド(シクロヘキセンオキシド)の選択性は共に1
00%であった。
【0065】(実施例10)実施例1において、水1g
に代えて、トルエン1gを用いた以外は、実施例1と同
様にして、反応を行った。濃縮液をガスクロマトグラフ
ィーを用いて分析した結果、シクロヘキセンの転化率は
98%であり、対応するエポキシド(シクロヘキセンオ
キシド)の選択性は共に100%であった。
【0066】(実施例11)実施例1において、水1g
に代えて、キシレン1gを用いた以外は、実施例1と同
様にして、反応を行った。濃縮液をガスクロマトグラフ
ィーを用いて分析した結果、シクロヘキセンの転化率は
97%であり、対応するエポキシド(シクロヘキセンオ
キシド)の選択性は共に100%であった。
【0067】(実施例12)実施例1において、水1g
に代えて、ヘキサン1gを用いた以外は、実施例1と同
様にして、反応を行った。濃縮液をガスクロマトグラフ
ィーを用いて分析した結果、シクロヘキセンの転化率は
94%であり、対応するエポキシド(シクロヘキセンオ
キシド)の選択性は共に100%であった。
【0068】(実施例13)実施例1において、水1g
に代えて、デカリン1gを用いた以外は、実施例1と同
様にして、反応を行った。濃縮液をガスクロマトグラフ
ィーを用いて分析した結果、シクロヘキセンの転化率は
95%であり、対応するエポキシド(シクロヘキセンオ
キシド)の選択性は共に100%であった。
【0069】(実施例14)容量300cm3 の丸底フラ
スコに、室温で、N,N−ジメチルフォルムアミドジ−
ノルマル−ブチルアセタール5g及びヘキサン100cm
3 を加えた。攪拌しながら、中性アルミナ5gを加え、
窒素雰囲気下、同温度で1時間激しく攪拌した。攪拌終
了後、減圧下(133Pa)、50℃で溶媒を留去した。
その後、蒸留水100cm3 に溶解させた12−タングス
トリン酸5gを加えて、窒素雰囲気下、室温で1時間激
しく攪拌した。攪拌終了後、減圧下(133Pa)、80
℃で溶媒を留去した後、減圧下(133Pa)、80℃で
5時間乾燥させて、触媒を調製した。また、乾燥後は前
記触媒をデシケーター中にて保存した。
【0070】容量200cm3 の丸底フラスコに、前記触
媒2.1ミリモル、蒸留水100cm 3 、シクロヘキセン
24.6g(300ミリモル)及び30%過酸化水素水
68g(600ミリモル)を加え、窒素雰囲気下、90
℃で7時間激しく攪拌した。反応終了後、反応液を室温
に冷却した。その後、濾過して、反応液と触媒を分離し
た。濾液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液100cm3
滴下して未反応の過酸化水素を分解した。水相をジクロ
ロメタン100cm3 で2回で抽出した後、抽出液に無水
硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。抽出液を濃縮し
た後、濃縮液にテトラデカン(内標準物質)を加え、ガ
スクロマトグラフィーを用いて分析した結果、シクロヘ
キセンの転化率及び対応するエポキシド(シクロヘキセ
ンオキシド)の選択性は共に100%であった。濃縮液
の減圧蒸留により、シクロヘキセンオキシドが27.6
8g(94%)得られた。
【0071】(実施例15)実施例1において、シクロ
ヘキセン0.246g(3ミリモル)に代えて、シクロ
ヘプテン0.289g(3ミリモル)を用いた以外は、
実施例1と同様にして、反応を行った。濃縮液をガスク
ロマトグラフィーを用いて分析した結果、シクロヘプテ
ンの転化率及び対応するエポキシド(シクロヘプテンオ
キシド)の選択性は共に100%であった。
【0072】(実施例16)実施例1において、シクロ
ヘキセン0.246g(3ミリモル)に代えて、シクロ
オクテン(0.331g、3ミリモル)を用いた以外
は、実施例1と同様にして、反応を行った。濃縮液をガ
スクロマトグラフィーを用いて分析した結果、シクロオ
クテンの転化率及び対応するエポキシド(シクロオクテ
ンオキシド)の選択性は共に100%であった。
【0073】(実施例17)実施例1において、シクロ
ヘキセン0.246g(3ミリモル)に代えて、ノルボ
ルネン0.282g(3ミリモル)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、反応を行った。濃縮液をガスクロ
マトグラフィーを用いて分析した結果、シクロオクテン
の転化率及び対応するエポキシド(エキソ−2,3−エ
ポキシノルボルネン)の選択性は共に100%であっ
た。
【0074】(実施例18)実施例1において、シクロ
ヘキセン0.246g(3ミリモル)に代えて、アリル
アルコール0.171g(3ミリモル)を用いた以外
は、実施例1と同様にして、反応を行った。濃縮液をガ
スクロマトグラフィーを用いて分析した結果、アリルア
ルコールの転化率及び対応するエポキシド(3−ヒドロ
キシ−1,2−エポキシプロパン)の選択性は共に10
0%であった。
【0075】(実施例19)実施例1において、シクロ
ヘキセン0.246g(3ミリモル)に代えて、トラン
ス−2−オキシ−3−デセン0.463g(3ミリモ
ル)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行
った。濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて分析し
た結果、トランス−2−オキシ−3−デセンの転化率及
び対応するエポキシド(3,4−エポキシ−2−デカノ
ン)の選択性は共に100%であった。
【0076】(実施例20)実施例1において、シクロ
ヘキセン0.246g(3ミリモル)に代えて、2,3
−ジメチル−2−ブテン0.252g(3ミリモル)を
用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行った。
濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結
果、2,3−ジメチル−2−ブテンの転化率及び対応す
るエポキシド(2,3−ジメチル−2,3−エポキシブ
タン)の選択性は共に100%であった。
【0077】(実施例21)実施例1において、シクロ
ヘキセン0.246g(3ミリモル)に代えて、1−フ
ェニル−1−シクロヘキセン0.475g(3ミリモ
ル)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行
った。濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて分析し
た結果、1−フェニル−1−シクロヘキセンの転化率及
び対応するエポキシド(1−フェニル−1,2−エポキ
シシクロヘキサン)の選択性は共に100%であった。
【0078】(実施例22)実施例1において、シクロ
ヘキセン0.246g(3ミリモル)に代えて、1−メ
チル−1−シクロヘキセン0.285g(3ミリモル)
を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行っ
た。濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した
結果、1−メチル−1−シクロヘキセンの転化率及び対
応するエポキシド(1−メチル−1,2−エポキシシク
ロヘキサン)の選択性は共に100%であった。
【0079】(実施例23)実施例1において、シクロ
ヘキセン0.246g(3ミリモル)に代えて、スチレ
ン0.312g(3ミリモル)を用いた以外は、実施例
1と同様にして、反応を行った。濃縮液をガスクロマト
グラフィーを用いて分析した結果、スチレンの転化率及
び対応するエポキシド(スチレンオキシド)の選択性は
共に100%であった。
【0080】(実施例24)容量50cm3 の丸底フラス
コに、室温で、N,N−ジメチルフォルムアミドジ−ノ
ルマル−ブチルアセタール250mg、トリフェニルエト
キシシラン250mg及びヘキサン10cm3 を加えた。攪
拌しながら、中性アルミナ500mgを加え、窒素雰囲気
下、同温度で1時間激しく攪拌した。攪拌終了後、減圧
下(133Pa)、50℃で溶媒を留去した。その後、ジ
クロロメタン5cm3 に溶解させたトリセチルピリジニウ
ム−12−タングストリン酸500mgを加えて、窒素雰
囲気下、室温で1時間激しく攪拌した。攪拌終了後、減
圧下(133Pa)、室温で溶媒を留去した後、減圧下
(133Pa)、同温度で5時間乾燥させて、触媒を調製
した。また、乾燥後は前記触媒をデシケーター中にて保
存した。
【0081】容量10cm3の丸底フラスコに、前記触媒
0.021ミリモル、蒸留水1cm3、トランス−スチル
ベン0.541g(3ミリモル)及び30%過酸化水素
水0.68g(6ミリモル)を加え、窒素雰囲気下、9
0℃で7時間激しく攪拌した。反応終了後、反応液を室
温に冷却した。その後、濾過し、反応液と触媒を分離し
た。濾液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液10cm3 を滴
下して未反応の過酸化水素を分解した。水相をジクロロ
メタン10cm3 で2回抽出した後、抽出液に無水硫酸マ
グネシウムを加えて乾燥させた。抽出液を濃縮した後、
濃縮液にテトラデカン(内標準物質)を加え、ガスクロ
マトグラフィーを用いて分析した結果、トランス−スチ
ルベンの転化率及び対応するエポキシド(トランス−ス
チルベンオキシド)の選択性は共に100%であった。
【0082】(実施例25)実施例24において、トラ
ンス−スチルベン0.541g(3ミリモル)に代え
て、シス−シチルベン0.541g(3ミリモル)を用
いた以外は、実施例24と同様にして、反応を行った。
濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結
果、シス−スチルベンの転化率及び対応するエポキシド
(シス−スチルベンオキシド)の選択性は共に100%
であった。
【0083】(実施例26)実施例24において、トラ
ンス−スチルベン0.541g(3ミリモル)に代え
て、トランス−4−オクテン0.337g(3ミリモ
ル)を用いた以外は、実施例24と同様にして、反応を
行った。濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて分析
した結果、トランス−4−オクテンの転化率及び対応す
るエポキシド(4,5−エポキシオクタン)の選択性は
共に100%であった。
【0084】(実施例27)実施例24において、トラ
ンス−スチルベン0.541g(3ミリモル)に代え
て、1−オクテン0.337g(3ミリモル)を用いた
以外は、実施例24と同様にして、反応を行った。濃縮
液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、1
−オクテンの転化率及び対応するエポキシド(1,2−
エポキシオクタン)の選択性は共に100%であった。
【0085】(実施例28)実施例24において、トラ
ンス−スチルベン0.541g(3ミリモル)に代え
て、1−ノネン0.379g(3ミリモル)を用いた以
外は、実施例24と同様にして、反応を行った。濃縮液
をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、1−
ノネンの転化率及び対応するエポキシド(1,2−エポ
キシノナン)の選択性は共に100%であった。
【0086】(実施例29)実施例24において、トラ
ンス−スチルベン0.541g(3ミリモル)に代え
て、メチルビニルケトン0.21g(3ミリモル)を用
いた以外は、実施例24と同様にして、反応を行った。
濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結
果、メチルビニルケトンの転化率及び対応するエポキシ
ド(3−オキソ−1,2−エトキシブタン)の選択性は
共に100%であった。
【0087】(実施例30)実施例24において、トラ
ンス−スチルベン0.541g(3ミリモル)に代え
て、フェニルアリルエーテル0.403g(3ミリモ
ル)を用いた以外は、実施例24と同様にして、反応を
行った。濃縮液をガスクロマトグラフィーを用いて分析
した結果、フェニルアリルエーテルの転化率及び対応す
るエポキシド(3−フェノキシ−1,2−エトキシプロ
パン)の選択性は共に100%であった。
【0088】
【発明の効果】本発明のエポキシ化触媒は、オレフィン
類の種類に関係なく、しかも、低い濃度の過酸化水素を
用いても、選択性99%以上でエポキシドを製造するこ
とができ、反応後の触媒の回収、再利用が可能であると
いう利点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 AA09 BA01A BA01B BA02A BA02B BA07A BA08A BA08B BA13A BA21A BA21B BA38 BB07A BB07B BC60A BC60B BD05A BD05B BD07A BD07B BE17A BE17B BE20A BE32A BE32B BE37A BE37B BE40A BE40B CB08 CB73 DA08 FA03 FB18 FB19 FC04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性炭又は表面処理剤と反応可能な官能
    基を有する無機固体に表面処理剤を反応させて表面処理
    して得られる担体に、分子中に周期律表第V族原子及び
    タングステン原子を有するヘテロポリ酸を担持してなる
    エポキシ化触媒。
  2. 【請求項2】 表面処理剤として、アルキル化剤、トリ
    メチルシリル化剤及びシランカップリング剤からなる群
    から選ばれる表面処理剤を用いた請求項1記載のエポキ
    シ化触媒。
  3. 【請求項3】 表面処理剤として、更に親油性のシラン
    カップリング剤を併用した請求項2記載のエポキシ化触
    媒。
  4. 【請求項4】 周期律表第V族原子が窒素原子又はリン
    原子である請求項1、2又は3記載のエポキシ化触媒。
  5. 【請求項5】 ヘテロポリ酸が第4級アンモニウムイオ
    ンとヘテロポリ酸との塩である請求項1、2、3又は4
    記載のエポキシ化触媒。
  6. 【請求項6】 第4級アンモニウムイオンが一般式
    (1) 【化1】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、少なくとも一つの基
    が炭素原子数8〜18のアルキル基であり、残りの基が
    炭素原子数1〜18のアルキル基又はベンジル基であ
    る)で表される第4級アンモニウムイオン又は含窒素複
    素環を有する第4級アンモニウム化合物から誘導される
    第4級アンモニウムイオンである請求項5記載のエポキ
    シ化触媒。
  7. 【請求項7】 オレフィン類と過酸化水素とを水又は有
    機溶媒中で触媒の存在下に反応させてオレフィンのエポ
    キシ化物を製造する方法において、触媒として、請求項
    1〜6のいずれか1項に記載のエポキシ化触媒を用いる
    ことを特徴とするエポキシ化物の製造方法。
JP11191569A 1999-07-06 1999-07-06 エポキシ化触媒及び該触媒を用いたオレフィン類のエポキシ化物の製造方法 Pending JP2001017863A (ja)

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