JP2001013678A - 磁性フィラーを含有する感光性樹脂組成物及び感光性フィルム並びにそれらを用いたパターン形成方法 - Google Patents

磁性フィラーを含有する感光性樹脂組成物及び感光性フィルム並びにそれらを用いたパターン形成方法

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JP2001013678A
JP2001013678A JP11188500A JP18850099A JP2001013678A JP 2001013678 A JP2001013678 A JP 2001013678A JP 11188500 A JP11188500 A JP 11188500A JP 18850099 A JP18850099 A JP 18850099A JP 2001013678 A JP2001013678 A JP 2001013678A
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magnetic
magnetic filler
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Shigekatsu Onishi
重克 大西
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Taiyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 パターン化するフィラー含有感光性樹脂組成物の皮膜が
厚膜でも、また多量のフィラーを含有する場合でも、大
きな光硬化深度が得られる解像性に優れた感光性樹脂組
成物及び感光性フィルム、並びにパターン形成方法を提
供する。 【解決手段】 フィラーを含有する感光性樹脂組成物に
おいて、上記フィラーとして高アスペクト比の形状異方
性の磁性フィラー2を用いる。このような磁性フィラー
含有感光性樹脂組成物1を基板3に塗布し、得られた塗
膜に少なくとも光照射方向に磁場を印加しながら予備硬
化を行ない、前記磁性フィラーを磁場印加方向に配向さ
せた後、所定のパターンに従って選択的に露光し、次い
で現像して未露光部を除去することにより、高精細なパ
ターンを形成できる。上記感光性樹脂組成物は、ネガ型
又はポジ型のいずれの感光性樹脂組成物であってもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性フィラーを含
有する感光性樹脂組成物及び感光性フィルム、並びにそ
れらを用いた露光方法及びパターン形成方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、エッチングレジスト、ソル
ダーレジスト等の各種レジストや、プラズマディスプレ
イパネル(以下、PDPと略称する)の隔壁(バリヤー
リブ)パターン、誘電体パターン、電極(導体回路)パ
ターン、ブラックマトリックスパターン等、及び各種基
板上に形成された微細な配線パターンと他の配線パター
ン又は各種電子部品の電極を接続する際に用いられる導
電ペーストや導電フィルムなど、種々のパターン形成に
有用な磁性フィラーを含有する感光性樹脂組成物、感光
性フィルム及びそれらのパターン形成技術に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】感光性樹
脂組成物を用いてパターン状皮膜を形成する場合、塗膜
厚さが厚くなる程、また配合されているフィラーの含有
量が高くなる程、露光の際の光硬化深度(ポジ型の場合
は光分解深度、以下同様)の不足により現像後に解像性
不良が生じる場合がある。特に、多量のフィラーを含有
する感光性ペーストや感光性フィルムからフォトリソグ
ラフィー法によりPDPの隔壁パターンや、導体パター
ン、誘電体パターンなどの種々のパターンを形成する場
合、露光の際に、フィラーによる光の乱反射等のために
充分な光硬化深度が得られず、解像性不良が発生すると
いう問題があった。
【0003】すなわち、フィラーの形状が鱗片状、針状
のように高アスペクト比を持つ場合、フィラーは重層し
た状態で塗膜中に分散し易いため、フィラーによる遮光
作用が顕著となり、塗膜の深部での光硬化が不充分とな
る。また、球状のフィラーを使用した場合でも、塗膜中
に多量にフィラーが存在するため、また球状フィラーに
よる光の散乱のため、塗膜の深部に達する光量が不充分
となり、光硬化深度に限界があった。このような光散乱
を防止すべく球状フィラーをより微細にした場合、逆に
黒化し易く、光の吸収を生ずるため効果的ではない。
【0004】さらに、大きなフィラーが露光部と未露光
部の境界(硬化部と未硬化部の境界)に位置した場合、
境界に存在するフィラーのために未露光部への光散乱を
生じたり、露光後の現像の際に、この大きなフィラーが
境界位置に残存したり、又は脱離してボイドを生ずるた
め、解像性に悪影響を及ぼすことがあった。
【0005】本発明は、前記した従来技術の問題点を解
決するためになされたものであり、その主たる目的は、
パターン化するフィラー含有感光性樹脂組成物の皮膜が
厚膜であっても、また多量のフィラーを含有する場合で
あっても、大きな光硬化深度(ポジ型の場合は光分解深
度)が得られる解像性に優れた感光性樹脂組成物及び感
光性フィルムを提供し、また、露光、現像によって高精
細なパターンを形成する技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の第一の側面によれば、フィラーを含有する
感光性樹脂組成物において、上記フィラーが形状異方性
の磁性フィラーであることを特徴とする磁性フィラー含
有感光性樹脂組成物が提供される。好適な態様によれ
ば、上記磁性フィラーとしては、アスペクト比が2〜5
0の鱗片状又は針状の磁性フィラーが用いられる。上記
感光性樹脂組成物は、ネガ型又はポジ型のいずれの感光
性樹脂組成物であってもよい。
【0007】また、本発明の第二の側面によれば、前記
磁性フィラー含有感光性樹脂組成物を基板に塗布し、得
られた塗膜に、露光工程中又はその前の予備硬化工程
中、少なくとも光照射方向に磁場を印加して前記磁性フ
ィラーを磁場印加方向に配向させた後、露光することを
特徴とする磁性フィラー含有感光性樹脂組成物の露光方
法が提供される。
【0008】本発明の第三の側面によれば、前記磁性フ
ィラー含有感光性樹脂組成物を基板に塗布し、得られた
塗膜に少なくとも光照射方向に磁場を印加しながら予備
硬化を行ない、前記磁性フィラーを磁場印加方向に配向
させた後、所定のパターンに従って選択的に露光し、次
いで現像することを特徴とする磁性フィラー含有感光性
樹脂組成物のパターン形成方法が提供される。前記磁性
フィラー含有感光性樹脂組成物の露光方法及びパターン
形成方法においては、前記光照射方向に加えてパターン
ライン方向にも交互に磁場を印加し、磁性フィラーをパ
ターンライン方向にも配向させることができる。
【0009】さらに本発明の第四の側面によれば、前記
磁性フィラー含有感光性樹脂組成物のフィルムであっ
て、少なくともその膜厚方向に前記形状異方性の磁性フ
ィラーが配向していることを特徴とする磁性フィラー含
有感光性フィルムが提供される。また、本発明の第五の
側面によれば、前記磁性フィラー含有感光性樹脂組成物
を剥離用基板に塗布し、得られた塗膜に、少なくとも膜
厚方向に磁場を印加して前記磁性フィラーを磁場印加方
向に配向させた状態でフィルム化することを特徴とする
磁性フィラー含有感光性フィルムの製造方法が提供され
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の基本的な概念は、針状、
鱗片状、短冊状、円板状等の高アスペクト比の形状異方
性磁性粒子に磁場を印加したときに、このような形状異
方性の磁性粒子が磁力線の方向に配向するという現象を
利用し、形状異方性の磁性フィラーを含有する感光性樹
脂組成物を用い、これを基板に塗布し、得られた塗膜
に、露光工程中又はその前の予備硬化工程(感光性フィ
ルムの場合は塗膜をフィルム化する工程)で、少なくと
も光照射方向に磁場を印加して前記磁性フィラーを磁場
印加方向に配向させた後、露光することにある。
【0011】すなわち、形状異方性の磁性粒子、例えば
針状磁性粒子を含有する感光性樹脂組成物の塗膜に磁場
を印加すると、針状磁性粒子は磁力線の方向に配向す
る。この状態で、針状磁性粒子の配向方向(磁力線の方
向もしくは磁場の印加方向)から光(活性エネルギー
線)を照射すると、針状磁性粒子の向きは照射光線と平
行であるため、光を遮断することはなく、フィラーの含
有量が多くても塗膜の深部にも充分な量の光が達し、ま
た露光部と未露光部の境界に位置するフィラーも露光後
の現像の際に解像性に悪影響を及ぼすことはない。その
結果、光硬化深度(ポジ型の場合は光分解深度)が深く
なり、解像度を改善できる。また、鱗片状や短冊状等の
所定の幅を有する形状異方性磁性粒子の場合、光の照射
方向(膜厚方向)と所定のパターンラインに平行方向の
2方向にパルス的に数度磁場を印加することにより、膜
厚方向(光の照射方向)だけでなくパターンラインと平
行方向にも形状異方性磁性粒子を揃える(長さ方向と幅
方向を配向させる)ことができ、パターンラインの解像
度をより一層改善することができる。
【0012】このような本発明の技術的思想は、種々の
パターン形成や感光性フィルムの作製に応用できる。す
なわち、前記磁性フィラー含有感光性樹脂組成物を基板
に塗布し、得られた塗膜に少なくとも光照射方向に磁場
を印加しながら予備硬化を行ない、前記磁性フィラーを
磁場印加方向に配向させた後、所定のパターンに従って
選択的に露光し、次いで現像することにより、高精細な
パターンを形成できる。また、前記磁性フィラー含有感
光性樹脂組成物を剥離用基板に塗布し、得られた塗膜
に、少なくとも膜厚方向に磁場を印加して前記磁性フィ
ラーを磁場印加方向に配向させた状態でフィルム化する
ことにより、少なくともその膜厚方向に前記形状異方性
の磁性フィラーが配向している磁性フィラー含有感光性
フィルムが得られる。
【0013】以下、本発明に係る磁性フィラー含有感光
性樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。本発明
に用いる磁性フィラーとしては、磁場を印加したときに
磁力線の方向に配向する形状異方性の磁性フィラーであ
れば全て用いることができ、鉄、ニッケル、コバルト等
の金属(金属合金を含む)や金属間化合物、マグネタイ
ト、フェライト等の金属酸化物など従来公知の各種磁性
材料の針状、鱗片状、短冊状、円板状等の形状異方性の
粉末を用いることができる。その他、非磁性材料と磁性
材料を複合化して磁気特性を付与した粉末材料、例えば
非磁性材料のコア粒子の表面に磁性材料をコーティング
した粉末や、逆に磁性材料のコア粒子の表面に非磁性材
料をコーティングした粉末なども用いることができる。
【0014】磁性フィラーのアスペクト比(横断面サイ
ズ(直径、厚さ又は幅)に対する長さの比)及び形状
は、特に限定されるものではないが、磁場を印加した際
に、磁力線の方向に配向し、遮光作用を軽減するもので
ある必要がある。このような点から、磁性フィラーのア
スペクト比は、約2以上であることが必要であり、好ま
しくは約5以上が望ましい。一方、磁性フィラーのアス
ペクト比が大きすぎると、感光性樹脂組成物が増粘した
り、フィラー同士の絡まりにより磁場を印加したときに
配向し難くなり、またこのような形状の磁性フィラーの
調製自体が困難になるため、約50以下のアスペクト比
を有する磁性フィラーを使用することが望ましい。ま
た、同様な理由から、磁性フィラーのサイズ(長さ)
は、約50μm以下、好ましくは2〜25μmの範囲が
望ましい。
【0015】また、感光性樹脂組成物に目的とする特性
を付与するために、磁気特性を有する副材料のコア粒子
の表面に所望の特性を付与するための主材料をコーティ
ングした磁性フィラーや、逆に所望の特性を有する主材
料のコア粒子の表面に磁気特性を付与するための副材料
をコーティングした磁性フィラーを用いることもでき
る。例えば、導電性の磁性フィラーとするには、コア粒
子としてFe、Ni、Co等の磁性粉末を用い、Cu、
Ag、Au、Pt、Al、Sn、Pb、Zn、Pd、I
r、Os、Rh、Ru、W等の金属や合金、酸化錫、酸
化インジウム、ITO、酸化ルテニウムなどの導電性材
料をコーティングすればよい。隔壁パターンの形成に用
いる場合には、ガラス質材料をコーティングすればよ
い。また、ブラックマトリックスパターンの形成に用い
る場合には、Fe、Ni、Co、Cu、Mn、Al等の
1種又は2種以上の金属酸化物からなる黒色顔料をコー
ティングすればよい。これらの具体例としては、例えば
以下のようなものが挙げられる。
【0016】(1)コア粒子としての磁性粉末(副材
料)に所望の主材料をコーティングしたもの 例えば、図1に示すように、鱗片状ニッケル粒子の表面
に銀をコーティングし、導電性の磁性フィラーとする。
コーティング方法としては、めっき、蒸着、スパッタリ
ング、ゾル−ゲル法等が挙げられるが、特定の方法に限
定されるものではない。なお、フィラーの鱗片化等の形
状異方性付与処理は、コーティングの前でも後でもよ
い。
【0017】(2)メカニカルアロイ法により磁性粉
(副材料)と主材料粉を合金化したもの 例えば、銀粉と鉄粉を混合し、メカニカルアロイ化す
る。この場合、メカニカルアロイ化によってフィラーの
鱗片化処理が同時に行なわれる。 (3)鱗片状等の形状異方性主材料粒子の表面に磁性材
料(副原料)をコーティングしたもの 例えば、鱗片状銀粉にニッケルをコーティングする。コ
ーティング法としては、前記(1)と同様の方法を用い
ることができる。
【0018】このような磁性フィラーの配合割合は、こ
れを添加する感光性樹脂組成物の用途等に応じて適宜の
割合とすることができるが、本発明の効果を発揮させる
ためには、感光性樹脂組成物全量の少なくとも約10重
量%以上配合する必要があり、好ましくは約30重量%
以上配合することが望ましい。配合割合の上限は、一般
に、インキ組成物として用いる場合には組成物全量の約
50重量%以下が望ましく、一方、ペースト組成物とし
て用いる場合には組成物全量の約95重量%以下が望ま
しい。
【0019】前記のような磁性フィラーを配合する感光
性樹脂組成物は、ネガ型又はポジ型のいずれでもよく、
従来公知の種々の感光性樹脂組成物を用いることができ
る。ネガ型の感光性樹脂組成物は、基本的には光硬化性
成分と光重合開始剤を含有し、必要に応じて高分子バイ
ンダーや有機溶剤の他、シリコーン系、アクリル系等の
消泡・レベリング剤、皮膜の密着性向上のためのシラン
カップリング剤、着色顔料や体質顔料、着色染料、難燃
剤等の各種添加剤を含有する。また、後述するようなエ
ポキシ樹脂やエポキシ樹脂用硬化剤を配合することによ
り、光硬化性・熱硬化性樹脂組成物に構成することもで
きる。
【0020】まず、ネガ型感光性樹脂組成物の光硬化性
成分としては、活性エネルギー線の照射によりラジカル
重合する化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマー)で
あれば特に限定されず、(メタ)アクリレート系化合
物、不飽和ポリエステル系化合物、不飽和ウレタン系化
合物、スチレン系化合物、ブタジエン系化合物等が挙げ
られる。このようなエチレン性不飽和化合物の中でも、
(メタ)アクリレート系化合物が特に好ましく、この
(メタ)アクリレート系化合物は単官能、多官能及びモ
ノマー、オリゴマー(プレポリマー)のいずれであって
もよく、またアクリロイル基(メタクリロイル基)以外
の官能基を有していてもよい。具体的には、置換又は非
置換の脂肪族アクリレート、脂環族アクリレート、芳香
族アクリレート及びこれらのエチレンオキサイド変性ア
クリレート等のモノマーや、エポキシアクリレート、ウ
レタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリ
エーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、アル
キッドアクリレート、メラミンアクリレート、シリコー
ンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート等のオリ
ゴマー、並びにこれらに対応するメタクリレート類など
を挙げることができる。なお、本明細書中において、
(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレ
ート及びそれらの混合物を総称する用語であり、他の類
似の表現についても同様である。
【0021】エチレン性不飽和化合物の具体例として
は、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール
(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロキシトリ
シクロ[5.2.1.02.6]デカン、イソボルニル
(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘ
キシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル
(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メ
タ)アクリレート、4−(メタ)アクリロキシアルキル
アシッドホスフェート、γ−(メタ)アクリロキシアル
キルトリアルコキシシランなどの単官能(メタ)アクリ
レート類;アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリ
ドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルカ
ルバゾール、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリ
ル、トリアルコキシビニルシランなどの単官能モノマー
類;ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ア
ルキレンオキサイド変性ビスフェノール−A−ジ(メ
タ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、1,9−ノナンジオ−ルジ(メタ)アクリ
レート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールペンタ(メタ)アクリレート、ビス[4−(メ
タ)アクリロキシメチル]トリシクロ[5.2.1.0
2.6]デカン、ビス[4−(メタ)アクリロキシ−2
−ヒドロキシプロピルオキシフェニル]プロパン、イソ
ホロンジイソシアネート変性ウレタンジ(メタ)アクリ
レート、ヘキサメチレンジイソシアネート変性ウレタン
ジ(メタ)アクリレート、トリメチルヘキサメチレンジ
イソシアネート変性ウレタン(メタ)アクリレート、ト
リメチルヘキサメチレンジイソシアネート変性ウレタン
(メタ)アクリレート、脂肪族エポキシ変性(メタ)ア
クリレート、オリゴシロキサニルジ(メタ)アクリレー
トなどの多官能(メタ)アクリレート類;トリアリルイ
ソシアヌレート、ビニル(メタ)アクリレート、アリル
(メタ)アクリレートなどの多官能モノマー類などが挙
げられ、これらのエチレン性不飽和化合物を単独で又は
2種以上を混合して用いることができる。
【0022】前記したような光硬化性成分の中でも、ア
ルカリ水溶液による現像が可能であり、しかも耐薬品
性、基板に対する密着性、電気絶縁性、硬度等の皮膜特
性に優れた皮膜が得られる点から、1分子中にカルボキ
シル基と少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を併せ
持つ感光性プレポリマー(オリゴマー又はポリマー)が
好ましい。
【0023】このような感光性プレポリマーとしては、
(1)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する
多官能のエポキシ化合物(a)のエポキシ基と不飽和モ
ノカルボン酸(b)のカルボキシル基をエステル化反応
(全エステル化又は部分エステル化、好ましくは全エス
テル化)させ、生成した2級の水酸基にさらに飽和又は
不飽和の多塩基酸無水物(c)を反応させたもの、
(2)アルキル(メタ)アクリレートとグリシジル(メ
タ)アクリレートからなる共重合体に(メタ)アクリル
酸を反応させた後、さらに飽和又は不飽和の多塩基酸無
水物(c)を反応させたもの、(3)ヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレー
トとグリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体に
(メタ)アクリル酸を反応させた後、さらに飽和又は不
飽和の多塩基酸無水物(c)を反応させたもの、(4)
アルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と
の共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを部分的
に反応させたもの、(5)1分子中に少なくとも2個の
エポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(a)と、不
飽和モノカルボン酸(b)と、1分子中に少なくとも2
個の水酸基と、エポキシ基と反応する水酸基以外の1個
の他の反応性基を有する化合物(d)との反応物(I)
に、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物(c)を反応させ
たもの、(6)無水マレイン酸等の不飽和多塩基酸無水
物とスチレン等のビニル基を有する芳香族炭化水素との
共重合体に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
を反応させたもの等の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂
や、(7)上記反応物(I)と飽和又は不飽和の多塩基
酸無水物(c)と不飽和基含有モノイソシアネート
(e)との反応物等の不飽和基含有ポリカルボン酸ウレ
タン樹脂などを挙げることができる。
【0024】上記のような感光性プレポリマーは、バッ
クボーン・ポリマーの側鎖に多数の遊離のカルボキシル
基を付与したものであるため、この感光性プレポリマー
を含有する組成物は、希アルカリ水溶液による現像が可
能となると同時に、露光、現像によって所定のパターン
の光硬化皮膜が得られる。また、上記感光性プレポリマ
ーの酸価は、その種類によって好適な範囲は異なるが、
約30〜160mgKOH/gの範囲にあることが必要
であり、好ましい範囲は約40〜120mgKOH/g
である。酸価が30mgKOH/gより小さい場合には
アルカリ水溶液への溶解性が悪くなり、逆に160mg
KOH/gより大きすぎると、硬化膜の耐アルカリ性、
電気特性等のレジストとしての特性を下げる要因となる
ので、いずれも好ましくない。
【0025】前記(1)の樹脂は、後述する如き多官能
エポキシ化合物(好ましくはノボラック型エポキシ化合
物)と不飽和モノカルボン酸との反応物と、無水フタル
酸などの二塩基性酸無水物あるいは無水トリメリット
酸、無水ピロメリット酸などの芳香族多価カルボン酸無
水物類とを反応せしめることによって得られる。この場
合、多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との
反応物の有する水酸基1個当り約0.15モル以上の多
塩基酸無水物を反応せしめた樹脂が適している。一方、
前記(2)及び(3)の樹脂のベースポリマーである共
重合体は、モノマーとして前記したようにアルキル(メ
タ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アクリレー
ト、あるいはさらにヒドロキシアルキル(メタ)アクリ
レートを用い、これらを公知の方法、例えば溶液重合法
等により共重合することにより得られる。
【0026】前記アルキル(メタ)アクリレートは、ア
クリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステルであ
り、ここでアルキル基は炭素数約1〜6の脂肪族炭化水
素基である。該アルキル(メタ)アクリレートとして
は、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル等のエステル
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前
記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、アクリ
ル酸もしくはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステ
ルであり、ここでヒドロキシアルキル基は一級水酸基を
有する炭素数約1〜6の脂肪族炭化水素基であることが
好ましい。
【0027】前記(2)の樹脂のベースとなる共重合体
において、アルキル(メタ)アクリレートとグリシジル
(メタ)アクリレートの割合は、モル比で40:60〜
80:20程度が好ましい。一方、前記(3)の樹脂の
ベースとなる共重合体においては、ヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレート
とグリシジル(メタ)アクリレートの割合は、モル比で
10〜50:10〜70:20〜60程度、好ましくは
15〜30:30〜50:30〜50程度である。共重
合体に占めるグリシジル(メタ)アクリレートの割合が
上記範囲より低すぎると、光硬化性が低下するので好ま
しくなく、一方、上記範囲を越えた場合には、感光性樹
脂の合成反応がスムーズにいかないので好ましくない。
【0028】前記(2)〜(4)の樹脂において、各モ
ノマーを共重合することによって得られる共重合体の重
合度は、重量平均分子量として、10,000〜70,
000程度、好ましくは約20,000〜60,000
の範囲が望ましい。重量平均分子量が10,000未満
では塗膜の指触乾燥性が低下し、一方、70,000を
超えた場合には現像性が低下し易いので好ましくない。
なお、前記各モノマー以外にも、さらにスチレン、メチ
ルスチレン等のビニル化合物も特性に影響のない範囲で
使用することができる。
【0029】前記(5)の樹脂の合成反応は、多官能エ
ポキシ化合物(a)に不飽和モノカルボン酸(b)(又
は化合物(d))を反応させ、次いで化合物(d)(又
は不飽和モノカルボン酸(b))を反応させる第一の方
法と、多官能エポキシ化合物(a)と不飽和モノカルボ
ン酸(b)と化合物(d)を同時に反応させる第二の方
法とがある。どちらの方法でもよいが、第二の方法が好
ましい。上記反応は、多官能エポキシ化合物(a)のエ
ポキシ基1当量に対して、不飽和モノカルボン酸(b)
と化合物(d)の総量として約0.8〜1.3モルとな
る比率で反応させるのが好ましく、特に好ましくは約
0.9〜1.1モルとなる比率で反応させる。不飽和モ
ノカルボン酸(b)と化合物(d)との使用割合は不飽
和モノカルボン酸(b)と化合物(d)の総量、1モル
に対して、化合物(d)の使用量は約0.05〜0.5
モルが好ましく、特に好ましくは約0.1〜0.3モル
である。このようにして得られる反応物(I)と多塩基
酸無水物(c)との反応は、前記反応物(I)中の水酸
基に対して、水酸基1当量当り多塩基酸無水物(c)を
約0.1〜0.9当量反応させるのが好ましい。
【0030】一方、前記(7)の不飽和基含有ポリカル
ボン酸ウレタン樹脂の合成反応は、前記反応物(I)と
多塩基酸無水物(c)を反応させ、次いで不飽和基含有
モノイソシアネート(e)を反応させるのが好ましい。
反応物(I)と多塩基酸無水物(c)の反応は前記した
ように行うことにより反応させることができる。次い
で、反応物(I)と多塩基酸無水物(c)の反応物であ
る不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂中の水酸基に対し
て、水酸基1当量当り不飽和基含有モノイソシアネート
(e)を約0.05〜0.5当量反応させるのが好まし
い。
【0031】前記(1)、(5)及び(7)の樹脂の合
成に用いられる1分子中に少なくとも2個のエポキシ基
を有するエポキシ化合物(a)の具体例としては、例え
ば、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノール、
クレゾール、アルキルフェノールなどのフェノール類と
ホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応させて得られる
ノボラック類に、エピクロルヒドリン及び/又はメチル
エピクロルヒドリンを反応させて得られるもの等)、ビ
スフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノール
A、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフ
ェノール類にエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピ
クロルヒドリンを反応させて得られるものや、ビスフェ
ノールAのジグリシジルエーテルと前記ビスフェノール
類の縮合物にエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピ
クロルヒドリンを反応させて得られるもの等)、トリス
フェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、トリスフェ
ノールメタン、トリスクレゾールメタン等とエピクロル
ヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応
させて得られるもの等)、トリス(2,3−エポキシプ
ロピル)イソシアヌレート、ビフェニルジグリシジルエ
ーテル、その他、脂環式、アミノ基含有エポキシ樹脂、
共重合型エポキシ樹脂(例えば、グリシジルメタクリレ
ートとスチレンの共重合体、グリシジルメタクリレート
とスチレンとメチルメタクリレートの共重合体、あるい
はグリシジルメタクリレートとシクロヘキシルマレイミ
ドなどとの共重合体等)あるいはその他の特殊な構造を
有するエポキシ樹脂等を挙げることができる。特に好ま
しいものとしては、例えば、クレゾールノボラック型エ
ポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等を
挙げることができる。
【0032】次に、前記(1)、(5)及び(7)の樹
脂の合成に用いられる不飽和モノカルボン酸(b)の具
体例としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の2量
体、メタクリル酸、β−スチリルアクリル酸、β−フル
フリルアクリル酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸、桂
皮酸など;及び飽和又は不飽和二塩基酸無水物と1分子
中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との
反応物あるいは飽和又は不飽和二塩基酸と不飽和モノグ
リシジル化合物との反応物である半エステル類、例えば
無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラ
ヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチ
ルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水
フタル酸、無水イタコン酸、メチルエンドメチレンテト
ラヒドロ無水フタル酸等の飽和又は不飽和二塩基酸無水
物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、
フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等
の1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレー
ト類を等モル比で反応させて得られた半エステル、ある
いは、飽和又は不飽和二塩基酸(例えば、コハク酸、マ
レイン酸、アジピン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル
酸、イタコン酸、フマル酸等)と不飽和モノグリシジル
化合物(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートや下
記式(1)〜(4)で示される化合物等)を等モル比で
反応させて得られる半エステル等などが挙げられ、これ
らを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。特に好ましいものは、光硬化性の観点からアクリ
ル酸やメタクリル酸、特にアクリル酸である。
【化1】
【0033】前記(1)〜(3)及び(5)〜(7)の
樹脂の合成に用いられる飽和又は不飽和の多塩基酸無水
物(c)としては、代表的なものとして無水マレイン
酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テ
トラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、
メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテト
ラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒ
ドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒ
ドロ無水フタル酸などの二塩基性酸無水物;無水トリメ
リット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水
物;その他これに付随する例えば5−(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキ
セン−1,2−ジカルボン酸無水物のような多価カルボ
ン酸無水物誘導体などが使用できるが、特にテトラヒド
ロ無水フタル酸又はヘキサヒドロフタル酸が好ましい。
【0034】次に、前記(5)及び(7)の樹脂の合成
に用いられる1分子中に少なくとも2個以上の水酸基
と、エポキシ基と反応する水酸基以外の1個の他の反応
性基(例えば、カルボキシル基、2級アミノ基等)を有
する化合物(d)の具体例としては、例えば、ジメチロ
ールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール酪
酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロールカプロン酸等の
ポリヒドロキシ含有モノカルボン酸;ジエタノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン等のジアルカノールアミ
ン類等を挙げることができる。特に好ましいものとして
は、例えばジメチロールプロピオン酸等を挙げることが
できる。
【0035】また、前記不飽和モノイソシアネート
(e)の具体例としては、例えばメタクリロイルイソシ
アネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
や、有機ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)
と前記の1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アク
リレート類を約等モル比で反応させることにより得られ
る反応物等を挙げることができる。
【0036】その他の感光性プレポリマーとしては、特
開昭51−131706号、特開昭52−94388
号、特開昭64−62375号、特開平2−97513
号、特開平2−113252号、特開平3−25309
3号、特開平3−289656号、特公昭63−467
91号、特公平1−54390号、特公平1−3286
8号等に記載の感光性樹脂など、従来公知の各種光硬化
性成分を用いることができる。また、感光性樹脂組成物
の光硬化性の促進及び現像性を向上させるために、前記
感光性プレポリマーと共に、前記したような従来公知の
光重合性モノマーを単独で又は2種以上を組み合わせて
用いることができる。光重合性モノマーの中でも、1分
子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基
を有する多官能モノマーが好ましい。
【0037】光重合開始剤の具体例としては、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエー
テル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン
とベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、
2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、
1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン
類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]
−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル
−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニ
ル)−ブタノン−1等のアミノアセトフェノン類;2−
メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2
−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノ
ン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサン
トン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチ
オキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン
等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケター
ル、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾ
フェノン等のベンゾフェノン類;又はキサントン類;
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペン
チルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメ
チルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフ
ィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベン
ゾイルフェニルフォスフィネイト等のフォスフィンオキ
サイド類;各種パーオキサイド類などが挙げられ、これ
ら公知慣用の光重合開始剤を単独で又は2種類以上を組
み合わせて用いることができる。これらの光重合開始剤
の配合割合は特に限定されるものではないが、前記光硬
化性成分100重量部当り1〜30重量部程度が適当で
あり、好ましくは約2〜20重量部である。
【0038】また、上記のような光重合開始剤は、N,
N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−
ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル
−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミ
ン、トリエタノールアミン等の三級アミン類のような光
増感剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いるこ
とができる。さらに、より深い光硬化深度を要求される
場合、必要に応じて、可視領域でラジカル重合を開始す
るチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製イルガキュ
ア784等のチタノセン系光重合開始剤、ロイコ染料等
を硬化助剤として組み合わせて用いることができる。
【0039】本発明においては、組成物を希釈すること
により容易に塗布工程を可能とし、次いで乾燥させて造
膜し、接触露光を可能とさせるために、適宜の量の有機
溶剤を配合することができる。具体的には、メチルエチ
ルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエ
ン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化
水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、カルビトー
ル、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリ
コールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチル
エーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢
酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブア
セテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトー
ルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテートなどの酢酸エステル類;エタノール、プロ
パノール、エチレングリコール、プロピレングリコール
などのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭
化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、
ソルベントナフサなどの石油系溶剤が挙げられ、これら
を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ
る。有機溶剤の配合割合は特に限定されるものではな
く、塗布方法等に応じて適宜設定すればよいが、一般に
感光性プレポリマー100重量部に対して約10重量部
以上、好ましくは約30重量部以上、約2,000重量
部以下である。
【0040】本発明の磁性フィラーを含有するネガ型感
光性樹脂組成物1を用いてパターンを形成するにあたっ
ては、まず、図2に示すように、スクリーン印刷法、カ
ーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、
ディップコート法、バーコーター、ブレードコーターな
ど適宜の塗布方法で、用途に応じた所定の基板3に塗布
する(予めフィルム状に成膜されている場合には基板上
にラミネートすればよい)。次いで、図3に示すように
磁場発生手段4により基板3の上下方向から、あるいは
図4に示すようにさらにパターンライン方向から交互
に、約10〜5000ガウスの磁場を印加し、磁性フィ
ラー2を、図3に示すように膜厚方向(光の照射方向)
に対して平行になるように、あるいはさらに図4に示す
ようにパターンライン方向に平行になるように配向させ
た後、熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等で例えば約
60〜120℃で5〜40分程度乾燥させて有機溶剤を
蒸発させ、磁性フィラーを上記配向状態に固定したタッ
クフリーの塗膜を得る。その後、選択的露光、現像を行
って所定のパターンを形成する。磁場発生手段4として
は、永久磁石、電磁石等の従来公知の手段を用いること
ができる。その後、用途によっては必要に応じて、常法
に従って、例えば約350〜600℃の加熱処理を行な
い、焼成することができる。
【0041】ここで、露光工程としては、所定の露光パ
ターンを有するネガマスクを用いた接触露光及び非接触
露光が可能である。露光光源としては、ハロゲンラン
プ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、レーザー
光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ラ
ンプなどが使用される。露光量としては50〜1000
mJ/cm2 程度が好ましい。
【0042】現像工程としてはスプレー法、浸漬法等が
用いられる。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナト
リウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシドな
どの金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン
水溶液、特に約1.5重量%以下の濃度の希アルカリ水
溶液が好適に用いられるが、組成物中のカルボキシル基
含有樹脂のカルボキシル基がケン化され、未硬化部(未
露光部)が除去されればよく、上記のような現像液に限
定されるものではない。また、現像後に不要な現像液の
除去のため、水洗や酸中和を行うことが好ましい。
【0043】一方、ポジ型の感光性樹脂組成物として
は、ナフトキノンジアジド系化合物を感光性物質として
含有する組成物や、テトラヒドロピラニル(メタ)アク
リレート、t−ブチルエーテル系(メタ)アクリレート
等の酸分解性モノマーとアクリル系モノマーとの共重合
体又はカルボキシル基含有化合物のビニルエーテル付加
物と活性エネルギー線を照射した時に酸を発生する化合
物(以下、光酸発生化合物という)を含有する組成物な
ど、従来公知の種々のポジ型感光性樹脂組成物を用いる
ことができるが、その代表的な例として、下記組成物が
ある。
【0044】第一の例は、特開平10−73923号に
記載の(A)側鎖に下記一般式(1)で表わされる基を
2個以上有する重合体、(B)光酸発生化合物及び
(C)前記したような有機溶剤を含有するポジ型の感光
性樹脂組成物である。
【化2】 この感光性樹脂組成物は、皮膜形成樹脂として、予めカ
ルボキシル基がビニルエーテル化合物でブロックされた
ポリカルボン酸樹脂を用い、皮膜形成後、活性エネルギ
ー線照射及び加熱によって分解させ、遊離のカルボキシ
ル基を側鎖に有するポリカルボン酸樹脂とし、それによ
ってアルカリ水溶液により現像可能としたものである。
その結果、皮膜形成過程の加熱処理の条件によって感度
や解像性が変化することはなく、高感度及び高解像性を
維持でき、安定してポジ型パターンを形成できる。
【0045】ここで、上記感光性樹脂組成物を構成する
重合体(A)としては、側鎖に前記一般式(1)で表わ
される基を2個以上有する重量平均分子量約1,000
〜50,000の重合体を用いることができるが、好適
な態様としては、固形分酸価が60〜300mgKOH
/gのポリカルボン酸樹脂に、モノビニルエーテル化合
物を付加反応せしめた樹脂がある。上記重合体の重量平
均分子量が1,000未満の場合、乾燥塗膜の強度がな
くなり、一方、重量平均分子量が50,000を超えた
場合、アルカリ水溶液による現像が出来難くなるので好
ましくない。さらに、上記出発材料のポリカルボン酸樹
脂の酸価が60mgKOH/g未満の場合、活性エネル
ギー線照射及び加熱によって上記重合体から分解、生成
するポリカルボン酸樹脂の酸価が低いため、塗膜の活性
エネルギー線照射部はアルカリ水溶液による現像が出来
難くなり、一方、酸価が300mgKOH/gを超えた
場合、塗膜の活性エネルギー線非照射部の耐現像性が得
られ難くなるので好ましくない。
【0046】前記ポリカルボン酸樹脂は、一分子中に少
なくとも2個のカルボキシル基を有する皮膜形成性の重
合体であり、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン
酸、イタコン酸等の重合性不飽和単量体の単独重合体、
該カルボキシル基含有単量体と他の共重合可能な単量体
との共重合体、ポリビニルアルコール等のポリオールに
酸無水物を付加させた樹脂、分子鎖中及び/又は分子末
端にカルボキシル基を有するポリエステル系、ポリウレ
タン系、ポリアミド系などの樹脂等が挙げられるが、こ
れらの中でも、(メタ)アクリル酸を8〜40重量%含
む共重合樹脂が好ましい。
【0047】前記ポリカルボン酸樹脂に付加するモノビ
ニルエーテル化合物としては、ビニルメチルエーテル、
ビニルエチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、
ビニル−n−プロピルエーテル、ビニルイソブチルエー
テル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−t−ブチ
ルエーテル、ビニル−n−アミルエーテル、ビニルイソ
アミルエーテル、ビニル−n−オクタデシルエーテル、
ビニルシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールモ
ノブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノ
メチルビニルエーテルなどが挙げられる。ポリカルボン
酸樹脂のカルボキシル基に対するモノビニルエーテル化
合物の付加率は50%以上が好ましく、より好ましくは
70%以上、さらに好ましくは90%以上である。詳細
については特開平10−73923号を参照されたい。
【0048】前記光酸発生化合物(B)としては、使用
する活性エネルギー線の照射により酸を発生する化合物
であれば任意に選択して使用することができる。例え
ば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、ブロモニウム
塩、クロロニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム
塩、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、ピリジニウム塩
等のオニウム塩;トリス(トリハロメチル)−s−トリ
アジン(例えば2,4,6−トリス(トリクロロメチ
ル)−s−トリアジン)、2−[2−(5−メチルフラ
ン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロ
メチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−
イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)
−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−
トリアジン等のハロゲン化化合物;スルホン酸の2−ニ
トロベンジルエステル;イミノスルホナート;1−オキ
ソ−2−ジアゾナフトキノン−4−スルホナート誘導
体;N−ヒドロキシイミド=スルホナート;トリ(メタ
ンスルホニルオキシ)ベンゼン誘導体;ビススルホニル
ジアゾメタン類;スルホニルカルボニルアルカン類;ス
ルホニルカルボニルジアゾメタン類;ジスルホン化合
物;鉄アレン錯体等を挙げることができる。その他、特
開平10−73923号や特開平6−308733号に
記載の光酸発生化合物を用いることができる。
【0049】磁性フィラーを含有する前記ポジ型感光性
樹脂組成物は、まず、必要に応じて塗布方法に適した粘
度に調整した後、用途に応じた種々の基板に前記した公
知の方法により塗布し、前記ネガ型の磁性フィラー含有
感光性樹脂組成物について説明したように磁場を印加
し、約50〜120℃で約5〜30分、好ましくは60
〜100℃で10〜30分、加熱処理(仮乾燥)するこ
とにより、組成物中に含まれる有機溶剤を揮発させ、所
定方向に磁性フィラーが配向した状態の指触乾燥性に優
れた塗膜を形成できると共に、接触露光が可能となる。
この加熱処理の温度が120℃よりも高いと、パターン
形成に支障をきたすので好ましくない。
【0050】その後、形成された塗膜に、用途に応じた
所定の露光パターンが形成されたフォトマスクを通して
選択的に活性エネルギー線を照射し、さらに、約60〜
150℃で約5〜60分、好ましくは80〜120℃で
5〜30分、加熱することにより、前記皮膜形成成分の
重合体(A)が、活性エネルギー線照射により発生した
酸の触媒作用により、ビニルエーテルとポリカルボン酸
樹脂に熱分解される。次いで、活性エネルギー線照射部
のみをアルカリ水溶液による現像で溶解・除去すること
により、ポジ型パターンを形成できる。
【0051】他のポジ型感光性樹脂組成物の例として
は、皮膜形成樹脂として、前記重合体(A)のようにカ
ルボキシル基が予めビニルエーテル化合物でブロックさ
れている樹脂とは異なり、皮膜形成樹脂とビニルエーテ
ル化合物を個々に用いた樹脂組成物、例えば特開平5−
100429号、特開平6−308733号、特開平6
−295064号等に記載の感光性樹脂組成物や、以下
のような感光性樹脂組成物が挙げられる。すなわち、
(A')一分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を
有する重合体(a)、一分子中に少なくとも1つのヒド
ロキシフェニル基を有する重合体(b)、又は一分子中
に少なくとも1つのカルボキシル基とヒドロキシフェニ
ル基を併せ有する重合体(c)のいずれか1種又は2種
以上と、(D)一分子中に2個以上のビニルエーテル基
を有する多官能ビニルエーテル化合物と、前記したよう
な(B)光酸発生化合物を必須成分として含有し、必要
に応じて前記したような(C)有機溶剤あるいはさらに
前記したような各種添加剤を含有するポジ型感光性樹脂
組成物である。ここで、上記カルボキシル基を有する重
合体(a)としては、先に説明したようなポリカルボン
酸樹脂を好適に用いることができる。
【0052】一方、上記一分子中に少なくとも1つのヒ
ドロキシフェニル基を有する重合体(b)としては、例
えば、1官能性又は多官能性フェノール化合物、アルキ
ルフェノール化合物又はそれらの混合物と、ホルムアル
デヒド、アセトンなどのカルボニル化合物との縮合物;
p−ヒドロキシスチレンのようなヒドロキシル基含有ビ
ニル芳香族化合物の単独重合体;該ヒドロキシル基含有
ビニル芳香族化合物と先に例示したような他の共重合可
能な単量体との共重合体等が挙げられる。上記のような
ヒドロキシフェニル基含有重合体(b)は、一般に、約
500〜100,000、特に約1,000〜30,0
00の範囲内の数平均分子量を有していることが好まし
い。また、重合体(b)のヒドロキシフェニル基の含有
量は、重合体1kg当り一般に1.0〜10当量、特に
2.0〜8.0当量の範囲内にあるのが好ましい。
【0053】また、前記一分子中に少なくとも1つのカ
ルボキシル基とヒドロキシフェニル基を有する重合体
(c)としては、例えば、p−ヒドロキシスチレンのよ
うなヒドロキシスチレンと(メタ)アクリル酸、クロト
ン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体との共
重合体;ヒドロキシスチレン及び該カルボキシル基含有
単量体と先に例示したような共重合可能な他の単量体と
の共重合体等が挙げられる。さらに、ヒドロキシ安息香
酸、没食子酸、レゾルシン酸などのフェノールカルボン
酸類、又はこれらとフェノール、炭素数1〜18のモノ
−もしくはジ−アルキルフェノールもしくはナフトール
類、レゾルシン、カテコール等から選ばれるフェノール
類の1種もしくは2種以上との混合物をホルムアルデヒ
ドと縮合させることにより得られる重合体を使用するこ
ともできる。上記重合体(c)は、一般に、約500〜
100,000、特に約1,500〜30,000の範
囲内の数平均分子量を有していることが好ましい。一
方、カルボキシル基の含有量は、重合体1kg当り一般
に約0.5〜10当量、特に約0.5〜5.0当量の範
囲内にあり、またヒドロキシフェニル基は重合体1kg
当り少なくとも約1.0当量、特に約2.0〜8.0当
量の範囲内にあることが好ましい。
【0054】前記多官能ビニルエーテル化合物(D)
は、一分子中に、式−R−O−CH=CH2(ここで、
Rはエチレン、プロピレン、ブチレンなどの炭素数1〜
6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を表わ
す。)で示されるビニルエーテル基を少なくとも2個、
好ましくは2〜4個有する低分子量又は高分子量の化合
物であり、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノール
F、ビスフェノールS、フェノール樹脂などのポリフェ
ノール化合物や、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、ペンタエリスリトールなどのポリオール類と、クロ
ロエチルビニルエーテルなどのハロゲン化アルキルビニ
ルエーテルとの縮合物;トリレンジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシ
アネート化合物と、ヒドロキシエチルビニルエーテルの
ようなヒドロキシアルキルビニルエーテルとの反応物等
が挙げられる。特に、上記ポリフェノール化合物とハロ
ゲン化アルキルビニルエーテルとの縮合物、及び芳香環
を持つポリイソシアネート化合物とヒドロキシアルキル
ビニルエーテルとの反応物が、形成されるパターンの精
度等の観点から好ましい。
【0055】前記多官能ビニルエーテル化合物(D)の
配合割合は、組成物の用途等に応じて広い範囲にわたっ
て変えることができるが、前記重合体(a,b及び/又
はc)100重量部に対して一般に約5〜150重量
部、特に約10〜100重量部の範囲内で使用すること
が好ましい。一方、光酸発生化合物(B)の配合割合
は、前記重合体(a,b及び/又はc)と多官能ビニル
エーテル化合物(D)との合計量100重量部に対して
一般に約0.1〜40重量部、特に約0.2〜20重量
部の範囲内が適当である。
【0056】磁性フィラーを含有する前記のようなポジ
型感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成する場合、
まず、基板上に従来公知の種々の方法で塗布した後、前
記図3及び図4を参照して説明したように、磁場を印加
し、磁性フィラー2を膜厚方向(光の照射方向)に対し
て平行になるように、あるいはさらにパターンライン方
向に平行になるように配向させる。その後、前記重合体
(a,b及び/又はc)のカルボキシル基及び/又はヒ
ドロキシフェニル基と多官能ビニルエーテル化合物
(D)のビニルエーテル基の付加反応による架橋が実質
的に起る温度及び時間条件下、例えば、約60〜150
℃の温度で約1〜30分間加熱して、塗膜を架橋硬化さ
せる。次いで、基板上の硬化皮膜に対して、ポジ型フオ
トマスク、縮小投影露光機、直接描画機等を用いて活性
エネルギー線を選択的に照射する。活性エネルギー線が
照射された硬化皮膜は、次いで該照射により発生した酸
の存在下で前記架橋構造の切断が生ずるような温度及び
時間条件下、例えば、約60〜150℃の温度で約1〜
30分間加熱し、照射部分の皮膜の架橋構造を実質的に
切断する。このように加熱−照射−加熱処理された皮膜
を前記したようなアルカリ水溶液で現像することによ
り、基板上に所定のパターンが形成される。
【0057】本発明に用いられるポジ型感光性樹脂組成
物の他の例は、(E)キノンジアジド基含有化合物及び
(F)アルカリ可溶性ノボラック樹脂を必須成分として
含み、必要に応じて、増感剤、好ましくは4−フェニル
アゾ−5−アミノピラゾール誘導体や、先に例示したよ
うな有機溶剤や各種添加剤を含有する樹脂組成物であ
る。
【0058】上記キノンジアジド基含有化合物(E)
は、感光性物質であって、例えばオルトベンゾキノンジ
アジド、オルトナフトキノンジアジド、オルトアントラ
キノンジアジドなどのキノンジアジド類のスルホニルク
ロリドを、フェノール性水酸基又はアミノ基を有する化
合物で、部分もしくは完全エステル化あるいは部分もし
くは完全アミド化したものが挙げられる。上記フェノー
ル性水酸基又はアミノ基を有する化合物としては、例え
ば2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2
´,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,
3,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどの
ポリヒドロキシベンゾフェノン、あるいは没食子酸アル
キル、没食子酸アリール、フェノール、p−メトキシフ
ェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ビスフ
ェノールA、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロー
ル、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール−
1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、水酸基を一部残
してエステル化又はエーテル化された没食子酸、アニリ
ン、p−アミノジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0059】前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂(F)
は、皮膜形成物質であって、例えばフェノール、クレゾ
ール、キシレノールのようなフェノール系化合物とアル
デヒド類とから得られる、フェノールノボラック樹脂、
クレゾールノボラック樹脂、キシレノールノボラック樹
脂などがあるが、特に好ましいのはクレゾールノボラッ
ク樹脂である。このクレゾールノボラック樹脂として特
に好ましいものは、m−クレゾールとp−クレゾールと
の混合クレゾールから得られたクレゾールノボラック樹
脂、あるいは混合クレゾールから得られた2種のクレゾ
ールノボラック樹脂を混合したものを挙げることができ
る。これらのクレゾールノボラック樹脂の製造には、m
−クレゾール及びp−クレゾールが使用されるが、必要
に応じてo−クレゾールやキシレノールなどを配合した
ものを使用できる。このようなクレゾールノボラック樹
脂を皮膜形成物質として使用することで、より寸法精度
及び寸法安定性に優れたパターンを得ることができる。
【0060】前記キノンジアジド基含有化合物(E)と
アルカリ可溶性ノボラック樹脂(F)の配合割合は、ア
ルカリ可溶性ノボラック樹脂(F)100重量部に対し
てキノンジアジド基含有化合物(E)が約10〜40重
量部となる割合が好ましい。キノンジアジド基含有化合
物の配合割合が上記範囲より少ないと、所望の断面形状
を有する高精細なパターンが得られ難くなり、逆に上記
範囲を超えると感度が劣化するので好ましくない。
【0061】磁性フィラーを含有する前記のようなポジ
型感光性樹脂組成物を用いた場合、通常の方法によって
パターン形成が可能である。すなわち、この組成物を基
板上に塗布し、前記図3及び図4を参照して説明したよ
うに、磁場を印加し、磁性フィラー2を膜厚方向(光の
照射方向)に対して平行になるように、あるいはさらに
パターンライン方向に平行になるように配向させる。そ
の後、乾燥して感光性樹脂層を形成したのち、所定のフ
ォトマスクを介して露光する。次いで、これを現像液、
例えば先に例示したようなアルカリ水溶液を用いて現像
処理することにより、露光によって可溶化した部分が選
択的に溶解除去され、マスクパターンに忠実な画像を得
ることができる。
【0062】なお、前記したようなポジ型の感光性樹脂
組成物には、前記したような各種添加剤の他に、感度ア
ップの目的で、必要に応じて、フェノチアジン系、アン
トラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリ
レン系、ピレン系、メロシアニン系、ケトクマリン系、
チオキサントン系の増感色素を配合できる。さらに、前
記ポジ型感光性樹脂組成物には、酸性領域で変色するp
H指示薬、例えば、メチルバイオレット、メチルイエロ
ー、メチルオレンジ、メチルレッド、2,4−ジニトロ
フェノール、2,6−ジニトロフェノール、チモールブ
ルー、トロペオリンOO、ブロモフェノールブルー、ブ
ロモクレゾールグリーンなどを添加することもできる。
これらを添加した場合、露光により発生した酸により塗
膜の色調が変わり、露光位置とパターン形成位置との整
合性が露光工程終了基板で容易に確認でき、現像前に不
良品の判別が容易に行えるという利点が得られる。
【0063】
【実施例】以下に実施例を示して本発明について具体的
に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるもの
でないことは言うまでもない。なお、以下において
「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り全て
「重量部」及び「重量%」を表わす。
【0064】合成例:温度計、攪拌機、滴下ロート、及
び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルメタクリレー
トとメタクリル酸を0.76:0.24のモル比で仕込
み、溶媒としてジプロピレングリコールモノメチルエー
テル、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを入れ、
窒素雰囲気下、80℃で2〜6時間攪拌し、樹脂溶液を
得た。この樹脂溶液を冷却し、重合禁止剤としてメチル
ハイドロキノン、触媒としてテトラブチルホスホニウム
ブロミドを用い、グリシジルメタクリレートを、95〜
105℃で16時間の条件で、上記樹脂のカルボキシル
基1モルに対し0.12モルの割合の付加モル比で付加
反応させ、冷却後取り出し、カルボキシル基含有感光性
樹脂を生成した。この樹脂は、重量平均分子量が約1
0,000、酸価が59mgKOH/g、二重結合当量
が950であった。なお、得られた共重合樹脂の重量平
均分子量の測定は、(株)島津製作所製ポンプLC−8
04、KF−803、KF−802を三本つないだ高速
液体クロマトグラフィーにより測定した。
【0065】感光性樹脂組成物の調製:このようにして
合成したカルボキシル基含有感光性樹脂を用い、以下に
示す組成比にて配合し、攪拌機により攪拌後、3本ロー
ルミルにより練肉してネガ型感光性樹脂組成物を得た。 前記合成例で得られたカルボキシル基含有感光性樹脂 100.0部 ペンタエリストールトリアクリレート 50.0部 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1− (4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン 5.0部 ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部 トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル 10.0部
【0066】磁性フィラー含有感光性ペースト組成物の
調製:前記ネガ型感光性樹脂組成物に、磁性フィラーと
して、鱗片状ニッケル粉(1〜20μm)に対し重量比
で30〜80%の銀粉をコーティングした粉末を、重量
比で30〜70%混合し、磁性フィラー含有感光性ペー
スト組成物を調製した(図1参照)。
【0067】パターンの形成:前記のように調製した種
々の磁性フィラー含有濃度の各感光性ペースト組成物
を、10〜50μmの膜厚で基板に塗布した後、プレキ
ュア(予備加熱)工程において、膜厚に応じて基板の上
下方向から10〜1000ガウスの磁場を印加して磁性
フィラーを光の入射方向に対して平行になるように配向
させながら乾燥させ、磁性フィラーが動かない状態に固
定された乾燥皮膜を形成した。続いて、上記皮膜に所定
の露光パターンを有するフォトマスクを密着させ、紫外
線を照射して露光を行ない、次いで1%炭酸ナトリウム
水溶液にて現像を行なった。比較のために磁場を印加し
ないで同様にパターンを形成したところ、磁場を印加し
ない場合に比べて印加した場合にきれいなパターンライ
ンが形成され、照射光の透過性が改善されたことが確認
された。
【0068】また、同一の磁性フィラー含有感光性ペー
スト組成物について、プレキュア工程において、基板の
上下方向及び左右方向の両方向から10〜1000ガウ
スの磁場を交互に印加して、同様にパターンを形成した
ところ、さらに精度の高いきれいなパターンラインを形
成できた。このことから、鱗片状の磁性フィラーを膜厚
方向ばかりでなくパターンライン方向にも揃える(配向
する)ことができ、パターンラインの解像度をさらに改
良できることがわかる。
【0069】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、感光性
樹脂組成物に形状異方性の磁性フィラーを添加し、これ
を磁場の印加によって光の照射方向と平行に、あるいは
さらにパターンラインと平行に配向させた状態で露光す
るため、フィラーによる遮光作用が著しく減少して光の
透過性に優れ、感光性樹脂組成物の光硬化性や解像性が
改善され、優れた光硬化深度を示す。そのため、パター
ン化するフィラー含有感光性樹脂組成物の皮膜が厚膜で
あっても、また多量のフィラーを含有する場合であって
も、解像性良く高精細なパターンを形成できる。また、
同一膜厚の場合には、同じライン/スペースパターンを
形成可能な最小露光量を少なくすることができ、省エネ
ルギー化を実現することができる。さらに、プラズマデ
ィスプレイパネルの作製に本発明の方法を用いた場合、
高アスペクト比かつ高精度な隔壁パターン、電極パター
ン、誘電体パターン、ブラックマトリックスパターンな
どの焼成物パターンを高歩留りで生産性良く形成でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】鱗片状ニッケル粉に銀をコーティングした磁性
フィラーの概略断面図である。
【図2】本発明の磁性フィラー含有感光性樹脂組成物の
塗膜に磁場を印加する工程の概略説明図である。
【図3】感光性樹脂組成物の塗膜中の磁性フィラーを膜
厚方向に配向させた状態を示す概略説明図である。
【図4】感光性樹脂組成物の塗膜中の磁性フィラーをパ
ターンライン方向に配向させた状態を示す概略説明図で
ある。
【符号の説明】
1 磁性フィラー含有感光性樹脂組成物 2 磁性フィラー 3 基板 4 磁気発生手段

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィラーを含有する感光性樹脂組成物に
    おいて、上記フィラーが形状異方性の磁性フィラーであ
    ることを特徴とする磁性フィラー含有感光性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記磁性フィラーが、アスペクト比が2
    〜50の鱗片状又は針状の磁性フィラーであることを特
    徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 前記感光性樹脂組成物が、ネガ型の感光
    性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記感光性樹脂組成物が、ポジ型の感光
    性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の
    磁性フィラー含有感光性樹脂組成物を基板に塗布し、得
    られた塗膜に、露光工程中又はその前の予備硬化工程
    中、少なくとも光照射方向に磁場を印加して前記磁性フ
    ィラーを磁場印加方向に配向させた後、露光することを
    特徴とする磁性フィラー含有感光性樹脂組成物の露光方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の
    磁性フィラー含有感光性樹脂組成物を基板に塗布し、得
    られた塗膜に少なくとも光照射方向に磁場を印加しなが
    ら予備硬化を行ない、前記磁性フィラーを磁場印加方向
    に配向させた後、所定のパターンに従って選択的に露光
    し、次いで現像することを特徴とする磁性フィラー含有
    感光性樹脂組成物のパターン形成方法。
  7. 【請求項7】 前記光照射方向に加えてパターンライン
    方向に磁場を印加し、磁性フィラーをパターンライン方
    向にも配向させることを特徴とする請求項5又は6に記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の
    磁性フィラー含有感光性樹脂組成物のフィルムであっ
    て、少なくともその膜厚方向に前記形状異方性の磁性フ
    ィラーが配向していることを特徴とする磁性フィラー含
    有感光性フィルム。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の
    磁性フィラー含有感光性樹脂組成物を剥離用基板に塗布
    し、得られた塗膜に、少なくとも膜厚方向に磁場を印加
    して前記磁性フィラーを磁場印加方向に配向させた状態
    でフィルム化することを特徴とする磁性フィラー含有感
    光性フィルムの製造方法。
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