JP4715877B2 - 感光性有機無機複合材料およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents

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高充填された無機フィラーにより高度に補強されかつ、光解像性を有する有機無機複合材料に関するものである。
近年の電子機器の高機能化並びに軽薄短小化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化が進んできている。これらの電子機器に使用される半導体パッケージは、小型化かつ多ピン化してきており、また、半導体パッケージを含めた電子部品を実装する、実装用基板も小型化してきている。さらには電子機器への収納性を高めるため、リジット基板とフレキシブル基板を積層し一体化して、折り曲げを可能としたリジットフレックス基板が、実装用基板として使われるようになってきている。
半導体パッケージはその小型化に伴って、従来のようなリードフレームを使用した形態のパッケージでは、小型化に限界がきているため、最近では回路基板上にチップを実装したものとして、BGA(Ball Grid Array)や、CSP(Chip Scale Package)等の、エリア実装型の新しいパッケージ方式が提案されている。これらの半導体パッケージにおいて、半導体チップの電極と従来型半導体パッケージのリードフレームの機能を有する、半導体パッケージ用基板と呼ばれる、プラスチックやセラミックス等各種材料を使って構成される、サブストレートの端子との電気的接続方法として、ワイヤーボンディング方式やTAB(Tape Automated Bonding)方式、さらにはFC(Frip Chip)方式などが知られている。最近では、半導体パッケージの小型化に有利なFC接続方式を用いた、BGAやCSPの構造が盛んに提案されており、ウエハーレベルCSP(WLCSP)に代表されるように、さらなる小型化のため、CSPを半導体チップサイズにまで小型化されたリアルチップサイズパッケージ(RCSP)が提案されている。
このようなパッケージの小型化、薄型化に伴って、1パッケージを構成する絶縁樹脂も少量になり、信頼性に関する樹脂性能の向上が、よりいっそう求められるようになった。BGA・CSP・WLPKGに共通する問題は、感光性樹脂が熱膨張係数の著しく小さいシリコンやウエハーに密着した構造をしているか、もしくは、熱膨張係数がウエハーに拘束されている有機材料に密着した構造をしているため、上記半導体パッケージに対しパッケージの性能を加速して評価する温度サイクル試験(TC試験)を行った場合、感光性樹脂とシリコンとの熱膨張係数のミスマッチにより、樹脂に過大な応力がかかりクラックが発生してしまうことである。このTC試験での信頼性、つまり、耐クラック性は半導体パッケージ用材料として必要不可欠である。
しかしながら、とりわけ、メタクリロイル基やアクリロイル基を有する化合物に代表されるような光重合化合物から光架橋して作製された絶縁樹脂や、エポキシ樹脂とその硬化剤に代表されるような熱硬化性樹脂が架橋して作製された絶縁樹脂はじん性に乏しく、TC信頼性に劣る。このため、TC試験での信頼性向上を目的に、ゴム変性して、絶縁樹脂の熱応力を低減させる方法や加工条件により絶縁樹脂の熱応力を低減させる方法が検討されているが、未だ充分な効果が得られないのが実状である。
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであって、TC試験において耐クラック性に優れた、高信頼性の感光性有機無機複合材料および、それを用いた半導体装置の提
供を目的とする。
即ち、本発明は、
(1)感光性樹脂、及び無機フィラーから構成される感光性有機無機複合材料において、無機フィラーの含有量が30体積%以上75体積%未満であり、かつ、前記無機フィラーが鱗片状もしくは板状の形状を有し、最大粒径が40μm以下、アスペクト比が4以上40以下であることを特徴とする感光性有機無機複合材料、
(2)無機フィラーが、2次凝集を起こすことなく、樹脂中に層状に積み重なるように分散されている請求項1に記載の感光性有機無機複合材料、
(3)請求項1又は2に記載の感光性有機無機複合材料を用いることを特徴とする半導体装置、
である。
本発明によれば、温度サイクル試験において絶縁樹脂層クラックの発生の問題がない、信頼性に優れた感光性有機無機複合材料および半導体装置を提供できる。
本発明で用いられる無機フィラーは、鱗片状もしくは板状であり、最大粒径50μm以下、アスペクト比が4以上50以下であることが好ましく、更には最大粒径40μm以下、アスペクト比が4以上40以下であることがより好ましい。
最大粒径が50μmを超えると、感光性樹脂の解像性を著しく低下させる。また、アスペクト比が4未満であり、形状が球形に近づくとフィラーが層状に積み重なる効果が低下し、フィラーによる樹脂の補強効果が低下する。針状のフィラーを用いると面内で物性に異方性が発現するため好ましくない。また、アスペクト比が50を超えると、フィラーが層状に積み重なる効果は向上するものの、フィラー粒子が薄くなるため、フィラーの厚み方向に伸展するクラックに対する抵抗が低くなり、フィラーによる樹脂の補強効果が低下する。
無機フィラーの添加量は30体積%以上、75体積%未満であることが好ましく、更に好ましくは、35体積%以上、70体積%未満である。30体積%未満であると、フィラー粒子間距離が長くなり、フィラーによる樹脂の補強効果が充分ではない。一方、75体積%以上であると、解像性が低下し、感光性樹脂としての機能を発しなくなる。
また、本発明は無機フィラーの形状、サイズ、アスペクト比、充填量およびフィラーが層状に積み重なる用に分散されることを特徴とする感光性有機無機複合材料であり、本発明で用いられる感光性のベース樹脂は何ら限定されることはないが、以下のものが例としてあげられる。とりわけ、ネガ型感光性樹脂の耐クラック性の改善効果は大きい。
ネガ型感光性樹脂としては、1)アクリロイル基、メタクリロイル基や、ビニル基などのラジカル重合を起こす官能基を有する化合物を1種類または2種類以上に、ベンゾフェ
ノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノンなどに代表されるような光重合開始剤を1種類または2種類以上添加したものや、2)上記1)
にエポキシ樹脂およびその硬化剤、マレイミド、フノール樹脂、シアネート樹脂などの熱
硬化性樹脂を添加したものが挙げられる。
ポジ型感光性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂などにナフトキノンジアジド類化合物を添加したものが挙げられる。
これら無機フィラー、感光性樹脂のほかに、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤や、可塑剤が添加されていても良い。また、無機フィラーが層状に積み重なることを阻害しない程度であれば、ゴム粒子や、不定形や球形の無機フィラーを添加してもよい。針状フィラーも、板状もしくは鱗片状フィラーが層状に積み重なることを阻害しない程度で、面内の物性に異方性が出ない程度であれば添加してもよい。
本発明の有機無機複合材料は、各種の半導体装置に適用される。本発明の半導体装置は、如何なる形状であってもよく、また、前記の有機無機複合材料を用いてさえすれば、他材料の構成は如何なるものであってもよい。感光性有機無機複合材料は、例えば、半導体装置内のインターポーザーと呼ばれる回路のソルダーレジストとして使用することもできる。一方、ウエハー上に再配線層を形成するタイプの半導体装置には、その再配線層を保持するために、再配線層とウエハー間に存在する感光性絶縁樹脂層として使用することもできる。また、再配線層を被覆する感光性ソルダーレジストとして使用することもできる。より好ましくは、感光性絶縁樹脂層と感光性ソルダーレジストの両方に用い、半導体装置構成材料中での前記有機無機複合材料の構成比率を高めるのがよい。
以下、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
[実施例および比較例]
<感光性樹脂成分>
エポキシ樹脂*1;EPICLON−N865(大日本インキ化学工業(株)製)フェノール樹脂*2;アロニックス TO−1496(東亞合成(株)製)光重合モノマー*3;ネオマーPM201(三洋化成(株)製)光反応開始剤*4;ベンジルジメチルケタール(チバスペシャリティーケミカルズ製)
<無機フィラー成分>
鱗片シリカ;鱗片状、 最大粒径40μm、アスペクト比10
合成マイカ;鱗片状、 最大粒径30μm、アスペクト比 40
球形シリカ;球状、 最大粒径5μm、 アスペクト比 1
マイカ;鱗片状、 最大粒径40μm、アスペクト比30
<樹脂溶液の作製>
無機充填剤を除く各樹脂組成物成分を、それぞれ表1に示す配合量に従い、メチルエチルケトン300gに添加し、ディスパーザー(4000rpm)で約1時間撹拌し溶解した。その後、表1に示す配合量の無機充填剤を添加し、樹脂溶液の周囲を氷水で冷却しながら、ディスパーザー(8000rpm)で15分間、さらにゴーリン式撹拌装置(圧力600kg/cm2)に通し、加えて、アルティマイザー(圧力200MPa)で処理す
ることにより、感光性有機無機複合材料の溶液を得た。
<樹脂付き銅箔の作製>
上記で得た樹脂溶液を、5μm厚の電解銅箔上にバーコーターにより流延塗布し、60℃で10分間、80℃で10分間乾燥することにより、樹脂厚み70μmの樹脂付き銅箔(RCC)を得た。
<ドライフィルムソルダーレジストの作製>
上記で得た樹脂溶液を、25μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム
上にバーコーターにより流延塗布し、60℃で10分間、80℃で10分間乾燥することにより、樹脂厚み18μmのドライフィルムソルダーレジストを得た。
<半導体装置の作製>
図1に温度サイクル信頼性評価用半導体装置の断面概略図を示す。
上記RCCを8インチの半導体ウエハー1の表面にロールラミネーターにより貼り付けし、半導体ウエハー1、絶縁樹脂層2、及び銅箔を積層した構造物を得た。次に、この構造物上にロールラミネーターによりドライフィルムメッキレジストを貼り付けて、メッキレジスト層を形成し、ワイヤーボンドフィンガー、半田ボールパッド、およびそれらをつなぐ回路となるべき部位をフォトリソグラフィー手法により開口した後、該部位に10μm厚みの銅層、5μm厚みのニッケル層、および1μm厚みの金層6を電解メッキにより形成した。この後、メッキレジストを3%水酸化ナトリウム水溶液で剥離除去した後、金メッキ層をレジストとして、RCCの銅箔をフラッシュエッチングし、金メッキ層直下に再配線回路5を形成した。
さらに、エッチングにより銅箔が除去された樹脂層表面を、ワイヤーボンドパッド上の部位が現像、開口できるように、平行光露光機を用いて露光し、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液にて、所定位置の樹脂を溶解除去し、その表面に紫外線を500mJ照射した後、180℃1時間加熱することにより、ウエハー上にワイヤーボンディング用の樹脂開口部、および金メッキで表面を被覆されたワイヤーボンドフィンガー、半田ボールパッド、およびこれらをつなぐ再配線回路を持つ、完全硬化した絶縁樹脂層2を得た。
次に、70℃に加熱されたロールラミネーターにより、上記のドライフィルムソルダーレジストを再配線回路5上に貼り付け、ワイヤーボンドフィンガー、半田ボールパッドとワイヤーボンディング用として、絶縁樹脂層開口部にフォトマスクを使用し、平行光露光機を用いて250mJで露光し、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液にて所定位置の絶縁樹脂層を溶解除去し、その表面に紫外線を500mJ照射した後、180℃1時間加熱することによりソルダーレジスト層3を硬化させた。次に、樹脂開口部を経由して金ワイヤー8により、半導体ウエハー1と絶縁樹脂上の再配線回路5が接合された後、絶縁樹脂層開口部およびワイヤーボンドフィンガー周辺を印刷封止樹脂(CRP5300住友ベークライト製)4により封止し、180℃1時間で硬化した。そして半
田ボール7を搭載し、最後にダイシングすることにより、TC信頼性評価用半導体装置(図1)を得た。サイズは10mm×10mm×1.3mmである。
このようにして得られた半導体装置について−65℃/30分〜150℃/30分の条件でサイクル数を50、100、200、300、400、500サイクルと変えてTC試験を行った。そして、TC試験における樹脂層クラックの発生数を顕微鏡観察により測定した(各n=10)。これらの結果を表1に示した。
表1の結果から、実施例は比較例に比べて、TC試験の評価結果が良好であることがわかる。
Figure 0004715877
温度サイクル信頼性評価用半導体装置の断面概略図である。
符号の説明
半導体ウエハー 1
絶縁樹脂層 2
ソルダーレジスト層 3
印刷封止樹脂 4
再配線回路 5
ニッケル/金メッキ層 6
半田ボール 7
金ワイヤー 8

Claims (3)

  1. 感光性樹脂、及び無機フィラーから構成される感光性有機無機複合材料において、無機フィラーの含有量が30体積%以上75体積%未満であり、かつ、前記無機フィラーが鱗片状もしくは板状の形状を有し、最大粒径が40μm以下、アスペクト比が4以上40以下であることを特徴とする感光性有機無機複合材料。
  2. 無機フィラーが、2次凝集を起こすことなく、樹脂中に層状に積み重なるように分散されている請求項1に記載の感光性有機無機複合材料。
  3. 請求項1又は2に記載の感光性有機無機複合材料を用いることを特徴とする半導体装置。
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