JP2001012556A - バランス補正装置およびそれを用いた光ディスク装置 - Google Patents

バランス補正装置およびそれを用いた光ディスク装置

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JP2001012556A
JP2001012556A JP11187250A JP18725099A JP2001012556A JP 2001012556 A JP2001012556 A JP 2001012556A JP 11187250 A JP11187250 A JP 11187250A JP 18725099 A JP18725099 A JP 18725099A JP 2001012556 A JP2001012556 A JP 2001012556A
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optical disk
correcting
spheres
spindle motor
balance correction
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JP11187250A
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English (en)
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Takayuki Kumasaka
登行 熊坂
Koichi Shiraishi
浩一 白石
Mitsuru Shibata
充 柴田
Shinichi Kashimura
信一 樫村
Hiroaki Kobayashi
広明 小林
Kazuto Oyama
和人 大山
Yoshihiro Sato
良広 佐藤
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Rotational Drive Of Disk (AREA)
  • Holding Or Fastening Of Disk On Rotational Shaft (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】光ディスク装置の転装速度向上(高速回転)に
伴ない、光ディスクの持つ重量アンバランスにより、回
転振動が急激に増大してきた。この、振動を抑制するた
めにバランス補正方法が提案されている。しかし、最近
の光ディスク装置は小型、薄型化の方向にある。さら
に、ディスク回転の広範囲化、ディスクの種類の多様化
が進みバランス補正の安定性が問題となり、光ディスク
装置の信頼性を劣化させる要因となっていた。 【解決手段】そこで、光ディスク装置に搭載されたスピ
ンドルモータの外周部に複数の補正球を収納する環状空
洞部を有するバランス補正機構を設けることによって薄
型化を実現した。さらに、補正球が転動する溝の底部に
転動制御材を設けることによって、補正球の迷走をなく
した。また、前記環状空洞部の内周側に補正球の動作補
助部材を設けることによって垂直置きにしても振動の低
減が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーソナルコンピ
ュータ(PC)等の外部機器に内臓可能な構造の光ディ
スク装置に関する。特に、記録媒体である光ディスクの
アンバランスが原因となる好ましくない振動や騒音を抑
制し、安定した記録や再生を可能にする光ディスク装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク装置は、PC等の外部機器の
周辺機器として利用されており、光ディスク装置の中に
は、PC等に内蔵された光ディスク装置も存在する。
【0003】このような光ディスク装置の情報転送速度
は、画像や動画情報を多量に扱うマルチメディア化によ
り高速化が望まれている。光ディスク装置の転送速度
は、ディスクの回転数を高くすることにより高速化する
ことができる。このため近年、光ディスクの回転数の高
速化が進展している。
【0004】回転速度を高速にするために乗り越えなけ
ればならない最も大きな課題は、アンバランス振動の増
加である。CD−ROM等の光ディスク装置では、ハー
ドディスク装置(HDD)と異なり、可換媒体であるこ
とが特徴の一つである。大量にプレスされる光ディスク
は厚みのばらつきや、クランプ内径と光ディスク外径の
同心度のばらつきが大きいものがある。また、光ディス
ク上に文字や模様を印刷することにより発生する重量の
アンバランス(偏重心)も無視できない。
【0005】このようなアンバランスの大きな系を回転
させると、回転系の重心と回転中心が一致しないことを
原因とするアンバランス振動が発生する。アンバランス
振動を発生させる力Fは重心と回転中心の距離をε、回
転の質量をm,回転数をωとすると次式で表される。
【0006】 F=m×ε×ω2−−−−−−−−−(1) 式(1)で示されるようにアンバランス振動は回転数の
二乗に比例するから、高速回転を行うと急激に大きくな
る。アンバランス振動は光ヘッド系を加振し信号のリー
ド/ライトを阻害するばかりでなく、騒音の発生や装置
が取り付けられているシステム自体を振動させ、システ
ム自体の信頼性を著しく低下させる原因となる。
【0007】したがって、ディスクの高速回転化による
データ転送速度の向上を図るためには、ディスクのアン
バランスによる好ましくない振動を抑制する必要があっ
た。
【0008】従来、斯かるディスクのアンバランスによ
って生じる振動を抑制するディスク装置の一例が特開平
10−83622号公報に開示されている。
【0009】例えば、中空環状部の内部に複数個の球も
しくは液体を収納して、バランサーを構成し、このバラ
ンサーがディスクと一体的に回転可能に形成して、アン
バランスなディスクの高速回転時に発生する振動を抑制
する構成が提案されている。
【0010】また、ディスク装置を垂直置きにしたとき
に、バランサーとしての球が重力により下方に集まり、
球同士の衝突が生じる。このためバランサー球の位置が
安定するまでは、騒音発生・バランス補正機能の不能と
いう問題が生じる。この一解決手段として、特開平11
−154371号公報がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】最近開発されたDVD
(ディジタル・バーサタイル・ディスク)を搭載したP
Cでは、従来のCD−ROMも高速回転で支障なく再生
できる必要がある。また、種々の選択された回転数で再
生する場合がある。さらに、装置の構成によっては水平
に置いたり、垂直置きにする場合がある。
【0012】このような広範囲な回転数ならびに用途に
おいて光ディスクのアンバランスを含む回転系のアンバ
ランスを容易に補正できる機構が重要になった。
【0013】光ディスク装置の薄型化、小型化を実現す
るためには、構成部品を効率よく実装し、スペースを減
らすこと、さらには性能劣化させずに構成部品自体を小
型化、薄型化することが望ましい。
【0014】本発明の目的は、光ディスク装置におい
て、光ディスクのアンバランスを含む回転系アンバラン
スを補正でき、回転系から生じる振動を小さくすること
である。
【0015】また、アンバランスの大きいディスクが装
着されても、振動低減できるようにすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本願では以下の手段を用いる。
【0017】情報の記録または再生の可能な光ディスク
を装着し、回転駆動させる駆動手段と、該駆動手段の回
転軸に垂直な平面上に、該回転軸を中心とする環状の軌
道を持つ複数の球と、からなる装着後の光ディスクの偏
心または偏重心を補正するバランス補正装置において、
前記球の軌道は、光ディスクと平行な第1面および第2
面と、該第1面と第2面に挟まれた面のうち、回転軸側
の面である第3面と、前記第1面と第2面に挟まれた面
のうち、回転軸側の反対側の面である第4面と、で囲ま
れており、前記第1面、第2面または第4面に、前記球
の転動を制御するtため、第1、2、4面に比較し、相
対的に摩擦の大きい転動制御材を塗布したことを特徴と
するバランス補正装置。
【0018】また、前記転動制御材は球の表面に塗布し
ても良い。ここで、転動制御材とは具体的には、グリー
ス、二硫化モリブデン、金属石鹸などがあるが、適切な
摩擦抵抗を持つものなら他の物質でも良い。
【0019】さらに、前記第3面には、前記球の動作を
補助する動作補助材を具備することでディスク面が水平
面に対して垂直になるような姿勢でバランス補正装置を
用いるような場合でも、振動の発生を抑制することがで
きる。このとき、動作補助剤とは第三面上に形成された
突起部であることを特徴とする。
【0020】以上の何れかのバランス補正装置を用いた
光ディスク装置により上述した課題を改善できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した光ディス
ク装置の概要を図面を用いて説明する。
【0022】図1は、本発明を適用した光ディスク装置
1の全体図である。図1は筐体3からトレイ2が排出さ
れた状態での光ディスク装置1の斜視図である。このデ
ィスク装置1は最大で直径12cm程度、厚さ1.2m
m程度の光ディスクを対象とする光ディスク装置であ
り、幅、奥行きを13cm程度、高さを1.3cm程度
にした小型、薄型の光ディスク装置である。
【0023】トレイ2にはトレイ移動ボタンや表示器等
が付いたフロントベゼル4が取り付けてある。一方、ト
レイ2には弾性部材(後述する)を介してメカユニット
5が取り付けられる。メカユニット5には光ディスクが
装着され、この光ディスクを回転させるスピンドルモー
タ7、光ディスクに光を照射し、反射光を検出して電気
信号に変換する光ヘッド9とこれを移動させるスライド
モータ10(後述する)が取り付けられる。つまり、ス
ピンドルモータ7、スライドーモータ10といった振動
の発生源となる駆動部材を備えたメカユニット5を弾性
部材を介してトレイ2に取り付ける構成とすることで光
ディスク装置全体の振動を低減することができる。
【0024】図2はメカユニット5の詳細を示す上面図
である。メカユニット5は、シャーシ506にスピンド
ルモータ7、スライドモータ10といった駆動部材、光
ヘッド9といった移動部材を取り付けることで、振動発
生源となりうる部材をメカユニット5に集約された構成
とする。なお、光ヘッド9はスライドモータ10によっ
てメインガイド504とサブガイド505に沿って光デ
ィスクの内周、外周に移動する。これによって、メカユ
ニット5に対応してのみ振動対策をすればよいようにす
る。
【0025】本発明を用いる光ディスク装置では、メカ
ユニット5を弾性体(防振脚)501、502および5
03を介してトレイ2に取り付ける構成として振動対策
を施している。さらに、光ディスクを含む回転体のアン
バランスを補正するためのバランス補正機構を有する。
そして、該バランス補正機構をスピンドルモータのター
ンテーブル内に備えたことを特徴とする光ディスク装置
である。
【0026】このような構成にすることによって振動対
策を施すために必要なスペースを低減でき、光ディスク
装置の小型化、薄型化を図ることができる。
【0027】次に、光ディスクの偏重心などに対するバ
ランス補正について、本発明で用いる光ディスク装置で
の挙動について述べる。
【0028】図3(a),(b)は本発明の第一の実施
例であるディスクバランス補正機能をもたせたバランサ
ー付きスピンドルモータの断面図である。(a)はスピ
ンドルモータの全体断面図、(b)はロータ部に設置さ
れたバランス補正機構を示す断面図である。
【0029】図3(a)において,スピンドルモータ7
は回転軸となるシャフト703がメカシャーシ506上
に固定されるモータ基板709に軸受け704が組み込
まれ、該軸受け704を介してシャフト703を軸に回
転可能に支持されている。シャフト703にはスピンド
ルモータ7を構成するロータ705がターンテーブル7
01と共に取り付けられ、該ロータ705は円筒状に形
成された内面部に多極着磁された駆動磁石706が配置
されている。そして、駆動磁石706はモータ基板70
4上に軸受け704と共に固定されたステータ708に
対向している。すなわち、スピンドルモータ7はアウタ
ーロータ型に構成されている。
【0030】ターンテーブル(ディスクテーブル)70
1は、スピンドルモータ7のシャフト703に固定さ
れ、光ディスク11を芯出しして保持するための複数の
爪状部材702(図2参照)が組み込まれている。これ
によって、光ディスク11をターンテーブル701の中
央部に位置決めして確実に保持させる。
【0031】本実施例において、光ディスク11を含む
回転体が持つアンバランスを補正するバランス補正機構
8はスピンドルモータ7のターンテーブル701の下部
に備え、ロータ705の外周部に位置するように配置す
る。
【0032】図3(b)は、本発明を用いる光ディスク
装置のバランス補正機構8を示す。このバランス補正機
構は複数のバランス補正に用いる球(以下では補正球と
呼ぶ。)802の環状の転動軌道を含む環状空洞部80
1からなっている。該環状空洞部は回転軸に垂直な平面
上に位置し、回転軸をその中心とする。その構成は回転
軸(シャフト)703を中心に固定されたターンテーブ
ル701と一体に形成された外周壁803(光ディスク
面に平行な第1面と光ディスク面に垂直な第4面を含
む)と、補正球802の受け皿804(光ディスク面に
平行な第2面を含む)、および光ディスク面に垂直な内
周面(第3面)からなっている。そして、該受け皿80
4の一端部はターンテーブル701の外周部に固定され
ている。このような構造をとることによって、スピンド
ルモータ7の全体の高さを10mm以下に押さえること
が可能となる。ここで、スピンドルモータ全体の直径
(ロータ径)を規制するものは光ディスクの記録部の最
内周まで光ヘッドが近寄る必要があるためである。
【0033】このような条件の中で、環状空洞部801
の外周直径は約28mmに形成され、直径3mmまでの
補正球802が自由に転動できるようになっている。例
えば、1g−cmのアンバランスの光ディスクが補正可
能となっている。
【0034】本発明を用いる光ディスク装置で使用され
る補正球802は直径2.78mm(密度;7.87g
/cm3)で非磁性の金属球を13個収納した。環状空
洞内の外周直径が28mm近傍に規定された条件の中で
1g−cmのアンバランスを補正するためには限られた
材料となる。例えば、オイルや水溶液のような液体では
比重が小さいため十分な補正が得られない。一方、比重
の大きい水銀のような材料は環境上実用化が困難であ
る。また、磁化され易い金属球を用いた場合は、光ヘッ
ドのアクチュエータに用いている磁石の影響を受けて所
定の位置に金属球が停止しない場合がある。そのため、
補正球としては非磁性のステンレス等が適している。特
に、磁化され易い金属球を用いた場合、光ヘッドがディ
スクの内周側にきた時に問題となる。
【0035】ここで、補正球802を用いたバランス補
正の原理について図4で簡単に説明する。図中、A,B
は複数の補正球802が収納された、環状空洞部801
の上断面のモデル図である。補正球802は環状空洞部
801内を自由に転動できるものとする。ここで、図2
に示したように光ディスク11、スピンドルモータ7、
光ヘッド9を含むメカユニット系5を弾性体(防振脚)
501、502および503により弾性支持した構成と
する。支持系の共振周波数をωnとすると、スピンドル
モータが回転を始め回転周波数ωが前記共振周波数ωn
より低い領域ωn>ωにおいて、補正球802はディス
クのアンバランスの方向にスピンドルモータの回転によ
る遠心力で移動する(A図)。防振脚501、502、
503による弾性支持系は一次の振動系である。共振点
を越えると位相が180度反転するため、スピンドルモ
ータの回転支持系の共振周波数ωnを越える回転周波数
ωの場合、補正球802にはディスクアンバランスの反
対方向に向かう力が働く(B図)。したがって、ωn<
ωの領域となるスピンドルモータ回転数の時、補正球8
02はアンバランスを補正する方向に移動する。これが
本バランス補正の原理である。
【0036】上記、原理図は理想状態の一例を示したも
のであるが、実際の光ディスク装置においては種々の回
転モードがある。また、種々の振動モードにもバランス
補正が悪影響を与えるように対応しなければならない。
【0037】そこで、本発明の第1の実施例として、最
も高速で回転するCD−ROMと共振周波数を越えた近
傍で回転するDVD−ROMについての検討結果を述べ
る。
【0038】本発明の第1の実施例はDVDがディスク
の最内周回転数で2800rpmから3000rpmで
再生する光ディスク装置とし、CD−ROMを5500
rpmで再生するものである。このような種々のディス
クの判別は1500から2000rpmの回転数でフォ
ーカス調整、トラッキング調整等の初期化の時点で行う
ように設定してある。
【0039】かかるメカユニット5の共振周波数ωn
は、約40Hz(2400rpm)になるように上記防
振脚501、502、503の弾性係数が設定される。
CD−ROMの場合は、使用回転数が約5500rpm
であり、この最大回転数になるまでに補正球802が整
定されればよい。
【0040】一方、DVDの場合には、例えば再生回転
数が2800rpmと低いためメカユニット5の共振周
波数40Hz(2400rpm)と非常に近く、使用回
転数に達してもまだ十分に補正球が修正しきれない。こ
のような場合には、一旦補正球802が規定の修正位置
に収まる回転数(例えば、4000rpm)まで上げて
から、目的の回転数に下げるようにすればディスクのア
ンバランスによる問題が除去される。
【0041】しかし、一般には補正球802に加わる摩
擦の影響を小さくするために転動面805と補正球80
2の摩擦力を低くしてあるから、補正球802が落ち着
くまでにある程度の時間が必要である。この補正球80
2が加減速により転がり始めて落ち着くまでの時間が、
光ヘッドが移動するシーク時間よりも大きくなると、振
動が不安定な状態でデータの読み出しを行なわなければ
ならなくなり、装置自体の信頼性を劣化させることにつ
ながる。
【0042】これを解決するために、補正球802が転
動する領域(前述した第1面、第2面または第4面)に
適当な抵抗を持たせる処理を行なう。本実施例では、上
記環状空洞部801が加工性の良い真鍮で構成され、補
正球802の転動面は滑らかな研削面に加工されてい
る。該研削面には耐摩耗性処理として、無電解ニッケル
メッキが施されている。そして、その上に補正球802
が転動する面805に潤滑材としてグリース806を塗
布する。しかし、グリース単独では抵抗が大きすぎて目
的の位置に補正球が整定しないことがある。これを避け
るために、効果を増すためにはグリースの中に数ミクロ
ンの球状微粒子を混在するとよい。このようにすると、
球状微粒子が補正球の転動を助け、潤滑材の許容量を広
げる効果がある。転動面805にグリースを塗布する目
的は、スピンドルモータの回転数がメカユニット5の共
振周波数ωnを超えた状態でできる限りシーク時間を短
く補正球を整定するためでもある。
【0043】このような手段を用いることにより防振脚
501、502、503の共振点通過後の補正球の整定
を安定にすることができる。
【0044】グリースは溶媒に溶かした状態のものをデ
ィスペンサーで適量塗布し、溶媒を蒸発させて固化す
る。グリースの量は数十ミクロンの厚みが適当であっ
た。
【0045】ここで、補正球の転動制御材としては、一
般的な固体潤滑剤である二硫化モリブデンや金属石鹸が
使用され、これを薄膜形成技術によって形成すれば工程
管理が大幅に改善される。
【0046】その他、補正球に転動制御材をコーティン
グしても同様な効果が得られる。また、補正球の衝突音
を低減する効果がある。なお、ここではグリース、二硫
化モリブデン、金属石鹸などを転動制御材として用いた
が、適度な潤滑性、摩擦抵抗を持ったその他の物質を用
いても良く、これは補正球の材質、大きさによって変化
する。
【0047】図5および図6では、従来例と本実施例を
用いた光ディスク装置の実験結果の比較を示す。図5
(a)、(b)はアンバランス(偏重心)があるディス
クの実験結果を示し、図6(a)、(b)はアンバラン
スのほとんどないディスク(以下ではノーマルディスク
と称する。)の実験結果を示す。
【0048】図5(a)、(b)はアンバランス量が
0.5g−cmのディスクを用いて、ディスク装置によ
る効果を調べた実験結果である。この実験ではディスク
を約87Hz(5200rpm)まで回転させた時の振
動加速度を測定した。
【0049】使用した補正球802は、直径2.78m
mの非磁性のステンレスからなり、環状空洞部801に
13個収納した。
【0050】図中、上段はディスク回転数の時間変化を
示し、下段はそれに伴なう振動加速度の変動を示す。な
お、ディスク装置の回転シーケンスとしては、一度15
00〜2000rpmで一定にし、そこから目標の回転
数まで上げていった。ここで、実験に用いたメカユニッ
トの共振周波数ωnは約40Hz(2400rpm)に
設定されている。
【0051】図5(a)は補正球のない従来のディスク
装置の場合である、図5(b)は本実施例の実施結果を
示す。図5(a)に示すように、従来のディスク装置に
おいて加速度振動の上端と下端との差(peak to peak)
では最大約3Gの加速度(以下ではpeak to peakの加速
度をGp-pと表記する。)で振動している。これに対し
て本発明のバランス補正機構と転動制御材を有するディ
スク装置によれば、図5(b)に示すように回転数が5
000rpm以上でも0.3Gp-pまで低減されてい
る。
【0052】本発明によれば、回転の初期(約500r
pm)で補正球802は、一旦ディスクアンバランス側
に集まり(図4参照)、共振周波数ωnの手前(150
0〜2000rpm)で補正球の集合体が移動し、ωn
(2400rpm付近)ではアンバランスの位置から1
60°付近に移動(位相反転)している。そして、30
00rpmでは補正球の集合体の中心がほぼ180°の
位置に到達している。
【0053】次に、図6(a)、(b)はノーマルディ
スク(アンバランス量;0.05g−cm)を用いた場
合に、補正球802を用いて転動面に何も処理しない場
合と、本発明の転動制御材806を設けた場合の実験結
果を示す。図6(a)ではメカユニットの共振周波数ω
nを越えた状態でもしばらく補正球が迷走し、目的の位
置に整定せずに振動加速度の大きい状態(2.5Gp-
p)が続いてしまう。これに対して、図6(b)に示す
ように転動制御材806を有する本発明によればメカユ
ニットの共振周波数ωnを越えた時点で振動加速度が低
減し、約0.4Gp-pになる。これはノーマルディスク
使用時において補正球がほぼ均等な間隔に整定されてい
ることを示している。
【0054】本発明によれば、転動制御材806の効果
によりノーマルディスク使用時においても補正球のアン
バランスによる悪影響を受けることなく、高速回転にお
いても振動加速度を低く保つことができる。
【0055】次に、光ディスク装置を垂直置きにした時
のバランス補正について述べる。最初、補正球802は
自重によって環状空洞部801の下部に集まっていて、
スピンドルモータの回転力による遠心力によって空洞溝
の側部に競り上がってくる。しかし、スピンドルモータ
の回転数が低い場合は補正球に働く遠心力が重力より小
さいため補正球802が環状空洞部801内を上がりき
れないで複数の補正球が溝の底部で互いに衝突し合い、
遠心力が重力より大きくなっても溝の底部に戻ってしま
う。そのための衝突が騒音となる。また、アンバランス
がさらに増し、その振動が冗長されることがある。
【0056】そこで、このような問題の解決手段を図7
によって説明する。図7は補正球の動作補助部材807
を用いたバランス補正機構8の転動溝805と装置を立
てた状態で、且つ回転数が低い時の補正球802の動作
状態を示すものである。すなわち、環状空洞部801内
の内周部に補正球802の動作補助部材807を配置し
てなる。スピンドルモータの回転が始まると補正球80
2は回転方向に移動し、あるところまで押し上げられる
と自重で落ちてくる。この時、補正球802は前記動作
補助部材807の凸部によって順次押し上げられ(ある
いは跳ね上げられ)て移動する。スピンドルモータの回
転数が上がるにしたがって、複数の補正球は次々と動作
補助部材807の凸部によって押し上げられて周回する
ようになる。そして、補正球の自重より回転数が上がる
と遠心力によって、補正球802は環状空洞部801の
外周を転動しながら移動を始める。ここで、前記動作補
助部材807は補正球802と接触した時に摩擦力の効
果を利用するため、リング状で耐久性のあるウレタンゴ
ム等が適している。動作補助部材の外周面の凸部は補正
球を押し上げを容易にするためのものであり、特に規定
するものではない。
【0057】上記のように初期起動に、動作補助部材8
07によって補正球802が回転すれば垂直置きでも、
前述の水平置きに示した、図5(b)および図6(b)
と同様な結果が得られる。
【0058】次に、本発明の第2の実施例の光ディスク
装置について、図面を参照しながら説明する。
【0059】図8(a)は本発明の第2の実施例の光デ
ィスク装置におけるスピンドルモータ7を示す側面断面
図である。図8(b)は光ディスク装置におけるスピン
ドルモータのバランス補正機構部分を示した側面断面図
である。前述の図1に示した第1の実施形態の光ディス
ク装置や図2のメカユニットおよび図3のスピンドルモ
ータにおける要素と実質的に同一な要素には同一記号を
付して、その説明は省略する。本発明の第2の実施例の
ディスク装置は、前述の第1の実施例におけるバランス
補正機構部8の環状空洞部801において、外周壁80
3と補正球802の受け皿804は樹脂で一体成型した
部品を用い、ターンテーブル701に対して軸中心に位
置決めを行ない固定されている。
【0060】さらに、内周部(前述した第3面)に補正
球802の動作補助部材807としての突起部を樹脂成
型時に形成される。
【0061】なお、補正球802の転動制御材807は
別途形成される。これは光ディスク装置の用途やメカユ
ニットの防振脚の選定条件に合わせて、材質や形成条件
が選択される。
【0062】その他の構成は前述の第1の実施例と同一
である。本発明の第2の実施例によれば製造工程が簡略
化できる。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、小型化、薄型化を図っ
た光ディスク装置において、光ディスクのアンバランス
を含む回転系のアンバランスを補正でき、回転系から生
じる振動を小さくできる。これにより、上記アンバラン
ス振動によるフォーカス、トラッキングエラーを抑制で
きると共に、装置の水平置き、垂直置きにかかわらず振
動を小さくすることができる。また、本発明によるバラ
ンス補正機構を用いた光ディスク装置は信号の高速転送
化に伴なう光ディスクの高速回転化に対応できると共
に、位置決め精度の向上も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を説明する光ディスク装置
の外観図。
【図2】 本発明の一実施形態を示すメカユニットの上面
図。
【図3】 本発明の第1の実施形態を示す光ディスク装置
のバランス補正機構を備えたスピンドルモータの側面断
面図。
【図4】 バランス補正の原理を説明する図。
【図5】 アンバランスを持つディスクにおいて本発明の
効果を示す振動加速度のグラフ図。
【図6】 アンバランスを持たないディスクにおいて本発
明の転動制御材の効果を示す振動加速度のグラフ図。
【図7】 本発明の一実施形態を示す補正球の動作補助部
材形状と動作の説明図。
【図8】 本発明の第2の実施形態を示す光ディスク装置
のバランス補正機構を備えたスピンドルモータの側面断
面図。
【符号の説明】
1・・・光ディスク装置、2・・・トレイ、3・・・筐体、5・・・
メカユニット、7・・・スピンドルモータ、8・・・バランス
補正機構、9・・・光ヘッド、10・・・スライドモータ、1
1・・・光ディスク、501,502,503・・・弾性体
(防振脚)、506・・・シャーシ、701・・・ターンテー
ブル、702・・・爪部材、703・・・シャフト、704・・
・軸受け、705・・・モータ・ロータ、706・・・駆動磁
石、708・・・ステータ、709・・・モータ基板、801
・・・環状空洞部、802・・・補正球、806・・・転動制御
材、807・・・動作補助部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 充 茨城県ひたちなか市稲田1410番地 株式会 社東海テック内 (72)発明者 樫村 信一 茨城県ひたちなか市稲田1410番地 株式会 社東海テック株式会社内 (72)発明者 小林 広明 茨城県ひたちなか市稲田1410番地 株式会 社東海テック内 (72)発明者 大山 和人 茨城県ひたちなか市稲田1410番地 株式会 社日立製作所デジタルメディア製品事業部 内 (72)発明者 佐藤 良広 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 Fターム(参考) 5D038 GA04 HA04 HA05 5D109 DA01 DA14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ディスクを回転駆動させるスピンドル
    モータと、該スピンドルモータの回転軸に垂直な平面上
    に、該回転軸を中心とする環状の軌道を持つ複数の球
    と、からなる偏心または偏重心を補正するバランス補正
    装置において、前記軌道は前記スピンドルモータの外周
    部に配置され、さらに、前記軌道は、光ディスクと平行
    な第1面および第2面と、該第1面と第2面に挟まれた
    面のうち、回転軸側の面である第3面と、前記第1面と
    第2面に挟まれた面のうち、回転軸側の反対側の面であ
    る第4面と、で囲まれており、前記第1面、第2面また
    は第4面に、前記球の転動を制御する転動制御材を塗布
    したことを特徴とするバランス補正装置。
  2. 【請求項2】 光ディスクを回転駆動させるスピンドル
    モータと、該スピンドルモータの回転軸に垂直な平面上
    に、該回転軸を中心とする環状の軌道を持つ複数の球
    と、からなる偏心または偏重心を補正するバランス補正
    装置において、前記軌道は前記スピンドルモータの外周
    部に配置され、さらに、前記軌道は、光ディスクと平行
    な第1面および第2面と、該第1面と第2面に挟まれた
    面のうち、回転軸側の面である第3面と、前記第1面と
    第2面に挟まれた面のうち、回転軸側の反対側の面であ
    る第4面と、で囲まれており、前記球の表面には、該球
    の転動を制御する転動制御材を塗布したことを特徴とす
    るバランス補正装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のバランス補正
    装置において、前記第3面は、前記球の動作を補助する
    動作補助材を具備することを特徴とするバランス補正装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1から3何れか一項に記載のバラ
    ンス補正装置において、前記転動制御材とはグリースで
    あることを特徴とするバランス補正装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から3何れか一項に記載のバラ
    ンス補正装置において、前記転動制御材とは二硫化モリ
    ブデンを添加したグリースであることを特徴とするバラ
    ンス補正装置。
  6. 【請求項6】 請求項1から3何れか一項に記載のバラ
    ンス補正装置において、前記転動制御材とは金属石鹸を
    添加したグリースであることを特徴とするバランス補正
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載のバランス補正装置にお
    いて、前記動作補助材とは突起であることを特徴とする
    バランス補正装置。
  8. 【請求項8】 請求項1から7何れか一項記載のバラン
    ス補正装置を用いたことを特徴とする光ディスク装置。
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