JP2001011589A - 高磁束密度低鉄損の無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
高磁束密度低鉄損の無方向性電磁鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
て、高磁束密度で低鉄損の無方向性電磁鋼板とその製造
方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.01%以下、Si:0.01〜
1%、Mn:1.5 %以下、P:O.15%以下、S:0.01%以
下、sol.Al:0.0010%以下、残部はFeおよび不可避的不
純物を含み、介在物の組成をMgO :10%以上、MgO/Al
2O3 :0.2〜1.0 、SiO2/Al2O3:0.43 〜2.3 にするので、
鋼板の熱間圧延時に介在物が非延性化され、鋼板の歪取
り焼鈍時における結晶粒の成長性を向上できる。その結
果、鉄損が低く、磁束密度の高い無方向性磁性鋼板を安
定して製造することができる。
Description
して広く用いられる高磁束密度で低鉄損の無方向性電磁
鋼板およびその製造方法に関するものである。
%(wt%を意味する)以下程度の比較的低Siの無方向性
電磁鋼板が、発電機、モータや小型変圧器等として電気
機器に広く用いられている。省エネルギーの観点より電
気機器の高効率化が要望されており、磁気特性として特
に低鉄損で高磁束密度の無方向性電磁鋼板が求められて
いる。
を低下させるためには結晶粒度を大きくすることが重要
であり、このとき酸化物、硫化物、窒化物の生成が粒成
長に大きく影響する。一方、磁束密度は、Si、Al等の添
加により低下するため、高磁束密度の無方向性電磁鋼板
を製造するためには、合金元素の量を低下する必要があ
る。また、析出物の低下による結晶粒成長性の向上のた
めには、脱硫によりSを低下させ、出鋼時のNピックア
ップの防止、RH脱ガスでの脱窒処理によりNを低下さ
せている。
l、Si等で脱酸する方法が一般的に知られている。さら
に、微細なAlN の析出を防止するために、従来よりAlを
0.2 %以上とし、介在物をAl2O3 とするとともにAlN を
粗大化させる技術が知られている。ただし、高磁束密度
を達成するためには、合金元素を低下させる必要があ
り、Alを0.2 %以上添加することは問題となる。
し、AlN の析出を防止する方法も知られている。このと
き問題となるのは、SiO2-MnO-Al2O3系の延性介在物を生
成することである。このため、特開平1-152239号公報に
は、介在物組成をMnO/(SiO2+MnO+Al2O3)≦15%、SiO2/
(SiO2+MnO+Al2O3) ≧75%に制御し、介在物組成を非延
性にする方法が示されている。
物の重量割合を、MnO/SiO2≦0.25、Al2O3/SiO2=0.1〜1
、SiO2/(SiO2+MnO+Al2O3)<0.75にすることにより連続
鋳造時のノズル詰まりを防止しつつ焼鈍時の粒成長性に
優れた電磁鋼板を溶製する方法が示されている。さら
に、介在物形態を変化させるため、特開平3-126845号公
報には、Ca/S=0.1〜1.5 となるようにCaを添加し、Sを
CaS とするとともに、介在物をAl2O3-CaO系に制御する
技術や、特開平10-212555 号公報には、Mgを添加するこ
とで介在物組成を、MgO を8%以上、(SiO2+MgO)を60%
以上に制御する方法が示されている。
Alを0.2 %以上とし、介在物をAl2O3 とするとともにAl
N を粗大化させる技術が知られているが、このような方
法では、高磁束密度を達成するためには、合金元素を低
下させる必要があり、Alを0.2 %以上添加することは、
磁束密度の低下を引き起こすという問題があった。
し、AlN の析出を防止する方法において問題となるの
は、SiO2-MnO-Al2O3系の延性介在物を生成することであ
る。このため、特開平1-152239号公報に示される方法で
は介在物形態を完全に非延性にすることができず、鉄損
の低下が図れないばかりでなく、SiO2濃度を高くし過ぎ
ると、介在物の酸素濃度が高くなり、連鋳機においてノ
ズル詰まりを引き起こし、安定製造ができないという問
題があった。
は、連続鋳造時のノズル詰まりは防止できても、熱間圧
延時における介在物の非延性化は防止できず、結果的に
鉄損を低位に安定させることができなかった。さらに、
介在物形態を変化させるための技術として、特開平3-12
6845号や特開平10-212555 号公報に示された方法でも介
在物の延性化が十分に防止できていないという問題があ
った。
決するために、介在物を非延性化し、結晶粒の成長性を
向上することができる高磁束密度低鉄損の無方向性電磁
鋼板およびその製造方法を提供することを目的とするも
のである。前記目的を達成するための請求項1記載の本
発明は、重量%で、C:0.01%以下、Si:0.01〜1%、
Mn:1.5 %以下、P:O.15%以下、S:0.01%以下、so
l.Al:0.0010%以下、残部はFeおよび不可避的不純物を
含み、介在物の組成がMgO:10 %以上、MgO/Al2O3 :0.2
〜1.0 、SiO2/Al2O3:0.43 〜2.3 となることを特徴とす
る高磁束密度低鉄損の無方向性電磁鋼板である。
出鋼した溶鋼を、真空脱ガス装置により脱炭処理を行っ
た後、該溶鋼へのAl添加による予備脱酸により溶存酸素
濃度を50〜150ppmとなし、次いでSiおよびMg、またはSi
およびMg合金を添加することにより請求項1記載の成分
および介在物組成とすることを特徴とする高磁束密度低
鉄損の無方向性電磁鋼板の製造方法である。
出鋼した溶鋼を、真空脱ガス装置により脱炭処理を行っ
た後、該溶鋼へのAl添加による予備脱酸により溶存酸素
濃度を50〜150ppmとなし、次いでSi添加により成分調整
を行ってがら、取鍋内の溶鋼にMgまたはMg合金を添加す
ることにより請求項1記載の成分および介在物組成とす
ることを特徴とする高磁束密度低鉄損の無方向性電磁鋼
板の製造方法である。
検討した結果、SiO2系およびMgO-SiO2系が最も延性介在
物になりにくいことを発見した。しかし、SiO2濃度の高
い介在物を生成させることは、前に述べたように介在物
酸素濃度が高くなり、連鋳機においてノズル詰まりを起
こして製造が非常に不安定となり、鉄損の低い電磁鋼板
を安定的に製造することができない。
たはSi添加後に酸素と親和力の強いMgを添加するとMgO-
SiO2-Al2O3系の介在物が生成し、介在物個数を減少させ
るとともに、残存する介在物がMgO を含有することによ
り融点を1500℃以上に上昇できる。融点の高い非延性の
介在物とすることにより粒成長性が向上するので、鋳片
の圧延により得られた電磁鋼板の鉄損は低位安定したも
のとなる。このように本発明では、介在物組成をMgO-Si
O2系に制御することによって、延性介在物の生成が抑制
され、低鉄損で高磁束密度の電磁鋼板を製造できる。
磁鋼板を製造する鋼の溶製は、転炉、電気炉等の通常の
溶製方法で製造され、目標とする最終の溶鋼組成を得
る。例えば転炉から出鋼したCは0.03〜0.15%、Mn:0.0
1 〜0.1 %、Si:0.3%、P:0.005%〜0.10%であればよ
い。転炉から出鋼された溶鋼はRH脱ガス装置等により
0.01気圧以下で真空処理して脱炭され、溶鋼中のC含有
量を0.01%以下とする。ここで溶鋼中の酸素含有量が増
加するのを防止するため、C含有量を0.0005%以上とす
るのが好ましい。
る予備脱酸により溶存酸素濃度を50〜150ppmとする。こ
こで、溶存酸素濃度の下限を50ppm としたのは、Alによ
り50ppm 未満まで予備脱酸処理を行うとAlN の発生で延
性が阻害されやすく、一方、150ppmを超えてのAlによる
予備脱酸は多量のAl2O3 が発生し、介在物が多くなり過
ぎる他、操業が不安定になるという問題がある。このよ
うにして予備脱酸処理した脱ガス槽内の溶鋼に強力な脱
酸能のあるSiとMg、またはSiとMg合金を添加することに
より、目標とする最終の溶鋼組成を得る。もしくは、同
様の手順でAl添加による予備脱酸を行った後、取鍋内の
溶鋼にまずSiを添加して脱酸し、次にMgまたはMg合金を
添加することにより目標とする最終の溶鋼組成を得るよ
うにすることもできる。
りスラブとした後、常法に従う熱間圧延法で板厚2.0 〜
3.0mm 程度の熱延板に仕上げる。なお、板厚はこの寸法
に限定されるものではない。次いで、必要に応じて製品
の集合組織改善のための熱延板の焼鈍を行った後、冷間
圧延により所定の板厚とし、さらに最終焼鈍を行いその
後、公知の方法で絶縁皮膜を生成する。
施例および比較例に係る無方向性電磁鋼板用スラブを転
炉−真空脱ガス(RH)−連続鋳造工程により製造し
た。Mgの添加は、真空脱ガスにおいて脱炭処理を行った
後、AlおよびMnを添加し、所定の成分としてSi-Mg 合金
を添加したものと、RH処理後の取鍋内に金属被覆Mg
(以下、Mgワイヤとする)を使用して行った。次いで、
1150℃に加熱後、熱延により2.0mm 厚さとした後、冷延
して0.5mm 厚とし、750 ℃、10秒の仕上げ焼鈍後に絶縁
皮膜を被成した。さらに、750 ℃、2時間の歪取焼鈍を
施した。かくして得られた製品の成分歪取焼鈍後の粒径
および磁気特性: JISC2550に規定のエプスタイン試験法
による鉄損W15/50 と磁束密度Bについて調べた結果を
表1に併記する。
学組成は、下記の範囲に調整してある。 C:Cは鉄損を高める有害成分で、0.01%を超えるとC
の析出にりより磁気時効が著しくなり、磁気特性を劣化
させるので少ないほど好ましく、電磁鋼板としての特性
を満たすために、C含有量の上限を0.01%とする。
抗を高めて鉄損を低減するために用いられるSiは、脱酸
効果を得るために0.01%以上を含有させる。一方、Si含
有量が増すにつれて磁束密度が低下するので、その上限
を1%とする。 Mn:Mnは鋼板の硬度を増加させ、鉄心に加工するときの
鋼板の打抜き性および固有抵抗を高めて鉄損を下げる効
果があるが、Mn含有量が増すと延性に富むMnO系の介在
物が増すおそれがある。MnO 系介在物の生成を抑制する
ためにMn含有量の上限を1.5 %とする。
の硬度を増し、打抜き性を改良するが、Pを過度に含有
させると鋼が脆化するので、0.15%以下に抑える。 S:Sは0.01%を超えるとMnS の析出が生じ易く、焼鈍
時の結晶粒の成長を妨げるので少ないほうがよく0.01%
以下とする。 Al:Alは健全な鋳片を得るための溶鋼の脱酸剤としての
役割と、介在物中のAl 2O3 含有量を制御する役割を持っ
ている。Al添加により生じる脱酸生成物の一部は浮上す
るが、残余は鋼中で酸化物系介在物を形成し、さらに過
剰のAlはsol.Alとして鋼中に残存する。sol.Alは、主に
微細な析出物であるAlN として存在する。AlN の量が増
すと結晶粒の成長や磁壁移動の障害となる。このため、
sol.Alは少ないのが好ましく、その含有量の上限を0.00
10%とする。
するものではないが、所定の成分としたSi-Mg 合金、Fe
-Mg 合金、Fe-Si-Mg合金等が好適であり、合金の形態は
Mg源金属を塊状もしくはワイヤ状にして用いるのが取扱
いに便利である。Mgは必ずしも鋼板に残存させる必要は
ないが、SやNと析出物を形成するのを避けるためには
0.003 %以下にするのが好ましい。また、鋼中に溶存す
る酸素と介在物中の酸素からなる全酸素量は、0.01%以
下にするのが好適である。上記以外の元素はFeおよび不
可避的不純物である。
介在物の組成は上記の通り、MgO :10 %以上、MgO/Al2O
3 :0.2〜1.0 、SiO2/Al2O3:0.43 〜2.3 にする必要があ
る。 MgO :酸化物系介在物の融点を高くし、熱間圧延時に介
在物を非延性にするには、介在物組成を鋼板中の酸化物
系介在物の総量に対する重量比でMgO を10%以上にする
必要がある。MgO が10% 未満であるとMgによる脱酸が不
十分となり、また介在物の融点が低くなり易く、熱間圧
延で介在物が延ばされ、歪み取り焼鈍時の結晶粒成長を
阻害する。
のAl2O3 に対するMgO の重量比MgO/Al2O3 が0.2 に満た
ない比較例2、3、4および7の場合には、介在物の非
延性が阻害され鋼板の歪取焼鈍後の結晶粒径が小さく、
鉄損W15/50 が大きくなる。また、MgO/Al2O3 が1.0 を
超える比較例1、5および6の場合にも、介在物析出量
が増加するため、鋼板の歪取焼鈍後の結晶粒径が小さく
なとともに鉄損W15/50 が大きくなる。これに対して、
MgO/Al2O3 を0.43〜2.3 範囲にする本発明の実施例1〜
8の場合には、比較例1〜7より格段に鋼板の歪取焼鈍
後の結晶粒の粒径を大きくでき、鉄損W15/50 が低位に
安定するとともに、磁束密度B50を1.77〜1.80(T) レベ
ルに保持でき、良好な磁気特性の無方向性電磁鋼板が得
られる。
O2の重量比SiO2/Al2O3が0.43未満となってSiO2が少ない
場合、相対的にAl2O3 が増すので、微細な単体Al2O3 の
介在物が多くなって結晶粒の成長が阻害される。逆に、
SiO2/Al2O3が2.3 を超えてAl 2O3 が低くなりすぎるとSi
O2系の微細析出物が生成され、結晶粒の成長や磁気特性
に悪影響を及ぼす。また、SiO2の比率が高くなると、連
続鋳造時にノズルが詰まり易くなる。このため、結晶粒
の成長を確保して所望の磁気特性を得るには、SiO2/Al2
O3を0.43〜2.3 範囲にする必要がある。
に係る無方向性電磁鋼板は、比較例よりも格段に歪み取
り焼鈍後の結晶粒成長性に優れ、鉄損が低位に安定する
とともに磁束密度の高い製品を製造することができる。
度低鉄損の無方向性電磁鋼板は、重量%で、C:0.01%
以下、Si:0.01〜1%、Mn:1.5 %以下、P:O.15%以
下、S:0.01%以下、sol.Al:0.0010%以下、残部はFe
および不可避的不純物を含み、介在物の組成をMgO :10
%以上、MgO/Al2O3 :0.2〜1.0 、SiO2/Al2O3:0.43 〜2.
3 にするので、熱間圧延時に介在物が非延性化され、無
方向性磁性鋼板の結晶粒成長性が向上できる。その結
果、鉄損が低く、磁束密度の高い無方向性磁性鋼板を安
定して製造することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.01%以下、Si:0.01〜
1%、Mn:1.5 %以下、P:O.15%以下、S:0.01%以
下、sol.Al:0.0010%以下、残部はFeおよび不可避的不
純物を含み、介在物の組成がMgO :10%以上、MgO/Al
2O3 :0.2〜1.0 、SiO2/Al2O3:0.43 〜2.3 となることを
特徴とする高磁束密度低鉄損の無方向性電磁鋼板。 - 【請求項2】 一次精錬炉より出鋼した溶鋼を、真空脱
ガス装置により脱炭処理を行った後、該溶鋼へのAl添加
による予備脱酸により溶存酸素濃度を50〜150ppmとな
し、次いでSiおよびMg、またはSiおよびMg合金を添加す
ることにより請求項1記載の成分および介在物組成とす
ることを特徴とする高磁束密度低鉄損の無方向性電磁鋼
板の製造方法。 - 【請求項3】 一次精錬炉より出鋼した溶鋼を、真空脱
ガス装置により脱炭処理を行った後、該溶鋼へのAl添加
による予備脱酸により溶存酸素濃度を50〜150ppmとな
し、次いでSi添加により成分調整を行ってがら、取鍋内
の溶鋼にMgまたはMg合金を添加することにより請求項1
記載の成分および介在物組成とすることを特徴とする高
磁束密度低鉄損の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 1999-06-24 JP JP17783499A patent/JP4218136B2/ja not_active Expired - Fee Related
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