JP2001011080A - ベンゾピラン系化合物及びその製造方法 - Google Patents

ベンゾピラン系化合物及びその製造方法

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JP2001011080A
JP2001011080A JP2000128917A JP2000128917A JP2001011080A JP 2001011080 A JP2001011080 A JP 2001011080A JP 2000128917 A JP2000128917 A JP 2000128917A JP 2000128917 A JP2000128917 A JP 2000128917A JP 2001011080 A JP2001011080 A JP 2001011080A
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benzopyran
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JP2000128917A
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Kyoko Endo
恭子 遠藤
Yukichi Murata
勇吉 村田
Tomoyuki Ogata
朋行 緒方
Yoshiharu Sato
佳晴 佐藤
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光輝度が高く、堅牢性の良好な新規赤色系
色素用ベンゾピラン系化合物およびその製造方法を提供
する。 【解決手段】下記一般式(I)で示されるベンゾピラン
系化合物。 【化1】 (式中、R1 〜R4 は各々独立に水素原子または炭素数
1〜4のアルキル基を表し、環Zは置換基を有していて
も良い芳香環を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤色系蛍光性色素
として有用なベンゾピラン系化合物及びその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、蛍光性色素は、樹脂、染料、イン
クなどの種々の材料の着色に利用されているが、近年そ
の蛍光効率を利用して、薄膜発光素子等の電子機器分野
への用途が開発されている。蛍光性色素については種々
の構造及び発光色の色素が知られているが、特に電子機
器分野等で要求される赤色に高輝度で発光し、さらに堅
牢度の優れた化合物は少ない。
【0003】ベンゾピラン系化合物が有機電界発光素子
(有機EL素子)の発光色素として用いられることは広
く知られている。例えば、特開平10−60427号公
報には、下記(D−1)に示すジュロリジン構造を有す
るベンゾピラン系化合物を使用して赤色発光が得られた
例が開示されている。
【0004】
【化7】
【0005】また、特開平6−316649号公報に
は、下記(D−2)に示すベンゾピラン系化合物を使用
して赤色蛍光が得られた例が開示されている。
【0006】
【化8】
【0007】しかし、これらのベンゾピラン系化合物
は、いずれも蛍光波長が短かく、赤色としては不十分で
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情を鑑み、蛍
光性色素化合物においては、特に鮮色な赤色蛍光を示
し、かつ優れた発光性能を有する色素の開発が求められ
ている。本発明は発光輝度が高く、堅牢性、発光効率な
どの特性の優れた新規赤色系蛍光性色素の提供を目的と
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
を重ねた結果、ジュロリジン環を有するベンゾピラン系
化合物の構造式(D−1)において、イミンにかえてカ
ルボニル基を導入することによって、優れた性能を有す
る赤色系蛍光性色素が得られることを見出し本発明を達
成した。ジュロリジン環を有してカルボニル型の赤色系
蛍光性色素は未だ知られておらず新規な色素である。
【0010】即ち、本発明の要旨は下記一般式(I)で
示されるベンゾピラン系化合物に存する。
【0011】
【化9】
【0012】(式中、R1 〜R4 は各々独立に水素原子
または炭素数1〜4のアルキル基を表し、環Zは置換基
を有していても良い芳香環を表す。) 本発明はまた、一般式(I)で示される化合物からなる
色素及びその製造方法にも関する。さらに本発明は、対
向する陽極と陰極の間に有機層を有し、該有機層が一般
式(I)の化合物からなる色素を含むことを特徴とす
る、有機電界発光素子にも関する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のベンゾピラン系化合物は前記一般式(I)で示
されるジュロリジン環を有するクマリン系化合物を有す
るものであって、カルボニル基を有している化合物であ
ることが特徴である。
【0014】一般式(I)において、R1 〜R4 は各々
独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示
し、好ましくは水素原子またはメチル基であり、より好
ましくはメチル基である。中でもR1 〜R4 が全て水素
原子であるかメチル基であるのが好ましく最も好ましく
はR1 〜R4が全てメチル基である場合である。一般式
(I)において、環Zは置換基を有していてもよい芳香
族環を表し、芳香族環としてはベンゼン環、ナフタレン
環が挙げられ、中でもベンゼン環が好ましい。環Zがベ
ンゼン環の場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキ
ル基、アルコキシ基等が挙げられる。置換基がハロゲン
原子の場合、例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、
ヨウ素原子が挙げられ、中でも塩素原子、臭素原子、フ
ッ素原子が好ましく用いられる。置換基がアルキル基で
ある場合、置換基の炭素の総数1〜8、好ましくは1〜
4のアルキル基が挙げられ、置換基がアルコキシ基であ
る場合、炭素数1〜8、好ましくは1〜4のアルコキシ
基が挙げられ、特にメトキシ基が好ましい。置換基がア
ルコキシカルボニル基を表す場合、アルコキシ部の炭素
数1〜8、好ましくは1〜4のアルコキシカルボニル基
が挙げられる。環Zがベンゼン環である場合、置換基の
数は0から4を表し、中でも0から2が好ましい。
【0015】環Zがナフタレン環である場合、ベンゾピ
ラン骨格への置換位置は特に限定されないが、上記ベン
ゼン環に準ずる置換基が挙げられるが、特には無置換の
ものが好ましい。本発明のベンゾピラン系化合物の代表
例を下記の表−1に示すが、本発明化合物はこれに限定
されるものではない。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】一般式(I)で示される本発明のベンゾピ
ラン系化合物は、例えば下式に従って製造することがで
きる。
【0020】
【化10】
【0021】(式中、R1 〜R4 は各々独立に水素原子
または炭素数1〜4のアルキル基を表し、環Zは置換基
を有していても良い芳香環を表す。) 一般式(II)で示される8−ヒドロキシ−9−ホルミル
ジュロリジン誘導体を一般式(III)で示されるアセトニ
トリル類と反応させて一般式(IV)で示される化合物を
得る。
【0022】反応は通常、不活性溶媒中で実施される。
使用される不活性溶媒としては、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシ
ド、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼ
ン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン、メチルセル
ソルブ、エチルセルソルブまたは低級アルコールなどが
挙げられるが、これらのうち、N,N−ジメチルホルム
アミド、N−メチルピロリドンが好適である。溶媒の使
用量は、上記の一般式(II)で示される化合物に対して
通常5〜50重量倍、好ましくは5〜15重量倍程度が
よい。
【0023】反応は適当な無機あるいは有機塩基性縮合
剤の存在下で実施される。無機塩基としては、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリ
ウム等の炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等の水酸化物などが挙げられる。有機塩
基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルア
ミノピリジン、イミダゾール、ジエチルアミン、ピペラ
ジン、ピペリジン、ピロール、ピロリジン等が挙げられ
る。また、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラー
ト等のアルコラート等も挙げられるが、これらのうち、
水酸化ナトリウム、ピリジン、ピペリジン、ナトリウム
エチラートが好適である。この塩基の使用量は、一般式
(II)で示される化合物に対して、0.9〜10倍モル
の範囲で良いが、好ましくは、0.9〜3倍モル程度が
適当である。
【0024】反応温度は0℃から200℃の範囲、好ま
しくは0℃から50℃、反応時間は0.5〜48時間程
度である。反応終了後、反応液を冷却し、析出した結晶
を濾過し、メタノールまたは水で洗浄し乾燥すれば目的
物が得られる。また、冷却しても晶出しない場合には、
反応液をメタノールか水に放出し、析出した結晶を濾過
し、メタノールまたは水で洗浄し乾燥すれば目的物が得
られる。メタノールか水に放出しても析出しない場合に
は、酢酸エチル、ジクロロメタン等で抽出し、洗浄、乾
燥、濃縮すれば良い。生成物は必要に応じて再結晶また
はカラムクロマトグラフィーにより精製すれば良いが、
精製せずに次工程に進めることも可能である。
【0025】得られた一般式(IV)で示される化合物を
マロノニトリルと反応させて、一般式(V)で示される
化合物を得る。反応は通常、不活性溶媒中で実施され
る。使用される不活性溶媒としては、N,N−ジメチル
ホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホ
キシド、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロベ
ンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン、メチル
セルソルブ、エチルセルソルブ、ダイグライム、トリグ
ライムなどが挙げられるが、これらのうち、N,N−ジ
メチルホルムアミド、マチルセルソルブ、ダイグライム
が好適である。溶媒の使用量は、上記の一般式(IV)で
示される化合物に対して通常5〜50重量倍、好ましく
は5〜15重量倍程度がよい。
【0026】反応温度は20℃から300℃の範囲、好
ましくは50℃から200℃、反応時間は0.5〜48
時間程度である。反応終了後、反応液を冷却し、析出し
た結晶を濾過し、メタノールまたは水で洗浄し乾燥すれ
ば目的物が得られる。また、冷却しても晶出しない場合
には、反応液をメタノールか水に放出し、析出した結晶
を濾過し、メタノールまたは水で洗浄し乾燥すれば目的
物が得られる。メタノールか水に放出しても析出しない
場合には、酢酸エチル、ジクロロメタン等で抽出し、洗
浄、乾燥、濃縮すれば良い。生成物は必要に応じて再結
晶またはカラムクロマトグラフィーにより精製すれば良
いが、精製せずに次工程に進めることも可能である。
【0027】得られた一般式(V)で示される化合物を
加水分解することにより、一般式(I)で示されるベン
ゾピラン系化合物を得る。反応は通常、酸性水溶液中で
実施される。使用する酸としては、塩酸、硫酸等の無機
酸が好適である。反応の進行により、低級アルコール等
の併用も好ましい。
【0028】反応温度は0℃から300℃の範囲、好ま
しくは0℃から200℃、反応時間は0.5〜48時間
程度である。反応終了後、反応液を冷却し、析出した結
晶を濾過し、メタノールまたは水で洗浄し乾燥すれば目
的物が得られる。また、冷却しても晶出しない場合に
は、反応液をメタノールか水に放出し、析出した結晶を
濾過し、メタノールまたは水で洗浄し乾燥すれば目的物
が得られる。メタノールか水に放出しても析出しない場
合には、酢酸エチル、ジクロロメタン等で抽出し、洗
浄、乾燥、濃縮すれば良い。生成物は必要に応じて再結
晶またはカラムクロマトグラフィーにより精製すれば良
い。
【0029】このようにして製造される本発明のベンゾ
ピラン系化合物は、水不溶性の色素として用いるのが好
ましく、各種樹脂、塗料、インクなどの着色、繊維の染
色の他に、色素レーザ、有機EL(有機電界発光)素
子、蛍光標識試薬、蛍光コレクタ、蛍光センサ、シンチ
レータ、光ファイバ用増幅器などの色素に好適で、特に
樹脂の着色用又は有機EL素子用などに使用される赤色
系蛍光性色素として工業的に極めて有用である。
【0030】以下に、一般式(I)で示される化合物か
らなる色素を用いた有機電界発光素子について、図面を
参照しつつ説明する。本発明の有機電界発光素子は、対
向する陽極と陰極の間に有機層を有し、該有機層が一般
式(I)の化合物からなる色素を含むことを特徴とす
る。図1は本発明の有機電界発光素子の、基本的な実施
の形態を示す模式的な断面図であり、1は基板、2は陽
極、4は正孔輸送層、5は電子輸送層、7は陰極を各々
表わす。
【0031】なお本発明における「有機層」とは、陽極
と陰極の間に位置する、実質的に有機物からなる層を意
味し、これらの層は本発明の性能を損なわない範囲で無
機物を含んでいてもよい。具体的には、例えば図1で表
される構造の素子における正孔輸送層4や電子輸送層5
などが「有機層」に相当する。基板1は有機電界発光素
子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属
板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用い
られる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリ
レート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な
合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合
にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバ
リヤ性が低すぎると、基板を通過する外気により有機電
界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。こ
のため、合成樹脂基板のどちらか片側もしくは両側に緻
密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する
方法も好ましい方法の一つである。
【0032】基板1上には陽極2が設けられるが、陽極
2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものであ
る。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケ
ル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又は
スズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲ
ン化金属、カーボンブラック、或は、ポリ(3-メチルチ
オフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高
分子などにより構成される。
【0033】陽極2の形成は通常、スパッタリング法、
真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀な
どの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラ
ック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末
などの場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散し、
基板1上に塗布することにより陽極2を形成することも
できる。さらに、導電性高分子の場合は電解重合により
直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高
分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.
Phys. Lett., 60巻, 2711頁, 1992年 )。陽極2は異な
る2種以上の物質を積層して形成することも可能であ
る。陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。
透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通
常、60%以上、好ましくは80%以上とすることが望まし
く、この場合、厚みは、通常、5〜1000nm、好ましくは1
0〜500nm程度である。不透明でよい場合は陽極2は基板
1の厚みと同程度でもよい。また、さらには上記の陽極
2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
【0034】陽極2の上には正孔輸送層4が設けられ
る。正孔輸送層4に用いられる正孔輸送材料としては、
陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔
を効率よく輸送することができることが必要である。そ
のためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の
光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、
さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や
使用時に発生しにくいことが要求される。上記の一般的
要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子には
さらに耐熱性が要求される。従って、Tgとして70℃以上
の値を有する材料が望ましい。
【0035】このような正孔輸送材料としては、例え
ば、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロ
ヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香
族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4,4'-
ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニ
ルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の
縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開
平5−234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体
でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国
特許第4,923,774号)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-
メチルフェニル)ビフェニル-4,4'-ジアミン等の芳香族
ジアミン(米国特許第4,764,625号)、α,α,α',α'-
テトラメチル-α,α'-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェ
ニル)-p-キシレン(特開平3−269084号公報)、分子
全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体
(特開平4−129271号公報)、ピレニル基に芳香族ジア
ミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公
報)、エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結し
た芳香族ジアミン(特開平4−264189号公報)、スチリ
ル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公
報)、チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結
したもの(特開平4−304466号公報)、スターバースト
型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)、ベン
ジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報)、フル
オレン基で3級アミンを連結したもの(特開平5−2547
3号公報)、トリアミン化合物(特開平5−239455号公
報)、ビスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−32
0634号公報)、N,N,N-トリフェニルアミン誘導体(特開
平6−1972号公報)、フェノキサジン構造を有する芳香
族ジアミン(特開平7−138562号公報)、ジアミノフェ
ニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公
報)、ヒドラゾン化合物(特開平2−311591号公報)、
シラザン化合物(米国特許第4,950,950号公報)、シラ
ナミン誘導体(特開平6−49079号公報)、ホスファミ
ン誘導体(特開平6−25659号公報)、キナクリドン化
合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いて
もよいし、必要に応じて、各々、混合して用いてもよ
い。
【0036】上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料
として、ポリビニルカルバゾールやポリシラン(Appl.
Phys. Lett.,59巻,2760頁,1991年)、ポリフォスフ
ァゼン(特開平5−310949号公報)、ポリアミド(特開
平5−310949号公報)、ポリビニルトリフェニルアミン
(特開平7−53953号公報)、トリフェニルアミン骨格
を有する高分子(特開平4−133065号公報)、トリフェ
ニルアミン単位をメチレン基等で連結した高分子(Synt
hetic Metals,55-57巻,4163頁,1993年)、芳香族ア
ミンを含有するポリメタクリレート(J. Polym. Sci.,
Polym. Chem.Ed.,21巻,969頁,1983年)等の高分子材
料が挙げられる。
【0037】上記の正孔輸送材料を塗布法或は真空蒸着
法により前記陽極2上に積層することにより正孔輸送層
4を形成する。塗布法の場合は、正孔輸送材料を1種又
は2種以上と、必要により正孔のトラップにならないバ
インダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤とを添加し、
溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法
により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成
する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポ
リアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダ
ー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、
少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好まし
い。
【0038】真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真
空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当
な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを
加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向き合っ
て置かれた基板1上の陽極2上に正孔輸送層4を形成さ
せる。正孔輸送層4の膜厚は、通常、10〜300nm、好ま
しくは30〜100nmである。この様に薄い膜を一様に形成
するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
【0039】正孔輸送層4の上には電子輸送層5が設け
られる。電子輸送層5に用いられる電子輸送材料として
は、陰極8からの電子注入効率が高く、かつ、注入され
た電子を効率よく正孔輸送層4の方向へ輸送することが
できることが必要である。そのためには、電子親和力が
大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優
れトラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにく
い材料であることが要求される。
【0040】このような条件を満たす材料としては、テ
トラフェニルブタジエンなどの芳香族化合物(特開昭57
− 51781号公報)、8−ヒドロキシキノリンのアルミニ
ウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、
10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体(特開平6
−322362号公報)、混合配位子アルミニウムキレート錯
体(特開平5−198377号公報、特開平5−198378号公
報、特開平5−214332号公報、特開平6−172751号公報
シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公
報)、ペリノン誘導体(特開平2−289676号公報)、オ
キサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報)、ビ
ススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、
同2−222484号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−18
9890号公報、同3− 791号公報)、クマリン化合物(特
開平2−191694号公報、同3− 792号公報)、希土類錯
体(特開平1−256584号公報)、ジスチリルピラジン誘
導体(特開平2−252793号公報)、p−フェニレン化合
物(特開平3− 33183号公報)、チアジアゾロピリジン
誘導体(特開平3− 37292号公報)、ピロロピリジン誘
導体(特開平3− 37293号公報)、ナフチリジン誘導体
(特開平3−203982号公報)、シロール誘導体(日本化
学会第70春季年会,2D1 02及び2D1 03,1996年)などが
挙げられる。
【0041】電子輸送層5の膜厚は、通常、10〜200 n
m、好ましくは30〜100 nmである。電子輸送層も正孔輸
送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真
空蒸着法が用いられる。前記一般式(I)で表される化
合物は、正孔輸送層4および/または電子輸送層5にド
ープされ発光する。例えば、電子輸送層5にドープされ
た場合、前述の電子輸送材料がホスト材料の役割を果た
し、正孔輸送層4にドープされた場合には、前述の芳香
族アミン化合物やヒドラゾン化合物などの正孔輸送材料
がホスト材料として働く。以下、本発明のベンゾピラン
系化合物がドープされた層を「発光層」と称する。
【0042】前記一般式(I)で表されるベンゾピラン
誘導体がドープされる領域は、発光層の全体であっても
その一部分であってもよく、層の膜厚方向において均一
にドープされても、膜厚方向において濃度分布があって
も構わない。なお、前記一般式(I)で表される化合物
のドープされる量は、ホスト材料に対して10-3〜10重量
%が好ましい。
【0043】前記一般式(I)で表されるベンゾピラン
誘導体は、溶液状態で強い蛍光を示し、ホスト材料にド
ープされた場合素子の発光効率が向上する。前記一般式
(I)で表されるベンゾピラン誘導体の、発光層へのド
ープは、ホストとなる層の形成方法に準じ、塗布法或は
真空蒸着法による該層形成時に行われる。
【0044】塗布法の場合は、例えば電子輸送材料と、
前記一般式(I)で表されるベンゾピラン誘導体、さら
に必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならな
いバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤な
どの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整し、スピン
コート法などの方法により正孔輸送層4上に塗布し、乾
燥して発光層を形成する。バインダー樹脂としては、ポ
リカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙
げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと電子移動度
を低下させるので、少ない方が望ましく、50重量%以下
が好ましい。
【0045】真空蒸着法の場合には、例えば、電子輸送
材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、前記一般
式(I)で表されるベンゾピラン誘導体を別のルツボに
入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-6Torr程度に
まで排気した後、各々のルツボを同時に加熱して蒸発さ
せ、ルツボと向き合って置かれた基板上に層を形成す
る。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で
混合したものを同一のルツボを用いて蒸発させてもよ
い。
【0046】正孔輸送層4にドープする場合も、同様に
行う。陰極8は、電子輸送層5(該層に本発明のベンゾ
ピラン系化合物がドープされているときには「発光
層」)に電子を注入する役割を果たす。陰極8として用
いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いる
ことが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、
仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、
インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な
金属又はそれらの合金が用いられる。陰極8の膜厚は通
常、陽極2と同様である。
【0047】なお、低仕事関数金属から成る陰極を保護
する目的で、この上にさらに、アルミニウム、銀、ニッ
ケル、クロム、金、白金等の、仕事関数が高く大気に対
して安定な金属層を積層すると、素子の安定性を増すた
め好ましい。また、陰極8と、隣接する有機層(例えば
電子輸送層5や、後述する電子注入層6)とのコンタク
トを向上させるために、図2に示すように、両者の間に
陰極界面層7を設けてもよい。この陰極界面層7に用い
られる化合物としては、芳香族ジアミン化合物(特開平
6−267658号公報)、キナクリドン化合物(特開平6−
330031号公報)、ナフタセン誘導体(特開平6−330032
号公報)、有機シリコン化合物(特開平6−325871号公
報)、有機リン化合物(特開平5−325872号公報)、N
−フェニルカルバゾール骨格を有する化合物(特開平8
− 60144号公報)、N−ビニルカルバゾール重合体(特
開平8− 60145号公報)等が例示できる。
【0048】陰極界面層7の膜厚は、通常、2〜100nm、
好ましくは 5〜30nmである。陰極界面層7を設ける代わ
りに、電子輸送層または電子注入層の陰極界面近傍に上
記陰極界面層の材料を50重量%以上含む領域を設けても
よい。図1の構成の素子では、正孔輸送層4は陽極2か
ら正孔を受けとる(正孔注入)機能と、受けとった正孔
を電子輸送層5へ運ぶ(正孔輸送)機能を果たしてお
り、電子輸送層5は、陰極8から受け取った電子を正孔
輸送層4へ運ぶ(電子輸送)機能をも果たしている。
【0049】しかし本発明の素子の、更なる発光特性や
駆動安定性の向上のために、例えば図2に示す様に、電
子輸送層5と陰極8の間に電子注入層6を設けたり、図
3に示す様に陽極2と正孔輸送層4の間に陽極バッファ
層3を設けるなど、機能毎に層を分ける構造、すなわち
機能分離型の素子にすることも可能である。図2および
図3に示すように、電子輸送層5と陰極8の間に電子注
入層6を設けることにより、素子の発光効率をさらに向
上させることが可能である。この電子注入層6に用いら
れる材料には、陰極からの電子注入が容易で、電子の輸
送能力がさらに大きいことが要求される。この様な電子
輸送材料としては、既に電子輸送層材料として挙げた8
−ヒドロキシキノリンのアルミ錯体、オキサジアゾール
誘導体(Appl. Phys. Lett., 55巻, 1489頁, 1989年
他) やそれらをポリメタクリル酸メチル(PMMA)
等の樹脂に分散した系(Appl. Phys. Lett.,61巻,279
3頁, 1992年)、フェナントロリン誘導体(特開平5−3
31459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,N'-ジシアノアント
ラキノンジイミン(Phys. Stat. Sol. (a),142巻, 489
頁, 1994年)、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫
化亜鉛、n型セレン化亜鉛等が挙げられる。
【0050】電子注入層6の膜厚は、通常、5〜200nm、
好ましくは10〜100 nmである。さらに、陽極2と正孔輸
送層4のコンタクトを向上させるために、図3に示す様
に、陽極バッファ層3を設けることが考えられる。陽極
バッファ層に用いられる材料に要求される条件として
は、陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、
熱的に安定、すなわち、融点及びガラス転移温度が高
く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度としては
100℃以上が要求される。さらに、イオン化ポテンシャ
ルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度
が大きいことが挙げられる。この目的のために、これま
でにポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開
昭63−295695号公報)、スターバスト型芳香族トリアミ
ン(特開平4−308688号公報)、ヒドラゾン化合物(特
開平4−320483号公報)、アルコキシ置換の芳香族ジア
ミン誘導体(特開平4−220995号公報)、p-(9-アント
リル)-N,N-ジ-p-トリルアニリン(特開平3−111485号
公報)、ポリチエニレンビニレンやポリ−p−フェニレ
ンビニレン(特開平4−145192号公報)、ポリアニリン
(Appl. Phys. Lett., 64巻,1245頁, 1994年参照)等の
有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(特開平8− 315
73号公報)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、
モリブデン酸化物等の金属酸化物(第43回応用物理学関
係連合講演会,27a-SY-9,1996年)が報告されている。
【0051】上記陽極バッファ層材料としてよく使用さ
れる化合物としては、ポルフィリン化合物又はフタロシ
アニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金属
を有していてもよいし、無金属のものでもよい。好まし
いこれらの化合物の具体例としては、以下の化合物が挙
げられる: ポルフィン 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンコバル
ト(II) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン銅(I
I) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン亜鉛
(II) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンバナジ
ウム(IV)オキシド 5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)-21H,23H-ポルフィン 29H,31H-フタロシアニン 銅(II)フタロシアニン 亜鉛(II)フタロシアニン チタンフタロシアニンオキシド マグネシウムフタロシアニン 鉛フタロシアニン 銅(II)4,4',4'',4'''-テトラアザ-29H,31H-フタロシ
アニン 陽極バッファ層の場合も、正孔輸送層と同様にして薄膜
形成可能であるが、無機物の場合には、さらに、スパッ
タ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法が用いられ
る。
【0052】以上の様にして形成される陽極バッファ層
3の膜厚は、通常、3〜100nm、好ましくは10〜50nmであ
る。図1〜図3は、本発明で採用される素子構造の一例
を示すものであって、本発明は何ら図示のものに限定さ
れるものではない。例えば、図1とは逆の構造、すなわ
ち、基板上に陰極8、電子輸送層5、正孔輸送層4、陽
極2の順に積層することも可能であり、既述したように
少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明
の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様
に、図2および図3に示した前記各層構成とは逆の構造
に積層することも可能である。
【0053】本発明は、有機電界発光素子が、単一の素
子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰
極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれに
おいても適用することができる。
【0054】
【実施例】以下に実施例及び試験例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこ
れらに限定されるものではない。なお、以下の実施例に
おける化合物のNo.は表−1の化合物のNo.に対応
する。 〔実施例1〕表−1の化合物No.1の合成 1,1,7,7-Tetramethyl-8-hydroxy-9-formyljulolidine
1.81g(6.6mmol )と2-Benzimidazolylacetonitri
le1.04g(6.6mmol )にDMF15mlを加え、Pi
perizine0.07g(9.2mmol )と酢酸0.07g(1.
1mmol )を加え、室温で24時間反応させた。反応液に
水を添加し、析出した結晶を採取した。採取した粗生成
物を真空下で乾燥し、2.81gを得た。マススペクト
ル測定の結果、分子量は412であり、下記式(IV−
a)を含むことが確認された。
【0055】
【化11】
【0056】得られた上記式(IV−a)2.0gとマロ
ノニトリル0.32g(4.8mmol )にDiglyme 18ml
を加え、140℃で2時間反応させた。反応液に水を添
加し、析出した結晶を採取した。採取した粗生成物を真
空下で乾燥し、1.94gを得た。この生成物はオレン
ジ色の鮮明な蛍光を示した。一部を単離確認しマススペ
クトル測定を行なったところ分子量は461であり、N
MR、吸収スペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定
を行なった結果は下記の通りであり、合成した化合物
は、下記式(V−a)であることが確認できた。
【0057】
【化12】
【0058】1H−NMR(CDCl3 (δ=ppm)): 1.33(s,6H),1.67(s,6H),1.85(dt,4H),3.42(dt,4H),7.23
(s,1H), 7.42(t,2H),7.80(d,1H),8.44(s,1H),8.80(d,1
H) 吸収スペクトル:λmax565、524nm(溶媒:
塩化メチレン) 蛍光スペクトル:λmax581nm(溶媒:塩化メチ
レン) 得られた上記式(V−a)0.88gにエタノール12
mlと塩酸水(濃塩酸:水=1:1)5.8mlを加
え、90℃で4時間反応させた。反応液に水を加え得ら
れた結晶を採取した。採取した結晶は、洗液が中性にな
るまで水洗した。真空下で乾燥し、0.4gの結晶を得
た。カラムクロマトグラフィーを3回行い、表−1の化
合物No.1の化合物48mgを得た。この化合物は赤
橙色の鮮明な蛍光を示した。
【0059】得られた固体の分析結果は次の通りであ
り、表−1のNo.1の構造の化合物であることが確認
された。 マススペクトル測定:分子量4621 H−NMR(CDCl3 (δ=ppm)): 1.34(s,6H),1.71(s,6H),1.85(dt,4H),3.42(dt,4H),7.34
(s,1H), 7.43(t,2H),7.80(d,1H),8.58(d,1H),8.68(s,1
H) 吸収スペクトル:λmax569nm(溶媒:塩化メチ
レン) 蛍光スペクトル:λmax593nm(溶媒:塩化メチ
レン) 〔実施例2〕表−1の化合物No.3の合成 1,1,7,7-Tetramethyl-8-hydroxy-9-formyljulolidine
0.66g(2.4mmol )と2-(1H-naphth[2,3-d ]imid
azolyl)acetonitrile 0.50g(2.4mmol )にDMF
5mlを加え、Piperizine0.29g(3.4mmol )と酢
酸0.02g(0.4mmol )を加え、室温で24時間反応
させた。反応液に水を添加し、析出した結晶を採取し
た。採取した粗生成物を真空下で乾燥し、1.18gを
得た。マススペクトル測定の結果、分子量は462であ
り、下記式(IV−b)を含むことが確認された。
【0060】
【化13】
【0061】得られた上記式(IV−b)1.0gとマロ
ノニトリル0.14g(2.1mmol )にDiglyme 9mlを
加え、140℃で2時間反応させた。反応液に水を添加
し、析出した結晶を採取した。採取した粗生成物を真空
下で乾燥し、0.95gを得た。この生成物はオレンジ
色の鮮明な蛍光を示した。一部を単離確認した結果、分
析結果は次の通りであり、下記式(V−b)であること
が確認できた。
【0062】
【化14】
【0063】マススペクトル測定:分子量5111 H−NMR(CDCl3 (δ=ppm)): 1.34(s,6H),1.69(s,6H),1.84(dt,4H),3.42(dt,4H),7.23
(s,1H), 7.42(m,2H),8.02(m,2H),8.21(s,1H),8.43(s,1
H),9.22(s,1H) 吸収スペクトル:λmax576nm(溶媒:塩化メチ
レン) 蛍光スペクトル:λmax594nm(溶媒:塩化メチ
レン) 得られた上記式(V−b)0.92gにエタノール12
mlと塩酸水(濃塩酸:水=1:1)6mlを加え、9
0℃で8時間反応させた。反応液に水を加え得られた結
晶を採取した。採取した結晶は、洗液が中性になるまで
水洗した。真空下で乾燥し、0.77gの結晶を得た。
メタノールで懸洗後、カラムクロマトグラフィーを2回
行い、表−1の化合物No.3の化合物54mgを得
た。この化合物は赤色の鮮明な蛍光を示した。
【0064】得られた固体の分析結果は次の通りであ
り、表−1のNo.3の構造の化合物であることが確認
された。 マススペクトル測定:分子量5121 H−NMR(CDCl3 (δ=ppm)): 1.37(s,6H),1.72(s,6H),1.85(dt,4H),3.48(dt,4H),7.35
(s,1H), 7.48(m,2H),8.05(m,2H),8.23(s,1H),8.70(s,1
H),9.04(s,1H) 吸収スペクトル:λmax582nm(溶媒:塩化メチ
レン) 蛍光スペクトル:λmax610nm(溶媒:塩化メチ
レン) 〔実施例3〕表−1の化合物No.25の合成 1,1,7,7-Tetramethyl-8-hydroxy-9-formyljulolidine
0.99g(3.6mmol )と2-Methoxybenzimidazolylace
tonitrile 0.8g(3.6mmol )にDMF8mlを加
え、Piperizine0.43g(5.0mmol )と酢酸0.04
g(1.1mmol )を加え、室温で24時間反応させた。反
応液に水を添加し、析出した結晶を採取した。採取した
粗生成物を真空下で乾燥し、1.22gを得た。マスス
ペクトル測定の結果、分子量は442であり、下記式
(IV−c)を含むことが確認された。
【0065】
【化15】
【0066】得られた上記式(IV−b)1.2gとマロ
ノニトリル0.18g(2.7mmol )にDiglyme 11ml
を加え、140℃で2時間反応させた。反応液に水を添
加し、析出した結晶を採取した。採取した粗生成物を真
空下で乾燥し、1.17gを得た。この生成物はオレン
ジ色の鮮明な蛍光を示した。マススペクトル測定の結
果、分子量は491であり、下記式(V−c)を含有す
ることが確認された。
【0067】
【化16】
【0068】得られた上記式(V−c)1.1gにエタ
ノール15mlと塩酸水(濃塩酸:水=1:1)8ml
を加え、90℃で4時間反応させた。反応液に水を加え
得られた結晶を採取した。採取した結晶は、洗液が中性
になるまで水洗した。真空下で乾燥し、0.80gの結
晶を得た。カラムクロマトグラフィーを2回行い、表−
1の化合物No.25の化合物20mgを得た。この化
合物は赤橙色の鮮明な蛍光を示した。
【0069】得られた固体の分析結果は次の通りであ
り、表−1のNo.25の構造の化合物であることが確
認された。1 H−NMR(CDCl3 (δ=ppm)): 1.36(s,6H),1.71(s,6H),1.86(dt,4H),3.48(dt,4H),3.91
(s,3H), 7.05(d,1H),7.34(s,1H),7.70(s,1H),8.42(d,1
H),8.63(s,1H) 蛍光スペクトル:λmax604nm(溶媒:塩化メチ
レン) 〔実施例4〕表−1の化合物No.1による樹脂の着色 実施例1で製造された化合物0.05gをポリメチルメ
タクリレート(「アクリペットMD」三菱レーヨン株式
会社製品)100gに混合し、押し出し機を用いて20
0℃で処理し、着色ペレットを作成した。このペレット
を射出成形機で200℃×5分間で成形し、着色成形板
を作成した。
【0070】得られた着色板は非常に強い蛍光性の橙色
を示し、耐光性、耐移行性が優れていた。また射出成形
の際、250℃で10分間滞留させたこと以外は上記と
同様に成形した着色板の色調は、200℃×5分間で成
形した着色板と同じ色調を示し、色素の熱分解による変
化はなかった。 〔実施例5〕表−1の化合物No.3による樹脂の着色 実施例2で製造された化合物0.05gをポリメチルメ
タクリレート(「アクリペットMD」三菱レーヨン株式
会社製品)100gに混合し、押し出し機を用いて20
0℃で処理し、着色ペレットを作成した。このペレット
を射出成形機で200℃×5分間で成形し、着色成形板
を作成した。得られた着色板は非常に強い蛍光性の赤色
を示し、耐光性、耐移行性が優れていた。
【0071】また射出成形の際、250℃で10分間滞
留させたこと以外は上記と同様に成形した着色板の色調
は、200℃×5分間で成形した着色板と同じ色調を示
し、色素の熱分解による変化はなかった。 〔実施例6〕表−1の化合物No.25による樹脂の着
色 実施例3で製造された化合物0.05gをポリメチルメ
タクリレート(「アクリペットMD」三菱レーヨン株式
会社製品)100gに混合し、押し出し機を用いて20
0℃で処理し、着色ペレットを作成した。このペレット
を射出成形機で200℃×5分間で成形し、着色成形板
を作成した。得られた着色板は非常に強い蛍光性の赤橙
色を示し、耐光性、耐移行性が優れていた。
【0072】また射出成形の際、250℃で10分間滞
留させたこと以外は上記と同様に成形した着色板の色調
は、200℃×5分間で成形した着色板と同じ色調を示
し、色素の熱分解による変化はなかった。 〔実施例7〕表−1の化合物No.1を用いた有機電界
発光素子の作製 図2に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法
で作製した。
【0073】ガラス基板1にインジウム・スズ酸化物
(ITO)透明導電膜を120nm 堆積したもの(ジオマテ
ック社製;電子ビーム成膜品;シート抵抗15Ω)を通常
のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2m
m 幅のストライプにパターニングして陽極2を形成し
た。パターン形成したITO基板をアセトンによる超音
波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによ
る超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最
後に紫外線オゾン洗浄を行って、真空蒸着装置内に設置
した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った
後、装置内の真空度が2×10-6Torr以下になるまで液
体窒素トラップを備えた油拡散ポンプを用いて排気し
た。
【0074】上記装置内に配置されたセラミックるつぼ
に入れた、下記構造式(H1)で表される芳香族アミン
化合物をるつぼの周囲のTa線ヒーターで加熱して真空
容器内で蒸発させた。るつぼの温度は220 〜240 ℃の範
囲で、蒸発時の真空度は2.8×10-6Torrであった。
このようにして、膜厚60nmの正孔輸送層4を蒸着した。
蒸着時間は3分であった。
【0075】
【化17】
【0076】引き続き、電子輸送層(発光層)5の材料
として、以下の構造式に示すアルミニウムの8-ヒドロキ
シキノリン錯体(E1)、及びドープする化合物として
表−1No.1の化合物を各々別々のるつぼを用いて同
時に加熱蒸着を行った。この時の各るつぼの温度は、化
合物(E1)に対しては275 〜285 ℃の範囲、化合物表
−1No. 1に対しては160 〜170 ℃の範囲で制御した。
蒸着時の真空度は2.5×10-6Torr、蒸着速度は0.3
〜0.4nm /秒で、蒸着時間は3分であった。結果とし
て、膜厚30nmで表−1のNo. 1の化合物が化合物(E
1)に対して1重量%ドープされた電子輸送層(発光
層)5が得られた。
【0077】
【化18】
【0078】引き続き、電子注入層6の材料として、ア
ルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(E1)を蒸
着した。このときのるつぼの温度は315〜350℃の
範囲で制御した。蒸着時の真空度は1.2×10-6Tor
r、蒸着時間は3分であった。結果として膜圧45nm
の電子注入層6が得られた。上記の正孔輸送層4、電子
輸送層(発光層)5、及び電子注入層6を真空蒸着する
時の基板温度は室温に保持した。
【0079】ここで、電子注入層6までの蒸着を行った
素子を、一度真空蒸着装置内より大気中に取り出して、
陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャ
ドーマスクを、陽極1のITOストライプと直交するよ
うに素子を密着させて、別の真空蒸着装置内に設置し
て、有機層と同様にして装置内の真空度が2×10-6To
rr以下になるまで排気した。続いて陰極界面層7として
フッ化マグネシウムをモリブデンボードを用いて膜圧
0.5nmとなるように蒸着した。蒸着時の真空度は5
×10-6Torrであった。
【0080】次いで、陰極8として、アルミニウムをモ
リブデンボードを用いて40nmの膜圧で蒸着した。ア
ルミニウム蒸着時の真空度は1.5×10-5Torr、蒸着
時間は1分30秒であった。さらに、銅をモリブデンボ
ードを用いて40nmの膜圧で蒸着した。銅蒸着時の真
空度は1.5×10-6Torr、蒸着時間は1分10秒であ
った。
【0081】以上の様にして、2mm ×2mm のサイズの発
光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この
素子の発光特性を表−2に示す。表−2において、発光
開始電圧は輝度が1cd/m2となる電圧、発光輝度は250mA/
cm2 の電流密度での値、発光効率は100cd/m2での値、輝
度/電流は輝度−電流密度特性の傾きを、駆動電圧は10
0cd/m2での値を各々示す。
【0082】この素子は、橙色の一様な発光を示し、発
光のピーク波長は590nm、であった。ホスト材料の
発光のピーク波長は530nmである。
【0083】
【表4】
【0084】
【発明の効果】本発明のベンゾピラン系化合物は発光輝
度が高く、堅牢性の良好な新規赤色系蛍光性色素化合物
であり、蛍光性色素の種々の用途に利用することができ
る上に、蛍光性色素化合物の中間体としても工業的に極
めて有用である。このような本発明のベンゾピラン系化
合物は本発明の方法により製造することができる。
【0085】また本発明にて得られる有機電界発光素子
は、特定の(本発明の)ベンゾピラン系化合物からなる
色素を含有することにより、発光開始電圧、発光輝度、
発光効率など、いずれの点についても従来公知のベンゾ
ピラン系化合物を含む素子より優れた性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機電界発光素子の実施の形態の一例を示す模
式的断面図である。
【図2】実施例7で作成した有機電界発光素子の構造を
示す模式的断面図である。
【図3】有機電界発光素子の実施の形態の別の例を示す
模式的断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 陽極 3 陽極バッファ層 4 正孔輸送層 5 電子輸送層 6 電子注入層 7 陰極界面層 8 陰極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 緒方 朋行 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 佐藤 佳晴 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるベンゾピラ
    ン系化合物。 【化1】 (式中、R1 〜R4 は各々独立に水素原子または炭素数
    1〜4のアルキル基を表し、環Zは置換基を有していて
    も良い芳香環を表す。)
  2. 【請求項2】 一般式(I)に於いて、環Zが置換基を
    有していても良いベンゼン環またはナフタレン環である
    請求項1に記載のベンゾピラン系化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(I)に於いて、環Zにおける置
    換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル
    基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基か
    ら選ばれる基であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載のベンゾピラン系化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のベンゾ
    ピラン系化合物からなる色素。
  5. 【請求項5】 下記一般式(II)で表される8−ヒドロ
    キシ−9−ホルミルジュロリジン誘導体を、 【化2】 (式中、R1 〜R4 は各々独立に水素原子または炭素数
    1〜4のアルキル基を表す。) 下記一般式(III)で表されるアセトニトリル類 【化3】 (式中、環Zは置換基を有していてもよい芳香族を表
    す)と反応させて、下記一般式(IV)で示されるクマリ
    ン系化合物 【化4】 (式中、R1 〜R4 及び環Zの定義は前記一般式(I
    I)、(III)と同じ)を合成し、続いてマロノニトリル
    と反応させて、下記一般式(V) 【化5】 (式中、R1 〜R4 及び環Zの定義は前記一般式(I
    I)、(III)と同じ)を得た後、加水分解することを特
    徴とする下記一般式(I)で示されるベンゾピラン系化
    合物の製造方法。 【化6】 (式中、R1 〜R4 は各々独立に水素原子またはメチル
    基を表し、環Zは置換基を有していても良い芳香環を表
    す。)
  6. 【請求項6】 対向する陽極と陰極の間に有機層を有
    し、該有機層が請求項4記載の色素を含むことを特徴と
    する、有機電界発光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002302831A (ja) * 2001-04-10 2002-10-18 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 新規な微小繊維状構造体
WO2012070226A1 (ja) * 2010-11-22 2012-05-31 出光興産株式会社 含酸素縮合環誘導体及びそれを含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子

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