JP3911926B2 - フェノキサゾン系化合物、およびこれを用いた有機電界発光素子 - Google Patents

フェノキサゾン系化合物、およびこれを用いた有機電界発光素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤色系蛍光性色素として有用なフェノキサゾン系化合物とその製造方法、およびこれを用いた有機電界発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、蛍光性色素は、樹脂、染料、インクなどの種々の材料の着色に利用されているが、近年その蛍光効率を利用して、薄膜発光素子等の電子機器分野への用途が開発されている。蛍光性色素については種々の構造及び発光色の色素が知られているが、特に電子機器分野等で要求される赤色に高輝度で発光し、さらに堅牢度の優れた化合物は少ない。
フェノキサゾン系化合物を使用する有機電界発光素子(有機EL素子)に関する特開平7−211457には、下式(D−1)に示すジュロリジン構造を有するフェノキサゾン系化合物を使用して赤色発光が得られた例が開示されている。
【0003】
【化2】
Figure 0003911926
【0004】
しかし、かかる化合物を使用した有機EL素子は、後述の比較例から明らかなように、発光輝度や発光効率が低く、有機EL素子の色素としては満足しうるものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる事情を鑑み、蛍光性色素化合物に関しては、その多様性、機能性等のより一層の拡大を求めて、常に新規な色素の開発が求められている。
本発明は発光輝度が高く、堅牢性、発光効率などの特性の優れた新規赤色系蛍光性色素の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、窒素原子を1つ含む複素芳香6員環を更に有する新規なフェノキサゾン系化合物が優れた性能を有する赤色系蛍光性色素であることを見出し本発明を達成した。即ち、本発明は下記一般式 III)表されることを特徴とするフェノキサゾン系化合物に存する。
【0007】
【化3】
Figure 0003911926
【0008】
(式中、 7 は水素原子またはメチル基を表し、R 3 及びR 6 は各々独立に水素、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアルコキシカルボニル基、あるいは置換されていても良いアシル基を表し、環Zは置換基を有していても良い、窒素原子を1つ含む複素芳香6員環を表す。)
本発明はまた、一般式 III)の化合物からなる色素にする。
さらに本発明は、対向する陽極と陰極の間に有機層を有し、該有機層が一般式 III)の化合物からなる色素を含むことを特徴とする、有機電界発光素子にも関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の化合物は下記一般式(I)で示される構造を有するものであって、Zが窒素原子を1つ含む複素芳香6員環であることが特徴であり、一般式(I)の中でも、特に好ましくは下記一般式(II)の化合物であることが特徴である。
【化4】
Figure 0003911926
(式中、環A及びBは更に置換基を有していても良く、環Zは置換基を有していても良い、窒素原子を1つ含む複素芳香6員環を表す。)
【0010】
【化5】
Figure 0003911926
【0011】
(式中、環Zは前記一般式(I)と同じであり、R1 、R2 は置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基、あるいは置換されていても良いアシル基を表し、R3 〜R5 は各々独立に水素、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアルコキシカルボニル基、あるいは置換されていても良いアシル基を表す。また、R1 とR2 が同一環を形成していても良いし、R3 とR4 、R4 とR1 、あるいはR2 とR5 は各々が結合して環を形成していても良い。)
なお、「R1 とR2 が同一環を形成」するとは、R1 とR2 が結合することにより環を形成することを意味する。
【0012】
一般式(II)に於いてR1 からR6 がアルキル基を表す場合、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜8程度、好ましくは炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基は、置換されていても良く、置換基としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環基、アルールオキシ基等が挙げられ、置換アルキル基の総炭素数は1から20、特には1から8が好ましい。
【0013】
1 からR6 が置換フェニル基を表す場合、置換基としてはアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基等が挙げられ、置換フェニル基の総炭素数は1から20、特には1から8が好ましい。
1 からR6 が置換アミノ基を表す場合、置換基としてはアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基等が挙げられ、置換アミノ基の総炭素数は1から20、特には1から8が好ましい。
1 からR6 が置換アルコキシカルボニル基、置換アシル基を表す場合の、置換基及び総炭素数も同様である。
1 からR6 としては好ましくは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が用いられる。R3 からR6 としてより好ましくは、水素原子であり、またR1 とR2 はアルキル基、中でも炭素数1〜3のアルキル基、もしくはR1 、R2 が各々R4 、R5 と結合して環を形成している化合物が好ましく用いられる。
【0014】
一般式(II)の中でも、特に下記一般式(III)で表される化合物であるのがよい。
【0015】
【化6】
Figure 0003911926
【0016】
式(III)中、R7 は水素原子又はメチル基であり、中でもメチル基が好ましい。
また、式(III)中、R3 及びR6 は水素原子であるのがよい。
一般式(I)〜(III)において、環Zで表されるピリジン環に置換してもよい置換基としては、上述したR1 〜R6 の置換基と同じものが挙げられるが、環Zは無置換のものが好ましい。また、環Z中の窒素原子の位置は特に限定されないが、下記表−1中のNo.1〜5のような、6位に窒素原子を有するものが特に好ましい。
このような本発明化合物の代表例を下記の表−1に示すが、本発明化合物はこれに限定されるものではない。
【0017】
【表1】
Figure 0003911926
【0018】
【表2】
Figure 0003911926
【0019】
一般式(I)で示される本発明の化合物は、例えば下式に従って製造することができる。
【0020】
【化7】
Figure 0003911926
【0021】
(式中、環Zは前記一般式(I)に於けるZと同じであり、R1 、R2 は置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基、あるいは置換されていても良いアシル基を表し、R3 〜R6 は各々独立に水素、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアルコキシカルボニル基、あるいは置換されていても良いアシル基を表す。また、R1 とR2 が同一環を形成していても良いし、R3 とR4 、R4 とR1 、あるいはR2 とR5 は各々が結合して環を形成していても良い。)
【0022】
式(IV)で示されるニトロソフェノール誘導体またはその塩酸塩等を式(V)で示されるキノリノール類と反応させて一般式(II)の化合物を得る。
式(V)で表されるキノリノールとしては、環Z中の窒素の位置が、5−位、6−位、7−位、8−位いずれのものでも良いが、6−位体から製造される一般式(I)〜(III)のフェノキサゾン系化合物が特に色素として有用である。
反応は通常、不活性溶媒中で実施される。使用される不活性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブまたは水などが挙げられるが、これらのうち、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンが好適である。溶媒の使用量は、上記の化合物(IV)に対して通常5〜50重量倍、好ましくは10〜20重量倍程度がよい。
反応温度は50℃から300℃の範囲、好ましくは100℃から200℃、反応時間は0.5〜48時間程度である。
【0023】
反応終了後、反応液を冷却し、析出した結晶を濾過し、メタノールまたは水で洗浄し乾燥すれば目的物が得られる。また、冷却しても晶出しない場合には、反応液をメタノールか水に放出し、析出した結晶を濾過し、メタノールまたは水で洗浄し乾燥すれば目的物が得られる。メタノールか水に放出しても析出しない場合には、酢酸エチル、ジクロロメタン等で抽出し、洗浄、乾燥、濃縮すれば良い。生成物は必要に応じて再結晶またはカラムクロマトグラフィーにより精製すれば良い。この場合精製溶媒としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチレン、n−ヘキサンなどが好適である。
このようにして製造される本発明のフェノキサゾン系化合物は、水不溶性の色素として用いるのが好ましく、各種樹脂、塗料、インクなどの着色、繊維の染色の他に、色素レーザ、有機E(有機電界発光)素子、蛍光標識試薬、蛍光コレクタ、蛍光センサ、シンチレータ、光ファイバ用増幅器などの色素に好適で、特に樹脂の着色用又は有機EL素子用などに使用される赤色系蛍光性色素として工業的に極めて有用である。
【0024】
以下に、一般式(I)で示される化合物からなる色素を用いた有機電界発光素子について、図面を参照しつつ説明する。
本発明の有機電界発光素子は、対向する陽極と陰極の間に有機層を有し、該有機層が一般式(I)の化合物からなる色素を含むことを特徴とする。
図1は本発明の有機電界発光素子の、基本的な実施の形態を示す模式的な断面図であり、1は基板、2は陽極、4は正孔輸送層、5は電子輸送層、7は陰極を各々表わす。
【0025】
なお本発明における「有機層」とは、陽極と陰極の間に位置する、実質的に有機物からなる層を意味し、これらの層は本発明の有機電界発光素子の性能を損なわない範囲で無機物を含んでいてもよい。具体的には、例えば図1で表される構造の素子における正孔輸送層4や電子輸送層5などが「有機層」に相当する。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリヤ性が低すぎると、基板を通過する外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板のどちらか片側もしくは両側に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
【0026】
基板1上には陽極2が設けられるが、陽極2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものである。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或は、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。
【0027】
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl. Phys. Lett., 60巻, 2711頁, 1992年)。陽極2は異なる2種以上の物質を積層して形成することも可能である。陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常、60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましく、この場合、厚みは、通常、5〜1000nm、好ましくは10〜500nm程度である。不透明でよい場合は陽極2は基板1の厚みと同程度でもよい。また、さらには上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極2の上には正孔輸送層4が設けられる。正孔輸送層4に用いられる正孔輸送材料としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子にはさらに耐熱性が要求される。従って、Tgとして70℃以上の値を有する材料が望ましい。
【0028】
このような正孔輸送材料としては、例えば、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開平5−234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許第4,923,774号)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)ビフェニル-4,4'-ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許第4,764,625号)、α,α,α',α'-テトラメチル-α,α'-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-p-キシレン(特開平3−269084号公報)、分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公報)、エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン(特開平4−264189号公報)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報)、チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結したもの(特開平4−304466号公報)、スターバースト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)、ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報)、フルオレン基で3級アミンを連結したもの(特開平5−25473号公報)、トリアミン化合物(特開平5−239455号公報)、ビスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634号公報)、N,N,N-トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報)、フェノキサジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号公報)、ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報)、ヒドラゾン化合物(特開平2−311591号公報)、シラザン化合物(米国特許第4,950,950号公報)、シラナミン誘導体(特開平6−49079号公報)、ホスファミン誘導体(特開平6−25659号公報)、キナクリドン化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、各々、混合して用いてもよい。
【0029】
上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料として、ポリビニルカルバゾールやポリシラン(Appl. Phys. Lett.,59巻,2760頁,1991年)、ポリフォスファゼン(特開平5−310949号公報)、ポリアミド(特開平5−310949号公報)、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、トリフェニルアミン骨格を有する高分子(特開平4−133065号公報)、トリフェニルアミン単位をメチレン基等で連結した高分子(Synthetic Metals,55-57巻,4163頁,1993年)、芳香族アミンを含有するポリメタクリレート(J. Polym. Sci., Polym. Chem.Ed.,21巻,969頁,1983年)等の高分子材料が挙げられる。
【0030】
上記の正孔輸送材料を塗布法或は真空蒸着法により前記陽極2上に積層することにより正孔輸送層4を形成する。
塗布法の場合は、正孔輸送材料を1種又は2種以上と、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤とを添加し、溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好ましい。
【0031】
真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向き合って置かれた基板1上の陽極2上に正孔輸送層4を形成させる。
正孔輸送層4の膜厚は、通常、10〜300nm、好ましくは30〜100nmである。こ の様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
正孔輸送層4の上には電子輸送層5が設けられる。電子輸送層5に用いられる電子輸送材料としては、陰極7からの電子注入効率が高く、かつ、注入された電子を効率よく正孔輸送層4の方向へ輸送することができることが必要である。そのためには、電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れトラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい材料であることが要求される。
【0032】
このような条件を満たす材料としては、テトラフェニルブタジエンなどの芳香族化合物(特開昭57− 51781号公報)、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体(特開平6−322362号公報)、混合配位子アルミニウムキレート錯体(特開平5−198377号公報、特開平5−198378号公報、特開平5−214332号公報、特開平6−172751号公報シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、ペリノン誘導体(特開平2−289676号公報)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−222484号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−189890号公報、同3− 791号公報)、クマリン化合物(特開平2−191694号公報、同3− 792号公報)、希土類錯体(特開平1−256584号公報)、ジスチリルピラジン誘導体(特開平2−252793号公報)、p−フェニレン化合物(特開平3− 33183号公報)、チアジアゾロピリジン誘導体(特開平3− 37292号公報)、ピロロピリジン誘 導体(特開平3− 37293号公報)、ナフチリジン誘導体(特開平3−203982号公報)、シロール誘導体(日本化学会第70春季年会,2D1 02及び2D1 03,1996年)などが挙げられる。
電子輸送層5の膜厚は、通常、10〜200 nm、好ましくは30〜100 nmである。
電子輸送層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
【0033】
前記一般式(I)で表される化合物は、正孔輸送層4および/または電子輸送層5にドープされ発光する。例えば、電子輸送層5にドープされた場合、前述の電子輸送材料がホスト材料の役割を果たし、正孔輸送層4にドープされた場合には、前述の芳香族アミン化合物やヒドラゾン化合物などの正孔輸送材料がホスト材料として働く。
前記一般式(I)で表されるフェノキサゾン誘導体がドープされる領域は、正孔輸送層4及び/又は電子輸送層5の、層全体であってもその一部分であってもよく、各層の膜厚方向において均一にドープされても、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば電子輸送層5中の、正孔輸送層4との界面近傍にのみドープしたり、逆に陰極界面近傍にドープしてもよい。なお、前記一般式(I)で表される化合物のドープされる量は、ホスト材料に対して10-3〜10重量%が好ましい。
【0034】
前記一般式(I)で表されるフェノキサゾン誘導体は、溶液状態で強い蛍光を示し、ホスト材料にドープされた場合素子の発光効率が向上する。特に、このフェノキサゾン誘導体はホスト材料にドープされた場合、600nmより長波長の可視光を効率よく得ることができるため好ましい。
前記一般式(I)で表されるフェノキサゾン誘導体の、電子輸送層5および/または正孔輸送層4へのドープは、ホストとなる層の形成方法に準じ、塗布法或は真空蒸着法による該層形成時に行われる。
【0035】
塗布法の場合は、例えば電子輸送材料と、前記一般式(I)で表されるフェノキサゾン誘導体、さらに必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整し、スピンコート法などの方法により正孔輸送層4上に塗布し、乾燥して電子輸送層5を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと電子移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、50重量%以下が好ましい。
【0036】
真空蒸着法の場合には、例えば、電子輸送材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、前記一般式(I)で表されるフェノキサゾン誘導体を別のルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-6Torr程度にまで排気した後、各々のルツボを同時に加熱して蒸発させ、ルツボと向き合って置かれた基板上に層を形成する。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のルツボを用いて蒸発させてもよい。
正孔輸送層4にドープする場合も、同様に行う。
【0037】
陰極7は、電子輸送層5に電子を注入する役割を果たす。陰極7として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。陰極7の膜厚は通常、陽極2と同様である。
なお、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、金、白金等の、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性を増すため好ましい。
【0038】
また、陰極7と、隣接する有機層(例えば電子輸送層5や、後述する電子注入層6)とのコンタクトを向上させるために、両者の間に界陰極面層を設けてもよい。この陰極界面層に用いられる化合物としては、芳香族ジアミン化合物(特開平6−267658号公報)、キナクリドン化合物(特開平6−330031号公報)、ナフタセン誘導体(特開平6−330032号公報)、有機シリコン化合物(特開平6−325871号公報)、有機リン化合物(特開平5−325872号公報)、N−フェニルカルバゾール骨格を有する化合物(特開平8− 60144号公報)、N−ビニルカルバゾール重合体(特開平8− 60145号公報)等で構成された層が例示できる。
界面層の膜厚は、通常、2〜100nm、好ましくは 5〜30nmである。
界面層を設ける代わりに、電子輸送層及び電子注入層の陰極界面近傍に上記界面層の材料を50重量%以上含む領域を設けてもよい。
【0039】
図1の構成の素子では、正孔輸送層4は陽極2から正孔を受けとる(正孔注入)機能と、受けとった正孔を電子輸送層5へ運ぶ(正孔輸送)機能を果たしており、電子輸送層5は、陰極7から受け取った電子を正孔輸送層4へ運ぶ(電子輸送)機能をも果たしている。
しかし本発明の素子の、更なる発光特性や駆動安定性の向上のために、例えば図2に示す様に、電子輸送層5と陰極7の間に電子注入層6を設けたり、図3に示す様に陽極2と正孔輸送層4の間に陽極バッファ層3を設けるなど、機能毎に層を分ける構造、すなわち機能分離型の素子にすることも可能である。
【0040】
図2および図3に示すように、電子輸送層5と陰極7の間に電子注入層6を設けることにより、素子の発光効率をさらに向上させることが可能である。この電子注入層6に用いられる材料には、陰極からの電子注入が容易で、電子の輸送能力がさらに大きいことが要求される。この様な電子輸送材料としては、既に電子輸送層材料として挙げた8−ヒドロキシキノリンのアルミ錯体、オキサジアゾール誘導体(Appl. Phys. Lett., 55巻, 1489頁, 1989年他)やそれらをポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の樹脂に分散した系(Appl. Phys. Lett.,61巻,2793頁, 1992年)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,N'-ジシアノアントラキノンジイミン(Phys. Stat. Sol. (a),142巻, 489頁, 1994年)、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛等が挙げられる。
電子注入層6の膜厚は、通常、5〜200nm、好ましくは10〜100 nmである。
【0041】
さらに、陽極2と正孔輸送層4のコンタクトを向上させるために、図3に示す様に、陽極バッファ層3を設けることが考えられる。陽極バッファ層に用いられる材料に要求される条件としては、陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、すなわち、融点及びガラス転移温度が高く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度としては 100℃以上が要求される。さらに、イオン化ポテンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げられる。この目的のために、これまでにポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開昭63−295695号公報)、スターバスト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)、ヒドラゾン化合物(特開平4−320483号公報)、アルコキシ置換の芳香族ジアミン誘導体(特開平4−220995号公報)、p-(9-アントリル)-N,N-ジ-p-トリルアニリン(特開平3−111485号公報)、ポリチエニレンビニレンやポリ−p−フェニレンビニレン(特開平4−145192号公報)、ポリアニリン(Appl. Phys. Lett., 64巻,1245頁, 1994年参照)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(特開平8− 31573号公報)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(第43回応用物理学関係連合講演会,27a-SY-9,1996年)が報告されている。
上記陽極バッファ層材料としてよく使用される化合物としては、ポルフィリン化合物又はフタロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。
【0042】
好ましいこれらの化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる:
ポルフィン
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンコバルト(II)
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン銅(II)
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン亜鉛(II)
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンバナジウム(IV)オキシド
5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)-21H,23H-ポルフィン
29H,31H-フタロシアニン
銅(II)フタロシアニン
亜鉛(II)フタロシアニン
チタンフタロシアニンオキシド
マグネシウムフタロシアニン
鉛フタロシアニン
銅(II)4,4',4'',4'''-テトラアザ-29H,31H-フタロシアニン
【0043】
陽極バッファ層の場合も、正孔輸送層と同様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、さらに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法が用いられる。
以上の様にして形成される陽極バッファ層3の膜厚は、通常、3〜100nm、好ましくは10〜50nmである。
【0044】
図1〜図3は、本発明で採用される素子構造の一例を示すものであって、本発明は何ら図示のものに限定されるものではない。例えば、図1とは逆の構造、すなわち、基板上に陰極7、電子輸送層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2および図3に示した前記各層構成とは逆の構造に積層することも可能である。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
【0045】
【実施例】
以下に実施例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における化合物のNo.は表−1の化合物のNo.に対応する。
【0046】
〔実施例1〕表−1 化合物No.1の合成
2-Nitroso-5-diethylaminophenolの塩酸塩3.4g(14.7mmol)と5-Hydroxyisoquinoline 1.95g(13.4mmol)にDMF100mlを加え、加熱還流下4時間反応させた。反応液に水を添加し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗し、硫酸ナトリウムによる乾燥を行った後に濃縮し、粗結晶として4gを得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、約2gを得た。混入している5-Hydroxyisoquinoline を除くために重曹水−メタノール溶液にて懸洗を行い、化合物No.1の化合物0.17gを得た。
得られた固体の分析結果は次の通りであり、表−1のNo.1の構造の化合物であることが確認された。
【0047】
【表3】
MS:m/z 319
1H−NMR(CDCl3 (δ=ppm)):
1.29(t,3H),3.51(dd,2H),6.48(s,1H),6.52(d,1H),6.76(dd,1H),7
.69(d,1H) 8.13(d,1H),8.89(d,1H),9.94(s,1H)
吸収スペクトル:λmax559nm(溶媒:塩化メチレン)
蛍光スペクトル:λmax619nm(溶媒:塩化メチレン)
【0048】
〔実施例2〕表−1 化合物No.4の合成
1,1,7,7-Tetramethyl-8-hydroxy-9-nitrosojulolidine 8.9g(32.4mmol)と5-Hydroxy- isoquinoline 4.28g(29.5mmol)にDMF150mlを加え、加熱還流下7時間反応させた。反応液に水を添加し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗し、硫酸ナトリウム による乾燥を行った後に濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、約1gを得た。
混入している5-Hydroxyisoquinoline を除くために重曹水−メタノール溶液にて懸洗を行い、さらにもう一度カラムクロマトグラフィーによる精製を行い、化合物No.4の化合物23mgを得た。
得られた固体の分析結果は次の通りであり、表−1のNo.4の構造の化合物であることが確認された。
【0049】
【表4】
MS:m/z 399
1H−NMR(CDCl3 (δ=ppm)):
1.38(s,6H),1.55(s,6H),1.82(dt,4H),3.40(dt,4H),6.53(s,1H),7
.56(s,1H), 8.11(d,1H),8.85(d,1H),9.94(s,1H)
吸収スペクトル:λmax594nm(溶媒:塩化メチレン)
蛍光スペクトル:λmax645nm(溶媒:塩化メチレン)
【0050】
〔実施例3〕表−1 化合物No.7の合成
2-Nitroso-5-diethylaminophenolの塩酸塩0.68g(2.95mmol)と5-Quinolinol0.39g(2.68mmol)にDMF20mlを加え、加熱還流下4時間反応させた。反応液に水を添加し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗し、硫酸ナトリウムによる乾燥を行った後に濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、約40mgを得た。
得られた固体の分析結果は次の通りであり、表−1のNo.7の構造の化合物であることが確認された。
【0051】
【表5】
1H−NMR(CDCl3 (δ=ppm)):
1.28(t,3H),3.49(dd,2H),6.44(s,1H),6.50(s,1H),6.76(d,1H),7.
60(dd,1H), 7.87(d,1H),8.64(d,1H),9.09(d,1H)
吸収スペクトル:λmax554nm(溶媒:塩化メチレン)
蛍光スペクトル:λmax609nm(溶媒:塩化メチレン)
【0052】
〔実施例4〕表−1 化合物No.4による樹脂の着色
実施例2で製造された化合物0.05gをポリメチルメタクリレート(「アクリペットMD」三菱レーヨン株式会社製品)100gに混合し、押し出し機を用いて200℃で処理し、着色ペレットを作成した。このペレットを射出成形機で200℃×5分間で成形し、着色成形板を作成した。
得られた着色板は非常に強い蛍光性の赤色を示し、耐光性、耐移行性が優れていた。
また射出成形の際、250℃で10分間滞留させたこと以外は上記と同様に成形した着色板の色調は、200℃×5分間で成形した着色板と同じ色調を示し、色素の熱分解による変化はなかった。
【0053】
〔実施例5〕表−1 化合物No.7による樹脂の着色
実施例3製造された化合物0.05gをポリメチルメタクリレート(「アクリペットMD」三菱レーヨン株式会社製品)100gに混合し、押し出し機を用いて200℃で処理し、着色ペレットを作成した。このペレットを射出成形機で200℃×5分間で成形し、着色成形板を作成した。得られた着色板は非常に強い蛍光性の赤色を示し、耐光性、耐移行性が優れていた。
また射出成形の際、250℃で10分間滞留させたこと以外は上記と同様に成形した着色板の色調は、200℃×5分間で成形した着色板と同じ色調を示し、色素の熱分解による変化はなかった。
【0054】
〔実施例6〕表−1 化合物No.1を有する有機電界発光素子の作製
図2に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を120nm 堆積したもの(ジオマテック社製;電子ビーム成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm 幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板をアセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行って、真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が2×10-6Torr以下になるまで液体窒素トラップを備えた油拡散ポンプを用いて排気した。
上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、下記構造式(H1)で表される芳香族アミン化合物をるつぼの周囲のTa線ヒーターで加熱して真空容器内で蒸発させた。るつぼの温度は220 〜240 ℃の範囲で、蒸発時の真空度は2.8×10-6Torrであった。このようにして、膜厚60nmの正孔輸送層4を蒸着した。蒸着時間は3分であった。
【0055】
【化8】
Figure 0003911926
【0056】
引き続き、電子輸送層5(発光層)の材料として、以下の構造式に示すアルミニウムの8-ヒドロキシキノリン錯体(E1)、及びドープする化合物として表−1No.1の化合物を各々別々のるつぼを用いて同時に加熱蒸着を行った。この時の各るつぼの温度は、化合物(E1)に対しては275 〜285 ℃の範囲、化合物表−1No. 1に対しては160 〜170 ℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は2.5×10-6Torr、蒸着速度は0.3 〜0.4nm /秒で、蒸着時間は3分であった。結果として、膜厚30nmで表−1No. 1の化合物が化合物(E1)に対して1重量%ドープされた電子輸送層5が得られた。
【0057】
【化9】
Figure 0003911926
【0058】
引き続き、電子注入層6の材料として、アルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(E1)を蒸着した。このときのるつぼの温度は315〜350℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は1.2×10-6Torr、蒸着時間は3分であった。結果として膜厚45nmの電子注入層6が得られた。
上記の正孔輸送層4、電子輸送層5、及び電子注入層6を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子注入層6までの蒸着を行った素子を、一度真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極1のITOストライプと直交するように素子を密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して、有機層と同様にして装置内の真空度が2×10-6Torr以下になるまで排気した。続いて陰極界面層としてフッ化マグネシウムをモリブデンボードを用いて膜圧0.5nmとなるように蒸着した。蒸着時の真空度は5×10-6Torrであった。
次いで、陰極7として、アルミニウムをモリブデンボードを用いて40nmの膜厚で蒸着した。
アルミニウム蒸着時の真空度は1.5×10-5Torr、蒸着時間は1分30秒であった。さらに、銅をモリブデンボードを用いて40nmの膜厚で蒸着した。銅蒸着時の真空度は1.5×10-6Torr、蒸着時間は1分10秒であった。
以上の様にして、2mm ×2mm のサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表−2に示す。表−2において、発光開始電圧は輝度が1cd/m2となる電圧、発光輝度は250mA/cm2 の電流密度での値、発光効率は100cd/m2での値、輝度/電流は輝度−電流密度特性の傾きを、駆動電圧は100cd/m2での値を各々示す。
この素子は、赤色の一様な発光を示し、発光のピーク波長は634nm、であった。ホスト材料の発光のピーク波長は530nmである。
【0059】
〔実施例7〕表−1 化合物No.4を有する有機電界発光素子の作製
表−1の化合物No.1の代わりにNo.4の化合物を用いた点、および正孔輸送層4、電子輸送層5(発光層)、および電子注入層6形成時における以下の条件以外は、実施例6と同様にして図2に示す構造の有機電界発光素子を作製した。
実施例6と同様に形成した陽極2の上に、前記構造式(H1)で表される芳香族アミン化合物を蒸着し、正孔輸送層4を形成した。るつぼの温度は289〜293℃、蒸着時の真空度は2.8×10-6Torr、蒸着速度は0.1〜0.7nm/秒、蒸着時間は2分50秒で、膜厚60.1nmの正孔輸送層4が形成された。
【0060】
引き続き、電子輸送層5(発光層)の材料として、前記構造式(E1)で表されるアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体と、表−1の化合物No.4を各々別々のるつぼを用いて同時に加熱蒸着した。この時の各るつぼの温度は、化合物(E1)に対しては288〜304℃の範囲、化合物No.4に対しては227〜232℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は2.5×10-6Torr、蒸着速度は0.1〜0.2nm/秒で、蒸着時間は2分10秒であった。結果、膜厚30.3nmで表−1No.4の化合物が(E1)に対して0.8%ドープされた電子輸送層5が得られた。
引き続き、電子注入層6として前記構造式(E1)で表されるアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体を蒸着した。この時のるつぼの温度は293〜329℃の範囲、蒸着時の真空度は1.2×10-6Torr、蒸着時間は1分50秒であった。結果、膜厚45.1nmの電子注入層6が得られた。
この後は、実施例6と同様に陰極界面層、陰極などを設け、有機電界発光素子を完成させた。
この素子の発光特性を表−2に示す。この素子は赤色の一様な発光を示し、発光のピークは650nm、CIE色度座標値はx=0.68、y=0.31であった。
【0061】
〔比較例1〕
発光層に化合物No.1の代わりに前記式(D−1)の化合物を1重量%ドープすること以外は実施例5と同様にして有機電界発光素子を作製した。この素子の発光特性を表−2に示す。この素子は630nmに発光ピークを持ち、発光開始電圧及び駆動電圧が高く、発光輝度が低かった。
【0062】
【表6】
Figure 0003911926
【0063】
【発明の効果】
本発明のフェノキサゾン系化合物は発光輝度が高く、堅牢性の良好な新規赤色系蛍光性色素化合物であり、蛍光性色素の種々の用途に利用することができる上に、蛍光性色素化合物の中間体としても工業的に極めて有用である。このような本発明のフェノキサゾン系化合物は本発明の方法により製造することができる。
また本発明にて得られる有機電界発光素子は、特定の(本発明の)フェノキサゾン系化合物からなる色素を含有することにより、発光開始電圧、発光輝度、発光効率など、いずれの点についても従来公知のフェノキサゾン系化合物を含む素子より優れた性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機電界発光素子の実施の形態の一例を示した模式断面図である。
【図2】有機電界発光素子の実施の形態の別の例を示した模式断面図である。
【図3】有機電界発光素子の実施の形態の別の例を示した模式断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 陽極バッファ層
4 正孔輸送層
5 電子輸送層
6 電子注入層
7 陰極

Claims (5)

  1. 記一般式(III)で表されることを特徴とするフェノキサゾン系化合物。
    Figure 0003911926
    (式中、R7 は水素原子またはメチル基を表し、R3 及び6 は各々独立に水素、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアルコキシカルボニル基、あるいは置換されていても良いアシル基を表し、環Zは置換基を有していても良い、窒素原子を1つ含む複素芳香6員環を表す。)
  2. 一般式(III)に於いて、R3 及びR6 が水素原子である請求項に記載のフェノキサゾン系化合物。
  3. 一般式(III)に於いて、Zが無置換のピリジン環である請求項1又は2に記載のフェノキサゾン系化合物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のフェノキサゾン系化合物からなることを特徴とする色素。
  5. 対向する陽極と陰極の間に有機層を有し、該有機層が請求項記載の色素を含むことを特徴とする、有機電界発光素子。
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