JP2001008933A - 超音波送受信方法および超音波診断装置 - Google Patents

超音波送受信方法および超音波診断装置

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JP2001008933A JP18764199A JP18764199A JP2001008933A JP 2001008933 A JP2001008933 A JP 2001008933A JP 18764199 A JP18764199 A JP 18764199A JP 18764199 A JP18764199 A JP 18764199A JP 2001008933 A JP2001008933 A JP 2001008933A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 送信周波数とは異なる高調波成分を利用する
超音波診断装置において、音波伝搬中に発生した高調波
成分を強調して感度の向上を図る。 【解決手段】 入力された受信波形は、基本波強調フィ
ルタ手段1301によってフイルタリングされ、検波手段13
02によって検波され、生成された基本波振幅分布は乗算
器1303によって2乗され、重み付け信号が生成される。
また、受信波形は高調波強調フィルタ手段1102によって
フィルタリングされ、生成された高調波強調信号と上記
重み付け信号とが乗算器1305によって乗算される。な
お、基本波強調フィルタ手段1301は送信波形の特性に対
して逆の周波数対遅延時間特性を有し、高調波強調フィ
ルタ手段1102は音波伝搬中に発生すると推定される高調
波特性に対して逆の周波数対遅延時間特性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検体内部を伝搬
する際に非線形ひずみを生じた音波に含まれ、送信周波
数とは異なる高調波成分を利用する超音波送受信方法お
よび超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、送信周波数とは異なる高調波成分
を利用する超音波診断装置は特開平10−179589
号に記載されたものが知られている。図15は送信周波
数とは異なる高調波成分を利用する従来の超音波診断装
置のブロック図を示しており、電気信号と音波の相互変
換を行なう超音波探触子150 に送信波形を発生してトラ
ンスジューサを駆動する送信手段1502、受信信号の増幅
とディジタル信号への変換を行なう受信手段1503、高調
波成分を通過させる帯域制限フィルタ手段1504、受信信
号の包絡線検波を行なう検波手段1505、検波後の信号の
走査変換を行なって表示を行なう表示手段1506、から構
成されている。
【0003】まず、送信手段1502は、送信波形を発生し
て、超音波探触子1501に含まれるトランスジューサを駆
動して音波を被検体内へ送信する。被検体内部から反射
して超音波探触子1501へもどった音波は、トランスジュ
ーサによって電気信号に変換されて受信信号が生成され
る。受信信号は、受信手段1503によって増幅されたの
ち、ディジタル信号に変換される。ディジタル化された
受信信号は、帯域制限フィルタ処理手段1504によって、
送信波形の周波数成分を主に含む基本波成分を抑圧して
2次高調波成分を通過させるフィルタ処理が行なわれ、
高調波が強調された信号が生成される。高調波強調信号
は、検波手段1505によって検波が行なわれ、表示手段15
06によって対数圧縮と走査変換が行なわれて表示され
る。
【0004】従来の送信周波数とは異なる高調波成分を
利用する超音波診断装置では、非線形現象によって発生
した高調波成分を効率よく利用するために、送信波形に
含まれる高調波成分を抑圧して狭帯域の周波数特性とす
るように送信波形が選ばれる。例えば、送信波形として
ガウスパルスに代表される帯域制限された任意波形のパ
ルス、もしくは同一周期で2周期以上繰り返す矩形パル
スが用いられる。単一のパルスはパルス幅が狭く、分解
能の優れた送信波形ではあるが、送信波形に高調波の周
波数成分が含まれ、披検体内で発生した高調波成分のみ
を検出することが困難であること、および送信波形とし
てのエネルギーが小さく非線形歪みの発生が小さくなっ
て感度が劣ること等の問題が生じる。これに対し、帯域
制限されたパルスや2周期以上繰り返す波形では、パル
ス長を長くするほど送信波形としてのエネルギーが増加
して感度が向上し、また高調波の周波数成分が抑圧され
た狭帯域の周波数特性を有する送信波形を形成して被検
体内部で発生した高調波の検出が容易となる。
【0005】また、別の超音波送受信方法で作動する従
来の超音波診断装置としては、米国特許5706819
号に記載されたものが知られている。この方法は、まず
第1の送信波形によってトランスジューサを駆動して受
信し、第2の送信波形によってトランスジューサを駆動
して受信し、双方の受信信号を送信時点からの時相を一
致させて加算、もしくは減算する。なお、前記第2の送
信波形は、第1の送信波形の正負を反転させたものか、
もしくは第1の送信波形と同一波形で振幅を変化させた
ものを使用する。これらの方法は、非線形現象で生じた
高調波成分と基本波の位相変化が異なること、もしくは
基本波の振幅変化と高調波の振幅変化が同じでないこと
を利用したものであり、基水波成分が相殺して高調波成
分を強調する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の送信周波数と異な高周波成分を利用する超音波診断
装置においては、狭帯域の周波数特性のパルスを使用す
ると、時間的に見るとパルス幅が広がる、すなわち分解
能が低下するという問題を有していた。逆に分解能の向
上を図れば、送信波形の特性は広帯域となり、送信波形
に含まれる高調波の周波数成分が増大し、受信信号から
音波伝搬中の非線形歪みによって生じた高調波成分のみ
を取り出すことが困難となるという問題を有していた。
また、高調波成分の強調のために2回以上の送信を行な
う方法では、1回の送信で高調波成分の検出を行なう超
音波送受信方法に比べて、送信回数の増加分だけフレー
ムレートが低下することや、動きのある被検体に対して
高調波の検出が困難であるという問題を有していた。
【0007】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、音波伝搬中に発生する高調波成分に対応した周波数
対遅延時間特性を有するフィルタを使用することによっ
て、1回の送信で音波が被検体内を伝搬中に発生した高
調波成分を強調して感度の向上を図ることのできる優れ
た超音波送受信方法および超音波診断装置を提供するも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明の超音波送受信方法は、時間に従い周波数を
変化させた送信波形を発生して被検体内へ音波を送信す
るステップと、被検体からの反射波を受信して受信信号
を生成するステップと、前記送信波形によって音波伝搬
中に発生する高調波成分に対応した周波数対遅延時間特
性を有するフィルタによって、前記受信信号にフィルタ
処理を行なって高調波強調信号を生成するステップとを
備えたものである。
【0009】また、本発明の超音波送受信方法は、前記
送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波成分に対
応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタが、送信
波形から導出される高調波特性に対して逆の周波数対遅
延時間特性を有するフィルタであることを特徴としたも
のである。
【0010】以上の構成により、1回の送信で被検体内
伝搬中に発生した高調波成分を強調して感度の向上を図
ることができることとなる。
【0011】また、上記問題を解決するために、本発明
の超音波送受信方法は、時間に従い周波数を変化させた
送信波形を発生して被検体内へ音波を送信するステップ
と、被検体からの反射波を受信して受信信号を生成する
ステップと、前記送信波形に対応した周波数対遅延時間
特性を有するフィルタによって、前記受信信号にフィル
タ処理を行なって基本波強調信号を生成するステップ
と、前記基本波強調信号に基づき重み付け信号を生成す
るステップと、前記送信波形によって音波伝搬中に発生
する高調波成分に対応した周波数対遅延時間特性を有す
るフィルタによって、前記受信信号にフィルタ処理を行
なって高調波強調信号を生成するステップと、前記重み
付け信号に基づき前記高調波強調信号に重み付けを行な
って重み付けされた高調波強調信号を生成するステップ
とを備えたものである。
【0012】また、本発明の超音波送受信方法は、前記
送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波成分に対
応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタが、送信
波形から導出される高調波特性に対して逆の周波数対遅
延時間特性を有するフィルタである、前記送信波形に対
応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタが、送信
波形に対して逆の周波数対遅延時間特性を有するフィル
タであることを特徴としたものである。
【0013】以上の構成により、1回の送信で被検体内
伝搬中に発生した高調波成分を強調と、基水波成分の抑
圧とを行なって感度の向上を図ることができることとな
る。
【0014】また、上記問題を解決するために、本発明
の超音波信号処理回路は、時間に従い周波数を変化させ
た送信波形に対する受信信号の高調波成分を強調する際
に、前記送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波
成分に対応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタ
を使用して高調波を強調した信号を生成する高調波強調
フィルタ手段を備えたものである。
【0015】また、本発明の超音波信号処理回路は、前
記送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波成分に
対応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタが、前
記送信波形から導出される高調波特性に対して逆の周波
数対遅延時間特性を有するフィルタであることを特徴と
したものである。
【0016】以上の構成により、1回の送信で被検体内
伝搬中に発生した高調波成分を強調して感度の向上を図
ることができることとなる。
【0017】また、上記問題を解決するために、本発明
の超音波信号処理回路は、時間に従い周波数を変化させ
た送信波形に対する受信信号の高調波成分を強調する際
に、前記送信波形に対応した周波数対遅延時間特性を有
するフィルタを使用して基本波強調信号を生成する基本
波強調フィルタ手段と、前記送信波形によって音波伝搬
中に発生する高調波成分に対応した周波数対遅延時間特
性を有するフィルタを使用して高調波強調信号を生成す
る高調波強調フィルタ手段と、前記基本波強調信号に基
づき重み付け信号を生成する重み付け信号生成手段と、
前記重み付け信号によって前記高調波強調信号に重み付
けを行なう重み付け手段とを備えたものである。
【0018】また、本発明の超音波信号処理回路は、前
記送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波成分に
対応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタが、前
記送信波形から導出される高調波特性に対して逆の周波
数対遅延時間特性を有するフィルタであり、送信波形に
対応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタが、送
信波形に対して逆の周波数対遅延時間特性を有するフィ
ルタであることを特徴としたものである。
【0019】以上の構成により、1回の送信で被検体内
伝搬中に発生した高調波成分を強調と、基本波成分の抑
圧とを行なって感度の向上を図ることができることとな
る。
【0020】また、上記問題を解決するために、本発明
の超音波診断装置は、電気信号と音波との相互交換を行
なうトランスジューサを有する超音波探触子と、時間に
従い周波数を変化させた送信波形によって前記トランス
ジューサを駆動する送信回路と、前記トランスジューサ
によって変換された被検体からの受信信号を増幅してデ
ィジタル信号に変換する受信回路と、前記送信波形によ
って音波伝搬中に発生する高調波成分に対応した周波数
対遅延時間特性を有するフィルタを使用してフィルタ処
理を行なう超音波信号処理回路と、受信信号の検波を行
なう検波回路と、検波後の信号の表示を行なう表示手段
とを備え、前記超音波受信信号処理回路は、請求項5か
ら8のいずれかに記載の超音波信号処理回路であること
を特徴とした構成を有する。
【0021】この構成により、1回の送信で被検体内伝
搬中に発生した高調波成分を強調して感度の向上を図る
ことができることとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1から図14を用いて説明する。 (実施の形態1)図1は実施の形態1における送信周波
数とは異なる高調波成分を利用する超音波送受信方法の
フローチャートを示している。まず、ステップ101 で
は、使用する超音波の周波数帯域や観察する深度等に応
じて送信波形を選択する。ステップ102 では、送信波形
に対応した高調波強調フィルタが選択される。ステップ
103では、送信波形を増幅して、電気・音響交換を行な
うトランスジューサを駆動する。超音波探触子内に複数
のトランスジューサが配列されている場合には、各素子
を駆動する送信波形に遅延を与え、所定の位置に焦点を
合わせる操作もまた行なわれる。ステップ104 では、被
検体内部からトランスジューサに戻った音波を電気信号
に変換し、増幅を行なって受信信号を生成する。超音波
探触子内に複数のトランスジューサが配列されている場
合には、所定の位置に焦点を合わせるために各素子の受
信信号に遅延を与えて加算する操作も行なわれる。ステ
ップ105では、基本波成分を抑圧し、高調波成分を通過
させる特性を有するフィルタによって受楷信号をフィル
タリングする。ステッブ106 では、音波伝搬中に発生す
る高調波成分に対応した周波数対遅延時間特性を有する
フィルタを使用して受信信号のフィルタリングを行な
い、高調波強調信号を生成する。
【0023】次に受信信号のフィルタ処理について、図
2から図4を用いてさらに詳細に説明する。図2はチャ
ープ波形を用いた場合の送信波形と推定される高調波波
形を示しており、201 は連続的に値の変化するチャープ
とした送信波形、202 は送信波形201 から推定される2
次高調波波形である。また、図3は矩形波の周期が時間
とともに変化する送信波形と推定される高調波波形を示
しており、301 は矩形波の周期を時間とともに変化させ
て構成される送信波形、302 は送信波形301 から推定さ
れる2次高調波波形、303 は送信波形301 から推定され
る2次高調波波形302 をハミング窓によって重み付けし
た波形である。また、図4は矩形波の周期を時間ととも
に変化させて構成される送信波形と推定される2次高調
波波形の相関波形を示しており、401 は送信波形301 の
自己相関波形、402 は推定された2次高調波波形302 の
自己相関波形、403 は送信波形301 と推定された2次高
調波波形302 との相関波形である。
【0024】音波が生体組織中を伝搬する際には非線形
歪みが生じるカハ歪みは受信信号のスペクトラム上では
送信周波数の高調波として現れる。高調波の中でも2次
高調波は、最も大きくなることが多く、検出の容易なも
のである。以下の説明では2次高調波を検出もしくは強
調して表示することを考える。また、基本波成分とは送
信波形に含まれる主たる周波数成分であり、高調波成分
とは音波が被検体内を伝搬中に非線型ひずみによって生
じて、基本波成分とは異なる成分であり、特に2次高調
波とは基本波成分の2倍の周波数を有する成分を指す。
【0025】披検体内で発生した2次高調波を分別して
検出するためには、放射される音波の基本波成分を抑圧
して、送信波形の2次高調波成分を強調する必要があ
る。従来の超音波診断装置においては、送信波形とし
て、例えば単一周期の正弦波もしくは矩形波からなるパ
ーストパルスを使用し、帯域通過フィルタもしくは高城
通過形フィルタを使用して高調波を強調する。しかし、
従来の超音波診断装置における高調波弛調方法では、狭
い周波数帯域を利用して送信および受信処理を行うこと
や、音波伝搬中に発生する高調波成分の大きさが基本波
成分の大きさに比べて小さいことなどの理由のため、基
本波成分を強調した場合に比較して分解能や感度が大き
く劣化したものとなる。また、送信波形に含まれる高調
波帯の成分の存在により、被検体内で発生した高調波成
分のみを強調、検出することは困難である。
【0026】本実施の形態1においては、高調波成分を
検出および強調する方法として、パルス圧縮として知ら
れる感度向上のための方法を応用する。通常のパルス圧
縮では、受信側の処理として送信波形の特性に適合した
マッチドフィルタを使用して送信波形の長さよりもよい
分解能得て、さらに感度向上を図る。一方、2次高調波
を検出するには、基本波と2次高調波では周波数特性が
異なるために、送信波形に適合したマッチドフィルタを
使用しても高調波の感度向上に効果がない。そこで、本
実施の形態1の特徴として、送信波形から2次高調波特
性を推定して2次高調波近似特性を導出し、その特性に
適合したマッチドフィルタを導出して使用する。本実施
の形態口こおいては、送信波形としてパルス圧縮によっ
て分解能の向上を図るために、時間的に周波数の変化す
るチャープ波形、もしくはパーカ符号やM系列といった
特殊な符号化系列を使用する。パルスを圧縮して感度を
向上させる受信側の処理としては、マッチドフィルタも
しくは整合フィルタとして知られているフィルタを使用
する。高調波を強調するマッチドフィルタは、送信波形
から推定した高調波の周波数特性に対して逆の周波数対
遅延時間特性を有するように構成され、そのインパルス
応答は、推定した高調波波形に対して時間的に反転した
形状を有する。マッチドフィルタは、受信信号と推定し
た高調波波形との相互相関を計算することと等価な操作
であり、高調波成分を強調、検出できる。
【0027】例えば、時間を経るにつれて線形的に周波
数が変化するチャープを使用する場合、その波形は下記
の(1)式のように表せる。また、対応する2次高調波
は(2)式のように表せる。(1)式および(2)式に
おいてA1、A2はそれぞれ送信波形と2次高調波波形の振
幅、t1はパルス開始時刻、t2はパルス終了時刻、f1はパ
ルス開始時刻t1における周波数、aは時間に対する周波
数変化の割合、tは時間である。(1)、(2)式によ
って表せる波形の一例をそれぞれ図2の201 と202 に図
示した。
【0028】
【数1】
【0029】また送信波形に矩形波の周期が時間ととも
に変化するパルスを使用する場合、前記の連続的に値の
変化するチャープと同様に送信波形と送信波形に対応す
る2次高調波波形が求められる。矩形波によって構成さ
れる送信波形の一例をそれぞれ図3の301 と302 に図示
した。2次高調波波形302 の自己相関波形は図4の402
のようになり、元の波形に比べてパルス長に比例した大
きさで振幅の増大したピークを有し、前記送信波形301
に比べて半値幅の圧縮されたものとなる。自己相関波形
402 は、推定した高調波波形と同一形状を有する受信波
形にマッチドフィルタリングを行なった結果生成された
高調波強調信号に相当する。一方、2次高調波波形302
と送信波形301 との相関波形は403 のようになり、大き
な振幅成分が周囲へ分散した波形となる。相関波形403
は、推定した高調波成分が存在せず、送信成分と同一形
状を有する受信波形にマッチドフィルタリングを行なっ
た結果生成された高調波強調信号に相当する。実際の受
信波形は、基本波成分と高調波成分が混合したものであ
り、高調波強調信号は、相関波形402 および4003が混合
したものとなる。したがって、自己相関波形402 のピー
クが相関波形403 の同一位置の値よりも大きければ、マ
ッチドフィルタを受信波形に適用することにより、2次
高調波を検出、強調することができる。ただし、基本波
成分は2次高調波成分よりも振幅が大きく、受信波形に
上記のマッチドフィルタを適用しても基本波成分との相
関成分403 のほうが大きくなり、高調波成分との相関成
分402が隠蔽されてしまう場合がある。したがって、マ
ッチドフィルタの前段もしくは後段において、基本波成
分を抑圧して2次高調波の周波数帯域を通過させる高域
通過もしくは帯域通過形フィルタを適用することが望ま
しい。
【0030】以上の操作によって、2次高調波に対する
感度を高めるだけではなく、受信波形に対して、送信波
形の時間的な広がりに比べて幅の狭いパルスに変換する
ことができる。なお、送信波形にチャープ波形を用いる
場合には、送信波形の周波数帯域が2次高調波の周波数
帯域と重ならないように選択することが望ましい。例え
ば、上記(1)式および(2)式においてf1<f2とする
とき、f2<2 * f1<2 * f2が成り立つことが望ましい。
【0031】なお、以上の説明では、時間に対して線形
的に周波数の変化するチャープ波形を使用したが、時間
に対して非線形的に周波数もしくは周期の変化するチャ
ープ、もしくはバーカー符号やM系列等の符号系列を使
用してもよい。また、送信パルスは時間に応じて振幅が
連続的に推移する値をもつパルス波形か2値もしくは3
値の値をとる矩形波パルスとしたが、複数の値をとる多
値パルスとしてもよい。
【0032】また、高調波強調フィルタとしてマッチド
フィルタを使用したが、代わりに逆フィルタを使用して
もよい。例えば、厳密な逆特性を有するものではなく、
周波数特性が下記の(3)式で表せる最小二乗逆フィル
タ、もしくはウイーナインバースフィルタと呼ばれるフ
ィルタを使用してもよい。
【0033】
【数2】
【0034】H(ω)は2次高調波の周波数特性であ
り、前記のチャープの場合と同様に送信波形から推測さ
れる。cは測定系のS/N (信号対雑音比)から決められ
る値であり、実測値もしくは使用者の試行錯誤的によっ
て定める。位相特性はマッチドフィルタと同様のものと
なるが、高調波の周波数特性の振幅の小さい周波数成分
を強調するものとなる。cを小さくすることにより、周
波数特性において飯幅の小さい周波数成分を強調するこ
とにより分解能は向上するが、基水波成分もまた強調さ
れる場合がある。cは分解能、感度および暴本波成分の
大きさの釣り合いを取る形で調節される。
【0035】また、以上の説明では、送信波形の形状の
みに依存した2次高調波を推定し、マッチドフィルタを
導出した力へ受信波形については、その周波数特性は、
送信波形の周波数特性にトランスジューサや伝搬媒質、
さらには電気回路などの伝達特性が掛け合わされたもの
として表せる。理論計算もしくは実測によりトランスジ
ューサや電気回路、伝搬路のいずれか、もしくはすべて
の伝達関数を求め、送信波形以外の特性を考慮に入れた
受信信号の2次高調波特性を想定してフィルタ特性を導
出してもよい。また、実測値として応答波形を求め、そ
の相関を演算するマッチドフィルタ、もしくはウイーナ
インハースフィルタとして形成してもよい。
【0036】また、送信波形として時間に対して振幅の
変化しない送信波形を使用するものとしたが、時間的に
線形もしくは非線形的に振幅の変化するパルス波形を使
用してもよい。例えば、ハミングウィンドウ等のコサイ
ンウィンドウにより時間に応じて重み付けされた送信波
形を用いてもよい。
【0037】また、マッチドフィルタとして送信波形に
対応して同一の振幅特性を有する周波数通過特性を使用
するものとしたが、送信波形と振幅特性の異なるもの、
すなわちインパルス応答が時間的に線形もしくは非線形
的に振幅の変化するフィルタ特性を使用してもよい。例
えば、マッチドフィルタに図3の303 のようなハミング
窓等のコサインウィンドウにより時間に応じて重み付け
された波形に対応したフィルタ特性が用いられる。
【0038】また、以上の説明では、強調する高調波と
して2次高調波を選択したが、その他の3次高調波等の
2次以外の高調波成分に対して同様の操作を行なっても
よい。また、2次高調波強調信号のみを出力するものと
したが、送信波形に対するマッチドフィルタによってパ
ルス圧縮を行なって基本波成分を強調した基本波強調信
号を生成し、それと高調波強調信号を一定の割合で加算
して出力するものとしてもよい。
【0039】また、以上の説明では、1回の送信で生成
された受信信号に対してフィルタリングを行ない高調波
の強調を行なうものとしたが、被検体の動きを無視でき
るとみなせる場合、もしくは送信回数の増加が許容され
る場合には、振幅の異なる2回の送信を行ない、各送信
で得られた受信信号に対して高調波強調のマッチドフィ
ルタリングを行ない、それぞれの高調波強調した受信信
号に対して基本波成分の振幅が一致するように増幅を行
ない、各送信で得られた受信信号の差を求めることによ
って、基本波成分を除去して高調波を強調するものとし
てよい。
【0040】以上のように、本発明の実施の形態1によ
れば、送信波形に時間に従い周波数の変化する波形を使
用し、送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波成
分に対応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタを
使用して受信信号のフィルタリングを行なうステップを
備えることにより、分解能の低下を抑制しつつ被検体内
で発生した高調波を強調することができる。
【0041】(実施の形態2)図5は実施の形態2にお
ける送信周波数とは異なる高調波成分を利用する超音波
送受信方法のフローチャートを示している。まず、ステ
ップ501 では、使用する超音波の周波数帯域や観察する
深度等に応じて送信波形を選択する。ステップ502 で
は、送信波形に対応した高調波強調フィルタおよび基本
波強調フィルタが選択される。ステップ503 では、送信
波形を増幅して、電気・音響交換を行なうトランスジュ
ーサを駆動する。超音波探触子内に複数のトランスジュ
ーサが配列されている場合には、各素子を駆動する送信
波形に遅延を与え、所定の位置に焦点を合わせる操作も
また行なわれる。ステップ504 では、被検体内部からト
ランスジューサに戻った音波を電気信号に変換し、増幅
を行なって受信信号を生成する。超音波探触子内に複数
のトランスジューサが配列されている場合には、所定の
位置に焦点を合わせるために各素子の受信信号に遅延を
与えて加算する操作も行なわれる。ステップ505 では、
送信波形に対応した周波数対遅延時間特性を有するフィ
ルタを使用して受信信号のフィルタリングを行なって、
基本波強調信号を生成する。ステップ506 では、前記基
本波強調信号に基づき、高調波強調信号に対して高調波
成分が小さいと推定される位置の信号を抑圧するための
重み付け信号を生成する。ステップ507 では、音波伝搬
中に発生する高調波成分に対応した周波数対遅延時間特
性を有するフィルタを使用して受信信号のフィルタリン
グを行なって、高調波強調信号を生成する。ステップ50
8 では、前記重み付け信号と前記高調波強調信号との間
のフィルタリングによって生じた遅れの差を調節して、
高調波強調信号に対して同一位置の重み付け信号の値を
乗じることによって重み付けされた高調波強調信号を生
成する。
【0042】以上の説明において、高調波強調フィルタ
は、実施の形態1と同様のものが用いられる。また、基
本波強調フィルタもまた、実施の形態1における高調波
強調フィルタと同様にして求められ、送信波形の周波数
特性に対して逆の位相特性、すなわち逆の周波数対遅延
時間特性を有するように構成される。
【0043】次に、重み付け信号の生成と重み付け処理
についてさらに詳細に説明する。音波の伝搬において
は、周波数の高い周波数成分ほど減衰が大きく振幅が小
さくなる。高調波成分を強調した信号は、基本波成分を
強調した信号に比較して感度が悪くなることが多い。ま
た、高調波に対するマッチドフィルタリングを行なった
後の信号には、ピーク周囲に小さな信号がノイズとして
存在する。これは基本波成分と推定した高調波の特性と
の相関成分によるものであり、対数圧縮を行なうと画像
における分解能の低下の一因となる。本実施の形態2に
おいては、高調波の検出と強調を行なった信号に重み付
けを行なうことでノイズを抑圧する。以下の説明では重
み付けの方法について説明する。
【0044】基本波成分と高調波成分の関係として、基
本波振幅が大きくなるにつれて、発生する2次高調波成
分の服幅もまた増大する。例えば、2次高調波は基本波
振幅の2乗に比例して増大することが知られている。こ
のような高調波と基水波の関係から、基本波成分の振幅
が大きい位置では、高調波成分の振幅が大きく、基本波
成分の振幅が小さい位置では、高調波成分の振幅もまた
小さいと推定できる。この高調波成分に関する推定方法
に基づき、基本波成分の振幅によって高調波強調信号に
対する重み付けを行ない、高調波強調信号に含まれる基
本波成分やノイズを抑圧する。
【0045】重み付け操作は、例えば以下のように行な
われる。まず、受信波形に対して送信波形、すなわち基
本波成分についてマッチドフィルタリングを行い、基本
波強調信号を生成する。さらに基本波強調信号に対し
て、包絡線検波によって振幅成分を導出して重み付け信
号とする。重み付け信号はさらに、基本波強調信号の検
波後信号において各時相の信号の値を2乗もしくはそれ
以上のへき乗演算を行なって重み付け信号としてもよ
い。高調波強調信号と重み付け信号の同時相における値
を乗算して重み付けを行なう。さらに重み付け操作後、
さらに帯域通過フィルタを通すことによって2次高調波
以外の成分を抑圧して、2次高調波成分を高めることも
できる。なお重み付けを行なう前に、検波やフィルタリ
ングで遅れを生じた場合には、その補正を行なう必要が
ある。以上の操作によって、高調波強調信号に対して、
さらに2次高調波成分を強調し、ノイズを減らすことが
できる。
【0046】次に重み付け処理の原理について、図3、
図4、図6および図7を用いてさらに詳細に説明する。
図6は高調波成分強調のための重み付けの様子を表す図
であり、601 は高調波302 と基本波301 との合成波形と
高調波302 との相関波形、602 は高調波302 と基本波30
1 との合成波形と基本波301 との相関波形、605 は相関
波形602 に包絡線検波を行なって求められる振幅分布、
606 は振幅分布605 を2乗して求められる2乗振幅分布
である。図7はハミング窓によって重み付けされたイン
パルス応答を有するマッチドフィルタを用いた場合の重
み付け処理の様子を表す図であり、701 は基本波301 と
ハミング窓を適用した2次高調波推定波形303 との相関
波形、702 は高調波と基本波との合成波形にハミング窓
を適用したマッチドフィルタを使用して振幅分布で重み
付け処理した場合の波形、703 は高調波と基本波との合
成波形にハミング窓を適用したマッチドフィルタを使用
して2乗振幅分布で重み付け処理した場合の波形であ
る。図4のように、基本波成分の自己相関波形401 と高
調波成分の自己相関波形402 の形状からマッチドフィル
タリングによる基本波強調信号のピーク位置と高牌波強
調後の高調波のピーク位置はほぼ一致し、その周辺で振
幅が小さくなる。一方、基本波と高調波の相互相関波形
403 から、基本波信号のみに高調波強調のマッチドフィ
ルタを適用すると、基本波反び高調波強調信号のピーク
位置では0となり、その周辺で大きな振幅となる。
【0047】図6の波形601 と602 は、高調波302 の振
幅を小さくしたものと基本波301 とを加算した波形に対
して、それぞれ高調波成分302 と基本波成分301 の相関
波形を示している。実際の受信信号は基本波成分と高調
波成分が混合したものとなっており、特に高調波成分が
小さい受信信号に高調波強調を行なった場合、601 のよ
うな波形となる。高調波強調波形601 では、2 次高調波
成分によるピークは基本波自己相関波形401 および高調
波自己相関波形402 とほぼ同一の位置に存在する。同様
に基本波強調を行なった場合、602 のような波形とな
る。基本波強調波形602 では、ほぼ基本波成分の自己相
関波形401 と同じ形状となり、ピーク位置はほぼ同一で
その周囲では振幅が小さくなる。基本波強調を行なった
波形602 の検波を行い振幅分布605 を求め、その振幅分
布605 で高調波強調波形601 に重み付けすれば2次高調
波成分を強調することができる。基本波自己相関波形40
1 と高調波自己相関波形402 の比較から推測されるよう
に、基本波強調波形の帳幅分布は高調波強調波形よりも
広がった振幅分布を持つので、分解能劣化の抑制や基本
波成分の除去のために、振幅分布605 の2乗した分布60
6 を重み付けに利用した方がよい場合がある。2乗した
振幅分布606 によって高調波強調波形601 を重み付けし
た例が波形603 である。
【0048】以上の説明における重み付けによる2次高
調波強調では、2次高調波推定波形302 にハミング窓に
代表されるコサイン窓を適用した波形303 に対応したマ
ッチドフィルタを構成して使用するのが効果的である。
図7 における701 は基本波301 と、2 次高調波推定波形
302 にハミング窓を適用した波形303 との相関波形であ
る。ハミング窓を適用した場合701 ではハミング窓を適
用しない場合403 に比較して、波形401 と402 のピーク
位置付近のさらに広い範囲で振幅が小さくなり、効果的
に重み付けによって基本波成分を抑圧して2次高調波を
強調することができる。高調波302 と基本波301 との合
成波形にハミング窓を適用したマッチドフィルタを使用
し、振幅分布605 及び2乗振幅分布606 で重み付けした
例が波形702 と703 に示してある。重み付け処理した高
調波強調波形702 と703 では、重み付けして2次高調波
を強調した信号603 よりも2 次高調波の自己相関波形40
2の形状に近づいていることが分かる。
【0049】次に重み付け処理の効果について、図8か
ら図10を用いてさらに詳細に説明する。図8は非線形
歪みを考慮したシミュレーションによって求められた受
信波形であり、(a)は音波伝搬中の非線形歪みを考慮
しない場合の受信波形とその周波数特性、(b)は音波
伝搬中の非線形歪みを考慮した場合の受信波形とその周
波数特性を示している。図9は図8の受信波形にマッチ
ドフィルタ適用した結果を示しており、901 は非線形歪
みを考慮しない場合のシミユレーションによって求めら
れた受信波形、902 は非線形歪みを考慮した場合のシミ
ュレーションによって求められた受信波形、903 および
904 はそれぞれ受信波形901 および902に基本波強調の
ためのマッチドフィルタを適用した場合の波形、905 お
よび906はそれぞれ受信波形901 および902 に高調波強
調のためのマフチリフィルタを適用した場合の波形であ
る。図10は音波伝搬中の非線形歪みを考慮した場合の
受信波形に重み付け処理を行なって高調波強調を行なっ
た波形とその周波数特性を示している。
【0050】図8によると非線形歪みを考慮しない場合
(a)の周波数特性には、基本波成分に比べて小さい
が、送信波形に含まれる2次高調波帯の成分が存在す
る。非線形歪みを考慮した場合(b)には、非線形歪み
を考慮しない場合(a)の2次高調波帯の成分に加え
て、音波伝搬によって生じた高調波成分が加わってい
る。高調波強調のマッチドフィルタを受信波形901 およ
び902 に適用すると、905 と906 のようになる。非線形
歪みを考慮していない高調波強調波形905 では、基本波
強調波形903 のピーク付近で振幅が小さくなっている。
一方、非線形歪みを考慮した高調波強調波形906 では、
基本波強調波形904 のピーク付近に非線形歪みによる高
調波成分によって波形905 よりも大きな振幅成分が存在
している。高調波強調波形905 と906 を比較すると、高
調波強調波形906 における基本波強調波形904 のピーク
位置付近に現れる成分は、送信波形に含まれる2次高調
波帯の成分ではなく、音波伝搬中の非線形歪みによって
生じた高調波成分が現れると考えてよい。したがって前
記重み付け処理によって、送信波形の基本波成分だけで
はなく2次高調波帯の成分をも抑制し、音波伝搬中の非
線形歪みによって生じた高調波成分を強調できる。図8
(b)の非線形歪みを考慮した受信波形に、前記重み付
け処理を施すと図10のようになる。周波数特性からも
分かるように、基本波成分が抑圧され、高調波成分が強
調されていることが分かる。
【0051】なお、以上の説明では、重み付け信号は基
水波強調信号の振幅の1乗、もしくは2乗として求めた
が、2乗以外のべき乗としてもよい。また、重み付け信
号は、基本波強調信号の振幅分布を使用したが、振幅分
布に定数を加算して重み付け信号としてもよい。
【0052】以上のように、本発明の実施の形態2によ
れば、送信波形に時間に従い周波数の変化する波形を使
用し、送信波形に対応した周波数対遅延時間特性を有す
るフィルタを使用して受信信号のフィルタリングを行う
ステップと、前記基水波強調信号に基づき、高調波強調
信号に対して高調波成分が小さいと推定される位置の信
号を抑圧するための重み付け信号を生成するステップ
と、送信波形の高調波成分に対応した周波数対遅延時間
特性を有するフィルタを使用して受信信号のフィルタリ
ングを行なうステップと、前記重み付け信号と前記高調
波強調信号とのフィルタリングによって生じた遅れの差
を調節して、高調波強調信号に対して同一位置の重み付
け信号の値を乗じることによって重み付けされた高調波
強調信号を生成するステップとを備えることにより、分
解能の低下を抑制しつつ被検体内で発生した高調波を強
調し、ノイズを抑圧することができる。
【0053】(実施の形態3)図11は送信周波数とは
異なる高調波成分を利用する超音波信号処理回路のブロ
ック図を示しており、1101はノイズ成分および基本波を
抑圧する基本波抑圧フィルタ手段、1102は送信波形から
推定される音波伝搬中に発生する高調波の特性に対応し
た周波数対遅延時間特性を有する高調波強調フィルタ手
段である。
【0054】以上のように構成された超音波信号処理回
路について、図11を用いてその動作を説明する。本実
施の形態3の超音波信号処理回路は、実施の形態1に記
された方法において、基本波抑圧フィルタ処理および高
調波強調フィルタ処理を実現する回路として構成され
る。まず、受信信号を処理する前にフィルタ選択信号が
入力され、基水波抑圧フィルタ手段1101および高調波強
調フィルタ手段1102のそれぞれのフィルタにおいて、送
信波形や使用するトランスジューサの特性に応じてフィ
ルタ特性が選択される。フィルタ特性選択後入力された
受信波形は、まず基本波抑圧フィルタ手段1101によって
フィルタリングされ、基本波成分およびノイズ成分が抑
圧される。次に基本波成分の抑圧された受信信号は高調
波強調フィルタ1102によって高調波成分が強調され、高
調波強調信号が出力される。
【0055】基本波抑圧フィルタ手段1101には、送信波
形の選択可能な数と同数、もしくはそれ以下の数のフィ
ルタ特性が用意されている。さらに受信信号の位相特性
に変化を与えると、高調波強調フィルタ手段1102におけ
る高調波成分の強調の効果が低下するため、基本波抑圧
フィルタ手段1101は受信信号の周波数対遅延時間特性に
大きな変化を与えないように直線位相特性を有するFIR
(有限インパルス応答)フィルタとすることが望まし
い。なお、基本波抑圧フィルタ手段1101はディジタルフ
ィルタで実現することが望ましい。
【0056】高調波強調フィルタ手段1102には、送信波
形の選択可能な数と同数のフィルタ特性が用意されてい
る。高調波強調フィルタ手段1102には、送信波形に基づ
き、音波伝搬中に発生すると推定される高調波特性に対
して逆の周波数対遅延時間持性を有するフィルタ、例え
ばマッチドフィルタが用いられる。高調波強調フィルタ
手段1102は、ディジタルフィルタで実現することが望ま
しぐ、例えば図12に示すようなFIR フィルタによって
実現される。図12において、フィルタ係数を記憶する
係数メモリ1201、N個の乗算器M1〜 MN 、遅延素子D1
DN 、加算器1202からなる。係数メモリ1201には送信波
形の選択可能な数と同数の係数セットが記憶されてお
り、係数セットは対応する送信波形の周波数特性に対し
て位相持性が反転した周波数特性を実現するように求め
られる。図12に示すFIR フィルタの動作としては、ま
ずフィルタ選択信号を受けてフィルタ特性を持徴づける
N個の係数 c1 から cN を選択する。受信信号のフィル
タ処理では、乗算器M1〜 MNによって時間 ti-N+1 から
ti における受信信号の値x(ti-N+1)からx( ti )に係
数 c1 から cN を乗じ、その結果は加算器1202で加算さ
れ、高調波強調信号が出力される。
【0057】なお、以上の説明では、基本波抑圧フィル
タ手段1101は高調波強調フィルタ手段1102の前段に置く
構成としたカハ高調波強調フィルタ手段1102の後段に置
くような構成としてもよい。また、以上の説明では、複
数のフィルタの係数を用意しておき、フィルタ選択信号
によって切り替えて使用するものとしたが、係数を固定
したフィルタを複数用意してフィルタ選択信号によって
切り替えて使用できるようにしても実現できる。また、
汎用のプロセッサ、ディジタルシグナルプロセッサを使
用してソフトウェアとして実現することもできる。
【0058】以上のように、本発明の実施の形態3によ
れば、時間に従い周波数の変化する送信波形を送信した
場合の受信信号を処理する超音波信号処理回路として、
ノイズ成分および基水波を抑圧する基本波抑圧フィルタ
手段と、音波伝搬中に発生する高調波成分に対応した周
波数対遅延時間特性を有する高調波強調フィルタ手段と
を備えることにより、分解能の低下を抑制しつつ被検体
内で発生した高調波を強調し、ノイズを抑圧する超音波
信号処理回路を実現することができる。
【0059】(実施の形態4)図13は送信周波数とは
異なる高調波成分を利用する超音波信号処理回路のブロ
ック図を示しており、1301は送信波形に対応した周波数
対遅延時間特性を有する基本波強調フィルタ、1302は重
み付け信号を生成する重み付け信号生成手段、1305は信
号の乗算を行い重み付け手段として動作する乗算器、13
06は基本波の周波数成分やノイズ成分を抑圧して高調波
の周波数成分を通過させる帯域通過フィルタである。重
み付け信号生成手段1302は、信号の包絡線を導出する検
波手段1303、乗算器1304からなる。その他の構成要素で
実施の形態3と同一のものには同一符号を付している。
【0060】以上のように構成された超音波信号処理回
路について、図13を用いてその動作を説明する。本実
施の形態4の超音波信号処理回路は、実施の形態2に記
された方法において、基本波強調フィルタ処理、高調波
強調フィルタ処理、重み付け信号の生成と重み付け信号
による高調波強調信号の重み付け処理を実現する回路と
して構成される。まず、受信信号を処理する前にフィル
タ選択信号が入力され、基本波強調フィルタ手段1301、
高調波強調フィルタ手段1102のそれぞれにおいて、送信
波形や使用するトランスジューサの特性に応じてフィル
タ特性が選択される。フィルタ特性選択後、超音波信号
処理回路に入力された受信は形は、基本波強調フィルタ
手段1301によってフィルタリングされ、基本波強調信号
が生成される。基本波強調信号は、検波手段1303によっ
て検波され、基本波振幅の時間分布が生成される。基本
波振幅分布は、乗算器1304によって2乗され、重み付け
信号が生成される。また、超音波信号処理回路に入力さ
れた受信波形は、高調波強調フィルタ手段1102によって
フィルタリングされ、高調波強調信号が生成される。重
み付け信号と高調波強調信号は、乗算器1305によって乗
算され、重み付けされた高調波強調信号が生成され、ノ
イズが抑制される。重み付けされた高調波強調信号は、
高調波の周波数帯域を通過させる帯域通過フィルタ手段
1306によってフィルタ処理されて出力される。
【0061】実施の形態3と同様に、高調波強調フィル
タ手段1102には、送信波形の選択可能な数と同数のフィ
ルタ特性が用意されている。高調波強調フィルタ手段11
02には、波形に基づき、音波伝搬中に発生すると推定さ
れる高調波特性に対して逆の周波数対遅延時間特性を有
するフィルタ、例えばマッチドフィルタが用いられる。
高調波強調フィルタ手段1102は、ディジタルフィルタで
実現することが望ましい。
【0062】また、基本波強調フィルタ手段1301には、
送信波形の選択可能な数と同数のフィルタ特性が用意さ
れている。基本波強調フィルタ手段1301には、送信波形
の特性に対して逆の周波数対遅延時間特性を有するフィ
ルタ、例えばマッチドフィルタが用いられる。基本波強
調フィルタ手段1301は、ディジタルフィルタで実現する
ことが望ましい。
【0063】なお、以上の説明では、重み付けを行う前
の高調波強調のために高調波強調フィルタ手段のみを用
いるものとしたが、高調波強調フィルタ手段の前段もし
くは後段に基本波抑圧フィルタとして直線位相特性をも
つ帯域通過フィルタ手段を設けてもよい。また、基本波
強調のために基本波強調フィルタ手段のみを用いるもの
としたが、基本波強調フィルタ手段の前段もしくは後段
に高調波抑圧フィルタとして直線位相特性をもつ帯域通
過フィルタ手段を設けてもよい。また、重み付け信号を
生成するために検波手段1303によって基水波強調信号の
包絡線を求めるものとしたが、基本波強調信号の絶対値
を計算するだけでもよい。また、重み付け処理後に帯域
通過フィルタ手段を設けるものとしたが、省略してもよ
い。
【0064】また、以上の説明では、重み付け信号は、
基本波強調信号の振幅の1乗、もしくは2乗として求め
るように構成したが、2乗以外のべき乗とするような構
成としてもよい。また、重み付け信号は、基本波強調信
号の振幅分布を使用する構成したが、振幅分布に定数を
加算して重み付け信号とする構成としてもよい。
【0065】また、以上の説明では、複数のフィルタの
特性を用意しておき、フィルタ選択信号によって切り替
えて使用するものとしたが、係数を固定したフィルタを
複数用意してフィルタ選択信号によって切り替えて使用
できるようにしても実現できる。また、汎用のプロセッ
サ、ディジタルシグナルプロセッサを使用してソフトウ
ェアとして実現することもできる。
【0066】以上のように、本発明の実施の形態4によ
れば、時間に従い周波数の変化する送信波形を送信した
場合の受信信号を処理する超音波信号処理回路として、
送信波形の基水波成分に対応した周波数対遅延時間特性
を有する基本波強調フィルタ手段と、送信波形の高調波
成分に対応した周波数対遅延時間特性を有する高調波強
調フィルタ手段と、基本波強調信号から重み付け信号を
生成する重み付け信号生成手段と、重み付けを行う乗算
器とを備えることにより、分解能の低下を抑制しつつ披
検体内で発生した高調波成分を強調する超音波信号処理
回路を実現することができる。
【0067】(実施の形態5)図14は送信周波数とは
異なる高調波成分を利用する超音波診断装置のブロック
図を示しており、1401は電気信号と音波との相互変換を
行う超音波探触子、1402は送信波形を増幅してトランス
ジューサを駆動する送信手段、1403は受信信号を増幅し
てディジタル信号に変換する受信手段、1404は音波の伝
搬中に披検体で発生した高調波成分の強調を行う超音波
信号処理回路、1405は信号の検波を行い包絡線を求める
検波手段、1406は信号の表示を行う表示手段である。
【0068】以上のように構成された超音波信号処理回
路について、図14を用いてその動作を説明する。本実
施の形態5の超音波診断装置は、実施の形態3もしくは
4に記された超音波信号処理回路を含むことによって、
実施の形態1もしくは2の超音波受信方法に従って動作
し、送信した超音波周波数とは異なる周波数の信号を処
理して表示する装置として構成される。まず、制御手段
1407は、超音波探触子1401に含まれるトランスジューサ
の特性や送信周波数等の設定に応じて、時間に従い周波
数の変化する送信波形を選択して送信手段1402へ伝達す
る。また、送信波形に対応したフィルタ選択信号を超音
波信号処理回路1404へ伝達する。次に送信回路1402は、
選択された送信波形を増幅して、超音波探触子1401に含
まれるトランスジューサを駆動して音波を被検体へ送信
する。超音波探触子1401内に複数のトランスジューサが
配列されている場合には、各素子を駆動する送信波形に
遅延を与え、所定の位置に焦点を合わせる操作もまた行
なわれる。被検体内部から反射して超音波探触子l401に
含まれるトランスジューサヘ戻った音波は、電気信号に
変換されて受信信号が生成される。受信信号は受信回路
1403によって増幅されたのち、ディジタル信号に変換さ
れる。超音波探触子1401内に複数のトランスジューサが
配列されている場合には、所定の位置に焦点を合わせる
ために各素子の受信信号に遅延を与えて加算する操作も
行なわれる。ディジタル化された受信信号は、超音波信
号処理向路1404によって、送信波形の周波数成分を主に
含む基本波成分を抑圧して2次高調波成分を検出および
強調させる処理が行なわれ、高調波強調信号が生成され
る。高調波強調信号は、検波手段1405によって包絡線検
波が行なわれ、表示手段1406によって対数圧縮と走査変
換が行なわれて画像として表示される。
【0069】なお、以上の説明では、高調波成分を強調
した信号のみを用いて画像を表示するものとしたが、基
本波強調信号の検波した信号と高調波強調信号を検波し
た信号とを加算して表示するようにしてもよい。
【0070】以上のように、本発明の実施の形態5によ
れば、時間に従い周波数の変化する送信波形を送信する
送信回路と、音波の伝搬中に被検体で発生した高調波成
分を検出および強調させる超音波信号処理回路を備える
ことにより、被検体内で発生した高調波成分を強調し、
ノイズを抑圧した画像表示を行うことのできる超音波診
断装置を実現することができる。
【0071】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の超音波送受信方法は、時間に従い周波数を変化させた
送信波形を発生して被検体内へ音波を送信するステップ
と、前記送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波
成分に対応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタ
によって、前記受信信号にフィルタ処理を行なって高調
波強調信号を生成するステップとを備え、また、前記フ
ィルタを、送信波形から導出される高調波特性に対して
逆の周波数対遅延時間特性を有するフィルタとしたの
で、音波伝搬中に発生した高調波成分を強調することが
でき、音波伝搬中に発生した高調波成分に対する感度を
高めることができるという効果が得られる。
【0072】また、本発明の超音波送受信方法は、時間
に従い周波数を変化させた送信波形を発生して被検体内
へ音波を送信するステップと、前記送信波形に対応した
周波数対遅延時間特性を有するフィルタによって前記受
信信号にフィルタ処理を行なって基本波強調信号を生成
するステップと、前記基本波強調信号に基づき重み付け
信号を生成するステップと、前記送信波形によって音波
伝搬申に発生する高調波成分に対応した周波数対遅延時
間特性を有するフィルタによって、前記受信信号にフィ
ルタ処理を行なって高調波強調信号を生成するステップ
と、前記重み付け信号に基づき前記高調波強調信号に重
み付けを行なって重み付けされた高調波強調信号を生成
するステップとを備え、また、前記送信波形によって音
波伝搬中に発生する高調波成分に対応した周波数対遅延
時間特性を有するフィルタを、送信波形から導出される
高調波特性に対して逆の周波数対遅延時間特性を有する
フィルタとし、前記送信波形に対応した周波数対遅延時
間特性を有するフィルタを、送信波形に対して逆の周波
数対遅延時間特性を有するフィルタとしたので、基本波
成分および送信波形に含まれる高調波を抑制し、分解能
の低下を抑制しつつ被検体内で発生した高調波の強調が
でき、音波伝搬中に発生した高調波成分に対する感度を
高めることができるという効果が得られる。
【0073】また、本発明の超音波信号処理回路は、時
間に従い周波数を変化させた送信波形に対する受信信号
の高周波成分や強調する際に、前記送信波形によって音
波伝搬中に発生する高調波成分に対応した周波数対遅延
時間特性を有するフィルタを使用して高調波を強調した
信号を生成する高調波強調フィルタ手段を備え、また、
前記送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波成分
に対応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタを、
送信波形から導出される高調波特性に対して逆の周波数
対遅延時間特性を有するフィルタとしたので、音波伝搬
中に発生した高調波成分を強調した信号を生成する超音
波信号処浬回路を実現できるいう効果が得られる。
【0074】また、本発明の超音波信号処理回路は、時
間に従い周波数を変化させた送信波形に対する受信信号
の高周波成分を強調する際に、前記送信波形に対応した
周波数対遅延時間特性を有するフィルタを使用して基本
波強調信号を生成する高調波強調フィルタ手段と、前記
送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波成分に対
応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタを使用し
て高調波強調信号を生成する高調波強調フィルタ手段
と、前記基本波強調信号に基づき重み付け信号を生成す
る重み付け信号生成手段と、前記重み付け信号によって
前記高調波強調信号に重み付けを行なう高調波重み付け
手段とを備え、高調波強調信号の重み付けは、基本波強
調信号から生成される重み付け信号と高調波強調信号と
の乗算によって行なわれるようにし、また、前記送信波
形によって音波伝搬中に発生する高調波成分に対応した
周波数対遅延時間特性を有するフィルタを、送信波形か
ら導出される高調波特性に対して逆の周波数対遅延時間
特性を有するフィルタとし、送信波形に対応した周波数
対遅延時間特性を有するフィルタを、送信波形に対して
逆の周波数対遅延時間特性を有するフィルタとしたの
で、基本波成分および送信波形に含まれる高調波を抑制
し、分解能の低下を抑制しつつ被検体内で発生した高調
波の強調した信号を生成して、音波伝搬中に発生した高
調波成分に対する感度を高めることのできる超音波信号
処理回路を実現できるという効果が得られる。
【0075】また、本発明の超音波診断装置は、電気信
号と音波との相互変換を行なうトランスジューサを有す
る超音波探触子と、時間に従い周波数を変化させた送信
波形によって前記トランスジューサを駆動する送信回路
と、前記トランスジューサによって変換された披検体か
らの受信信号を増幅してディジタル信号に変換する受信
回路と、前記送信波形によって音波伝搬中に発生する高
調波成分に対応した周波数対遅延時間特性を有するフィ
ルタを使用してフィルタ処理を行なう超音波信号処理回
路と、受信信号の検波を行なう検波回路と、検波後の信
号の表示を行なう表示手段とを備えているので、基本波
成分および送信波形に含まれる高調波を抑制し、分解能
の低下を抑制しつつ被検体内で発生した高調波の強調し
た信号を生成して、音波伝搬中に発生した高調波成分に
対する感度を高めた表示のできる超音波診断装置を実現
できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における超音波送受信方
法のフロー図
【図2】実施の形態1におけるチャープ波形を用いた場
合の送信波形および推定された高調波の波形図
【図3】実施の形態1における矩形波の周期が時間とと
もに変化する送信波形と推定される高調波の波形図
【図4】実施の形態1における矩形波の周期を時間とと
もに変化させて構成される送信波形と推定される2次高
調波波形の相関波形図
【図5】本発明の実施の形態2における超音波送受信方
法のフロー図
【図6】実施の形態2における高調波成分強調のための
重み付けの様子を表す波形図
【図7】実施の形態2におけるハミング窓によって重み
付けされたインパルス応答を有するマッチドフィルタを
用いた場合の重み付け処理の様子を表す波形図
【図8】実施の形態2における非線形歪みを考慮したシ
ミュレーションによって求められた受信波形図
【図9】実施の形態2における図8の受信波形にマッチ
ドフィルタ適用した結果を表す波形図
【図10】実施の形態2における波伝搬中の非線形歪み
を考慮した場合の受信波形に重み付け処理を行なって高
調波強調を行なった波形とその周波数特性図
【図11】本発明の実施の形態3における送信周波数と
は異なる高調波成分を利用する超音波信号処理回路のブ
ロック図
【図12】実施の形態3におけるFIR フィルタのブロッ
ク図
【図13】本発明の実施の形態4における送信周波数と
は異なる高調波成分を利用する超音波信号処理回路のブ
ロック図
【図14】本発明の実施の形態5における送信周波数と
は異なる高調波成分を利用する超音波診断装置のブロッ
ク図
【図15】従来の送信周波数とは異なる高調波成分を利
用する超音波診断装置のブロック図
【符号の説明】
201 連続的に値の変化するチャープとした送信波形 202 送信波形201 から推定される2次高調波波形 301 矩形波の周期を時間とともに変化させて構成され
る送信波形 302 送信波形301 から推定される2次高調波波形 303 2次高調波波形302 をハミング窓によって重み付
けした波形 401 送信波形301 の自己相関波形 402 推定された2次高調波波形302 の自己相関波形 403 送信波形301 と推定された2次高調波波形302 と
の相関波形 601 高調波302 と基本波301 との合成波形と高調波30
2 との相関波形 602 高調波302 と基本波301 との合成波形と基本波30
1 との相関波形 605 相関波形602 に包絡線検波を行なって求められる
振幅分布 606 振幅分布605 を2乗して求められる2乗振幅分布 701 基本波301 とハミング窓を適用した2次高調波推
定波形303 との相関波形 702 高調波と基水波との合成波形に重み付け処理した
場合の波形 703 高調波と基本波との合成波形に2乗振幅分布で重
み付け処理した場合の波形 901 非線型歪みを考慮しない場合の受信波形 902 非線形歪みを考慮した場合の受信波形 903 受信波形901 に基本波強調のためのマッチドフィ
ルタを適用した場合の波形 904 受信波形902 に基本波強調のためのマッチドフィ
ルタを適用した場合の波形 905 受信波形901 に高調波強調のためのマッチドフィ
ルタを適用した場合の波形 906 受信波形902 に高調波強調のためのマッチドフィ
ルタを適用した場合の波形 1101 基水波抑圧フィルタ手段 1102 高調波強調フィルタ手段係数メモリ M1〜 MN N個の乗算器 D1〜 DN 遅延素子 1202 加算器 1301 基本波強調フィルタ 1302 重み付け信号生成手段 1305 乗算器 1306 帯域通過フィルタ 1303 検波手段 1304 乗算器 1401 超音波探触子 1402 送信手段 1403 受信手段 1404 超音波信号処理回路 1405 検波手段 1406 表示手段 1501 電気信号と音波の相互変換を行なう超音波探触子 1502 送信手段 1503 受信手段 1504 帯域制限フィルタ手段 1505 検波手段 1506 表示手段
フロントページの続き (72)発明者 福喜多 博 神奈川県横浜市港北区綱島東四丁目3番1 号 松下通信工業株式会社内 Fターム(参考) 4C301 AA01 EE06 HH01 HH24 HH37 HH43 HH52 JB03 JB29 JB32 JB35 JB38 JB39 JB42

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 時間に従い周波数を変化させた送信波形
    を発生して被検体内へ音波を送信するステップと、被検
    体からの反射波を受信して受信信号を生成するステップ
    と、前記送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波
    成分に対応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタ
    によって、前記受信信号にフィルタ処理を行なって高調
    波強調信号を生成するステップとを備えることを特徴と
    した超音波送受信方法。
  2. 【請求項2】 前記送信波形によって音波伝搬中に発生
    する高調波成分に対応した周波数対遅延時間特性を有す
    るフィルタが、送信波形から導出される高調波特性に対
    して逆の周波数対遅延時間特性を有するフィルタである
    ことを特徴とした請求項1に記載の超音波送受信方法。
  3. 【請求項3】 時間に従い周波数を変化させた送信波形
    を発生して被検体内へ音波を送信するステップと、披検
    体からの反射波を受信して受信信号を生成するステップ
    と、前記送信波形に対応した周波数対遅延時間特性を有
    するフィルタによって前記受信信号にフィルタ処理を行
    なって基本波強調信号を生成するステップと、前記基本
    波強調信号に基づき重み付け信号を生成するステップ
    と、前記送信波形によって音波伝搬中に発生する高調波
    成分に対応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタ
    によって、前記受信信号にフィルタ処理を行なって高調
    波強調信号を生成するステップと、前記重み付け信号に
    基づき前記高調波強調信号に重み付けを行なって重み付
    けされた高調波強調信号を生成するステップとを備え、
    高調波強調信号の重み付けは、基本波強調信号から生成
    される重み付け信号と高調波強調信号との乗算によって
    行なわれることを特徴とした超音波送受信方法。
  4. 【請求項4】 前記送信波形によって音波伝搬中に発生
    する高調波成分に対応した周波数対遅延時間特性を有す
    るフィルタが、送信波形から導出される高調波特性に対
    して逆の周波数対遅延時間特性を有するフィルタであ
    り、前記送信波形に対応した周波数対遅延時間特性を有
    するフィルタが、送信波形に対して逆の周波数対遅延時
    間特性を有するフィルタであることを特徴とした請求項
    3に記載の超音波送受信方法。
  5. 【請求項5】 時間に従い周波数を変化させた送信波形
    に対する受信信号の高調波成分や強調する際に、前記送
    信波形によって、音波伝搬中に発生する高調波成分に対
    応した周波数対遅延時間特性を有するフィルタを使用し
    て高調波を強調した信号を生成する高調波強調フィルタ
    手段を備えることを特徴とした超音波信号処理回路。
  6. 【請求項6】 前記送信波形によって音波伝搬中に発生
    する高調波成分に対応した周波数対遅延時間特性を有す
    るフィルタが、前記送信波形から導出される高調波特性
    に対して逆の周波数対遅延時間特性を有するフィルタで
    あることを特徴とした請求項5に記載の超音波信号処理
    回路。
  7. 【請求項7】 時間に従い周波数を変化させた送信波形
    に対する受信信号の高調波成分を強調する際に、前記送
    信波形に対応した周波数対遅延時間特性を有するフィル
    タを使用して基本波強調信号を生成する基本波強調フィ
    ルタ手段と、前記送信波形によって音波伝搬中に発生す
    る高調波成分に対応した周波数対遅延時間特性を有する
    フィルタを使用して高調波強調信号を生成する高調波強
    調フィルタ手段と、前記基本波強調信号に基づき重み付
    け信号を生成する重み付け信号生成手段と、前記重み付
    け信号によって前記高調波強調信号に重み付けを行なう
    重み付け手段とを備え、高調波強調信号の重み付けは、
    基本波強調信号から生成される重み付け信号と高調波強
    調信号との乗算によって行なわれることを特徴とした超
    音波信号処理回路。
  8. 【請求項8】 前記送信波形によって音波伝搬中に発生
    する高調波成分に対応した周波数対遅延時間特性を有す
    るフィルタが、前記送信波形から導出される高調波特性
    に対して逆の周波数対遅延時間特性を有するフィルタで
    あり、前記送信波形に対応した周波数対遅延時間特性を
    有するフィルタが、送信波形に対して逆の周波数対遅延
    時間持性を有するフィルタであることを特徴とした請求
    項7に記載の超音波信号処理回路。
  9. 【請求項9】 電気信号と音波との相互変換を行なうト
    ランスジューサを有する超音波探触子と、時間に従い周
    波数を変化させた送信波形によって前記トランスジュー
    サを駆動する送信回路と、前記トランスジューサによっ
    て変換された被検体からの受信信号を増幅してディジタ
    ル信号に変換する受信回路と、前記送信波形によって音
    波伝搬中に発生する高調波成分に対応した周波数対遅延
    時間特性を有するフィルタを使用してフィルタ処理を行
    なう超音波信号処理回路と、受信信号の検波を行なう検
    波回路と、検波後の信号の表示を行なう表示手段とを備
    え、前記超音波受信信号処理回路は、請求項5から8の
    いずれかに記載の超音波信号処理回路であることを特徴
    とした超音波診断装置。
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