JP2001006868A - 加熱部材、加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

加熱部材、加熱装置および画像形成装置

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JP2001006868A
JP2001006868A JP11176836A JP17683699A JP2001006868A JP 2001006868 A JP2001006868 A JP 2001006868A JP 11176836 A JP11176836 A JP 11176836A JP 17683699 A JP17683699 A JP 17683699A JP 2001006868 A JP2001006868 A JP 2001006868A
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heating member
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JP11176836A
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Masahiro Suzuki
雅博 鈴木
Tokuyoshi Abe
篤義 阿部
Hitoshi Sato
仁 佐藤
Tatsuro Hayakawa
辰郎 早川
Akihiko Takeuchi
竹内  昭彦
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一方の面が支持部材と摺動し他方の面が被加熱
部材と接して被加熱部材を加熱する加熱部材10、該加
熱部材を有する加熱装置について、加熱部材の支持部材
との摺動抵抗を低減し、また通紙耐久による摺動抵抗の
増加を抑制する。 【解決手段】上記加熱部材10の支持部材と摺動する面
に、セラミック粒子もしくは合成樹脂粒子の少なくとも
一方を金属マトリックス中に分散させた金属層5を設け
たこと。あるいは、加熱部材の支持部材と摺動する面
に、セラミック粒子もしくは合成樹脂粒子の少なくとも
一方を金属マトリックス中に分散させた金属層を設け、
さらにこの層の支持部材側とは反対面側に単一金属もし
くは合金で構成される金属層を積層させたこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱部材、加熱装
置および画像形成装置に関する。
【0002】より詳しくは、一方の面が支持部材と摺動
し他方の面が被加熱部材と接して被加熱部材を加熱する
加熱部材、該加熱部材を被加熱部材の加熱手段として備
えた加熱装置、および該加熱装置を画像加熱定着装置と
して備えた画像形成装置に関する。
【0003】本発明において、加熱装置は、例えば、画
像形成装置において被記録材に形成担持させた未定着画
像を被記録材に永久固着画像として熱定着させる像加熱
装置(加熱定着装置、加熱定着器)、未定着画像を加熱
して仮定着させる像加熱装置、画像を担持した被記録材
を加熱して艶等の表面性を改質する像加熱装置、その他
の被加熱材を乾燥やラミネート等の熱処理する装置であ
る。
【0004】
【従来の技術】以下、画像形成装置の画像加熱定着装置
を例にして説明する。
【0005】従来、画像形成装置において、適宜の画像
形成プロセス手段で被記録材に間接あるいは直接に形成
担持させた未定着トナー画像を被記録材面に永久固着画
像として加熱定着させる定着装置としては、熱ローラ方
式の装置が広く用いられている。近年では、クイックス
タートや省エネルギーの観点からフィルム加熱方式の装
置が実用化されているが、さらに高効率な定着装置とし
て金属からなるフィルム自身を発熱させる電磁誘導加熱
方式の装置が提案されている。
【0006】実開昭51−109739号公報には、交
番磁場により加熱部材(発熱体)としての定着フィルム
の金属層に渦電流を誘導させて、そのジュール熱で発熱
させる誘導加熱定着装置が開示されている。これは、誘
導電流の発生を利用することで直接定着フィルムを発熱
させることができ、ハロゲンランプを熱源とする熱ロー
ラ方式の定着装置よりも高効率の定着プロセスを達成し
ている。
【0007】しかしながら、磁場発生手段としての励磁
コイルにより発生した交番磁束のエネルギーは定着フィ
ルム全体の昇温に使われるため放熱損失が大きい。その
ため、投入したエネルギーに対して定着に作用するエネ
ルギーの割合が低く、効率が悪いという欠点があった。
【0008】そこで、定着に作用するエネルギーを高効
率で得るために、加熱部材である定着フィルムに励磁コ
イルを接近させたり、励磁コイルの交番磁束分布を定着
ニップ部近傍に集中させたりして、高効率の定着装置が
考案された。
【0009】図11に、励磁コイルの交番磁束分布を定
着ニップ部に集中させて効率を向上させた電磁誘導加熱
方式の定着装置の一例の概略構成を示す。
【0010】10は電磁誘導発熱層(導電体層、磁性体
層、抵抗体層)を有する加熱部材としての円筒状の定着
フィルムである。
【0011】16は横断面略半円弧状樋型のフィルム支
持部材であり、円筒状定着フィルム10はこのフィルム
支持部材16の外側にルーズに外嵌させてある。
【0012】15はフィルム支持部材16の内側に配設
した磁場発生手段であり、励磁コイル18とE型の磁性
コア(芯材)17とからなる。
【0013】30は弾性加圧ローラであり、定着フィル
ム10を挟ませてフィルム支持部材16の下面と所定の
圧接力をもって所定幅の定着ニップ部N(加熱ニップ
部)を形成させて相互圧接させてある。前記磁場発生手
段15の磁性コア17は定着ニップ部Nに対応させて配
設してある。
【0014】加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の
反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回
転駆動により、前記加圧ローラ30と定着フィルム10
の外面との摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用し
て、前記定着フィルム10がその内面が定着ニップ部N
においてフィルム支持部材16の下面に密着して摺動し
ながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の周速度にほぼ
対応した周速度をもってフィルム支持部材16の外周を
回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0015】フィルム支持部材16は、定着ニップ部N
への加圧、磁場発生手段15としての励磁コイル18と
磁性コア17の支持、定着フィルム10の支持、定着フ
ィルム10の回転時の搬送安定性を図る役目をする。こ
のフィルム支持部材16は磁束の通過を妨げない絶縁性
の部材であり、高い荷重に耐えられる材料が用いられ
る。
【0016】図12に加熱部材としての定着フィルム1
0の層構成の概略図を示す。定着フィルム10は外側か
ら内側に順に離型層1、弾性層2、発熱層3を有する複
合フィルムである。離型層1はPFA等の離型性の良い
フッ素樹脂等で構成される。弾性層2はシリコーンゴム
等の弾性に富む合成ゴム等で構成される。発熱層3は電
磁誘導による渦電流により自己発熱する層であり、ニッ
ケル等の強磁性金属で構成される。この発熱層3に非磁
性金属を用いても良いが、強磁性金属を用いた場合に比
べて発熱効率は低下する。
【0017】励磁コイル18は不図示の励磁回路から供
給される交番電流によって交番磁束を発生する。交番磁
束は定着ニップ部Nの位置に対応しているE型の磁性コ
ア17により定着ニップ部Nに集中的に分布し、その交
番磁束は定着ニップ部Nにおいて定着フィルム10の発
熱層3に渦電流を発生させる。この渦電流は電磁誘導発
熱層の固有抵抗によって発熱層3にジュール熱を発生さ
せる。
【0018】この定着フィルム10の電磁誘導発熱は交
番磁束を集中的に分布させた定着ニップ部Nにおいて集
中的に生じて定着ニップ部Nが高効率に加熱される。
【0019】定着ニップ部Nの温度は、温度検知手段
(不図示)を含む温調制御系により、励磁コイル18へ
の電流供給が制御されることで所定の温度が維持される
ように温調される。
【0020】而して、加圧ローラ30が回転駆動され、
それに伴って加熱部材としての円筒状の定着フィルム1
0がフィルム支持部材16の外周を回転し、励磁回路か
らの励磁コイル18への給電により、上記のように定着
フィルム10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部N
が所定の温度に立ち上がる。そして温調された状態にお
いて、画像形成手段部(不図示)から搬送された未定着
トナー画像tが形成された被記録材Pは、定着ニップ部
Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に画像面
が上向きに、即ち定着フィルム面に対向して導入され、
定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィルム10の外
面に密着して定着フィルム10と一緒に定着ニップ部N
を挟持搬送されていく。この定着ニップ部Nを定着フィ
ルム10と一緒に被記録材Pが挟持搬送されていく過程
において定着フィルム10は加熱されて、被記録材P上
の未定着トナー画像tが加熱定着される。被記録材Pは
定着ニップ部Nを通過後、定着フィルム10の外周面か
ら離れて搬送されていく。
【0021】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、以
上に述べたような加熱部材としての定着フィルム10の
内周面がフィルム支持部材16の表面と摺動する構成の
定着装置では、以下のような問題があった。
【0022】すなわち、定着フィルム10の回転時は、
定着ニップ部Nにおいて前記定着フィルム10の内面と
フィルム支持部材16の表面とが摺擦するため、定着フ
ィルム10の内面とフィルム支持部材16の表面との間
の摺動性が定着装置の駆動トルクを大きく左右する。特
に加圧ローラ30駆動の場合、この摺動性が悪いと、定
着フィルム10とフィルム支持部材16との摺動抵抗が
大きくなり、定着フィルム10と駆動伝達手段の加圧ロ
ーラ30との間でスリップが発生しやすい。特に、通紙
時においては、定着フィルム10と共に搬送される被記
録材Pと加圧ローラ30との間でスリップが発生しやす
い。
【0023】この摺動抵抗は、定着ニップ部Nにかかる
加圧力が大きいほど大きい。特に、トナー載り量の多い
フルカラー画像形成装置の定着装置として用いる場合、
定着性を向上させるために、モノカラー画像形成装置の
定着装置より加圧力を大きくして、ニップ幅を広く取る
必要がある。またOHPフィルム上のカラートナー像の
透過性を向上させるために、加圧力を大きくして定着ニ
ップ部N内の面圧をより高くし、トナー像表面を平滑化
する必要がある。このように、フルカラー画像形成装置
の定着装置として使用すると、加圧力が高いために、摺
動抵抗が大きく、スリップ発生が顕著となる。
【0024】トナー像tを載せた被記録材Pの通紙時に
スリップが発生した場合、過剰な熱供給とスリップによ
りトナー像tが乱され、画像上にスリップ跡が発生す
る。また、このスリップにより、定着装置での被記録材
Pの排紙タイミングが遅れて、うまく排紙できずにジャ
ムが発生しやすい。さらに、定着フィルム10の回転時
の摺動抵抗が大きいほど、定着装置の駆動モータに大き
な駆動トルクを要求されるため、駆動モータのコストが
上昇する問題があった。
【0025】以上のような問題を解決するために、特開
平5−27619号公報に提案されているように、定着
フィルム10の内周面とフィルム支持部材16との間に
耐熱グリース等の潤滑剤を介在させることにより、定着
フィルム10の回転時の摺動抵抗を軽減させる方法があ
る。
【0026】しかしながら、定着装置内部のような高温
下で耐熱グリースを使用し続けると、グリースが劣化し
たり、摺動部である定着ニップ部Nに分布するグリース
量が減少して、潤滑性が失われる。さらに、定着フィル
ム10の内周面の金属層の摺動時の削れによるキズや、
その削れ粉よっても、潤滑性が失われる。このように、
耐熱グリースを塗布しても、摺動抵抗が低い状態は長続
きせず、徐々に摺動抵抗が増加する傾向がある。そのた
め、定着装置を使用し続けるほど、被記録材Pの搬送が
不安定になり、被記録材Pのスリップが多発し、画像不
良や定着装置でのジャムが多発する問題があった。
【0027】よって、前記潤滑剤の塗布に頼らずに、加
熱部材としての定着フィルム10の内面もしくはフィル
ム支持部材16自体の表面の潤滑性を向上させる必要が
ある。
【0028】そこで本発明は、一方の面が支持部材と摺
動し他方の面が被加熱部材と接して被加熱部材を加熱す
る加熱部材の支持部材との摺動抵抗を低減し、さらに通
紙耐久による摺動抵抗の増加を抑制することを目的とす
る。
【0029】
【発明が解決しようとしている手段】本発明は、下記に
述べる構成を特徴とする加熱部材、加熱装置および画像
形成装置である。
【0030】(1)一方の面が支持部材と摺動し他方の
面が被加熱部材と接して被加熱部材を加熱する加熱部材
であって、支持部材と摺動する面にセラミックス粒子も
しくは合成樹脂粒子の少なくとも一方を金属マトリック
ス中に分散させた金属層を設けたことを特徴とする加熱
部材。
【0031】(2)一方の面が支持部材と摺動し他方の
面が被加熱部材と接して被加熱部材を加熱する加熱部材
であって、支持部材と摺動する面にセラミックス粒子も
しくは合成樹脂粒子の少なくとも一方を金属マトリック
ス中に分散させた金属層を設け、さらにこの層の支持部
材側とは反対面側に単一金属もしくは合金で構成される
金属層を積層させたことを特徴とする加熱部材。
【0032】(3)前記金属マトリックス中に分散され
たセラミックス粒子は窒化ホウ素もしくグラファイトも
しくは二硫化モリブデンのうちの少なくとも1種類から
なり、その粒径は0.1〜10μmであることを特徴と
する(1)に記載の加熱部材。
【0033】(4)前記金属マトリックス中に分散され
たセラミックス粒子は窒化ホウ素もしくグラファイトも
しくは二硫化モリブデンのうちの少なくとも1種類から
なり、その粒径は0.1〜10μmであることを特徴と
する(2)に記載の加熱部材。
【0034】(5)前記金属マトリックス中に前記セラ
ミックス粒子が分散されている金属層において、セラミ
ックス粒子の全ての含有量が0.2〜20重量%である
ことを特徴とする(1)または(3)に記載の加熱部
材。
【0035】(6)前記金属マトリックス中に前記セラ
ミックス粒子が分散されている金属層において、セラミ
ックス粒子の全ての含有量が0.2〜30重量%である
ことを特徴とする(2)または(4)に記載の加熱部
材。
【0036】(7)前記金属マトリックス中に分散され
た合成樹脂粒子はフッ素樹脂からなり、その粒径は0.
1〜10μmであることを特徴とする(1)に記載の加
熱部材。
【0037】(8)前記金属マトリックス中に分散され
た合成樹脂粒子はフッ素樹脂からなり、その粒径は0.
1〜10μmであることを特徴とする(2)に記載の加
熱部材。
【0038】(9)前記合成樹脂粒子が分散されている
金属層において、合成樹脂粒子の全ての含有量が2〜4
0体積%であることを特徴とする(1)または(7)に
記載の加熱部材。
【0039】(10)前記合成樹脂粒子が分散されてい
る金属層において、合成樹脂粒子の全ての含有量が2〜
50体積%であることを特徴とする(2)または(8)
に記載の加熱部材。
【0040】(11)前記粒子が分散されている金属マ
トリックスは、ニッケルもしくはニッケル基合金である
ことを特徴とする(1)から(10)の何れかに記載の
加熱部材。
【0041】(12)交番磁場の作用により電磁誘導発
熱する層を有することを特徴とする(1)から(11)
の何れかに記載の加熱部材。
【0042】(13)被加熱部材側の表面に離型層を有
することを特徴とする(1)から(12)の何れかに記
載の加熱部材。
【0043】(14)回転体であることを特徴とする
(1)から(13)の何れかに記載の加熱部材。
【0044】(15)エンドレスフィルム状の回転体で
あることを特徴とする(1)から(13)の何れかに記
載の加熱部材。
【0045】(16)被加熱部材を加熱する加熱部材と
して(1)から(15)の何れかに記載の加熱部材を有
することを特徴とする加熱装置。
【0046】(17)一方の面が支持部材と摺動し他方
の面が被加熱部材と接する加熱部材を有し、該加熱部材
で被加熱部材を加熱する加熱装置において、加熱部材が
(1)から(15)の何れかに記載の加熱部材であるこ
とを特徴とする加熱装置。
【0047】(18)一方の面が支持部材と摺動し他方
の面が被加熱部材と接する加熱部材と、該加熱部材を介
して支持部材に圧接してニップを形成する加圧部材と、
を有し、前記ニップ部の加熱部材と加圧部材の間で被加
熱部材を挟持搬送して加熱部材で被加熱部材を加熱する
加熱装置において、加熱部材が(1)から(15)の何
れかに記載の加熱部材であることを特徴とする加熱装
置。
【0048】(19)前記加熱部材は、前記加圧部材も
しくは加熱部材外周面に圧接する圧接部材と加熱部材と
の表面の摩擦によって、加圧部材もしくは圧接部材に従
動して駆動されることを特徴とする(18)に記載の加
熱装置。
【0049】(20)前記被加熱部材が未定着トナー像
を担持した被記録材であり、加熱部材の熱により未定着
トナー像が被記録材に熱定着されることを特徴とする
(16)から(19)の何れかに記載の加熱装置。
【0050】(21)交番磁場を作用させて前記加熱部
材を電磁誘導発熱させる手段を有することを特徴とする
(16)から(20)の何れかに記載の加熱装置。
【0051】(22)被記録材に未定着トナー像を形成
する画像形成手段と、その未定着トナー像を被記録材に
熱定着させる加熱定着手段を有する画像形成装置におい
て、加熱定着手段が(16)から(21)の何れかに記
載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0052】(23)前記画像形成装置は、カラー画像
形成が可能であることを特徴とする(22)に記載の画
像形成装置。
【0053】〈作 用〉金属マトリックスにセラミック
ス粒子もしくは合成樹脂粒子の少なくとも一方を分散さ
せた金属層は、セラミックス粒子もしくは合成樹脂粒子
を分散含有させていない金属層よりも、潤滑性が格段に
優れる。また耐摩耗性も向上する。
【0054】本発明は、一方の面が支持部材と摺動し他
方の面が被加熱部材と接して被加熱部材を加熱する、金
属層を有する加熱部材、および該加熱部材を有する加熱
装置において、加熱部材の支持部材と摺動する面にセラ
ミックス粒子もしくは合成樹脂の少なくとも一方を金属
マトリックス中に分散させた金属層を設けたことで、加
熱部材の支持部材との摺動面の摺動抵抗を低減し、さら
に通紙耐久による摺動抵抗の増加を抑制することが出来
る。
【0055】よって、被加熱部材のスリップを防止でき
るので、安定した被加熱部材の搬送を確保することがで
き、画像加熱定着装置にあっては、高品位な画像と安定
した被記録材の搬送を提供することが可能となる。
【0056】さらに、加熱装置の駆動モータとして、駆
動トルクのより小さなものを使用することができるの
で、製品コストの低減につながる。
【0057】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態について
説明する。
【0058】〈第1の実施例〉(図1〜図9) (1)画像形成装置例 図1は画像形成装置の一例の構成略図である。本例の画
像形成装置は電子写真プロセス利用のカラーレーザプリ
ンタである。
【0059】101は像担持体としての、有機感光体や
アモルファスシリコン感光体でできた感光ドラムであ
り、矢示の反時計方向に所定のプロセス速度(周速度)
で回転駆動される。
【0060】感光ドラム101はその回転過程で帯電ロ
ーラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯
電処理を受ける。
【0061】次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レ
ーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103
により画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱
110は不図示の画像読み取り装置等の画像信号発生装
置からの画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応
して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力し、
感光ドラム101面を走査露光しする。これにより感光
ドラム面に画像情報に対応した静電潜像が形成される。
109はレーザ光学箱110からの出力レーザ光を感光
ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
【0062】フルカラー画像形成の場合は、目的のフル
カラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成
分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜
像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器
104Yの作動でイエロートナー画像として現像され
る。そのイエロートナー画像は感光ドラム101と中間
転写ドラム105との接触部(或いは近接部)である一
次転写部T1において中間転写ドラム105面に転写さ
れる。中間転写ドラム105面に対するトナー画像転写
後の感光ドラム101面はクリーナ107により転写残
トナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0063】上記のような帯電・走査露光・現像・一次
転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画
像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、
マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画
像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作
動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現
像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順
次実行され、中間転写ドラム105面にイエロートナー
画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナ
ー画像の4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目
的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が形成
される。
【0064】中間転写ドラム105は、金属ドラム上に
中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を設けたもので、感光ド
ラム101に接触して或いは近接して感光ドラム101
と同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動され、中間転
写ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与えて感
光ドラム101との電位差で感光ドラム101側のトナ
ー画像を前記中間転写ドラム105面側に転写させる。
【0065】上記の中間転写ドラム105面に形成され
たカラートナー画像は、前記中間転写ドラム105と転
写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2
において、前記二次転写部T2に不図示の給紙部から所
定のタイミングで送り込まれた被記録材Pの面に転写さ
れていく。転写ローラ106は被記録材Pの背面からト
ナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写ドラム1
05面側から被記録材P側へ合成カラートナー画像を順
次に一括転写する。
【0066】二次転写部T2を通過した被記録材Pは中
間転写ドラム105面から分離されて定着装置(像加熱
装置)100へ導入され、未定着トナー画像の加熱定着
処理を受けて、機外の不図示の排紙トレーに排出され
る。定着装置100については次の(2)項で詳述す
る。
【0067】被記録材Pに対するカラートナー画像転写
後の中間転写ドラム105はクリーナ108により転写
残トナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃され
る。このクリーナ108は常時は中間転写ドラム105
に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105
から被記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実
行過程において中間転写ドラム105に接触状態に保持
される。
【0068】また転写ローラ106も常時中間転写ドラ
ム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラ
ム105から被記録材Pに対するカラートナー画像の二
次転写実行過程において中間転写ドラム105に被記録
材Pを介して接触状態に保持される。
【0069】本実施例の画像形成装置は、白黒画像など
モノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両
面画像プリントモードも実行できる。
【0070】両面画像プリントモードの場合は、定着装
置100を出た1面目画像プリント済みの被記録材Pは
不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二
次転写部T2へ送り込まれて2面に対するトナー画像転
写を受け、再度、定着装置100に導入されて2面に対
するトナー画像の定着処理を受けることで両面画像プリ
ントが出力される。
【0071】(2)定着装置100 本実施例における加熱装置としての定着装置100は電
磁誘導加熱方式の装置である。図2は本例の定着装置1
00の要部の横断側面模型図、図3は要部の正面模型
図、図4は要部の縦断模型図である。
【0072】本実施例の定着装置100は前述図11の
定着装置と同様に、加熱部材として電磁誘導発熱性の円
筒状の定着フィルムを用いた、加圧ローラ駆動方式、電
磁誘導加熱方式の装置である。図11の装置と共通の構
成部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略
する。
【0073】磁場発生手段は磁性コア17a・17b・
17c及び励磁コイル18からなる。
【0074】磁性コア17a・17b・17cは高透磁
率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったト
ランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは
100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いる
のがよい。
【0075】励磁コイル18には給電部18a・18b
に励磁回路27(図5)を接続してある。この励磁回路
27は20kHzから500kHzの高周波をスイッチ
ング電源で発生できるようになっている。
【0076】励磁コイル18は励磁回路27から供給さ
れる交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生す
る。
【0077】16a,16bは横断面略半円弧状樋型の
フィルム支持部材であり、開口側を互いに向かい合わせ
て略円柱体を構成し、その外側に加熱部材である円筒状
の定着フィルム10をルーズに外嵌させてある。
【0078】前記フィルム支持部材16aは、磁場発生
手段としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コ
イル18を内側に保持している。また、フィルム支持部
材16aには図4のように紙面垂直方向を長手とする良
熱伝導部材40が定着ニップ部Nの加圧ローラ30との
対向面側で、定着フィルム10の内側に配設してある。
【0079】この良熱電導性部材40は、定着ニップ部
Nにおいて、加圧ローラ30の加圧力に対して、定着フ
ィルム10をその内周面から支持する部材である。本実
施例においては、良熱伝導性部材40にアルミニウムを
用いている。前記良熱伝導部材40は熱伝導率kがk=
240[W・m-1・K-1]であり、厚さ1[mm]であ
る。また、良熱伝導部材40は磁場発生手段である励磁
コイル18と磁性コア17a・17b・17cから発生
する磁場の影響を受けないように、この磁場の外に配設
してある。具体的には、良熱伝導部材40を励磁コイル
18に対して磁性コア17cを隔てた位置に配設し、励
磁コイル18による磁路の外側に位置させて良熱伝導部
材40に影響を与えないようにしている。
【0080】22はフィルム支持部材16bの内面平面
部と良熱伝導部材40に当接させて配設した横長の加圧
用剛性ステイである。
【0081】19は磁性コア17a・17b・17c及
び励磁コイル18と加圧用剛性ステイ22の間を絶縁す
るための絶縁部材である。
【0082】フランジ部材23a・23bはフィルム支
持部材16a・16bのアセンブリの左右両端部に外嵌
し、前記左右位置を固定しつつ回転自在に取り付け、定
着フィルム10の回転時に前記定着フィルム10の端部
を受けて定着フィルム10のフィルム支持部材16長手
に沿う寄り移動を規制する役目をする。
【0083】加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金
30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被
覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂な
どの耐熱性弾性材層30bとで構成されており、芯金3
0aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間に回転
自由に軸受け保持させて配設してある。
【0084】加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャ
ーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ
加圧バネ25a・25bを縮設することで加圧用構成ス
テイ22に押し下げ力を作用させている。これにより良
熱伝導部材40の下面と加圧ローラ30の上面とが定着
フィルム10を挟んで圧接して所定幅の定着ニップ部N
が形成される。
【0085】加圧ローラ30は駆動手段M(図2)によ
り矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ
30の回転駆動により、前記加圧ローラ30と定着フィ
ルム10の外面との摩擦力で定着フィルム10に回転力
が作用し、前記定着フィルム10の内周面が定着ニップ
部Nにおいて良熱伝導部材40の下面に密着して摺動し
ながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の周速度にほぼ
対応した周速度をもってフィルム支持部材16a・16
bの外周を回転する。
【0086】良熱伝導部材40は長手方向の温度分布を
均一にする効果があり、例えば、小サイズ紙を通紙した
場合、定着フィルム10での非通紙部の熱量が良熱伝導
部材40へ伝熱し、良熱伝導部材40における長手方向
の熱伝導により、非通紙部の熱量が小サイズ紙通紙部へ
伝熱される。これにより、小サイズ紙通紙時の消費電力
を低減させる効果も得られる。
【0087】また、図5に示すように、フィルム支持部
材16aの周面に、その長手方向に所定の間隔を置いて
凸リブ部16cを形成具備させ、フィルム支持部材16
aの周面と定着フィルム10の内面との接触摺動抵抗を
低減させて定着フィルム10の回転負荷を少なくしてい
る。このような凸リブ部16cはフィルム支持部材16
bにも同様に形成具備することができる。
【0088】図6は交番磁束の発生の様子を模式的に表
したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表
す。磁性コア17a・17b・17cに導かれた交番磁
束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そし
て磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着
フィルム10の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させる。
この渦電流は電磁誘導発熱層の固有抵抗によって電磁誘
導発熱層にジュール熱(渦電流損)を発生させる。ここ
での発熱量Qは電磁誘導発熱層を通る磁束の密度によっ
て決まり図6のグラフような分布を示す。
【0089】図6のグラフは、縦軸が磁性コア17aの
中心を0とした角度θで表した定着フィルム10におけ
る円周方向の位置を示し、横軸が定着フィルム10の電
磁誘導発熱層での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは
最大発熱量をQとした場合、発熱量がQ/e以上の領域
と定義する。これは、定着に必要な発熱量が得られる領
域である。
【0090】この定着ニップ部Nの温度は、不図示の温
度検知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する
電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるよ
うに温調される。
【0091】26(図2)は定着フィルム10の温度を
検知するサーミスタなどの温度センサであり、本例にお
いては温度センサ26で測定した定着フィルム10の温
度情報をもとに定着ニップ部Nの温度を制御するように
している。
【0092】而して、定着フィルム10が回転し、励磁
回路27から励磁コイル18への給電により上記のよう
に定着フィルム10の電磁誘導発熱がなされて定着ニッ
プ部Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態にお
いて、画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像
tが形成された被記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィ
ルム10と加圧ローラ30との間に画像面が上向き、即
ち定着フィルム面に対向して導入され、定着ニップ部N
において画像面が定着フィルム10の外面に密着して定
着フィルム10と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送され
ていく。この定着ニップ部Nを定着フィルム10と一緒
に被記録材Pが挟持搬送されていく過程において定着フ
ィルム10の電磁誘導発熱で加熱されて被記録材P上の
未定着トナー画像tが加熱定着される。被記録材Pは定
着ニップ部Nを通過すると定着フィルム10の外面から
分離して排出搬送されていく。被記録材P上の加熱定着
トナー画像tは定着ニップ部Nを通過後、冷却して永久
固着像となる。
【0093】フルカラー画像形成装置の定着装置100
の定着ニップ部Nの幅は、トナー載り量の多いフルカラ
ー画像の定着性を十分に確保するために、最短でも7.
0mm以上が好ましい。これ以下であると、未定着トナ
ーtと被記録材Pに定着に十分な熱量を与えることがで
きないため、定着不良が発生してしまう。また、OHP
フィルムのフルカラー画像の透過性を十分に確保するた
めに、さらに定着ニップ部Nの面圧は0.8kgf/c
2 以上が好ましい。これ以下であると、定着されたト
ナー層t表面を十分に平滑にすることができないため、
乱反射光が多くなり、OHPフィルム上の画像部の透過
光量が少なくなってしまう。
【0094】以上の観点から、本実施例の定着装置10
0では、加圧ローラ30と定着フィルム10を21kg
fで加圧させ、定着ニップ部Nの幅を約8.0mm、定
着ニップ部Nの面圧を1.2kgf/cm2 とした(定
着ニップ部Nの長手方向の長さは220mm)。
【0095】本実施例においては、図2に示すように、
定着フィルム10の発熱域H(図6)の対向位置に暴走
時の励磁コイル18への給電を遮断するため温度検知素
子であるサーモスイッチ50を配設している。
【0096】図7は本実施例で使用した安全回路の回路
図である。温度検知素子であるサーモスイッチ50は2
4VのDC電源とリレースイッチ51と直列に接続され
ており、サーモスイッチ50が切れると、リレースイッ
チ51への給電が遮断され、リレースイッチ51が動作
し、励磁回路27への給電が遮断されることにより励磁コ
イル18への給電を遮断する構成をとっている。サーモ
スイッチ50はOFF動作温度を220℃に設定した。
【0097】また、サーモスイッチ50は定着フィルム
10の発熱域Hに対向して定着フィルム10の外面に非
接触に配設した。サーモスイッチ50と定着フィルム1
0との間の距離は約2mmとした。これにより、定着フ
ィルム10にサーモスイッチ50の接触による傷が付く
ことがなく、耐久による定着画像の劣化を防止すること
ができる。
【0098】本実施例によれば、装置故障による定着装
置暴走時、前述の図11の装置のような定着ニップ部N
で発熱する構成とは違い、定着ニップ部Nに紙が挟まっ
た状態で定着装置が停止し、励磁コイル18に給電が続
けられ定着フィルム10が発熱し続けた場合でも、紙が
挟まっている定着ニップ部Nでは発熱していないために
紙が直接加熱されることがない。また、発熱量が多い発
熱域Hには、サーモスイッチ50が配設してあるため、
サーモスイッチ50が220℃を感知して、サーモスイ
ッチが切れた時点で、リレースイッチ51により励磁コ
イル18への給電が遮断される。
【0099】本実施例によれば、紙の発火温度は約40
0℃近辺であるため紙が発火することなく、定着フィル
ム10の発熱を停止することができる。
【0100】温度検知素子としてサーモスイッチのほか
に温度ヒューズを用いることもできる。
【0101】本実施例ではトナーtに低軟化物質を含有
させたトナーを使用したため、定着装置100にオフセ
ット防止のためのオイル塗布機構を設けていないが、低
軟化物質を含有させていないトナーを使用した場合には
オイル塗布機構を設けてもよい。また、低軟化物質を含
有させたトナーを使用した場合にもオイル塗布や冷却分
離を行ってもよい。
【0102】A)励磁コイル18 励磁コイル18はコイル(線輪)を構成させる導線(電
線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の
細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回
巻いて励磁コイルを形成している。本例では10ターン
巻いて励磁コイル18を形成している。
【0103】絶縁被覆は定着フィルム10の発熱による
熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いるのがよ
い。たとえば、アミドイミドやポリイミドなどの被覆を
用いるとよい。
【0104】励磁コイル18は外部から圧力を加えて密
集度を向上させてもよい。
【0105】励磁コイル18の形状は図2のように発熱
層の曲面に沿うようにしている。本例では定着フィルム
10の発熱層と励磁コイル18との間の距離は約2mm
になるように設定した。
【0106】励磁コイル保持部材19の材質としては絶
縁性に優れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェノ
ール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹
脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹
脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
【0107】磁性コア17a,17b,17c及び励磁
コイル18と、定着フィルム10の発熱層との間の距離
はできる限り近づけた方が磁束の吸収効率が高いのであ
るが、この距離が5mmを越えるとこの効率が著しく低
下するため5mm以内にするのがよい。また、5mm以
内であれば定着フィルム10の発熱層と励磁コイル18
の距離が一定である必要はない。
【0108】励磁コイル18の励磁コイル保持部材19
からの引出線すなわち18a・18b(図5)について
は、励磁コイル保持部材19から外の部分について束線
の外側に絶縁被覆を施している。
【0109】B)定着フィルム10 図8は本実施例における定着フィルム10の層構成模型
図である。
【0110】本実施例の定着フィルム10は、フィルム
内周面にセラミックス粒子が分散された金属で構成され
る潤滑性発熱層5を設けていることを特徴とする。この
潤滑性発熱層5の外周面に弾性層2と、さらにその外周
面に離型層1とを積層した複合構造の定着フィルム10
である。
【0111】この潤滑性発熱層5が電磁誘導発熱層とし
て機能すると共に、加熱部材としての円筒状の定着フィ
ルム10の内周面の潤滑性を向上させる。
【0112】潤滑性発熱層5と弾性層2との間の接着、
弾性層2と離型層1との間の接着のために、各層間にプ
ライマー層(不図示)を設けてもよい。
【0113】略円筒形状である定着フィルム10におい
て、潤滑性発熱層5がフィルムガイド接触面側であり、
離型層1が加圧ローラ接触面側である。前述したよう
に、発熱層の役割も兼ねる潤滑性発熱層5に交番磁束が
作用することで、潤滑性発熱層5に渦電流が発生して前
記潤滑性発熱層5が発熱する。この層で誘導発熱した熱
が弾性層2・離型層1を介して定着フィルム10全体を
加熱し、定着ニップ部Nに通紙される被記録材Pを加熱
してトナーt画像の加熱定着がなされる。
【0114】a.潤滑性発熱層5 潤滑性発熱層5を形成するマトリックス金属は、ニッケ
ル、鉄、強磁性SUS、ニッケル−コバルト合金といっ
た強磁性金属、もしくはアルミニウムといった非磁性金
属でも良い。
【0115】また、定着フィルム10の内周面の耐久性
向上に着目して、ニッケル−リンやニッケル−リン−ボ
ロン等の耐摩耗性の高い合金でも良い。
【0116】また、マトリックス金属にニッケルを用い
た場合、定着フィルム10の回転時に受ける繰り返しの
屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル中にマ
ンガンを添加するのも良い。
【0117】潤滑性発熱層5は潤滑層及び発熱層として
の作用を有しているため、マトリックス金属は非磁性金
属よりも高効率に電磁誘導発熱させる強磁性金属が好ま
しい。より好ましくは、電解めっきや無電解めっきによ
る作製が比較的容易なニッケルもしくはニッケル基合金
が好ましい。
【0118】潤滑性発熱層5は、これらの金属マトリッ
クス中にセラミックス粒子を分散させることで、電磁誘
導発熱だけでなく、定着フィルム10の内周面の潤滑性
向上の作用も有する。
【0119】よって、このセラミックス粒子は、摩擦係
数の低いものが良く、自己潤滑性の高いセラミックスが
好ましい。自己潤滑性の高いセラミックスとしては、結
晶構造が六方格子で層状構造をなす窒化ホウ素・グラフ
ァイト・二硫化モリブデンが良い。このうち電解めっき
で潤滑性発熱層5を作成する場合、電鋳内に分散させや
すいものである窒化ホウ素がより好ましい。
【0120】また、セラミックス粒子を分散させること
により、潤滑性発熱層5の耐摩耗性も向上させることが
できる。よって、定着フィルム内周面の摺動抵抗と金属
の摩耗による削れ粉を低減できるので、長期にわたり、
定着フィルム10と、良熱伝導部材40・フィルム支持
部材16との摺動抵抗を低減させることができる。
【0121】これらのセラミックス粒子の粒径は、0.
1〜10μmが好ましい。これより過大でも過小でも、
十分な潤滑性を得ることができない。また、これらの粒
子が分散される潤滑性発熱層5の層厚が10μmよりも
薄い場合、粒子の最大粒径はこの層厚を越えないのが好
ましい。粒径が層厚よりも大きいと、表面に粒子の凹凸
が発生し、定着ニップ部Nでの圧接により定着フィルム
10が変形してしまう恐れがある。
【0122】セラミックス粒子の含有量は必要に応じて
適宜設定することができるが、0.2〜20重量%が好
ましい。0.2重量%以下であると、分散させたセラミ
ックス粒子による潤滑性・耐摩耗性向上の効果があまり
認められない。また、セラミックス粒子の含有量が20
重量%を越えると、得られる複合めっき被膜が脆くな
り、可撓性が低下するだけでなく、発熱効率も低下して
定着能力が低下するため、好ましくない。
【0123】潤滑性発熱層5の厚みは、次の式で表され
る表皮深さより厚く、かつ200μm以下にすることが
好ましい。表皮深さσ[m]は、励磁回路の周波数f
[Hz]と透磁率μと固有抵抗ρ[Ωm]で σ=503×(ρ/fμ)1/2 と表される。
【0124】これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の
深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強
度は1/e以下になっていることを示す。逆に言うと、
殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図
9)。
【0125】潤滑性発熱層5の厚さは好ましくは1μm
以上100μm以下がよい。潤滑性発熱層5の厚みが1
μmよりも薄いと、ほとんどの電磁エネルギーが吸収し
きれないため効率が悪くなる。また、潤滑性発熱層5が
100μmを超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性
が悪くなり回転体として使用するには現実的ではない。
【0126】本発明の特徴である潤滑性発熱層5(窒化
ホウ素粒子分散ニッケル)は、電解めっき法により得ら
れた複合電鋳である。潤滑性発熱層5は、以下に述べる
ような条件で作製された。まず、スルファミン酸ニッケ
ル、シュウ化ニッケル、硼酸、窒化ホウ素粒子を配合し
た水溶液を準備し、活性炭を充填した容器と電解槽との
間を循環通液しながら電解精製を行ったのち、応力減少
剤、ピット防止剤を添加して電解浴を調整した。これら
の電解浴に適宜の光沢剤を加え、浴温、pH値を所定値
に保って攪拌を続けながら、回転するステンレス鋼製の
円筒状母型を陰極、ニッケルペレットを入れたチタン製
バスケットを陽極として、窒化ホウ素粒子を分散させた
厚さ約60μmの電析体を形成した。得られた潤滑性発
熱層5における窒化ホウ素粒子の含有量は5.5重量%
であった。
【0127】以上の構成の潤滑性発熱層5は、定着フィ
ルム10内周面の潤滑性を向上させ、定着フィルム10
と、良熱伝導部材40・フィルム支持部材16との摺動
抵抗を低減する役割を担う。よって、定着装置100の
駆動トルクを低減することができる。
【0128】b.弾性層2 弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシ
リコーンゴム等で、耐熱性、熱伝導率が良い材質が用い
られる。
【0129】弾性層2の厚さは10〜500μmが好ま
しい。この弾性層2は定着画像品質を保証するために必
要な厚さである。
【0130】カラー画像を印刷する場合、特に写真画像
などでは被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が
形成される。この場合、被記録材Pの凹凸あるいはトナ
ー層tの凹凸に加熱面(離型層1)が追従できないと加
熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像
に光沢ムラが発生する。伝熱量が多い部分は光沢度が高
く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低い。弾性層2の
厚さとしては、10μm以下では被記録材あるいはトナ
ー層の凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしま
う。また、弾性層2が1000μm以上の場合には弾性
層の熱抵抗が大きくなりクイックスタートを実現するの
が難しくなる。より好ましくは弾性層2の厚みは50〜
500μmが良い。
【0131】弾性層2は、硬度が高すぎると被記録材P
あるいはトナー層tの凹凸に追従しきれず画像光沢ムラ
が発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度としては6
0゜(JIS−A:JIS−K A型試験機)以下、よ
り好ましくは45゜以下がよい。 弾性層2の熱伝導率
λに関しては、6×10-4〜2×10-3[cal/cm・sec
・deg ]がよい。熱伝導率λが6×10-4[cal/cm・se
c ・deg ]よりも小さい場合には、熱抵抗が大きく、定
着フィルム10の表層(離型層1)における温度上昇が
遅くなる。熱伝導率λが2×10-3[cal/cm・sec ・de
g ]よりも大きい場合には、硬度が高くなりすぎたり、
圧縮永久歪みが悪化する。よって熱伝導率λは6×10
-4〜2×10-3[cal/cm・sec ・deg ]が良い。より好
ましくは8×10-4〜1.5×10-3[cal/cm・sec ・
deg ]が良い。
【0132】c.離型層1 離型層1はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリ
コーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、P
TFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択
することができる。
【0133】離型層1の厚さは1〜100μmが好まし
い。離型層1の厚さが1μmよりも小さいと塗膜の塗ム
ラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足すると
いった問題が発生する。また、離型層が100μmを超
えると熱伝導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂
系の離型層の場合は硬度が高くなりすぎ、弾性層2の効
果がなくなってしまう。
【0134】C)効 果 本実施例の定着フィルム10の構成は、離型層1として
PFA30μm、弾性層2としてシリコーンゴム300
μm、潤滑性発熱層5として、平均粒径約1μmの窒化
ホウ素粒子をニッケル内に5.5重量%分散させた複合
めっき60μmからなる。
【0135】本実施例で潤滑性発熱層5に分散させた粒
子の窒化ホウ素は、六方晶の結晶構造をもち、1000
℃以上の雰囲気でも窒化ホウ素単体で摩擦係数0.2程
度を維持する優れた潤滑性を示すものである。
【0136】比較例として用いた定着フィルム10の構
成は前述した従来例の図12の層構成のものである。即
ち、1はPFAからなる離型層、2はシリコーンゴムか
らなる弾性層、3はニッケルからなる発熱層である。比
較例の定着フィルム10の構成において、本実施例にお
ける定着フィルム10と異なる点は、本実施例のような
潤滑性発熱層5ではなく、単に電磁誘導発熱するニッケ
ルからなる発熱層3を設けていることで、それ以外の離
型層1、弾性層2については、材質、層厚ともに同一で
ある。比較例の定着フィルム10の発熱層3の層厚は、
本実施例の定着フィルム10の潤滑性発熱層5の層厚
(60μm)と同等になるように60μmに設定した。
これにより、各層1・2・3の層厚は比較例と本実施例
で同等であり、定着フィルム10全体の膜厚も同等とな
る。
【0137】本実施例の効果は、定着装置100の駆動
トルクとジャム発生率を評価することで確認した。
【0138】まず、本実施例と比較例の定着フィルム1
0を装着した各々の定着装置100をフルカラー画像形
成装置に組み込んで、通紙耐久を行った。
【0139】比較例の定着フィルム10では、そのまま
だと摺動抵抗が高く、安定した紙搬送が実現できなかっ
たため、潤滑剤として耐熱グリース約1gをフィルムガ
イド接触面側に塗布した。通紙速度は、1分間にA4サ
イズ紙が16枚通紙される速さで、通紙中の温調は定着
可能温度である190℃に設定した。
【0140】そして、A4サイズ紙を10万枚通紙する
前後での定着装置100の駆動トルクと、スリップ発生
率の変化を調べた。
【0141】駆動トルクについては、定着フィルム10
が駆動伝達手段である加圧ローラ30に従動回転する構
成であるので、駆動トルクは加圧ローラ30の軸トルク
を測定した。評価方法は、定着温調状態で空回転時の軸
トルクを10万枚通紙前と後で測定し比較することとし
た。
【0142】スリップについては、被記録材Pと加圧ロ
ーラ30間で発生するスリップの発生率を調べた。この
スリップの発生は、定着装置100に設けられた排紙セ
ンサー(不示図)は被記録材Pが所定時間内に定着装置
100から排紙されたかを検知するもので、その検知信
号をモニターすることで、スリップの発生回数を知るこ
とができる。評価方法は、10万枚通紙において、初期
0〜5000ページ間と、終盤95000〜10000
0ページ間におけるスリップ発生率を調べ、比較した。
【0143】これらの結果を、表1の実施例1及び比較
例の箇所に示す。
【0144】表1に示すように、比較例の定着フィルム
10では、10万枚の通紙耐久前後で、駆動トルクが
2.3kgf・cm増加した。これは、グリースのオイ
ル成分が揮発したことによるグリースの劣化と、摺動に
より発生したニッケル層の削れ粉により、グリースの潤
滑性が失われたためである。
【0145】また、耐久初期はスリップが発生すること
はなかったが、耐久終盤では、駆動トルク増加により、
スリップ発生率が増大した。
【0146】一方、本実施例では、耐久初期において、
潤滑剤の塗布無しに、比較例とほぼ同等の駆動トルクを
実現できる。
【0147】さらに、10万枚通紙後においても、駆動
トルクは+0.3kgf・cmの増加に抑えられてお
り、通紙初期の駆動トルクをほぼ維持していることが分
かる。スリップも耐久初期と終盤で発生することはなか
った。
【0148】このように、本実施例の定着フィルム10
により、終始安定した被記録材の搬送を実現することが
できる。
【0149】
【表1】
【0150】〈第2の実施例〉次に第2の実施例につい
て説明する。以下に述べる定着フィルム10の構成を除
き、定着装置・画像形成装置の構成は実施例1と同様で
あるので、これらについての説明は省略する。以下に、
本実施例の定着フィルムについて説明する。
【0151】1)定着フィルム10 本実施例の定着フィルム10も、実施例1の図8の定着
フィルム10と同様に、定着フィルム10の内周面に、
金属マトリックス中に粒子を分散させた層である潤滑性
発熱層5を設けた。実施例1と異なる点は、潤滑性発熱
層5の金属マトリックス中に分散させる粒子を合成樹脂
としたことである。
【0152】この合成樹脂に、実施例1で用いた自己潤
滑性のあるセラミックスよりも摩擦係数が小さいフッ素
樹脂を用いることで、さらに潤滑性発熱層5の潤滑性を
向上させることができる。
【0153】また、実施例1のセラミックスを分散させ
た場合よりも、潤滑性発熱層5の内周面の硬度を低くす
ることができる。
【0154】定着フィルム10の内周面と摺動する良熱
伝導体40・フィルム支持部材16の材質の硬度が潤滑
性発熱層5よりも低い場合に、その硬度差をより小さく
することができるので、良熱伝導部材40・フィルム支
持部材16の摩耗を低減することができる。ひいては、
摺動抵抗の低減につながる。
【0155】2)潤滑性発熱層5 潤滑性発熱層5を除き、離型層1、弾性層2は実施例1
と同様であるので、これらについての説明は省略する。
【0156】実施例1と同様に、潤滑性発熱層5を形成
するマトリックス金属は、ニッケル、鉄、強磁性SU
S、ニッケル−コバルト合金といった強磁性金属、もし
くはアルミニウムといった非磁性金属でも良い。また、
定着フィルム10の内周面の耐久性向上に着目して、ニ
ッケル−リンやニッケル−リン−ボロン等の耐摩耗性の
高い合金でも良い。また、マトリックス金属にニッケル
を用いた場合、定着フィルム10の回転時に受ける繰り
返しの屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル
中にマンガンを添加するのも良い。
【0157】潤滑性発熱層5は潤滑層及び発熱層として
の作用を有しているため、マトリックス金属は非磁性金
属よりも高効率に電磁誘導発熱させる強磁性金属が好ま
しい。より好ましくは、電解めっきや無電解めっきによ
る作製が比較的容易なニッケルもしくはニッケル基合金
が好ましい。
【0158】本実施例の潤滑性発熱層5は、上述のマト
リックス金属中にフッ素樹脂粒子を分散させたものであ
る。
【0159】このフッ素樹脂としては、例えば、PF
A、FEP、PTFE、ETFE、PCTFE、ECT
FE、PVDF、PVF等が挙げられる。
【0160】これらのフッ素樹脂粒子の粒径は、0.1
〜10μmが好ましい。これより過大でも過小でも、十
分な潤滑性を得ることができない。また、これらの粒子
が分散される潤滑性発熱層5の層厚が10μmよりも薄
い場合、粒子の最大粒径はこの層厚を越えないのが好ま
しい。粒径が層厚よりも大きいと、表面に粒子の凹凸が
発生し、定着ニップ部Nでの圧接により定着フィルム1
0が変形してしまう恐れがある。
【0161】フッ素樹脂粒子の含有量は必要に応じて適
宜設定することができるが、2〜40体積%が好まし
い。2体積%以下であると、分散させた粒子による潤滑
性向上の効果があまり認められない。また、粒子の含有
量が40体積%を越えると、得られる複合めっき被膜が
脆くなり、可撓性が低下するだけでなく、発熱効率が不
十分になる。
【0162】3)効 果 本実施例の定着フィルム10の構成は、離型層1として
PFA30μm、弾性層2としてシリコーンゴム300
μm、潤滑性発熱層5として、平均粒径約1μmのPT
FE粒子をニッケル内に27体積%分散させた複合めっ
き60μmからなる。
【0163】フッ素樹脂は、他の合成樹脂に比べて、非
常に摩擦係数が小さいため、潤滑性に富むものである。
これを金属マトリックス中に分散させた潤滑性発熱層5
を設けることで、定着フィルム10の内周面の潤滑性を
向上させる。
【0164】本実施例の定着フィルム10についても、
実施例1と同様な評価を行った。
【0165】実施例1での比較と同様に、比較例は図1
2に示すように、内周面がニッケルの発熱層3を有する
構成の定着フィルム10である。比較例の定着フィルム
10では、そのままだと摺動抵抗が高く、安定した紙搬
送が実現できなかったため、潤滑剤として耐熱グリース
約1gをフィルムガイド接触面側に塗布している。
【0166】本実施例の効果は、実施例1と同様に、A
4サイズ紙10万枚通紙耐久における定着装置の駆動ト
ルクとスリップ発生率を評価することで確認した。通紙
速度および通紙中の温調温度、また駆動トルクとスリッ
プ発生率の測定方法は、実施例1と同様である。
【0167】この結果を表1の実施例2の箇所に示す。
【0168】本実施例では、耐久初期において、潤滑剤
を塗布せずに、比較例とほぼ同等の駆動トルクを実現で
きる。
【0169】さらに、10万枚通紙後においても、駆動
トルクの増加が+0.2kgf・cmと、比較例の+
2.3kgf・cmに比べて軽微であり、通紙初期の駆
動トルクをほぼ維持していることが分かる。
【0170】また本実施例では、スリップも耐久初期と
終盤で発生することはなかったが、比較例では耐久終盤
においてスリップが131/5000の確率で発生し
た。
【0171】このように、本実施例の定着フィルム10
によって終始安定した被記録材の搬送を実現することが
できる。
【0172】〈第3の実施例〉(図10) 次に第3の実施例について説明する。以下に述べる定着
フィルム10を除き、定着装置・画像形成装置の構成は
実施例1と同様であるので、これらについての説明は省
略する。以下に本実施例の定着フィルム10の構成を説
明する。
【0173】1)定着フィルム10 図10は、本実施例の定着フィルム10の構成を示す横
断面概略図である。
【0174】本実施例の定着フィルム10は、定着フィ
ルム内周面に、単一金属もしくは合金マトリックス中に
セラミックス粒子を分散させた金属層4と、その外周面
に単一金属もしくは合金からなる金属層3を積層させた
ことを特徴とするものである。
【0175】ここでは、前者の金属層4を主に定着フィ
ルム10内周面の潤滑作用を有するので潤滑層、後者の
金属層3を電磁誘導発熱作用を有するので発熱層と呼
ぶ。
【0176】また潤滑層4も、分散粒子のマトリックス
に金属を用いているので、多少の発熱作用を有する。
【0177】本実施例の定着フィルム10は、発熱作用
部と潤滑作用部を分離しているため、分散粒子による電
磁誘導発熱作用の阻害を受け難い。そのため、潤滑層4
に分散される粒子の含有量の上限値を、実施例1と同2
で述べた潤滑性発熱層5よりも多くすることができる。
よって、発熱効率を犠牲にすることなく、定着フィルム
10の内周面の潤滑性をより高めることができる。
【0178】2)発熱層3 離型層1、弾性層2の材質及び層厚は、実施例1と同様
であるので、これらについての説明は省略する。
【0179】発熱層3はニッケル、鉄、強磁性SUS、
ニッケル−コバルト合金といった強磁性体の金属を用い
るとよい。非磁性の金属でも良いが、より好ましくは磁
束の吸収の良いニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバル
ト−ニッケル合金等の金属が良い。また、定着フィルム
10回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金属疲労
を防ぐために、ニッケル中にマンガンを添加するのも良
い。
【0180】その厚みは次の式で表される表皮深さより
厚くかつ200μm以下にすることが好ましい。表皮深
さσ[m]は、励磁回路の周波数f[Hz]と透磁率μ
と固有抵抗ρ[Ωm]で σ=503×(ρ/fμ)1/2 と表される。
【0181】これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の
深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強
度は1/e以下になっていることを示す。逆にいうと殆
どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図
9)。
【0182】発熱層3の厚さは好ましくは1μm以上が
よい。発熱層3の厚みが1μmよりも薄いと、ほとんど
の電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くな
る。また、発熱層3と潤滑層4の和が100μm以下に
なるように、発熱層3の層厚を設定するのが良い。発熱
層3と潤滑層4の和が100μmを超えると剛性が高く
なりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用する
には現実的ではない。
【0183】3)潤滑層4 潤滑層4を構成するマトリックスは金属であり、ニッケ
ル、鉄、強磁性SUS、ニッケル−コバルト合金といっ
た強磁性金属もしくは、アルミニウムといった非磁性金
属でも良い。また、定着フィルム10の耐久性向上に着
目して、ニッケル−リンやニッケル−リン−ボロン等の
耐摩耗性の高い合金でも良い。また、定着フィルム10
回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金属疲労を防
ぐために、ニッケル中にマンガンを添加するのも良い。
このような金属を用いることで、定着フィルム10の耐
久性が向上する。
【0184】マトリックスに金属を用いるので、潤滑層
4に発熱層としての作用も付加することができるが、強
磁性金属を用いた方が非磁性金属よりも高効率に電磁誘
導発熱させることができる。
【0185】よって、好ましくは、潤滑層4のマトリッ
クス金属は強磁性金属が良く、さらに好ましくは、電解
めっきや無電解めっきによる作製が比較的容易なニッケ
ルもしくはニッケル基合金が良い。
【0186】潤滑層4は、これらの金属マトリックス中
にセラミックス粒子を分散させて、フィルム内周面の潤
滑性向上をねらったものである。
【0187】このセラミックス粒子は、摩擦係数の低い
ものが良く、自己潤滑性の高いセラミックスが良い。自
己潤滑性の高いセラミックスとしては、結晶構造が六方
格子で層状構造をなす窒化ホウ素・グラファイト・二硫
化モリブデンが良い。このうち電解めっきで潤滑層4を
作成する場合、電鋳内に分散させやすいものである窒化
ホウ素がより好ましい。
【0188】また、セラミックス粒子を分散させること
により、潤滑層4の耐摩耗性も向上させることができ
る。
【0189】よって、定着フィルム10の内周面の摺動
抵抗と金属の摩耗による削れ粉を低減できるので、長期
にわたり定着フィルム10と良熱伝導部材40・フィル
ム支持部材16の摺動抵抗を低減させることができるこ
れらのセラミックス粒子の粒径は、0.1〜10μmが
好ましい。これより過大でも過小でも、十分な潤滑性を
得ることができない。また、これらの粒子が分散される
潤滑層4の層厚が10μmよりも薄い場合、粒子の最大
粒径はこの層厚を越えないのが好ましい。粒径が層厚よ
りも大きいと、表面に粒子の凹凸が発生し、定着ニップ
部Nでの圧接により定着フィルム10が変形してしまう
恐れがある。
【0190】セラミックス粒子の含有量は必要に応じて
適宜設定することができるが、0.2〜30重量%が好
ましい。0.2重量%以下であると、分散させたセラミ
ックス粒子による潤滑性・耐摩耗性向上の効果があまり
認められない。また、セラミックス粒子の含有量が30
重量%を越えると、得られる複合めっき被膜が脆くな
り、可撓性が低下するため、好ましくない。
【0191】本実施例の定着フィルム10は、発熱作用
部と潤滑作用部を分離しているため、分散されたセラミ
ックス粒子による電磁誘導発熱作用の阻害が、実施例1
で述べた潤滑性発熱層5の場合よりも小さい。
【0192】そのため、本実施例の潤滑層4のセラミッ
ク粒子含有量の上限値は、実施例1で述べた潤滑性発熱
層5における値(20重量%)よりも多く設定できる。
【0193】以上に述べた潤滑層4は、電解めっき法に
より得られた複合電鋳である。実施例1と同様なめっき
条件により、作製した。
【0194】4)効 果 本実施例の定着フィルム10は、離型層1としてPFA
30μm、弾性層2としてシリコーンゴム300μm、
発熱層3としてニッケル45μm、潤滑層4として平均
粒径1μmの窒化ホウ素粒子をニッケル内に分散させた
複合めっき15μmからなる構成である。
【0195】本実施例の定着フィルム10の内周面であ
る潤滑層4は、実施例1の定着フィルム10の内周面の
潤滑性発熱層5と同様の構成である。この潤滑層4は、
定着フィルム10の内周面の潤滑性を向上させ、定着フ
ィルム10の回転時の摺動抵抗を低減し、定着装置の駆
動トルクを低減することができる。
【0196】よって、本実施例の定着フィルム10にお
いても、実施例1と同様に、終始安定した被記録材の搬
送を実現できる。
【0197】〈第4の実施例〉次に第4の実施例につい
て説明する。以下に述べる定着フィルム10を除き、定
着装置・画像形成装置の構成は実施例1と同様であるの
で、これらについての説明は省略する。以下に、本実施
例の定着フィルム10について説明する。
【0198】1)定着フィルム10 本実施例の定着フィルム10も、実施例3と同様に、定
着フィルム10の内周面に潤滑作用を有する潤滑層4を
設け、その外周面に発熱層3を積層させたことを特徴と
するものである。
【0199】実施例3と異なる点は、潤滑層4に分散さ
せる粒子を合成樹脂としたことである。
【0200】この合成樹脂に、実施例3で用いた自己潤
滑性のあるセラミックスよりも摩擦係数が小さいフッ素
樹脂を用いることで、さらに潤滑層4の潤滑性を向上さ
せることができる。
【0201】また、実施例3のセラミックス粒子を分散
させた場合よりも、潤滑層4の内周面の硬度を低くする
ことができる。例えば、定着フィルム10の内周面と摺
動する良熱伝導部材40・フィルム支持部材16の材質
の硬度が潤滑層4よりも低い場合に、その硬度差をより
小さくすることができるので、良熱伝導部材40・フィ
ルム支持部材16の摩耗を低減することができる。ひい
ては、摺動抵抗の低減につながる。
【0202】2)潤滑層4 潤滑層4を除き、離型層1、弾性層2、発熱層3につい
ては実施例3と同様であるので、これらについての説明
は省略する。
【0203】フッ素樹脂は、他の合成樹脂に比べて、非
常に摩擦係数が小さいため、潤滑性に富むものである。
これを金属マトリックス中に分散させた潤滑層4を設け
ることで、定着フィルム10の内周面の潤滑性を向上さ
せる。
【0204】実施例3と同様に、潤滑層4を構成するマ
トリックス金属としては、ニッケル、鉄、強磁性SU
S、ニッケル−コバルト合金といった強磁性金属、もし
くはアルミニウムといった非磁性金属でも良い。また、
定着フィルム10の耐久性向上に着目して、ニッケル−
リンやニッケル−リン−ボロン等の耐摩耗性の高い合金
でも良い。また、定着フィルム10回転時に受ける繰り
返しの屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル
中にマンガンを添加するのも良い。このような金属を用
いることで、定着フィルム10の耐久性が向上する。
【0205】マトリックスに金属を用いるので、潤滑層
4に発熱層としての作用も付加することができるが、強
磁性金属を用いた方が非磁性金属よりも高効率に電磁誘
導発熱させることができる。
【0206】よって、好ましくは、潤滑層4のマトリッ
クス金属は強磁性金属が良く、さらに好ましくは、電解
めっきや無電解めっきによる作製が比較的容易なニッケ
ルもしくはニッケル基合金が良い。
【0207】本実施例の潤滑層4は、上述のマトリック
ス金属中にフッ素樹脂を分散させたものである。
【0208】このフッ素樹脂としては、例えば、PF
A、FEP、PTFE、ETFE、PCTFE、ECT
FE、PVDF、PVF等が挙げられる。
【0209】これらのフッ素樹脂粒子の粒径は、0.1
〜10μmが好ましい。これより過大でも過小でも、十
分な潤滑性を得ることができない。また、これらの粒子
が分散される潤滑層4の層厚が分散される潤滑層4の層
厚が10μmよりも薄い場合、粒子の最大粒径はこの層
厚を越えないのが好ましい。粒径が層厚よりも大きい
と、表面に粒子の凹凸が発生し、定着ニップ部Nでの圧
接により定着フィルム10が変形してしまう恐れがあ
る。
【0210】フッ素樹脂粒子の含有量は必要に応じて適
宜設定することができるが、2〜50体積%が好まし
い。2体積%以下であると、分散させた粒子による潤滑
性向上の効果があまり認められない。また、粒子の含有
量が50体積%を越えると、得られる複合めっき被膜が
脆くなり、可撓性が低下するため、好ましくない。
【0211】本実施例の定着フィルム10は、発熱作用
部と潤滑作用部を分離しているため、分散されたフッ素
樹脂粒子による電磁誘導発熱作用の阻害が、実施例1で
述べた潤滑性発熱層5の場合よりも小さい。
【0212】そのため、本実施例の潤滑層4のフッ素樹
脂粒子含有量の上限値は、実施例1で述べた潤滑性発熱
層5における値(40体積%)よりも多く設定できる。
【0213】3)効 果 本実施例の定着フィルム10は、離型層1としてPFA
30μm、弾性層2としてシリコーンゴム300μm、
発熱層3としてニッケル45μm、潤滑層4として平均
粒径1μmのPTFE粒子をニッケル内に分散させた複
合めっき15μmからなる構成とした。
【0214】本実施例の定着フィルム10の内周面であ
る潤滑層4は、実施例2の定着フィルム10内周面の潤
滑性発熱層5と同様の構成である。この潤滑層4は、定
着フィルム10の内周面の潤滑性を向上させ、定着フィ
ルム10の回転時の摺動抵抗を低減し、定着装置の駆動
トルクを低減することができる。
【0215】よって、本実施例の定着フィルム10にお
いても、実施例1と同様に、終始安定した被記録材の搬
送を実現できる。
【0216】〈その他〉 1)潤滑性発熱層5または潤滑層4は金属マトリックス
中にセラミックス粒子と合成樹脂粒子の両者の混合物を
分散させて構成することもできる。
【0217】2)定着ニップ部Nにおける良熱伝導部材
40の下面と定着フィルム10の内周面との相互摺動摩
擦力を低減化させるために定着ニップ部Nの良熱伝導部
材40の下面と定着フィルム10の内周面との間に耐熱
性グリスなどの潤滑剤を介在させる、あるいは良熱伝導
性部材40の下面を潤滑部材で被覆することもできる。
これは、良熱伝導部材40としてアルミニウムを用いた
場合のように表面の滑り性が材質的によくない或いは仕
上げ加工を簡素化した場合に、摺動する定着フィルム1
0に傷をつけて定着フィルム10の耐久性が悪化してし
まうことを防ぐものである。
【0218】以上述べてきた全ての実施例において、上
記の潤滑剤塗布や潤滑部材によって、さらに駆動トルク
低減と長寿命化を図ることができる。
【0219】3)また、各実施例における定着装置は、
加熱部材としてのエンドレスベルト状の定着フィルムを
複数の部材間に懸回張設して駆動手段で回転させる構
成、ロール巻きにした有端の長尺の定着フィルムを繰り
出して走行させる構成などにすることもできる。
【0220】4)定着フィルム10は、モノクロあるい
は1パスマルチカラー画像などの加熱定着用の場合は弾
性層2を省略した形態のものとすることもできる。また
離型層1も省略した形態のものとすることもできる。他
の所望の機能層を追加した層構成のものとすることもで
きる。
【0221】5)加圧部材30はローラに限らず、回動
ベルト型など他の形態の部材にすることもできる。
【0222】また加圧部材30側からも被記録材に熱エ
ネルギーを供給するために、加圧部材30側にも電磁誘
導加熱などの発熱手段を設けて所定の温度に加熱・温調
する装置構成にすることもできる。
【0223】6)本発明の加熱装置は実施例の画像加熱
定着装置としてに限らず、画像を担持した被記録材を加
熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着す
る像加熱装置、その他の被加熱材を乾燥やラミネート等
の熱処理する装置などとして広く活用できる。
【0224】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、一
方の面が支持部材と摺動し他方の面が被加熱部材と接し
て被加熱部材を加熱する、金属層を有する加熱部材、お
よび該加熱部材を有する加熱装置において、加熱部材の
支持部材と摺動する面にセラミック粒子もしくは合成樹
脂の少なくとも一方を金属マトリックス中に分散させた
金属層を設けたことで、加熱部材の支持部材との摺動面
の摺動抵抗を低減し、さらに通紙耐久による摺動抵抗の
増加を抑制することが出来る。
【0225】よって、被加熱部材のスリップを防止でき
るので、安定した被加熱部材の搬送を確保することがで
き、画像加熱定着装置にあっては、高品位な画像と安定
した被記録材の搬送を提供することが可能となる。
【0226】さらに、加熱装置の駆動モータとして、駆
動トルクのより小さなものを使用することができるの
で、製品コストの低減につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施例における画像形成装置の概略構
成模型図
【図2】 定着装置の要部の横断側面模型図
【図3】 同じく要部の正面模型図
【図4】 同じく要部の縦断模型図
【図5】 内部に励磁コイルと磁性コアを配設支持させ
た右側のフィルムガイド部材の斜視模型図
【図6】 磁場発生手段と発熱量の関係を示した図
【図7】 安全回路図
【図8】 加熱部材としての電磁誘導発熱性定着フィル
ムの層構成模型図
【図9】 発熱層深さと電磁波強度の関係を示したグラ
【図10】 第3の実施例における加熱部材としての電
磁誘導発熱性定着フィルムの層構成模型図
【図11】 電磁誘導発熱方式の加熱装置(画像加熱定
着装置)の一例の概略構成模型図
【図12】 加熱部材としての電磁誘導発熱性定着フィ
ルムの層構成模型図
【符号の説明】
1…離型層、2…弾性層、3…発熱層、4…潤滑層、5
…潤滑性発熱層、10…定着フィルム、16…フィルム
支持部材、17…励磁コア、18…励磁コイル、22…
加圧用剛性ステイ、23…フランジ部材、25…加圧バ
ネ、26…温度センサ、27…励磁回路、30…加圧ロ
ーラ、40…良熱伝導部材、50…サーモスイッチ、5
1…リレースイッチ、100…定着装置、101…感光
ドラム、102…帯電装置、103…レーザー光、10
4…現像器、105…中間転写ドラム、106…転写ロ
ーラ、107…クリーナ、C…交番磁束、H…発熱位
置、M…駆動手段、N…定着ニップ部、P…被記録材、
t…トナー、T1…一次転写部、T2…二次転写部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 早川 辰郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 竹内 昭彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H033 AA23 BA11 BA57 BE03 3K059 AB00 AB19 AB27 AB28 AC07 AC33 AD07 AD15 AD34 AD35 CD44

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の面が支持部材と摺動し他方の面が被
    加熱部材と接して被加熱部材を加熱する加熱部材であっ
    て、支持部材と摺動する面にセラミックス粒子もしくは
    合成樹脂粒子の少なくとも一方を金属マトリックス中に
    分散させた金属層を設けたことを特徴とする加熱部材。
  2. 【請求項2】一方の面が支持部材と摺動し他方の面が被
    加熱部材と接して被加熱部材を加熱する加熱部材であっ
    て、支持部材と摺動する面にセラミックス粒子もしくは
    合成樹脂粒子の少なくとも一方を金属マトリックス中に
    分散させた金属層を設け、さらにこの層の支持部材側と
    は反対面側に単一金属もしくは合金で構成される金属層
    を積層させたことを特徴とする加熱部材。
  3. 【請求項3】前記金属マトリックス中に分散されたセラ
    ミックス粒子は窒化ホウ素もしくグラファイトもしくは
    二硫化モリブデンのうちの少なくとも1種類からなり、
    その粒径は0.1〜10μmであることを特徴とする請
    求項1に記載の加熱部材。
  4. 【請求項4】前記金属マトリックス中に分散されたセラ
    ミックス粒子は窒化ホウ素もしくグラファイトもしくは
    二硫化モリブデンのうちの少なくとも1種類からなり、
    その粒径は0.1〜10μmであることを特徴とする請
    求項2に記載の加熱部材。
  5. 【請求項5】前記金属マトリックス中に前記セラミック
    ス粒子が分散されている金属層において、セラミックス
    粒子の全ての含有量が0.2〜20重量%であることを
    特徴とする請求項1または3に記載の加熱部材。
  6. 【請求項6】前記金属マトリックス中に前記セラミック
    ス粒子が分散されている金属層において、セラミックス
    粒子の全ての含有量が0.2〜30重量%であることを
    特徴とする請求項2または4に記載の加熱部材。
  7. 【請求項7】前記金属マトリックス中に分散された合成
    樹脂粒子はフッ素樹脂からなり、その粒径は0.1〜1
    0μmであることを特徴とする請求項1に記載の加熱部
    材。
  8. 【請求項8】前記金属マトリックス中に分散された合成
    樹脂粒子はフッ素樹脂からなり、その粒径は0.1〜1
    0μmであることを特徴とする請求項2に記載の加熱部
    材。
  9. 【請求項9】前記合成樹脂粒子が分散されている金属層
    において、合成樹脂粒子の全ての含有量が2〜40体積
    %であることを特徴とする請求項1または7に記載の加
    熱部材。
  10. 【請求項10】前記合成樹脂粒子が分散されている金属
    層において、合成樹脂粒子の全ての含有量が2〜50体
    積%であることを特徴とする請求項2または8に記載の
    加熱部材。
  11. 【請求項11】前記粒子が分散されている金属マトリッ
    クスは、ニッケルもしくはニッケル基合金であることを
    特徴とする請求項1から10の何れかに記載の加熱部
    材。
  12. 【請求項12】交番磁場の作用により電磁誘導発熱する
    層を有することを特徴とする請求項1から11の何れか
    に記載の加熱部材。
  13. 【請求項13】被加熱部材側の表面に離型層を有するこ
    とを特徴とする請求項1から12の何れかに記載の加熱
    部材。
  14. 【請求項14】回転体であることを特徴とする請求項1
    から13の何れかに記載の加熱部材。
  15. 【請求項15】エンドレスフィルム状の回転体であるこ
    とを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の加熱
    部材。
  16. 【請求項16】被加熱部材を加熱する加熱部材として請
    求項1から15の何れかに記載の加熱部材を有すること
    を特徴とする加熱装置。
  17. 【請求項17】一方の面が支持部材と摺動し他方の面が
    被加熱部材と接する加熱部材を有し、該加熱部材で被加
    熱部材を加熱する加熱装置において、加熱部材が請求項
    1から15の何れかに記載の加熱部材であることを特徴
    とする加熱装置。
  18. 【請求項18】一方の面が支持部材と摺動し他方の面が
    被加熱部材と接する加熱部材と、該加熱部材を介して支
    持部材に圧接してニップを形成する加圧部材と、を有
    し、前記ニップ部の加熱部材と加圧部材の間で被加熱部
    材を挟持搬送して加熱部材で被加熱部材を加熱する加熱
    装置において、加熱部材が請求項1から15の何れかに
    記載の加熱部材であることを特徴とする加熱装置。
  19. 【請求項19】前記加熱部材は、前記加圧部材もしくは
    加熱部材外周面に圧接する圧接部材と加熱部材との表面
    の摩擦によって、加圧部材もしくは圧接部材に従動して
    駆動されることを特徴とする請求項18に記載の加熱装
    置。
  20. 【請求項20】前記被加熱部材が未定着トナー像を担持
    した被記録材であり、加熱部材の熱により未定着トナー
    像が被記録材に熱定着されることを特徴とする請求項1
    6から19の何れかに記載の加熱装置。
  21. 【請求項21】交番磁場を作用させて前記加熱部材を電
    磁誘導発熱させる手段を有することを特徴とする請求項
    16から20の何れかに記載の加熱装置。
  22. 【請求項22】被記録材に未定着トナー像を形成する画
    像形成手段と、その未定着トナー像を被記録材に熱定着
    させる加熱定着手段を有する画像形成装置において、加
    熱定着手段が請求項16から21の何れかに記載の加熱
    装置であることを特徴とする画像形成装置。
  23. 【請求項23】前記画像形成装置は、カラー画像形成が
    可能であることを特徴とする請求項22に記載の画像形
    成装置。
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