JP2001068261A - 加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

加熱装置および画像形成装置

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JP2001068261A
JP2001068261A JP23688999A JP23688999A JP2001068261A JP 2001068261 A JP2001068261 A JP 2001068261A JP 23688999 A JP23688999 A JP 23688999A JP 23688999 A JP23688999 A JP 23688999A JP 2001068261 A JP2001068261 A JP 2001068261A
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heating
fixing
good heat
heating device
fixing film
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JP23688999A
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Masahiro Suzuki
雅博 鈴木
Tokuyoshi Abe
篤義 阿部
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁誘導加熱方式の加熱装置において、小サ
イズ紙通紙時における定着フィルムの非通紙部の昇温を
抑制し、加熱装置における駆動トルクの低減および被記
録材の搬送の安定化を図る。 【解決手段】 上記方式の加熱装置において、ニップ部
において被加熱材を加熱するための加熱部材を介してこ
の加熱部材と圧接する加圧部材に対向する位置に、良熱
伝導部材およびこの良熱伝導部材と加熱部材との間に、
六方晶系低圧相の窒化ホウ素またはグラファイトを含有
する潤滑層とを設けることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導により発
生される渦電流を利用して加熱する加熱装置および前記
加熱装置を具備した画像形成装置に関する。前記加熱装
置は、特に電子写真複写機、プリンタ、ファックス等の
画像形成装置に具備される定着装置、即ち電子写真・静
電記録・磁気記録などの適宜の画像形成プロセスによ
り、加熱溶融性の樹脂等からなるトナーを用いて、被記
録材の面に直接もしくは間接方式により形成した未定着
トナー像を、被記録材表面に永久固着画像として加熱定
着処理する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】画像形成装置において、適宜の画像形成
プロセスにおいて被記録材に間接あるいは直接に形成担
持された未定着トナー画像を、被記録材面に永久固着画
像として加熱定着させる定着装置として、熱ローラ方式
の装置が広く用いられている。このような定着装置とし
て、近年では、クイックスタートや省エネルギーの観点
からフィルム加熱方式の装置が実用化されているが、さ
らに高効率な定着装置として金属からなるフィルム自身
を発熱させる電磁誘導加熱方式の装置が提案されてい
る。
【0003】実開昭51−109739号公報には、交
番磁場により定着フィルムの金属層に渦電流を誘導さ
せ、そのジュール熱で定着フィルムを発熱させる誘導加
熱定着装置が開示されている。これは、定着フィルムに
おける誘導電流の発生を利用することで、定着フィルム
を直接発熱させるものである。このため、ハロゲンラン
プを熱源とする熱ローラ方式の定着装置よりも、入力電
力を有効に利用することができ、低消費電力でウォーム
アップタイムの短縮を可能としている。
【0004】しかしながら、交番磁場を発生させる手段
としての励磁コイルにより発生した交番磁束のエネルギ
ーは、定着フィルム全体の昇温に使われるため放熱損失
が大きい。そのため、投入されるエネルギーに対して定
着に作用するエネルギーの割合が低く、効率が悪いとい
う欠点があった。
【0005】そこで、定着に作用するエネルギーを高効
率で得るために、発熱体である定着フィルムに励磁コイ
ルを接近させたり、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニ
ップ部近傍に集中させることによる高効率の定着装置が
考案された。
【0006】図11に、励磁コイルの交番磁束分布を定
着ニップ部に集中させることによりエネルギー効率を向
上させた電磁誘導加熱方式の定着装置の一例の概略構成
を示す。図11において、10は電磁誘導発熱層を有す
る回転体としての円筒状の定着フィルムである。16は
断面形状が略半円弧状の樋型のフィルムガイドであり、
耐熱性を有する合成樹脂等で構成される。円筒状の定着
フィルム10はこのフィルムガイド16の外側にルーズ
に外嵌されている。
【0007】15はフィルムガイド16の内側に配設さ
れた磁場発生手段であり、励磁コイル18とE字型の磁
性コア(芯材)17とからなる。30は弾性加圧ローラ
である。この加圧ローラ30およびフィルムガイド16
によって定着フィルム10を挟み、加圧ローラ30から
フィルムガイド16に対して所定の圧接力をかけること
により、フィルムガイド16と加圧ローラ30とが所定
幅の定着ニップ部Nを形成して相互圧接している。前記
磁場発生手段15の磁性コア17は、定着ニップ部Nが
形成された位置に対応させて配設してある。
【0008】加圧ローラ30は駆動手段Mにより、図中
矢印aで示されるように反時計方向に回転駆動される。
この加圧ローラ30の回転駆動により、前記加圧ローラ
30と定着フィルム10の外面との間で摩擦力が発生
し、定着フィルム10に回転力が作用する。そして、定
着フィルム10はその内面を定着ニップ部Nにおいてフ
ィルムガイド16の下面に密着して摺動させながら、加
圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもって、
矢印bで示される時計方向にフィルムガイド16の外周
を回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0009】フィルムガイド16の役目は、定着ニップ
部Nへの加圧、磁場発生手段15としての励磁コイル1
8と磁性コア17の支持、定着フィルム10の支持、定
着フィルム10の回転時の搬送安定性を図ることであ
る。このフィルムガイド16には、磁束の通過を妨げな
い絶縁性を有し、且つ高い荷重に耐えられる材料が用い
られる。
【0010】励磁コイル18は、不図示の励磁回路から
供給される交番電流によって交番磁束を発生する。E字
型の磁性コア17が定着ニップ部Nの位置に対応して設
けられているため、交番磁束は定着ニップ部Nに集中的
に分布し、その交番磁束は定着ニップ部Nにおいて定着
フィルム10の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させる。
この渦電流は電磁誘導発熱層の固有抵抗によって電磁誘
導発熱層にジュール熱を発生させる。この定着フィルム
10の電磁誘導発熱は交番磁束を集中的に分布させた定
着ニップ部Nにおいて集中的に生じるため、定着ニップ
部Nが高効率に加熱される。
【0011】定着ニップ部Nの温度は、温度検知手段を
含む温調制御系(不図示)により、励磁コイル18への
電流供給が制御されることで、所定の温度が維持される
ように調節される。
【0012】このように、加圧ローラ30が回転駆動さ
れ、それに伴って円筒状の定着フィルム10がフィルム
ガイド16の外周を回転し、励磁回路からの励磁コイル
18への給電により定着フィルム10の電磁誘導発熱が
なされることにより定着ニップ部Nが所定の温度まで上
昇する。そして、温度調節がなされた状態において、未
定着トナー画像形成手段(不図示)から搬送された、未
定着トナー画像tが形成された被記録材Pは、画像面が
上向きに、即ち定着フィルム面に対向するように、定着
ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間
に導入される。被記録材Pは、定着ニップ部Nにおいて
画像面が定着フィルム10の外面に密着し、定着ニップ
部Nを定着フィルム10と共に挟持搬送される。定着フ
ィルム10と共に被記録材Pが挟持搬送される過程にお
いて定着フィルム10は定着ニップ部Nで加熱され、被
記録材P上の未定着トナー画像tが加熱定着されること
により、永久固着画像t’が形成される。被記録材Pは
定着ニップ部Nを通過後、定着フィルム10の外周面か
ら離れて搬送されていく。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べたような、
定着フィルム10が発熱する電磁誘導方式の加熱装置に
おいては、定着フィルム10の熱容量が小さく、厚さが
薄いために、フィルム長手方向(図11中紙面に垂直な
方向)における熱伝導率が低い。このため、定着フィル
ム10よりも幅の狭い被記録材Pを加熱装置に通紙した
場合、被記録材Pが通過しない部分(非通紙部)の熱が
被記録材Pに奪われず、定着フィルム10の非通紙部の
温度が上昇してしまう。例えば、封筒のような小サイズ
紙をプリントし、次にA4サイズ紙をプリントする場
合、小サイズ紙を通紙した後の定着フィルム10の非通
紙部の温度がトナーの高温オフセット発生温度以上に達
してしまい(いわゆる非通紙部昇温)、A4サイズ紙上
のトナーが定着フィルム10にオフセットしてしまうた
め、良好な定着画像を得ることができない。このため、
単位時間あたりに通紙する小サイズ紙の枚数を大幅に低
減する必要があった。
【0014】この非通紙部昇温を低減するために、特開
平11−143272号公報では、図12に示すよう
に、定着ニップ部Nにおいて、定着フィルム10が加圧
部材30と対向する位置に、良熱伝導部材40を配置す
る手段が提案されている。このような構成をとること
で、定着フィルム10の非通紙部の熱量が良熱伝導部材
40へ伝熱し、良熱伝導部材40における長手方向の熱
伝導により、小サイズ紙通紙部へ伝熱される。このた
め、小サイズ紙通紙時の定着フィルム10の非通紙部の
昇温が抑制され、高温オフセット発生温度まで昇温しな
いので、小サイズ紙の搬送速度を低下させなくて済む。
【0015】ここで、良熱伝導部材40としては、熱伝
導率kがk≧70[W・m-1・K-1]である材料で用い
られ、例えば、アルミニウム、ニッケル、窒化アルミニ
ウム、炭化珪素、真鍮、銅、亜鉛等が挙げられる。しか
しながら、これらの良熱伝導部材40は潤滑性に乏しい
ため、定着フィルム10内面と良熱伝導部材40表面と
の間の摺動性が悪い。このため、定着装置の駆動トルク
が重く、駆動モータが脱調したり、駆動モータをトルク
アップする必要があるため、製品コストが上昇してしま
う。また、従来の技術で述べた図12に示すような加圧
ローラ駆動方式の定着装置においては、定着フィルム1
0の良熱伝導部材40に対する摺動性が悪いと、定着フ
ィルム10と駆動伝達手段である加圧ローラ30との間
でスリップが発生し、安定して被記録材Pを搬送するこ
とが難しいという問題があった。特に、トナー像tを載
せた被記録材Pの通紙時にスリップが発生すると、過剰
な熱供給とスリップによりトナー像tが乱され、画像上
にスリップ跡が発生したり、定着装置での被記録材Pの
排紙タイミングが遅れて、うまく排紙できずに紙詰まり
が発生しやすいといった問題があった。
【0016】この問題に対し、特開平11−14327
2号公報では、良熱伝導部材40と定着フィルム10と
の滑り性を良くするために、良熱伝導部材40の定着フ
ィルム10との接触面に摺動部材をコートあるいは貼り
付けても良いとしているが、この摺動部材の材質につい
ては特に述べられていない。摺動部材に適した潤滑性の
良い材料としては、低摩擦係数を有するフッ素樹脂等の
合成樹脂が挙げられる。しかしながら、合成樹脂は熱伝
導率が悪いため、定着フィルム10から良熱伝導部材4
0への熱伝導率が低下し、非通紙部昇温抑制効果が低減
してしまう問題があった。
【0017】そこで本発明は、入力電力を有効に利用す
ることによって低消費電力でウォームアップタイムの短
縮を可能とする電磁誘導加熱方式の加熱装置において、
小サイズ紙通紙時における定着フィルムの非通紙部の昇
温を抑制すると同時に、前記加熱装置における駆動トル
クの低減および被記録材の搬送の安定化を図ることを課
題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は加熱装置および画像形成装置を以下の構
成とした。 (1)交番磁場を発生する磁場発生手段と、前記磁場発
生手段により発生された交番磁場により電磁誘導発熱す
ることによりシート状の被加熱材を加熱するための加熱
部材と、前記加熱部材と共に圧接することにより、前記
被加熱材を狭持するためのニップ部を形成する加圧部材
と、前記ニップ部において前記加熱部材を介して前記加
圧部材と対向する位置に配置された良熱伝導部材と、前
記良熱伝導部材と前記加熱部材との間に、六方晶系低圧
相の窒化ホウ素またはグラファイトを含有する潤滑層と
を有し、前記加熱部材は、前記被加熱材を所定方向に狭
持搬送するために、前記ニップ部において前記被加熱部
材の狭持搬送方向の順方向に回転または走行搬送される
加熱装置。 (2)前記良熱伝導部材の熱伝導率が70W・m-1・K
-1以上である(l)の加熱装置。 (3)前記潤滑層の層厚が5〜200μmである(1)
または(2)の加熱装置。 (4)前記良熱伝導部材および前記潤滑層は前記磁場発
生手段によって発熱しない(1)〜(3)のいずれかの
加熱装置。 (5)前記良熱伝導部材または前記潤滑層は非磁性であ
る(4)の加熱装置。 (6)前記良熱伝導部材は非磁性金属を含有する(5)
の加熱装置。 (7)前記潤滑層は非磁性金属をさらに含有する(5)
の加熱装置。 (8)前記良熱伝導部材または前記潤滑層は、前記磁場
発生手段によって発生された磁場の外に配設される
(1)〜(7)のいずれかの加熱装置。 (9)前記加熱部材は回転体であり、この加熱部材の回
転により前記被加熱材が搬送されることを特徴とする
(1)〜(8)のいずれかの加熱装置。 (10)前記加熱部材は円筒状の回転体である(9)の
加熱装置。 (11)前記加熱部材はエンドレスベルトである(9)
の加熱装置。 (12)前記加圧部材は前記ニップ部において回転また
は走行搬送され、前記加熱部材は前記加圧部材との間の
表面摩擦力により前記加圧部材に連動して回転または走
行搬送される(1)〜(11)のいずれかの加熱装置。 (13)被記録材に未定着トナー像を形成する画像形成
手段と、その未定着トナー像を被記録材に圧熱定着させ
る加熱定着手段とを有する画像形成装置であって、前記
加熱定着手段は(1)〜(12)のいずれかの加熱装置
である画像形成装置。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の
実施の形態を説明する。
【0020】(1)画像形成装置 まず、本発明の加熱装置が用いられる画像形成装置につ
いて説明する。図10は本発明の画像形成装置の一例で
あるカラーレーザプリンタの構造を示す縦断面図であ
る。101は有機感光体やアモルファスシリコン感光体
でできた感光ドラム(像担持体)であり、矢印Aで示さ
れる反時計方向に所定のプロセス速度(周速度)で回転
駆動される。感光ドラム101は、その回転過程で帯電
ローラ等の帯電装置102により、所定の極性で一様な
電位に帯電されるよう帯電処理がなされる。
【0021】次いで、感光ドラム101は帯電処理面に
レーザ光学箱(レーザスキャナ)110から出力される
レーザ光103により、目的の画像情報の走査露光処理
を受ける。レーザ光学箱110は、不図示の画像読み取
り装置等の画像信号発生装置から送られた目的画像情報
の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/
オフ)したレーザ光103を出力する。感光ドラム10
1の帯電処理面には、この走査露光により、目的画像情
報に対応した静電潜像が形成される。なお、109はレ
ーザ光学箱110からの出力レーザ光103を感光ドラ
ムl0lの露光位置に偏向させるミラーである。このよ
うにして感光ドラム101上に形成された静電潜像は、
4色のカラー現像器104によって現像される。
【0022】フルカラー画像形成装置の場合は、目的の
フルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロ
ー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、そ
の潜像は4色のカラー現像器104のうちのイエロー現
像器104Yが作動することによりイエロートナー画像
として現像される。そのイエロートナー画像は、感光ド
ラム101と中間転写ドラム105との接触部(或いは
近接部)である1次転写部T1において中間転写ドラム
105の表面に転写される。中間転写ドラム105表面
へのイエロートナー画像転写後の感光ドラム101表面
は、クリーナ107により転写残トナー等の付着残留物
が除去されて清掃される。
【0023】上記のような帯電・走査露光・現像・一次
転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画
像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、
マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画
像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作
動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現
像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順
次実行され、中間転写ドラム105表面上にイエロート
ナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒
トナー画像の4色のトナー画像が順次重ねて転写され、
目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が形
成される。
【0024】中間転写ドラム105は、金属ドラム上に
中抵抗の弾性層と高抵抗の表層とを設けてなる。この中
間転写ドラム105は、感光ドラム101に接触して或
いは近接して感光ドラム101とほぼ同じ周速度で矢印
Bで示される時計方向に回転駆動される。そして、金属
ドラムにバイアス電位が与えられることにより、中間転
写ドラム105と感光ドラム101との間に電位差が生
じ、この電位差により、感光ドラム101側のトナー画
像が前記中間転写ドラム105表面に転写される。
【0025】上記のように中間転写ドラム105表面に
形成されたカラートナー画像は、前記中間転写ドラム1
05と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転
写部T2において、前記二次転写部T2に不図示の給紙
部から所定のタイミングで送り込まれた被記録材Pの表
面に転写されていく。転写ローラ106は、被記録材P
の背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間
転写ドラム105側から被記録材P側へ合成カラートナ
ー画像を順次に一括転写する。なお、本発明において
は、図10の画像形成装置において、定着装置100を
除く構成を画像形成手段としている。
【0026】二次転写部T2を通過した被記録材Pは中
間転写ドラム105から分離されて加熱装置(定着装
置)100へ導入されて未定着トナー画像の加熱定着処
理がなされ、機外の不図示の排紙トレーに排出される。
定着装置100については後で詳述する。
【0027】被記録材Pに対するカラートナー画像転写
後の中間転写ドラム105はクリーナ108により転写
残トナー・紙粉等の付着残留物が除去される。このクリ
ーナ108は、通常は中間転写ドラム105に非接触状
態に保持されており、中間転写ドラム105から被記録
材Pへのカラートナー画像の二次転写実行過程において
のみ、中間転写ドラム105に接触状態に保持される。
【0028】また、転写ローラ106も、通常は中間転
写ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転
写ドラム105から被記録材Pへのカラートナー画像の
二次転写実行過程においてのみ、被記録材Pを介して中
間転写ドラム105に接触状態に保持される。
【0029】なお、本発明の画像形成装置は、白黒画像
などのモノカラー両像のプリントモードも実行できる。
また両面画像プリントモードも実行できる。本発明の画
像形成装置において両面画像プリントモードを用いる場
合には、定着装置100から排出された1面目の画像プ
リント済みの被記録材Pが不図示の再循環搬送機構を介
して表裏反転され、再び二次転写部T2へ送り込まれて
2面目へのトナー画像転写を受け、再度定着装置100
に導入されて2面目に対するトナー画像の定着処理を受
ける。このようにして両面画像プリントが行われる。
【0030】(2)定着装置(加熱装置) 次に、上述した画像形成装置に用いられる本発明の加熱
装置としての定着装置について説明する。
【0031】〈第1実施形態〉まず、本発明の第1実施
形態による定着装置の構成を説明する。
【0032】本発明の第1実施形態における定着装置1
00は電磁誘導加熱方式の装置である。図1〜図4は本
実施形態の定着装置100の要部の構成を示す図であ
り、それぞれ、図1は図9および図10と同方向におけ
る縦断面図、図2は図1のA方向から見た概略正面図、
図3は図1のII−II線に沿った断面図、および図4は図
1のI−I線に沿った断面を示す斜視図である。以下、各
図を用いて本実施形態の定着装置を説明する。なお、各
図において、図11の装置と共通の構成部材・部分には
同一の符号が付されている。
【0033】加熱装置としての定着装置100は、円筒
状の定着フィルムを用いた、加圧ローラ駆動方式且つ電
磁誘導加熱方式の装置である。本実施形態における定着
装置は、(i)交番磁場を発生する磁場発生手段と、(i
i)磁場発生手段により発生された交番磁場により電磁
誘導発熱することによりシート状の被加熱材である被記
録材を加熱するための加熱部材と、(iii)加熱部材と
共に圧接することにより、被記録材を狭持するためのニ
ップ部を形成する加圧部材と、(iv)ニップ部において
加熱部材を介して加圧部材と対向する位置に配置された
良熱伝導部材と、(v)良熱伝導部材と前記加熱部材と
の間に、六方晶系低圧相の窒化ホウ素またはグラファイ
トを含有する潤滑層とを有する。そして、上記加熱部材
は、被記録材を所定方向に狭持搬送するために、ニップ
部において被記録材の狭持搬送方向の順方向に回転また
は走行搬送される。
【0034】図1において、フィルムガイド16aおよ
び16bは断面略半円弧状樋型の形状を有しており、開
口側を互いに向かい合わせて略円柱体を構成する。この
フィルムガイド10の外周面側には、円筒状の定着フィ
ルム10がルーズに外嵌されている。
【0035】磁場発生手段は磁性コア17a、17b、
17c、励磁コイル18a、18bおよび励磁回路27
(図4および図6参照)より構成される。
【0036】磁性コア17a、17b、17cはフィル
ムガイド16aの内側にT字状に配置されている。励磁
コイル18aは磁性コア17a、17cおよびフィルム
ガイド16aによって囲まれた空間に保持されており、
励磁コイル18bは磁性コア17a、17bおよびフィ
ルムガイド16aによって囲まれた空間に保持されてい
る。
【0037】磁性コア17a・17b・17cは高透磁
率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったト
ランスのコアに用いられる材料が好ましく、100kH
z以上でも磁性の損失の少ないフェライトがより好まし
く用いられる。
【0038】励磁コイル18は、図4に示すように給電
部18aおよび18bを有しており、これら給電部18
a、18bによって励磁回路27に接続されている。こ
の励磁回路27は20kHzから500kHzの高周波
をスイッチング電源で発生する。励磁コイル18は励磁
回路27から供給される交番電流(高周波電流)によっ
て交番磁場を発生する。
【0039】加圧部材としての弾性加圧ローラ30はフ
ィルムガイド16に対して所定の圧接力により圧接され
ている。これにより、定着フィルム10は加圧ローラ3
0とフィルムガイド16により挟まれた状態となり、定
着フィルム10と加圧ローラ30との圧接部には所定幅
の定着ニップ部Nが形成される。
【0040】フィルムガイド16は、定着ニップ部Nへ
の加圧、磁場発生手段15としての励磁コイル18と磁
性コア17の支持、定着フィルム10の支持、定着フィ
ルム10の回転時の搬送安定性を図る。このフィルムガ
イド16には、磁束の通過を妨げない絶縁性を有し、且
つ高い荷重に耐えられる材料が用いられる。
【0041】また、フィルムガイド16aには、図1に
示すように紙面垂直方向を長手方向とする良熱伝導部材
40が定着ニップ部Nの加圧ローラ30との対向面側
で、定着フィルム10の内側に配設されている。すなわ
ち、この良熱伝導部材40は、ニップ部Nにおいて、定
着フィルム10を介して前記加圧ローラ30と対向する
位置に配置されている。この良熱電導性部材40は、定
着ニップ部Nにおいて、加圧ローラ30の加圧力に対し
て、定着フィルム10をその内周面から支持する部材で
ある。良熱伝導部材40は磁場発生手段を構成する励磁
コイル18と磁性コア17a・17b・17cとから発
生する磁場の影響を受けないように、この磁場の外に配
設されている。具体的には、良熱伝導部材40を励磁コ
イル18に対して磁性コア17cを隔てた位置に配設
し、励磁コイル18による磁路の外側に位置させること
により、良熱伝導部材40に影響を与えないようにして
いる。
【0042】良熱伝導部材40は長手方向における温度
分布を均一にする効果がある。例えば、この定着装置1
00に小サイズ紙が通紙された場合、定着フィルム10
での非通紙部の熱量が良熱伝導部材40へ伝熱し、良熱
伝導部材40における長手方向の熱伝導により、非通紙
部の熱量が小サイズ紙通紙部へ伝熱される。これによ
り、小サイズ紙通紙時の消費電力を低減させる効果も得
られる。この良熱伝導部材40についての詳細は後述す
る。
【0043】上記良熱伝導部材40と定着フィルム10
との間には、さらに潤滑層41が載置されている。この
潤滑層41に関しても詳細は後述する。
【0044】フィルムガイド16bの内面平面部には断
面形状がコの字型の加圧用剛性ステイ22が当接されて
いる。また、この加圧用剛性ステイ22と各磁性コア1
7との間には、これら両者を絶縁するための絶縁部材1
9が設けられている。
【0045】また、フランジ部材23a・23b(図2
参照)はフィルムガイド16a・16bのアセンブリの
図2中左右両端部に外嵌し、この左右位置を固定しつつ
回転自在に取り付けられている。このフランジ部材23
は、定着フィルム10の回転時に前記定着フィルム10
の端部を受けて定着フィルム10のフィルムガイド16
の回転方向に沿った寄り移動を規制する。
【0046】加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金
30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被
覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂な
どの耐熱性弾性材層30bとで構成されている。この加
圧ローラ30は、芯金30aの両端部が定着装置の不図
示のシャーシ側板金間に回転自由に軸受け保持されるこ
とにより配設される。
【0047】図2において、加圧用剛性ステイ22の両
端部と図示せぬ装置シャーシ側のバネ受け部材29a・
29bとの間にそれぞれ加圧バネ25a・25bを縮設
することにより、加圧用剛性ステイ22に押し下げ力が
作用される。これによりフィルムガイド16aの下面と
加圧ローラ30の上面とが定着フィルム10を挟んで圧
接し、所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0048】加圧ローラ30は駆動手段Mにより、図中
矢印aで示されるように反時計方向に回転駆動される。
この加圧ローラ30の回転駆動により、加圧ローラ30
と定着フィルム10の外面との間で摩擦力が発生し、定
着フィルム10に回転力が作用する。そして、定着フィ
ルム10はその内面を定着ニップ部Nにおいてフィルム
ガイド16の下面に密着して摺動させながら、加圧ロー
ラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもって、矢印b
で示される時計方向にフィルムガイド16の外周を回転
する。すなわち、加圧ローラ30はニップ部Nにおいて
回転され、定着フィルム10は加圧ローラ30との表面
摩擦力により、この加圧ローラ30に連動して回転され
るのである。
【0049】図4に示すように、フィルムガイド16a
の周面には、複数の凸リブ部16eがその長手方向に所
定の間隔を置いて形成されている。これにより、フィル
ムガイド16aの周面と定着フィルム10の内面との接
触摺動抵抗を低減させて定着フィルム10の回転負荷を
少なくすることができる。このような凸リブ部はフィル
ムガイド16bにも同様に形成されている。
【0050】図5は、磁場発生手段によって発生される
交番磁場の様子を模式的に表したものである。磁束Cは
発生した磁場の交番磁束の一部を表す。磁性コア17a
・17b・17cに導かれた交番磁束Cは、磁性コア1
7aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと
磁性コア17cとの間において定着フィルム10の発熱
層10aに渦電流を発生させる。この渦電流は、発熱層
10aの固有抵抗によってこの発熱層10aにジュール
熱(渦電流損)を発生させる。ここでの発熱量Qは発熱
層10aを通る磁束の密度によって決まり、図5のグラ
フのような分布を示す。なお、図5中のグラフは、縦軸
が磁性コア17aの中心を0とした角度θで表した定着
フィルム10における円周方向の位置を示し、横軸が定
着フィルム10の発熱層10aでの発熱量Qを示す。こ
こで、発熱域Hは最大発熱量をQとした場合、発熱量が
Q/e以上の領域と定義する(eは自然対数の底であ
る)。これは、定着に必要な発熱量が得られる領域であ
る。
【0051】この定着ニップ部Nの温度は、不図示の温
度検知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する
電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるよ
うに制御される。温度センサ26は定着フィルム10の
温度を検知するサーミスタなどの温度センサであり、本
実施形態においては温度センサ26で測定した定着フィ
ルム10の温度情報をもとに定着ニップ部Nの温度が制
御される。
【0052】以上のように、定着フィルム10が回転
し、励磁コイル18が励磁回路27によって給電される
ことにより定着フィルム10の電磁誘導発熱がなされて
定着ニップ部Nが所定の温度まで上昇されて所定温度に
制御された状態で、画像形成手段から搬送された未定着
トナー画像tが形成された被記録材P(被加熱材に対
応)が、定着ニップ部Nにおける定着フィルム10と加
圧ローラ30との間に、画像面が上向き、即ち定着フィ
ルム面に対向するように導入される。そして、定着ニッ
プ部Nにおいて画像面が定着フィルム10の外面に密着
した状態で、被記録材Pが定着フィルム10と共に定着
ニップ部Nを挟持搬送される。この被記録材Pが定着ニ
ップ部Nを挟持搬送されていく過程において、定着フィ
ルム10が上記電磁誘導発熱により加熱されることによ
り、被記録材P上の未定着トナー画像tが加熱定着され
る。被記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると定着フィ
ルム10の外面から分離して排出搬送されていく。被記
録材P上の加熱定着トナー画像t’は定着ニップ部Nを
通過後、冷却されて永久固着像となる。
【0053】フルカラー画像形成装置の定着装置100
の定着ニップ部Nの幅は、7.0mm以上であれば、ト
ナー載り量の多いフルカラー画像の定着性を十分に確保
することができ、好ましい。定着ニップ部Nの値が上記
範囲よりも小さすぎると、未定着トナー画像tと被記録
材Pに定着に十分な熱量を与えることができないため、
この未定着トナー画像の定着不良が発生してしまう。
【0054】また、定着ニップ部Nの面圧は0.8kg
f/cm2以上であれば、被記録材PとしてOHPフィ
ルムを用いた場合にフルカラー画像の光透過性を十分に
確保することができ、好ましい。定着ニップ部Nの面圧
が上記範囲よりも小さすぎると、定着されたトナー画像
t’の表面を十分に平滑にすることができないため、乱
反射光が多くなり、OHPフィルム上の画像部の透過光
量が少なくなってしまう。本実施形態においては、図1
に示すように、定着フィルム10の発熱域H(図5参
照)の対向位置に、暴走時の励磁コイル18への給電を
遮断するための温度検知素子であるサーモスイッチ50
が配設されている。
【0055】図6は本実施形態で使用される安全回路の
回路図である。温度検知素子であるサーモスイッチ50
は、24VのDC電源およびリレースイッチ51に直列
に接続されており、サーモスイッチ50が切れると、リ
レースイッチ51への給電が遮断される。すると、リレ
ースイッチ51が動作し、励磁回路27への給電が遮断
されることにより励磁コイル18への給電が遮断され
る。サーモスイッチ50のOFF動作温度は、例えば2
20℃に設定されている。
【0056】また、サーモスイッチ50は定着フィルム
10の発熱域Hに対向して定着フィルム10の外面に非
接触に配設されている。サーモスイッチ50と定着フィ
ルム10との間の距離は、例えば2mmとすることがで
きる。このため、定着フィルム10にサーモスイッチ5
0の接触による傷が付くことがなく、耐久的な使用によ
る定着画像の劣化を防止することができる。
【0057】本実施形態によれば、装置故障による定着
装置暴走時に、図11に示す従来技術のような定着ニッ
プ部Nで発熱する構成とは異なり、定着ニップ部Nに紙
が挟まった状態で定着装置が停止し、励磁コイル18に
給電が続けられることにより定着フィルム10が発熱し
続けた場合でも、紙が挟まっている定着ニップ部Nでは
発熱していないために紙が直接加熱されることがない。
また、発熱量が多い発熱域Hに、サーモスイッチ50が
配設されている。このため、サーモスイッチ50が22
0℃以上の温度を感知するとこのサーモスイッチが切
れ、この時点でリレースイッチ51により励磁コイル1
8への給電が遮断される。通常、被記録材Pとして用い
られる紙の発火温度は約400℃近辺であるため、本実
施形態のように220℃以上で定着フィルム10の発熱
を停止することができれば、紙が発火することもない。
【0058】なお、本発明に用いられる温度検知素子と
しては、サーモスイッチのほかに温度ヒューズを用いる
こともできる。
【0059】また、本実施形態ではトナーtに低軟化物
質を含有させたトナーを好適に使用できるため、定着装
置100にオフセット防止のためのオイル塗布機構が設
けられていないが、低軟化物質を含有させていないトナ
ーを使用した場合にはオイル塗布機構を設けてもよい。
また、低軟化物質を含有させたトナーを使用した場合に
もオイル塗布や冷却分離を行ってもよい。
【0060】以下、上述した本発明の定着装置(加熱装
置)に用いられる各部材について詳細に説明する。
【0061】A)励磁コイル18 本発明における磁場発生手段を構成する励磁コイル18
は、コイル(線輪)を構成させる導線(電線)として、
一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本
束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて励磁コ
イルを形成している。本実施形態では、例えば、上記束
線を10ターン巻いて励磁コイル18を形成している。
【0062】絶縁被覆を行う被覆材は、定着フィルム1
0の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有するものを
用いることが好ましい。例えば、アミドイミドやポリイ
ミドなどからなる被覆材を用いるとよい。また、励磁コ
イル18は外部から圧力を加えて密集度を向上させても
よい。
【0063】励磁コイル18の形状は、図1のように定
着フィルム10の曲面に沿うよう形成されている。本実
施形態では、定着フィルム10と励磁コイル18との間
の距離は、例えば約2mmになるように設定することが
できる。
【0064】絶縁部材19の材質としては絶縁性に優
れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェノール樹
脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂
(PEEK)、ポリエーテルスルフォン樹脂(PE
S)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、パ
ーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフル
オロエチレン樹脂(PTFE)、フッ化エチレンプロピ
レン樹脂(FEP)、液晶ポリマー樹脂(LCP)など
を選択するとよい。
【0065】磁性コア17a、17b、17c及び励磁
コイル18と、定着フィルム10の発熱層との間の距離
は、できる限り近付けた方が定着フィルム10による磁
束の吸収効率が高くなる。この距離は5mm以下であれ
ば、定着フィルムが高効率に磁束を吸収することができ
るため、好ましい。この距離が上記範囲よりも大きすぎ
る場合には、磁束の吸収効率が著しく低下してしまうた
め、好ましくない。また、定着フィルム10の発熱層1
0aと励磁コイル18との間の距離が5mm以内であれ
ば、この距離は一定である必要はない。
【0066】なお、図4において、励磁コイル18から
引き出されている給電部18a・18bは、束線の外側
に絶縁被覆が施されている。
【0067】B)定着フィルム10 図7は、本発明における加熱部材としての定着フィルム
10の層構成模型図である。本実施形態における定着フ
ィルム10は、電磁誘導発熱性の定着フィルム10の基
層となる金属フィルム等でできた発熱層10aと、その
外面に積層された弾性層10bと、その外面に積層され
た離型層10cからなる複合構造を有している。発熱層
10aと弾性層10bとの間の接着、および弾性層10
bと離型層10cとの間の接着のために、各層間にプラ
イマー層(不図示)を設けてもよい。なお、図7におい
て、略円筒形状である定着フィルム10の発熱層10a
が内面側であり、離型層10cが外面側である。
【0068】前述したように、発熱層10aに交番磁束
が作用することにより前記発熱層10aに渦電流が発生
して前記発熱層10aが発熱する。その熱が弾性層10
b・離型層10cに伝達されるために定着フィルム10
全体が加熱され、前記定着ニップ部Nに通紙される被加
熱材としての被記録材Pを加熱してトナー画像の加熱定
着がなされる。
【0069】a)発熱層10a 発熱層10aとしては、強磁性および非磁性の金属を用
いることができるが、強磁性の金属が好ましく用いられ
る。このような強磁性金属としては、ニッケル、鉄、S
USなどの強磁性ステンレス、ニッケル−コバルト合金
といった強磁性体の金属が好ましく用いられる。また、
定着フィルム10の回転時に発熱層10aが受ける繰り
返しの屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル
中にマンガンを添加した材料を用いるのも良い。
【0070】発熱層10aの厚さは次式で表される表皮
深さσ[m]より厚く、かつ200μm以下にすること
が好ましい。発熱層10aの厚さをこの範囲とすれば、
発熱層10aが電磁波を効率よく吸収することができる
ため、効率よく発熱することができる。
【0071】
【数1】σ=503×(ρ/fμ)1/2 ここで、fは励磁回路の周波数[Hz]、μは透磁率、
ρは発熱層10aの固有抵抗[Ωm]である。
【0072】この表皮深さσは、電磁誘導で使われる電
磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところで
は電磁波の強度は1/e以下になっている。逆にいう
と、殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている
(図8参照)。
【0073】発熱層10aの厚さはより好ましくは1〜
100μmである。発熱層10aの厚みが上記範囲より
も薄すぎる場合には、ほとんどの電磁エネルギーが吸収
しきれないため発熱の効率が悪くなる。また、発熱層1
0aの厚さが上記範囲よりも大きすぎる場合には、発熱
層10aの剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が悪くなる
ため回転体として使用するには現実的でなくなる。
【0074】b)弾性層10b 弾性層10bは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオ
ロシリコーンゴム等の、耐熱性、熱伝導率が良い材質が
好ましく用いられる。
【0075】弾性層10bの厚さは、定着トナー画像の
品質を保証するためには、10〜500μmであること
が好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像
などでは、被記録材P上に大きな面積に渡ってベタ画像
が形成される。この場合、被記録材Pの凹凸あるいはト
ナー画像tの凹凸に離型層10cが追従できないと加熱
ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に
光沢ムラが発生する。すなわち、伝熱量が多い部分は光
沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くな
る。弾性層10bの厚さが上記範囲よりも小さすぎる場
合には、上記離型層10cが被記録材Pあるいはトナー
層(トナー画像t)の凹凸に追従しきれず、画像光沢ム
ラが発生してしまう。また、弾性層10bの厚さが上記
範囲よりも大きすぎる場合には、弾性層10bの熱抵抗
が大きくなりすぎ、クイックスタートを実現するのが難
しくなる。この弾性層10bの厚さは、より好ましくは
50〜500μmである。
【0076】弾性層10bは、硬度が高すぎると被記録
材Pあるいはトナー層tの凹凸に追従しきれず画像光沢
ムラが発生してしまう。そこで、弾性層10bの硬度は
60°(JIS−A)以下、より好ましくは45°(J
IS−A)以下である。
【0077】弾性層10bの熱伝導率λは、6×10-4
〜2×10-3=[cal/cm・sec・deg]であ
ることが好ましい。熱伝導率λが上記範囲よりも小さす
ぎる場合には、熱抵抗が大きくすぎ、定着フイルム10
の表層(離型層10c)における温度上昇が遅くなる。
また、熱伝導率λが上記範囲よりも大きすぎる場合に
は、弾性層10bの硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久
歪みが発生しやすくなる。この熱伝導率λは、より好ま
しくは8×10-4〜1.5×10-3[cal/cm・s
ec・deg]である。
【0078】c)離型層10c 離型層10cとしては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、
フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴ
ム、PFA、PTFE、FEP等の、離型性かつ耐熱性
のよい材料を用いることができる。
【0079】離型層10cの厚さは1〜100μmが好
ましい。離型層10cの厚さが上記範囲よりも小さすぎ
る場合には、塗布によりこの離型層10cを形成する場
合に、塗膜の塗りムラが生じ、離型性の悪い部分ができ
たり、耐久性が不足するといった問題が発生する。ま
た、離型層10cの厚さが上記範囲よりも大きすぎる
と、熱伝導性が悪化するという問題が発生する。特に離
型層10cに樹脂系の材質を用いた場合は硬度が高くな
りすぎて弾性層10bの効果がなくなってしまう。
【0080】C)良熱伝導性部材40 図9は、図1の定着装置100において、定着ニップ部
N付近を拡大した模式的縦断面図である。本発明の加熱
装置としての定着装置は、ニップ部Nにおいて加熱部材
である定着フィルム10を介して加圧部材である加圧ロ
ーラ30と対向する位置に配置された良熱伝導部材40
と、この良熱伝導部材40と定着フィルム10との間に
形成された六方晶系低圧相の窒化ホウ素またはグラファ
イトを含有する潤滑層41を有することを特徴とする。
本実施形態では、良熱伝導部材40にセラミックスを用
い、潤滑層41として六方晶系低圧相の窒化ホウ素粒子
を合成樹脂層に分散させてなる層を用いる。
【0081】まず、良熱伝導部材40について説明す
る。潤滑層41を設けた良熱伝導性部材40は、通紙方
向(図9の紙面に平行な方向)における長さが10m
m、通紙方向に直交する長手方向(図9の紙面に垂直な
方向)における長さが230mmの板状形状をなす。こ
の良熱伝導部材40の通紙方向における長さは、定着ニ
ップ部Nの長さよりもやや大きく設定されている。ま
た、良熱伝導部材40の長手方向における長さは、本装
置で通紙可能な最大通紙幅を有するLTRサイズ紙の幅
よりもやや広く設定されている。
【0082】良熱伝導部材40の厚さは適宜設定するこ
とができるが、厚いほど、熱容量が大きくなり、定着装
置100のクイックスタート性が低減する。
【0083】良熱伝導部材40としては、熱伝導率kが
k≧70[W・m-1・K-1]である材料を好ましく用い
ることができる。熱伝導率がk≧70[W・m-1
-1]であれば、小サイズ紙が通紙されたときの定着フ
ィルム10の非通紙部での熱量が、潤滑層41を通じて
良熱伝導部材40へ伝熱し、良熱伝導部材40における
長手方向への熱伝導により、小サイズ紙通紙部へ伝熱さ
れる。このため、小サイズ紙通紙時の定着フィルム10
の非通紙部の昇温が抑制され、この部分が高温オフセッ
ト発生温度まで昇温しないので、小サイズ紙の搬送速度
を低下させなくてもよい。
【0084】良熱伝導部材40に定着フィルム10の非
通紙部での優れた昇温抑制効果を付与するためには、こ
の良熱伝導部材40を非磁性材料で構成することが好ま
しい。良熱伝導部材40に磁性材料を用いた場合、小サ
イズ紙が定着ニップ部Nを通過した際に、定着フィルム
10による加熱と同様に、励磁コイル18からの交番磁
場により良熱伝導部材40が電磁誘導発熱して、上記非
通紙部において良熱伝導部材40が昇温してしまうの
で、非通紙部における昇温抑制効果が低減してしまう。
そのため、良熱伝導部材40が電磁誘導発熱しないよう
にすることが好ましい。 上記のような観点から、良熱
伝導部材40を磁性材料で構成する場合には、図1に示
すように、この良熱伝導部材は励磁コイル18から発生
した磁場の外に配設されるのが良い。この方法として、
具体的には、良熱伝導部材40を励磁コイル18に対し
て磁性コア17を隔てた位置に配設し、励磁コイル18
からの磁束C(図5参照)の外側に位置させるとよい。
【0085】また、非磁性の導電部材を良熱伝導部材4
0に用いた場合は、磁場に対するシールド効果により、
良熱伝導部材40は発熱しない。この非磁性材料で構成
された良熱伝導部材40は、図8に示した電磁波の吸収
深さよりも厚く設定すると良い。また、非磁性材料とし
て、セラミックス等の絶縁部材を用いても良い。このよ
うな非磁性材料を用いた場合における良熱伝導部材40
の配置は、図1の構成に拘わらず、磁路C内でも良い。
【0086】本実施形態では、k≧70[W・m-1・K
-1]であり、非磁性の材料としては、具体的には、アル
ミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素等が挙げられ
る。
【0087】また、潤滑層41の良熱伝導部材40への
密着性を高めるために、良熱伝導部材40の潤滑層41
が形成される面をブラスト処理してもよい。良熱伝導部
材40が金属の場合は、リン酸塩処理・シュウ酸塩処理
・アルマイト処理等の化成処理を行っても良い。本実施
形態では、良熱伝導部材40に上記セラミックスを用い
たので、表面をブラスト後、エアースプレー等で潤滑層
41となる塗膜が均一になるように塗布した後、熱処理
をして合成樹脂を硬化させている。
【0088】D)潤滑層41 上述したように、本実施形態においては、潤滑層41と
して六方晶系低圧相の窒化ホウ素粒子を合成樹脂層に分
散させてなる層を用いている。
【0089】窒化ホウ素の結晶構造には、六方晶系グラ
ファイト型構造に類似した低圧相のもの(h−BN)、
立方晶系閃亜鉛鉱型構造(c−BN)、および六方晶系
ウルツ鉱型(w−BN)が挙げられる。本発明における
潤滑層は、上記各構造の窒化ホウ素のうち、六方晶系グ
ラファイト型構造に類似した低圧相の窒化ホウ素(以
下、これを「六方晶低圧相の窒化ホウ素」と表記する)
を含有することを特徴とする。
【0090】上記六方晶低圧相の窒化ホウ素の結晶は層
状の構造を有する。六方晶低圧相の窒化ホウ素は、層に
対し垂直方向に僻開性を持つ物質であるため、摩擦係数
は400℃近くまで約0.2以下を維持し、潤滑性に富
む。また、上記六方晶低圧相の窒化ホウ素の、層に平行
な方向の熱伝導率は60〜70[W・m-1・K-1]であ
り、熱伝導性に優れている。本発明の特徴は、このよう
な良潤滑性かつ高熱伝導性である六方晶窒化ホウ素を潤
滑層41に含有させることにある。このような潤滑層4
1を良熱伝導部材40と定着フィルム10との間に設け
ることにより、定着装置に良熱伝導部材40を用いた場
合にも定着フィルム10と潤滑層41との間には良好な
摺動性が保たれるため、加熱部材30の駆動トルクの増
大の防止および被記録材の搬送の安定化を図ることがで
きる。また、潤滑層41は高熱伝導性を有するため、定
着フィルム10で発生された熱を迅速に良熱伝導部材4
0に伝達することができ、定着フィルムの非通紙部昇温
を効果的に防止することができる。
【0091】特に、合成樹脂中に分散された六方晶低圧
相の窒化ホウ素からなる粒子は、固体潤滑剤として潤滑
層41の潤滑性を向上させるだけでなく、熱伝導フィラ
ーとして潤滑層41の熱伝導率を向上させる効果をも有
する。
【0092】六方晶低圧相の窒化ホウ素粒子の粒径は、
潤滑層41に十分な潤滑性を付与するためには0.1〜
10μmであることが好ましい。また、これらの粒子が
分散される潤滑層41の層厚が10μmよりも薄い場
合、粒子の最大粒径はこの層厚を越えないのが好まし
い。粒径が層厚よりも大きいと、潤滑層41の表面に粒
子による凹凸が発生し、定着ニップ部Nでの圧接により
定着フィルム10が変形してしまう恐れがある。
【0093】六方晶低圧相の窒化ホウ素粒子の潤滑層4
1中の含有量は必要に応じて適宜設定することができる
が、潤滑層41全体の10〜80体積%であることが好
ましい。この含有量が上記範囲よりも少なすぎる場合に
は、分散させた六方晶低圧相の窒化ホウ素粒子による潤
滑性向上の効果があまり認められないだけでなく、熱伝
導性向上の効果もあまり認められないため、好ましくな
い。また、含有量が上記範囲よりも多すぎると、潤滑層
41が脆くなるため、好ましくない。
【0094】潤滑層41は、良熱伝導部材40と同様
に、非通紙昇温抑制効果を十分に発揮するためには、磁
場発生手段によって発熱しないことが好ましい。このた
め、潤滑層41も励磁コイル18が発生する磁場の外に
設けられることが好ましい。
【0095】また、潤滑層41を発熱させないために
は、六方晶低圧相の窒化ホウ素粒子を分散させるマトリ
ックスは、非磁性材料であることが好ましい。本実施形
態では、このマトリックスに非磁性の合成樹脂を用いて
いる。この合成樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹
脂等の200℃程度以上の耐熱性および耐摩耗性のある
合成樹脂であることが好ましい。より好ましくは、さら
に潤滑性のあるフッ素樹脂である。本発明においては、
上記樹脂を単独で、また2種類以上を混合させて用いる
ことができる。
【0096】潤滑層41の厚さは、5〜200μmであ
ることが好ましい。潤滑層41の厚さが上記範囲よりも
薄すぎると、潤滑層41に十分な潤滑効果を付与するこ
とができない場合がある。また、厚さが上記範囲よりも
厚すぎると、良熱伝導部材40への熱伝達が遅くなり、
非通紙部の昇温抑制効果を十分に発揮することができな
い。
【0097】本発明における潤滑層は、上述したような
六方晶低圧相の窒化ホウ素の代わりにグラファイトを含
有しても、同様に良好な潤滑性および熱伝導性を潤滑層
41に付与することができる。グラファイトの結晶構造
は上述の六方晶低圧相の窒化ホウ素と同様に六方晶系に
属し、層構造をなす。グラファイトの熱伝導率は約15
0[W・m-1・K-1]で、非常に熱伝導性に優れる。同
時に、300℃程度までであれば、摩擦係数が0.2以
下であり、非常に潤滑性に富む。300℃以上になると
グラファイトの摩擦係数は温度の上昇とともに徐々に上
昇し始めるが、上述したように、本発明の定着装置は2
00℃前後で好適に用いられるため、何ら問題はない。
以上のような性質を有するグラファイトを分散させた潤
滑層41を用いても、本実施形態と同様の効果を得るこ
とができる。
【0098】〈第2実施形態〉次に、本発明の第2実施
形態について説明する。以下に述べる良熱伝導部材40
と潤滑層41を除く定着装置100および画像形成装置
の構成は第1実施形態と同様であるので、これらについ
ての説明は省略する。
【0099】本実施形態における定着装置の構成は、図
9に示す第1実施形態と同様であるが、本実施形態で
は、非磁性金属で構成された良熱伝導部材40上に、六
方晶低圧相の窒化ホウ素粒子を含有した非磁性金属層を
潤滑層41として有することを特徴とする。
【0100】潤滑層41が設けられる良熱伝導部材40
は、第1実施形態と同様に、熱伝導率kが70[W・m
-1・K-1]以上であり、非磁性の材料を用いることがで
きる。
【0101】潤滑層41の六方晶低圧相の窒化ホウ素粒
子を含有させるマトリックス材料は、金属の良熱伝導部
材40上に電解メッキや無電解メッキで作製可能な非磁
性金属を好ましく用いることができる。このような非磁
性金属としては、耐摩耗性のあるニッケル−リン、ニッ
ケル−ボロン、ニッケル−リン−ボロン等の合金が好ま
しい。このような金属は熱伝導率が第1実施形態で用い
た合成樹脂よりも高い。このため、潤滑層41の熱伝導
率を第1実施形態よりもさらに高くすることができ、小
サイズ通紙時に発生する非通紙部の昇温を第1実施形態
よりもさらに抑制できる。
【0102】潤滑層41が含有する粒子を構成する六方
晶低圧相の窒化ホウ素は、第1実施形態で述べたよう
に、高潤滑性、高熱伝導性を有するものである。
【0103】本実施形態においては、六方晶低圧相の窒
化ホウ素粒子の粒径は、0.1〜10μmが好ましい。
これより過大でも過小でも、十分な潤滑性を得ることが
できない。また、これらの粒子が分散される潤滑層41
の層厚が10μmよりも薄い場合、粒子の最大粒径はこ
の層厚を越えないのが好ましい。粒径が層厚よりも大き
いと、潤滑層41の表面に粒子による凹凸が発生し、定
着ニップ部Nでの圧接により定着フィルム10が変形し
てしまう恐れがある。
【0104】六方晶低圧相の窒化ホウ素粒子の潤滑層4
1中の含有量は必要に応じて適宜設定することができる
が、潤滑層41全体の0.2〜30重量%が好ましい。
含有量が上記範囲よりも小さすぎると、上記窒化ホウ素
粒子による潤滑性・耐摩耗性向上の効果があまり認めら
れない。また、含有量が上記範囲よりも多すぎると、得
られる複合メッキ被膜が脆くなるため、好ましくない。
【0105】また、本第2実施形態においても、第1実
施形態と同様に上記窒化ホウ素の代わりに、グラファイ
トを潤滑層41に含有させてもよい。
【0106】この潤滑層41の膜厚は5μm以上100
μm以下が好ましい。膜厚が上記範囲よりも薄すぎる
と、十分な潤滑効果が得られない。また、膜厚が上記範
囲よりも厚すぎると、良熱伝導部材40への熱伝達が遅
くなり、良熱伝導部材40の効果を十分に発揮すること
ができなくなる。
【0107】〈他の実施形態〉上述した本発明の実施形
態は種々の変更が可能である。例えば、定着ニップ部N
における良熱伝導部材40上の潤滑層41と定着フィル
ム10との相互摺動摩擦力をさらに低減させるために、
定着ニップ部Nにおける潤滑層41と定着フィルム10
との間に耐熱性グリース等の潤滑剤を介在させることも
できる。上述した各実施形態において、この潤滑剤を塗
布することによって、さらなる摺動抵抗の低減と装置の
長寿命化を図ることができる。
【0108】また、各実施形態における定着装置は、加
熱部材として円筒状の定着フィルム10を用いたが、こ
れに限らず、エンドレスベルト状の定着フィルムを複数
の部材間に懸回張設して駆動手段で回転させる構成や、
ロール巻きにした有端の長尺の定着フィルムを繰り出し
て走行させる構成とすることもできる。
【0109】定着フィルム10は、モノクロあるいは1
パスマルチカラー画像等の加熱定着用の場合は、弾性層
10bを省略した形態のものとすることもできる。また
離型層10cも省略した形態のものとすることもでき
る。また、他の所望の機能層を追加した層構成とするこ
ともできる。
【0110】加圧部材30は、上述したローラに限ら
ず、回動ベルト型など他の形態の部材にすることもでき
る。また、加圧部材30側からも被記録材Pに熱エネル
ギーを供給するために、加圧部材30側にも電磁誘導加
熱などの発熱手段を設けて所定の温度に加熱・温度調節
する装置構成にすることもできる。
【0111】本発明の加熱装置は、上記各実施形態の画
像形成装置に用いられる加熱定着装置としてに限らず、
画像を担持した被記録材Pを加熱して艶などの表両性を
改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置、および被
加熱材を乾燥やラミネート等の熱処理する装置等として
広く活用できる。
【0112】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定され
るものではない。
【0113】〈実施例1〉第1実施形態による定着装置
および画像形成装置を用いて評価を行った。
【0114】本実施例では、定着装置100の加圧ロー
ラ30を定着フィルム10に対して21kgfの圧力で
加圧させ、定着ニップ部Nの幅を約8.0mm、定着ニ
ップ部Nの面圧を1.2kgf/cm2とした(定着ニ
ップ部Nの長手方向の長さは220mm)。
【0115】定着フィルム10の発熱層10aと励磁コ
イル18との間の距離は2mmとした。
【0116】本実施例では、定着装置100のクイック
スタート性を考慮して良熱伝導性部材40の厚さを1m
mとした。この良熱伝導性部材40には、熱伝導率が1
67[W・m-1・K-1]で非磁性材料である窒化アルミ
ニウムからなる厚さ1[mm]の板状のセラミックスを
用いた。
【0117】本実施例の潤滑層41に含有される六方晶
低圧相の窒化ホウ素には、平均粒径約3μmの窒化ホウ
素粒子を用いた。この六方晶低圧相の窒化ホウ素の含有
量は、潤滑層41の約50体積%とした。この窒化ホウ
素を分散させる合成樹脂としては、フッ素樹脂とポリイ
ミド樹脂とを混合させて用いた。潤滑層41の厚さは2
0μmとした。
【0118】第1実施形態の画像形成装置を用いて、A
4サイズ紙を100000枚プリントして耐久試験を行
ったところ、定着装置100におけるスリップが原因で
ある紙詰まりや画像不良は発生しなかった。また、小サ
イズ紙である封筒(洋系4号)とA4サイズ紙とを10
枚ずつ交互にプリントする場合でも、小サイズ紙を通紙
した後に非通紙部の温度がトナーのオフセット温度に達
しないため、次にA4サイズ紙が通紙されてもA4サイ
ズ紙上のトナーが定着フィルム10にオフセットせず、
良好な定着画像を得ることができた。
【0119】〈実施例2〉第1実施形態による定着装置
および画像形成装置を用いて評価を行った。
【0120】本実施例では、定着装置100の加圧ロー
ラ30を定着フィルム10に対して21kgfの圧力で
加圧させ、定着ニップ部Nの幅を約8.0mm、定着ニ
ップ部Nの面圧を1.2kgf/cm2とした(定着ニ
ップ部Nの長手方向の長さは220mm)。
【0121】定着フィルム10の発熱層10aと励磁コ
イル18との間の距離は2mmとした。
【0122】良熱伝導部材40には厚さ1mmの板状の
アルミニウム(k=240[W・m -1・K-1])を用い
た。
【0123】本実施例の潤滑層41に含有される六方晶
低圧相の窒化ホウ素には、平均粒径約3μmの窒化ホウ
素粒子を用いた。この六方晶低圧相の窒化ホウ素の含有
量は、潤滑層41の約6重量%とした。この窒化ホウ素
を潤滑層41中に含有させるマトリックス金属として
は、良熱伝導部材40上に無電解メッキで形成された非
磁性のニッケル−リン合金を用いた。潤滑層41の厚さ
は20μmとした。
【0124】第1実施形態の画像形成装置を用いて、A
4サイズ紙を100000枚プリントして耐久試験を行
ったところ、定着装置100におけるスリップが原因で
ある紙詰まりや画像不良は発生しなかった。また、小サ
イズ紙である封筒(洋系4号)とA4サイズ紙とを交互
にプリントする場合でも、小サイズ紙を通紙した後に非
通紙部の温度がトナーのオフセット温度に達しないた
め、次にA4サイズ紙が通紙されてもA4サイズ紙上の
トナーが定着フィルム10にオフセットせず、良好な定
着画像を得ることができた。
【0125】また、非磁性金属をマトリックスとして用
いた潤滑層41は、合成樹脂を用いた場合よりも潤滑層
41の熱伝導性がさらに良く、非通紙部昇温抑制効果を
より向上させることができた。
【0126】
【発明の効果】本発明によれば、入力電力を有効に利用
することによって低消費電力でウォームアップタイムの
短縮が可能な電磁誘導加熱方式の加熱装置において、小
サイズ紙通紙時の非通紙部の昇温を抑制すると同時に、
この加熱装置における駆動トルクの低減および被記録材
の搬送の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着装置100の要部の構成を示す縦断面図
【図2】図1のA方向から見た概略正面図
【図3】図1のII−II線に沿った断面図
【図4】図1のI−I線に沿った断面図
【図5】磁場発生手段と発熱量Qとの関係を示した図
【図6】安全回路を示す図
【図7】定着フィルム10の層構成を示す図
【図8】発熱層深さと電磁波強度の関係を示したグラフ
【図9】定着装置100のニップ部N付近の拡大断面図
【図10】本発明の画像形成装置の構成概略図
【図11】従来技術の定着装置要部の縦断面図
【図12】良熱伝導部材を設けた従来技術の定着装置要
部の縦断面図
【符号の説明】
10 定着フィルム 10a 発熱層 10b 弾性層 10c 離型層 16 フィルムガイド 17 磁性コア 18 励磁コイル 22 加圧用剛性ステイ 23 フランジ部材 25 加圧バネ 26 温度センサ 27 励磁回路 30 加圧ローラ 40 良熱伝導性部材 41 潤滑層 50 サーモスイッチ 51 リレースイッチ 100 定着装置 101 感光ドラム 102 帯電装置 103 レーザ光 104 現像器 105 中間転写ドラム 106 転写ローラ 107,108 クリーナ C 交番磁束 H 発熱位置 M 駆動手段 N 定着ニップ部 P 被記録材 t 未定着トナー画像 t’ 加熱定着トナー画像 T1 一次転写部 T2 二次転写部
フロントページの続き Fターム(参考) 2H033 AA03 AA30 AA32 AA42 BA27 BE03 BE06 3K059 AB00 AB19 AB20 AB27 AB28 AC07 AC10 AC33 AC37 AC73 AD03 AD07 AD15 CD44 CD75 CD77

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交番磁場を発生する磁場発生手段と、 前記磁場発生手段により発生された交番磁場により電磁
    誘導発熱することによりシート状の被加熱材を加熱する
    ための加熱部材と、 前記加熱部材と共に圧接することにより、前記被加熱材
    を狭持するためのニップ部を形成する加圧部材と、 前記ニップ部において前記加熱部材を介して前記加圧部
    材と対向する位置に配置された良熱伝導部材と、 前記良熱伝導部材と前記加熱部材との間に、六方晶系低
    圧相の窒化ホウ素またはグラファイトを含有する潤滑層
    とを有し、 前記加熱部材は、前記被加熱材を所定方向に狭持搬送す
    るために、前記ニップ部において前記被加熱部材の狭持
    搬送方向の順方向に回転または走行搬送される加熱装
    置。
  2. 【請求項2】 前記良熱伝導部材の熱伝導率が70W・
    -1・K-1以上である請求項lに記載の加熱装置。
  3. 【請求項3】 前記潤滑層の層厚が5〜200μmであ
    る請求項1または2に記載の加熱装置。
  4. 【請求項4】 前記良熱伝導部材および前記潤滑層は前
    記磁場発生手段によって発熱しない請求項1〜3のいず
    れか一項に記載の加熱装置。
  5. 【請求項5】 前記良熱伝導部材または前記潤滑層は非
    磁性である請求項4記載の加熱装置。
  6. 【請求項6】 前記良熱伝導部材は非磁性金属を含有す
    る請求項5記載の加熱装置。
  7. 【請求項7】 前記潤滑層は非磁性金属をさらに含有す
    る請求項5記載の加熱装置。
  8. 【請求項8】 前記良熱伝導部材または前記潤滑層は、
    前記磁場発生手段によって発生された磁場の外に配設さ
    れる請求項1〜7のいずれか一項に記載の加熱装置。
  9. 【請求項9】 前記加熱部材は回転体であり、この加熱
    部材の回転により前記被加熱材が搬送されることを特徴
    とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の加熱装置。
  10. 【請求項10】 前記加熱部材は円筒状の回転体である
    請求項9記載の加熱装置。
  11. 【請求項11】 前記加熱部材はエンドレスベルトであ
    る請求項9記載の加熱装置。
  12. 【請求項12】 前記加圧部材は前記ニップ部において
    回転または走行搬送され、前記加熱部材は前記加圧部材
    との間の表面摩擦力により前記加圧部材に連動して回転
    または走行搬送される請求項1〜11のいずれか一項に
    記載の加熱装置。
  13. 【請求項13】 被記録材に未定着トナー像を形成する
    画像形成手段と、その未定着トナー像を被記録材に圧熱
    定着させる加熱定着手段とを有する画像形成装置であっ
    て、前記加熱定着手段は請求項1〜12のいずれか一項
    に記載の加熱装置である画像形成装置。
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