JP2000517169A - ヒト・プロテオリピド - Google Patents

ヒト・プロテオリピド

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒトプロテオリピド(PLHu)を同定し、コードするポリヌクレオチドを提供する。本発明は、PLHuをコードする核酸配列を含む遺伝子組換え発現ベクター及び宿主細胞を提供する。本発明はまた、PLHuの発現が関係する病気の治療のための組換え体タンパク質の商業的な生産における、実質的に精製されたPLHu及びそのアゴニストの利用を提供する。更に、本発明は、PLHuの発現が関係する病気の治療における、PLHuに対するアンチセンス分子の利用を提供する。本発明はまた、PLHuをコードする自然発生配列とハイブリッド形成するポリヌクレオチド、及び該タンパク質と特異的に結合する抗体を含む診断用組成物を利用する診断検査法についても記述している。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒト・プロテオリピド技術分野 本発明は、新規なヒト・プロテオリピドの核酸及びアミノ酸配列に関するもの であり、疾病の診断、研究、予防、及び治療におけるこれらの配列の利用に関す るものである。背景技術 プロテオリピドは、有機溶媒及び水における溶解性に適合する高次構造をとる 、その機能によって部分的に特性化された疎水性膜タンパク質のクラスである( Sapirstein V S et al(1983)Biochemistry 22:3330-3335)。プロテオリピドの この両親媒性の特性は、膜貫通イオン移動におけるそれらの関与を説明する。プ ロテオリピドは、イオンチャネル及び輸送系の構成要素である。このような系に は例えばH+チャネル(Arai H et al(1987)J Biol Chem 262:11006-11011)、C a2+チャネル(Eytan G D et al(1977)J Biol Chem 252:3208-3213)、及び液胞 H+−ATPaseのC(膜チャネル)サブユニット(Nelson H et al(1990)J B iol Chem 265:20390-20393)がある。 後者のプロテオリピドはダクチン(ductin)としても知られており、ギャップ 結合にも関与する。ギャップ結合は、生物学的膜を通したイオンの自由な拡散を 可能にする比較的大きい管孔である(Finbow ME et al(1995)Bioessays 17:24 7-255)。改変されたギャップ結合細胞間連絡(GJIC)は、ガンの発生にお いて重要な役割を果たし得る。GJICの欠如は、形質転換された細胞と近傍の 通常の細胞との間で観察された(Trosko et al(1990)Radiation Res 123:241-25 1)。GJICの低下は、腫瘍細胞内でも観察された(Krutovskikh et al(1991 )Carcinogenesis 12:1701-1706)。 プロテオリピドは、膜小胞輸送にも関与する。その脂質様の特性のために、プ ロテオリピドは脂質二重層を不安定化し、膜小胞融合を促進する。このようなプ ロテオリピド関連イベントには、核膜、小胞体、ゴルジ装置、及び種々の封入体 (ペルオキシソーム、リソソーム等)の融合及び分裂が含まれる。 ヒトTリンパ球成熟関連タンパク質(MAL)は153個のアミノ酸からなる プロテオリピドで、Tリンパ球の小胞体(ER)に局在化されており、ER小胞 及びゴルジ槽の融合を媒介する(Rancano C et al(1994)J Biol Chem 269:8159- 8164)。イヌのMALホモログVIP17は、ゴルジ複合体と頂端原形質膜との 間のタンパク質の選別及びターゲティングに関与する(Zacchetti D et al(1995 )FEBS Lett 377:465-469)。ラットのMALホモログrMALは、オリゴデンド ログリア及びシュワン細胞を含む、神経系の髄鞘形成細胞において発現される。 rMALタンパク質は、ギャップ結合構成要素としての役目を果たし、ミエリン コンパクションにおいて或る役割を果たす(Schaeren-Wiemers N et al(1995)J Neurosci 5753-5764)。 ラットのプラスモリピン(plasmolipin)は、腎臓及び脳における原形質膜に 局在化されたプロテオリピドである。プラスモリピンは175個のアミノ酸を有 し、ヒドロパシープロット及び二次構造予測によれば、20〜22個のアミノ酸 からなる長さを有する、4つのαヘリックス膜貫通ドメイン(I〜IV)からな る。膜貫通ドメインIII及びIVは、水酸基を含み、この水酸基は水性チャネ ル形成に寄与し得る。ドメインI〜IIIは、9〜11個のアミノ酸からなる長 さを有する短い水性セグメントによって結合されており、ドメインIII及びI Vは、20個のアミノ酸からなる長い親水性セグメントによって結合されている 。プラスモリピンのサイズが小さく疎水性が高いことにより、その膜貫通領 域の分散が制限され、4つの膜貫通αヘリックスが、逆方向束状構造を形成し、 アミノ末端とカルボキシ末端の双方が原形質に向けられる形態となる。この構造 モデルは、4つのαヘリックス膜貫通セグメントを含む小さな疎水性輸送関連プ ロテオリピドの成長クラス、例えばMALホモログ(Rancano et al,supra)、 及び液胞H+−ATPアーゼCサブユニット(Nelson et al,supra)を確定する 。 ラットの脳では、プラスモリピンが有随神経索に局在化されており、その発現 は髄鞘形成の発症とともに著しく高まる(Fischer 1 et al(1991)Neurochem Res 28:81-89)。ミエリン内部でのプラスモリピンの分布は、膜リサイクリングに おいて活性な領域を含んでいるようである。有随神経索から単離されたエンドサ イトーシス被覆の小胞には、プラスモリピンが豊富に存在する(Sapirstein V S( 1994)J Neurosci Res 37:348-358)。精製されたラットのプラスモリピンタンパ ク質を脂質二重層に入れることにより、電圧依存性K+チャネル形成が誘導され 、このことはそれがin vivoで管孔又はチャネルとして機能し得ることを示唆し ている(Tosteson MT et al(1981)J Membr Biol 63:77-84)。チャネル形成はプ ラスモリピン分子の三量体形成を伴った。プラスモリピン分子のオリゴマー形成 モデルは、チャネルの壁として膜貫通ドメインIII及びIVを構成するが、こ れらのドメインにおいては水酸基の存在も一貫している(Sapirstein et al(198 3)supra)。輸送におけるラットのプラスモリピンの推定上の役割は、その機能 がミエリン複合体の液量調節にあり得ることを示唆している(Fischer et al(19 94),supra)。 プロテオリピドは膜輸送、ギャップ結合形成、イオン輸送及び細胞液量調節に 関与している。それらの発現の選択的変調は、急性又は慢性の疾病状態及び通常 状態における小胞輸送の調節又はチャネル又はギャップ結合の形成のための手段 となり得る。発明の開示 本発明は、ラット(ドブネズミ)から得られたプラスモリピンと相同性を有す る、新規なヒトプロテオリピド(以下PLHuと称する)を開示する。従って本 発明は、プラスモリピンを含むプロテオリピドのクラスの構造的特性を有する、 配列番号:1のアミノ酸配列によってコードされる、実質的に精製されたプロテ オリピドを提供する。 本発明の或る実施例は、PLHuをコードする単離され、実質的に精製された ポリヌクレオチドを提供する。特定の実施例では、このポリヌクレオチドは配列 番号:2のヌクレオチド配列である。更に、本発明は、配列番号:2と、厳しい 条件の下でハイブリッド形成するヌクレオチド配列を提供する。 本発明は、PLHuをコードする核酸配列、オリゴヌクレオチド、ペプチド核 酸(PNA)、その断片、部分、又はアンチセンス分子を提供する。本発明はま た、PLHuをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び宿主細胞 又は生物体を形質転換するためのその利用に関するものである。本発明はまた、 配列番号:1のプロテオリピドと特異的に結合する抗体、及び配列番号:1の実 質的に精製されたプロテオリピドを含む医薬品組成物にも関連する。図面の簡単な説明 第1A図及び第1B図は、MacDNAsisソフトウエア(日立ソフトウエアエンジ ニアリング社)を用いて作製された、ヒトプロテオリピドPLHuのアミノ酸配 列(配列番号:1)及び核酸配列(配列番号:2)を示す図である。 第2図は、DNAStarソフトウエア(DNAStar Inc,Madison WI)のマルチシーケ ンスアライメントプログラムを用いて作製された、PLHu(配列番号:1)、 ラットのプラスモリピン(G1 1346732:配列番号: 3)、及びヒトMAL(G1 126719:配列番号:4の間のアミノ酸配列アライメ ントを示した図である。 第3図は、PLHu(配列番号:1)の疎水性プロットグラフ(MacDNAsisソ フトウエアを用いて作製)を示す図であり、X軸はアミノ酸の位置、Y軸は負の 方向に疎水性のレベルを表している。発明の実施の形態 定義 本明細書において、「核酸配列」とは、一本鎖若しくは二本鎖の、センス鎖、 又はアンチセンス鎖であるゲノムの若しくは合成起源のDNA若しくはRNAや 、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、又はポリヌクレオチド、及びその断片又 は一部分を意味する。同様に、本明細書において「アミノ酸配列」とは、ペプチ ド若しくはタンパク質配列を意味する。 本明細書において「ペプチド核酸」とは、リジンのようなアミノ酸残基及びア ミノ基が加えられたオリゴマーを含む分子を意味する。これらの小分子は、抗遺 伝子剤とも称され、核酸のこれらの相補的な(鋳型の)鎖に結合することにより 転写物の伸張を停止させる(Nielsen PE等(1993)Anticancer Drug Des 8:53-63 )。 PLHuの「変異体」は、1又は2箇所以上のアミノ酸の「置換」により異な るものとなったアミノ酸配列を有し得るものである。この変異体は「保存的」変 化を含むものであり得、この保存的変化においては例えばロイシンをイソロイシ ンで置き換える場合のように置換されるアミノ酸が類似な構造的及び化学的特性 を有する。稀に、変異体が「非保存的」に変化する場合もあり、この非保存的変 化では例えばグリシンがトリプトファンで置換される。類似した小変化には、ア ミノ酸の欠失、挿入、若しくはその両方も含まれ得る。例えばDNAStarソフトウ エアの ような従来より周知のコンピュータプログラムを用いて、生物学的或いは免疫学 的活性を損なわずに、置換、挿入、又は除去できるアミノ酸及びそのアミノ酸の 数を決定することができる。 用語「生物学的に活性」とは、自然発生のPLHuの構造的機能、調節機能、 又は生化学的機能を有するPLHuを意味する。同様に「免疫学的活性」とは、 天然の、組換えの、又は合成のPLHu、若しくはその任意のオリゴペプチドが 適当な動物や細胞における特定の免疫応答を誘発し、特定の抗体に結合する能力 として定義される。 本明細書において、「誘導体」なる用語は、化学的に修飾されたPLHuをコ ードする核酸、又はコードされたPLHuを意味する。このような修飾の例には 、水素からアルキル基、アシル基、又はアミノ基への置換がある。核酸誘導体は 、天然PLHuの必須の生物学的特性を保持しているポリペプチドをコードする 。 本明細書において、「実質的に精製」なる用語は、この天然の環境から取り除 かれ、天然にはそれが結合して存在する少なくとも1つの他の成分から単離又は 分離されて、少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは 少なくとも90%遊離した核酸配列又はアミノ酸配列を有する分子を意味する。 「厳密性(stringency)」とは、典型的には、約Tm−5℃(プローブのTm より5℃下)からTmの約20〜25℃下の範囲で発生する。当業者には理解で きるように、厳密性のあるハイブリダイゼーションでは、同一のポリヌクレオチ ド配列を同定、つまり検出したり、或いは類似の、すなわち近縁なポリヌクレオ チド配列を同定、つまり検出するために用いることができる。 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション(ハイブリッド形成)」は 「核酸の鎖が塩基対合を介して相補鎖と結合する過程」(Coombs J(1994)Dictionary of Biotechnology,Stockton Press社,New York)を含む概 念である。増幅とは、核酸配列の複製を作り出すこととして定義され、通常周知 のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により実行される(Dieffenbach CW and G S Dveksler(1995),PCR Primer,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press 社,New york)。 本明細書において「欠失」とは、1または2以上のヌクレオチド若しくはアミ ノ酸残基が欠ける、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における変化として定 義される。 本明細書において「挿入」或いは「付加」とは、自然発生のPLHuと比較し て、結果的に1または2以上のヌクレオチド或いはアミノ酸残基の加わるような ヌクレオチド配列或いはアミノ酸配列の変化を指す。 本明細書において「置換」とは、1または2以上のヌクレオチド或いはアミノ 酸を異なるヌクレオチド或いはアミノ酸に置換することによって生ずる変化を指 す。 説明 本発明は、初めにヒト乳房ライブラリー(BRSTNOT03)からの部分的cDNA の中から同定された、新規なヒトプロテオリピドPLHu、及び疾病の研究、診 断、予防、治療における、ここに開示した核酸及びアミノ酸配列の利用に関する ものである。LIFESEQ(商標)データベース(Incyte Pharmaceuticals,Palo Alt o CA)を用いたノーザン解析により、PLHuをコードするヌクレオチド配列は 、心臓脈組織及びリンパ球においても転写されることが分かった。 本発明はまた、PLHu変異体をその範囲に含む。好適なPLHu変異体は、 PLHuアミノ酸配列(配列番号:1)と少なくとも80%のアミノ酸配列類似 性を有するものであり、より好適なPLHu変異体は配列番号:1と少なくとも 90%のアミノ酸配列類似性を有するもので あり、最も好適なPLHu変異体は、配列番号:1の配列と少なくとも95%の アミノ酸配列類似性を有するものである。 PLHuの一部をコードする核酸配列は、cDNAインサイト社クローンNo .640699において、アミノ酸配列アライメントのコンピュータ検索により 同定された。ここに開示する配列番号:2の核酸配列(第1A図及び第1B図参 照)は、PLHuと同期する配列番号:1のアミノ酸配列をコードする。本発明 は、第2図に示すような、PLHuと、ラットプラスモリピン(GI 1346732;Fisc her et al(1994),supra)及びヒトMAL(GI 126719;Rancano et al,supra)を 含む他の小形のプロテオリピドとの間の構造的相同性にその部分的基礎をおいて いる。 PLHuは、135個のアミノ酸からなり、ヒドロパシープロット(第3図) 及び二次構造の推定に基づき4つのαへリックス膜貫通ドメインを含む、小形の 疎水性輸送関連プロテオリピドのクラスのメンバーである。ラットのプラスモリ ピンとのその相同性から(第2図)、PLHuの膜貫通ドメインI〜IVは、そ れぞれ20〜40番目の残基、50〜72番目の残基、84〜108番目の残基 、及び127〜147番目の残基に存在すると推定される。PLHuの膜貫通ド メインIII及びIVは、全部で6個のser/thr水酸基を有し、これは水性チャ ネルを形成し得る。PLHuのN末端親水性セグメントは20個のアミノ酸から なり、ラットプラスモリピンの10個のアミノ酸からなるN末端セグメントより 長く、PLHuのC末端親水性セグメントは6個のアミノ酸からなり、ラットの プラスモリピンの17個のアミノ酸からなるC末端セグメントより短い。他の小 形のプロテオリピドに対して提案された構造モデルによれば、PLHuのアミノ 末端及びカルボキシ末端の双方は原形質に向けられていると推定される。ドメイ ンIをIIにドメインIIをドメインIIIに結合する短い親水性セグメントは 、それぞれ9及び11個の アミノ酸からなる長さを有する。ドメインIIIをドメインIVに結合する親水 性セグメントは18個のアミノ酸からなる長さを有する。ヒトプラスモリピンP LHuはラットのプラスモリピンと43%の配列同一性、ヒトMALと28%の 配列同一性を有する(第2図)。 PLHuコーディング配列 PLHuの核酸及びアミノ酸配列は、第1A図及び第1B図に示されている。 本発明によれば、PLHuのアミノ酸配列をコードする任意の核酸配列を用いて 、PLHuを発現する組換え体分子を作り出すことができる。ここに開示する特 定の実施例では、PLHuの部分的配列は、初めに、ヒト乳房組織cDNAライ ブラリー(BRSTNOT03)からインサイト社クローンNo.640699として単 離された。 遺伝暗号の縮重の結果、既知の又は自然発生の遺伝子のヌクレオチド配列に対 して最小限の相同性しか有していないものも含まれる多数のPLHuコード化ヌ クレオチド配列が作り出され得る、ということは当業者には明らかであろう。本 発明は、特に、可能なコドン選択に基づく組み合わせの選択によりなされ得る全 ての可能な核酸配列の変化をその範囲に含んでいる。それらの組み合わせは、自 然発生のPLHuのヌクレオチド配列に当てはまる標準的なトリプレット遺伝暗 号に基づいて作り出されるものであり、このような全ての変異は、ここに具体的 に示されたものと考えられたい。 PLHu及びその変異体をコードするヌクレオチド配列は適切に選択された厳 密性の条件の下で、自然発生配列のヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能な ものであるのが好ましいが、概ね異なるコドン使用を有するPLHu又はその変 異体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る。コドン選 択は、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に従って、特定の原核細胞の 、或いは真核細胞の発現宿 主においてペプチドが発現する速度を高めるように選択され得る。PLHu及び その誘導体をコードするヌクレオチド配列を、コードされるアミノ酸配列を変更 することなく実質的に変更する理由は、例えば天然配列から作り出される転写物 よりより長い半減期のようなより望ましい特性を有するRNA転写物の産生のた めである。 現在では、PLHu又はその誘導体をコードするDNA配列、若しくはその一 部分を、完全に合成ケミストリにより作製して、その後、その合成遺伝子を任意 の入手可能なDNAベクター及び細胞系に、この出願時点において周知の試薬を 用いて挿入することができる。更に、合成ケミストリを用いてPLHuをコード する配列又はその任意の部分に突然変異を誘発させることができる。 また本発明の範囲に含まれるものとして、種々の厳密性の条件の下で、第1A 図及び第1B図のヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能なポリヌクレオチド 配列がある。ハイブリダイゼーション条件は、Berger及びKimmel(1987,Guide t o Molecular Cloning Techniaues,Methods in Enzvmology ,Vol 152,Academic Pr ess,San Diego CA)に記載されているように、核酸結合複合体またはプローブの 融点(Tm)に基づいており、定義された「厳密性」で用いられる基準を与える 。上記文献は本明細書と一体に引用されたものである。 本発明において用いられ得るPLHuをコードする変異核酸配列は、異なるヌ クレオチド残基の欠失、挿入並びに置換を含み、結果的に同一の、または機能的 に等価のPLHuポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとなるものである 。そのタンパク質も、サイレント変化を生ずるアミノ酸残基の欠失、挿入並びに 置換を含み、結果的に機能的に等価なPLHuとなる。慎重なアミノ酸置換は、 PLHuの生物学的活性が保持される限りにおいて、残基の極性、電荷、溶解度 、疎水性、親水性 並びにまた両親媒性についての類似性に基づいてなされ得る。例えば負に荷電し たアミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正に荷電したアミノ 酸にはリジン及びアルギニンが含まれ、同じ親水値を持つ荷電していない極性頭 基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニ ン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン並びに チロシンが含まれる。 本発明の範囲に含まれるものとして、PLHuのアレルがある。ここで用いる 「アレル」或いは「アレル配列」とは、PLHuの別形態である。アレルは変異 、すなわち核酸配列の変化によって生じ、一般に変化したmRNA或いはポリペ プチドを生成するが、そのmRNA或いはポリペプチドの構造或いは機能は変更 される場合もあれば、されない場合もある。遺伝子によっては、アレル形態が存 在しないもの、1つ存在するもの、或いは多数存在するものがある。アレルを生 じる変異は一般に、アミノ酸の自然な欠失、付加並びに置換に起因する。このタ イプの変化はそれぞれ単独で、或いは他の遺伝子の組み合わせて、与えられた配 列内の1又は2箇所以上の部位で生じ得る。 DNA配列決定のための方法は周知であり、例えばDNAポリメラーゼI,Se quenase(商標)のクラノウフラグメント(US Biochemical社,Cleveland OH)、 Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer社,Norwalk CT)、熱安定性T7ポリメラー ゼ(Amersham社,Chicago IL)、或いはGibco BRL(Gaithersburg MD)Methods社 から市販されているELONGASE増幅システムのような組換えポリメラーゼとプルー フリーディングエキソヌクレアーゼとの組み合わせのような酵素を使用する。好 ましくは、この処理は、Hamilton Micro Lab2200(Hamilton社,Reno NV)、Peltie r Thermal Cycler(PTC200;MJ Reserch社,Watertown MA)並びにABI377DNAシー ケンサ(Perkin Elmer社)のような装置を用いて自動 化される。 ポリヌクレオチド配列の延長 PLHuをコードするポリヌクレオチド配列は、部分的なヌクレオチド配列と 、プロモータ及び調節エレメントのような上流配列を検出するための当業者には 周知の様々な方法とを用いて延長することができる。Gobinda等(1993;PCR Meth ods Applic 2:318-22)は既知の部位に隣接する未知の配列を検索するために汎 用プライマーを用いる直接的な方法として「制限部位」ポリメラーゼ連鎖反応( PCR)法を開示している。ここでは、まずゲノムDNAが、既知の領域に対し て特異的なプライマー及びリンカー配列に対するプライマーの存在下で増幅され る。増幅された配列は、その同じリンカープライマ一及び最初のプライマーの内 部に含まれる別の特異的プライマーを用いてPCRの2巡目にかけられる。PC Rの各回の生成物は、適切なRNAポリメラーゼを用いて転写され、逆転写酵素 を用いて配列決定される。 逆PCR法を用いて、既知領域に基づく多様なプライマーを利用した配列の増 幅、または延長を行うことができる(Triglia等(1988)Nucleic Acids Res 16: 8186)。プライマーは、OLIGO(登録商標)4.06(National Biosciences社,Plymout h MN)或いは別の適切なプログラムを用いて設計され、長さが20〜30ヌクレ オチドで、50%以上のGC含有率を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配 列にアニールする。この方法ではいくつかの制限酵素を用いて、遺伝子の既知領 域の適当なフラグメントを生成する。次いでこのフラグメントは分子内ライゲー ションにより環状にされ、PCR用の鋳型として使用される。 キャプチャPCR法(Lagerstrom M等(1991)PCR Methods Applic 1:111-19 )は、ヒト及び酵母菌人工染色体(YAC)DNA内の既知の配列に隣接するD NAフラグメントのPCR増幅を行うための方法であ る。またキャプチャPCRでは、多重制限酵素消化及びライゲーションによって PCR前にDNA分子の未知の部分に、組換え二本鎖配列を配置する必要がある 。 未知の配列を検索するために用いることができる別の方法は、標的遺伝子歩行 のための方法である歩行PCR法(Parker JD等1991;Nucleic Acids Res 19:305 5-60)である。PromoterFinder(登録商標)なる、Clontech社(Palo Alto CA) から市販されている新しいキットでは、PCR、入れ子プライマー並びにPromot erFinderのライブラリーを用いて、ゲノムDNA内を歩行させる。この過程は、 ライブラリーをスクリーニングする必要がなく、イントロン/エクソン接合部を 探し出すのに有用である。 完全長cDNAをスクリーニングするための好適なライブラリーは、サイズ選 択された、より大きなcDNAを含むライブラリーである。またランダムプライ マーを与えた(rondom primed)ライブラリーは、遺伝子の5’及び上流領域を 含むより多くの配列を含むという点で好適である。ランダムプライマーを与えら れたライブラリーは、オリゴd(T)ライブラリーが完全長cDNAを生成しな い場合、特に有用である。またゲノムライブラリーは、プロモータ結合領域の5 ’まで延長するために有用である。 サイズを分析したり、或いは配列決定やPCR処理の産物のヌクレオチド配列 を確認するための新しい方法はキャピラリー電気泳動法である。迅速な配列決定 のためのシステムは、Perkin elmer社、Beckman Instruments社(Fullerton CA )並びに他の企業から入手できる。キャピラリー電気泳動法では、電気泳動分離 のための流動性ポリマー、レーザで活性化される4つの異なる蛍光色素(各ヌク レオチドに対して1つ)を使用し、CCDカメラにより放射線の波長の検出を行 う。出力/光強 度は適切なソフトウエア(例えばPerkin elmer社製のGenotyper(登録商標)及 びSequence Navigator(登録商標))を用いて電気信号に変換され、サンプルの 負荷からコンピュータ解析及び電子データ表示までの全過程がコンピュータ制御 される。キャピラリー電気泳動法は特定のサンプルの限定された量の中に存在す るDNAの小片の配列決定に特に適している。この方法により30分間でM13 ファージDNAの350bpを再現可能な形で配列決定できたことが報告されて いる(Ruiz-Martinez MC等(1993)Anal Chem 65:2851-8)。 ヌクレオチド配列の発現 本発明に従って、PLHu、そのポリペプチドの断片、融合タンパク質或いは その機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列を、適切な宿主細胞内での PLHuの発現を誘導する組換えDNA分子を生成するために用いることができ る。遺伝暗号固有の縮重のために、概ね同一か或いは機能的に等価なアミノ酸配 列をコードする他のDNA配列も、PLHuのクローニングや発現のために用い ることができる。当業者には理解できるように、非自然発生コドンを有するPL Huコード化ヌクレオチド配列を生成することは有益であり得る。特定の原核細 胞或いは真核細胞の宿主において好適なコドン(Murray E等(1989);Nucleic A cids Res17:477-508)を選択して、例えば、PLHu発現率を増大させたり、或 いは自然発生配列から生成された転写産物より長い半減期のような望ましい特性 を有する組換えRNA転写産物を生成することができる。 本発明のヌクレオチド配列は、様々な目的でPLHuコード配列を変更するた めに組換えられ得るが、このような変更には、限定はしないが遺伝子生成物のク ローニング、プロセシング並びにまた発現を修飾するための変更が含まれる。例 えば、特定部位突然変異誘発のような当業者 には周知の技術を用いて突然変異を誘発させることによって、新しい制限部位の 挿入、グリコシル化パターンの変更、コドン選好の変化等をもたらすことができ る。 本発明の別の実施例では、天然PLHuコーディング配列、修飾PLHuコー ディング配列或いは組換えPLHuコーディング配列を異種の配列に結合して、 融合タンパク質をコードする配列にする。例えば、PLHu活性のインヒビター を選別すべくペプチドライブラリーをスクリーニングするために、市販の抗体に より認識される異種のペプチドを発現するキメラPLHuタンパク質をコード化 することが役立ち得る。融合タンパク質はPLHu配列と異種のタンパク質配列 との間の位置に切断部位を包含するように設計することもでき、これによってP LHuを切断して、異種の部分から分けて実質的に精製することが可能となる。 本発明の別の実施例では、PLHuコーディング配列は、当業者によく知られ た化学的方法(Caruthers等(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 7:215-223、Crea, Horn(1980)Nuc Acids Res 9:2331、Matteucci,Caruthers(1980)Tetrahedron Lett 21:719、Chow,Kempe(1981)Nuc Acids Res 9:2807-2817参照)を用いて 、全体的に、或いは部分的に合成することができる。別法では、PLHuアミノ 酸配列を、全体的に或いは部分的に合成する化学的方法を用いてタンパク質自体 を生成することができる。例えば、種々の固相技術(Roberge JY等(1995)Science 269:202-204)でペプチド合成を行うことができ、合成の自動化は、例えばABI43 1Aペプチドシンセサイザ(Perkin Elmer)を製造者の指示に従って用いることに より達成することができる。 この新たに合成されたペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィにより精 製することができる(例えばCreighton(1983)Proteins,Structure and Molecu lar Principles,WH Freeman and Co,New York 参照)。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸解析或いは配列決定処理により 確認することができる(例えばthe Edman degradation procedure;Creighton, 上述)。さらにPLHuのアミノ酸配列、或いはその任意の部分を、その直接の 合成の際に改変したり、また他の細胞内メディエータ或いはその任意の部分に由 来する配列と化学的方法を用いて結合して、変異体ポリペプチドを生成すること ができる。 発現系 生物学的に活性のPLHuを発現するために、PLHuコーディングヌクレオ チド配列或いは機能的等価物は、適切な発現ベクター、すなわち挿入されたコー ド化配列の転写及び翻訳に必要不可欠な要素を含むベクターに挿入される。 PLHuコーディング配列及び適切な転写や翻訳の制御エレメントを含む発現 ベクターを構成するために当業者に周知の方法が用いられる。これらの方法には 、in vitro組換えDNA技術、合成技術、並びにin vivo組換え、即ち遺伝子組 換え技術が含まれる。このような技術は、Sambrook等(1989)Molecular Clonin g,A Laboratory Manual ,Cold Spring Harbor Press,Planview NY及びAusubel FM 等Current Protocol in Molecular Biology,John Wilky &Sons,New Yorkに記載 されている。 種々の発現ベクター/宿主系を、PLHuコード化配列を保持し、かつ発現す るために利用することができる。このようなものには、限定はされないが、組換 えバクテリオファージ、プラスミド或いはコスミドDNA発現ベクターで形質転 換した細菌、酵母菌発現ベクターで形質転換した酵母菌、ウイルス発現ベクター (例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系、ウイルス発現ベクター( 例えばカリフラワーモザイクウイルスCaMV、タバコモザイクウイルスTMV)をト ランスフェクトした、或いはバクテリア発現ベクター(例えばTi、或いはpBR322 プラ スミド)で形質転換した植物細胞系、或いは動物細胞系が含まれる。 これらの系の「制御エレメント」或いは「調節配列」は、その力及び特異性は 様々で、ベクターの非翻訳領域、エンハンサー、プロモータ及び3’非翻訳領域 であり、これらは転写及び翻訳を実行するために宿主細胞のタンパク質と相互作 用する。利用されるベクター及び宿主に応じて、構成的及び誘導性プロモータを 含む任意の数の適切な転写及び翻訳エレメントが用いられ得る。例えば、バクテ リア系においてクローニングする際には、Bluescript(登録商標)ファージミド (Stratagene社,LaJolla CA)のハイブリッドlacZプロモータ及びptrp-lacハイ ブリッド並びに同様の誘導性プロモータが用いられる。バキュロウイルスポリヘ ドリンプロモータは昆虫細胞において用いられる。植物細胞のゲノム(例えば熱 ショック,RUBISCO及びストレージタンパク質遺伝子)に由来する、或いは植物 ウイルス(例えばウイルス性プロモータ或いはリーダー配列)に由来するプロモ ータ或いはエンハンサはベクターにクローン化され得る。哺乳動物細胞では、哺 乳動物遺伝子或いは哺乳動物ウイルス由来のプロモータが最適である。PLHu の多数の複製を含む株細胞を生成する必要がある場合には、SV40或いはEBVに基 づくベクターを、適切な選択マーカーと共に用いる。 細菌系では、PLHuの発現の用途に応じて多数の発現ベクターが選択され得 る。例えば抗体を誘発するために大量のPLHuが必要とされる場合は、容易に 精製される融合タンパク質を高濃度で発現できるベクターが望まれる。そのよう なベクターには、限定はしないが、大腸菌クローニングベクター及び発現ベクタ ーBluescript(Stratagene社)(このベクターでは、PLHuコード化配列が、 アミノ基末端メチオニン及び後続のβ−ガラクトシダーゼの7残基の配列を備え たフレーム内においてベクターに結合されてハイブリッドタンパク質が生成され る)や、 pINベクター(Van Heeke&Schuster(1989)J Biol Chem264:5503-5509)等が含 まれる。またpGEXベクター(Promage社、Madison WI)も、グルタチオンS−ト ランスファーゼ(GST)を有する融合タンパク質として異種ポリペプチドを発現 するため用いられる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グル タチオンアガロースビーズへの吸着に続き、遊離グルタチオンの存在下における 溶出により溶解した細胞から容易に精製できる。その系において生成されたタン パク質はヘパリン、トロンビン或いはXA因子プロテアーゼ切断部位を含むよう に設計され、対象となるクローン化ポリペプチドは随意にGST部分から放出され 得る。 酵母菌、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)では、α因 子、アルコールオキシダーゼ及びPGHのような構成的或いは誘導性プロモータを 含む多数のベクターが用いられる。再検討する場合には、Ausubel等(前出)及 びGrant等(1987)Methods Enzymol 153:516-544を参照されたい。 植物発現ベクターを用いる場合には、PLHuをコードする配列の発現は、多 数の任意のプロモータにより促進される。例えばCaMVの35S及び19Sプロモータ (Brisson等(1984)Nature 310:511-514)のようなウイルス性プロモータは、 単独で、或いはTMV(Takamatsu等(1987)EMBO J6:307-311)からのオメガ−リーダ ー配列と共に用いられる。別法では、RUBISCO(Coruzzi等(1984)EMBO J3:1671-16 80)、Broglie等(1984)Science 224:838-843)の小サブユニット、或いは熱シ ョックプロモータ(Winter J及びSinibaldi RM(1991)Results Probl Cell Dif fer 17:85-105)のような植物プロモータが用いられる。これらの構成は直接D NA形質転換或いは病原体媒介トランスフェクションにより植物細胞内に導入さ れる。そのような技術を再検討する場合には、Hobbs S 及びMurry LE、McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)McGr aw Hill NY,pp191-196及びWeissbach and Weissbach(1988)Methods for Plant Molecular Biology ,Academic Press NY,pp421-463を参照されたい。 PLHuを発現するために用いることができる別の発現系は昆虫系である。そ のような系の一つでは、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV) がベクターとして用いられ、Spodoptea frugiperda細胞或いはTrichoplusiaの幼 虫において外来遺伝子を発現する。PLHuコード化配列は、ポリヘドリン遺伝 子のような、ウイルスの非必須領域にクローニングされ、ポリヘドリンプロモー タの制御下に置かれる。PLHuの挿入が成功した場合には、ポリヘドリン遺伝 子が不活性にされ、コートタンパク質膜が欠如した変異体ウイルスが生成される 。次いで、この変異体ウイルスは、S.frugiperda細胞或いはTrichoplusiaの幼虫 への感染させるために用いられ、その中でPLHuが発現される(Smith等(198 3)J Virol 46:584、Engelhard EK等(1994)Proc Nat Acad Sci91:3224-7)。 哺乳類宿主細胞では、多数のウイルス性発現系を利用することができる。発現 ベクターとしてアデノウイルスが用いられる場合には、PLHuのコード化配列 は、後期プロモータ及び三連リーダ配列からなるアデノウイルス転写物/翻訳物 複合体内に結合される。ウイルス性ゲノムの非必須領域E1またはE3への挿入 により、感染した宿主細胞でPLHuを発現することができる生存可能なウイル スになる(Logan及びShenk(1984)Proc Nat Acad Sci 81:3655-3659)。さらに ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサのような転写エンハンサを哺乳類宿主細 胞内の発現を増加させるために用いることができる。 また、PLHu配列の効率的な翻訳のためには、特定の開始シグナル も必要である。これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接の配列が含まれ る。PLHu及びその開始コドン及び上流配列が適切な発現ベクター内に挿入さ れる場合には、追加の翻訳制御シグナルは不要である。しかしながらコード化配 列、或いはその一部のみが挿入される場合には、ATG開始コドンを含む外来の翻 訳制御シグナルが与えられなければならない。さらに、開始コドンは正しい読み 枠内にある必要があり、全インサートの転写を確実に行わなければならない。外 来転写エレメント及び開始コドンは、自然及び合成両方の様々な起源に由来する ものであり得る。発現の効果は、その細胞系に適切なエンハンサを含めることに より強化される(Scharf等(1994)Results Probl Cell Differ 20:125-62、Bit ter等(1987)Methods Enzymol 153:516-544)。 さらに宿主細胞株は、挿入された配列を望ましい形に改変したり、発現したタ ンパク質のプロセシングを行う能力で選択され得る。このようなポリペプチドの 修飾は、限定はしないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸 化、脂質化(lipidation)並びにアシル化を含む。またタンパク質の「プレプロ 」形態を切り離す、翻訳後プロセシングは、正しい挿入、折り畳み、並びにまた 機能の発揮のために重要である。CHO,HeLa,MDCK,293,WI38等のような異なる宿主 細胞は、そのような翻訳後活性のための特定の細胞機構及び特徴的な機構を有し ており、導入される外来タンパク質の修飾やプロセシングを確実に実行するべく 選択される。 長期間にわたって高収率の変異体タンパク質の生産を確保するためには、安定 した発現が望ましい。例えばPLHuを安定的に発現する株細胞は、ウイルス由 来の複製物、或いは内在性発現エレメント及び選択マーカー遺伝子を含む発現ベ クターを用いて形質転換される。ベクターの導入に続いて、細胞は、選択培地に 切り替えられる前に、濃縮培地内で 1〜2日間成長させられる。選択マーカーは選択物への耐性を与え、導入された 配列をDNA内に安定的に結合する細胞を同定できるようにする。安定的に形質 転換された細胞の耐性凝集塊はその細胞型に適切な組織培養技術を用いて増殖す ることができる。 形質転換された株細胞を回収するために任意の数の選択系を用いることができ る。限定はしないが、選択系は単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler 等(1977)Cell 11:223-32)及びアデニン ホスホリボシルトランスフェラーゼ (Lowy等(1980)Cell 22:817-23)遺伝子を含み、それぞれtk-及びaprt-細胞に おいて用いられる。また代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択の 基礎として用いることができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を 与え(Wigler等(1980)Natl Acad Sci 77:3567)、nptはアミノグリコシッド剤、 ネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え(Colberre-Garapin等(1981)J Mol Biol 150:1)、als或いはpatはクロルスルフロン(chlorsulfuron)、フォスフ ィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(phosphinotricin acetyltransferas e)に対する耐性を与える(上記Murry)。さらに選択可能な遺伝子として、例え ば細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用できるようにするtrpB、細 胞がヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)を利用できるようにするhi sDが記載されている(Hartman及びMulligan(1988)Proc Nalt Acad Sci 85:804 7)。最近になって、形質転換体を同定するためばかりではなく、特定ベクター 系による一過性の或いは安定なタンパク質発現の量を定量するために広く用いら れるβ−グルクロニダーゼ、アントシアニン及びルシフェリンのような標識によ る可視標識が非常によく用いられるようになった(Rhodes CA等(1995)Methods Mol Biol 55:121-131)。 本発明のポリヌクレオチド配列を含む形質転換体の同定 マーカー遺伝子発現の存在/不存在は、対象の遺伝子も存在することを示唆す るが、その存在及び発現は確認されるべきである。例えばPLHuがマーカー遺 伝子配列内に挿入されるなら、PLHuを含む組換え細胞がマーカー遺伝子の機 能の存在により同定できる。別法ではマーカー遺伝子は、単一プロモータの制御 下でPLHu配列と直列に配置することができる。誘導または選択に応じてのマ ーカー遺伝子の発現は、通常さらにPLHuの発現をも示す。 この他、PLHuのコーディング配列を含み、さらにPLHuを発現する宿主 細胞が、当業者には周知の様々な手順により同定できる。これらの手順は、限定 はしないが、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーション及び 、核酸及びタンパク質の検出並びにまた定量するための膜、溶液或いは破片ベー スの技術を含むタンパク質バイオアッセイ或いはイムノアッセイを含む。 PLHuポリヌクレオチド配列の存在は、PLHuのプローブ、一部、或いは フラグメントを用いるDNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーシ ョン或いは、増幅により検出することができる。核酸増幅に基づくアッセイでは 、PLHu配列に基づくオリゴヌクレオチド或いはオリゴマーを使用し、PLH uのDNA或いはRNAを含む形質転換体を検出する。本明細書において「オリ ゴヌクレオチド」或いは「オリゴマー」とは、プローブ或いは、PCRで増幅さ れるセグメントであるアンプリマーとして用いることができる、少なくとも10 ヌクレオチド、多い場合には60ヌクレオチド、好適には15〜30ヌクレオチ ド、より好適には20〜25ヌクレオチドの核酸配列を指す。 目的のタンパク質に特異的なポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のい ずれかを用いてPLHuポリペプチドの発現を検出し、測定するための種々のプ ロトコルが当業者には周知である。このようなプロト コルの例としては、酵素結合免疫検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ (RIA)及び蛍光表示式細胞分取器法(FACS)を含む。PLHuポリペプ チド上で2つの非干渉なエピトープに対して反応するモノクローナル抗体を利用 する二部位モノクローナルベースイムノアッセイ(two-site,monoclonal-based immunoassay)は好適ではあるが、競合的結合アッセイも用いられる。これらア ッセイの並びに他のアッセイは、Hampton R等(1990,Serologivcal Methods,a La boratory Manual,APS Press,St Paul MN)及びMaddox DE等(1983,I Exp Med 15 8:1211)等に記載されている。 さらに多くの標識及び結合技術は当業者には周知であり、種々の核酸及びアミ ノ酸検査法において用いることができる。PLHuに関連する配列を検出するた めの標識されたハイブリダイゼーション或いはPCRプローブを生成するための 手段には、オリゴ標識化、ニックトランスレーション法、末端標識化或いは標識 化ヌクレオチドを用いるPCR増幅などがある。別法では、PLHu配列、或い はその任意の部分が、mRNAプローブの生成のためにベクターにクローニング される。そのようなベクターは当分野では周知であり、市販されており、T7, T3或いはSP6並びに標識されたヌクレオチドのような適切なRNAポリメラ ーゼの付加により、in vitroでのRNAプローブ合成のために用いることができ る。 Pharmacia Biotech社(Piscataway NJ)、Promega社(Madison WI)並びにUS Biochemical社(Cleveland OH)のようないくつかの企業がこれらの手順に対す る商用のキット及びプロトコルを提供している。適切なリポーター分子、すなわ ち標識には、放射性核種、酵素、蛍光性剤、化学ルミネセンス剤或いは色素生成 剤や、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子或いはそれに類似のものが含ま れる。そのような標識の使 用について記載している特許には、米国特許第3,817,837号、第3,850,752号、第 3,939,350号、第3,996,345号、第4,277,437号、第4,275,149号並びに第4,336,24 1号がある。また、組換え免疫グロブリンの製造については米国特許第4,816,567 号に記載の方法を用いることができ、本明細書とともに参照されたい。 PLHuの精製 PLHuをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培 地からコード化タンパク質を発現及び回収するために適切な条件下で培養される 。組換え細胞により生成されるタンパク質は、用いられる配列並びにまたベクタ ーに応じて、細胞内に分泌、つまり含有されるようにすることができる。当業者 には理解されるように、PLHuをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベク ターは、原核細胞か、真核細胞の細胞膜を通してのPLHuの分泌を誘導するシ グナル配列を含むように設計される。他の組換え体作製物では、PLHuを、可 溶性タンパク質の精製を容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオ チド配列に結合することができる(Kroll DJ等(1993)DNA Cell Biol 12:441-5 3、融合タンパク質を含むベクターに関する上記論議も参照されたい)。 またPLHuは、タンパク質精製を容易にするために加えられた1または2以 上の付加的なポリペプチドドメインを備えた組換えタンパク質として発現される 。そのような精製を容易にするドメインには、限定はしないが、固定化金属上で の精製を可能にするヒスチジントリプトファンモジュールのような金属キレート ペプチド(Porath J(1992)Protain Expr Purif 3:263-281)、固定化免疫グロ ブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、並びにFLAGS延長/ アフィニティ精製システムにおいて用いられるドメイン(Immunex社、Seattle W A)が含 まれる。精製ドメイン及びPLHu間に第XA因子或いはエンテロキナーゼ(In vitrogen,San Diego CA)のような切断可能なリンカー配列を含めるのは精製を 促進するのに役立つ。このような発現ベクターの1つは、PLHuを含む融合タ ンパク質の発現を提供し、かつ6個のヒシチジン残基、それに続くチオレドキシ ン及びエンテロキナーゼ切断部位をコードする核酸を含む。ヒシチジン残基によ りIMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー、Porathら (1992)Protein Expression and Purification 3:263-281に記載)上での精製を 促進すると共にエンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質からの目的タンパ ク質の精製のための手段となる。 組換え体の産生に加えて、PLHuのフラグメントは、固層技術を用いた直接 のペプチド合成で形成することもできる。(Stewartら(1969)Solid-Phase Pet ide Synthesis,WH Freeman Co,San Francisco;Merrifield J(1963)J Am Chem So c 85:2149-2154を参照されたい)。in vitroタンパク質合成は手作業で行えるが 、自動化することもできる。自動的な合成は、例えば、Applied Biosystem 431A ペプチドシンセサイザ(Perkin Elmer,Foster City CA)を製造者の指示に従っ て用いて行うことができる。PLHuの種々のフラグメントを個別に化学的に合 成し、化学的方法を用いて結合して完全長分子を作り出すことができる。 PLHuの使用 ここに開示するポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列の利用の原理は、 ラットプラスモリピン及びヒトMALを含む小形のプロテオリピドとこの新規な PLHuとの間の構造的相同性にその部分的基礎をおいている。 PLHuによって促進されるエキソサイトーシスは、細胞内部の膜輸送に影響 を及ぼし、細胞輸送に関与するケモカインや、炎症や内皮細胞、 繊維芽細胞、リンパ球等の関係する他の類似の状態において活性なプロテアーゼ の放出に影響を及ぼし得る。従って、PLHuの発現の変化を試験する診断試験 により、ウイルス又は他の感染症、外傷による組織損傷、関節炎や喘息のような 遺伝病、浸潤性白血病、及びリンパ腫;又は膜輸送の異常が関係する他の生理学 的/病理学的問題によって生ずる病気の診断や適切な治療を促進し得る。 ギャップ結合は、細胞間の代謝連絡及び協働を調節する際に重要である。改変 されたギャップ結合細胞間連絡(GJIC)は、癌の発達において重要な役割を 果たし得る。GJICの欠如は、形質転換された細胞と近傍の通常の細胞との間 で観察された。更に、GJICの減少は、腫瘍細胞内でも観察された。従って、 PLHuの発現の低下を試験する診断試験結果は、腫瘍形成と相関性を有し得る 。 心筋の筋繊維では、ギャップ結合により、細胞から細胞へのイオンの拡散が妨 害され得ない状態となる。従って、心臓の細胞は、例えば、1つの心房細胞が励 起されたときに、活動電位が速やかに心房合胞体における全ての細胞に広がるよ うに相互に結合されている。心臓におけるPLHu発現の異常を診断するための 診断試験は、例えば心不整脈の場合のように、老化した心筋の筋繊維における活 動電位の伝播の異常と相関性を有し得る。この例では、PLHu発現を抑制する ことが有益であり得る。PLHu発現は、PLHuアンチセンスオリゴヌクレオ チドを投与することによって抑制することができる。この他、チャネルブロッカ ーのようなPLHuのインヒビターやPLHuに対する特異的抗体を導入して、 PLHu発現の異常が関係する疾病や病気の治療を行うことが可能である。 それらの脂質様特性のために、プロテオリピドは脂質二重層を不安定化し、膜 小胞融合を促進する。従って、PLHuをリポソーム又は人工 小胞に入れて、薬剤送達のための小胞融合を促進することができる。 PLHuの抗体 PLHu特異的抗体は、PLHuの発現が関係する病気や疾病の診断のために 役立つ。このような抗体には、限定はしないが、ポリクローナル抗体、モノクロ ーナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント並びにFab発現ラ イブラリにより生成されるフラグメントが含まれる。中和抗体、すなわちPLH uポリペプチドの生物活性を抑制する抗体は、特に診断及び治療に好適である。 抗体誘発のためのPLHuは生物学的活性を有している必要はないが、そのタ ンパク質断片、つまりオリゴペプチドは抗原性でなければならない。特異的抗体 を誘発するために用いられるペプチドは、少なくとも5個のアミノ酸、好ましく は少なくとも10個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する。これらの配列は 、天然タンパク質のアミノ酸配列の一部と同一のものであり、小さい自然発生の 分子の全アミノ酸配列を含み得る。PLHuアミノ酸の短いストレッチを、キー ホールリンペットヘモシアニン及びキメラ分子に対して産生された抗体のような 他のタンパク質の配列に融合することができる。PLHuに対する抗体の生成の ために、当分野においてよく知られる手順が用いられる。 抗体を産生するために、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス等を含む種々の宿主は 、免疫学的特性を保持するPLHu或いはその任意の部分、フラグメント或いは オリゴペプチドを注入することにより免疫することができる。宿主の種に応じて 、種々のアジュバントが免疫学的反応を促進するために用いられる。そのような アジュバントには、限定はしないが、フロイントのアジュバント、水酸化アルミ ニウムのような無機質ゲルアジュバント、リゾレシチンのような表面活性物質ア ジュバント、プルロニックポリオルアジュバント、ポリアニオンアジュバント、 ペプチドア ジュバント、油性乳剤アジュバント、キーホールリンペットヘモシニアンアジュ バント並びにジニトロフェノールアジュバントが含まれる。BCG(カルメット -ゲラン杆菌)及びコリネバクテリウムパルヴム(Corynebacterium parvum)は 有用なヒトアジュバントである。 PLHuに対するモノクローナル抗体は、培地中の連続株細胞による抗体分子 の産生を行うための任意の技術を用いて調製される。これらは、限定はしないが 、Koehler及びMilstein(1975,Nature 256:495-497)に当初掲載されたハイブリ ドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor等(1983)Immunol Today 4: 72、Cote等(1983)Proc Natl Acad Sci 80:2026-2030)及びEBV−ハイブリド ーマ技術(Cote等(1985)Monoclonal Antibodies and Cancer Therpy,Alan R L iss Inc,pp77-96)を含む。 さらに、適切な抗原特異性並びに生物活性を有する分子を得るための「キメラ 抗体」の生成、即ちヒト抗体遺伝子へのマウス抗体遺伝子のスプライシングのた めに開発された技術が用いられる(Morrison等(1984)Proc Natl Acad Sci 81:685 1-6855)、Neuberger等(1984)Nature 312:604-608、Takeda等(1985)Nature 3 14:452-454)。別法では、一本鎖抗体の生成のための周知技術(米国特許第4,94 6,778号)を、PLHu特異的一本鎖抗体を生成するために適用する。 また抗体は、リンパ球集団におけるin vivo産生を誘導することにより、或い はOrlandi等(1989,Proc Natl Acad Sci 86:3833-3837)並びにWinter G及びMils tein C(1991,Nature 349:293-299)に開示されているような組換え免疫グロブ リンライブラリー、または高度に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングす ることによっても生成することができる。 PLHuに対する特異結合部位を含む抗体フラグメントも生成するこ とができる。例えばこのようなフラグメントには、限定はしないが、抗体分子の ペプシン消化により生成することができるF(ab’)2フラグメント及びF( ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を減らすことにより生成することが できるFabフラグメントが含まれる。別法では、所望の特異性を有するモノク ローナルFabフラグメントを迅速に、しかも容易に同定できるように、Fab 発現ライブラリーを構築する(Huse WD等(1989)Science 256:1275-1281)。 確立された特異性を有するポリクローナル抗体或いはモノクローナル抗体のい ずれかを用いる競合的結合アッセイ或いは免疫放射定量測定法のための種々のプ ロトコルが当分野ではよく知られている。そのようなイムノアッセイでは、一般 に、PLHuとその特異的抗体(或いは類似のPLHu結合分子)との間の複合 体の形成、並びに複合体形成の測定が行われる。特異的PLHuタンパク質上の 2つの非干渉性エピトープに対して反応するモノクローナル抗体を利用する二部 位モノクローナル用イムノアッセイが好適ではあるが、競合結合アッセイも用い られる。これらの検査法はMaddox DE等(1983,J Exp Med 158:1211)に記載され ている。 PLHu特異的抗体を用いる診断検査法 特定のPLHu抗体は、PLHuの発現の誘発によって特性化される病気或い は疾病の診断や、PLHuで治療されている患者のモニタリングのためのアッセ イにおいて役立つ。PLHuについての診断アッセイは、ヒトの体液、細胞或い は組織の抽出物において、PLHuを検出するための抗体或いは標識を利用する 方法を含む。本発明のポリペプチド及び抗体は、修飾の有無に拘わらず用いるこ とができる。多くの場合、ポリペプチド及び抗体は、共有結合、或いは非共有結 合かのいずれかでそれらをリポーター分子と結合することにより標識される。種 々のリポ ーター分子が周知となっており、その幾つかについては上記した。 それぞれのタンパク質に対して特異的なポリクローナル抗体或いはモノクロー ナル抗体を用いて、PLHuポリペプチドを測定するための種々のプロトコルが 当分野では周知である。その例として、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオ イムノアッセイ(RIA)並びに蛍光表示式細胞分取器法(FACS)がある。PLH uポリペプチド上の2つの非干渉性エピトープに対して反応するモノクローナル 抗体を利用する二部位モノクローナル用イムノアッセイは好適ではあるが、競合 的結合アッセイも用いられる。これらのアッセイは、他にもあるが、Maddox DE 等(1983,I Exp Med 158:1211)に記載されている。 疾病の診断の基礎を提供するために、PLHu発現についての通常の値、すな わち標準値が確立されなければならない。これは複合体形成のために適切な条件 下で、ヒト或いは動物どちらでもよいが、正常の被験者から得られる体液或いは 細胞抽出物と、PLHuに対する抗体とを結合することにより得ることができる が、これは当分野ではよく知られた技術である。標準的な複合体形成量は、一連 のポジティブコントロールの希釈系とそれを比較することにより定量され、抗体 の既知の量が既知の濃度の精製PLHuと結合される。その後正常サンプルから 得られた標準値を、PLHuが関係する疾患を潜在的に患う被験者からのサンプ ルから得られた値と比較する。標準値と対象値との偏差によって疾病の存在を確 認できる。 薬物スクリーニング PLHu、その触媒性又は免疫原性断片、又はそのオリゴペプチドを、種々の 薬物スクリーニング技術の任意のものにおける治療用化合物をスクリーニングす るために用いることができる。このような試験において用いられる断片は、溶液 に遊離したものか、固形の担体に固着されたも のか、細胞表面に結びついたものか、或いは細胞内に局在化したものであり得る 。PLHuと試験される薬剤との結合複合体の形成が測定され得る。 薬物スクリーニングのための別の方法は、PLHuポリペプチドへの安定的な 結合親和性を有する化合物の高スループットスクリーニングを可能にするもので あり、1984年9月13日公告の欧州特許出願第84/03564号(Guysen)に詳細 に記載されている。この文献を本明細書に一体に参照されたい。概要としては、 多数の別々の小ペプチド試験用化合物をプラスチックピン或いはいくつかの他の 表面のような、固体基質上で合成する。ポリペプチド試験化合物をPLHuフラ グメントと反応させ、洗浄する。次いで結合PLHuを当分野で周知の方法によ り検出する。また精製PLHuを前述の薬物スクリーニング技術において使用す るために、プレート上に直接コーティングすることもできる。別法では、ペプチ ドを捕捉し、固形支持体上にペプチドを固定するために非中和抗体を用いる。 また本発明は、PLHuに結合し得る中和抗体特性が、PLHuとの結合につ いて特に試験化合物と競合する競合的薬物スクリーニングアッセイの使用も意図 している。このようにして、抗体を用いて1または2以上の抗原性決定基をPL Huと共通に有する任意のペプチドの存在を検出することができる。 PLHuコーディングポリヌクレオチドの使用 PLHuをコードするポリヌクレオチド、或いはその一部が診断並びにまた治 療目的で用いられる。診断目的の場合、本発明のPLHuは、PLHuの発現が 関与する生検組織における遺伝子発現を検出し、かつ定量するために用いられる 。診断試験は、PLHuが存在、不存在、及び過剰発現の何れの状態にあるかを 区別したり、治療的介入の際にPL Hu濃度の調節をモニタリングするのに役立つ。本発明の範囲には、オリゴヌク レオチド配列、アンチセンスRNA及びDNA分子、及びPNAが含まれる。 本発明の別の側面は、PLHuまたは近縁な分子をコードするゲノム配列を含 むポリヌクレオチド配列を検出できるハイブリダイゼーションプローブ或いはP CRプローブを提供することである。そして、そのプローブの特異性、すなわち 非常に高度な保存領域(例えば5’調節領域における10個の独特のヌクレオチ ド)か、低度に保存的な領域(例えば特に3’領域におけるシステイン残基の間 の領域)の何れに由来するのかということや、ハイブリダイゼーション或いは増 幅の(高度の、中程度の或いは低度の)厳密性によって、そのプローブが自然発 生PLHuのみを同定するものであるか、或いはアレル配列や近縁な配列も同定 するものであるかが決まってくる。 プローブは近縁なインヒビターをコードする配列を検出するためにも用いるこ とができ、好ましくは、これらのPLHuの任意のものをコードする配列から得 られるヌクレオチドを少なくとも50%含むべきである。本発明のハイブリダイ ゼーションプローブは、配列番号:2のヌクレオチド配列か、プロモータ、エン ハンサエレメント及びPLHuをコードする自然発生配列のイントロンを含むゲ ノムの配列に由来するものであり得る。ハイブリダイゼーションプローブは種々 のリポータ分子により標識することができ、この標識には、32Pや35Sのような 放射性核種、アビジン/ビオチン結合系によりプローブに結合するアルカリホス ファターゼのような酵素標識等が含まれる。 PLHuをコードするDNAに対する特異的ハイブリダイゼーションプローブ の生成のための他の手段は、mRNAプローブ産生用のベクターにPLHuやP LHu誘導体をコードする核酸配列をクローン化する ことである。このようなベクターは周知であって市販されており、T7やSP6 RNAポリメラーゼのような適切なRNAポリメラーゼや適切な放射性標識ヌ クレオチドを付加することにより、in vitroでRNAプローブを合成するために 用いることができる。 診断 PLHuをコードするポリヌクレオチド配列を、PLHuの発現が関与する病 気や疾病の診断のために用いることができる。例えば、PLHuをコードするポ リヌクレオチド配列を、PLHu発現を検出するための生検組織や体液の、ハイ ブリダイゼーションアッセイ或いはPCRアッセイにおいて用いることができる 。そのような定性的及び定量的方法の形態には、サザンブロット法或いはノーザ ンブロット法、ドットブロット法或いは他の膜用技術、PCR技術、ディップス ティック試験法(試験紙法)、ピン或いはチップ技術及びELISA技術が含まれる 。これらの技術は全て、当分野ではよく知られており、実際に市販されている多 くの診断キットの基礎となっている。 ここに開示したPLHuヌクレオチド配列は、筋肉るいそうに関係する活性化 や誘導を検出するアッセイのための基礎を提供する。PLHuヌクレオチド配列 は、既知の方法により標識され得、ハイブリダイゼーション複合体の形成に適し た条件の下で、患者の体液や組織のサンプルに加えられる。インキュベーション 時間の経過後、このサンプルを、ヌクレオチドが酵素で標識されている場合には 所望に応じて色素(または他の展開剤を要する標識)を含む適合性の液体で洗浄 する。この適合性の液体をリンスした後、色素を定量して標準値と比較する。生 検サンプルや抽出サンプルにおける色素の量が、比較用対照サンプルの色素量を 著しく上回っている場合には、このヌクレオチド配列はサンプルのヌクレオチド 配列とハイブリッド形成しており、サンプル内に著しく高い濃 度のPLHuヌクレオチド配列が存在していることは、関連する炎症及び/また は疾患が存在していることを示している。 このようなアッセイは、特定の治療行為の有効性を評価するため、動物実験、 臨床試験、或いは個々の患者の治療をモニタリングする際に用いることができる 。疾患を診断するための基礎を与えるために、PLHu発現に対する正常な或い は標準的なプロフィールが確立されなければならない。この標準プロフィールは 、正常な被験者、すなわち動物或いはヒトから得られる体液或いは細胞抽出物を 、ハイブリダイゼーション或いは増幅に適切な条件下で、PLHu或いはその一 部と結合することにより確立される。標準的なハイブリッド形成は、正常被験者 に対して得られる値と、既知の実質的に精製されたPLHuの量が用いられる同 一の実験におけるポジティブコントロール希釈系列で得られる値とを比較するこ とにより定量することができる。正常なサンプルから得られた標準値は、PLH u発現に関連する障害或いは疾患を潜在的に患っている被験者からのサンプルか ら得られる値と比較される。標準値と被験者値との偏差から疾病の存在が確認さ れる。 ひとたび疾患が確認されると、現存する治療用薬剤が投与され、治療プロファ イルが作成される。このようなアッセイは、その数値が正常すなわち標準パター ンに向かって回復しているか否かを評価するために規則的に繰り返される。継続 的な治療プロファイルを用いて数日間或いは数ヶ月の期間にわたる治療効果を示 すことができる。 米国特許第4,683,195号、第4,800,195号並びに第4,965,188号に記載のような PCR法により、PLHu配列に基づくオリゴヌクレオチドの追加の使用法が提 供される。このようなオリゴマーは一般には化学的に合成されるが、酵素を用い て発生させたり、或いは組換えソースから生成することもできる。一般にオリゴ マーは、通常特定の遺伝子或いは 状態を同定するために最適な条件下で用いられる2つのヌクレオチド配列、即ち センス方向(5’→3’)のヌクレオチド及びアンチセンス方向(3’←5’) のヌクレオチドからなる。同一の2つのオリゴマー、入れ子オリゴマーの組、或 いはオリゴマーの縮重プールでさえ、近縁なDNAまたはRNA配列の検出や定 量のためのより低い厳密性の条件下であっても用いることができる。 さらに特定の分子の発現を定量するための方法には、放射性標識(radiolabel ing)(Melby PC等1993 J Immunol Methods 159:235-44)或いはビオチン標識( Duplaa C等1993 Anal Biochem 229-36)ヌクレオチドの利用、制御核酸の同時増 幅(coamplification)の利用、並びに実験結果を補完して書かれた標準的なグ ラフ曲線の利用が含まれる。多数のサンプルの定量は、ELISA形式のアッセ イを実行することにより迅速に行うことができ、対象のオリゴマーが様々な希釈 溶液中に現れ、分光光度分析或いは比色分析反応により迅速に定量することがで きる。例えば、生検組織の抽出物においてPLHuが比較的高いレベルで存在す ることは、筋肉るいそうの発症を示している。このタイプの確定診断により、健 康の専門家が患者の積極的治療を開始したり、病状の悪化を防ぐことが可能とな る。同様に、当業者に周知のアッセイを用いて、患者の治療の際に、その病状の 進行をモニタリングすることができる。また、まだ開発されていない分子生物学 的技術でも、その新技術が既知のヌクレオチド配列の性質、例えばトリプレット 遺伝暗号、特異的塩基対形成等に基づくものであれば、ここに開示したヌクレオ チド配列をそれに利用することができる。 治療的利用 ラットのプラスモリピンをコードする遺伝子に対するその相同性、及びその発 現プロフィールに基づき、ここに開示するPLHuポリヌクレ オチドは、心不整脈のような疾病の治療のための分子をデザインするための基礎 を提供し得る。 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス或いはワクシニアウイルスに由来 する発現ベクター、或いは細菌性プラスミドに由来する発現ベクターは、標的の 器官、組織、または細胞群へのヌクレオチド配列の送達のために用いられる。当 業者によく知られた方法は、アンチPLHuを発現する組換えベクターを構築す るために用いることができる。例えばManiatis等(上記)及びAusubel等(上記 )に記載された技術を参照されたい。 完全長cDNA配列、並びにまたその調節エレメントを含むポリヌクレオチド により、研究者は遺伝子機能のセンス調節(Youssoufian H及びHF Lodish 1993 Mol Cell Biol 13:98-104)、或いはアンチセンス調節(Eguchi等(1991)Annu Rev Biochem 60:631-652)の調査用のツールとしてPLHuを用いることができ る。このような技術は、現在当分野ではよく知られており、センス或いはアンチ センスオリゴヌクレオチド、或いはより大きなフラグメントを、コーディング領 域或いは制御領域に沿った様々な位置から設計することができる。 所望のPLHuコーディング断片を高度に発現する発現ベクターを細胞または 組織にトランスフェクトすることにより、PLHuをコードする遺伝子の機能を 停止させることができる。このような作製物は、翻訳不可能なセンス或いはアン チセンス配列とともに細胞から溢れ出し得る。DNAへの組み込みがない場合で すら、このようなベクターは、全ての複製物が内在性ヌクレアーゼにより分解さ れるまで、RNA分子を転写し続ける。このような一過性の発現は、非複製ベク ター(Mettler I,personal communication)でも1ヶ月以上、適当な複製エレ メントがベクター系の一部である場合には更に長い期間継続し得る。 上述のように、PLHuの制御領域、例えばプロモータ、エンハンサ或いはイ ントロンに対するアンチセンス分子、DNA、RNAまたはPNAを設計するこ とにより遺伝子発現を修飾することができる。転写開始部位、例えばリーダー配 列の+10〜−10領域の間に由来するオリゴヌクレオチドが好適である。また アンチセンス分子は、転写産物がリボソームへの結合るのを防止することにより 、mRNAの翻訳を阻止するように設計される。同様に、抑制は、「三重らせん 」塩基対合法を用いて達成することができる。三重らせん対合は、二重らせんが 、ポリメラーセ、転写因子、或いは調節分子を結合するべく十分に開かないよう にする。三重らせんDNAを用いた最近の治療法は、Gee JEら(Huber BE and B I Carr(1994)Mleculr and Immunologic Approaches,Futura Publishing Co,Mt Kisco NY)により記載されている。 リボザイムはRNAの特異的切断を触媒することができる酵素性RNA分子で ある。リボザイムの作用の仕組みでは、相補的標的RNAへのリボザイム分子の 配列特異的ハイブリダイゼーションが行われ、その後エンドヌクレアーゼによる 切断(endonucleolytic cleavage)がなされる。発明の範囲内には、PLHuの エンドヌクレアーゼによる切断を、特異的に及び効果的に触媒し得る、人工合成 のハンマーヘッド型リボザイム分子も含まれている。 任意の潜在的なRNA標的内の特異的なリボザイム切断部位の最初の同定は、 配列GUA、GUU並びにGUCが後続するリボザイム切断部位に対する標的分 子を走査することにより行われる。一度同定されると、切断部位を含む標的遺伝 子の領域に対応する15〜20個のリボヌクレオチドの間の短いRNA配列は、 そのオリゴヌクレオチドの機能を停止させる2次構造の特徴について評価される 。また候補の標的の適切性の評価は、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて相 補的なオリゴヌクレ オチドとのハイブリッド形成に対する接触性を試験することにより行われる。 本発明のアンチセンス分子及びリボザイムは、RNA分子を合成するのための 当分野で周知の方法により調製することができる。これらの技術には、固相ホス ホラミダイト(phosphoramidite)化学合成のような化学合成オリゴヌクレオチ ドの技術が含まれる。別法では、RNA分子を、PLHuをコードするDNA配 列のin vivo及びin vitro転写により生成することができる。このようなDNA 配列は、T7或いはSP6のような適切なRNAポリメラーゼプロモータを有す る多種のベクターに組み込まれる。別法では、構造的に或いは誘導的にアンチセ ンスRNAを合成するアンチセンスcDNA構成物が、株細胞、細胞或いは組織 内に導入される。 RNA分子は細胞内安定性を高め及び半減期を長くするために修飾することが できる。実行可能な修飾には、限定はしないが、その分子の5’並びにまた3’ 末端のフランキング配列の付加、或いは分子のバックボーン内にホスホジエステ ラーゼ連鎖ではなくホスホロチオネート(phosphorothioate)或いは2’O−メ チルを使用することを含む。このコンセプトは、PNAの産生において固有のも のであり、内在性エンドヌクレアーゼにより容易に認識されないアデニン、グア ニン、シチジン、チミン、及びウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−、及び 類似の修飾形熊とともに、イノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブト シン(Wybutosine)のような従来あまり用いられなかった塩基を含めることによ って、これら全ての分子に拡張することができる。 細胞或いは組織内にベクターを導入するための方法には、以下に議論される方 法が含まれ、これらの方法は、in vivo、in vitro、及びex vivo治療法に対して も適切なものである。ex vivo治療法の場合には、患者か ら採取された幹細胞にベクターを導入し、自家移植のためにクローンとして増殖 して同じ患者に戻す方法が、ここで引用されている米国特許第5,399,493号及び 第5,437,994号に記載されている。トランスフェクションによる送達、リポソー ムによる送達は、当分野でよく知られているものである。 更に、ここに開示するPLHuのヌクレオチド配列は、新技術、即ち、限定は しないが、それがトリプレット遺伝暗号及び特異的塩基対合相互作用のような特 性を含む、現在周知のヌクレオチド配列の特性に依存する技術であれば、まだ開 発されていない分子生物学的技術においても用いることができる。 近縁なポリヌクレオチド配列の検出及びマッピング PLHuの核酸配列は、自然発生のゲノム配列のマッピングのためのハイブリ ダイゼーションプローブを生成するために用いることができる。この配列は、よ く知られた技術を用いて、特定の染色体或いはその染色体の特定領域に対してマ ッピングすることができる。このような技術には、染色体を拡げたもの(chromo somal spreads)についてのin situハイブリダイゼーション(Verma等(1988)H uman Chromosomes:A Manual of Basic Technique,Pergamon Press,New York) 、フローソーティング(flow-sorted)染色体調製法、或いは酵母菌人工染色体 (YACs)、細菌性人工染色体(BACs)、細菌性P1構造体或いはPrice C M(1993;Blood Rev 7:127-34)及びTrask BJ(1991;Trends Ganet 7:149-54)に 概要が示されている単染色体cDNAライブラリのような人工染色体構造が含ま れる。 染色体を拡げたものについての蛍光in situハイブリダイゼーションの技術は 、“Verma等(1988)Human Chromosomes:A Manual of Basic Technioue,Pergamon Press,New York”に記載されている。染色体 調製物の蛍光in situハイブリダイゼーション及び他の染色体マッピング技術は 、追加の遺伝子地図データと関係を有する。遺伝子地図データの例は、1994 Gen ome Issue of Science(265:1981f)に見ることができる。物理的染色体地図上で のPLHuの位置と、特定の失敗(または特定の疾病の素因)との相関関係を助 けとして、ある遺伝病が関係するDNAの領域を限界決定することができる。本 発明のヌクレオチド配列を、健常者と、キャリアまたは患者との遺伝子配列の違 いを検出するために用いることができる。 染色体調製物のin situハイブリダイゼーション及び確定された染色体マーカ ーを用いる連鎖解析のような物理的地図作成技術は、遺伝子地図を延長する際に 大変重要である。ヒトゲノムのSTSに基づく地図の最近の例は、Whitehead-MI T Center for genomic Reserch(Hudson TJら(1995)Science 270:1945-1954)か ら最近出版されている。多くの場合、特定のヒト染色体の数或いは腕が知られて いなくても、マウスのような別の哺乳動物種の染色体上の遺伝子の配置から、関 連する標識を明らかにすることができる。新しい配列は、染色体のアーム、或い はその一部ヘの物理的マッピングにより割当てることができる。これは位置クロ ーニング或いは他の遺伝子発見技術を用いて疾患遺伝子を調査する研究者に貴重 な情報を提供する。ひとたび毛細血管拡張性運動失調(AT)のような疾患或い は症候群が、特定のゲノム領域、例えばAT〜11q22-23(Gatti等(1988)Natur e 336:577-580)への遺伝子連鎖により粗く局所化されれば、その領域にマッピ ングされる任意の配列は、さらなる研究のための関連する遺伝子、或いは調節遺 伝子を表すことができる。本発明のヌクレオチド配列は、正常者とキャリアまた は患者との間の、転座、逆位等による染色体位置の違いを検出するために用いる こともできる。 医薬品組成物 本発明は、ヌクレオチド、タンパク質、抗体、アンタゴニスト、またはインヒ ビターを、単独で、或いは安定化化合物のような少なくとも1つの他の薬剤とと もに含んでいる医薬品組成物を、その範囲に含む。この医薬品組成物は、任意の 無菌の生体適合性製薬用担体に含めて投与されるが、このような担体には、限定 はしないが、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖或いは水が含まれる。これらの 分子は、患者に対して、単体で、或いは他の薬品やホルモンと結合して、賦形剤 或いは製薬学的に許容される担体と混合される他の薬品組成物に入れて投与され 得る。本発明の一実施例では、製薬学的に許容される担体とは、製薬学的に不活 性なものである。医薬品組成物の投与 医薬品組成物は経口投与、或いは非経口投与される。非経口投与の方法には、 局所的投与、動脈内(腫瘍への直接の)投与、筋肉内投与、皮下投与、髄内投与 、くも膜下内投与、脳室内投与、静脈内投与、腹腔内投与或いは鼻腔内投与が含 まれる。活性成分に加えて、これらの薬品組成物は、薬学的に用いられ得る調合 物内への活性化合物の処理を容易にする賦形剤及び補助剤を含む適切な製薬学的 に許容される担体を含み得る。調合或いは投与に関する技術の詳細は、“Reming ton's Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co,Easton PA)の最新版 において見出すことができる。 経口投与用の医薬品組成物は、当分野でよく知られる製薬学的に許容される担 体を用いて適切な剤形に製剤される。このような担体により、薬品組成物は、治 療を受ける患者による経口及び鼻腔摂取のための、錠剤、丸剤、カプセル剤、液 体剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤或いは類似の剤形として処方さ れる。 経口投与するための医薬品調製物は、活性化合物と固形の賦形剤とを結合する ことによって得ることができるが、所望に応じて、必要なら適切な補助剤を添加 した後、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理して、錠剤或いは糖衣剤 核を得ることができる。適切な賦形剤は、ラクトース、サクロース、マンニトー ル或いはソルビトールを含む砂糖のような糖質或いはタンパク質充填剤、とうも ろこし、小麦、米、じゃがいも等からのでんぷん、メチルセルロース、ヒドロキ シプロピルメチルセルロース或いはカルボキシルメチルセルロースナトリウムの ようなセルロース、アラビアゴム或いはトラガカントのようなゴム、並びにゼラ チン或いはコラーゲンのようなタンパク質である。必要ならば、架橋結合したポ リビニルピロリドン、寒天、アルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸或いはア ルギン酸ナトリウムのようなその塩のような、崩壊剤或いは可溶化剤が加えられ る。 糖衣剤核は、濃縮砂糖溶液のような適切な錠皮を与えられるが、溶液はアラビ アゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル剤、ポリエチレングリ コール並びにまた二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶剤或いは溶剤混 合物が含み得る。錠剤の識別のため、すなわち活性化合物の量、すなわち投与量 を特徴付けるために染料或いは色素が錠剤或いは糖衣錠皮に加えられてもよい。 経口投与可能な製剤は、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル及びゼラ チンからなる柔らかい、密封されたカプセル、並びにグリセロール或いはソルビ トールのような錠皮を含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトース或いはで んぷんのような充填剤或いは結合剤、タルク或いはステアリン酸マグネシウムの ような潤滑剤、並びに付加的には安定剤と混合された活性処方組成物を含み得る 。柔らかいカプセルでは、活性化合物は、安定剤があるなしにかかわらず、脂肪 油、液体パラフィ ン、液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解或いは懸濁される。 非経口投与用の剤形は、水溶性の活性化合物の水溶液を含む。注射用として、 本発明の薬品組成物を水溶液、好適にはハンクの溶液、リンガー溶液或いは生理 緩衝食塩水のような生理学的に適合性の緩衝液に入れて製剤することができる。 水性の注入懸濁剤は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール 或いはデキストランのような懸濁剤の粘性を増加する物質が含み得る。更に、活 性成分の懸濁液は、適切な油性注入懸濁剤として調製される。適切な親油性の溶 媒或いは媒介物は、胡麻油のような脂肪油や、オレイン酸エチル、トリグリセリ ド或いはリポソームのような合成脂肪酸エステルを含む。また懸濁剤は、所望に 応じて、それにより溶解度を増加し、非常に濃縮された溶液の調製ができるよう になる適切な安定剤或いは薬剤を含んでもよい。 局所的投与または経鼻投与用には、浸透される特定の障壁に対して適切な浸透 剤を用いて調合が行われる。このような浸透剤は、一般的に周知である。製造と保管 本発明の薬品組成物は周知の方法、例えば従来の混合処理、溶解処理、顆粒化 処理、糖衣形成処理、研和処理、乳化処理、封入処理(entrapping)処理或いは凍 結乾燥処理により製造される。 この医薬品組成物は塩類として提供されることもあり、限定はしないが、塩酸 、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含む、多くの酸とともに 形成することができる。塩は、対応する遊離塩基形態である水性或いはプロトニ ック溶剤において、より可溶性が高くなる傾向がある。他の場合には、好適な製 剤は、1mM〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、使用前に緩衝 剤と結合させたpH範囲4. 5〜5.5にある2%〜7%のマンニトールにおける凍結乾燥粉末である。 製薬学的に許容される担体内に製剤された本発明の化合物を含む組成物は、調 製された後、適切な容器内に入れられて、さらに提示した疾病状態の治療のため にラベル付けされる。PLHuの投与のため、このようなラベルには、投与の量 、頻度、方法が表示される。治療上効果的な投与量 本発明において使用するために適切な医薬品組成物は、活性成分を所望の目的 を達成するに効果的な量だけ含む組成物である。効果的な投与量の決定は、当業 者の能力の範囲内で行うことができる。 任意の化合物の場合、治療的に有効な投与量は、初めに、新生物細胞、或いは 通常マウス、ウサギ、イヌ、ブタのような動物モデルの何れかの細胞培地のアッ セイから推定される。次いで、このような情報を用いて、ヒトにおいて効果的な 投与量や投与経路を決定することができる。 治療的に有効な投与量とは、疾病状態を寛解するタンパク質、その抗体、アン タゴニスト、またはインヒビターの量である。そのような化合物の毒性及び治療 有効性は、例えばLD50(個体群の50%の致死投与量)及びED50(個体 群の50%において治療的に有効な投与量、50%有効量)を決定するための、 細胞培地或いは実験動物における標準的な製薬学的手順により決定することがで きる。毒性と治療有効性との間の投与量比は治療指数であり、LD50/ED5 0の比として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬品組成物が好ましい 。これらの細胞培地のアッセイ及び付加的な動物研究から得られるデータは、ヒ トへの使用に対する投与量の範囲を決める際に用いることができる。そのような 化合物の投与量は、毒性がほとんど或いは全くなく、ED50を達成する循環濃 度の範囲内にあることが望ましい。投与量は、用いら れる剤形、患者の感受性並びに投与経路に応じてこの範囲内で変化する。 正確な投与量は治療されるべき患者を考慮して個々の医師により選択される。 投与量及び投薬量は、十分なレベルの活性部分を与え、かつ所定の効果を維持す るために調整される。考慮すべき付加的な要因は、疾患状熊の重症度、または患 者の年齢、体重並びに性別、食事、投与の時間及び頻度、併用する薬剤、反応感 受性、並びに治療への耐性/反応を含む。長期的に作用する薬品組成物は3〜4 日毎に、1週間毎に、或いは半減期及び特定の処方のクリアランス速度に応じて 2週間に1度投与してもよい。 通常の投与量は0.1〜100,000μgの範囲にあって、全投与量は最大 約1gであり、投与経路に応じて変化する。特定の投与量或いは供給の方法に関 するガイダンスは、文献において見出すことができる。米国特許第4,657,760号 、第5,206,344号或いは第5,225,212号を参照されたい。当業者は、ヌクレオチド に対しては、タンパク質やインヒビター用の剤形とは異なる剤形を採用するであ ろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの送達は、特定の細胞、状 態、位置等によって決まってくる。 以下に本発明の実施例を示す。但し、以下の実施例は単なる例示であって、本 発明をこの実施例に限定しようとするものではない。 産業上の応用 1 cDNAライブラリーの作製 BRSTNOT03のcDNAライブラリーを、54歳の白人女性(Specimen #0025B;M ayo Clinic,Rochester,MN)から切除した非腫瘍性乳房組織から作製した。この 女性は、4つの乳腺管の腺癌の残留浸潤度3の診断を受けた後に両側の乳房完全 切除術を受けた。病理報告によれば、右乳房からの繊維脂肪生検組織は、腫瘍に ついてはネガティブ であった。1×0.7×0.7cmの小結節を形成する腫瘍細胞は、右側乳房か ら同定された。残った乳房柔組織は、増殖性繊維芽細胞の異型性なしの変化を示 した。皮膚、乳頭、及び筋膜には波及していなかった。10個の腋窩リンパ節の 1つは、微視的節内病巣として転移性腫瘍が併発していた。外科手術の前に、患 者には整形後ホルモン補充治療の一部としてエストロゲンが処方されていた。 冷凍組織を、Brinkmann Homogenizer Polytron PT-3000(Brinkmann Instrumen ts,Westbury,NJ)でホモジナイズして、グラニジウムイソチオシアネート溶液に 溶解した。この溶液を、Beckman L8-70MUltracentrifugeにおいてBeckman SW28 (Beckman Instruments)を用いて、5.7M塩化セシウムクッション上で、周 囲温度において、18時間、25,000rpmで遠心分離処理した。RNAを 、0.3Mの酢酸ナトリウムと2.5倍量のエタノールを用いて再度沈殿させ。 そのRNAをRNアーゼのない水の中に再懸濁し、37℃でDNアーゼ処理した 。RNA抽出物をpH4.0の酸性フェノールで再度抽出し、前回と同様酢酸ナ トリウムとエタノールで沈殿させた。次にこのmRNAをQiagen Oligotex kit (QIAGEN,Inc.;Chatsworth,CA)を用いて単離し、cDNAライブラリーの作製 に用いた。 このmRNAは、Super Script Plasmid System for cDNA Synthesis and Pla smid Cloning(Cat.#18248-013;Gibco/BRL)に組み込んで、その推奨プロトコル に従って取り扱った。cDNAは、Sepharose CL4Bcolumn(Cat.#275105-01;Pha rmacia)上で分画化し、これらのcDNAで400bpを超えるものをpSportI にリゲートした。次にこのプラスミドpSportIをDH5a(商標)コンピテント細胞 (Cat.#18258-012;Gibco/BRL)に入れて形質転換させた。 2 cDNAクローンの単離及び配列決定 プラスミドDNAは細胞から放出され、REAL Prep 96 Plasmid Kit for Rapid Extraction Alkaline Lysis Plasmid Minipreps(Catalogue#26173;QIAGEN,Inc )を用いて精製した。このキットは、マルチチャネル試薬ディスペンサを用いて 、96穴ブロックにおいて、96個のサンプルの同時精製を行うことができる。 以下の変更点を除いて、推奨プロトコルを用いた。(1)細菌の培養は、25m g/Lのカルベニシン及び0.4%のグリセロールを有する滅菌Terrific Broth (Catalogue#22711,LIFE TECHNOLOGIES(商標))の1mlにおいて行った。( 2)接種の後培地を19時間インキュベートし、インキュベーションの終了時に 、細胞を0.3mlの溶解緩衝液に溶解した。(3)イソプロパノール沈殿の後 、プラスミドDNAペレットを、0.1mlの蒸留水に再度懸濁した。プロトコ ルの最終ステップの終了後、サンプルを4℃で貯蔵するため96穴ブロックに移 送した。 cDNAの配列決定は、Hamilton Micro Lab 2200(Hamilton,Reno NV)を、Pel tier Thermal Cyclers(PTC200 from MJ Research,Watertown MA)及びApplied Bi osystems 377または373 DNA Sequencing Systems(Perkin Elmer)と組み合わせて 用いるSanger F及びAR Coulson(1975;J Mol Biol 94:441f)の方法より行い、読 み枠を決定した。 3 cDNAクローン及びそれらの推定タンパク質の相同性検索 Applied Biosystems社で開発された検索アルゴリズムを、INHERIT(商標)670 Sequence Analysis Systemに組み込んで用いて、各cDNAの配列をGenBankの 配列と比較した。このアルゴリズムでは、Pattern Specification Language(TR W社、LosAngeles CA)を用いて相同な領域を決定した。配列の比較をどのように 行うかを決定する3つのパラメータは、ウィンドウサイズ、ウィンドウオフセッ ト、及び誤差許容度で あった。これら3つのパラメータの組を用いて、対象の配列に対して相同な領域 を含む配列をDNAデータベースから検索し、適切な配列には、初期値とともに スコアが付けられた。これによって、これらの相同な領域をドットマトリクスホ モロジーブロット法を用いて検定し、相同な領域と偶然の一致とを区別した。相 同性検索の結果は、Smith-Watermanアライメントを用いて表示した。 ペプチド及びタンパク質配列の相同性は、INHERIT(商標)670配列解析システ ムをDNA配列の相同性検索で用いたのと同様に用いて確かめた。Pattern Spec ification Language及びパラメータウインドウを用いて、タンパク質データベー スから相同性領域を含む配列を検索し、その結果には初期値とともにスコアを付 けられた。ドットマトリクスホモロジーブロット法を用いて検定し、有意な相同 性を有する領域と偶然の一致とを区別した。 BLASTは、Basic Local Alignment Search Tool(Altschul SF(1993)J Mol Evol 36:290-300;Altschul,SF等(1990)J Mol Biol215:403-10)の略称であり、これを 用いて局部的な配列アライメントを検索した。BLASTはヌクレオチド及びアミノ 酸配列の両方のアライメントを生成して配列類似性を求める。そのアライメント の局所性のために、BLASTは厳密な一致、すなわちホモログを求める際に特に有 効である。BLASTは間隙を含まない一致を求めるのに役立つ。BLASTアルゴリズム 出力の基本的な単位は、High-scoring Segment Pair(HSP)である。 HSPは2つの配列フラグメントからなり、両フラグメントは任意ではあるが、 そのアライメントが局所的に最大となっている等しい長さものであり、そのアラ イメントスコアはユーザにより設定された閾値すなわちカットオフスコアを満足 、即ち、カットオフスコアを超えている。BLASTアプローチは問い合わせ配列と データベース配列との間のHSP を見つけ出すものであり、見出された任意の一致の統計的有意性を評価し、その ユーザが設定した有意性の閾値を満足する一致のみを報告するものである。パラ メータEはデータベース配列一致を知らせるための統計的に有意な閾値を確定す るパラメータである。Eは全データベース検索の情況においてHSP(或いはHS Pの組)の発生の機会の期待される頻度の上側の境界として解釈される。その一 致がEを満足する任意のデータベース配列がプログラム出力において報告される 。 4 ノーザン法による解析 ノーザン解析は、標識されたヌクレオチド配列と特定の細胞型または組織に由 来するRNAが結合したメンブランとのハイブリッド形成を伴う、遺伝子の転写 物の存在を検出するために用いられる実験技術である(Sambrookら、上述)。 類似の電子的ノーザン分析ではBLAST(Altschul SF 1993 and 1990,上述)を 用いて、GenBankまたはLIFESEQ(商標)データベース(Incyte,Palo AltoCA)のよう なデータベースにおける同一のまたは近縁な分子を検索した。この解析は、多数 の膜式ハイブリダイゼーションより非常に短時間で行うことができる。更に、コ ンピュータ検索の感度を変更して、ある一致が正確な一致か、相同的であるかの 分類を決定することができる。 検索の基準値は、プロダクトスコアであり、これは以下の式で定義されるもの である。 (配列の一致(%)×最大BLASTスコア(%))/100 このプロダクトスコアは、2つの配列間の類似性の程度、及び配列の長さの一致 の双方を考慮している。例えば、プロダクトスコアが40の場合は、一致は誤差 が1〜2%の範囲で正確であり、スコアが70の場合は正確に一致している。相 同な分子は、通常プロダクトスコアとして1 5〜40を示すものを選択することにより同定されるが、スコアの低いものは近 縁関係にある分子として同定される。 5 完全長まで、又は調節エレメントを回復するまでのPLHuの延長 完全長PLHuの核酸配列(配列番号:2)は、部分的ヌクレオチド配列を完 全長まで延長するため、或いはゲノムライブラリから5’配列を得るためのオリ ゴヌクレオチドプライマーを設計するために用いることができる。一方のプライ マーはアンチセンス方向(XLR)の延長を開始するために合成され、他方のプ ライマーはセンス方向(XLF)に配列を延長するために合成される。これらの プライマーにより、周知のPLHu配列を「外側に」延長し、対象の制御領域の 新しい未知のヌクレオチド配列を含むアンプリコンを生成できるようになった。 初期プライマーは、Oligo(登録商標)4.06(National Biosciences社、Plymout h MN)、或いは他の適切なプログラムを用いて、長さが22〜30ヌクレオチド で50%以上のGC含有率を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニ ールするように設計することができる。結果的にヘアピン構造及びプライマー− プライマー二量体化を生じる任意のヌクレオチドのストレッチの延長はが回避さ れる。 元の選択されたcDNAライブラリーか、ヒトゲノムライブラリーを用いて、 配列を延長する。後者のライブラリーは、5’上流配列を得るために最も役立つ 。必要なら、既知領域をさらに延長するために追加のプライマーの組が設計され る。 XL-PCRキット(Perkin Elmer社)のための指示に従って、酵素と反応混合物と を完全に混合することにより、高い忠実度の増幅が得られる。40pmolの各プラ イマーと、推奨された濃度のキットの他の全ての成分とから増幅を開始する場合 、PCRはPeltier Thermal Cycler(PTC200;MJ Reserch社、Watertown MA)を 用いて、以下のパラメ ータで実行される。 ステップ1 94℃で1分間(初期変性) ステップ2 65℃で1分間 ステップ3 68℃で6分間 ステップ4 94℃で15秒間 ステップ5 65℃で1分間 ステップ6 68℃で7分間 ステップ7 ステップ4〜6をさらに15サイクル反復 ステップ8 94℃で15秒間 ステップ9 65℃で1分間 ステップ10 68℃で7分15秒間 ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復 ステップ12 72℃で8分間 ステップ13 4℃(その温度を保持) 反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度(約0.6〜0.8%)ア ガロースミニゲルにおける電気泳動で解析して、反応物が配列を延長することに 成功したか否かを決定する。最も大きな生成物或いはバンドを選択して、ゲルか ら切り出した。さらなる精製には、QIAQuick(登録商標)(QIAGEN社)のような 市販のゲル抽出法を用いる。DNA回収の後、クレノウ酵素を用いて一本鎖ヌク レオチドの延び出しを切り取り、再結合及びクローニングを容易にする平滑末端 を作った。 エタノール沈殿の後、生成物を13μlのリゲーション緩衝液内に再溶解し、 1μlのT4−DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4ポリヌクレオチド キナーゼを加えて、その混合物を、室温で2〜3時間、或いは16℃で一昼夜イ ンキュベートする。コンピテントなE.coli細胞(40μlの適切な溶媒内 にある)を、3μlのリゲーション混 合物を用いて形質転換し、80μlのSOC培地(Sembrook J等、上記)で培養す る。37℃で1時間のインキュベーションの後、全ての形質転換混合物を、2x Carbを含むLuria Bertani(LB)寒天上にのせる。後日、いくつかのコロ ニーを各プレートから無作為に選択し、適切な市販の無菌の96穴マイクロタイ タープレートの個々のウェル内に入れられた150μlの液状LB/2xCar b培地で培養する。さらに後日、5μlの各オーバーナイト培養物を非無菌96 穴プレート内に移し、水で1:10に希釈した後、各5μlのサンプルをPCR アレイ内に移す。 PCR増幅の場合、rTthDNAポリメラーゼの4単位を含む18μlの濃 縮PCR反応混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用い られる遺伝子特異的プライマーの一方或いは両方を各ウェルに加える。増幅は以 下の条件に従って行う。 ステップ1 94℃で60秒間 ステップ2 94℃で20秒間 ステップ3 55℃で30秒間 ステップ4 72℃で90秒間 ステップ5 ステップ2〜4をさらに29サイクル反復 ステップ6 72℃で180秒間 ステップ7 4℃(そのまま保持) PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上で移動 させる。PCR生成物のサイズを元の部分的なcDNAと比較して、適切なクロ ーンを選択し、プラスミドに結合して、配列決定を行う。 6 ハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 配列番号:2の配列に基づくハイブリダイゼーションプローブは、cDNA、 mRNA並びにゲノムDNAをスクリーニングするために用い られる。約20の塩基対からなるオリゴヌクレオチドの標識について特に記すが 、大きなcDNAフラグメントの場合でも概ね同じ手順を用いる。オリゴヌクレ オチドを、50pmolの各オリゴマーと、250mCiの[γ-32P]アデノシ ン三リン酸(Amersham社,Chicago IL)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuP ont NEN(商標)、Boston MA)とを組み合わせて用いて標識する。標識されたオ リゴヌクレオチドを、SephadexG-25超精細樹脂カラム(Pharmacia社)を用いて 精製する。それぞれ毎分107カウントを含む各部分を、以下のエンドヌクレア ーゼ(AseI,Bgl II,EcoRI,PstI,Xba1或いはPvuII;DuPont NEN(商標))の 1つを用いて消化されるヒトゲノムDNAの典型的な膜ハイブリダイゼーション 解析において用いる。 各消化物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画化して、ナイロン 膜(Nytran Plus,Schleicher&Schuell,Durham NH)に移す。ハイブリダイゼー ションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取り除くために、ブ ロットは、0.1xクエン酸ナトリウム食塩水及び0.5%ドデシル硫酸ナトリ ウムまで段階的に厳密性が増す条件下で、室温にて順次洗浄される。XOMATAR( 登録商標)フィルム(Kodak,Rochester NY)を、数時間かけてPhosphoimager casse tte(Molecular Dynamics,Sunnyvale CA)においてブロットに露光された後、ハ イブリダイゼーションパターンが視覚的に比較される。 7 アンチセンス分子 PLHu配列或いはその任意の一部は、天然PLHuのin vivoまたはin vitr o発現を抑制するために用られ得るアンチセンス分子の設計のための基礎となる 。約20塩基対からなるアンチセンスオリゴマーの使用について特に記すが、大 きなcDNAフラグメントの場合でも概ね同じ手順を用いることができる。第1 A図及び第1B図に示すようなPLH uのコード化配列に基づく相補的なオリゴヌクレオチド用いて、自然発生PLH uの発現を抑制することができる。この相補的なオリゴヌクレオチドを第1A図 及び第1B図に示す最も一義的な5’配列から設計し、これを用いてプロモータ ーが結合するのを阻害することにより転写を抑制したり、リボソームが転写物に 結合するのを阻害することによりPLHu転写物の翻訳を抑制することができる 。配列番号:2のリーダー配列及び5’配列の適切な部分を用いることにより、 効果的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、第1A図及び第1B図に示すヌク レオチドのなかの、ポリペプチドのシグナル配列または初めの方のコーディング 配列に翻訳される領域全体にわたる15〜20個のヌクレオチドを含むようにな る。 8 PLHuの発現 PLHuの発現は、cDNAを適切なベクター内にサブクローニングし、その ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることによって行われる。クローニン グ用のpBluescriptベクターを、大腸菌株であるXLI-BlueMRF(商標)(Stratage ne)においてPLHuを発現するのに用いる。クローニング部位の上流には、β −ガラクトシダーゼに対するプロモータが存在し、その後ろにはアミノ基末端メ チオニン及びβ−ガラクトシダーゼの7残基が存在する。直後に続くこれら8つ の残基は、転写に役立つバクテリオファージプロモーターであり、多くの一義的 な切断部位を含むリンカーである。 単離されたIPTGトランスフェクト菌株を標準的な方法を用いて誘導するこ とにより、初めのβガラクトシダーゼの7残基、約5〜15残基のリンカー、及 び完全長PLHuからなる融合タンパク質を作り出す。このシグナル配列は、以 下の活性についてのアッセイにおいて直接用いることができる菌増殖培地へのP LHuの分泌を誘導する。 9 PLHuの活性 PLHuの管孔形成能力を、リポソームにおける膜貫通pH勾配に対するその 影響をモニタリングすることによりアッセイする。ミトコンドリアのシトクロー ムCオキシダーゼのプロトンポンプを、超音波処理によりリポソーム内に再構築 する。pH感受性蛍光色素ピラニン(Eastman Kodak)を、次に高速冷凍及び解凍 及び超音波処理によってタンパクリポソームに組み込む。過剰な色素を円心分離 及びリポソームの適切な緩衝液への再懸濁によって取り除く。アスコルビン酸及 びシトコロームCの添加により、リポソーム内へのプロトンの取り込みを開始さ せる。PLHuを添加し、460nm及び508nmのそれぞれの励起及び放射 波長におけるリポソームの内部pHの変化から生ずる蛍光の変化によってプロト ン流出をモニタリングする。 発現又は再構成により膜内に組み込まれるPLHuにより促進される脂質二重 層の不安定化を、膜内に挿入された親油性色素1,6−ジフェニル−1,3,5 −ヘキサトリエン(Eastman Kodak)の蛍光偏光を測定することによりアッセイ する。 10 PLHu特異的抗体の産生 標準的なプロトコルを用いたウサギの免疫化及び抗体の産生には、PAGE電 気泳動法(Sambrook前出)を用いて実質的に精製されたPLHuを用いる。PL Huから翻訳されたアミノ酸配列をDNAStarソフトウエア(DNASTAR社)を用いて 解析して免疫抗原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを当業者には 周知の手段により合成して、当業者に周知の方法で抗体をを産生するために用い る。C末端付近の、或いは隣接する親水性領域内のエピトープのような、適切な エピトープを選択するための解析法(第3図に示す)は、Ausubel FM等(上記) の論文に記載されている。 通常、約15残基の長さを有するオリゴペプチドを、Applied Biosystemsのペ プチドシンセサイザーModel 431Aを用いてfmoc法ケミストリにより合成し、 M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS: Ausubel FM等、上記)を用いた反応によりキーホールリンペットヘモシニアン( KLH、Sigma)に結合する。フロイントの完全アジュバントにおけるオリゴペ プチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫する。得られた抗血清の抗ペプチド 活性を検査するには、例えばペプチドをプラスチックに結合し、1%BSAを用い てブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ素標識され たヤギ抗ウサギIgGに反応させる。 11 特異的抗体を用いる自然発生PLHuの精製 自然発生PLHu或いは組換え体PLHuは、PLHuに対する特異的な抗体 を用いるイムノアフィニティークロマトグラフィにより精製することができる。 イムノアフィニティーカラムは、CnBr活性化Sepharose(Pharmacia Biotech社) のような活性化クロマトグラフレジンとPLHu抗体とを共有結合させることに より構成される。結合後、そのレジンを製造者の指示に従って、ブロックし洗浄 する。 PLHuを含む細胞からの細胞分画を、前細胞の可溶化や、分画遠心分離、界 面活性剤の添加、または従来より周知の他の方法で細胞レベル下分画の単離によ って調製する。この他、シグナル配列を含む可溶PLHuを、細胞が成長する培 地に有用な量だけ分泌させることができる。 分画化されたPLHuを含む調製物をイムノアフィニティーカラムに通し、そ のカラムをPLHuを優先的に吸着できる条件下で(例えば界面活性剤の存在下 において高イオン強度緩衝剤で)洗浄する。このカラムを、抗体/PLHu結合 を切るような条件下(例えばpH2〜3の緩衝剤、或いは高濃度の尿素またはチ オシアン酸塩イオンのようなカオト ロピックイオン)で溶出させ、PLHuを回収する。 上記のすべての刊行物及び特許明細書は、本明細書と一体に参照されたい。本 発明の記載した方法及びシステムの種々の変更例及び変形例は、本発明の範囲及 び精神から逸脱しないことは当業者には明らかであろう。本発明は特に好適な実 施例に関連して記載されているが、本発明の請求の範囲は、そのような特定の実 施例に不当に制限されるべきではないことを理解されたい。実際には、本発明を 実施するために記載された方法の種々の変更例は、分子生物学或いは関連する分 野の当業者には明らかなように、以下の請求項の範囲内に含まれるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/705 C07K 16/28 16/28 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12P 21/08 C12P 21/02 C12Q 1/68 A // C12P 21/08 G01N 33/53 C12Q 1/68 C12N 5/00 A G01N 33/53 A61K 37/02 (C12P 21/02 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AT,AU,BR ,CA,CH,CN,DE,DK,ES,FI,GB, IL,JP,KR,MX,NO,NZ,RU,SE,S G,US (72)発明者 ゴリ、スリヤ・ケイ アメリカ合衆国カリフォルニア州94086・ サニーベイル・#338・アイリスアベニュ ー 620 (72)発明者 ヒルマン、ジェニファー・エル アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウントビュー・#12・モンロードライブ 230

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号:1のアミノ酸配列を含む実質的に精製されたポリペプチド。 2.プラスモリピンを含む、プロテオリピドのクラスの構造的特徴を有すること を特徴とする請求項1に記載の精製されたポリペプチド。 3.請求項1のポリペプチドをコードする単離され、精製されたポリヌクレオチ ド配列。 4.配列番号:2の配列、又はその縮重変異体からなることを特徴とする請求項 3に記載の単離され、精製されたポリヌクレオチド配列。 5.配列番号:2の配列、又はその縮重変異体に対して完全に相補的なポリヌク レオチド配列。 6.厳密なハイブリダイゼーション条件の下で、配列番号:2の配列とハイブリ ッド形成するポリヌクレオチド配列からなることを特徴とする請求項3に記載の 単離され、精製されたポリヌクレオチド配列。 7.請求項3のポリヌクレオチド配列を含む組換え体発現ベクター。 8.請求項3のポリヌクレオチド配列を含む組換え体宿主細胞。 9.配列番号:1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドを産生する方法であっ て、 (a)該ポリペプチドの発現に適した条件の下で、請求項8の宿主細胞を培養 する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むこと を特徴とする方法。 10.請求項1のポリペプチドに特異的に結合する精製された抗体。 11.実質的に精製されたプロテオリピド(配列番号:1)を、適切な製薬学的 担体と共に含む医薬品組成物。
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