JP2000514646A - ヒト幹細胞抗原、それをコードするdna及びこれらの利用 - Google Patents

ヒト幹細胞抗原、それをコードするdna及びこれらの利用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、その部分的配列がTHP−1及び膀胱腫瘍cDNAライブラリーから初めに単離された、新規なヒト幹細胞抗原を同定しコードする、幹細胞抗原をコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明は、幹細胞抗原をコードする核酸配列を含む遺伝子組換え発現ベクター及び宿主細胞を提供する。本発明はまた、幹細胞抗原の発現が関係する疾病の診断及び治療のための精製幹細胞抗原の使用も提供する。更に本発明は、幹細胞抗原の抗体、アンチセンス分予、及びインヒビターを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒト幹細胞抗原、それをコードするDNA及びこれらの利用技術分野 本発明は、新規なヒト幹細胞抗原の核酸及びアミノ酸配列、及び疾病の診断、 研究、予防、及び治療におけるこれらの配列の利用に関するものである。背景技術 Sca−2は、LY−6ファミリー、即ちリンパ指向性細胞の表面上で広く発 現されるシステインを多く含む小型のタンパク質のグループのメンバーである。 これらのタンパク質は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)部分 により細胞膜に固着し、三次構造にとって重要な保存的タンパク質配列を示す。 LY−6ファミリーの中でみられる一般的な構造は、ウロキナーゼ型プラスミノ ーゲン活性化因子やヘビ毒から単離されたα神経毒に対するレセプターの構造に 類似している(Fleming TJ et al J ImmuNo.150:5379-90;Ploug M and V Ellis (1994)FEBS Lett 349:163-8)。 胸腺内T細胞前駆体はSca−2を発現する。実際に、胸腺内前駆体細胞の子 孫は、それらが芽細胞から小細胞に移行するまで、継続してSca−2を発現す る。この移行の間に、Sca−2の発現はダウンレギュレートされる。対照的に 、Sca−2はT細胞前駆体を増加させる骨随の造血幹細胞、或いは成熟胸腺細 胞及び末梢T細胞上では発現されない。しかし、末梢B細胞はSca−2ポジテ ィブである。 マウスの腎臓において誘発されるインターフェロンγに関する研究において、 Blake PG et al.(1993;J Am Soc Nephrol 4:1140-50)は、ループス腎炎に伴うL Y−6の高濃度の発現を示した。このような発現は、これらの分子を、アロ反応 及び自己免疫疾患に対する候補又はターゲッ トの何れかにする。LY−6のアップレギュレーションは、昇汞腎障害にも関係 していた。 Sca−2は、マウスの胸腺細胞マーカーTSA−1にも関係している(Godf rey DI et al.(1992)J ImmuNo.148:2006-11)。TSA−1は、未成熟胸腺細胞 及び胸腺髄質上皮細胞のサブセット上で発現され、成熟胸腺細胞と未成熟胸腺細 胞を区別する独特な分子であるように思われる。TSA−1は、CD5、CD1 1a/18、Thy−1、LY6A/E、LY6C、ThB、CD25、及びC D44からは区別される。TSA−1は、CD4+CD8+胸腺細胞が、成熟C D4+CD8−及びCD4−CD8+サブセットに移行する際のポジティブ選択 において一定の役割を果たしていると考えられる(MacNeil I et al.(1993)J Im muNo.151:6913-23)。 Katz et al(1994;Int J Cancer 59:684-91)は、マウスの種々の組織を起源と いる非リンパ指向性腫瘍細胞上でLY−6が高度に発現されることを示した。ア ップレギュレーション、つまり高度な発現は、局所的な腫瘍産生の高い効率をも たらす悪性の表現形と相関性を有する。in vitroでは細胞の発現に高低がないこ とから、in vivoで作用する微小環境因子が、悪性表現形に寄与していると考え られる。Katzはまた、LY−6に対する抗体が増殖を伝達していることについて も記載している。 LY−6タンパク質はまた、インターロイキン2(IL−2)の分泌を遮断す る(Fleming TJ and TR Malek(1994)J ImmuNo.153:1955-62)。IL−2は、認 可された抗癌剤であって、細胞媒介免疫における鍵になる調節ホルモンである。 IL−2はTナチュラルキラー細胞と活性化NK細胞の双方の増殖を刺激する。 in vitroで活性化されたNK細胞は、新たに単離された固形腫瘍細胞に直接溶解 できる。Flemingはまた、IL−2と自己NK細胞(ex vivoで増量されたもの) を高い投与量 で調節しながら投与することにより、転移性黒色腫及び腎細胞癌の患者において 好ましい応答が作り出されることを報告している。 LY−6ファミリータンパク質の高いレベルの発現、IL−2分泌の遮断、及 びアロー応答又は悪性病変の間の相関関係を理解することにより、移植や癌の治 療のための新しい方法を得ることが可能である。新規な幹細胞抗原を同定するこ とにより、自己免疫疾患、同種移植に伴う問題、及び腫瘍の発生に対して対応す るための診断及び薬理学的ツール及び薬剤の開発のための機会が増えることにな る。発明の開示 本発明は、Sca−2に対して相同性を有することを特徴とする新規なヒト幹 細胞抗原(SCAH)を開示する。従って、本発明は、リンパ球の表面上で発現 されるシステインを多く含むタンパク質のLY−6ファミリーの特徴を有する、 配列番号:1及び2のアミノ酸配列がコードする、実質的に精製されたSCAH −1及びSCAH−2を提供する。 本発明の1つの側面では、SCAH−1及びSCAH−2をコードする単離さ れ、実質的に精製されたポリヌクレオチドが提供される。ある実施例では、SC AH−1をコードするポリヌクレオチド配列が、配列番号:3の核酸配列であり 、SCAH−2をコードするポリヌクレオチド配列が配列番号:4の核酸配列で ある。更に、本発明は、配列番号:3に対して厳格な条件でハイブリッド形成す る、ポリヌクレオチド配列、及び配列番号:4に対して厳格な条件でハイブリッ ド形成するポリヌクレオチド配列を提供する。 この核酸配列、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、そのフラグメ ント、部分、又はアンチセンス分子を、SCAH−1又はSCAH−2をコード するポリヌクレオチドの発現濃度を検出するための体液又は生検組織の診断試験 において使用することができる。例えば、配 列番号:3の配列から設計された核酸配列を用いて、患者におけるmRNA転写 物の存在を検出したり、治療中の転写物の変調をモニタリングすることができる 。 本発明は、部分的に、宿主細胞又は生物体の形質転換のために用いることがで きる発現ベクターに、SCAH−1又はSCAH−2をコードするポリヌクレオ チドを包入することにも関する。このような遺伝子組換え宿主は、SCAHタン パク質の産生のために役立つ。 SCAH−1又はSCAH−2をコードする核酸配列は、IL−2抑制が関係 するゲノムのヌクレオチド配列の発現を低下させたり、排除したりする場合に役 立つアンチセンス分子の設計を提供する。 本発明は更に、自然発生のSCAH−1又はSCAH−2の検出のための診断 試験及びキットを提供する。このような診断試験及びキットは、実質的に精製さ れたSCAH−1又はSCAH−2をポジティブコントロールとして使用するこ とや、ヒトの体液又は生検組織におけるSCAHタンパク質の量を定量するため に用いることができる抗SCAH−1又はSCAH−2抗体の産生のために役立 つ。このようなSCAHタンパク質を用いて、in vivo又はin vitroでの腫瘍細 胞の表面上のSCAH分子に結合するアンタゴニストの生成のためにも用いるこ とができる。 実質的に精製されたSCAH−1又はSCAH−2又はこれらのフラグメント は、医薬品組成物としても役立ち得る。例えば、これらを腫瘍の発達を阻害した り、或いは逆転させたりするために用いることができる。 本発明はまた、SCAH−1又はSCAH−2のアゴニスト、抗体、アンタゴ ニスト、又はインヒビター、ゲノムの配列の発現を阻害し得るアンチセンス分子 を含む医薬品組成物にも関係する。これらの組成物は、SCAH−1又はSCA H−2の存在又は発現が関係する病気の予防や 治療に役立つ。図面の簡単な説明 第1A図及び第1B図は、MacDNAsisソフトウェア(日立エンジニアリング社 )を用いて作製した、ヒト幹細胞抗原ホモログSCAH−1の、コンセンサス核 酸配列(配列番号:3)及び推定アミノ酸配列(配列番号:1)を示した図であ る。 第2A図及び第2B図は、MacDNAsisソフトウェア(日立エンジニアリング社 )を用いて作製した、ヒト幹細胞抗原ホモログSCAH−2の、コンセンサス核 酸配列(配列番号:4)及び推定アミノ酸配列(配列番号:2)を示した図であ る。 第3図に示すのは、SCAH−1配列(配列番号:1)、GI434660( 配列番号:5)、GI1199651(配列番号:6)、SCAH−2(配列番 号:2)及びGI509840(配列番号:7)の間のアミノ酸配列アライメン トである。配列のアライメントはDNAStarソフトウェア(DNAStar Inc,Madison W I)のマルチシーケンスアライメントプログラムを用いて作製した。 第4図に示すのは、MacDNAsisソフトウェアを用いて作成した、SCAH−1 (配列番号:1)の疎水性グラフである。第4図及び第5図において、X軸はア ミノ酸の位置を示し、Y軸は負の方向に疎水性のレベルを示している。 第5図に示すのは、MacDNAsisソフトウェアを用いて作成した、SCAH−2 (配列番号:2)の疎水性グラフである。 第6図に示すのは、MacDNAsisソフトウェアを用いて作成した、SCAH−1 (配列番号:1)の等電点グラフである。 第7図に示すのは、MacDNAsisソフトウェアを用いて作成した、SCAH−2 (配列番号:2)の等電点グラフである。発明の実施の形態 定義 本明細書において、「核酸配列」とは、一本鎖若しくは二本鎖の、センス鎖、 又はアンチセンス鎖であるゲノムの若しくは合成起源のDNA若しくはRNA、 及びオリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、又はポリヌクレオチド、及びそのフラ グメント又は一部分を意味する。同様に、本明細書において「アミノ酸配列」と は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質配列を意味す る。 本明細書において「ペプチド核酸」とは、リジンのようなアミノ酸残基及びア ミノ基を加えられたオリゴマーを含む分子を意味する。これらの小分子は、抗遺 伝子剤とも称され、核酸のこれらの相補的な(鋳型の)鎖に結合することにより 転写物の伸張を停止させる(Nielsen PE等(1993)Anticancer Drug Des8:53-63) 。 本明細書で用いられるとき、SCAHは、任意の種、特にウシ、ヒツジ、ブタ 、マウス、ウマ、及び好ましくはヒトを含む哺乳類に由来する自然発生形態のS CAH、若しくは天然の、合成の、半合成のSCAH、又は組換え体を起源とす るSCAHのアミノ酸配列を意味する。本明細書において、「自然発生の」とは 、天然に見いだされるアミノ酸配列を意味する。 SCAHの「変異体」は、1又は2箇所以上のアミノ酸の「置換」により異な るものとなったアミノ酸配列を有し得るものである。この変異体は「保存的」変 化を含むものであり得、この保存的変化においては例えばロイシンをイソロイシ ンで置き換える場合のように置換されるアミノ酸が類似な構造的及び化学的特性 を有する。稀に、変異体が「非保存的」に変化する場合もあり、この非保存的変 化では例えばグリシンがトリプトファンで置換される。類似した小変化には、ア ミノ酸の欠失、挿 入、若しくはその両方も含まれ得る。例えばDNAStarソフトウエアのような従来 より周知のコンピュータプログラムを用いて、生物学的或いは免疫学的活性を損 なわずに、置換、挿入、又は除去できるアミノ酸及びそのアミノ酸の数を決定す ることができる。 用語「生物学的活性」は、自然発生のSCAHの構造的機能、調節機能、又は 生化学的機能を有するSCAHを意味する。同様に「免疫学的活性」とは、天然 、組換え、又は合成のSCAH、若しくはその任意のオリゴペプチドが適当な動 物や細胞における特定の免疫応答を誘発し、特定の抗体に結合する能力として定 義される。 本明細書において、「誘導体」なる用語は、scah、又はコードされたタン パク質が化学的修飾を受けたものを意味する。このような修飾の例には、水素か らアルキル基、アシル基、又はアミノ基への置換がある。SCAH誘導体は、天 然SCAHの必要不可欠な生物学的特性を保持しているポリペプチドをコードし ている。 本明細書において、「実質的に精製」なる用語は、この天然の環境から取り除 かれ、天然にはそれが結合して存在する少なくとも1つの他の成分から単離又は 分離されて、少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは 少なくとも90%遊離した核酸配列又はアミノ酸配列を有する分子を意味する。 説明 本発明は、初めにTHP−1ライブラリー(THP1PLB02)及び膀胱癌ライブラ リー(BLADTUTO2)からそれぞれ、その部分的cDNAが同定された新規なヒト 幹細胞抗原ホモログSCAH−1及びSCAH−2に関するものであり、本発明 はまた、疾病の研究、診断、予防及び治療におけるここに開示した核酸及びアミ ノ酸配列の利用にも関するものである。この新規な幹細胞抗原ホモログ1の一部 をコードする核酸配列 (小文字でscah−1と示す)は、刺激を与えられたTHP−1及びHNT2 細胞、及び乳癌、肺癌、卵巣癌、及び前立腺腫瘍、又は隣接する非腫瘍性組織か ら切除された組織内に存在した。新規な幹細胞抗原ホモログ2の一部をコードす る核酸配列(小文字でscah−2と示す)は、膀胱癌及び子宮癌から切除され た組織に存在した。 本発明のscah−1の核酸配列は、部分的cDNAインサイト社クローンNo .155838(配列番号:8)の中からアミノ酸配列アライメントのコンピュータ検 索により初めに同定された。ここに開示する核酸配列(配列番号:3)は、大文 字で表されるSCAH−1のアミノ酸配列(配列番号:1)をコードする。配列 番号:3は、インサイト社クローンNo.72518,155838,486681,604702,606246,637 479,641178,642012,690697,728784,797584,831396、及び897330(配列番号:7 〜19)の中から見いだされた重複配列からまとめられたものである。本発明は 、SCAHとSca−2ホモログ、GI49466O及びGI1199651の間の化学的及び構 造的相同性に部分的に基礎をおくものである(Classon BJ and L Coverdale(199 4)Proc Nat Acad Sci 91:5296-300;Classon BJ and L Coverdale(1996)J ImmuNo .151:1979-88,respectively)。SCAH−1は、マウスの幹細胞抗原2と25 %の同一性を有する。この新規なSCAH−1は、131個のアミノ酸からなる 長さを有し、N99に潜在性グリコシル化部位を含む。 本発明のscah−2の核酸配列は、部分的cDNAインサイト社クローンNo .1312529(配列番号:23)から、アミノ酸配列アライメントのコンピュータ検 索により初めに同定された。ここに開示する核酸配列(配列番号:4)は、大文 字で示すSCAH−2のアミノ酸配列(配列番号:2)をコードする。配列番号 :4は、インサイト社クローンNo.588615、590328、1312529、1314679、1315052 及び1317088配列 番号:21〜26)において見いだされる重複配列からまとめられたものである 。本発明は、SCAH−2と、ニワトリの幹細胞抗原2、GI509840(配列番号: 20;Petrenko O and Enrietto PJ(1994)Unpublished)の間の化学的及び構造 的相同性に部分的に基礎をおく。SCAH−2は、ニワトリの幹細胞抗原2と2 7%の同一性を有し、確率123個のアミノ酸からなる長さを有し、且つN40、 N83、及びN96において3つの潜在性グリコシル化部位を含む。 幹細胞抗原の間のアミノ酸アライメントは、第3図に示されている。図面の上 部にあるSCAH−1のアミノ酸の数を基準として用いると、後続のシステイン 残基C23、C26、C41、C48、C72、及びC76、及び潜在性N99結合グリコシル 化部位が、これら5つの分子全てにおいて保存的である。これらの保存性は、こ れらのタンパク質の間の共通の構造の存在及び機能的相同性の存在を示唆してい る。 SCAHコーディング配列 SCAH−1及びSCAH−2の核酸配列及び推定アミノ酸配列を第1A図/ 第1B図及び第2A図/第2B図に示す。本発明によれば、SCAH−1及びS CAH−2のアミノ酸配列をコードする任意の核酸配列を用いて、SCAH−1 及びSCAH−2を発現する組換え分子を生成することができる。ここに開示す る特定の実施例では、scah−1の配列は、THP-1のcDNAライブラリー(T HP1PLB2)を起源とするインサイト社クローンNo.155838の中から初め に単離された。前記ライブラリーについては、1995年5月10日に出願され た、Delegeane等による“Polynucleotides Derived from THP-1 Cells”なる名 称の米国特許出願第08/438,571号に記載されており、これは本明細書 と一体に引用されている。同様に、scah−2の配列は、膀胱癌のcDNAラ イブラリー(BLADTUT02)を起源とするインサイ ト社クローンNo.1312529の中から初めに単離された。前記ライブラリ ーについては、1996年5月23日に出願された、Gooding等による“Polynuc leotides and Polypeptides Derived from Bladder Carcinoma”なる名称の米国 特許出願第60/018,217号に記載されており、これは本明細書と一体に 引用されている。 遺伝暗号の縮重の結果、既知の又は自然発生遺伝子のヌクレオチド配列に対し て最小限の相同性しか有していないものも含まれる多数のSCAHコード化ヌク レオチド配列が作り出され得る、ということは当業者には明らかであろう。本発 明は、特に、可能なコドン選択に基づく組み合わせの選択によりなされ得る全て の可能な核酸配列の変化をその範囲に含んでいる。それらの組み合わせは、自然 発生のSCAHのヌクレオチド配列に当てはまる標準的なトリプレット遺伝暗号 に基づいて作り出されるものであり、このような全ての変異は、ここに具体的に 示されたものと考えられたい。 SCAH及びその変異体をコードするヌクレオチド配列は適切に選択された厳 密性の条件の下で、天然scahのヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能な ものであるのが好ましいが、概ね異なるコドン使用を有するSCAH又はその変 異体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る。コドン選 択は、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に従って、特定の原核細胞の 、或いは真核細胞の発現宿主においてペプチドが発現する速度を高めるように選 択され得る。SCAH及びその誘導体をコードするヌクレオチド配列を、コード されるアミノ酸配列を変更することなく実質的に変更する他の理由は、例えば天 然配列から作り出される転写物よりより長い半減期のようなより望ましい特性を 有するRNA転写物の産生のためである。 DNA配列決定のための方法は周知であり、例えばDNAポリメラー ゼI,Sequenase(商標)のクラノウフラグメント(US Biochemical社,Clevelan d OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer社,Norwalk CT)、熱安定性T7ポ リメラーゼ(Amersham社,Chicago IL)、或いはGibco BRL(Gaithersburg MD )Methods社から市販されているELONGASE増幅システムのような組換えポリメラ ーゼとプルーフリーディングエキソヌクレアーゼとの組み合わせのような酵素を 使用する。 目的のDNA鋳型にアニールされたオリゴヌクレオチドプライマーからDNA 配列を延長するための方法は、一本鎖鋳型と二本鎖鋳型の双方について開発され ている。鎖終結反応の生成物を、電気泳動により分離し、それらに組み込んだ標 識された前駆物質により検出する。最近の機械化反応調製技術、配列決定技術、 及び解析技術の進歩によって、一日あたりの決定できる配列数を増やすことがで きるようになった。好ましくは、この処理は、Hamilton Micro Lab2200(Hamilto n社,Reno NV)、Peltier Thermal Cycler(PTC200;MJ Reserch社,Watertown MA )並びにABI377DNAシーケンサ(Perkin Elmer社)のような装置を用いて自動化 される。 特定のcDNAライブラリーの質は、cDNAのパイロットスケール分析を行 い、かつ、クローンを含むベクター、λまたは大腸菌DNA、ミトコンドリアD NAまたは反復性DNAを割合、及び公的データベースの配列と完全に或いは相 同的に一致するクローンの割合を検定することにより求めることができる。 ポリヌクレオチド配列の延長 ポリヌクレオチド配列scahは、部分的なヌクレオチド配列と、プロモータ 及び調節エレメントのような上流の配列を検出するための当業者には周知の様々 な方法とを用いて延長することができる。クローニングベクター類、例えば、プ ラスミド、コスミド、λファージ誘導体、フ ァージミド等において、scahに有用な配列を結合してもよく、このことは当 業者にはよく知られている。一般にこれらのベクターは、少なくとも一種類の生 物体における複製起点、便利な制限エンドヌクレアーゼ感受性部位、及びその宿 主細胞用の選択マーカーを有している。 Gobinda等(1993;PCR Methods Applic 2:318-22)は既知の部位に隣接する未 知の配列を検索するために汎用プライマーを用いる直接的な方法として「制限部 位」ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を開示している。ここでは、まずゲノム DNAが、既知の領域に対して特異的なプライマー及びリンカー配列に対するプ ライマーの存在下で増幅される。増幅された配列は、その同じリンカープライマ ー及び最初のプライマーの内部に含まれる別の特異的プライマーを用いてPCR の2巡目にかけられる。PCRの各回の生成物は、適切なRNAポリメラーゼを 用いて転写され、逆転写酵素を用いて配列決定される。 逆PCR法を用いて、既知領域に基づく多様なプライマーを利用した配列の増 幅、または延長を行うことができる(Triglia等(1988)Nucleic Acids Res 16:818 6)。プライマーは、OLIGO(登録商標)4.06(National Biosciences社,Plymouth MN )或いは別の適切なプログラムを用いて設計され、長さが20〜30ヌクレオチ ドで、50%以上のGC含有率を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列に アニールする。この方法ではいくつかの制限酵素を用いて、遺伝子の既知領域に おける適切なフラグメントを生成する。次いでこのフラグメントは分子内ライゲ ーションにより環状にされ、PCR用の鋳型として使用される。 キャプチャPCR法(Lagerstrom M等(1991)PCR Methods Applic 1:111-19) は、ヒト及び酵母菌人工染色体(YAC)DNA内の既知の配列に隣接するDN AフラグメントのPCR増幅を行うための方法である。またキャプチャPCRで は、多重制限酵素消化及びライゲーション によってPCR前にDNA分子の未知の部分に、組換え二本鎖配列を配置する必 要がある。 Parker JD等(1991;Nucleic Acids Res 19:3055-60)は、歩行PCR法、すな わち未知の配列の検索ができる標的遺伝子歩行のための方法を教示している。Pr omoterFinder(登録商標)なる、Clontech社(Palo Alto CA)から入手できる新し いキットでは、PCR、ネスト化(nested)プライマー並びにPromoterFinderの ライブラリーを用いて、ゲノムDNA内を歩行させる。この過程は、ライブラリ ーをスクリーニングする必要がなく、イントロン/エクソン接合部を探し出すの に役立つ。 完全長cDNAをスクリーニングするための好適なライブラリーは、サイズ選 択された、より大きなcDNAを含むライブラリーである。またランダムに初回 刺激を与えられた(primed)ライブラリーは、遺伝子の5’及び上流領域を含む より多くの配列を含むという点で好適である。ランダムプライマーを与えられた ライブラリーは、オリゴd(T)ライブラリーが完全長cDNAを生成しない場 合、特に有用である。またゲノムライブラリーは、プロモータ結合領域の5’ま で延長するために有用である。 サイズを解析したり、或いは配列決定やPCR処理の産物のヌクレオチド配列 を確認するための新しい方法はキャピラリー電気泳動法である。迅速な配列決定 のためのシステムは、Perkin elmer社、Beckman Instruments社(Fullerton CA )並びに他の企業から入手できる。キャピラリー電気泳動法では、電気泳動分離 のための流動性ポリマー、レーザで活性化される4つの異なる蛍光色素(各ヌク レオチドに対して1つ)を使用し、CCDカメラにより放射線の波長の検出を行 う。出力/光強度は適切なソフトウエア(例えばPerkin elmer社製のGenotyper (登録商標)及びSequence Navigator(登録商標))を用いて電気信号に変 換され、サンプルの負荷からコンピュータ解析及び電子データ表示までの全過程 がコンピュータ制御される。キャピラリー電気泳動法は特定のサンプルの限定さ れた量の中に存在するDNAの小片の配列決定に特に適している。この方法によ り30分間でM13ファージDNAの350bpを再現可能な形で配列決定でき たことが報告されている(Ruiz-Martlnez MC等(1993)Anal Chem 65:2851-8) 。 ヌクレオチド配列の発現 本発明に従って、SCAH、そのポリペプチドのフラグメント、融合タンパク 質或いはその機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列を、適切な宿主細 胞内でのSCAHの発現を誘導する組換えDNA分子を生成するために用いるこ とができる。遺伝暗号固有の縮重のために、概ね同一か或いは機能的に等価なア ミノ酸配列をコードする他のDNA配列も、SCAHのクローニングや発現のた めに用いることができる。当業者には理解できるように、非自然発生コドンを有 するSCAHコード化ヌクレオチド配列を生成することは有益であり得る。特定 の原核細胞或いは真核細胞の宿主において好適なコドン(Murray E等(1989);N ucleic Acids Res 17:)を選択して、例えば、SCAH発現率を増大させたり、 或いは自然発生配列から生成された転写産物より長い半減期のような望ましい特 性を有する組換えRNA転写産物を生成することができる。 また本発明の範囲に含まれるものとして、中程度から最高度の厳密性の条件の 下で、第1A図及び第1B図、第2A図及び第2B図のヌクレオチド配列とハイ ブリッド形成可能なポリヌクレオチド配列がある。ハィブリダィゼーション条件 は、Berger及びKimmel(1987,Guide to Molecular Cloning Techniqes,Metho ds in Enzymology ,Vol 152,Academic Press,San Diego CA)により教示され 、ここで引用して組み 込んでいるように、核酸結合複合体の融点(Tm)に基づいており、以下に説明 するように、定義された「厳密性」を与える。 「最高度の厳密性」は典型的に約Tm−5℃(プローブのTmより5℃下)で発 生し、「高度の厳密性」はTmの約5〜10℃下で発生し、「中程度の現密性」 はTmの約10〜20℃下で発生し、「低度の現密性」はTmの約20〜25℃ 下で発生する。当業者には理解できるように、厳密性が最高度のハイブリダイゼ ーションは、同一のポリヌクレオチド配列を同定、すなわち検出するために用い ることができるが、一方厳密性が中程度(或いは低度)のハイブリダイゼーショ ンは類似の、すなわち近縁なポリヌクレオチド配列を同定、すなわち検出するた めに用いられる。 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション(ハイブリッド形成)」は「核 酸の鎖が塩基対合を介して相補鎖と結合する過程」(Coombs J(1994)Dictionar y of Biotechnology ,Stockton Press社,New York)を含む概念である。従って 定義により、ハイブリダイゼーションは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術 で実行されるような増幅のプロセスを含むものである。このPCR技術について はDieffenbach CW and GS Dveksler(1995,PCR Primer ,a Laboratory Manual ,Cold Spring Harbor Press社,New york)の論文に記載されており、本明細書 と一体に参照されたい。 本明細書において「欠失」とは、1または2以上のヌクレオチド若しくはアミ ノ酸残基が欠ける、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における変化として定 義される。 本明細書において「挿入」或いは「付加」とは、天然scahに比べて、結果 的に1または2以上のヌクレオチド或いはアミノ酸残基の加わるようなヌクレオ チド配列或いはアミノ酸配列の変化を指す。 本明細書において「置換」とは、1または2以上のヌクレオチド或いはアミノ 酸を異なるヌクレオチド或いはアミノ酸に置換することによって生ずる変化を指 す。 本発明において用いられ得る変異scah核酸配列は、異なるヌクレオチド残 基の欠失、挿入並びに置換を含み、結果的に同一の、または機能的に等価のSC AHポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとなるものである。そのタンパ ク質も、サイレント変化を生ずるアミノ酸残基の欠失、挿入並びに置換を含み、 結果的に機能的に等価なSCAHとなる。慎重なアミノ酸置換は、SCAHの生 物学的活性が保持される限りにおいて、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親 水性並びにまた両親媒性についての類似性に基づいてなされ得る。例えば負に荷 電したアミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正に荷電したア ミノ酸にはリジン及びアルギニンが含まれ、同じ親水値を持つ帯電していない極 性頭基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、ア ラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン並 びにチロシンが含まれる。 本発明の範囲に含まれるものとして、scahのアレルがある。ここで用いる 「アレル」或いは「アレル配列」とは、scahの別の形態である。アレルは変 異、すなわち核酸配列の変化に起因し、一般に変化したmRNA或いはポリペプ チドを生成し、そのmRNA或いはポリペプチドの構造或いは機能は変更される 場合もあれば、されない場合もある。遺伝子によっては、アレル形態がないもの 、1つあるもの、或いは多数存在するものがある。アレルを生じる変異は一般に 、アミノ酸の自然な欠失、付加並びに置換に起因する。このタイプの変化はそれ ぞれ単独で、或いは他の遺伝子の組み合わせで、与えられた配列内一回またはそ れ以上の回数生じ得る。 本発明のヌクレオチド配列は、様々な目的でSCAHコード配列を変更するた めに組換えられ得るが、このような変更には、限定はしないが遺伝子生成物のク ローニング、プロセシング並びにまた発現を修飾するための変更が含まれる。例 えば、特定部位突然変異誘発のような当業者には周知の技術を用いて突然変異を 誘発させることによって、新しい制限部位の挿入、グリコシル化パターンの変更 、コドン選好の変化、スプライス変異体の生成等をもたらすことができる。 本発明の別の実施例では、天然scah、修飾scah或いは組換えscah を異種の配列に結合して、融合タンパク質をコードする配列にする。例えば、S CAH活性のインヒビターを選別すべくペプチドライブラリーをスクリーニング するために、市販の抗体により認識される異種のペプチドを発現するキメラSC AHタンパク質をコード化することが役立つことがある。融合タンパク質はSC AH配列と異種のタンパク質配列との間の位置に切断部位を包含するように設計 することもでき、これによってSCAHを切断して、異種の部分から分けて精製 することが可能となる。 本発明の別の実施例では、scahのコーディング配列は、当業者によく知ら れた化学的方法(Caruthers等(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 7:215-223、Crea, Horn(1980)Nuc Acids Res 9:2331、Matteucci,Caruthers(1980)Tetrahedro n Lett 21:719、Chow,Kempe(1981)Nuc Acids Res 9:2807-2817参照)を用い て、全体的に、或いは部分的に合成することができる。別法では、SCAHアミ ノ酸配列を、全体的に或いは部分的に合成する化学的方法を用いてタンパク質自 体を生成することができる。例えば、種々の固相技術(Roberge JY等(1995)Scien ce 269:202-204)でペプチド合成を行うことができ、合成の自動化は、例えばABI 431Aペプチドシンセサイザ(Perkin Elmer)を製造者の指示 に従って用いることにより達成することができる。 この新たに合成されたペプチドは、分離高速液体クロマトグラフィにより精製 することができる(例えばCreighton(1983)Proteins Sructure And Molecular Princiles ,WH Freeman and Co,New York参照)。合成されたペプチドの組成 は、アミノ酸解析或いは配列決定処理により確認することができる(例えばthe Edman degradation procedure;Creighton,上述)。さらにSCAHのアミノ酸 配列、或いはその任意の部分を、その直接の合成の際に改変したり、また他の細 胞内メディエータ或いはその任意の部分に由来する配列と化学的方法を用いて結 合して、変異体ポリペプチドを生成することができる。 発現系 生物学的に活性のSCAHを発現するために、SCAHをコード化したヌクレ オチド配列或いは機能的等価物は、適切な発現ベクター、すなわち挿入されたコ ード化配列の転写及び翻訳に必要不可欠な要素を含むベクターに挿入される。 SCAHコード化配列及び適切な転写や翻訳の制御要素を含む発現ベクターを 構成するために当業者に周知の方法が用いられる。これらの方法には、in vitro 組換えDNA技術、合成技術、並びにin vivo組換え、即ち遺伝子組換え技術が 含まれる。このような技術は、Sambrook等(1989)Moleculr Cloning ,A Labora tory Manual ,Cold Spring Harbor Press,Planview NY及びAusubel FM等Curr ent Protocol inMolecular Biology ,John Wilky & Sons,New Yorkに記載され ている。 種々の発現ベクター/宿主系を、SCAHコード化配列を保持し発現するため に利用することができる。このようなものには、限定はされないが、組換えバク テリオファージ、プラスミド或いはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した バクテリア、酵母菌発現ベクターで形質転換 した酵母菌、ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆 虫細胞系、ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルスCaMV、 タバコモザイクウイルスTMV)をトランスフェクトした、或いはバクテリア発現 ベクター(例えばTi、或いはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系、或 いは動物細胞系が含まれる。 これらの系の「制御エレメント」或いは「調節配列」は、その力及び特異性は 様々で、ベクターの非翻訳領域、エンハンサー、プロモータ及び3’非翻訳領域 であり、これらは転写及び翻訳を実行するために宿主細胞のタンパク質と相互作 用する。利用されるベクター及び宿主に応じて、構成的及び誘導性プロモータを 含む任意の数の適切な転写及び翻訳エレメントが用いられ得る。例えば、バクテ リア系においてクローニングする際には、Bluescript(登録商標)ファージミド (Stratagene社,LaJolla CA)のハイブリッドlacZプロモータ及びptrp-lacハイ ブリッド並びに同様の誘導性プロモータが用いられる。バキュロウイルスポリヘ ドリンプロモータは昆虫細胞において用いられる。植物細胞のゲノム(例えば熱 ショック,RUBISCO及びストレージタンパク質遺伝子)に由来する、或いは植物ウ イルス(例えばウイルス性プロモータ或いはリーダー配列)に由来するプロモー タ或いはエンハンサはベクターにクローン化され得る。哺乳動物細胞では、哺乳 動物遺伝子或いは哺乳動物ウイルス由来のプロモータが最適である。scahの 多数の複製を含む株細胞を生成する必要がある場合には、SV40或いはEBVに基づ くベクターを、適切な選択マーカーと共に用いる。 細菌系では、SCAHの発現の用途に応じて多数の発現ベクターが選択され得 る。例えば抗体を誘発するために大量のSCAHが必要とされる場合は、容易に 精製される融合タンパク質を高濃度で発現できるベクターが望まれる。そのよう なベクターには、限定はしないが、大腸菌ク ローニングベクター及び発現ベクターpBluescript(登録商標)(Stratagene社 )(このベクターにおいて、scahコード化配列が、アミノ基末端メチオニン 及び後続のβ−ガラクトシダーゼの7残基の配列を備えたフレーム内においてベ クターに結合されてハイブリッドタンパク質が生成される)や、pINベクター(V an Heeke&Schuster(1989)J Biol Chem 264:5503-5509)等が含まれる。またpG EXベクター(Promage社、Madison WI)もグルタチオンS−トランスファーゼ(G ST)を有する融合タンパク質として異種ポリペプチドを発現するため用いられる 。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオンアガロース ビーズへの吸着に続き、遊離グルタチオンの存在下における溶出により溶解した 細胞から容易に精製できる。その系において生成されたタンパク質はヘパリン、 トロンビン或いはXA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計され、対象と なるクローン化ポリペプチドは随意にGST部分から放出され得る。 酵母菌、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)では、α因 子、アルコールオキシダーゼ及びPGHのような構成的或いは誘導性プロモータ を含む多数のベクターが用いられる。再検討する場合には、Ausubel等(前出) 及びGrant等(1987)Methods Enzymol 153:516-544を参照されたい。 植物発現ベクターを用いる場合には、SCAHをコードする配列の発現は、多 数の任意のプロモータにより促進される。例えばCaMVの35S及び19Sプロモータ( Brisson等(1984)Nature 310:511-514)のようなウイルス性プロモータは、単 独で、或いはTMV(Takamatsu等(1987)EMBO J 6:307-311)からのオメガ−リーダー 配列と共に用いられる。別法では、RUBISCO(Coruzzi等(1984)EMBO J 3:1671- 1680)、Broglie等(1984)Science 224:838-843)の小サブユニット、或いは熱 ショックプロモータ(Winter J及びSinibaldi RM(1991)Results Probl Cell Dif fer 17:85-105)のような植物プロモータが用いられる。これらの構成は直接D NA形質転換或いは病原体媒介トランスフェクションにより植物細胞内に導入さ れる。そのような技術を再検討する場合には、Hobbs S及びMurry LE、McGraw Hi ll Yearbook of Science and Technology(1992)McGraw Hill NY,pp191-196及 びWeissbach and Weissbach(1988)Methods for Plant Molecular Biology,Ac ademic Press NY,pp421-463を参照されたい。 scahを発現するために用いることができる別の発現系は昆虫系である。そ のような系の一つでは、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV) がベクターとして用いられ、Spodoptera frugiperda細胞或いはTrichoplusiaの 幼虫において外来遺伝子を発現する。scahコード化配列は、ポリヘドリン遺 伝子のような、ウイルスの非必須領域にクローニングされ、ポリヘドリンプロモ ータの制御下に置かれる。scahの挿入が成功した場合には、ポリヘドリン遺 伝子が失活され、コートタンパク質膜が欠如した変異体ウイルスが生成される。 次いで、この変異体ウイルスは、S.frugiperda細胞或いはTrichoplusiaの幼虫へ の感染させるために用いられ、その中でSCAHが発現される(Smith等(1983 )J Virol 46:584、Engelhard EK等(1994)Proc Nat Acad Sci 91:3224-7)。 哺乳類宿主細胞では、多数のウイルス性発現系を利用することができる。発現 ベクターとしてアデノウイルスが用いられる場合には、scahのコード化配列 は、後期プロモータ及び三連リーダ配列からなるアデノウイルス転写物/翻訳物 複合体内に結合される。ウイルス性ゲノムの非必須E1またはE3領域への挿入によ り、感染した宿主細胞でSCAHを発現することができる生存可能なウイルスに なる(Logan及びShenk (1984)Proc Nat Acad Sci 81:3655-3659)。さらにラウス肉腫ウイルス(RSV )エンハンサのような転写エンハンサを哺乳類宿主細胞内の発現を増加させるた めに用いることができる。 また、挿入されるSCAHコード化配列の効率的な翻訳のためには、特定の開 始シグナルも必要である。これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接の配 列が含まれる。scah及びその開始コドン及び上流配列が適切な発現ベクター 内に挿入される場合には、追加の翻訳制御シグナルは不要である。しかしながら コード化配列、或いはその一部のみが挿入される場合には、ATG開始コドンを含 む外来の翻訳制御シグナルが与えられなければならない。さらに、開始コドンは 正しい読み枠内にある必要があり、全インサートの転写を確実に行わなければな らない。外来転写エレメント及び開始コドンは、自然及び合成両方の様々な起源 に由来するものであり得る。発現の効果は、その細胞系に適切なエンハンサを含 めることにより強化される(Scharf等(1994)Results Probl Cell Differ 20:12 5-62、Bitter等(1987)Methods Enzymol 153:516-544)。 さらに宿主細胞株は、挿入された配列を望ましい形に改変したり、発現したタ ンパク質のプロセシングを行う能力で選択される。このようなポリペプチドの修 飾は、限定はしないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化 、脂質化(lipidation)並びにアシル化を含む。またタンパク質の「プレプロ」 形態を切り離す、翻訳後プロセシングは、正しい挿入、折り畳み、並びにまた機 能の発揮のために重要である。CHO,HeLa,MDCK,293,WI38等のような異なる宿主 細胞は、そのような翻訳後活性のための特定の細胞機構及び特徴的な機構を有し ており、導入される外来タンパク質の修飾やプロセシングを確実に実行するべく 選択される。 長期間にわたって高収率の変異体タンパク質の生産を確保するために は、安定した発現が望ましい。例えばSCAHを安定的に発現する株細胞は、ウ イルス由来の複製物、或いは内在性発現エレメント及び選択マーカー遺伝子を含 む発現ベクターを用いて形質転換される。ベクターの導入に続いて、細胞は、選 択培地に切り替えられる前に、濃縮培地内で1〜2日間成長させられる。選択マ ーカーは選択物への耐性を与え、導入された配列をDNA内に安定的に結合する 細胞を同定できるようにする。安定的に形質転換された細胞の耐性凝集塊はその 細胞型に適切な組織培養技術を用いて増殖することができる。 形質転換された細胞株を回収するために任意の数の選択系を用いることができ る。限定はしないが、選択系は単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler 等(1977)Cell 11:223-32)及びアデニン ホスホリボシルトランスフェラーゼ (Lowy等(1980)Cell 22:817-23)遺伝子を含み、それぞれtk-及びaprt-細胞に おいて用いられる。また代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択の 基礎として用いることができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を 与え(Wigler 等(1980)Natl Acad Sci 77:3567)、nptはアミノグリコシッド剤 、ネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え(Colberre-Garapin等(1981)J M ol Biol 150:1)、als或いはpatはクロルスルフロン(chlorsulfuron)、フォスフ ィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(phosphinotricin acetyltransferas e)に対する耐性を与える(Murry上記)。さらに選択可能な遺伝子として、例え ば細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用できるようにするtrpB、細 胞がヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)を利用できるようにするhi sDが記載されている(Hartman及びMulligan(1988)Proc Nalt Acad Sci 85:804 7)。最近になって、形質転換体を同定するためばかりではなく、特定ベクター 系による一過性の或いは安定なタンパク質発現の量を定量するために広 く用いられるβ−グルクロニダーゼ、アントシアニン及びルシフェリンのような 標識による可視標識が非常によく用いられるようになった(Rhodes CA等(1995 )Methods Mol Biol 55:121-31)。 本発明のポリヌクレオチド配列を含む形質転換体の同定 マーカー遺伝子発現の存在/不在は、対象の遺伝子も存在することを示唆する が、その存在及び発現は確認されるべきである。例えばscahがマーカー遺伝 子配列内に挿入されるなら、scahを含む組換え細胞がマーカー遺伝子の機能 の存在により同定できる。別法ではマーカー遺伝子は、単一プロモータの制御下 でscah配列と直列に配置することができる。誘導または選択に応じてのマー カー遺伝子の発現は、通常さらにscahの発現をも示す。 この他、scahのコーディング配列を含み、さらにSCAHを発現する宿主 細胞が、当業者には周知の様々な手順により同定できる。これらの手順は、限定 はしないが、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーション及び 、核酸及びタンパク質の検出並びにまた定量するための膜、溶液或いは破片ベー スの技術を含むタンパク質バイオアッセイ或いはイムノアッセイを含む。 scahポリヌクレオチド配列の存在は、scahのプローブ、一部、或いは フラグメントを用いるDNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーシ ョン或いは、増幅により検出することができる。核酸増幅に基づくアッセイでは 、scah配列に基づくオリゴヌクレオチド或いはオリゴマーを使用し、sca hのDNA或いはRNAを含む形質転換体を検出する。本明細書において「オリ ゴヌクレオチド」或いは「オリゴマー」とは、プローブ或いは、PCRで増幅さ れるセグメントであるアンプリマーとして用いることができる、少なくとも10 ヌクレオチド、多い場合には60ヌクレオチド、好適には15〜30ヌクレオチ ド、 より好適には20〜25ヌクレオチドの核酸配列を指す。 目的タンパク質に特異的なポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいず れかを用いてSCAHポリペプチドの発現を検出し、測定するための種々のプロ トコルが当業者には周知である。このようなプロトコルの例としては、酵素結合 免疫検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光表示式細 胞分取器法(FACS)を含む。SCAHポリペプチド上で2つの非干渉なエピ トープに対して反応するモノクローナル抗体を利用する二部位モノクローナルイ ムノアッセイ(two-site,monoclonal-based immunoassay)は好適ではあるが、 競合的結合アッセイも用いられる。これらアッセイの並びに他のアッセイは、Ha mpton R等(1990,Serologivcal Methods,a Laboratory Manual,APS Press,St P aul MN)及びMaddox DE等(1983,I Exp Med 158:1211)等に記載されている。 さらに多くの標識及び結合技術は当業者には周知であり、種々の核酸及びアミ ノ酸検査法において用いることができる。scahに関連する配列を検出するた めの標識されたハイブリダイゼーション或いはPCRプローブを生成するための 手段には、オリゴ標識化、ニックトランスレーション法、末端標識化或いは標識 化ヌクレオチドを用いるPCR増幅などがある。別法では、scah配列、或い はその任意の部分が、mRNAプローブの生成のためにベクターにクローニング される。そのようなベクターは当分野では周知であり、市販されており、T7, T3或いはSP6並びに標識されたヌクレオチドのような適切なRNAポリメラ ーゼの付加により、in vitroでのRNAプローブ合成のために用いることができ る。 Pharmacia Biotech社(Piscataway NJ)、Promega社(Madison WI)並びにUS Biochemical社(Cleveland OH)のようないくつかの企業が これらの手順に対する商用のキット及びプロトコルを提供している。適切なリポ ーター分子、すなわち標識には、放射性核種、酵素、蛍光性剤、化学ルミネセン ス剤或いは色素生成剤や、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子或いはそれ に類似のものが含まれる。そのような標識の使用について記載している特許には 、米国特許第3,817,837号、第3,850,752号、第3,939,350号、第3,996,345号、第 4,277,437号、第4,275,149号並びに第4,336,241号がある。また、組換え免疫グ ロブリンの製造については米国特許第4,816,567号に記載の方法を用いることが でき、本明細書とともに参照されたい。 SCAHの精製 scahヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培地からコート 化タンパク質を発現及び回収するために適切な条件下で培養される。組換え細胞 により生成されるタンパク質は、用いられる配列並びにまたベクターに応じて、 細胞内に分泌、つまり含まれるようにすることができる。当業者には理解される ように、scahを含む発現ベクターは、原核細胞か、真核細胞の細胞膜を通し てのSCAHを分泌を誘導するシグナル配列を含むように設計される。他の組換 え体作製物では、scahを、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペプチ ドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合することができる(Kroll DJ等 (1993)DNA Cell Biol 12:441-53、融合タンパク質を含むベクターに関する上 記論議も参照されたい)。 またSCAHは、タンパク質精製を容易にするために加えられた1または2以 上の付加的なポリペプチドドメインを備えた組換えタンパク質として発現される 。そのような精製を容易にするドメインには、限定はしないが、固定化金属上で の精製を可能にするヒスチジントリプトファンモジュールのような金属キレート ペプチド(Porath J(1992)Protain Expr Purif 3:263-281)、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテ インAドメイン、並びにFLAGS延長/アフィニティ精製システムにおいて用 いられるドメイン(Immunex社、Seattle WA)が含まれる。精製ドメイン及びS CAH間に第XA因子或いはエンテロキナーゼ(Invitrogen,San Diego CA)の ような切断可能なリンカー配列を含めるのは精製を促進するのに役立つ。このよ うな発現ベクターの1つは、SCAHを損なう融合タンパク質の発現を提供し、 かつ6個のヒシチジン残基、それに続くチオレドキシン及びエンテロキナーゼ切 断部位をコードする核酸を含む。ヒシチジン残基によりIMIAC(固定化金属 イオンアフィニティークロマトグラフィー、Porathら(1992)Protein Expressi on and Purification 3:263-281に記載)上での精製を促進すると共にエンテロ キナーゼ切断部位は、融合タンパク質からの目的タンパク質の精製のための手段 となる。 組換え体の産生に加えて、SCAHのフラグメントは、固層技術を用いた直接 のペプチド合成で形成することもできる。(Stewart等(1969)Solid-Phase Pet ide Synthesis ,WH Freeman Co,San Francisco;Merrifield J(1963)J Am Chem Soc85:2149-2154を参照されたい)。in vitroタンパク質合成は手作業で行える が、自動化することもできる。自動的な合成は、例えば、Applied Biosystem 43 1Aペプチドシンセサイザ(Perkin Elmer,Foster City CA)を製造者の指示に従 って用いて行うことができる。SCAHの種々のフラグメントを個別に化学的に 合成し、化学的方法を用いて結合して完全長分子を作り出すことができる。 SCAHの使用 ここに開示した核酸配列及びポリペプチド配列の使用の原理は、第3図に示す 幹細胞抗体間の構造的相同性、及びClasson BJとL Coverdale(前出)が報告し たLY−6ファミリータンパク質間の機能的類似性に 基づくものである。 幹細胞抗原の高度な発現は、種々の組織に由来する腫瘍及びより悪性の発現形 と相関性を有することから、SCAH−1及びSCAH−2タンパク質を、細胞 増殖を誘発することなく局所的な腫瘍の増殖及び発達の効率を低下させる抗体、 アンタゴニスト、インヒビターを同定するために用いることができる。更に、S CAH抗体、アンタゴニスト、またはインヒビターを、自己移植及びループス腎 炎に伴うアロ応答への介入のために用いることができる。 SCAHの抗体 SCAH特異的抗体は、SCAHの発現が関係する病気や疾病の診断のために 役立つ。抗体誘発のためのSCAHは生物学的活性を有している必要はないが、 そのタンパク質断片、つまりオリゴペプチドは抗原性でなければならない。特異 的抗体を誘発するために用いられるペプチドは、少なくとも5個のアミノ酸、好 ましくは少なくとも10個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する。これらの 配列は、天然タンパク質のアミノ酸配列の一部と同一のものであり、小形の自然 発生の分子の全アミノ酸配列を含み得る。SCAHアミノ酸の短いストレッチを 、キーホールリンペットヘモシアニン及びキメラ分子に対して産生された抗体の ような他のタンパク質の配列に融合することができる。中和抗体、すなわちSC AHポリペプチドの生物活性を抑制する抗体は、特に診断及び治療に好適である 。 抗体を産生するために、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス等を含む種々の宿主は 、免疫学的特性を保持するSCAH或いはその任意の部分、フラグメント或いは オリゴペプチドを注入することにより免疫することができる。宿主の種に応じて 、種々のアジュバントが免疫学的反応を促進するために用いられる。そのような アジュバントには、限定はしないが、 フロイントのアジュバント、水酸化アルミニウムのような無機質ゲルアジュバン ト、リゾレシチンのような表面活性物質アジュバント、プルロニックポリオルア ジュバント、ポリアニオンアジュバント、ペプチドアジュバント、油性乳剤アジ ュバント、キーホールリンペットヘモシニアンアジュバント並びにジニトロフェ ノールアジュバントが含まれる。BCG(カルメット‐ゲラン杆菌)及びコリネ バクテリウムパルヴム(Corynebacterium parvum)は有用なヒトアジュバントで ある。 SCAHに対するモノクローナル抗体は、培地中の連続株細胞による抗体分子 の産生を行うための任意の技術を用いて調製される。これらは、限定はしないが 、Koehler及びMilstein(1975,Nature 256:495-497)に当初掲載されたハイブ リドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor等(1983)Immunol Toda y 4:72、Cote等(1983)Proc Natl Acad Sci 80:2026-2030)及びEBV−ハイ ブリドーマ技術(Cote等(1985)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R Liss Inc,pp77-96)を含む。 さらに、適切な抗原特異性並びに生物活性を有する分子を得るための「キメラ 抗体」の生成、即ちヒト抗体遺伝子へのマウス抗体遺伝子のスプライシングのた めに開発された技術が用いられる(Morrison等(1984)Proc Natl Acad Sci 81: 6851-6855)、Neuberger等(1984)Nature 312:604-608、Takeda等(1985)Natu re 314:452-454)。別法では、一本鎖抗体の生成のための周知技術(米国特許第 4,946,778号)を、SCAH特異的一本鎖抗体を生成するために適用する。 また抗体は、リンパ球集団におけるin vivo生成を誘導することにより、或い はOrlandi等(1989,Proc Natl Acad Sci 86:3833-3837)並びにWinter G及びMi lstein C(1991,Nature 349:293-299)に開示されているような組換え免疫グロ ブリンライブラリー、または高度に特異的 な結合試薬のパネルをスクリーニングすることによっても生成することができる 。 SCAHに対する特異結合部位を含む抗体フラグメントも生成することができ る。例えばこのようなフラグメントには、限定はしないが、抗体分子のペプシン 消化により生成することができるF(ab’)2フラグメント及びF(ab’)2 フラグメントのジスルフィド架橋を減らすことにより生成することができるFa bフラグメントが含まれる。別法では、所望の特異性を有するモノクローナルF abフラグメントを迅速に、しかも容易に同定できるように、Fab発現ライブ ラリーを構築する(Huse WD等(1989)Science 256:1275-1281)。 確立された特異性を有するポリクローナル抗体或いはモノクローナル抗体のい ずれかを用いる競合的結合アッセイ或いは免疫放射定量測定法のための種々のプ ロトコルが当分野ではよく知られている。そのようなイムノアッセイでは、一般 に、SCAHとその特異的抗体(或いは類似のSCAH結合分子)との間の複合 体の形成、並びに複合体形成の測定が行われる。特異的SCAHタンパク質上の 2つの非干渉性エピトープに対して反応するモノクローナル抗体を利用する二部 位モノクローナル用イムノアッセイが好適ではあるが、競合結合アッセイも用い られる。これらの検査法はMaddox DE等(1983,J Exp Med 158:1211)に記載さ れている。 SCAH特異的抗体を用いる診断検査法 特定のSCAH抗体は、SCAHの発現の誘発により特性化される病気や疾病 の診断や、SCAHで治療された患者のモニタリングのためのアッセイにおいて 役立つ。SCAHに対する診断検査法は、ヒトの体液、細胞、組織或いはそのよ うな組織の切片または抽出物において、SCAHを検出するための抗体或いは標 識を利用する方法を含む。本発明のポ リペプチド及び抗体は、修飾の有無に拘わらず用いることができる。多くの場合 、ポリペプチド及び抗体は、共有結合、或いは非共有結合かのいずれかでリポー ター分子と結合することにより標識される。種々のリポーター分子が周知となっ ており、その幾つかについては上記した。 それぞれのタンパク質に対して特異的なポリクローナル抗体或いはモノクロー ナル抗体を用いて、SCAHポリペプチドを測定するための種々のプロトコルが 当分野では周知である。その例として、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオ イムノアッセイ(RIA)並びに蛍光表示式細胞分取器法(FACS)がある。SCA Hポリペプチド上の2つの非干渉性エピトープに対して反応するモノクローナル 抗体を利用する二部位モノクローナルベースイムノアッセイは好適ではあるが、 競合的結合アッセイも用いられる。これらのアッセイは、他にもあるが、Maddox DE等(1983,I Exp Med 158:1211)に記載されている。 疾病の診断の基礎を提供するために、SCAH発現についての通常の値、すな わち標準値が確立されなければならない。これは複合体形成のために適切な条件 下で、ヒト或いは動物どちらでもよいが、正常の被験者から得られる体液或いは 細胞抽出物と、SCAHに対する抗体とを結合することにより得ることができる が、これは当分野ではよく知られた技術である。標準的な複合体形成量は、一連 のポジティブコントロールの希釈系とそれを比較することにより定量され、抗体 の既知の量が既知の濃度の精製SCAHと結合される。その後正常サンプルから 得られた標準値を、SCAHが関係する疾患を潜在的に患う被験者からのサンプ ルから得られた値と比較する。標準値と対象値との偏差によって疾病状態の存在 を確認できる。 薬物スクリーニング SCAH、その触媒作用性または免疫原性フラグメント或いはオリゴ ペプチドは、種々の任意の薬物スクリーニング技術において治療用化合物のスク リーニングのために用いることができる。そのような試験において用いられるフ ラグメントは、溶液、固体支持体への付着、細胞表面への付着、或いは細胞内へ の定着において制限はない。SCAHと試験される薬剤との間の触媒活性、すな わち結合複合体形成の低下が測定される。 薬物スクリーニングのための別の技術は、SCAHポリペプチドへの安定的な 結合親和性を有する化合物の高スループットスクリーニングを可能にするもので あり、Guisen HNによる“Determination of Amino Acid Sequence Antigenisity ”なる名称の、1984年9月13日公告の特許出願WO84/03564に詳細に記載さ れている。この文献を本明細書に一体に参照されたい。概要を述べると、多数の 別々の小ペプチド試験用化合物をプラスチックピン或いはいくつかの他の表面の ような、固体基質上で合成する。ポリペプチド試験化合物をSCAHフラグメン トと反応させ、洗浄する。次いで結合SCAHを当分野で周知の方法により検出 する。また精製SCAHを前述の薬物スクリーニング技術において使用するため に、プレート上に直接コーティングすることもできる。別法では、ペプチドを捕 捉し、固形支持体上にペプチドを固定するために非中和抗体を用いる。 また本発明は、SCAHに結合し得る中和抗体特性が、SCAHとの結合につ いて特に試験化合物と競合する競合的薬物スクリーニングアッセイの使用も意図 している。このようにして、抗体を用いて1または2以上の抗原性決定基をSC AHと共通に有する任意のペプチドの存在を検出することができる。 SCAHコード化ポリヌクレオチドの使用 scahポリヌクレオチド、或いはその一部が診断並びにまた治療目 的で用いられる。診断目的の場合、本発明のscahは、SCAHの発現が関与 する生検組織における遺伝子発現を検出し、かつ定量するために用いられる。診 断試験は、scahが存在、不存在、及び過剰発現の何れの状態にあるかを区別 したり、治療的介入の際にscah濃度の調節をモニタリングするのに役立つ。 本発明の範囲には、オリゴヌクレオチド配列、アンチセンスRNA及びDNA分 子、及びPNAが含まれる。 LY−6ファミリーのメンバーは、インターロイキン2(IL−2)分泌を遮 断することが分かっていることから、ここに開示したSCAHタンパク質は、細 胞媒介免疫において類似の役割を果たし得、また抗がん剤として役立ち得る。s cah−1またはscah−2がIL−2活性を妨げるならば、自然発生のsc ah−1またはscah−2の発現に干渉するアンチセンス分子またはPNA分 子は、T及びNK細胞の増殖の回復を助けるとともに、NK細胞の腫瘍溶解活性 の回復を助けることになる。このようなアンチセンス分子またはPNA分子は、 転移性黒色腫及び腎細胞癌の治療のために役立ち得る。 本発明の別の側面は、SCAHまたは近縁な分子をコードするゲノム配列を含 むポリヌクレオチド配列を検出できるハイブリダイゼーションプローブ或いはP CRプローブを提供することである。そして、そのプローブの特異性、すなわち 非常に高度な保存領域(例えば5’調節領域における10個の独特のヌクレオチ ド)か、低度に保存的な領域(例えば特に3’領域におけるシステイン残基の間 の領域)の何れに由来するのかということや、ハイブリダイゼーション或いは増 幅の(高度の、中程度の或いは低度の)厳密性によって、そのプローブが自然発 生scahのみを同定するものであるか、或いはアレル配列や近縁な配列も同定 するものであるかが決まってくる。 このようなプローブは近縁なコーディング配列を検出するためにも用 いることができ、好ましくは、これらのSCAHの任意のものをコードする配列 から得られるヌクレオチドを少なくとも50%含むべきである。本発明のハイブ リダイゼーションプローブは、配列番号:3及び4のヌクレオチド配列か、自然 発生scahのプロモータ、エンハンサエレメント及びイントロンを含むゲノム の配列に由来するものであり得る。ハイブリダイゼーションプローブは種々のリ ポータ分子により標識することができ、この標識には、32Pや35Sのような放射 性核種、アビジン/ビオチン結合系によりプローブに結合するアルカリホスファ ターゼのような酵素標識等が含まれる。 scahのDNAに対する特異的ハイブリダイゼーションプローブの生成のた めの他の手段は、mRNAプローブ産生用のベクターにSCAHやSCAH誘導 体をコードする核酸配列をクローン化することである。このようなベクターは周 知であって市販されており、T7及びSP6RNAポリメラーゼのような適切な RNAポリメラーゼや適切な放射性標識ヌクレオチドを付加することにより、in vitroでRNAプローブを合成するために用いることができる。 現在、完全に合成ケミストリによりSCAH又はその誘導体をコードするDN A配列、若しくはその一部分を作成して、その後、その合成遺伝子を任意の入手 可能なDNAベクター及び細胞系に、この出願時点において周知の試薬を用いて 挿入することができる。更に、合成ケミストリを用いてscah配列又はその任 意の部分に突然変異を誘発させることができる。 診断 SCAHコード化ポリヌクレオチド配列を、SCAHの発現が関与する病気や 疾病の診断のために用いることができる。例えば、SCAHをコードするポリヌ クレオチド配列を、scah発現を検出するための生 検組織や体液の、ハイブリダイゼーションアッセイ或いはPCRアッセイにおい て用いることができる。そのような定性的及び定量的方法の形態には、サザンブ ロット法或いはノーザンブロット法、ドットブロット法或いは他の膜用技術、P CR技術、ディップスティック試験法(試験紙法)、ピン或いはチップ技術及び ELISA技術が含まれる。これらの技術は全て、当分野ではよく知られており、実 際に市販されている多くの診断キットの基礎となっている。 ここに開示したscahヌクレオチド配列は、悪性腫瘍に関係する活性化や誘 導を検出するアッセイの基礎を提供する。scahヌクレオチド配列は、既知の 方法により標識され得、ハイブリダイゼーション複合体の形成に適した条件の下 で、患者の体液や組織のサンプルに加えられる。インキュベーション時間の経過 後、このサンプルを、ヌクレオチドが酵素で標識されている場合には所望に応じ て色素(または他の展開剤を要する標識)を含む適合性の液体で洗浄する。この 適合性の液体をリンスした後、色素を定量して標準値と比較する。生検サンプル や抽出サンプルにおける色素の量が、比較用対照サンプルの色素量を著しく上回 っている場合には、このヌクレオチド配列はサンプルのヌクレオチド配列とハイ ブリッド形成しており、サンプル内に著しく高い濃度のscahヌクレオチド配 列が存在していることは、関連する炎症及び/または疾患が存在していることを 示している。 このようなアッセイは、特定の治療行為の有効性を評価するため、動物実験、 臨床試験、或いは個々の患者の治療をモニタリングする際に用いることができる 。疾患を診断するための基礎を与えるために、scah発現に対する正常な或い は標準的なプロフィールが確立されなければならない。この標準プロフィールは 、正常な被験者、すなわち動物或いはヒトから得られる体液或いは細胞抽出物を 、ハイブリダイゼーション 或いは増幅に適切な条件下で、scah或いはその一部と結合することにより確 立される。標準的なハイブリッド形成は、正常被験者に対して得られる値と、既 知の精製scah量が用いられる同一の実験におけるポジティブコントロール希 釈系列で得られる値とを比較することにより定量することができる。正常なサン プルから得られた標準値は、scah発現に関連する障害或いは疾患を潜在的に 患っている被験者からのサンプルから得られる値と比較される。標準値と被験者 値との偏差から疾病の存在が確認される。 疾患が確認された場合は、現存する治療用薬剤が投与され、治療プロファイル が作成される。このようなアッセイは、その数値が正常すなわち標準パターンに 向かって回復しているか否かを評価するために規則的に繰り返される。継続的な 治療プロファイルを用いて数日間或いは数ヶ月の期間にわたる治療効果を示すこ とができる。 米国特許第4,683,195号、第4,800,195号並びに第4,965,188号に記載のような PCR法により、scah配列に基づくオリゴヌクレオチドの追加の使用法が提 供される。このようなオリゴマーは一般には化学的に合成されるが、酵素を用い て発生させたり、或いは組換えソースから生成することもできる。一般にオリゴ マーは、通常特定の遺伝子或いは状態を同定するために最適な条件下で用いられ る2つのヌクレオチド配列、即ちセンス方向(5’→3’)のヌクレオチド及び アンチセンス方向(3’←5’)のヌクレオチドからなる。同一の2つのオリゴ マー、ネスト化オリゴマーの組、或いはオリゴマーの縮重プールでさえ、近縁な DNAまたはRNA配列の検出や定量のためのより低い厳密性の条件下であって も用いることができる。 さらに特定の分子の発現を定量するための方法には、放射標識(Melby PC等199 3 J Immunol Methods 159:235-44)或いはビオチン標識 (Duplaa C等1993 Anal Biochem 229-36)ヌクレオチドの利用、制御核酸の同時 増幅(coamplification)の利用、並びに実験結果を補完して書かれた標準的な グラフ曲線の利用が含まれる。多数のサンプルの定量は、ELISA形式のアッ セイを実行することにより迅速に行うことができ、対象のオリゴマーが様々な希 釈溶液中に現れ、分光光度分析或いは比色分析反応により迅速に定量することが できる。例えば、生検組織の抽出物におけるscahの存在は、癌の発症を示し ている。このタイプの確定的診断により、健康の専門家が患者の積極的治療を開 始したり、病状の悪化を防ぐことが可能となる。同様に、当業者に周知のアッセ イを用いて、患者の治療の際に、その病状の進行をモニタリングすることができ る。また、まだ開発されていない分子生物学的技術でも、その新技術が既知のヌ クレオチド配列の性質、例えばトリプレット遺伝暗号、特異的塩基対形成等に基 づくものであれば、ここに開示したヌクレオチド配列をそれに利用することがで きる。 治療 ここに開示したscahポリヌクレオチドは、そのトリPKI遺伝子に対する 相同性及びその発現プロフィールに基づき、前立腺癌、大腸癌、乳癌、嚢胞性線 維症、及び喘息や全身性エリテマトーデスのような自己免疫疾患のような病気の 治療に役立つ。 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス或いはワクシニアウイルスに由来 する発現ベクター、或いは細菌性プラスミドに由来する発現ベクターは、標的の 器官、組織、または細胞群へのヌクレオチド配列の送達のために用いられる。当 業者によく知られた方法は、アンチscahを発現する組換えベクターを構築す るために用いることができる。例えばManiatis等(上記)及びAusubel等(上記 )に記載された技術を参照されたい。 完全長cDNA配列、並びにまたその調節エレメントを含むポリヌクレオチド により、研究者は遺伝子機能のセンス調節(Youssoufian H及びHF Lodish 1993 Mol Cell Biol 13:98-104)、或いはアンチセンス調節(Eguchi等(1991)Annu Rev Biochem 60:631-652)の調査用のツールとしてscahを用いることができ る。このような技術は、現在当分野ではよく知られており、センス或いはアンチ センスオリゴヌクレオチド、或いはより大きなフラグメントを、コーディング領 域或いは制御領域に沿った様々な位置から設計することができる。 所望のscah断片を高濃度で発現する発現ベクターを細胞または組織にトラ ンスフェクトすることにより、SCAHをコードする遺伝子の機能を停止させる ことができる。このような作製物は、翻訳不可能なセンス或いはアンチセンス配 列とともに細胞から溢れ出し得る。DNAへの組み込みがない場合ですら、この ようなベクターは、全ての複製物が内生ヌクレアーゼにより分解されるまで、R NA分子を転写し続ける。このような一過性の発現は、非複製ベクター(Mettle r I,personal communication)でも1ヶ月以上、適当な複製エレメントがベクタ ー系の一部である場合には更に長い期間継続し得る。 上述のように、scahの制御領域、例えばプロモータ、エンハンサ或いはイ ントロンに対するアンチセンス分子、DNA、RNAまたはPNAを設計するこ とにより遺伝子発現を修飾することができる。転写開始部位、例えばリーダー配 列の+10〜−10領域の問に由来するオリゴヌクレオチドが好適である。また アンチセンス分子は、転写産物がリボソームへの結合するのを防止することによ り、mRNAの翻訳を阻止するように設計される。同様に、抑制は、「三重らせ ん」塩基対合法を用いて達成することができる。三重らせん対合は、二重らせん が、ポリメラーゼ、転写因子、或いは調節分子を結合するべく十分に開かないよ うにする。三重らせんDNAを用いた最近の治療法は、Gee JEら(Huber BE and BI Carr(1994)Molecular and Immunologic Approaches,Futura Publishing Co, Mt Kisco NY)により記載されている。 リボザイムはRNAの特異的切断を触媒することができる酵素性RNA分子で ある。リボザイムの作用の仕組みでは、相補的標的RNAへのリボザイム分子の 配列特異的ハイブリダイゼーションが行われ、その後エンドヌクレアーゼによる 切断(endonucleolytic cleavage)がなされる。発明の範囲内には、scahの エンドヌクレアーゼによる切断を、特異的に及び効果的に触媒し得る、人工合成 のハンマーヘッド型リボザイム分子も含まれている。 任意の潜在的なRNA標的内の特異的なリボザイム切断部位の最初の同定は、 配列GUA、GUU並びにGUCが後続するリボザイム切断部位に対する標的分 子を走査することにより行われる。一度同定されると、切断部位を含む標的遺伝 子の領域に対応する15〜20個のリボヌクレオチドの間の短いRNA配列は、 そのオリゴヌクレオチドの機能を停止させる2次構造の特徴について評価される 。また候補の標的の適切性の評価は、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて相 補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成に対する接触性を試験すること により行われる。 本発明のアンチセンス分子及びリボザイムは、RNA分子を合成するのための 当分野で周知の方法により調製することができる。これらの技術には、固相ホス ホラミダイト(phosphoramidite)化学合成のような化学合成オリゴヌクレオチ ドの技術が含まれる。別法では、RNA分子を、SCAHをコードするDNA配 列のin vivo及びin vitro転写により生成することができる。このようなDNA 配列は、T7或いはSP6のような適切なRNAポリメラーゼプロモータを有す る多種のベクター に組み込まれる。別法では、構造的に或いは誘導的にアンチセンスRNAを合成 するアンチセンスcDNA構成物が、株細胞、細胞或いは組織内に導入される。 RNA分子は細胞内安定性を高め及び半減期を長くするために修飾することが できる。実行可能な修飾には、限定はしないが、その分子の5’並びにまた3’ 末端のフランキング配列の付加、或いは分子のバックボーン内にホスホジエステ ラーゼ連鎖ではなくホスホロチオネート(phosphorothioate)或いは2’O−メ チルを使用することを含む。このコンセプトは、PNAの産生において固有のも のであり、内在性エンドヌクレアーゼにより容易に認識されないアデニン、グア ニン、シチジン、チミン、及びウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−、及び 類似の修飾形態とともに、イノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブト シン(Wybutosine)のような従来あまり用いられなかった塩基を含めることによ って、これら全ての分子に拡張することができる。 細胞或いは組織内にベクターを導入するための方法には、以下に議論される方 法が含まれ、これらの方法は、in vivo、in vitro、及びex vivo治療法に対して も適切なものである。ex vivo治療法の場合には、患者から採取された幹細胞に ベクターを導入し、自家移植のためにクローンとして増殖して同じ患者に戻す方 法が、ここで引用されている米国特許第5,399,493号及び第5,437,994号に記載さ れている。トランスフェクションによる送達、リポソームによる送達は、当分野 でよく知られているものである。 更に、ここに開示するscahのヌクレオチド配列は、新技術、即ち、限定は しないが、それがトリプレット遺伝暗号及び特異的塩基対合相互作用のような特 性を含む、現在周知のヌクレオチド配列の特性に依存する技術であれば、まだ開 発されていない分子生物学的技術においても用 いることができる。 近縁なポリヌクレオチド配列の検出及びマッピング scahの核酸配列は、自然発生のゲノム配列のマッピングのためのハイブリ ダイゼーションプローブを生成するために用いることができる。この配列は、よ く知られた技術を用いて、特定の染色体或いはその染色体の特定領域に対してマ ッピングすることができる。このような技術には、染色体の拡がり(chromosoma lspreads)についてのin situハイブリダイゼーション(Verma等(1988)Human Chromosomes:A Manual of Basic Technique,Pergamon Press,New York)、フロ ーソーティング(flow-sorted)染色体調製法、或いは酵母菌人工染色体(YA Cs)、細菌性人工染色体(BACs)、細菌性P1構造体或いはPrice CM(19 93;Blood Rev 7:127-34)及びTrask BJ(1991;Trends Ganet 7:149-54)に概要 が示されている単染色体cDNAライブラリのような人工染色体構造が含まれる 。 染色体の拡がりの蛍光in situハイブリダイゼーションの技術は、“Verma等( 1988)Human Chromosomes:A Manual of Basic Technique,Pergamon Press,New York”に記載されている。染色体調製物の蛍光in situハイブリダイゼーション 及び他の染色体マッピング技術は、追加の遺伝子地図データと関係を有する。遺 伝子地図データの例は、1994 Genome Issue of Science(265:1981f)に見ること ができる。物理的染色体地図上でのscahの位置と、特定の失敗(または特定 の疾病の素因)との相関関係を助けとして、ある遺伝病が関係するDNAの領域 を限界決定することができる。本発明のヌクレオチド配列を、健常者と、キャリ アまたは患者との遺伝子配列の違いを検出するために用いることができる。 染色体調製物のin situハイブリダイゼーション及び確定された染色 体マーカーを用いる連鎖解析のような物理的地図作成技術は、遺伝子地図を延長 する際に大変重要である。ヒトゲノムのSTSに基づく地図の最近の例は、Whit ehead-MIT Center for genomic Reserch(Hudson TJら(1995)Science 270:1945- 1954)から最近出版されている。多くの場合、特定のヒト染色体の数或いは腕が 知られていなくても、マウスのような別の哺乳動物種の染色体上の遺伝子の配置 から、関連する標識を明らかにすることができる。新しい配列は、染色体の腕、 或いはその一部への物理的マッピングにより割当てることができる。これは位置 クローニング或いは他の遺伝子発見技術を用いて疾患遺伝子を調査する研究者に 貴重な情報を提供する。ひとたび毛細血管拡張性運動失調(AT)のような疾患 或いは症候群が、特定のゲノム領域、例えばAT〜11q22−23への遺伝子 連鎖により粗く局所化されれば、その領域にマッピングされる任意の配列は、さ らなる研究のための関連する遺伝子、或いは調節遺伝子を表すことができる(Ga tti等(1988)Nature 336:577-580)。本発明のヌクレオチド配列は、正常者と キャリアまたは患者との間の、転座、逆位等による染色体位置の違いを検出する ために用いることもできる。 医薬品組成物 本発明は、ヌクレオチド、タンパク質、抗体、アンタゴニスト、またはインヒ ビターを、単独で、或いは安定化化合物のような少なくとも1つの他の薬剤とと もに含んでいる医薬品組成物を、その範囲に含む。この医薬品組成物は、任意の 無菌の生体適合性製薬用担体に含めて投与されるが、このような担体には、限定 はしないが、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖或いは水が含まれる。これらの 分子は、患者に対して、単体で、或いは他の薬品やホルモンと結合して、賦形剤 或いは製薬学的に許容される担体と混合される他の薬品組成物に入れて投与され 得る。本 発明の一実施例では、製薬学的に許容される担体とは、製薬学的に不活性なもの である。医薬品組成物の投与 医薬品組成物は経口投与、或いは非経口投与される。非経口投与の方法には、 局所的投与、動脈内(腫瘍への直接の)投与、筋肉内投与、皮下投与、髄内投与 、くも膜下内投与、脳室内投与、静脈内投与、腹腔内投与或いは鼻腔内投与が含 まれる。活性成分に加えて、これらの薬品組成物は、薬学的に用いられ得る調合 物内への活性化合物の処理を容易にする賦形剤及び補助剤を含む適切な製薬学的 に許容される担体を含み得る。調合或いは投与に関する技術の詳細は、“Reming ton's Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co,Easton PA)の最新版 において見出すことができる。 経口投与用の医薬品組成物は、当分野でよく知られる製薬学的に許容される担 体を用いて適切な剤形に製剤される。このような担体により、薬品組成物は、治 療を受ける患者による経口及び鼻腔摂取のための、錠剤、丸剤、カプセル剤、液 体剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤或いは類似の剤形として処方さ れる。 経口投与するための製薬調製は、活性化合物と固形の賦形剤とを結合すること によって得ることができるが、所望に応じて、必要なら適切な補助剤を添加した 後、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理して、錠剤或いは糖衣剤核を 得ることができる。適切な賦形剤は、ラクトース、サクロース、マンニトール或 いはソルビトールを含む砂糖のような糖質或いはタンパク質充填剤、とうもろこ し、小麦、米、じゃがいも等からのでんぷん、メチルセルロース、ヒドロキシプ ロピルメチルセルロース或いはカルボキシルメチルセルロースナトリウムのよう なセルロース、アラビアゴム或いはトラガカントのようなゴム、並びにゼラチン 或いはコラーゲンのようなタンパク質である。必要ならば、架橋結合したポリビ ニルピロリドン、寒天、アルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸或いはアルギ ン酸ナトリウムのようなその塩のような、崩壊剤或いは可溶化剤が加えられる。 糖衣剤核は、濃縮砂糖溶液のような適切な錠皮を与えられるが、溶液はアラビ アゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル剤、ポリエチレングリ コール並びにまた二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶剤或いは溶剤混 合物が含み得る。錠剤の識別のため、すなわち活性化合物の量、すなわち投与量 を特徴付けるために染料或いは色素が錠剤或いは糖衣錠皮に加えられてもよい。 経口投与可能な製剤は、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル及びゼラ チンからなる柔らかい、密封されたカプセル、並びにグリセロール或いはソルビ トールのような錠皮を含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトース或いはで んぷんのような充填剤或いは結合剤、タルク或いはステアリン酸マグネシウムの ような潤滑剤、並びに付加的には安定剤と混合された活性処方組成物を含み得る 。柔らかいカプセルでは、活性化合物は、安定剤があるなしにかかわらず、脂肪 油、液体パラフィン、液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解或 いは懸濁される。 非経口投与用の剤形は、水溶性の活性化合物の水溶液を含む。注射用として、 本発明の薬品組成物を水溶液、好適にはハンクの溶液、リンガー溶液或いは生理 緩衝食塩水のような生理学的に適合性の緩衝液に入れて製剤することができる。 水性の注入懸濁剤は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール 或いはデキストランのような懸濁剤の粘性を増加する物質が含み得る。更に、活 性成分の懸濁液は、適切な油性注入懸濁剤として調製される。適切な親油性の溶 媒或いは媒介物 は、胡麻油のような脂肪油や、オレイン酸エチル、トリグリセリド或いはリポソ ームのような合成脂肪酸エステルを含む。また懸濁剤は、所望に応じて、それに より溶解度を増加し、非常に濃縮された溶液の調製ができるようになる適切な安 定剤或いは薬剤を含んでもよい。 局所的投与または経鼻投与用には、浸透される特定の障壁に対して適切な浸透 剤を用いて調合が行われる。このような浸透剤は、一般的に周知である。製造と保管 本発明の薬品組成物は周知の方法、例えば従来の混合処理、溶解処理、顆粒化 処理、糖衣形成処理、研和処理、乳化処理、封入処理(entrapping)処理或いは凍 結乾燥処理により製造される。 この医薬品組成物は塩類として提供されることもあり、限定はしないが、塩酸 、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含む、多くの酸とともに 形成することができる。塩は、対応する遊離塩基形態である水性或いはプロトニ ック溶剤において、より可溶性が高くなる傾向がある。他の場合には、好適な製 剤は、1mM〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、使用前に緩衝 剤と結合させたpH範囲4.5〜5.5にある2%〜7%のマンニトールにおけ る凍結乾燥粉末である。 製薬学的に許容される担体内に製剤された本発明の化合物を含む組成物は、調 製された後、適切な容器内に入れられて、さらに提示した疾病状態の治療のため にラベル付けされる。SCAHの投与の場合、このようなラベルには、投与の量 、頻度、方法が表示される。治療上効果的な投与量 本発明において使用するために適切な医薬品組成物は、活性成分を所望の目的 を達成するに効果的な量だけ含む組成物である。効果的な投与 量の決定は、当業者の能力の範囲内で行うことができる。 任意の化合物の場合、治療的に有効な投与量は、初めに、新生物細胞、或いは 通常マウス、ウサギ、イヌ、ブタのような動物モデルの何れかの細胞培地のアッ セイから推定される。次いで、このような情報を用いて、ヒトにおいて効果的な 投与量や投与経路を決定することができる。 治療的に有効な投与量とは、疾病状態を寛解するタンパク質、その抗体、アン タゴニスト、またはインヒビターの量である。そのような化合物の毒性及び治療 有効性は、例えばLD50(個体群の50%の致死投与量)及びED50(個体 群の50%において治療的に有効な投与量、50%有効量)を決定するための、 細胞培地或いは実験動物における標準的な製薬学的手順により決定することがで きる。毒性と治療有効性との間の投与量比は治療指数であり、LD50/ED5 0の比として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬品組成物が好ましい 。これらの細胞培地のアッセイ及び付加的な動物研究から得られるデータは、ヒ トへの使用に対する投与量の範囲を決める際に用いることができる。そのような 化合物の投与量は、毒性がほとんど或いは全くなく、ED50を達成する循環濃 度の範囲内にあることが望ましい。投与量は、用いられる剤形、患者の感受性並 びに投与経路に応じてこの範囲内で変化する。 正確な投与量は治療されるべき患者を考慮して個々の医師により選択される。 投与量及び投薬量は、十分なレベルの活性部分を与え、かつ所定の効果を維持す るために調整される。考慮すべき付加的な要因は、疾患状態の重症度、または患 者の年齢、体重並びに性別、食事、投与の時間及び頻度、併用する薬剤、反応感 受性、並びに治療への耐性/反応を含む。長期的に作用する薬品組成物は3〜4 日毎に、1週間毎に、或いは半減期及び特定の処方のクリアランス速度に応じて 2週間に1度投与してもよい。 通常の投与量は0.1〜100,000μgの範囲にあって、全投与量は最大 約1gであり、投与経路に応じて変化する。特定の投与量或いは供給の方法に関 するガイダンスは、文献において見出すことができる。米国特許第4,657,760号 、第5,206,344号或いは第5,225,212号を参照されたい。当業者であれば、ヌクレ オチドに対しては、タンパク質やインヒビター用の剤形とは異なる剤形を採用す るであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの送達は、特定の細 胞、状態、位置等によって決まってくる。 例えば、ゲノムの配列の発現を低減させるためにscah−1またはscah −2アンチセンスを適切な剤形で送達することができる、ということも企図され ている。効果的な送達及び遺伝子発現のダウンレギュレーションは、高度に悪性 の発現形を抑制するのに役立つ。 以下に本発明の実施例を示す。但し、以下の実施例は単なる例示であって、本 発明をこの実施例に限定しようとするものではない。産業上の応用 1 cDNAライブラリーの構築及びプラスミドの単離 THP1PLB2 cDNAライブラリー(米国特許出願第08/438,571号)は 、急性単球白血病を患う一歳の男子の血液に由来するTHP−1ヒト白血病性株 細胞から作製した。PMA誘導性ライブラリーのために使用される細胞を、DM SOに希釈した100nmのPMAと共に48時間かけて培養し、PMA+LP Sライブラリー用に用いる細胞を、DMSOに希釈した100nmのPMAと共 に48時間かけ、且つ1μg/mlのLPSと共に4時間かけて培養した。コン トロールTHP−1細胞は単球であり、PMA誘導性細胞はマクロファージであ り、PMA+LPS刺激細胞は、活性化マクロファージである。これら3つのc DNAライブラリー、即ちコントロール、PMA誘導性、及び PMA+LPS刺激細胞のcDNAライブラリーの全ては、Stratagene社(La Jo lla)によりカスタムメイドで構築された。この詳細は以下に説明する。 Stratagene社は、cDNAライブラリーをオリゴd(T)プライマーを用いて 調製した。合成アダプターオリゴヌクレオチドをcDNA分子にリゲートして、 Uni-ZAP(商標)ベクターシステム(Stratagene)へ組み込めるようにし、大腸 菌宿主菌株XL-Blue(登録商標)(Stratagene)にトランスフェクトした。cDNA ライブラリーの質を、DNAプローブを用いてスクリーニングし、次にpBluescr ipt(登録商標)ファージミド(Stratagene)を、宿主菌株にライブラリーのフ ァージと、f1へルパーファージを同時感染させるin vino切除プロセスによっ て切り離した。ライブラリーを含むファージと、ヘルパーファージの双方に由来 するポリペプチド、つまり酵素はDNAに切り込みを入れ、標的DNA上の確定 された配列から新たなDNA合成を開始させ、pBluescriptファージミド及びc DNAインサートの全てのDNA配列を含む小さな一鎖の環状ファージミドDN A分子を生成した。このファージミドDNAは、細胞から放出され、精製されて 、新しい宿主細胞(SOLR,Stratagene)に再感染するのに用いられ、その新たな宿 主細胞で二鎖のファージミドDNAが生成された。 ファージミドの精製は、ミニプレップキット(catalog No.77468、Advanced G enetic Technologies Corpotation,Gaithersburg,Maryland)を用いて行った。 このキットは96穴型で、960回の精製に十分な試薬を提供するものである。 各キットには推奨プロトコルが備えられており、以下の点の除いてこの推奨プロ トコルを採用した。第1に、96個のウェルのそれぞれを、25mg/Lのカル ベニシリンを0.4%のグリセロールを含む無菌Terrific Brothを1mlだけ充 填した。 ウェルへの接種の後、細菌を24時間培養して、60μ3の溶解バッファに溶解 した。遠心分離処理(2900rpmで5分間)を行った後に、内容物をブロッ クし、一次濾板に添加した。トリスバッファにイソプロパノールを添加するオプ ションの工程は、定例的には行わなかった。プロトコルの最終ステップの後、サ ンプルを保管のためBeckman96穴ブロックに移送した。 BLADTUTO2 cDNAライブラリー(米国特許出願第60/018217号)を、胆嚢切 除根治手術を受けた後に(4段階のうちの)第3グレードの浸潤性移行上皮癌の 診断を受けた80歳の白人女性から切除された、膀胱の前立腺側壁から膀胱三角 、膀胱周脂肪及び膣粘膜との境界まで延びる膀胱癌組織(specimen #0189A;Mayo Clinic,Rochester MN)から作製した。末端の尿道境界及び左骨盤リンパ節は腫 瘍について陰性であった。患者の病歴には、子宮悪性新生物、良性の高血圧症、 アテローム発生、心房細動が含まれていた。 冷凍膀胱組織を、グアニジウムイソチオシアネート溶液のなかで、Brinkmann Homogenizer Polytron PT-3000(Brinkmann Instruments,Westbury,NJ)を用いて ホモジナイズして溶解した。溶液を5.7Mの塩化セシウムクッションと共に、 Beckman L8-70M UltracentrifugeにおいてBeckman SW28 rotor(Beckman Instru ments)を用いて、周囲温度、回転数25000rpmで、18時間遠心分離処 理した。pH4.7の酸性フェノールでRNAを抽出し、0.3Mの酢酸ナトリ ウムと2.5倍量のエタノールにより沈殿させて、RNアーゼを含んでいない水 に再懸濁し、37℃でDNアーゼ処理した。RNA抽出物を、再度pH4.7の 酸性フェノールで処理し、酢酸ナトリウムとエタノールで沈殿させた。次にこの mRNAを、Qiagen Oligotex Kit(QIAGEN,Inc.;Chatsworth CA)を用いて単離 し、これをcDNAライブラリー作製の ために用いた。 cDNAライブラリーは、オリゴd(T)プライマーを用いて発動させた。こ のcDNAをT4ポリメラーゼで処理し、合成アダプターオリゴヌクレオチドを リゲートして、Eco RI及びNotIを用いてcDNAがpINCYベクター(Incyte Phar maceutical,Palo Alto CA)に定方向に挿入され得るようにする。 プラスミドDNAは細胞から放出され、REAL Prep 96 Plasmid Kit for Rapid Extraction Alkaline Lysis Plasmid Minipreps(Catalogue #26173;QIAGEN,In c)を用いて精製した。このキットは、マルチチャネル試薬ディスペンサを用い て、96穴ブロックにおいて、96個のサンプルの同時精製を行うことができる 。以下の変更点を除いて、推奨プロトコルを用いた。(1)細菌の培養は、25 mg/Lのカルベニシン及び0.4%のグリセロールを有する滅菌Terrific Bro th(Catalogue#22711,LIFE TECHNOLOGIES(商標))の1mlにおいて行った。 (2)接種の後培地を19時間インキュベートし、インキュベーションの終了時 に、細胞を0.3mlの溶解緩衝液に溶解した。(3)イソプロパノール沈殿の 後、プラスミドDNAペレットを、0.1mlの蒸留水に再度懸濁した。プロト コルの最終ステップの終了後、サンプルを4℃で貯蔵するため96穴ブロックに 移送した。 2 cDNAの配列決定 cDNAの配列決定は、Hamilton Micro Lab 2200(Hamilton,Reno NV)を、Pe ltier Thermal Cyclers(PTC200 from MJ Research,Watertown MA)及びApplied Biosystems 377 DNA Sequencing Systems(Perkin Elmer)と組み合わせて用い るサンガー法(Sanger F等1975;J Mol Biol 94:441f)の方法より行い、読み枠 を決定した。 3 cDNAクローン及びそれらの推定タンパク質の相同性検索 Applied Biosystems社で開発された検索アルゴリズムを、INHERIT(商標)670 Sequence Analysis Systemに組み込んで用いて、各cDNAの配列をGenBankの 配列と比較した。このアルゴリズムでは、Pattern Specification Language(TR W社、LosAngeles CA)を用いて相同な領域を決定した。配列の比較をどのように 行うかを決定する3つのパラメータは、ウィンドウサイズ、ウィンドウオフセッ ト、及び誤差許容度であった。これら3つのパラメータの組を用いて、対象の配 列に対して相同な領域を含む配列をDNAデータベースから検索し、適切な配列 には、初期値とともにスコアが付けられた。これによって、これらの相同な領域 をドットマトリクスホモロジーブロット法を用いて検定し、相同な領域と偶然の 一致とを区別した。相同性検索の結果は、Smith-Watermanアライメントを用いて 表示した。 読み枠を決定した後、配列表のヌクレオチド配列またはそれから推定されるア ミノ酸配列を問い合わせ配列として用いて、GenBank、SwissProt、BLOCKS、及び PimaIIのようなデータベースを検索した。以前に同定され、注釈をつけられた配 列を含むこれらのデータベースを、BLASTを用いて相同性(類似性)について検 索した。前記BLASTは、Basic Local Alignment Search Toolを表す(Altschul(19 93,1990)前出)。 BLASTはヌクレオチド及びアミノ酸配列の両方のアライメントを生成して配列 類似性を求める。そのアライメントの局所性のために、BLASTは厳密な一致、す なわち原核細胞(細菌)または真核細胞(動物、真菌、または植物)起源のホモ ログを求める際に特に有効である。一次配列パターンや二次構造ギャップペナル ティ(gap penalties)を取り扱うときには、他のアルゴリズム、例えばSmith等 (1992,Protein Engineering 5:35-51)に記載の方法を用いることもでき、前記 文献を本明細書と一体に参照されたい。 このBLASTを用いる方法では、本明細書に一体に引用されているKarlin等(199 3;Proc Nat Acad Sci 90:5873-5877)にその詳細が記されている通り、問い合わ せ配列と、データベース配列との一致について検索する。BLASTは、見つかった 一致の統計的有意性を評価し、使用者が選択した有意性の閾値を満たす一致のみ を報告する。有意性の閾値は、ヌクレオチドで10-25、ペプチドで10-14程度 である。 4 ノーザン法による解析 ノーザン解析は、標識されたヌクレオチド配列と特定の細胞型または組織に由 来するRNAが結合したメンブランとのハイブリッド形成のための実験技術であ る(Sambrookら、上述)。 類似の電子的ノーザン分析ではBLAST(Altschul SF 1993 and 1990,上述)を 用いて、GenBankまたはLIFESEQ(商標)データベース(Incyte,Palo Alto CA)のよ うなデータベースにおける同一のまたは近縁な分子を検索した。この解析は、多 数の膜式ハイブリダイゼーションより非常に短時間で行うことができる。更に、 コンピュータ検索の感度を変更して、ある一致が正確な一致か、相同的であるか の分類を決定することができる。 検索の基準値は、プロダクトスコアであり、これは以下の式で定義されるもの である。 (配列の一致(%)×最大BLASTスコア(%))/100 このプロダクトスコアは、2つの配列間の類似性の程度、及び配列の長さの一致 の双方を考慮している。例えば、プロダクトスコアが40の場合は、一致は誤差 が1〜2%の範囲で正確であり、スコアが70の場合は正確に一致している。相 同な分子は、通常プロダクトスコアとして15〜40を示すものを選択すること により同定されるが、スコアの低いものは近縁関係にある分子として同定される 。 5 完全長まで、又は調節エレメントを回復するまでのSCAHの延長 完全長SCAHの核酸配列(配列番号:1)は、部分的ヌクレオチド配列を完 全長まで延長するため、或いはゲノムライブラリから5’配列を得るためのオリ ゴヌクレオチドプライマーを設計するために用いることができる。一方のプライ マーはアンチセンス方向(XLR)の延長を開始するために合成され、他方のプ ライマーはセンス方向(XLF)に配列を延長するために合成される。これらの プライマーにより、周知のscah配列を「外側に」延長し、対象の制御領域の 新しい未知のヌクレオチド配列を含むアンプリコンを生成できるようになった。 初期プライマーは、Oligo(登録商標)4.06(National Biosciences社、Plymout h MN)、或いは他の適切なプログラムを用いて、長さが22〜30ヌクレオチド で50%以上のGC含有率を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニ ールするように設計することができる。結果的にヘアピン構造及びプライマー− プライマー二量体化を生じる任意のヌクレオチドのストレッチの延長はが回避さ れる。 元の選択されたcDNAライブラリーか、ヒトゲノムライブラリーを用いて、 配列を延長する。後者のライブラリーは、5’上流配列を得るために最も役立つ 。必要なら、既知領域をさらに延長するために追加のプライマーの組が設計され る。 XL-PCRキット(Perkin Elmer社)のための指示に従って、酵素と反応混合物と を完全に混合することにより、高い忠実度の増幅が得られる。40pmolの各プラ イマと、推奨された濃度のキットの他の全ての成分とから増幅を開始する場合、 PCRはPeltier Thermal Cycler(PTC200;MJ Reserch社、Watertown MA)を用 いて、以下のパラメータで実行される。 ステップ1 94℃で1分間(初期変性) ステップ2 65℃で1分間 ステップ3 68℃で6分間 ステップ4 94℃で15秒間 ステップ5 65℃で1分間 ステップ6 68℃で7分間 ステップ7 ステップ4〜6をさらに15サイクル反復 ステップ8 94℃で15秒間 ステップ9 65℃で1分間 ステップ10 68℃で7分15秒間 ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復 ステップ12 72℃で8分間 ステップ13 4℃(その温度を保持) 反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度(約0.6〜0.8%)ア ガロースミニゲルにおける電気泳動で解析して、反応物が配列を延長することに 成功したか否かを決定する。最も大きな生成物或いはバンドを選択して、ゲルか ら切り出した。さらなる精製には、QIAQuick(登録商標)(QIAGEN社)の ような市販のゲル抽出法を用いる。DNA回収の後、クレノウ酵素を用いて一本 鎖ヌクレオチドの延び出しを切り取り、再結合及びクローニングを容易にする平 滑末端を作った。 エタノール沈殿の後、生成物を13μlのリゲーション緩衝液内に再溶解し、 1μlのT4−DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4ポリヌクレオチド キナーゼを加えて、その混合物を、室温で2〜3時間、或いは16℃で一昼夜イ ンキュベートする。コンピテントな大腸菌細胞(40μlの適切な溶媒内にある )を、3μlのリゲーション混合物を用いて形質転換し、80μlのSOC培地 (Sembrook J等、上記)で培養する。37℃で1時間のインキュベーションの後 、全ての形質転換 混合物を、2xCarbを含むLuria Bertani(LB)寒天上にのせる。後日、 いくつかのコロニーを各プレートから無作為に選択し、適切な市販の無菌の96 穴マイクロタイタープレートの個々のウェル内に入れられた150μlの液状L B/2xCarb培地で培養する。さらに後日、5μlの各オーバーナイト培養 物を非無菌96穴プレート内に移し、水で1:10に希釈した後、各5μlのサ ンプルをPCRアレイ内に移す。 PCR増幅の場合、rTthDNAポリメラーゼの4単位を含む18μlの濃 縮PCR反応混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用い られる遺伝子特異的プライマーの一方或いは両方を各ウェルに加える。増幅は以 下の条件に従って行う。 ステップ1 94℃で60秒間 ステップ2 94℃で20秒間 ステップ3 55℃で30秒間 ステップ4 72℃で90秒間 ステップ5 ステップ2〜4をさらに29サイクル反復 ステップ6 72℃で180秒間 ステップ7 4℃(そのまま保持) PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上で移動 させる。PCR生成物のサイズを元の部分的なcDNAと比較して、適切なクロ ーンを選択し、プラスミドに結合して、配列決定を行う。 6 ハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 配列番号:3及び配列番号:4の配列に基づくハイブリダイゼーションプロー ブは、cDNA、mRNA並びにゲノムDNAをスクリーニングするために用い られる。約20の塩基対からなるオリゴヌクレオチドの標識について特に記すが 、大きなcDNAフラグメントの場合でも概 ね同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、50pmolの各オリゴマーと、 250mCiの[γ-32P]アデノシン三リン酸(Amersham社,Chicago IL)及び T4ポリヌクレオチドキナーセ(DuPont NEN(商標)、Boston MA)とを組み合 わせて用いて標識する。標識されたオリゴヌクレオチドを、SephadexG-25超精細 樹脂カラム(Pharmacia社)を用いて精製する。それぞれ毎分107カウントを含 む各部分を、以下のエンドヌクレアーゼ(AseI,BglII,EcoRI,Pst I,Xbal或いはPv uII;DuPont NEN(商標))の1つを用いて消化されるヒトゲノムDNAの典型的 な膜ハイブリダイゼーション解析において用いる。 各消化物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画化して、ナイロン 膜(Nytran Plus,Schleicher & Schuell,Durham NH)に移す。ハイブリダイゼー ションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取り除くために、ブ ロットは、0.1xクエン酸ナトリウム食塩水及び0.5%ドデシル硫酸ナトリ ウムまで段階的に厳密性が増す条件下で、室温にて順次洗浄される。XOMAT AR( 登録商標)フィルム(Kodak,Rochester NY)を、数時間かけてPhosphoimager casse tte(Molecular Dynamics,Sunnyvale CA)においてブロットに露光された後、ハ イブリダイゼーションパターンが視覚的に比較される。 7 アンチセンス分子 scah配列或いはその任意の一部は、天然scahのin vivoまたはin vitr o発現を抑制するために用られ得るアンチセンス分子の設計のための基礎となる 。SCAH−1の約20塩基対からなるアンチセンスオリゴマーの使用について 特に記すが、より大きなcDNAフラグメントの場合や、SCAH−2の場合で も概ね同じ手順を用いることができる。 第1A図及び第1B図に示すようなSCAH−1のコード化配列に基 づく相補的なオリゴヌクレオチド用いて、自然発生幹細胞抗原の発現を抑制する ことができる。この相補的なオリゴヌクレオチドを第1A図及び第1B図に示す 最も一義的な5’配列から設計し、これを用いてプロモーターが結合するのを阻 害することにより転写を抑制したり、リボソームが転写物に結合するのを阻害す ることによりscah−1転写物の翻訳を抑制することができる。 配列番号:3(または配列番号:4)のリーダー配列及び5’配列の適切な部 分を用いることにより、効果的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、第1A図 /第1B図及び第2A図/第2B図に示すヌクレオチドのなかの、ポリペプチド のシグナル配列または初めの方のコーディング配列に翻訳される領域全体にわた る15〜20個のヌクレオチドを含むようになる。 8 SCAHの発現 SCAHの発現は、cDNAを適切なベクター内にサブクローニングし、その ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることによって行われる。クローニン グ用のpBluescriptベクターを、大腸菌株であるXL1-BlueMRF(商標)(Stratage ne)においてSCAHを発現するのに用いる。クローニング部位の上流には、β −ガラクトシダーゼに対するプロモータが存在し、その後ろにはアミノ基末端メ チオニン及びβ−ガラクトシダーゼの7残基が存在する。直後に続くこれら8つ の残基は、転写に役立つバクテリオファージプロモーターであり、多くの独特の 切断部位を含むリンカーである。 単離されたIPTGトランスフェクト菌株を標準的な方法を用いて誘導するこ とにより、初めのβガラクトシダーゼの7残基、約5〜15残基のリンカー、及 び完全長SCAHからなる融合タンパク質を作り出す。このシグナル配列は、後 の行う活性のアッセイにおいて直接用いること ができる菌培地へのSCAHの分泌を誘導する。 9 SCAH−1及びSCAH−2の活性 SCAHタンパク質を、そのインターロイキン2(IL2)の遮断能について 、LY−6をポジティブコントロールとして用いてアッセイする(Fleming TJ及 びTR Malek(1994)J Immunol 153:1955-62)。IL2をナチュラルキラー細胞及 び新たに単離された固形腫瘍細胞とともにインキュベートして、相顕微鏡を用い て溶解を検出する。LY6、SCAH−1、及びSCAH−2の同時投与では、 NK細胞の結成かが低減または破壊され、腫瘍細胞の溶解が妨げられる、または 低減されているのが観察される。 この他、造血細胞集団におけるSCAH−1またはSCAH−2分子の存在ま たは分布を、モノクローナル抗体及びFACS技術(Terstappen L等(1993)J He matothirapy 2:431-447)を用いて解析する。 10 SCAH特異的抗体の産生 標準的なプロトコルを用いたウサギの免疫化及び抗体の産生には、PAGE電 気泳動法(Sambrook前出)を用いて精製されたSCAHタンパク質を用いる。S CAHから翻訳されたアミノ酸配列をDNAStarソフトウエア(DNASTAR社)を用い て解析して免疫抗原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを当業者に は周知の手段により合成して、当業者に周知の方法で抗体をを産生するために用 いる。C末端付近の、或いは隣接する親水性領域内のエピトープのような、適切 なエピトープを選択するための解析法は、Ausubel FM等(上記)の論文に記載さ れており、第4図及び第5図に示されている。 通常、約15残基の長さを有するオリゴペプチドを、Applied Biosystemsのペ プチドシンセサイザーModel 431Aを用いてfmoc法 ケミストリにより合成し、M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシン イミドエステル(MBS:Ausubel FM等、上記)を用いた反応によりキーホール リンペットヘモシニアン(KLH、Sigma)に結合する。フロイントの完全アジ ュバントにおけるオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫する。得 られた抗血清の抗ペプチド活性を検査するには、例えばペプチドをプラスチック に結合し、1%BSAを用いてブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さ らに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgGに反応させる。 11 特異的抗体を用いる自然発生SCAHの精製 自然発生或いは組換え体の幹細胞抗原は、SCAH−1またはSCAH−2に 対する特異的な抗体を用いるイムノアフィニティークロマトグラフィにより精製 することができる。イムノアフィニティーカラムは、CnBr活性化Sepharose(Pha rmacia Biotech社)のような活性化クロマトグラフレジンとSCAH抗体とを共 有結合させることにより構成される。結合後、そのレジンを製造者の指示に従っ て、ブロックし洗浄する。 SCAH−1またはSCAH−2を含む培地をイムノアフィニティーカラムに 通し、そのカラムをSCAH−1またはSCAH−2を優先的に吸収できる条件 下で(例えば界面活性剤の存在下において高イオン強度緩衝剤で)洗浄する。こ のカラムを、抗体/SCAH結合を切るような条件下(例えばpH2〜3の緩衝 剤、或いは高濃度の尿素またはチオシアン酸塩イオンのようなカオトロピックイ オン)で溶離させ、SCAHを回収する。 12 SCAHと相互作用する分子の同定 SCAH、或いはその生物学的に活性なフラグメントを、125Iボルトンハン ター試薬を用いて標識する(Bolton,AE及びHunter,WM (1973)Biochem J 133:529)。96穴プレートのウェル内に前に入れておいた 候補分子を、標識したSCAHとともに培養し、洗浄し、標識したSCAH複合 体を有する任意のウェルをアッセイする。異なる濃度のSCAHを用いて得られ るデータを用いて、候補分子とSCAHの数、アフィニティー並びに会合度の数 値を計算する。 上記のすべての刊行物及び特許明細書は、本明細書と一体に参照されたい。本 発明の記載した方法及びシステムの種々の変更例及び変形例は、本発明の範囲及 び精神から逸脱しないことは当業者には明らかであろう。本発明は特に好適な実 施例に関連して記載されているが、本発明の請求の範囲は、そのような特定の実 施例に不当に制限されるべきではないことを理解されたい。実際には、本発明を 実施するために記載された方法の種々の変更例は、分予生物学或いは関連する分 野の当業者には明らかなように、以下の請求項の範囲内に含まれるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 G01N 33/53 D G01N 33/53 M 33/566 33/566 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AT,AU,BR ,CA,CH,CN,DE,DK,ES,FI,GB, IL,JP,KR,MX,NO,NZ,RU,SE,S G,US

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号:1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする精製ポ リヌクレオチド。 2.核酸配列が、配列番号:3の配列、又はその相補配列を含むことを特徴とす る請求項1に記載のポリヌクレオチド。 3.請求項2のポリヌクレオチドの少なくとも一部に対して相補的な核酸配列を 含むアンチセンス分子。 4.請求項1のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。 5.請求項4の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。 6.配列番号:1のアミノ酸配列を含むポリペプチドの生成方法であって、 (a)ポリペプチドの発現に適切な条件の下で、請求項5の宿主細胞を培養す る過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むこと を特徴とするポリペプチドの生成方法。 7.生物学的サンプルにおいて、配列番号:3に示す核酸配列の発現が関係して いる疾病を診断するための診断検査法であって、 (a)ハイブリダイゼーション複合体の形成に適切な条件の下で、請求項1の ポリヌクレオチド又はそのフラグメントと前記生物学的サンプルとを結合させる 過程と、 (b)前記生物学的サンプルにおいて前記ハイブリダイゼーション複合体を検 出する過程であって、前記複合体の存在が請求項1のポリヌクレオチドの発現と 相関性を有している、該過程とを含むことを特徴とする診断検査法。 8.配列番号:1のアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド。 9.請求項8のポリペプチドに対して特異的な抗体。 10.生物学的サンプルにおいて、配列番号:1に示すポリペプチドの発現が関 係している疾病を診断するための診断検査法であって、 (a)抗体が前記ポリペプチドに結合するに適切な条件の下で、請求項9の抗 体と前記生物学的サンプルとを結合させて、複合体を形成する過程と、 (b)前記生物学的サンプルにおいて前記複合体を検出する過程であって、前 記複合体の存在が前記ポリヌクレオチドの発現と相関性を有している、該過程と を含むことを特徴とする診断検査法。 11.配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする精製 ポリヌクレオチド。 12.核酸配列が、配列番号:4の配列、又はその相補配列を含むことを特徴と する請求項1に記載のポリヌクレオチド。 13.請求項12のポリヌクレオチドの少なくとも一部に対して相補的な核酸配 列を含むアンチセンス分子。 14.請求項11のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。 15.請求項14の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。 16.配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの生成方法であって、 (a)ポリペプチドの発現に適切な条件の下で、請求項15の宿主細胞を培養 する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むこと を特徴とするポリペプチドの生成方法。 17.生物学的サンプルにおいて、配列番号:4に示す核酸配列の発現が関係し ている疾病を診断するための診断検査法であって、 (a)ハイブリダイゼーション複合体の形成に適切な条件の下で、請求項11 のポリヌクレオチド又はそのフラグメントと前記生物学的サン プルとを結合させる過程と、 (b)前記生物学的サンプルにおいて前記ハイブリダイゼーション複合体を検 出する過程であって、前記複合体の存在が請求項11のポリヌクレオチドの発現 と相関性を有している、該過程とを含むことを特徴とする診断検査法。 18.配列番号:2のアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド。 19.請求項18のポリペプチドに対して特異的な抗体。 20.生物学的サンプルにおいて、配列番号:2に示すポリペプチドの発現が関 係している疾病を診断するための診断検査法であって、 (a)抗体が前記ポリペプチドに結合するに適切な条件の下で、請求項19の 抗体と前記生物学的サンプルとを結合させて、複合体を形成する過程と、 (b)前記生物学的サンプルにおいて前記複合体を検出する過程であって、前 記複合体の存在が前記ポリヌクレオチドの発現と相関性を有している、該過程と を含むことを特徴とする診断検査法。
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