JP2000516444A - 組換え非脂質化Ospタンパクを回収及び精製する方法 - Google Patents

組換え非脂質化Ospタンパクを回収及び精製する方法

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Abstract

(57)【要約】 脂質化されていない組換えOspC、Ospタンパクの製造方法、及びこれらの組換えタンパクを含有するワクチン。

Description

【発明の詳細な説明】 組換え非脂質化Ospタンパクを回収及び精製する方法 技術分野 本発明はOspタンパク、特に組換えOspC、を回収及び精製する方法、な らびに組換え、非脂質化OspCに関する。さらに、本発明は組換え、非脂質化 OspCを含有するワクチン、ならびにワクチンの脊椎動物の免疫化における使 用に関する。 背景技術 ライム病ボレリアはダニによって媒介され、スピロヘータ、ボレリア・ブルグ ドルフェリ センス ラト(Borrelia burgdorferi sensu lato)が引き金となっ て起こる脊椎動物の感染症である。温帯地方(北アメリカ、中央ヨーロッパ)で はライム病ボレリアはダニによって媒介される最も頻繁におこる感染性疾患であ る。ある地域でのダニの高い感染率(60%に達する)によりライム病ボレリア が最近の疫学的な問題となってきた。 ライム病ボレリアの最も頻繁な症候は部分的に重篤な皮膚、神経径、心臓及び 関節の疾患症状である。ライム病ボレリアは一般に抗生物質で治療されており、 その治療は感染の初期に効果が高い。しかしながら、様々なボレリア株が存在す ることから、ボレリア感染の初期に認定することが非常に困難である。疾患が慢 性段階に至ると、抗生物質療法は一層困難であり,必ずしも成功しない。感染が 長く続けば続くほど、重篤な後期の影響に苦しむ確率が高くなる。このように、 有効なライム病ボレリアに対する予防的なワクチンが大いに望まれる。 本明細書中、「ボレリア(Borrelia)」なる語句は、ボレリア・ブルグドルフェ リ センス ラト(Borrelia burgdorferi sensu lato)に対応し、ライム病ボレ リアの病原体を含有しているものであり、例えば、B.ブルグドルフェリ セン ス スツリクト(B.burgdorferi sensu stricto)、B.ガリニイ sp.nov.(B. garinii sp.nov.)及びB.アフゼリイ(B.afzelii)が例示される。 ボレリアの表面リポタンパクOspA及びOspCに関しては、それらが動物 試験でボレリア感染を阻止したと記載された。従って、OspA及びOspCは 、ライム病ボレリアに対するワクチン接種における抗原の好ましい候補であると 考えられた(EP418,827;Fikrig et al.(1990),Science 250:553-6;Preac-Murs ic et al.(1992),Infection 20:342-9)。OspA及びOspCはいずれもプ ラスミドにコードされているタンパクであり(Barbouretal.(1987)Science237: 409-11;Marconi et al.(1993),J.Bacteriol.175:926-32)、そのN-末端には 翻訳後プロセスによって脂質部分が付加されている。この脂質部分が「膜アンカ ー」として作用し、該リポタンパクを細菌外膜に固定する。Ospタンパクの膜 内に固定化されていない部分は細胞表面に露出して存在している(Howe et al.(1 985),Science 227:645-6;Bergstrom et al.(1989),Mol.Microbiol.3:479-86) 。OspA及びOspCをコードする遺伝子はほぼ全てのボレリア株に存在して おり、両者の表面タンパクは多くの血清学的に異なる形で見出されている(Wils ke et al.(1989),Ann.New York.Acad.Sci.539:126-43;Livey et al.(199 5),Mol.Microbiol.18:257-69)。「血清学的に異なる形」とは、異なるボレリ ア株中に個々の表面タンパク(例、OspA、OspB,OspC)に関して様 々な変異体が存在することを意味し、その違いは抗体との交差反応性の不在及び 異なるRFLPパターン(RFLP=restriction fragment length polymorphi sm制限断片長の多形性)によって表される。Liveyら((1995),Mol.Microbiol. 18:257-69)は35の異なるRFLP型のOspCについて記載した:これらは本 明細書で記載するOspCの血清学的変異体に対応する。 多種の血清学的に異なる形が存在することが、これらのリポタンパクに基くワ クチンの開発を困難にしている。すなわち、例えばFikrigら(1992,J.Immunol .148:2256-60)は、OspAの1つの血清学的な変異体で免疫化することによっ ては他のOspA変異体を有する株による感染を防止できないことを示した。こ の理由から、文献では、血清学的に異なる形の抗原の混合物を含有するワクチン を開発し、できるだけ多くの異なるボレリア株に対するワクチンによる保護を提 供することが必要であるとの意見が代表的である。効率的な再現性のある製造に は、あらゆる変異体に一律に適用し得る回収及び精製法が必要である。 ライム病ボレリアに対するワクチンの開発において、これまでは、7つの異な る血清型が記載されているリポタンパクOspAに主たる興味が集まっていた。 自然感染においてリポタンパクOspCも免疫原であり動物試験での同種攻撃( チャレンジ)(homologous challenge)で防御(保護)した(WO94/25596,Prober t et al.(1994),Infect.Immun.62:1920-26)。 本明細書中、「同種(homologous)」及び「異種(heterologous)」という語句は 、ワクチン防御(保護)及び「攻撃(challenge)」(毒性病原体で哺乳動物を感 染させること)との関係で用いる。この文脈で「同種」は「病原体と同じ血清学 変異体に源を発する」ということ、そして「異種」は「病原体と同じ血清学変異 体に源を発しない」ということを意味する。同種防御(homologous protection) とは、ワクチン接種の抗原が、ワクチン接種抗原と同じ血清学的変異体に属する 抗原を有する病原体から保護することを意味する。異種保護(heterologous prot ection)とは、ワクチン接種の抗原が交差保護(cross protection)をも与える こと、すなわち、異なる血清学的変異体に属する抗原を有する病原体から保護す る活性をも有することを意味する。従来は、Ospリポタンパク(ボレリアのO spA,OspB,OspC)の製造には以下の方法がとられてきた:一方でボ レリアの細胞膜から直接野生型Ospリポタンパクを単離し、他方でE.coli又は 酵母Pichia pastoris中でOspリポタンパクをコードする遺伝子を組換え法で 発現させた。さらに、様々な組換え融合タンパクをE.coli中で発現させた。野生 型Ospリポタンパク類はその膜アンカーによってボレリアの細胞壁に統合され ている。それらを単離するために、まず膜断片を調製し、次いでOspリポタン パクを膜から抽出しなければならない。この作業は、(中性)洗剤又は洗剤と同 様の作用をする物質を用いてのみ効率的に行うことができる(例、EP 522 560, WO94/25596,WO93/08299,Belisle et al(1994),J.Bacteriol.176:2151-57)。 洗剤はリポタンパクと結合しかくしてリポタンパクを囲んでいる膜からそれらを 溶かし出す。しかしながら、そのリポタンパクからの分離には非常な困難と莫大 な生成物の損失を伴う。しかし、ヒトへの適用のためには、洗剤を完全に分離す る必要がある。しかも、その低溶解性のゆえにリポタンパクは洗剤不在下では非 常に取扱い難い。洗剤不在下ではリポタンパクは凝 集物を形成し易く、例えば、滅菌ろ過及び正確な投薬が、困難になる。効率的な ワクチン生産においてはこのように洗剤の使用は多くの困難を伴う。 Gondolfら(1990,J.Chromatography 521:325-34)、及びMa及びWeis(1993,I nfect.Immun.61:3843-53)は洗剤を使わずに、リポタンパクOspA及びOs pBをn-ブタノールを用いて抽出した。その場合、n−ブタノールは洗剤様機能 を満たしたが、真の洗剤ではない。そこでは、ボレリアを音波処理したのちn-ブ タノール抽出した。次いで遠心するとブタノール相、中間相及び水相の3つの相 が形成された。OspA及びOspBは水相に分かれておりそこから透析後、ク ロマトグラフ的手法で精製された。 E.coliは、組換えタンパクの製造のための遺伝子組換え技術に最も頻繁に用 いられる宿主生物である。E.coliは培養が容易で、通常極め高収率を達成する 。E.coliは翻訳後修飾が必要でないか、又はそれがE.coliによってもなされる 場合には、あらゆる場合で機能的なタンパクを得るために宿主生物として利用可 能である。 ボレリアのOspタンパクは天然では脂質化されている。すなわち、翻訳後に 脂質部分がタンパクのN−末端に付加される。多くの著者が、ボレリアのOsp リポタンパクの免疫原性には脂質化が必須であると指摘している(WO93/08299, Erdile et al.(1993),Infect.Immun.61:81-90;Belisle et al (1994),J.B acteriol.176:2151-57;Weis et al.(1994),Infect.Immun.62:4632-36)。E .coliが組換えOspタンパクを正しく脂質化するという発見により、ボレリア OspタンパクのE.coli内での発現が、多く場合、ボレリアからのOspタン パクの直接抽出の替りとなるとの結論がなされた(WO93/08299,Weis et al.(1 994),Infect.Immun.62:4632-36)。 ボレリア中でと同様、E.coli内では脂質化されたOspタンパクは細胞膜に 結合している。ボレリアの場合と同様、Ospタンパクを洗剤を用いて細胞膜か ら抽出しなければならない。このように、E.coli内での組換えOspタンパク の発現は、上記の洗剤を加えることに関連する問題の解決にはならない。しかし ながら、Ospタンパクの発現におけるE.coliの使用で、組換え遺伝子又はタ ンパクそれぞれに修飾を導入することが可能になる。 N−末端が切断されもはや脂質化されないOspAの変異体は、もはや細胞膜 に固定されない。Dunnら(1990,Prot.Expr.Purif.1:159-68)はE.coli中で野 生型の最初の17アミノ酸を欠く組換えOspAを発現させた。N−末端が切断 されたこのOspAは脂質化されず、従って洗剤不在下で可溶性であった。この 非-脂質化OspA構築物はライム病ボレリアの患者の血清で検出可能であった 。このことは、患者の体内で免疫反応を引起すボレリアエピトープの少なくとも あるものはN−末端が切断された、非脂質化OspA中に存在することを示して いる。他の野生型の最初のアミノ酸を欠失した組換え、非脂質化OspAは動物 試験で非免疫原性であることが分かった(Erdile et al.(1993),Infect.Immu n.61:81-90)。実験では、Erdileらは、脂質化部分の喪失に対する明確な免疫 原性の喪失をつきとめた。N−末端が切断されたE.coliからの非-脂質化Osp Aタンパクは、このようにワクチンに用いるには免疫原性が不充分である。 従来技術によると、融合タンパクはE.coli内でOspタンパクを発現させる ための他の方法である。OspAとNS−1(インフルエンザの非一構造タンパ ク:Gern et al.(1994),Immunol.Lett.39:249-58;Telford III et al.(1995)J .Infect.Dis.171:1368-70)、OspA、OspB、OspCとグルタチオン- S-トランスフェラーゼ(Padula et al.(1993) Infect.Immun.61:5097-105;T elford III et al.(1993),J.Exp.Med.178:755-58)、及びOspCとマルト ース結合タンパク(Probert et al.(1994),Infect.Immun.62:1920-26)の融 合タンパクが既に記載されている。これらの場合、融合しているタンパクでN− 末端がブロックされているために、それぞれのOspタンパクは脂質化されてい ない。従来技術で言及された融合のパートナーは免疫系に刺激的な作用を有する か、融合タンパクの発現又は精製を容易にするものである。このように、融合タ ンパクの思想には、Ospタンパクの製造においてさらに2つの課題を解決する 必要がある:非−脂質化Ospタンパクの免疫原性の甚大な減少、及びヒトへの 適用が可能なワクチンのためのOspリポタンパクの精製の困難さ。融合タンパ クは脂質化されていないので、細胞膜と結合していず、したがって個々のOsp 融合タンパクの単離に洗剤は必要でない。グルタチオン-S-トランスフェラーゼ 及びマルトースー結合タンパクとの融合により、融合している 個々のタンパクに特異的な親和性を介して融合タンパクを精製することができる 。81アミノ酸長のNS−1のN−末端とOspAとの融合に関しては、E.col i内でのかなり高い発現率を得ることができること、そして融合タンパクが同種 免疫血清と反応することが示された(WO 93/04175)。同種免疫血清との反応から 、著者らはこの融合タンパクは悪性B.ブルグドルフェリによる感染に対する防 御能力を有すると結論した。しかしながら、WO 93/04175中では、この仮説は実 験データによって実証されていない。 OspタンパクのN−末端をブロックする融合では、融合産物は脂質化されな いと推測されている。これらの非脂質化Osp融合タンパクの免疫原性は、1つ に、それに融合しているタンパク又はタンパク部分の免疫刺激作用の結果かもし れず、他方では非常な高用量のアジュバントに帰すとの文献の記載もある(WO93 /08299)。さらには、そのような融合タンパクは、免疫原中にOsp−タンパク 特異抗原のみが存在する訳でないという不都合がある。もしもワクチン接種の抗 原の免疫原性が低い場合、高用量のアジュバントを用いる必要がある。高用量ア ジュバントは副作用を有するワクチンの危険性を大きく増大するので、高用量ア ジュバントが必要なワクチン接種免疫原をヒトに使用するのは不適当である(Gup ta et al.(1995),Vaccine 13:1263-76)。また、WO 93/08299はアジュバント- 不含ワクチンが望ましいと明瞭に指摘している。これが、WO 93/08299の発明者 らがワクチンの開発に、脂質化されていないものよりも、天然の、すなわち、脂 質化されたOspタンパクを好ましいとする理由である。 Probertら(1994)は、主に精製の問題解決を示す異なる方法を記載して いる。彼らはOspC−MBP(マルト-ス-結合タンパク)融合タンパクをE.c oli内で発現させ、MBPのアミロースへの親和性を利用して融合タンパクをア ミロース含有担体に結合させ、融合タンパクを特異的に濃縮した。融合タンパク の特異的な単離に際して、MBP部分は融合タンパクから開裂除去され最終生成 物中にOspCのみが存在する。天然のOspCとは対照的にこのようにして調 製された最終生成物はN−末端システィンを欠く。DNAレベルでは、factor X aのための開裂部位をMBPとOspCとの間に挿入し2つのタンパクがfactor Xa活性によって開裂されるようにする。この方法の欠点は、余分な工程、すなわ ちfactor Xaによる開裂反応が必要であること、後のfactor Xaの分離及びMBP 部分の開裂除去が必要な点である。ワクチン中に2つの物質の両方又は一方の痕 跡の危険性が、そのような余分な開裂反応の使用に対する反論である。しかしな がら、プロテアーゼの使用は、他の余分な開裂部位がOspタンパク自身に存在 しうるという点でも問題である。そのような場合、プロテアーゼ反応は最終生成 物を破壊してしまうかもしれない。 WO 94/25596には組換えOspCの酵母Pichia pastorisによる製造が記載され ている。このようにして得られるOspCは免疫原性を有し動物試験で同種攻撃 から防御することが分かった。PichiaからのOspCの調製は洗剤を用いずに行 われた。細胞を等張住緩衝液中で機械的に粉砕し、ろ過し、遠心した。次いで上 清に存在するOspCを数工程のクロマトグラフ精製で濃縮した。この方法の欠 点は遠心がOspC特異性でないという事実に帰される。そのために、宿主細胞 及び培地に由来するタンパクの部分も上清に存在する。これらのタンパクは望ま しくないので数回の連続的なクロマトグラフ工程で生成物から分離しなければな らない。しかしながら、各クロマトグラフ工程には高い生成物の損失が伴う。し かも、汚染性のタンパク又は他の物質、例えば脂質、核酸、及び炭水化物などの 痕跡が最終産物中に存在しないことについてまったく疑いがないことを保証する ことはできない。 WO 95/21928ではメチル栄養性(methyltrophic)酵母、なかんずくpichia中での 異種タンパクの発現について記載されている。異種タンパクの例として、就中O spAが記載されている。WO 95/21928は主として高収率に関連しており、Os pAの場合、彼らは細胞を「French press」で破砕したのちELISAで測定し ている。OspAは具体的には精製されておらず具体的に特性化もされていない 。 発明の開示 従来、ワクチンの製造方法は既知であるが、ヒトに躊躇なく適用でき様々なラ イム病ボレリア株に対して広範なワクチン防御を与えるライム病ボレリアに対す る高純度のワクチンに対する要求は依然として存在している。 本発明の目的は改良されたOspタンパク、特に組換えOspCタンパクを回 収及び精製する方法であって、免疫学的に活性な組換えOspの簡単で効率的な 精製を可能にする方法を提供することである。 本発明は、真核性宿主細胞、好ましくは酵母細胞からボレリア-Osp由来の Ospを精製及び回収する方法を提供する。本発明方法は、宿主細胞を溶解し、 溶解物(リゼイト)を、細胞性(細胞質)タンパクが実質上完全に沈殿し、組換 えOspタンパクが選択的に溶液中に残存する条件下で有機溶媒と混合し、Os pタンパクを該溶液から精製し、回収することを特徴とする。組換えOspタン パク、特にOspCの他のタンパクとは大きく異なる異常な(並外れた)溶解挙 動の故にこの工程が高度に選択的なものとなる。 本発明の方法に用いられる有機溶媒はタンパク沈殿物質として知られているも のである:アルコール類、短鎖ケトン類、スルホキシド類及びニトリル類、好ま しくはメタノール、プロパノール異性体類、ブタノール異性体類、DMSO、ア セトニトリル、ジオキサン、アセトン、そして特に好ましくはエタノールである 。タンパク沈殿性有機溶媒は一般に溶液からタンパク類を沈殿させ、それらを溶 液中に維持しないために用いられる。この場合、有機溶媒は夾雑物質の効率的な 沈殿剤として用いうる。本発明方法に従った条件下で殆どのタンパク質が沈殿す る:それらがタンパク質と連携しているという理由で核酸もまた99.99%沈 殿する。 このように、本発明の方法は最初の沈殿段階で既に高度に選択的である。溶液 中に、組換えOspタンパク、特に組換えOspCが高度に豊富化され、夾雑性 物質が著しく除去されるので、以後に必要な精製工程の数が減少され、さらなる 精製コースでのPichiaによる発現の高い収率の減少を最小限にすることができ、 さらなる精製に要する費用も最低に維持することができる。 有機溶媒の添加は夾雑タンパクと核酸の大部分を沈殿させる。本発明に従って 、沈殿した物質の、例えば組換えOspCを含有する溶液からの分離は、沈降又 はろ過により行うことができる。沈降は好ましくは遠心により促進されるが、よ り長期間靜置することでも行うことができ、沈殿した物質は溶液の入った容器の 底に地球の重力によって集まる。沈降後、組換えOspC含有溶液を沈殿した沈 殿物から分離する。 組換えOspC含有溶液をフィルターでろ過し沈殿物質から分離する。ろ過に は例えば滅菌フィルターを用いる。好ましくは、ろ過は2段階で行う。比較的粗 い孔径、例えば1μmの滅菌フィルターのような比較的粗いフィルターを予備ろ 過に用いる。次いで、より細かい孔径、例えば0.2μmの滅菌フィルターのよ うな比較的細かいフィルターを主ろ過に用いる。 有機溶媒と沈降による沈殿又はろ過の後も、組換えOspC含有溶液は宿主細 胞由来のりん脂質、着色剤(物質)及び少量のタンパク及び核酸を含有している 。沈殿前の溶液と比較して、沈殿後の溶液中には宿主細胞及び培地由来のタンパ ク質は約10%、核酸約0.001%、及び脂質約5%が残っている。好ましく は、次いで逆相クロマトグラフィーにより、非常に効率的にこれらを組換えOs pタンパク,特にOspCから分離することができる。 本発明の別の側面では、逆相クロマトグラフィーを、Osp含有出発物質の精 製のために有機溶媒で(前記のように)夾雑タンパク又は核酸を沈殿させるとい うような、先立つ精製工程なしに用いる。このように、本発明はまたOspタン パクをOsp含有出発物質から精製する方法であって、逆相クロマトグラフィー に適した固体担体にOspタンパクを選択的に結合させ、所望により洗浄し、溶 出する方法を包含する。適当な物質はシリケート(ケイ酸塩)、好ましくはSphe risorb 5C18、又は合成ポリマー、好ましくはSource PR15TM(Pharmacia) 逆相クロマトグラフィーの原理は分子が、それらの特異的な親和性に応じて固 体、疎水性相及び液体、親水性相に分布するという事実に基いている。本発明の Ospタンパク、特にOspCは固体、疎水性担体、に高い親和性を有するが、 夾雑性物質−宿主細胞及び培地由来の残りのタンパク、核酸、りん脂質及び着色 物質−は液体、親水性相にとどまりOspタンパクが結合している固体担体から 分離される。一般に、固体担体をカラムマトリックスに固定化し夾雑物質を含有 する液相がカラムを通して流れるようにする。もしも担体がゆるい(自由な)形 で存在している場合は担体粒子を液相から分離し小さい溶離能を有する溶離剤で 洗浄する。これらの条件下、Ospタンパクは溶液よりも担体に対してより高い 親和性を有する。本発明方法によればこの工程は宿主細胞又は培地由来の望まし くないタンパク質、核酸、りん脂質、及び着色物質を除去するのに特に効率的で あり、この除去は有機溶媒による沈殿では完全には達成できない。逆相クロマト グラフィーは本発明によって得られる組換えOspタンパク、とりわけOspC の有機溶媒中での特殊な溶解挙動を利用している。逆相クロマトグラフィーの間 、本発明に従って、有機溶媒をOspタンパクの溶離のために用いる。まず、例 えば、組換えOspCタンパクを含有する溶液を水性緩衝液で希釈し固体担体と 接触させる。条件は、Ospタンパクが選択的に担体に結合するように調節する 。本発明に従ってOspタンパクが担体に結合するために、Ospタンパク含有 溶液を有機溶媒で希釈し溶離能が低い溶媒濃度にする。このような条件下、本発 明に従って調製したOspタンパクは、溶液よりも担体により高い親和性を有す る。担体としては、シリケート(ケイ酸塩)、好ましくはSpherisorb 5C18、又 は合 (Tosohaas)が好ましい。担体をカラムに詰め込んでも良いが、溶液と混合して遊 離状態で用いても良い。希釈した溶液中に存在する組換えOspタンパクは選択 的に担体に結合し、混在するりん脂質、着色性物質、タンパク及び核酸は結合し ないであろう。ここにおける選択性は用いた有機溶媒の濃度勾配及びタイプに基 づく。 本発明の好ましい実施態様では溶媒として、エタノールを、好ましくは濃度4 5%付近で用いる。担体材料が低溶離能の溶離剤、例えば35%、40%又は4 5%エタノールの生理学的緩衝液で、フラッシュ洗浄されている場合、Ospタ ンパク、特にOspCは高濃度又は高溶離能の有機溶媒、それぞれにより選択的 にカラムから溶出される。高溶離能の溶媒は担体に結合したOspタンパク、特 にOspCを担体から取り外し溶媒に溶解させる。 本発明のさらなる態様では、エタノールを濃度50%〜60%、好ましくは5 2%〜57%の間、特に好ましくは55%で用いる。溶離に用いる有機溶媒は第 1工程で用いた沈殿に用いた溶媒と同じ溶媒であってもよいが、異なる有機溶媒 であっても良い。溶媒を選択した濃度で、又は2つの異なる濃度のグラディエン トとして用いることができる。それぞれの場合で濃度は、10%〜90%、好ま しくは20%〜70%、特に好ましくは40%〜60%の範囲である。有機溶媒 は所望の濃度に従って、水性緩衝液で希釈されるであろう。水性緩衝液は、-例 えばリン酸(phosphate)緩衝化塩化ナトリウム溶液、Trisバッファー又はクエン 酸塩バッファーであってよい。 本発明の範囲内における好ましい有機溶媒は、タンパク沈殿物質、特に一価又 は多価アルコール類、短鎖ケトン類、スルホキシド類又はニトリル類、好ましく はメタノール、n-プロパノール、2−プロパノール及び他のプロパノールの異性 体、t−ブタノール、2−ブタノール及び他のブタノールの異性体、DMSO、 アセトニトリル、ジオキサン、又はアセトン、特に好ましくはエタノールからな る群から選択される。 水性の緩衝液中に、単一の有機溶媒、又は異なる有機溶媒の混合物を用いるこ とができる。本発明方法に従った種々の精製工程で用いる有機溶媒は、全工程で 同一の有機溶媒であって良いが、異なる段階における1つの精製法に異なる有機 溶媒を用いることもできる。 既述のごとく、ライム病ボレリアに対して効率的な防御を与えるワクチンは、 あらゆる血清学的サブタイプのLyme Borrelia対して防御すべきである。このよ うに、広い活性スペクトルを有する多価混合ワクチンを提供することは有意義で ある。本明細書中、「多価混合ワクチン」とは、ワクチンが、Ospタンパク、 特にOspCの様々な血清学的サブタイプを含有していることを意味する。その ような多価ワクチンの大量生産のためには様々な成分に対して一律に用いること ができる回収及び精製法が望ましい。しかしながら、従来の利用可能なクロマト グラフ的手法では個々のOspタンパクを夾雑物質から分離するために、各Os p変異体に対して極めて特殊な(具体的な)調節を行わねばならなかった。Os pタンパクの種々の血清学的変異体に存在するような極めてわずかなアミノ酸配 列の変化でさえ、高度に特異的なクロマトグラフィー工程ではタンパクの挙動を 変化させ精製効率に悪影響を与えうる。 従来知られているクロマトグラフィー的手法の多くは、古典的なタンパク精製 法に用いられる担体材料に、それらがイオン交換体及び疎水性相互作用ゲルに用 いられる場合のように、Osp,特にOspCが結合しないか、極く弱い結合し かしないという事実に基づいている。このように、この精製法はいわゆる「ネガ ティブクロマトグラフィー」、つまり除去されるべき物質は様々な担体に結合す ることによりOsp(OspC)含有溶液から除去されるが、Osp(OspC )は溶出液中に常に見出される、という方法で行われる。そのような一連の工程 ののち、Osp(OspC)は精製された状態で存在するはずである。この方法 は多くの作業を要する上、溶出液中に夾雑性物質が「混入する(引きずり込まれ る)」可能性が極めて高い。「ネガティブクロマトグラフィー」は必ずそれぞれ のOsp変異体に適合させなければならないが、Ospタンパクにはそのような 方法が適用できないことがわかっている。 それぞれのOsp変異体に適合させねばならない方法は多くの労力を要し、費 用がかかり、これらの理由によりそれらは大量生産には不向きである。各ステッ プの方法を、夾雑タンパク除去活性に関してチェックし確認しなければならない 。多くの連続的な方法工程は、各段階でのある程度の損失を考慮に入れる必要が あることから、生成物の大きい損失を招くことになる。組換えOsp、特にOs pCの回収及び精製のための本発明方法は最少の方法工程により最大の選択性が あるので、生成物の損失が減少される。本発明方法はOsp、特にOspCのあ らゆる血清型に適用可能であり、大量の工業規模で実現することができる。さら に方法工程が最少になることで汚染の可能性も最小になる。WO 94/25596記載の 方法で精製したOsp(OspC)は20%に上るフラグメントと分解産物を含 有している。要する工程が少ないために、本発明の方法によれば最大でも5%の フラグメントと分解産物が含まれる。 本発明の特別の態様によれば、本発明の組換えOspCを発現する酵母細胞、 好ましくはPichia pastorisをトリスバッファー(Tris buffer、pH7.5)に懸 濁しManton-Gaulinホモジナイザーで粉砕する。遠心し、細胞の固体成分を溶液 から分離する。最終濃度50%まで、エタノールを溶液に加える。室温で1時間 インキュベーションし、形成された上清を遠心により溶液から分離する。溶液を トリスバッファー(pH7.5)で45%エタノールになるよう希釈し、Source PR 15TM(Pharmacia)を充填したクロマトグラフカラムに適用する。OspCを45 %〜70%の間のエタノールグラディエントでカラムから溶離し、溶出液のUV 吸収を連続的に測定する。これらの条件下、組換えOspCはエタノール濃度 52%〜57%の間で溶出する。OspC含有画分を合し、生理学的に両立しう る緩衝液、例えばりン酸緩衝液で、ゲルろ過、例えばSephadex G25を介して再度 緩衝剤処理する。次いで排除サイズ5000Daのメンブラン、例えばOmega 5K (Filtron)を用いて、限外ろ過することにより濃縮する。 本発明の他の側面では、脂質化されておらず、単にB.ブルグドルフェリOs pCリポタンパクのタンパク部分のみからなることを特徴とする組換えOspC を提供する。この脂質化されていないOspCタンパクはOspCアポタンパク 質(複合タンパク質)、即ちリポタンパクの構成要素であり、それは完全に脂質部 分を欠いている。本発明のこの態様のOspCは完全な、非融合OspCである 。驚いたことに、Pichia pastoris由来の本発明の組換えOspCは非−脂質化 でありかつ高い免疫原性を有する。これは、非脂質化OspAに関し、その免疫 原性が脂質化OspAに比べて大きく低下していることがわかっている(Weis et al.(1994),Infect.Immun.62:4632-36)ことから、特に驚くべきことである 。本発明のOspCはまた、タンパク沈殿活性を有する有機溶媒、例えば50% エタノールに可溶性であることを特徴とする。 本発明の範囲内で非−短縮化OspCをコードする遺伝子を酵母、好ましくは Pichia pastoris内で発現させると、驚くべきことに脂質部分を欠くOspCが 得られることが示された。「非−短縮化」とはアミノ酸レベルで組換えOspC がプロセスされた天然OspCに対応しN−末端システインが存在することを意 味する。脂質部分が喪失される理由は、Pichia pastorisが、細菌(Borrelia,E .coli)内で起こるように、このOspCの翻訳後修飾のための酵素を欠いている ことになる。脂質部分の喪失の結果、本発明のOspCタンパクは宿主細胞の膜 と結合せず、宿主細胞のサイトソル(cytosol)中に存在する。 本発明に従って用いる溶媒は通常、タンパクを溶液から沈殿させるよう作用す る。さらに驚くべきことに、本発明の組換えOspCは、有機溶媒を加えたとき 、例えば細胞性(細胞質)タンパク又は培地の構成タンパクなどの他のタンパク と一緒に沈殿せず有機溶媒中に溶解する。これまで、OspCにはこのような特 別の(異常な)性質はなかった。OspCの新規な精製法の開発には、この異常 な溶解形態が非常に重要である。その上、ワクチンの製造において、この性質は こ れまで試験したあらゆる血清型OspC変異体に適用されるという点でさらに重 要ある。 本発明によって精製される組換えOspCは、同質攻撃に対して高度に効率的 なワクチン防御を与え、さらに驚くべきことに異質攻撃に対して高いワクチン防 御を与える。この本発明に従って精製された組換え、非脂質化OspCの免疫原 性は、既存の文献には、ボレリアのOspタンパクはそれらが脂質部分を有する 場合に限って免疫原性であると記載されていることから、一層驚異的である。そ の上本発明に従って精製された組換えOspCは高純度でありヒトにとって危険 なあらゆる汚染物質、例えば宿主細胞由来のタンパク、栄養培地由来のタンパク 、核酸、発熱性及び毒性物質及び脂質など、を含有しない。本発明の組換えOs pCの回収及び精製法の故に、本発明の組換えOspCは洗剤を100%含有し ていない。USP(米国薬局方)に従って、動物テストにより本発明方法で精製さ れたOspCは完全に発熱性物質を含有しないことが示された。さらに、USP に従った(異常)病的毒性試験及びUSPに従った皮膚反応性試験において、その 耐性も証明された。このものは何らの危険性を伴わずにヒトに使用されるワクチ ン製品に含有させることができる。その高い免疫原性の故に本発明のOspCは 極く少量のアジュバントの添加が必要とされるにすぎない。 本発明のさらなる側面では本発明の精製法によって得ることができるOspC 製品に関する。 本発に従って組換えOspCを製造するには、OspCをコードするポリヌク レオチド分子を適当なベクター内で宿主細胞に導入した。以下、OspCをコー ドするポリヌクレオチド分子を「OspC遺伝子」と呼ぶ。 OspC遺伝子は当業者に既知の方法でボレリアから調製し、ベクター分子に 導入することができる(PCR、“Screening”of gene libraries,cloning;e .g.:Maniatis et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL;Cold Spring H arbor Laboratories(1982))。しかしながら、OspC遺伝子はいわゆるgene a ssemblerを用いて合成しても良い。OspC遺伝子を発現−制御配列類(プロモ ーター、エンハンサー、リボソーム結合部位)のそばで、ベクター分子に挿入す る。発現制御配列類は対応する遺伝子の転写及び翻訳を引き起こすも のであり、それらは転写又は翻訳を促進するよう作用することもある。発現制御 配列は、選択した宿主細胞内で高い生産率を与えるよう、当業者既知の基準に従 って選択される。本発に従って生産率は0.1mg/g(湿細胞重量(MCM) )〜100mg/gMCMまでの範囲であり、好ましくは1mg/gMCMであ る。 本発方法で用いる宿主細胞は真核性細胞であり、好ましくは酵母細胞である。 酵母細胞は、好ましくは、Hansenula sp.,Saccharomyces cerevisiae,Schizos accharomyces pombe、特に好ましくはPichia pastorisからなる群から選択され る。本発に従い、発現制御配列は、それらが組換えOspタンパク、特にOsp Cの酵母内での発現に適するよう選択される。発現のためには構成的かつ誘導可 能なプロモーター類を選択しうる。誘導可能なプロモーターは誘導質分子を付加 した場合のみ活性であり製造のために意図的に「スイッチオン」しうる。誘導可 能なプロモーターは、例えばADH2,AOX,イソチトクロームC、アジ化ホ スファターゼ(azide phosphatase)、窒素代謝に関連した酵素、メタロチオナイ ン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ及びガラクトース及びマ ルトースの代謝に活性な酵素のプロモーターである。重要なプロモーターは、例 えばPGK1及びADH1プロモーター、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ及び 例えば、エノラーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホ フルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、ピルビン酸キナーゼ 、及びグルコキナーゼなどの他の解糖酵素のプロモーターである。Osp(Os pC)の発現のためのベクター分子は酵母細胞中の細胞質内、例えば、YEp、 YRp、YCp又はYACに存在し得るか、酵母細胞のゲノムに、例えばYIp として組み込まれる。さらには、酵母細胞と細菌(例、E.coli)内で増殖しう るいわゆる「シャトルベクター」が適する。「シャトルベクター」の一例として Pichia pastoris及びE.coli内で増殖可能なpHIL-A1(Philips Petroleum)があ る(WO 94/25596)。 OspC遺伝子は野生型ボレリア変異体と同じOspC分子をコードしている か、それに由来する(導かれる)。本明細書中、由来する(導かれる)とは、遺 伝子が元の変異体と、該元の変異体に対する抗体が組換えOspCを認識する程 度に一致する組換えOspCタンパクをコードしていることを意味する。遺伝子 は遺伝子工学的に修飾されていても良く、それが遺伝子工学的に導入された突然 変異を含んでいても良く、また5’及び3’領域内に所望のやり方での発現に影 響する配列を含有していても良い。宿主細胞がPichia pastorisであれば、遺伝 子は例えばPichiaに特異的なプロモーター、例えばメタノールで誘導可能なAO X−1プロモーターの制御(コントロール)下におくことができる。形質転換の ために、そして、要すれば、また宿主細胞内での発現のために、遺伝子をベクタ ー内に含有させる。ここで、ベクターのタイプは主として宿主細胞に依存し、適 正なベクターの選択は当業者既知の判断基準に従って行われる。本発明に従って 用いられるベクターは長期間にわたって効率的な発現を可能にするものである。 宿主細胞がPichia pastorisであれば、ベクターはPHIL−A1(Phillips Pe troleum)であり、OspC遺伝子はメタノールで誘導可能なAOX−1プロモ ーターの制御下におくことが好ましい。1つの具体的な実施態様では、PHIL −A1構築物は例えば、WO 94/25596のpPC−PP4のようにして構築される 。WO 94/25596に記載のごとく挿入されたOspC遺伝子はB.ブルグドルフェ リの株B31、PKO,ZS7,KL10又はE61を起源とするが、Liveyら( 1995,Mol.Microbiol.18: 257-69)が記載したように任意の他のタイプのRF LP型を起源とするか、それに由来(それから導かれる)ものであってよい。 本発明はボレリアOspC由来の組換えOspCタンパクを回収し精製する新 規な方法を提供する。由来する(導かれる)とは本発明の組換えOspCがボレ リアの天然のOspCと非常に類似しているので、なおも哺乳動物内でライム病 ボレリアに対する防御的な抗体の産生を引起すか、あるいはライム病ボレリアの 同種病原体に対して哺乳動物により産生された抗体となお反応することを意味す る。本発明のOspCはボレリアOspCの任意のサブタイプに由来して良い。 本発明に従い、ボレリアとは、ライム病ボレリアの病原体、好ましくはB.ブル グドルフェリ センス スツリクト(B.burgdorferi sensu stricto)、B.ガリ ニイ sp.nov.(B.gariniisp.nov.)及びB.アフゼリイ(B.afzelii)を意味す る。 本発明は、脂質化されていないことを特徴とする新規な、組換えボレリアOs pC由来タンパクを提供する。「脂質化されていない」とはOspCのN−末端 システインに脂質部分が共有結合していないことを意味する。本発明の組換えO spCはボレリアOspCの任意の血清学的変異体でありうるが、血清学的変異 体から導かれたOspCであってもよい。 本発明の組換えOspCはさらに夾雑タンパク及びタンパク結合核酸が沈殿す る条件下、有機溶媒に可溶性であることを特徴とする。本発明に従って、有機溶 媒は、タンパク沈殿物質、特に一価又は多価アルコール類、短鎖ケトン類、スル ホキシド類又はニトリル類からなる群から選択される。有機溶媒は、好ましくは メタノール、n-プロパノール、2−プロパノール又は他のプロパノールの異性体 、t−ブタノール、2−ブタノール又は他のブタノールの異性体、DMSO、ア セトニトリル、ジオキサン、又はアセトンであり、特に好ましくはエタノールで ある。有機溶媒は水性緩衝液中に存在する。水性の緩衝液中に、単一の有機溶媒 、又は異なる有機溶媒の混合物を用いることができる。水性緩衝液は、例えばリ ン酸(phosphate)緩衝化塩化ナトリウム溶液、Trisバッファー又はクエン酸塩バ ッファーであってよい。本発明に従って、有機溶媒は水性緩衝液中に、濃度10 %から90%、好ましくは20%から70%、特に好ましくは40%から60% の範囲で存在する。水性緩衝液は、リン酸(phosphate)緩衝化塩化ナトリウム溶 液、Trisバッファー又はクエン酸塩バッファーであってよい。 好ましい実施態様では、有機溶媒は一価又は多価アルコールであり、特にエタ ノールが好ましい。エタノールは水性緩衝液中に濃度40%〜60%、好ましく は45%〜55%の範囲で存在する。 本発明の組換えOspCは本発明のOspの回収及び精製法で調製されること が好ましい。それは細胞質タンパク、発熱性及び毒性物質、核酸及び脂質を含ま ない。本発明の組換えOspCは洗剤を添加せずに調製されるので、100%洗 剤不含である。 本発明に従って調製される組換えOspCは極めて高純度である。その純度は 少なくとも90%、好ましくは95%、特に好ましくは98%である。純度は一 般的な生化学的方法(HPLC,電気泳動及び質量分析(マススペクトロスコピ ー))によって証明された。(実施例3参照) 本発明に従って、組換えOspCは単独の血清学的変異体でありうるが、数種 の異なる変異体からなるOspC混合物であってもよい。一般に、本発明に従い 、様々な血清学的変異体を別々に調製する。本方法はOspCのあらゆる血清学 的変異体に一様に適用可能であるので、異なる変異体を同時に精製することも可 能である。この点における本発明方法の利点は、該方法をそれぞれの血清型に適 合(順応)させる必要がないのみならず異なる変異体を調製の前又は後に混合し ても何ら問題がないという点である。このことは、とりわけライム病ボレリアの 予防には必要な多価ワクチンの効率的かつ均質な製造に非常に好適である。 機能的な研究では本発明の組換えOspCが高度に免疫原性であることを示す ことができた。本発明の組換えOspCはマウス内で抗体の形成を誘発する。さ らに脂質化されていない本発明のOspCは同種攻撃からマウスを100%防御 する。その上、それは異種攻撃に対しても驚異的に高い防御を与える。すなわち 、それはワクチン中に含有されていないOspC変異体を有するボレリア株に対 する防御を与える。個々のOspC変異体がワクチン接種の抗原として用いると 70%にいたる防御が観察された(実施例5参照)。3つの異なるOspC変異 体の混合物をワクチン接種の抗原として投与すると異種防御は80%であった( 実施例6参照)。これらの結果は、ライム病ボレリアを効率的に防御するワクチ ンは、好ましくは幾つかの異なるOspC変異体を含有すべきであることを示唆 している。その広範な適用可能性の故に本発明のOspC精製法はそのような多 価混合ワクチンの製造に特に適する。しかも実施例5及び6で示された本発明の 脂質化されていないOspCの高い免疫原性は、従来技術で広く流布されている 仮説、ボレリアのOspタンパクは脂質部分を有する場合にのみ効果的に免疫原 性を発揮するという仮説と対照的である(WO 93/08299;Weis et al.(1994),In fect.Immun.62:4632-36;Erdile et al.(1993),Infect.Immun.61:81-90)。 本発明方法によれば、本発明の組換えOspCは極めて高純度に、かつヒトに とって危険なあらゆる汚染物質、例えば宿主細胞由来のタンパク、栄養培地由来 のタンパク、核酸、発熱性及び毒性物質、脂質及び洗剤などを含有しないで調製 することができた。動物試験(発熱物質試験、異常な毒性試験、皮膚反応性)に より耐用性も証明された。本発明の組換えOspCは何らの危険性を伴わずにヒ トに使用されるワクチン製品に含有させることができる。それは製薬的な用途に 非常によく適している。この文脈で製薬的用途とは、それが添加可能な物質と共 に適当な生理学的担体中で哺乳動物、特にヒトに投与可能であり、予防又は治療 効果を示すことを意味する。OspCの予防又は治療効果はその免疫原性により ワクチン接種の抗原となることにある。ワクチン接種の抗原とは哺乳動物内で特 異的な免疫応答を引起す抗原である。この免疫応答は体液性及び/又は細胞性免 疫に至る。免疫(immunity)とは、哺乳動物がボレリア感染から保護されるか、ボ レリア感染の重篤度が非免疫哺乳動物におけるそれよりも低いことを意味する。 予防的効果は健常な哺乳動物を免疫するときに認められる。この場合、OspC は健常哺乳動物にライム病ボレリアに対する免疫学的防御を賦与するワクチン中 に含有される。治療作用は哺乳動物が既にボレリア感染している場合に認められ 、ワクチン中に含有さっれるOspCはボレリアに対する免疫反応を高めること により治癒の進行を支持する。高純度であるために本発明のOspCはまた、子 供たちの免疫化にも非常に適する。 本発明の組換えOspCは抗血清又は抗体それぞれの製造における免疫原とし て適当な方法で用いることができる。このためには従来技術で既知の方法により 試験対象を免疫学的に有効な量のワクチン接種の抗原で免疫化し、免疫グロブリ ンを単離し精製することができる。さらに、組換えOspCに対する抗体を検出 することによりワクチン接種の成功を評価することができる。 通常、リン酸バッファーやクエン酸バッファー等の生理学的緩衝液を、生理学 的担体として用いる。添加し得る物質には、アジュバント、例えば水酸化アルミ ニウム及びリン酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物、フロインドのアジュ バント、又はその他鉱物油又は植物油乳剤、リポ多糖類、脂質A,サポニン、Qu ilA、QS21及びISCOMS等がある。好ましいアジュバントは水酸化アルミニウムで ある。アジュバント以外に「担体」もワクチンに加えうる。典型的な担体として リポソーム、ラテックス粒子、又はベントナイトがある。ワクチンの免疫原性を 高めるために、さらに、インターロイキン類、例えばIL−1又はIL−2など の免疫刺激物質をも加えて良い。 さらに、添加することができる物質に加えて、他のボレリア抗原又はウイルス 抗原などの他の抗原も加えることができる。他のボレリア抗原は、例えばOsp A、OspB、OspE若しくはOspF(Nguyen et al.(1994);Infect.Immu n.62:2079-84)、又はその誘導体である。ウイルス性抗原とは、例えばTBEウ イルスの抗原である。TBEウイルス及びボレリアのいずれもダニによって伝染 されるので、そのような組み合わせは、それ自身、ダニ棲息地域に住む人々のた めのワクチンとなる。さらに、いわゆる「担体物質」をワクチンに加えても良い 。「担体物質」は、例えばTuberculin PPD、血清アルブミン、オボアルブミン又 はKeyhole-Limpetヘモシアニンである。 ワクチン接種抗原以外のワクチン中に含有される全ての物質は無毒で非アレル ギー誘発性であることが好ましい。 ワクチンの形成は当業者にとって既知である。本発明のワクチン接種抗原は凍 結乾燥形で存在しており、使用に際してのみ生理学的に許容される緩衝液に溶解 されるものであってよい。生理食塩水又は他の生理学的溶液は緩衝液として適す る。ワクチン接種抗原を生理学的緩衝液と混合し所望の濃度のワクチン接種抗原 を得る。所望の濃度とは免疫学的に活性な濃度であり、用量あたり、それぞれの ワクチン接種抗原について1μgから100μgの範囲、好ましくは10μgか ら50μgの範囲である。所望により、子供に対しては、ワクチン接種抗原の用 量を、例えば、1用量について5〜30μgの範囲に減少してもよい。 最後に、本発明は、独創的な、組換えの、脂質化されていないOspCを含有 するワクチンを提供する。このワクチンは哺乳動物特にヒトへの投与に適する。 その範囲及びワクチン防御の所望の範囲に応じて、ワクチンは本発明のOspC の1又は数個の血清学的に異なる変異体を含有する。血清学的変異体は、Livey ら(1995,Mol.Microbiol.18:257-69)が記載した35のRFLPタイプに対応 する。しかしながら、ワクチン組成物は、様々なOspC変異体を含有しWO 94/ 25596に記載されている地域特異的組成物に対応していてもよい。 1つの実施態様では、ワクチンは本発明の異なるOspC血清学的変異体を3 〜8個含有しておりある地域で発生しているボレリア血清型に対する広範な異種 保護を付与する。特別の態様では、ワクチンはOspCの異なる3つの血清学的 変異体を含有しており、例えば、RFLP変異体Orth、PKO及びE61の組成 物、又はRFLP変異体ZS7、PKO及びE61の組成物である。しかしなが ら、Liveyら(1995,Mol.Microbiol.18:257-69)の記載に従って2又はそれ以上 のRFLP変異体を含有する任意の組成物も可能である。 以下に実施例及び図面に従い本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、 本発明はこれらに限定されない。 図1〜3は沈殿の最適化を示す。 図4は溶離最適化を示す。 図5〜8は従来法又は本発明方法それぞれに従って得られたOspCタンパク の純度分析を示す。 実施例: 実施例1組換えOspC(rOspC)のPichia pastoris内での発現 Pichia pastoris株GS115 NRRL-Y 11430(Cregg et al.(1985);Mol.Cell.Bi ol.5:3376-85)をDohmenら(1991;Yeast 7:691-92)の方法に従って、Borrelia bu rgdorferi株Orth、株ACAl、又は株ZS7のOspC遺伝子を含有するベクターpPC- pp4(WO 94/25596に記載)を用いて形質転換した。形質転換体をMD培地中で光 学的密度(OD600)が2-10になるまで30℃で増殖させた。OspC発 現の誘導及び分析はWO 94/25596に記載されている。 実施例2:rOspCのPichia pastorisからの精製 (出願人は、本発明を実施する上でのベストモードは実施例2であると考えて いる) 形質転換されたrOspC(株Orth又はZS27)を発現するPichia pastoris細胞 (細胞の湿重量500g)をトリス緩衝液(Tris buffer)(20mM Tris-HCl,p H9.0)500mlに懸濁しManto Gaulin ホモジナイザーで粉砕した。遠心(10,0 00gで15min)により懸濁液から、酵母細胞の固形成分を除去した。 攪拌下95%エタノールを、最終濃度が50%エタノールになるまで加えた。 4℃で1時間インキュベーションしたのち、形成された沈殿を遠心(20,000gで15m in)により除去した。澄明な無細胞(cell free)上清をTris buffer(20mM Tris-HCl,pH9.0)でエタノールの濃度が45%になるまで希釈したのち、 Source PR15TM(Pharmacia)を充填したクロマトグラフ用カラムに適用した。カ ラムをリン酸緩衝化塩化ナトリウム溶液中45%エタノールで洗浄した。 リン酸緩衝化塩化ナトリウム溶液中45%〜70%のエタノールグラディエン トによってカラムからrOspCを溶離した。溶出液のUV吸収を波長214nmで 連続的に測定した。rOspCはエタノール濃度55%付近で溶出した。rOs pC陽性画分を合した。Sephadex G25によるゲルろ過によって流したバッファー をTris-HCl+0.9% NaClバッファー(pH7.4)で置換した。次いで、溶液を、Omega 5 Kメンブラン(Filtron)による限外ろ過で濃縮した。 実施例3:実施例2に従って精製したrOspCの分析 実施例2に従って精製したrOspCの収率と純度をBCA法、HPLC、SDS−PAGE 、Limulus amebocyte lyste法、ガスクロマトグラフイー、及びフェノール/H2 SO4法よって決定した。結果を表1(Orth株)及び表2(ZS7株)にまとめた。 本実施例は本発明方法によれば、非常に異なるサブタイプ(Orth,ZS7:相同性= 69.2%)のrOspCが効率的に精製されることを示している。表に記載の数値 はそれぞれのrOspCが高純度であることを示している。 表1 実施例2に従って精製したOrth株のrOspCの分析 表2 実施例2に従って精製したZS7株のrOspCの分析 実施例4Pichia pastoris からのrOspCの精製における様々な有機溶媒 の比較 実施例2に従って破砕したOrth株のrOspCを発現した酵母細胞の懸濁液1 mlをそれぞれ異なる有機溶媒を用いて表3に記載の濃度にした。4℃で1時間イ ンキュベートしたのち、形成された沈殿を遠心(20,000g,15min)で除去した。 上清の一部をSDS-PAGEによるタンパク分析に付した。rOspCの収率は、SDS- PAGEゲルをCoomassie Blueで染色し、デンシトメーターにより評価した。ここで 、収率はエタノールによる沈殿の値に基く。本実施例はエタノール以外に他の有 機溶媒、例えばt-ブタノール、2-ブタノール、アセトニトリル及びジオキサンも 夾雑物質の沈殿化剤として用いることができ、rOspCの大部分を沈殿の上清 中に可溶性タンパクとして得ることができることを示している。 表3 実施例5:rOspCによるマウスの免疫化 1用量3μgのrOspC(Al(OH)3中の製剤(0.2%))によりC3H/HeJ実験マ ウスを2回免疫した。免疫した抗原に対する抗体の力価をボレリアOspCを用 いるELISAで決定した。第2回目の免疫から2週間後哺乳動物を、同種又は異種 の株(チャレンジ)の用量104感染性ボレリア(10i.d.50)で攻撃(チャレンジ )した。さらに1週間後、感染を診断するために血液及び幾つかの器官(心臓、 膀胱、腎臓、脾臓)をマウスから取り出した。結果を表4にまとめた。表4の結 果は実施例2に従って精製したrOspCにより同種チャレンジに対して高い防 御効果が得られることを示している。試験した3つのrOspC抗原(Orth,ZS27 及びACAl株の抗原)の全てが、同種攻撃に対して100%の保護をもたらした。 表4はさらに異種攻撃においても70%に上る部分的保護効果が達成されうるこ とをも示している。 表4 実施例6:異なる組換えOspCの混合物によるマウスの免疫 実施例5に示したようにしてC3Hマウスを免疫した。しかし、この試験では個 々のrOspC変異体3μgを投与する代わりに異なるrOspC変異体の混合 物を投与した。種々の混合物の組成物を表5に示した。全ての場合、抗原の総用 量は9μgであった。ここで、攻撃は種々のボレリア株(同種及び異種の株)を 用いて行った。この実験の結果を表5に示した。この結果は、3つの異なるrO spC変異体からなる混合ワクチンは、ワクチン中に含有されるrOspC変異 体を有するボレリア株に対して保護するのみならず、異種のボレリア株に対して も予想外に高い率(80%)で保護することを示している。 表5 実施例7: rOspCのための沈殿の最適化 最適沈殿条件は、主に混合する溶媒の量に関しては溶媒毎に異なる。本発明に 従って、個々の有機溶媒の最適濃度として、その濃度で細胞質タンパクは実質上 完全に沈殿するが、Ospタンパクは依然として沈殿しないか極く低い程度にし か沈殿しないような濃度を選択する。 様々な有機溶媒の最適沈殿濃度を決定するためには、出発物質としての、組換 え法で製造されたrOspCの培養液を溶媒としてのメタノール、2−プロパノ ール、t−ブタノール、DMSO、アセトニトリル及びジオキサンの様々な濃度(1 0%、20%、40%及び50%)で処理し、結果をゲル電気泳動でチェックし た(図1及び2参照)。 Ospタンパクからの随伴タンパクの最適な分離は、括弧内の濃度のメタノー ル(40%)、2−プロパノール(50%)、t−ブタノール(50%)、DMSO (40%)、アセトニトリル(40%)及びジオキサン(50%)による沈殿で 行えることが分かった。 実施例8:エタノールのための沈殿の最適化 組換えOspCを含有する1つの実施態様の溶液を30%、40%、45%及 び50%のエタノールで処理し、得られた溶液をSDSゲル電気泳動及びウエス タンブロット分析によってチェックした。 結果を図3に示す。図3は、rOspCに関し、40%〜50%の間のエタノ ールで最適な沈殿化が達成されることを示している。 実施例9:吸着処理の最適化 吸着処理を最適化するために、固体担体に吸着したOspタンパクの溶離を線 状エタノールグラディエント(45%〜70%)によって分析した。結果を図4 並びに以下の表に示す。 表6 実施例10: WO 94/25596との比較試験 WO 94/25596に従って得たOsp製品と本発明方法で得たものとを比較するた めにOrth/F17株の組換えOspCとACAl株の組換えOspCとをWO 94/25596の 「従来法」と本発明の方法のそれぞれにより精製した。結果を図5、6及び表7 、8(WO 94/25596に従った方法について)、及び図7及び8、並びに表9及び 10(本発明に従った方法について)に、それぞれ示す。 従来法によれば、様々な純度のOspC生成物が得られ、純度は56%から8 0%の間で変動することがわかった。すなわち、WO 94/25596の方法に従って、O rth/F17株の組換えOspCは純度80%、ACAl株の組換えOspCは純度56 %で得られた。 これとは対照的に本発明の精製法によれば、明確に改善された純度の組換え非 脂質化OsPC製品を得ることができ、それは少なくとも95%に達し、99%にも 至ることがある(図8及び表10参照)。 その上、本発明の精製法は従来知られているあらゆるOspC変異体に適用可 能であり、かくしてあらゆる変異体に関して抗原を一様な程度に精製することが でき、それは本発明以前に開示された方法では不可能であった。一様に高度な純 度で様々なOspC変異体を回収することにより、少なくとも90%の純度の製 品を製造することがはじめて可能になり、とりわけ少なくとも3つの異なる血清 学的OspC変異体を混合することにより、異種ボレリア株の攻撃(チャレンジ )に対しても保護するワクチン製品を製造することができる。このことにより、 広範な保護スペクトルを有するボレリアワクチンの生産における重大な発見(突 破口)が達成されたのである。 これとは対照的に、WO 94/25596によれば、比較研究で酵母から回収されたO spC製品は同種株による感染に対してのみ保護するにすぎないことが見出され た。 表7 表8 表9 表10
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 1/16 C07K 1/16 14/195 14/195 C12N 1/19 C12N 1/19 C12P 21/02 C12P 21/02 C //(C12N 1/19 C12R 1:78) (C12N 1/19 C12R 1:865) (C12N 1/19 C12R 1:645) (C12N 1/19 C12R 1:84) (72)発明者 ドルナー,フリードリッヒ オーストリア、アー―1230ヴィーン、ペー ターリニガッセ17番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. ボレリア菌(Borrelia)の表面リポタンパク由来の、組換えOspタンパク を真核性宿主細胞から回収及び精製する方法であって、宿主細胞溶解物を、細胞 質タンパクが実質上完全に沈殿し、組換えOspタンパクが選択的に溶液中に残 存する条件下でタンパク沈殿性有機溶媒と混合すること、及びOspタンパクを 該溶液から精製及び回収することを特徴とする方法。 2. 沈殿した細胞質タンパクを組換えOspタンパクから沈降により分離し、 組換えOspタンパクが溶液に残存することを特徴とする請求項1記載の方法。 3. Ospタンパク含有溶液を、固体担体とOspタンパクが選択的に該担体 に結合する条件下で接触させ、次いで有機溶媒でそれを溶離することを特徴とす る方法。 4. Osp含有出発物質からOspタンパクを精製する方法であって、Osp タンパクを逆相クロマトグラフィーに適した固体担体に選択的に結合させ、所望 により洗浄し溶離させることを特徴とする方法。 5. 固体担体がケイ酸塩、好ましくはSpherisorb 5C18、又は合成ポリマー、 好 記載の方法。 6. 溶離を、有機溶媒のグラディエントで行うことを特徴とする請求項3〜5 のいずれかに記載の方法。 7.有機溶媒がタンパク沈殿物質、特に一価又は多価アルコール類、短鎖ケトン 類、スルホキシド類又はニトリル類、好ましくはメタノール、n-プロパノール、 2−プロパノール及び他のプロパノールの異性体、t−ブタノール、2−ブタノ ール及び他のブタノールの異性体、DMSO、アセトニトリル、ジオキサン、又 はアセトン、特に好ましくはエタノールからなる群から選択されることを特徴と する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 8.異なる有機溶媒の混合物を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか に記載の方法。 9. 有機溶媒を水性緩衝液中に、10%から90%、好ましくは20%から7 O%、特に好ましくは40%から60%の濃度で用いることを特徴とする請求項 1〜8のいずれかに記載の方法。 10. 酵母、好ましくはHansenula sp.,Saccharomyces cerevisiae,Schizosac charomyces pombe及び特に好ましくはPichia pastorisからなる群から選択され る真核性宿主細胞を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方 法。 11. OspタンパクとしてOspCを回収することを特徴とする請求項1〜10 のいずれかに記載の方法。 12. 単にB.ブルグドルフェリOspCタンパクのタンパク部分のみからなる ことを特徴とする脂質化されていない組換えOspC。 13.脂質化されていず、細胞質タンパク、発熱性及び毒性物質、核酸及び脂質を 含まず、タンパク沈殿性有機溶媒に可溶性であることを特徴とする組換えOsp C。 14. タンパク沈殿性有機溶媒が一価又は多価アルコール類、好ましくはエタノ ールであることを特徴とする請求項13記載の組換えOspC。 15. エタノールが水性緩衝液中に、40%から60%、好ましくは45%か ら55%の濃度で存在することを特徴とする請求項14記載の組換えOspC。 16. 少なくとも90%、好ましくは95%、最も好ましくは98%の純度を 有することを特徴する請求項12〜15のいずれかに記載の組換えOspC。 17. 製薬に使用されるものである請求12〜16のいずれかに記載の組換え OspC。 18. 組換え非脂質化OspCと、所望により生理学的に許容される担体とを 含有することを特徴とするワクチン。 19.さらに、B.ブルグドルフェリ抗原OspA,OspB,OspD,Os pE若しくはOspF、又はTBEウイルスの抗原からなる群から選択される抗 原をも含有している請求項18記載のワクチン。 20. 請求項12〜17のいずれかに記載の組換え非脂質化OspCと、所望 により生理学的に許容される担体とを含有することを特徴とするワクチン。 21. ライム病ボレリアに対して哺乳動物を免疫するためのワクチンの製造に おける組換え非脂質化OspCの使用。 22. 請求項1〜11のいずれかに記載の方法によって得ることができるOs pC製品。
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