JP2000515584A - 芳香族ポリイミド発泡体 - Google Patents

芳香族ポリイミド発泡体

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Abstract

(57)【要約】 機械的に緻密化していない芳香族ポリイミド発泡体が、固体状芳香族ポリイミド前駆体から得られ、これは以下の性質の組み合わせを有する:ASTM D-3574Aにしたがって測定した密度が0.5〜20lb/ft3、ASTM D-3574Cにしたがって測定した圧縮強度が1.5〜1500psi,ASTM D-2863にしたがって測定した限界酸素指数が大気圧下で35〜75%。この芳香族ポリイミド発泡体は検出できるほどの無機発泡剤の残さである固体無機不純物を含まない。この芳香族ポリイミド発泡体を構成する芳香族ポリイミドの、示差走査熱量解析により測定したガラス転移温度(Tg)は235〜400℃であり、熱重量解析(TGA)により測定した204℃でおよそ1%の重量減少という熱安定性を有する。芳香族ポリイミド発泡体は、例えば航空、宇宙、海上用途で絶縁、構造材としての用途を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 芳香族ポリイミド発泡体 技術分野 本発明は一般にポリイミドに関するものである。特に宇宙航空用として遮断材 料、構造材料として有効に用いられる芳香族ポリイミド発泡体に関するものであ る。 背景技術 高機能ポリイミドは現在、宇宙航空産業で、特に金属と金属または金属と複合 材料の接着に用いられている。加えて、ポリイミドは宇宙航空用途において、低 温での発泡断熱材、大きな重量増加をすることなく大きな強度を有する構造材料 としての発泡体として新しい用途が急速に拡大している。 ポリイミド発泡体は次世代宇宙船に適した高い耐熱性及び耐溶剤性、耐火性、 低発煙性、高弾性、高い耐薬品性および耐熱水性などといった数多くの有益な特 性を有している。ポリイミド発泡体のその他の適用分野は断熱遮音用途の低密度 発泡体、海上産業の補強用途などがある。 USP5,147,966及び5,478,916に被覆材、接着剤、複合材料のマトリックス樹脂 、フィルムなど熔融して様々な有益な形態に加工することができるポリイミドが 開示されている。こういったポリイミドは様々な溶媒中で種々のジアミンと酸二 無水物から調製される。末端封止剤として酸無水物を用いればポリマーの分子量 が調節でき、その結果熔融させやすくなるということがこれらの特許に開示され ている。エーテルを使ってポリイミド接着剤を作る方法が、USP4,065,345に開示 されている。この特許ではポリイミド樹脂を製造する別の方法が示されている。 図1はこれらの特許が用いているポリイミドの製造スキームを示している。 USP3,483,144にはモノマーの混合物をボールミルにかけ、この混合物を300℃ に加熱することによりポリイミド発泡体を製造する方法が開示されている。この 特許の方法により製造されるポリイミド発泡体は熔融したジアミンに酸二無水物 またはテトラカルボン酸を溶融することによって得られるものである。反応によ り水が発生し、この水が熔融物を発泡させるのである。図2はこの特許に開示さ れた発泡体製造プロセスを示すものである。 USP5,298,531,5,122,546、5,077,318及び4,900,761などに開示されているポリ イミド発泡体の製造技術はジアミンと酸二無水物誘導体の低分子量アルキルアル コール溶液を利用したものである。ポリイミド前駆体溶液とそれから得られるポ リイミド前駆体粉末は熱 イミド化工程中の水とアルコールの除去により発泡体へと加工される。これらの 場合では芳香族ジアミンを添加する前にアルコール溶媒が最初に酸二無水物と反 応してジアルキルエステルジアシッド(DADA)となる。前述した特許では発泡工程 において助剤として発泡剤の使用が記載されている。こういった特許で用いられ ている発泡剤は、反応系とは独立して作用し、通常発泡体のセル壁内に発泡剤残 さを残してしまう。図3はこのような発泡技術を示したものである。 不運にもこれらの方法によりポリイミド発泡体を製造した場合、優れた機械的 強度(圧縮強度など)と耐火性(酸素富化環境下で瞬間的な燃焼に対する物質の耐 性を評価する限界酸素指数の測定など)を併せ持つ幅広い密度を有した発泡体を 得ることができない。さらに、関連技術により得られた発泡体の多くは、発泡体 を製造する際に用いられる発泡剤に由来する固体無機不純物が相当量含まれてい る。このような不純物は種々の応用をする場合に好ましくない。 発明の開示 本発明の目的は従来の技術では得られなかった特性の組み合わせを持つ発泡体 を提供することである。またさらに本発明の目的は優れた機械的強度と耐火性を 有し、同時に従来法では発泡工程でできてしまう固体無機不純物を含まない幅広 い範囲の密度を有する芳香族ポリイミド発泡体を提供することである。 本発明によりこれらの目的とそれに伴う恩恵が達成され、従来法の欠点も回避 できる。すなわち、芳香族ポリイミドからなり、機械的に圧縮成形されておらず 、 ASTM D-3574Aにしたがって測定した密度が約0.5〜20lb/ft3であり、 ASTM D-3574Cにしたがって測定した圧縮強度が1.5〜1500psiであり、 ASTM D-2863にしたがって測定した常圧下での限界酸素指数が35〜75%であり 、 無機発泡剤の残さである固体無機不純物をほとんど含まない 発泡体が得られるのである。 本発明の発泡体を構成する芳香族ポリイミドは示差走査熱量分析により測定し たガラス転移温度(Tg)が約235〜400℃であり、熱重量分析(TGA)により測定した2 04℃での重量損失が0〜約1%である。幅広い範囲の密度、優れた機械的特性及び 耐火性、発泡体の特徴である固体無機不純物を含まないこととともに芳香族ポリ イミドであるがためのこのような熱特性は、例えば海上船などへの応用と同様宇 宙航空用途などに用いられる構造材料などのように様々な形で応用できる遮断物 質として本発明を非常に有用なものにする特性の組み合わせを与えるのである。 図面の簡単な説明 以下に示す具体的表現を参照すれば本発明を、その目的とそれに伴う効果とと もに完全に理解することができる。この説明は以下の図とともに読むべきである 。 図1はポリイミド合成の一般的な工程を図示したものである。 図2はボールミルを用いた関連技術のポリイミド発泡体の製造工程を図示した ものである。 図3はポリイミド発泡体の従来の製造工程を示したものである。 図4は本発明のポリイミド発泡体の製造工程を図示したものである。 図5は本発明の芳香族ポリイミド発泡体の製造に用いる標準的な金型を図示し たものである。 発明を実施するための最良の形態 本発明で用いる用語について説明する。 1)芳香族ポリイミド 芳香族ポリイミドは、ポリマー鎖の繰り返し単位の60〜100モル%、好ましくは 70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上が式(1)に示すイミド構造を有した 熱安定性の高い有機ポリマーをいう。式(I)において、Rは1〜5個の6つの炭素原子からなる不飽和ベンゼン環を持つ4 価の芳香族残基であり、4つのカルボニル基はR残基のベンゼン環中の異なった 炭素原子に直接連結しており、4つのカルボニル基は2つの対を成し、R残基の ベンゼン環中の隣接する炭素原子に連結している。R'は1〜5個の6つの炭素原子 からなる不飽和ベンゼン環を有する2価の芳香族残基であり、アミノ基はR'残基 中のベンゼン環の異なる炭素原子に直接結合している。 2)固体状芳香族ポリイミド前駆体 これは、熱イミド化によってポリイミドになる粉体、フレーク(後述)、フライ アブルバルーン(後述)の形態をした有機物質をいう。 3)フレーク フレークという言葉は、固体状ポリイミド前駆体と熱硬化性樹脂や熱可塑性樹 脂などの他の樹脂との混合物をいう。熱硬化性樹脂の例としてエポキシ樹脂、フ ェノール樹脂、熱硬化性ポリイミドなどが挙げられる。熱可塑性樹脂の例として は熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。これらのポリマー と本発明の固体状ポリイミド前駆体を任意の割合で混合してフレークを作ること ができる。 4)フライバブルバルーン フライアブルバルーンとは、見かけ密度が10lb/ft3以下である固体状ポリイミ ド前駆体のある特定の形態である。好ましくはフライアブルバーンの形状は球形 である。 5)見かけ密度 見かけ密度は、例えばASTM D-3574Aにしたがって評価した。 6)圧縮強度 圧縮強度は、例えばASTM D-3574Cにしたがって評価した。 7)限界酸素指数 燃焼性測定である限界酸素指数は、酸素富化環境下で瞬間的な燃焼に対する物 質の耐性を評価するものである。これはASTM D-2863にしたがって測定した。 8)ガラス転移温度(Tg) この熱特性は示差走査熱量解析(DSC)を用いて定圧下、熱容量の変化と関係し た変曲点から決定した。 9)熱安定性 この熱特性は熱重量解析計(TGA)により測定した。 10)略等モル モル比が0.95〜1.05の2つの構成要素の混合物。 11)使用されている略号について説明する。 ODPA=4,4'-オキシジフタル酸二無水物 ODP-TA=4,4'-オキシジフタル酸(テトラカルボン酸) BPDA=3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 BTDA=3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 DSDA=3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物 PMDA=ピロメリット酸二無水物 BPADA=2,2-ビス(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水 物 3,4'ODA=3,4'-オキシジアニリン 4,4'ODA=4,4'-オキシジアニリン APB=1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン BPB=1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン m-PDA=m-フェニレンジアミン p-PDA=p-フェニレンジアミン 3,3'DDS=3,3'-ジアミノジフェニルスルホン 4,4'DDS=4,4'-ジアミノジフェニルスルホン 4,4BAPS=ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン 4,3BAPS=ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン 3BAPB=4,4'-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル 4BAPB=4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル BAPP=2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン 本発明によれば、発泡体を構成する芳香族ポリイミドはいかなる構造を持って いても良いが、上記の式(1)に示す繰り返し単位を有する芳香族ポリイミドであ ることが好ましい。式(1)に示した繰り返し単位を有する芳香族ポリイミドが、O DPA,BPDA,BTDA,DSDA、PMDA,BPADAの中から選ばれた1種以上の酸二無水物誘導体 と3,4'ODA,4,4'ODA、APB,BPB、m-PDA、p-PDA,3,3'DDS、4,4'DDS、4,4BAPS、4,3B APS、3BAPB、4BAPB、BAPPの中の一種以上のジアミン誘導体との反応によって得 られた物である場合に特に優れたポリイミド発泡体が得られる。このような条件 下で、発泡体が0.5〜5lb/ft3の密度を有しているとき、発泡体の10%変形時の圧 縮強度は1.5〜120psi、限界酸素指数は35〜50%となる。また同じ条件下で発泡 体が5〜20lb/ft3の密度を有しているとき、発泡体の10%変形時の圧縮強度は120 〜620psi、限界酸素指数は50〜75%となる。特に優れた芳香族ポリイミド発泡体 は次のようなときに得られる。 (a)芳香族ポリイミドがODPAと3,4'ODAを反応させて合成され、発泡体の密度が 0.5〜20lb/ft3のとき、 (b)芳香族ポリイミドがBTDAと4,4'ODAを反応させて合成され、発泡体の密度が 約2lb/ft3のとき、 (c)芳香族ポリイミドがBTDAと4,4'DDSを反応させて合成され、発泡体の密度が 約2lb/ft3のとき。 同様に、上記の式(1)に示した繰り返し単位を有する芳香族ポリイミドが、ODP A、BPDA、BTDA、DSDA、PMDA、BPADAの中から選ばれた1種以上の酸二無水物誘導 体と3,4'ODA、4,4'ODA、APB、BPB、m-PDA、p-PDA、3,3'DDS、4,4'DDS、4,4BAPS 、4,3BAPS、3BAPB、4BAPB、BAPPの中の一種以上のジアミン誘導体との反応によ って得られたポリイミドの2種以上の混合物であるときにも優れた芳香族ポリイ ミド発泡体が得られる。また同様に、前述した芳香族酸二無水物誘導体と芳香族 ジアミン誘導体から得られるコポリイミドからも優れた発泡体が得られる。 また本発明には芳香族ポリイミド発泡体を容器に充填した複合体も含まれる。 容器として特に好ましいのは強化材入りの重合体からなり、互いに接触し整然と 配列された六角形のセルで構成されるハニカム構造体のような開放セルを整列さ せてできた容器である。そのようなセルに芳香族ポリイミド発泡体を充填すると 、特に優れた複合構造体が得られ る。 本発明のもうひとつの好ましい形態は、ポリイミドと強く接着したフィラーが ポリイミドとフィラーの総重量に対して1〜50重量%含まれる発泡体である。特 に好ましいフィラーはガラスマイクロスフィア、フェノール樹脂マイクロスフィ ア、粉末状コルク、雲母、ガラス繊維、ウォラストナイト繊維などである。これ によりすでに達成されている密度と耐火性の好ましい組み合わせおよび熱特性に 加えて傑出した機械的特性が達成される。この発泡体の特に好ましい例はフィラ ーと発泡体の総重量に対して20〜35重量%のガラスマイクロスフィアを充填した 発泡体である。 数多くの応用において重要なのは本発明の芳香族ポリイミド発泡体が無機発泡 剤の残さである固体無機不純物を含まないということである。この事実は以下に 述べる本発明の芳香族ポリイミド発泡体の製造工程に照らしてみれば明白である 。 本発明の芳香族ポリイミド発泡体を製造するには最初に固体状芳香族ポリイミ ド前駆体を調製する。この固体物質は、芳香族酸二無水物または芳香族酸二無水 物誘導体である芳香族化合物(A)と芳香族ジアミンまたは芳香族ジアミン誘導体 である芳香族化合物(B)の混合物と、水素結合によりこの混合物と錯体を形成し ている錯形成剤(C)とからなり、この錯形成剤(C)は固体状ポリイミド前駆体全体 に対して重量でおよそ1から15重量%存在している。 固体状ポリイミド前駆体が芳香族化合物(A)と芳香族化合物(B) の略等モル混合物(式中nは0〜3の整数であり、R1は水素もしくはアルキル基で あり、R2は1〜5個の6つの炭素原子からなる不飽和ベンゼン環を持つ4価の芳香 族残基であり、R3は1〜5個の6つの炭素原子からなる不飽和ベンゼン環を有する 2価の芳香族残基である。)と、この混合物と水素結合により錯体を形成してお り、沸点が200℃以下である錯形成剤(C)とからなり、過剰な錯形成剤(C)と揮発 性副生成物を加熱により除去して調製され、ポリイミド前駆体と錯形成剤の合計 重量に対して1〜15重量%の錯形成剤を含有している場合に特に好ましい結果が 得られる。上述した芳香族化合物(A)と芳香族化合物(B)が混合物中で略等モル存 在するときに非常に優れた結果が得られる。 発泡体を製造するためにこの固体状芳香族ポリイミド前駆体を100〜200℃に加 熱す る。 熱イミド化した発泡体を得るためにこの発泡体をさらに200℃〜300℃に加熱し 、使用に備えて冷却する。この過程を実践する際に必ずしも必要ではないが、必 要があれば通常良く使われる添加剤を溶液または得られた固体状ポリイミド前駆 体に加えても良い。例えば界面活性剤(SH190,SH193(東レダウコーニングシリコ ーン)、Zonyl FSC(デュポン)、L550,L5430(ユニオンカーバイド)、顔料、繊維状 フィラーなどが挙げられる。 実施例 以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によ り限定されるものではない。 I.固体状ポリイミド前駆体の調製 [実施例1] 756g(2.4mol)のODPAを、480gのTHFと280gのメタノールに室温で分散させ、70 ℃に加熱して6時間攪拌し、ODPAをTHFと水素結合により錯体を形成したODPA-DA DAに変換して、均−溶液とした。ここに488g(2.4mol)の3,4'ODAを添加して2時 間攪拌し、均一なポリイミド前駆体溶液を得た。このポリイミド前駆体溶液は固 形分濃度が70重量%であり、20℃での回転粘度が20ポイズであった。この溶液を ステンレス製のバットに流延し、溶媒(THFおよびメタノール)を留去するために7 0℃で14時間乾燥した。この乾燥物を冷却し、粉体(2〜500μm)に粉砕した(必要 であればこれら粉体を篩を用いてふるう)。この固体状ポリイミド前駆体をさら に80℃で0〜300分加熱して、所望の密度となるように錯形成剤含量を1〜10重量 %に減らした。THFの含有量はプロトンNMRにより測定した。 [実施例2] THFのかわりに480gのグライムを用いて、実施例1の手順を繰り返した。 [実施例3] ODPAのかわりにBTDAを用いて、実施例1の手順を繰り返した。 [実施例4] ODPAのかわりにBPDAを用いて、実施例1の手順を繰り返した。 [実施例5] ODPAのかわりにDSDAを用いて、実施例1の手順を繰り返した。 [実施例6] ODPAのかわりにPMDA、3,4'ODAのかわりに3BAPBを用いて、、実施例1の手順を 繰り返した。 [実施例7] ODPAのかわりにBPADA、3,4'ODAのかわりにm-PDAを用いて、実施例1の手順を 繰り返した。 [実施例8] 3,4'ODAのかわりに3,4'ODA,p-PDAの混合物(モル比90/10)を用いて、実施例1 の手順を繰り返した。 [実施例9] 3,4'ODAのかわりに4,4'ODAを用いて、実施例3の手順を繰り返した。 [実施例10] ODPAのかわりにBTDA、3,4'ODAのかわりに4,4'DDSを用いて、実施例2の手順を 繰り返した。 [実施例11] 3,4'ODAのかわりに4,3BAPSを用いて、実施例3の手順を繰り返した。 [実施例12] 3,4'ODAのかわりに3,4'ODAとAPBの混合物(モル比85/15)を用いて、実施例4の 手順を繰り返した。 [実施例13] ODPAのかわりにBTDAとNA(5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物)の混合物( モル比2.1/2.0)を用いて実施例1の手順を繰り返した。BTDA/3,4'ODAのモル比は 0.68である。この例により本発明のポリイミド発泡体は末端封止された、または 部分的に末端封止されたオリゴマー及びポリマーからでも製造できるということ がわかる。 [実施例14] 227g(11mol)の3,4'ODAを、1120gのTHFと280gのメタノール混合溶媒に溶解させ た。この攪拌中の3,4'ODA溶液に176g(0.57mol)のODPAを15℃で徐々に添加し、均 一溶液を得た。この溶液に197gのODPA-テトラアシッドを徐々に添加して、30℃ で24時間攪拌して均一な褐色溶液を得た。この溶液の固形分濃度は30重量%であ り、粘度は0.2ポイズであった。この溶液から、実施例1と同様にして固体状ポ リイミド前駆体が得られた。この製造物はフライアブルバルーンを作るのにも用 いられる。(実施例18参照)[実施例15] 336g(0.78mol)の4,4BAPSを、1120gのTHFと280gのメタノール混合溶媒に溶解さ せた。この攪拌中の4,4BAPS溶液に125g(0.39mol)のBTDAを15℃で40分かけて徐々 に添加した。この混合物を15℃で2時間攪拌して均一溶液を得た。139g(0.3mol) のBTDA-テトラアシッドを徐々に添加して、30℃で24時間攪拌して均一な溶液を 得た。この溶液の固形分濃度は30重量%であり、粘度は0.2ポイズであった。こ の溶液から、実施例1と同様にして固体状ポリイミド前駆体が得られた。この製 造物はフライアブルバルーンを作るのにも用いられる。(実施例19参照) [実施例16] 4,4BAPSのかわりに、4,4'DDSと3,3'DDSの混合物(モル比80/20)を用いて、実施 例15の手順を繰り返した。この製造物はフライアブルバルーンを作るのにも用い られる。 (実施例20参照) [実施例17] 3,4'ODAのかわりに3,4'ODAとAPBの混合物(モル比85/15)、ODPAのかわりにBTDA 、ODPAテトラアシッドのかわりにBTDAテトラアシッドを用いて、実施例14の手順 を繰り返した。この製造物はフライアブルバルーンを作るのにも用いられる。( 実施例21参照) [実施例18] 実施例14において得られたポリイミド前駆体粉体を、熱イミド化することなく 前駆体の見かけ密度を減少させるために、100℃で熱処理して熱イミド化させる ことなく膨張させた。 [実施例19] 実施例15において得られたポリイミド前駆体粉体を熱イミド化することなく前 駆体の見かけ密度を減少させるために、140℃で熱処理して熱イミド化させるこ となく膨張させた。 [実施例20] 実施例16において得られたポリイミド前駆体粉体を、熱イミド化することなく 前駆体の見かけ密度を減少させるために、110℃で熱処理して熱イミド化させる ことなく膨張させた。 [実施例21] 実施例17において得られたポリイミド前駆体粉体を、熱イミド化することなく 前駆体の見かけ密度を減少させるために、130℃で熱処理して熱イミド化させる ことなく膨張させた。 [実施例22] 上記の実施例によって得られた固体状ポリイミド前駆体を、発泡体を形成する ために、以下のようにして膨張させた。 0.5gのポリイミド前駆体を標準的な試験管(内径16mm、長さ180mm)に入れた。 この試験管を140℃に設定した熱風循環オーブンに入れ、15分保った。140℃で保 っている間に発泡が起こった。その後、オーブンから取りだし冷却後得られた発 泡体の高さを測定した。 表1に、これらの実施例で得られた固体状ポリイミド前駆体の性状とともに発 泡体の高さをまとめた。 表1 固体状ポリイミド前駆体の性状II.発泡体の製造 図5に固体状芳香族ポリイミド前駆体から発泡体を製造する際に用いる金型を 示す。金型は、上側カーボン板12と下側カーボン板13とに囲まれたモールドチャ ンバー10からなる。金型の加熱は金型上下の熱板11により行われる。所望量の固 体状芳香族ポリイミド前駆体14をモールドチャンバー10に充填する。この固体状 芳香族ポリイミド前駆体は表1中の(A)から(W)で区別された粉体のうちのひと つである。この金型を、熱板11を用いて140℃で60分間加熱し、このときに発泡 が起こった。これに続き、この型を300℃に予熱した窒素置換オーブンにすばや く移し、イミド化させるために60分間加熱した。その後、室温まで冷却した。こ の時点でさらに高い温度で数時間ポストキュアし、微量の揮発成分をすべて除い た。得られたポリイミド発泡体の特性を表2-1,2-2に示す。 表2-1 発泡体の特性 表2-2 発泡体の特性III.発泡体充填ハニカムコアの調製 [実施例1] 12×12インチで、厚み1.5インチ、ハニカムの6角形の径1/8インチ、見かけ密 度3pcfのノメックスアラミドハニカムコア(圧縮強度222psi)を4つ用意した。そ れぞれのハニカムコア全体を、(FF),(GG),(HH),(II)または(JJ)のフライアブル バルーンのひとつで完全に満たした(表1および表3参照)。それぞれの場合に おいて充填されたハニカムコアを、2枚のカーボン板ではさみ、発泡を起こすた めに200℃で30分、次いで250℃で90分加熱した。いずれの場合も、生成発泡体と ハニカムコアの強い接着が得られた。得られた発泡体充填ハニカムコアの基本的 特性を表3、実施例1に示す。 [実施例2] ノメックスアラミドハニカムコアのかわりに、コレックスハニカムコア(3pcf 、圧縮強度332psi)を用いて実施例1を繰り返した。得られた発泡体充填ハニカ ムコアの基本特性を表3,実施例2に示す。 [実施例3] (GG)単独のかわりに、(GG)と中空球状がラス(Scotch Lite Glass-bublles K-1 )の乾式混合物を用いて実施例1を繰り返した。得られた発泡体充填ハニカムコ アの基本特性を表3、実施例3に示す。 表3 発泡体充填ハニカムコアの特性
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 芳香族ポリイミドからなり、機械的に緻密化しておらず、 ASTM D-3574Aに従って測定した密度が0.5〜20lb/ft3であり、 ASTM D-3574Cに従って測定した圧縮強度が1.5〜1500psiであり、 ASTM D-2863に従って測定した限界酸素指数が大気圧下で35〜75%であり、 無機発泡剤の残査である固体無機不純物を含まない という特性の組み合わせを有する芳香族ポリイミド発泡体。 2. 芳香族ポリイミドが、 示差走査熱量解析により測定したガラス転移温度(Tg)が235〜400℃であり、 熱重量解析(TGA)により測定した204℃での重量損失が0〜1%である 請求項1記載のポリイミド発泡体。 3. 一般式(1)に示す繰り返し単位を有する芳香族ポリイミドからなる請求項 1記載のポリイミド発泡体。 式中、Rは1〜5個の6つの炭素原子からなる不飽和ベンゼン環を持つ4価の芳香 族残基であり、4つのカルボニル基はR残基のベンゼン環中の異なった炭素原子 に直接連結しており、4つのカルボニル基は2つの対を成し、R残基のベンゼン 環中の隣接する炭素原子に連結している。R'は1〜5個の6つの炭素原子からなる 不飽和ベンゼン環を有する2価の芳香族残基であり、アミノ基はR'残基中のベン ゼン環の異なる炭素原子に直接結合している。 4. 4,4'-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカ ルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 (BTDA)、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、ピロ メリット酸二無水物(PMDA)、2,2-ビス(4-フェノキシフェニル)プロパンテトラカ ルボン酸二無水物(BPADA)から選択された少 なくとも1種の酸二無水物の誘導体と、3,4'-オキシジアニリン(3,4'ODA)、4,4' -オキシジアニリン(4,4'ODA)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1 ,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(BPB)、m-フェニレンジアミン(m-PDA)、p -フェニレンジアミン(p-PDA)、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン(3,3'DDS)、4, 4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'DDS)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェ ニル)スルホン(4,4BAPS)、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(4,3 BAPS)、4,4'-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル(3BAPB)、4,4'-ビス(4-アミ ノフェノキシ)ビフェニル(4BAPB)、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル )プロパン(BAPP)から選択された少なくとも1種のジアミン誘導体とを反応させ て得られる一般式(I)に示す繰り返し単位を有する芳香族ポリイミドからなるこ とを特徴とする請求項3記載のポリイミド発泡体。 5. 密度が0.5〜5lb/ft3であり、10%変形時の圧縮強度が1.5〜120psiであり 、限界酸素指数が35〜50%であることを特徴とする請求項4記載のポリイミド発 泡体。 6. 密度が5〜20lb/ft3であり、10%変形時の圧縮強度が120〜620psiであり、 限界酸素指数が50〜75%であることを特徴とする請求項4記載のポリイミド発泡 体。 7. ODPAと3,4'ODAを反応させて得られる芳香族ポリイミドからなり、密度が0 .5〜20lb/ft3であることを特徴とする請求項4記載のポリイミド発泡体。 8. BTDAと4,4'ODAとを反応させて得られる芳香族ポリイミドからなり、密度 がおよそ2lb/ft3であることを特徴とする請求項4記載のポリイミド発泡体。 9. BTDAと4,4'DDSとを反応させて得られる芳香族ポリイミドからなり、密度 がおよそ2lb/ft3であることを特徴とする請求項4記載のポリイミド発泡体。 10. 4,4'-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカル ボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(B TDA)、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、ピロメ リット酸二無水物(PMDA)、2,2-ビス(4-フェノキシフェニル)プロパンテトラカル ボン酸二無水物(BPADA)から選択された少なくとも1種以上の酸二無水物の誘導 体と、3,4'-オキシジアニリン(3,4'ODA)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'ODA)、1, 3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベ ンゼン(BPB)、m-フェニレンジアミン(m-PDA)、p-フェニレンジアミン(p-PDA)、3 ,3'-ジアミノジフェニルスルホン(3,3'DDS)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン (4,4'DDS)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(4,4BAPS)、ビス(4 -(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(4,3BAPS)、4,4'-ビス(3-アミノフェ ノキシ)ビフェニル (3BAPB)、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(4BAPB)、2,2-ビス(4-(4- アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(BAPP)から選択された少なくとも1種以上 のジアミン誘導体とを反応させて得られるポリイミドの2種以上の混合物である 芳香族ポリイミドからなることを特徴とする請求項1記載のポリイミド発泡体。 11. 芳香族ポリイミドが、コポリイミドであることを特徴とする請求項4記載 のポリイミド発泡体。 12. 請求項1記載のポリイミド発泡体が充填された容器からなることを特徴と する複合構造体。 13. 連続気孔が整列した容器からなり、その気孔に請求項1記載のポリイミド 発泡体が充填されていることを特徴とする請求項12記載の複合構造体。 14. 強化された重合体からなる六角形状の気孔が互いに接触して整列したハニ カム構造物を容器として用い、その気孔に請求項1記載のポリイミド発泡体が充 填されていることを特徴とする請求項13記載の複合構造体。 15. ポリイミドとフィラーの合計重量に対して1〜50重量%のフィラーとポリ イミドが互いに強く接着していることを特徴とする請求項1記載のポリイミド発 泡体。 16. フィラーが、ガラス製マイクロスフィア、フェノール樹脂製マイクロスフ ィア、粉末状コルク、雲母、ガラス繊維、ウォラストナイト繊維の中から選択さ れていることを特徴とする請求項15記載のポリイミド発泡体。 17. フィラーとして、ポリイミドとフィラーの合計重量に対して20〜35重量% のガラス製マイクロスフィアが用いられていることを特徴とする請求項16記載の ポリイミド発泡体。 18. 製造工程が、 (1)芳香族酸二無水物または芳香族酸二無水物誘導体である芳香族化合物(A)と、 芳香族ジアミンまたは芳香族ジアミン誘導体である芳香族化合物(B)の混合物お よびこの混合物と水素結合により錯体を形成している錯形成剤(C)からなり、過 剰な錯形成剤(C)と揮発性副生成物を加熱により除去して調製され、ポリイミド 前駆体と錯形成剤の合計重量に対して1〜15重量%の錯形成剤を含有している固 体状芳香族ポリイミド前駆体を用意し、 (2)固体状芳香族ポリイミド前駆体から発泡体を製造するためにこの固体状芳香 族ポリイ ミド前駆体を100〜200℃に加熱し、 (3)熱イミド化した発泡体を製造するためにこの発泡体を200〜300℃に加熱し、 (4)使用に備えて熱イミド化した発泡体を冷却する、 という工程からなることを特徴とする請求項1記載のポリイミド発泡体の製造方 法。 19. (1)芳香族化合物(A)と 芳香族化合物(B) (式中nは0〜3の整数であり、R1は水素もしくはアルキル基であり、R2は1〜5個 の6つの炭素原子からなる不飽和ベンゼン環を持つ4価の芳香族残基であり、R3 は1〜5個の6つの炭素原子からなる不飽和ベンゼン環を有する2価の芳香族残基 である。)の略等モル混合物と、この混合物と水素結合により錯体を形成してお り、沸点が200℃以下である錯形成剤(C)とからなり、過剰な錯形成剤(C)と揮発 性副生成物を加熱により除去して調製され、ポリイミド前駆体と錯形成剤の合計 重量に対して1〜15重量%の錯形成剤を含有している固体状芳香族ポリイミド前 駆体を用意し、 (2)固体状芳香族ポリイミド前駆体から発泡体を製造するためにこの固体状芳香 族ポリイミド前駆体を100〜200℃に加熱し、 (3)熱イミド化した発泡体を製造するためにこの発泡体を200〜300℃に加熱し、 (4)使用に備えて熱イミド化した発泡体を冷却する、 という工程からなることを特徴とする請求項1記載のポリイミド発泡体の製造方 法。 20. 芳香族化合物(A)及び(B)が、略等モルで用いられていることを特徴とする 請求項19記載のポリイミド発泡体の製造方法。
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