【発明の詳細な説明】
イソシアナト基と反応可能な化合物と第一級炭素原子に結合した1個のイソシア
ナト基および第三級炭素原子に結合した1個のイソシアナト基を有する脂肪族ジ
イソシアネートとの反応のための触媒
本発明は、イソシアナト基と反応可能な化合物と第一級炭素原子に結合した1
個のイソシアナト基および第三級炭素原子に結合した1個のイソシアナト基を有
する脂肪族ジイソシアネートとの反応のための触媒に関する。
かかる反応は、例えば、“Proceedings of the XIX International Conferenc
e in Orgnic Coatings Science and Technology”(1993年7月12〜16日、アテネ
)の第42頁に記載されている。該文献は、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチル
シクロヘキシルイソシアネート(IMCI)を粉末塗料組成物の架橋剤として記載し
ている。
第一級炭素原子に結合した1個のイソシアナト基および第三級炭素原子に結合
した1個のイソシアナト基を有する脂肪族ジイソシアネートは、反応性の異なる
2個以上のイソシアナト基を含む化合物である。3(4)-イソシアナトメチル-1-
メチルシクロヘキシルイソシアネート(IMCI)の2個のイソシアナト基は反応性
が異なる。一般に、反応性におけるこの違いは、反応性の異なる2個以上のイソ
シアナト基を含み、いくつかのイソシアナト基はイ
ソシアナト基と反応可能な化合物と選択的に反応するが、他のイソシアナト基は
不変のままであり、同様のまたは異なる化学反応でのより後の工程での使用に利
用できる化合物の場合に使用できる。工業的に適用可能な条件下で選択性が完全
またはほとんど完全である該反応はまだ知られていない。不完全な選択性の場合
、例えばジイソシアネートと等モル量のアルコールとの反応、またはアルコール
基を含む化合物との反応では、多かれ少なかれ、常に、未反応のジイソシアネー
ト単位と1回および2回反応したジイソシアネート単位との統計的に決定される
混合物が得られる。かかる分布の欠点は、一方では未反応のジイソシアネートが
生成物に残り、他方では、非制御型の反応の結果として多くのイソシアナト基が
失われるという点である。さらに、イソシアネートと反応する二価または多価化
合物、例えばOH−官能性ポリマーを使用すると、実質的な鎖の延長が生じ、そ
の結果、望ましくない生成物が生じる。かかる分布を生じるプロセスは、例えば
、“Angewandte Makromoleculaire Chemie 1984”(122),83-99および“Journ
al of Polymer Science(Polymer Letters Edition)”1985(23),509-515に
記載されており、一方、ドイツ特許公開4405054は、ポリマーでの処理のための
かかる分布の適用を記載している。かかる反応性の相違(以降、「選択性」と言
う)をうまく使用するためには、この選択性が通常の適用可能な工業的条件下で
できるだけ大きいことが非常に重要
である。
反応性の異なる2個以上のイソシアナト基を含む化合物とイソシアナト基と反
応可能な化合物との非触媒反応は、比較的高い温度では選択性のかなりの低下を
示す。室温では、反応の選択性は十分であるが、反応速度が遅すぎる。さらに、
イソシアナト基と反応可能ないくつかの化合物のこの温度での処理は煩雑である
。
本発明の目的は、第一級炭素原子に結合した1個のイソシアナト基および第三
級炭素原子に結合した1個のイソシアナト基を有する脂肪族ジイソシアネートと
イソシアナト基と反応可能な化合物との通常の工業的条件下での反応において非
常に高い選択性を得ることであり、該反応はまた、十分高い速度で生じるもので
ある。反応温度は、液体媒体の場合の室温から、粘性の高い媒体(ガラス転移温
度が高いポリマーなど)の場合の100℃より上まで変わり得る。
本発明は、触媒が、周期表の第III、IVまたはVII族の一つから選択される金属
元素をベースとする少なくとも一つの交換可能な対イオンとの無機金属錯体であ
ることを特徴とする。
本発明は、該反応が高い速度で生じ、さらに、非常に高い選択性が得られるこ
とを保証するものである。
本発明に係る触媒の使用は、ジイソシアネートの例えばヒドロキシル官能性ポ
リマーへのカップリングが、最も反応性の高いイソシアナト基を介して、排他的
に、ま
たはほとんど排他的に生じることを保証するものである。この選択的カップリン
グの利点は、例えば、生成物であるポリマー(例えば、塗料)が遊離のジイソシ
アネートを含まず、鎖の延長が生じないということである。
適切な原子価の適切な金属元素は、アルミニウム(III)、スズ(IV)、マン
ガン(III)、チタン(III)、チタン(IV)およびジルコニウム(IV)である。
好ましい金属元素は、スズ(IV)、チタン(IV)、マンガン(III)およびジ
ルコニウム(IV)である。
対イオンの数は1〜4である。
4価の金属の場合は、例えば、4個の1価の対イオン、2個の2価の対イオン
または1個の3価の対イオンと1個の1価の対イオンとの組み合わせを使用する
ことができる。好ましくは、4個の1価の対イオンを使用する。
3価の金属の場合は、対イオンの数が1〜3であり、好ましくは、3個の1価
の対イオンを使用する。
適切な対イオンの例としては、ハロゲン、好ましくは塩素、(C1〜C20)ア
ルコキシド、好ましくは(C1〜C8)アルコキシド、(C2〜C20)カルボキシ
レート、好ましくは(C2〜C8)カルボキシレート、エノラート、好ましくは2,
4-ペンタンジオン(アセトアセトナート)のエノラート、マロン酸およびアセト
酢酸のアルキルエステル、フェノラート、ナフテナート、クレジラートの各イオ
ンならびに該対イオンの混合物が挙げられる。
適切な触媒の例としては、酢酸アルミニウム(III)、
アルミニウム(III)アセトアセトナート、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタン
ジオン酸アルミニウム(III)、アルミニウム(III)エトキシド、アルミニウム
(III)イソプロポキシド、アルミニウム(III)sec-ブトキシド、アルミニウム
(III)t-ブトキシド、塩化スズ(IV)、臭化スズ(IV)、ヨウ化スズ(IV)、
酢酸スズ(IV)、二塩化スズ(IV)ビス(アセトアセトナート)、二臭化スズ(
IV)ビス(アセトアセトナート)、酢酸マンガン(III)、マンガン(III)アセ
トアセトナート、フッ化マンガン(III)、塩化チタン(IV)、臭化チタン(IV
)、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロ
ポキシド(TYZOR TPT(商標))、チタン(IV)プロポキシド、チタン(IV)ブ
トキシド(TYZOR TBT(商標))、チタン(IV)2-エチルヘキソキシド(TYZOR T
OT(商標))、チタン(IV)アセトアセトナート、チタン(IV)ビス(アセトア
セトナート)ジイソプロポキシド(TYZOR AA(商標))、チタン(IV)ビス(エ
チルアセトアセトナート)ジイソプロポキシド、チタン(IV)(トリエタノール
アミナート)イソプロポキシド(TYZOR TE(商標))、塩化ジルコニウム(IV)
、臭化ジルコニウム(IV)、酢酸ジルコニウム(IV)、2-エチルヘキサン酸ジル
コニウム(IV)、ジルコニウム(IV)エトキシド、ジルコニウム(IV)ブトキシ
ド、ジルコニウム(IV)t-ブトキシド、クエン酸ジルコニウム(IV)アンモニウ
ム錯体、ジルコニウム(IV)イソプロポキシド、
ジルコニウム(IV)プロポキシド、ジルコニウム(IV)アセトアセトナートおよ
びジルコニウム(IV)トリフルオロアセトアセトナートが挙げられる。
好ましい触媒はチタン(IV)ブトキシド、ジルコニウム(IV)アセトアセトナ
ート、ジルコニウム(IV)ブトキシド、酢酸スズ(IV)、マンガン(III)アセ
トアセトナート、チタン(IV)イソプロポキシド、2-エチルヘキサン酸ジルコニ
ウム(IV)および塩化スズ(IV)である。
触媒錯体はまた、アルキルシアニド、クラウンエーテル、(ポリ)エーテル(
例えば、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコールまたはテトラヒドロ
フランなど)、ジアルキルスルフィドまたは第三アミンなどの1以上の中性要素
を含んでもよい。
触媒の量は、通常、0.01〜3重量%(イソシアナト基と反応可能な化合物およ
びイソシアナト基を含む化合物に対して)である。
塗料において使用する場合の本発明に係る触媒の別の利点の一つは、無色の触
媒が選択可能であることである。
モノマー、オリゴマーおよびポリマーは全て、イソシアナト基と反応可能な化
合物として使用できる。かかる化合物は、イソシアナト基と化学結合を形成し得
る反応性の基を含む。
適切な反応性の基の例としては、アルコール、N-ヒドロキシル化合物(オキシ
ムおよびN-ヒドロキシイミドなど)、アミン、アミド(例えば、N-アルコキシア
ミド)、
ラクタム、イミド、チオール、エノラート(1,3-ジカルボニル化合物など)、カ
ルボキシレート、エポキシドおよびヘテロ環式窒素基を含む芳香族化合物(ピリ
ミジン、インドール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール
、ピラゾールおよびそれらの誘導体など)が挙げられる。
好ましくは、アルコール、ラクタム、アミン、N-ヒドロキシル化合物およびヘ
テロ環式窒素を含む芳香族化合物が使用される。
一般に、第一級炭素原子に結合した1個の立体的により接近しやすいイソシア
ナト基および第三級炭素原子に結合した1個の立体的にあまり接近しやすくない
イソシアナト基を有する脂肪族ジイソシアネートは、次のように式(1):
[式中、R1およびR2は、同一または異なる(C1〜C4)アルキル基を含み、R3
は2価の、所望により分岐した、飽和脂肪族(C1〜C10)炭化水素残基を含む
。]によって表すことができる。
好ましくは、ジイソシアネートが、第一級炭素原子に結合した1個の立体的に
より接近しやすいイソシアナト
基および第三級炭素原子に結合した1個の立体的にあまり接近しやすくないイソ
シアナト基を含む脂環式ジイソシアネートである。
これらの化合物は、式(2):[式中、
−R4=(C1〜C4)アルキル基、
−R5およびR6=同一または異なる2価の、所望により分岐した、飽和脂肪族(
C1〜C3)炭化水素残基、
−R7=水素または(C1〜C4)アルキル基、
−R8=2価の、所望により分岐した、飽和脂肪族(C1〜C6)炭化水素残基お
よび
−n=0またはn=1]によって表すことができる。
適するジイソシアネートの例としては、1,4-ジイソシアナト-4-メチルペンタ
ン、1,5-ジイソシアナト-5-メチルヘキサン、3(4)−イソシアナトメチル−1-メ
チルシクロヘキシルイソシアネート、1,6-ジイソシアナト-6-メチルヘプタン、1
,5-ジイソシアナト-2,2,5-トリメチルヘキサンおよび1,7-ジイソシアナト-3,7-
ジメチルオクタンまたは1-イソシアナト-1-メチル-4-(4-イソシアナトブト-2-イ
ル)シクロヘキサン、1-イソシアナト-1,2,2-トリメチ
ル-3-(2-イソシアナト-エチル)-シクロペンタン、1-イソシアナト-1,4-ジメチ
ル-4-イソシアナトメチル-シクロヘキサン、1-イソシアナト-1,3-ジメチル-3-イ
ソシアナトメチル-シクロヘキサン、1-イソシアナト-1-n-ブチル-3-(4-イソシア
ナトブト-1−イル)-シクロペンタン、1-イソシアナト-1,2-ジメチル-3-エチル-3
-イソシアナトメチル-シクロペンタンが挙げられる。かかるジイソシアネートの
製造法は、例えば、ドイツ特許公開3608354、ドイツ特許公開3620821およびEP-A
-153561に記載されている。
好ましくは、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチルシクロヘキシルイソシアネー
ト(IMCI)および1,4-ジイソシアナト-4-メチルペンタン(DIMP)が使用される。
本発明に係る反応は、広く様々な技術分野で適用することができる。好ましい
適用分野は塗装工業(粉末塗料系および溶媒または水をベースとする系の両方)
である。他の適する適用分野としては、例えば、建築用樹脂、ポリウレタンフォ
ームまたは化合物、レンズ、アクリレートをベースとする材料、ならびに接着剤
、シール材、相溶化剤、カップリング剤および印刷インク用樹脂の製造が挙げら
れ、エンジニアリングプラスチックの連鎖延長剤としても使用される。
粉末塗料ならびに溶媒および水をベースとする塗料組成物の製造では、イソシ
アナト基と反応可能な化合物は、例えば、アモルファスおよび結晶性ポリエステ
ル、ポリ
ウレタン、不飽和ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリブタジ
エン、スチレン-無水マレイン酸コポリマーおよびフッ素含有ポリマーなどのポ
リマーから選択できる。
好ましくは、アモルファスポリエステルまたはポリアクリレートがポリマーと
して使用される。
ポリエステルは、一般には、脂肪族ポリアルコールおよびポリカルボン酸の単
位をベースとする。ポリエステルは、ポリカルボン酸として、例えば、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸
および4,4-オキシビス安息香酸、3,6-ジクロロフタル酸、テトラクロロフタル酸
、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサクロ
ロエンドメチレン−テトラヒドロフタル酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、トリメリット酸およびマレイ
ン酸、フマル酸、シトラコン酸ならびにメサコン酸を含みうる。これらの酸は、
そのまま使用してもよいし、利用できる範囲で、それらの無水物、酸塩化物また
は低級アルキルエステルの形状で使用してもよい。
12-ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシピバリン酸およびε−カプロラクト
ンなどのヒドロキシカルボン酸および/または所望によりラクトンを使用するこ
ともできる。
カルボン酸と反応してポリエステルを得ることができる適切なポリアルコール
、特にジオールとしては、エチ
レングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン
−1,2−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、2,2−ジメ
チルプロパンジオール−1,3(=ネオペンチルグリコール)、ヘキサン−2,5−ジ
オール、ヘキサン−1,6−ジオール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル
)プロパン(水素添加されたビスフェノール−A)、1,4−ジメチロールシクロヘ
キサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびネオペンチルグ
リコールのヒドロキシピバリン酸エステルである2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ
エトキシ)フェニル]プロパンなどの脂肪族ジオールが挙げられる。
少量、例えば約4重量%未満、好ましくは2重量%未満の三官能性アルコール
または酸を使用して、分岐したポリエステルを得ることができる。適切なポリオ
ールおよびポリ酸の例としては、グリセロール、ヘキサントリオール、トリメチ
ロールエタン、トリメチロールプロパン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イ
ソシアヌレートおよびトリメリット酸が挙げられる。
製造条件およびCOOH/OH比は、得られる最終生成物のヒドロキシル値が意図す
る範囲の値になるように選択することができる。
ヒドロキシル値は、例えば、20〜100mgのKOH/gであり、分子量(Mn)は1000
〜10000である。
ポリエステルは、通常の方法により、エステル化また
は再エステル化によって、本発明に係る触媒の存在下、および通常の触媒の存在
下の両方で製造することができる。
本発明に係る触媒、好ましくは、チタン(IV)、ジルコニウム(IV)、スズ(IV)ま
たはアルミニウム(III)錯体の例えばポリエステル合成の際の使用は、連続した
各種工程(ポリマーの合成、反応性の異なる2以上のイソシアナト基を含む化合
物との反応および所望により硬化工程)においてただ一つの触媒を使用するだけ
でよく、さらに、改善された選択性に所望の反応速度が組み合わさるという利点
を提供する。ポリマーの合成中および硬化中は通常の触媒を使用することもでき
る。
一般に、アクリレートポリマーは、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピ
ル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルアクリレ
ートおよび/またはシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリ
ル酸のアルキルエステル、スチレンおよび酢酸ビニルなどのビニル化合物、マレ
エート、フマレートならびにイタコネートをベースとする。
ヒドロキシル官能性アクリレート樹脂は、一般に、ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびアルキル(メタ
)アクリレートをベースとする。
アクリレート樹脂は、最初に溶媒、例えば、トルエン、キシレンまたは酢酸ブ
チルを反応器に添加する重合において製造できる。この後、所望の反応温度、例
えば使用する溶媒の還流温度に加熱し、その後、開始剤および所望によりメルカ
プタンを例えば2〜4時間の時間で添加する。次いで、温度を還流温度で例えば
2時間保持する。溶液を1〜4時間還流する。次いで、溶媒を、温度を上げるこ
とにより留去し、その後、真空蒸留を例えば1〜2時間行うことができる。次い
で、生成物をドレンし、冷却する。
溶媒を室温または高められた温度で留去する前に、改変(例えばIMCIを使用)
を行ってもよい。選択的反応の結果、鎖の延長が生じることなく、イソシアナト
官能性ポリアクリレートが得られる。官能性の高いポリマーの場合、鎖の延長は
早期架橋を生じる可能性がある。選択的反応の別の利点は、OHとNCO基の最適比
率を高々2であるように選択すると、改変後に遊離のジイソシアネートが認めら
れないということである。遊離のジイソシアネートの存在は、ジイソシアネート
の毒性およびそれが引き起こす刺激作用の点で容認され得ない。
イソシアナト官能性ポリアクリレートは、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、アミノプロピルビニルエーテルまたはヒドロキシブチルビニルエ
ーテルによってさらに改変することができるが、架橋剤と共にそのまま使用する
こともできる。アクリレートの例えばI
MCIによる官能性付与において1:1のOH:NCO比を選択すると、選択的反
応は、潜伏自己架橋系を生じる可能性がある。残りの第三イソシアネートは反応
性が低いので、イソシアネート官能性ポリアクリレートは、押出し、または水に
分散し、または乳化させることができる。
ポリマー、例えばポリエステルの合成後、そのポリマーの例えばIMCIとの混合
は、ポリマーが5000 dPas未満の粘度(Emilaに従って測定)を有する温度で行う
ことができる。これは、均一な組成物を生じる媒介物、例えば静的または動的混
合機を使用して行うことができる。
混合温度では、反応性の違いがとても大きいので、例えば3(4)-イソシアナト
メチル-1-メチルシクロヘキシルイソシアネートの第二イソシアナト基はポリマ
ーの反応基に対して反応性を示さない。
本発明に係る触媒の結果としての高い選択性により、鎖の延長は最小となり、
粉末塗料の比較的良好な流動性が得られ、官能性付与後に未反応ジイソシアネー
トは存在しない。
ポリマーと反応性の異なる2以上のイソシアナト基を含む化合物との重量比は
、一般に70:30〜99:1、好ましくは70:30〜97:3、特に85:15〜95:5である。異な
る所望の比を選択することもできる。通常は、ポリマーの反応基1個につき高々
1個のジイソシアネート分子が使用される。OH:NCOモル比は、通常、この
比が1:0.3〜1:3、好ましくは1:0.5〜1:2.5となるように選択される。自己
架橋系の場合は、その比が好ましくは1:0.8〜1:1.2であり、イソシアナト−官能
性樹脂の場合は、1:1.5〜1:0.2である。
熱硬化性粉末塗料の製造およびこれらの粉末塗料を硬化して硬化コーティング
にするための化学反応は、例えば、Misev,”Powder Coatings,Chemistry and
Technology”(1991,John Wiley),pp.44-54,pp.148およびpp.225-226に一般的
に記載されている(該文献の記載内容は、引用することにより本明細書に含めら
れる。)。
WO-A-95/20017に記載されているように、最終的に硬化コーティングを生じる
、例えばIMCI−改変ポリマーと架橋剤との硬化反応は、通常は、効果的な量の触
媒の存在下で生じる。硬化反応がイソシアネートおよびイソシアネートと反応可
能な基の反応に基づく場合は、本発明に係る触媒および適切な異なる触媒の両方
を使用することができる。ポリマーと架橋剤との比および触媒の量の重要性は、
Misev,(Powder Coatings,Chemistry and Technology”,pp.174-223で説明
されている(該文献の記載内容は、引用することにより本明細書に含められる。
)。
ポリマーがIMCIで改変されるので、第三イソシアナト−官能性ポリマーが得ら
れる。かかる官能基は、ヒドロキシル基を含む通常の反応成分に対する反応性が
比較的低いので、阻害剤は必要としない。その結果、例えば、粉末塗料の製造中
、押出機において、認められるほどの前反応を生じることなく、かかるポリマー
とヒドロキシ
官能性架橋剤との混合が可能となる。
架橋剤および改変されたポリマーは、例えば押出機または静的混合機によって
互いに混合することができる。例えば、二個の静的混合機を直列に連結し、ポリ
マーが最初の混合機で改変され、架橋剤との混合が第二の混合機で生じるように
することができる。二個の静的混合機は形が異なっていてもよく、および/また
は異なる温度にして、直列混合機で特定の工程の制御が可能になるようにしても
よい。
また、本発明に係る反応を、化学的に硬化して粉末塗料にする、例えばヒドロ
キシル−官能性ポリマー、架橋剤としてのIMCIおよび本発明に係る触媒を含む粉
末塗料組成物にすることにより使用することも可能である。この反応の温度は一
般には120℃〜200℃である。
本発明を、以下の実施例に基づいてさらに説明するが、以下の実施例は本発明
を限定するものではない。実施例I〜VIおよび比較例A〜I
194重量部のIMCIおよび88重量部のネオペンチルアルコール(2,2-ジメチルプ
ロパノール)をガラス製のフラスコに入れた。次いで、その攪拌懸濁物に、3重
量部の表1に係る触媒を室温で添加した。発熱反応中の温度変化は、温度計によ
って追跡した。1時間の反応時間の後、サンプルを採取し、プロトン−NMRに
よって分析した。転化度および選択性は、得られたスペクトルから求めることが
できた。%で表した選択性は、添加した等モル量
のアルコールと反応してアルコールが完全に転化した後にウレタン基を生成する
最も反応性の高いイソシアナト基の画分を表す。
100%の選択性では、存在する全てのアルコール基が最も反応性の高いイソシア
ナト基と排他的に反応し、50%の選択性では、添加したアルコール基が種々のイ
ソシアナト基を区別することなくIMCIと反応した。この方法による選択性の検出
限界は、約99%である。触媒活性がほとんど認められない場合、すなわち、1時
間の反応時間後の転化が不完仝である場合は、この手順を20時間後に繰り返した
。
各種触媒を表1にまとめる。E1):+ 発熱反応
− 発熱反応が認められない
+/− わずかに発熱反応
この表は、チタン(IV)ブトキシド、ジルコニウム(IV)アセトアセトナート
、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム(IV)、塩化スズ(IV)またはマンガン(II
I)アセトアセトナートの使用により、急速な発熱反応が生じることを示し、反
応混合物は60℃以上のピーク温度に達する。さらに、完全な転化が1時間の反
応時間後に確認され(NMRにより示す)、完全またはほとんど完全な選択性(
99%以上)が達成された。
チタン(IV)アセトアセトナートおよびアルミニウム(III)イソプロポキシ
ドの使用は、わずかに発熱性の反応を生じ、反応混合物は50℃未満のピーク温
度に達した。さらに、ほとんど完全な転化が1時間の反応時間後に認められ(>
90%)(NMRによって示す)、完全またはほとんど完全な選択性が達成され
た:99%以上。
二塩化チタノセン(IV)を触媒として使用すると、発熱反応は認められなかっ
た。さらに、転化は、20時間の反応時間の後も完全ではなく(92%)、完全
またはほとんど完全な選択性が達成された:99%以上。
2-エチルヘキサン酸スズ(II)、三塩化ブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルス
ズ、鉄(III)アセトアセトナートおよび2-エチルヘキサン酸コバルト(II)を
使用すると、急速な発熱反応が認められ、反応混合物は40℃以上のピーク温度
に達した。さらに、完全な転化は、1時間の反応時間後に認められたが、選択性
は不完全であることが分かった(65〜91%)。
実施例VII
1000重量部の乾燥テトラヒドロフランおよび2重量部のジルコニウム(IV)ア
セトアセトナートを含むフラスコに、194重量部のIMCIおよび45部のトリメチロ
ールプロパンを入れた。反応混合物を還流温度(65℃)で4時間攪拌した。室温
に冷却した後、73部のジエチルアミンを入れた。溶媒を蒸発させた後、ガラス状
物質が得られた。
GPCにより分析すると、生成物質の98%より多くが三量体構造を有し、より
分子量の高い化合物は2%未満で生成したことが分かった。
実施例VIII
1000重量部の乾燥テトラヒドロフランおよび2重量部のジルコニウム(IV)ア
セトアセトナートを含むフラスコに、154重量部の1,4-ジイソシアネート-4-メチ
ルペンタン(DIMP)および45重量部のトリメチロールプロパンを入れた。反応混
合物を還流温度(65℃)で4時間攪拌した。室温に冷却した後、73部のジエチル
アミンを入れた。溶媒を蒸発させた後、ガラス状物質が得られた。
GPCにより分析すると、生成物質の98%より多くが三量体構造を有し、より
分子量の高い化合物は2%未満で生成したことが分かった。
比較例J
1000部の乾燥テトラヒドロフランおよび2部のジルコニウム(IV)アセトアセ
トナートを含むフラスコに、223重量部のイソホロンジイソシアネート(IPDI)
および45
重量部のトリメチロールプロパンを入れた。反応混合物を還流温度(65℃)で4
時間攪拌した。室温に冷却した後、73部のジエチルアミンを入れた。溶媒を蒸発
させた後、ガラス状物質が得られた。
GPCにより分析すると、生成物質の約50%のみが三量体構造を有し、より分
子量の高い化合物(ペンタマー、ヘプタマー、モノマーなど)は約35%未満で生
成したことが分かった。さらに、約15%のIPDIはヒドロキシル基と反応しなまま
であり、トリメチロールプロパンは全て反応した。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07C 271/24 C07C 271/24
C08F 8/30 C08F 8/30
C08G 18/22 C08G 18/22
C09D 5/03 C09D 5/03
175/04 175/04
// C07B 61/00 300 C07B 61/00 300
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AU,BA,BB
,BG,BR,CA,CN,CU,CZ,EE,GE,
HU,IL,IS,JP,KP,KR,LC,LK,L
R,LT,LV,MG,MK,MN,MX,NO,NZ
,PL,RO,SG,SI,SK,TR,TT,UA,
US,UZ,VN,YU
(72)発明者 スタンセンス,ダーク,アルマンド
ベルギー国,3530 ホウターレン,デ ヒ
ュッテストラート 93
(54)【発明の名称】 イソシアナト基と反応可能な化合物と第一級炭素原子に結合した1個のイソシアナト基および第
三級炭素原子に結合した1個のイソシアナト基を有する脂肪族ジイソシアネートとの反応のため
の触媒