JP2000511402A - Gdnfおよびgdnf受容体の用途 - Google Patents

Gdnfおよびgdnf受容体の用途

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Abstract

(57)【要約】 GDNFRα、GDNFRα細胞外ドメイン(ECD)、GDNFRα変異体、キメラGDNFRα(例えばGDNFRαイムノアドヘシン)、及びこれらに結合する抗体(アゴニスト及び中和抗体を含む)が開示される。GDNFRα−リガンド、例えばGDNFに対する応答によって、細胞へGDNFRαを提供することによって、細胞活性及び生存を変調する方法を含む、これらの分子の種々の用途が記述される。GDNFRα、GDNF、又はそのアゴニストを別個に又は複合して用いて腎臓疾患を治療する方法も又提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 GDNF及びGDNF受容体の用途 関連出願の参照 本出願は、同時に継続する米国特許出願第08/615902号(1996年 3月14日出願)及び第08/618236号(1996年3月14日)を参照 し、米国特許法第120条に基づきこれらの出願日の利益を受けるとともに、そ れらの開示の内容を取り込むものである。 導入 技術分野 本願発明は、グリア細胞(神経膠細胞、Glia-cell)由来の神経栄養因子(「G DNF」)とその受容体GDNFRαの新規な使用方法に関するものであり、G DNFRαをコードする核酸及びアミノ酸配列を提供する。特に、本願発明は、 天然のGDNFRα配列、GDNFRα変異体、GDNFRαの細胞外ドメイン を含む可溶性GDNFRα変異体、キメラGDNFRα、GDNFRαに結合す る(アゴニスト(agonist)及び中和(neutralizing)抗体を含む)抗体、及び、 これらの分子のさまざまな用途に関するものである。本願発明は更に、GDNF R.に対するリガンドの検査システム、GDNFの生理学的機能、GDNFが関 係する疾患の診断手法、GDNFRαと相同的な分子を同定するための方法、特 に腎臓病のようなGDNFが関係するかあるいはGDNFRαが関係する疾患の 治療手段に関連する。 技術背景 神経系の疾患は往々にして致命的であり、しばしば死亡に至る。神経学的疾患 は慢性であることが多く、社会的、経済的な負担が大きい。例えば、脳卒中は米 国では心臓病、がんについて3番目の死亡原因である。インシュリンのような成 長因子、神経成長因子、脳由来の神経栄養因子、ニューロトロフィン−3、−4 /5及び6、繊毛に関する神経成長因子、GDNF、最近ではニュートリン(neu rturin)等の自然発生的なタンパクである神経栄養因子は、筋萎縮性側索硬 化症、アルツハイマー病、脳卒中、癲癇、ハンチントン病、パーキンソン病ある いは外延神経障害のような神経系の疾患に対して特定のニューロンの生存率を向 上させる可能性があると提案されている。脊髄神経組織の成長と発達に影響を与 える神経栄養因子あるいはニューロフィンは、脳及び周辺部位における多種多様 なニューロン集団の分化、生存及び機能の促進に大きく関わっていると考えられ ている。神経栄養因子は、先に神経成長因子(NGF)で確立された一部の知見 に基づくと、神経組織において重要なシグナル機能をもつと考えられている。N GFは、試験管内及び生体の内で、前脳の交感系、知覚系及び基底ニューロンの 生存を支援する。外からのNGF投与は発生過程のニューロンが死滅することを 防止する。反対に、抗NGF抗体の投与による内因性のNGFの排除あるいは隔離 は、前記細胞の死滅を促進する(Heumann,J.Exp.Biol.,132:133-150(1987); Hefti,J.Neurosci.,6:2155-2162(1986);Thoenenら,Annu.Rev.Physiol.,6 0:284-335(1980))。 NGF関連の他の神経栄養因子もその後同定された。これらは、脳由来の神経栄 養因子(BDNF)(Leibrockほか,Nature,341:149-152(1989)))、ニューロトロ フィン−3(NT−3) (Kaishoほか,FEBS Lett.,266:187(1990);Maisonpierre ,ほか,Science,247:1446(1990);Rosenthalほか,Neuron,4:767(1990)))、 及びニュートロフィン4/5(NT-4/5)(バークマイア他、ニューロン、7 :857−866、1991年,Berkmeierほか,Neuron,7:857-866(1991))) 。TGFβスーパーファミリーの遠いメンバーで、最近同定された、構造的に関連 のあるGDNF及びニューツリン(「NTN」)は、知覚交感神経系及び中枢神 経系のニューロンの潜在的な生存栄養因子である(Linほか,Science 260:1130- 1132(1993);HendersonほかScience 266:1062-1064(1994);Buj-Belloほか,Neuro n 15:821-828(1995);KotzbauerほかNature 384:467-470(1996))。GDNFは、 パーキンソン病、ALS及びアルツハイマー病に対する治療薬の可能性があると考 えられてきた。GDNF及びNTNのシグナルが伝達される機構は解明されていな い。 ニューロトロフィンは、NGFと同様、標的細胞表面の受容体との相互作用を通 じて標的細胞に影響を与える。現在理解されているところによれば、2種の膜貫 通糖タンパクが、既知のニュートロフィン受容体として作用する。結合平衡に関 する研究によれば、ニューロトロフィンに応答するニューロンには、親和性の低 いp75LNGFR又はp75と称する普通の低分子量(65,000〜80,00 0ダルトン)受容体と、130,000〜150,000ダルトンの高分子量受 容体とがある。高親和性の受容体(trkA,trkB及びtrkC)は、受容体チロシンキ ナーゼでtrkファミリーに属す。 受容体チロシンキナーゼは、細胞の増殖、分化、及び生存を促進する種々のタ ンパクの受容体として知られている。trk受容体以外に受容体チロシンキナーゼ として知られているものには、表皮成長因子(EGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、 及び?小板由来成長因子(Platelet Derived Growth Factor,PDGF)がある。一般 に、これらの受容体は、細胞膜を貫通し、一部は細胞質と接触し、残りの一部は 細胞外に露出している。受容体の細胞外ドメインにリガンドが結合すると、受容 体の細胞内ドメインのチロシンキナーゼの活性化が誘導され、細胞内シグナル伝 達経路上の種々のタンパクが次々にリン酸化される。 受容体チロシンキナーゼ(「RTK」)の過剰発現は形質転換能と関連する。例 えば、肝臓がん、肺がん、乳がん、脊髄ガンにおいてはEph RTKの上昇が見られ る。他の多くのチロシンキナーゼとは異なり、この上昇は遺伝子の増幅あるいは 再構成を伴わずに発生する。更に、ヒトのRTKであるHekは、白血球株化細胞のプ レ−B細胞(B細胞前駆細胞)の表面に存在する白血球の固有のマーカーとして 同定された。Ephに関しては、Hek同様、遺伝子の増幅あるいは再構成なしに、た とえば造血性腫瘍やリンパ系の腫瘍株化細胞中で過剰発現する。Myk-1(ヒトHek のマウス相同体、Bennettか,J.Biol.Chem.,269(19):14211-8(1994))の過剰 発現は、トランスジェニックマウスの乳腺の未分化で侵食性のある、Ha-rasがん 遺伝子を発現している腫瘍でみられた。 複数の膜貫通型チロキシンキナーゼは、発ガン性に関する役割に加えて、発生 過程においても重要な役割を果たすことが報告されている。受容体チロキシンキ ナーぜのうちのいくつかは、発生段階で制御され、胚組織で主に発現する。FGF のサブクラスに属するCek1、Cek4及びCek5チロシンキナーゼがその例である(Pas qualeほか,Cell Regulation,2:523-534(1911))。Ephファミリーのメン バーは神経系あるいは、特異的にニューロンで発現する複数のファミリーメンバ ーとともに、種々の成熟した組織で発現する(Maisonpierreほか,Oncogene,8:3 277-3288(1993);Laiほか,Neuron,6:691-704(1991))。 チロキシンキナーゼ受容体の過剰発現、あるいはこれら受容体のどれかが制御 不能になると、種々の不具合あるいは病理学的障害を引き起こす。したがって、 受容体チロシンキナーゼ経路あるいは細胞過程の障害に対する診断と治療の新規 な手段を提供するために、受容体チロキシンキナーゼ(「RTK」)とそのリガンド 、あるいはGPIが結合した受容体を制御、調節、操作する手段が必要とされてい る。本願発明は、診療医及び研究者に、特定のRTK受容体と特異的に相互作用す る、新規なニューロトロフィン結合分子を提供する。この分子とニューロトロフ ィンリガンドが関係する新規な疾患の病状が同定される。したがって、この新規 な受容体あるいはそのリガンドが役割を担う、神経栄養の情報伝達経路が関与す る神経系の疾患あるいは他の疾患に対して、進んだ予防あるいは/又は治療法を 提供することも本発明の目的の一つである。 本願発明の上記の目的及び上記以外の目的は、明細書の全体を通じて当業者に 明らかになるであろう。 発明の要旨 本願発明は、部分的には、完全に腎臓及び腸内の神経系統を欠き、部分的に後 根神経節(<23%)、交感神経(<35%)、知覚性結節(<40%)の欠損 が見られる、GDNF欠損マウスの発見に基づくものである。GDNFヘテロ結 合体は、早期において重大な腎臓障害を呈する。このように、GDNFは、後腎 及び腸内のニューロンの発生と生存に必須な役割を演じる。したがって、GDN F及びGDNF様の化合物、必要に応じてGDNF受容体との組合せあるいは複 合体、を用いてこのような疾病あるいは関連する疾病を治療する方法が提供され る。 本発明はGDNFRαと称する新規なGDNF受容体、可溶性の受容体、GD NFRαの細胞外ドメイン(「ECD」)を提供する。更に、必要に応じて血清の 半減期を延長する分子と結合あるいは融合させたGDNFRαポリペプチド、あ るいは、生理学的に受容できるキャリアと共に製剤された薬剤が提供される。 リガンド結合能、好ましくはGDNF結合能、と共に受容体シグナル機能(Re t受容体チロシンキナーゼを経由した)を持つ可溶性GDNFRαは、細胞のG DNFRαリガンド(好ましくはGDNF)に対する応答性の付与、回復、増強 に用いられる。この応答性は、リガンドとの結合、Retチロシンキナーゼのリン 酸化及び、生存あるいは成長といった細胞活性を調節する、Retが仲介する下流 側の活性を含む。この実施態様は、生体内(in vivo)及び試験管内(in vitro)で 使用することができる。本願発明に係る化合物は、GDNFが関与する疾患及び 本明細書に記載される、新たに同定される疾患に対して処方することができる。 GDNFには結合するが、GDNFシグナルには関わらないGDNFRαECD は、内因性のGDNFRαの活性化を抑制するため、GDNFリガンドを隔離す るアンタゴニストとして用いることができる。このことは、哺乳動物内でGDN Fリガンド量が過多、あるいはGDNFRαの活性化が過剰な疾患に対して有効 である。 可溶性GDNFRα、好ましくはECDの薬剤組成は、GDNFRαリガンド 、好ましくはGDNFを更に含む。リガンド/GDNFR.複合体を含むこのよ うな組成は、リガンドの半減期の延長、リガンドのゆっくりした持続的な放出、 標的細胞へのGDNFRαリガンド応答性の付与、及び/又は内因性細胞GDN FRαあるいはRetの活性を直接的に活性化又は向上させる。組成は、1つ以上 のサイトカイン、神経栄養因子、それらのアゴニスト抗体を含んでも良い。 キメラGDNFRα分子、たとえば半減期の長いGDNFRαイムノアドヘシ ン(免疫付着因子)及び抗体認識部位が付けられたGDNFRαが公示されている 。これらは、可溶性GDNFRα、特に細胞にGDNFを送付する、あるいはG DNF応答性を付与する複合体としての特定の使用法を発見する。特異性を2つ 持つ免疫付着因子(たとえばGDNFRαのリガンド結合活性と、他のサイトカ インあるいは神経栄養因子受容体のリガンド結合領域とを合せ持つ)は、他の因 子あるいは標的送付因子とGDNFRαリガンドとが組合わさった、高親和性結 合複合体を形成できる。 更に、GDNFRαに結合するか、あるいは、GDNFRαを活性化する分子 を同定するための方法が提供される。GDNFRαのアゴニストあるいはアンタ ゴニストであるGDNFRαリガンド分子(ペプチド、抗体、小分子等の)を選 別する、あるいは同定する検査方法が提供される。そのような方法は、一般に、 固定化GDNFRαに結合する可能性があると思われる分子を接触させ、固定化 されたGDNFRαとの結合の有無を決定し、あるいは/又は、当該分子がGD NFRαを活性化するか(又は活性をブロックするか)否かを評価する工程を含 む。そのようなGDNFRαリガンドを同定するために、細胞の表面に提示され たGDNFR.は、複数の合成化合物あるいは天然の化合物(血清や細胞のよう な内在的ソースからの)ライブラリーからの選別に用いられる。GDNFRαは 又、内在性あるいは外来性のGDNFRαリガンドの血清中での濃度を測定する 、診断ツールとしても用いることができる。 更に他の実施態様においては、GDNFRαリガンドを精製する方法が提供さ れる。この方法は当該受容体に結合する治療活性を有する分子の商業的な生産と 精製に用いられる。1つの実施態様において目的分子(一般的には、1種あるい はそれ以上の不純物を組成として含む)は固定化GDNFRα(例えば、プロテ インA樹脂上に固定化されたGDNFRα)に吸着する。不純物は、GDNFR αに結合することができないので、一般的にはその樹脂に結合しない。したがっ て、リガンド分子が固定化された受容体から放出されるように溶出条件を変える ことで、目的分子の樹脂からの回収が可能となる。 GDNFRαに特異的に結合する抗体が提供される。好ましい抗体は、ヒトに は抗原性が無く、受容体の細胞外ドメインにある抗体認識部位と結合するモノク ローナル抗体である。好ましい抗体は、GDNFRαとの親和性が少なくとも1 06L/mole、更に好ましくは107L/moleで結合するものである。 GDNFRαに結合する抗体を、異種のポリペプチドと融合させることもでき る。抗体あるいは融合物は、GDNFRαを受容体のソースから分離精製する用 途を提供する。 更に、受容体を含むと思われるサンプルとの接触段階、及び結合が起こったか 否かの検出を含む、生体内及び試験管内でのGDNFRαの検出方法が提供され る。 適用例のうちのいくつかにおいては、アゴニスト抗体があることが望ましい。 アゴニスト抗体は、GDNFの様なGDNFRαリガンドで活性化されたGDN FRαに有用である。更に、これらの抗体は、哺乳動物において効果がある量の GDNFRαの活性化が治療効果につながるような疾患に対する処方としても有 用である。たとえば、アゴニスト抗体は、GDNFRα及び好ましくはRetをも 含むような細胞において、GDNFの応答を引き出すために用いられる。治療用 外用薬としては、アゴニスト抗体及び生理学的に許容されるキャリアを含む組成 のものを用意するのが好ましい。更に、当該組成に、一つ以上のサイトカイン、 神経栄養因子、あるいは、それらのアゴニスト抗体を入れられる。 他の実施態様においては、抗体は中和抗体である。そのような分子は、GDN FR.の望ましくない、あるいは、過剰な活性化で特徴付けられる疾患に対して 処方することができる。 更に、本願発明は、上記に加え、GDNFRα、GDNFあるいはそれらのア ゴニストをコードする単離された核酸分子、発現ベクター及び宿主細胞を提供す るものである。これらは、記載されているようGDNFRα、GDNF、あるい はそれらのアゴニストの組換え体の生産に使用することができる。単離された核 酸分子及びベクターはトランスジェニック動物の生産、GDNFRαあるいはG DNFに欠陥をもつ患者の、GDNFR.リガンドに対する細胞の応答性を向上 させる、あるいは(アンチセンス核酸の使用による)GDNFRαあるいはGD NF活性を抑制させる遺伝子治療法に利用できる。 図面の簡単な説明 図1Aから1Eは、全長のGDNFRαをコードするcDNAの有意鎖(sensestrand )の塩基配列及びGDNFRαの推定アミノ酸配列を示す。有意鎖の初めからヌ クレオチドに番号をふった。アミノ酸残基はアミノ酸配列の初めから番号をふっ た。 図2は、GDNFRαのアミノ酸配列及びその特徴を表す。シグナルペプチド は下線で、シグナルペプチドの仮想切断部位は矢印で、グリコシル化能を有する 部位は箱型で、GPI結合部位の疎水性領域は二重下線で、下線を施した3つのア ミノ酸(A-S-S)は、GPI−アンカー切断/結合部位を、システインは太字で示し た。細胞外ドメイン(「ECD」)は、シグナルペプチド及びGPI結合領域の脇 に位置する。 図3は、架橋実験のPAGE結果を示す。I125GDNFとGDNFRαを提示す る細胞(レーン1、2)又は対照細胞(レーン3、4)との架橋、あるいは過剰 な非標識GDNFの有(レーン2、4)無(レーン1、3)での架橋を示す。非 標識GDNFと交換可能な架橋タンパク(〜85kD、〜180kD、〜200 kD)が、GDNFRα提示においては見られたが、対照細胞では見られなかっ た。 図4は、I125GDNFのGDNFRα提示細胞との結合及び、非標識GDN Fによる置換を示す。図中のスキャッチャードプロット(Scatchard representa tion)から、IGORプログラムによりKd値は63pMと決定された。 図5は、PIPLC処理後のGDNFRαを提示する細胞のファックスソート分析 (fax-sort analysis)結果を表示す。グラフはサンプル毎に表示されている。 「コントロール」は、表面にコントロール細胞の表面タンパクを提示する細胞を 表す。破線(GDNR+PIPLC)は、2ug/mlのPIPLC、37℃で1時間処理したGDN FRαを提示する細胞を表す。丸(GDNF)は、PIPLCで処理していないGD NFRαを提示する細胞を表す。右側への移動はGDNFへの結合を表す。GD NFRαを提示する細胞をPIPLCで処理することによってGDNF結合が90% 以上減少する。 図6は、PIPLC処理の前後におけるニワトリの知覚ニューロン節E6のGDNF に対する応答を表した。PIPLC処理はGDNF存在下における細胞の生存を50 %以上減少させる。それに対して、PIPLCはBDNFに対する応答に変化を与えない 。ニワトリのガングリアニューロン節E6を単離して、以前に記載された(Buj-Bel lo et al.Neuron 15:821-828(1995))ように調製し、3つのウェルに蒔き成長さ せた。図中に示したサンプルに対しては、GDNF(10ng/mlあるいは記載されて いる場合はその量)及びBDNF(1ng/ml)の添加に先立ち、予め1時 間、12時間あるいは24時間前にPIPLE(4ug/ml)を添加した。 図7は、PIPLC処理の前後におけるE14ラットの脊髄の運動ニューロンのGDN Fに対する応答を表した。PIPLC処理は、GDNF存在下における運動ニューロ ンの生存率を、BDNFに対する応答に変化を与えることなく、90%以上減少させ る。文献に記載されている方法(Bloch-Gallegoほか,Development,111:221-232 (1991);Camuほか,J.Neurosci.Meth.,44:59-70);Henderson et al.,Nature ,363:266-270(1993))で、ラット胎児の運動ニューロンを調製し、培養した。実 験は3回行い、50時間培養後の運動ニューロンの平方センチメートルあたりの 数を数えた。GDNF(記載した濃度の)添加の1時間あるいは15時間前に運 動ニューロンを記載された量のPIPLCで処理した。 CNTF(10ng/ml)、白血病阻害因子(LIF)(10ng/ml)あるいはBDNF(1ng/ml)。 図8は、PIPLC処理の前後における、NGFに応答する標準として、ニューロンの 1次培養物のGDNFに対する応答を示す。PIPLCによる処理はNGFに対する応答 を変化させること無く、GDNF存在下でのニューロンの生存を50%以上低下 させる。 図9A,9B及び9Cは、特異的なニューロンにおける、GDNF誘導GDN FRα依存性の生存率を示す。図9Aは、ニワトリ胚のニューロン節、三叉ニュ ーロン、知覚及び交感ニューロン、ラットの脊髄運動ニューロン、ラットのドー パミン作動性のニューロンの、 GDNFあるいは他の成長因子に対するPIPLC 処理後の生存応答を示す。PIPLCは、BDNF,NGFあるいはTGFβに対する応答を変化 させずにGDNFあるいはCNTF存在下で、細胞の生存を50%ないし90%減少 させる。図9Bは、PIPLC処理された、運動ニューロンのGDNFに対する応答 を回復させられる可溶性GDNFRα(sR.)の存在下で、PIPLC処理された運 動ニューロンの生存率が上がることを示す。GDNFRαだけでの栄養活性から 、これらの実験ではGDNFの量が少なかったためGDNFがこの調製物と複合 体を作ったためではないかと考えられる。図9Cは、可溶性GDNFRα(sR α)とGDNFの組み合わせによる、PC12細胞の軸索突起成長部の応答を示す。 GDNFRαはPC12細胞にGDNF応答性を付与する。顕微鏡の視野内における 軸索突起を有する生きた細胞の数が表示されている。 図10A、10B、10C及び10Dは、GDNFに対する応答に関するRetの 影響を表したものである。図10AはGDNFRαに依存するRetのGDNF誘導 チロシン自己リン酸化を示す。Retチロシンリン酸化のほとんどの剌激はGDN Fに単独で(左に2レーン)接した後にPIPLC処理されなかったニューロ2及びS K-N-SH(SK)細胞において観察された。Retのリン酸化は可溶性GDNFRα(+sR α)の存在下において更に向上する。PIPLC処理された(+PIPLC)細胞に関しては GDNFRαとともにGDNFが添加された場合(+PIPLE+sRα)以外はRetリン 酸化は観測されなかった。図10Bは、GDNFRα又はRetを発現する細胞に 対する125I GDNFの競合的結合を示す。GDNFはRetと高い親和性で結合 するわけではない。図10Cは、細胞の表面に形成された、GDNF、GDNF Rα及びRetの複合体の免疫沈降を示す。(Co)トランスフェクトされていない 細胞。(Ret)Retのみによってトランスフェクトされた細胞。(Rα+Ret)Ret及び GDNFRαによってトランスフェクトされた細胞。いずれの場合においても細 胞はGDNF(100ng/ml)にさらした後GDNF抗血清との沈降処理を行った。 GDNFとRetの間の遺伝複合体の存在はRet抗血清を用いたウエスタンブロット によって同定された。GDNF/Ret複合体は、GDNFRαの存在下において のみ形成された。図10Dは、GDNFRα/Ret複合体の免疫沈降を示す。GD NFによって複合体の形成が刺激される。(Rα)はエピトープで標識されたGD NFRαでトランスフェクトされた細胞、(Ret)はRetのみでトランスフェクトさ れた細胞、(Rα+Ret)は、Retとエピトープで標識されたGDNFRαでトラ ンスフェクトされた細胞である。トランスフェクションに続き、細胞はGDNF で処理されるか(+)あるいは処理されず(−)、続いて、Ret抗血清によって遺伝 沈降処理を行った。RetとGDNFRα間の遺伝複合体は、次に、エピトープで 標識したGDNFRαに対してウエスタンブロットによって測定された。GDN FRαとRet間の遺伝複合体はGDNFの存在下においてのみ形成された。 詳細な説明 本願発明の詳細な説明においては、以下の用語を下記の意味に用いる。 本説明において用いる「GDNFRα」又は「GDNFRαポリペプチド」は 、天然の配列のGDNFRα、GDNFRαの変異体、GDNFRα細胞外ドメ イン、キメラGDNFRα(いずれもそれぞれ定義される)を意味する。場合に よっては、GDNFRαは天然のグリコシル化とは無関係の場合がある。「天然 のグリコシル化」とは、GDNFRαに共有結合的に結合した炭水化物部分が哺 乳動物の細胞から自然に由来した場合を言う。したがって。ヒト以外の細胞から 生産されたヒトのGDNFRαは、「天然のグリコシル化と無関係」なGDNF Rαの例である。時には、GDNFRαはグリコシル化されていない場合がある (原核生物において組換えによって生産された場合など)。 「天然配列GDNFRα」は、天然由来のGDNFRαと同一のアミノ酸配列 を有するポペプチドを含む。したがって、天然配列GDNFRαは、ラットのG DNFRα、マウスのGDNFRα、ヒトのGDNFRαあるいは他の哺乳動物 の種から得られたGDNFRαの天然のアミノ酸配列と同一の配列を有する。そ のような天然の配列からなるGDNFRαポリペプチドは、自然から単離するか 組換えあるいは合成手法によって生産することができる。「天然配列GDNFR α」なる用語は、GDNFRαの天然に発生するGDNFRαの構成部分、自然 に発生する変異形(他の結合形)、自然に発生する対立遺伝子的変異体をさす。 好ましい天然配列GDNFRαは成熟した天然配列GDNFRαである。ラット のGDNFRα配列を図1A−1Eに示す。好ましい分子は、中程度の、好ましく は厳密なハイブリダイゼーション条件下において、図1A−1Eに示すラットのG DNF受容体をコードしているGDNF配列とハイブリダイズすることができる 核酸分子を含むものである。一つの実施例においては、GDNFR核酸分子は、 42℃、20%ホルムアミド中で、図1A−1Eに示すGDNF受容体をコードし ているDNA配列とハイブリダイズする。他の実施態様においては、GDNFR 核酸分子は、42℃、20%フォルムアミド中で、図1A−1Eに示す完全なGD NF受容体の一部をコードしている少なくとも10の近接塩基、好ましくは20 の近接塩基、更に好ましくは45の近接塩基、更に好ましくは60の塩基のDN A配列とハイブリダイズすることができる。好ましい配列は、同様の条 件下では他のニューロトロフィン受容体配列とはハイブリダイズしない。 同様に、「GDNF」は、天然GDNF、GDNF変異体、プレープロGDN F、成熟GDNF、及びキメラGDNFを意味する。必要に応じて、GDNFは 天然のグリコシル化とは無関係である。GDNFは(原核生物内において組換え によって生産することで)脱グリコシル化することができる。「天然配列GDN F」は、天然由来のGDNFと同一のアミノ酸配列を持つポリペプチドを含む( ここでその開示内容を取り込むLinほか.,Science,260:1130-1132(1993)WO 93/ 06116を参照せよ)。したがって、天然配列GDNFは、天然のラットGDNF 、マウスGDNF、ヒトGDNF、あるいは他の哺乳動物由来のGDNFのアミ ノ酸配列を有することができる。そのような天然配列GDNFのポリペプチドは 天然の物質から単離(分離)するかあるいは組換えあるいは合成の手法によって 得ることができる。「天然配列GDNFRα」とはGDNFの天然に生じる切取 り形、天然に起こる変異体形(例えばスプライスされた形)、及び天然に起こる GDNFの対立形質変異体を包含する。好ましい天然配列GDNFは、成熟した ヒトGDNF配列である。 「GDNFRα細胞外ドメイン(ECD)」は、GDNFRαの膜間あるいは細 胞質ドメインを本質的に有しないもの、つまり、そのようなドメインを1%未満 、好ましくは0.5%から0%、更に好ましくは、0.1%から0%だけ有する GDNFRαの形態である。通常は、GDNFRαECDは、GDNFRαのE CDのアミノ酸配列と少なくとも約60%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ 酸を有する。たとえば、図1A−1Eに示されたGDNFRαあるいは対応する配 列、例えば、マウスの配列、ヒトの配列で、好ましくは65%、更に好ましくは 少なくとも75%、更に好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくと も90%、更に好ましくは95%、99%、終局的には100%のアミノ酸の同 一性を有し、したがって、以下に規定するGDNFRαの変異体を含むことにな る。好ましい配列は少なくともアミノ酸16個分の長さを有し、更に好ましくは 少なくともアミノ酸20個分の長さ、更に好ましくは少なくともアミノ酸40個 分の長さを有する。 「GDNFRα変異体」(あるいはGDNF変異体)とは、例えば、GDNF Rαの図1A−1Eに示す推定アミノ酸配列を持つGDNFRα(又はヒトGDN F;Linほか,Science,260:1130-1132(1993)を見よ)又はこの明細書に開示さ れる配列と、100%未満(少なくとも60%の同一性)の配列同一性を有する 生物学的に活性なGDNFRα(あるいはGDNF)を意味する。そのような変 異体は、GDNFRαあるいはGDNF配列のN末端あるいはC末端に、あるい はその配列内部に一つ以上のアミノ酸残基が追加されたポリペプチド;1ないし 30のアミノ酸残基が欠失され、場合によっては一あるいはそれ以上のアミノ酸 残基によって置換されたポリペプチド;上記のポリペプチドの誘導体で、結果の 生成物が天然に存在しないアミノ酸を有するようにアミノ酸が共有結合的に修飾 されたポリペプチドを含む。通常は、生物学的に活性な変異体のアミノ酸配列は 、天然に存在するGDNFRα(図1A−1Eに示す対応する配列)あるいはヒト GDNFのアミノ酸配列と少なくとも約65%が一致し、好ましくは少なくとも 約75%が、更に好ましくは少なくとも約80%が、更に好ましくは少なくとも 約90%が、更に好ましくは少なくとも約95%が、更に好ましくは少なくとも 99%が、終局的には100%が一致する。「キメラGDNFRα」は、全長の GDNFRαを含むかその一つ又はそれ以上のドメイン(例えば細胞外ドメイン )を異種性のポリペプチドに融合あるいは結合させたポリペプチドである。キメ ラGDNFRαは、GDNFRαと少なくとも一つの共通する生物学的性質を有 している。キメラGDNFRαの例としては、イムノアドヘシン及びエピトープ タグGDNFRαがある。「キメラGDNF」は、異種性のペプチド、好ましく は他の神経成長因子あるいはサイトカインに、融合あるいは結合した成熟したG DNFを含むポリペプチドである。 「イムノアドヘシン」なる用語は、「GDNFRα免疫グロブリンキメラ」と 同義語として用いられ、GDNFRα(通常は、その細胞外ドメイン)の一部を 免疫グロブリン配列と組合せるキメラ分子を意味する。免疫グロブリン配列は、 好ましくは、ただし限定的にではないが、免疫グロブリンの定常ドメインを指す 。本発明のキメラ内の免疫グロブリン部分は、IgG1、IgG2、IgG3、 又はIgG4サブタイプ、IgA、IgE、IgD又はIgM、好ましくはIg G1又はIgG3から得ることができる。 「エピトープタグ」とは、「タグポリペプチド」に融合したGDNFRα(又 はGDNF)を有するキメラポリペプチドをさす。タグポリペプチドは、抗体が 形成されるエピトープを提供するに十分な数の残基を有しているが、その長さは GDNFRαやGDNFの生物学的活動を阻害しないよう十分に短い。タグポリ ペプチドは、好ましくは、それに対して形成される抗体が他のエピトープと交差 反応しないようにかなりユニークである。好ましいタグポリペプチドは、一般に 、少なくとも6つのアミノ酸残基を有しており、通常は8から50のアミノ酸残 基を有し、好ましくは9から30の間のアミノ酸残基を有する。好ましいものは 、タグたんぱく質をNi−NTAクロマトグラフィー(Lindsayほか.Neuron 17 :571-574(1996))で分離することができるようニッケルと結合するポリヒスティ ジン配列である。 「単離されたGDNFRα」又は「単離されたGDNF」は、天然資源から精 製されたかあるいは組換えあるいは合成技術によって生産された物質であって、 (1)スピニングカップシークエネーターあるいは市販の最良のアミノ酸シークエ ネーターを使用することにより、又は本出願の出願日に刊行されている方法によ り修正して、少なくとも15あるいは好ましくは20のN末端あるいは内部アミ ノ酸配列のアミノ酸残基を得るのに十分なほど、あるいは、(2)クーマシーブル ーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS−P AGEによる均質性が得られるように十分なほど、他のペプチド又はたんぱく質 を含んでいないことを言う。ここでの均質性とは、他の供給源からのたんぱく質 がおよそ5%未満であるような汚染を意味する。 「本質的に純粋な(essentially pure)」たんぱく質とは、組成物の重量に対し て少なくとも90重量%のたんぱく質を含むもの、好ましくは95重量%以上の たんぱく質を含むものを言う。「本質的に均質な(essentially homogenious) 」たんぱく質とは、組成物の重量に対して99重量%以上のたんぱく質を含む混 合物を言う。 「生物学的性質」は、これが「GDNF」、「GDNFRα」あるいは「単離 されたGDNFRα」について用いられた場合は、(天然又は変性されたコンフ ォメーションの如何にかかわらず)その天然GDNFあるいはGDNFRαによ って直接又は間接に引き起こされるエフェクターあるいは抗原機能又は活性を有 することを意味する。エフェクター機能は、リガンド結合あるいは受容体結合、 及び細胞の生存、分化及び/又は増殖(特に細胞の増殖)の向上を含む。しかし ながら、エフェクター機能は天然配列GDNFあるいはGDNFRαに対して作 製された抗体と交差反応しうるエピトープあるいは抗原部位の保持を含まない。 「抗原機能」とは、天然配列GDNFあるいはGDNFRαに対して作製され た抗体と交差反応することのできるエピトープあるいは抗原部位を有することを 意味する。ポリペプチドの基本的な抗原機能は、それが天然配列GDNFあるい はGDNFRαに対して作製された抗体と、少なくとも約106L/moleの親和性 を持って結合することである。通常は、このポリペプチドは少なくとも107L/m oleの親和性を持って結合する。「抗原機能」を定義するために用いられる抗体 は、完全フロイントアジュバント中に抗原を処方し、この処方物を皮下に注入し 、抗原価がプラトーに達するまでこの処方物を腹腔内に注射して免疫反応を追加 免疫して作製される、ウサギポリクローナル抗体である。 「生物学的に活性な」は、これが「GDNF」、「GDNFRα」あるいは「 単離されたGDNFRα」と共に用いられた場合は、天然配列GDNFあるいは GDNFRαのエフェクター機能を有し、必ずしも必要ではないが、更に抗原機 能を有するポリペプチドを意味する。GDNFRαの基本的なエフェクター機能 は、GDNFと結合する能力である。GDNFRαの他の基本的なエフェクター 機能はRetチロシンキナーゼを活性化して(Retの自己リン酸化をもたらし )Retシグナル機能を媒介して下流側の経路を活性化することである。 「抗原的に活性な」とは、GDNFあるいはGDNFRαの抗原機能を有し、 必ずしも必要ではないが、エフェクター機能を有するポリペプチドとして定義さ れる。 「パーセントアミノ酸配列同一性」とは、配列を整列させ最大のパーセント配 列同一性を得るために必要なら間隙を導入し、配列の同一性のために保存的な置 換を行わない状態での、GDNFあるいはGDNFRα配列の残基と同一である 候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。対象となるGDNF あるいはGDNFRα配列に対するN末端、C末端、内部伸長、欠失、挿入は、 配列の同一性あるいは相同性に影響を与えるとは考えられない。 「GDNFリガンド」とは、天然配列GDNFRαに結合し、好ましくはこれ を活性化する分子を意味する。ある分子のGDNFRαに結合する能力は、たと えば、検査プレート上に塗布されたGDNFRαに結合する推定上のリガンドの 能力によって決定することができる。結合の特異性は、他の神経栄養因子あるい はサイトカイン受容体、特にTGF−βスーパーファミリーに属するものに対す る結合と比較することによって決定することができる。少なくとも2倍の差次的 結合が観測される必要がある。GDNFのGDNFRαへの結合と競合する能力 はGDNFリガンドの好ましい特性である。チミジン取り込み試験は、GDNF Rα機能を活性化するリガンドをスクリーニングする他の方法である。 「チミジン取り込み試験」とは、GDNFRαを活性化する分子を選別するた めに用いられる。この試験のためには、IL−3に依存するBaf3細胞(Palac iosほか,Cell,41:727-734(1985))を、ここに記載した全長の天然配列GDNF Rα及びRetによって安定にトランスフェクトする。このようにして生産した GDNFRα/ret/Baf3細胞は、湿度を有し、37℃で5%のCO2と 残りが空気の環境からなるインキュベーターの中で24時間IL−3不足の状態 におく。IL−3不足の状態に続き、作用物質を有する作用物質と共にあるいは 作用物質なしで細胞を96個の培養皿に移し(当該サンプルは場合によって希釈 する)、細胞培養インキュベーターの中で24時間培養する。最後の6時間ない し8時間は、それぞれの培養皿に3Hチミジンの1μCiを含有する血清遊離RP MI20μリットルを添加する。次に細胞を96個のフィルター皿に取り出し洗 浄する。フィルターを例えばパッカードトップカウントマイクロプレートシンチ レーション計数機(Packard Top Count Microplate Scintillation Counter)で計 測する。作用物質は3Hアップテイクが対照に対して、統計上有意な程度に増加し ていることが期待される。好ましい作用物質の場合、3Hアップテイクが比較例に 対して少なくとも2倍になっている。他の検査方法は文中に記載する。 「単離された」核酸分子とは、GDNFあるいはGDNFRα核酸の天然源に 通常は伴っている少なくとも1つの汚染核酸分子から同定され分離されたものを いう。単離された核酸分子は天然に見出される形態あるいは様相以外のものであ る。しかし、単離されたGDNFRα(又はGDNF)核酸分子は、天然の細胞 中に存在する核酸細胞とは異なる。しかし、単離されたGDNFRα(又はGD NF)核酸分子は、通常GDNFRα(又はGDNF)を発現するGDNFRα (又はGDNF)核酸分子、たとえば、核酸分子は天然の細胞の場合とは異なっ た染色体の位置にあるような核酸分子を含む。 「対照配列」とは、特定の宿主生物において機能的に関連付けられたコード配 列を発現するために必要なDNA配列をさす。例えば原核生物に好適な対照配列 は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、リボソーム結合部位、更に は今のところ十分には解明されていない配列を含む。真核生物の細胞は、プロモ ーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを使用することが知られてい る。 核酸は、他の核酸配列と機能的な関係を有するときに「作用的に関連付けられ る」と称する。たとえば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプ チドの分泌に寄与するたんぱく質として発現されているならそのポリペプチドの DNAに機能的に関連付けられているし、リボソームの結合領域はもしそれが変 換を容易にするような位置にあるならコード配列と機能的に関連付けられている 。一般的に、「機能的に関連付けられる」とは、関連付けられたDNA配列が近 接しており、分泌リーダーの場合には解読フェーズに近接している。しかし、エ ンハンサーは必ずしも近接しているわけではない。結合は適当な部位に核酸結合 することで達成される。そのような部位が存在しない場合は、従来手法にしたが って、合成されたオリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される 。 「細胞」、「セルライン(株化細胞)」及び「細胞培養」は相互に交換可能な 意味で用いられ、子孫を含むものを意味するものとしても用いられる。「形質転 換体」あるいは「形質転換細胞」は、最初の細胞及び何度転換したかに関わらず その子孫に当たる細胞を意味する。全ての子孫が、意図的な変異あるいは意図せ ざる変異の影響で、完全に同一のDNAを有するわけではないことも理解されて いる。最初の細胞と選別の対象となる機能あるいは生物的活性を共有する変異細 胞子孫も含まれる。特に区別して考慮されなければならない場合、そのことは文 中から明瞭に理解されるはずである。 「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、モノクローナル抗体、 多エピトープ特異性抗体組成物、二重特異性抗体、ダイアボディー(diabodies) 、単鎖の分子、及び抗体断片(すなわちFab,F(ab')2及びFv)が所望の生物学的特 性を有する限り含まれる。 「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体を意味 する、すなわち、自然に起きるごくわずかの変異を有することを除いて集団内に おいて均質な抗体を意味する。モノクローナル抗体は厳密に、特定の一つの抗原 部位に対応する。更に、異なる決定要素(エピトープ)に対応する異なる抗体を複 数含む従来の(ポリクローナル)抗体とは異なり、個々のモノクローナル抗体は 抗原の単一の決定要素に対応する。更に、モノクローナル抗体はハイブリドーマ カルチャーから合成することができ、他の変異グロブリンによって汚染されてい ない点において優れている。「モノクローナル」との形容は、実質的に均一な抗 体集団から得られたことを示し、抗体が特定の方法で得られたものであることを 意味するものではない。例えば、本発明に関連して使用される抗体は、最初にコ ーラー等(Kohlerほか)によってネイチャー誌に掲載された(Nature,256:495(197 5))ハイブリドーマ法によって作られたり、組換えDNA法(U.S.patent No.4, 816,567(Cabillyほか))によって作られたりしている。「モノクローナル抗体」 は、ある場合には、クラクソンの手法(Clacksonほか,624-628(1991)and Mark sほか,J.Mol.Biol.222:581-597(1991))を用いてファージ抗体ライブラリか ら単離されている。 モノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種に属する抗体あ るいは特定の抗体クラスあるいはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一 であるか相同であり、鎖の他の部分は他の種に属する抗体あるいは特定の他の抗 体クラスあるいはサブクラスに属する抗体の対応する配列あるいは生物的活性を 有する限りそれらの部分と同一であるか相同である「キメラ」抗体(免疫ブロブ リン)を含む(Cabillyほか,前掲;Morrisonほか,Proc.Natl.a Acad.Sci.US A,81:6851-6855(1984))。 ヒト以外(例えばマウス)の抗体の「ヒト化」形とは、キメラ免疫グロブリン 、 免疫グロブリンの鎖あるいは断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2あるい は抗体の他の抗原結合配列)であって、ヒト以外の免疫グロブリンに由来する配 列を最小限有するものである。大部分においてヒト化した抗体は受容体の補完的 −決定的領域(CDR)の残基が、マウス、ラット、ラビット等所望の特性、親和 性を有するヒト以外(ドナー体)のCDRの残基によって置換されたものである 。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は 、ヒト以外の残基によって置換されている。更に、ヒト化された抗体は受容体抗 体、インポートされたCDR、あるいは作成体配列のいずれにも発見されたに残 基を含む場合がある。これらの変更は抗体の特性を更に洗練し、最適化する目的 で行われる。一般に、ヒト化した抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つのヒ ト以外の免疫グロブリンに対応する全てあるいはほとんど全てのCDR領域可変ド メイン及び全てあるいはほとんど全てのFR領域が、ヒト免疫グロブリン配列で ある。ヒト化した抗体は、最適な状態では免疫グロブリン一定領域(Fc)、典 型的にはヒトの免疫グロブリンの一定領域、の少なくとも一部を含む。詳細につ いては以下を参照されたい:Jonesほか,Nature,321:522-525(1986);Reichmann ほか,Nature,332:323-329(1988);Presta,Curr.Op Struct.Biol.,2:593-59 6(1992)。ヒト化抗体は、プリマタイズした(PrimatizedTM)抗体、すなわち抗 体の抗原に接続する領域が対象抗体で免疫化したマカクザルから生産された抗体 、を含む。 「ヒトにおいて免疫原性のない」とは、ヒトのポリペプチドと、生理学的に許 容されるキャリア中で診療的に有意な量を接触した際に、適当な時間(8日〜1 4日)を置いて当該ポリペプチドを与えても対象ポリペプチドに対する抵抗が観 測されないことを言う。 「アゴニスト抗体」とは、天然配列GDNFRαを活性化するGDNFRαリ ガンドをいう。 「中性化抗体」とは、天然配列GDNFあるいはGDNFRαのエフェクター 機能を阻止するか顕著に減少させることのできる抗体を言う。たとえば、中性化 抗体は、神経突起生存検査、GDNF結合検査、この明細書に述べる検査あるい はそれ以外の知られている検査において、GDNFリガンドによるGDNFRα の活性を阻止あるいは減少させることができる。 「細胞の増殖を増大させる」とは、インビトロ又はインビボで処理をされてい ない細胞に比較して細胞の成長あるいは/又は再生産の度合いを増大させる工程 を包含する。細胞培養における細胞の増殖は、対象分子に曝露前及び曝露後の細 胞数を数えることによって検査することができる。増殖の程度は、細胞の広がり を顕微鏡で検査することで定量化できる。細胞増殖の他の定量評価方法としては 、本明細書に記載するように、チミジン取り込み検査によるものが有る。 「細胞の分化を増大させる」とは、元となった細胞とは異なる特徴あるいは機 能を得るようにすることを言う(たとえば細胞特殊化)。これは細胞の発現形の 変化をスクリーニングすることによって(例えば、細胞の形態的変化の把握)検 査可能である。 「生理学的に許容できる」担体、賦形剤、あるいは安定化剤とは、これらのう ち細胞あるいは哺乳動物に対して使用された量あるいは濃度では毒性を有しない ものをいう。生理的に許容可能な担体はしばしばpH緩衝液である。生理的に許 容可能な担体は、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸、アスコルビ ン酸を含む酸化防止剤、分子量の小さい(およそ10残基よりも少ない)ポリペ プチド、血清アルブミンのようなたんぱく質、ゼラチン、免疫グロブリン、ポリ ビニルピロリドンのような撥水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギ ン、アルジニン、リシンのようなアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、 マノーゼ、デキストリン等の他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マニ トールあるいはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような塩形成 対イオン;及び/又はトゥイーン(Tween)、プルロニック(Pluronics)又はポリエ チレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤である。 本明細書において使用される「サルベージ受容体結合エピトープ」とは、生体 内血清のIgG分子の半減期の延長に関与するIgG分子(つまり、IgG1、IgG2、I gG3及びIgG4)のFc領域のエピトープを意味する。サルベージ受容体に結合す るエピトープの具体例は、たとえば、HQNLSDGK;HQNISDGK;H QSLGTQ;VISSHLGQ;及びPKNSSMISNTPである。 「サイトカイン」とは、ある細胞集団から排出されるたんぱく質であって、他 の細胞に対して細胞間伝達物質として作用するものを言う。そのようなサイトカ インの例としては、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホ ルモンを挙げることができる。サイトカインには、ヒト成長ホルモン、N−メチ オニルヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン; インスリン;プロインスリン;リラクシン、プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン (FSH)のようなグリコたんぱく質;副甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホ ルモン(LH);肝臓成長因子;繊維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクト ゲン;腫瘍壊死因子α及びβ;マレリアン(mullerian)抑制物質;マウス性腺刺 激ホルモン関連のペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮の成長因子;イ ンテグリン(integrin);トロンボポエチン(thrombopoietin TPO);NGF−β、 NT−3、NT−4、NT−6、BDNF、CNTF、GDNF、AL−1ある いは他のeph受容体ファミリーのリガンド等の神経因子あるいは神経成長因子 ;小板成長因子;TGF−αあるいはTGF−βのようなトランスフォーミング 成長因子(TGFs);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポエチン(EPO) ;オステオインダクティブ因子;インターフェロンα、β、γのようなインター フェロン;マクロファージ−CSF(M-CSF)のようなコロニー刺激因子;顆粒 球-マクロファージ−CSF(GM-CSF);顆粒球−CSF(G-CSF);IL−1、I L−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、I L−8、IL−9、IL−11、IL−12等のインターロイキン;LIF及び キットリガンドを含む他のポリペプチド因子を含む。本明細書において使用され る限り、サイトカインは天然のソースからのもの、組換え細胞カルチャーからの もの、生物的に活性な天然配列サイトカインの均等物を含む。更に、TrkA− IgGあるいは他の水溶性受容体キメラのような遺伝学的に手を加えたシトカイ ン活性を有する細胞を含む。 「治療」には、治療的処置及び予防的措置を含む。治療を要するとは、秩序が 乱されているあるいはその秩序の乱れが排除可能であることを意味する。 治療に関して「哺乳動物」と言うときは、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ウシその 他の飼育された動物、動物園の動物、運動用の動物、愛玩用の動物を含む。好ま しくは動物はヒトである。 「固相」とは、対象となる試薬(たとえばGDNFRαあるいはそれに対する 抗体)を塗布することができる液状でないマトリックスをさす。固相は、例えば 全部又は一部がガラス(調整穴明きガラス)、多糖類(たとえばアガローズ)、 ポリアクリルアミド、ポリスティレン、ポリビニルアルコールあるいはシリコー ンからなるマトリックスをさす。いくつかの実施例においては、内容によっては 、固体相は検査板のウエルを意味する;他に(アフィニティークロマトグラフィ ーカラムのような)精製カラムをさす。この言葉は更に、米国特許第42751 49号に載されているような分散粒子の不連続な固相を指す場合がある。 本願発明の実施形態をここに提供する。GDNF(その記載をここに全て取り 込むLinほか,Science,260:1130-1132(1993);WO 93/06116)は、パーキンソン病 (Hirschほか,Nature,334:345-348(1988);Hornykiewicz,Mt.Sinal J.Med., 55:11-20(1988))、筋萎縮性側策硬化症(Hirano,Amyotrophic Lateral Sclerosi s and Other Motor Neuron Diseases,P.Rowland編(New York:Raven Press Inc .)pp.91-101(1991))、及びアルツハイマー病(Marcynuikほか,J.Neuro.Sci. ,76:335-345(1986);Caseほか,Neurology,37:42-46(1987);Chan-Palayほか,C omp.Neurol.,287:373-392(1989))ドーパミン作動性あるいはノルアドレナリン 作動性の中脳神経細胞(Linほか,Science,260:1130-1132(1930);Strombergほか ,Exp.Neurol.,124:401-412(1993);spinal motor(Hendersonほか,Science,2 66:1062-1064(1994))の有効な生存因子である(Arenasほか,Neuron,15:1465-14 73(1995))。GDNFを遺伝子的操作によって欠失したマウスに基づいてGDN Fの生物学的働き:腸内神経、交感神経、知覚神経及び腎臓細胞の発達と生存、 が報告されている。実施例に記載されている結果は、GDNFが中央神経系(CN S)におけるカテコールアミン作動性の神経組織の発達には必ずしも必要でない こともまた示している。 更に、本願明細書は、GDNFRαと称するGDNFに対する細胞の応答を抑 制するものであるGPIにリンクした新規なたんぱく質とその遺伝子の分離、配 列及び組織分布を開示する。リガンド結合性GDNFRαはチロキシンキナーゼ 受容体retのリン酸化を誘発する。この知見は、RetとGDNFRαのGD NFに対する複合受容体のシグナル及びリガンド結合成分としての特性を明らか にする。 サイトカイン受容体はしばしば集合して複数のサブユニットからなる複合体を 形成する。時には、この複合体のαサブユニットは、同族成長因子の結合に関与 し、βサブユニットは細胞にシグナルを伝達する能力を有する。理論に拘束され るものではないが、これらの受容体は形成する複合体にしたがって3種のサブフ ァミリーに分類される。サブファミリー1はEPO、顆粒球コロニー刺激因子( G-CSF)、インタールーキン−4(IL-4)、インタールーキン−7(IL-7)、成 長ホルモン(GH)、及び催乳ホルモン(PRL)に対する受容体を含む。このサブフ ァミリーに属する受容体に結合するリガンドは、受容体のホモ二量体化に帰着す ると考えられる。第2のサブファミリーは、IL-3、顆粒球マクロファージコロニ ー刺激因子(GM-CSF)、インタールーキン−5(IL-5)、インタールーキン−6 (IL-6)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経成長 因子(CNTF)に対する受容体を含む。サブファミリ2に属する受容体は、リガン ド結合にαサブユニットを有し、シグナルの伝達にβサブユニット(IL-3、GM-C SF及びIL-5受容体の共有されたベータサブユニットあるいはIL-6、LIF,OSMある いはCNTFのgp130サブユニット)を有するヘテロ二量体である。第3のサブ ユニットは、インタールーキン−2(IL-2)に対する受容体のみを含む。IL− 2受容体複合体のβ及びγサブユニットは、無関係のTac抗原のαサブユニット に随伴するサイトカイン受容体ポリペプチドである。 ある側面において、本発明は、高い親和性を持ってGDNFと結合するたんぱ く質GDNFRαの発見に基づくものである。本明細書に記載された実験によれ ば、この細胞はGDNFに対する応答を媒介するように観察される。特にこの細 胞は、神経細胞を含むいろいろな種類の細胞集団中に存在し、そのことによりア ゴニスト抗体のようなGDNFリガンドがGDNFRαあるいはRetを含有す る細胞の増殖、成長、分化、代謝あるいは復活を刺激するために用いられること を示す。 好ましい実施態様において、GDNFはGDNFをコードする遺伝子を用いて 遺伝子組換えによって生産される(ヒト及びラットの配列、発現及び検査法につ いてはWO 93/06116を参照)。本発明は、成熟あるいはプレプロGDNFをコー ドする核酸配列に機能的に結合した発現調節エレメントからなる生物学的に活性 なGDNFを生産するためのベクター、及び、DNA配列を発現するために必要 な調節エレメントを含むベクターによって形質転換した宿主細胞、該発現ベクタ ーでの宿主細胞の形質転換、ベクターの増殖とGDNFの発現のための条件下で の宿主細胞の培養、及びGDNFの収穫を含む。 ベクターの増殖とGDNFの発現のための本発明による宿主細胞の培養とGD NFの収穫を含むGDNF生産のための組換えDNA手法が記載されている。 発現の後に単離された材料は基本的には生物学的に不活性であり、モノマーと して存在する。リフォールディングの後は、GDNFは生物学的に活性なジスル フィド結合の二量体である。GDNFはしたがって、そのような自然で且つ生物 学的に活性なジスルフィド結合二量体である。本発明はGDNFのモノマーとし ての、ダイマーとしての、又、生物学的に活性なあるいは生物学的に不活性な形 態を含む。 明細書を通じて、グリア細胞由来の神経成長因子は、由来に関わらず、ここに 記載されたGDNFと実質的に相同であって等価である神経成長因子を含むもの と解さなければならない。ラットとヒトのたんぱく質の相同性はおよそ93%で あり、全ての哺乳類のGDNFは高い相同性を有する。そのようなGDNFは、 生物学的に活性な形態の二量体として存在する。 本発明は、グリコシル化されたあるいはグリコシル化されていないGDNF及 び、記載されているような天然のあるいは組換えによるGDNFの切り欠いた形 態に関する。更に他の実施形態においては、GDNFは1つ又はそれ以上のポリ エチレングリコール(PEG)あるいはそれ以外の繰り返しのあるポリマー残基 を付着して変更されたものである。本発明は、又、アミノ端を有するメチオニン 残基を有する細菌系によって組換え生産されたGDNFを含む。 更に、本明細書において検討されている病気の予防あるいは治療方法が本発明 に含まれる。ある実施例においてはGDNFによる治療を必要としている患者の 体内にGDNFを分泌する細胞を埋め込む方法が開示される。当該方法は場合に よっては水溶性のGDNFRα分泌細胞を用いたものである。本発明には更に、 ここにおいて検討した病気の予防又は治療の為の機具、たとえば、半透過性の膜 、 GDNFに対しては透過性であり患者からの当該細胞に有害な因子に対しては非 透過性の膜、とその膜の中に保持されたGDNFを分泌する細胞に関する。 本明細書のベクター、宿主細胞、融合タンパク質、変更、及びGDNFRを生 産し、発現し、使用する方法と経路等は、当業者の知識に基づきGDNFとその 変異体にも適用される。 GDNFRαの生産方法は当業者によく知られており、体内のポリペプチド源 からのGDNFRαの分離、(ペプチド合成体を用いた)ペプチド合成、及び、 組み替え技術(及びこれらの技術の任意の組み合わせ)を含む。GDNFRαの 望ましい生産方法は、以下に述べる組み替え技術による方法である。 以下に記載する内容はGDNFRα核酸を含むベクターから形質転換された細 胞を増殖させ、細胞集合から当該ポリペプチドを取り出す組み替え技術によるG DNFRαの生産方法に関わるものである。更に本発明のGDNFRαは、19 91年5月16日に公開されたWO 91/06667に記載された相同体の組み替えによ って得ることが出来る。 簡単に言えば、当該方法はGDNFRαをコーディングする遺伝子を有するヒ トの一次細胞を(ジヒドロフォレートリダクターゼ(DHFR)又は以下に記載 するそれ以外のもののような)増殖可能な作成体(すなわちベクター)遺伝子、 及び、少なくとも一つの長さが約150bpでGDNFRαのコーディング領域 におけるDNA配列と相同であるフランク領域と共に形質転換しGDNFRα遺 伝子の増殖を行うものである。増殖可能な遺伝子はGDNFRα遺伝子の発現を 阻害しない位置にあるものでなければならない。形質転換は、増殖可能な位置を 決定する為に、作成体が一次細胞のゲノムに相同的に組み込まれるような方法で 行われる。 作成体を有する一次細胞は次に増殖可能な遺伝子又は作成体に内在するマーカ によって選択される。マーカ遺伝子の存在はホストゲノムへの作成体の組み込み を可能にする。二次ホストにおいて選別が行われる為、一次細胞をそれ以上選別 する必要はない。必要ならば、PCRを用いて、結果として得られる増殖したD NA配列を同定するか、正確に相同的な配列がある場合にはPCR断片の概略の 長さを決定しそのような断片を有する細胞を拡張することで、相同的組み替えの 発生を測定することが出来る。又、もし必要であれば、選別された細胞を(遺伝 子がDHFRならメトトレクセートのような)適当な増殖媒介物を作用させてこ の時点で増殖させ、目的とする遺伝子の複数のコピーを入手することが出来る。 好ましくは、しかし、増殖ステップは、以下に記載する第二の形質転換の後に行 われる。 選別ステップの後に、増殖すべき領域を含む充分な大きさがあるゲノムのDN A部分を、選別した一次細胞から分離する。二次の哺乳動物の宿主細胞をゼノム のDNA部分とともに形質転換しクローン(無性生殖clone)させ、増殖させる 領域を有するクローンを選別する。増殖させるべき領域を、一次細胞で増殖して いなければ、次に増殖媒介物を用いて増殖させる。最後に、GDNFRαを含む 増殖させるべき領域の複数のコピーを含む二次宿主細胞を成長させ、遺伝子を発 現し蛋白質を生産するようにする。 保存された哺乳類のGDNFRαの構造と配列及び、マウスとラット及びヒト の受容体をコードするcDNA配列の解明がGDNFRαをコードする他の哺乳 動物からの遺伝子配列のクローンを可能にする。ここに開示された配列を用いて 、ヒトのGDNFRα分子をクローンすることが出来ることが本発明の効果の一 つである。GDNFRαをコードするDNAは、例としてここに記載されている ようなGDNFRα mRNAを有すると考えられており検出可能な程度に発現して いるいるどのcDNAライブラリーからも得ることが出来る。したがって、GD NFRα DNAは、たとえば哺乳動物の胎児の肝臓、脳、筋肉、腸及び外縁神 経等の準備されたcDNAのライブラリーから得ることができる。GDNFRα をコードする遺伝子はゲノムライブラリーあるいはオリゴヌクレオチド合成によ っても得ることができる。 ライブラリーは(GDNFRαに対する抗体又はおよそ20−80基からなる オリゴヌクレオチド等の)対象となる遺伝子あるいはその遺伝子からコードされ た蛋白質を特定する目的のプローブによって選別される。選択されたプローブに よるcDNA又はゲノムライブラリーの選別は、以下に記載される標準的方法で 行うことができる(chapters 10-12,Sambrookほか,Molecular Cloning:Alabor atory Manual(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)。 GDNFRαをコードする遺伝子を単離する他の方法は、サムブルック他の14章 に記載のPCR法による方法である。 本発明を実施する好ましい方法は、好ましくはヒト胎児の肝臓からなる種々の ヒト組織からcDNAライブラリを選別する為に慎重に選別したオリゴヌクレオ チド配列を用いることである。プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配 列は、充分な長さで、見せかけの積極因子が最小限に押さえられるよう充分に明 瞭でなければならない。好ましい配列はここに記載した天然のGDNFRαから 得ることができる。 オリゴヌクレオチドは、選別されるライブラリ内のDNAとハイブリッドした 状態で検出可能なように標識されていなければならない。標識付けの好ましい方 法は、当該技術分野においては良く知られている32P標識されたATPをポリヌクレ オチドキナーゼと共に用いてオリゴヌクレオチドを放射線的に標識する方法であ る。しかし、オリゴヌクレオチドの他の標識方法として、これらに限定されるわ けではないが、例えば、ビオチン標識あるいは酵素標識がある。 GDNFRαのアミノ酸配列の変異体はGDNFRαDNAに適当なヌクレオ チド変化をさせることによって入手することができる。これらの変異体は、図1 Aないし図1Eに示したようなGDNFRαあるいは本明細書に記載した配列で示 されるような天然のGDNFRαのアミノ酸配列の一端あるいは両端あるいはそ れらの中への、残基の挿入、置換、あるいは/又は特定の削除に対応する。変異 体は成熟した配列の一端又は両端への挿入及び/又は置換、あるいは、GDNF Rαのシグナル配列の一端又は両端への挿入、置換及び/又は特定の削除である ことが好ましい。いずれの挿入、置換、特定の削除の組合せは、最終的な作成体 が本明細書で定義する望ましい生物学的活性を有するように行われる。アミノ酸 の違いは、挿入、削除あるいはGDNFRαのリーダー配列に影響を与えること を通じて、グリコシル化サイトの数と位置の変化、膜へのアンカリング特性の変 化、及び/又は、GDNFRαの細胞間位置等、GDNFRαのトランスレーシ ョン後の工程に影響を与えることがある。複数のアミノ置換、追加あるいは挿入 を有するものが望ましい。更に好ましいものは、1ないし3つのアミノ酸置換、 削除あるいは挿入を有するものである。もっとも好ましいのは、1つのアミノ酸 の置換、削除あるいは挿入である。望ましい変化は天然では極めて持続性がある 。 天然の配列の変異は、ここで特に明細書に取り込む米国特許第5,364,934号に 記載された持続性あるいは非持続性の変異に関する技術とガイドライン発生させ ることができる。これらにはオリゴヌクレオチドに誘発される(位置を特定した )変異発生、アラニンスキャニング、及びPCR変異発生が含まれる。変更、追加 あるいは削除のためのアミノ酸の選別については表1及び関連する記載を参照さ れたい。 GDNFRαをコードする核酸(DNA又はゲノムDNA)が、更にクローン するため(DNAの増殖)又は発現するためにベクターに挿入される。多くのベ クターが入手可能である。ベクターとしては、以下に非限定的に例示すれば、次 の1つ又は複数である:単一の配列、複製原、一つ又は複数のマーカ遺伝子、増 殖誘発エレメント、プロモーター、及び転写終了配列。 本発明のGDNFRαは必ずしも直接的に組換え手法によって生産されるだけ ではなく、シグナル配列あるいは成熟したたんぱく質あるいはポリペプチドの特 定部位に切断部位を有する他のペプチドのような異種ポリペプチドとの融合ペプ チドとしても生産される。一般には、シグナル配列はベクターの一部であるか、 ベクターに挿入されたGDNFRαDNAの一部である。好ましい異種シグナル 配列は宿主細胞によって認識され加工される(シグナルペプチダーゼによって切 断される)ものである。GDNFRαシグナル配列を認識し加工しない原核生物 性の宿主細胞の場合、シグナル配列は選択された、たとえばアルカリンフォスフ ァターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定なエンテロトキシンIIリーダ ーのような原核生物性のシグナル配列によって置換する。イーストの分泌に関し ては、本来のシグナル配列はイーストインバターゼリーダー、(Saccharomyces 及び1991年4月23日に登録された米国特許第5,010,182号に記載されたKlu yveromycesを含む)α因子リーダー、酸フォスフォターゼリーダー、及びCアル ビカン(albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日発行のEP 362, 179)、又は1990年11月15日に発行されたWO 90/13646、によって置換す ることができる。哺乳動物の細胞発現においては、他の動物のGDNFRαある いは同一あるいは関連ある種の分泌ポリペプチドから 得たシグナル配列、単純ヘルペスgDシグナルのような分泌リーダー他の哺乳動 物のシグナル配列が適しているとしても、本来のシグナル配列(体内においてヒ トあるいはラットの細胞からGDNFRαを命令するGDNFRαの存在)は十 分である。 そのような前駆体領域のDNAは成熟したGDNFRαあるいはその水溶性の 変異体をコードするDNAのリーディングフレームに結合する。 発現とクローニングベクターは共に一つ又は複数の選択された宿主細胞におい てベクターの複製を可能にする核酸配列を有する。一般に、この配列はクローニ ングベクターにおいて、ホストの染色体DNAとは独立に複製を可能にし、複製 の元又は自律的複製配列を有するものである。多くのバクテリア、酵母及びウイ ルスにおいてそのような配列が知られている。プラズミドpBR322に由来する複製 元は大部分のグラム陰性のバクテリアに好適であり、2μプラズミド起源は酵母 に適しており、多くのウイルス起源(SV40、ポリオマ、アデノウイルス、VSV又 はBPV)は哺乳類のベクターをクローンするのに適している。一般には、哺乳類 の発現ベクターには複製コンポーネントの起源は不要である(SV40期限は早期の プロモーターを有するために用いられる)。 多くのベクターは「シャトル」ベクターである、すなわち、それらは少なくと も一つの生物において複製可能であり、発現のために他の生物に転移することが できる。たとえば、E.Coliにおいてベクターがクローンされ、そのベクターが酵 母あるいは哺乳類の細胞に転移されて、宿主細胞の染色体を独立して複製するこ とはできないとしても、発現する。 DNAはホスト染色体に挿入することによって増殖する場合もある。これは、 ベクターにバシラス染色体DNAで発見された配列と相補的なDNA配列をベク ターに挿入するような、ホストとしてバシラス(Bacillus)種を用いた場合に行 われる。このベクターへのバシラスのトランスフェクションは、ゲノムとの相同 的組換え及びGDNFRαDNAの挿入をもたらす。しかし、GDNFRαをコ ードする染色体DNAの回復は、GDNFRαDNAを切除するのに限定酵母に よる消化を必要とするために、外来的に複製したベクターの場合よりも複雑であ る。 発現及びクローニングベクターは、選択的マーカーとも称する選択遺伝子を含 まなければならない。この遺伝子は、選択的培養基で形質転換した宿主細胞の生 存又は成長に必要なたんぱく質をコードする。選択遺伝子を含むベクターと共に 形質転換していない宿主細胞は培養基で生存することができない。典型的な選択 遺伝子は、(a)アンピチリン、ネオマイシン、メトトレキサーテあるいはテトラ シクリンのような抗生物質あるいは毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性の欠陥を 補い、(c)バシリ(Bacilli)に遺伝子をコードするD-アラニンラスマーズを与える ように、複合的な媒体から得られない必須の栄養素を供給する、たんぱく質をコ ードする。 選択技術の一つにおいては、宿主細胞の成長を抑止する薬品が用いられる。非 相同的遺伝子から形質転換に成功した細胞は、抗薬品性を付与し、そのために選 択工程を生きぬくことができる。選択においてたとえば、ネオマイシン、ミコフ ェノール酸、及びハイグロマイシンが利用される。 哺乳動物の細胞の選択的マーカーのほかの適当な例は、DHFRあるいはチミ ディンキナーゼのように、GDNFRα核酸を捕捉することのできる細胞を特定 することのできるものである。哺乳類の細胞からの形質転換細胞は、マーカーを 補足することによって当該形質転換細胞のみが生存できるような選択要請の下に 置かれる。選択の要請は、媒体中の選択媒介物濃度が次第に変化する環境下に形 質転換細胞を置き、選択遺伝子とGDNFRαをコードするDNAをともに増殖 させることで行われる。成長に必須のたんぱく質を要求する程度の高い遺伝子が 、組みかえられた細胞の後の世代の染色体内において直列に再生産されることで 増殖が行われる。増殖されたDNAによってGDNFRαの量が増大する。増殖 可能な遺伝子のほかの例は、メタロチオニンI及びII(mほかlothionein-I and -II)、好ましくはプリメートメタロチオニン遺伝子、アデノシンディアミナーゼ 、オルニシンデカルボキシラーゼ等がある。好ましいベクターシステムは米国特 許第5,561,053号に開示されている。 たとえば、DHFR選択遺伝子によって形質転換された遺伝子は、まず、DH FRの競合的アンタゴニストであるメトトリキサーテ(methotrexate Mtx)を有す る溶媒において増殖させることで特定される。野生のDHFRを用いた場合の好 適な宿主細胞は、下記の方法で準備し増殖させたDHFR活性について欠陥のあ るチャイニーズハムスターの卵巣株細胞である(Urlaubほか,Proc.Natl.Acad .Sci.USA,77:7216(1980))。形質転換した細胞は次に濃度の高いメトトレキ サーテ溶液に接触させる。このことによりGDFRのコピーが多く作られ、同時 に、GDNFRαをコードするDNAのような発現ベクターを含む他のDNAが 多く作られる。この増殖方法は、もしMtxに非常に耐性の高い変異DHFR遺 伝子が使用されたような場合には内在性DHFRの存在にかかわらず、他のホス ト、たとえば、ATCC No.CCL61 CHO-K1に関しても使用することができる(EP 117 ,060)。 他に、GDNFRαをコードするDNA、野生DHFRたんぱく質、あるいは アミノグリコサイド3’−フォスフォトランスフェラーゼ(APH)のような選択的 マーカーと形質転換したあるいは共形質転換した宿主細胞(内在性のDHFRを 含有する野生のホストの場合は特に)は、カマミシン、ネオミシンあるいはG4 18のようなアミノグリコサイディック抗生物質のような選択可能なマーカーの 選択媒質を有する媒質において成長させることで選択することができる。 酵母に関して好適な選択遺伝子は酵母プラズミドYRp7に含まれるtrp1 遺伝子である。trp1遺伝子は、例えば、ATCC No.44076あるいはPEP4-1 のようなトリプトファン内で成長する能力のない突然変異酵母を選択する選択マ ーカーを提供する(Jones,Genetics,85:12(1977))。酵母宿主細胞ゲノムにtr p1破壊が存在することは、トリプトファンの不存在下における成長による形質 転換を検出する環境を提供する。同様に、Leu2欠陥を有する酵母(ATCC20, 622あるいは38,626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラズミドによって補完す ることができる。 更に、1.6μmの円形プラズミドpKD1由来のベクターは、クルイヴェロマ イシス(Kluyveromyces)酵母の形質転換に用いることができる(Bianchiほか.,Cu rr.Genet.,12:185(1987))。より最近の例としては、子ウシのキモシンの大量 生産のための発現システムがK.lactis.Van den Berg,Bio/Technology,8:135 (1990)に記載されている。クルイヴェマイシスの工業的な菌株からの、組換えに よる成熟したヒト血清アルブミンを分泌する複数の発現ベクターも開示さ れている(Fleerほか.,Bio/Technology,9:968-975(1991))。 発現及びクローニングベクターは、通常、ホスト生物によって認識され、GD NFRα核酸に機能的に結びついているプロモーターを有する。プロモーターは 、作用的に結合しているGDNFRα核酸配列のような特定の核酸配列の転写あ るいは翻訳を制御する構造的な遺伝子(通常100ないし1000bp)のスタ ートコドンの上流側の翻訳されていない配列である。プロモーターは典型的には 、誘発的なクラス及び本質的なクラスの2つのクラスに属する。誘発的なプロモ ーターは、養分の存在あるいは不存在、温度変化等の培養条件の変化に対応して 自己の制御の元でDNAからの転写レベルを上昇させるプロモーターである。現 時点において多種の宿主細胞から認識される非常に多くのプロモーターが良く知 られている。これらのプロモーターは、酵素の消化によって元DNAからプロモ ーターを排除し、独立したプロモーター配列を挿入することで、GDNFRαを コードするDNAに作用的に結合している。天然のGDNFRαプロモーター配 列及び非相同的プロモーターはいずれもGDNFRαDNAの増殖及び/又は発 現に用いることができる。しかし、非相同的プロモーターは、天然のプローモー ターに比較して多量の転写が可能でありGDNFRαの収量が大きいために好ま しい。 原核生物ホストに好適なプロモーターはβ-ラクタマーゼ及びラクトースプロ モーターシステム(Cahngほか.,Nmature,275:615(1978),Goeddelほか.,Natur e,281:544(1979))、アルカリ脱燐酸酵素(Alkaline Phosphatase)、トリプトフ ァン(trp)プロモーターシステム(Goeddel,Nucleic Acids Res.,8:4057(198 0);EP 36,776)、及び、tacプロモーターのようなハイブリッドプロモーターを含 む(deBoerほか.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:21-25(1983)。しかし、他の バクテリアプロモーターも好適である。これらのヌクレオチド配列は発表されて おり、当業者は、所望の位置にリンカーあるいはアダプターを使用することでG DNFRαをコードするDNA(Siebenlistほか.,Cell,20:269(1980))と結び つけることが可能である。バクテリアシステムで使用するプロモータも又、GD NFRαをコードするDNAと作用的に結びついたShine-Delgarno(S.D.)配列を 有する。 真核生物のプロモーター配列が知られている。ほとんど全ての真核生物の遺伝 子は、転写開始位置から25ないし30基上流の位置にAT豊富な領域を有する 。多数の遺伝子の転写開始位置から70ないし80基上流の位置にはXがヌクレ オチドであるCXCAAT領域がある。大部分の真核生物遺伝子の3’端には、 コード配列の3’端にA尾が付加されていることを示すシグナルであるAATA AA配列がある。これらの配列は全て真核生物の発現ベクターに挿入されている 。 酵母ホストと共に用いて好適なプロモーティング配列の例として、3-フォス フォグリセラーテ(Hitzemanほか,J.Biol.Chem.,255:2073(1980))キナーゼ、 又は、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸 ディハイドロゲナーゼ(Hes sほか,J.Adv.Enzyme Reg.,7:149(1968))、ヘクソキナーゼ、ピルベイトキナ ーゼ、トリオスリン酸、イソメラーゼ、フォスフォグルコース イソメラーゼ、 及びグルコキナーゼがある。 他の酵母プロモーターとしては、成長条件によって転写が制御される対的効果 を有する誘発的プロモーターであるが、アルコール デハイドロキナーゼ2のプ ロモーター領域、イソサイトクロームC、リン酸塩、窒素代謝と関連する劣化性 酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デハイドロゲナーゼ、 及びマルトース及びガラクトースの使用を支配する酵素がある。酵母の発現に好 適に用いられるベクターとプロモータはヨーロッパ特許73,657号に記載されてい る。酵母エンハンサーも酵母プロモーターと共に好適に用いられる。 哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからのGDNFα転写は、例えば、ポリ オーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス(1989年7月5日公開のUK2,211,504) 、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス、トリ肉腫 ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及び最も 好ましくはシミアンウィルス40(サルウィルス:SV40)のようなウィルス のゲノムから得られるプロモータ、異種性プロモーター、例えばアクチンプロモ ーター又は免疫グロブリンプロモーター、熱衝撃プロモーター、そしてGDNF Rα配列に通常付随するプロモーターによって(このようなプロモーターは宿主 細胞系に適合し得ると仮定する)調節される。 SV40ウィルスの初期及び後期プロモーターは、SV40複製起点を又含む SV40制限断片として簡便に得られる。Fiersほか,Nature,273:113(1978); Mulliganほか,Science,109:1422-1427(1980);Pavlakisほか,Proc.Natl.Aca d.Sci.USA,78:7398-7402(1981).ヒトサイトメガロウィルスの最初期プロモ ーターは、HindIIIE制限断片として簡便に得られる。Greenawayほか,Gene,18 :355-360(1982)。ベクターとしてウシ乳頭腫ウィルスを用いて哺乳動物宿主でD NAを発現する系が、米国特許第4419446号明細書に開示されている。こ の系の修飾は米国特許第4601978号に開示されている。サルの細胞での免 疫インターフェロンをコードしているcDNAの発現について、Grayほか,Natu re,295:503-508(1982);単純ヘルペスウィルス由来のチミジンキナーゼプロモ ーターの調節下でのマウス細胞におけるヒトβインターフェロンcDNAの発現 について、Reyesほか,Nature,297:598-601 (1982);培養されたマウス及びウ サギの細胞におけるヒトインターフェロンβ1遺伝子の発現についてCanaaniほ か,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79:5166-5170(1982);及び、プロモーターと してラウス肉腫ウィルスの長い末端反復配列を用いたCV−1サル腎臓細胞、ニ ワトリ胚線維芽細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、及びマ ウスNIH−3T3細胞における細菌CAT配列の発現について、Gormanほか, Proc.Natl.Acas.Sci.USA,79:6777-6781(1982)も参照のこと。 より高等の真核生物による本発明のGDNFRαをコードしているDNAの転 写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによってしばしば増強され る。エンハンサーは、通常は約10から300bpで、プロモーターに作用して その転写を増強するシス作動要素のDNAである。エンハンサーは、相対的に方 向及び位置に独立しており、転写ユニットの5’(Laiminsほか,Proc.Natl.A cad.Sci.USA,78:993(1981))及び3'(Luskyほか,Mol.Cell Bio.,3:1108(1 983))、イントロン内部(Banerjiほか,Cell,33:729(1983))並びにコーディ ング配列自身の内部に見出されている。Osbornほか,Mol.Cell Bio.,4:1293(1 984)。現在は哺乳動物の遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が知られている( グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン及びインスリン) 。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハ ンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハ ンサー(bp100−270)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハ ンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハ ンサーが含まれる。真核生物のプロモーターの活性化のための増強要素について は、Yaniv,Nature,297:17-18(1982)も又参照のこと。エンハンサーは、GDN FRαコード化配列の5’又は3’位でベクター中にスプライスされ得るが、好 ましくはプロモーターから5’位に位置している。 真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生 物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、又転写の終止及びmRNAの 安定化に必要な配列を含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA 又はcDNAの5’、時には3’の非翻訳領域から一般に取得できる(Crowley ほか,Cell 76:1001-1011(1994))。これらの領域は、CDNFRαをコードし ているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチ ドセグメントを含む。 一又は複数の上に列挙した成分を含む適切なベクターの組立てには標準的なラ イゲーション技術を用いる。分離されたプラスミド又はDNA断片を開裂させ、 整え、そして必要とされるプラスミドの生成のために望ましい型に再ライゲーシ ョンする。 組立てられたプラスミドが正しい配列であることを確認する分析のために、ラ イゲーション混合物を用いて、E.coli K12菌株294(ATCC31 446)を形質転換し、適当な場合にはアンピシリン又はテトラサイクリン耐性 によって選択する。形質転換体からプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアー ゼ消化により分析し、及び/又はMessingほか,Nucleic Acids Res.,9:309(198 1)の方法又はMaxamほか,Methods in Enzymology,65:499(1980)の方法によって 配列決定する。 本発明の実施に特に有用であるのは、哺乳動物細胞におけるGDNFRαをコ ードしているDNAの一過性発現を提供する発現ベクターである。一般に、一過 性発現は、宿主細胞が発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、次にその発現ベク ターによってコードされている所望のポリペプチドを高レベルで合成するように 、 宿主細胞中で効果的に複製できる発現ベクターを使用することを含む。Sambrook ほか,supra,pp.16.17-16.22。一過性発現系は、適切な発現ベクターと宿主細 胞を含むが、クローニングされたDNAによりコードされているポリペプチドの 簡便で正の同定並びに所望の生物学的又は生理学的性質についてのポリペプチド の迅速なスクリーニングを可能にする。したがって、一過性発現系は、本発明に おいて、生物学的に活性なGDNFRαであるGDNFRαの類似体及び変異体 を同定する目的のために特に有用である。 組換え脊椎動物細胞培養でのGDNFRαの合成に適応するのに適切な他の方 法、ベクター及び宿主細胞は、Gethingほか,Nature,293:620-625(1981);Mante iほか,Nature,281:40-46(1979);EP 117,060;及びEP 117,058に記載されている 。GDNFRαの哺乳動物細胞培養発現にとって特に有用なプラスミドは、pR K5(EP307247)又はpSV16Bである。1991年6月13日に公開された WO91/08291。 ここに記載のベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な 宿主細胞は、原核生物、酵母、又は上述の高等真核生物細胞である。この目的に とって適切な原核生物は、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、 例えばエシェリチアのような腸内菌科、例えば大腸菌、エンテロバクター、エル ウィエア、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えばサルモネラ・ティフ ィムリウム、セラチア、例えばセラチア・マルセスキャンス及びシゲラ並びにバ シリ(桿菌)、例えばB.サブティリス(枯草菌)及びB.リチェフォルミス( 例えば、1989年4月12日に公開されたDD 266,710に開示されたB.リチェニフォ ルミス41P)、シュードモナス、例えばP.アエルギノーサ(緑膿菌)及びス トレプトマイセスを含む。E.coli B、E.coli X1776(ATCC 31,537)及びE.coli W3110(ATCC 27,325)のような他の菌株も適切ではあるが、一つの好ましい大腸 菌クローニング宿主はE.coli 294(ATCC 31,446)である。これらの例は限定する ものではなく、例示のためのものである。菌株W3110は、組換えDBA産物発酵 のための一般的な宿主菌株であるので、特に好適な宿主又は親宿主である。好ま しくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌すべきである。例えば、 菌株3110は、タンパクをコードΔしている遺伝子に遺伝的突然変異 が起こるように修飾されてもよく、そのような宿主の例にはE.coli W3110菌株 27C7がある。27C7の完全な遺伝子型はtonAΔptr3phoAΔE15Δ(argF-lac )169ompTΔdegP41kanrである。菌株27C7はATTC55244としてアメリ カン・タイプ・カルチュア・コレクション(American Type Culture Collection )に1991年10月30日に寄託された。又、1990年8月7日に発行され た米国特許第4946783号に開示された突然変異体ペリプラズムプロテアー ゼを持つE.coliの菌株を用いても良い。更に又、クローニング法、例えばPCR 又はその他の核酸ポリメラーゼ反応も適切である。 原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、GDNFRαを コードしているベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッ カロミセス・セレヴィシア、又は一般的なパン酵母は下等真核生物宿主微生物の なかで最も一般的に用いられる。しかしながら、例えばシゾサッカロミセス・ポ ンベ(分裂酵母)(Beachほか,Nature,290:140(1981);1985年5月2日発行のE P 139,383);クルイヴェロミセス宿主(米国特許番号4,943,529;前掲のFleerほ か)、例えばK.ラクティス(MW98-8C,CBS683,CBS4574;Louvencourtほか,J.B acteriol.,737(1983)),K.フラギリス(ATCC 12,424),K.ブルガリウス(ATCC 16,045),K.ウィッケラミイ(ATCC 24,178),K.ワルティイ(ATCC 56,500),K. ドゥロソフィラルム(ATCC 36,906;前掲のVan den Bergほか),K.サーモトレラ ンス、及びK.マルクシアヌス;ヤロウィア(EP 402,226);ピチア・パストリス(E P183,070; Sreekrishnaほか,J.BasicMicrobiol.,28:265-278(1988));カンデ ィダ;トリコルデルマ・リーシア(EP244,234);ニューロスポラ・クラッサ(Case ほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:5259-5263(1979));シュワニオミセス・ オクシデンタリスのようなシュワニオミセス(1990年10月31日発行のEP 394,538 );及び糸状菌、例えばニューロスポラ、ぺニシリウム、トリポクラディウム(WO 91/00357 1991年1月10日発行),及びアスペルギルス宿主、例えばA.ニデュラ ンス(Ballanceほか,Biochem Biophys.Res.Commun.,112;284-289(1983);Til burnほか,Gene,26:205-221 (1983);Yeltonほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA ,81:1470-1474(1984)及びA.niger.Kellyほか,EMBO J.,4:475-479(1985)の ような、多数 のほかの属、種、及び菌株が一般に利用でき、本発明において有用である。 グリコシル化GDNFRαの発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導さ れる。このような宿主細胞は、複雑なプロセシング及びグリコシル化活動が可能 である。原則的には、脊椎動物であろうと無脊椎動物培養由来であろうと、任意 のより高等の真核生物細胞培養が利用できる。無脊椎動物細胞の例としては植物 及び昆虫細胞が含まれる。多数のバキュロウィルス株及び変異体及び対応する許 容可能な昆虫宿主細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(毛虫)、アエデス ・アエジプティ(蚊)、アエデス・アルボピクトゥス(蚊)、ドゥロソフィラ・ メラノガスター(ショウジョウバエ)、ボンビクス・モリ(カイコ)が特定され ている。例えば、Luckowほか,Bio/Technology,6:47-55(1988); Millerほか,G enetic Engineering,Setlowほか,eds.,Vol.8(Plenum Publishing,1986) ,pp.277-279;及びMaedaほか,Nature,315:592-594(1985)を参照のこと。トラ ンスフェクションのための種々のウィルス株が公に利用できる。例えば、オート グラファ・カリフォルニカNPVのL−1変異体とボンビクス・モリNPVのB m−5株があり、このようなウィルスは本発明によるウィルスとして、特にスポ ドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションに使用することができる。 綿花、コーン、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、及びタバコのような 植物細胞培養を宿主として用いることができる。典型的には、GDNFRαをコ ードしているDNAを前もって含むように操作しておいた細菌アグロバクテリウ ム・トゥメファシエンスのある菌株と共にインキュベートすることによって植物 細胞をトランスフェクトする。A.トゥメファシエンスと共に植物細胞培養をイ ンキュベートする間に、GDNFRαをコードしているDNAが、植物細胞宿主 がトランスフェクトされるようにその植物細胞宿主に移され、そして適切な条件 下でGDNFRαをコードしているDNAを発現する。加えて、例えば、ノパリ ンシンターゼプロモーター及びポリアデニル化シグナル配列のような、植物細胞 と適合しうる調節及びシグナル配列が利用できる。Depickerほか,J.Mol.Appl .Gen.,1:561 (1982)。又、T−DNA780遺伝子の上流領域から分離される DNAセグメントは、組換えDNAを含む植物細胞中の植物発現遺伝子の転 写レベルを活性化又は増強しうる。1989年6月21日公開のEP 321,196。しかしな がら、脊椎動物細胞への関心が最も高く、培養(組織培養)中での脊椎動物細胞 の増殖は常套的手法になっている。例えば、Tissue Culture,Academic Press, 編者Kruse and Patterson(1973)を参照のこと。有用な哺乳動物宿主セルライン の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7,ATCCCRL 1651) ;ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された2 93細胞、Grahamほか,J.Gen Virol.,36:59(1977));ハムスター乳児腎細胞 (BHK,ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO,U rlaubほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216(1980));マウスのセルトリ 細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.,23:243-251 (1980));サルの腎細胞(CVI ATCC CCL 70);アフリカミドリザルの腎細胞(VERO-76,ATCCCRL-1587);ヒト 子宮頸癌細胞(HELA,ATCC CCL2);イヌ腎細胞(MDCK,ATCC CCL 34);バッファロ ーラット肝臓細胞(BRL 3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒ ト肝細胞(Hep G2,HB 8065);マウス乳房腫瘍細胞(MMT 060562,ATTC CCL51);TRI 細胞(Motherほか,Annals N.Y.Acad.Sci.,383:44-68(1982));MRC 5細胞;FS 4細胞;及びヒト肝癌ライン(Hep G2)である。 宿主細胞をトランスフェクトし、そして好ましくは上述のGDNFRαの発現 又はクローニングベクターで好ましくは形質転換し、プロモーターを誘導し、形 質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適 当に修飾された常套的栄養培地で培養する。 トランスフェクションは、如何なるコード配列が実際に発現されるか否かにか かわらず、宿主細胞による発現ベクターの取り上げを意味する。多数のトランス フェクションの方法が当業者に知られている。例えば、CaPO4及びエレクト ロポレーションである。このベクターの操作のあらゆる徴候が宿主細胞内で生じ たときに成功したトランスフェクションが一般に認められる。 形質転換は、染色体外のエレメントとしてであろうと染色体成分によってであ ろうと、DNAが複製可能であるように、生物体中にDNAを導入することを意 味する。用いられる宿主細胞に応じて、そのような細胞に対して適した標準的な 方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrookほかの1.82項に記載され た塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションは、原核 生物又は実質的な細胞壁障壁を含む他の細胞に対して用いられる。アグロバクテ リウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shawほか,23:315(1983)及び1989年 6月29日公開のWO 89/05859に記載されたように、ある種の植物細胞の形質転換 に用いられる。加えて、1991年1月10日に公開されたWO91/0035 8に記載されているように、超音波処理を用いて植物をトランスフェクトするこ ともできる。 このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Grahamほか,Virology, 52:456-457(1978)のリン酸カルシウム沈殿法が好ましい。哺乳動物細胞の宿主系 形質転換の一般的な側面は1983年8月16日に発行された米国特許第439 9216号に記載されている。酵母中の形質転換は、典型的には、Van solingen ほか,J.Bact.,130:946(1977)及びHsiaoほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 76:3829(1979)の方法によって実施する。しかしながら、DNAを細胞中に導入 する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション 、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等々を用 いる細菌プロトプラスト融合も又用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転換 するための種々の方法については、Keownほか,Methods in Enzymology,185:52 7-537(1990)及びMansourほか,Nature,336:348-352(1988)を参照のこと。 本発明のGDNFRαポリペプチドをつくるために用いられる原核細胞は、前 掲のSambrookほかに一般的に記載されているような適切な培地で培養される。 本発明のGDNFRαをつくるために用いられる哺乳動物の宿主細胞は種々の 培地において培養することができる。例えばハム(Ham)のF10(Sigma)、最 小必須培地((MEM)Sigma)、RPMI−1640(Sigma)及びダルベッコの改 良イーグル培地((DMEM),Sigma)のような市販培地が当該宿主細胞の培養に適 している。又、Hamほか,Meth.Enz.,58:44(1979),Barnesほか,Anal.Bioche m.,102:255(1980),米国特許4,767,704;4,657,866;4,927,762;4,560,655;5,122 ,469;WO 90/03430;WO 87/00195;米国再発行特許30,985に 記載された任意の培地を宿主細胞の培養培地として用いることができる。これら の培地はいずれも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トラ ンスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウ ム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオ シド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン( 商標)薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物 と定義される)及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充する ことができる。任意の他の必要な補充物質も又当業者に知られている適当な濃度 で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれ た宿主細胞について従来用いられているものであり、当業者には明らかであろう 。 一般に、哺乳動物の細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール 、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology:a Practical Approach,M. Butler編(IRL Press,1991)に見出すことができる。 この明細書において言及される宿主細胞は培養中の細胞並びに宿主動物内にあ る細胞を包含する。 遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここに記載された配列に基づき、適切に標識 されたプローブを用い、良く知られたサザンブロット法、mRNAの転写を定量 化するノーザンブロット法(Thomas,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:5201-52 05(1980))、ドットブロット法(DNA分析)、又はインシトゥハイブリッド形 成法によって、直接的に試料中で測定することができる。種々の標識を用いるこ とができ、最も一般的なものは放射性同位元素、特に32Pである。しかしながら 、他の方法、例えばポリヌクレオチド中への導入のためのビオチン修飾されたヌ クレオチドを用いる方法も又使用することができる。ついで、このビオチンは、 例えば放射性核種、蛍光剤、酵素等のような広範囲の標識で標識することができ るアビジン又は抗体への結合部位として働く。又、DNA二本鎖、RNA二本鎖 及びDNA−RNAハイブリッド二本鎖又はDNA−タンパク二本鎖を含む、特 異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。ついで、抗体を 標識し、検定を実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その 結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出 することができる。 又、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、 例えば組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液の検定によって、測 定することもできる。免疫組織化学的染色技術では、細胞試料を、典型的には脱 水と固定によって調製し、結合した遺伝子産物に対し特異的な標識化抗体と反応 させるが、この標識は通常は視覚的に検出可能であり、例えば酵素的標識、蛍光 標識、ルミネサンス標識等である。本発明における使用に適した特に感度の良好 な染色法は、Hsuほか,Am.J.Clin.Path.,75:734-738(1980)に記載されてい る。 試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクロー ナルでもポリクローナルでもよく、ここに記載されるようにして調製することが できる。 GDNFRα(例えばGDNFRαECD)は、宿主細胞の溶菌液から回収し てもよいが、好ましくは分泌されたポリペプチドとして培養基から回収される。 GDNFRαが膜結合性であるならば、適切な洗浄液(ばTriton-X100)を用い て膜から引き離すことができる。 GDNFRαがヒト起源以外の組換え細胞でつくられるときは、GDNFRα はヒト起源のタンパク質又はポリペプチドを全く含んでいない。しかしながら、 GDNFRαに関して実質的に相同である調製物を得るには、組換え体胞タンパ ク又はポリペプチドからGDNFRαを精製する必要がある。第一段階として、 培養培地又は可溶化液を遠心分離して粒状の細胞残屑を除去することができる。 ついで、GDNFRαを、汚染した可溶性タンパク質及びポリペプチドから、適 切な精製手順の例である次の手順により精製することができる:すなわち、イオ ン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカクロマトグラフ ィー;クロマトフォーカシング;免疫アフィニティー;エピトープタグ結合樹脂 ;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用4 いるゲル濾過;及びIgGのような汚染物を除くタンパクAセファロースカラム である。 残基が欠失され、挿入され、又は置換されたGDNFRα変異体は、その変異 によってしばしば惹起された実質的な性質変化を考慮に入れて、天然配列GDN FRαと同じようにして回収される。免疫親和性樹脂、例えばモノクローナル抗 GDNFRα樹脂を、少なくとも一つの残りのエピトープに結合させることによ ってGDNFRα変異体を吸収するために用いることができる。 例えばフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)のようなプロテアー ゼインヒビターも又精製の間のタンパク分解を阻害するのに有用であり、偶発的 な汚染物質の成長を防止するために抗生物質を含めることができる。 GDNFRαポリペプチドの共有結合的修飾は本発明の範囲内に含まれる。天 然配列GDNFRαとGDNFRαのアミノ酸配列変異体の双方は共有結合的に 修飾することができる。GDNFRαの共有結合的修飾の一つの型は、GDNF Rαの標的アミノ酸残基を、N末端残基、C末端残基と反応できる有機誘導体形 成試薬又は選択された側鎖と反応させることによって分子内に導入することがで きる。 システイニル残基は最も一般的にはα−ハロアセタート(及び対応するアミン )、例えば、クロロ酢酸又はクロロアセトアミドと反応し、カルボキシメチル又 はカルボキシアミドメチル誘導体を生じる。システイニル残基も又ブロモトリフ ルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロア セチルホスファート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジス ルフィド、メチル−2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ水銀ベンゾアート、 2−クロロ水銀−4−ニトロフェノール、又はクロロ−7−ニトロベンゾ−2− オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって誘導体化される。 ヒスチジル残基はpH5.5−7.0でジエチルピロカルボナートとの反応に よって誘導体化されるが、これは、この試薬がヒスチジル側鎖に対して相対的に 特異的であるからである。p−ブロモフェナシルブロミドも又有用である;この 反応は、好ましくはpH6.0で0.1Mのカコジル酸ナトリウム中で行われる 。 リジニル及びアミノ末端残基はスクシン又は他のカルボン酸無水物と反応させ られる。これらの試薬を用いた誘導体形成は、リシニル残基の電荷を逆転させる 効果を有する。α−アミノ含有残基を誘導体化する他の適当な試薬は、イミドエ ステル、例えば、メチルピコリンイミダート、リン酸ピリドキサル、ピリドキサ ル、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素 、2,4−ペンタンジオン、及びグリオキシラートを用いたトランスアミナーゼ により触媒される反応である。 アルギニル残基は一あるいは幾つかの従来の試薬との反応によって修飾され、 とりわけ、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘ キサンジオン及びニンヒドリンがある。アルジニン残基の誘導体化は、グアニジ ン官能基の高いpKaのために反応がアルカリ性条件下で行われることを必要と する。更に、これらの試薬はリジンの基並びにアルギニンのε−アミノ基と反応 するかも知れない。 チロシル残基の特異的修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメ タンとの反応によるチロシル残基内へのスペクトル標識の導入に特に興味を持っ て、なされる。最も一般的には、N-アセチルイミジゾールとテトラニトロメタン を使用して、それぞれがO−アセチルチロシル種と3−ニトロ誘導体を形成する 。チロシル残基はラジオイムノアッセイ用の標識化タンパクを調製するために12 5 I又は131Iを用いてヨウ素化され、クロラミンT法が適切である。 カルボキシル側基(アスパルチル又はグルタミル)がカルボジイミド(R−N =C=N−R’)(ここで、RとR’は異なったアルキル基)、例えば、1−シ クロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミド又は1− エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドとの 反応によって選択的に修飾される。 二官能性試薬による誘導体形成は、抗GDNFRα抗体を精製する方法に使用 する水不溶性支持体マトリックス又は表面へのGDNFRαの架橋に有用であり 、又その逆も同様である。良く用いられる架橋剤は、例として、1,1−ビス( ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシス クシンイミドエステル、例えば、4−アジドサリチル酸とそのエステル、3,3 ’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)のようなジスクシンイミジル エステルを包含するホモニ官能性イミドエステル、及びビス−N−マレイミド− 1,8−オクタンのような二官能性マレイミドを含む。メチル−3−[(p−ア ジゾフェニル)ジチオ]プロピオイミダートのような誘導体化剤は、光の存在下 で架 橋を形成することができる光活性化中間体を生じる。又、臭化シアン活性化炭水 化物のような反応性の水不溶性マトリックス及び米国特許第3969287号; 3691016号;4195128号;4247642号;4229537号及 び4330440号に記載されている反応性基質がタンパク固定に用いられる。 グルタミニル及びアスパラギニル残基はしばしば各々対応するグルタミル及び アスパルチル残基にそれぞれ脱アミド化される。これらの残基は中性又は塩基性 条件下で脱アミド化される。これらの残基の脱アミド化型は本発明の範囲内に入 る。 その他の修飾は、プロリンとリジンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル 残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖の αアミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular P roperties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,PP.79-86(1983))、N末端ア ミンのアセチル化及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。 本発明の範囲内に含まれるGDNFRαポリペプチドの共有結合的修飾の他の タイプは、ポリペプチドの天然グリコシル化パターンを変更することを含む。変 更とは、天然GDNFRαに見出される一以上の炭水化物部分を欠失させ、及び /又は天然GDNFRαに存在しない一以上のグリコシル化部位を付加すること を意味する。 ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合又は結O合の何れかであ る。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を意味する。 アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニン(ここでXはプロ リンを除く任意のアミノ酸)というトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖への 炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチド 中にこれらのトリペプチドの何れかが存在すると、可能性の有るグリコシル化部 位が作り出される。O結合グリコシル化は、ヒドロキシルアミノ酸、最も一般的 にはセリン又はスレオニン(5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリジン も又用いられるが)に、N−アセチルガラクトーサミン、ガラクトース、又はキ シロースの糖の一つが結合することを意味する。 GDNFRαポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、簡便には、アミノ 酸配列を、それが一以上の上述したトリペプチド配列(N結合グリコシル化部位 のもの)を含むように変化させることによって達成される。この変化は、天然の GDNFRα配列への一以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれによ る置換によってもなされる(O結合グリコシル化部位の場合)。簡単にするには 、GDNFRαアミノ酸はDNAレベルでの変化によって、特にGDNFRαポ リペプチドをコードしているDNAを、所望のアミノ酸に翻訳するコドンが産生 されるように子め選んだ塩基で突然変異することによって、好ましくは変更され る。このDNA突然変異は、上記に記載され前掲の米国特許第5364934号 に記載された方法を用いてなされる。 GDNFRαポリペプチド上の炭水化物部分の数を増加させる他の手段は、該 ポリペプチドへのグリコシドの化学的又は酵素的結合による。これらの手順は、 N結合又はO結合グルコシル化のためのグリコシル化能を有する宿主細胞中でポ リペプチドを生産させる必要がないという点で有利である。用いられる結合様式 に応じて、糖(一以上)は、(a)アルギニンとヒスチジンに、(b)遊離のカ ルボキシル基に、(c)遊離のスルフヒドリル基、例えばシステインのものに、 (d)セリン、スレオニン又はヒドロキシプロリンのもののような遊離のヒドロ キシル基に、(e)フェニルアラニン、チロシン又はトリプトファンのような芳 香族残基、又は(f)グルタミンのアミノ基に結合される。これらの方法は19 87年9月11日発行のWO87/05330及びAplinほか,CRC Crit.Rev. Biochem.,259-306(1981)に示されている。 GDNFRαポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵 素的になされる。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン 酸、又は等価な化合物への該ポリペプチドの曝露を必要とする。この処理により 、該ポリペプチドを無傷のまま残しながら、結合糖(N−アセチルグルコサミン 又はN−アセチルガラクトサミン)を除く殆ど又は全ての糖の開裂がなされる。 化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinほか,Arch.Biochem Biophys.,259:52(1 987)及びEdgeほか,Anal.Biochem.,118:131(1981)により示されている。ポリ ペプチド上の炭水化物部分の酵素的開裂は、Thotakuraほか,Meth.Enzymol.,1 38:350(1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソグ リコシダーゼを使用して達成することができる。 潜在的なグリコシル化部位でのグリコシル化は、Duskinほか,J.Biol.Chem. ,257:3105(1982)によって記載されているように、化合物ツニカマイシンを使用 して防ぐことができる。ツニカマイシンはタンパク質−N−グルコシド結合の形 成を阻害する。 GDNFRαの共有結合修飾の他のタイプは、米国特許番第4640835号 ;第4496689号;第4301144号;第4670417号;第4791 192号又は第4179337号に記載されているように、GDNFRαポリペ プチドを、種々の非タンパク性ポリマーの一つ、例えばポリエチレングリコール 、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンに結合させることを含 む。 変異体はここに教示するようにして検定することができる。例えば所定の抗体 に対する親和性のような、GDNFRα分子の免疫学的性質の変化は、競合型免 疫アッセイによって測定することができる。例えばレドックス又は熱安定性、疎 水性、タンパク分解の受けやすさ、又は担体との又はマルチマー内への凝集傾向 のようなタンパク質又はポリペプチドの性質の他の潜在的な修飾は、従来からよ く知られている方法によって検定することができる。 本発明は、異種性のポリペプチドと融合したGDNFRαを含むキメラポリペ プチドを包含する。キメラGDNFRαはここに定義したGDNFRαの変異体 の一タイプである。一つの好ましい実施態様では、キメラポリペプチドは、抗タ グ抗体又は分子が選択的に結合するエピトープを提供するタグペプチドとのGD NFRαの融合体含む。エピトープタグは一般にGDNFRαのアミノ又はカル ボキシ末端に付与される。GDNFRαのこのようなエピトープタグが付けられ た形は、その存在をタグポリペプチドに対する標識抗体を用いて検出することが できるので、望ましい。又、エピトープタグを供給すると、GDNFRαを抗タ グ抗体を用いてアフィニティー精製によって直ぐに精製することができる。抗体 を含むアフィニティー精製法及び診断アッセイはここに後で記載する。 タグポリペプチドとその各抗体は従来から良く知られている。例には、fluH Aタグポリペプチドとその抗体12CA5(Fieldほか,Mol.Cell.Biol.,8:2 159-2165(1988));c−mycタグとそれに対する8F9、3C7、6E1 0、G4、B7及び9E10抗体(Evanほか,Molecular and Cellular Biology ,5:3610-3616(1985));及び単純ヘルペスウィルス糖タンパクD(gD)タグ とその抗体が含まれる。Paborskyほか,Protein Engineering,3(6):547-553(19 90)。他のタグポリペプチドも開示されている。例には、フラッグ-ペプチド(Fl ag-peptide)(Hoppほか,BioTechnology,6:1204-1210(1988));KT3エピト ープペプチド(Matinほか,Science,255:192-194(1992));αチューブリンエ ピトープペプチド(Skinnerほか,J.Biol.Chem.,266:15163-15166(1991)); 及びT7遺伝子10タンパクペプチドタグが含まれる。Lutz-Freyermuthほか,P roc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6393-6397(1990)。ひとたびタグポリペプチド が選択されれば、それに対する抗体を、ここに開示した方法を用いて産生するこ とができる。C末端ポリヒスチジン配列タグが好ましい。ポリヒスチジン配列は 、例えば(Lindsayほか,Neuron17:571-574(1996))記載されているようなNi −NTAクロマトグラフィーによってタグタンパクを単離することを可能にする 。 エピトープタグGDNFRαの作成と生産に適切な一般的方法は、これまでに 開示したものと同じである。GDNFRαタグポリペプチド融合体は、GDNF RαをインフレームでコードしているcDNA配列をタグポリペプチドDNA配 列に融合させ、適当な宿主細胞に結果のDNA融合作成物を発現させることによ って最も簡便に作成される。通常は、本発明のGDNFRαタグポリペプチドキ メラを調製するときは、GDNFRαをコードしている核酸を、タグポリペプチ ドのN末端をコードしている核酸にその3’端で融合させるが、5’融合も又可 能である。 エピトープタグGDNFRαは、抗タグ抗体を用いてアフィニティークロマト グラフィーによって簡便に精製することができる。アフィニティー抗体が付着さ れる基質は非常に多くの場合アガロースであるが、他の基質も利用できる(例え ば、調整穴明きガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼン)。エピトープタ グ付きGDNFRαは、例えばバッファーpH又はイオン強度を変化させ、ある いはカオトロピック(chaotropic)剤を添加することによってアフィニティーカ ラムから溶出させることができる。 適当な免疫グロブリン定常ドメイン配列(イムノアドヘシン)に連結した受容 体配列から作成されるキメラが従来から知られている。文献において報告されて いるイムノアドヘシンは、T細胞受容体*(Gascoigneほか,Proc.Natl.Acad. Sci.USA,84:2936-2940(1987));CD4*(Caponほか,Nature 337:525-531(1989) );Trauneckerほか,Nature,339:68-70(1989);Zettmeisslほか,DNA Cell Biol .USA,9:347-353(1990);Byrnほか,Nature,344:667-670(1990));L−セレクチ ン(ホーミングレセプター)((Watsonほか,J.Cell Biol.,110:2221-2229(19 90));Watsonほか,Nature,349:164-167(1991));CD44*(Aruffoほか,Cell ,61:1303-1313(1990));CD28*及びB7*(Linsleyほか,J.Exp.Med.,17 3:721-730(1991));CTLA−4*(Lisleyほか,J.Exp.Med 174:561-569(199 1));CD22*(Stamenkovicほか,Cell,66:1133-1144(1991));TNF受容体( Ashkenaziほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:10535-10539(1991);Lesslaue rほか,Eur.J.Immunol.,27:2883-2886(1991);Peppelほか,J.Exp.Med.,17 4:1483-1489(1991));NP受容体(Bennettほか,Biol.Chem.266:23060-23067 (1991));及びIgE受容体α*(Ridgwayほか,J.Cell Biol.,115:abstr.144 8(1991))の融合物を含む。ここで星印(*)は受容体が免疫グロブリンスーパーフ ァミリーのメンバーであることを示している。 最も簡単で最も簡単なイムノアドヘシンの設計は、「アドヘシン」タンパク質 の結合領域(一以上)を免疫グロブリン重鎖のヒンジ及びFc領域と結合させる 。通常は、本発明のGDNFRαイムノグロブリンキメラを調製するときは、G DNFRαの細胞外ドメインをコードしている核酸が、免疫グロブリンの定常ド メイン配列のN末端をコードしている配列に融合されるが、N末端融合も又可能 である。 典型的には、そのような融合では、コードキメラポリペプチドは、免疫グロブ リンの重鎖の少なくとも機能的に活性なヒンジ及び定常領域のCH2及びCH3 ℃メインを保持する。融合は又定常ドメインのFc部分のC末端、又は重鎖のC H1のN末端に直ぐ、又は軽鎖の対応する領域になされる。 融合がなされる正確な部位は重要ではない;特定の部位は、良く知られており 、 GDNFRα免疫グロブリンキメラの生物学的活性、分泌又は結合特性を最適化 するために選択することができる。 いくつかの実施態様では、WO91/08298に例証されているように、G DNFRα免疫グロブリンキメラは、モノマー、又はヘテロ−又はホモ−マルチ マー、そして特にはダイマー又はテトラマーとして構築される。 好ましい実施態様では、GDNFRα細胞外ドメイン配列は、免疫グロブリン の効果機能、例えば免疫グロブリンG1(IgG1)を含む、抗体(特にFcド メイン)のC末端部分のN末端に融合される。GDNFRαの細胞外ドメイン配 列に全重鎖定常領域を融合させることができる。しかしながら、より好ましくは 、パパイン切断部位(化学的にIgGFcを定める;重鎖の定常領域の最初の残 基を114として残基216、又は他の免疫グロブリンの類似の部位)の丁度上 流側のヒンジ領域に始まる配列が融合に用いられる。特に好ましい実施態様では 、GDNFRαアミノ酸配列はIgG1、IgG2又はIgG3重鎖のヒンジ領 域及びCH2及びCH3、又はCH1、ヒンジ、CH2及びCH3領域に融合さ れる。融合がなされる正確な部位は重要ではなく、最適な部位は日々の実験で決 定することができる。 いくつかの実施態様では、GDNFRα免疫グロブリンキメラは、マルチマー 、特にホモダイマー又はテトラマーとして構築される。一般には、これらの構築 免疫グロブリンは既知の単位構造を有している。基本的な4鎖の構造単位はIg G、IgD及びIgEが存在する形である。4つの単位がより大なる高分子量の 免疫グロブリンにおいて繰り返される;IgMが一般にジスルフィド結合によっ て一緒になる4単位に対して基本的なペンタマーとして存在する。IgAグロブ リン、そして時折IgGグロブリンは又血清中にマルチマー形で存在する。マル チマーの場合は、各4単位は同一でも異なっていてもよい。 又、GDNFRα細胞外ドメイン配列は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の間に 、キメラ重鎖を含む免疫グロブリンが得られるように、挿入することができる。 この実施態様では、GDNFRα配列は、ヒンジとCH2ドメインの間か、CH 2とCH3ドメインの間において、免疫グロブリンの各アームの免疫グロブリン 重鎖の3’末端に融合される。同様の作成物はHoogenboomほか,Mol.Immunol. , 28:1027-1037(1991)によって報告されている。 免疫グロブリンの軽鎖の存在は本発明のイムノアドヘシンでは必要とされない が、免疫グロブリン軽鎖が、GDNFRα免疫グロブリン重鎖融合ポリペプチド に関連して共有結合的か、あるいはGDNFRα細胞外ドメインに直接的に融合 されて存在するかもしれない。前者の場合には、免疫グロブリン軽鎖をコードし ているDNAがGDNFRα免疫グロブリン重鎖の融合タンパクをコードしてい るDNAと典型的には同時発現される。分泌時には、ハイブリッド重鎖と軽鎖が 共有結合的に結合して、2つのジスルフィド結合免疫グロブリン重鎖−軽鎖対を 含む免疫グロブリン様構造を提供する。このような構造の調製に適切な方法は、 例えば1989年3月28日に発行された米国特許第4816567号に開示さ れている。 好ましい実施態様では、本発明のイムノアドヘシンの作成に用いられる免疫グ ロブリン配列は、IgG免疫グロブリン重鎖定常ドメインからのものである。ヒ トイムノアドヘシンに対して、IgG1とIgG3の免疫グロブリン配列の使用 が好ましい。IgG1を用いる主な利点は、IgG1イムノアドヘシンが固定タ ンパクAで効率的に精製できることである。これに対して、IgG3の精製には 、著しく用途が少ない培地であるタンパクGが必要である。しかしながら、免疫 グロブリンの他の構造的及び機能的性質を、特定のイムノアドヘシン作成のIg 融合パートナーを選択するときは考慮するべきである。例えば、IgG3のヒン ジはより長く、よりフレキシブルであり、IgG1に融合されるとき、適切に機 能しなかったり折りたたまれないより大きなアドヘシンドメインを収容すること ができる。他に考慮することは結合価である;IgGイムノアドヘシンは2価の ホモ二量体であり、IgAとIgMのようなIgサブタイプはそれぞれ基本的I gホモ二量体単位の二量体又は五量体構造になる。インビボでの応用に設計され たGDNFRαイムノアドヘシンについては、Fc領域によって特定される薬物 動態学的性質と効果機能も又重要である。IgG1、IgG2及びIgG4は全 て21日のインビボ半減期を有するが、補体系を活性化するその相対的な効力は 異なっている。IgG4は補体を活性化せず、IgG2はIgG1よりも補体活 性が有意に弱い。更に、IgG1とは異なり、IgG2は単核細胞又は好中球の F c受容体に結合しない。IgG3は補体活性には最適である一方、そのインビボ の半減期は他のIgGアイソタイプのおよそ1/3である。ヒトの治療に用いら れるように設計されたイムノアドヘシンの他の重要な考慮事項は、特定のアイソ タイプのアロタイプ変異体の数である。一般に、血清学的に定義されたアロタイ プがより少ないIgGアイソタイプが好ましい。例えば、IgG1は血清学的に 定義されたアロタイプ部位を4つだけ有し、その内の二つ(G1mと2)がFc 領域に位置している;そしてこれらの部位の一つG1m1は非免疫原生である。 これに対して、IgG3には12の血清学的に定義されたアロタイプがあり、そ の全てがFc領域にある;これらの部位の3つ(G3m5、11及び21)が非 免疫原生である一つのアロタイプを持っている。従って、γ3イムノアドヘシン の潜在的な免疫原生はγ1イムノアドヘシンのそれよりもより大きい。 親の免疫グロブリンに関しては、有用な結合点は、2つの重鎖の間のジスルフ ィド結合を形成するヒンジのシステインの丁度上流である。頻繁に用いられる設 計では、分子のGDNFRα部分のC末端残基のコドンがIgG1ヒンジ領域の 配列DKTHTCPPCPのコドンの直ぐ上流に位置される。 イムノアドヘシンの作成と発現に適した一般的な方法は、GDNFRαに関し てこれまでに開示したものと同じである。GDNFRαイムノアドヘシンは、G DNFRα部分をインフレームでコードしているcDNAをIgcDNA配列に 融合させることによって最も簡便に作成される。しかしながら、ゲノムIg断片 への融合も又用いることができる(例えばGascoigneほか,Proc.Natl.Acad.S ci.USA,84:2936-2940(1987);Aruffoほか,Cell,61:1303-1313(1990);Stamenk ovicほか,Cell,66:1133-1144(1991)を参照のこと)。後者の融合タイプは、発 現にIg制御配列の存在を必要とする。IgG重鎖定常領域をコードしているc DNAは、ハイブリッド形成法又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって 脾臓又は末梢血リンパ球から由来するcDNAライブラリーからの発表された配 列に基づいて単離できる。GDNFRαとイムノアドヘシンのIg部分をコード しているcDNAは、選択された宿主細胞において効果的な発現を方向付けるプ ラスミドベクター内に直列に挿入される。哺乳動物の細胞における発現では、p RK5−系ベクター(Schallほか,Cell.61:361-370(1990))及び CDM8系ベクター(Seedほか,Nature,329:840(1989))を用いることができ る。正確な接合部は、オリゴヌクレオチド特異的欠失変異誘発を用いて設計接合 部コドン間の余分の配列を除去することによってつくられる(Zollerほか,Nucl eic Acids Res.,10:6487(1982);Caponほか,Nature,337:525-531(1989))。各 半分が所望の接合部の何れかの側の配列と相補的であり;理想的には36ないし 48マー(mer)である合成オリゴヌクレオチドを用いることができる。又、PC R法を用いてインフレームの分子の2つの部分を適当なベクターと結合させるこ とができる。 GDNFRαイムノアドヘシンの発現に対しての宿主株化細胞の選択は、主に 発現ベクターに依存する。他の考慮事項は必要とされるタンパク質の量である。 ミリグラム量をしばしば一過性トランスフェクションによってつくることができ る。例えば、アデノウィルスEIA形質転換293ヒト胚腎臓株化細胞はこうか t圭奈イムノアドヘシンの発現を可能にする修正リン酸カルシウム法によってp RK5系ベクターで過渡的にトランスフェクトされうる。CDM8系ベクターは DEAEデキシトラン法によってCOS細胞をトランスフェクトするために用い ることができる(Aruffoほか,Cell,61:1303-1313(1990); Zettmeisslほか,DN A Cell Biol.US,9:347-353(1990))。もし多量のタンパク質が所望されるな らば、イムノアドヘシンは、宿主株化細胞の安定名トランスフェクションの後に 発現することができる。例えば、pRK5系ベクターはジヒドロ葉酸還元酵素( DHFR)をコードしG418に対する抵抗性を付与する更なるプラスミドの存 在下デチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞内に導入することができる 。G418に対して抵抗性のあるクローンが培養において選択できる;これらの クローンは増加量のDHFR阻害薬であるメトトレキセートの存在下で成長させ られる;イムノアドヘシン配列とDHFRをコードしている遺伝子コピーの数が 共に増幅されるクローンが選ばれる。もしイムノアドヘシンがそのN末端に疎水 性のリーダー配列を含んでいれば、トランスフェクション細胞によってプロセシ ングされて分泌される。更に複雑な構造のイムノアドヘシンの発現には、独特の 適した宿主細胞が必要となる;例えば、軽鎖又はJ鎖のような成分がある種のミ エローマ又はハイブリドーマ宿主細胞によって提供される(Gascoigneほか, 1987,supra,Martinほか,J.Virol.,67:3561-3568(1993))。 イムノアドヘシンはアフィニティークロマトグラフィーによって簡便に精製す ることができる。アフィニティーリガンドとしてのタンパクAの適切性は、キメ ラに用いられる免疫グロブリンのFcドメインのアイソタイプと種に依存する。 タンパクAは、ヒトのγ1、γ2、又はγ4の重鎖に基づくイムノアドヘシンを 精製するために用いることができる(Lindmarkほか,J.Immunol.Meth.,62:1- 13(1983))。タンパクGは全てのマウスのアイソタイプ及びヒトのγ3に対して 椎奨される(Gussほか,EMBO J.,5:1567-1575(1986))。アフィニティーリガン ドが付着する基質は、最も頻繁にはアガロースであるが、他の基質も利用できる 。機械的に安定な基質、例えばコントロール穴明きガラス又はポリ(スチレンジ ビニル)ベンゼンは、アガロースで達成できるよりもより速い流量とより短いプ ロセス時間を可能にする。タンパクA又はGアフィニティーカラムにイムノアド ヘシンを結合させる条件は、Fcドメインの特性によって完全に支配される;す なわち、その種とアイソタイプに支配される。一般には、適切なリガンドが選ば れた場合には、効果的な結合が無条件培養流体から直接的に生じる。イムノアド ヘシンの一つの目立つ特徴は、ヒトのγ1分子に対しては、タンパクAに対する 結合能力が同じFc型の抗体に対していささか消失する。結合性イムノアドヘシ ンは酸性のpH(3.0あるいはそれ以上)か、あるいは穏やかにカオトロピッ クな塩を含む中性pHのバッファー中で効果的に溶出され得る。このアフィニテ ィークロマトグラフィーの工程により、純度が>95%であるイムノアドヘシン 調製物を得ることができる。 タンパクA又はGについてアフィニティークロマトグラフィーの代わりに、又 はそれに加えて、従来知られている他の方法もイムノアドヘシンを精製するため に用いることもできる。イムノアドヘシンは、チオフィリック(thiophilic)ゲ ルクロマトグラフィー(Hutchensほか,Anal.Biochem.,159:217-226(1986)) と固定金属キレート(Al-Mashikhiほか,J.Dairy Sci.,71:1756-1763(1988)) における抗体と同様に挙動する。しかしながら、抗体とは異なり、イオン交換カ ラムでの挙動は、それらの等電点によってばかりではなく、そのキメラ性により 分子内に存在する双極子電荷によっても又支配される。 所望されるならば、イムノアドヘシンは二特異性(bispecific)とされ得る。 従って、本発明のイムノアドヘシンは、GDNFRαの細胞外ドメインと、他の サイトカイン又は神経栄養因子受容体サブユニットの、細胞外ドメインのような ドメインを組合せることもできる。そのような二特異性イムノアドヘシン分子が 作られ得る例示的なサイトカイン受容体としては、TPO(又はmplリガンド )、EPO、G−CSF、IL−4、IL−7、GH、PRL、IL−3,GM −CSF、IL−5,IL−6,LIF、OSM、CNTF、?及びIL−2受 容体が含まれる。二特異性分子には、抗体様構造の一つの腕にキメラ抗体の重鎖 を、他の腕にキメラ抗体の重鎖−軽鎖対を含んでなるトリマー分子が、精製の容 易性のために有利である。10のテトラマーの混合物をつくる、二特異的イムノ アドヘシンの生産に伝統的に用いられる抗体生産クアドローマとは対照的に、ト リマーイムノアドヘシン構造の3つの鎖をコードしている核酸でトランスフェク トされた細胞が3つの分子だけの混合物をつくり、この混合物からの所望の生成 物の精製が従ってより容易である。 GDNFRαタンパク質とGDNFRα遺伝子(及びGDNFとGDNF遺伝 子)は、GDNF活性に関連するあるいはGDNF応答性が有益となる疾病ある いは疾患の治療において、哺乳動物、特にヒトに投与するエクスビボ又はインビ ボでの治療用途があると考えられる。本発明の実施態様での治療で特に受け入れ られる症状は、Retの発現に関与するもの又はRet活性化が有益となるもの 、特にRetによって媒介される下流経路のものである。特に好ましいものは、 神経性障害、好ましくは中枢神経系障害、腎臓の障害、脾臓に関連する造血障害 、及び腸内神経系障害である。一つの実施態様では、患者に有効量のGDNFR α、GDNF、又はそのアゴニスト、又はその活性なペプチド断片又は変異体が 投与される。本発明は、又、GDNFRα、GDNF、又はそのアゴニスト、又 はその活性なペプチド断片又は誘導体を適切な薬理的担体中に含有する製薬組成 物をも提供する。ここに教示した方法に適用できるが、受容体タンパク質は、必 要に応じて、GDNF又は他のGDNFRαリガンドの前に、後に、あるいは好 ましくは同時に(又は複合して)投与することができる。ここに教示されている ように、GDNFRαはGDNFが存在しない標的細胞に設けて、続いて投与さ れる GDNF又はGDNFアゴニストに対するこれらの細胞の応答性を増加させるこ とができる。 内因性GDNFの栄養効果を減少させるのが好ましい。したがって、神経系ト ラウマの領域においては、GDNF結合について内因性細胞受容体と競合する、 Ret活性化に欠陥のある無細胞GDNFRαを含む(これには限定されない) GDNFアンタゴニストを提供することが望ましい。このような状況下では、G DNFアンタゴニストを全身的よりもむしろ損傷部位に局所的に付与することが 望まれる。GDNFRを提供する移植片の使用が局所投薬に対しては望ましい。 又、ある状態では、GDNF(又は他のGDNFRαリガンド)の応答性の増 大が有益となり得る。従って、そのような症状を患っている患者の細胞内におけ るGDNFRαの数及び結合親和性を増大させることが有益であり得る。これは 、可溶性のGDNFRα、必要に応じてGDNFRαリガンド、好ましくはGD NFで複合化されたものの投与によって、あるいはGDNFRαをコードしてい る核酸を用いる遺伝子療法によって、達成することができる。適当な細胞中にお ける組換えGDNFRの選択的発現は、組織特異性又は誘発性のプロモーターに よって調節されたGDNFR遺伝子を用いて、あるいは組換えGDNFR遺伝子 を担持する複製欠陥ウィルスでの局所的感染をつくりだすことによって達成する ことができる。GDNFに対して感受性が増加すると有益である症状は、限定す るものではないが、筋萎縮性側索硬化症、ヴェルディヒ−ホフマン病、慢性近位 脊柱筋萎縮、そしてギラン−バレ症候群を含む運動ニューロン疾患である。更な る症状は、交感神経細胞に関与するもの、特に増加した生存又はGDNF応答性 が望ましいものである。ド−パミン作動性ニューロンを含む、中枢神経系ニュー ロンと、末梢感覚神経を含む、感覚神経の増加した生存又はGDNF応答性が望 ましい症状が、本発明の実施態様により好適に治療される。従って、糖尿病、パ ーキンソン病、アルツハイマー病、及びハンチントン舞踏病に伴う神経性疾患の 治療がここで提供される。本組成物と方法は、GDNFRαを発現する非神経細 胞に関連した症状にも又適用できる。実際、GDNFRαはRetを活性化する ので、Ret発現細胞におけるRet活性経路に関連する症状を本発明の実施態 様で治療することができる。 神経細胞及び/又はその軸索突起の生存又は機能が妥協されるならば、疾病又 は医療疾患は神経損傷であると考えられる。そのような神経損傷は、結果的な症 状として含まれるものは:(a)身体的損傷で、損傷部位の近くの軸索突起及び /又は神経細胞体の変性を引き起こすもの;(b)脳卒中のような虚血;(c) 癌及びエイズの化学療法薬、例えばシスプラチン及びジデオキシチジン(ddC )のような、神経毒への暴露;(d)糖尿病又は腎不全のような慢性代謝病;及 び(e)パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の ような神経変性疾患で、これらは特定のニューロン集団の変性をもたらす。神経 損傷に関与する症状は、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化 症、脳卒中、糖尿病性多発神経障害、中毒性神経症、及び神経系の物理的損傷、 例えば脳及び脊髄の物理的損傷又は腕及び手又は身体の他の部分の座滅又は切創 によって惹起されるものであり、脳卒中におけるように神経系の部分への血流の 一次的又は永久的休止を含む。 GDNFRα遺伝子は、筋肉細胞及び関連するニューロンに発現される。従っ て、本発明は、本発明の組成物をそのような治療を必要としている患者に投与す ることを含んでなる、GDNFR発現筋肉細胞疾患を治療する方法を提供する。 このような治療が有益な筋肉細胞疾患は、限定するものではないが、次の進行性 筋ジストロフィー:デュシエーヌ、ベッカー、エメリー−ドライフス、ランドジ ー−デジェリーヌ、肩甲上骨、肢帯、フォン・グラッフェーフュクス(Von Grae fe-Fuchs)、眼咽頭、筋緊張性及び先天性の筋ジストロフィーを含む。加えて、 このような分子は、先天性(中央コア(central core)、ネマリン、中心核及び 先天性線維型不均衡)及び後天性(毒性、炎症性)ミオパシーの治療に使用でき る。 本発明の更なる実施態様では、GDNFR遺伝子をコードしている領域に対応 するアンチセンスRNA又はアンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチドの有 効量を投与することによって、過剰のGDNFR、GDNFに対する過敏症、過 剰のGDNF等々を煩っている患者を治療することができる。 本発明の化合物と豊富は、造血細胞の減少に関連した症状に使用することがで きる。これらの疾病の例としては、貧血(大球性及び再生不良性貧血を含む); 血小板減少症;発育不全;播種性血管内血液凝固(DIC);脊髄形成異常;免 疫(自己免疫)血小板減少性紫斑病(ITP);及びHIV誘発ITPがある。 又、GDNF及びGDNFRα分子は、骨髄増殖性疾患並びに炎症症状からの血 小板増多症の治療及び鉄分不足に有用である。造血細胞増殖の増大を導くGDN F及びGDNFRαは、化学又は放射線療法もしくは骨髄移植療法を受けた細胞 における成熟血球系列の再増殖を高めるために使用することもできる。一般に、 GDNF及びGDNFRα分子は造血細胞の増殖及び/又は分化(しかし特に増 殖)を高めるものと期待される。好ましい実施態様は、脾臓で生じる造血を高め る治療法を提供する。 GDNF及びGDNFRα、及びそれらの遺伝子の他の可能性の有る治療用途 は、腎臓又な肝臓細胞の成長、生存及び修復を促進する治療を含み、腎臓病及び 腎臓疾患を治療することを含む。例えば、急性腎不全はそれまでに正常な腎機能 の突然の破壊を意味する。この深刻な臨床症状は、循環系の不全(ショック)、 血管妨害、糸球体腎炎、尿流閉塞を含む非常に広範なメカニズムから生じうる。 急性腎不全はしばしば腹部又は又は血管手術の合併症として生じる。又、出生前 の継続した改善による肺と心臓問題を克服して生存する少ない出生時体重のハイ リスク新生児は、感染又は薬物毒性によって惹起される急性腎不全の合併症によ って死亡しうる。特に臨床的に重要であるのは、外傷、敗血症、術後の合併症、 又は投薬、特に抗生物質に関連する急性腎不全の場合である。特に、本発明の化 合物は、腸内神経系又は腎臓系の不全に直接的に又は間接的に関連する病因学に 使用用途がある。GIに影響する特定の症状は、これに限定するものではないが 、噴門痙攣、食道スパスム、強皮症(食道の平滑筋部分の筋萎縮、食道本体部の 下方2/3の収縮の弱さ、及び食道下方の括約筋の機能不全に関連し、又免疫抑 制剤での治療によっても引き起こされる)、十二指腸潰瘍のような疾患、ゾリン ガー−エリソン症候群(遺伝子因子、喫煙、神経的影響を含む因子によって引き 起こされる酸過多)、胃酸過多、吸収不全症、例えば胃アトニー、吐き気、嘔吐 などが少なくとも部分的に交感/副交感神経系の不全に関連している糖尿病(及 び副甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、及び副腎不全)を含む。更なる疾患 は、憩室症/憩室炎;ハーシュスプラング病(通常は肛門に近い遠位結腸の小セ グメ ントにおける神経節細胞の不在によって引き起こされる先天性疾患(マイスナー 及びアオエルバッハの神経叢)で、典型的には乳児にみられ、深刻でない場合は 、青年期又は成人期初期になるまで診断されない);他の型の巨大結腸症(ハー シュスプラングのものは巨大結腸のタイプである);腸の筋層の交感神経支配の 異常による深刻な運動性異常であり、強皮症、糖尿病、アミロイド症、他の神経 性疾患、薬物又はセプシスから起因する急性又は慢性の仮性腸閉塞;及び患者に 精神遅滞又は神経性疾患を持つ患者に深刻な問題であり、寄与因子が不順な腸運 動性である慢性便秘を含む。更なる症状は、限定するものではないが、腸内神経 系の明確な破壊による脊髄機能不全;ギライン・バレ症候群;多発性硬化症;パ ンディソウトノミア(Pandysautonomia)(自律神経系の機能不全);振せん麻 痺(不順な胃腸運動をしばしば伴う);特徴として不順な腸運動を持つと文献で 報告されている多発系萎縮症(Multiple System Atrophy)(シャイドレーガー 症候群);及びニューロパチーによって現れ、しばしばGI運動性障害を伴う拡 散性疾患であるポリフィリン及びアミロイド症を含む。 ここに提供した組成物と方法によって治療できるGDNFR−発現又はGDN F応答性組織の壊死又は損傷は、微生物又はウィルス感染による壊死、例えば、 ウィルス性肝炎、結核、腸チフス熱、野兎病、ブルセラ病、黄熱病等、又はショ ック、心臓発作等から起因する虚血症による壊死、又は薬物及び毒性物質、例え ば化学療法、クロロホルム、四塩化炭素、亜リン酸中毒等のようなでの急性又は 慢性反応による壊死を含む。ここに教示されるように、本発明の組成物と方法は 、腎臓を神経支配する神経細胞と腎臓上皮細胞のような腎臓細胞のものを含む細 胞成長促進によって腎臓疾患を治療するのに有用である。本発明の組成物と方法 は腎臓損傷の修復をなさしめる。理論に限定されるのものではないが、神経支配 二ニューロンを含む腎細胞を刺激して成長させ分割することによって直接的又は 間接的にこれが達成できると考えられる。従って、ここに開示したGDNFRア ゴニスト(例えばGDNFと複合化されていてもよい可溶性GDNFRα)を、 薬理学的に許容可能な担体又は更なる成長因子もしくはサイトカインと必要に応 じて組合せて、調製し、該組成物に腎臓組織を接触させる腎臓組織を再生する方 法が提供される。該組成物の治療的量が投与される。局所的注射又は移植片が好 まし い移送(送達)方法である。又、損傷した腎臓を除去し、エクスビボで処理し、 腎臓の修復後に宿主に戻すこともできる。 GDNFを含むGDNFRアゴニストは、血液透析の間に投与することができ る。血液透析は、血液から毒素を抽出又は分離する目的で患者から血液を一時的 にとり、同じ患者に清浄血液を戻すこととして定義される。血液透析は、腎臓機 能障害又は不全が存在する患者、すなわち血液が腎臓によって適切に又は十分に 清浄化されていない(特に水分を除去する)場合に指示される。慢性的な機能障 害の場合は、透析は繰り返す形で実施されなければならない。例えば、腎臓移植 が可能ではなかったり、禁忌指示されている末期の腎臓疾患では、患者は年に約 100から150回透析を受けなければならない。 本発明は腎障害をもたらす可能性がある疾患や症状に有用である。本発明は腎 障害の副作用を有する免疫抑制療法、例えば自己免疫反応を抑制するように構成 された方法によるヒトにおけるIDDMの治療等に使用できる。糖尿病にシクロ スポリンAを用いた治療は腎障害をもたらす可能性がある。糖尿病は腎臓におけ る血管の遅発性障害をもたらすことがある。他の例としては、例えば、糸球体腎 炎、急性腎不全、移植の拒絶反応やネフローゼ性物質による腎障害、腎臓移植、 腎臓の毒性障害等の免疫学的に又は非免疫学的に発生する腎臓病がある。更に、 本発明は、移植時にドナーから除核した臓器が無事運ばれることを保証するため に臓器を保管し、移植手術までに問題が発生することを避け、該臓器が良い状態 で保存されることを保証する臓器輸送体等を含み、臓器移植に有用である。臓器 はGDNF保持又はGDNF応答性細胞を有するものである。好ましい具体例で は、臓器が腎臓である。GDNFを含むGDNFRアゴニストの使用や処置では 、腎臓機能の維持の成功を保証する。 ここで述べるように、本発明の目的には機能障害性胃腸筋又は身体の他の部位 に平滑筋障害を有する哺乳類の治療方法を提供することがある。胃腸筋は他の部 位の筋肉とは非常に異なる形で組織化され、制御される。胃腸管の骨格筋及び平 滑筋は両方とも、運動、分泌及び吸収を含む消化プロセスを全面的に制御し、胃 腸壁内に存在する非常に複雑な神経や筋肉のネットワークである腸神経系の支配 下にある。腸神経は、神経叢と称する、相互接続するネットワークに組織化され ている。この内、円形筋層と縦筋層の間に位置する腸筋層間神経叢が胃腸運動の 主調節機構である。(迷走性及び交感性経路を介して)中央神経系及び局所的反 射経路から信号を受ける。抑制的及び興奮性信号を両方隣接する筋に出力する。 よって、胃腸管の筋肉素張を制御する最終的神経経路は腸筋層間神経叢の神経細 胞である。胃腸管における総合的筋肉活動が、一方は筋肉を(主にアセチルコリ ンによって)短縮させ、他方は弛緩させる腸筋層間神経叢内の二つの神経系の対 向する作用のバランスによるものと見なすと分かり易い。しかし、両種類の神経 細胞とも腸筋層間神経叢内のアセチルコリンによって活動する。つまり、胃腸筋 緊張の制御におけるアセチルコリンの役割は複雑である。筋肉の近辺でエフェク ター神経から直接放出されるアセチルコリンは弛緩させるが、神経叢内では抑制 作用又は興奮作用を引き起こす。それに対して、胃腸管外の骨格筋は中央神経系 の神経によって直接支配される。胃腸管外の骨格筋における神経と筋肉との相互 作用は通かに単純であり、神経がアセチルコリンを放出すると、それが筋肉を弛 緩させる。最後に、胃腸管の筋緊張において腸筋層間神経叢が多分最も重要であ るが、決定要因はそれだけではない。実は、基礎平滑筋緊張は、神経活動の他に 内因性(筋原性)緊張や循環性ホルモンを含む様々な因子の総合作用によるもの と見なすことができる。例に示すとおり、GDNFRは胃腸筋及び支配神経細胞 内に存在する。その結果、本発明はアカラシア、下部食道括約筋の他の障害、オ ッディ括約筋機能不全、刺激反応性腸管症候群(Irritable Bowel Syndrome)及 び他の障害等を含む胃腸障害を治療するための組成物、方法及びデバイスを提供 する。 例えば、腸の習性の変化、腹痛及び検出可能な病理の非存在を特徴とする運動 疾患である刺激反応性腸管症候群(IBS)の治療方法を提供する。IBSは、 精神的因子やストレスを伴う状況等によってかなり影響されるその症状によって 認識できる。胃腸科に訪れる患者の内20%から50%がIBSに悩まされてい る。それ以外正常に思われる人の内、約14%にIBSの症状が現れる。この症 候群は、同様に発現する複数の疾患から成っている。IBSの主な症状(腸の習 性の変化、腹痛及び鼓脹)は腸内の運動性の増加や胃酸の過剰分泌の発現である 。胃腸管の活動は、副交感性及び交感性神経支配を介して中央神経系(CNS) 、 及び胃腸管自体に存在し、GDNFRを発現する腸神経系(ENS)によって神 経的に調節される。 他の実施例では、内在性GDNFRαレベルが低いか欠損のGDNFRα遺伝 子を有する哺乳類に、好ましくはそのようなレベルの低下が病理学的疾患を引き 起こすおそれがある場合やGDNFRα及びRetの活性がない場合に、GDN FRαを投与する。これらの実施形態では、全長のGDNFRαを患者に投与す る場合、遺伝子療法で受容体をコードしている遺伝子を患者に投与することが考 えられる。 遺伝子療法では、例えば欠損の遺伝子を交換するために、治療に効果的な遺伝 子産物の生体内合成の目的で細胞内に遺伝子を導入する。遺伝子療法とは、一度 の処理で持続する効果を得る従来の遺伝子療法も、治療に効果的なDNA又はm RNAを一度又は何度も投与する遺伝子治療剤投与法も含む。アンチセンスRN A及びDNAは、生体内で特定の遺伝子の発現を阻止する治療剤として利用でき る。短かいアンチセンスオリゴヌクレオチドは細胞内に導入すると、細胞膜への 取り込み制限により、細胞内濃度が低いにも関わらず、抑制剤として機能するこ とは既に発表済みである(Zamecnikほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:414 3-4146(1986))。オリゴヌクレオチドは、例えば陰性リン酸ジエステル基を無荷 電基で置換することで、取り込みを増強するように変更できる。 生細胞に核酸を導入する方法は様々である。それら方法は、試験管内で培養細 胞内にトランスフェクトするか宿主の細胞内に生体内でトランスフェクトするか によって異なる。試験管内で哺乳類細胞に核酸をトランスフェクトするのに適す る方法として、例えばリポソームの使用、電気穿孔法、微量注入、細胞融合、D EAE−デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法等がある。現在好まれている生 体内遺伝子転移法としては、ウイルス(通常レトロウイルス)ベクターを用いた 形質移入やウイルス性コートタンパク質−リポソーム形質移入(Dzauほか,Tren ds in Biotechnology,11:205-210(1993))等がある。状況によっては、例えば 細胞表面膜タンパク質又は標的細胞に特異性を有する抗体や標的細胞上の受容体 に対するリガンド等、標的細胞をターゲットする薬剤を核酸源に設けることが好 ましい。リポソームを用いる場合、エンドサイトーシスに関連する細胞表面 膜タンパク質と結合するタンパク質、例えば特定の細胞型に対して向性であるキ ャプシドタンパク質又はその断片、サイクリングの際に内部移行するタンパク質 の抗体、及び細胞内局所性をターゲットし、細胞内半減期を延長するタンパク質 等をターゲティング及び/又は取り込みを容易化するために使用できる。受容体 介入エンドサイトーシス法は、例えばWuほか,J.Biol.Chem.,262:4429-4432( 1987)及びWagnerほか,Proc.Natl.Acad Sci.USA,87:3410-3414(1990)に記載 されている。現在知られている遺伝子マーキング及び遺伝子治療プロトコルにつ いてはAndersonほか,Science,256:808-813(1992)を参照。 本発明はGDNFRα活性に対するアンタゴニスト(例えばGDNFRαアン チセンス核酸、中和抗体)も提供する。増加又は過剰レベルの内在性GDNFR α活性を有する哺乳類に、特にそのような増加又は過剰レベルのGDNFRα又 はRet活性が病理的障害をもたらす可能性がある場合、GDNFRαアンタゴ ニストを投与することが考えられる。 一実施態様では、体内で内在性リガンドを結合するためにGDNFRαアンタ ゴニスト分子を用い、特に血清内のGDNFリガンドレベルが正常の生理的レベ ルを越えている場合に、非感受性のGDNFRαをGDNFリガンドに応答する ようにする。 可溶性GDNFRαの医薬組成物は、更にGDNF又は他のGDNFRα結合 性アゴニストも含むことが可能である。GDNFの半減期を延長すること、GD NFの遅放性リザーバを設けること、内在性GDNFRα又はRetを活性化す ること、及び/又はGDNFRαに欠ける標的Ret発現性細胞にそれを補充し 、その細胞をGDNFに応答するようにすることが治療的に効果的であれば、こ のような例えばGDNF/GDNFRα複合体等を含む二成分組成物は有利であ る。 GDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストの治療用製剤は、所望の純度 のGDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストを、凍結乾燥ケーキ又は水溶 液の形態の生理的に許容できるキャリア、賦形剤又は安定剤と任意に混合する( Remington's Pharmaceutical Sciences,16thedition,Osol,A.,Ed.,(1980) )ことで、保管のために準備する。許容できるキャリア、賦形剤又は安定剤とは 、適用する投与量及び濃度では受給者にとって無毒性のものを意味し、リ ン酸、クエン酸及び他の有機酸等の緩衝液、アスコルビン酸等の抗酸化剤、低分 子量(残基数10個未満)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン又はイムノ グロブリン等のタンパク質、ポリビニルピロリドン等の親水性重合体、グリシン 、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸、グルコース 、マンノース又はデキストリン等の単糖類、二糖類又は他の炭水化物、EDTA 等のキレート剤、マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール類、ナトリウ ム等の塩基形成対イオン及び/又はトウィーン(tween)、プルロニックス(plu ronics)又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤等を 含む。 GDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストは、コアセルベーション法や 界面重合法によって得た(例えば、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンミ クロカプセル及びポリー(メチルメタシレート)ミクロカプセル等)ミクロカプ セル、コロイド薬剤投与システム(例えば、リポソーム、アルブミン微粒子、ミ クロエマルジョン、ナノ粒子又はナノカプセル等)、又はマクロエマルジョン中 に包括することもできる。このような方法はRemington's Pharmaceutical Scien cesに開示されている。 生体内に投与するGDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストは、無菌性 であることが必要である。これは、凍結乾燥及び再構成の前又は後に、無菌の濾 過膜で濾過することで容易に実施できる。GDNFRα、GDNF又はそれらの アゴニストは通常凍結乾燥状態又は溶液内で保管する。 GDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストの治療用組成物は、通常は無 菌のアクセスポートを有する容器、例えば静脈内溶液袋又は皮下用注射針で貫通 可能のストッパを有するバイアル等の中に設ける。 GDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストの投与経路は周知の方法に従 い、例えば特定の場合について上述する経路や静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、 眼内、動脈内又は病巣内注射又は注入等の一般的経路や下記の徐放システム等が ある。GDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストは、連続的に注入するか 又は大量瞬時注射することで投与する。通常、病状が許すならば、GDNFRα 、GDNF又はそれらのアゴニストを部位特異性投与用に製剤し、投与量を決め る ことが好ましい。投与法は、連続的又は定期的のいずれであっても良い。投与法 は、定常運動又はプログラマブル流量の埋込み式ポンプ、又は定期的注射によっ て実施できる。 徐放性製剤の適例としては、タンパク質を含む固体疎水性重合体の半透性マト リックスがあり、マトリックスはフィルム状又はミクロカプセル状等の形付けら れた物である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、Langerほか, J.Biomed.Mater.Res.,15:167-277(1981)及びLanger,Chem.Tech.,12:98-1 05(1982)に記載されているヒドロゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチル―メ タクリレート)等)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ乳酸(米国特許第3,773, 919号、EP 58,481)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミン酸の共重合 体(Sidmanほか,Biopolymers,22:547-556(1983))、非分解性エチレン―酢酸 ビニル(上記Langerほか)、Lupron Depot(商標)(乳酸―グリコル酸共重合体 及び酢酸ロイプロリドからなる注入可能な微粒子)等の分解性乳酸―グリコル酸 共重合体及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)等がある。 エチレン−酢酸ビニルや乳酸−グリコール酸等の重合体は100日以上分子を 放出できるが、特定のヒドロゲルはより短い時間タンパク質を放出する。カプセ ル化タンパク質は、長時間体内に残存すると、37℃で水分に曝されることで、 変性又は凝集し、生理活性の喪失や免疫原生の変化のおそれがある。かかる機構 によって安定性を得るための合理的な処置が考えられる。例えば、凝集機構がチ オ−ジスルフィド交換による分子間S―S結合であることが分かったら、スルフ ヒドリル残基を変更し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分量を調整し、適当な添加 物を使用し、特定の重合体マトリックス化合物を開発することで安定性を保証す ることができる。、 GDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストの徐放性組成物は、リポソー ム的に包括されたGDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストを含む。GD NFRα、GDNF又はそれらのアゴニストを含有するリポソームは、それ自体 周知である方法、例えば、DE 3,218,121、Epsteinほか,Proc.Natl.Acad.Sci .USA,82:3688-3692(1985)、Hwangほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 77:4030-4034(1980)、EP 52,322、EP 36,676、EP 88,046、EP 143,949、EP 142, 641、特願昭58-118008、米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号、及びEP 102 ,324等による方法によって生成する。通常、リポソームは、脂質含有量が約30 モル%以上コレステロールであり、選択される割合が適切治療法により調整され た微小(約200-800オングストローム)な単層状のものである。 GDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストは、局所的に塗る場合には、 キャリア及び/又はアジュバント等の他の成分と適宜組み合わせる。それら他の 成分の特徴については、生理的に許容でき、投与法に有効であり、組成物の主成 分の活性を劣化しないものであれば特に限定しない。 ゲル製剤を得るには、液体組成物として製剤したGDNFRα、GDNF又は それらのアゴニストを、局所的に塗るのに適した粘性のゲルを得るために有効な 量でPEG等の水溶性多糖類又は合成重合体を混合することができる。使用可能 な多糖類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、 カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロ キシプロピルセルロース等のアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロー ス及びアルキルヒドロキシアルキルセルロースを含むエーテル化セルロース誘導 体等のセルロース誘導体、デンプン又は分画デンプン、寒天、アルギン酸又はア ルギン酸塩、アラビアゴム、プルラン、アガロース、カラゲナン、デキストラン 、デキストリン、フルクタン、イヌリン、マンナン、キシラン、アラビナン、キ トサン、グリコゲン、グルカン、合成生体高分子、及びキサンタンゴム、グアル ゴム、ローコストゴム、アラビアゴム、トラガカンスゴム又はカラヤゴム等のゴ ム類、又はそれらの誘導体又は混合物がある。ここで、ゲル化剤としては、生理 系に対して無活性であり、無毒性であり、容易に製剤でき、薄すぎず、固すぎず 、中に含まれるGDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストを不安定化しな いものが好ましい。 多糖類は好ましくはエーテル化セルロース誘導体であり、更に好ましくは、例 えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキ シプロピルメチルセルロース等のメチルセルロースやヒドロキシアルキルセルロ ースの誘導体のような細かく定義され、精製され、USPに掲載されたものであ る。この内メチルセルロースが最も好ましい。 通常ゲル化に使用するポリエチレングリコールは適当な粘性を得るため低分子 量PEGと高分子量PEGの混合物である。例えば、分子量400−600のP EGと分子量1500のものとの混合物は、ペーストを得るのに妥当な割合で混 合するとこの目的には有効である。 多糖類やPEGについて述べる「水溶性」とは、コロイド溶液や分散液等も含 む。一般的には、セルロース誘導体の水溶性はエーテル基の置換度により決定さ れ、ここで使用される安定化誘導体は水溶性に成し得るに足りる量のエーテル基 をセルロース錯の無水グルコース一体当たり有することが望ましい。一般的に、 エーテル置換度は無水グルコース一体当たり0.35以上のエーテル基で十分で ある。又、セルロース誘導体はLi、Na、K又はCs等のアルカリ金属塩であ っても良い。 ゲルにメチルセルロースが使用されると、好ましくはゲルの2−5%の割合、 更に好ましくは3%の割合で存在し、GDNFRα、GDNF又はそれらのアゴ ニストはゲルの1ml当たり300−1000mgの量で存在する。 特定の状況において、インプラント可能な半透過性隔膜装置は薬剤の投与手段 として有用である。例えば、可溶性GDNFR、GDNF又はそれらのアゴニス ト、又はキメラを分泌する細胞をカプセル化し、その装置を患者の体内、例えば パーキンソン病の患者の脳内等にインプラントすることができる。Aebischerほ かの米国特許第4,892,538号、Aebischerほかの米国特許第5,011,472号、Aebisch erほかの米国特許第5,106,627号、PCT特許出願第WO 91/10425号、PCT特許 出願第WO 91/10470号、Winnほか,Exper.Neurology,113:322-329(1991)、Aebi scherほか,Exper.Neurology,111:269-275(1991)及びTrescoほか,ASAIO,38: 17-23(1992)等参照。よって、特定の条件によってそれを必要とする患者の体内 にGDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニスト、又はアンタゴニストを分泌 する細胞をインプラントすることを含む神経への損傷又はここで教示するような 腎臓等のGDNFR発現性又はGDNF応答性細胞への損傷を防止又は治療する 方法をも包含する。最後に、本発明は神経の損傷又はここで教示するような他の 細胞への損傷を防止又は治療する、GDNFR,GDNF又は それらのアゴニストに対して透過性であり、細胞に有害な患者からの成分に対し て不透過性である半透過性隔膜及びその隔膜内にカプセル化されるGDNFR、 GDNF又はそれらのアゴニスト(又は特定の条件によってはアンタゴニスト) を分泌する細胞を含むインプラント装置を包含する。GDNF又はGDNFRを 生成するよう生体外で形質転換された患者自身の細胞を直接的に、任意に無カプ セル化で、患者の体内にインプラントすることも可能である。生息する細胞の隔 膜カプセル化技術は当業者には周知であり、カプセル化細胞の準備や必要とする 患者内へのインプラントは分野において既知のとおり容易に実施できる。すなわ ち、本発明は、GDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニストを発生する本来 の能力を有することで選択されるかGDNFRα、GDNF又はそれらのアゴニ ストを分泌するよう転換された細胞をそれを必要とする患者の体内にインプラン トすることによって細胞の損傷、好ましくは神経の損傷を防止又は治療する方法 を包含する。好ましくは、患者が人間である場合、分泌されるGDNFRαは可 溶性の成熟ヒトGDNFRαである。GDNFとしては、成熟ヒトGDNF(W O93/06116)が好ましい。埋込体は好ましくは非免疫原性であり及び/ 又はインプラントされた免疫原性細胞を免疫系によって認識されることを防ぐ。 CNS投与においては、好ましいインプラント部位は脊髄の脳脊髄液内である。 GDNFRα、GDNF、又はそれらのアゴニストの治療的に適用するのに有 効な量は、例えば、治療目的、投与経路、患者の状態等に依る。そのため、治療 士は最適の治療効果を得るために必要な投与量を滴定し、投与経路を変更しなけ ればならない。通常、望ましい結果が得られる投与量に到達するまでGDNFR α、GDNF又はそれらのアゴニストを投与する。全身治療用の通常の一日量は 上述する因子に依り、1μg/kgないし10mg/kgの範囲内にあり、望ま しくは1μg/kgないし2mg/kg、更に好ましくは1μg/kgないし2 mg/kgである。他の一般提案として、組織内に約0.1ng/ccより多く 、効果的であるが必要以上毒性ではない最大量までのGDNFRα、GDNF、 又はそれらのアゴニストの濃度を確立できる量のGDNFRα、GDNF,又は それらのアゴニストを調整し、目的部位又は組織内に投与する。この組織内濃度 は可能であれば、連続注入、徐放、局所投与、GDNFRα(又はGDNF又は そ れらのアゴニスト)発現性細胞インプラント、又は実験的に決定された頻度での 注射で保持するべきである。この治療の進行状態は治療される病用の周知検定に よって容易に監視できる。GDNFRαをGDNFと複合又は併用して投与する 場合、GDNFRα対GDNF二量体の比率が100:1ないし1:100であ ることが有効である。比率は、好ましくは10:1ないし1:10、より好まし くは1:1、更に好ましくはGDNFRαのGDNFに対する自然結合比を反映 する2:1である。 GDNFRα核酸はここで例を挙げる組換え方法によるGDNFRαポリペプ チドの製法に有用である。そのGDNFRαは以下に述べる様々な用途を有する 抗GDNFRα抗体の生成に利用できる。 GDNFRα(ポリペプチド又は核酸)は試験管内で細胞のGDNF応答性を 増加させる(よって細胞生存率を増加し、Ret仲介下流経路を変調する)のに 使用できる。それら細胞は細胞表面Retを含むか含むよう変形されてなければ ならない。生体外で培養されるこれら細胞は、同時に、ここで述べるような他の 既知の神経栄養性因子又はサイトカインに暴露されてあっても良い。 本発明の更なる実施形態では、GDNFRαを、自然又は人工リガンドの内、 GDNFRαに結合するリガンドの親和精製する目的で使用できる。精製される リガンドの内、GDNFが好ましい。簡単に説明すると、この方法は(a)精製 されるべきGDNFリガンドが選択的に固定されたGDNFRαに吸着する状況 においてGDNFリガンド源を固定受容体に接触させ、(b)無吸着物を除去す るためにGDNFRα及びその支持体を洗浄し、(c)溶出緩衝液によってGD NFリガンドを固定GDNFRαから溶出する工程を含む。親和精製の特に好ま しい実施形態では、GDNFRαは不活性かつ多孔性の基質又は樹脂(例えば、 臭化シアンとの反応を経たアガローズ)に共有結合をしている。特に好ましくは タンパク質Aカラムに固定されたGDNFRαイムノアドヘジンである。次に、 GDNFリガンドを含有する溶液をクロマトグラフ材料を通過させる。GDNF リガンドはカラムに吸着し、その後溶出条件を変えることで(例えば、pHやイ オン性を変えることで)離脱される。新規リガンドはI125やビオチン化GDN F等の周知の標識GDNFRαリガンドの転移を監視することで検出できる。 GDNFRαはGDNFRαに結合する可能性のあるアゴニストやアンタゴニ ストの競争的スクリーニングに使用できる。これらのようなアゴニストやアンタ ゴニストはそれぞれ不充分又は過度のGDNFRα活性化に特徴を有する病を治 療するための治療薬を構成できるる。 GDNFRαに結合する分子を同定するための好ましい方法はアッセイプレー トの穴等の固相に付着したキメラ受容体(例えば、エピトープ標識GDNFRα 又はGDNFRαイムノアドヘジン)を利用する。任意に標識(例えば、放射標 識)できる候補分子の固定受容体への結合を測定することができる。あるいは、 I125GDNF等の周知の標識されたGDNFRαリガンドへ結合するための競 争を測定することができる。アンタゴニストのスクリーニングのためには、GD NFRαをGDNFリガンドに暴露してから推定上のアンタゴニストに暴露し、 又は同時にGDNFリガンドとアンタゴニストをGDNFRαに加え、アンタゴ ニストの受容体活性化を阻止する能力を評価できる。 本発明は、GDNFRαを強く発現し、つまりかなり低濃度のGDNFやGD NF式分子に対しても高い感受性を有する細胞を含む、GDNF活性を検出する 検定システムをも提供する。本発明は、ペプチドや非ペプチド化合物への暴露に よるGDNF活性又はGDNF活性に似た活性を発明のGDNFR分子を発現す るGDNFに応答する細胞又は株細胞におけるGDNFに対する生理反応を測定 することで検出できる検定システムを提供する。生理反応はGDNFのいずれの 生物学的作用を含むが、それはここで述べるものを含むが、それには限定されず 、他に特定の核酸配列の転写活性(例えば、プロモータ/エンハンサ要素と共に 構造遺伝子)、GDNF関連処理、翻訳又はリン酸化、Ret仲介作用を含むG DNFによって直接的又は間接的に誘発されるプロセスに反応する二次プロセス の誘発、及び神経突起発芽又は下神経節や後根神経節細胞、運動神経細胞、ドパ ミン作動性神経細胞、感覚神経細胞、プルキンエ細胞又は海馬細胞等の細胞の生 存を支持する能力などの形態学的変化をも含む。 本発明の一実施形態では、自己リン酸化Retタンパク質あるいはリン酸化E RK−1又はERK−2相同体(上記Kotzbauerほか参照)の発生の増 加を検出することによって、GDNFとGDNFRαとの機能的相互作用を観測 できる。 本発明はGDNF又はGDNF様活性を検出する目的で化合物をスクリーニン グするために使用できる新規検定システムの開発にも役立つ。GDNFと結合す る標的細胞は、GDNFRαをコードする核酸の形質移入により産生でき、例え ば蛍光活性細胞選別、ロゼットの沈降又は限界希釈等により確認及び隔離できる 。一度標的細胞の株が産生か認識されると、GDNFに対して極めて高感受性で ある細胞を選出することが望ましい。そのような標的細胞はGDNFRα分子を より多く有している可能性があり、例えば高発現性のものをフルオロホアでタッ ギングされたGDNFでマークした後、免疫蛍光検出や細胞選別をすることでG DNFRαを比較的大量に有する標的細胞はGDNFを多く結合する標的細胞を 選択することで確認できる。又、GDNFに極めて高感受性である細胞はGDN F結合に対して比較的強力な生理反応、例えばRet仲介作用又はc−fosや c-jun等の最初期遺伝子産物の急激な増加を示す可能性がある。GDNFに 対して極めて高感受性である標的細胞を使用した検定システムを開発することで 、本発明は低レベルのGDNF活性も検出可能な、GDNF又はGDNF様活性 を検出する目的のスクリーニング方法を提供する。 特に、本発明は組換DNA技術を使用し、GDNFに対して高感受性となるよ うに操作されたGDNF標的細胞を提供する。例えば、元々GDNF応答性であ る細胞にGDNF受容遺伝子を挿入し、組換GDNFR遺伝子を高レベルで発現 するようにし、得られた操作後の標的細胞が細胞表面において多数のGDNFR を発現するようにしても良い。又、標的細胞は、GDNF/受容体結合に反応し て高レベルで発現される組換遺伝子を含むように操作することもできる。このよ うな組換遺伝子は、好ましくは容易に検出できる物質と付随している。例えば、 これに限定されないが、最初期遺伝子の転写制御領域(すなわち、プロモータ/ エンハンサ領域)を標的細胞に導入された構造体のレポータ遺伝子の発現を制御 するために利用できる。最初期遺伝子/レポータ遺伝子構造体は、強力なプロモ ータ/エンハンサあるいは高いコピー数によって標的細胞において高レベルに発 現されると、GDNFR結合に対して増幅応答を発生することに利用できる。例 えば、これに限定されないが、GDNF応答性のプロモータはβガラクトシダー ゼ、成長ホルモン、クロラムフェニコールアセチル転移酵素、ネオマイシンリン 酸転移酵素、ルシフェラーゼ又はβグルクロニダーゼ等の検出可能なレポータ遺 伝子の発現を制御することに利用できる。当業者には周知であるこれらレポータ 遺伝子産生物の検出は医薬化合物のGDNF又はGDNF様活性に敏感な指標と して利用できる。 ここで述べるGDNF又はGDNFRαコード遺伝子構造体(例えば、可溶性 ECD)は、形質移入、電気穿孔、リン酸カルシウム/DEAEデキストラン法 及びセルガン等を含むこの分野において既知であるいずれの方法でも使用して挿 入できる。構造体や操作済み標的細胞は説明した方法を使用してその中からGD NF又はGDNFRα発現性標的細胞を選択できる、上記構造体を導入遺伝子と して有するトランスジェニック動物の産生に使用できる。 GDNFRをコードする、望ましくは非ヒト種の核酸、例えばマウスやラット のタンパク質はトランスジェニック動物を産生するかあるいは動物をノックアウ トするのに使用でき、これらは治療的に有用な試薬の開発やスクリーニングに使 用できる。トランスジェニック動物(例えばマウス)とは、出生前、例えば胚段 階で、その動物又はその動物の祖先に導入された導入遺伝子を含む細胞を有する 動物である。導入遺伝子とは、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノム に組み込まれたDNAである。一実施形態では、GDNFRαをコードするヒト 及び/又はラットのcDNA、又はその適当な配列を、周知の方法によりGDN FRをコードするゲノムDNA及びGDNFRをコードするDNAを発現する細 胞を有するトランスジェニック動物を発生するために使用されるゲノム配列をク ローンするために利用する。特にマウス等のトランスジェニック動物を産生する 方法は周知であり、例えば米国特許第4,736,866号や第4,870,0 09号に記されている。通常、特定の細胞を組織特異性エンハンサでのGDNF R導入遺伝子の導入の標的にし、これによって治療で望む効果を得ることが可能 である。胚段階で動物の生殖系列に導入されたGDNFRをコードする導入遺伝 子のコピーを有するトランスジェニック動物はGDNFRをコードするDNAの 発現増加の結果を調べるために使用できる。このような動物は、例えばGDNF 関連病を予防すると思われる試薬のテスタ動物として利用できる。発明の本実施 形態では、動物に試薬を投与し、導入遺伝子を有する無投与の動物に比べ病の出 現率が低ければ、病に対する治療的処置の可能性を示す。 現在はミニ遺伝子を有するトランスジェニックマウスが好ましいとされる。先 ず、実施例で述べるように、融合酵素発現性構造体を作成し、細胞培養の発現に 基づき選択する。次いで、既知の方法によりその融合酵素を発現可能なミニ遺伝 子を構成する。発現に組織特異性である転写制御因子を含むミニ遺伝子構造体を 持つホストが特に好ましい。 GDNFRを発現するトランスジェニックマウスは、例えば受精卵の回収、雄 性前核内へのDNA構造体の微量注入、及びホルモン操作された偽妊娠の乳母の 子宮への受精トランスジェニック卵の再注入等を含む既知の方法により産生する 。あるいは、例えばホスト種の胚幹細胞(Rossantほか,Philos.Trans.R.Soc .Lond.Biol.339:207-215(1993))や始原生殖細胞(Vickほか,Philos.Trans .R.Soc.Lond.Biol.251:179-182(1993))を使用した既知の方法によりキメ ラを産生する。導入遺伝子の挿入は子孫マウスの尾から調整したDNAのサザン ブロットによって確認できる。それらトランスジェニックマウスは戻し分配して ホモ接合体を得る。 導入遺伝子は、5'側にイントロンを含み、そのイントロンが天然である場合 より効率的に発現されることは既に確認済みである(Brinsterほか,Proc.Natl .Acad.Sci.USA,85:836(1988)、Yokodeほか,Science 250:1273(1990))。 GDNFRミニ遺伝子を発現するトランスジェニックマウスはトランスジェニ ックマウスを産生するための周知の方法を使用して産生する。トランスジェニッ クマウスは現在標準の方法によって構成する(ほか,Proc.Natl.Acad.Sci.U SA,85:836(1988)、Yokodeほか,Science 250:1273(1990)、Rubinほか,Proc.N atl.Acad.Sci.USA,88:434(1991)、Rubinほか,Nature,353:265(1991))。 時間制限交尾による受精卵はPBSで軽く洗浄して収集し、100nl末満のD NA溶液を微量注入して雄性前核に約104個のDNA分子を送り込む。注入が 成功した卵子は次に卵管転移によって偽妊娠の乳母に再移植する。微量注入され た卵子の内、トランスジェニックの子孫が得られるのは僅か5%にも満たなく、 この内僅か1/3しか能動的に導入遺伝子を発現しない。この数はお そらく導入遺伝子がゲノムに導入される場所に影響される。 トランスジェニック子孫は、好ましくは短い尾の断片からDNAを採取し、サ ザンブロットにより導入遺伝子の有無について分析すること(テイルブロット) でゲノム内の微量注入された導入遺伝子の導入を確かめることによって確認され る。プローブとして好ましくは導入遺伝子にのみ存在し、マウスゲノムには存在 しないミニ遺伝子融合構造体の一部である。あるいは、導入遺伝子内のコドンの 天然配列を同一ペプチドをコードする異なる配列で置換するとDNA及びRNA 分析によって確認できる独特の領域が得られる。このようにして確認された開祖 マウスは通常のマウスと繁殖させ、ヘテロ接合体を得て、これは戻し分配してト ランスジェニックマウスの系統を作る。その系統が確立してホモ接合性になるま で、各世代の各マウスのテイルブロットを分析する。各開祖マウス及びその系統 は、マウスゲノムに挿入された導入遺伝子の場所及びコピー数によって他の系統 とは異なり、そのため導入遺伝子の発現性も大きく異なる。各々確立した系統か ら複数の動物を選択し、生後二ヶ月で屠殺し、肝臓、筋肉、脂肪、腎臓、脳、肺 、心臓、脾臓、性線、副腎及び腸のRNAのノーザンブロットにより導入遺伝子 の発現性を分析する。 他に、GDNFRの非ヒト相同体は、動物の胚性細胞に導入されたゲノム変化 GDNFR・DNAと内在性のGDNFR遺伝子との間の相同的組換えによって 、GDNFRノックアウト動物、すなわちGDNFRをコードする欠陥又は変化 遺伝子を有する動物を構成するために使用できる。例えば、マウスのGDNFR ・DNAは周知の方法によりゲノム性GDNFR・DNAのクローニングに使用 できる。ゲノム性GDNFR・DNAの一部(例えば、細胞外ドメイン等をコー ドするエキソン)を除去したり、組み込みを監視するために使用する選択可能な マーカーをコードする遺伝子等他の遺伝子で置換することができる。通常、ベク タは無変化の側方DNA(5'側と3'側両方)を数キロベース含む(相同的組換 えベクタについてはThomas and Capecchi,Cell 51:503(1987)参照)。ベクタは 胚性幹細胞に(例えば電気穿孔法等によって)導入し、導入されたDNAが内在 性DNAと相同的に再結合した細胞を選択する(例えば、Liほか,Cell 69:915( 1992)参照)。選択された細胞は次に動物(例えばマウス)の胚盤胞内に注入さ れ、集合キメラを形成する(Bradley,in Teratocarcinomas and Embryonic Ste m Cells:A Practical Approach,E.J.Robertson,ed.(IRL,Oxford,1987), pp.113-152参照)。その後、キメラ性胚を適切な偽妊娠の雌性乳母に移植し、 孵化させてノックアウト動物を作る。胚細胞に相同的に組替えられたDNAを有 する子孫は標準の方法によって確認し、それらを利用して動物の全細胞が相同的 に組替えられたDNAを含む動物を繁殖させることができる。ノックアウト動物 はグラフトを許容し、腫瘍を拒絶し、感染症に対して防御する能力によって特徴 付けられ、基本的な免疫生物学の研究に使用できる。 本発明の実施により組換えDNA分子や変換されたア宿主動物を産生するため に使用できる上記の方法の他に、様々な周知の方法やそれらの変更によって発明 を実施することができる。例えば、米国特許第4,736,866号は胚細胞及び体細胞 が胚段階で動物又は動物の祖先に導入された遺伝子配列を含むトランスジェニッ ク非ヒト真核動物を産生するためのベクタ及び方法を開示する。米国特許第5,08 7,571号は(1)全ての胚細胞及び体細胞が胚段階で導入された組換え遺伝子配 列を含むトランスジェニック非ヒト哺類を設け、(2)該体細胞を一つ以上培養 することを含む細胞培養を作る方法を開示する。米国特許第5,175,385号は体細 胞及び胚細胞が、好ましくは微量注入によって、胚段階でマウス又はそのマウス の祖先に導入された遺伝子を含み、その遺伝子を所望の表現型を得るのに十分な レベルで発現するトランスジェニックマウスを産生するためのベクタ及び方法を 開示する。異種遺伝子発現を促進するために部分的に構成的なプロモータ、すな わちメタロチエネインプロモータを使用した。米国特許第5,175,384号は胚を導 入遺伝子を含むレトロウイルスに感染させることで胚に導入遺伝子を導入する方 法を開示する。米国特許第5,175,383号はマウスの泌尿生殖器において遺伝子を 発現するために有効である異種性及び誘導性のプロモータと操作可能に連結され た宿主に対して相同的な遺伝子を有し、導入遺伝子は胚段階でマウスに導入して トランスジェニックマウスを産生する、DNA構造体を開示する。相同性の遺伝 子が導入されるが、本来のコード配列における位置とは異なるサイトでマウスの 染色体に遺伝子を組み込むことができる。適当な誘導性プロモータとして重要M MTVプロモータが開示される。米国特許第5,162,215号はトランスジェニ ック動物を産生するために多能性幹細胞を使用してニワトリ、シチメンチョウ、 ウズラ又はカモ等の家畜種を含む鳥類のためのトランスジェニックベクタ及び方 法を開示する。米国特許第5,082,779号は遺伝子の組織特異性発現性を有するト ランスジェニック動物を産生するために使用できる下垂体特異性発現プロモータ を開示する。米国特許第5,075,229号は胎児の造血生肝細胞のゲノムに組み込ま れるよう、ベクタを宿主胎児の腹腔に注入することで、造血生肝細胞が肝臓特異 性プロモータによって促進される機能性遺伝子を含み、発現するトランスジェニ ックのキメラ動物を産生するベクタ及び方法を開示する。 上記の特許公報及び文献の内いずれかは本発明の範囲に属しない特定の遺伝子 産物又は物質の産生又は使用に関するが、それらに記述された方法は、発酵や遺 伝子工学の分野における当業者によって本明細書で説明する本発明の実施に応じ て容易に変更可能である。 本発明の検定システムは、GDNF関連病の治療に使用する医薬化合物の効率 的なスクリーニングを可能とする。例えば、これに限定されるものではないが、 腎臓や小脳の退化に対するGDNF活性及び治療有効性に関して医薬剤をスクリ ーニングすることが望ましい場合がある。本発明の一実施例では、GDNFに反 応する細胞を確認し、単離し、多穴培養板の微小穴内で培養する。被検剤添加又 はGDNF添加培養液を多数の希釈度で適切な対照と共に穴に加える。その後、 細胞を生存率の改善及び神経突起の発芽等について調べ、被検剤及びGDNFの 活性又は関連する活性を観測する。例えば、GDNFの様に毒性攻撃や軸索切断 に対し運動神経細胞死を防止できるGDNF様化合物を確認できる。GDNF応 答性運動神経や腸神経は、運動神経系や腸神経系病の治療に有用な化合物を確認 するための検定システムに使用できる。特定の病が特定の組織において欠損のG DNF応答に関連付けられると、その病に対する合理的な治療法は患者に外来性 のGDNFを供給することである。しかし、内在性のGDNFより長い半減期を 有し、GDNFアゴニストとして機能し、又は特定の組織を標的にした分子を開 発することが望ましい。よって、本発明の方法は、望む特長を有する分子を同定 するために使用できる効率的かつ敏感なスクリーニングシステムを得るために使 用できる。同様の検定システムによって、GDNFアンタゴニストも同定できる 。 又、本発明はGDNF及びその受容体の生理的役割を研究するための実験的モ デルシステムを提供する。このようなシステムは(1)GDNF結合の奪い合い で細胞受容体お競争する循環性のGDNFRαペプチドに曝され、GDNF不全 状態になっている動物、(2)GDNFRによって免疫化された動物、(3)G DNFRを高レベルで発現し、GDNFに対して過敏性であるトランスジェニッ ク動物又は(4)胚性幹細胞技術を使用してゲノムから内在性GDNFR遺伝子 が除去された動物等の動物モデルを含む。 更に、本発明はGDNF及びその受容体の生理的役割を研究するための実験的 モデルシステムを提供する。これらモデルシステムでは、GDNFRタンパク質 、ペプチドフラグメント又はその誘導体はシステムに供給されてもシステム内で 産出されても良い。このようなモデルシステムはGDNF過剰又はGDNF不全 の作用を調べるために使用できる。実験的モデルシステムは、細胞又は組織培養 内、動物全体内、動物全体又は組織培養システムにおける特定の細胞や組織内、 あるいはGDNFR発現が誘発性又は発達的に制御されるプロモータによって調 節される実施形態では特定の時間経過(胚形成時も含む)におけるGDNFに対 する反応の低下又は増加の作用の研究に使用できる。本発明の具体的な実施形態 では、CMVプロモータをトランスジェニック動物におけるGDNFRαの発現 の制御に使用できる。ここで述べるトランスジェニック動物は、微量注入法、細 胞融合法、形質移入法及び電気穿孔法を含む分野において周知であるあらゆる方 法によって産生できる。 本発明はGDNFRαに対して自己免疫反応を起こす自己免疫病のモデルシス テムを提供する。このようなモデルは免疫原的な量のGDNFRで免疫化され、 好ましくは抗GDNFR抗体及び/又は細胞仲介免疫性を有する動物を含む。モ デルシステムを作るためには、GDNFRを免疫性アジュバントと共に投与する ことが望ましい。 これに限定されるものではないが、例えば、過剰GDNF活性の作用を研究す るための実験的モデルシステムを作成できる。このようなシステムではモデルシ ステムの細胞を、操作されていない細胞に比べ、より多数のGDNFRを含むよ う操作し、GDNFに対する応答性を増大させる。これら細胞はRet、又はG DNFRαと相互作用を成し得、GDNF信号を仲介できる信号分子をも発現す るべきである。本来GDNFRを発現する細胞に選択的により多数のGDNFR を設けることが望ましい。細胞は、本発明のGDNFR遺伝子を保有するウイル スで感染することによって、GDNFRをより多数産出するように操作できる。 その他、形質移入によって、細胞にGDNFR遺伝子を設けても良い。モデルシ ステムが動物である場合、GDNFR遺伝子を保有するウイルスによる感染又は ここで述べる他の方法で組換えGDNFR遺伝子を動物の細胞内に導入すること ができる。例えば、GDNFR遺伝子を導入遺伝子として有するトランスジェニ ック動物を産生できる。GDNFRの発現を保証するためには、GDNFR遺伝 子を適当なプロモータ配列の制御下に置く。GDNFR遺伝子を構成的及び/又 は組織特異性プロモータの制御下に置くことが望ましい。細胞GDNFRの数を 増やすことで、内在性GDNFに対する応答性も増大させることができる。モデ ルシステムにはGDNFが少量しか存在しないか全く存在しない場合、システム にGDNFを添加することができる。過剰GDNF活性の作用を評価するために も、モデルシステムにGDNFを追加することが望ましい。GDNF(又は分泌 されたGDNF)の過剰発現は、GDNFRを既に発現する細胞における高レベ ルGDNFの作用を調べるために望ましい方法である。更に望ましくは、全細胞 においてGDNFRを発現し(一般発現)、どの細胞がGDNFに対する機能的 応答性を有するか判断することで、存在すれば、二つ目の受容体成分を確認でき るようにする。 GDNF活性の低下の作用について研究を行うために使用できる実験的モデル システムを作成できる。このシステムは、GDNFを必要とする治療の対象にな り得るプロセスや神経細胞の同定を可能とする。このようなシステムでは、細胞 の表面には結合していないかあるいはGDNFに対する反応を伝達しにくくなる よう操作された組換えGDNFRを設けることでGDNF応答性を軽減すること ができる。例えば、GDNFRタンパク質、ペプチド又は誘導体をシステムに供 給し、供給された受容体が内在性GDNFRとGDNF結合を奪い合い、GDN F応答性を軽減するようにできる。GDNFRはシステムに追加されるかあるい はシステムによって産生される無細胞受容体であっても良い。例えば、産生する 細胞から分泌される無アンカーGDNFRのような、膜貫通ドメインを有しない GDNFRタンパク質はシステム内の細胞によって産生される。その他、GDN FRタンパク質、ペプチド又は誘導体をシステム内の細胞外部位に設けることが できる。本発明の更なる実施形態では、相同体組換えによって組換えGDNFR 遺伝子を内在性遺伝子を無活性化あるいはノックアウトして、低GDNFRの細 胞、組織又は動物を作ることができる。例えば、これに限定されるものではない が、GDNFRを無活性化するネオ遺伝子等の挿入性変異を含むように組換えG DNFR遺伝子を操作する。このような構造体は、適当なプロモータの制御下で 、形質移入、形質導入又は注入等の方法によって胚幹細胞等の細胞に導入する。 その後、構造体をを含む細胞をG418抵抗により選択できる。無傷のGDNF R遺伝子を持たない細胞は、例えばサザンブロット、ノーザンブロット又は発現 性検定により同定できる。無傷のGDNFR遺伝子を含まない細胞は初期胚細胞 に融合して、GDNFR欠乏性のトランスジェニック動物を産生する。そのよう な動物を内在性GDNFを発現しない動物と比較すると、その表現型は完全に一 致するか否か決定できる。一致しない場合、他のGDNF様の因子や受容体の存 在を裏付ける。そのような動物は、通常GDNF又はその受容体に依存する神経 細胞集団等の特定の細胞集団や生体内プロセスを指定するために利用できる。よ って、その動物がGDNFRを発現できなく、そのためGDNFに反応できない 場合、それら集団やプロセスは影響を受けることが予想できる。その他には、内 在性の受容体とGDNFを奪い合う組換えGDNFRタンパク質、ペプチド又は 誘導体は、システム内の細胞の表面上で発現するが、GDNF結合に対する反応 を伝達しないように操作してあっても良い。上記の組換えGDNFRタンパク質 、ペプチド又は誘導体は、GDNFに対する内在性GDNFRの親和性と同様で あるかあるいは異なる親和性でGDNFと結合する。より有効にGDNFに対す る応答性を下げるには、GDNFRタンパク質、ペプチド又は誘導体は、内在性 の受容体が示すより高い親和性でGDNFと結合することが好ましい。GDNF Rタンパク質、ペプチド又は誘導体がモデルシステム内で産生されるのであれば 、そのGDNFRタンパク質、ペプチド又は誘導体をコードする核酸を感染、形 質導入又は形質移入によって、又は導入遺伝子として、システムに設けることが で きる。上述するように、GDNFR遺伝子は適当なプロモータによって制御され ても良く、それは例えば組織特異性プロモータ、誘発性プロモータ又は発生的に 調節されるプロモータであっても良い。本発明の具体的な実施形態では、細胞の 内在性GDNFR遺伝子は相同性組換えにより変異GDNFR遺伝子で置換され る。本発明の更なる実施形態では、GDNFRタンパク質の発現を低下させるた めに有効な量のGDNFRアンチセンスRNA又はDNAをGDNFR発現性細 胞に与えることによってGDNFR発現を低下させる。 GDNFRαポリペプチドは分子量マーカーとしても有用である。GDNFR αポリペプチドを分子量マーカーとして使用するには、分子量を実質的に通常の 方法で求めたいタンパク質を分類するために、例えばゲル濾過クロマトグラフィ 又はSDS−PAGEを使用する。ある範囲の分子量を得るためにGDNFRα 、好ましくは可溶性GDNFR及び他の分子量マーカーを基準とする。例えば、 ホスホリラーゼb(mw=97,400)、ウシ血清アルブミン(mw=68, 000)、卵白アルブミン(mw=46,000)、トリプシン阻害剤(mw= 20,100)又はリゾチーム(mw=14,400)をMWマーカーとして使 用できる。ここで述べる他の分子量マーカーはイリノイ州、アーリングトン・ハ イツのAmersham Corporationから購入できる。分子量マーカーは通常検出し易く するために標識が付される。例えば、マーカーをビオチン化し、分離後、多種の マーカーが光検出によって確認できるようにストレプトアビジン―西洋わさびペ ルオキシダーゼでインキュベートする。本発明のポリペプチドは動物の餌用の添 加物としても使用できる。本発明の核酸はポリペプチドを生成するために使用で きる。 精製されたGDNFRα及びそれをコードする核酸は、正常な成長又は異常、 つまり悪性な、成長におけるGDNFRα及びGDNFリガンドの役割を調べる ためのGDNFRα及びそのリガンドの機構研究の試薬としても販売できる。G DNFRプローブは、正常状態又は病状態においてGDNFに応答性を有する細 胞や組織を同定するために使用できる。例えば、GDNF関連病にかかっている 患者はGDNFR発言に異常を示す場合がある。本発明は細胞におけるGDNF R発現を検出することによってGDNF応答性の細胞を同定する方法を提供する 。 GDNFR発現はGDNFR・mRNAの転写やGDNFRタンパク質の生成に よって示される。GDNFR発現はGDNFR核酸やタンパク質を認識するプロ ーブを使用して検出できる。GDNFR発現の検出に使用できる一種のプローブ としては、切片上ハイブリッド形成法、ノーザンブロット分析法又はPCRによ る方法等を含むこの分野において既知であるあらゆる方法に従ってGDNFRを コードするRNAを検出するために使用できる核酸プローブがある。他に使用で きるプローブとしては、ここで述べるタグGDNFである。 本発明では、タグGDNFは、細胞内又は細胞上におけるGDNFのGDNF Rへの結合又は付着を促進する条件下で細胞と共にインキュベートする。多くの 場合、これは標準の培養条件で十分である。例えば、本発明の一実施形態では、 タグGDNFの存在下で細胞を30分間インキュベートする。本発明の他の実施 形態では、GDNF応答性細胞(以下標的細胞と称する)の表面上のタグGDN Fは、タグに結合可能な標識細胞を、タグGDNFを有する細胞と共にインキュ ベートし、標的細胞のタグGDNFに付着させ、結合した標識細胞がGDNFタ グ保有細胞の周囲にロゼットのようなクラスタを形成するようにするロゼット検 定法によって確認する。これらロゼットは通常の顕微鏡方法によりプレート上の 細胞で見ることができ、あるいは密度遠心法によりロゼット化細胞と非ロゼット 化細胞の分離を可能とする。本発明の好適な具体的実施形態では、神経細胞等の 標的細胞。本発明の他の実施例では、タグと反応する分子、好ましくは抗体が、 直接的又は間接的に蛍光を発生する免疫蛍光法を利用して標的細胞の表面上のタ グGDNFを検出する。蛍光は顕微鏡で観察するかあるいは蛍光活性化細胞選別 法によりタグGDNF保有細胞を隔離する。本発明は色素生産性タグや触媒作用 性タグ等の他の種類のタグを検出する方法も提供する。抗GDNFR抗体をプロ ーブとして使用することもできる。特定のタグの検出方法はタグから信号を発生 させるための条件によるが、当業者にとっては明らかであろう。 GDNFRα変異体は、使用される分析法によって認識できるもの、例えば抗 GDNFRα抗体等であれば、例えばELISA、RIA又はRRA等のGDN FRα検定法における基準や照準として使用できる。 通常、動物においてポリクローナル抗体は、該当する抗原及びアジュバントを 数回皮下又は腹腔内注射することで発生させる。好ましいエピト―プはGDNF RαのECD内にあるため、GDNFRaECD又はECDを含む分子(例えば 、GDNFRαイムノアドヘジン等)を抗原としてポリクローナル及びモノクロ ーナル抗体を発生させることが望ましい。抗原を、例えばマレイミドベンゾイル スルホサクシニミドエステル(システイン残基による抱合)、Nヒドロキシサク シニミド(リジン残基による)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2 又はR1N=C=NR(ここで、R及びR1は異なるアルキル基である)等の二 機能性又は誘導体化剤を使用してキーホールリンペットヘモシアニン、血清アル ブミン、ウシサイログロブリン又は大豆トリプシンインヒビタを免疫化する種に とって免疫原性のタンパク質に抱合することが有効である。 動物は、ペプチド又は抱合体を(ウサギ又はマウスにそろぞれ)、1mg又は 1μgを3倍量のフロイント完全アジュバントと混合して得た溶液を複数の部位 に皮内注射することで抗原、免疫原性抱合体又は誘導体に対して免疫化する。一 ヶ月後、動物をフロイント完全アジュバントで希釈したペプチド又は抱合体を元 の1/5から1/10の量を複数の部位に皮下注射して追加免疫する。7日から 14日後、動物から採血し、血清を検定して抗体価を求める。抗体価がプラトー するまで追加免疫する。望ましくは、動物は同一の抗原の抱合体で追加免疫する が、他のタンパク質に及び/又は他の架橋試薬によって抱合する。抱合体はタン パク質融合体として組換え細胞培養中で形成できる。又、免疫反応を増強するた めミョウバン等の凝集剤を使用する。 モノクローナル抗体は実質的に均質の抗体集団から得る、すなわち集団を構成 する各抗体は、僅かに存在する突然変異を除いて同一である。つまり、モノクロ ーナルという語句は抗体の特徴として別々の抗体の混合体ではないことを示す。 モノクローナル抗体は、例えばKohlerほか,Nature,256:495(1975)において 初めて記された複種細胞腫法又は組換えDNA法(上記Cabillyほか)によって 生成できる。 複種細胞腫法では、マウス又はハムスター等の適当なホスト動物を上述する方 法で免疫化することで、免疫化に用いるタンパク質に特異的に結合する抗体を生 成するかあるいは生成する機能を有するリンパ球を誘発する。又、リンパ球を試 験管内で免疫化することもできる。次いで、ポリエチレングリコール等の適当な 融合剤を用いてリンパ球を骨髄腫細胞に融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成す る。(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103( Academic Press,1986)) こうして準備されたハイブリドーマ細胞は、好ましくは無融合の親骨髄腫細胞 の成長又は生存を阻止する一種以上の物質を含有する適切な培地で播種し、育て る。例えば、親骨髄腫細胞が酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトラ ンスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠けていると、ハイブリドーマの 培地は通常ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT培地)等のH GPRT欠乏性細胞の成長を阻止する物質を含む。 効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定した高レベルの抗体生成 をサポートし、HAT培地のような培地に対して敏感である骨髄腫細胞が望まし い。その内、望ましい骨髄腫株化細胞として、米国カリフォルニア州、サンディ エゴのSalk Institute Cell Distribution Centerより購入可能であるMOPC −21及びMPC−11マウス腫や米国メリーランド州、ロックヴィルのAmeric an Type Culture Collectionより購入可能であるSP−2細胞から得られるよう なマウス骨髄腫株がある。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫 株化細胞やマウス・ヒト異種骨髄腫株化細胞も記されている(Kozbor,J.Immun ol.,133:3001 (1984)、Brodeurほか,Monoclonal Antibody Production Techni ques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)) 。 ハイブリドーマ細胞が成長している培地を抗原に対するモノクローナル抗体の 生成について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモ ノクローナル抗体の結合特異性は免疫沈降又はラジオイムノアッセイ(RIA) や酵素結合免疫測定法(ELISA)等の試験管内結合検定法によって求める。 モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunsonほか,Anal.Biochem.,10 7:220(1980)によるスキャッチャード分析法によって求める。 所望の特異性、親和性及び/又は活性を示す抗体を生成するハイブリドーマ細 胞が確認されたら、クローンを制限希釈工程を経てサブクローニングし、通常の 方法で育てることができる。(上記Goding)この目的を達成するための適当な培 地としては、例えばD−MEMやRPMI−1640倍地等がある。更に、ハイ ブリドーマ細胞は動物の生体内で腹水腫として育てることもできる。 サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えばタンパク質A セファロース法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー法、ゲル電気泳動 法、透析法又はアフィニティクロマトグラフィー法等の従来のイムノグロブリン 生成方法によって培地、腹水液又は血清から適切分離する。 MAbのGDNFと受容体との結合を阻止する能力は、入手可能な試薬(GD NFRαを発現する安定性形質移入CHO株化細胞であるrhGDNFr−Ig G)を用いてELISA及び生物検定によって評価できる。中性化作用は神経細 胞生存率検定法によって評価できる。 GDNFR特異性MAbは、例えば受容体イムノアドヘジン及び形質移入株化 細胞を使用して、アゴニストやアンタゴニストとして利用できるGDNFR特異 性MAbを生成するための免疫化プロトコルを導入する目的や免疫組織化学、免 疫細胞化学又はアッセイ開発のために利用できる。免疫化動物の融合により生成 されるMAbは生物検定法(例えば、神経細胞生存率検定法、信号伝達やリン酸 化、腎細胞生存率検定法)又はELISAやFACS(GDNF−GDNFR結 合の機能的ブロッキング)によってスクリーニングできる。適切な方法は、例え ばLucasほか,J.Immunol.145:1415-1422(1990)、Hoogenraadほか,J.Immunol .Methods 6:317-320(1983)、Moksほか,Eur.J.Biochem.85:1205-1210(1986) 、Laemmli,Nature(London)227:680-685(1970)及びTowbinほか,Proc.Natl. Acad.Sci.USA 76:4350-4354(1979)等に記されている。 モノクローナル抗体をコードするDNAは通常の方法によって(例えば、マウ ス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオ チドプローブ等を使用して)単離及び配列決定することができる。ハイブリドー マ細胞はそのようなDNAの好ましい起源である。一度単離されたら、DNAは 発現ベクタ内に設けることができ、その発現ベクタは、大腸菌、サルCOS細胞 、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又は骨髄腫細胞等のその他にイム ノグロブリンタンパク質を生成しないホスト細胞に形質移入することで、組換え ホ スト細胞内でモノクローナ抗体の合成を達成できる。細菌における抗体をコード するDNAの組換え発現に関する論文として、Skerraほか,Curr.Opinion in 188(1992)が挙げられる。 更なる実施形態では、McCaffertyほか,Nature,348:552-554(1990)による方 法を利用して、抗体又は抗体片を、産生された抗体ファージライブラリから単離 できる。Clacksonほか,Nature,352:624-628(1991)及びMarksほか,J.Mol.Bi ol.,222:581-597(1991)は、それぞれファージライブラリを使用したマウス及び ヒト抗体の単離を記す。その後の文献では、鎖シャフリングによる高親和性(n M領域)ヒト抗体の産生(Markほか,Bio/Technology,10:779-783(1992))や大 規模のファージライブラリを構成するために組み合わせ感染及び生体内組換えを 利用すること(Waterhouseほか,Nuc.Acids.Res.21:2265-2266(1993))が記 されている。これらの方法は従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ法に代わ るモノクローナル抗体を単離するための方法である。 DNAは、例えば相同生マウス配列をヒトの重鎖及び軽鎖定常ドメインで置換 すること(上記Cabillyほか、Morrisonほか,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,81:6 851 (1984))やイムノグロブリンコード配列に非イムノグロブリンポリペプチド のコード配列の一部又は全部を共有結合することで変更できる。 通常そのような非イムノグロブリンポリペプチドは抗体の定常ドメインの代わ りに置換するか、抗体の一つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに置換し、 ある抗原に対する特異性を有する抗原結合部位及び他の抗原に対する特異性を有 する他の抗原結合部位を含むキメラ性二価抗体を産生する。 キメラ性やハイブリッド抗体は架橋剤を用いるものを含む合成タンパク質化学 における既知の方法を使用して試験管内で調整することができる。例えば、ジス ルフィド交換反応を引き起こすこと又はチオエーテル結合を作成することで免疫 毒素を構成できる。この目的に適する試薬としてイミノチオレート及びメチル1 −4−メルカプトブチリミデート等がある。 非ヒト抗体をヒト化する方法は周知である。一般的に、ヒト化抗体は非ヒト由 来のアミノ酸残基が一つ以上導入される。これら非ヒトアミノ酸残基は、通常移 入物可変ドメインから得られる移入残基として知られる。ヒト化は基本的にげっ 歯類のCDR又はCDR配列でヒト抗体の該当する配列を置換することでウイン ター等(Jonesほか,Nature,321:522-525(1986)、Riechmannほか,Nature,332 :323-327(1988)、Verhoeyenほか,Science,239:1534-1536(1988))の方法を使 用して行える。よって、ヒト化抗体とは、ヒト可変ドメインより実質的に少ない 分が非ヒト種由来の該当する配列で置換されたキメラ性抗体(上記Cabillyほか )である。実際には、ヒト化抗体は通常ある程度のCDR残基及び場合によって はFR残基がげっ歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されるヒト抗 体である。 抗原性を軽減するには、ヒト化抗体を産生するために使用するヒトの軽及び重 可変ドメインの両方の選択が重要である。いわゆるベストフィット法では、げっ 歯類抗体の可変領域の配列を現在知られてるヒト化変配列ライブラリ全体に対し て比較する。げっ歯類のものと最も類似するヒトの配列をヒト化抗体のヒトフレ ームワーク(FR)として認める(Simsほか,J.Immunol.,151:2296(1993)、C hothiaほか,J.Mol.Biol.,196:901(1987))。他の方法では、軽又は重鎖の特 定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から引き出す特定のフレー ムワークを使用する。同じフレームワークを複数の異なるヒト化抗体に使用でき る。(Carterほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、Prestaほか ,J.Immunol.151:2623(1993)) 更に、抗体は、抗原に対する高親和性や他の好ましい生物学的特徴を保持した 状態でヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法で は、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト 化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調整する。三次元イムノグロブリンモデル は容易に入手可能であり、当業者には知られている。選択された候補イムノグロ ブリン配列の推測三次元高次構造的構造を図解し、表示するコンピュータプログ ラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補イムノグロブリン配列の 作用における残基の役割の分析、すなわち候補イムノグログリンの抗原と結合す る能力に影響を及ぼす残基の分析を可能とする。このようにして、例えば標的抗 原に対する高親和性等の望ましい抗体特徴が得られるように、FR残基をコンセ ンサス及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。 その他、現在では、免疫化することで、内在性イムノグロブリンが生成されな い状態でもヒト抗体の完全リパートリを生成することができるトランスジェニッ ク動物(例えばマウス)を産生することが可能である。例えば、キメラ性及び生 殖系列変異性のマウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)のホモ接合性削除は内 在性抗体生成の完全阻止を招くことが記されている。そのような生殖系列変異マ ウスにヒト生殖系列イムノグロブリン遺伝子配列を移すと、抗原による誘発はヒ トの抗体の生成を引き起こす。例えば、Jakobovitsほか,Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,90:2551(1993)、Jakobovitsほか,Nature,362:255-258(1993)、Brugge rmanほか,Year in Immuno.,7:33(1993)等を参照。ヒト抗体はファージ表示ラ イブラリ(Hoogenboomほか,J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marksほか,J.Mo l.Biol.,222:581(1991))によって産生することもできる。 二特異性抗体(BsAb)とは、二つ以上の異なる抗原に対して結合特異性を 有する抗体である。BsAbは腫瘍のターゲティング剤又はイメージング剤又は GDNFRαを含む細胞に対する標的酵素や毒素等として利用できる。そのよう な抗体は、抗体の全長又は抗体片(例えばF(ab')2二特異性抗体)から得ら れる。本発明によると、BsAbはGDNFRαと結合する一アーム及びサイト カイン又はTPO、EPO、G−CSF、IL−4、IL−7、GH、PRL等 の受容体、IL−3、GM−CSF、IL−5、IL−6、LIF、OSM又は CNTF受容体のα又はβサブユニット、又はIL−2受容複合体のα、β又は γサブユニット等の他のサイトカイン受容体(又はそのサブユニット)と結合す る別のアームを有することがある。 二特異性抗体を生成する方法は当該技術分野において周知である。従来の全長 二特異性抗体生成方法は、鎖が異なる特異性を持つ二つのイムノグロブリン重鎖 ―軽鎖対の共発現(Millsteinほか,Nature,305:537-539(1983))に基づく。イ ムノグロブリンの重鎖と軽鎖のランダムな混合により、これらハイブリドーマ( クアドローマ)は10種の異なる抗体分子を生成でき、その内一種のみが妥当な 二特異性構造を有する。妥当な分子の精製は、親和生クロマトグラフィ工程によ って行われるが、厄介であり、しかも収率は低い。同様な方法は1993年5 月13日発行のWO 93/08829及びTrauneckerほか,EMBO J.,10:3655-3656(1991) に開示されている。 他のより好ましい方法によれば、所望の結合特異性(抗体―抗原結合部位)を 有する抗体可変ドメインをイムノグロブリン定常ドメイン配列に融合する。融合 は、好ましくは少なくともヒンジ部、CH2部及びCH3部の一部を含むイムノ グロブリン重鎖定常ドメインにおいて起きる。少なくとも一つの融合には軽鎖結 合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)が存在することが望ましい 。イムノグロブリン重鎖融合をコードするDNA、そして望むのであればイムノ グロブリン軽鎖を、別々の発現ベクタに挿入し、適当なホスト生物に形質共移入 する。これは、構成に使用する三つのポリペプチド鎖が不等の比で使われる時に 最高の収率が得られる形態において、三つのポリペプチド片の比率を調整するた めの柔軟性をもたらす。しかし、二つ以上のポリペプチド鎖が同比率で発現する と高収率が得られる場合や比率が特に重要ではない場合には、一つの発現ベクタ に二つ又は三つのポリペプチド鎖のコード配列を挿入しても良い。 この方法の好適な形態では、二特異性抗体は、一方のアームに第一結合特異性 を有するハイブリッドイムノグロブリン重鎖を持ち、他方のアームにハイブリッ ドイムノグロブリン―軽鎖対(第二の結合特異性を有する)を持つ。このような 非対称的構造は、二特異性分子の一半分にのみイムノグロブリン軽鎖が存在する と容易に分解できるので、所望の二特異性化合物を不要なイムノグロブリン鎖の 組み合わせから分解し易くすることが見出された。この方法は1994年3月3 日発行のWO 94/04690によって開示された。二特異性抗体を生成するための具体 的な内容については、Sureshほか,Methods in Enzumology,121:210(1986)を参 照。 二特異性抗体とは架橋抗体やヘテロ抱合抗体を含む。例えば、ヘテロ抱合体の 一方の抗体がアビジンと結合し、他方はビオチンと結合していても良い。このよ うな抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせるこ と(米国特許第4,676,980号)及びHIV感染の治療(WO 91/00360、WO 92/2003 73及びEP 03089)等の用途が提案されてる。ヘテロ抱合抗体は適当な架橋方法に よって生成できる。当技術分野においては、適切な架橋剤は周知であり、 それらは複数の架橋法と共に米国特許第4,676,980号に記されている。 二特異性抗体を抗体片から作り出す方法も開示されている。下記方法は、特に 二特異性ではなくても、二価抗体片の生成に用いることができる。これらの方法 によれば、Fab'−SH片を大腸菌から回収し、化学的に結合させて、二価抗 体を生成する。Shalabyほか,J.Exp.Med.,175:217-225(1992)には、完全にヒ ト化されたBsAbF(ab')2分子の生成が記されている。大腸菌から別々に 分泌された各Fab'片は、試験管内で指導しながら、化学結合し、BsAbを 形成した。こうして得られたBsAbはHER2受容体を過剰に発現する細胞や 正常のヒトT細胞に結合し、ヒト乳腫瘍に対し、ヒト細胞障害性リンパ球の溶解 活性を誘発した。Rodriguesほか,Int.J.Cancers,(Suppl.)7:45-50(1992)を 参照。 組換え細胞培養から二価抗体片を直接生成し、隔離する様々な方法も記されて いる。例えば、ロイシンジッパを使用して二価ヘテロ二量体が生成された。Kost elnyほか,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)。Fos及びJunタンパク 質からのロイシンジッパペプチドを遺伝子融合によって二つの異なる抗体と結合 させた。抗体ホモ二量体はヒンジ領域において還元してモノマーとし、再酸化し て抗体ヘテロ二量体を得た。Hollingerほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90: 6444-6448(1993)に示すジアボディー技術はBsAbフラグメントを生成するた めの他の方法を提供する。フラグメントは、同じ鎖において二つのドメイン間の 対合が許されないほど短いリンカによって結合される重鎖可変ドメイン(VH) 及び軽鎖可変ドメイン(VL)からなる。従って、一つのフラグメントのVHドメ インとVLドメインは他のフラグメントの対応するVL及びVHドメインと対合す ることになり、二つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体を利 用してBsAbフラグメントの生成方法も報告されている。Gruberほか,J.Imm unol.,152:5368(1994)参照。 本発明のGDNFRαアゴニスト(GDNF及びGDNF/可溶性GDNFR α複合体を含む)及びアゴニストGDNFRα抗体は、化学療法又は放射能療法 及び移植を受けた患者の血液細胞系譜の再増殖を可能とし、脾臓の造血を促進す る。一般的に、アゴニスト又は抗体は脾臓内で造血細胞の増殖及び/又は分化( 特に増殖)を促進させるように働く。理諭に縛られずに考えると、GDNFRア ゴニストは脾臓内の造血細胞の成長、生存又は分化因子として直接働くか、及び /又は脾臓の間質性環境に間接的に働き(脾臓の神経支配に関わる神経細胞)、 造血系譜の維持に関与する他の因子を生成すると思われる。いずれの場合であっ ても、ここで教示するように、GDNFを含むGDNFRアゴニストは、放射能 療法又は化学療法後の骨髄の脾臓的移植の容易化や、貧血(赤血球)、慢性感染 (好中球)、骨髄不全(全系譜)及び免疫不足(リンパ球)による赤血球生成の 増加が要求される状況における(げっ歯類では通常であるがヒトにおいては通常 起きない)脾臓内の延髄外造血を刺激するために治療的効果を有する。同様に、 アゴニストは赤血球の減少を特徴とする病の治療に有用である。これら病の例と しては、貧血(大赤血球性及び再生不良性貧血を含む)、血小板減少症、発育不 全、免疫(自己免疫)血小板減少性紫斑病(ITP)及びHIV誘発のITPが ある。又、アゴニストは出血の患者の治療にも使用できる。 GDNF又はGDNFRα中性化抗体の治療適用例としては、GDNFRα発 現における代謝病及び細胞腫瘍、特にGDNFRαの過剰発現に特徴を有する腫 瘍等がある。 治療的応用においては、本発明のGDNF又はGDNFRα抗体は、大量瞬時 投与、経時的に連続注入するヒト静脈内投与、又は筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、 皮下、関節内、滑膜内、くも膜下腔内、経口、局所的及び吸入投与等の生理的に 許容される投与形態で哺乳類、好ましくはヒトに、投与される。抗体は、腫瘍内 、腫瘍周囲、病巣内、病巣周囲又はリンパにも適切投与することで、局所的及び 全身的治療効果を発揮する。 これら投与形態は、本来無毒性及び無治療性である生理的に許容されるキャリ アを含む。このようなキャリアの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステア リン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン 酸塩等の緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂 肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩類、又は硫酸プロタミン、リン酸水素二 ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ 、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質及びPEG 等 の電解液がある。GDNF又はGDNFRα抗体の局所的又はゲル型形態のキャ リアとしては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はメチルセルロース等 の多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン―ポ リオキシプロピレンブロックポリマ、PEG及び木質ワックスアルコール等があ る。全ての投与形態において、従来からの適当なデポ形態を使用する。その形態 は、例えばミクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、硬膏剤、吸入形態、点 鼻スプレー、舌下錠及び徐放性製剤等を含む。抗体は、通常0.1mg/mlな いし100mg/mlの濃度で媒体内に調剤される。 徐放性製剤の適例としては、GDNF又はGDNFRα抗体を含む固体疎水性 重合体の半透性マトリックスがあり、マトリックスはフィルム状又はミクロカプ セル状等の形付けられた物である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエス テル、上記Langerほか及び上記Langerに示すような(例えばポリ(2−ヒドロキ シエチル―メタクリレート)等)ヒドロゲル、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ 乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミ ン酸の共重合体(上記Sidmanほか)、非分解性エチレン―酢酸ビニル(上記Lang erほか)、Lupron Depot(商標)(乳酸―グリコル酸共重合体及び酢酸ロイプロ リドからなる注入可能な微粒子)等の分解性乳酸―グリコル酸共重合体及びポリ −D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸。エチレン―酢酸ビニルや乳酸―グリコル酸 などの重合体は100日以上も分子を放出できるが、特定のヒドロゲルはより短 時間に及んでタンパク質を放出する。カプセル化される場合、抗体は体内に長時 間残存するので、37℃で水分に曝されることで、変性し又は凝集し、生理活性 を失ったり、免疫原生が変化する可能性がある。かかる機構によって安定性を得 るための合理的な処置が考えられる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交 換による分子間S−S結合であることが分かったら、スルフヒドリル残基を変更 し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分量を調整し、適当な添加物を使用し、特定の 重合体マトリックス化合物を開発することで安定性を保証することができる。 徐放性GDNF又はGDNFRα抗体組成物とは、リポソーム的に包括された 抗体も含む。抗体を含むリポソームは、Epsteinほか,Proc.Natl.Acad.Sci. USA,82:3688(1985)、Hwangほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030(1980) 又は米国特許第4,485,045号及び4,544,545号等に示す当業者に周知である方法に よって製剤する。通常、リポソームは、脂質含有量が約30モル%以上コレステ ロールであり、選択される割合が最良の抗体治療を得るように調整された微小( 約200−800オングストローム)な単層状のものである。米国特許第5,013, 556号は、循環時間が増強されたリポソームを開示する。 病の防止や治療に使用する場合、GDNF又はGDNFRα抗体の投与量は上 述するように病の種類、病の重傷度及び経路、抗体が防止目的か治療目的で投与 されるか、以前の治療、患者の病歴及び手当てをする医師の指示等による。抗体 は一度に、又は一連の治療過程において適切投与される。 病の種類及び重傷度によって、患者への最初の投与量としてGDNF又はGD NFRα抗体を、一度か複数の投与又は連続注入のいずれであれ、1μg/kg ないし15mg/kg投与する。上述する因子によって、通常の一日量は1μg /kgから100mg/kgの範囲内である。数日間以上の繰り返し投与の場合 、状態によって、病の症状が望ましい程度抑えられるまで治療を維持する。一方 、他の投与量計画も有効になる可能性もある。この治療の進行状態は従来の方法 や検定法で容易に調べることができる。 本発明の化合物や方法による効果を評価するための動物モデルがある。例えば 、成長に影響する組成物(Tobak,1997、Tobackほか,1997)を損傷した腎臓の 治療に使用した場合の効果を評価ため、ラットに、体重1kgにつきHgCl2 の形態で水銀を1.0ないし1.1mg与え、急性非乏尿性急性腎不全の可逆症 候群を引き起こした。一日後、血清尿素の窒素濃度(SUN)とナトリウム及び タンパク質の尿中排泄、近位尿細管の壊死が大幅に増加した。二日目には、リン 脂質、DNA及びRNAの合成や分裂指数が増加し、細胞再生が開始したこと示 した。三日目には、SUNが最大値に達し、細管の基低膜に扁平上皮細胞が出現 する。五日目には、SUNが正常値に戻り、リン脂質合成が最大速度に達し、よ り成熟した細胞が細管に復帰する。自己分泌成長因子の組成物の注入の腎臓構造 に対する効果を、上述の昇コウ誘発急性細管壊死症候群の経過において、無処置 ラット及びキャリアのみ注入した動物と比較した。 本発明の抗体は親和性精製剤としても有用である。この工程では、対GDNF Rα抗体を、当分野では周知な方法によって、セファデックス樹脂や濾過紙等の 適当な支持体に固定する。次に、固定された抗体と、精製するべきGDNFRα を含有するサンプルとを接触させ、その後固定された抗体に結合したGDNFR α以外、サンプル内の物質を実質的に全て除去する適当な溶媒で、支持体を洗浄 する。最後に、pH5.0のグリシン緩衝液のような、GDNFRαを抗体から 離脱させる他の適当な溶媒で再度洗浄する。 GDNFRα抗体は、GDNFRαの診断用検定、例えば特定の細胞、組織又 は血清において発現を検出するためにも使用できる。診断に適用する場合、抗体 は通常検出可能な成分によって標識する。この検出可能成分は、直接的に又は間 接的に検出可能な信号を発生するものであれば、どんなものでも良い。例えば、 検出可能成分は、3H、14C、32P、35S又は125I等の放射性同位体、フルオレ ッセインイソチオシアネート、ローダミン又はルシフェリン等の蛍光性又は化学 発光性化合物、125I、32P、14C又は3H等の放射性同位元素標識、又はアルカ リホスファターゼ、βガラクトシダーゼ又は西洋わさびペルオキシダーゼ等の酵 素であっても良い。 Hunterほか,Nature,144:945(1962)、Davidほか,Biochemistry,13:1014(19 74)、Painほか,J.Immunol.Meth.,40:219(1981)及びNygrenほか,J.Histoch em.and Cytochem.,30:407(1982)等、ポリペプチド変異体を検出可能成分に別 々に接合できる、当分野において周知な方法ならいずれも使用できる。 本発明の抗体は、競合的結合検定、直接的又は間接的サンドイッチ検定、及び 免疫沈降検定等の周知の検定方法であれば、どんなものにも適用できる。Zola, Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147-158(CRC Press,Inc .,1987)。 競合的結合検定では、被試験サンプル分析物と共に限定された量の抗体に競合 的に結合させた場合の標識された標準物質の結合能力を観測する。例えば、被試 験サンプル内のGDNFRα量は抗体に結合する標準物質の量と反比例する。結 合される量を測定し易くするため、競合前又は競合後に抗体を不溶性化させて、 抗体に結合しなかった標準物質及び分析物を、結合した標準物質及び分析物から 簡便に分離できるようにする。 サンドイッチ検定では、検出するべきタンパク質の異なる免疫原性部分又はエ ピトープにそれぞれ結合する二つの抗体を用いる。サンドイッチ検定では、被試 験分析物を固体支持体に固定される第一抗体と結合させ、その後分析物に第二抗 体を結合させ、不溶性の三部複合体を形成する。例えば、米国特許第4,376,110 号を参照。第二抗体は、それ自体を検出可能部分で標識する(直接サンドイッチ 検定)か、検出可能部分で標識される抗イムノグロブリン抗体を使用して測定す る(間接サンドイッチ検定)。例えば、サンドイッチ検定の一種はサンドイッチ 検定であり、この場合には検出可能部分は酵素である。後述する本発明の具体的 実施例は、発明を説明するための例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものでは ない。 本出願において述べる文献、特許及び特許出願の開示内容を全てここにおいて 引用し、取り込む。 実施例 実施例1 GDNFRαのクローニング GDNF応答性のドーパミン作動性ニューロンを含むE14ラット胎仔の前中 脳組織を用いて、サイトメガロウィルス系発現ベクター中にcDNAライブラリ ーを作成した(Holmesほか,Science,253:1278-1280(1991))。1500のcD NAクローンのプールをCOS7細胞中にトランスフェクトし、推定上のGDN F受容体タンパク質の発現を、細胞にヨウ素化GDNFを結合させてオートラジ オグラフィーにより、あるいは結合性の非標識GDNFをGDNF抗体で染色す ることによって(Gearingほか,EMBO J.,8:3667-3676(1989))、検出した。3 30のcDNAプールをスクリーニングした。単一の陽性のプールを同定した。 このプールをより小さなプールに繰返して細分して、単一のcDNAクローンが 単離されるまで各プールをスクリーニングした。 cDNA(図1A−1Eに示される核酸配列)は、468のアミノ酸のシステ インに富む新規なタンパク質(全長の「GDNFRα」と称す)をコードするこ とが分かった。このタンパク質は、そのアミノ末端にシグナルペプチドを含み、 そのカルボキシ末端に23の疎水性アミノ酸の伸展を含んでいる(図2参照)。 グリコシル化能を有する3つの部位が示されている(図2)。カルボキシ末端の 疎水性配列の上流側には、GPI連結タンパク質に対する切断/結合部位となる (Micanovicほか,Proc.Nat;.Acad.Sci.USA,87:157-161(1990);Moranほか ,J.Biol.Chem.,266:1250-1257(1991))一群の小さいアミノ酸(アラニン セ リン セリン)が隣接している。30個のシステインが、サイトカイン受容体フ ァミリーにおけるシステインスペーシング(Bazan,Proc.Natl.Acad.Sci.US A,87:6934-6938(1990))に類似した形で配置されている。細胞外ドメイン(「 ECD」)の脇にはシグナルペプチドとGPI結合部位が位置している。 発現クローニングによって単離したcDNAに加えて、9の他のcDNAを、 GDNFRacDNAをプローブとして用いてラット(4)とマウス(5)のc DNAライブラリーから単離した;これらのうち、8のcDNAがGDNFRα と同一のオープンリーディングフレームを含む一方、一つのラットcDNAが1 58のアミノ酸の更に短いオープンリーディングフレームをコードしており、こ れがこのタンパク質の異常型又は分泌型を表している。 クローン26と称する一つの独立したcDNAは、全長のGDNFRαのオー プンリーディングフレームを含んでいるが、プローブとしてラットのGDNFR αcDNAを用いてマウスのcDNAライブラリーからこれを単離した。マウス のGDNFRαクローン(一又は複数)の5’末端の配列は、以下のように下線 が付された翻訳メチオニンの開始コドンを備えている:又、マウスのGDNFRα配列のC末端をコードする配列は、以下のように下線 が付されたC末端セリンコドンを備えている: これらの配列は、アミノ酸と核酸の双方のレベルで図1A−1Eのものと高度に 相同的である。 本発明において用いられる他の配列、特にヒト変異体を含む更なるGDNFR 配列を同定するためのプローブとして用いる他の配列は、以下のye83h05 .rlと称するヒトEST由来の配列又はその断片: ;及び以下のyI70a10.rlと称するヒトEST由来の配列又はその 断片: を含むか、それらからなる。 又興味があるものは、上記の二配列由来の配列断片、及びこれらの断片を含ん でなる核酸又はこれらの断片によってコードされるアミノ酸配列を含んでなるタ ンパク質であり、例えば: である。 実施例2 GDNFRαはGDNFに結合する GDNFとGDNFRαとの間の相互作用の性質を決定するために、GDNF Rαを安定して発現するチャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いて架橋及び競 合結合実験を実施した。GDNFRαを安定して発現するチャイニーズハムスタ ーの卵巣(CHO)細胞又は無関係なタンパク質を、PIPLC(2ug/ml )の有、無の何れかの条件下で37℃で1時間インキュベートし、ついで1mM のフェニルメチルスルホニルフロリドと50pM125I−標識GDNFを含む氷 冷のL15培地中に1−2x106/mlの密度で再懸濁させ、2時間の間4℃ でインキュベートした。30分かけて室温で4%の最終濃度になるまでホルムア ルデヒドを加えた。この細胞を1mlのリン酸緩衝食塩水で3回洗浄した。つい で、この細胞をサンプルバッファー(SDS−ポリアクリルアミドゲル上に8 0mMのトリス−HCl[pH6.8]、10%[v/v]のグリセロール、1 %[w/v]のSDS、0.025%のブロムフェノールブルーを載せたもの) に溶解させた。およそ85kD、180kD及び200kDの3種のタンパク質 が、GDNFRαを発現する細胞中においてI125GDNFに架橋していること が検出された(図3)。これらのタンパク質は、過剰の非標識GDNFが有る状 態で架橋反応が起こるとき、又はI125GDNFが無関係な細胞表面タンパク質 を発現する細胞に架橋したときは、存在しない(図3)。〜80−85kDaの タンパク質バンドはおそらくは58kDaのGDNFRαと15kDaのGDN Fモノマーの複合体を表しており、更に高分子量のバンドは、I125GDNF、 GDNFRα及びRet(以下を参照)のような推定上のシグナル伝達分子の間 の相互作用を表しているか、I125GDNF/GDNFRα複合体の二量体化を 表しているのであろう。I125GDNFの架橋は、GPI結合(図3)を特異的 に切断する酵素であるホスホイノシチド特異的ホスホリパーゼC(PIPLC) によって処理することによって事実上消滅し、GDNFRαがいかにも高親和性 のGPI連結GDNF結合タンパク質であるという知見を裏付けている。 競合結合実験は、更に、GDNFがGDNFRα発現細胞に特異的かつ可逆的 に結合することを示している。平衡結合分析のために、細胞を前のようにプロセ ッシングし、50pMのI125標識GDNFと種々の濃度の非標識GDNFでイ ンキュベートした。Kdを決定するためにIGORプログラムを用いた。GDN FRαを安定して発現するチャイニーズハムスターの卵巣細胞にI125GDNF を競合結合させることにより、GDNFがGDNFRαに特異的かつ可逆的に結 合すること、又2つの細胞がおよそ63pMのKdで相互作用をすること(図4 ;スキャッチャード分析挿入)が証明された。 GPI連結に対するコンセンサス配列が有ることから予想されるように、GD NFRαを提示するファックスソート細胞のPIPLC処理により、GDNF結 合が減少した(図5)。ファックスソートにおいては、GDNFRαを安定して 発現するチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞又は無関係の対照タンパ ク質を、SV40のプロモーターの制御下で、PIPLC(2ug/ml)の有 、無の何れかの条件下で37℃で1時間インキュベートした(Kokeら,Prot. Exp.Purification,2:51-58(1991))。GDNF(100ng/ml)と抗GD NFモノクローナル抗体(60/c;100ug/ml)を次に添加し、細胞を 更なる30分の間インキュベートした。ついで蛍光抗IgGモノクローナル抗体 (Vector Inc.)を添加し、細胞をフローサイトメーター細胞ソーターを用いて ファックスソートした。平衡結合GDNFがGDNFRα発現細胞に特異的かつ 可逆的に結合することを示している。GDNFRαを発現する細胞に対する125 IGDNFの平衡結合は、PIPLCでの処理で90%を越えて減少した。 これらの結果は、GDNFRαが高親和性のGDNF結合タンパク質であること を示している。 実施例3 CDNFRαの組織分布 CDNFRαtmRNAの組織分布をノーザンブロット法並びに切片上ハイブ リッド形成分析法を用いて調べた。成体ラット細胞におけるGDNFRα転写物 のノーザンブロット分析を実施した。ノーザンブロット法は、商業的に利用でき る多重組織ブロット(Clontech,Palo Alto,CA)を用いて実施した。およそ3 .7kbの転写物が厳密な条件下で成体の脳、肝臓及び腎臓において検出された 。 中矢印部(midsagittal section)、前中脳、脊髄及び腎臓領域を含んだE1 4ラットの胎仔組織に対するGDNFRαプローブの切片上ハイブリッド形成を 実施した。切片上ハイブリッド形成では、組織を4%の冷ホルムアルデヒドに浸 漬して固定し、20%のスルコースで平衡化させ、20μmの切片とし、GDN FRαの全コード領域をプローブとして用いて先に記載されたようにして(Fonn um,J.Neurochem.,24:407-409(1975))プロセシングを行なった。又、E15 .5ラットの胎仔の切片上ハイブリッド形成を行なった。胎仔を4%のパラホル ムアルデヒド中で4℃にて一晩浸漬固定し、ついで15%のスクロース中で一晩 凍結保護した。成体ラットの脳と脊髄を新鮮凍結した。組織を16μmの切片と し、記載されたように(HendersonほかScience 266:1062-1064(1994))33P−U TP標識RNAプローブを用いて切片上ハイブリツド形成のプロセッシングを行 なった。センス及びアンチセンスプローブをT7ポリメラー ゼを用いてGDNFRαのN末端領域から引き出した。逆転写酵素ポリメラーゼ 連鎖反応分析を、記載されているようにして(HendersonほかScience 266:1062- 1064(1994))実施した。 GDNFRα転写物は、前中脳(ドーパミン作動性ニューロン)、前脊髄(脊 髄運動ニューロン)を含む、GDNF応答性のニューロンが存在する領域中、及 びGDNF依存性の後根神経節(DRG)ニューロンの亜集団中に存在していた 。E14ラットの胎仔の神経系には、GDNFRαのmRNAが、GDNF応答 性のドーパミン作動性及び運動ニューロンが存在する前中脳と前脊髄のような領 域において見出され、又橋、延髄、脈絡叢、小脳原基、間脳及び網膜において見 出された。GDNFRαの転写物は、ウィスカー濾胞、皮筋、舌、腎臓、食道、 中腸、胃、精巣、生殖結節と肛門管にも又見出された。GDNFRαの転写物は 、E15.5ラットの中脳蓋の外層、脈絡叢、小脳原基、嗅上皮、ウィスカーパ ッド、生殖結節、泌尿生殖器洞、精巣、椎間板及び気管に見出された。成体ラッ ト神経系において、GDNFRαのmRNAが、後根神経節、前角、網膜、外側 中隔、皮質の内層の錐体及び顆粒細胞、膝状核、前中脳、上小脳、視床、橋、及 び延髄において検出された。GDNF欠乏マウスでは腎臓と腸内神経系が発育し ないという知見(以下の実施例を参照)と一致して、高レベルのGDNFRαの mRNAが、発育しているニューロン中及び食道、腸及び胃の腸内神経系の回り の胚平滑筋と横紋筋中に存在する。GDNFRα転写物が、又、下垂体、泌尿生 殖器路及び膵臓原基を含む非ニューロン組織中に見出された。運動ニューロンは GDNFRαとc−retの双方を発現する。Ret抗血清での免疫組織化学的 染色により、発育しているネフロン中にRetが存在することが明らかになった 。腸において、GDNFとGDNFRαは、腸内神経系に隣接する内側輪状平滑 筋と外側縦走平滑筋の間、そして恐らくは腸内神経系内に存在する一方、Ret は腸内神経系中にのみ存在する。 実施例4 GDNFRαがGDNFに対する応答を媒介する GDNFRαタンパク質がGDNFの必須の生理学的メディエータであること を決定するには、一次胚性、頭蓋感覚及び運動ニューロンを、GPI連結タンパ ク質を特異的に切断する(Shukla,Life Sci.,10:1323-1335(1982);Rheeほか, Science,244:546-550(1989))ホスホイノシチド特異的ホスホリパーゼ(PIP LC)によって処理し、GDNF又は他の因子の存在下でのそれらの生存をモニ ターした。胚性ニワトリの結節、三叉神経節及び交感神経節ニューロン(Buj-Be lloほか,Neuron 15:821-828(1995))、E14ラットの運動ニューロン(Hender sonほか,Science 266:1062-1064(1994))及びE14ラットのドーパミン作動性 ニューロン(Bazan,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6934-6938(1990))を単 離し、三つ組のウェルプレートに蒔き、生育させた。表示された成長因子の添加 前1−2時間、並びに添加後12時間及び24時間に表示サンプルにPIPLC (2−4ug/ml)を添加し、生存しているニューロンのを30時間及び72 時間後に決定した。飽和濃度のGDNFの存在下で生存している胚性ニワトリの 結節及び三叉神経節又は交感神経節ニューロンの数は、PIPLC処理の後に5 0−70%減少した。PIPLCの存在下では、これらのニューロンの脳由来の 神経栄養因子(BDNF)又は神経成長因子(NGF)に対する応答には変化が 観察されなかった(図6及び9A)。同様に、PIPLC処理は、BDNF又は TGFβ3の存在下でニューロンを生存させることないで、GDNFの存在下で 生存したE14脊髄運動ニューロン又はドーパミン作動性ニューロンの数を50 −90%減少させた(図7及び図9A)。これらの異なる系で、PIPLCは1 0pg/mlと低いGDNF濃度でGDNFの生存促進効果を減少させており、 GPI連結受容体分子がGDNFに対する高親和性応答に対して必要であること を示唆している。加えて、GDNFが結節感覚ニューロン(ニワトリの結節ニュ ーロンに対するEC50が6.1ng/mlである;BujBelloほか,Neuron,15:8 21-828(1995))に対して1ug/ml(EC50より2x108倍多い)及び運動 ニューロンに対して0.1pg/ml(Henderson,Science,266:1062-1064(19 94))で適用されたときでさえ、PIPLCが効果的であった。これらの高い濃 度はPIPLC処理の効果を逆転させず(図6、7及び9A)、GPI連結タン パク質が、細胞膜からのその放出に続いて、GDNFを結合し、その有効濃度を 減少させる可能性を排除する(図9 A)。 GDNFRαに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、一次胚性運動及び 頭蓋感覚ニューロン中におけるGDNFRαの発現を阻止するために用いた。オ リゴデオキシヌクレオチドを図1に示すGDNFRαの領域に対して合成した。 GDNFが対照培養及び有意オリゴヌクレオチドを含む培養におけるこれらの二 ューロンの生存を促進したが、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む培養にお いてGDNFに対する応答は観察されなかった。これに対して、BDNFの生存 促進効果はGDNFRαのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む培養と対照培 養において同じであった。 可溶性GDNFRαタンパク質を産生し、PIPLC処理運動及び感覚ニュー ロンにおけるGDNF応答を回復させるために用いた。過去の研究では、可溶性 形態のGPI連結CNTF受容体(CNTFRα)の添加によりCNTFに対す る応答性が得られることが証明されている(Davisほか,Science,259:1736-173 9(1993);Panayotatosほか,Biochem.,33:5813-5818(1994))。今回の場合、上 述のように、GDNFだけでは多くのPIPLC処理運動ニューロンの死亡を防 止できないが、100ng/mlで可溶性GDNFRαを添加すると、PIPL C処理の、一次運動及び感覚ニューロンにおけるGDNFの生存促進効果を完全 に回復した(図9B)。従って、GDNFRαはGDNF応答性ニューロンに発 現され、CNTF(Davisほか,Science,253:59-63(1991);Ipほか,Neuron,10 :89-102(1993))及びエンドトキシン(LPS)(Leeほか,Proc.Natl.Acad. Sci.USA,90:9930-9934(1993))ハに対する受容体のように、グリコシルホスフ ァチジルイノシトール(「GPI」)連結(Lowほか,Science,239:268-275(19 88))によって細胞膜に結合される。 神経突起成長活性をPC12細胞で決定した。クロム親和細胞腫は、無血清培 地における生存に対して神経栄養因子に依存性であり、低いレベルのRet(こ こにデータを示す)を発現するが、GDNF、可溶性GDNFRαあるいは双方 の存在下で血清なしに成長し、7日後に調べた。可溶性GDNFRαは、293 のヒトの胚性腎臓細胞においてカルボキシ末端Hisタグタンパク質としてつく り、記載されたようにして(Moranほか,J.Biol.Chem.,166:1250-1257 (1991))Ni−NTAクロマトグラフィーにより精製した。PC12細胞は、1 0%のウマの血清と5%のウシ胎仔を補填したRPMI培地中においてコラーゲ ンポリオルニチン被覆35mm皿上に播種した。付着に続いて、細胞を血清フリ ー培地に切り替え、ついで示したように(図9C)GDNF(100ng/ml )と可溶性GDNFRα(sRα)に暴露した。顕微鏡視野当たりの生存神経突 起を担持する明相細胞の数を、記載されたようにして(Micanovicほか,Proc.N atl.Acad.Sci.USA,87:157-161(1990))7日後に決定した。GDNF又は可 溶性GDNFRαだけでは、ほんの僅かの神経突起担持、明相の生存細胞が見つ かっただけであった。これに対して、PC12細胞がGDNFと可溶性GDNF Rαの双方に曝露されると、神経突起を持つ生存細胞の数の増加が観察された( 図9C)。可溶性GDNFRα(sRα)とGDNFの組合せにより、PC12 細胞の神経突起成長応答を誘発した。可溶性GDNFRαはPC12細胞にGD NF応答性を付与した。GDNFRαは従ってGDNFシグナル伝達カスケード の重要な成分であり、機能GDNF受容体のリガンド結合サブユニットに予想さ れる性質を有している。 実施例5 GDNFRαとRetはGDNF−受容体複合体を形成する GDNFRαは細胞の外表面に結合しているので、GDNFRαへの結合に続 くGDNFシグナルの伝達は更なる膜貫通タンパク質に関与している。GPI連 得Kツ結合タンパク質を有する、TGFβタンパク質スーパーファミリーの他の メンバーは、そのGDNFがメンバーであるが、膜貫通セリンスレオニンキナー ゼ受容体も又有している(レビューには、Massaqueほか,J.Biol.Chem.,266: 20767-20772(1991);Cheifetzほか,J.Biol.Chem.,266:20767-20772(1991)を 参照)。GDNFRαの構造は、CNTF(Davisほか,Science,260:1805-180 9(1993))及びエンドトキシン(LPS)(Leeほか,Proc.Natl.Acad.Sci.U SA,90:9930-9934(1993))に対する受容体複合体のように、GDNFの受容体複 合体は、リガンド結合成分(ここに開示されているGDNFRα)とgp130 のような膜貫通性シグナル伝達分子を含むサブユニ ットからなることを示している。オーファンチロシンキナーゼ受容体c−ret (Schuchardtほか,Nature 367:380-383(1994);Durvecほか,Nature 381:789-79 3(1996)により最近確認された)を欠損するマウスの表現型は、初めて作成しこ こで調べたGDNF欠乏マウスの表現型に驚くべき類似性を有している。又、R etの細胞分布は(Pachnisほか,Development 119:1005-1017(1993);Avantaggi atoほか,Cell Growth Diff.5:305-311(1994);Tsuzukiほか,Oncogene 10:191- 198(1995);Davisほか,Science 259:1736-1739(1993))GDNFRαに対す るもの(データは示していない)と類似していた。GDNFが、GDNFRαと 複合化してGDNF応答をシグナル伝達し媒介する膜貫通受容体、すなわちRe tを有していることを確認するために、GDNFRαとRetの物理的相互作用 を決定した。内因性c−retを発現する株化細胞である、ヒト神経芽細胞腫S K−N−SHとマウス神経芽細胞腫Neuro−2aはGDNF単独、又は可溶 性GDNFRαと組み合わせられたGDNFに5分間暴露し、Retチロシンリ ン酸化のレベルを決定した。Retのチロシンリン酸化を検定するために、細胞 をPIPLCとともに又はPIPLCなしに37℃で1時間インキュベートし、 37℃で5−10分間種々の濃度のGDNFと可溶性GDNFRαにさらした。 ついで、細胞をPBS中に含めた2mMのEDTAでプレートから取り除き、氷 冷バッファー(10mMのリン酸ナトリウム[pH7.0]、100mMのNa Cl、1%のNP40、5mMのEDTA、100mMのバナジン酸塩、2mM のPMSF及び0.2単位のアプロチニン)で溶解し、Retの19アミノ酸カ ルボキシ末端に対してとられ、タンパクA SEPHAROSEに結合させて、 抗血清での免疫沈降に用いた。免疫沈降タンパク質はSDSサンプルバッファー 中で煮沸することによって放出させ、8%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上 に分離し、ニトロセルロース膜に移し、抗ホスホチロシン抗体(Upstate Biotec hnology,Inc.)と反応させた;検出はECLウェスタンブロット検出システム (Amersham Life Science)で行った。Retの量を増大させるために、SK− N−SH細胞をGDNFの添加の12時間前に10nMのレチノイン酸で処理し た。 GDNFはこれらの2つの株化細胞ではRetの穏やかなリン酸化を誘導した (図10A)が、ヒトGDNFRαを安定に発現するNIH3T3細胞では誘導 しなかった(データは示さず)。Retリン酸化はGDNFがGDNFRαとと もに加えられたときは更に増加したが、GDNFRαが単独で加えられたときは 増加しなかった(図10A、データは示さず)。Retチロシンリン酸化の誘導 がGDNFRαの存在に依存するかどうかを決定するために、Neuro−2a 細胞とSK−N−SH細胞をPIPLCで処理し、GDNFに対するRetの応 答を調べた。GDNFに対する生存応答はGDNFRαの存在を必要とするとい う知見に一致して、Retに対するチロシンリン酸化の誘導はGDNFだけが存 在する場合にはこれらPIPLC処理細胞中に検出されなかった。これに対して 、170kDaのRetタンパク質のチロシンリン酸化の刺激は、GDNFが可 溶性のGDNFRαとともに加えられたときにはPIPLC処理Neuro−2 aとSK−N−SH細胞において即座に観察された(図10A、データは示さず )。 GDNFはRetのチロシンリン酸化を刺激したが、RetへのGDNFの高 親和性結合は、高レベルの内因性Retを発現するNeuro−2a細胞又は組 換えRetタンパクを発現する細胞中では検出されなかった(図10B、データ は示さず)。GDNFRαによって媒介される、免疫沈降性のRet/GDNF 複合体の形成として定まる、RetとGDNFの間の物理的相互作用を決定した 。ヒト胚性腎臓293細胞に、c−retを含む発現ベクターを、又はc−re tとGDNFRαの発現ベクターの組み合わせを一過性にトランスフェクトし、 GDNFにさらし、穏やかな洗浄剤で溶解した(Davisほか,Science 259:1736- 1739(1993))。GDNFと複合体を形成したタンパク質をGDNFに対するポリ クローナル抗体で免疫沈降させ、Retに対するポリクローナル抗体を用いてウ ェスタンブロット法で分析した。Retだけ、あるいはGDNFRαだけを発現 する細胞においては、免疫沈降Retタンパク質を検出することはできなかった 。これに対して、Retは、RetとGDNFRαの双方を発現する細胞からの GDNF抗体によって即座に免疫共沈降させた(図10C)。更にGDNFRα とRet間の複合体の性質を決定するために、293細胞にc−retの発現ベ クターとエピトープタグ付GDNFRαを一過性にトランスフェクトし、GDN Fが有る場合と無い場合についてGDNFRA/Retタンパク複合体の有無 を分析した。細胞を示したようにGDNFで刺激し、記載されたように(Davis ほか,Science,259:1736-1739(1993))Brij96洗浄剤(Sigma)で溶解し た。推定上の免疫複合体を、ニトロセルロースフィルター上に移したGDNF( 図10C)又はRet(図10D)に対するポリクローナル抗体で免疫沈降させ 、ついでRet(図10C)又はエピトープタグ付GDNFRα(図10D)に 対するポリクローナル抗体で検定した。Retだけあるいはタグ付GDNFRα だけを発現させた細胞では、GDNFが有る場合も無い場合もいずれの場合にも 有意な量のタンパク複合体は検出できなかった(図10D)。これに対して、エ ピトープタグ付GDNFRAとRetの双方を発現する細胞では、GDNFにさ らした後双方のタンパク質を含むタンパク複合体が即座にGDN検出された(図 10D)。これらの発見は、GDNF、FRα及びRetが、GDNFがある場 合に、細胞表面上に複合体を形成し、Retが機能性GDNF受容体の成分であ り、GDNFRαがGDNFとRet間の相互作用に必要な中間物質であるとい う考えに一致している。 実施例6 マウスのGDNF遺伝子を胚性幹(「ES」)細胞中で相同的組換えによって 分裂させ、標的クローンを胚盤胞中に注入してGDNF突然変異体マウスを作成 した。標的作成物からなくなったGDNFの成熟した生物学的活性部分(図1) のアミノ酸103−211が分裂遺伝子を産生した。GDNFの52−102の アミノ酸をコードする3KbのSphI−EcoRIゲノム断片をlacZ遺伝 子にインフレームで溶解した。PGKプロモーターの制御下でneor遺伝子を 、又GDNF遺伝子の3’末端からの3.1kbのBglII−BamHI断片をl acZ遺伝子のすぐ下流に挿入した。突然変異体の129λライブラリーからG DNF遺伝子断片を得た。標的作成物ES−D3細胞内に電気穿孔した。G41 8(400マイクログラム/ml)の抵抗性クローンを単離した。ES被標的ク ローンをBALB/c未分化胚芽細胞中に注入し、単一のクローンを生殖系列を 通じて伝達した。単一のESクローンにおける相同性組換え事象をサザンハイブ リッド形成法によって決定した。サザンブロットを用いて分裂を確認した。野生 型(+/+)、ヘテロ接合性(+/−)及びホモ接合性(−/−)の動物の遺伝 形質分析をPCRによって決定した。分析においては、観測された上方のバンド がneor遺伝子に対して特異的であり、下方のバンドが野生型GDNF遺伝子 に対して特異的であった。 突然変異体マウスを調べた。GDNFmRNAが、正常なE15.5のマウス の腎臓、腸、前中脳及び骨格筋に見出されたが、変異誘発遺伝子(GDNF-/- )に対してホモ接合性の同腹仔にはGDNF転写物は検出できなかった。ホモ接 合性マウスはサイズが正常で、その野生型(WT)同腹仔とは区別できなかった 。これに対して、GDNF-/-マウスは乳を飲むことができ、正常な肢と体の動 きを示していたが、生後1−1.5日で死亡した。 GDNFを、培養中(LinほかScience 260:1130-1132(1993))及び障害モデル のインビボで(BeckほかNature 373:339-341(1995);KearnsほかBrainres.672:1 04-111(1995);StrombergほかExp.Neurol.124:401-412(1993);PoulsenほかNeur on 13:1245-1252(1994))胚性ドーパミン作動性ニューロンの死亡を防ぐその能 力によって最初に同定した。GDNFが正常な発育中においてドーパミン作動性 の(DA)ニューロンに対して本質的な生存因子であるのかどうかを調べた。p 1WTとGDNF-/-マウスにおける異なった神経節におけるニューロンの数を 決定した。調べたニューロン型は、ドーパミン性、顔面運動、脊髄運動、ノルア ドレナリン作動性、三叉神経、結節、DRG、錐体、前庭、及びSCGを含んで いた。動物をプロセシングし、ニューロンのカウントをJonesほか(Cell 76:989 -999(1994))のようにして実施した。神経節の数を記録した。GDNF-/-マウ スにおける線条体、前中脳、黒質、青斑核、及び顔面運動核を、チロシンヒドロ キシラーゼ(TH)での染色後に調べ、P1WT及びGDNF-/-マウスと比較 した。THはドーパミン合成における律速酵素である。GDNF-/-マウスの線 条体におけるTH線維の密度の減少が観測された。動物に麻酔をかけて0.1M のリン酸塩緩衝液中の4%のパラホルムアルデヒドで灌流固定し、切除染色し、 記載されているようにして(ほか)分析した。驚いたことに、前中脳におけるチ ロシンヒドロキシヒラーゼ陽性(TH+)のドーパミン作動性ニューロンの数と 線条体に対するドーパミン作動性プロジェクション の密度はGDNF-/-とWT動物において同一であった。 哺乳類におけるDAニューロンの発育は遅延し出生後に続く(CoyleほかJ.Ne urochem.27:673-678(1976);SpechtほかComp.Neurol.199:255-276(1981))の で、P42GDNF+/-ヘテロ接合性マウスのTH+細胞の数を比較した。結果 を表1に示す。 表1 P42WTとGDNF+/-マウスの異なった神経節におけるニューロンの数 ニューロン型 野生型 GDNFhet (N=8) (N=12) 顔面MN 1701±55.8 1657±54.4 ドーパミン作動性 118.04±7.34 112.88±9.04 ノルアドレナリン作動性 1218.5±91.24 1068±38.19 表の説明:動物のプロセシングと黒質の全緻密部におけるTH免疫反応性細胞数 のカウントが以前に記載されているようにして(SauerほかProc.Natl.Acad.S ci.USA 92:8935-8939(1995))行なわれた。細胞カウントは、動物当りでセクシ ョン当りの細胞の平均数として表されている。青斑核におけるTH−IR細胞数 のカウントは青斑核を含むあらゆる後脳セクションに存在するTH−IR細胞プ ロフィールの数をカウントすることによって行なった。細胞数は、各動物の両側 についての累積カウントとして表される。顔面運動核のカウントはクレシルバイ オレット染色部から自然のオブザーバーによってなされた。顔面運動核の全ての 亜核における染色神経細胞体の全数を、脳幹の両側の各第3セクションにおいて カウントした。細胞数は動物当たりの総細胞カウント±SEMとして表される。 全ての顕微鏡観察はx200倍で明視野照明下で実施された。Nは分析された神 経節の数を表す。 驚いたことに、ドーパミン作動性ニューロンの数(表1)あるいは線条体におけ るTH+線維の複雑性の欠乏はGDNF+/-マウスにおいて検出されなかった。 これらの結果は、以前に示唆されていたように(LinほかScience 260:1130- 1132(1993);BeckほかNature 373:339-341(1995);KearnsほかBrain Res.672:104 -111(1995);TomacほかNature 373:335-339(1995))、GDNFが胚性ドーパミン 作動性ニューロンに対する必要な生存因子ではなく、成体におけるドーパミン作 動性ニューロンに対する制限生存要因ではないことを示している。 GDNFは、培養の胚性脊髄運動ニューロンに対する強力な神経栄養因子であ り、破壊された運動ニューロンの死をインビボで防止する(HendersonほかScien ce 266:1062-1064(1994);YanほかNature 373:341-344(1995);OppenheimほかNatu re 373:344-346(1995))。骨格筋に提示されたGDNFが胚形成の間に運動ニュ ーロンの生存に対して必要とされるかどうかを決定した。小さな欠陥がP1GD NF-/-マウスの腰脊髄と三叉神経(<20%>には検出されたが、顔面核には 検出されなかった。加えて、P42GDNF+/-動物では顔面運動核における欠 陥は観察されなかった(表1)。これらの発見は、GDNFが天然に生じる細胞 死の期間の間随意運動ニューロンに対する主要な神経栄養因子であるという可能 性(HendersonほかScience 266:1062-1064(1994);YanほかNature 373:341-344(1 995);OppenheimほかNature 373:344-346(1995))に対して反駁するものである。 GDNFは、全動物において青斑核におけるノルアドレナリン作動性ニューロ ンの化学的に誘導される死を防ぎ、束状化と出芽を促進することが最近示されて いる(Arenasほか,Neuron 15:1465-1473(1995))。これらの発見は、GDNF が天然の神経栄養因子でアルツハイマー及びパーキンソン病において縮退するノ ルアドレナリン作動性ニューロンに対する強力な治療剤であろうことを示唆して いた。調べた結果、ノルアドレナリン作動性の青斑核は、P1GDNF-/-及び P42GDNF+/-(表1)マウスの双方においてサイズと数は正常であること が分かった。同様に、GDNFは、化学的に誘発されたてんかん発作又は興奮性 神経伝達物質の注射の後に海馬、皮質及び線条体中で上方制御されるけれども( Schmidt-KastnerほかBrain Res.Mol.Brain res.26:325-330(1994);Humpelほ かNeuroscience 59:791-795(1994))、P1GDNF-/-マウスの小脳、前脳基 底核、海馬体、線条体及び新皮質においてひどい欠陥は何ら同定されなかった。 出生後1日(P1)で、脊髄運動ニューロンにほんの小さな欠陥が見ら れ(<20%)、ノルアドレナリン作動性又はドーパミン作動性のニューロンに は欠陥は観察されなかった。この発見は、胚性CNS及び神経支配標的におけるG DNFの存在が、少なくとも部分的に、分化、軸索出芽の調節、シナプス形成、 神経伝達物質の選択、伝導速度又はシナプス効果に関与していることを示唆して いる。 GDNFが培養におけるニワトリの胚性交感及び結節感覚性ニューロンの生存 を促進するという知見(Buj-BelloほかNeuron 15:821-828)と一致して、交感上 頸神経節(<35%)結節ニューロン(<40%)並びに後根神経節(<40% )における数の減少が検出された。これに対して、三叉神経又は前庭神経節ニュ ーロンの数の不足は見られなかった。 WTとGDNF-/-マウスにおける腸内神経系を調べた。WTとGDNF-/-マ ウスからの小腸をH&E又はニューロン特異的タンパクペリフェリンに対する抗 体で染色した。WT動物における腸筋層間(Myn)及び粘膜下(Sub)ニュ ーロンはGDNF-/-マウスにはなかった。動物を10%の中性緩衝ホルマリン で灌流固定し、パラフィンに埋め込み、光学顕微鏡分析用に5μmの薄切りにし た。抗体染色は、ポリクローナル抗ペリフェリン抗体(Chemicon Inc.)を1: 300の希釈で用いて(JonesほかCell 76:989-999(1994))に記載のようにして 、実施した。腸筋層間(Auerbach)及び粘膜下(Meissner)叢をニューロン欠陥 について調べた。これらの2叢に属する腸内神経系(ENS)ニューロンは、光学 顕微鏡によって、並びにニューロン特異的マーカーペリフェリンに対する抗体で 染色の後に、E13.5、E15.5及びP1WT及びGDNF+/-マウスにおける消化 管の長さに沿って容易に可視できた。これに対して、これらのニューロンは年齢 が一致したGDNF-/-同腹仔においては完全に欠落していた。更に、腸の筋肉 璧はそのWT又はGDNF-/-同腹仔に対してGDNF-/-では薄くなっていた。 ENSは後脳領域の神経冠細胞から主に由来するけれども、他の神経冠由来のニ ューロンに対する有意な効果は観察されなかった。これらの組み合わさった発見 は、GDNFが腸内ニューロンが胚性腸に入ったすぐ後の腸内ニューロンの生存 及び/又は発育に対して必須であり(GershonほかJ.Neurobiol.2:199-214(199 3))、GDNF誘導神経支配が腸における平滑筋の発育及び/ 又は維持に対して必要とされることを示唆している。ENSの無いことはオーフ ァンチロシンキナーゼ受容体RETを欠くマウスにおいて以前に知られていた( SchuchardtほかNature 367:380-383(1994))。GDNFは胚形成の間に腸の平滑 筋層において豊富に発現されると報告され、胚性腎臓間充織中のGDNFmRN Aの存在が報告されていた(例えば、TruppほかJ.Cell Biol.130:137-148(199 5))。 WT、GDNF-/+及びGDNF-/-マウスを調べた。P1WT、P1 GDNF-/+ 、P1GDNF+/-及びP42GDNF+/-マウスにおける腹部の低出力顕微鏡写 真を得た。腎臓の位置はWTマウスでは副腎に隣接していた;しかしながら、G DNF-/-マウスでは存在せず、P1及びP30GDNF+/-マウスでは左側の腎 臓がなかった。E13.5WT、E13.5GDNF-/-胚、E11.5WT、 E11.5GDNF-/-における盆状部のH&E染色を実施した。卵巣(Ovr )は、副腎(Adr)の丁度尾側に、腎臓(Kid)によって正常に占有された 空間に存在していた。示された年齢で殺し、10%の中性緩衝ホルマリンで灌流 し、パラフィンに包埋し、連続的に薄切りにし、H&Eで染色して顕微鏡検定用 とした。各パップ(pup)のGDNF遺伝形質をPCR分析によって決定し、 性別を生殖腺の顕微鏡検査によって決定し、2−3の動物を各遺伝形質から各年 齢において組織学的に分析した。 14/16のGDNF-/-マウスには、完全な両側性の腎臓と尿管の欠損があ り、2つの腎臓の一方の部分的な発育が見られ、輸尿管は2つのGDNF-/-胚 において観察された。ヘテロ結合性の胚、パップ及び両方の性の成体では、WT マウスに対して、片側性の腎臓欠損(7/26)又は発育不全(4/26)が増 加して発生していた。初期胚段階におけるGDNF-/-マウスの分析で、E11 .5と同じ早期に後腎がないことが明らかになった。胚性泌尿生殖器の中胚葉の 他の派生物(副腎性及び生殖腺)、残りの内臓と全ての胸部組織は、GDNF+/ - マウスとGDNF-/-マウスの双方において顕微鏡視的に正常であった。生殖器 については、GDNF-/-マウスにおける単一の気づいた変化は、内臓に関連し て卵巣の配向の逆転であった。この変化は、腎臓欠損に続く腹腔内の利用できる 空間の増大あるいは体壁に卵巣を付着する中皮における変性を反映している。 加えて、GDNF-/-マウスは、活性な造血部位である赤脾髄に穏やかな多巣 型壊死を示した。1日齢の(P1)GDNFの野生型と突然変異体GDNFノッ クアウト(KO)マウス並びに妊娠の16.5日(E16.5)、E15.5、 E13.5及びE12.5での野生型KO胚を検査した。これらの検査の全ては 、組織における形態学的変化を評価する標準的な方法を用い、10%の中性緩衝 ホルマリンで固定し(14時間)、パラフィンに包埋し、5ミクロンに薄切りに し、それをヘマトキシリンとエオシンで染色して顕微鏡評価用とした。検査の全 ての時点で、肝臓に造血性のエレメント(好中球、好酸球、リンパ球及びマクロ ファージを含む、赤血球系−赤血球系列−と骨髄球性−白血球系列)の生産があ った。これは、生まれたときにマウスになお存在する発育期間中の正常な過程で あり、野生型とKOマウスの双方において正常であるように見えた。赤血球系及 び骨髄球性のエレメントの同様な生産が又赤脾髄において起こり、E13.5の 周りに発達し、マウスの寿命を通じて持続する。しかしながら、E16.5KO (1動物)と3P1KOマウスには、しばしば血管に隣接して、赤色髄において 多重に散在した壊死の病巣があった。(E16.5胚における病巣はP1マウス において観察されたものよりも劇的ではなかった。)これらの病巣は発育する赤 血球及び骨髄球の細胞によって囲まれており、活性な細胞増殖が起こる造血島に 病巣が由来していることを示している。壊死のこれらの領域は、常にではないが しばしば実質の静脈に隣接していた。これらの静脈は成熟した赤血球と骨髄球の 細胞が周囲の循環に入る部位である。血栓症の証拠もこれらの壊死の病巣に対し て他の病因を示唆する感染の証拠もなかった。野生型同腹仔における任意の発育 年齢における同様の病巣の不存在は、それが感染又はダム(dam)(一種の「 環境」要因)における条件によるものではなく、KO遺伝子型に直接関係してい ることを示唆している。これらの病巣はE15.5とE13.5のKOマウスに は観察できなかったが、これは、これらの妊娠性年齢における脾臓造血が丁度発 育を始めているためである。E16.5では、生後の主要生産部位である骨髄腔内に おいて造血が又開始する。E16.5又はP1KOマウスの骨髄内又はKOの肝 臓内の壊死性病巣は、検査した如何なる妊娠性の年齢においても見られなかった 。KOマウスの赤脾髄中の造血性島における壊死性病巣の存在は、GDNFが脾 臓造血 に効果を有していることを示唆している。 GDNF-/-マウスにおける生殖腺の本質的に正常な発育は、GDNFが前腎 又は中腎(最終的な腎臓と生殖腺の双方の形成に参加する一過性の構造)の器官 形成に必要とはされないことを示している(Saxen,Organogenesis of the kidne y(P.W.Barlow,P.B.GreenとC.C.White編),Vol.19,Cambridge Universit y Press,Cambridge.UK(1987))。代わりに、GDNFは、尿管芽(中腎/ウオ ルフ管の外反)と中腎間充織(尾側中間中胚葉)との間の相互誘導作用が後腎永 久腎臓の収集管(輸尿管)と濾過システム(腎小体と近位尿細管及び遠位尿細管 )を生じる期間中は必須であると見られる。興味深いことに、TGF−βタンパ クファミリーの他の一員である骨形成因子−7(BMP-7)は、輸尿管とネフロン の成長と生存に対して必須であるが、その誘導に対してそうではないことが示さ れており(DudleyほかGenes & Develop.9:2795-2807(1995))、TGF−βタン パクファミリーの複数のメンバーが腎臓の発育の明確な観点を調節することを示 唆している。加えて、腎臓の発育(並びに他の器官)における欠陥が、オーファ ンチロシンキナーゼ受容体RETを欠損するマウス(SchuchardtほかNature 367 :380-383(1994))及びWillms腫瘍関連の、推定上の転写制御因子、WT-1を欠損す るマウスにおいて(KreidbergほかCell 74:679-691)観察された。従って、ここ で証明したように、GDNFは腎臓器官形成に関与し(PattersonとDressler,C urr.Opin.Genet.Dev.4(5):696-702(1994))、この器官における成長細胞分 化とパターン形成を調節している。 多数の相対的に若い(週齢5−7)GDNFヘテロ結合性マウスは乏しい被毛 と体重減少を伴うみだれたものであった。8匹のうち4匹が深刻な末期の腎疾患 を煩っていたことが分かった。腎臓を検査すると、1又は2歳の年齢の腎臓の顕 微鏡的外観を呈した(マウスには末期腎疾患が通常見られる)。破壊は主に糸球 体由来であるように見られ、収縮した硬化性の糸球体と増加した糸球体マトリッ クスによって特徴付けられる(膜性糸球体腎炎)。一匹の動物は、糸球体アミロ イド症を示唆する無細胞糸球体間質マトリックスを増大したが、特別な染色はア ミロイドに対しては陰性であった。観察された二次変化は、尿細管の拡張とタン パク尿であった。終末の動物では、BUNとクレアチニン量が増加したが、これは 、 腎臓の質量の>70%が失われ場合、腎疾患で非常に末期に一般的に起こるもの である。上記に示したように、いくつかのGDNFヘテロ結合体は一つのみの腎 臓を有している;しかしながら、この深刻な腎疾患は1又は2の腎臓を持ってい た動物(及び両方の性において)において見られた。この結果は、GDNFヘテ ロ結合体に存在する疾患は膜性糸球体腎炎であることを示している。 年齢が一致した7対のGDNF野生型でヘテロ接合性のマウスを臨床病理学、 血液学、及び光学及び電子顕微鏡によってスクリーニングした。これらのマウス は21−23週齢で、ヘテロ接合体におけるBUN(34対25)の僅かな上昇を 除いて腎疾患の証拠はなかった。最も高いBUN(44)のヘテロ接合体について 電子顕微鏡観察を行なったが、一般に超微細構造的には正常であった。上皮椎弓 根が融合した幾つかの領域があった。これらの動物は過去に剖検で調べたものよ りも更に年をとっていたので、おそらくは腎疾患にはなりにくかった。 総括すると、ここに提供された研究は、GDNFが以前に示唆されたような胚 形成の間のドーパミン作動性、運動、又はノルアドレナリン作動性ニューロンに 対する必須の神経栄養因子ではないことを証明している。むしろ、GDNFは腸 内神経系の生存と発育に対して、又中間中胚葉からの後腎腎臓と輸尿管の分化に 対して必須であると思われる。 実施例7 抗GDNFモノクローナル抗体 5匹のBALB/cマウス(Charles River Laboratoris,Wilmington,DE)を RIBIアジュバント(RIBI Immunochem Research,Inc.,Hamilton,MO)中の精 製rhGDNFで過免疫した。固定化rhGDNFに対する最も高い抗体価を証 明するマウスからの脾臓細胞を(Sierra BioSource,Inc.,Gilroy,CA)マウス ミエローマ細胞(SP2/0;American Type Culture Collection,Rockville,MD) と融合させた。10−14日後、上清を収穫し、抗体の産生と酵素結合免疫吸着 検定法(ELISA)によるhGDNFの特異性試験のためにスクリーニングした。 第2回のクローニングの後に最も高い免疫反応性を示す14の陽性のクローンを 、MAbのインビボ生産のために、Pristaneで初回刺激を受けたマウス中に注射し た。腹水流体をプールし、ブドウ球菌タンパクA(Pharmacia)上でアフィニテ ィークロマトグラフィー(Pharmacia高速タンパク液クロマトグラfヒー(fast p rotein liquid chromatography)[FPLC];Pharmacia,Uppsala,Sweden)によって 精製した。精製した抗体調製物を無菌濾過し(0.2−μmポアサイズ;Nalgen e,Rochester,NY)、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)中で4℃で貯蔵した。 マイクロタイタープレートを、pH9.6で0.05Mの炭酸塩緩衝液中にお いて4℃で一晩かけて、100μl/ウェルのrhGDNF又はrhTGF−ベー タ(Genentech,Inc.;1μg/mL)で被覆した。プレートをELISA洗浄バ ッファー(PBS/0.05%のTween20)で3回洗い、0.5%のウシ 血清アルブミンと0.05%のTween20を含むPBS(PBS/BSA/ T20)で少なくとも1時間の間遮断した.プレートを洗浄バッファーで再び3 回洗浄し、100μLのサンプルと対照を外界温度で1−2時間の間に添加した 。プレートを3回洗浄し、PBS/BSA/T20中に希釈したHRP抱合ヤギ 抗マウスIgG(Fc特異的)(Sigma)とともに外界温度で1−2時間の間イ ンキュベートした。ついでプレートを洗浄し、PBS中に含めたオルトフェニル ジアミン(Sigma;12.5mLのPBS当り一錠の5mg錠剤;100μL/ウェ ル)で外界温度で10−20分間インキュベートした。反応を2,5NのH2SO4で 停止させた。得られた吸光度(405nmの参照フィルターを用いて490nm )を自動プレートリーダー(UV Max,Molecular Devices,Palo Alto,CA)を用 いて記録した。 精製MAbの等電点をPhast−System(Pharmacia)を製造者の手 順書に従って用いて決定した。 SDS−PAGEは純度分析と免疫ブロットに用いることができる。一次元の SDS−PAGEを4−20%のトリス−グリシンゲル(Novex,Encinitas,CA )を用いてLaemmli法に従って実施した。rhGDNF(レーン当り1μ g)と5μLのビオチン標識分子量標準物質(Bio-Rad)を適当なゲルレーンに 添加し、125V(およそ32−35mA)で1.5−2時間電気泳動させた。 そのゲルを免疫ブロットに用いた。rhGDNFを、還元剤の存在下(5%[v /v]のβメルカプトエタノール)と非存在下でサンプルバッファー(8%のS DS−40%のグリセロール−350mMのトリス-HCl−273mMのトリ ス塩基、0.5%[w/v]のキシレンシアノール及び0.5%[w/v]のブ ロムフェノールブルー)中において100μg/mLまで希釈した。還元サンプ ルを5分間90℃で加熱した。 免疫ブロット分析を実施した。移送後、膜を、外界温度で少なくとも1時間の 間PBS/BSA/T20で遮断し、外界温度で1時間の間(PBS/BSA/ T20中で1μg/mLまで希釈された)親和性精製MAbでインキュベートし た。ついでシートをPBS−0.005%のT20で洗浄し、適当なHRP抱合 体(ラット抗マウスIgG−HRP[Boehringer Mannheim]、1:5000; 又はストレプトアビジン−HRP[Sigma,St.Louis,MO]、1:10000; それぞれPBS/BSA/T20中に希釈)を外界温度で1時間かけて添加した 。ついでシートを洗浄し、攪拌しながら外界温度で1分間の間ルミノール基質( Amersham International,Amersham,UK)にさらし、X線フイルム(Eastman Ko dak,Rochester,NY)におよそ15−60秒さらした。 固定されたrhGDNFと溶液中のrhGDNFの双方を結合することができ る種々のアイソタイプの14のrhGDNFMAbが見つかった。そのMAbは rhTGFβ1とは交差反応をせず、非還元及び還元GDNFタンパクの双方を 結合する。MAbの5つが免疫組織化学分析に適していた。MAb1694、1 712、1717、1725及び1731がその推定上受容体と複合化したGD NFを結合することができる。他のMAbは1693、1695、1696、1 709、1710、1711、1713、1714、1715及び1716とし た。これら表記は各Mabを産生するハイブリドーマに割り当てられたものであ る。MAbのエピトープ特異性は交差ブロック分析によって決定することができ る。 総括すると、GDNFに対する独特の受容体系がここに提供され、該系では、 新規なGPI結合タンパクであるGDNFRαがリガンド結合成分であり、チロ シンキナーゼ受容体Retがシグナル伝達成分である。GDNF受容体複合体は 毛様神経栄養因子(Dacisほか,Science 259:1736-1739(1993))、菌体内毒素( LeeほかProc.Natl.Acad.Sci.USA 90:9930-9934(1993);Puginほか Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2744-2748(1993))に対する受容体、及びGP I結合タンパクがリガンド結合成分となり、細胞質チロシンキナーゼがシグナル 伝達成分となる免疫系の受容体(Brown,Curr.Opin.Immunol.5:349-354(1993 ))に部分的に類似している。 GDNFは、セリンスレオニンキナーゼ受容体を用いる成長因子(このスーパー ファミリーのTGFβブランチ)から、チロシンキナーゼ受容体を用いる成長因 子(このスーパーファミリーの神経成長因子と血小板由来の成長因子ブランチ; McDonaldほかCell 73:421-424(1993))への、システインノット含有タンパクの スーパーファミリー内における進化移行を表わしているのであろう。ここに提供 した、GDNFに依存性の更なるニューロン及び非ニューロン細胞及び器官の同 定とGDNFに対する受容体及び関連する受容体システムの発見は、細胞活性と 生存を変調し制御する手段を提供する。これは医師が利用できる更なるかつ特定 の治療方法を提供する。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年6月30日(1998.6.30) 【補正内容】 請求の範囲 1. 配列番号2のアミノ酸Asp25とGly427の間のアミノ酸配列を持 つGDNFRα細胞外ドメインを含んでなる単離ポリペプチド。 2. 配列番号2のアミノ酸Asp25とSer468の間のアミノ酸配列を持 つGDNFRα細胞外ドメインを含んでなる単離ポリペプチド。 3. 請求項1又は2記載のポリペプチドの対立遺伝子変異体又は哺乳類ホモロ グである単離ポリペプチド。 4. 配列番号1の核酸配列を持つGDNFRαの部分をコードする少なくとも 45の近接塩基の核酸配列と20%のホルムアミド中において42℃でハイブリ ダイズしうる核酸分子によってコードされている単離ポリペプチド。 5. 配列番号2のアミノ酸Asp25とGly427の間のアミノ酸配列を持 つGDNFRαの細胞外ドメインと少なくとも75%の配列同一性を持つアミノ 酸配列を有するポリペプチドを含んでなる単離ポリペプチド。 6. GDNFに特異的に結合する請求項4又は5に記載のポリペプチド。 7. 血清半減期を増大させる分子に抱合又は融合されている、請求項1ないし 6の何れか1項に記載のポリペプチド。 8. 可溶性のGDNFRαである、請求項1又は3ないし6の何れか1項に記 載のポリペプチド。 9. 請求項1ないし8の何れか1項に記載のポリペプチドと生理学的に許容可 能な担体を含んでなる組成物。 10. 異種性のポリペプチドに融合した請求項1ないし8の何れか1項に記載 のGDNFRαを含んでなるキメラGDNFRαポリペプチド。 11. 異種性のポリペプチドが免疫グロブリン配列である、請求項10記載の キメラGDNFRαポリペプチド。 12. 異種性のポリペプチドがエピトープタグ配列である、請求項10記載の キメラGDNFRαポリペプチド。 13. GDNFRαに結合する分子を同定する方法において、GDNFRαが 結合すると思われる分子にGDNFRαを暴露し、該分子のGDNFRαへの結 合を決定する方法。 14. GDNFRαが可溶性GDNFRαである請求項13記載の方法。 15. GDNFRαを活性化させる分子を同定する方法において、GDNFR αを活性化しうると思われる分子にGDNFRαを暴露し、GDNFRαの活性 化を測定する方法。 16. GDNFRαに結合する分子を精製する方法において、固相に固定され たGDNFRαに分子を吸着させ、固定されたGDNFRαから上記分子を回収 する方法。 17. GDNFRαがキメラGDNFRαであって、免疫グロブリンの定常ド メイン配列とのGDNFRα細胞外ドメイン配列の融合を含んでなる、請求項1 6記載の方法。 18. 請求項1又は2に記載のGDNFRαに特異的に結合する抗体。 19. モノクローナル抗体である、請求項18記載の抗体。 20. 請求項18又は19の抗体と生理学的に許容可能な担体を含んでなる組 成物。 21. サイトカイン又は神経成長因子を更に含んでなる、請求項20に記載の 組成物。 22. GDNFRαを活性化させる医薬品の製造のためのGDNFRαアゴニ ストの使用。 23. GDNFに対する細胞の生理学的応答を変調させる方法において、GD NFへの細胞の応答を変調するのに有効な量の、請求項1ないし8の何れか1項 に記載のGDNFRαと細胞を接触させることを含んでなる方法。 24. GDNFRαの存在を決定する方法において、GDNFRαを含んでい ると思われる試験資料を請求項18記載の抗体に暴露し、試験資料への上記抗体 の結合を決定することを含んでなる方法。 25. 請求項1ないし8又は10ないし12の何れか1項に記載のGDNFR αをコードしている核酸配列を含んでなる核酸分子。 26.核酸分子に作用可能に結合したプロモーターを更に含んでなる、請求項2 5に記載の核酸分子。 27. ベクターで形質転換される宿主細胞によって認識される対照配列に作用 可能に結合した、請求項25又は26に記載の核酸配列を含んでなる発現ベクタ ー。 28. 請求項27に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。 29. 配列番号1の核酸配列を持つGDNFRαから少なくとも18の近接し たヌクレオチドの核酸配列を含んでなる核酸。 30. GDNFRαをコードしている拡散分子を用いてGDNFRαを産生す る方法において、GDNFRαの発現を許容する条件で請求項28記載の宿主細 胞を培養することを含む方法。 31. 宿主細胞培養からGDNFRαを回収することを更に含む、請求項30 に記載の方法。 32. GDNFRαポリペプチドをコードしている拡散を発現する細胞を含む 、非ヒトトランスジェニック動物。 33. 変更されたGDNFRα遺伝子を持つ細胞を含む、非ヒトノックオウト 動物。 34. 腎疾患を治療する方法において、GDNF又はGDNFアンタゴニスト の治療的有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む方法。 35. GDNFがヒトGDNFである、請求項34に記載の方法。 36. GDNFRαを投与することを更に含む、請求項34に記載の方法。 37. 腎疾患が糸球体腎炎に関連している、請求項34記載の方法。 38. 腸内神経系に関連した不全を治療する方法において、GDNF又はGD NFアゴニストの治療的有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む 方法。 39. GDNFがヒトGDNFである、請求項38に記載の方法。 40. GDNFRαの投与を更に含む、請求項39記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 C07K 14/71 C07K 14/71 16/00 16/00 16/28 16/28 19/00 19/00 C12P 21/08 C12N 5/10 G01N 33/53 D C12P 21/08 33/566 G01N 33/53 C12N 5/00 B 33/566 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG, US,UZ,VN (72)発明者 ローゼンタール,アーノン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94044, パシフィカ,グレイシャー アヴェニュー 1064番 (72)発明者 ライアン,アン,エム. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94030, ミルブレー,ブロードウェイ ナンバー9 70番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. (a)GDNFRα細胞外ドメインアミノ酸配列; (b) (a)の対立形質変異体又は哺乳類相同体; (c) (a)又は(b)をコードする核酸に厳密な条件下でハイブリダイズす る核酸によりコードされる配列; (d) (a)又は(b)のアミノ酸配列の一あるいは数個のアミノ酸の置換、 欠失又は付加によって(a)又は(b)から得られる配列、 からなる群から選ばれる配列を含んでなるポリペプチド。 2. 配列番号2のGDNFRαECDのアミノ酸配列を含んでなる、請求項1 のポリペプチド。 3. 配列番号2の成熟GDNFRαのアミノ酸配列を含んでなる、請求項2の ポリペプチド。 4. GDNFを特異的に結合する、請求項3のポリペプチド。 5. 血清半減期を増加させる分子に抱合又は融合されている、請求項4のポリ ペプチド。 6. 可溶性GDNFRαである、請求項1のポリペプチド。 7. 請求項1のポリペプチドと生理学的に許容可能な担体を含んでなる組成物 。 8. キメラGDNFRαである、請求項1のポリペプチド。 9. 免疫グロブリン配列に融合したGDNFRαアミノ酸配列を含む、請求項 8のキメラGDNFRα。 10. エピトープタグ配列に融合したGDNFRαアミノ酸配列を含む、請求 項8のキメラGDNFRα。 11. GDNFRαに結合する分子を同定する方法において、GDNFRαを それに結合すると思われる分子に曝露し、分子のGDNFRαへの結合を決定す る方法。 12. GDNFRαが可溶性GDNFRαである、請求項11の方法。 13. GDNFRαを活性化する分子を同定する方法において、GDNFRα を活性化しうると思われる分子にGDNFRαをさらし、GDNFRαの活性化 を測定する方法。 14. GDNFRαに結合する分子を精製する方法において、固相に固定化さ れたGDNFRαに分子を吸着させ、固定化されたGDNFRαから分子を回収 する方法。 15. GDNFRαがキメラGDNFRαである請求項14の方法において、 免疫グロブリン定常ドメイン配列へGDNFRα細胞外ドメイン配列を融合する 方法。 16. 請求項1のGDNFRαに特異的に結合する抗体。 17. モノクローナル抗体である、請求項16の抗体。 18. 請求項17の抗体と生理学的に許容可能な担体を含んでなる組成物。 19. サイトカイン又は神経栄養性因子を更に含んでなる、請求項18の組成 物。 20. GDNFRαを、GDNFRαを活性化するのに有効な請求項16のア ゴニスト抗体にさらす、GDNFRαを活性化する方法。 21. GDNFに対する細胞の生理的応答を変調する方法において、細胞のG DNFへの応答を変調するのに有効な量のGDNFRαと細胞を接触させる方法 。 22. GDNFRαの存在の決定方法において、GDNFRαを含むと思われ る試料サンプルを請求項16の抗体にさらし、該抗体の試料サンプルへの結合を 決定する方法。 23. 請求項1のGDNFRαをコードする核酸配列を含む核酸分子。 24. 核酸分子に作用可能に結合したプロモーターを更に含む、請求項23の 核酸分子。 25. 核酸配列がGDNFRαECDをコードする、請求項23の核酸分子。 26. 核酸配列がキメラGDNFRαをコードする、請求項23の核酸分子。 27. 請求項23の核酸分子を含む発現ベクターであって、該ベクターで形質 転換される宿主細胞によって認識される対照配列に作用可能に結合したベクター 。 28. 請求項15のベクターを含む宿主細胞。 29. GDNFRαから少なくとも18の近接ヌクレオチドの核酸配列を含む 核酸。 30. GDNFRαをコードしてGDNFRαを産生する核酸分子の使用方法 において、GDNFRαの発現を許容する条件下で請求項28の宿主を培養する 方法。 31. 更に宿主細胞培養物からGDNFRαを回収する、請求項30の方法。 32. GDNFRαポリペプチドをコードする核酸を発現する細胞を含む、非 ヒト遺伝子組換え動物。 33. 変更したGDNFRα遺伝子を持つ細胞を含む、非ヒトノックアウト動 物。 34. 治療が必要な患者に、GDNF又はGDNFRαの治療的有効量を投与 することを含む、腎臓病の治療方法。 35. GDNFがヒトGDNFである、請求項34の方法。 36. GNDFRαを投与することを更に含む、請求項34の方法。 37. 腎臓病が糸球体腎炎に関与している、請求項34の方法。 38. 腸内神経系関与疾患を治療する方法において、そのような治療を必要と する患者に、治療的に有効量のGDNF又はGDNFアゴニストを投与すること を含む方法。 39. GDNFがヒトGDNFである、請求項38の方法。 40. GDNFRαの投与を更に含む、請求項38の方法。
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