【発明の詳細な説明】
ヘテロサイクリック化合物群
本発明は、ムスカリンレセプターにおいて驚くべき強さを有する、治療的に活
性なヘテロサイクリック化合物に関するものである。この新規化合物は、哺乳類
の前脳および海馬の認識機能の刺激物質として有用である。
西側諸国において健康状態が全体的に改善されたため、現在では高齢化関連疾
患がかつてよりずっと一般的になっており、未来においてはおそらくさらにずっ
と一般的になるであろう。
高齢化関連症状の1つは認識機能の減退である。この症状は特にアルツハイマ
ー疾患として知られる病理生理学的疾患において顕著である。この疾患は無名質
の一部である基底神経節におけるムスカリンコリン作動性ニューロンの90%ま
での退化と結びつき、これによって引き起こされている可能性が高い。これらの
ニューロンは前頭葉前部皮質および海馬に突き出しており、前脳および海馬の認
識機能、すなわち学習、連想、整理および認識を全体的に刺激する効果を有する
。
コリン作動性ニューロンは退化しているが、前脳および海馬のシナプス後ムス
カリンレセプターはまだ存在しているのがアルツハイマー疾患の特徴である。そ
れゆえ、ムスカリンコリン作動性アゴニストはアルツハイマー疾患を処置し、そ
の進行を停止させ、そして高齢者の認識機能を改善するのに有用である。
また、ムスカリンコリン作動性レセプターにおいて活性な化合物群は有用な鎮
痛薬でもあり、したがって猛烈な痛みの症状の処置に有用である。
さらに、ムスカリンコリン作動性レセプター活性化合物は緑内障、精神異常、
不安、躁病、双極性障害、精神分裂症または精神分裂型症状、うつ病、睡眠障害
、てんかん、大脳虚血および胃腸運動障害の処置に有用である。
したがって、ムスカリンコリン作動性活性を有する新規化合物が望まれている
。ムスカリンコリン作動性レセプター活性化合物にはムスカリンコリン作動性レ
セプターの望ましくない調節に起因する副作用を付随するものもあり、例えばそ
の
ような望ましくない調節により過剰流涎症および胃腸の不調が引き起こされるこ
ともある。それゆえ、最も望ましいムスカリンコリン作動性化合物は高い活性を
有し、同時に、過剰流涎症の発生率が低いなどの好ましい副作用プロファイルを
有するものである。
特許請求している、チオベンジル置換分を有する化合物は驚くほど良好な生物
学的利用能および長期間の作用を有し、また好ましい副作用プロファイルを示す
。特許請求している本化合物の研究により、本化合物が特に望ましいムスカリン
レセプター活性化合物であり、特に有用な医薬活性化合物となり得ることが示唆
される。
本発明の概要
本発明は式I:
[ここに
Rは水素、メチル、エチル、クロロ、フルオロおよび−CF3からなる群から選
択され;
Gは1−アザビシクロ[3.2.1.]オクチルである]
で示される化合物または製薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を提供する
。
Gは
であるのが好ましい。
驚くほど良好な生物学的利用能および長期間の作用、および好ましい副作用プ
ロファイルを有する新規ムスカリンコリン作動性化合物を提供することは本発明
の課題の1つである。
本発明は各々の立体異性体型の本発明化合物並びに純粋なジアステレオマー、
純粋な光学異性体およびラセミ型の本発明化合物にまで及ぶことが理解されよう
。
詳細な説明
本明細書中に用いる用語「処置」は肉体および/または精神状態の予防、また
は肉体および/または精神状態が確立した際の、その生じた肉体および/または
精神状態の改善もしくは除去、またはそのような状態の特徴的症状の緩解を含む
。
本明細書中で用いる用語「ムスカリンコリン作動性レセプターとの相互作用」
は、ムスカリンコリン作動性レセプターを遮断し、あるいはこのレセプターを調
節する化合物を含む。この用語は、化合物がムスカリンコリン作動性レセプター
においてアゴニスト、部分的アゴニストおよび/またはアンタゴニストとして働
く場合に観察される作用を含む。
本明細書中に用いる用語「ハロゲン」はCl、Br、FおよびIを意味する。
本明細書中に用いる用語「から選択される1つまたはそれ以上」は1〜3個の
置換分から、を表すのがより好ましい。この用語は1〜2個の置換分から、を表
すのがさらに好ましい。
本明細書中に用いる用語「C1−Cn'アルキル」(ここにn’は2〜15であ
り得る)は、1から指定した数の炭素原子を有する分岐鎖状または直鎖状アルキ
ル基を表す。代表的なC1−C6アルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、イ
ソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペ
ンチル、ヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。
本明細書中に用いる用語「カルボキシ」は当業者に理解される一般的な意味を
有する置換分を表し、ここにその結合点はこの基の炭素または酸素原子を介して
いることがある。
製薬的に許容される塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、
酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩の
ような無機もしくは有機酸の付加塩または類似の製薬的に許容される無機もしく
は有機酸の付加塩が含まれ、さらに当業者に既知のJournal of Pharmaceutical
Science,66,2(1977)に表記されている製薬的に許容される塩が含まれる。ま
た当業者に既知の方法を用いて、本発明の化合物と標準的な低分子量の溶媒との
溶媒和物を形成させることができる。
本発明の化合物は反応式Iに例示の化学工程を用いて製造することができる。
例示した工程の出発物質は市販されており、あるいは当業者に既知の方法を用い
て製造できる。
反応式I
上記反応式Iに記載の用語「[3.2.1]」は式:
で示されるエンドまたはエキソ基を意味する。
上記反応式Iに記載の用語「R4"」は式:
で示される基を意味する。
用語「Hal」はCl、BrおよびR9SO2を意味する。R9はC1-8アルキル
またはアリールである。
以下の反応式の記載中、特に断らない限り、以下の置換分は上記定義の意味を
有する。
反応式Iの工程に好ましい酸化剤にはオキソン(oxone)および過ヨウ素酸ナ
トリウムが含まれる。オキソンは反応式Iの工程に特に好ましい酸化剤である。
反応式Iに例示した式3の化合物(ここにOR基はR4基で置換される)は当分
野に周知の方法を用いて製造できる。例えば、米国特許番号第5,043,34
5号参照。
さらに、式Iの化合物は以下の反応式IIに例示する工程を用いて製造すること
ができる。
反応式II
反応式II中に用いたQはN、OまたはSであってよく;R24は水素、R4、R5
、R6およびR7からなる群から選択され;
R25はSOR4およびSO2R4からなる群から選択され;
他のすべての意味は上記定義のとおりである。
反応式IIに用いたG(CH)2W−は[3.2.1]−0−基を意味する。Q
Rは
を意味する。
本発明の中間体の一部は反応式IVに例示の工程を用いて製造できる。
反応式IV
式IVにおいて、R8はLi、NaまたはKであり;Siはシリルを意味し;R1 0
、R11、R12、R13、R14およびR15'は独立して、(C1−C6)−アルキル、
アリールおよびアリール(C1−C3)アルキルからなる群から選択され;R15お
よびR16は独立して、水素、R10R11R12SiおよびR13R14R15'Siからな
る群から選択される。Rは水素、アミノ、ハロゲン、NHR6、NR6R7、R4、
−OR4、−SR4、−SOR4、−SO2R4、C3-10−シクロアルキル、C4-12
−(シクロアルキルアルキル)、−Z−C3-10−シクロアルキルおよび−Z−C4-12
−(シクロアルキルアルキル)(ここに、R4はC1-15−アルキル、C2-15
−アルケニル、C2-15−アルキニルであり、これらのそれぞれが1つまたはそれ
以上のハロゲン、−CF3、−CN、Y、フェニルまたはフェノキシ(ここに、
フェニルまたはフェノキシはハロゲン、−CN、C1-4−アルキル、C1-4−アル
コキシ、−OCF3、−CF3、−CONH2または−CSNH2で置換されている
こともある)で置換されていることもある)からなる群から選択され;あるいは
、
Rはフェニルまたはベンジルオキシカルボニルであり、これらのそれぞれがハロ
ゲン、−CN、C1-4−アルキル、C1-4−アルコキシ、−OCF3、−CF3、−
CONH2または−CSNH2で置換されていることもあり;あるいは、
Rは−OR5Y,−SR5Y、OR5−Z−Y、−SR5ZY、−O−R5−Z−R4
または−S−R5−Z−R4(ここに、Zは酸素または硫黄であり、R5はC1-15
−アルキル、C2-15−アルケニル、C2-15−アルキニルであり、Yは5または6
員ヘテロサイクリック基である)であり;
R6およびR7は独立して、水素、C1-6−アルキルであり;あるいは、
R6およびR7は窒素原子といっしよになって4から6員環を形成することもあり
;
Zは酸素または硫黄であり、R5はC1-15−アルキル、C2-15−アルケニル、C2 -15
−アルキニルであり、Yは5または6員ヘテロサイクリック基である。
例えば、R8N[(R10R11R12Si)(R13R14R15'Si)はリチウムビス
(トリ−2−プロピルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリ
ル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムビス(トリ−
2−プロピルシリル)アミド、ナトリウムビス(エチルジメチルシリル)アミド
、カリウムビス(1−プロピルエチルメチルシリル)アミド、リチウムビス(ト
リ−フェニルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリ−フェニルメチルシリル)
アミド、カリウムビス(2−ブチル−2−プロピルメチルシリル)アミド、リチ
ウム(トリ−2−プロピルシリル)(2−ブチルジエチルシリル)アミド、ナト
リウム(トリメチルシリル)(トリフェニルシリル)アミド、カリウム(ジメチ
ルフェニルシリル)(エチルジメチルシリル)アミドなどであり得るが、これら
に限定されない。化合物10から化合物11を製造するのに反応式IIIの工程を
用いる場合、R15およびR16はそれぞれ水素であるのが最も好ましい。中間体1
0は標準ニトロソ化手法を用いて、ニトロソ化できる。好ましいニトロソ化試薬
は亜硝酸イソアミルであるが、他の既知のニトロソ化試薬も使用できる。
反応物の濃度は重要ではない。当業者は、望ましい反応速度および生成収量を
得るために反応物の濃度を変えることができる。
記載の工程を実行するための時間の長さは重要ではない。化学では常にそうな
のであるが、反応速度は温度および製造するその化合物のような種々の要因に依
存する。一連の反応は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマト
グラフイー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、および核磁気共鳴
分光学(NMR)のような方法を用いて追跡し、反応の完全性の程度を検出する
。実施者はこの工程を用い、反応時間を延長することによって最大収量を得るこ
とができる。一方、実施者は、経済的な完全性の程度に達した時点で反応を打ち
切ることにより、最大の生産高を求めることもできる。
以下の工程の各ステップの生成物が油状物である場合は、標準的方法によって
単離できる。このような方法には、蒸留、フラッシュクロマトグラフィー、HP
LCなどが含まれる。
本明細書中に用いる「ムスカリンコリン作動性系(システム)の機能不全」は
当業者に受け入れられている意味を有する。例えば、この用語は緑内障、精神異
常、精神分裂症または精神分裂型症状、うつ病、睡眠障害、てんかんおよび胃腸
運動障害のような症状を表すが、いかなる意味においてもこれらに限定されない
。他のこのような症状にはアルツハイマー疾患および失禁がある。
本発明の化合物の薬理学的性質は、これらが3H−オキソトレモリン−M(3H
−OXo)の特異的結合を阻害する能力を求めることによって示すことができる
。Birdsdall N.J.M.,Hulme E.C.,およびBurgen A.S.V.(1980).“The Char
actar of Muscarinic Receptors in Different Regions of the Rat Brain”.P
roc.Roy.Soc.London(Series B)207,1。
3H−Oxoは、CNSのムスカリンレセプターを(レセプターのアゴニスト
ドメインに対して選択的に)ラベルする。3つの異なる部位が3H−Oxoによ
ってラベルされる。これらの部位は、それぞれ1.8、20および3000nM
のアフィニティーを有する。本実験条件を用いて、この高アフィニティーおよび
中アフィニティーの部位のみを決定する。
3H−oxo結合に対する本発明化合物の阻害効果はムスカリンアセチルコリ
ンレセプターに対するアフィニティーを反映する。
特に断らない限り、製造はすべで0〜4℃で行う。雄性Wistarラット(
150〜250g)由来の新鮮な皮質(0.1〜1g)を20nMヘペスpH:
7.4、10mL中で5〜10秒間、Ultra−Turraxホモジナイザー
でホモジナイズする。ホモジナイザーを緩衝液10mLですすぎ、懸濁液を集め
、40,000×gで15分間遠心する。得られたペレットを緩衝液で3回洗浄
する。このペレットを、緩衝液2×10mL中で前記のように徐々にホモジナイ
ズし、40,000×gで10分間遠心する。
最終のペレットを20mMヘペスpH:7.4(100mL/原組織g)中で
ホモジナイズし、結合アッセイに用いる。この0.5mL量に試験溶液25μL
および3H−オキソトレモリン(最終濃度1.0nM)25μLを加え、25℃
で30分間混合およびインキュベートする。試験物質としてアレコリン(最終濃
度1μg/mL)を用い、非特異的結合を3回求める。インキュベート後、この
サンプルに氷冷緩衝液5mLを加え、吸引下に直接Whatman GF/Cガラス繊維フ
ィルターに注ぎ、直ちに氷冷緩衝液5mLで2回洗浄する。フィルター上の放射
能量を通常の液体シンチグラフィー計測によって求める。「特異的結合」は「全
結合」−「非特異的結合」とする。
試験物質を(必要ならば5分以下の間、スチームバスで加熱して)水10mL
に濃度2.2mg/mLで溶解する。IC50を計算する前に、特異的結合の25
〜75%阻害を得なければならない。試験値はIC50(3H−oxoの特異的結
合を50%阻害する試験物質の濃度(nM))として得られる。
IC50=(用いた試験物質濃度)×(Cx/Co−Cx)nM
ここに、Coはコントロールアッセイにおける特異的結合であり、Cxは試験アッ
セイにおける特異的結合である。(計算は通常質量作用動力学を仮定する)。
さらに本発明化合物の薬理学的性質は、3HPRZ(ピレンゼピン、[N−メ
チル−3H])がラット大脳皮質膜に結合するのを阻害する能力を求めることに
よっても示すことができる。
ピレンゼピンはムスカリンレセプターのサブタイプに選択的に結合する。この
タイプは、「ピレンゼピン感受性部位」とするのがより適切であろうが、歴史的
に「M1−部位」と呼ばれる。ピレンゼピンはM1−部位に選択的であるが、M2
−部位とも相互作用する。
特に断らない限り、製造はすべで0〜4℃で行う。雄性Wistarラット(
150〜200g)由来の新鮮な皮質(0.1〜1.9)を20mMヘペスpH
:7.4、10mL中で5〜10秒間、Ultra−Turraxホモジナイザ
ーでホモジナイズする。ホモジナイザーを緩衝液2×10mLですすぎ、懸濁液
を集め、40,000×gで15分間遠心する。得られたペレットを緩衝液で3
回洗浄する。このペレットを、緩衝液3×10mL中で前記のように徐々にホモ
ジナイズし、40,000×gで10分間遠心する。
最終のペレットを20mMヘペスpH:7.4(100mL/原組織g)中で
ホモジナイズし、結合アッセイに用いる。この0.5mL量に試験溶液20μL
および3HPRZ(最終濃度1.0nM)25μLを加え、20℃で60分間混
合およびインキュベートする。試験物質としてアトロピン(最終濃度1,μg/
mL)を用い、非特異的結合を3回求める。インキュベート後、このサンプルに
氷冷緩衝液5mLを加え、吸引下に直接Whatman GF/Cガラス繊維フィルターに
注ぎ、直ちに氷冷緩衝液5mLで2回洗浄する。フィルター上の放射能量を通常
の液体シンチグラフィー計測によって求める。「特異的結合」は「全結合」−「
非特異的結合」とする。
試験物質を水10mLに濃度0.22mg/mLで溶解する。IC50を計算す
る前に、特異的結合の25〜75%阻害を得なければならない。
試験値はIC50(3HPRZの特異的結合を50%阻害する試験物質の濃度(
nM))として得られる。
IC50=(用いた試験物質濃度)×(Cx/Co−Cx)nM
ここに、Coはコントロールアッセイにおける特異的結合であり、Cxは試験アッ
セイにおける特異的結合である。(計算は通常質量作用動力学を仮定する)。
さらに、唾液分泌に対する薬理活性および傾向は以下の方法を用いて求めるこ
とができる。
マウスの唾液分泌:
体重20〜30gのマウスを唾液分泌試験に用いた。5グループのマウスに、蒸
留水に溶解した10mg/kg投与量の化合物を注入した。30分後、唾液分泌
および震顫を尺度0、1または2で評点した。ここに、0=効果なし、1=穏や
かな唾液分泌または震顫、2=著しい唾液分泌または震顫である。平均評点が1
であった化合物は1より低い評点となるまで、1/2対数少ない投与量で試験し
た。評点が1となった最も少ない化合物投与量を、最少有効投与量(MED)で
表した。
Exビボレセプター結合。Sprague−Dawleyラット脳由来の大脳
皮質の重さを量り、1mM MnCl2を含む、20mMトリスCl、pH7.4
、10容量中でホモジナイズし、この懸濁液を25℃で10分間プレインキュベ
ートし内生リガンドを取り除いた。exビボ結合性の測定のため、全ホモジネー
トの0.1mLを、3nM[3H]オキソトレモリン−M(87.0Ci/mmol
)か、1nM[3H]ピレンゼピン(86.2Ci/mmol)かどちらかを含む緩
衝液1mLに加えた。このホモジネートを[3H]オキソトレモリン−Mまたは
[3H]ピ
レンゼピン結合に対し、それぞれ25℃で15または60分間インキュベートし
た。インキュベーションを終了させるため、このホモジネートを、0.1%ポリ
エチレンイミンに1時間浸しておいたGF/cガラスフィルターに通して減圧ろ
過した。このフィルターを冷緩衝液2mLで3回すすいだ後、放射能を求めるた
め、シンチレーション液10mLを含む、シンチレーションバイアルに入れた。
非特異的結合を1μMアトロピンの添加によって求めた。
本発明の化合物は幅広い投与量範囲にわたって有効である。例えば、ヒト成人
の処置では、一日当たり約0.05〜約100mg、好ましくは約0.1〜約1
00mgの投与量を用いることができる。最も好ましい投与量は一日当たり約0
.1mg〜約70mgである。ムスカリンコリン作動性系の機能不全によって生
じた中枢神経系の疾患を患った患者の処置方法の選択において、一日当たり約2
0〜約70mgの投与量で始め、症状が調節下にある場合に投与量を一日当たり
約0.1〜約10mgぐらいまで減らすことがしばしば必要となることがある。
的確な投与量は投与様式、投与剤型、処置対象および処置対象の体重、担当の医
師または薬を処方する介護人の選択および経験に依存するであろう。
投与経路は、活性化合物を適当なあるいは所望の作用部位へ効率的に輸送する
、経口、非経口、例えば直腸、経皮、脂肪貯留槽内、皮下、静脈内、筋肉内また
は鼻腔内のようないかなる経路でもよいが、経口経路が好ましい。
代表的な組成物には、担体または希釈剤であり、あるいは担体で希釈され、あ
るいはカプセル、サシエ、ペーパーまたは他の容器の形であり得る担体中に包含
される、製薬的に許容される賦形剤を伴う式Iの化合物または製薬的に許容され
るその酸付加塩が含まれる。組成物を製造するには、通常の医薬組成剤の製造技
術を用いることができる。例えば、活性化合物を通常、担体と混合し、あるいは
担体で希釈し、あるいはアンプル、カプセル、サシエ、ペーパーまたは他の容器
の形態の担体中に含ませる。担体が希釈剤として働く場合は、これは活性な化合
物のビヒクル、賦形剤、または媒体として働く、固形、半固形、液状物質であり
得る。活性な化合物は顆粒状固形容器、例えばサシエ中に含ませることができる
。いくつかの適当な担体の例には、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリ
コ
ール、ポリヒドロキシエトキシル化ひまし油、ゼラチン、ラクトース、アミロー
ス、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、脂肪酸モノグリセリドおよび
ジグリセリド、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロ
ース、およびポリビニルピロリドンがある。また製剤は湿潤剤、乳化剤および懸
濁化剤、保存剤、甘味料、または香料を含んでいてもよい。本発明の製剤は当業
者に周知の方法を用いて、患者に投与後、活性成分が敏速に、持続してあるいは
遅延して放出されるように製剤化することができる。
医薬製造物を滅菌し、所望ならば助剤、乳化剤、浸透圧に作用する塩、緩衝液
および/または着色料など(これらは活性化合物と有害に反応しない)と混合で
きる。
非経口投与には、注射溶液剤または懸濁剤、好ましくはポリヒドロキシル化ひ
まし油に溶解した活性成分の水溶液が特に適切である。
経口投与には、タルクおよび/またはカルボヒドレート担体または結合剤をな
どを有する錠剤、糖衣錠またはカプセル剤が特に適切である。錠剤、糖衣錠また
はカプセル剤に好ましい担体にはラクトース、コーンスターチ、および/または
ポテトスターチが含まれる。甘味ビヒクルを用いることができる場合は、シロッ
プ剤またはエリキシル剤を用いることができる。
概して、化合物は単位投与量当たり、製薬的に許容される担体中、約0.1〜
約100mgを含む単位剤型で投与される。
本発明の化合物は動物に対して投与するのにふさわしいものとすることができ
る。そのような動物には家畜動物、例えば家畜、実験動物および家庭のペット、
および非家畜動物、例えば野生生物の両方が含まれる。動物は脊椎動物であるの
がより好ましい。本発明の化合物を哺乳類に投与するのが最も好ましい。動物は
家畜哺乳類またはヒトであるのが特に好ましい。最も好ましい哺乳類はヒトであ
る。上記目的のため、本発明の化合物はえさ添加物として投与することができる
。
本発明の実施をより完全に示すため、以下に実施例を挙げる。これらの実施例
は本発明を単に例示するためのものであり、いかなる意味においても本発明の範
囲を限定するためのものではない。製剤例1
本発明の方法で用いるのに適当な、代表的錠剤は、通常の技術を用いて製造で
き、以下のものを含むことができる。
製剤例2
ゼラチン硬カプセル剤を以下の成分を用いて製造する:
上記成分を混合し、210.1mg量を各ゼラチン硬カプセルに充填する。
製剤例3
投与量5mLあたり薬物1mgを含有する各懸濁剤を以下のように製造する:
薬物をNo.45メッシュ米国ふるいに通し、カルボキシメチルセルロースナ
トリウムおよびシロップ剤と混合し、滑らかなペーストとする。安息香酸溶液、
香料および着色料を水で希釈し、攪拌しながらペーストに加える。次いで十分な
水を加え、必要な量とする。
本発明の化合物は有用なムスカリンレセプター活性を有する。本発明の範囲内
のある化合物およびある状態が好ましい。以下の表に表記されている状態、発明
態様および化合物の性質を独立しで組み合わせ、種々の好ましい化合物および工
程状態を生じさせることができる。以下の本発明態様の表記はいかなる意味にお
いても本発明の範囲を限定するためのものではない。
式Iで示される化合物のいくつかの好ましい性質は:
A)Gは1−アザビシクロ[3.2.1]オクチルであり;
B)RはFであり;
C)Rはメチルであり;
D)Rはトリフルオロメチルであり;
G)RはHであり;
H)RはClである
である。
以下の実施例に沿って、本発明をさらに詳細に記載する。これらの実施例は本
発明を例示するためのものであり、いかなる意味においても本発明の範囲を限定
するものと考えるべきではない。
実施例1
(5R,6R)−エンド−3−(4−フルオロベンジルチオール)−4−(1−
アザビシクロ[3.2.1]オクチル−6−オキシ−1,2,5−チアジアゾー
ル
p−フルオロベンジルチオール(3.8mmol)をTHF70mL中のカリ
ウムt−ブトキシド(3.8mmole)の攪拌溶液に−40℃で加えた。15
分間攪拌した後、(本明細書中に教示した方法を用いて製造の)(5R,6R)
−エンド−3−プロピルスルホニル−4−(1−アザビシクロ[3.2.1]オ
クチル−6−オキシ)−1,2,5−チアジアゾール(1.9mmol)を加え、こ
の溶液をさらに30分攪拌した。この反応物を水でクエンチし、生成物をEtO
Acで抽出し、乾燥し、濃縮した。この生成物を、CHCl3/EtOH/NH4
OH、
50/49/1で溶出する、シリカゲルを用いたHPLCによって精製し、蓚酸
塩に変換し、生成物380mg、42%を得た(m.pt.114−115℃.
)。
同様に以下の化合物を製造した:
(5R,6R)p−クロロベンジルチオール、塩酸塩
m pt 199−200)収率70%
(5R,6R)ベンジルチオール、蓚酸塩
m pt 89−90)収率46%
(5R,6R)p−メチルベンジルチオール、蓚酸塩
m pt 119−121、収率37%
(5R,6R)p−トリフルオロメチルベンジルチオール、蓚酸塩
m pt 124−126、収率16%。
特許請求している化合物を、10mg/kg経口投与した3時間後に、脳での
exビボレセプター結合の阻害パーセントアッセイにおいて試験したところ、驚
くべき生物学的利用能を示した。さらに本発明の化合物は、本明細書中に教示の
方法を用いて示されるように、同様の酸素架橋化合物より好ましい副作用プロフ
ァイルを示した。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 27/06 A61K 31/00 627C
43/00 643D
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