【発明の詳細な説明】
新規の置換アザ環式またはアザ二環式化合物発明の分野
本発明は、神経細胞のニコチンチャンネル受容体に対して選択的なコリン作動
性リガンドである複素環式化合物、それらの調製法、それらよりなる薬学的組成
物、ならびにニコチン性コリン作動機能の低下により特徴付けられる認識疾患、
神経学的疾患および精神疾病の治療におけるそれらの使用に関する。また本発明
は、ドーパミン分泌のプロセスを調節することによりパーキンソン病を治療する
方法、タバコ製品の常習性または長期間の使用を停止することにより起こる禁断
症状を治療または予防する方法、ならびに肥満を治療する方法に関する。発明の背景
ニコチンおよびムスカリン受容体は、それぞれニコチンおよびムスカリンに対
するそれらの選択性にちなんで命名された2つの明確に異なるタイプのコリン作
動性受容体である。コリン作動系は、記憶および認知機能と最も関連のある神経
伝達系である。伝統的には、アルツハイマー型の老人性痴呆症(SDAT)に対
するコリン作動性の仮説はムスカリンのアセチルコリン受容体(mAChR)に
焦点があてられ、ほんの最近になって、SDATにおけるニコチン様アセチルコ
リン受容体(nAChR)の役割への関心が持ち上がってきた。この関心は、n
AChRが骨格筋だけではなく脳の中にもあるという比較的最近の発見によって
刺激された
nAChRの数がSDAT患者において減少したということが示されている(
Nordbergら、J.Neurosci.Res.31巻、103-111頁(1992);Giacobini,Advances in
Experimental Medicine and Biology,296巻、9205-9295頁、(1993);Schroeder
ら、Neurobiol.of Aging,12巻、259-262頁、(1991); Whitehouseら、Neurolog
y,38巻、720-723頁、(1988); Flynn およびMash,J.Neurochem,47巻、8702-8
702頁、(1993))。コリンアセチルトランスフェラーゼ活性およびアセチルコリ
ン合成も同様に欠乏していることは、コリン作動性神経末端のシナプス前部の受
容体がSDATにおいて優先的に失われていることを示唆する(Nordberg,J.R
e
prod.Fert.Suppl.,46巻、145-154頁、(1993))。従って、nAChRの欠失は
、加齢に伴う記憶障害および認知機能疾患の徴候と関連があり、ニコチンの置換
治療がSDATにおいて有益であることが判明するかもしれないと仮定される。
事実、ニコチンは、健康なヒトにおいて(Warburton,Prog.Neuro.Psychopharm
acol.Biol.Psychiatry,16巻、181-191頁、(1992))ならびにアルツハイマー病
の患者において(Jonesら、Psychopharmacology,108巻、485-494頁、(1992); Gi
telmanおよびProhovnik,Neurobiol.of Aging,13巻、313-318頁、(1992); Newh
ouseら、Psychopharmacology,95巻、171-175頁、(1988); Sahakianら、Br.J.
Psychiatry,154巻、9004-904頁(1993))、注意力および記憶を改善した。さらに
ニコチン性のアンタゴニストであるメカミラミンは、加齢に伴う認知障害を引き
起こすことが示されている(Newhouseら、Neuropsychopharmacology,10巻、93-1
07頁、(1994))
パーキンソン病(PD)は、振せんおよび筋肉の硬直によって特徴付けられ、
体を衰弱せしめる、発症原因不明の神経退行性疾病である。またニコチンはPD
において有益な効果を有するかもしれないという証拠がある。研究は、喫煙がP
Dの進展を防ぐかもしれないこと(IshikawaおよびMmiyatake,J.Neurol.Sci.,1
17巻、28-32頁、(1993);Godwin-Austenら、J.Neurol.Neurosurg.Psychiat.,
45巻、577-581頁、(1982);Redvill,in Nicotine Psychopharmacology: Molecular
, cellular and behaioral aspects,307-340頁、オックスフォード大学出版部
(1990))、および常習的なニコチンが病害により引き起こされた黒質の細胞欠損を
防ぐかもしれないこと(JansonおよびMoller,Neuroscience,57巻、931-941頁(1
993))を示した。またニコチンは、トーレット症候群においても有益な効果を示
した(Sanbergら、Biomed.Phamacother.,43巻、19−23頁(1989))。ニコチン
が線条体よりさらに強力に側座核におけるドーパミンの放出を刺激することを示
すデータによって(Rowellら、J.Neurochem.,49巻、1449-1454頁、(1987);Gi
orguieff-Chesseletら、Life Sciences,25巻、1257-1262頁、(1979));前頭葉
前部ニューロンの不活化が、ニコチンによって元に戻るという事実によって(Sv
ensonら、In the Biology of Nicotine dependence.,169-185頁、New York,(19
90))、および種々の行動モデルにおける、ニコチンがドーパミン作動効果を強
化してい
るであろうという観察によって(Reavill,in Nicotine psychopharmacology: M
olecular,cellular and behavioral aspects,307-340頁、オックスフォード大
学出版部、(1990); Rosecransら、Psychopharmacol.Commmun.,2巻、349-356頁
、(1976);ReavillおよびStolerman,J.Psychopharmacol.,1巻、264頁、(1987)
)、精神分裂病において前頭下部症候群として知られている陰性精神病症候群が
ニコチン性アゴニストにより緩和されるであろうと推測されている。
近年、ラットおよびヒトにおいてニコチンの効果および食物の消費およびそれ
に伴う体重の変化に関するいくつかの研究がある(Greenbergら、Additive beha
viours,7巻、317-331頁、(1982)およびGreenbergら、Psychopharmacology,90
巻、101-105頁(1984))。ニコチンの食欲効果は、視床下部の室傍核におけるC
CKペプチドの調節を介して伝達されると示唆されている(Fuxeら、Acta Physio
logica Scandinavica,125巻、437-443頁、(1985))。
EP414394は、中枢神経系内のムスカリン受容体の作用を介してアセチ
ルコリンの機能を増大させるコリン作動性化合物として記載されている五員複素
環で置換された、ある種のメチレンアザ二環式化合物を開示する。発明の説明
本発明の目的は、ニコチン性コリン作動性受容体に対する親和性および選択性
を有する化合物、それらの調製法、それらを含む薬学的組成物、およびアルツハ
イマー病、パーキンソン病、トーレット症候群、潰瘍性大腸炎、肥満、他の中枢
神経系および胃腸疾患ならびに激しい痛みの治療におけるそれらの使用を提供す
ることである。
本発明は、下記より選択される式I:
[式中、kは0、1、2または3であり;かつ
mは0、pは2、nは2であるか、あるいはmは1、pは1、nは2であるか、
あるいはmは0、pは1、nは0であり;かつ
sは0、1または2であり;かつ
tは1または2であり;かつ
uは1、2または3であり;かつ
Rは水素、C1-6−アルキルまたはC3-6−シクロアルキルであり;かつ
ここに、Yは、
であり、ここに、−A−B−C−D−は
=C(R1)−O−N=C(R2)−、=C(R1)−S−N=C(R2)−、=C
(R1)−N=C(R2)−O−、=C(R1)−C(R2)=C(R3)−O−、
=C(R1)−C(R2)=N−O−、=C(R1)−N=C(R2)−S−、=C
(R1)−C(R2)=C(R3)−S−、=C(R1)−C(R2)=N−S−、
−C(R1)=C(R2)−O−C(R3)=、−C(R1)=C(R2)−S−C
(R3)=、−N(R4)−N=C(R1)−C(R2)=、=N−N(R4)−C
(R1)=C(R2)−、=N−O−C(R1)=C(R2)−、=N−S−C(R1
)=C(R2)−、−N(R4)−C(R1)=N−C(R2)−、−N=C(R1
)−N(R4)−C(R2)=、=C(R1)−N(R4)−N=C(R2)−、−
N=C(R1)−O−C(R2)=、−N=C(R1)−S−C(R2)=、=N−
C(R1)=C(R2)−N(R4)−、=N−C(R1)=C(R2)−O−、=
N−C(R1)=C(R2)−S−、−N(R4)−N=N−C(R1)=、=N−
N(R4)−N=C(R1)−、−N=N−N(R4)−C(R1)=、−N(R4
)−N=C(R1)−N=、=N−N(R4)−C(R1)=N−、=N−N=C
(R1)−N(R4)−、=N−O−N=C(R1)−、=N−N=C(R1)−O
−、−N=C(R1)−O−N=、=N−C(R1)=N−O−、=N−N=C(
R1)
−S−、=N−S−N=C(R1)−、=N−C(R1)=N−S−、−N=C(
R1)−S−N=、N(R4)−N=N−N=、=N−N(R4)−N=N−より
選択され:かつ
R1、R2およびR3は独立して水素、ハロゲン、−NO2、−CN、−NR5R6、
−OR7、−SR8、−COOR9、SOR10、−SO2R11、−SO3R12、所望
により1、2または3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6−アルキル
、C2-6−アルケニル、C2-6−アルキニル、C3-6−シクロアルキル、−R13−
O−R14または−R15−S−R16であり、およびR4はC1-6−アルキル、C2-6
−アルケニル、C2-6−アルキニル、C3-6−シクロアルキル、−R17−O−R18
、または−R19−S−R20であり、ここに、R5およびR6は独立して水素、C1- 6
−アルキル、C2-6−アルケニルまたはC2-6−アルキニルおよびここに、R7、
R8、R9、R10、R11、R12、R14、R16、R18およびR20は独立して水素、C1-6
−アルキル、C2-6−アルケニル、C2-6−アルキニルまたはC3-7−シクロア
ルキルおよびここに、R13、R15、R17およびR19は独立してC1-6−アルキレ
ン、C2-6−アルケニレンまたはC2-6−アルキニレンである]
で示される新規な置換アザ環式またはアザ二環式化合物またはその薬学的に許容
される塩に関する。
好ましい実施態様において、本発明の化合物は、これらの化合物がムスカリン
受容体に比してニコチン受容体に対して好ましい選択性を有するので、
A−B−C−Dが、
=C(R1)−C(R2)=N−O−、=C(R1)−C(R2)=N−S−、=N
−O−C(R1)=C(R2)−、および=N−S−C(R1)=C(R2)−より
選択される式Ia:
の化合物から選択される。
かかる塩の例には、塩酸塩、臭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩
、
マレイン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩のごとき無機酸およ
び有機酸添加塩、または類似の薬学的に許容される無機酸または有機酸添加塩が
含まれ、ならびに出典明示して本明細書の一部とみなすJournal of Pharmaceuti
cal Science,66,2(1977)に挙げられた薬学的に許容される塩が含まれる。
式Iの化合物は幾何および光学異性体として存在することができ、すべての異
性体およびそれらの混合物が本発明に含まれる。異性体は、クロマトグラフィー
技術または適当な塩の分別結晶化のごとき標準法によって分離され得る。
本明細書で用いられるアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、直鎖または
分枝したアルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖を意味する。
また本発明は、前記した式Iの化合物の調製法に関する。これらの方法は:
a)R、k、m、n、p、s、tおよびuが前記で定義した意味を有する、
下記から選択される式II:
の化合物と、
[R21、R22、R23は独立してC1-6アルキル、アリールまたはアラル
キルであり、かつ−A−B−C−D−が前記で定義した意味を有する]
式IIIのリンイリドまたは式IVのホスホネート
を反応させて式Iの化合物を得るか;または
b)式IIの化合物を、−A−B−C−D−が前記で定義した意味を有する式
V
の化合物と反応させ、続いて脱水して式Iの化合物を得るか;または
c)式IIの化合物を、R21、R22およびR23が前記で定義した意味を有する
式VI:
の化合物と反応させて式Iの化合物を得るか;または
d)式IIの化合物を、R1、R21およびR22が前記で定義した意味を有する
式VII:
の化合物と反応させて式VIII:
の化合物を得、次いで、ジメチルホルムアミドジメチルアセテートと反
応させ、およびヒドロキシルアミンで環化させて、RおよびR1が前記で定義し
た意味を有する式IX:
の化合物を得ることからなる。
本発明の化合物の薬物学的な特性は、3H−メチルカルバミルコリン(3H−M
CC)の特異的結合を阻害する能力を測定することによって示すことが可能であ
る。(AboodおよびGrassi,Biochem.Pharmacol.,35巻、4199-4202頁、(1986))。
3H−MCCは、中枢神経系中のニコチン受容体をラベルする。3H−MCC結
合に対する阻害効果は、ニコチン性アセチルコリン受容体に対する親和性を反映
する。
新鮮または冷凍ラットの脳組織(海馬または皮質)をアッセイ緩衝液(50m
M Tris−HCl、pH7.4、120mM NaCl、5mM KCl、
2mM CaCl2, 1mM MgCl2)中でホモジナイズし、10分間、4
0,000 x gで遠心分離した。次いで、ペレットをアッセイ緩衝液中で再
構成し、適量の組織サンプルを3H−メチルカルバミルコリン(NEN、NET
−951;最終濃度2nM)および試験薬剤とともにチューブ中で混合した。該
チューブを0℃で60分間インキュベートした。結合していないリガンドを、0
.5%ポリエチレンイミンにあらかじめ浸漬させたGF/Bフィルターを通す吸
引濾過によって結合したリガンドから分離した。フィルターを5mlの洗浄緩衝
液(50mM Tris−HCl、pH7.4)で3回洗浄して、バイアルに移
した。4mlのシンチレーション液を添加し、放射能をシンチレーションカウン
ティングによって測定した。非特異的結合が10μMニコチンで測定された。
試験化合物のIC50値を、非線形回帰分析によって決定した(GraphPad InPlo
t)。
さらにまた、本発明の化合物の薬物学的な特性を、それらの3H−オキソトレ
モリン−M(3H−Oxo)の特異的結合を阻害する能力を測定することにより示
すことが可能である。Birdsdall N.J.M..Hulme E.C.,およびBurgen A.S.V.(198
0).″The Character of Muscarinic Receptors in Different Regions of the
Rat Brain″,Proc.Roy.Soc.London(シリーズB)207,1。
3H−Oxoは中枢神経系内のムスカリン受容体を(該受容体のアゴニストド
メインを優先して)ラベルする。3つの異なる部位が、3H−Oxoによってラ
ベルされる。これらの部位は、各々1.8、20および3000nMの親和性を
有する。本実験条件を使用した場合、高および中程度の親和性部位のみが決定さ
れる。
3H−Oxo結合への化合物の阻害効果は、ムスカリン性アセチルコリン受容
体に対する親和性を反映する。
特に断りのない限り、すべての調製は0−4℃で行う。雄のWistarラッ
ト(150−250g)の新鮮な皮質(0.1−1g)をUltra−Turr
axホモジナイザーを用いて、10ml 20mMのHepes pH:7.4
中で、5−10秒間ホモジナイズする。該ホモジナイザーを10mlの緩衝液で
すすぎ、合わせた懸濁液を40,000×gで15分間遠心分離する。ペレット
を緩衝液で3回洗浄する。各々の過程で、先のとおりに、ペレットを2×10m
lの緩衝液中でホモジナイズし、40,000×gで10分間遠心分離する。
最終ペレットを20mMのhepes pH:7.4(最初の組織1g当たり
100ml)中でホモジナイズし、結合アッセイに用いる、0.5mlのアリコ
ートを25ulの試験溶液に添加し、25μlの3H−オキソトレモリン(最終
濃度1.0nM)を混合し、25℃で30分間インキュベートする。試験物質と
してアレコリン(最終濃度1μg/ml)を用いて、3回反復にて非特異的結合
を決定する。インキュベーション後、サンプルを5mlの氷冷緩衝液に添加して
、吸引下で直接Whatman GF/Cグラスファイバーフィルターに注入し
、直ちに5mlの氷冷緩衝液で2回洗浄する。該ファイバーの放射能量を、従来
の液体シンチレーションカウンティングによって決定する。特異的結合は、全結
合マイナス非特異的結合である。
試験物質を10mlの水(必要ならば5分より短い時間蒸気浴で加熱して)に
2.2mg/mlの濃度で溶解させる。IC50の計算前に特異的結合の25%−
75%阻害が得られるはずである。該試験値はIC50(3H−Oxoの特異的結
合を50%阻害する試験物質の濃度(nM))として得られる。
IC50=(適用した試験物質濃度)×(Cx/Co−Cx)nM
ここに、Coは対照アッセイでの特異的結合であり、Cxは試験アッセイでの特異
的結合である。(計算は通常の質量作用速度論を前提とする)。
表1は、ラット皮質受容体への3H−MCCおよび3H−Oxoの結合により決
定した、本発明の化合物のニコチンおよびムスカリン受容体に対する親和性を示
す。しかしながら、該化合物は、ムスカリン受容体と比べてニコチン受容体に対
する選択的親和性、すなわちOXO/MCC>1を示す。
本発明の化合物は広い投与量範囲にわたって効果的である。例えば、成人の治
療において一日当たり投与量約0.05ないし約100mg、好ましくは約0.
1ないし約100mgを用いることができる。最も好ましい投与量は一日当たり
約10mgないし約70mgである。ニコチン性コリン作動系の機能不全によっ
て引き起こされる中枢神経系の疾病を患う患者に対する治療法の選択として、し
ばしば1日当たり約30ないし約70mgの投与量で始め、症状を制御できるよ
うになれば一日当たり約1ないし約10mgまで低く投与量を減じることが必要
とされるかも知れない。厳密な投与量は投与様式、投与される形態、治療される
対象および治療される対象の体重、ならびに担当内科医または獣医の選択および
経験に依存するであろう。
投与経路は、経口または非経口、例えば直腸、経皮、皮下、静脈内、尿道内、
筋肉内、局所性、鼻腔内、眼の溶液、または軟膏のごとき、活性化合物を適当な
または所望の作用部位に効果的に輸送するいずれの経路であってもよいが、経口
経路が好ましい。
典型的な組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせた式1の化合物また
は薬学的に許容される酸を加えたその塩を含む。該組成物の作成において、薬学
的組成物の調製のための常法を用いることができる。例えば、活性化合物は通常
担体と混合されるか、または担体で希釈されるか、またはアンプル、カプセル、
小袋、紙または他の容器の形態であってもよい担体中に封入されよう。担体が希
釈剤として働く場合は、それは活性化合物のためのビヒクル、賦形剤、または媒
体として働く固体、半固体、または液体物質であってよい、該活性化合物は粒状
固体容器、例えば、小袋中に吸着され得る。適した担体のいくつかの例は水、塩
溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエトキシル化ひま
し油、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ
酸、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペンタエリトリトール脂肪酸エ
ステル、ヒドロキシメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンである。
該医薬製剤は所望により、補助剤、乳化剤、浸透圧を調整するための塩、緩衝
液および/または着色物質などとともに滅菌および混合でき、それらは該活性化
合物と有害には反応しない。
非経口投与については、注射可能な溶液または懸濁液、好ましくはポリヒドロ
キシル化ひまし油に溶解させた該活性化合物を伴う水溶液が特に適している。
タルクおよび/または炭水化物担体または結合剤などを有する錠剤、糖衣剤、
またはカプセルは経口投与に特に適している。錠剤、糖衣剤、またはカプセルと
して好ましい担体は、乳糖、コーンスターチ、および/またはジャガイモデンプ
ンを含む。甘味をつけたビヒクルを使用し得る場合は、シロップ剤またはエリキ
シル剤を使用できる。
一般的に、該化合物は単位投与当たり薬学的に許容される担体中、約1ないし
100mgからなる単位形にて調合される。
本方法での使用に適当な典型的な錠剤は、通常の錠剤形成技術によって調製す
ることができ、以下のものを含む。
下記の実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1
3−ヒドロキシ−3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチル−1−メチル
ピペリジン
−78℃まで冷却した乾燥テトラヒドロフラン(15ml)中の3,5−ジメ
チルイソキサゾール(4.86g、50mmol)溶液に、ブチルリチウム(ヘ
キサン中2.5M、50mmol)を添加した。反応混合液を0.5時間攪拌し
た。テトラヒドロフラン(25ml)中に溶解させた1−メチルピペリジン−3
−オン(2.70g、23.9mmol)を添加した。反応混合液を−78℃で
さらに2時間攪拌した。水(50ml)を添加し、反応混合液を濃塩酸で酸性に
した。該水相をエーテル(2×50ml)で抽出し、次いで炭酸カリウムでアル
カリ性にし、塩化メチレン(4×50ml)で抽出した。合わせた塩化メチレン
相を硫酸マグネシウム上で乾燥、蒸発させ、4.18g(83%)収量で表題の
化合物を得た。
(Z)−3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチレン−1−メチルピペリ
ジンオキサレートおよび3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチル−1−
メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンオキサレート
塩化メチレン(50ml)中の3−ヒドロキシ−3−(3−メチル−5−イソ
キサゾリル)メチル−1−メチルピペリジン(1.5g、7.2mmol)溶液
に塩化チオニル(2.56g、21.5mmol)を添加した。反応混合液を室
温で一晩攪拌した。水を添加し、反応混合液を濃塩酸で酸性にした。該相を分離
し、該水相を炭酸カリウムで塩基性にした。該水相をエーテル(3×50ml)
で抽出した。合わせたエーテル抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥、蒸発させた
。粗化合物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:塩化メチレン/メタノール:
9/1)により分離した。最初の画分は(Z)−3−(3−メチル−5−イソキ
サゾリル)メチレン−1−メチルピペリジンを含み、これを40mg(3%収量
)にてシュウ酸塩として結晶化させた。融点163−164℃。(化合物1)。
二
番目の画分は3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチル−1−メチル−1
,2,5,6−テトラヒドロピリジンを含み、これを240mg(18%収量)
にてフマル酸塩として結晶化させた。融点145−146℃。(化合物2)。
全く同様の方法で下記の化合物を調製した:
1−メチルピペリジン−4−オンおよび3,5−ジメチルイソキサゾールから
4−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチレン−1−メチルピペリジンオキ
サレート。融点144−145℃。(化合物3)。
1−メチルピペリジン−4−オンおよび3,5−ジメチルイソキサゾールから
4−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチル−1,2,5,6−テトラヒド
ロ−1−メチルピペリジンオキサレート。融点127−128℃。(化合物4)
。
実施例2 (Z)−3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチレンピペリジン塩酸塩
トルエン(50ml)中の(Z)−3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)
メチレン−1−メチルピペリジン(1.3g,6.5mmol)溶液に、クロロ
ギ酸1−クロロエチル(1.3g、10mmol)を添加した。反応混合液を還
流下5時間加熱した。反応混合液を蒸発させ、メタノール(50ml)を添加し
た。反応混合液を還流下1時間加熱し、蒸発させた。粗化合物をカラムクロマト
グラフィー(溶離剤:塩化メチレン/メタノール/水酸化アンモニウム(25%):
8/2/0.5)によって精製した、遊離塩基を酢酸エチルから塩酸塩として結
晶化させ、収量350mgにて表題の化合物を得た。融点232−235℃。(
化合物5)。
実施例3
(Z)−3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチレン−1−メチルピペリ
ジンオキサレートおよび(E)−3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチ
レン−1−メチルピペリジンオキサレート
−78℃まで冷却した乾燥テトラヒドロフラン(25ml)中の3−メチル−
5−トリメチルシリルメチル−イソキサゾール溶液(J.Organomet.Chem.195,3,19
80,275-284)(2.0g、12mmol)に、ブチルリチウム(ヘキサン中1.
6
4M、12mmol)を滴下して添加した。反応混合液を−78℃で2時間攪拌
した。乾燥テトラヒドロフラン(20ml)中の1ーメチル−ピペリジン−3−
オン溶液(1.35g、12mmol)を−78℃で滴下して添加した。反応混
合液を4℃まで加温し、この温度で一晩維持した。反応混合液を真空にて半量ま
で蒸発させ、水(25ml)を添加した。該水相を酢酸エチル(3×25ml)
で抽出した。有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。粗化合
物をシリカ上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル/メタノール/
水酸化アンモニウム、水中25%、3/1/0.5%)によって分離した。最初
の画分は(Z)3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチレン−1−メチル
ピペリジンを含み、これは収量450mgにてオキサレート塩として結晶化され
た。化合物1。融点163−64℃。次の画分は収量1.3gにて不分離のZお
よびE異性体を含んだ。最後の画分は純粋な(E)3−(3−メチル−5−イソ
キサゾリル)メチレン−1−メチルピペリジンを含み、これは収量120mgに
でオキサレート塩として結晶化された。化合物6、融点214−15℃
同一の方法にて下記の化合物を調製した:
(Z)3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチレン−1−メチルピロリ
ジンオキサレート、化合物8、および(E)3−(3−メチル−5−イソキサゾ
リル)メチレン−1−メチルピロリジンオキサレート、化合物9、開始形態1−
メチル−ピロリジン−3−オン(J.Amer.Chem.Soc.,55,1933,1233-1241)および3
−メチル−5−トリメチルシリルメチル−イソキサゾール。
実施例4
(Z)−3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチレン−ピペリジン塩酸塩
および(E)−3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチレン−ピペリジン
塩酸塩
0℃まで冷却したトルエン(30ml)中の3−(3−メチル−5−イソキサ
ゾリル)メチレン−1−メチルピペリジン(1.3g、6.5mmol)溶液に
クロロギ酸1−クロロエチル(1.1ml、10mmol)を添加した。反応混
合液を還流下5時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させ、メタノール(20ml
)
を添加した。反応混合液を還流下1時間加熱し、次いで真空中で蒸発させた。粗
物質をシリカ上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル/メタノール
/水酸化アンモニウム、水中25%:3/1/0.5%)によって精製した。最
初の画分は(Z)3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチレンピペリジン
を含み、これは収量120mgにて酢酸エチルから塩酸塩として結晶化された。
化合物5。融点232−35℃。次の画分は(E)3−(3−メチル−5−イソ
キサゾリル)メチレンピペリジンを含み、これは収量190mgにて、酢酸エチ
ルから塩酸塩として結晶化された。化合物7。融点219−20℃。
実施例5 3−(3−メチル−5−イソキサゾリル)メチレンアゼチジン塩酸塩
−78℃まで冷却した乾燥テトラヒドロフラン(40ml)中の3−メチル−
5−トリメチルシリルメチル−イソキサゾール(J.Organomet.Chem.195,3,1980,2
75-284)(1.69g、10mmol)溶液に、ブチルリチウム(ヘキサン中2.
5M、10mmol)を滴下して添加した。反応混合液を−78℃で1時間攪拌
した。乾燥トラヒドロフラン(20ml)中のN−ベンジドリルアジチジン−3
−オン(J.Heterocycl.Chem.31,271,1994)(2.50g、10.5mmol)溶液
を−78℃で滴下しで添加した。反応混合液を−70℃で2時間攪拌した。反応
混合液を1N塩酸溶液でクエンチした。沈殿した結晶物質を濾過した。結晶を水
(50ml)に懸濁し、該水懸濁を固体炭酸カリウムでアルカリ性にした。遊離
塩基を塩化メチレン(3×75ml)で抽出した。合した有機抽出液を硫酸マグ
ネシウム上で乾燥、蒸発させた。粗物質を塩化メチレン(20ml)に再溶解し
、0℃まで冷却した。クロロギ酸1−クロロエチル(0.815g、5.7mm
ol)を添加し、反応混合液を20分間攪拌した。反応混合液を真空中で蒸発さ
せ、次いで、メタノール(20ml)に再溶解させた。反応混合液を還流下で1
時間加熱し、真空中で蒸発させた。粗物質をエーテルに再溶解させ、沈殿した結
晶を濾過し、収量370mg、にて表題の化合物を得た。化合物10。融点16
8−69℃
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