【発明の詳細な説明】
スラブのバリ取り装置
本発明は、鋼スラブまたはそれと同様な板状金属製品のバリ取り装置、特に圧
延前にスラブの端縁に存在するバリを除去するためのバリ取り装置(dispositif
d'ebavurage)に関するものである。
鋼の板製品を製造する従来の方法では液体鋼を連続鋳造用鋳型に連続的に流し
込み、鋳造設備の出口で熱い帯鋼を用途に応じた長さに切断する(この鋼材をス
ラブとよぶ)。この切断は瞬時(a la volee)すなわち帯鋼の進行中に進行方向
に対して垂直に酸素切断トーチを用いて行われる。
この切断によってスラブの両端(先頭および後尾とよぶ)に酸素切断バリが形
成される。このバリは下面すなわちトーチの炎が吹き出る側が特に大きい。この
バリはスラブの全幅にわたって延び、一般的な幅は20〜50mm、厚さは10〜15mmで
ある。
また、酸素切断によってバリを構成する金属はスラブ鋼材とは異なる化学組成
および機械的性質を有するようになる。従って、熱間圧延前にバリを除去して、
圧延製品に欠陥が発生するのを防止し、バリが圧延ロールを損傷したり、圧延時
にバリが剥離して圧延設備の種々の個所に蓄積し、圧延設備が故障するのを防ぐ
必要がある。
バリを除去する工業的な方法は種々ある。第1の方法は連続鋳造出口で切断し
た直後に熱いスラブのバリを切断ディスクで切断するか、槌打によって除去する
方法であるが、この方法は連続鋳造装置の数に応じた多数のバリ取り装置を必要
とする。
別のバリ取り装置は熱間圧延機のスラブ入口の前に設置されるが、これもスラ
ブ流の数に応じた多数の装置を必要とする。
バリ取り装置も既に種々提案されている。フランス国特許第2、553、318号に
は揺動アームに取付けられた2枚刃カッタを有するバリ取り装置が記載されてい
る。この揺動アームはスラブの縦方向に対して垂直に延び、ロールの軸線に平行
(従って、バリ取りすべきスラブの端縁に平行)な揺動軸線を中心にしてスラブ
を運搬するローラ軌道の互いに隣接した2つのローラ間を移動する。スラブの先
頭が揺動アームの上に来ると、スラブの進行方向に揺動アームが1回転し、スラ
ブの下面にほぼ接して移動するカッタの刃がスラブ先頭のバリを除去する。スラ
ブは次いでその後尾が揺動アームの真上に来るまで移動し、揺動アームが上記と
反対方向に1回転することによってカッタのもう一つの刃でスラブ後尾のバリが
除去される。この装置は揺動アームを作動させる前にスラブの移動を止め、スト
ッパー手段を用いてスラブを正確に位置決めしなければならない。特に、スラブ
後尾のバリを取るには、要求位置を越えてスラブを前進させ、ストッパー手段に
よってスラブを後退させる必要がある。従って、この装置はバリ切断のためにス
ラブを停止させ、位置決めのためにスラブを前進・後退させるための時間がロス
になる。
フランス国特許第2,645,779号または米国特許出願第5,253,398号に記載の装置
では、カッタヘッドがバリ取りすべきスラブの端縁に平行に延び、端縁に対して
垂直な複数のナイフを備えている。これらナイフをスラブ下面までバリ中に挿入
し、端縁と平行になるまでカッタヘッダを移動して、カッタヘッダの移動に等し
い長さだけ各ナイフでバリの一部を除去する。この装置は上記装置のような正確
なスラブの位置決めの必要がないが、カッタヘッダの垂直移動手段を必要とし、
ナイフをバリに挿入するときにスラブが持ち上がるのを防止するためにスラブ上
面に可動式のストッパーを用いなければならない。
この装置は一般的に大型になり、カッタやストッパーの運動に複雑な機構を必
要とし、これらの機構のモータや制御ジャッキも必要になる。従って、これらの
装置は投資の他に保守やエネルギー消費のコストも高くなる。さらに、バリ取り
を実施するためにはスラブは必ず停止しなければならない。この装置は大型にな
るため、一般には圧延機の加熱炉の前に配置され、その効率はバリ取り時のスラ
ブの温度と装入前のスラブの平面性に大きく左右される。
本発明の目的はこれらの問題を解決し、バリをほぼ完全に除去でき、バリ取り
を効率的に実施することにある。本発明の他の目的はナイフでスラブを傷付けず
にバリを完全に除去することにある。本発明のさらに他の目的は設計が簡単で、
嵩張らず、しかもエネルギーを消費する制御手段や駆動装置を必要としない装置
を提供することにある。本発明のさらに他の目的は投資額が低く、保守費が安い
装置を提供することにある。本発明のさらに他の目的は連続鋳造と圧延設備とで
構成される製造設備に必要なバリ取り装置の数を減らし、スラブが鋳造と圧延と
の間で追加の作業ステーションを通る必要をなくすことにある。
本発明の対象は、スラブの移動方向に対して直角に延び且つこの移動方向に対
してスラブの下面にほぼ接線状に移動可能な少なくとも一つのカッタを有するス
ラブのバリ取り装置において、スラブ移動時にスラブ先頭の正面によって駆動さ
れるようにスラブ軌道上の待機位置に配置された可動なプローブと、スラブがプ
ローブと接触する位置に到達してプローブを移動させた時にプローブの上流位置
からスラブの移動方向へスラブの移動速度より速い速度でカッタを移動させるカ
ッタ移動手段とを有することを特徴とするバリ取り装置にある。
本発明装置を用いることによってスラブ移動中に移動方向に対してスラブ前方
にある正面のバリを除去することができる。従って、スラブを停止させたり、位
置決めする必要がない。後の記載から明らかなように、本発明装置はスラブ移動
中のスラブの運動エネルギーを利用してカッタを駆動し、スラブの移動時に一斉
にバリ取りを実施する。
本装置は熱間圧延機の粗圧延機に向かうスラブ運搬テーブル上で加熱炉の出口
に配置するのが好ましい。このように配置することによって、熱間圧延機で圧延
する全スラブに対して単一装置が使用でき、加熱炉と粗圧延機と間のスラブの正
常軌道上で一度に確実にバリ取りできるので、個別のバリ取り部位を通過させる
ための追加のスラブ移動を省くことができる。また、バリ取りは自動的、従って
正確に全圧延操作の前に実施される。さらに、加熱炉出口におけるスラブの高温
、典型的には1,100〜1,250℃の温度がバリの収縮を促す。すなわち、この温度で
はスラブ上のバリの定着性は比較的弱く、バリを除去するのに必要なエネルギー
が小さく、装置の各要素が受ける機械的応力も小さくなる。それによって連続し
た動作の長い寿命が保証され、装置の寸法を小すことができ、従って、例えばこ
れまで炉から粗圧延機までスラブを運搬する役目をしていたローラーテーブルの
連続した2つのロール間に本装置を設置することが可能になる。さらに、炉へ装
入前に積上げられた熱いスラブに加わる曲がりが起こらないため、スラブの平面
性も向上する。
バリの収縮は加熱炉の出口でしか起こらず、加熱炉通過時にバリの最下部が落
下するだけなので、軌道上でバリが落下して炉が汚染される恐れがない。
本発明の一つの実施態様では、カッタ移動手段が移動方向に対して直角に固定
された第1軸を中心に回転するカッタ支持アームを有し、この第1軸は待機位置
でプローブのほぼ真上に位置する。また、プローブは第1軸に平行な固定第2軸
を中心に回転するプローブアーム上に取り付けられ、プローブアームは連接棒に
よってカッタ支持アームと連接され、スラブ移動方向にプローブが移動したとき
に同じ方向にプローブの移動より大きい振幅でカッタが移動される。
アームと連接棒から成る系は速度増幅装置を構成し、この」装置によってプロ
ーブの移動により移動を開始したカッタがスラブよりも速く駆動される。待機位
置でプローブの上流に位置したカッタは先頭面から予定距離だけ離れた位置でス
ラブの下面と接触し、スラブの下面と接しながら移動してスラブの先頭面に追い
つく。この間にバリが削り取られ、スラブから除去される。上記の距離はカッタ
が全てのバリを捕らえることができるように決められ、例えば典型的には約10cm
である。これは一般にスラブの短辺に形成された任意形状のバリを除去するのに
十分であり、これより長い距離にわたってスラブ下面が傷付けられるのが防止で
きる。
後の説明から明らかなように、バリ取り時のスラブ先頭面のほぼ真上に位置す
る軸を中心にして回転するアームにカッタが取り付けられているので、カッタは
バリ取り後にスラブの下面より十分下に引っ込んだ位置に戻る。従って、スラブ
が装置上を移動する間、スラブを傷つける恐れが全くない。
次に、カッタ支持アームを待機位置に戻すために、本装置は戻し手段を備えて
いる。この戻し手段は単純な釣合い重り、好ましくは釣合い重りに加えまたはそ
れに代えて例えばカッタ支持アームに回転自在に連接された連接棒に力を加える
ジャッキで構成することができる。このジャッキ(例えば空気ジャッキ)を駆動
して、例えば次のスラブの炉からの取り出し操作と同時にバリ取り装置上をスラ
ブが完全に通過した後に装置を待機位置に戻すことができる。このジャッキを自
由排出型にするか、待機位置に戻った直後に制御される形式でき、また、プロー
ブと接触する位置にスラブが到達した時の衝撃によってカッタ支持アームの回転
が速くなりすぎるのを防止するバリ取り時のダンパーの役目をさせることもでき
る。
さらに、カッタの移動制御は完全に機械的であり、バリ取り中のスラブの正面
に対するカッタの位置は装置の構成、特にカッタ支持アームおよびプローブアー
ムの軸の相対位置と、これらの軸および連接棒の長さで決まる。従って、バリ取
りすべき面の位置の検出精度が保証され、バリ取り手段とは別の位置検出手段に
より起こる偏差や乱れはあり得ない。
本発明のもう一つの利点は、スラブに対するカッタの相対速度が十分に低いこ
とである。カッタの相対速度は装置の構成によってのみ左右され、例えばスラブ
の速度の約20%であり、カッタの刃を劣化する恐れのある衝撃なしにバリ取りを
静かに実施することができる。カッタの推定寿命は2年に達する。これは250,00
0回のバリ取りに相当する。さらに、本発明機構は慣性が低いため、接触の際に
スラブがプローブに与える衝撃は弱く、装置の各構成要素に対する力が軽減され
、従って、寿命がさらに長くなり、保守作業も少なくなる。
本発明の別の構成では、カッタはカッタ支持棒の末端に取り付けられ、カッタ
支持棒の他端はカッタ支持アームの上端に連接され且つ弾性変形可能な連接手段
によってカッタ支持アームに連接される。この連接手段は例えば第1連接軸から
カッタを離すように作用する圧縮バネと、カッタ支持棒の回転を制限する調節可
能な止め手段とを備える連接軸を有する。従って、カッタの刃は回転アームの末
端は円弧状軌道に沿い、カッタがスラブの下面と接触する位置に到達した時点か
らバリを完全に削り取った後でカッタがスラブの正面を通過する時点までの間は
スラブの直線状軌道を正確にたどることになる。
本発明装置はカッタ支持アーム上にぞれぞれ独立して連接された複数のカッタ
支持棒を有するのが好ましい。このカッタ支持棒はカッタ支持アームとの弾性連
接手段を各自備えている。従って、スラブの幅方向に並列して配置されたカッタ
は全て各カッタの真上のスラブの正確な高さ位置に応じて、連接手段の弾性変形
によって各カッタ支持棒がそれぞれの度合いで回転し、スラブの平面性に万一不
均衡があったとしても、スラブの全幅にわたってその下面と完全に合致する。
その他の利点の中では実現可能性の保証でもある機構動作の単純さを挙げるこ
とができる。単純であるために、粗圧延機前のスラブの通常行程での位置決めに
よって圧延機を監視する係員が容易に装置を監視・点検できるので、全ての故障
は直ちに検出でき、構造が純粋に力学的であり、従来の装置に比較して低コスト
である。
本発明の上記以外の特徴および利点は本発明のスラブのバリ取り装置の実施例
に関する以下の説明から明らかになろう。
添付の図面において、
図1〜3は本発明装置の原理の概念図で、待機期、スラブ通過期、バリ取り期
の連続した3つの段階を示す。
図4〜6は本発明装置の好ましい実施例を示す図で、上記と同じ3段階を示す
。
図7は待機位置における本発明装置の戻し手段を示す図。
図8は本発明のバリ取り位置を単純化して示した図で、図5の矢印Fに沿った
正面図。
図1〜3に概念的に示されたスラブ1の正面2は一般にスラブ先頭とよばれ、
酸素アチレン切断によるバリ3がある。このバリ3はスラブの正面で下面4から
下方へ延びている。スラブ1は従来のローラーテーブル上を矢印F1の方向に移動
する。バリ取り装置5はローラーテーブルの2つのロール6の間に配置されてい
るが、図ではバリ取り時の動作の理解を容易にするために簡略化してある。
バリ取り装置はカッタ11を有している。このカッタ11はスラブの移動方向に対
して水平かつ垂直、従ってロール6の軸と平行な第1軸Aの周りに枢着されたカ
ッタ支持アーム12の上端に取り付けられている。本発明装置はプローブ13をさら
に備えている。このプローブ13は主軸Aと平行な第2軸Bの周りに枢着されたプ
ローブアーム14の上端に支持されている。カッタ11は軸Cに枢着された状態でカ
ッタ支持アーム12に取り付けられている。カッタ11とカッタ支持アーム12との間
には圧縮バネ16が設けられている。カッタ支持アーム12およびプローブアーム14
の下端は各枢着軸に対してカッタおよびプローブとは互いに反対側にあり且つ
連接榛15によって互いに接続されている。
軸AおよびBの位置とカッタ支持アーム12およびプローブアーム14の寸法は、
図1に示した待機位置においてプローブ13がスラブ1の軌道上でその正面2と対
向し且つローラーテーブルの回転面PRの上方に位置するように設計する。この
待機位置ではカッタ11は平面PRの下側に位置し、カッタの刃111はスラブの移
動方向F1においてプローブの上流に位置する。平面PRからカッタ支持アーム12
までの距離は軸Aからカッタの刃111までの距離より若干短い。
スラブ1が矢印F1の方向に移動してその正面2がプローブ13と接触する位置に
到達すると、プローブ13が押されてプローブアーム14が軸Bを中心に回転する。
この回転によって連接棒15を介して対応するカッタ支持アーム12が回転する。そ
れによってカッタ11の刃111はスラブ3の正面に対して後退した位置でスラブ3
の下面4と接触する。スラブが移動を続けると、カッタ11はスラブと同じ方向F1
に下面4に対して接線状に移動する。その移動速度はスラブの速度より速い。
カッタ11の刃111はカッタ支持アームに軸Cで枢着され且つ下面4と刃11とが
接触を開始した時点からバネ16が圧縮されるため、カッタ11の刃111はスラブの
直線移動に随伴して移動し、刃111をスラブに押し付けた状態でアームの方向へ
カッタが回転できるようになっているということは理解できよう。
図2はバリ3を除去した後にカッタの刃11がスラブ3の正面2に追いついた位
置での本発明装置を示す。カッタ11がプローブより速く移動するため、この位置
ではカッタの刃111はプローブ13により接近している点に注意されたい。
図3はスラブ3がプローブ13を押し返しながらその運動を続行した時の図で、
プローブアーム14は軸Bを中心として回転を続け、カッタ支持アーム12はプロー
ブアーム14より大きい角度で回転する。この位置ではプローブ3は回転してカッ
タ11と同様に平面PRの下側に位置し、スラブに干渉することなく、スラブの移
動の続行が可能になる。
プローブ13に対するカッタ11の速度の増幅度は軸AおよびBの構成とカッタ支
持アーム12およびプローブアーム14の長さで決まる。図示した例では、軸Aは軸
Bより下に位置し、カッタと軸Aとの間およびプローブ3と軸Bとの間の各アー
ムの長さはほぼ等しい。この構成は多くの態様の一つを示したにすぎない。一般
的には、Tをカッタの刃、Pをスラブとプローブの接点、Dをプローブアーム14
と連接棒15との連接軸、Eをこの連接棒とカッタ支持アームとの連接軸とした時
に、比AT/AEを比BP/BDより大きくすればよいということは容易に理解
できよう。
以上、本発明装置の運動学の原理を説明した。次に、図4〜8を参照してスラ
ブ先頭のバリ取りに使用される本装置の実際的な態様を説明する。このバリ取り
装置は加熱炉の出口と帯鋼圧延機の粗圧延機との間のスラブ運搬用ローラーテー
ブル上に配置される。
本発明装置はローラーテーブルの2つのロール6の間に位置する。プローブ13
はローラーテーブルに対して直角に延びたビーム17の中央突起部分から成り、そ
の長さはバリ取りすべきスラブ1の幅より長い。ビーム17の末端はプローブアー
ム14の上端に固定されている。プローブアーム14は中心ピン18によって軸Bの周
りに回転自在に取り付けられている。中心ピン18はプローブアーム14と一体であ
り、固定フレーム20(部分的にしか図示していない)の軸受19中を案内される。
本発明装置は、スラブ1の移動方向に対して直角に並置された複数のカッタ11
を備えている。バリ3の長さ全体に作用できるようにするために、互いに隣接す
る2つのカッタの間の間隙は最小にする。各カッタ11はカッタ支持棒21に取り付
けられており、カッタ支持棒21はカッタ支持アーム12の上端に軸Cの周りに回転
自在に取り付けられている。各カッタ支持アーム12は2つのフランジ22で構成さ
れ、各フランジ22はスリーブ23に溶接されている。全てのカッタ支持アーム12は
互いに一体回転するように軸Aの主軸24に例えばスリーブ23のキーを介して一体
化されている。主軸24の両端はフレーム20の軸受に回転自在に取り付けられてい
る。カッタ支持アーム12の集合体全体は2つのプローブアーム14の間に位置する
。最も外側に位置したカッタ支持アーム12の2つのフランジ22の内側に位置した
フランジ22'はカッタとは反対方向に延び、釣合い重り25を備えている。このカ
ッタ支持アームの別のフランジ22''もカッタとは反対方向に延びた延長部分26を
有する。この延長部分26は軸Eを有する中心ピン27を有している。
延長部分26は連接棒15を介してプローブアーム14の下端28に連結されている。
連接棒15は軸Dの枢着部29を介して末端28に連接され、他方は中心ピン27に連接
されている。この装置の軸DとEとの間の距離を調節可能にするために、連接棒
15上を摺動し且つネジナット系31により位置が調節可能なキャップ30に中心ピン
27を枢着する。
各カッタ支持アーム12はそれに対してほぼ垂直に延びた脚32を備え、この脚32
にはスリーブ33が回転自在に取り付けられている。軸Cから距離を置いてカッタ
支持棒21に連接されたキャップ35を支持するネジ付き軸34がこのスリーブ33を貫
通している。スリーブ33と止め座金36との間に配置された圧縮バネ16はネジ付き
軸34を取り巻くように設置され、カッタ支持棒21を軸Aからカッタ11を離す方向
に回転するように付勢している。ナット37は軸34に螺合され、バネ16の他端でス
リーブ33に当接してカッタ支持棒21の回転を制限し、カッタ11の位置を調節する
。
図4〜6は本発明装置が待機位置(図4)、バリ取り位置(図5)、バリ取り
後の引込み位置(図6)にある時の状態を示している。これらの図面とその運動
から図1〜3で説明したものと同じ動作がこの装置でも行われるということは容
易に理解できよう。
カッタ支持アーム12とカッタ支持棒21との連接系とこれらの棒の弾性押圧系と
を組合せて、カッタ支持アームの円周運動をカッタ刃先の直線運動に変換し、バ
リ取り中のスラブの移動時にスラブの下面に当接させながら正確にその運動に従
うようにすることができ、また、カッタの位置をスラブの形に自動的に適合させ
ることもできるということは理解できよう。従って、互いに独立して回転可能な
カッタの数が増えるほど、スラブの下面の形状(凹または凸状)に適合する能力
が向上し、スラブの全幅にわたって最適なバリ取りができる。例えば、合計幅が
約2,000mmの場合、同一の軸に4つのカッタおよびカッタ支持体を取り付けるの
が装置が複雑になりすぎず、十分な効率を達成できる妥協点である。
図6から分かるように、バリ取り後にはアーム12と棒21とからなるカッタ支持
集合体がアーム14およびプローブのビーム17と一緒にスラブの下面の下に完全に
引込む。また、これら要素(図6では軸AおよびBの右側に位置する要素)の重
量はこの位置に装置を維持するのに十分なものである。この位置では、スラブの
下面とプローブおよびアームとの間に所定の距離がある。この場合、図4に示し
た待機位置へ装置が戻らずに、バランスを保つ働きをするのは釣合い重りだけで
ある。待機位置へはジャッキ40で戻される。
図7に示すように、ジャッキ40の軸は主軸24の末端に固定された戻し棒41に連
接されている。別の態様では、待機位置へ戻すのに十分な質量を持った釣合い重
り25だけで戻すこともできる。この場合には、回転ロールをプローブアームまた
はビームに設けて、バリ取り後のスラブ移動時にスラブの下面とプローブとが接
触するのを防ぐことができる。
以上の説明は例示であって、本発明が上記実施例に限定されるものではなく、
本発明の範囲を逸脱せずに、本発明の構成を変更できる。
特に、上記のアーム/棒系を用いた速度の増幅機構以外でスラブ先頭に対して
カッターを加速できる。例えばカッタ支持アームが待機位置で機械的に待機する
ようにできる。すなわち、加圧ジャッキまたはバネで所定の力を加え、プローブ
と連接したロック手段でこの力を維持し、スラブ先頭がプローブに接してロック
手段が移動した時にこの力を解放するような機構を用いることができる。この実
施態様ではジャッキまたはバネが与える力はカッタが短い距離でスラブ先頭に追
いつくようにカッタを加速するのに十分でなければならない。また、プローブが
スラブと衝突した時にプローブに与えれたエネルギーを回収し、そのエネルギー
をカッタの加速に再利用するエネルギー回収機構を使用することもできる。
以上に記載した装置は、加熱炉から粗圧延機に向かうスラブの直接移動中に連
続してスラブ先頭のバリを取るためのものである。スラブ後尾のバリ取りに同様
な装置を使用することもできる。すなわち、この装置を反対側に配置し、スラブ
が装置の上を通過した後にそれをスラブの後方への戻すことによって粗圧延機に
向かうスラブの移動方向中にスラブの後尾に形成されたバリを除去することがで
きる。しかし、この方法は装置が大型になる点と、スラブの両端のばりを除去す
るのに時間がかかるという点で不利であるので、好ましくは、本出願人が本日付
けで提出したフランス国特許出願に記載のスラブ後尾のバリ取りに適した別の装
置を使用するのが好ましい。この場合には、先頭バリ取り装置と後尾バリ取り装
置とをスラブの軌道上に互いに十分近づけて配置し、先頭バリ取りによって減速
された際に後尾が後尾バリ取り装置の近傍に位置するようにする。すなわち、2
つのバリ取り操作がほぼ同時に行われるように、粗ロールに向かうスラブの前進
方向で先頭バリ取り装置が後尾バリ取り装置の後に位置させる。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU
,AZ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,
CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G
E,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP
,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,
LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,N
Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI
,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,
UZ,VN,YU
(72)発明者 ピュイサン,アレン
フランス国 57110 ユッツ リュ ルー
ズヴェルト 103