JP2000504233A - 歯科用拡張性インプラント及びその使用方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 この発明の技術的分野は、義歯を受容・支持する歯科用拡張性インプラントに関する。患者の顎の骨に形成された孔内に固定され得る歯科用拡張性インプラントは、取付端部（３４）と挿入端部（３６）の両方を有する細長い中空管状バレル（３２）を含む。バレルは、インプラントを孔にネジ込むネジ山付き内部面（４２）とネジ山付きエキスパンダスクリュー（６２）を受容するネジ山付き外部面（４４）の両方を有する。バレルは、その挿入端部の周りに、バレルの周囲に沿って離間した複数の半径方向スリット（５２）により孔貫される。バレルの内部面は挿入端部において、取付端部におけるバレルの内部面の直径より小さい直径が形成される。エキスパンダスクリューとバレルの内部面は、エキスパンダスクリューがバレルに沿って挿入端部に向かって前進すると、エキスパンダスクリューの端部面（７４）がバレルの内部面に衝突し且つ挿入端部を外側に拡張し、周囲の骨に貫入するように成形される。

Description

【発明の詳細な説明】 歯科用拡張性インプラント及びその使用方法 発明の分野 この発明は、一般に、歯科の技術分野、特に、義歯を支持する為に患者の顎骨 に設置される歯科用インプラントに関する。 背景技術 Edward S．Ashuckian に対して１９５３年７月１３日に発行された米国特許第 ２，７２１，３８５号（以下、アッシュキャン特許）は、歯が抜き取られたソケ ット(socket)内に埋め込む（インプラントする）ようにした種々異なる構造を開 示している。同特許に開示された種々のインプラントは、抜歯歯根により以前に 占められた空洞を充填するように成形されている。アッシュキャン特許は、自然 歯を抜く前にＸ線写真が取られ、抜歯時にソケット状に適切に成形されたインプ ラントが手元に在るように、歯根システムの形状と位置を決定すべく警告してい る。アッシュキャン特許は、その種々の構造の全てが容易で迅速且つ強固な一体 化に適合するとしている。特に、アッシュキャン特許の第９図は、抜歯ソケット に挿入後、ネジ山付きスクリューの回転がナットをインプラントの中間に向かっ て引き締め、それによって、その時ソケット内に位置する二つの脚部を広げ離す インプラントを開示している。それにも拘らず、アッシュキャン特許は、インプ ラントを顎骨と一体にする治癒工程が充分に進行するか完了される迄、クラウン (crown)はインプラント上に設置出来ないことを認めている。アッシュキャン特 許は、インプラントが顎骨内に強固に位置付けられていなければ、インプラント はソケット内で動いてしまい、周囲構造を拡大及び刺激するものと警告している 。 Irving J．Stevens に対して１９７１年５月２５日に発行された米国特許第３ ，５７９，８３１号（以下、スチーブンス特許）は、顎骨内に形成された円筒形 状の孔にネジ込まれる細長い歯科用インプラントを開示している。該インプラン トの一端は、細長いノッチ(notch)又はスリット(slit)により長さに沿って分割 された二つの自己タップ立てネジ山付き表面を備えている。そのスリットにより 、インプラントのネジ両端部は、孔に挿入中、相互に弾性的に屈曲開離し、それ に よってインプラントのネジ込み操作を向上する。インプラントの他端は、クラウ ンが固定される締結手段を提供し且つ孔にインプラントをネジ込むのに用いられ る工具に対して取付位置を同時に提供するように形成されている。スチーブンス 特許に開示されたインプラントは更に、インプラントの回転を阻止する、インプ ラントを通って顎骨内に到る少なくとも一つの安定化ピンを備えている。スチー ブンス特許は、そのピンを含むこのインプラントがインプラント安定性の問題に 向けられ且つ応力及び振動によるインプラントの緩みに抵抗することを開示して いる。 Stanley Flander により申請された出願に対して１９７３年１月９日に発行さ れた米国特許第３，７０８，８８３号（以下、フランダー特許）は、互いに広が る内面が形成された一対の延長部を有する細長い管状体を備えたインプラントを 開示している。管状体の広がった内面に係合するＴ字形ヘッドを有するスプレッ ドスクリューは、この管状体の全長に沿って延び広がり延長部から該管状体最遠 端部から突出する。管状体延長部とＴ字形スプレッドスクリューが患者の顎骨に 形成された孔に挿入された後、管状体から孔の外に突出するスプレッドスクリュ ーの端部にネジ込まれたナットを回転すると、スプレッドスクリューのＴ字形ヘ ッドは管状体の長さに沿って締められ、それによって延長部を顎骨に形成された 孔内で強制的に広げる。 Gerald A．Niznick によって申請された出願に対して１９８４年２月１４日に 発行された米国特許第４，４３１，４１６号（以下、ニツニック特許）は、中空 で穿孔された円筒形状コアが形成された下方端部を有するネジ山付きインプラン トを開示している。孔は、先ず骨へのインプラントの最終貫通の約半分の深さを 持つ中空空洞を形成してインプラントを受容する為に顎骨に準備される。次いで 、孔の残りは、インプラント穿孔コアの内部の係合する骨コアを残した特殊トレ フィン（trephine)ドリルを用いて、顎骨に形成される。インプラントが孔にネ ジ込まれた後、骨の成長及び最成長はインプラントのコア内の穿孔を通して起こ る。ニツニック特許は、スクリュー型歯科用インプラントが、構造接続を直ちに 支持することが出来る為、有利であることを認めているが、特許の文面は、イン プラント設置後、骨の成長又は最成長が起こっている間、数週間インプラント箇 所に 亘って縫合されるべきことを述べている。同特許はまた、周囲骨とインプラント の外部ネジ山の最土回転との間の係合が異物が更に孔内へ侵入するのを遮断する ことを開示している。同特許は、この型のインプラントが少なくとも9.5mmの骨 への最小侵入を要求することを開示している。 始めに１９９０年７月２７日にSargon Lazarofにより申請された出願に基づい て１９９１年４月２日に発行された米国特許第５，００４，４２１号及び１９９ ２年２月１１日に発行された米国特許第５，０８７．１９９号は何れも（以下、 ラザロフ特許）は、顎骨内に予め形成された孔に嵌合する細長い管状体を開示し ている。管状体は、その各端部に夫々位置する二組の内部ネジ山を備えている。 四つの半径方向スリットは、ネジ山付きエキスパンダを受容する各一端ににおい て管状体の長さに沿って形成される。管状体はまた、骨にネジ込まれる外部自己 タップ立てネジ山を備えている。インプラントを設置する為、孔の下面に対して 底出する迄、エキスパンダを保持する管状体の端部孔は顎骨に在る孔にネジ込ま れる。次いで、六角棒スパナがエキスパング内のソケットに挿入され、エキスパ ンダは回転されてそれを管状体の中間に引き締める。管状体の中間に向かってエ キスパンダを移動することによって、エキスパンダを囲繞する管状体の部分を外 側に向けて周囲骨へと広げる。管状体の内部及び外部レジ山は、管状体内のエキ スパンダの回転が管状体を顎骨の外側へでなく顎骨内により深くネジ込まれるよ うに、対向左右像を有する。 ニツニック特許に開示されたような、今日使用されている多くの歯科用インプ ラントは、機能的負荷、例えば、食べ物を噛む力を直ちに受け入れない。かかる インプラントでは、患者の顎へのインプラントの設置と義歯の設置の間に６ヶ月 程長い時間経過を要することが有る。この長い時間間隔の間、骨は、インプラン トが顎内に強固に固定されてしまう迄に、始め緩いインプラントの周りで及びそ の中で再成長する。この長い治癒期間の後に義歯を設置しようとすると、義歯を 取り付ける前にインプラントのヘッドを露出する為に第二の手術が要求される。 フランダー特許及びラザロフ特許に開示されたような拡張性スクリュー型歯科用 インプラントは、機能的負荷を直ちに受容することになるインプラントを提供し ようとしている。現在の処、位置決め中に拡張する、アッシュキャン特許、フラ ンダー特許及びラザロフ特許に開示されているようなものの商業的入手可能な歯 科用インプラントは存在しない。更に、米国食品及び薬物行政庁（”ＦＤＡ”） は、今の処、一般使用用の如何なるかかるインプラントも認可していない。 現在商業的に利用可能な歯科用インプラントの他の欠陥は、特定位置に位置付 けることが、その長さにより禁止され又はより複雑になることである。長いイン プラントを骨の深さが最小の領域、特に後上顎と下顎に位置付けるのは、困難に なる。後上顎においては、過剰に長いインプラントは上顎洞に侵入することにな る。後下顎においては、過剰に長いインプラントは下顎骨神経血管束に侵入する ことになる。 アッシュキャン特許、フランダー特許及びラザロフ特許に開示されたもののよ うな拡張性インプラントの一欠陥は、それ等は顎内の最深インプラント端部にお いて空隙を生ずることである。アッシュキャン特許、フランダー特許及びラザロ フ特許に開示されたもののような拡張性インプラントの他の欠陥は、顎内の最深 インプラント端部と義歯を受容するインプラントの端部間に通路又は開口をもた らすことである。インプラントを通るかかる通路は、細菌感染に導くことが有る 。更に、アッシュキャン特許及びラザロフ特許に開示されたもののような拡張性 インプラントを、インプラントの除去が必要になった場合、直ちに又は速やかに 虚脱することは困難である。 発明の開示 この発明は、機能負荷を受容できる改良された歯科用インプラントを提供する 。 この発明の一目的は、容易に設置出来るネジ山付き歯科用インプラントを提供 することにある。 この発明の他の目的は、充分に機能的な歯科用義歯を直ちに位置決めることが 出来る充分な安定性を有する歯科用インプラントを提供することにある。 この発明の他の目的は、設置後、予め設定され且つ制御された横拡大量を有す る拡張性歯科インプラントを提供することにある。 この発明の他の目的は、軟性組織の治癒及び適合を促進する歯科用インプラン トの提供にある。 この発明の他の目的は、設置直後に義歯の周りに通常組織の輪郭を許容する歯 科用インプラントの提供にある。 この発明の他の目的は、設置直後に顎内に空隙をもたらさない拡張性歯科用イ ンプラントの提供にある。 この発明の他の目的は、最小骨領域内に容易に設置され得る拡張性の短い歯科 用インプラントの提供にある。 この発明の更なる目的は、設置後、顎内最深インプラント端部と義歯が取り付 けられるインプラント頭部間に通路又は開口をもたらさない拡張性歯科用インプ ラントの提供にある。 この発明の更なる目的は、特に空洞リフト手順に際して、単板移植術を通して 唇側／舌側縁の拡張に際して且つ骨移植を用いる神経血管転移手順に際して、イ ンプラントと骨移植の両者同時設置中に皮質性、海綿状又は皮質海綿状骨移植を 許容するに充分な安定性を有するインプラントの提供にある。 この発明の更なる目的は、設置中又はその直後、要すればより容易に除去出来 る歯科用インプラントの提供にある。 簡単に云えば、この発明は、義歯を受容且つ支持するのに適した歯科用拡張性 インプラントである。患者の顎骨に形成された孔内に固定される歯科用拡張性イ ンプラントは、義歯が取り付けられる取付端部と患者の顎骨に形成された孔に最 も先まで入る挿入端部の両方を有する細長く、中空で且つ管状のバレルを備える 。バレル(barrel)は、その取付端部からその挿入端部迄、夫々、延びる内部面と 外部面の両方を有する。バレルは、その内部面と外部面の両方上に形成されたネ ジ山を有する。バレルの内部面上に形成されたネジ山は、バレルが患者の顎骨に 形成された孔にねじ込まれるのを許容する。バレルはその挿入端部近傍で、バレ ルの円周方向に離間した複数の半径方向スリットにより穿孔又は孔貫されている 。スリット(slits)は、外部表面から内部表面に到るようにバレルを完全に通り 且つ挿入端部から取付端部まで或距離バレルに沿って延長する。挿入端部におけ るバレルの内部面は、取付端部におけるバレルの内部面の直径より小さい直径が 形成される。 歯科用拡張性インプラントはまた、その取付端を通してバレルの内部に挿入さ れるエキスパンダスクリュー(expander screw)を備える。エキスパンダスクリュ ーは、バレルの内部面上に形成されたネジ山と係合且つ螺合するように成形され る。エキスパンダスクリューがバレルの取付端部からその挿入端部に向かってバ レルを通して前進すると、エキスパンダスクリューの端部面はバレルの端部近傍 でバレルの内部面と衝突する。エキスパンダスクリューとバレルの両衝突面の何 れか又は両方は、円錐台又はアーチ形状等の、取付端から挿入端に向かって一般 に収束する形状が形成される。従って、バレルが患者の顎骨に形成された孔にネ ジ込まれた後、エキスパンダスクリューをバレルの取付端部からその挿入端部に 向かって前進させると、バレルの挿入端部は外側に向かって患者の顎の周囲骨に 拡張し且つ該周囲骨に貫入する。 バレル及びエキスパンダスクリュー上のネジ山は、好ましくは、エキスパンダ スクリューをバレル内でバレルに沿って取付端部から挿入端部に前進させる方向 にエキスパンダスクリューを回すとバレルを患者の顎骨に形成された孔に最深ネ ジ込み方向にバレルが回転するように、形成される。 この発明による歯科用拡張性インプラントの利点は次の通りである。バレルの 外部面上のネジ山は患者の顎骨に対してシール(seal)を形成し且つエキスパンダ スクリュー上のネジ山はバレルの内部面に対してシールを形成するので、顎内最 深インプラント端部と義歯を受容するインプラント端部間に如何なる通路又は開 口も生じない。この発明による歯科用拡張性インプラントの他の利点は、エキス パンダスクリューを上記バレルの取付端部から挿入端部に向かって前進すると、 エキスパンダスクリューは、バレルの挿入端部の周囲骨への拡張の結果生ずる空 隙を実質的に充填することである。 これ等の及び他の特徴、目的及び利点は、種々の添付図面図に例示されている ような好ましい実施例に関する以下の詳細な説明から当該技術分野において通常 の知識を有するものに容易に理解され且つ明白となろう。 図面の簡単な説明 図１は、インプラント拡張以前に、顎骨構造に形成された孔に設置された、こ の発明による拡張性インプラントを描写する部分的断面化斜視図である。 図２は、図１における線２−２に沿って取られたインプラントのバレルの立面 図とエキスパンダスクリューの立面図である。 図３は、挿入端部の拡張後、図１における線３−３に沿って取られた拡張性イ ンプラント挿人端部の部分的断面化立面図であり、エキスパンダスクリューとバ レルの一般に収束する両衝突面は円錐台形状となっている。 図４は、図２に描写されたインプラントのバレルの代替的実施例の部分的断面 化立面図である。 図５は、図３に描写されたものと同様な、挿入端部の拡張後の拡張性インプラ ント挿入端部の代替的実施例の部分的断面化立面図であり、エキスパンダスクリ ューとバレルの一般に収束する両衝突面の中、エキスパンダスクリューのものは 弾丸形状で、バレルのものは曲面漏斗形状となっている。 発明を実施する最良の態様 図１は、一般的参照番号１０により言及された本発明による歯科用拡張性イン プラントを描写する。図１の例示において、インプラント１０は、患者の顎の骨 １４に形成された孔１２に設置されている。図１は、稜２２で終端する外部皮質 性骨部１８を有する歯槽骨部１６を描写している。稜２２において、患者の顎の 軟性組織２４は外部皮質性骨部１８と会合している。インプラント１０は、義歯 取付端部３４とインプラント挿入端部３６を有する一体で細長い中空管状バレル ３２を含む。インプラント１０の挿人端部３６は孔１２に最も先まで入り、一方 取付端部３４は義歯（図１に図示せず）を取り付ける箇所を提供する。 さて図２に関して、バレル３２は内部面４２と外部面４４を有する。ネジ山４ ６は、取付端部３４から挿入端部３６へのバレル３２延長部分の内部面４２上に 形成されている。ネジ山４８はまた、挿入端部３６から取付端部３４への距離の バレル３２延長部分の外部面４４上に形成されている。ネジ山４８により、バレ ル３２は骨１４内の孔１２にネジ込むことが出来る。バレル３２の取付端部３４ は、バレル３２が骨１４内の孔１２に下降ネジ込まれている間、六角ソケットス パナ（図示せず）がスクリュー（図示せず）によりバレル３２に固定される六角 ヘッド５０を備えている。バレル３２の挿入端部３６は、複数のスリット５２に より穿孔又は孔貫されている。スリット５２は、バレル３２の円周方向に離間さ れ、バレル３２を外部面４４から内部面４２まで完全に通り且つ挿入端部３６か ら取付端部３４に向かってバレル３２に沿い或距離延長している。円形応力緩衝 開口５４は、バレル３２の挿入端部３６から最も先の各スリット５２の一端にお いて外部面４４から内部面４２までバレル３２を完全に貫通している。バレル３ ２の内部面４２は、挿入端部３６において、取付端部３４におけるより小さい小 径部５６を含む。バレル３２の内部面４２は、バレル３２の挿入端部３６の最近 傍の小径部５６のその端部において反転した一般に収束する面５８を有する。図 ２、図３及び図４に描写されたインプラント１０の実施例においては、一般に収 束する面５８は反転円錐台形状が形成されている。 インプラント１０はまた、図２に例示されたエキスパンダスクリュー６２を含 む。エキスパンダスクリュー６２は、六角スパナ（図示せず）を受容するのに適 した中空ソケット(socket)６４を含む。バレル３２の内部面４２上に形成された ネジ山４６に係合及び螺合するように形成されたネジ山６６は、エキスパンダス クリュー６２の外面６８上のソケット６４を囲繞する。ソケット６４から最も先 のエキスパンダスクリュー６２の端部面７２は、一般に収束する表面７４を有す る。図２、図３及び図４に描写されたインプラント１０の実施例において、一般 に収束する表面７４は円錐台形状である。ネジ山６６と端部面７２間のエキスパ ングスクリュー６２の外面６８は、滑らかな円筒状面７６が形成されている。 図２により示唆されているように、エキスパンダスクリュー６２の端部面７２ はバレル３２の取付端部３４においてバレル３２に挿入され、エキスパンダスク リュー６２のネジ山６６はバレル３２の内部面４２上に形成されたネジ山４６と 螺合する。 エキスパングスクリュー６２をバレル３２内で適切な方向に回転すると、エキス パンダスクリュー６２はバレル３２に沿って取付端部３４から挿入端部３６に向 かって前進する。バレル３２の内部面４２上に形成されたネジ山４６とその外部 面４４上に形成されたネジ山４８は、好ましくは、エキスパンダスクリュー６２ をバレル３２内でエキスパンダスクリュー６２を挿入端部３６に向かって前進す る方向に回すと、バレル３２がそれを患者の顎骨１４に形成された孔１２の最深 にネジ込む方向に回転するように構成されている。バレル３２が骨１４に形成さ れた孔１２にネジ込まれた後、エキスパンダスクリュー６２はバレル３２内で回 転され、端部面７２の一般に収束する表面７４が内部面４２の一般に収束する表 面５８と衝突する迄、エキスパンダスクリュー６２を挿入端部３６に向かって前 進する。 さて図３に関して、エキスパンダスクリュー６２を挿入端部３６に向かって前 進する為にエキスパンダスクリュー６２を更に回転すると、バレル３６の挿入端 部３２は外側に拡張し、インプラント１０を囲繞する骨１４に貫入する。挿入端 部３６の拡張は、端部面７２の一般に収束する表面７４が内部面４２の一般に収 束する表面５８を超える迄エキスパンダスクリュー６２が挿入端部３６に向かっ て前進を継続するに従って継続し、しかる後、一般に収束する表面５８は外面６ ８の円筒形状面７６に沿って摺動する。一般に収束する表面５８が円筒形状面７ ６に沿って摺動を開始した後、たとえエキスパンダスクリュー６２がバレル３２ の挿入端部３６に向かって最早前進出来なくなるまで前進を継続しても、挿入端 部３６は周囲の骨１４内に更に拡張することは無い。従って、エキスパンダスク リュー６２の円筒形状面７６とバレル３２の内部面４２の夫々の形状は、バレル ３２の挿入端部３６が外側に向かって骨１４内に拡張され得る最大量を予め設定 する。 インプラント１０が患者の顎の骨１４内に固定された後、二片義歯は、バレル ３２の内部面４２上に形成されたネジ山にネジ込まれて該ネジ山と螺合するネジ 山付き柱(pillar)（図示せず）によりインプラント１０に取り付けられる。バレ ル３２の取付端部３４に直隣接する義歯の一部は、バレル３２の取付端部３４に おいて六角ヘッド５０上に密着してこれを囲み、組み合わされたインプラント１ ０と義歯に対する滑らかな外面を形成するワッシャー状キャップ（図示せず）で ある。義歯の遠位部は、単一歯、多数歯ブリッジ用橋脚歯、義歯上層構造用支持 体、固定又は取り外し可能義歯用支持体及び、場合によっては、歯科矯正後退機 構用固定部で良い。 バレル３２とエキスパンダスクリュー６２は、好ましくは、９５％純度チタン 合金から成る。バレル３２の外部面４４上のネジ山４８は好ましくは直径が３． ７５ｍｍのメートル法ネジ山であり、外部面４４の未ネジ付き部は好ましくは３ ．７５ｍｍの直径Ｄ_Bを有する。バレル３２は、その挿入端部３６からその取付 端部３４まで１６ｍｍ，１４ｍｍ，１２ｍｍ，１０ｍｍ及び８ｍｍのように種々 異なる標準長を有するように製作される。特定長Ｌ_Bを有するバレル３２と共に 用いられるエキスパンダスクリュー６２は、好ましくは、バレルの長さＬ_Bより 短い２．８ｍｍの長さＬ_sを有する。２．５ｍｍ径メートル法ネジ山は好ましく は、バレル３２の内部面４２とエキスパンダスクリュー６２の外面６８上に夫々 形成されるネジ山４６と６６用に用いられる。円錐台形状の一般に収束する表面 ５８と７４に対して含まれる角度は、好ましくは、３０゜である。バレル３２の 内部面４２の小径部５６とエキスパンダスクリュー６２の外面の夫々の形状は、 好ましくは、エキスパンダスクリュー６２がバレル３２の挿入端部３６に向かっ て許容されるだけ遠く前進する時、バレル３２の挿入端部３６が２．０ｍｍ拡張 するように形成される。好ましくは、四つのスリットが、バレル３２の挿入端部 ３６の周囲に沿って均一に離間されて形成される。しかしながら、１０ｍｍより 少ない長さを有するバレル３２に対しては、六つのスリット５２が挿入端部３６ の周囲に沿って均一に離間するようにしても良い。 産業上適用性 さて図４に関して、この図はバレル３２の代替的実施例を描写している。図２ に描写されたバレル３２と共通な図４中の部品は、プライム「’」記号により区 別された同一参照番号で表示されている。１０ｍｍより少ない長さを有するバレ ル３２’に対しては、図１、図２及び図３に描写された円形応力緩衝開口５４よ りは寧ろ、卵形応力緩衝開口８２が外部面４４から内部面４２へバレル３２を完 全に貫通するようにすることが出来る。８ｍｍの長さＬ_Bを有するバレル３２は 、最小骨深さを有する箇所における埋め込み(implantation)に対して特に有用で ある。かくして、かかる短いインプラント１０は後部上顎骨又は下顎骨に義歯を 設置するのに特に有用である。 図５は、バレル３２とエキスパンダスクリュー６２夫々の一般に収束する表面 ５８と７４に対する代替的実施例を描写している。図３に描写された素子と同一 の図５に描写された素子は、二重プライム「”」記号により区別された同一参照 番号で表示されている。図５に描写されたインプラントの実施例においては、拡 張スクリュー６２”の端部面７２”の一般に収束する部分は、弾丸形状曲面９４ が形成され、バレル３２”の内部面４２”の一般に収束する部分は曲がった漏斗 曲面９６が形成されている。 本発明は以上、現在の処、より好ましい実施例に付いて記述してきたが、かか る開示は純粋に例示的であることが理解されるべきであり、限定的に解釈される べきではない。例えば、バレル３２とエキスパンダスクリュー６２の夫々の衝突 表面４２と７２は、必ずしも一般に収束される形状が形成される必要は無い。バ レル３２の衝突面４２又はエキスパンダスクリュー６２の衝突面７２のみが、一 般に収束する面を含む必要が有る。バレル３２の内部面４２又はエキスパンダス クリュー６２の端部面７２のみが一般に収束する形状が形成される場合、これ等 二面４２と７２の衝突により、一般に収束する形状が形成されない表面は対向す る一般に収束する表面に沿って摺動すると共に、同時にこれ等二面４２と７２間 の衝突中に存在する力に応じて或程度変形する。この発明によるインプラント１ ０は円錐台又はアーチ状以外の形状を有する衝突面４２と７２を含むことが出来 る。この発明は、衝突面４２と７２がバレル３２の取付端部３４からその挿入端 部３６に向かって一般に収束することのみを要求する。かかる一般に収束する衝 突面４２と７２が互いにぶつかると、衝突面４２と７２は互いに通過して摺動す ると共に、バレル３２の挿入端部３６を外側に向かって拡張せしめ且つインプラ ント１０を囲繞する骨１４に侵入せしめる。従って、この発明の精神と範囲を逸 脱することなく、この発明の種々の変更、修正及び／又は代替的応用は、疑いも 無く、以上の開示から当該分野の熟練者に示唆されるであろう。従って、以下の 請求項はこの発明の真の精神及び範囲内に該当する全ての変更、修正又は代替的 応用を包括するように解釈されるべきことが意図されるものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 請求項 請求されるのは： １．患者の顎の骨に形成された孔内に固定出来、義歯を受容・支持するのに適し た歯科用拡張性インプラントであって、該インプラントは、 義歯が取り付けられ得る取付端部と患者の顎の骨に形成された孔に最も先まで 入る挿入端部の両方を有する細長い中空管状バレルであって、該バレルは前記バ レルの取付端部から挿入端部まで夫々延びる内部面と外部面を有し、前記バレル は該内部面と該外部面の両者上に形成されたネジ山を有し、前記外部面上に形成 されたネジ山は前記バレルが患者の顎の骨に形成された孔にネジ込まれるのを許 容し、前記バレルはその挿入端部の周りに該バレルの周囲に沿って離間した複数 の半径方向スリットにより孔貫され、該スリットは前記外部面から前記内部面へ バレルを完全に通り且つバレルに沿ってその挿入端部から取付端部に向かって延 び、前記バレルの内部面は前記挿入端部において前記取付端部における前記バレ ルの内部面のそれより小さい直径を有するように構成されたバレル、及び 前記取付端部を通して前記バレルに挿入されるエキスパンダスクリューであっ て、該エキスパンダスクリューは前記バレルの内部面上に形成されたネジ山と係 合且つ螺合するように成形された外面を有し、前記エキスパンダスクリューはそ れが前記バレルに沿って前記取付端部から前記挿入端部に向かって前進されると 、該挿入端部の近傍において前記バレルの内部面と衝突する端部面を有し、前記 挿入端部の近傍における前記エキスパンダスクリューの端部面と前記バレルの内 部面の各々は該エキスパングスクリューと該バレルの夫々の衝突面を構成し、該 両衝突面の一方は前記バレルの取付端部からその挿入端部へ一般に収束する形状 が形成され、それによって前記バレルが患者の顎の骨に形成された孔にネジ込ま れた後、前記バレルの取付端部から挿入端部に向かって前記エキスパンダスクリ ューが前進することにより前記バレルの挿入端部が外側に拡張し且つ周囲骨に貫 入し、更にエキスパンダスクリューが前記バレル挿入端部の周囲骨への拡張の結 果生ずる空隙を実質的に充填するように構成されたエキスパンダスクリュー を備えて成る歯科用拡張性インプラント。 ２．前記エキスパンダスクリュー又は前記バレルの何れかの一般に収束する衝突 面は円錐台形状が形成されて成る請求項１の歯科用拡張性インプラント。 ３．前記エキスパンダスクリュー又は前記バレルの何れかの一般に収束する衝突 面はアーチ形状が形成されて成る請求項１の歯科用拡張性インプラント。 ４．前記エキスパンダスクリューと前記バレルの両方の衝突面は夫々一般に収束 する形状が形成されて成る請求項１の歯科用拡張性インプラント。 ５．前記エキスパンダスクリューと前記バレルの両方の一般に収束する衝突面は 夫々円錐台形状が形成されて成る請求項４の歯科用拡張性インプラント。 ６．前記エキスパンダスクリューと前記バレルの両方の一般に収束する衝突面は 夫々アーチ形状が形成されて成る請求項４の歯科用拡張性インプラント。 ７．前記エキスパンダスクリュー及び前記バレルの両方の一般に収束する衝突面 の一方は円錐台形状が形成され、他方の一般に収束する衝突面はアーチ形状が形 成されて成る請求項４の歯科用拡張性インプラント。 ８．円形開口が、前記バレルの挿入端部から最も先に在る各スリットの端部にお いて前記外部面から前記内部面へ前記バレルを完全に貫通する請求項１の歯科用 拡張性インプラント。 ９．卵形開口が、前記バレルの挿入端部から最も先に在る各スリットの端部にお いて前記外部面から前記内部面へ前記バレルを完全に貫通する請求項１の歯科用 拡張性インプラント。 １０．前記バレルの内部面と外部面上に形成されたネジ山は、前記エキスパンダ スクリューを、前記バレル内でそれを該バレルに沿って前記取付端部から前記挿 入端部へ前進する方向に回すと、前記バレルがそれを患者の顎の骨に形成された 孔により深くネジ込む方向に回転するように構成された請求項１の歯科用拡張性 インプラント。 １１．前記エキスパンダスクリューの外面と前記バレルの内部面は、該バレルの 挿入端部に向けて前記エキスパンダスクリューを連続して前進すると、前記バレ ルを囲繞する骨に前記挿入端を外側に向けて拡張する予め設定された拡張が生じ るように成形されて成る請求項１の歯科用拡張性インプラント。 １２．前記バレルの挿入端部から取付端部までの該バレルの長さＬ_Bを１０ｍｍ より少なくした請求項１の歯科用拡張性インプラント。 １３．義歯を受容・支持するのに適した歯科用拡張性インプラントを患者の顎の 骨に形成された孔に設置する方法であって、該方法は、 患者の顎の骨に歯科用拡張性インプラントを受容する孔を用意し、 細長い中空管状バレルを前記孔にネジ込み、ここで該バレルは、義歯が取り付 けられ得る取付端部と前記孔の最も先まで入る挿入端部の両方を有し、前記バレ ルは前記取付端部から前記挿入端部迄夫々延びる内部面と外部面の両方を有し、 前記バレルは該内部面と該外部面の両者上に形成されたネジ山を有し、前記外部 面上に形成されたネジ山は前記バレルが患者の顎の骨に形成された孔にネジ込ま れるのを許容し、前記バレルは前記挿入端部の周りで前記バレルの周囲に沿って 離間する複数の半径方向スリットにより孔貫され、該スリットは前記外部面から 前記内部面に前記バレルを完全に通り且つ該バレルに沿って前記挿入端部から前 記取付端部に向かって或距離延び、前記内部面は前記挿入端において前記取付端 部における前記内部面のそれより小さい直径を有するものであり、そして エキスパンダスクリューを回転してそれを前記バレルに沿って前記取付端部か ら前記挿入端部に向けて前進し、ここで前記エキスパンダスクリューは前記取付 端部を通して前記バレルの内部に挿入され、前記エキスパンダスクリューは前記 内部面上に形成されたネジ山と係合且つ螺合し、前記エキスパンダスクリューは 、それが前記挿入端部に向けて前進すると、該挿入端部の近傍に在る前記内部面 と衝突する端部面を有し、該端部面と前記内部面は各々が前記エキスパンダスク リューと前記バレルの夫々の衝突面を構成し、該両衝突面の一方は前記取付端部 から前記挿入端部に向かって一般に収束する形状が形成され、それによって前記 取付端部から前記挿入端部に向けて前記エキスパンダスクリューを前進すると、 前記挿入端部は外側に拡張し且つ周囲の骨に貫入する ようにした方法。 １４．前記エキスパンダスクリューを前記バレル内でそれを該バレルに沿って前 記取付端部から前記挿入端部に前進する方向に回すと、前記バレルは該バレルを 患者の顎の骨に形成された前記孔により深くネジ込む方向に回転されるようにし た請求項１３の方法。 １５．更に、義歯を前記バレルの前記取付端部に取り付けるようにした請求項１ ３の方法。