JP2000356001A - プレキャストコンクリート板、スラブおよび構築物 - Google Patents

プレキャストコンクリート板、スラブおよび構築物

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JP2000356001A
JP2000356001A JP11326855A JP32685599A JP2000356001A JP 2000356001 A JP2000356001 A JP 2000356001A JP 11326855 A JP11326855 A JP 11326855A JP 32685599 A JP32685599 A JP 32685599A JP 2000356001 A JP2000356001 A JP 2000356001A
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Hideki Horiuchi
秀樹 堀内
Mitsuru Yabushita
満 藪下
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Nihon Kaiser Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 断面欠損の少ない軽量型枠によって上部シェ
ルと下部シェルとの共振現象を防ぐことができるプレキ
ャストコンクリート板、スラブおよび構築物を提供する
ことである。 【解決手段】 所定の大きさのコンクリート板2の上面
にトラス筋3が適宜間隔をもって配筋されたプレキャス
トコンクリート板1において、前記トラス筋間5に溝付
き軽量型枠4、軽量型枠13、複数の幅狭な軽量型枠か
らなる軽量型枠ユニット16、上面の溝に貫通孔20を
設けてなる孔付き軽量型枠21、V字形の貫通孔20a
を備えた軽量型枠29のいずれかを一種以上配設した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプレキャストコンク
リート板、スラブおよび構築物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄筋コンクリート構造物のスラブは、図
31の(1)に示すように、軽量型枠51を配設したプ
レキャストコンクリート板52上にトップコンクリート
53を打設して構築している。この中空スラブ54は軽
い割には、軽量型枠を配設しないスラブ(以下在来スラ
ブという)と同程度の重量床衝撃音性能(63Hz、1
25Hz、250Hzの帯域における衝撃音遮断性能)
を有する。例えば、スラブ重量が28cm厚の中空スラ
ブは22.5cm厚の在来スラブに相当するが、重量床
衝撃音性能は27.3cm厚の在来スラブに相当する性
能を有している。
【0003】しかし、上記の中空スラブ54は、重量床
衝撃音性能については優れた特性を有するが、軽量床衝
撃音性能および空気伝搬音性能(500Hz、1000
Hz、2000Hzの帯域における衝撃音遮断性能およ
び遮音性能)は著しく低下するという問題があった。こ
れは軽量型枠51の中空部55における上部コンクリー
ト部(以下、上部シェルという)56の固有振動数と、
軽量型枠51の中空部55における下部コンクリート部
(以下、下部シェルという)57の固有振動数とが同じ
であるため、これらが共振現象を起こしてしまうからで
ある。
【0004】そこで、この問題を解決するために、同図
の(2)に示す中空スラブ(特開平1−284667
号)58が開発された。これは軽量型枠51の大きな貫
通孔59で上部シェル56と下部シェル57とを一体化
して、これらの共振現象を防止しようとするものであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の中空ス
ラブにおける軽量型枠は断面欠損が大きいために製造
時、運搬時、現場施工時において破損してしまうという
問題があった。
【0006】本発明はこれらの問題に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、断面欠損の少ない軽量型枠によ
って上部シェルと下部シェルとの共振現象を防ぐことが
できるプレキャストコンクリート板、スラブおよび構築
物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めの手段は、請求項1の発明が、所定の大きさのコンク
リート板の上面にトラス筋が適宜間隔をもって配筋され
たプレキャストコンクリート板において、前記トラス筋
間に、軽量型枠、溝付き軽量型枠、複数の幅狭な軽量型
枠からなる軽量型枠ユニット、上面の溝に貫通孔を設け
てなる孔付き軽量型枠、V字形の貫通孔を備えた軽量型
枠のいずれかを一種以上配設してなることを特徴とす
る。
【0008】請求項1の発明によれば、スラブの上部シ
ェルに軽量床衝撃音性能および空気伝搬音性能(以下軽
量床衝撃音性能等という)を高める補強リブを形成する
ことができる。また軽量型枠の断面欠損が少ないため取
り扱いが簡単になり、軽量型枠の製造時、運搬時、現場
施工時における破損を防ぐことができる。さらに上記軽
量型枠を、軽量床衝撃音性能等を必要とする箇所だけに
設置することができるとともに、プレキャストコンクリ
ート板における軽量床衝撃音性能等に変化をもたせるこ
とができる。
【0009】また請求項2の発明が、所定の大きさのコ
ンクリート板の上面に長さ方向に沿った突起が適宜間隔
をもって突設されたプレキャストコンクリート板におい
て、前記突起間に、軽量型枠、溝付き軽量型枠、複数の
幅狭な軽量型枠からなる軽量型枠ユニット、上面の溝に
貫通孔を設けてなる孔付き軽量型枠、V字形の貫通孔を
備えた軽量型枠のいずれかを一種以上配設したことを特
徴とする。
【0010】請求項2の発明によれば、スラブの上部シ
ェルに軽量床衝撃音性能等を高める補強リブと、下部シ
ェルに接してその軽量床衝撃音性能等を高める抵抗体と
を形成することができる。
【0011】また請求項3の発明が、請求項1または2
のうちの少なくとも一種以上のプレキャストコンクリー
ト板を、梁間に隣接状態で配設して下床を形成し、該下
床上にトップコンクリートを打設してなることを特徴と
する。
【0012】請求項3の発明によれば、溝付き軽量型枠
の溝と、軽量型枠ユニットの軽量型枠間とに充填された
トップコンクリートにより、上部シェルに補強リブを形
成する。この補強リブにより上部シェルの剛性を大きく
して、その固有振動数を変化させると、この固有振動数
が下部シェルの固有振動数と異なるため、上部シェルと
下部シェルとに共振現象が起こらずに軽量床衝撃音性能
等が高められる。したがって、溝付き軽量型枠の溝の間
隔、深さ、幅や、軽量型枠ユニットの軽量型枠同士の間
隔を変えることにより、上部シェルの固有振動数を軽量
床衝撃音性能等が向上する周波数帯域に近づけることが
できる。一方、溝付き軽量型枠の溝に充填されたトップ
コンクリートにより上部シェルに補強リブを形成して、
その固有振動数を変えるとともに、貫通孔に充填された
トップコンクリートにより下部シェルに当接した抵抗体
を形成して、下部シェルの固有振動数を変化させると、
これら上部シェルと下部シェルとの固有振動数がそれぞ
れ異なるため軽量床衝撃音性能等が高められ、かつ下部
シェルの固有振動数を軽量床衝撃音性能等が向上する周
波数帯域に近づけることができる。
【0013】また請求項4の発明が、請求項3におい
て、前記トップコンクリートはコンクリート板の厚さの
1.4倍以上であることを特徴とする。
【0014】請求項4の発明によれば、上部シェルを厚
くすると剛性が大きくなるため、その固有振動数が変化
する。この固有振動数が下部シェルの固有振動数と異な
るため、上部シェルと下部シェルとに共振現象が起こら
ずに軽量床衝撃音性能等が高められる。したがって、上
部シェルの厚さを変えることにより、上部シェルの固有
振動数を軽量床衝撃音性能等が向上する周波数帯域に近
づけることができる。
【0015】また請求項5の発明が、請求項3または4
に記載のスラブを備えたことを特徴とする構築物。
【0016】請求項5の発明によれば、軽量床衝撃音性
能等が高いスラブを備えた構築物を構築することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明のプレキャストコン
クリート板の実施の形態について図1〜図15に基づい
て説明した後、スラブの実施の形態について図16〜図
30に基づいて説明する。上記のプレキャストコンクリ
ート板は第1から第11の実施の形態について説明し、
スラブは第1から第10の実施の形態について説明する
が、各実施の形態において同じ構成は同じ符号を付して
説明し、異なった構成は異なった符号を付して説明す
る。
【0018】図1の(1)は第1の実施の形態のプレキ
ャストコンクリート板の平面図、同図の(2)は(1)
のA−A線断面図、同図の(3)は(1)のB−B線断
面図、図2は軽量型枠の斜視図である。
【0019】プレキャストコンクリート板(以下薄肉P
C板という)1は、平面矩形のコンクリート板2と、該
コンクリート板2の長辺方向に沿って配筋されたトラス
筋3と、該トラス筋間5に配設された軽量型枠4とから
構成されている。
【0020】トラス筋3は上部がコンクリート板2の上
面から突出した状態で適宜間隔ごとに5本配筋されてい
る。このトラス筋3は、三角形状に配置された一本の上
弦筋(トップ筋)6と二本の下弦筋(下端筋)7が波形
のラチス筋8で接合された断面三角形のトラスであり、
上弦筋6側がコンクリート板2の上面から突出している
とともに、下弦筋7がコンクリート板2内の曲げ補強筋
9に接合されている。なお、トラス筋3は上記のような
ものに限定されず、一本の上弦筋と一本の下弦筋を波型
のラチス筋で接合したトラスであってもよい。さらにト
ラス筋3の数は図示するものに限定されるものでなく、
これ以上またはこれ以下であってもよい。
【0021】これらのトラス筋間5に配設された軽量型
枠4は8つの中空部10を備え、かつ上面に交差した溝
11を備えた中空形成型枠である(以下溝付き軽量型枠
という)。この溝11は中空部10の間に形成され、そ
の間隔(ピッチ)、幅、深さは軽量床衝撃音性能等に応
じて設定されるが、各溝11の間隔が20cm、幅が3
cm、深さが10.5cmのときが最も高い軽量床衝撃
音性能等を発揮する。なお、前記溝11および中空部1
0の数は図示するものに限定されるものでなく、これ以
上またはこれ以下であってもよく、中空部10のない溝
付き軽量型枠4を形成することもできる。
【0022】溝付き軽量型枠4は打設されるコンクリー
トによって圧壊しないものが用いられ、具体的には、発
泡ポリスチレンのようなビーズ型内発泡成形による合成
樹脂発泡成形品が使用されるが、その他にもエチレン系
樹脂、プロピレン系樹脂等からなる発泡成形品等を使用
することも可能である。この材質は、コンクリートに対
して軽量であれば特に限定されるものではなく、金属ま
たは紙製の中空形成型枠であってもよい。
【0023】図3は第2の実施の形態の薄肉PC板12
を示し、コンクリート板2の中央部におけるトラス筋3
aを境にした一方のトラス筋間5に溝付き軽量型枠4を
適宜間隔ごとに配設するとともに、他方のトラス筋間5
に在来の軽量型枠13を適宜間隔ごとに配設して形成し
たものである。このようにコンクリート板2の一部に溝
付き軽量型枠4を配設すると、軽量床衝撃音性能等を必
要とする箇所だけに配設することができるので経済的で
あるとともに、一つのスラブにおいて場所によって軽量
床衝撃音性能等を変えることができる。また溝付き軽量
型枠4の配設方法は、上記のものに限定されず、一部分
に配設できればどのような配設でもよく、必要に応じて
自由に変えることができる。
【0024】図4および図5は第3の実施の形態の薄肉
PC板14を示し、幅狭な軽量型枠15を僅かな間隔部
15aをもって対向状に載置してなる軽量型枠ユニット
16を、各トラス筋間5に配置したものであり、前記間
隙部15aにトップコンクリートが打設されるようにな
っている。
【0025】この幅狭な軽量型枠15は幅が21以下c
mで、在来の軽量型枠13(幅43〜40cm、長さ1
20cmの軽量型枠)の約半分の中空形成型枠であり、
図5に示すように、単独で形成する場合や、在来の軽量
型枠13を半分に切断して形成する場合がある。また幅
狭な軽量型枠15は溝付き軽量型枠4と同じ材質で形成
する。
【0026】図6は第4の実施の形態の薄肉PC板17
を示し、図3の薄肉PC板12と同様に、軽量型枠ユニ
ット16と在来の軽量型枠13とを配設したものであ
り、コンクリート板2の中央部におけるトラス筋3aを
境にした一方のトラス筋間5に軽量型枠ユニット16を
適宜間隔ごとに配設するとともに、他方のトラス筋間5
に在来の軽量型枠13を適宜間隔ごとに配設している。
【0027】図7は第5の実施の形態の薄肉PC板18
を示し、コンクリート板2の中央部におけるトラス筋3
aを境にした一方のトラス筋間5に溝付き軽量型枠4を
適宜間隔ごとに配設するとともに、他方のトラス筋間5
に軽量型枠ユニット16を適宜間隔ごとに配設して形成
したものである。以上のような薄肉PC板17、18
も、図3の薄肉PC板12と同じ性能を発揮することが
でき、これらの軽量型枠4、13、16の配設は自由に
組み変えることができる。
【0028】図8および図9は第6の実施の形態の薄肉
PC板19を示し、上面の溝11の交差部に円柱状の貫
通孔20を設けてなる孔付き軽量型枠21を配設したも
のである。前記貫通孔20にはトップコンクリートが打
設されるようになっており、その形状は円柱状に限らず
多角柱であってもよく、また交差部でなくても溝11の
適宜箇所に設けることもできる。
【0029】図10は第7の実施の形態の薄肉PC板2
2を示し、コンクリート板2の中央部におけるトラス筋
3aを境にした一方のトラス筋間5に孔付き軽量型枠2
1を適宜間隔ごとに配設するとともに、他方のトラス筋
間5に在来の軽量型枠13を適宜間隔ごとに配設して形
成したものである。
【0030】図11は第8の実施の形態の薄肉PC板2
3を示し、コンクリート板2の中央部におけるトラス筋
3aを境にした一方のトラス筋間5に孔付き軽量型枠2
1を適宜間隔ごとに配設するとともに、他方のトラス筋
間5に溝付き軽量型枠4を適宜間隔ごとに配設して形成
したものである。
【0031】図12は第9の実施の形態の薄肉PC板2
4を示し、コンクリート板2の中央部におけるトラス筋
3aを境にした一方のトラス筋間5に孔付き軽量型枠2
1を適宜間隔ごとに配設するとともに、他方のトラス筋
間5に軽量型枠ユニット16を適宜間隔ごとに配設して
形成したものである。以上のような薄肉PC板22、2
3、24も、図3の薄肉PC板12と同じ性能を発揮す
ることができ、これらの軽量型枠4、13、16、21
の配設も自由に組み変えることができる。
【0032】図13は第10の実施の形態の薄肉PC板
25を示し、コンクリート板2の上面に設けた突起26
の間に溝付き軽量型枠4を配設したものである。各突起
26の下部には緊張材27が埋設され、該緊張材27に
よりPC板25全体にプレストレスが付与されている。
また溝付き軽量型枠4に代えて、軽量型枠ユニット16
または孔付き軽量型枠21をそれぞれ配設することがで
きる他、溝付き軽量型枠4と、在来の軽量型枠13と、
軽量型枠ユニット16と、孔付き軽量型枠21とを、図
10〜図12に示すように、それぞれ組み合わせて配設
することもできる。これにより薄肉PC板25も、図3
の薄肉PC板12と同じ性能を発揮することができ、こ
れらの軽量型枠4、13、16、21の配設も自由に組
み変えることができる。
【0033】図14は第11の実施の形態の薄肉PC板
28を示し、トラス筋間5に3つのV字形の貫通孔20
aを備えた軽量型枠29を配設したものである。前記貫
通孔20aは、図15の(1)に示すように、軽量型枠
上面の対向した開口部20bと下面中央部の開口部20
cとにかけて形成され、上面の開口部20bからトップ
コンクリートが打設されるようになっている。なお、前
記貫通孔20aは3つに限らず、任意の数設けることも
でき、(2)に示すように長さ方向に設けることや、
(3)に示すように逆V字形に設けることもできる。さ
らに、同図の(4)に示すように、角柱の貫通孔20a
を形成することもできる。
【0034】図16および図17は第1の実施の形態の
スラブ30を示し、図1の薄肉PC板1を、長尺梁31
aと短尺梁31bとの間に敷設して形成した下床32上
に、スラブ上端筋33aを配筋してトップコンクリート
34を打設したものである。この薄肉PC板1と各梁3
1a、31bの間には接合筋33bが配筋されて、周辺
部に作用する荷重を二方向に流せるようになっている。
【0035】また図17に示すように、溝付き軽量型枠
4の溝11内のコンクリートにより上部シェル35に補
強リブ36が形成されて、上部シェル35の剛性を大き
くして、その固有振動数を変えている。このように上部
シェル35の固有振動数を下部シェル37の固有振動数
と違えたため、これら上部シェル35と下部シェル37
とに共振現象が起こらず軽量床衝撃音性能等が高められ
る。
【0036】下記の表1は基準シェルを1000Hzと
した場合の上記スラブ30における上部シェル35の固
有振動数の計算例を示したものである。補強リブのない
スラブ(図示せず)の上部シェルと下部シェルとの固有
振動数が1:1であるのに対して、リブ間隔(ピッチ)
36aが40cm、リブ幅36bが3cm、リブ高さ3
6cが10.5cmの補強リブ36を備えたスラブ30
の上部シェル35と下部シェル37との固有振動数は
1:1.41となる。したがって溝11の間隔、幅、深
さ、すなわち補強リブのリブ間隔36a、リブ幅36
b、リブ高さ36cを変えると、上部シェル35の固有
振動数を任意に制御することができる。これは補強リブ
のリブ間隔36a、リブ幅36b、リブ高さ36cを任
意に変えると、上部シェル35の固有振動数を軽量床衝
撃音性能等が向上する周波数帯域に近づけることができ
るということである。このスラブ30は補強リブのリブ
間隔36aが20cm、リブ幅36bが3cm、リブ高
さ36cが10.5cmのときに最も高い軽量床衝撃音
性能等を発揮する。なお、下記の表1中におけるシェル
厚とは図17の(3)の36dであり、これは下記の表
2〜表6においても同じである。
【0037】
【表1】
【0038】図18は第2の実施の形態のスラブ38を
示し、図1の薄肉PC板1と、在来の軽量型枠13を備
えた薄肉PC板(以下在来の薄肉PC板という)39と
を組み合わせたものである。このスラブ38は短尺梁3
1b側に軽量床衝撃音性能等をもたせたものであり、ス
ラブ38の用途、すなわち特定の騒音や振動に対応させ
るためにスラブ38全体の軽量床衝撃音性能等を場所に
よって変えたものである。
【0039】図19および図20は第3の実施の形態の
スラブ40を示し、図4の薄肉PC板14で形成したも
のである。このスラブ40も幅狭な軽量型枠15の間隙
部15aのコンクリートが補強リブ41の働きをして、
上部シェル35の剛性を大きくして、その固有振動数を
変えるものである。特に、この補強リブ41はトラス筋
3の長さ方向に沿って連続的に形成され、トラス筋3の
直交方向のリブ42とともに上部シェル35の剛性を大
きくして、その固有振動数を変えている。
【0040】下記の表2は、基準シェルを1000Hz
とした場合の上記スラブ40における上部シェル35の
固有振動数の計算例を示したものである。在来の軽量型
枠(40cm幅)を備えたスラブ(図示せず)の上部シ
ェルと下部シェルとの固有振動数が1:1であるのに対
して、20cm幅の軽量型枠15からなる軽量型枠ユニ
ット16を備えたスラブ40の上部シェル35と下部シ
ェル37との固有振動数は1:3.2となる。したがっ
て軽量型枠ユニット16の軽量型枠の幅15b、すなわ
ち補強リブの幅41aを変えると、下部シェル37の固
有振動数を任意に制御することができるため、このスラ
ブ40も図14のスラブ28と同じ効果を奏することが
できる。このスラブ40は軽量型枠15が20cm幅の
ときに最も高い軽量床衝撃音性能等を発揮する。
【0041】
【表2】
【0042】図21は第4の実施の形態のスラブ43を
示し、図18と同様に、図4の薄肉PC板14と、在来
の薄肉PC板39とを組み合わせたものである。このス
ラブ43も短尺梁31b側だけに軽量床衝撃音性能等を
有したものであり、スラブ43の用途、すなわち特定の
騒音や振動に対応させるために、場所によってスラブ4
3全体の軽量床衝撃音性能等を変えたものである。
【0043】図22は第5の実施の形態のスラブ44を
示し、図1と図4の薄肉PC板1、14を組み合わせた
ものである。この組み合わせは自由であり、図4の薄肉
PC板14を短尺梁31b側に設置してもよく、またこ
れらの薄肉PC板1、14を交互に設置してもよい。こ
れらの薄肉PC板1、14も軽量床衝撃音性能等が、場
所によってそれぞれ異なるため、スラブ44の用途、す
なわち特定の騒音や振動に対応させるためにスラブ44
全体の軽量床衝撃音性能等に変化を与える場合に使用す
る。
【0044】また、上記の他に図3、図6、図7の薄肉
PC板12、17、18を使用したスラブ(図示せず)
を構築することができるとともに、これらの薄肉PC板
12、17、18を互いに組み合わせたスラブ(図示せ
ず)を構築することもでき、さらにこれらの薄肉PC板
12、17、18と図1または図4の薄肉PC板1、1
4とを組み合わせたスラブ(図示せず)を構築すること
もできる。
【0045】図23および図24は第6の実施の形態の
スラブ45を示し、図4の薄肉PC板14で形成したも
のである。これは孔付き軽量型枠21の溝11のコンク
リートで補強リブ36を上部シェル35に形成するとと
もに、貫通孔20のコンクリートにより下部シェル37
に当接した抵抗体48を形成すると、上部シェル35と
下部シェル37との固有振動数をそれぞれ変えることが
できる。
【0046】下記の表3は、基準シェルを1000Hz
とした場合の上記スラブ45における上部シェル35の
固有振動数の計算例を示したものである。補強リブ等の
ないスラブ(図示せず)の上部シェル35と下部シェル
37との固有振動数が1:1であるのに対して、リブ間
隔36aが40cm、リブ幅36bが3cm、リブ高さ
36cが10.5cmの補強リブ36と、高さ48aが
13cm、径48bが5cmの抵抗体48とを備えたス
ラブ45の上部シェル35と下部シェル37との固有振
動数は1:1.4となる。したがって補強リブのリブ間
隔36aと、リブ幅36bと、リブ高さ36cとを変え
るとともに、抵抗体48の高さ48aと、径48bとを
変えると、上部シェル35と下部シェル37との固有振
動数を任意に制御することができ、図8のスラブ28と
同じ効果を奏することができる。このスラブ45はリブ
間隔36aが40cm、リブ幅36bが3cm、リブ高
さ36cが10.5cmの補強リブ36と、高さ48a
が13cmで、径48bが5cmの抵抗体48とを備え
たときに最も高い軽量床衝撃音性能等を発揮する。
【0047】
【表3】
【0048】図25および図26は第7の実施の形態の
スラブ46を示し、図13の薄肉PC板25により形成
したものである。これも図14のスラブ28と同様に、
補強リブ36により上部シェル35の固有振動数を制御
するものであり、図14のスラブ28と同様の効果を奏
することができる。
【0049】また上記の溝付き軽量型枠4に代えて、軽
量型枠ユニット16、孔付き軽量型枠21、V字形の貫
通孔を備えた軽量型枠28をそれぞれ配設したPC板に
よるスラブ(図示せず)を形成することができる他、溝
付き軽量型枠4と、在来の軽量型枠13と、軽量型枠ユ
ニット16と、孔付き軽量型枠21と、V字形の貫通孔
を備えた軽量型枠28とを、それぞれ組み合わせたPC
板によるスラブ(図示せず)を形成することもできる。
【0050】図27および図28は第8の実施の形態の
スラブ47を示し、図14の薄肉PC板28により形成
したものである。これも図23のスラブ45と同様に、
軽量型枠29の貫通孔20aに打設されたコンクリート
により下部シェル37に当接したV字形の抵抗体48a
を形成すると、上部シェル35と下部シェル37との固
有振動数をそれぞれ変えることができる。このスラブ4
7も下記の表4の計算例に示すように、図23のスラブ
45と同じ効果を奏することができる。
【0051】
【表4】
【0052】また上記のV字形の貫通孔20aを備えた
軽量型枠29と、溝付き軽量型枠4と、在来の軽量型枠
13と、軽量型枠ユニット16と、孔付き軽量型枠21
とをそれぞれ組み合わせたPC板によるスラブ(図示せ
ず)を形成することもできる。
【0053】図29は第9の実施の形態のスラブ47を
示し、在来のPC板39で形成したスラブの厚さ、すな
わち上部シェル35の厚さ49aを下部シェル37の厚
さ49bの1.4倍以上としたものであり、下記の表5
の計算例に示すように、図16のスラブ28と同じ効果
を奏することができる。
【0054】
【表5】
【0055】また図30は第10の実施の形態のスラブ
50を示し、図16のスラブ28における上部シェルの
厚さ49aを増したものであり、その性能も下記の表6
の計算例で確認することができた。
【0056】
【表6】
【0057】この上部シェル35の厚さ49aを増す方
法は、図18、図19、図21〜図23、図25、図2
7のスラブ38、40、43、44、45、46、47
にもそれぞれ適用することができ(図示せず)、図3、
図6〜図8、図10〜図14の薄肉PC板12、17、
18、19、22、23、24、25、28を使用した
スラブ(図示せず)、またはこれらを互いに組み合わせ
たスラブ(図示せず)、ならびにこれらの薄肉PC板1
2、17、18、19、22、23、24、25、28
と、図1または図4の薄肉PC板1、14とを組み合わ
せたスラブ(図示せず)にもそれぞれ適用することがで
きる。
【0058】さらに、図16、18、19、21〜2
3、25、27のスラブを備えた鉄骨造、鉄筋コンクリ
ート造および鉄骨鉄筋コンクリート造の構築物を構築す
ると、軽量床衝撃音性能等の高いスラブ30、38、4
0、43、44、45、46、47を備えた構築物(図
示せず)を構築することができる。
【0059】
【発明の効果】スラブの上部シェルに軽量床衝撃音性能
等を高める補強リブを形成することができる。
【0060】軽量型枠の断面欠損が少ないため取り扱い
が簡単になり、軽量型枠の製造時、運搬時、現場施工時
における破損を防ぐことができる。
【0061】軽量型枠を、プレキャストコンクリート板
における軽量床衝撃音性能等を必要とする箇所だけに設
置することができるとともに、プレキャストコンクリー
ト板における軽量床衝撃音性能等を場所によって変える
ことができる。
【0062】スラブの上部シェルに、軽量床衝撃音性能
等を高める補強リブと、下部シェルに当接して軽量床衝
撃音性能等を高める抵抗体とを形成することができる。
【0063】補強リブにより上部シェルの剛性を大きく
して、その固有振動数を変化させると、下部シェルの固
有振動数と異なるため、上部シェルと下部シェルとの共
振現象を防いで軽量床衝撃音性能等を高めることができ
る。
【0064】上部シェルと下部シェルとの固有振動数を
変えると、上部シェルと下部シェルとの共振現象を防い
で軽量床衝撃音性能等を高めることができるとともに、
下部シェルの固有振動数を軽量床衝撃音性能等が向上す
る周波数帯域に近づけることができる。
【0065】上部シェルを厚くして剛性を大きくする
と、その固有振動数が下部シェルの固有振動数と異なる
ため、上部シェルと下部シェルとの共振現象を防いで軽
量床衝撃音性能等を高めることができる。
【0066】特定の騒音や振動だけに対応したスラブを
構築することができる。
【0067】軽量床衝撃音性能等の高いスラブを備えた
構築物を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)は第1の実施の形態の薄肉PC板の平面
図、(2)は(1)のA−A線断面図、(3)は(1)
のB−B線断面である。
【図2】(1)および(2)は軽量型枠の斜視図であ
る。
【図3】(1)は第2の実施の形態の薄肉PC板の平面
図、(2)は(1)のC−C線断面図である。
【図4】(1)は第3の実施の形態の薄肉PC板の平面
図、(2)は(1)のD−D線断面図、(3)は(1)
のE−E線断面である。
【図5】(1)および(2)は軽量型枠の斜視図であ
る。
【図6】第4の実施の形態の薄肉PC板の平面図であ
る。
【図7】第5の実施の形態の薄肉PC板の平面図であ
る。
【図8】(1)は第6の実施の形態の薄肉PC板の平面
図、(2)は(1)のF−F線断面図、(3)は(1)
のG−G線断面図である。
【図9】(1)は孔付き軽量型枠の平面図、(2)は
(1)のH−H線断面図、(3)は(1)のI−I線断
面図、(4)は(1)のJ−J線断面図、(5)は
(1)のK−K線断面図である。
【図10】第7の実施の形態の薄肉PC板の平面図であ
る。
【図11】第8の実施の形態の薄肉PC板の平面図であ
る。
【図12】第9の実施の形態の薄肉PC板の平面図であ
る。
【図13】(1)は第10の実施の形態の薄肉PC板の
平面図、(2)は(1)のL−L線断面図、(3)は
(1)のM−M線断面図である。
【図14】(1)は第11の実施の形態の薄肉PC板の
平面図、(2)は(1)のN−N線断面図、(3)は
(1)のO−O線断面である。
【図15】(1)〜(3)は軽量型枠の斜視図である。
【図16】第1の実施の形態のスラブの一部切欠平面図
である。
【図17】(1)は図14のP−P線断面図、(2)は
図14のQ−Q線断面図、(3)は(1)の拡大断面図
である。
【図18】第2の実施の形態のスラブの一部切欠平面図
である。
【図19】第3の実施の形態のスラブの一部切欠平面図
である。
【図20】(1)は図17のR−R線断面図、(2)は
図17のS−S線断面図、(3)は(1)の拡大断面図
である。
【図21】第4の実施の形態のスラブの一部切欠平面図
である。
【図22】第5の実施の形態のスラブの一部切欠平面図
である。
【図23】第6の実施の形態のスラブの一部切欠平面図
である。
【図24】(1)は図21のT−T線断面図、(2)は
図21のU−U線断面図、(3)は(1)の拡大断面図
である。
【図25】第7の実施の形態のスラブの一部切欠平面図
である。
【図26】(1)は図23のV−V線断面図、(2)は
図23のW−W線断面図である。
【図27】第8の実施の形態のスラブの一部切欠平面図
である。
【図28】(1)は図27のX−X線断面図、(2)は
図14のY−Y線断面図、(3)は(1)の拡大断面図
である。
【図29】第9の実施の形態のスラブの断面図である。
【図30】第10の実施の形態のスラブの断面図であ
る。
【図31】(1)および(2)は従来のスラブの断面
図、(3)は従来の軽量型枠の底面図である。
【符号の説明】
1、12、14、17、18、19、22、23、2
4、25、28、50薄肉PC板 2 コンクリート板 3 トラス筋 3a 中央部におけるトラス筋 4 溝付き軽量型枠 5 トラス筋間 6 上弦筋 7 下弦筋 8 ラチス筋 9 曲げ補強筋 10、55 中空部 11 溝 13 在来の軽量型枠 15 幅狭な軽量型枠 15a 間隙部 16 軽量型枠ユニット 20、20a、59 貫通孔 21 孔付き軽量型枠 26 突起 27 緊張材 29 V字形の貫通孔を備えた軽量型枠 30、38、40、43、44、45、46、47、5
0、54、58 スラブ 31a 長尺梁 31b 短尺梁 32 下床 33a スラブ上端筋 33b 接合筋 34、53 トップコンクリート 35、56 上部シェル 36、41 補強リブ 37、57 下部シェル 39 在来のPC板 42 リブ 48、48a 抵抗体 49a 上部シェルの厚さ 49b 下部シェルの厚さ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の大きさのコンクリート板の上面に
    トラス筋が適宜間隔をもって配筋されたプレキャストコ
    ンクリート板において、前記トラス筋間に、軽量型枠、
    溝付き軽量型枠、複数の幅狭な軽量型枠からなる軽量型
    枠ユニット、上面の溝に貫通孔を設けてなる孔付き軽量
    型枠、V字形の貫通孔を備えた軽量型枠のいずれかを一
    種以上配設してなることを特徴とするプレキャストコン
    クリート板。
  2. 【請求項2】 所定の大きさのコンクリート板の上面に
    長さ方向に沿った突起が適宜間隔をもって突設されたプ
    レキャストコンクリート板において、前記突起間に、軽
    量型枠、溝付き軽量型枠、複数の幅狭な軽量型枠からな
    る軽量型枠ユニット、上面の溝に貫通孔を設けてなる孔
    付き軽量型枠、V字形の貫通孔を備えた軽量型枠のいず
    れかを一種以上配設してなることを特徴とするプレキャ
    ストコンクリート板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のプレキャスト
    コンクリート板のうちの少なくとも一種以上のプレキャ
    ストコンクリート板を、梁間に隣接状態で配設して下床
    を形成し、該下床上にトップコンクリートを打設してな
    ることを特徴とするスラブ。
  4. 【請求項4】 トップコンクリートはコンクリート板の
    厚さの1.4倍以上であることを特徴とする請求項3に
    記載のスラブ。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載のスラブを備え
    たことを特徴とする構築物。
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KR20170041966A (ko) * 2015-10-08 2017-04-18 황성섭 Pc를 통한 콘크리트 건축물의 건축공법

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KR101866559B1 (ko) * 2015-10-08 2018-06-12 황성섭 Pc를 통한 콘크리트 건축물의 건축공법

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