JP2000351549A - 流体圧エレベータの運転制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】乗客の加振によりカウンタウエイト側の非常止
め装置が誤動作した状態で、乗りかごを上昇方向（カウ
ンタウエイトは下降方向）に走行した場合は、カウンタ
ウエイトロープが弛んで昇降路内にある機器に絡む。 【解決手段】乗りかごを必ず下降方向（カウンタウエイ
トは上昇方向）に走行させて、非常止めを解除する。こ
れにより、カウンタウエイト用のロープが弛んで昇降路
内にある機器に絡むことを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カウンタウエイト
を設けた流体圧エレベータにおいて、カウンタウエイト
用の非常止め装置が誤動作した場合のエレベータの運転
制御装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、流体圧エレベータは、乗りかご
と、流体プランジャと、流体ジャッキと、一端を固定部
に接続し他端を乗りかごに接続したメインロープとで構
成される。しかし最近は、乗りかごとの重量の釣り合い
を取るためのカウンタウエイトを設けて乗りかご上昇時
の負荷を軽減し、省エネルギーを図る流体圧エレベータ
が考案されるようになった。この公知例として特開平8
−245088 号が挙げられる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし公知例において
は、カウンタウエイト付き流体圧エレベータの機器の配
置構成の記載に止まり、カウンタウエイトロープが断線
した場合のカウンタウエイト側の非常止め装置に関して
は言及していなかった。カウンタウエイト側の非常止め
装置の有無は、乗りかごの乗客の安全に係わるものでは
ないが、エレベータの昇降路の下に居室がある場合は、
居室の住人の安全に係わるものとなり設置が必要とな
る。しかし、乗客の加振によりカウンタウエイト側の非
常止め装置が誤動作した状態で、乗りかごを上昇方向
（カウンタウエイトは下降方向）に走行した場合は、カ
ウンタウエイトは動かないためカウンタウエイトロープ
が弛んで昇降路内にある機器に絡み、復旧に時間を要す
ることになる。

【０００４】本発明の目的は、カウンタウエイト側の非
常止め装置が誤動作した状態において、カウンタウエイ
トロープが弛まないようエレベータを運転制御する方法
を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的は、カウンタ
ウエイト側の非常止め装置が誤動作した場合、乗りかご
を下降方向（カウンタウエイトは上昇方向）に走行し
て、非常止めを解除することによって達成される。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下本発明による流体圧エレベー
タの運転制御の一実施例を、図面により説明する。

【０００７】図１は本発明の一実施例によるエレベータ
の構成を示す図である。

【０００８】１は乗客や荷物を載せる乗りかご、２は上
部に回転自在なプーリを有する流体プランジャ、３は流
体プランジャ２のプーリに吊り下げられており一端を固
定部に接続し他端を乗りかご１に接続したメインロー
プ、４は流体を流入流出させることにより流体プランジ
ャ２を上下させて乗りかご１を昇降させるための流体ジ
ャッキ、５は乗りかご１との重量の釣り合いを取るため
のカウンタウエイト、６は自立搭に支持された回転自在
な固定プーリ、７は固定プーリ６に吊り下げられており
一端をカウンタウエイト５に接続し他端を流体プランジ
ャ２に接続したカウンタウエイトロープ、８はメインロ
ープ３が断線した場合に、下降方向に乗りかご１が落下
するのを防止する乗りかご用の非常止め装置、９はカウ
ンタウエイトロープ７が断線した場合に、下降方向にカ
ウンタウエイト５が落下するのを防止するカウンタウエ
イト用の非常止め装置である。

【０００９】乗りかご用の非常止め装置８は、乗りかご
１を垂直に移動させるための乗りかご用のガイドレール
２１，乗りかご１の動きに連動する乗りかご用のガバナ
ロープ２２，ガバナロープ２２の動きが止まったときガ
イドレール２１を挟み込んで乗りかご１を止める非常止
め２３，乗りかご１の動きをガバナロープ２２に伝える
と共にガバナロープ２２の動きが止まったとき非常止め
２３にその動きを伝えるレバー２４，ガバナロープ２２
を吊り下げ且つ乗りかご１の速度がある値以上になると
ガバナロープ２２の動きを止める乗りかご用のガバナ２
５，ガバナ２５の反対側に位置しガバナロープ２２を張
るガバナプーリ２６よりなる。

【００１０】カウンタウエイト用の非常止め装置９も、
乗りかご用の非常止め装置８と同一構造であり、カウン
タウエイト５を垂直に移動させるためのカウンタウエイ
ト用のガイドレール３１，カウンタウエイト５の動きに
連動するカウンタウエイト用のガバナロープ３２，ガバ
ナロープ３２の動きが止まったときガイドレール３１を
挟み込んでカウンタウエイト５を止める非常止め３３，
カウンタウエイト５の動きをガバナロープ３２に伝える
と共にガバナロープ３２の動きが止まったとき非常止め
３３にその動きを伝えるレバー３４，ガバナロープ３２
を吊り下げ且つカウンタウエイト５の速度がある値以上
になるとガバナロープ３２の動きを止めるカウンタウエ
イト用のガバナ３５，ガバナ３５の反対側に位置しガバ
ナロープ３２を張るガバナプーリ３６よりなる。

【００１１】乗りかご用の非常止め装置８は、乗りかご
１が異常な速度で下降した（メインロープ３が断線した
場合など）場合に動作して乗りかご１を停止させるもの
で、この速度を検出するのがガバナ２５である。しか
し、ガバナ２５は、乗客のいたずらによる強制加振によ
っても誤動作する場合がある。このため、従来の流体圧
エレベータにおいては、加振を検出すると非常停止し
て、ガバナ２５を誤動作させないようにしている。な
お、ガバナの誤動作については、カウンタウエイト用の
ガバナ３５においても同様である。しかし、上記のよう
に非常停止して、そのショックでカウンタウエイト用の
ガバナ３５が誤動作して非常止め３３が動作した状況
で、乗りかご１を上昇方向（カウンタウエイト５は下降
方向）に走行した場合、カウンタウエイト５は動かない
ためカウンタウエイトロープ７が弛んで昇降路内にある
機器に絡みつくことになる。こうなった場合、復旧に時
間を要する。

【００１２】このため、本実施例では、エレベータが非
常停止した場合は、乗りかご１を必ず下降方向（カウン
タウエイト５は上昇方向）の最寄り階まで走行するよう
に制御する。図２はそのエレベータの走行中の制御のフ
ローを示す図である。始めに、走行を開始すると、非常
停止か（１０１）を判定し、非常停止でないならば正規
の走行（１０２）を継続し、走行終了か（１０４）を判
定して、走行終了ならば走行を終了する。（１０４）で
走行終了でないと判定されれば再度非常停止か（１０
１）に戻る。（１０１）で非常停止と判定されれば下降
方向の最寄り階まで走行（１０３）して終了する。これ
により、カウンタウエイト側の非常止め３３が誤動作し
ても、乗りかご１を下降方向（カウンタウエイト５は上
昇方向）に走行して、非常止めを解除するため、カウン
タウエイトロープ７が弛んで昇降路内にある機器に絡む
ことはない。

【００１３】図３は、上記実施例とは別の配置構成のカ
ウンタウエイト付き流体圧エレベータの例であり、乗り
かごにカウンタウエイトを接続したものである。この場
合においても図２のようにエレベータを運転制御するこ
とによって、同様の効果が得られる。

【００１４】

【発明の効果】本発明によれば、カウンタウエイト側の
非常止めが誤動作しても、乗りかごを下降方向（カウン
タウエイトは上昇方向）に走行して、非常止めを解除す
るため、カウンタウエイトロープが弛んで昇降路内にあ
る機器に絡むことはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるエレベータの構成を示
す図。

【図２】図１のエレベータの走行中の制御のフローを示
す図。

【図３】他の実施例のエレベータの構成を示す図。

【符号の説明】

１…乗りかご、２…流体プランジャ、３…メインロー
プ、４…流体ジャッキ、５…カウンタウエイト、６…固
定プーリ、７…カウンタウエイトロープ、８…乗りかご
用の非常止め装置、９…カウンタウエイト用の非常止め
装置、２１…乗りかご用のガイドレール、２２…乗りか
ご用のガバナロープ、２３…乗りかご用の非常止め、２
４…乗りかご用のガバナ、２５…乗りかご用のレバー、
２６…乗りかご用のガバナプーリ、３１…カウンタウエ
イト用のガイドレール、３２…カウンタウエイト用のガ
バナロープ、３３…カウンタウエイト用の非常止め、３
４…カウンタウエイト用のガバナ、３５…カウンタウエ
イト用のレバー、３６…カウンタウエイト用のガバナプ
ーリ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松土 貴司 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 高橋 裕智 茨城県ひたちなか市堀口832番地の２ 日 立システムプラザ勝田 日立水戸エンジニ アリング株式会社内 (72)発明者 溝部 学部 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 Ｆターム(参考） 3F002 AA04 EB01 GB02 3F301 BA02 BC02 BD06 BD08 CA11 3F304 AA05 CA11 CA18 DA41 DA46 EB05 EB14

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】乗客や荷物を載せる乗りかごと、 上部に回転自在なプーリを有する流体プランジャと、 この流体プランジャのプーリに吊り下げられており一端
   を固定部に接続し他端を乗りかごに接続したメインロー
   プと、 流体を流入流出させることにより流体プランジャを上下
   させて乗りかごを昇降させるための流体ジャッキと、 乗りかごとの重量の釣り合いを取るためのカウンタウエ
   イトと、 自立搭に支持された回転自在な固定プーリと、 この固定プーリに吊り下げられており一端をカウンタウ
   エイトに接続し他端を流体プランジャに接続したカウン
   タウエイトロープと、 前記カウンタウエイトロープが断線した場合に、下降方
   向にカウンタウエイトが落下するのを防止する非常止め
   装置と、を具備する流体圧エレベータにおいて、 前記非常止め装置が誤動作した場合は、上昇方向にカウ
   ンタウエイトを走行させて、非常止めを解除するように
   構成した流体圧エレベータの運転制御装置。
2. 【請求項２】前記請求項１において、 カウンタウエイトロープの一端をカウンタウエイトに接
   続し他端を乗りかごに接続した流体圧エレベータの運転
   制御装置。