JP2000348868A - El素子およびその発光表示パターンの記録/消去/表示方法 - Google Patents

El素子およびその発光表示パターンの記録/消去/表示方法

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JP2000348868A
JP2000348868A JP2000097672A JP2000097672A JP2000348868A JP 2000348868 A JP2000348868 A JP 2000348868A JP 2000097672 A JP2000097672 A JP 2000097672A JP 2000097672 A JP2000097672 A JP 2000097672A JP 2000348868 A JP2000348868 A JP 2000348868A
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voltage
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Daigo Aoki
木 大 吾 青
Koji Arai
井 浩 次 新
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 文字あるいは画像パターンの発光表示を行う
EL素子において、該発光パターンの書き換えが可能で
あって、かつ、高度な微細加工技術や、複雑な駆動回路
を必要としないEL素子を提供する。 【解決手段】 対向する電極と、前記対向する電極の間
にEL層とを有してなる、EL素子であって、前記EL
層と前記少なくともいずれか一方の電極との間に、導電
性メモリー層を有してなり、前記導電性メモリー層が、
導電性の違いによるパターンを形成し得るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部エネルギーに
よって、高解像度な発光表示パターンの記録/消去/表
示が可能なEL素子(エレクトロルミネッセンス素子)
および、その発光表示パターンの記録/消去/表示方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】EL素子、例えば、有機EL素子の構造
は、対向する2つの電極の間に、少なくとも有機の蛍光
物質や電荷輸送剤を含む発光層を単層、さらに場合によ
っては正孔輸送層、電子輸送層等を多層に積層した構造
を有している。この両電極間に電圧を印加すると、正孔
および電子が、陽極、陰極からそれぞれ発光層に注入
し、これらが再結合することにより、蛍光性物質が励起
され、この励起子が失活する際の蛍光によって、EL素
子が発光する。
【0003】有機EL素子は単純な素子構造で発光表示
が可能であり、軽量で、低価格のディスプレイが容易に
作製できることが大きな特徴であり、近年、ディスプレ
イへの応用が盛んに研究されている。特に、動画を表示
するディスプレイの開発は盛んである。
【0004】このような有機EL素子を用いたディスプ
レイを用いて、文字あるいは画像の発光パターンを表示
するためには、電極あるいはEL素子を表示パターン状
に加工して発光させるか、または電極をマトリックス状
に加工して駆動回路を用いて発光表示させる方法が用い
られている。前者の場合、表示する文字あるいは画像パ
ターンに合せて、電極またはEL素子をパターン化する
ため、一つの特定のパターンしか表示することができな
い。また後者の場合、逐次異なるパターンを表示できる
が、電極や有機EL層のパターニングに伴う高度な微細
加工技術や、複雑な配線、駆動回路を要し、有機EL素
子の単純な素子構造、低コスト等の特徴が損なわれる問
題点があった。
【0005】また、マトリックスディスプレイにおいて
は、従来1フレーム毎に発光させているので、常時発光
するものと比較して例えば150本のラインからなるも
のについては輝度が1/150となってしまう。そのた
め高輝度を得るためには瞬間的に高電圧印加する必要が
生じ、EL素子の寿命が縮まる問題が起きていた。一
方、TFTを用いたディスプレイは、1フレーム毎に発
光させているものではないので、このような素子への負
担はあまり生じないが、TFTを用いるとコストが上昇
するうえ、TFT上に素子を作成すると発光の取り出し
側にTFTが配置されるため、開口率が低下する問題点
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、文字
あるいは画像パターンの発光表示を行うEL素子におい
て、該発光パターンの書き換えが可能であり、低コス
ト、高輝度、長寿命である単純マトリックス駆動が可能
なEL素子を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、EL層と電
極との間に、導電性の違いによるパターンを形成し得る
導電性メモリー層を設けることにより、前記課題を解決
できることを見出し本発明を完成させた。
【0008】したがって本発明のEL素子は、対向する
電極と、前記対向する電極の間にEL層とを有してな
る、EL素子であって、前記EL層と前記少なくともい
ずれか一方の電極との間に、導電性メモリー層を有して
なり、前記導電性メモリー層が、導電性の違いによるパ
ターンを形成し得るものであることを特徴とするもので
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】EL素子の構造 図1に、本発明のEL素子の一例の素子の断面図を示
す。図中1は、ガラス基材、2はアノード電極、3は導
電性メモリー層、4は有機EL層、2′はカソード電極
である。
【0011】図1に示す有機EL層4は、単層でもよい
が、正孔輸送層、発光層、または、正孔注入層、電子注
入層等を組み合せて、多層構造にしてもよい。また、光
導電性メモリー層3は、カソード電極2′と有機EL層
4との間に設けてもよい。
【0012】導電性メモリー層 導電性メモリー層は、EL素子のいずれかの電極とEL
層との間(アノード電極とEL層との間、または、カソ
ード電極とEL層との間)に設けられ、導電性の違いに
よるパターンを形成しうるものである。
【0013】この導電性メモリー層は複数層から構成さ
れていてもよく、例えば拡散障壁層(メモリー層の元素
の拡散を防止する層)やコンタクト層(電極とメモリー
層との接触をオーミックにする層)等を設けることがで
きる。
【0014】(導電性の変化手段)導電性の違いによる
パターンは導電性メモリー層の一部の導電性を変化させ
ることで記録する。この導電性の変化方法は、特に限定
されないが、例えば、露光、温度変化(加熱など)およ
び電圧印加を用いることができる。導電性の変化は、導
電性を高める方向あるいは導電性を低下させる方向のい
ずれであることもできるが、好ましくは、露光または加
熱などを終了した後でも変化した導電性が残存するも
の、すなわち導電性メモリー効果を有するものとする。
この残存には、そのままの導電性を維持する場合、徐々
に元の導電性に戻る場合、履歴効果(ヒステリシス)を
有する場合などが含まれる。履歴効果としては、例えば
EL素子はの印加電圧を上昇させた後、印加電圧を下降
させた際の特定電圧の輝度が、印加電圧の上昇時の特定
電圧における輝度よりも大きくなるものが挙げられる。
【0015】光導電性メモリー層の膜厚は、例えば0.
001〜1μmであることができるが、好ましくは0.
01〜0.1μmとする。膜厚が0.01μmより薄い
と膜形成が困難であり、0.1μmより厚いと電極から
電荷の注入が困難となる。
【0016】露光により導電性を変化させる場合、好ま
しくは露光によって導電性能を増大させ、それにより帯
電性能を低下させることができる。この導電性を変化さ
せる光の波長がEL層の発光波長と同じ場合、すなわち
EL素子の発光スペクトルと前記導電性メモリー層の吸
収スペクトルが、少なくとも一部重複する場合には、導
電性メモリー層が、電圧印加した際のEL素子自身の発
光によって導電性が変化するものとでき、EL層の発光
によって導電性メモリー層が露光されることによって、
導電性の変化をさらに強化、維持することができる。一
方、この波長とEL層の発光波長とが異なる場合には、
導電性メモリー層の導電性がEL層の発光によって影響
を受けることを防止することができる。
【0017】このような光により導電性が変化する導電
性メモリー層を有するEL素子においては、外部から光
源を用いてパターン状に露光することによりパターン状
の発光を得ることができる。また、EL層の発光を利用
してマトリックスに電圧を印加して駆動させることがで
きる。このように光を部分露光することによって導電性
パターンの記録を行うことができ、また、導電性メモリ
ー層の全面を露光することにより、導電性パターンの消
去を行うことができる。
【0018】温度変化により導電性を変化させる場合、
導電性を高めても低めてもよいが、好ましくは加熱によ
って、導電性能を低下(帯電性能を向上)させることが
できる。この場合も導電性メモリー層の全面を露光し
て、導電性メモリーの消去を行い、部分加熱によって導
電性パターンの記録を行うことができる。加熱の温度
は、例えば40℃以上(使用する際の環境温度より高い
温度)好ましくは60〜200℃(EL素子が劣化しな
い程度の温度まで)とすることができる。
【0019】電圧印加により導電性を変化させるものと
しては、電界により電流が流れることによりジュール熱
によって結晶状態と非結晶状態間で相変化を起こすこと
により導電性が変化するものが挙げられる。
【0020】また、電圧印加による導電性変化にあたっ
ては、好ましくは前述の履歴効果例えば、印加電圧を上
昇させた後、印加電圧を下降させた際の特定電圧の輝度
が、印加電圧の上昇時の前記特定電圧における輝度より
も大きいものでることができる。この特定電圧は、EL
素子が発光可能な印加電圧の範囲であって、電圧下降時
と上昇時の輝度の差がつく範囲内から選ぶことができ
る。
【0021】露光による導電性変化と、温度変化による
導電性変化と電圧印加による導電性変化は、組み合わせ
て用いることが好ましい。このような組み合わせには、
例えば、部分露光により導電性パターンを記録し、全面
加熱によって露光前の導電性に戻すことにより消去する
こと、あるいは全面露光した後、部分加熱により導電性
パターンを記録し、再び全面露光によって加熱前の導電
性に戻すことにより消去することが挙げられる。
【0022】導電性パターンの記録および/または消去
においては、EL素子が発光する電圧未満の電圧を前記
ELに印加すると記録/消去時の駆動または消費電力の
点で好ましく、一定の面積に記録/消去する際に高速で
記録消去ができる点で好ましい。
【0023】(導電性メモリー効果の理論)次に、導電
性メモリー層における光メモリー効果の理論面について
説明する。電極上に導電性メモリー層を設けた試料を用
意し、この試料表面をコロナ帯電(初期帯電電位Vo)
した後、露光し、露光後に再度コロナ帯電(再帯電電位
Vm)とすると、電荷受容性物質によって初期帯電電位
VoよりΔV低い、Vmの帯電電位が得られる。すなわ
ち、光照射により、帯電性が減少(導電性が増大)し、
メモリー性の発現が確認できる。このような光メモリー
効果を評価する尺度としては、下記式によって求められ
るΔVをVmで規格化した値(Fm)がある。
【0024】Fm=(Vo−Vm)/Vo=ΔV/Vo 本発明においては、Fm値が0.1以上、好ましくは、
0.2以上のものが好ましい。
【0025】導電性メモリー層に光が照射されると、正
孔と電子が発生し、電子(正孔)が、電荷受容性物質に
捕獲される。これによって、電圧を印加した際に、電極
から正孔(電子)の注入が促進され、導電性メモリー層
の導電性が増大し、帯電性能が低下する。また、光照射
後も、導電性メモリー層の導電性はメモリーされる。こ
のとき、捕獲されない正孔(電子)は、電圧を印加する
と、電界によって、導電性メモリー層を電荷輸送性物質
を介して移動し、エレクトロミネッセンス層へ注入され
て発光に寄与する。
【0026】導電性メモリー層において、導電性が向
上、メモリーされる機構は明らかではないが、電荷受容
性物質が、電子(正孔)を捕獲することにより、ラジカ
ル状態へ構造を変化させたり、イオン性−非イオン性間
の構造変化をすること、あるいは、電極近傍において、
電子(正孔)を捕獲することにより、電極界面の正孔
(電子)の注入障壁を低下させるか、または、電極界面
の電界を局所的に増大させることなどが考えられる。
【0027】また、光照射などの手段により高い導電性
がメモリーされた状態で、導電性メモリー層を加熱する
と、電荷受容性物質に捕獲された電子(正孔)が掃き出
され、導電性メモリー層の導電性は低下し、露光前の状
態に回復する。
【0028】導電性メモリー層における電荷受容性物質
に電子(正孔)が捕獲された状態で、導電性メモリー層
に電圧を印加しながら、加熱すると、電荷受容性物質に
捕獲された電子(正孔)が掃き出されることにより、熱
刺激電流(TSC)の著しいピークが観測される。電荷
受容性物質によるトラップは、エネルギー準位が深いた
め、TSCは常温以上の高い温度にピークを有する。
【0029】(導電性メモリー層を構成する材料)導電
性メモリー層は、導電性メモリー効果を有するものであ
れば特に限定されないが、具体的には例えば、電荷輸送
性物質、電荷受容性物質等を組合わせることにより構成
される。導電性メモリー層にはさらに、電荷発生材料、
バインダー樹脂、酸化防止剤、光劣化防止剤または光導
電性の分光感度をシフトさせるための増感色素等を混合
してもよい。また導電性メモリー層は、光導電性、電荷
輸送性、電荷受容性の機能を分離して、多層構造にして
もよい。
【0030】<電荷輸送性物質>電荷輸送性物質とは正
孔または電子を輸送する機能を有する物質であり、この
作用を有する物質であれば限定されない。このような電
荷輸送性物質としては例えばポリビニルカルバゾールが
挙げられる。ポリビニルカルバゾールのビニル基の代わ
りに、アリル基、アクリロキシアルキル基等のエチレン
性不飽和基が含まれたN−置換カルバゾールの重合体で
あるポリ−N−エチレン性不飽和置換カルバゾール類も
好ましい。また、ポリ−N−アクリルフェノチアジン等
のポリ−N−エチレン性不飽和基置換フェノチアジン
類、ポリビニルピレン等を用いてもよい。
【0031】また、電荷輸送性物質は、例えば、オキサ
ジアゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、チア
ゾール系、トリフェニルメタン系、スチリル系、ピラゾ
リン系、ヒドラゾン系、芳香族アミン系、カルバゾール
系、ポリビニルカルバゾール系、スチルベン系、エナミ
ン系、アジン系、トリフェニルアミン系、ブタジエン
系、多環芳香族化合物系、スチルベン二量体等の物質で
あってもよい。
【0032】また、π共役系高分子として、ポリアセチ
レン、ポリジアセチレリン、ポリ(P−フェニレン)、
ポリ(P−フェニレンスルフィド)、ポリ(P−フェニ
レンオキシド)、ポリ(1,6−ヘプタジイン)、ポリ
(P−フェニレンビニレン)、ポリ(2,5チエニレ
ン)、ポリ(2,5−ピロール)、ポリ(m−フェニレ
ンスルフィド)、ポリ(4,4′−ビフェニレン)等が
挙げられる。
【0033】電荷移動高分子錯体として、ポリスチレン
・AgC10、ポリビニルナフタレン・TCNE、ポ
リビニルナフタレン・P−CA、ポリフェニルナフタレ
ン・DDQ、ポリビニルメシチレン・TCNE、ポリナ
フアセチレン・TCNE、ポリビニルアンスラセン・B
、ポリビニルアンセラセン・I、ポリビヌルアン
セラセン・TNB、ポリジメチルアミノスチレン・C
A、ポリビニルイミダゾール・CQ、ポリP−フェニレ
ンI・ポリ−1−ビニルピリジン・I、ポリ−4−
ビニルピリジン・I、ポリ−P−1−フェニレン・I
、ポリビニルピリジウム・TCNQ等が挙げられる。
また、低分子電荷移動錯体としては、TCNQ−TTF
等が、金属錯体高分子としては、ポリ銅フタロシアニン
等が挙げられる。
【0034】<電荷受容性物質>電荷受容性物質とは、
電子または、正孔をトラップする機能を有する物質であ
れば限定されない。このような物質としては例えば
(1)光によってラジカル状態への構造変化を生じる物
質、(2)光によって可逆的もしくは、不可逆的に非イ
オン−イオン性間の構造変化を起こす物質が挙げられ
る。
【0035】電荷受容性物質のうち、光によってラジカ
ル状態への構造変化を生じる(1)の物質には、例えば
以下のイオン性染料塩および非イオン性化合物がある。
【0036】イオン性染料塩としては、ジアリールメタ
ン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン
系、キサンテン系、オキサジン系、チアジン系、アジン
系、アクリジン系、アゾ系、または、金属錯体塩系の塩
類が挙げられ、具体的には、カルバゾール色素、チアピ
リリウム色素、オーラミン、オーラミンO、クリスタル
バイオレット、ロイコクリスタルバイオレット、マラカ
イトグリーン、ロイコマラカイトグリーン、ビクトリア
ブルー、メチルバイオレット、ダイアモンドグリーン、
ブリリアントグリーン、3,3−ジ(N−エチルカルバ
ゾイル)フェニルメタン、チオフラビン、アントラフロ
キシン、ローダミンB、ローダミン6GCP、ローデュ
リンブルー、メチレンブルー、サフトラニンF、アクリ
ジンオレンジ、アクリジンレッド、ビスマルクブラウン
等の塩類、また、金属錯塩として、Irgalan B
rown Violet DL、Perlonecht
RTS等の塩類が挙げられる。これらのイオン性染料
塩における対イオンとしては、BF 、ClO
ClO 、OSO等が挙げられる。
【0037】また、非イオン性化合物としては、p−ニ
トロフェニル酢酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、4
−n−ブトキシ安息香酸、p−ヒドロキシブトキシ安息
香酸,無水シススクロヘキセン−1、2−ジカルボン
酸、亜リン酸トリフェニル、2,5−ジフェニルオキサ
ゾール、ペラルゴン酸、アリザリン等が挙げられる。
【0038】電荷受容性物質のうち、光によって可逆的
もしくは、不可逆的に非イオン−イオン性間の構造変化
を起こす(2)の物質としては、ジアゾ化合物、ロイコ
色素、スピロピラン化合物またはそれらの誘導体が挙げ
られる。
【0039】ジアゾ化合物として、p−フェニレンジア
ミン類、アミノハイドロキノンエーテル類、アミノジフ
ェニル類、複素環アミン類、o−フェニレンジアミン
類、o−アミノフェノール類が挙げられる。
【0040】このジアゾ化合物のうちp−フェニレンジ
アミン類としては、p−ジアゾメチルアニリン、p−ジ
アゾ−N−,N−ジメチルアニリン、p−ジアゾ−N
−,N−ジエチルアニリン、p−ジアゾ−N−β−ヒド
ロキシジエチルアニリン、4−ジアゾ−2−ヨード−N
−メチル−N−フェニルメチルアニリン、4−ジアゾ−
5−クロロ−2−メトキシ−N−エチル−N−ベンジル
アニリン、4−ジアゾ−N−エチル−β−フェニルエチ
ルアニリン等が挙げられる。
【0041】このジアゾ化合物のうちアミノハイドロキ
ノンエーテル類としては、4−ジアゾ−2、5−ジブト
キシN,N′−ジエチルアニリン、4−ジアゾ−2,5
−ジブトキシ−N,N−ジエチルアニリン、4−ジアゾ
−2,5−ジエトキシ−N−ベンジルアニリン、4−ジ
アゾ−2,5−ジエトキシ−N,N−ジ−n−プロピル
アニリン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−N−ベン
ジリアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−N−
エチル−N−ベンゾイルアニリン等が挙げられる。
【0042】このジアゾ化合物のうちアミノジフェニル
類としては、p−ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾ
−4′−メトキシジフェニルアミン、4−ジアゾ−
3′,6′,4′−トリブロモジフェニルアミン、4−
ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルエチルサルファイ
ド等が挙げられる。
【0043】このジアゾ化合物のうち複素環アミン類と
しては、4−ジアゾ−N−フェニルモルフォリン、4−
ジアゾ−N−フェニル−チオモルフォリン、4−ジアゾ
−N−フェニルピペリジン、4−ジアゾ−N−フェニル
ピロリジン等が挙げられる。
【0044】このジアゾ化合物のうちo−フェニレンジ
アミン類としては、2−ジアゾ−5ベンゾイルアミノ−
N,N−ジメチルアニリン、3−ジアゾ−4−N,N−
ジメチルアミノジフェニル、2−ジアゾ−4−ブロモ−
N,N′−ジメチルアニリン、2−ジアゾ−4−メチル
メルカプト−N,N−ジメチルアニリン等が挙げられ
る。
【0045】このジアゾ化合物のうちo−アミノフェノ
ール類としては、1−ジメチルアミノメチルジフェニル
オキサイド、3−ピペリジルメチル−5−メチル−1,
2−ベンゾキノンジアジド類が挙げられる。
【0046】電荷受容性物質のうちの(2)の物質とし
ては、さらにロイコ色素として、トリ(N−ジメチルア
ミノフェニル)メタン、トリ(N−ジエチルアミノフェ
ニル)メタン、p,p′,p″−トリアミノトリフェニ
ルメタン、p,p′−テトラメチル−ジアミノジフェニ
ルメタン、p,p′,p″−トリアミノ−o−メチルト
リフェニルメタン、p,p′,p″−トリアミノトリフ
ェニルカルビノール等が挙げられる。
【0047】これらのロイコ色素はハロゲン化合物と混
合して用いることができ、ハロゲン化合物としては、N
−ブロモサクシミド、四臭化炭素、2−クロルアントラ
キノン、テトラブロモ−o−クレゾール、N−クロルサ
クシミド、1,2,3,4−テトラブロモブタン、1,
2,3,5−テトラクロルベンゼン、四塩化炭素、2,
4−ジクロルフェノール、テトラクロルテトラヒドロナ
フタレン、ヘキサクロルベンゼン、p−ブロモアセトア
ニリド、ヘキサクロルエタン、p−ジクロルベンゼンが
挙げられる。
【0048】電荷受容性物質のうちの(2)の物質とし
ては、さらにスピロピラン化合物またはそれらの誘導体
として、例えば以下のものが挙げられる。
【0049】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】 上記構造式において式中の数字は置換記の位置を示し、
その水素置換基として、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシル
基、カルボキシル基あるいはハロゲンなどを有する化合
物が挙げられる。上記のスピロラン化合物には、開環状
態(イオン性)で安定なものもあれば、閉環状態(非イ
オン性)で安定なものもある。
【0050】電荷受容性物質は、電荷輸送性物質(好ま
しくはポリビニルカルバゾール)1ユニットに対して、
電荷受容性物質を好ましくは1×10−6〜1molの
範囲で混合するが、より好ましくは、1×10−4〜1
×10−2molの割合で添加する。
【0051】電圧印加により導電性を変化させる導電性
メモリー層に用いられる材料としては、例えば好ましく
は少なくとも1種のカルコゲン元素を含みかつ少なくと
も1種の遷移金属元素を含む材料を挙げることができ
る。より好ましくはTe、Se、Ge、Sb、Bi、P
b、Sn、As、S、Si、P,Oおよびこれらの混合
物ならびに合金からなる群より選択される元素を含むこ
とができる。特に好ましくは遷移金属では、Cr、F
e、Niおよびそれらの合金の混合物を含み、カルコゲ
ン元素ではTeおよびSeを含む。具体的には(Te
GeSb100-(a+ b)TM100−cまたは(T
GeSb100-(a+b)TMSe
100−(c+d)等、例えば(Te56Ge22Sb
2295Niが挙げられる。ここで、下付文字は合
計で100%となる原子パーセンテージであり、TMは
1種またはそれ以上の遷移金属である。これらの材料
は、蒸着またはスパッタなどの方法によって成膜するこ
とができる。
【0052】熱刺激電流測定 熱刺激電流は、試料に電圧を印加した状態で温度を上げ
ることによって、試料内部にトラップされている空間電
荷を掃き出し、これによって誘起された電流を観測する
ものである。室温(30℃)より高い温度でピークがみ
られるということは、室温(使用温度)において安定な
トラップが存在することであり、また、温度が高いほど
トラップの準位(1eV以上が好ましい)が深く、安定
的にメモリーされるということとなる。実際のトラップ
の深さは昇温速度を変化させた時のピーク温度をプロッ
トし、その傾きから活性化エネルギーとして求めるた
め、ピーク温度と対応しているわけではないが、室温以
下にピークがあると室温(使用温度)における熱エネル
ギーでトラップが逃げてしまうため、メモリー効果を利
用できない。また、ピーク温度が高すぎると消去する際
に高温に加熱しなければならず、EL素子が劣化してし
まう。そのためピーク温度は60〜150℃程度が好ま
しい。
【0053】EL層 EL(エレクトロルミネッセンス)層は、発光層のみの
単層でもよいが、公知の正孔輸送層、正孔注入層、電子
輸送層、電子輸送層等を組合わせて、多層構造にしても
よい。また、発光波長を調整したり、発光効率を向上さ
せる等の目的で、これらの各層に適当な材料をドーピン
グすることもできる。EL層の各層に用いる材料は、無
機材料でも有機材料でもよく、蒸着、スパッタ等の真空
成膜法で成膜しても、塗布液にして塗布して成膜しても
よい。
【0054】電極 電極層は、アノード電極とカソード電極のどちらか一方
が透明または半透明であるものを用いる。アノード電極
としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導
電性材料が好ましく、逆にカソード電極としては、電子
が注入し易いように仕事関数の小さい導電性材料が好ま
しい。また、いずれの電極の材料も複数の材料を混合さ
せたものであってもよい。いずれの電極も、抵抗はでき
るだけ小さいものが好ましく、一般には、金属材料が用
いられるが、有機物あるいは無機化合物を用いてもよ
い。本発明の1つの好適態様においては、EL素子の電
極の少なくとも一方がセグメント状またはライン状にパ
ターン形成されているものが挙げられる。
【0055】表示パターンの形成、消去、残存、発光 表示パターンを光で書き込む場合は、例えばパターン露
光、レーザー露光が挙げられる。光で消去する場合には
これらの露光の他全面露光などが挙げられる。熱で書き
込む場合には、例えば全面露光を行った後、パターン状
に加熱する方法や、サーマルヘッドによって書き込む方
法が挙げられ、熱で消去する場合にはこれらの加熱の他
全面加熱が挙げられる。
【0056】電圧印加で書き込む場合は書き込み電圧
(V write)を印加し、電圧印加で消去する場合には
消去電圧(V erase)を印加するが、この間好ましくは
維持電圧(Vsustain)で発光させることができる。Vs
ustainは閾値電圧(Vth)よりも高い電圧になるが、V
writeよりも低い電圧で、Vsustainを印加した状態にお
いては、Vwriteを印加した後の方がメモリー効果によ
り高い輝度で発光することができる。また、Veraseは
Vsustainより大きくVwriteと同じ極性の電圧でもよ
く、あるいは逆極性の電圧でもよい。
【0057】また、本発明のEL素子を用いたマトリッ
クスディスプレイの駆動においては、1フレームのスキ
ャン時間以上のメモリー性を有するEL素子の場合、次
にスキャンされる前に消去電圧を印加することにより、
メモリー導電性を初期化することが好ましい。
【0058】また、これらの組み合わせ例えば、光や熱
による書き込み、消去を電圧を印加しながら行ってもよ
い。表示パターンの発光は典型的にはパターンを書き込
みしない状態で発光させる際よりも低い電圧を印加する
ことにより行う。また、書き込み手段と、消去手段は同
じ手段であっても良いが、異なる手段を組み合わせる、
例えば光で書き込み熱で消去する、光で書き込み電圧印
加で消去することができる。
【0059】表示パターンの維持は、EL素子の設計に
もよるが、例えば、そのまま放置する方法、低電圧を印
加する方法、によりEL層の発光を利用してまたは利用
せずに行うことができる。
【0060】パターン発光にあっては、特に限定される
ものではないが、例えば書き込み電圧(V write)よ
りも低い電圧である維持電圧(V sustain)を印加し
て発光させることができる。
【0061】このようなEL素子を用いてディスプレイ
を製造した場合は、維持電圧を印加したまま書き込み電
圧でマトリックススキャンを行うことによって、スキャ
ンからスキャンの間の時間もマトリックススキャンで書
き込んだ通り発光するので、スキャン時のみ発光する通
常のディスプレイに比べて、duty比が優れる、つま
りディスプレイへの負荷が少なく消費電力が少ないにも
かかわらず高輝度で安価かつ長寿命のディスプレイとす
ることができる。換言すれば、本発明のEL素子を用い
ると、そのメモリー効果により、単純マトリックス素子
を駆動する際にduty比による見かけ上の発光効率の
損失を補うことができる。
【0062】EL素子の製法 本発明のEL素子の製法は、例えば以下の手順が挙げら
れる。ガラス、プラスチック、あるいはフィルムの基材
上に形成した電極上に導電性メモリー層を蒸着または塗
布により積層する。次に該導電性メモリー層上にEL層
を蒸着または塗布により積層する。さらに、EL層上に
電極を蒸着または塗布により成膜する。また、電極上に
EL層を成膜したのち光導電性メモリー層、電極を順次
積層してもよい。また、作製した素子は、オーバーコー
ト層を塗布または蒸着により成膜したり、基材を貼りあ
わせることによって、封止してもよい。また、封止する
際に乾燥剤を素子内に組み入れてもよい。電極は超音波
洗浄、ブラシ洗浄、UV洗浄等で洗浄したり、プラズマ
処理などによって表面改質や洗浄を行うとよい。EL層
や金属電極を成膜する際は、10-5torr以下の真空
度で、0.1〜20A/secの蒸着速度で成膜すると
よい。また、これらの工程は、極力水分を除去した乾燥
雰囲気下、窒素、アルゴンなど雰囲気下または真空下で
行うとよい。
【0063】
【実施例】まず、導電性メモリー層における光メモリー
効果について、参考例、参考比較例に基き説明する。
【0064】(参考例1)充分洗浄した厚さ1.1mm
のガラス基板上にEB蒸着により面積抵抗80Ω/cm
、膜厚500nmのITO膜を成膜し、スクラバー洗
浄機で洗浄した後、クリーンオーブン中、150℃で1
時間乾燥させた。
【0065】次いで、電極上に、下記構造を有するカル
バゾール色素を3重量部とポリビニルカルバゾール
((株)アナン製ツビコール210)10重量部(ポリ
ビニルカルバゾールのモノマーユニット1モルに対して
カルバゾール色素0.1モル)とをクロロホルム117
重量部に溶解させ、スピンコーターで塗布した後、クリ
ーンオーブン中、80℃で30分間乾燥させ、4μmの
膜厚の導電性メモリー層を作製した。
【0066】
【化6】 (参考例2)参考例1において、カルバゾール色素を
2,6−ジヒドロキシ安息香酸に代えた以外は、参考例
1と同様にして導電性メモリー層を作製した。
【0067】(参考例3)下記構造を有するビスアゾ顔
料を3重量部、ポリビニルホルマール樹脂1重量部とを
1,4−ジオキサン98重量部、シクロヘキサノン98
重量部と混合し、混合機により充分に混練し、顔料分散
液とした。この分散液1重量部に、上記の参考例1で作
製した導電性メモリー層塗布液1重量部を混合して塗布
液とした以外は、参考例1と同様にして、導電性メモリ
ー層を作製した。
【0068】
【化7】 (参考例4)参考例1において、カルバゾール色素を下
記構造のトリフェニルメタン色素に代えた以外は、参考
例1と同様にして導電性メモリー層を作製した。
【0069】
【化8】 (参考比較例1)参考例1において、カルバゾール色素
を添加しない以外は参考例1と同様にして、層を形成し
た。
【0070】(参考比較例2)参考例1において、導電
性メモリー層用の塗布液をポリビニルカルバゾールのモ
ノマーユニット1モルに対して、2,4,7−トリニト
ロフルオレノンを1:1のモル比となるようにテトラヒ
ドロフランに溶解させたものとした以外は、参考例1と
同様にして層形成した。
【0071】(参考比較例3)参考例1において、ポリ
ビニルカルバゾールに代えてポリエステル樹脂(東洋紡
社製、Vylon200)を使用した以外は参考例1と
同様にして層形成した。
【0072】(参考比較例4)参考例2において、ポリ
ビニルカルバゾールに代えてポリエステル樹脂(東洋紡
社製、Vylon200)を使用した以外は参考例2と
同様にして層形成した。
【0073】(メモリー性の測定)得られた各試料を、
暗所で回転式電位計(川口電機社製EPA8100)を
用い、コロトロン(2wire elestrode
s)でコロナ電圧を−6kV加えてコロナ帯電させ、3
0秒間同様にコロナ帯電を行ない帯電電位をV0とし
た。この試料に、キセノンランプで白色光1000lu
xを10秒間照射した後に、再び30秒間同様にコロナ
帯電を行ない帯電電位V1を測定し、これを10回繰り
返したときの値V10を測定した。この10回繰り返し
た試料を暗所に10分間放置した後に、再び30秒間帯
電を行ない、帯電電位Vmを測定した。
【0074】サンプルの測定面積は、3.14cm
(2cmφ円形)であった。
【0075】結果を下記表1に示す。
【0076】
【表1】 このように、参考例1〜4で得られた試料は、帯電能が
低下し、メモリー性を有するものであったことがわか
る。
【0077】(熱刺激電流の測定)参考例1と参考比較
例2の導電性メモリー層上に膜厚30nm、表面抵抗1
kΩ/□、0.16cmの金電極を蒸着した測定用試
料を作製した。
【0078】図2に示す短絡熱刺激電流測定装置
((株)東洋精機製作所製)により、金電極を負とし
て、両電極間に1.5V/μmの直流電圧を印加すると
同時に10度/分の昇温速度で測定試料を加熱した。そ
の際に流れる熱刺激電流を微小電流計によりを測定し
た。
【0079】結果を図3に示す。横軸は加熱温度
(℃)、縦軸は電流密度値(10−11A/cm)で
あり、図中(A)は、参考例1の導電性メモリー層、
(B)は参考比較例2の導電性メモリー層を試料に用い
た結果である。図3から明らかなように、参考例1にお
ける導電性メモリー層は、明瞭なピーク状の波形が観測
され、トラップ電荷が存在していることがわかる。
【0080】以下、本発明のEL素子の実施例を説明す
る。
【0081】(実施例1)導電性メモリー層を50nm
の膜厚に成膜した以外は参考例1と同様にして導電性メ
モリー層を積層した。この導電性メモリー層上に、正孔
輸送層としてポリビニルカルバゾール((株)アナン
製、ツビコール210)1重量部に対してクロロホルム
49重量部を加えて溶解させ、スピンナーを用いて乾燥
膜厚が50nmになるよう塗布した。
【0082】続いて、この正孔輸送層上に、発光層とし
て下記構造のトリス(8キノリノレート)アルミニウム
(Alq)を1×10−6torrの真空度で5nm/
秒の速度で蒸着し、60nmの膜厚に積層した。
【0083】
【化9】 さらに、発光層上、カソード電極として、MgAg(M
g:Ag=10:1)を1×10−6torrの真空度
で5nm/秒の速度、0.16cmの面積で、100
nmの膜厚で積層し、本発明のEL素子を得た。
【0084】(実施例2)導電性メモリー層を50nm
の膜厚に成膜した以外は参考例2と同様にして導電性メ
モリー層を積層した。この導電性メモリー層上に、実施
例1と同様にして正孔輸送層、発光層を積層し、本発明
のEL素子を得た。
【0085】(実施例3)導電性メモリー層を50nm
の膜厚に成膜した以外は参考例3と同様にして導電性メ
モリー層を積層した。この導電性メモリー層上に、実施
例1と同様にして正孔輸送層、発光層を積層し、本発明
のEL素子を得た。
【0086】(比較例1)導電性メモリー層を50nm
の膜厚に成膜した以外は参考例比較例1と同様にして導
電性メモリー層を積層した。この導電性メモリー層上
に、実施例1と同様にして正孔輸送層、発光層を積層
し、本発明のEL素子を得た。
【0087】(比較例2)導電性メモリー層を50nm
の膜厚に成膜した以外は参考比較例2と同様にして導電
性メモリー層を積層した。この導電性メモリー層上に、
実施例1と同様にして正孔輸送層、発光層を積層し、本
発明のEL素子を得た。
【0088】(比較例3)導電性メモリー層を50nm
の膜厚に成膜した以外は参考比較例3と同様にして導電
性メモリー層を積層した。この導電性メモリー層上に、
実施例1と同様にして正孔輸送層、発光層を積層し、本
発明のEL素子を得た。
【0089】(比較例4)導電性メモリー層を50nm
の膜厚に成膜した以外は参考比較例4と同様にして導電
性メモリー層を積層した。この導電性メモリー層上に、
実施例1と同様にして正孔輸送層、発光層を積層し、本
発明のEL素子を得た。
【0090】(比較例5)導電性メモリー層を設けない
以外は実施例1と同様にして導電性メモリー層を積層し
た。この導電性メモリー層上に、実施例1と同様にして
正孔輸送層、発光層を積層し、本発明のEL素子を得
た。
【0091】(比較例6)導電性メモリー層を50nm
の膜厚に成膜した以外は参考例4と同様にして導電性メ
モリー層を積層した。この導電性メモリー層上に、実施
例1と同様にして正孔輸送層、発光層を積層し、本発明
のEL素子を得た。
【0092】(発光特性の評価)得られたEL素子の発
光特性を評価するために、図4に示す発光測定装置を構
成した。図中、1は、ガラス基板、2は、アノード電
極、3は、導電性メモリー層、4′は、正孔輸送層、
4″は、発光層、2′は、カソード電極、5は、ソース
メータ(ケースレー社製2400)、6は、輝度計(ミ
ノルタ社製BM−8)、7は、パソコンである。
【0093】この測定装置において、上記で作製したそ
れぞれの有機EL素子のアノード電極を+、カソード電
極を−として、両電極間に直流電圧を印加し、このとき
の発光輝度を輝度計で測定した。結果を表2に示した。
【0094】
【表2】 (光による情報の書込み、消去)これらの試料に、キセ
ノンランプを用いて、マスクを介して、4mmφの円形
状のパターンで、白色光を1000luxの強度で10
秒間照射した後に、両電極間に直流電圧を0〜20V印
加し、このときの発光パターンと発光輝度を輝度計で測
定した。結果を表3に示した。
【0095】
【表3】 これより、実施例1〜3では、予め露光しない場合より
も、低い印加電圧で、露光した円形状のパターンに応じ
て、発光することがわかる。また、これより高い電圧で
は、全面が発光した。比較例1〜5では、予め露光した
円形状パターンに関係なく、全面が発光した。比較例6
は、電圧印加直後、露光した円形状のパターンに応じた
発光が観測できたが、徐々に発光パターンは消去され全
面が発光した。
【0096】(熱による情報の書込み)実施例1〜3の
試料をキセノンランプを用いて、1000luxの白色
光を全面に10秒間照射した後、サーマルヘッドを用い
て、120℃の温度で、4mmφの円形状のパターンを
書込み、電圧印加すると、円形状のパターンは発光せ
ず、周辺部のみ発光が得られた。
【0097】これを暗所に、3日間放置するか、全面を
120℃に加熱した後、電圧印加すると、円形状のパタ
ーン発光はみられず、全面が発光し、メモリーが消去さ
れた。
【0098】
【発明の効果】本発明のEL素子は、典型的には光また
は熱により、発光するパターン情報を書込みあるいは消
去することかでき、電極のパターニングや駆動回路を用
いずに、情報を表示することが可能となる。
【0099】また、本発明のEL素子を用いたディスプ
レイは、duty比が優れており、負荷が少なく消費電
力が少ないにもかかわらず高輝度で安価かつ長寿命のも
のとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のEL素子の一例の断面図である。
【図2】短絡熱刺激電流測定装置の説明図である。
【図3】熱刺激電流の測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例における、EL素子の発光を測定する装
置の説明図である。
【図5】実施例における印加電圧と輝度の関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 ガラス基材 2 アノード電極 2’ カソード電極 3 導電性メモリー層 4 有機EL層 20 電流計 21 電源 22 基板 22’ 金電極 23 電極(ITO) 24 導電性メモリー層 41 ガラス基板 42 アノード電極 42′ カソード電極 43 導電性メモリ層 44 有機EL層 45 正孔輸送層 46 発光層 47 ソースメータ(ケースレー社製2400) 48 パソコン 49 輝度計(ミノルタ社製BM−8)

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向する電極と、前記対向する電極の間に
    EL層とを有してなる、EL素子であって、 前記EL層と前記少なくともいずれか一方の電極との間
    に、導電性メモリー層を有してなり、 前記導電性メモリー層が、導電性の違いによるパターン
    を形成し得るものであることを特徴とする、EL素子。
  2. 【請求項2】前記導電性メモリー層が、露光によって導
    電性が変化するものである、請求項1に記載のEL素
    子。
  3. 【請求項3】前記導電性メモリー層が、露光終了後にお
    いても前記変化した導電性が残存するものである、請求
    項1または2に記載のEL素子。
  4. 【請求項4】前記導電性メモリー層が、別の露光によっ
    て前記変化した導電性が変化前の状態に戻るものであ
    る、請求項1〜3のいずれか1項に記載のEL素子。
  5. 【請求項5】前記導電性メモリー層が、温度変化によっ
    て導電性が変化するものである、請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載のEL素子。
  6. 【請求項6】前記導電性メモリー層が、温度変化終了後
    においても前記変化した導電性が残存するものである、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のEL素子。
  7. 【請求項7】前記導電性メモリー層が、別の温度変化に
    よって前記変化した導電性が変化前の状態に戻るもので
    ある、請求項1〜6のいずれか1項に記載のEL素子。
  8. 【請求項8】前記導電性メモリー層の露光によって変化
    した導電性が、加熱することによって、露光前の導電性
    に回復する、請求項2または3に記載のEL素子。
  9. 【請求項9】前記導電性メモリー層が、電圧印加によっ
    て導電性が変化するものである、請求項1〜8のいずれ
    か1項に記載のEL素子。
  10. 【請求項10】前記導電性メモリー層が、電圧印加した
    際のEL素子自身の発光によって導電性が変化するもの
    である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のEL素
    子。
  11. 【請求項11】前記導電性メモリー層が、電圧印加終了
    後においても前記変化した導電性が残存するものであ
    る、請求項1〜10のいずれか1項に記載のEL素子。
  12. 【請求項12】前記導電性メモリー層が、別の電圧印加
    によって前記変化した導電性が変化前の状態に戻るもの
    である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のEL素
    子。
  13. 【請求項13】印加電圧を上昇させた後、印加電圧を下
    降させた際の特定電圧の輝度が、印加電圧の上昇時の前
    記特定電圧における輝度よりも大きい、請求項1〜12
    のいずれか1項に記載のEL素子。
  14. 【請求項14】前記導電性メモリー層が、電荷受容性物
    質を含有するものであり、前記電荷受容性物質が、光照
    射によりラジカル状態への構造変化を生じる、または、
    光照射によりイオン性−非イオン性間の構造変化を起こ
    すものである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の
    EL素子。
  15. 【請求項15】前記EL素子の発光スペクトルと前記導
    電性メモリー層の吸収スペクトルが、少なくとも一部重
    複するものである、請求項1〜14のいずれか1項に記
    載のEL素子。
  16. 【請求項16】前記EL素子に全面露光した後の熱刺激
    電流測定によるピークが、30℃以上の温度に存在す
    る、請求項1〜15のいずれか1項に記載のEL素子。
  17. 【請求項17】前記導電性メモリー層が、電荷受容性物
    質と電荷輸送性物質を含むものであり、前記電荷輸送性
    物質が、ポリビニルカルバゾールである、請求項1〜1
    6のいずれか1項に記載のEL素子。
  18. 【請求項18】前記EL素子の電極の少なくとも一方
    が、セグメント状またはドットマトリックス状にパター
    ン形成されている、請求項1〜17のいずれか1項に記
    載のEL素子。
  19. 【請求項19】請求項1に記載のEL素子の前記導電性
    メモリー層に、導電性の違いによるパターンを記録/消
    去することによって、前記導電性の違いによるパターン
    に対応したEL素子の発光表示パターンを記録/消去す
    ることを特徴とする、発光表示パターンの記録/消去方
    法。
  20. 【請求項20】前記導電性メモリー層のパターン記録方
    法が、パターン露光、レーザー露光おサーマルヘッドに
    よる加熱およびパターン電圧印加からなる群より選ばれ
    る方法であり、パターン消去方法が、全面露光、全面加
    熱、および全面電圧印加からなる群より選ばれる方法で
    ある、請求項19に記載の発光表示パターンの記録/消
    去方法。
  21. 【請求項21】前記パターン記録/消去時に、EL素子
    が発光する電圧未満の電圧を前記ELに印加する、請求
    項19または20に記載の発光表示パターンの記録/消
    去方法。
  22. 【請求項22】請求項19〜21のいずれか1項に記載
    の方法によってEL素子に記録した発光表示パターンを
    用いる、発光表示パターンの表示方法。
  23. 【請求項23】請求項1に記載のEL素子に、発光開始
    電圧以上の書き込み電圧を印加した後、前記書き込み電
    圧よりも低い維持電圧を印加して発光させる、EL素子
    の駆動方法。
  24. 【請求項24】請求項1に記載のEL素子を発光させた
    後、再度発光させるまでの間に、消去電圧を印加する、
    EL素子の駆動方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002324683A (ja) * 2001-04-25 2002-11-08 Rohm Co Ltd 有機el素子およびこれを用いた有機elディスプレイ
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