JPH10152679A - 光メモリ素子と、それを用いた電子写真感光体、エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示素子、および空間光変調素子 - Google Patents

光メモリ素子と、それを用いた電子写真感光体、エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示素子、および空間光変調素子

Info

Publication number
JPH10152679A
JPH10152679A JP31243996A JP31243996A JPH10152679A JP H10152679 A JPH10152679 A JP H10152679A JP 31243996 A JP31243996 A JP 31243996A JP 31243996 A JP31243996 A JP 31243996A JP H10152679 A JPH10152679 A JP H10152679A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
optical memory
group
liquid crystal
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31243996A
Other languages
English (en)
Inventor
Juichi Honma
寿一 本間
Masaaki Yokoyama
正明 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mita Industrial Co Ltd filed Critical Mita Industrial Co Ltd
Priority to JP31243996A priority Critical patent/JPH10152679A/ja
Publication of JPH10152679A publication Critical patent/JPH10152679A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光メモリ機能を有し、かつ電子写真感光体、
EL素子、液晶表示素子および空間光変調素子に組み込
んで使用した際に、従来のような種々の問題を生じるお
それのない新規な光メモリ素子と、それを用いた上記の
各素子とを提供する。 【解決手段】 光メモリ素子は、一般式(1) で表される
ジアリールエテン化合物および/または一般式(2) で表
されるジアリールエテン化合物を含む光メモリ層を有す
る。電子写真感光体、EL素子、液晶表示素子および空
間光変調素子は、それぞれ上記の光メモリ層を含む。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、新規な光メモリ
素子と、それを用いた、光メモリ機能を有する電子写真
感光体、エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶
表示素子および空間光変調素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば静電式複写機、レーザープリン
タ等の、電子写真法を利用した画像形成装置に用いられ
る従来の電子写真感光体は、1回の露光により1回のみ
画像を形成できるだけであったが近時、メモリ機能を有
し、1回の露光により複数回の画像形成が可能な電子写
真感光体が提案された(たとえば特開昭64−2326
4号公報)。
【0003】かかる電子写真感光体は導電性基体上に光
メモリ層を設けたものであって、上記光メモリ層には、
特定波長λa の光の照射によって異性化して発色し、上
記と別の特定波長λb の光の照射によって無色化するい
わゆるフォトクロミック性を有し、かつフォトクロミズ
ムの前後で、上記とさらに別の特定波長λc の光の照射
によって光導電性を発現しない、または発現するの2状
態のうちのいずれかを呈する化合物、たとえばチオイン
ジゴ化合物等が、機能成分として含有されている。
【0004】上記の電子写真感光体においては、波長λ
a の光を用いた1回の露光によってメモリ層に画像を焼
き付け、ついで感光体の表面を一様に帯電させた後、波
長λ c の光をその全面に照射すると、メモリ層のうち先
の焼き付けによって、上記波長λc の光の照射により光
導電性を発現しうる状態となった部分のみを通して、導
電性基体から逆極性の電荷が注入される。そして、電荷
が注入された部分に対応して、感光体の表面電荷が選択
的に打ち消されて、当該感光体の表面に、メモリ層に焼
き付けられた画像に対応した静電潜像が形成される。
【0005】よって上記の電子写真感光体によれば、表
面の帯電と、波長λc の光の照射とを繰り返すことによ
り、波長λa の光によって最初にメモリ層に焼き付けた
画像を複数回、繰り返し形成することができる。なおメ
モリ層に焼き付けた画像を消去するには、前述した波長
λb の光を、メモリ層の全面に照射すればよい。ところ
が上記の電子写真感光体は、先に述べたように画像形成
のたびごとに、表面の帯電と波長λc の光の照射とを行
う必要があるため、 1回の画像形成に消費する電力が大きい、 前記の化合物は、波長λc の光の照射によって励起
して光導電性を呈するものであり、画像形成のたびごと
に励起と失活とが繰り返されるために劣化しやすく、ま
た感光体を構成する他の層、たとえば電荷輸送層を構成
する材料、とくに有機の電荷輸送剤等も、上述した光照
射の繰り返しによって劣化しやすいために、感光体の寿
命が短くなる、といった、従来の、メモリ機能を有しな
いために1回ずつ露光を行う必要のある感光体と同様の
問題を有しており、メモリ機能を付与したことによる効
果が不十分なものであった。
【0006】また、EL素子や液晶表示素子を用いて、
メモリされた所定の画像を表示するためには、EL素子
の電界発光層に部分的に電界を印加すべく、また液晶表
示素子の液晶層に部分的に高電界を印加すべくその上下
に配置された一対の電極のうちの少なくとも一方を、表
示したい画像の形状とするのが最も簡単であるが、その
場合には画像の書換えができないという問題があった。
【0007】そこで電極をマトリクス状にしたり、ある
いは液晶表示素子の場合は多数のTFT素子からなるT
FTアレイを電極として用いたりすることにより、表示
層を、多数の画素に電気的に分割して、各画素ごとに印
加する電界を制御するようにし、表示する画像は、各画
素に印加する電界の電気信号として電気的にメモリする
のが一般的であるが、この方法では電極に印加する電界
の高度な制御技術が必要である上、とくにTFTアレイ
の場合に電極の構造が複雑化して、素子製造時の生産性
ならびに歩留りの低下と、コストアップとを引き起こす
という問題があった。
【0008】さらにまた、大画面ディスプレイ用や光情
報処理用に利用される空間光変調素子としては一般に、
光導電材料の層やフォトダイオードアレイの層等の感光
層と、液晶層とを、一対の透明電極間に配置したものが
用いられる。かかる空間光変調素子においては、上記一
対の透明電極間に電界を印加しつつ感光層に画像を露光
すると、当該画像に応じて感光層が選択的に導電性とな
り、その導電性となった部分でのみ選択的に、液晶層に
高電界が印加されて、その部分の液晶の配向が転位し
て、液晶層に画像が書き込まれる。また、液晶層に書き
込まれた画像は、この液晶層に参照光を照射して、層中
における液晶の配向の空間的な分布を読み取ることによ
り読み出される。
【0009】上記の空間光変調素子にメモリ機能を付与
するためには従来、液晶層を構成する液晶材料として、
メモリ機能を有するものを選択して使用していた。しか
し、メモリ機能を有する液晶材料は限定されており、た
とえば応答速度の速いものを選択できないといった問題
があった。また液晶材料のメモリ機能は熱に弱く、素子
が高温にさらされると失われるおそれがあった。
【0010】そこで感光層と、それに対する露光とに代
えて、前述したTFTアレイ等を使用して電気的に、画
像を液晶層に書き込むようにし、画像は電気信号として
電気的にメモリすることも考えられたが、やはり前記の
液晶表示素子の場合と同様に、制御や構造が複雑化する
という問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、光
メモリ機能を有し、かつ電子写真感光体、EL素子、液
晶表示素子および空間光変調素子に組み込んで使用した
際に、上に述べたような種々の問題を生じるおそれのな
い新規な光メモリ素子と、それを用いた電子写真感光
体、EL素子、液晶表示素子、および空間光変調素子と
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、この発明の光メモリ素子は、一般式(1) :
【0013】
【化3】
【0014】〔式中、X1 、X2 、X3 およびX4 は同
一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基またはスルホン酸
基を示し、R1 およびR2 は同一または異なって、水素
原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲ
ン原子、水酸基、ニトロ基、スルホン酸基または置換基
を有してもよいシリル基を示す。Z1 は>CF2 基また
は酸素原子を示し、Z2およびZ3 は同一または異なっ
て、>CF2 基または>C=O基を示す。mおよびnは
同一または異なって0以上の整数を示す。〕で表される
ジアリールエテン化合物、および一般式(2) :
【0015】
【化4】
【0016】〔式中、X5 、X6 、X7 およびX8 は同
一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基またはスルホン酸
基を示し、R3 およびR4 は同一または異なって、水素
原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲ
ン原子、水酸基、ニトロ基、スルホン酸基または置換基
を有してもよいシリル基を示す。Z4 は>CF2 基また
は酸素原子を示し、Z5およびZ6 は同一または異なっ
て、>CF2 基または>C=O基を示す。pおよびqは
同一または異なって0以上の整数を示す。〕で表される
ジアリールエテン化合物のうちの少なくとも一方を含有
する層を備え、この層が、上記ジアリールエテン化合物
の、光照射による異性化にともなうイオン化ポテンシャ
ルの変化による、当該層への電荷注入挙動の違いを利用
して、電荷注入可能状態である高導電状態と、電荷注入
阻止状態である低導電状態のいずれかを維持しつつ電荷
の注入を制御することを特徴とするものである。
【0017】上記構成からなるこの発明の光メモリ素子
において層中に含有させるジアリールエテン化合物(1)
は、以下に示すように特定波長λ1 の光の照射によって
閉環反応して一般式(1-1) で表される異性体となり、か
かる異性体(1-1) は、特定波長λ2 の光の照射によって
開環反応してジアリールエテン化合物(1) に戻る。
【0018】
【化5】
【0019】上記の反応は可逆的であるとともに、特定
波長λ1 、λ2 の光が照射されない状態では、いずれの
化合物も安定であってメモリー機能を有している。しか
も上記の異性化反応により、ジアリールエテン化合物
(1) では左右に分断されていたπ電子共役系が、その異
性体(1-1) では一つにつながることでイオン化ポテンシ
ャルが変化するため、かかるジアリールエテン化合物
(1) を含有する層は、前述したようにこのイオン化ポテ
ンシャルの変化による、当該層への電荷注入挙動の違い
を利用して、電荷注入可能状態である高導電状態と、電
荷注入阻止状態である低導電状態のいずれかを維持しつ
つ電荷の注入を制御しうるものとなる。
【0020】また上記と同様にジアリールエテン化合物
(2) は、以下に示すように特定波長λ3 の光の照射によ
って閉環反応して一般式(2-1) で表される異性体とな
り、かかる異性体(2-1) は、特定波長λ4 の光の照射に
よって開環反応してジアリールエテン化合物(2) に戻
る。
【0021】
【化6】
【0022】上記の反応も可逆的であり、しかも特定波
長λ3 、λ4 の光が照射されない状態では、いずれの化
合物も安定であってメモリー機能を有している。また上
記の異性化反応により、ジアリールエテン化合物(2) で
は一つにつながっていたπ電子共役系が、その異性体(2
-1) では左右に分断されることでイオン化ポテンシャル
が変化するため、かかるジアリールエテン化合物(2) を
含有する層も、やはり前述したようにこのイオン化ポテ
ンシャルの変化による、当該層への電荷注入挙動の違い
を利用して、電荷注入可能状態である高導電状態と、電
荷注入阻止状態である低導電状態のいずれかを維持しつ
つ電荷の注入を制御しうるものとなる。
【0023】つぎに、この発明の電子写真感光体は、導
電性基体上に、上記光メモリ素子の層(光メモリ層)を
含む感光層を設けたことを特徴とするものである。かか
るこの発明の電子写真感光体においては、前述したジア
リールエテン化合物(1) および/または(2) を異性化反
応させる特定波長λ1 、λ3 の光を用いた1回の露光に
よって、あるいはまた、あらかじめ異性化した異性体(1
-1) および/または(2-1) を逆方向に異性化反応させる
特定波長λ2 、λ4 の光を用いた1回の露光によって、
光メモリ層に画像を焼き付けると、当該光メモリ層は、
前記の異性化反応によって、高導電状態の部分と低導電
状態の部分とが、焼き付けた画像に対応して分布した状
態となる。
【0024】そして、つぎの帯電工程で感光体の表面を
一様に帯電させると、上記光メモリ層のうち高導電状態
の部分のみを通して、導電性基体から逆極性の電荷が注
入されて感光体の表面まで輸送され、それによって感光
体の表面電荷が選択的に打ち消されて、当該感光体の表
面に、光メモリ層に焼き付けられた画像に対応した静電
潜像が形成される。
【0025】また、上記焼付け時と逆方向の異性化反応
を生じさせる波長の光を光メモリ層の全面に照射する
と、焼き付けられた画像が消去されて、新たな画像への
書換えが可能となる。以上のように、この発明の電子写
真感光体によれば、表面の帯電のみを繰り返すことによ
り、最初に光メモリ層に焼き付けた画像を複数回、繰り
返し形成できるので、前述した1回の画像形成ごとに帯
電と光照射が必要な従来の感光体に比べて露光の回数を
極端に減少することができ、ジアリールエテン化合物
(1) および/または(2) や、あるいは感光体を構成する
他の層に含まれる材料、とくに有機の電荷輸送剤等が光
劣化するのを抑制できる。
【0026】しかも、上記ジアリールエテン化合物(1)
(2)はともに、従来の感光体で使用していたチオインジ
ゴ化合物等のように、画像形成時に励起と失活とを繰り
返したりするものではなく、前述した異性化反応によっ
て生じる、ともに安定な2状態のうちのいずれか一方の
状態で、電荷輸送材料(とくにホール輸送材料)として
機能するものであるので、それ自体が、通常の使用状態
で簡単に劣化することもない。
【0027】このためこの発明によれば、電子写真感光
体を、従来に比べてより長寿命化することができる。ま
た、上記のように画像形成時の露光の回数が少ないの
で、この発明の電子写真感光体は、1回の画像形成に消
費する電力が小さいという利点もある。つぎに、この発
明のEL素子は、前記光メモリ層と、発光層とを、その
少なくとも一方が透明である一対の電極間に介装したこ
とを特徴とするものである。
【0028】かかるこの発明のEL素子においては、や
はり前述した特定波長の光を用いた1回の露光によって
光メモリ層に画像を焼き付けると、当該光メモリ層は、
前記の異性化反応によって、高導電状態の部分と低導電
状態の部分とが、焼き付けた画像に対応して分布した状
態となる。そして、この状態で両電極間に電界を印加す
ると、光メモリ層を挟んで発光層と反対側に位置する電
極から、光メモリ層のうち高導電状態の部分のみを通し
て電荷が発光層に注入され、当該発光層内で、反対側の
電極から注入された逆極性の電荷と再結合して励起子を
生じ、この励起子によって発光層内の発光物質が励起し
て、発光層が、光メモリ層に焼き付けられた画像に対応
した形状に発光する。
【0029】また、上記焼付け時と逆方向の異性化反応
を生じさせる波長の光を光メモリ層の全面に照射する
と、焼き付けられた画像が消去されて、新たな画像への
書換えが可能となる。よってこの発明のEL素子によれ
ば、制御や構造が複雑化するマトリクス電極等を用いず
に、いずれも単なる平板状の光メモリ層と、発光層と、
両電極というごく簡単な構造で、複雑な画像を、しかも
書換え自在に表示することが可能となる。
【0030】つぎに、この発明の液晶表示素子は、前記
光メモリ層と、液晶層とを、その少なくとも一方が透明
である一対の電極間に介装したことを特徴とするもので
ある。かかるこの発明の液晶表示素子においても、やは
り前述した特定波長の光を用いた1回の露光によって光
メモリ層に画像を焼き付けると、当該光メモリ層は、前
記の異性化反応によって、高導電状態の部分と低導電状
態の部分とが、焼き付けた画像に対応して分布した状態
となる。
【0031】そして、この状態で両電極間に電界を印加
すると、光メモリ層を挟んで液晶層と反対側に位置する
電極から、光メモリ層のうち高導電状態の部分にのみ電
荷が注入されて、液晶層のうち、上記光メモリ層の高導
電状態の部分と接する部分にのみ、反対側の電極との間
に高電界が印加される。そして液晶層内の、高電界が印
加された部分の液晶材料の配向が選択的に転位して、当
該液晶層により、光メモリ層に焼き付けられた画像が表
示される。
【0032】また、上記焼付け時と逆方向の異性化反応
を生じさせる波長の光を光メモリ層の全面に照射する
と、焼き付けられた画像が消去されて、新たな画像への
書換えが可能となる。よってこの発明の液晶表示素子に
よれば、制御や構造が複雑化するTFTアレイ等を用い
ずに、いずれも単なる平板状の光メモリ層と、液晶層
と、両電極というごく簡単な構造で、複雑な画像を、し
かも書換え自在に表示することが可能となる。
【0033】さらにこの発明の空間光変調素子は、前記
光メモリ層と、液晶層とを、その少なくとも一方が透明
である一対の電極間に介装したことを特徴とするもので
ある。かかるこの発明の空間光変調素子においても、や
はり前述した特定波長の光を用いた1回の露光によって
光メモリ層に画像を焼き付けると、当該光メモリ層は、
前記の異性化反応によって、高導電状態の部分と低導電
状態の部分とが、焼き付けた画像に対応して分布した状
態となる。
【0034】そして、この状態で両電極間に電界を印加
すると、光メモリ層を挟んで液晶層と反対側に位置する
電極から、光メモリ層のうち高導電状態の部分にのみ電
荷が注入されて、液晶層のうち、上記光メモリ層の高導
電状態の部分と接する部分にのみ、反対側の電極との間
に高電界が印加される。そして液晶層内の、高電界が印
加された部分の液晶材料の配向が選択的に転位して、当
該液晶層に、光メモリ層に焼き付けられた画像が書き込
まれる。
【0035】また、上記焼付け時と逆方向の異性化反応
を生じさせる波長の光を光メモリ層の全面に照射する
と、焼き付けられた画像が消去されて、新たな画像への
書換えが可能となる。よってこの発明の空間光変調素子
によれば、光メモリ層にメモリ機能があるので、液晶層
を構成する液晶材料として、メモリ機能を有するものを
選択する必要がなく、液晶材料の選択幅が拡がって、た
とえば応答速度の速いもの等を選択することにより、素
子の応答性を向上したりすることが可能となる。
【0036】しかも上記光メモリ層のメモリ機能は、液
晶材料のそれに比べて熱に強いため、素子が高温にさら
されても簡単に失われないという利点もある。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に、この発明を説明する。ま
ずこの発明の光メモリ素子は、前述したようにジアリー
ルエテン化合物(1):
【0038】
【化7】
【0039】〔式中、X1 、X2 、X3 およびX4 は同
一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基またはスルホン酸
基を示し、R1 およびR2 は同一または異なって、水素
原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲ
ン原子、水酸基、ニトロ基、スルホン酸基または置換基
を有してもよいシリル基を示す。Z1 は>CF2 基また
は酸素原子を示し、Z2およびZ3 は同一または異なっ
て、>CF2 基または>C=O基を示す。mおよびnは
同一または異なって0以上の整数を示す。〕および/ま
たは(2) :
【0040】
【化8】
【0041】〔式中、X5 、X6 、X7 およびX8 は同
一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基またはスルホン酸
基を示し、R3 およびR4 は同一または異なって、水素
原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲ
ン原子、水酸基、ニトロ基、スルホン酸基または置換基
を有してもよいシリル基を示す。Z4 は>CF2 基また
は酸素原子を示し、Z5およびZ6 は同一または異なっ
て、>CF2 基または>C=O基を示す。pおよびqは
同一または異なって0以上の整数を示す。〕を含有する
光メモリ層を備えることを特徴とするものである。
【0042】上記の光メモリ層は、ジアリールエテン化
合物(1) および/または(2) のみによって形成されいて
もよいし、適当な結着樹脂中に、上記ジアリールエテン
化合物(1) および/または(2) を分散させた樹脂分散型
のものであってもよい。光メモリ層を、ジアリールエテ
ン化合物(1) および/または(2) のみによって形成する
方法としては、真空蒸着法等の気相成長法や、あるいは
溶液の塗布乾燥による溶液塗布法等が好適に採用され
る。
【0043】また樹脂分散型の光メモリ層は、上記と同
様に、ジアリールエテン化合物(1)および/または(2)
と結着樹脂とを適当な溶媒に溶解または分散させた溶液
の塗布乾燥による溶液塗布法にて形成される。ジアリー
ルエテン化合物を表す前記一般式(1)(2)において、基X
1 〜X4 、R 1 、R2 、X5 〜X8 、R3 およびR4
相当するアルキル基としては、たとえばメチル、エチ
ル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチ
ル、イソブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル等の、炭素数1〜6の低級アルキル基があ
げられる。
【0044】またアルコキシ基としては、たとえばメト
キシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ、イソプロポキ
シ、ノルマルブトキシ、イソブトキシ、第2級ブトキ
シ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ
等の、炭素数1〜6の低級アルコキシ基があげられる。
ハロゲン原子としては、ふっ素、塩素、臭素、よう素が
あげられる。
【0045】基R1 、R2 、R3 およびR4 に相当す
る、置換基を有してもよいシリル基としてはシリル基の
他、当該シリル基の3つの水素の一部または全部が、前
記アルキル基やアルコキシ基に置換した基があげられと
くにトリメチルシリルが好ましい。また、前記一般式
(1)(2)中のm、n、pおよびqは、0以上であればとく
に限定されないが、それぞれ2以下であるのが好まし
い。これは、mおよびnのうちのいずれか一方、pおよ
びqのうちのいずれか一方でも2を超えた場合には、ジ
アリールエテン化合物(1) および/または(2) の分子量
が大きくなって、結着樹脂への分散性が低下したり、あ
るいは前述した異性化の反応速度が遅くなったりするお
それがあるからである。
【0046】上記ジアリールエテン化合物(1) および/
または(2) の具体的化合物としては、これに限定されな
いがたとえば、ジアリールエテン化合物(1) に属する、
式(11):
【0047】
【化9】
【0048】で表される化合物があげられる。上記の化
合物は、以下に示すように、波長λ1≦350nmの領
域の光の照射によって閉環反応して一般式(11-1)で表さ
れる異性体となり、かかる異性体(11-1)は、波長λ2
550nmの領域の光の照射によって開環反応してジア
リールエテン化合物(1) に戻る。
【0049】
【化10】
【0050】上記の反応は可逆的であるとともに、特定
波長λ1 、λ2 の光が照射されない状態では、いずれの
化合物も安定であってメモリー機能を有している。しか
も上記の異性化反応により、ジアリールエテン化合物(1
1)では左右に分断されていたπ電子共役系が、その異性
体(11-1)では一つにつながることでイオン化ポテンシャ
ルが変化するため、かかるジアリールエテン化合物(11)
を含有する光メモリ層は、このイオン化ポテンシャルの
変化による、当該光メモリ層への電荷注入挙動の違いを
利用して、電荷注入可能状態である高導電状態と、電荷
注入阻止状態である低導電状態のいずれかを維持しつつ
電荷の注入を制御することができる。
【0051】上記ジアリールエテン化合物(11)を合成す
るには、まず以下に示すように式(11a) で表されるチオ
フェン誘導体と、式(11b) で表されるチオフェン誘導体
とを、THF等の溶媒中で、Pd(PPh3 4 等の存
在下で反応させて、式(11c)で表されるチオフェンの二
量体をえる。
【0052】
【化11】
【0053】つぎにこの二量体(11c) を、式(11d) で表
されるシクロペンテンのふっ素置換体と、THF等の溶
媒中で、n−BuLi等の存在下で反応させると、ジア
リールエテン化合物(11)が合成される。
【0054】
【化12】
【0055】ジアリールエテン化合物(1) および/また
は(2) とともに光メモリ層を構成する結着樹脂として
は、たとえばスチレン系重合体、スチレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチ
レン−マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレ
ン−アクリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリ
ウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリス
ルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビ
ニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹
脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂その他架橋性の熱硬化性樹
脂、さらにエポキシ−アクリレート、ウレタン−アクリ
レート等の光硬化性樹脂等があげられる。これら結着樹
脂は単独で使用できるほか、2種以上を併用することも
できる。
【0056】光メモリ層を樹脂分散型とする場合に、ジ
アリールエテン化合物(1) および/または(2) と、結着
樹脂との配合割合はとくに限定されないが、結着樹脂1
00重量部に対して、ジアリールエテン化合物(1) およ
び/または(2) を総量で、40重量部以上の範囲内で配
合するのが好ましい。ジアリールエテン化合物(1) およ
び/または(2) の配合量が上記の範囲未満では、当該化
合物による電荷輸送性が不十分となって、光メモリ層に
よる電荷の注入を制御する機能が十分にえられなくなる
おそれがある。
【0057】また、光メモリ層を樹脂分散型とするの
は、たとえば当該光メモリ層を電子写真感光体の最表層
に配置するなど、光メモリ層にある程度の強度が要求さ
れる場合であるので、かかる強度を達成するためには、
結着樹脂100重量部に対するジアリールエテン化合物
(1) および/または(2) の配合量は、上記範囲内でもと
くに400重量部以下であるのが好ましい。
【0058】また上述した光メモリ層の機能と強度との
バランスを考慮すると、結着樹脂100重量部に対する
ジアリールエテン化合物(1) および/または(2) の配合
量は、上記範囲内でもとくに40〜230重量部である
のが好ましく、67〜150重量部であるのがさらに好
ましい。また光メモリ層の膜厚についてもとくに限定さ
れないが、当該光メモリ層がジアリールエテン化合物
(1) および/または(2) のみによって形成される場合
は、およそ0.1〜1μmであるのが好ましく、0.5
〜0.5μmであるのがさらに好ましい。また樹脂分散
型の光メモリ層の場合は、およそ0.1〜2μmである
のが好ましく、0.1〜0.5μmであるのがさらに好
ましい。
【0059】光メモリ層の膜厚が上記の範囲未満では、
強度が不十分となるおそれがある他、低導電状態となっ
た際にホールの注入をブロックする機能が不十分となっ
て、ホールの注入を制御できなくなるおそれがある。ま
た逆に、膜厚が上記の範囲を超えた場合には、当該光メ
モリ層への画像の焼付けに要する時間が長くなり、また
長時間の光照射を伴うので、ジアリールエテン化合物
(1) および/または(2) の劣化を早めるおそれがある。
【0060】つぎに、この発明の電子写真感光体につい
て説明する。この発明の電子写真感光体1は、たとえば
図1に示すように導電性基体10上に、上に述べた光メ
モリ層11aを含む感光層11を設けたものである。こ
こにおいて感光層11は、上記光メモリ層11a単独で
形成されてもよいが、電子写真感光体としての帯電安定
性や耐久性等を考慮すると、上記図1にみるように光メ
モリ層11a上に、電荷輸送層11bを積層した感光層
11が好適に採用される。
【0061】電荷輸送層11bは種々の構成とすること
ができるが、とくにホール輸送性にすぐれたものとする
のが好ましい。これは、ジアリールエテン化合物(1) お
よび/または(2) が、前述したようにとくにホール輸送
材料として好適に機能するものであり、かかるジアリー
ルエテン化合物(1) および/または(2) を含む光メモリ
層11aが、ホールの注入を制御する特性にとくにすぐ
れているからである。
【0062】つまり光メモリ層11aは、上記のように
ホールの注入を制御する特性にすぐれたものであるた
め、かかる光メモリ層11aを含む図1の電子写真感光
体1は、図2(c) に示すようにその表面を負に帯電させ
て、導電性基体10から光メモリ層11aを通して注入
されたホールによって、上記負の電荷を打ち消して静電
潜像を形成するのが好ましく、そのためには電荷輸送層
11bとして、光メモリ層11aから注入されたホール
を感光体1の表面までスムースに輸送しうるホール輸送
性にすぐれたものが好ましいのである。
【0063】また電荷輸送層11bは、前記のように感
光層11の耐久性を向上すべく電荷輸送剤、とくに上記
の説明からわかるようにホール輸送剤を、適当な結着樹
脂中に分散させた樹脂分散型とするのが好ましい。上記
樹脂分散型の電荷輸送層11bに使用されるホール輸送
剤としては、従来公知の種々の、ホール輸送性の化合物
があげられ、中でもとくに式(3) :
【0064】
【化13】
【0065】で表されるN,N,N′,N′−テトラキ
ス(4−メチルフェニル)−3,5,3′,5′−テト
ラメチルベンジジン等のベンジジン系化合物が好適に使
用される。上記のベンジジン系化合物は、後述する実施
例の結果より明らかなように、ジアリールエテン化合物
(1) および/または(2) の、高導電状態におけるイオン
化ポテンシャルの値と近似したイオン化ポテンシャルを
有するため、光メモリ層11aからの電荷(ホール)の
注入が容易になるという利点を有している。
【0066】また上記のホール輸送剤を分散させる結着
樹脂としては、前記と同様の樹脂があげられる。樹脂分
散型の電荷輸送層11bにおける、結着樹脂とホール輸
送剤との配合割合はとくに限定されないが、電荷輸送層
11bの電荷(ホール)輸送能と強度とのバランスを考
慮すると、結着樹脂100重量部に対するホール輸送剤
の配合量は10〜900重量部であるのが好ましく、4
0〜150重量部であるのがさらに好ましい。
【0067】また電荷輸送層11bの膜厚もとくに限定
されないが、上記樹脂分散型の電荷輸送層11bの膜厚
は、当該電荷輸送層11bの電荷(ホール)輸送能と強
度とのバランスを考慮すると、1〜50μmであるのが
好ましく、5〜20μmであるのがさらに好ましい。な
お上記電荷輸送層11bや、あるいは前述した光メモリ
層11aには、それぞれの層の特性に影響を及ぼさない
範囲で、それ自体公知の種々の添加剤、たとえば酸化防
止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー等の劣化防
止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、
分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合
することができる。
【0068】上記の各層からなる感光層が形成される導
電性基体10としては、電子写真用として従来公知の種
々の構成のものを採用できる。具体的にはたとえばアル
ミニウム、鉄、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリ
ブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラ
ジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体
や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチッ
ク材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウ
ム等で被覆されたガラス等があげられる。
【0069】導電性基体はシート状、ドラム状等の何れ
であってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるい
は基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電
性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するも
のが好ましい。なお光メモリ層11aが、図1に示した
ように上記導電性基体10の直上に形成される場合に
は、後述する実施例の結果より明らかなように、当該光
メモリ層11aへの電荷(ホール)の注入を容易にすべ
く、当該導電性基体10の少なくとも表面を、ジアリー
ルエテン化合物(1) および/または(2) の、高導電状態
におけるイオン化ポテンシャルの値と近似した仕事関数
を有する材料にて形成するのが好ましい。
【0070】図1の電子写真感光体1を用いて画像を形
成するには、まず図2(a)(b)に示すように、当該電子写
真感光体1の光メモリ層11aに含まれるジアリールエ
テン化合物を異性化させるための波長の光を用いて露光
を行って、当該光メモリ層11aに、形成すべき画像の
パターンを焼き付ける。なお図の場合は、光メモリ層1
1aのうち光が照射された部分(図において右半分)が
高導電状態、光が、マスク12によって遮られて照射さ
れなかった部分(図において左半分)が低導電状態とな
るように、ジアリールエテン化合物の化学的構造(一般
式(1)(2)のいずれか)および状態(異性化の前後いずれ
か)と、照射する光の波長(いずれの異性化の方向に向
かわせる波長か)とを選択している。
【0071】つぎに、図2(c) に示すように導電性基体
10を正の電位に接続した状態で、感光体1の表面を、
チャージャ13を用いて一様に負に帯電させると、図2
(d)に示すように、光メモリ層11aのうち、先の焼付
けによる異性化によって高導電状態となった右半分のみ
を通して、導電性基体10からホールが、電荷輸送層1
1bに注入され、当該電荷輸送層11bを通して感光体
1の表面に到達する。
【0072】そして、感光体1の表面電荷が、注入され
たホールによって、右半分のみ選択的に打ち消されて、
当該感光体1の表面に、上記光メモリ層11aに焼き付
けられた画像に対応した静電潜像が形成される。このあ
と、上記の静電潜像を、常法にしたがってトナー像に顕
像化し、トナー像を紙に転写したのち定着させると、光
メモリ層11aに焼き付けた画像のうち光が照射された
部分に相当する部分がトナーによって着色された、つま
りネガ−ポジ反転の画像が形成される。
【0073】そして、上記図2(c) 以降の工程を繰り返
せば、光メモリ層11aに焼き付けた画像に対応した、
上記ネガ−ポジ反転の画像を連続的に形成することがで
きる。また、上記焼付け時と逆方向の異性化反応を生じ
させる波長の光を光メモリ層11aの全面に照射する
と、焼き付けられた画像が消去されて、新たな画像への
書換えが可能となる。
【0074】なお上記の電子写真感光体1を用いて、光
メモリ層11aに焼き付けた画像のうち光が照射されな
かった部分に相当する部分がトナーによって着色された
ポジ−ポジ画像を形成するためには、光メモリ層11a
の全体が高導電状態であって、光を照射した部分のみ異
性化して低導電状態となるように、ジアリールエテン化
合物の化学的構造および状態と、照射する光の波長とを
選択すればよい。
【0075】つぎに、この発明のEL素子について説明
する。この発明のEL素子2は、たとえば図3に示すよ
うに、前に述べた光メモリ層21と、発光層22とを、
その少なくとも一方が透明である一対の電極20、23
間に介装したものである。なお図において符号24は、
上記一対の電極20、23間に電界を印加するための電
源、符号25は、上記電源24による一対の電極20、
23間への電界の印加を制御するためのスイッチであ
る。
【0076】上記のうち光メモリ層21は、前記のよう
にホールの注入を制御する特性にすぐれたものであるた
め、図に示したように正の電極20に近い側に配置され
る。発光層22としては、それ自体が電荷輸送性、とく
にこの場合は電子輸送性を有する、あるいは輸送性を有
しない単層型の発光層の他、上記発光層と、電荷輸送層
とを組み合わせた2層以上の層を採用することもでき
る。
【0077】上記2層以上の層としてはたとえば、光メ
モリ層21の側に配置された発光層と、この発光層と負
の電極23との間に介装された電子輸送層との組み合わ
せや、光メモリ層21の側に配置されたホール輸送層
と、このホール輸送層と負の電極23との間に介装され
た発光層との組み合わせ、あるいは光メモリ層21の側
に配置されたホール輸送層と、負の電極23の側に配置
された電子輸送層と、この両層の間に介装された発光層
との組み合わせ等があげられる。
【0078】上記の各層はいずれも、それぞれの機能を
有する材料のみによって形成してもよく、また樹脂分散
型の構成としてもよい。各層の厚みや、あるいは樹脂分
散型とした際の各成分の配合割合等は、従来と同様でよ
い。上記光メモリ層21と発光層22とを挟む一対の電
極20、23としては、その少なくとも一方が、光メモ
リ層21への画像の焼付けのための光、ならびに発光層
22からの発光を通過させるべく、透明である必要があ
る。
【0079】詳しくは、一対の電極20、23のうちの
一方が、上記両方の光の通過を兼ねた透明電極で、他方
が不透明の電極である場合と、光メモリ層21の側の正
の電極21が、画像の焼付けのための光を通過させるた
めの透明電極で、かつ発光層22側の負の電極23が、
発光層22からの発光を通過させるための透明電極であ
る場合とがある。
【0080】かかる一対の電極のうち透明な電極として
は、たとえばガラス等の透明な基材上に、ITO等の透
明導電膜を形成したものや、あるいは上記透明導電膜上
に、その仕事関数の値が、ジアリールエテン化合物(1)
および/または(2) の、高導電状態におけるイオン化ポ
テンシャルの値と近似した材料からなるごく薄い膜(光
透過性を有する膜)を積層したもの等があげられる。上
記のうち後者の積層膜を有する透明電極は、いうまでも
なく光メモリ層21と接する正の電極20に好適に採用
される。
【0081】また透明でない電極としては、種々の金属
製の板等があげられる。つぎに、発光層22としてそれ
自体が電子輸送性を有する単層型のものを採用するとと
もに、一対の電極20、23としてともに透明電極を採
用したEL素子2における動作について説明する。まず
図4(a)(b)に示すようにスイッチ25をオフにして、E
L素子2の一対の電極20、23間に、電源24から電
界を印加しない状態で、光メモリ層21に含まれるジア
リールエテン化合物を異性化させるための波長の光を用
いて電極20の側から露光を行って、当該光メモリ層2
1に、形成すべき画像のパターンを焼き付ける。
【0082】なお図の場合は、先の感光体1の光メモリ
層11aと同様に、光メモリ層21のうち光が照射され
た部分(図において右半分)が高導電状態、光が、マス
ク26によって遮られて照射されなかった部分(図にお
いて左半分)が低導電状態となるように、ジアリールエ
テン化合物の化学的構造および状態と、照射する光の波
長とを選択している。
【0083】つぎに、図4(c) に示すようにスイッチ2
5をオンにして、一対の電極20、23間に、電源24
から電界を印加すると、光メモリ層21のうち、先の焼
付けによる異性化によって高導電状態となった右半分の
みを通して、電極20からホールが、発光層22に注入
される。そして、図4(d) に示すように発光層22内
で、上記ホールが、電極23から注入された電子と再結
合して励起子を生じ、この励起子によって発光層22内
の発光物質が励起して、当該発光層22が、光メモリ層
に焼き付けられた画像に対応した形状に発光し、その光
が、図に示したように電極23を通して素子外へ放射さ
れて表示が行われる。
【0084】なお上記のEL素子2においても、上記焼
付け時と逆方向の異性化反応を生じさせる波長の光を光
メモリ層21の全面に照射すると、焼き付けられた画像
が消去されて、新たな画像への書換えが可能となる。つ
ぎに、この発明の液晶表示素子について説明する。この
発明の液晶表示素子3は、たとえば図5に示すように、
前に述べた光メモリ層31と、液晶層32とを、その少
なくとも一方が透明である一対の電極30、33間に介
装したものである。なお図において符号34は、上記一
対の電極30、33間に電界を印加するための電源、符
号35は、上記電源34による一対の電極30、33間
への電界の印加を制御するためのスイッチである。
【0085】上記のうち液晶層32としては、電界の印
加により表示を行いうる種々の材料、構造のものがいず
れも採用可能である。とくに前述したように液晶層32
はメモリ機能を有している必要がないので、たとえばネ
マチック液晶等の、応答速度の速いものを選択すること
ができる。上記光メモリ層31と液晶層32とを挟む一
対の電極30、33としては、その少なくとも一方が、
光メモリ層31への画像の焼付けのための光を透過し、
かつ液晶層32を外部から視認可能とすべく、透明であ
る必要がある。
【0086】詳しくは、一対の電極30、33のうちの
一方が、上記の両機能を兼ね備えた透明電極で、他方が
不透明の電極である場合と、光メモリ層31の側の電極
30が、画像の焼付けのための光を通過させるための透
明電極で、かつ液晶層32側の電極33が、液晶層32
を外部から視認するための透明電極である場合とがあ
る。
【0087】かかる一対の電極30、33としては、前
述したEL素子で用いたのと同様の材料、構造のもの
が、いずれも使用可能である。また上記各層のうち液晶
層32と面する光メモリ層31の表面、および電極33
の表面にはそれぞれ、液晶の配向を制御するための配向
処理を施してもよい。また液晶層32における液晶の配
向の分布を表示として読出可能とするために、偏光膜等
を積層してもよい。
【0088】つぎに、上記液晶表示素子3の動作につい
て説明する。まず図6(a)(b)に示すようにスイッチ35
をオフにして、液晶表示素子3の一対の電極30、33
間に、電源34から電界を印加しない状態で、光メモリ
層31に含まれるジアリールエテン化合物を異性化させ
るための波長の光を用いて電極30の側から露光を行っ
て、当該光メモリ層31に、形成すべき画像のパターン
を焼き付ける。
【0089】なお図の場合も、先の2つの例と同様に、
光メモリ層31のうち光が照射された部分(図において
右半分)が高導電状態、光が、マスク36によって遮ら
れて照射されなかった部分(図において左半分)が低導
電状態となるように、ジアリールエテン化合物の化学的
構造および状態と、照射する光の波長とを選択してい
る。
【0090】つぎに、図6(c) に示すようにスイッチ3
5をオンにして、一対の電極30、33間に、電源34
から電界を印加すると、光メモリ層31のうち、先の焼
付けによる異性化によって高導電状態となった右半分に
おいてのみ、電極30から電荷が注入されて、反対側の
電極33との間の液晶層32に高電界が印加される。そ
して図6(d) に示すように、液晶層32内の、高電界が
印加された部分の液晶材料の配向が選択的に転位して、
当該液晶層32により、光メモリ層31に焼き付けられ
た画像が表示され、それが、電極33を通して素子外か
ら視認される。 なお上記の液晶表示素子3において
も、上記焼付け時と逆方向の異性化反応を生じさせる波
長の光を光メモリ層31の全面に照射すると、焼き付け
られた画像が消去されて、新たな画像への書換えが可能
となる。
【0091】つぎに、この発明の空間光変調素子につい
て説明する。この発明の空間光変調素子4は、たとえば
図7に示すように、前に述べた光メモリ層41と、反射
膜42と、液晶層43とを、その少なくとも一方が透明
である一対の電極40、44間に介装したものである。
なお図において符号45は、上記一対の電極40、44
間に電界を印加するための電源、符号46は、上記電源
45による一対の電極40、44間への電界の印加を制
御するためのスイッチである。
【0092】上記のうち反射膜42は、たとえば図9に
示すように液晶層43に参照光を入射させた際に、当該
液晶層43における液晶の配向の空間的な分布に基づい
て上記の参照光が偏光変調されて生じる読出光(上記の
空間的な分布を読み取るための光)を、上記参照光の入
射側と同じ側、つまり電極44の側から素子外に出射さ
せるべく、反射するためのものである。読出光を、液晶
層43の反対方向に出射させる場合には、上記の反射膜
42は省略できる。上記の反射膜42としては、たとえ
ば誘電体ミラー等が使用される。
【0093】液晶層43としては、前記と同様のものが
使用される。つまり液晶層43はメモリ機能を有してい
る必要がないので、たとえばネマチック液晶等の、応答
速度の速いものを選択することができる。上記の各層を
挟む一対の電極40、44は、先の液晶表示素子の場合
と同様に、その少なくとも一方が、光メモリ層41への
画像の焼付けのための光を透過し、かつ液晶層43を外
部から視認可能とすべく、透明である必要がある。
【0094】詳しくは、一対の電極40、44のうちの
一方が、上記の両機能を兼ね備えた透明電極で、他方が
不透明の電極である場合と、光メモリ層41の側の電極
40が、画像の焼付けのための光を通過させるための透
明電極で、かつ液晶層43側の電極44が、液晶層43
を外部から視認するための透明電極である場合とがあ
る。
【0095】かかる一対の電極40、44としては、前
述したEL素子で用いたのと同様の材料、構造のもの
が、いずれも使用可能である。また上記各層のうち液晶
層43と面する反射膜42の表面、および電極44の表
面にはそれぞれ、液晶の配向を制御するための配向処理
を施してもよい。つぎに、上記空間光変調素子4の動作
について説明する。
【0096】まず図8(a)(b)に示すようにスイッチ46
をオフにして、空間光変調素子4の一対の電極40、4
4間に、電源45から電界を印加しない状態で、光メモ
リ層41に含まれるジアリールエテン化合物を異性化さ
せるための波長の光を用いて電極40の側から露光を行
って、当該光メモリ層41に、形成すべき画像のパター
ンを焼き付ける。
【0097】なお図の場合も、先の3つの例と同様に、
光メモリ層41のうち光が照射された部分(図において
下半分)が高導電状態、光が、マスク47によって遮ら
れて照射されなかった部分(図において上半分)が低導
電状態となるように、ジアリールエテン化合物の化学的
構造および状態と、照射する光の波長とを選択してい
る。
【0098】つぎに、図8(c) に示すようにスイッチ4
6をオンにして、一対の電極40、44間に、電源45
から電界を印加すると、光メモリ層41のうち、先の焼
付けによる異性化によって高導電状態となった右半分に
おいてのみ、電極40から電荷が注入されて、反対側の
電極44との間の液晶層43に高電界が印加される。そ
して図9に示すように、液晶層43内の、高電界が印加
された部分の液晶材料の配向が選択的に転位して、当該
液晶層43に、光メモリ層31に焼き付けられた画像が
書き込まれる。
【0099】液晶層43に書き込まれた画像を読み出す
には、たとえば図9に示したように、上記空間光変調素
子4の、電極44の側にPBS(Polarizati
onbeam splitter)48を配置して、図
中二点鎖線の矢印で示すように参照光を、このPBS4
8を通して液晶層43に入射させる。そうすると、液晶
層43における液晶の配向の空間的な分布に基づいて上
記の参照光が偏光変調されて生じた読出光が、反射膜4
2によって反射されて上記電極44の方向に出射し、上
記PBS48の直交ニコル光学系により検光される。
【0100】なお上記の空間光変調素子4においても、
上記焼付け時と逆方向の異性化反応を生じさせる波長の
光を光メモリ層41の全面に照射すると、焼き付けられ
た画像が消去されて、新たな画像への書換えが可能とな
る。
【0101】
【実施例】以下にこの発明を、実施例に基づいて説明す
る。 実施例1 (光メモリ素子の作製)ガラス基材上に、それぞれスパ
ッタリング法によって、厚み1000ÅのITO膜と、
厚み200Åの白金膜(仕事関数5.43eV)とを、
この順に積層して、透明電極を形成した。
【0102】つぎにこの透明電極の白金膜上に、前記ジ
アリールエテン化合物(11)40重量部と、ポリスチレン
60重量部とを、適量のテトラヒドロフランに溶解した
塗布液を、スピンコート法によって塗布し、乾燥させ
て、厚み0.5μmの樹脂分散型の光メモリ層を形成し
た。つぎにこの光メモリ層上に、真空蒸着法によって、
厚み150Åの金電極を形成して、評価用の光メモリ素
子を作製した。 (光メモリ素子の特性評価)上記で作製した光メモリ素
子の光メモリ層に、透明電極を通して紫外光を照射する
とその全体が、光メモリ層中のジアリールエテン化合物
(11)が閉環反応して異性体(11-1)となったことを示す青
色に発色し、またこの青色に発色した光メモリ層に可視
光を照射すると、上記の異性体が開環反応してジアリー
ルエテン化合物(11)に戻ったことを示す無色に変化し
た。上記の反応は、紫外光と可視光とを交互に照射する
ことで、何度でも繰り返すことができ、しかも光を照射
しないときは両状態ともに安定に保持されていて、勝手
に反対の状態に転位することはなかった。そしてこのこ
とから光メモリ層は、上記の2状態を安定に維持するメ
モリ機能を有することが確認された。
【0103】つぎに、上記2状態の光メモリ素子の透明
電極を正極、金電極を負極として、光メモリ層に電界を
印加した際の、電界強度(Vμm-1)と電流密度(μA
cm -2)との関係を測定したところ、光メモリ層は、図
10に○印で示すように青色の状態では高導電状態とな
り、同図に□印で示すように無色の状態では低導電状態
となることがわかった。
【0104】また開環状態のジアリールエテン化合物(1
1)、および閉環状態の異性体(11-1)のイオン化ポテンシ
ャルをそれぞれ測定したところ、ジアリールエテン化合
物(11)は6.2eV以上、異性体(11-1)は5.82eV
であって、異性体(11-1)のイオン化ポテンシャルの方
が、白金の仕事関数(5.43eV)に近いことが確認
され、このことから、光メモリ膜による電荷の注入の制
御は、当該光メモリ膜と正極との間のショットキー障壁
の大きさに基づく、電荷(とくにホール)の注入のしや
すさに起因することが予想された。
【0105】実施例2 (ショットキー障壁の影響検討)上記の予想を確認すべ
く、陽極表面を構成する白金膜を、それぞれ仕事関数の
異なる下記の各金属膜に変更するか、あるいは金属膜を
省略してITOスパッタリング膜のみ、またはITO真
空蒸着膜のみとしたこと以外は実施例1と同様にして評
価用の光メモリ素子を作製した。
【0106】 そして上記各光メモリ素子について、光メモリ層を紫外
線の照射によって青色に発色させた状態で、前記と同様
に電界強度(Vμm-1)と電流密度(μAcm -2)との
関係を測定したところ、図11に示すように、仕事関数
の値が異性体(11-1)のイオン化ポテンシャルに近いもの
ほど高導電状態となり、先の仮説が立証された。
【0107】実施例3 (ジアリールエテン化合物の濃度検討)つぎに、光メモ
リ層におけるジアリールエテン化合物(11)の濃度の影響
を検討すべく、ジアリールエテン化合物(DAE)とポ
リスチレン(PS)の配合割合を下記の重量比に変更す
るか、または樹脂分散型の光メモリ層に代えて、ジアリ
ールエテン化合物(11)単独の真空蒸着膜(厚み0.2μ
m)を形成したこと以外は実施例1と同様にして評価用
の光メモリ素子を作製した。
【0108】 そして上記各光メモリ素子について、光メモリ層を紫外
線の照射によって青色に発色させた状態で、前記と同様
に電界強度(Vμm-1)と電流密度(μAcm -2)との
関係を測定したところ、図12に示すようにジアリール
エテン化合物(11)の濃度が高いほど、つまり光メモリ層
と陽極との界面(注入サイト)での濃度が高く、かつ光
メモリ層中での電荷(ホール)のホッピングサイトの距
離が短いほど高導電状態となることが確認された。
【0109】実施例4 (光メモリ素子の作製)ガラス基材上に、スパッタリン
グ法によって厚み1000ÅのITO膜(仕事関数5.
25eV)を形成して透明電極(陽極)とした。つぎに
この透明電極上に、それぞれ真空蒸着法によって、ジア
リールエテン化合物(11)単独の真空蒸着膜(光メモリ
層、厚み0.2μm)と、前記式(3) で表されるN,
N,N′,N′−テトラキス(4−メチルフェニル)−
3,5,3′,5′−テトラメチルベンジジン(イオン
化ポテンシャル5.63eV)の単独蒸着膜(ホール輸
送層、厚み0.45μm)と、厚み150Åの金電極
(陰極)を形成して、評価用の光メモリ素子を作製し
た。 (光メモリ素子の特性評価)上記で作製した光メモリ素
子の光メモリ層を紫外線の照射によって青色に発色させ
た状態、および可視光の照射によって無色化させた状態
で、前記と同様に電界強度(Vμm-1)と電流密度(μ
Acm-2)との関係を測定したところ、上記の素子は、
図13に□印で示すように光メモリ層が青色の状態では
高導電状態となり、同図に○印で示すように光メモリ層
が無色の状態では低導電状態となることがわかった。
【0110】そしてこのことから、光メモリ層を構成す
るジアリールエテン化合物(11)の高導電状態、つまり閉
環した異性体(11-1)の状態におけるイオン化ポテンシャ
ルの値と近似したイオン化ポテンシャルを有するホール
輸送剤を含むホール輸送層を組み合わせれば、光メモリ
層からホール輸送層への電荷(ホール)の注入を容易化
できることが確認された。
【0111】実施例5 (電子写真感光体の作製)導電性基体としての、表面に
酸化膜を有する銅箔の表面に、ジアリールエテン化合物
(11)40重量部と、ポリスチレン60重量部とを、適量
のテトラヒドロフランに溶解した塗布液を、バーコート
法によって塗布し、乾燥させて、厚み0.5μmの樹脂
分散型の光メモリ層を形成して、評価用の電子写真感光
体を作製した。 (帯電特性の評価I)上記で作製した電子写真感光体の
光メモリ層を紫外線の照射によって青色に発色させた状
態、および可視光の照射によって無色化させた状態で、
それぞれ導電性基体を正の電位に接続した状態で、その
表面を一様に負に帯電(帯電電位−500V)させた後
の表面電位の経過を、20秒間にわたって測定したとこ
ろ、図14に実線で示すように青色の状態では帯電初期
から表面電位が低く、同図に破線で示すように無色の状
態では帯電後20秒経過しても表面電位が高いことがわ
かった。
【0112】そしてこのことから、光メモリ層を構成す
るジアリールエテン化合物(11)の光照射による異性化に
ともなうイオン化ポテンシャルの変化による、当該層へ
の電荷注入挙動の違いを利用すれば、単に表面を帯電さ
せるだけで、上記光メモリ層の記録内容に応じた静電潜
像を形成できることが確認された。 (帯電特性の評価II)上記で作製した電子写真感光体の
光メモリ層を紫外線の照射によって青色に発色させた状
態、および可視光の照射によって無色化させた状態で、
それぞれ導電性基体を正の電位に接続した状態で、その
表面を一様に負に帯電(帯電電位−500V)させ、そ
の直後の表面電位を測定した後、帯電を消去する操作を
3回、繰り返して行ったところ、図15に□印と実線で
示すように青色の状態では、いずれの回の表面電位も一
様に低く、同図に○と破線で示すように無色の状態で
は、いずれの回の表面電位も一様に高いことがわかっ
た。
【0113】そしてこのことから、光メモリ層に一旦、
内容を記録すれば、単に帯電を繰り返すだけで、上記光
メモリ層の記録内容に応じた静電潜像を複数回、形成で
きることが確認された。
【0114】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、光メモリ機能を有し、かつ電子写真感光体、EL素
子、液晶表示素子および空間光変調素子に組み込んで使
用した際に、従来のような種々の問題を生じるおそれの
ない新規な光メモリ素子と、それを用いた電子写真感光
体、EL素子、液晶表示素子、および空間光変調素子と
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電子写真感光体の、実施の形態の一
例を示す層構成図である。
【図2】同図(a) 〜(d) は、上記電子写真感光体を用い
た、静電潜像形成の工程を説明する図である。
【図3】この発明のEL素子の、実施の形態の一例を示
す層構成図である。
【図4】同図(a) 〜(d) は、上記EL素子の動作を説明
する図である。
【図5】この発明の液晶表示素子の、実施の形態の一例
を示す層構成図である。
【図6】同図(a) 〜(d) は、上記液晶表示素子の動作を
説明する図である。
【図7】この発明の空間光変調素子の、実施の形態の一
例を示す層構成図である。
【図8】同図(a) 〜(c) は、上記空間光変調素子への画
像の書込みの工程を説明する図である。
【図9】上記空間光変調素子に書き込まれた画像を読み
出す工程を説明する図である。
【図10】実施例1の結果を示すグラフである。
【図11】実施例2の結果を示すグラフである。
【図12】実施例3の結果を示すグラフである。
【図13】実施例4の結果を示すグラフである。
【図14】実施例5の結果を示すグラフである。
【図15】実施例5の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電子写真感光体 10 導電性基体 11 感光層 11a 光メモリ層 11b 電荷輸送層 2 EL素子 21 光メモリ層 22 発光層 20、23 電極 3 液晶表示素子 31 光メモリ層 32 液晶層 30、33 電極 4 空間光変調素子 41 光メモリ層 42 反射膜 43 液晶層 40、44 電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) : 【化1】 〔式中、X1 、X2 、X3 およびX4 は同一または異な
    って、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン
    原子、水酸基、ニトロ基またはスルホン酸基を示し、R
    1 およびR2 は同一または異なって、水素原子、アルキ
    ル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、水酸
    基、ニトロ基、スルホン酸基または置換基を有してもよ
    いシリル基を示す。Z1 は>CF2 基または酸素原子を
    示し、Z2およびZ3 は同一または異なって、>CF2
    基または>C=O基を示す。mおよびnは同一または異
    なって0以上の整数を示す。〕で表されるジアリールエ
    テン化合物、および一般式(2) : 【化2】 〔式中、X5 、X6 、X7 およびX8 は同一または異な
    って、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン
    原子、水酸基、ニトロ基またはスルホン酸基を示し、R
    3 およびR4 は同一または異なって、水素原子、アルキ
    ル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、水酸
    基、ニトロ基、スルホン酸基または置換基を有してもよ
    いシリル基を示す。Z4 は>CF2 基または酸素原子を
    示し、Z5およびZ6 は同一または異なって、>CF2
    基または>C=O基を示す。pおよびqは同一または異
    なって0以上の整数を示す。〕で表されるジアリールエ
    テン化合物のうちの少なくとも一方を含有する層を備
    え、この層が、上記ジアリールエテン化合物の、光照射
    による異性化にともなうイオン化ポテンシャルの変化に
    よる、当該層への電荷注入挙動の違いを利用して、電荷
    注入可能状態である高導電状態と、電荷注入阻止状態で
    ある低導電状態のいずれかを維持しつつ電荷の注入を制
    御することを特徴とする光メモリ素子。
  2. 【請求項2】導電性基体上に、請求項1記載の光メモリ
    素子の層を含む感光層を設けたことを特徴とする電子写
    真感光体。
  3. 【請求項3】請求項1記載の光メモリ素子の層と、発光
    層とを、その少なくとも一方が透明である一対の電極間
    に介装したことを特徴とするエレクトロルミネッセンス
    素子。
  4. 【請求項4】請求項1記載の光メモリ素子の層と、液晶
    層とを、その少なくとも一方が透明である一対の電極間
    に介装したことを特徴とする液晶表示素子。
  5. 【請求項5】請求項1記載の光メモリ素子の層と、液晶
    層とを、その少なくとも一方が透明である一対の電極間
    に介装したことを特徴とする空間光変調素子。
JP31243996A 1996-11-22 1996-11-22 光メモリ素子と、それを用いた電子写真感光体、エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示素子、および空間光変調素子 Pending JPH10152679A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31243996A JPH10152679A (ja) 1996-11-22 1996-11-22 光メモリ素子と、それを用いた電子写真感光体、エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示素子、および空間光変調素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31243996A JPH10152679A (ja) 1996-11-22 1996-11-22 光メモリ素子と、それを用いた電子写真感光体、エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示素子、および空間光変調素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10152679A true JPH10152679A (ja) 1998-06-09

Family

ID=18029222

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31243996A Pending JPH10152679A (ja) 1996-11-22 1996-11-22 光メモリ素子と、それを用いた電子写真感光体、エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示素子、および空間光変調素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10152679A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001131434A (ja) * 1999-11-08 2001-05-15 Chemiprokasei Kaisha Ltd 光変性可能な発光性有機色素およびそれを用いたマルチカラー有機el素子
WO2002097862A2 (en) * 2001-05-25 2002-12-05 Optabyte, Inc. Electro luminescent devices and method of manufacturing the same
WO2004015024A1 (en) * 2002-08-09 2004-02-19 Simon Fraser University Photochromic and electrochromic compounds and methods of synthesizing and using same
JP2006277973A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Osaka Kyoiku Univ 有機電子デバイス及びその製造方法
JP2007188854A (ja) * 2005-03-02 2007-07-26 Osaka Kyoiku Univ 金属パターン及び有機電子デバイスとその製造方法
JP2010210893A (ja) * 2009-03-10 2010-09-24 Fuji Xerox Co Ltd 光記録型表示媒体および記録装置
US8536205B2 (en) 2005-05-25 2013-09-17 Switch Materials Inc. Photochromic and electrochromic compounds and synthesis and use thereof
US9227986B2 (en) 2011-09-30 2016-01-05 Switch Materials, Inc. Diarylethene compounds and uses thereof

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001131434A (ja) * 1999-11-08 2001-05-15 Chemiprokasei Kaisha Ltd 光変性可能な発光性有機色素およびそれを用いたマルチカラー有機el素子
WO2002097862A2 (en) * 2001-05-25 2002-12-05 Optabyte, Inc. Electro luminescent devices and method of manufacturing the same
WO2002097862A3 (en) * 2001-05-25 2010-06-10 Optabyte, Inc. Electro luminescent devices and method of manufacturing the same
US7777055B2 (en) 2002-08-09 2010-08-17 Switch Materials Inc. Photochromic and electrochromic compounds and methods of synthesizing and using same
WO2004015024A1 (en) * 2002-08-09 2004-02-19 Simon Fraser University Photochromic and electrochromic compounds and methods of synthesizing and using same
JP2007188854A (ja) * 2005-03-02 2007-07-26 Osaka Kyoiku Univ 金属パターン及び有機電子デバイスとその製造方法
JP2006277973A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Osaka Kyoiku Univ 有機電子デバイス及びその製造方法
JP4572370B2 (ja) * 2005-03-28 2010-11-04 国立大学法人 大阪教育大学 有機電子デバイス及びその製造方法
US8536205B2 (en) 2005-05-25 2013-09-17 Switch Materials Inc. Photochromic and electrochromic compounds and synthesis and use thereof
JP2010210893A (ja) * 2009-03-10 2010-09-24 Fuji Xerox Co Ltd 光記録型表示媒体および記録装置
US9227986B2 (en) 2011-09-30 2016-01-05 Switch Materials, Inc. Diarylethene compounds and uses thereof
US10072023B2 (en) 2011-09-30 2018-09-11 Switch Materials, Inc. Diarylethene compounds and uses thereof
US10556912B2 (en) 2011-09-30 2020-02-11 Switch Materials, Inc. Diarylethene compounds and uses thereof
US11124524B2 (en) 2011-09-30 2021-09-21 Solutia Canada Inc. Diarylethene compounds and uses thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4346158A (en) Imaging system with a diamine charge transport material in a polycarbonate resin
EP0102850A1 (en) Layered photoresponsive device
JPS636864B2 (ja)
JPS637383B2 (ja)
US4134764A (en) Semiconductive and sensitized photoconductive compositions
JPH10152679A (ja) 光メモリ素子と、それを用いた電子写真感光体、エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示素子、および空間光変調素子
JPH0693128B2 (ja) 被覆型感光装置
GB2121974A (en) Improvements in and relating to ambipolar photoresponsive devices
JP2708532B2 (ja) 多活性電子写真要素
US4037928A (en) Visual image display device
JPH1069109A (ja) 電子写真感光体及び電子写真装置
JP2927516B2 (ja) 情報記録媒体及び静電情報記録再生方法
JP2961915B2 (ja) ジスチリル化合物およびその製造方法
JP3206042B2 (ja) 新規トリアミノ化合物を用いた電荷輸送材料、このトリアミノ化合物を含有する感光体およびエレクトロルミネセンス素子
JP2581060B2 (ja) 潜像形成方法
JP2625724B2 (ja) 画像形成方法
JP3623026B2 (ja) 光センサー、情報記録装置及び情報記録再生方法
JPH07234415A (ja) 光半導体素子
US6969573B2 (en) Blue diode laser sensitive photoreceptor
JPH01293358A (ja) 電荷保持媒体露光記録方法
JPH1065136A (ja) 光センサー、情報記録装置及び情報記録再生方法
JP3496083B2 (ja) 静電潜像転写式画像形成方法及びそれに用いる画像形成装置
US7247872B2 (en) Image recording medium and method of producing the same
JP3344765B2 (ja) 光センサーおよび情報記録システム
JPH01296255A (ja) 電荷保持媒体