JP2000348746A - 改質型燃料電池電源システムにおける余剰水素の処理方法 - Google Patents
改質型燃料電池電源システムにおける余剰水素の処理方法Info
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Abstract
気自動車において、過渡時に発生する余剰水素を確実に
しかも効率的に処理できるようにする。 【解決手段】 燃料電池電気自動車における負荷安定時
には、エネルギストレージ16(充電許容領域)を確保
しておく。そして、燃料電池電気自動車における過渡時
に発生する余剰水素によって発電される余剰電力を、エ
ネルギストレージ16に充電する。また、充電しきれな
かった余剰電力によって、エアコンプレッサ7などの補
機を駆動するために用いる。
Description
エネルギバッファと、改質器を含む燃料電池システムと
を組み合わせた燃料電池電源システムを搭載する燃料電
池電気自動車の負荷変動時に発生する余剰水素を処理す
る燃料電池電源システムにおける余剰水素の処理方法に
関する。
いわゆる改質型燃料電池システムが知られている。この
改質型燃料電池システムは、水メタノール混合液などの
液体燃料を蒸発器によって蒸発させて得られる蒸発ガス
を改質器に供給し、この改質器によって燃料ガスを生成
し、この燃料ガスを燃料電池に供給するものである。そ
して近年においては、燃料電池システムを備えたいわゆ
る燃料電池電気自動車の開発が盛んになってきており、
改質器を備えた改質型燃料電池システムを用いたものの
開発も行われている。
電池電気自動車においては、減速、停止時に過渡状態が
発生し、負荷が急減すると、この負荷の急減に改質器が
追いつかずに、必要以上の燃料ガスである余剰水素を生
成してしまうことがある。このような余剰水素を残して
おくと、余剰水素が燃料電池内に溜まり、燃料電池にお
ける燃料ガスの吸入口を塞いでしまうおそれなどの問題
があるため、余剰水素は何らかの手段で処理する必要が
ある。
においては、たとえば、余剰水素をそのまま燃料電池に
供給して余剰電力を発生させ、この余剰電力をバッテリ
などの過渡応答対応電気エネルギバッファに充電する方
法が採られていた。また、過渡応答対応電気エネルギバ
ッファで余剰電力を充電しきれない場合には、別途設け
られた抵抗負荷によって、この余剰電力を処理するよう
にしていた。他方、余剰水素を液体燃料を気化させる蒸
発器を加熱する燃焼器の熱源として利用する方法もあっ
た。
においては、それぞれに不都合な部分がある。まず、余
剰電力を過渡応答対応電気エネルギバッファに充電する
方法においては、過渡応答対応電気エネルギバッファの
充電領域がいっぱいであった場合には、過渡応答対応電
気エネルギバッファに充電することができない。このた
め、充電しきれなかった余剰電力は抵抗負荷によって消
費しなければならず、電力を無駄に消費することになる
ものであった。また、抵抗負荷で電力を消費する方法で
も、同様に、電力を無駄に消費するものである。
器に供給する方法では、余剰水素が多すぎた場合には、
この余剰水素を消費するために、燃料電池に大量の空気
を供給しなければならない。したがって、大量の空気を
燃料電池に供給するために、補機を駆動するための電力
を過渡応答対応電気エネルギバッファから持ち出さなけ
ればならないという不具合が生じる。また、蒸発させる
液体燃料の量に対しての余剰水素の量が多すぎると、蒸
発器の温度が上がりすぎて蒸発器を破損させる原因とな
りかねない。
生じることなく、改質型燃料電池システムを備える燃料
電池電気自動車において、過渡時に発生する余剰水素を
確実にしかも効率的に処理できるようにすることにあ
る。
明に係る改質型燃料電池電源システムにおける余剰水素
の処理方法は、過渡応答対応電気エネルギバッファと、
改質器を含む燃料電池システムとを組み合わせた燃料電
池電源システムを搭載する燃料電池電気自動車の負荷変
動時に発生する余剰水素を処理する方法であって、前記
燃料電池電気自動車における負荷安定時には、前記過渡
応答対応電気エネルギバッファにおける充電領域の一部
に充電許容領域を確保しておき、前記燃料電池電気自動
車における過渡時に発生する余剰水素によって発電され
る余剰電力を、前記充電許容領域に充電し、前記充電許
容領域に充電しきれない余剰電力によって、前記燃料電
池電気自動車における補機を駆動することを特徴とする
ものである。
おける負荷安定時には、過渡応答対応電気エネルギバッ
ファにおける充電領域の一部に充電許容領域を確保して
いる。したがって、燃料電池電気自動車の減速、停止時
といった過渡時に生じる余剰水素を利用して余剰電力を
発電し、この充電許容領域に余剰電力を充電できるの
で、電力を無駄に消費することが少なくなる。しかも、
余剰電力を無駄に消費する必要が少ないので、別途負荷
抵抗を設ける必要がなくなるか、あるいは負荷抵抗を設
ける必要があったとしても、その負荷抵抗を小さなもの
とすることができる。なお、本発明にいう「負荷安定
時」とは、燃料電池電気自動車における負荷が安定して
いて余剰水素を発生しない状態をいい、「過渡時」と
は、燃料電池電気自動車の急減速時や停止時など、余剰
水素を発生しうる状態をいう。
きれない余剰水素を、蒸発器を加熱する燃焼器の処理能
力の範囲内で、前記燃焼器の燃料として用いるのが好適
である。
し、さらに補機を駆動するための電力を消費してもなお
余剰水素が生じる場合には、この余剰水素を燃焼器の燃
料として用いる。したがって、過渡時に生じる余剰水素
をさらに有効的に活用することができる。ただし、燃焼
器の処理能力を超える場合には、燃焼器を破損させるお
それがあるので、燃焼器の処理能力の範囲内で利用する
必要がある。
超えてさらに前記余剰水素がある場合には、その余剰水
素を燃料電池のエアパージ用として用いるのが望まし
い。燃焼器の燃料として用いた場合において、燃焼器の
処理能力の範囲を超えて発生する余剰水素については、
燃料電池のエアパージ用として用いることにより、さら
に余剰水素の有効活用を図ることができる。
面を参照しながら、具体的に説明する。図1は、本発明
に係る余剰水素処理が行われる改質型燃料電池電源シス
テムの構成を示すブロック図である。
処理が行われる改質型燃料電池電源システム(以下、
「燃料電池電源システム」という。)Mは、液体燃料で
ある水メタノール混合液F1が供給される蒸発器1を備
えている。蒸発器1においては、燃焼器2から熱源を得
て、水メタノール混合液F1を蒸発させて蒸発ガスとす
る図示しない熱交換部を備えている。蒸発器1の下流側
には、蒸発器1から蒸発ガスが供給される改質器3が設
けられている。また、蒸発器1および燃焼器2にはそれ
ぞれその温度を検出する温度検出器1A,2Aが取り付
けられている。
去器5、および第2熱交換器4Bを介して燃料電池6が
接続されており、改質器3によって生成される燃料ガス
が燃料電池6に供給される。ここで、CO除去器5で
は、燃料ガス中に含まれる余分な一酸化炭素を除去して
いる。
7が接続されており、エアコンプレッサ7によって酸素
リッチである空気を燃料電池6に供給している。そし
て、燃料電池6においては、燃料ガス中における水素と
空気中における酸素とを電気化学的に反応させ、その反
応によって電気を生じさせる。エアコンプレッサ7によ
って燃料電池6に供給される空気は、レゾネータ8、フ
ィルタ9Aを介して大気中から吸引され、さらにインタ
ークーラ10およびフィルタ9Bを経て燃料電池6に供
給される。
続されており、燃料電池6により発生した電力は高圧分
配器11に供給される。この高圧分配器11は、電気的
に、DC/DCコンバータ12を介して過渡応答対応電
気エネルギバッファであるバッテリ13に接続されると
ともに、PCU(power control unit)14を介して主
モータ15に接続されている。このように、燃料電池電
源システムMは、改質器3を含む燃料電池システムと、
過渡応答対応電気エネルギバッファであるバッテリ13
を組み合わせて構成されている。高圧分配器11は、さ
らには、バッテリの一部などに設定されるエネルギスト
レージ(充電許容領域)16に接続されている。また、
PCU14は、エアコンプレッサ用モータ17に接続さ
れている。なお、燃料電池電源システムMを起動する際
には、液体燃料であるメタノールF2が始動燃焼器18
に供給されるようになっている。また、燃料電池6から
排出される水素を含有する排出ガスは、燃焼器2に供給
される。
U(electronic control unit)20を備えている。こ
のECU20には、アクセル21、主モータ15、およ
びエネルギストレージ16からの制御信号が入力され
る。また、温度検出器1A,2Aからの温度信号も入力
される。一方、PCU14、エアコンプレッサ用モータ
17、ポンプP1、P2およびバルブV1,V2に対し
てそれぞれ制御信号が出力される。
3の充電量は、最大充電量のおよそ80%程度に維持さ
れており、残りの20%がエネルギストレージ16とな
っている。また、急減速時あるいは停止時などの過渡時
に、この充電許容領域に燃料電池6から電気が供給され
て充電が行われる。過渡時における充電量は、バッテリ
13の最大充電量の100%の寸前となるまで充電がで
きるようにしておく。SOC(status of charge)値が
100%近くになるまでバッテリ13に電気を供給する
と、負荷安定時には充電効率が落ちるものであるが、過
渡状態にあるときには、通常、その直後にバッテリ13
からの電気の持ち出しがある。このため、SOC値が1
00%付近である時間はごくわずかであるので、充電効
率を大きく低下させることはない。なお、バッテリ13
のSOC値は、バッテリ13に設けられた図示しないS
OC測定器によって測定されている。
て説明すると、蒸発器1に水メタノール混合液F1が供
給されると、蒸発器1においては、燃焼器2から加えら
れる熱によって、図示しない熱交換部で水メタノール混
合液F1を蒸発して蒸発ガスとする。こうして得られた
蒸発ガスは、蒸発器1から改質器3へと供給される。
に接触させて、水素リッチである燃料ガスを生成する。
この燃料ガスの大部分は第1熱交換器4Aで冷却され、
CO除去器5でCOを除去された後、さらに第2熱交換
器4Bで冷却されて燃料電池6に供給される。燃料ガス
のうちの他の一部は燃焼器2に供給されて、蒸発器1の
熱源となる。
7によって、酸素リッチである空気が供給される。これ
ら燃料ガスに含まれる水素と、空気に含まれる酸素とを
燃料電池6で反応させる過程において、燃料電池6より
電気が発生する。燃料電池6で消費しきれない水素や空
気などは、オフガスとなって燃焼器2に供給される。
分配器11に供給される。そして、高圧分配器11から
は、DC/DCコンバータ12を介してバッテリ13に
電力が供給されるとともに、PCU14を介して主モー
タ15に電力が供給される。バッテリ13からは、電動
エアコン、電動パワステ、ライト類、ヒータ、各負荷抵
抗など各種自動車用補機に電力が供給される。また、主
モータ15を回転させることによって車輪Sが駆動す
る。他方、PCU14からは、エアコンプレッサ用モー
タ17に対しても電力が供給される。
て、高圧分配器11における電力の分配量を算出して、
高圧分配器11およびPCU14に出力信号を送信す
る。すなわち、図示しない運転手がアクセル21を操作
することにより、主モータ15の要求負荷が算出され、
PCU14に送信される。PCU14においては、高圧
分配器11からの電力の供給を受けるとともに、主モー
タ15およびエアコンプレッサ用モータ17の要求に応
じて、それぞれに対して必要な電力を供給する。また、
エネルギストレージ16のストレージ量および主モータ
15の要求負荷によって、高圧分配器11における電力
の分配量を算出して、高圧分配器11に制御信号を送信
する。一方、温度検出器1Aの検出温度に基づいて、ポ
ンプP1の操作量およびバルブV1の開度を調節する。
また、温度検出器2Aの検出温度に基づいて、ポンプP
2の操作量およびバルブV1の開度を調節する。
ついて、燃料電池電源システムMを燃料電池電気自動車
を搭載した場合を例にとって図2を参照して説明する。
図2は、本発明に係る燃料電池電源システムMにおける
余剰水素の処理方法のフローチャートである。
料電池電気自動車が急減速あるいは停止したか否かを検
出して過渡時であるか否かを判断する(S2)。ここ
で、急減速や停止などが生じていない場合には、過渡時
ではない(負荷安定時である)と判断して処理が終了す
る(S10)。一方、燃料電池電気自動車の急減速ある
いは停止が検出され、過渡時であると判断された場合に
はECU20によって水メタノール混合液F1の供給が
停止されるが、制御遅れに起因して余剰水素が発生す
る。
と判断された場合には、バッテリ13のSOC値を検出
し、エネルギストレージ16に充電許容領域が残ってい
るか否かを判断する(S3)。充電許容領域が残ってい
るか否かの判断基準としては、燃料電池電気自動車が減
速した場合にはSOC値が80%未満のときに充電許容
領域が残っていると判断する。また、燃料電池電気自動
車が停止した場合には、後の発進時にバッテリ13から
の電力の持ち出しが必要となるので、SOC値が100
%未満のときに充電許容領域が残っていると判断する。
容領域が残っていると判断された場合には、エネルギス
トレージ16に余剰電力を充電する(S4)。一方、エ
ネルギストレージ16に充電許容領域がないと判断され
た場合には、余剰電力をDC/DCコンバータ12を介
してバッテリ13に供給してから電動エアコンなどの補
機の駆動に利用する(S5)。
には、蒸発器1が処理能力の範囲内にあるか否かを判断
する。蒸発器1が処理能力の範囲内にあるか否かの判断
は、温度検出器1Aまたは2Aによって蒸発器1または
燃焼器2の温度を検出し、異常高温となっているか否か
を判断することによって行われる(S6)。そして、蒸
発器1の温度が異常高温に達しておらず、蒸発器1の処
理能力の範囲内にある場合には、バルブV3を開いて余
剰水素を燃焼器2に供給し、燃焼器2における図示しな
いバーナで燃焼する(S7)。一方、蒸発器1の温度が
異常高温に達していて、蒸発器1の処理能力を超える場
合には、バルブV3を閉じて余剰水素の供給を停止して
処理を終了する(S10)。
水素を燃焼器2に供給した場合には、燃料電池電気自動
車が停止したか否かを検出する(S8)。そして、燃料
電池電気自動車が停止したと判断された場合には、余剰
水素によって燃料電池6内をエアパージする(S9)。
そして、燃料電池電気自動車が停止していないと判断さ
れた場合、すなわち急減速があった場合には、処理はそ
のまま終了する(S10)
明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるもので
はない。すなわち、本発明は、過渡応答対応電気エネル
ギバッファに余剰電力を充電するのが主要な目的である
ので、たとえば、余剰水素をエアパージに用いる工程を
省略した態様としたり、あるいは、補機用モータに供給
することなく、抵抗負荷で消費するような態様とするこ
とができる。他方、余剰電力で補機を駆動する場合に
は、エアコンプレッサに対して最初に余剰電力を供給す
るのが好適である。すなわち、エアコンプレッサは、酸
素リッチである空気を燃料電池に供給するものであるた
め、余剰水素が発生している場合に、余剰水素消費のた
めの酸素リッチである空気を供給するために寄与するも
のだからである。
燃料電池システムを備える燃料電池電気自動車におい
て、過渡時に発生する余剰水素を確実にしかも効率的に
処理することができる。
料電池電源システムの構成を示すブロック図である。
ける余剰水素の処理方法のフローチャートである。
ァ) 16 エネルギストレージ M 改質型燃料電池電源システム F1 水メタノール混合液
Claims (3)
- 【請求項1】 過渡応答対応電気エネルギバッファと、
改質器を含む燃料電池システムとを組み合わせた燃料電
池電源システムを搭載する燃料電池電気自動車の負荷変
動時に発生する余剰水素を処理する方法であって、 前記燃料電池電気自動車における負荷安定時には、前記
過渡応答対応電気エネルギバッファにおける充電領域の
一部に充電許容領域を確保しておき、 前記燃料電池電気自動車における過渡時に発生する余剰
水素によって発電される余剰電力を、前記充電許容領域
に充電し、 前記充電許容領域に充電しきれない余剰電力によって、
前記燃料電池電気自動車における補機を駆動することを
特徴とする改質型燃料電池電源システムにおける余剰水
素の処理方法。 - 【請求項2】 前記補機の駆動によって消費しきれない
余剰水素を、蒸発器の処理能力の範囲内で、前記燃焼器
の燃料として用いることを特徴とする請求項1に記載の
改質型燃料電池電源システムにおける余剰水素の処理方
法。 - 【請求項3】 前記燃焼器の処理能力の範囲を超えてさ
らに前記余剰水素がある場合には、その余剰水素を燃料
電池のエアパージ用として用いることを特徴とする請求
項2に記載の改質型燃料電池電源システムにおける余剰
水素の処理方法。
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- 1999-06-07 JP JP15887799A patent/JP4267759B2/ja not_active Expired - Fee Related
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