JP2000346947A - 放射線検出装置 - Google Patents

放射線検出装置

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JP2000346947A JP11158211A JP15821199A JP2000346947A JP 2000346947 A JP2000346947 A JP 2000346947A JP 11158211 A JP11158211 A JP 11158211A JP 15821199 A JP15821199 A JP 15821199A JP 2000346947 A JP2000346947 A JP 2000346947A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大面積の位置識別型測定に対応可能であり、か
つバックグランド補償を行なうことができる放射線検出
装置を提供すること。 【解決手段】放射線の入射に起因して光を生じるシンチ
レータ(1)と、このシンチレータ(1)の側面に配置
され、内部に蛍光体を含む第1のライトガイド(2)
と、前記放射線が前記シンチレータ(1)に入射する面
に対して反対側に配置され、内部に蛍光体を含む第2の
ライトガイド(3)と、前記第1のライトガイド(2)
と前記第2のライトガイド(3)の各端面に配置され、
蛍光変換された光を検出する複数の光検出手段(4)
と、から構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力プラントを
はじめとする放射線取り扱い施設で用いられる一次元ま
たは二次元放射線強度分布を測定する放射線検出装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】図23は、特開平7−72565号公報
に開示されているX線撮像装置の基本構成を示す図であ
る。以下、図23を基に放射線強度の二次元分布を測定
する手法を示す。まず、放射線の入射に起因して光を生
じる板状のシンチレータ1のX線入射面の裏側に、蛍光
ファイバ17(波長シフトファイバ)を直交するように
多数配置して、X−Y2次元のマトリックス情報を出力
できるようにしておく。蛍光ファイバ17は、シンチレ
ーション光を吸収し、より長い波長の蛍光を放出し、そ
れを伝送することができる。
【0003】放射線の入射位置でシンチレーション光が
発生すると、交差した蛍光ファイバ17にその一部が吸
収され蛍光変換される。蛍光は蛍光ファイバ17内を伝
播し、蛍光ファイバ17の端面に装着された光検出器で
検出される。そして、光検出されたX,Y方向の蛍光フ
ァイバ17の交点を放射線の入射位置として同定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述した例では、蛍光
ファイバ17を「密」に並べることで蛍光ファイバ17
の直径にほぼ等しい高い位置分解能を得られるが、逆に
蛍光ファイバ17の本数を少なくして、互いの間隔を空
けて「疎」に並べた場合には、蛍光ファイバ17へのシ
ンチレーション光の遭遇確率が低くなり、その結果、信
号検出確率が著しく低下することになる。
【0005】X線撮像の場合には、比較的高い分解能が
求められるため問題にはならないが、一般的な原子力プ
ラント等における放射性物質の分布、放射線強度の分布
を測定する場合には、X線撮像の場合に比べて粗い分解
能でより広い面積を測定できることが好ましいことが多
い。
【0006】たとえば、最小分割エリアを10cm角程
度とした数十cm四方の領域の一括分布測定などを想定
し、特開平7−72565号公報の手法を適用した場
合、蛍光ファイバ17の本数を減らして「疎」な配置に
した場合、実効的な検出感度が達成できず、また「密」
に並べた場合は、おびただしい数量の光検出器及び信号
処理回路が必要になり現実的ではない。
【0007】また、原子力施設などで使用される検出器
については、測定対象以外のバックグランドで放射線成
分が常に存在するため、これらの補正を行なえることも
重要であり、大面積の二次元測定とバックグラウンド射
線に対する補正、補償とを両立することが必須である。
【0008】本発明の目的は、大面積の位置識別型測定
に対応可能であり、かつバックグランド補償を行なうこ
とができる放射線検出装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、本発明の放射線検出装置は以下の如く
構成されている。
【0010】(1)本発明の放射線検出装置は、放射線
の入射に起因して光を生じるシンチレータと、このシン
チレータの側面に配置され、内部に蛍光体を含む第1の
ライトガイドと、前記放射線が前記シンチレータに入射
する面に対して反対側に配置され、内部に蛍光体を含む
第2のライトガイドと、前記第1のライトガイドと前記
第2のライトガイドの各端面に配置され、蛍光変換され
た光を検出する複数の光検出手段と、から構成されてい
る。
【0011】(2)本発明の放射線検出装置は、放射線
の入射に起因して光を生じ同一平面内に配置された複数
のシンチレータと、前記各シンチレータの両側面に配置
され、内部に蛍光体を含む複数の第1のライトガイド
と、前記放射線が前記各シンチレータに入射する面に対
して反対側に、かつ前記各シンチレータの長手方向に直
交するよう同一平面内に配置され、内部に蛍光体を含む
複数の第2のライトガイドと、前記第1のライトガイド
と前記第2のライトガイドの各端面に配置され、蛍光変
換された光を検出する複数の光検出手段と、から構成さ
れている。
【0012】(3)本発明の放射線検出装置は、放射線
の入射に起因して光を生じ同一平面内に配置された複数
のシンチレータと、前記各シンチレータの両側面に配置
され内部に蛍光体を含むライトガイドと、前記ライトガ
イドの各端面に配置され蛍光変換された光を検出する複
数の光検出手段と、からなる第1の放射線検出層と、前
記第1の放射線検出層と同じ構成要素からなり、かつ放
射線が前記第1の放射線検出層における前記シンチレー
タに入射する面に対して反対側にて平行に配置された第
2の放射線検出層と、から構成されている。
【0013】(4)本発明の放射線検出装置は上記
(3)に記載の装置であり、かつ前記第2の放射線検出
層に対して前記第1の放射線検出層と反対側に、かつ前
記第1の放射線検出層と前記第2の放射線検出層におけ
る前記シンチレータの長手方向に対して直交するよう配
置された複数の第2のライトガイドと、前記各第2のラ
イトガイドの端面に配置され蛍光変換された光を検出す
る複数の光検出手段と、を備えている。
【0014】(5)本発明の放射線検出装置は上記
(2)に記載の装置であり、かつ前記第2のライトガイ
ドにおける前記シンチレータ側に向いた表面に板状のシ
ンチレータを密着している。
【0015】(6)本発明の放射線検出装置は上記
(2)に記載の装置であり、かつ前記第2のライトガイ
ドにおける前記シンチレータ側と反対の表面に板状のシ
ンチレータを密着している。
【0016】(7)本発明の放射線検出装置は上記
(2)乃至(6)のいずれかに記載の装置であり、かつ
二つの前記シンチレータ間に介在する前記第1のライト
ガイド内に、前記二つのシンチレータ間の光伝播を阻止
する手段を備えている。
【0017】(8)本発明の放射線検出装置は上記
(4)に記載の装置であり、かつ前記第1の放射線検出
層における前記シンチレータの両側に配置された前記第
1のライトガイドに装着されたいずれか二つの前記光検
出手段の出力または前記第2の放射線検出層における前
記シンチレータの両側に配置された前記第1のライトガ
イドに装着されたいずれか二つの前記光検出手段の出力
と、前記第2のライトガイドに装着されたいずれか一つ
の前記光検出手段の出力とを入力し論理積処理を行なう
処理手段を備え、前記処理手段の出力から、前記二つの
シンチレータに係る位置情報が付加された放射線検出情
報を得る。
【0018】(9)本発明の放射線検出装置は上記
(2),(5),(6)のいずれかに記載の装置であ
り、かつ一つの前記シンチレータの両側に配置された前
記第1のライトガイドに装着されたいずれか二つの前記
光検出手段の出力と前記第2のライトガイドに装着され
たいずれか一つの前記光検出手段の出力とを入力し論理
積処理を行なう処理手段を備え、前記処理手段の出力か
ら、前記シンチレータに係る位置情報が付加された放射
線検出情報を得る。
【0019】(10)本発明の放射線検出装置は上記
(8)または(9)に記載の装置であり、かつ前記第1
のライトガイドと前記第2のライトガイドに装着された
前記光検出手段の出力を入力し、論理演算により放射線
の入射位置情報を含んだ入射放射線の種類及びエネルギ
ーの弁別処理を行なう演算処理部を備えている。
【0020】上記手段を講じた結果、それぞれ以下のよ
うな作用を奏する。
【0021】(1)本発明の放射線検出装置によれば、
1枚(1層)のシンチレータでシンチレーションが生じ
た場合、シンチレータ内部に捕獲され拡散・伝播する成
分を第1のライトガイド(蛍光板)で蛍光変換し、その
蛍光を光検出手段で検知することで放射線の入射を認識
するとともに、発光ポイントからシンチレータ外に放射
される光を複数に分割した第2のライトガイド(波長シ
フタ)で蛍光変換し、その蛍光を光検出手段で検知する
ことで放射線による発光ポイント、即ち入射位置を識別
する。この場合、第2のライトガイドの数に応じた位置
識別能力を実現することができる。
【0022】特に重要なことは、シンチレータ内部のい
ずれの場所で発光が生じても、その光はシンチレータ内
を一様に拡散するため、側面に配置した第1のライトガ
イドで確実に捉えることができるところにある。また、
位置情報を得るために重要な、シンチレーション光の第
2のライトガイドへの入射効率についても、シンチレー
タの光放出側と第2のライトガイドの光受光側との交差
する有効面が広く、かつ二つの層を接近して配置するこ
とができるため、シンチレータからの放出光について
も、発光場所に関わらず幾何学的に効率良く蛍光変換を
することができる。この2つの基本的な作用は、本発明
にすべて共通である。
【0023】(2)本発明の放射線検出装置によれば、
上記(1)と比較してシンチレータ自身も複数個に分割
されており、第2のライトガイドと同様に1次元の位置
情報を持っている。さらに、シンチレータと第2のライ
トガイドが直交して配置されていることから二次元のマ
トリックス情報を得ることができるため、シンチレータ
の数と第2のライトガイドの数との積に対応した位置識
別能力を実現することができる。
【0024】(3)本発明の放射線検出装置によれば、
シンチレータが2層になっているが、第1の検出層から
放出されたシンチレーション光により第2の検出層のシ
ンチレータが発光することはない。このため、2層のシ
ンチレータは同じ向きに並べてあり、検出装置としては
一次元の位置識別能力を持つ。しかしながら、放射線の
検出が2層にわたり行なわれるため、2層間の検出の同
時性、非同時性、対象放射線の透過力の違いなどを考慮
することで、線種弁別、エネルギー弁別を行なうことが
でき、バックグラウンド成分の補正、補償が可能であ
る。
【0025】(4)本発明の放射線検出装置によれば、
上記(3)に対して、2枚(2層)のシンチレータの発
光位置情報を二次元化するための第2のライトガイドが
付加されているため、バックグラウンドの補正、補償に
加えて二次元での位置識別を実現できる。
【0026】(5)本発明の放射線検出装置によれば、
第2のライトガイドにシンチレータを直接装着すること
で、放射線の入射する側に設置されたシンチレータから
放射されるシンチレーション光と放射線の両方に対して
蛍光が発生する機能を持たせることができる。これによ
り、層構造や部品点数を最小限にした上で二次元の位置
識別とバックグラウンド成分の補正、補償を両立するこ
とができる。
【0027】(6)本発明の放射線検出装置によれば、
第2のライトガイドにシンチレータを直接装着すること
で、放射線の入射する側に設置されたシンチレータから
放射されるシンチレーション光と放射線の両方に対して
蛍光が発生する機能を持たせることができる。これによ
り、層構造や部品点数を最小限にした上で二次元の位置
識別とバックグラウンド成分の補正、補償を両立するこ
とができる。
【0028】また、上記(5)と対比して、2枚のシン
チレータの間に第2のライトガイドが介在しているた
め、透過力の低い放射線成分が第2のライトガイドに装
着したシンチレータに到達しにくくなっている。このた
め、バックグラウンド成分の補正、補償の条件により、
上記(5)と比較してより最適な構造を選ぶことが可能
である。
【0029】(7)本発明の放射線検出装置によれば、
第1のライトガイドで蛍光変換されず、かつ吸収されな
かったシンチレーション光が隣接するシンチレータ内に
入りこむこと(クロストーク)を防ぎ、位置識別情報の
誤成分を低減するとともに、反射により第1のライトガ
イド内を通過する実効的な距離が長くなることで蛍光変
換される確率を高め、かつ集光量を増大、即ち放射線検
出効率を増大させるという作用を持たせることができ
る。
【0030】(8)本発明の放射線検出装置によれば、
シンチレータ層に装着されている第1のライトガイドで
検出された光信号は放射線の入射タイミングと入射位置
の一次元情報を与える。また第2のライトガイドで検出
される光信号は、シンチレータに直交する方向での一次
元の位置情報を与える。シンチレータは2層で構成され
るが、第2のライトガイドを共通して用いる。シンチレ
ータから空間に放射される光は1層め、2層めに関わら
ず、いずれも第2のライトガイドに入射するため共通化
できる。これら直交する一次元の位置情報から二次元の
位置識別が可能となる。
【0031】(9)本発明の放射線検出装置によれば、
シンチレータ層に装着されている第1のライトガイドで
検出された光信号は放射線の入射タイミングと入射位置
の一次元情報を与える。また第2のライトガイドで検出
される光信号は、シンチレータに直交する方向での一次
元の位置情報を与える。シンチレータは2層で構成され
るが、第2のライトガイドは共通して用いる。シンチレ
ータから空間に放射される光は1層め、2層めに関わら
ず、いずれも第2のライトガイドに入射するため共通化
できる。これら直交する一次元の位置情報から二次元の
位置識別が可能となる。また、第2のライトガイドと2
層めのシンチレータは密着しているため、2層めのシン
チレータでの発光検出と、第2のライトガイドでの発光
検出に用いる光検出器を共有化できるので、簡素な構成
となる。
【0032】(10)本発明の放射線検出装置によれ
ば、第1、第2のライトガイドに装着された光検出手段
の出力信号を利用して位置識別を行なうが、別途光検出
手段等を設ける必要がなく、全く同じ信号群から論理演
算、算術演算のみで位置情報を含んだバックグラウンド
補正、補償に必要な情報を抽出することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。なお、各実施の形態において同一の
要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態に係る位置識別型放射線検出装置の構成
を示す斜視図である。図1の放射線検出装置は、放射線
の入射に起因して光を生じる板状のシンチレータ1、内
部に蛍光体を含む第1のライトガイド2、内部に蛍光体
を含む第2のライトガイド3、及び光検出器4から構成
されている。
【0035】1枚のシンチレータ1の二つの側面には、
それぞれ第1のライトガイド2が接続されており、放射
線がシンチレータ1に入射する面に対して反対側(図中
シンチレータ1の下方)にシンチレータ1の面と平行に
なるよう3枚の第2のライトガイド3が並設されてい
る。また、第1のライトガイド2と第2のライトガイド
3の端面には、それぞれ光検出器4が接続されている。
【0036】以下、本放射線検出装置の動作原理を説明
する。シンチレータ1に放射線が入射すると、シンチレ
ータ1の中でシンチレーション光が発生する。シンチレ
ーション光は、シンチレータ1の内部を伝播して、第1
のライトガイド2に吸収される内部伝播光と、発光と同
時に外部に放射する成分とに分かれる。
【0037】第1のライトガイド2に到達し蛍光変換さ
れた光は、第1のライトガイド2の内部に捕獲・伝送さ
れ、端面に装着した光検出器4に入射される。一方、シ
ンチレータ1に捕獲されずに空気中に放射されたシンチ
レーション光は、すぐ下側に配置された第2のライトガ
イド3に当たり、ここで蛍光変換される。第2のライト
ガイド3内で発生した蛍光は、第2のライトガイド3内
に捕獲・拡散され、端面に装着された光検出器4で検出
される。
【0038】シンチレータ1のどこでシンチレーション
光が発生しても、側面に配置された第1のライトガイド
2を介して信号検出がなされるが、空気中に放射される
光は発光ポイントから出され、三つの第2のライトガイ
ド3のいずれかに遭遇することになる。よって、シンチ
レータ1と三つの第2のライトガイド3の各信号の同時
性を検査することで、一次元(3領域)の位置情報が得
られることになる。
【0039】シンチレータ1は、平板形状のものを使用
する。第1のライトガイド2と第2のライトガイド3と
しては、波長シフタと称される蛍光物質を含む樹脂を加
工したもの、あるいは光ファイバ等を用いることができ
る。
【0040】図1に示す第1のライトガイド2は、波長
シフタを含む樹脂を角柱状に研磨加工したものであり、
光ファイバ状のものに比べて柔軟性はないが、任意の太
さに加工することが可能である。また、第1のライトガ
イド2は樹脂との屈折率差の大きい空気層に囲まれてい
るため、内部捕獲・伝送効率が高い上、シンチレーショ
ンの蛍光変換確率を高めるために太くすることができ
る。シンチレータ1の形状や光検出器4の接続位置など
に制約がある場合には、第1のライトガイド2に光ファ
イバ状のものを使用すると良い。
【0041】波長シフタの種類については、シンチレー
タ1の発光波長帯と波長シフタの吸収波長帯とが重なる
ようなものを選択する必要がある。蛍光変換作用により
第1のライトガイド2や第2のライトガイド3で発生し
た蛍光の一部は、内部捕獲され端面まで伝送されるた
め、そこに光検出器4を配置することで蛍光を検出する
ことができる。
【0042】一般的な400nm帯で発光するプラスチ
ックシンチレータに対しては、バイクロン社製BC−4
82Aやクラレ社製Y−7をはじめ、波長シフタ及びそ
れを含む数種類の光ファイバが市販されている。
【0043】第1のライトガイド2や第2のライトガイ
ド3と光検出器4とを密接に結合するためには、一般的
に光学結合剤が用いられる。この光学結合剤は、空気層
の介在を防いで反射損失を低減するものである。また特
に図示はしていないが、シンチレータ1や第2のライト
ガイド3の開放側面には、反射材を塗布あるいは装着し
ておく。これは、集光量を確保する上で有用な一般的な
対策である。
【0044】図2乃至図8は、光検出器の配置例を示す
図である。なお、図2乃至図6は平面図、図7及び図8
は正面図である。第1のライトガイド2に接続する光検
出器4の配置方法としては、図2に示すように全ての第
1のライトガイド2の全ての端面に接続する方法があ
る。この方法では、検出部4の本数は多いが検出効率の
観点から最も有利である。
【0045】また、図3、図4に示すように、一つの第
1のライトガイド2に対して片端面のみに光検出器4を
配置することも可能である。この場合、図5に示すよう
に、光検出器4を配置しない開放端に蛍光を反射する反
射体5を装着しておくことは、集光量を確保する上で有
効な手段である。この反射体5としては、鏡面反射体、
乱反射体のいずれも適用できる。
【0046】また図4に示すように、第1のライトガイ
ド2の長さをシンチレータ1の側面の長さよりも短くし
た上で、光検出器4を配置することも可能である。実装
スペースの観点から、このような処置をする必要が生じ
る場合がある。この場合、集光量の減少割合fは、 f=1−(第1のライトガイド2とシンチレータ1の側
面とが接触する長さ)/(シンチレータ1の側面長) と予測しておけば良い。この場合も、前述した反射体5
を加えた図6に示す体系が実用的である。
【0047】さらに、シンチレータ1と第1のライトガ
イド2の接続については、いくつかの具体例が考えられ
る。図1に示したような空気との屈折率差を利用した第
1のライトガイド2を使用する場合には、図7の(a)
に示すように、単純にシンチレータ1と第1のライトガ
イド2とをつき合わせるか、あるいは図7の(b)に示
すように、第1のライトガイド2に溝をほり、そこにシ
ンチレータ1を嵌め込む方法が考えられる。溝を使う方
法は実装を考えた場合、固定しやすいという利点があ
る。
【0048】また、前述したように第1のライトガイド
2は、場合によっては空気層に包囲された角柱以外のも
のも使用可能であり、図8の(a),(b)に示すよう
に、円柱状のものでも良い。なお、図8の(a)は単純
にシンチレータ1と第1のライトガイド2とをつき合わ
せる場合を示しており、図8の(b)は第1のライトガ
イド2に溝をほり、そこにシンチレータ1を嵌め込む場
合を示している。また、図8の(c)に示すように、第
1のライトガイド2にクラッドのついたファイバ状のも
のを使用してもよい。
【0049】(第2の実施の形態)図9は、本発明の第
2の実施の形態に係る位置識別型放射線検出装置の構成
を示す斜視図である。図9の放射線検出装置は、放射線
の入射に起因して光を生じる板状のシンチレータ1、内
部に蛍光体を含む第1のライトガイド2、内部に蛍光体
を含む第2のライトガイド3、及び光検出器4から構成
されている。
【0050】同一平面内に配置された三つのシンチレー
タ1の各2辺には、それぞれ第1のライトガイド2が接
続されており、放射線が三つのシンチレータ1に入射す
る面に対して反対側(図中シンチレータ1の下方)に
は、各シンチレータ1と面が平行になり、かつその長手
方向が各シンチレータ1の長手方向に直交するよう、三
つの第2のライトガイド3が同一平面内に並設されてい
る。また、各第1のライトガイド2と各第2のライトガ
イド3には、光検出器4が接続されている。
【0051】すなわち、シンチレータ1と第2のライト
ガイド3は、3行3列のマトリックスを構成している。
そして、光検出器4による各シンチレータ1に接続され
た第1のライトガイド2端での信号検出情報と第2のラ
イトガイド3での信号検出情報の同時性を調べること
で、9区画(3×3)の位置識別能力を持たせることが
できる。
【0052】図10及び図11は、第1のライトガイド
2とシンチレータ1の配置例を示す正面図である。シン
チレータ1を複数枚並べて配置する際、図10に示すよ
うに、各シンチレータ1について両側にそれぞれ第1の
ライトガイド2を設ける方法がある。
【0053】しかしながら、図11に示すように、二つ
のシンチレータ1の集光を一つの第1のライトガイド2
で共通化して行なう方法も考えられる。第1のライトガ
イド2の断面積の大きさと使用する光検出器4の受感面
の大きさの兼ね合いを考慮した場合、図11の方法によ
れば、最も効率良く第1のライトガイド2の光を受光で
き、光検出器4の数も抑制することができる。
【0054】(第3の実施の形態)図12は、本発明の
第3の実施の形態に係る位置識別型放射線検出装置の構
成を示す斜視図である。図12の放射線検出装置は、シ
ンチレータ1の内部に捕獲・拡散する光をシンチレータ
1の側面に配置した第1のライトガイド2で集光する体
系を、同じ向きに平行に重ねることで二層化構造とした
ものである。
【0055】本第3の実施の形態によれば、一層目、二
層目でそれぞれ異なる線種を認識することが可能である
とともに、一次元の位置識別が可能である。
【0056】(第4の実施の形態)図13は、本発明の
第4の実施の形態に係る位置識別型放射線検出装置の構
成を示す斜視図である。図13の放射線検出装置では、
第3の実施の形態で図12に示した構造に対して、さら
に二層目(下層)に対して一層目(上層)の反対側(二
層目の三つのシンチレータ1の下方)に、三つの第2の
ライトガイド3が、各シンチレータ1と面が平行をな
し、かつその長手方向が各シンチレータ1の長手方向に
直交するよう(すなわち、各第1のライトガイド2に直
交するよう)並設されている。さらに、各第2のライト
ガイド3には、光検出器4が接続されている。
【0057】本第4の実施の形態によれば、図9に示し
た場合と同様、シンチレータ1の層一つと第2のライト
ガイド3の層一つとが対をなし、二次元検出器として動
作する。しかしながら、図9の装置を2倍にすることな
く、第2のライトガイド3は二つのシンチレータ1の層
に対して、共通に位置検出のための一次元情報を提供す
ることができる。
【0058】従来では、バックグラウンド補正、補償の
ために二次元検出器を2層化する場合、倍の装置構成と
なることが必須であったが、本構成によれば第2のライ
トガイド3を共有化できるため、簡素な構造で二次元測
定を行ないつつ、二次元でのバックグランド補正・補償
機能を実現することができる。
【0059】(第5の実施の形態)図14は、本発明の
第5の実施の形態に係る位置識別型放射線検出装置の構
成を示す斜視図である。図14の放射線検出装置では、
第2の実施の形態で図9に示した構造に対して、さらに
一層目のシンチレータ1側に面した各第2のライトガイ
ド3の表面に、それぞれ平板状のシンチレータ(プラス
チックシンチレータ)1を密着して配置している。
【0060】第2のライトガイド3はシンチレータ1が
張り合わされているため、図14中上部に位置するシン
チレータ1から空気中に放射される光を受けて蛍光を発
するとともに、張り合わされたシンチレータ1自身に放
射線が入射した場合にも蛍光が発生する。
【0061】このようにシンチレータ1を2層用いてい
るため、線種やエネルギーなどの違いを利用した一次元
でのバックグラウンド補正、補償を行なえる上、第2の
ライトガイド3にて発生要因の異なる蛍光を共通する光
検出器4で検出することにより、構成部品を低減し、装
置全体を簡素化することができる。
【0062】すなわち本第5の実施の形態によれば、よ
り簡素な構造で二次元測定を行ないつつ、一次元でのバ
ックグランド補正・補償機能を実現することができる。
【0063】(第6の実施の形態)図15は、本発明の
第6の実施の形態に係る位置識別型放射線検出装置の構
成を示す斜視図である。図15の放射線検出装置では、
第5の実施の形態で図14に示した構造と同様、各第2
のライトガイド3の表面にそれぞれ平板状のシンチレー
タ(プラスチックシンチレータ)1を密着して張り合わ
せるが、張り合わせる面の位置が、図14の場合とは逆
であり、一層目のシンチレータ1側に向いた面と反対
側、即ち裏面である。この場合、二つのシンチレータ1
の層の間に、第2のライトガイド3が介在するため、放
射線の透過の度合いが異なってくる。
【0064】一例として、γ線とβ線の混在場を想定す
る。図14の場合には最初に通過する1層めのシンチレ
ータ1でエネルギーの一部を失い、残りのエネルギーを
2層めのシンチレータ1で失うケースが考えられる。1
層めのシンチレータ1を透過可能なエネルギーを持つβ
線が入射した場合には、1層めのシンチレータ1と2層
めのシンチレータ1の同時計数の確率があるが、図15
のようにこの間に第2のライトガイド3が介在した場合
は、発光を伴わないエネルギー損失が第2のライトガイ
ド3の内部で生じる。このため、第1層でのエネルギー
損失を差し引いた残りのエネルギーを全て第2のライト
ガイド3内で失うように、第2のライトガイド3の厚さ
を調整すると、第2層めのシンチレータ1ではβ線が遮
蔽されることになる。こういった効果を利用して、測定
対象に応じたバックグラウンド補正、補償を目的とし
て、図14、図15の体系を選択することができる。
【0065】(第7の実施の形態)図16乃至図18
は、本発明の第7の実施の形態に係る第1のライトガイ
ド2とシンチレータ1の配置例を示す正面図である。上
述した第1のライトガイド2のレイアウト方法におい
て、図16に示すように一つのライトガイド2が二つの
シンチレータ1に共通している場合、二つのシンチレー
タ1は互いに光学的に分離されていない。
【0066】このため、例えば、図16中左側のシンチ
レータ1の光が図16中中央に位置している第1のライ
トガイド2に吸収されずに透過し、かつ右側のシンチレ
ータ1に伝播してしまうというような現象が、確率は僅
かではあるが存在する。この場合、図16中最も右側の
第1のライトガイド2において、左側のシンチレータ1
からの信号を、隣接する右側のシンチレータ1からの信
号であると誤検出してしまう可能性がある。
【0067】そこで本第7の実施の形態では、図17に
示すように一つのライトガイド2が二つのシンチレータ
1に共通している場合、そのライトガイド2中に、相互
に光の透過を遮蔽して光伝播を阻止し光を反射する反射
体5を入れることにより、二つのシンチレータ1を光学
的に分離することができる。反射体5を構成する反射材
としては、アルミ蒸着シートや乱反射体である酸化チタ
ンや酸化マグネシウム等を塗布したものを用いることも
できる。
【0068】しかし、ライトガイド2の内部にこのよう
な反射体5を内包させることは、加工の観点からは困難
である。このため図18に示すように、図中両端に配置
されている第1のライトガイド2の半分の厚さを有する
二つのライトガイド21,21を用いて、これらの間隙
に反射体5を挟み込む方法が現実的方策である。
【0069】本第7の実施の形態によれば、隣接するシ
ンチレータ1の発光を誤って検出する事象を低減するこ
とができる。
【0070】(第8の実施の形態)図19は、本発明の
第8の実施の形態に係る位置識別型放射線検出装置の構
成を示すブロック図である。本第8の実施の形態を含む
以下の説明では、AND処理部、OR処理部の名称を用
いているが、AND処理は入力信号の論理積を取り、同
時に信号が検出・出力されているときのみ「真」が出力
されるものであり、OR処理部は入力信号の論理和を取
り、いずれかの信号が検出・出力されているときに
「真」が出力されるものである。また反転処理部は、信
号の論理を反転するものであり、入力信号が検出・出力
されているときに「偽」を出力し、検出されていないと
きに「真」を出力する機能を有する。
【0071】図19では、放射線の入射面側に配置され
た1層めのシンチレータ1の側面に装着されている各第
1のライトガイド2に、図5あるいは図6に示したよう
に、一つずつ光検出器4が接続されていることを前提と
する。これら二つの光検出器4の出力が第1のAND処
理部6に入力されている。
【0072】また、2層めのシンチレータ1の側面に装
着されている各第1のライトガイド2にも、一つずつ光
検出器4が接続されており、それらの出力が第2のAN
D処理部7に入力されている。
【0073】第1のAND処理部6の出力は、1層めの
シンチレータ1での放射線入射・検出タイミングを示す
信号であり、第2のAND処理部7の出力は、2層めの
シンチレータ1での放射線入射・検出タイミングを示す
信号である。この光検出器4の配置により、第1のAN
D処理部6あるいは第2のAND処理部7を用いること
で、2本の第1のライトガイド2に挟まれたシンチレー
タ1からの信号である旨の情報が得られる。
【0074】また図19では、第2のライトガイド3に
二つの光検出器4を接続している。第2のライトガイド
3にシンチレータ1からの光が入射して発生した蛍光の
検出に相当する信号として、二本の光検出器4からの検
出器出力が第1のOR処理部8に入力されている。この
第1のOR処理部8からの出力により、第2のライトガ
イド3で蛍光が生じたことを示す情報が得られる。な
お、1層めのシンチレータ1は第1のライトガイド2を
他のシンチレータと共有しているため、AND処理が必
要となっているが、第2のライトガイド3はそれぞれが
光学的に独立しているため、OR処理が可能である。
【0075】1層めのシンチレータ1と2層めのシンチ
レータ1は、同じ方向に揃えて配置されているが、第2
のライトガイド3はこれらシンチレータ1と直交して、
行と列に相当するように配置されている。従って全体と
しては、(1層あたりのシンチレータ1の数)×(第2
のライトガイド3の数)分の位置識別数が実現される。
【0076】このため、第1のAND処理部6の出力と
第1のOR処理部8の出力とを第3のAND処理部9に
入力することで、第3のAND処理部9の出力として1
層めのシンチレータ1と該当する第2のライトガイド3
とが交差する領域における1層めシンチレータ1の発
光、即ち放射線の入射を検出することができる。同様
に、第2のAND処理部7の出力と第1のOR処理部8
の出力とを入力とする第4のAND処理部10の出力か
ら、2層めのシンチレータ1に係る位置情報の付加され
た放射線検出情報が得られる。
【0077】(第9の実施の形態)図20は、本発明の
第9の実施の形態に係る位置識別型放射線検出装置の構
成を示すブロック図である。図20では、放射線の入射
面側に配置されたシンチレータ1の側面に装着されてい
る各第1のライトガイド2に、図5あるいは図6に示す
ように、一つずつ光検出器4が接続されていることを前
提とする。
【0078】これら二つの光検出器4からの出力が第1
のAND処理部6に入力される。第1のAND処理部6
の出力は、1層めのシンチレータ1での放射線入射・検
出タイミングを示す信号である。この光検出器4の配置
により、第1のAND処理部6を用いることで、2本の
第1のライトガイド2に挟まれたシンチレータ1からの
信号である旨の情報が得られる。
【0079】また図20では、第2のライトガイド3に
二つの光検出器4を接続している。第2のライトガイド
3にシンチレータ1からの光が入射して発生した蛍光の
検出に相当する信号として、二本の光検出器4からの検
出器出力が第1のOR処理部8に入力されている。この
第1のOR処理部8からの出力により、第2のライトガ
イド3で蛍光が生じたことを示す情報が得られる。
【0080】第2のライトガイド3は、放射線の入射側
に設置されたシンチレータ1と直交して、行と列に相当
するように配置されている。従って全体としては、(1
層あたりのシンチレータ1の数)×(第2のライトガイ
ドの数)分の位置識別数が実現される。
【0081】このため、第1のAND処理部6の出力と
第1のOR処理部8の出力とを第3のAND処理部9に
入力することで、第3のAND処理部9の出力としてシ
ンチレータ1と該当する第2のライトガイド3とが交差
する領域におけるシンチレータ1の発光、即ち放射線の
入射を検出することができる。
【0082】(第10の実施の形態)図21及び図22
は、本発明の第10の実施の形態に係る位置識別型放射
線検出装置の構成を示すブロック図である。第8,9の
実施の形態においては、位置識別方式を説明するため
に、第1のAND処理部6の出力は1層めの検出信号と
してすべて有効なものとして扱っている。
【0083】以下、バックグランド補正、補償に対して
の実施の形態を説明する。まず、β核種による機器・物
品・体などの表面汚染を測定することを想定する。この
場合、まず周囲のバックグラウンドγ線成分が補正・補
償対象となる。このときの考え方について説明する。
【0084】今、放射線入射面側の検出層を第1層、そ
の次の検出層を第2層とすると、第1層では主にβ線、
γ線の両方が検出され、第2層では主にγ線が計測され
る。一定時間計測をし、1層めで検出された計数率を
(β+γ)、2層めで検出された計数率をγ'とする
と、 β=(β+γ)−c1・γ' (c1=校正係数) として、γ線成分を補正したβ線計数率が得られる。
【0085】図21、図22のいずれの場合でも、第1
のAND処理部6と第2のAND処理部7の出力をそれ
ぞれ一定時間計数して測定時間で除算することで、(β
+γ)とγ'が得られる。この処理手法は最も簡素な方
式として適用可能である。
【0086】一般的に、シンチレータ1にプラスチック
シンチレータを用いるのが実用的であるが、β線のエネ
ルギー吸収(付与率)はシンチレータ1cmあたりおよ
そ2MeVである。つまり、γ線感度を抑える目的から
薄いシンチレータ1を使用すると、β線のエネルギーに
よってはエネルギーを失いながら突き抜けてしまうこと
が簡単に予測できる。
【0087】今、厚さ1mm〜2mm程度のプラスチッ
クシンチレータでシンチレータ1を構成した場合、β線
のエネルギー吸収は200keV〜400keVであ
る。Co−60のβ線の場合、最大エネルギーが300
keVあたりであるため、ほとんどのエネルギーをシン
チレータ1で失うことになる。
【0088】しかしながら、よりエネルギーの高いβ線
成分がバックグラウンドに存在する場合は、先に示した
ように第1のAND処理部6と第2のAND処理部7の
出力信号の中から計数すべき信号以外を除外することも
必要となる。
【0089】例えば、壁や床面の表面汚染を測定するこ
とを想定する。一般的な床や壁の材料には天然放射性物
質であるK−40が含まれるため、エネルギーの比較的
高い1.3MeVのβ線が放出される。一方、原子力施
設などで汚染源となり得るCo−60のβ線は300k
eVと低い。また、いずれの核種もγ線を放出する。従
って、先の例と同様にγ線を補正しつつ、β線の信号の
中からより高いエネルギーを持つK−40β線成分をで
きるだけ除外することを考える。
【0090】今、Co−60のβ線成分をβ1、K−4
0のβ線成分をβ2とする。またγ線成分をまとめてγ
と表すことにする。この場合、一層めの検出信号には
(β1+β2+γ)が含まれており、二層目の検出信号
には(β2+γ)が含まれている。
【0091】しかしながら、β2に関しては、1層めと
2層めで同時に検出されている確率が極めて高い。一
方、γ線は一定の確率でしかプラスチックと反応(相互
作用)を行なわないうえ、薄いシンチレータでの反応断
面積は小さいため、1層めと2層めとで同時にγ線が検
出される確率は現実的には無視できる。
【0092】この現象を生かして、1層めでの検出信号
のうち、2層めと同時計数した成分はβ2成分であると
して、あらかじめ除去しておくことが有効である。図2
1、図22において、第1のAND処理部6の出力を入
力の一つとし、第2のAND処理部7の出力を第2の反
転処理部13を通してもう一つの入力とする第5のAN
D処理部12の出力を第3のAND処理部9の入力とす
ることで、1層めの出力信号から、明らかに2層めでも
信号を発生させた高エネルギーβ線成分(β2)を除外
することができる。これにより、第3のAND処理部9
の出力の計数率を調べることで、β2の混入割合を低減
させ、より真のβ1成分に近い測定結果が得られる。
【0093】また、β2成分は前述したように2層めの
検出成分への混入も考慮する必要がある。β2成分を得
るには、1層めと2層めの信号出力である第1のAND
処理部6の出力と第2のAND処理部7の出力とを第7
のAND処理部15に入力して論理積により同時検出を
行なった上で、その出力と、位置情報を付加するための
第1のOR処理部8の出力とを第8のAND処理部16
に入力し、その出力としてβ2成分を示す情報を得るこ
とができる。
【0094】この第8のAND処理部16の出力を利用
することで、あらかじめβ1成分のない状態でβ2成分
を測定しておき、β2成分の1層めへの混入割合を調べ
ておき、測定時に補正する手法を適用することもでき
る。
【0095】β2成分を除外して測定をするためには、
第1のAND処理部6の出力を第1の反転処理部11に
通した出力と第2のAND処理部7の出力とを第6のA
ND処理部14に入力し、その出力と、位置情報を付加
するための第1のOR処理部8の出力とを第4のAND
処理部10に入力し、その出力としてβ2成分を低減し
たγ線が支配的な出力を得ることができる。
【0096】このようにして、第3のAND処理部9は
β2の影響を低減して位置情報が付加されているβ1線
成分の信号出力、第4のAND処理部10はβ2の影響
を低減して位置情報が付加されているγ線成分の信号出
力、第8のAND処理部16は主としてβ2成分からな
り位置情報が付加されている信号出力となる。
【0097】従って、これらの出力信号を計数して測定
結果として計数率を求めた場合、以下のような処理が可
能となる。第3のAND処理部9の測定結果をA(β
1)、第4のAND処理部10の測定結果をA(γ)、
第8のAND処理部16の測定結果をA(β2)とする
と、より精度の高いβ1の値A(β)は次のような演算
で求められることは自明である。
【0098】A(β)=A(β1)−c1・A(γ)−
c2・A(β2) ただし、c1,c2は校正定数、c1は1層めと2層め
のγ線検出効率比、c2はβ2に対する1層めと2層め
の検出効率比である。
【0099】測定対象がγバックグラウンド下でのα
線、中性子線である場合なども含めて、図21、図22
に示した信号処理形態をいずれの場合にも適用できる。
【0100】もちろん、必要に応じて第5のAND処理
部12や第6のAND処理部14の入力端子に関して、
第1の反転処理部11あるいは第2の反転処理部13か
ら接続されている端子を開放し、常に「真」とする処置
を第5のAND処理部12と第6のAND処理部14の
いずれか、あるいは両方同時に施し使用することもあり
得る。また、第8のAND処理部16及び第7のAND
処理部15は全く使用しないこともあり得る。これら
は、測定対象とバックグラウンドの条件により任意に組
み合わせて使用可能である。
【0101】なお、本発明は上記各実施の形態のみに限
定されず、要旨を変更しない範囲で適時変形して実施で
きる。
【0102】
【発明の効果】本発明の放射線検出装置によれば、大面
積での位置識別型測定が可能になり、最小限の装置構成
により、様々なバックグランド条件下での補正、補償を
行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る位置識別型放
射線検出装置の構成を示す斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る光検出器の配
置例を示す図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る光検出器の配
置例を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る光検出器の配
置例を示す図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る光検出器の配
置例を示す図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る光検出器の配
置例を示す図。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る光検出器の配
置例を示す図。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る光検出器の配
置例を示す図。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る位置識別型放
射線検出装置の構成を示す斜視図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る第1のライ
トガイドとシンチレータの配置例を示す正面図。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る第1のライ
トガイドとシンチレータの配置例を示す正面図。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る位置識別型
放射線検出装置の構成を示す斜視図。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る位置識別型
放射線検出装置の構成を示す斜視図。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る位置識別型
放射線検出装置の構成を示す斜視図。
【図15】本発明の第6の実施の形態に係る位置識別型
放射線検出装置の構成を示す斜視図。
【図16】本発明の第7の実施の形態に係る第1のライ
トガイドとシンチレータの配置例を示す正面図。
【図17】本発明の第7の実施の形態に係る第1のライ
トガイドとシンチレータの配置例を示す正面図。
【図18】本発明の第7の実施の形態に係る第1のライ
トガイドとシンチレータの配置例を示す正面図。
【図19】本発明の第8の実施の形態に係る位置識別型
放射線検出装置の構成を示すブロック図。
【図20】本発明の第9の実施の形態に係る位置識別型
放射線検出装置の構成を示すブロック図。
【図21】本発明の第10の実施の形態に係る位置識別
型放射線検出装置の構成を示すブロック図。
【図22】本発明の第10の実施の形態に係る位置識別
型放射線検出装置の構成を示すブロック図。
【図23】従来例に係るX線撮像装置の基本構成を示す
図。
【符号の説明】
1…シンチレータ 2…第1のライトガイド 3…第2のライトガイド 4…光検出器 5…反射体 6…第1のAND処理部 7…第2のAND処理部 8…第1のOR処理部 9…第3のAND処理部 10…第4のAND処理部 11…第1の反転処理部 12…第5のAND処理部 13…第2の反転処理部 14…第6のAND処理部 15…第7のAND処理部 16…第8のAND処理部 17…蛍光ファイバ 21…ライトガイド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 隅田 晃生 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 牧野 俊一郎 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 Fターム(参考) 2G088 AA03 EE09 EE17 EE21 FF14 FF18 GG11 GG13 GG14 GG17 JJ01 KK15 KK35 LL02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射線の入射に起因して光を生じるシンチ
    レータと、 このシンチレータの側面に配置され、内部に蛍光体を含
    む第1のライトガイドと、 前記放射線が前記シンチレータに入射する面に対して反
    対側に配置され、内部に蛍光体を含む第2のライトガイ
    ドと、 前記第1のライトガイドと前記第2のライトガイドの各
    端面に配置され、蛍光変換された光を検出する複数の光
    検出手段と、 を具備したことを特徴とする放射線検出装置。
  2. 【請求項2】放射線の入射に起因して光を生じ同一平面
    内に配置された複数のシンチレータと、 前記各シンチレータの両側面に配置され、内部に蛍光体
    を含む複数の第1のライトガイドと、 前記放射線が前記各シンチレータに入射する面に対して
    反対側に、かつ前記各シンチレータの長手方向に直交す
    るよう同一平面内に配置され、内部に蛍光体を含む複数
    の第2のライトガイドと、 前記第1のライトガイドと前記第2のライトガイドの各
    端面に配置され、蛍光変換された光を検出する複数の光
    検出手段と、 を具備したことを特徴とする放射線検出装置。
  3. 【請求項3】放射線の入射に起因して光を生じ同一平面
    内に配置された複数のシンチレータと、前記各シンチレ
    ータの両側面に配置され内部に蛍光体を含むライトガイ
    ドと、前記ライトガイドの各端面に配置され蛍光変換さ
    れた光を検出する複数の光検出手段と、からなる第1の
    放射線検出層と、 前記第1の放射線検出層と同じ構成要素からなり、かつ
    放射線が前記第1の放射線検出層における前記シンチレ
    ータに入射する面に対して反対側にて平行に配置された
    第2の放射線検出層と、 を具備したことを特徴とする放射線検出装置。
  4. 【請求項4】前記第2の放射線検出層に対して前記第1
    の放射線検出層と反対側に、かつ前記第1の放射線検出
    層と前記第2の放射線検出層における前記シンチレータ
    の長手方向に対して直交するよう配置された複数の第2
    のライトガイドと、 前記各第2のライトガイドの端面に配置され蛍光変換さ
    れた光を検出する複数の光検出手段と、 を備えたことを特徴とする請求項3に記載の放射線検出
    装置。
  5. 【請求項5】前記第2のライトガイドにおける前記シン
    チレータ側に向いた表面に板状のシンチレータを密着し
    たことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出装置。
  6. 【請求項6】前記第2のライトガイドにおける前記シン
    チレータ側と反対の表面に板状のシンチレータを密着し
    たことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出装置。
  7. 【請求項7】二つの前記シンチレータ間に介在する前記
    第1のライトガイド内に、前記二つのシンチレータ間の
    光伝播を阻止する手段を備えたことを特徴とする請求項
    2乃至6のいずれかに記載の放射線検出装置。
  8. 【請求項8】前記第1の放射線検出層における前記シン
    チレータの両側に配置された前記第1のライトガイドに
    装着されたいずれか二つの前記光検出手段の出力または
    前記第2の放射線検出層における前記シンチレータの両
    側に配置された前記第1のライトガイドに装着されたい
    ずれか二つの前記光検出手段の出力と、前記第2のライ
    トガイドに装着されたいずれか一つの前記光検出手段の
    出力とを入力し論理積処理を行なう処理手段を備え、 前記処理手段の出力から、前記二つのシンチレータに係
    る位置情報が付加された放射線検出情報を得ることを特
    徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
  9. 【請求項9】一つの前記シンチレータの両側に配置され
    た前記第1のライトガイドに装着されたいずれか二つの
    前記光検出手段の出力と前記第2のライトガイドに装着
    されたいずれか一つの前記光検出手段の出力とを入力し
    論理積処理を行なう処理手段を備え、 前記処理手段の出力から、前記シンチレータに係る位置
    情報が付加された放射線検出情報を得ることを特徴とす
    る請求項2、5、6のいずれかに記載の放射線検出装
    置。
  10. 【請求項10】前記第1のライトガイドと前記第2のラ
    イトガイドに装着された前記光検出手段の出力を入力
    し、論理演算により放射線の入射位置情報を含んだ入射
    放射線の種類及びエネルギーの弁別処理を行なう演算処
    理部を備えたことを特徴とする請求項8または9に記載
    の放射線検出装置。
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