JP2000343665A - 発泡層を含む熱可塑性ポリエステル積層体とその製品 - Google Patents

発泡層を含む熱可塑性ポリエステル積層体とその製品

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JP2000343665A JP2000128002A JP2000128002A JP2000343665A JP 2000343665 A JP2000343665 A JP 2000343665A JP 2000128002 A JP2000128002 A JP 2000128002A JP 2000128002 A JP2000128002 A JP 2000128002A JP 2000343665 A JP2000343665 A JP 2000343665A
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Ghatta Hussein Al
アル ガッタ フッサイン
Severini Tonnino
セベリーニ トニーノ
Yasuo Oonoki
康夫 大軒
Tomohiro Mizutani
智裕 水谷
Hiroki Inoue
博樹 井上
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Sinco Ricerche SpA
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性ポリエステル発泡層の有する、優れ
た断熱性、吸音性、軽量性、耐熱性、耐薬品性、成形性
を維持したまま、優れた機械的強度を同時に発現できる
熱可塑性ポリエステル積層体とその製品を提供する。 【解決手段】 本発明に係る熱可塑性ポリエステル積層
体は、熱可塑性ポリエステルの繊維強化層Aが熱可塑性
ポリエステルの発泡層Bに積層されてなる積層構造AB
を備えることを特徴とする。また、本発明に係る製品
は、本発明の熱可塑性ポリエステル積層体を含むことを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内装材、包装材、
断熱材、緩衝材等に用いられる発泡熱可塑性ポリエステ
ル積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステルの発泡シートは、
優れた断熱性、吸音性を有するとともに、軽量であり、
加えて、熱可塑性ポリエステルの特性である耐熱性と耐
薬品性を発揮するほか、成形性にも優れているので、注
目されている。例えば、日本特許第2847723号公
報は、このような長所を自動車のトランクルーム用内装
材に生かすものとして、不織布等の布地からなる表皮材
の裏面に熱可塑性ポリエステル発泡層を裏打ちする技術
を提案している。熱可塑性ポリエステル発泡シートは、
上述の長所を有する反面、発泡体に特有の欠点を持って
おり、その改善が望まれる。
【0003】例えば、特開平6−170999号公報
は、熱可塑性ポリエステル発泡シートの表面に生じてい
る凹凸が発泡シートを熱成形するときにピンホールを発
生させる原因となることから、熱可塑性ポリエステル発
泡シートの少なくとも片面にポリエステル樹脂層を形成
する技術を提案している。特開平8−300585号公
報は、熱可塑性ポリエステル発泡シートの表面印刷性を
改善するために、熱可塑性ポリエステル発泡シートの表
面に非発泡の熱可塑性ポリエステル層を形成する技術を
提案している。特開平9−156005号公報は、熱可
塑性ポリエステル発泡シートの耐熱性を生かした加熱調
理用容器において、その耐熱性を生かしながら外観意匠
性を高めるために、熱可塑性ポリエステル発泡シートの
一面に非発泡の熱可塑性ポリエステル層を形成する技術
を提案している。特開平10−180952号公報は、
ガスバリア性を高めるために、熱可塑性ポリエステル発
泡シートの片面に、非発泡の熱可塑性ポリエステルフィ
ルム、エチレンビニルアルコール共重合樹脂フィルムお
よび非発泡の熱可塑性ポリエステルフィルムを順に重ね
る技術を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱可塑性ポ
リエステル発泡シートの欠点の一つに機械的強度が低い
ことがある。上記特開平10−180952号公報は、
前述の多層構造により適度の強度が得られるとしている
が、層構造が複雑であり、しかも、機械的強度の向上も
十分ではない。この機械的強度の面が改善されると、熱
可塑性ポリエステル発泡シートは、その優れた成形性、
断熱性、吸音性を生かし、また、優れた耐熱性、耐薬品
性を生かして、多種の製品、例えば、自動車用内装材、
加熱食品容器、包装材料、緩衝材、フロアマット等の住
宅用内装材、電子部品用積層材などに有効に用いること
が出来る。熱可塑性ポリエステル発泡シートは、軽量性
に優れるので、大型製品に用いることに特に適してい
る。
【0005】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、熱可塑性ポリエステル発泡層の機械的強度を増す
ことにより、熱可塑性ポリエステル発泡層を多様な用途
に適用できるようにすることである。
【0006】
【課題が解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するべく、鋭意検討を行った。その結果、強化繊維を
含有させた熱可塑性ポリエステル繊維強化層を熱可塑性
ポリエステル発泡層に積層させると、得られる熱可塑性
ポリエステル積層体は、熱可塑性ポリエステル発泡層の
有する、優れた断熱性、吸音性、軽量性、耐熱性、耐薬
品性、成形性を維持したまま、優れた機械的強度を同時
に発現できることを見いだした。さらに、この形態では
発泡層と繊維強化層とが同一素材、すなわち、熱可塑性
ポリエステルで構成されているので、これらを積層させ
る際の層間接着性が良好であることも判った。また、こ
のように同一素材で構成されているので、廃棄の際の選
別が不要となり、リサイクル性にも優れることが判っ
た。
【0007】すなわち、本発明に係る熱可塑性ポリエス
テル積層体は、熱可塑性ポリエステルの繊維強化層Aが
熱可塑性ポリエステルの発泡層Bに積層されてなる積層
構造ABを備えることを特徴とする。また、本発明に係
る製品は、本発明の熱可塑性ポリエステル積層体を含む
ことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。 [熱可塑性ポリエステル]本発明で用いる熱可塑性ポリ
エステルは、酸成分とジオールを主とする重縮合体であ
り、酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジ
カルボン酸などのジカルボン酸や、テレフタル酸ジオメ
チルなどのジカルボン酸誘導体が挙げられ、これらは単
独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ジオ
ールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどが挙
げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併
用してもよい。
【0009】これらの重縮合体の中でも、工業的利用価
値の高さなどから、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレートが好ましく、ポリエチレンテレ
フタレートが最も好ましい。さらに、これらの熱可塑性
ポリエステルは、様々な高分子量化技術により調整して
使用することができる。高分子量化技術としては、固相
重縮合技術や、種々の鎖延長剤を用いて溶融状態あるい
は固相状態で高分子量化反応を行う技術等がある。本発
明における積層構造をなす熱可塑性ポリエステル樹脂に
おいて、上記の高分子量化技術は適宜使用可能である。
例えば、繊維強化ポリエステル層および発泡層を、鎖延
長剤を用いて溶融状態で高分子量化した熱可塑性ポリエ
ステルを用いて得てもよいし、繊維強化ポリエステル層
および発泡層を、鎖延長剤を用いて固相状態で高分子量
化した熱可塑性ポリエステルを用いて得てもよい。ま
た、各層をそれぞれの高分子量化技術の組み合わせで得
てもよい。上記高分子量化技術は特に限定されるもので
はないが、品質安定化の観点から、鎖延長剤として、多
価カルボン酸無水物を用いて付加させることにより高分
子量化したものが好ましく、さらにゲル化などのトラブ
ルが少ないという観点から、固相重付加反応によって多
価カルボン酸無水物を付加して高分子量化したものがよ
り好ましい。こうして高分子量化した熱可塑性ポリエス
テルを用いることによって、繊維強化ポリエステルにお
いては剛性がさらに向上し、熱可塑性ポリエステル発泡
層においては発泡成形性が向上する。飲料ビンのスクラ
ップのように回収された再生熱可塑性ポリエステル系樹
脂も、上記の高分子量化技術により調整して好適に使用
することができる。
【0010】貼り合わせられる各層の熱可塑性ポリエス
テルは、成形性、リサイクル性の観点から、熱可塑性ポ
リエステルの繰り返し単位となるジカルボン酸とジオー
ルがそれぞれ50モル%、好ましくは70モル%、さら
に好ましくは80モル%以上一致するか、または、融点
が30℃以内で一致することが好ましい。また、各層の
熱可塑性ポリエステルが同一である場合、すなわち、各
層ともポリエチレンテレフタレートである場合が、リサ
イクル性の点から最も好ましい。本発明で用いる熱可塑
性ポリエステルは、限定する訳ではないが、多価カルボ
ン酸無水物を用いて溶融混練することによる鎖延長反応
により分子量を増大させてなる熱可塑性ポリエステルで
あることが好ましい。多価カルボン酸無水物を用いた溶
融混練により、分子量の増大がより確実になるからであ
る。
【0011】本発明で用いることのできる多価カルボン
酸無水物としては、芳香族テトラカルボン酸の二無水
物、特にピロメリット酸二無水物が好ましい。その他の
有用な二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’
−ジフェニルテトラカルボン酸、(ペリレン−3,4,
9,10)テトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)スルホン、1,2,3,4−シクロブ
タンテトラカルボン酸および2,3,4,5−テトラカ
ルボキシヒドロフランが挙げられる。多価カルボン酸無
水物の使用量は、ポリエステル樹脂100重量部当た
り、0.05〜2重量部の範囲内である。
【0012】上記溶融混練の際、必要に応じて、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレ
フィン類や塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセタール、ポ
リビニルアルコール、ポリスチレン、AS樹脂、ABS
樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、熱可塑性エラス
トマー類などの他の熱可塑性樹脂を加えてもよいし、炭
酸カルシウムやタルクなどの充填剤、結晶核剤、結晶促
進剤、可塑剤、抗酸化剤、安定剤、顔料、難燃剤、離形
剤などの添加剤を加えても良い。本発明で用いる熱可塑
性ポリエステル樹脂は、限定する訳ではないが、多価カ
ルボン酸無水物を用いて溶融混練する工程を少なくとも
含むことにより分子量が増大した熱可塑性ポリエステル
であることが好ましい。
【0013】この溶融混練は、二軸押出機を用いた溶融
分散混練によることがさらに好ましい。該二軸押出機は
特に限定されないが、例えば、ベント付き同方向かみ合
い二軸スクリュー押出機、ベント付き同方向非かみ合い
二軸スクリュー押出機、ベント付き異方向かみ合い二軸
スクリュー押出機、ベント付き異方向非かみ合い二軸ス
クリュー押出機、無ベント式同方向かみ合い二軸スクリ
ュー押出機、無ベント式同方向非かみ合い二軸スクリュ
ー押出機、無ベント式異方向かみ合い二軸スクリュー押
出機、無ベント式異方向非かみ合い二軸スクリュー押出
機などが挙げられ、この中でもベント付き異方向非かみ
合い二軸スクリュー押出機が特に好ましい。さらに溶融
混練の温度は、用いるポリマーまたはコポリマーの融点
によって異なるが、240〜300℃の範囲内にあるこ
とが好ましく、また、押出機中での滞留時間は20〜1
00秒の範囲内にあることが好ましい。
【0014】前記溶融混練で得られた混合物は、後述の
固相重付加反応処理に付す場合には、ペレット状である
ことが好ましい。前記溶融混練で二軸押出機を用いる時
は、前記混合物を押出機からストランド状(直径が、好
ましくは1〜10mm、より好ましくは3〜5mm)に
て押し出し、ペレタイザーによるカット(長さが、好ま
しくは1〜20mm、より好ましくは2〜10mm)に
よりペレタイズして、固形チップ状のペレットを得る。
本発明で用いる熱可塑性ポリエステル樹脂は、特に限定
する訳ではないが、上記溶融混練の後に固相重付加反応
させてなる熱可塑性ポリエステルであることが好まし
い。この固相重付加反応により、分子量がより一層高く
なるからである。
【0015】この固相重付加反応を行う際は、溶融混練
後の混合物をペレット状に成形して用いるのがよい。ペ
レットにして使用することにより、大きな反応スペース
は不必要となり、コスト的に有利となる。この混合物
を、固相重付加反応器で、常圧下、不活性ガスを通しな
がら、または、減圧下、180〜230℃で加温するこ
とにより固相重付加反応を行う。このような不活性ガス
を通すことや減圧により、前記混合物に含まれている揮
発成分や水分が効果的に除去される。本発明に係る繊維
強化ポリエステル成形材料は、ペレット状態で固相重付
加反応をさせて得た樹脂を含む場合が好ましい。この理
由は、ポリエステルと多価カルボン酸無水物を含む混合
物の溶融反応法でも良いが、この方法の場合、ポリエス
テルの融点以上で反応を行うため、過度に反応が進み、
3次元化してしまう可能性がある。この結果、押出機内
でのベントアップが起こったり、押出時にダイスウェル
効果によって成形後の厚みが不均一になり、破断や局部
伸張の原因となる。また、高分子量化したPET樹脂の
固有粘度(IV)の分布等が不均一になる場合がある。
固相重付加反応では、これら問題点が発生せずに、十分
に高い固有粘度までポリエステルを高分子量化できるの
で、本発明において採用できる好ましい高分子量化の方
法は固相重付加反応である。より好ましくは、ペレット
状態での固相重付加反応である。また、この固相重付加
反応させて得た樹脂を含む本発明の成形材料は、固有粘
度(IV)を測定できる程度に高分子量化を達成してい
るので、3次元化されておらず、成形性も確保され、成
形材料として好ましい形態になっている。その結果、ド
ローダウン性を改善しながら、押出成形の成形性や成形
品外観も良好な成形品を得ることができる。また、本発
明の固相重付加反応は、樹脂とガラス繊維が混ざった成
形材料に対して行ってもよい。例えば、ペレット状にし
たガラス繊維入りの成形材料に対して行うことができ
る。
【0016】前記固相重付加反応によって、ポリエステ
ル樹脂の固有粘度を増大させた高分子量の繊維強化ポリ
エステル樹脂成形材料が得られ、該繊維強化ポリエステ
ル樹脂成形材料の固有粘度は、好ましくは0.5dl/
g以上、さらに好ましくは、0.5〜1.8dl/g、
さらにより好ましくは0.6〜1.8dl/gの範囲内
まで向上する。[発泡層]熱可塑性ポリエステルの発泡
層を形成する方法は、公知の各種方法を採用することが
でき、特に限定しない。以下に、その一例を具体的に説
明する。
【0017】本発明に用いられるポリエステル系樹脂発
泡層は、たとえば配合量を調整した熱可塑性ポリエステ
ルや増粘剤などを押出機内で溶融混合させ、その溶融混
合物を高圧下で発泡剤と混合し、ついでえられた混合物
を大気中などの低圧域に押出し、層状に発泡成形するな
どしてうることができる。前記押出機としては、たとえ
ば単軸押出機、多軸押出機、タンデム押出機などの押出
成形機を用いることができ、これらの押出機を用いるば
あいには、前記溶融混合物は、口金から低圧域に押出さ
れる。前記発泡剤としては、加熱によって気化ないし膨
脹する性質を有する物理発泡剤などを用いることができ
る。
【0018】前記発泡剤の代表例としては、たとえば炭
酸ガス、チッ素ガスなどの不活性ガス;メタン、エタ
ン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、
イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、2−
メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチ
ルブタン、2,3−ジメチルブタンなどの飽和脂肪族炭
化水素;メチルシクロプロパン、シクロペンタン、エチ
ルシクロブタン、1,1,2−トリメチルシクロプロパ
ンなどの飽和脂環族炭化水素;ベンゼンなどの芳香族炭
化水素;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロフル
オロメタン、モノクロロジフルオロメタン、トリクロロ
トリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタンな
どのハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、2−エト
キシエタノールなどのエーテル;アセトン、メチルエチ
ルケトン、アセチルアセトンなどのケトンなどがあげら
れ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いるこ
とができる。
【0019】前記発泡剤の使用量は、えられる熱可塑性
ポリエステル発泡層が所望の発泡倍率を有するようにす
るには、発泡層をうるためのポリエステル系樹脂などを
溶融混合させた溶融混合物100部に対して0.5部以
上、なかんづく1部以上とすることが好ましく、また押
出成形時にシートの寸法安定性が低下しないようにする
には、前記溶融混合物100部に対して10部以下、な
かんづく7.5部以下とすることが好ましい。かくして
得られる熱可塑性ポリエステる発泡層の厚さは、熱可塑
性ポリエステル積層体の使用目的に応じて適宜調整すれ
ばよいが、通常0.5〜5mm程度であることが好まし
い。また、かかる熱可塑性ポリエステル発泡層の発泡倍
率も、熱可塑性ポリエステル積層体の使用目的に応じて
適宜調整すればよいが、例えば、1.5〜20倍であ
る。
【0020】本発明の発泡層は、その目的に応じ、安定
剤、顔料、充填剤、難燃剤、帯電防止剤等を添加するこ
とができる。また、発泡剤の使用量は、ポリエステル樹
脂100部に対し、0.5部以上が好ましく、1部以上
がさらに好ましい。その上限は10部である。発泡剤が
多すぎると、成形時余分な発泡が発生し、シートや発泡
層の寸法安定性が低下する。また、上記発泡層の気泡を
細かくするために、公知の発泡核剤を添加することがで
きる。タルクや各種金属塩等である。その量はポリエス
テル100部に対し、0.01〜5部である。また、押
し出し発泡成形させる時、押し出し成形性を改良するた
めに、公知の反応促進剤を用いることもできる。例え
ば、炭酸ナトリウム等のI、II、III族の金属化合
物や、ステアリン酸アルミニウム等の有機金属化合物等
である。その添加量は、ポリエステル100部に対し、
0.01〜5部である。
【0021】[繊維強化層]強化繊維としては、例え
ば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維のような無機繊維
でも、マトリックス樹脂の成形温度では溶融しない熱可
塑性ポリエステル繊維、ポリアミド繊維のような有機繊
維でも良い。これらのうちでも、ガラス繊維は価格と剛
性、強度の点で優れ、また、同じガラス繊維強化ポリエ
ステル樹脂へリサイクルするのであれば、特に問題はな
い。また、熱可塑性ポリエステル繊維は素材がマトリッ
クス樹脂と同じなのでリサイクル性に優れる。繊維の長
さは、限定する訳ではないが、0.1〜5mmが好まし
く、0.2〜1.0mmがより好ましい。
【0022】繊維量は、限定する訳ではないが、1〜4
5重量%が好ましく、5〜45重量%がより好ましい。
前述の熱可塑性ポリエステルとこれらの繊維を混合し、
必要に応じて発泡層で述べた他の配合材料を混合したの
ち、例えば、温度240〜280℃で、厚み0.3〜2
0mm、より好ましくは0.3〜10mmのシート状に
成形することにより、繊維強化シートを得る。また、こ
の厚みは積層体の目的により、自由に変えうるものであ
り、特に限定されるものではない。 [積層体]本発明にいう熱可塑性ポリエステル積層体
は、熱可塑性ポリエステルの繊維強化層と熱可塑性ポリ
エステルの発泡層を含むことを特徴とし、この場合、繊
維強化層と発泡層は互いに積層している。言い換えれ
ば、繊維強化層が発泡層の上に積層していてもよいし、
発泡層が繊維強化層の上に積層していてもよい。ここ
で、「積層」という語は、互いに積層された各層が一体
化されたものをいう。具体的には、熱可塑性ポリエステ
ルの繊維強化層をA、熱可塑性ポリエステルの発泡層を
Bで表した場合、ABの積層構造、ABAの積層構造、
ABABの積層構造など、その全体の積層構造中にAB
なる積層構造を少なくとも1つ有するものをいう。
【0023】本発明の熱可塑性ポリエステル積層体は、
強度の点より、前記ABAの三層構造のものや、前記A
Bの積層構造が連続したものが好ましいが、この形態に
特に限定されるものではない。本発明にかかる熱可塑性
ポリエステル積層体は、上述の発泡層と繊維強化層を積
層してなる積層体であり、必要に応じて、その少なくと
も1面に、下記の意匠層や非発泡の熱可塑性ポリエステ
ルフィルムをさらにラミネートしてもよい。意匠層と非
発泡の熱可塑性ポリエステルフィルムは、必要に応じ、
本発明にかかる熱可塑性ポリエステルシートの最外層を
構成する。意匠層は、不織布、織布、起毛布等の布地で
あって、本発明にかかる熱可塑性ポリエステル積層体を
内装用途等に用いる場合の外観品質を向上させる。意匠
層の厚みに限定はない。非発泡の熱可塑性ポリエステル
フィルムは、シート本体の物性向上、成形性向上、印刷
性向上、接着性向上、耐水化等の表面保護強化などの働
きをする。透明性、延伸の有無、結晶化度、表面硬度、
厚みに限定はない。
【0024】本発明における発泡層や繊維強化層や、フ
ィルムなどをラミネートする方法には、熱融着による方
法、接着による方法等がある。接着方法の場合の接着層
は、本発明にかかる熱可塑性ポリエステルシートの層と
は見ない。また、本発明にいう「積層体」は、マルチレ
イヤープロダクト、マルチレイヤーアーティクル、ラミ
ネーテッドレイヤーなどと呼ぶ場合もある。 [製品]本発明にかかる製品は、上に述べた本発明の熱
可塑性ポリエステル積層体を含むものであれば、種類を
問わない。本発明の積層体は、発泡層のもつ断熱性、吸
音性と共に、ガラス繊維強化ポリエステル樹脂の持つ強
度をあわせもつ積層体であり、十分な強度があるので、
自動車内装材や、住宅用資材等に適しているが、これら
に限定はされない。また、各種箱型の断熱容器、特に、
十分な強度を有しているので、大型成形品にも適応させ
ることができる。一例を挙げれば、以下の通りである。
【0025】(自動車部品)自動車内装材、自動車外装
材、バンパー、外壁、インパネ、シャーシ、シート、天
井材、トランクマット、カウルサイド、ホイルハウスカ
バー、シートバック、シートカマチ、フロアーマット、
サンバイザー、成型ドア、ピラートリム、ドアトリム、
クォータートリム、配線プロテクター、カークーラー断
熱材、トランクサイド、ヘッドレスト、アームレスト、
トランク内ツールボックス、側突パッド、センターピラ
ーガーニッシュ、エアフィルター、防音シート、ガスケ
ット、ダストカバー、クラッシュパッド、ヘルメット、
サドル、ルーフサイド、トランクリッド、グラスラン、
ドリップ、ドアフレーム。
【0026】(車両・航空・船舶用部材)車両内装材、
車両外装材、シャーシ、外壁、芯材、シート、間仕切
り、点検口、床防音材、地下鉄用マットレス、冷凍車、
保冷車、縦通材、甲板、航空機機体、コンテナー、ギャ
レー、各種パッキン、配管断熱材、カウリング。 (家電用品)ハウジング、電気ポット、カラーTV、冷
蔵庫、保温釜、エアコン室内機、エアコン室外機、クリ
ーナー、洗濯機、電子部品トレー、省エネルギー機器用
断熱材。
【0027】(OA機器用品)ハウジング、パソコン、
ワープロ、スピーカーグリル。 (土木・建築材)建築断熱材、住宅用断熱材、非住宅用
断熱材、住設内装建材、住設外装建材、各種土木建築用
資材、家具、壁紙、クッションフロアー、床下収納箱、
ブロック、濡れ縁、床材、床材の下敷き、防湿・防水断
熱材、長尺屋根断熱・防露材、屋上断熱・防水材、目地
材、カーペット下敷き、折り板屋根材、水道・温水配管
保温材、バス保温材、シンク防露材、サッシ用目地材、
バックアップ材、トンネル用材、床暖房マット、水洗ト
イレタンクの断熱材、ベニア複合品、ネダ材、キッチン
キャビネット、収納ボックス、型枠兼用断熱パネル、断
熱パネル、遮音パネル、吸音パネル、間仕切り、家具・
建材の縁材や飾り、巾木、まわり縁、見切り縁、階段手
すり、浴室出入り枠、サッシ枠、開放枠、出窓枠、化粧
破風板、化粧幕板、鼻隠し板、笠木、倉庫、屋根・天井
・壁・床の下地材、ドアパネル、サイディングパネル、
人工木材、防火ドア、高速道路の側面、防護壁、電波吸
収体、乾燥機、加熱炉、ダクト、ユニットバス、ボック
スカルバート、プレハブ、住宅パネル、防水パン。
【0028】(工業用材)パイプカバー、パッキング
材、クッション材、断熱機器、プラント施設、空調設備
用断熱材、凍結防止、恒温器、冷凍空調機器用保温材、
仕切板、間仕切り、アテ材、防震材、貯蔵タンク、配管
設備、型枠、クリーンルーム、レントゲン台。 (容器)食器容器、食品トレー、どんぶり、意匠容器、
折り箱、梱包材、魚箱、包装材、業務用桶、パレット、
コンテナ、農業用箱、冷凍食品類の保冷材、アイスボッ
クス、クーラーボックス、バックの芯材、医療用品容
器、工具入れ、製造ライントレー、陳列皿、輸送箱、配
達容器、タンク。
【0029】(雑貨・その他)ディスプレイ材、スポー
ツ用品、寝具、畳芯材、自転車部品、マットレス、ブラ
インドシート、養生シート、カセットテープケース、風
呂マット、台所マット、健康マット、デスクマット、水
泳用ビートボード、体育マット、玩具、教材、切り文
字、人工芝用アンダーパッド、ジョイントカーペット、
サーフボード、スキー板、ベットコア材、鞄の底材、道
路標識、掲示板(サインボード)、農業・園芸用保温資
材、ファイル、アルバム、バインダー、POP素材、傷
防止シート、パターン、看板、貼合材、自動販売機、シ
ョーケース、パネルボード、スキット材、額縁、サイド
ボード枠、表面材、鏡フレーム、プール、水槽、ソファ
ー、敷き布団、フロアチェアー、座椅子、座布団、ラケ
ット、テーブル上板、模型、家具表面材、フロート材、
インテリア材。
【0030】以上に挙げたものは一例であり、所定の金
型等を用いることにより、任意の形状の本発明の積層体
または積層構造を有する成形品を得ることが可能であ
る。
【0031】
【実施例】以下に本発明を具体的に説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。 [実施例1] 〈固相重付加反応によるPETの高分子
量化〉 使用される繊維強化熱可塑性ポリエステルは以下のよう
にして製造された。ポリエチレンテレフタレート(以
下、PETと称す)(固有粘度=0.6dl/g)6
9.05重量%、無水ピロメリット酸(以下、PMDA
と称す)0.25重量%、チョップドガラス繊維(長
さ:3mm、日東紡績社製、商品名:CS−3J−94
1)30重量%、核剤としてタルク(富士タルク社製、
商品名:LMP−100)0.7重量%を、重量式フィ
ーダーを用いて二軸スクリュー押出機(L/D=48)
で溶融分散混練(温度270℃、滞留時間30秒)を行
い、ダイよりストランドを押し出した。押し出したスト
ランドを水中で冷却した後、ストランドカッターでペレ
タイズしてペレットを得た。得られたペレットをタンブ
ラー型回転反応装置に仕込み、反応装置の回転数10r
pm、温度220℃、圧力1Torr(133Pa)、
固相付加重合時間6時間の条件で反応させることによっ
て前記ペレットの固有粘度を0.79dl/gまで上昇
させた。このペレットを160℃で6時間減圧乾燥した
後、押出成形機(L/D=24)に導入し、押出成形
(温度270℃、滞留時間45秒)を行い、幅1m、厚
さ3mmの平板の成形品を得た。(以下、これを強化P
ETと称す) 使用される熱可塑性ポリエステル発泡体は以下のように
して製造された。PET(固有粘度=0.6dl/g)
98.52重量%、PMDA0.49重量%、核剤とし
てタルク(富士タルク社製、商品名:LMP−100)
0.99重量%を、重量式フィーダーを用いて二軸スク
リュー押出機(L/D=48)で溶融分散混練(温度2
70℃、滞留時間27秒)を行い、ダイよりストランド
を押し出した。押し出したストランドを水中で冷却した
後、ストランドカッターでペレタイズしてペレットを得
た。得られたペレットをタンブラー型回転反応装置に仕
込み、反応装置の回転数10rpm、温度220℃、圧
力1Torr(133Pa)、固相付加重合時間10時
間の条件で反応させることによって前記ペレットの固有
粘度を0.95dl/gまで上昇させた。このペレット
を160℃で6時間減圧乾燥した後、発泡押出成形機
(L/D=24)に導入し、発泡剤として窒素ガスを圧
入し、発泡押出成形(温度270℃、滞留時間49秒)
を行い、発泡倍率10倍、幅1m、厚さ3mmの平板の
発泡成形品を得た。(以下、これを発泡PETと称す) 強化PETと発泡PETをそれぞれ300×300mm
の大きさに切り出し、それぞれの片面を表面温度140
℃の加熱板上で1分間余熱し、余熱した面同士を合わ
せ、速やかにプレス機にて5kg/cm2 (5000h
Pa)の圧力でプレスした。さらに同様にして発泡PE
Tのもう一方の面と、新たな強化PETを貼り合わせ、
強化PET/発泡PET/強化PETの構成の積層品を
得た。
【0032】(接着性) 接着性は積層品の層の接着具合を以下のように評価し、
結果を表1に示した。 ○:接着性良好。全く、層剥離は見られない。 △:接着性やや悪い。部分的に層剥離が見られる。 ×:接着性悪い。剥離が顕著。 (廃棄時の分別性)同一素材でないものは廃棄時、リサ
イクル時に分別が必要であり、この作業は手作業である
ため、当該業者に対して非常に嫌われる。そこで分別の
必要性の有無を○、×で評価した。(○は分別の必要性
無し)結果を表1に示した。
【0033】(リサイクル性)分別を行わないまま、積
層品を粉砕し、押出機に導入し、再ペレット化を行っ
た。この際、繊維強化ポリエステル樹脂の原料として再
利用できるリサイクルペレットが得られるかどうかを以
下のように評価した。結果を表1に示した。 ○:問題なく使用できる。 △:PET以外の成分の分離が見られ、使用には適さな
い。 ×:押出機中で成分が分解を起こし、ペレットが得られ
ず、使用には全く適さない。
【0034】[実施例2] 〈PET不織布積層体〉 実施例1で利用した強化PETと発泡PETと意匠層と
してPET繊維でできた不織布(以下、PET不織布と
称す)を用い、実施例1と同様の工程を経て、強化PE
T/発泡PET/PET不織布(PET不織布の表面が
最外層とする)の構成の積層品を得た。これを実施例1
と同様に評価し、結果を表1に示した。 [比較例1]実施例1で利用した強化PETと、発泡倍
率5倍、厚さ2mmの発泡ポリエチレンシート(以下、
発泡PEと称す)を用い、余熱温度を100℃とする以
外、実施例1と同様の工程を経て、強化PET/発泡P
Eの構成の積層品を得た。これを実施例1と同様に評価
し、結果を表1に示した。
【0035】[比較例2]実施例1で利用した強化PE
Tと発泡PETと意匠層として厚さ0.5mmの塩化ビ
ニル樹脂フィルム(以下、PVCフィルムと称す)を用
い、実施例1と同様の工程を経て、強化PET/発泡P
ET/PVCフィルムの構成の積層品を得た。これを実
施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】次に、本発明を自動車内装材の用途に用い
た例として、天井材を成形した例を以下の実施例3に示
す。また、各種内装材、例えば、壁材としての一例であ
る、L型チャンネル構造の成形品を成形した例を以下の
実施例4に示す。これらの成形の結果から考えて、本発
明の積層体は、各種金型や成形条件に適応させれば、各
形状の所望の成形品、例えば、断熱容器等の箱型やバス
タブ型であっても、容易に成形できることが判明した。 [実施例3] 〈強化PETの厚み変更〉 強化PETの厚さを1mmとした以外は実施例1と同様
の工程で製造した、強化PET/発泡PET/強化PE
Tの構成の積層体を、遠赤外線加熱して各層の実温を1
80℃以上とし、次いで、真空成形法にて自動車の天井
材料状に成形した。得られた成形品は剛性が高く、断熱
性が良好であった。成形品の形状を図1に示す。
【0038】[実施例4] 〈L型チャンネル成形〉 実施例3で用いた、強化PET/発泡PET/強化PE
Tの構成の積層体を、180℃に加熱した金型を用いて
加圧成形にて、壁のコーナー部に接合部を必要としない
曲面付L型チャンネル構造に成形した。得られた成形品
は曲面に接合部を有しないため、壁材を組み立てる際の
接合作業が容易であった。成形品の形状を図2に示す。 [実施例5] 〈溶融混練によるPETの高分子量化〉 使用される繊維強化熱可塑性ポリエステルは以下のよう
にして製造された。PET(固有粘度=0.6dl/
g)68.8重量%、PMDA0.5重量%、チョップ
ドガラス繊維(長さ:3mm、日東紡績社製、商品名:
CS−3J−941)30重量%、核剤としてタルク
(富士タルク社製、商品名:LMP−100)0.7重
量%を、実施例1で用いた二軸スクリュー押出機で溶融
分散混練(温度285℃、滞留時間240秒)を行い、
ダイよりストランドを押し出した。押し出したストラン
ドを水中で冷却した後、ストランドカッターでペレタイ
ズしてペレットを得た。得られたペレットの固有粘度を
測定したところ、0.71dl/gであった。このペレ
ットを160℃で6時間減圧乾燥した後、実施例1と同
様に押出成形を行い、幅1m、厚さ3mmの強化PET
を得た。
【0039】使用される熱可塑性ポリエステル発泡体は
以下のようにして製造された。PET(固有粘度=0.
6dl/g)98.4重量%、PMDA0.6重量%、
核剤としてタルク(富士タルク社製、商品名:LMP−
100)1重量%を、実施例1で用いた二軸スクリュー
押出機で溶融分散混練(温度285℃、滞留時間300
秒)を行い、ダイよりストランドを押し出した。押し出
したストランドを水中で冷却した後、ストランドカッタ
ーでペレタイズしてペレットを得た。得られたペレット
の固有粘度を測定したところ、0.75dl/gであっ
た。このペレットを160℃で6時間減圧乾燥した後、
実施例1と同様に発泡押出成形を行い、発泡倍率5倍、
幅1m、厚さ3mmの発泡PETを得た。
【0040】こうして、溶融反応で得た強化PETと、
溶融反応で得た発泡PETを用い、実施例1と同様の工
程を経て、強化PET/発泡PET/強化PETの構成
の積層品を得た。これを実施例1と同様に評価した。結
果を表2に示した。 [実施例6] 〈多価カルボン酸無水物未使用〉 使用される繊維強化熱可塑性ポリエステルは以下のよう
にして製造された。PET(固有粘度=0.6dl/
g)69.3重量%、チョップドガラス繊維(長さ:3
mm、日東紡績社製、商品名:CS−3J−941)3
0重量%、核剤としてタルク(富士タルク社製、商品
名:LMP−100)0.7重量%を、実施例1で用い
た二軸スクリュー押出機で溶融分散混練(温度270
℃、滞留時間25秒)を行い、ダイよりストランドを押
し出した。押し出したストランドを水中で冷却した後、
ストランドカッターでペレタイズしてペレットを得た。
得られたペレットを、実施例1で用いたタンブラー型回
転反応装置に仕込み、反応装置の回転数10rpm、温
度220℃、圧力1Torr(133Pa)の条件下で
10時間、固相縮合重合反応させることによって前記ペ
レットの固有粘度を0.70dl/gまで上昇させた。
このペレットを160℃で6時間減圧乾燥した後、実施
例1と同様に押出成形を行い、幅1m、厚さ3mmの強
化PETを得た。
【0041】使用される熱可塑性ポリエステル発泡体は
以下のようにして製造された。PET(固有粘度=0.
6dl/g)99重量%、核剤としてタルク(富士タル
ク社製、商品名:LMP−100)1重量%を、実施例
1で用いた二軸スクリュー押出機で溶融分散混練(温度
270℃、滞留時間25秒)を行い、ダイよりストラン
ドを押し出した。押し出したストランドを水中で冷却し
た後、ストランドカッターでペレタイズしてペレットを
得た。得られたペレットを、実施例1で用いたタンブラ
ー型回転反応装置に仕込み、反応装置の回転数10rp
m、温度220℃、圧力1Torr(133Pa)の条
件下で12時間、固相縮合重合反応させることによって
前記ペレットの固有粘度を0.75dl/gまで上昇さ
せた。このペレットを160℃で6時間減圧乾燥した
後、実施例1と同様に発泡押出成形を行い、発泡倍率4
倍、幅1m、厚さ3mmの発泡PETを得た。
【0042】こうして得られた強化PETと発泡PET
を用い、実施例1と同様の工程を経て、強化PET/発
泡PET/強化PETの構成の積層品を得た。これを実
施例1と同様に評価した。結果を表2に示した。 [実施例7] 〈ボトルスクラップPET使用〉 使用される繊維強化熱可塑性ポリエステルは以下のよう
にして製造された。飲料ペットボトルのスクラップを粉
砕した、再生PETフレーク(固有粘度=0.64dl
/g)69.05重量%、PMDA0.25重量%、チ
ョップドガラス繊維(長さ:3mm、日東紡績社製、商
品名:CS−3J−941)30重量%、核剤としてタ
ルク(富士タルク社製、商品名:LMP−100)0.
7重量%を、実施例1で用いた二軸スクリュー押出機で
溶融分散混練(温度270℃、滞留時間30秒)を行
い、ダイよりストランドを押し出した。押し出したスト
ランドを水中で冷却した後、ストランドカッターでペレ
タイズしてペレットを得た。得られたペレットを、実施
例1で用いたタンブラー型回転反応装置に仕込み、反応
装置の回転数10rpm、温度220℃、圧力1Tor
r(133Pa)の条件下で6時間、固相付加重合反応
させることによって前記ペレットの固有粘度を0.78
dl/gまで上昇させた。このペレットを160℃で6
時間減圧乾燥した後、実施例1と同様に押出成形を行
い、幅1m、厚さ3mmの強化PETを得た。なお、上
記再生PETフレークは、コンシューマースクラップP
ETともいわれる。
【0043】使用される熱可塑性ポリエステル発泡体は
以下のようにして製造された。飲料ビンのスクラップを
粉砕した、再生PETフレーク(固有粘度=0.64d
l/g)98.52重量%、PMDA0.49重量%、
核剤としてタルク(富士タルク社製、商品名:LMP−
100)0.99重量%を、実施例1で用いた二軸スク
リュー押出機で溶融分散混練(温度270℃、滞留時間
27秒)を行い、ダイよりストランドを押し出した。押
し出したストランドを水中で冷却した後、ストランドカ
ッターでペレタイズしてペレットを得た。得られたペレ
ットを、実施例1で用いたタンブラー型回転反応装置に
仕込み、反応装置の回転数10rpm、温度220℃、
圧力1Torr(133Pa)の条件下で10時間、固
相付加重合反応させることによって前記ペレットの固有
粘度を0.91dl/gまで上昇させた。このペレット
を160℃で6時間減圧乾燥した後、実施例1と同様に
発泡押出成形を行い、発泡倍率10倍、幅1m、厚さ3
mmの発泡PETを得た。
【0044】こうして得られた強化PETと発泡PET
を用い、実施例1と同様の工程を経て、強化PET/発
泡PET/強化PETの構成の積層品を得た。これを実
施例1と同様に評価した。結果を表2に示した。なおこ
のように再生されたPET(再生PETフレークなど)
を用いて高分子量化を施したペット材料を用いること
は、本発明の積層体を得るうえで好ましい形態の一つで
ある。
【0045】
【表2】
【0046】[実施例8] 〈PETフィルム積層体〉 実施例2の構成で、PET不織布の代わりに、非発泡の
PETフィルムを用いた以外は、実施例2と同様に行
い、強化PET/発泡PET/PETフィルム(PET
フィルムの表面が最外層とする)の構成の積層品を得
た。得られた積層品は、接着性が良好であり、廃棄時の
分別性、リサイクル性も良好であった。 [実施例9] 〈大型積層体の成形〉 下記のように、大型のPET積層品を成形した。
【0047】すなわち、実施例1における強化PETお
よび発泡PETシートの押し出し条件を調整し、幅1
m、厚さ5mmの強化PETと、幅1m、厚さ4mm、
発泡倍率10倍の発泡PETを得た。それぞれの成形品
を1000mm×3000mmの大きさに切り出し、1
030mm×3100mmの平板型を用いて、実施例1
と同様の条件で、実施例1と同様の積層構造の、100
0mm×3000mmの平板積層体を得た。得られた積
層体は、所望の大きさにカットすることにより、住宅用
の建築用資材、つまり、断熱材や間仕切り材として用い
ることができた。また、断熱効果も良好であった。
【0048】このように、PETシートの押し出し条件
や成形条件を工夫することによって、大型積層品も容易
に製造することが可能である。また、所望の強度でそれ
ぞれの層の厚みを調整することも可能である。 [実施例10] 〈模様付き大型積層体の成形〉 実施例9における平板型の代わりに、180℃に加熱し
た波状の模様のある平板型を用いた以外は、実施例9と
同様に行い、積層体を得た。得られた積層体は、例え
ば、床や地面等に設置でき、滑り止めなどの効果のある
床材に適用できることがわかった。
【0049】 [実施例11] 〈工場内スクラップPET使用〉 使用される繊維強化熱可塑性ポリエステルは以下のよう
にして製造された。PETフィルムおよび/またはPE
T成形材料の切れ端である、いわゆる工場内スクラップ
品の粉砕物(固有粘度=0.5〜0.65dl/g)6
9.05重量%、PMDA0.25重量%、チョップド
ガラス繊維(長さ:3mm、日東紡績社製、商品名:C
S−3J−941)30重量%、核剤としてタルク(富
士タルク社製、商品名:LMP−100)0.7重量%
を、実施例1で用いた二軸スクリュー押出機で溶融分散
混練(温度270℃、滞留時間30秒)を行い、ダイよ
りストランドを押し出した。押し出したストランドを水
中で冷却した後、ストランドカッターでペレタイズして
ペレットを得た。得られたペレットを、実施例1で用い
たタンブラー型回転反応装置に仕込み、反応装置の回転
数10rpm、温度220℃、圧力1Torr(133
Pa)の条件下で10時間、固相付加重合反応させるこ
とによって前記ペレットの固有粘度を0.8〜0.85
dl/gまで上昇させた。このペレットを160℃で6
時間減圧乾燥した後、実施例1と同様に押出成形を行
い、幅1m、厚さ3mmの強化PETを得た。
【0050】使用される熱可塑性ポリエステル発泡体は
以下のようにして製造された。PETフィルムおよび/
またはPET成形材料の切れ端である、いわゆる工場内
スクラップ品の粉砕物(固有粘度=0.5〜0.65d
l/g)98.52重量%、PMDA0.49重量%、
核剤としてタルク(富士タルク社製、商品名:LMP−
100)0.99重量%を、実施例1で用いた二軸スク
リュー押出機で溶融分散混練(温度270℃、滞留時間
27秒)を行い、ダイよりストランドを押し出した。押
し出したストランドを水中で冷却した後、ストランドカ
ッターでペレタイズしてペレットを得た。得られたペレ
ットを、実施例1で用いたタンブラー型回転反応装置に
仕込み、反応装置の回転数10rpm、温度220℃、
圧力1Torr(133Pa)の条件下で10時間、固
相付加重合反応させることによって前記ペレットの固有
粘度を0.8〜0.85dl/gまで上昇させた。この
ペレットを160℃で6時間減圧乾燥した後、実施例1
と同様に発泡押出成形を行い、発泡倍率10倍、幅1
m、厚さ3mmの発泡PETを得た。
【0051】こうして得られた強化PETと発泡PET
を用い、実施例1と同様の工程を経て、強化PET/発
泡PET/強化PETの構成の積層品を得た。このよう
に、工場内スクラップ品のPETを用いることによって
も、良好な積層品が得られることがわかった。
【0052】
【発明の効果】本発明にかかる熱可塑性ポリエステル積
層体は、発泡層を備え、優れた断熱性、吸音性を有する
とともに、軽量である。あわせて、本発明にかかる熱可
塑性ポリエステル積層体は、繊維強化層を備え、機械的
強度が高い。本発明にかかる熱可塑性ポリエステル積層
体は、加えて、耐熱性と耐薬品性にも優れている。本発
明にかかる熱可塑性ポリエステル積層体は、成形性に優
れているので、多種の製品の構成材料となり得る。よっ
て、本発明の積層体は、軽量性、断熱性、吸音性と共
に、十分な強度を保有しているので、特に大型成形品に
も適している。また、リサイクル性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3の成形品である、自動車天井材の斜視
図である。
【図2】実施例4の成形品である、L型チャンネル構造
の成形品の斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フッサイン アル ガッタ イタリア国,03014 フィウッジ(フロジ ノーネ),ビア デッレ ピアッジェ 12 番 (72)発明者 トニーノ セベリーニ イタリア国,00034 コッレフェッロ(ロ ーマ),ビア デッレ ソルベ 31番 (72)発明者 大軒 康夫 東京都千代田区内幸町1−2−2 日比谷 ダイビル 株式会社日本触媒内 (72)発明者 水谷 智裕 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 井上 博樹 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性ポリエステルの繊維強化層Aが熱
    可塑性ポリエステルの発泡層Bに積層されてなる積層構
    造ABを備える、熱可塑性ポリエステル積層体。
  2. 【請求項2】前記積層構造ABを一つだけ備え、その発
    泡層Bの繊維強化層Aとは反対側の面に、熱可塑性ポリ
    エステルの繊維強化層Aがさらに積層されてなる、請求
    項1に記載の熱可塑性ポリエステル積層体。
  3. 【請求項3】前記熱可塑性ポリエステルが、多価カルボ
    ン酸無水物を用いて溶融混練することによる鎖延長反応
    により分子量を増大させてなる熱可塑性ポリエステルで
    ある、請求項1または2に記載の熱可塑性ポリエステル
    積層体。
  4. 【請求項4】前記熱可塑性ポリエステルは、前記溶融混
    練の後に固相重付加反応させることによりさらに鎖延長
    反応させてなる熱可塑性ポリエステルである、請求項3
    に記載の熱可塑性ポリエステル積層体。
  5. 【請求項5】前記繊維強化層の繊維がガラス繊維であ
    る、請求項1から4までのいずれかに記載の熱可塑性ポ
    リエステル積層体。
  6. 【請求項6】前記発泡層と前記繊維強化層を構成する熱
    可塑性ポリエステルは、それぞれの酸成分の50モル%
    以上とそれぞれのグリコール成分の50モル%以上と
    が、同一の酸成分であり、かつ、同一のグリコール成分
    である、請求項1から5までのいずれかに記載の熱可塑
    性ポリエステル積層体。
  7. 【請求項7】前記熱可塑性ポリエステルがポリエチレン
    テレフタレート(PET)である、請求項1から6まで
    のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル積層体。
  8. 【請求項8】請求項1から7までのいずれかに記載の熱
    可塑性ポリエステル積層体を含む製品。
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