JP2008054306A - 携帯電話筐体 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄肉かつ軽量で、優れた剛性を有する携帯電話筐体を提供する。
【解決手段】携帯電話筐体は、連続した強化繊維、マトリックス樹脂を含む繊維強化複合材料(I)と、フレーム部分(II)とが接合されてなるものであり、携帯電話筐体として薄肉であることが軽量性を向上させたり、内部部品との干渉をなくして筐体設計の幅を広げられる観点から重要となり、その実質厚みが0.1〜0.6mmであることが重要である。好ましくは0.2〜0.5mmである。ここで実質厚みとは携帯電話筐体に使用している繊維強化複合材料(I)の厚みを繊維強化複合材料(I)の厚みとすることを意味する。実質厚みは携帯電話筐体の繊維強化複合材料(I)部分のうち、平面部分から任意5点の厚みを測定し、その平均値をもって繊維強化複合材料(I)の実質厚みとする。
【選択図】図2

Description

本発明は、繊維強化複合材料とフレーム部分とが接合された携帯電話筐体に関するものであり、より詳しくは、薄肉で軽量かつ剛性のある繊維強化複合材料の一部をフレーム部分に接合させた、薄肉、軽量、高剛性の特徴を有した携帯電話筐体に関する。
繊維強化複合材料は力学特性、軽量性に優れた材料であり、航空機や自動車などの部材をはじめとして広く用いられている。近年では薄肉・軽量・剛性が要望される電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器等の比較的小型で複雑形状の部品に、繊維強化複合材料が用いられるようになってきている。なかでも普及台数が大量である携帯電話の筐体へ適用することは、薄肉、軽量、高剛性の繊維強化複合材料の特徴を十分に活かすことが可能と考えられる。
特許文献1には、気相成長炭素繊維と合成樹脂を用いた移動体通信用筐体について記載されている。詳しくは、0.1〜1mmの気相成長炭素繊維とポリエステルまたはポリアミドまたはビニル系樹脂からなる筐体であり、力学特性やEMI特性に優れるものである。しかし、不連続繊維を用いているため、筐体の剛性などの力学的特性に関しては十分なものとはいえず、さらなる改良が期待されていた。
特許文献2には、炭素繊維強化熱硬化性樹脂で作製した電気・電子機器筐体について記載されている。不連続炭素繊維と不飽和ポリエステルまたはビニルエステルを含む樹脂組成物を成形して得られる筐体であり、非強化の樹脂筐体と比較すると剛性、EMI特性などに優れる筐体である。ただしこの文献においても不連続繊維を用いているため、繊維強化複合材料の剛性などの力学的特性に関しては十分なものとはいえず、さらなる改良が期待されていた。
また特許文献3には、繊維強化複合材料と金属成形品とからなる複合成形品について記載されており、具体的には金属材料の放熱性を活かした電子機器筐体への適用が記載されている。これは金属成形品を用いることから、その軽量性に関してはやはり制限があり、より一層の改善が期待されていた。
特開平3−235398号公報 特開平8−311242号公報 特開平11−147286号公報
本発明は、薄肉、軽量かつ高剛性の繊維強化複合材料とフレーム部材とを一体化した薄肉・軽量で高剛性な携帯電話筐体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、上記課題を達成することができる、次の携帯電話筐体を見出した。
(1)連続した強化繊維およびマトリックス樹脂を含む、実質厚みが0.1〜0.6mmの範囲である繊維強化複合材料(I)と、フレーム部分(II)とが接合され、該接合部分の投影面積が前記繊維強化複合材料(I)の投影面積の5〜75%の範囲である携帯電話筺体。
(2)前記繊維強化複合材料(I)の最大投影面積が10000mm以下である前記(1)に記載の携帯電話筺体。
(3)前記繊維強化複合材料(I)の曲げ弾性率が35GPa以上である前記(1)〜(2)のいずれかに記載の携帯電話筐体。
(4)前記繊維強化複合材料(I)の比重ρ1が1.4〜1.6の範囲である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の携帯電話筐体。
(5)前記フレーム部分(II)がポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂より選ばれる1種以上の樹脂組成物である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の携帯電話筺体。
(6)前記繊維強化複合材料(I)と前記フレーム部分(II)とが、熱可塑性樹脂(A)を介して接合された前記(1)〜(5)のいずれかに記載の携帯電話筺体。
(7)前記熱可塑性樹脂(A)が、前記繊維強化複合材料(I)を構成する強化繊維間に最大含浸厚みhが10〜200μmの範囲で凹凸形状を形成して含浸した形態となっている、前記(6)に記載の携帯電話筺体。
(8)前記熱可塑性樹脂(A)がポリエステル樹脂である前記(6)または(7)に記載の携帯電話筐体。
(9)前記ポリエステル樹脂の融点Tmが120℃〜160℃の範囲である、前記(8)に記載の携帯電話筐体。
(10)前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgが0℃〜80℃の範囲である前記(8)または(9)に記載の携帯電話筐体。
(11)前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が10,000〜30,000の範囲である前記(8)〜(10)のいずれかに記載の携帯電話筐体。
(12)前記ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート成分および/またはポリブチレンテレフタレート成分を10〜80重量%の範囲で含有した共重合ポリエステル樹脂である前記(8)〜(11)のいずれかに記載の携帯電話筐体。
(13)前記ポリエステル樹脂がジオール成分としてポリテトラメチレングリコール成分を含む共重合ポリエステルである前記(12)に記載の携帯電話筐体。
(14)熱可塑性樹脂の引張破断強度が25MPa以上および/または引張破断伸度が200%以上である前記(8)〜(13)のいずれかに記載の携帯電話筐体。
(15)ポリエステル樹脂のうち少なくとも1種のポリエステル樹脂の片末端または両末端が、第1級アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、および酸無水物基からなる群から選ばれた1種または2種の官能基構造を有している前記(8)〜(14)のいずれかに記載の携帯電話筐体。
(16)官能基の含有量が1000〜100000当量である前記(15)に記載の携帯電話筐体。
(17)前記繊維強化複合材料(I)と前記フレーム部分(II)とが、熱硬化性樹脂接着剤により接合された前記(1)〜(5)のいずれかに記載の携帯電話筐体。
(18)前記繊維強化複合材料(I)において、少なくとも片方の表面に意匠層を接合した、前記(1)〜(5)または(17)のいずれかに記載の携帯電話筐体。
(19)前記繊維強化複合材料(I)において、少なくとも片方の表面に前記熱可塑性樹脂(A)を介してポリエステルまたはポリカーボネートを主成分として含む意匠層を接合し、繊維強化複合材料の反対側の表面にも前記層状に存在する熱可塑性樹脂が形成された、前記(8)〜(16)のいずれかに記載の携帯電話筐体。
(20)前記繊維強化複合材料(I)を構成する強化繊維が炭素繊維である、前記(1)〜(19)のいずれかに記載の携帯電話筺体。
(21)前記繊維強化複合材料(I)を構成するマトリックス樹脂が熱硬化性エポキシ樹脂である前記(1)〜(20)のいずれかに記載の携帯電話筺体。
(22)少なくとも一部が電波透過性を有する前記(1)〜(21)のいずれかに記載の携帯電話筐体。
(23)電波透過性を有する部位の電磁波シールド性が6dB以下である前記(22)に記載の携帯電話筐体。
本発明の携帯電話筐体は、薄肉かつ軽量な繊維強化複合材料を用いてフレーム部分と接合させた構造であり、繊維強化複合材料のもつ優れた強度・剛性・耐衝撃性を兼ね備えた携帯電話筐体である。
以下、本発明の熱接着用基材について、具体的に説明する。
本発明の携帯電話筐体は、連続した強化繊維、マトリックス樹脂を含む繊維強化複合材料(I)と、フレーム部分(II)とが接合されてなるものであり、携帯電話筐体として薄肉であることが軽量性を向上させたり、内部部品との干渉をなくして筐体設計の幅を広げられる観点から重要となり、その実質厚みが0.1〜0.6mmであることが重要である。好ましくは0.2〜0.5mmである。ここで実質厚みとは携帯電話筐体に使用している繊維強化複合材料(I)の厚みを繊維強化複合材料(I)の厚みとすることを意味する。実質厚みは携帯電話筐体の繊維強化複合材料(I)部分のうち、平面部分から任意5点の厚みを測定し、その平均値をもって繊維強化複合材料(I)の実質厚みとする。
本発明の携帯電話筐体を構成する繊維強化複合材料(I)は、連続した強化繊維を含むために複雑な形状に成形することが容易ではなく、その適用部位としては平面形状などの比較的単純形状の部位であることが好ましい。具体的には図3aおよび図3bに示すように携帯電話筐体の天面部分を形成することが好ましい。
またフレーム部分とは、携帯電話筐体を構成する部材のうち、上記繊維強化複合材料(I)で構成される部位以外の部分である。一般的に内部部品などの取り付けや配置のためのボス、リブなどの構造やデザインのために湾曲部を有することが多く、比較的複雑形状の部材である。
また、筐体を軽量化する意味で、フレーム部分(II)を可能な範囲で少なくすることが必要である。ただし、フレームとして繊維強化複合材料(I)を十分に接着支持できることが前提であり、その効果を考慮すると、繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)との接合部分の投影面積が繊維強化複合材料(I)の投影面積の5〜75%であることが重要である。好ましくは投影面積の10〜60%で、より好ましくは投影面積の20〜50%である。上記範囲とすることで、軽量化を図りつつ繊維強化複合材料(I)をフレーム部分(II)に十分接着支持することが可能である。
また繊維強化複合材料(I)は、携帯電話筐体に使用する観点から、サイズが小さく軽量性であることが好ましく、その最大投影面積が10000mm以下であることが好ましい。より好ましくは8000mm以下、さらに好ましくは6000mm以下である。
繊維強化複合材料(I)は、携帯電話筐体として剛性を確保するために、曲げ弾性率が35GPa以上であることが好ましい。より好ましくは45MPa以上、さらに好ましくは55MPa以上である。曲げ弾性率の上限については特に制限はないが、本発明の携帯電話筐体としては、100MPa程度あれば十分に実用に足るものとなる。ここで曲げ弾性率の評価方法であるが、まず携帯電話筐体より繊維強化複合材料(I)を切り出す。その際、リブ部、ヒンジ部、凹凸形状が付与されている部分は極力避け、上記部位を含む場合はこれらを切削除去して試験に供する。試験片の切り出し方向は、少なくとも異なる角度2方向から切り出したものを試験片とする。好ましくは3方向、さらに好ましくは4方向である。また試験片それぞれの角度は、2方向切り出しの場合はそれぞれ90°異なり、3方向切り出しの場合はそれぞれ60°異なり、4方向切り出しの場合はそれぞれ45°異なるのが好ましい。試験片の大きさはISO178に従うことが好ましいが、大きさを確保出来ない場合や試験片の必要個数を確保できない場合などは可能な範囲で大きな試験片を切り出して評価に供する。最低でも幅5mm、長さ20mm程度の試験片を確保できれば好ましい。規格に沿ったサンプルが確保できない場合は、規格サンプルに対して幅、長さの比を一定に縮小したサイズのサンプルを切り出し、厚みに関しては実質厚みのままとする。この場合、測定時のスパン(支点間距離)はサンプルの長さに比例縮小して決定する。試験片は3〜5本で評価するものとする。その他の評価方法はISO178に準拠する。
また本発明の繊維強化複合材料(I)は携帯電話筐体の軽量性の観点から、その比重ρ1が1.4〜1.6の範囲であることが好ましい。より好ましくは1.45〜1.55の範囲である。
さらにフレーム部分(II)も携帯電話筐体の軽量性の観点から、その比重ρ2が1.1〜1.5の範囲であることが好ましい。より好ましくは1.2〜1.4の範囲である。
ここで比重は、ISO1183に記載の方法に基づき、25℃で水中置換法により強化繊維複合材料(I)およびフレーム部分(II)の密度を測定する。またサンプル内に空隙を含むなど、水中置換法での測定が困難な場合は、ISO845に記載の方法に基づき、サンプルの体積と質量を直接測定して評価する
本発明の携帯電話筐体はその耐衝撃性を高める観点から、フレーム部分(II)が耐衝撃性に優れる部材であることが好ましい。フレーム部分(II)の具体的な材質としては、例えばポリカーボネート、ポリカーボネートとABSとのアロイ樹脂、ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートとのアロイ樹脂、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとのアロイ樹脂、ポリカーボネートとポリメタクリル酸メチルとのアロイ樹脂、ポリカーボネート樹脂とポリ乳酸樹脂とのアロイ樹脂または熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしてはスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどが挙げられる。
耐衝撃性の観点から、好ましいのはポリカーボネートまたはポリカーボネートとABSとのアロイ樹脂、熱可塑性エラストマーである。これらの樹脂組成物には耐衝撃性向上のために、他のエラストマーあるいはゴム成分を添加してもよいし、用途等に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で適宜、他の充填材や添加剤を含有しても良い。例えば、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などが挙げられる。また熱可塑性樹脂部材(II)の強度を向上させる観点から強化繊維を含んでいてもよい。強化繊維としては例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、玄武岩繊維がある。これらは、単独または2種以上併用して用いられる。強化繊維を含む場合は繊維含有率は5〜60重量%が好ましい。
本発明の携帯電話筐体は、繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)とを接合する形態については特に制限はない。例えば部材同士を接合するのに両面テープや粘着性のりなどの粘着剤などを用いることができる。また熱硬化性樹脂を接着剤として接合する方法も用いることができる。接着剤として用いる熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール(レゾール型)、ユリア・メラミン、ポリイミド、ビスマレイミド、シアネートエステル、アクリレート、シアノアクリレートなどが挙げられる。なかでも樹脂の汎用性が高いエポキシ、アクリレート、シアノアクリレートが好ましい。
繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)とを簡便に接合し、接着性を高める観点から熱溶着が可能な熱可塑性樹脂(A)を介して接合されることが好ましい。接着性を向上させる観点から、より好ましくは、熱可塑性樹脂(A)は、図1に示すように、連続した強化繊維2および熱硬化性マトリックス樹脂3を含む繊維強化複合材料(I)と、フレーム部分(II)とが、繊維強化複合材料(I)(図中の1)の少なくとも一部の表面において熱可塑性樹脂(A)(図中の4)を介して接合されてなるものであり、接着強度を高める観点から、熱可塑性樹脂(A)は、図1に示すように、繊維強化複合材料(I)の強化繊維2の少なくとも一部を含み、厚み方向に凹凸の領域をなしている。これにより、強化繊維2を介したアンカー効果を奏することができる。また、同様にアンカー効果の観点から、熱可塑性樹脂(A)に接している強化繊維2のうち、フレーム部分(II)に最も近い繊維(2−out)と最も離れている繊維(2−in)との間の距離を最大含浸厚みh(図中の6)と定義した場合、hは強固な接合を発現させる上で、10〜200μmであることが重要である。最大含浸厚みhは、より好ましくは20〜150μmであり、さらに好ましくは30〜100μmである。最大含浸厚みhは、筐体電話筐体を切り出し、断面を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察して求めることができる。熱可塑性樹脂(A)が明確に観察できない場合は、観察のコントラストを強調するために、必要に応じ、染色しても良い。
また熱可塑性樹脂(A)は他の部材との接着用に接着層を確保する観点から、その最小厚みt(図中の7)が10〜500μmであることが好ましい。熱可塑性樹脂(A)の最小厚みtの定義は、図1に示すように、フレーム部分(II)と繊維強化複合材料(I)との境界に面した部分に存在する熱可塑性樹脂(A)の厚みのうち最小のものとする。この最小厚みtは、好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは40〜100μmである。
さらに熱可塑性樹脂(A)は、接着剤自体として強固であることが好ましく、具体的には引張破断強度が25MPa以上であることが好ましい。より好ましくは30MPa以上、さらに好ましくは35MPa以上である。引張破断強度は基本的にISO527に基づいて評価するが、サンプル量の不足などで該評価が困難な場合は、該熱可塑性樹脂(A)から幅5mm、長さ20mmの小さなフィルムを作成して引張試験に供してもよい。なお引張破断強度の上限については特に規定していないが、熱可塑性樹脂が主成分であることを考慮すると、100MPa程度もあれば接着剤として十分な機能を果たすことが可能である。
また熱可塑性樹脂(A)は、荷重を吸収して接着剤として有効に機能するために、引張破断伸度が200%以上であることが好ましい。より好ましくは250%以上、さらに好ましくは300%以上である。引張破断伸度は基本的にISO527に基づいて評価するが、サンプル量の不足などで該評価が困難な場合は、該熱可塑性樹脂(A)から幅5mm、長さ20mmの小さなフィルムを作成して引張試験に供してもよい。なお引張破断伸度の上限については特に規定していないが、1000%程度もあれば接着剤として十分な機能を果たすことが可能である。
本発明の携帯電話筐体は、繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)とが優れた接着強度で接着されていることが携帯電話筐体全体の力学特性を高めるうえでも好ましく、具体的には繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)との接着強度が25℃で12MPa以上であることが好ましい。より好ましくは15MPa以上、さらに好ましくは20MPa以上である。接着強度の上限は特に制限はないが、40MPa程度もあれば本発明の携帯電話筐体として十分実用に値する。
接着強度の評価は、携帯電話筐体から、図2に示すような繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)とが接合一体化した部分を切り出し、基本的にISO4587に準拠して行う。図2に示すL、M、W、Tで表す試験片の大きさはISO4587に基づく大きさが好ましいが、大きさが足りない場合は可能な範囲でL、M、W、Tが大きく取れる部位より試験片を切り出し、ラップシェア引張試験を行い、測定された接着破断加重を接着面積で除して接着強度とする。規格に沿ったサンプルが確保できない場合は、規格サンプルに対して幅、長さの比を一定に縮小したサイズのサンプルをを切り出し、厚みに関しては実質厚みのままとする。サンプルが小さくなった場合は、測定装置への取り付けが困難となる場合があるため、サンプルに取り付け用部位を新たに作成してもよい。具体的にはサンプルを試験機に保持できるように、繊維強化複合材料(I)部分およびフレーム部分(II)につかみ部位を接合させる。つかみ部位は試験で破壊しない材質が好ましく、例えばアルミニウム板などを接着剤で接合させることが好ましい。また測定時のスパン(つかみ部分間距離)はサンプルの長さに比例縮小して決定する。
フレーム部分(II)にポリカーボネート、ポリカーボネートとABSとのアロイ樹脂、熱可塑性エラストマーより選ばれる1種以上の樹脂組成物が使用されている場合、繊維強化複合材料(I)との接着性を高めるために、熱可塑性樹脂(A)は上記樹脂組成物と親和性の高いポリエステル樹脂であることが好ましい。
そして、そのポリエステル樹脂は融点Tmが120℃≦Tm≦160℃であることが好ましい。融点Tmをこの範囲とすることで、室温付近での接着強度はもとより、80℃を超えるような高温状態でも優れた接着強度を発揮することが可能となる。さらには、融点Tmがこの範囲であることで、溶着する際の温度が極めて高くなるということはなく、使用時の被着体の熱分解や熱変形などの問題もなく、またプロセス的にも大きな負荷にはならない。ここでポリエステル樹脂が2種以上の混合物である場合などで、融点が2つ以上存在する場合は、ポリエステル樹脂を十分に溶融させたところで接着させるという観点から、最も高い融点をそのポリエステル樹脂の融点Tmとして取り扱うこととする。融点は示差走査熱量計(DSC)により評価を行う。容量50μlの密閉型サンプル容器に1〜5mgの試料を詰め、昇温速度10℃/分で30℃の温度から350℃の温度まで昇温し、評価する。混合物などで融点が複数観測される場合は、最も高い融点をその組成物の融点として採用する。
融点を上記範囲にするためには、ポリエステル樹脂の結晶性をコントロールすることが有効である。そのためには、例えば、2種類以上のジカルボン酸と2種類以上のジオールとを用いて共重合ポリエステルとして、分子鎖の規則性をコントロールし、結晶性を高めたり低めたりするなどで融点をコントロールすることが可能である。
またポリエステル樹脂はガラス転移温度Tgが0℃≦Tg≦80℃であることが好ましい。ガラス転移温度Tgがこの範囲にあることで、室温付近での分子の運動性を抑えて強固なポリエステル樹脂として接着強度を高く発現させることが可能となる。より好ましくは10℃≦Tg≦80℃、さらに好ましくは25℃≦Tg≦80℃である。ここでポリエステル樹脂が2種以上の混合物である場合など、ガラス転移温度が2つ以上存在する場合は、室温付近でのポリエステル樹脂の強度を評価する観点から、そのうちで最も低いガラス転移温度をポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgとして取り扱うこととする。ここでガラス転移温度の測定は、前述の融点測定と同様にしてDSCを用いて行う。
ガラス転移温度を上記範囲にするためには、ポリエステル樹脂の骨格構造をコントロールすることが有効である。例えば、芳香族ジカルボン酸成分や脂環式ジオール成分などの剛直な成分を原料としてポリエステル樹脂を作製するとガラス転移温度を高くすることが可能である。
熱可塑性樹脂(A)を構成するポリエステル樹脂は樹脂自体の強度確保と流動性確保のために、その数平均分子量が10,000〜30,000であることも好ましい。より好ましくは12,000〜28,000、さらに好ましくは15,000〜25,000である。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)などの一般的な測定手段で測定する。ここでポリエステル樹脂が2種以上の混合物である場合など、数平均分子量の異なる、すなわち数平均分子量の分布が2分布ある場合などは、ポリエステル樹脂の強度を評価する観点から、そのうちで最も低い数平均分子量のものをポリエステル樹脂の数平均分子量として取り扱うこととする。
また、ポリエステル樹脂の構造としては、ハードセグメントとして芳香環型または脂環型の環式ジカルボン酸と構造式1にて表されるジオールよりなるポリエステル成分を10〜80重量%含有し、ソフトセグメントとして芳香環型または炭素数2〜10のアルキレンジカルボン酸と構造式1にて表されるジオールのうちRが直鎖アルキレンオキシドであるジオールよりなるポリエステル成分を20〜95重量%含有している共重合ポリエステルであることが好ましい。ポリエステル樹脂が2種以上のポリエステル樹脂の混合物である場合は、少なくとも1種以上のポリエステル樹脂が上記構造となることが好ましい。好ましくは上記構造のポリエステル樹脂が30〜95重量%、より好ましくは45〜90重量%、さらに好ましくは55〜85重量%含まれる。
[構造式1] HO−R−OH
(ここで式中RはC2n(n=2〜10の整数)で表される直鎖または分岐構造をもつアルキレン基、あるいはC2n4n(nは1以上の整数)で表される直鎖アルキレンオキシド)
ここで、ハードセグメントを構成する芳香環型のジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリウムなどが例として挙げられる。好ましくは、ポリエステル骨格を剛直にしてポリエステル樹脂強度を高める意味で、テレフタル酸とイソフタル酸が好ましい。中でも、ポリエステル樹脂の結晶性を高めて、樹脂強度を確保する点からテレフタル酸が好ましい。
脂環型のジカルボン酸としては1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などが例として挙げられる。中でも対称性を有し、ポリエステル樹脂の剛直性と結晶性を高める観点から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
構造式1にて表されるジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ダイマージオールなどが例として挙げられる。ジオールとしては、力学特性に優れたポリエステルとして工業的にも使用頻度の高いポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートに使用されているエチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールが好ましい。
ソフトセグメントを構成する芳香環型のジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸およびスルホイソフタル酸ナトリウムなどが例として挙げられる。例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸およびダイマー酸などが挙げられる。中でも、工業的に使用頻度の高いセバシン酸が好ましい。
ソフトセグメントに使用されるジオールとしては、上記ハードセグメントのジオールと同様の指針で選択することが好ましい。
ハードセグメントの構造としては、工業的に多数利用されている樹脂成分であるポリエチレンテレフタレート成分、ポリブチレンテレフタレート成分のうちの1種または両方を含むことが好ましい。含有量としては、いずれか一方を含む場合も両方を含む場合も、その合計が10〜80重量%の範囲であることが好ましく、20〜70重量%の範囲であることがさらに好ましい。
またジオール成分として、樹脂に柔軟性を持たせるためにポリテトレメチレングリコールを含むことが好ましい。
このようなポリエステル樹脂として、例えば、東レ(株)製の“ケミット”(登録商標)、東レデュポン(株)製の“ハイトレル”(登録商標)、および東洋紡(株)製の“バイロン”(登録商標)を例に挙げることができる。
さらに、このポリエステル樹脂は接着性を高める観点から、ポリエステル樹脂の片末端または両末端が、第1級アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、および酸無水物基からなる群から選ばれる1種または2種の官能基構造となっていることが好ましい。これらの反応性官能基は化学反応による共有結合形成はもとより、水素結合や極性が高いことによる静電気的な力によって各種材料との接着性を向上させるために好ましい。ポリエステル樹脂が2種以上のポリエステル樹脂の混合物である場合は、少なくとも1種以上のポリエステル樹脂が上記末端構造となることが好ましい。
上記の官能基の含有量は、既存の手法を用いて評価することが可能である。例えば樹脂の構造をIR、プロトンNMR、カーボンNMR、マススペクトルなどの手法で構造を決定して官能基量を評価する方法がある。
別の方法としては樹脂の溶液を滴定することで測定する。カルボキシル基当量であれば、樹脂をクロロホルム、ジメチルホルムアミド(DMF)等の有機溶媒に溶かし、フェノールフタレインを指示薬として水酸化カリウムで滴定して、樹脂1分子当たりのカルボキシル基の数を定量し、樹脂の数平均分子量をカルボキシル基数で割ってカルボキシル当量を求める。
アミン当量は、樹脂中に第一級アミノ基のみを有する場合は、アミン当量はクロロホルム、DMF等の有機溶媒に溶かし、濃度既知の塩酸で滴定し、樹脂1分子当たりのアミノ基の数を定量し、樹脂の数平均分子量をアミノ基数で割ってアミン当量を求める。樹脂中に第二級アミノ基、第三級アミノ基が混在する場合には、樹脂をクロロホルム、DMF等の有機溶媒に溶かし、p−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド化合物を第一級アミノ基と反応させてイミンを形成させ、得られた樹脂反応物を精製後にプロトンNMRで末端のイミン導入量を測定し、第一級アミノ基量を定量し、樹脂の数平均分子量をアミノ基数で割ってアミン当量を求めるなどの方法でもよい。
エポキシ当量は、樹脂をクロロホルム、DMF等の有機溶媒に溶かし、塩酸で滴定してエポキシ基を塩酸と反応させ、過剰量の塩酸を水酸化カリウムで逆滴定して樹脂1分子当たりのエポキシ基の数を定量し、樹脂の数平均分子量をエポキシ基数で割ってエポキシ当量を求める。樹脂にアミノ基とエポキシ基が混在する場合は、滴定よりも樹脂構造を特定する方法が好ましい。
酸無水物当量は、樹脂のカーボンNMR評価から酸無水物の炭素由来の吸収ピークの強度を測定して酸無水物基量を定量し、樹脂の数平均分子量を酸無水物基数で割って酸無水物当量を求める。
またポリエステル樹脂は、単独で用いても構わないが、他の添加剤成分などを含む熱可塑性樹脂組成物としてもよい。添加剤としては例えば、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤およびカップリング剤などが挙げられる。
本発明の携帯電話筐体を構成する繊維強化複合材料(I)の連続した強化繊維の形態としては特に限定されず、多数本の強化繊維からなる強化繊維束、この繊維束から構成されたクロス、多数本の強化繊維が一方向に配列された強化繊維束(一方向性繊維束)、この一方向性繊維束から構成された一方向性クロスなど、それらを組み合わせたもの、複数層配置したものなどを例示できる。
なかでも基材の生産性の観点から、クロス、一方向性繊維束が好ましい。強化繊維束は、同一の形態の複数本の繊維から構成されていても、あるいは、異なる形態の複数本の繊維から構成されていても良い。一つの強化繊維束を構成する強化繊維数は、通常、300〜48,000であるが、基材の製造を考慮すると、好ましくは、300〜24,000であり、より好ましくは、1,000〜12,000である。
ここで、強化繊維は、少なくとも一方向に、10mm以上の長さにわたり連続した多数本の強化繊維から構成されている。強化繊維は、繊維強化複合材料の長さ方向の全長さにわたり、あるいは繊維強化複合材料の幅方向の全幅にわたり、連続している必要はなく、途中で分断されていても良い。
また使用される強化繊維束の繊維素材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、玄武岩繊維がある。これらは、単独または2種以上併用して用いられる。これらの繊維素材は、表面処理が施されているものであっても良い。表面処理としては、金属の被着処理、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などがある。これらの繊維素材の中には、導電性を有する繊維素材も含まれている。繊維素材としては、比重が小さく、高強度、高弾性率である炭素繊維が、好ましく使用される。
また本発明の携帯電話筐体を構成する繊維強化複合材料(I)を構成するマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を用いることが一般的であるが、成形品の剛性、強度に優れる熱硬化性樹脂を用いるのが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール(レゾール型)、ユリア・メラミン、ポリイミド、ビスマレイミド、シアネートエステル等があり、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種をブレンドした樹脂がある。衝撃性向上のために、エラストマーもしくはゴム成分が添加されていても良い。特に、エポキシ樹脂は、成形品の力学特性の観点から好ましい。さらにエポキシ樹脂は、その優れた力学特性を発現するために主成分として含まれるのが好ましく、具体的には60重量%以上含まれることが好ましい。
本発明の携帯電話筐体は、意匠用途への使用を考慮した場合、表面に意匠層を付与することが好ましい。意匠層として用いる材料には特に制限はないが、例えば表面平滑性のある樹脂フィルムや意匠模様が印刷された樹脂フィルムなどが挙げられる。とりわけ、図4に示すように、少なくとも片方の表面に前記層状に存在する熱可塑性樹脂を介してポリエステルまたはポリカーボネートを主成分として含む意匠層を接合し、繊維強化複合材料の反対側の表面にも前記層状に存在する熱可塑性樹脂が形成された繊維強化複合材料を用いた携帯電話筐体であることが好ましい。繊維強化複合材料に形成された層状の熱可塑性樹脂を介して、ポリエステルまたはポリカーボネートを主成分として含む意匠層を接合することで、意匠層を強固に繊維強化複合材料と接合することができるため好ましい。接合は熱溶着にて行うのが好ましく、その際には意匠層が熱により変形・変質しない温度領域で行うのが好ましい。繊維強化複合材料の反対側の表面にも前記層状に存在する熱可塑性樹脂が形成されていることで、該層状の熱可塑性樹脂を介して他の部材と強固に接合した携帯電話筐体とすることができるため好ましい。
また本発明の携帯電話筐体は、携帯電話としての通信機能を高めるために、携帯電話筐体のうちの少なくとも一部が電波透過性を有することが好ましい。電波透過性を有することで、その部位をアンテナとして信号の送受信が可能となり、通信機能を確保する手段として好ましい。ただし、誤作動を防ぐ観点から電波シールド性も同時に確保する必要があり、電波透過性を有する部位は携帯電話筐体の一部分であることが好ましい。
ここで電波透過性の測定は、アドバンテスト法にて測定される。携帯電話筐体から正方形の平板を切出して試験片とする。試験片の大きさは可能な限り大きくとることが好ましい。試験片の大きさは小さくても20mm×20mmが好ましい。試験片の大きさが確保できない場合、該当する材質部分を切り出して、厚みをフレーム部材と同厚みになるよう熱プレス成形などで再成形してから評価に供してもよい。熱などで変性してしまう、あるいは再成形が不可能な場合は、該当材料の組成を分析し、同等組成の材料を試験片形状に成形して評価してもよい。試験片の評価にあたり、試験片を絶乾状態(水分率0.1%以下)とし、四辺に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させる。シールドボックス中に試験片をはさみこんで、スペクトラムアナライザーにて周波数1GHzでの電波シールド性(単位:dB)を測定し、電磁波シールド性とする。電波シールド性が低いほど、電波透過性に優れていることを表している。
携帯電話筐体の少なくとも一部が電波透過性6dB以下であることが好ましい。より好ましくは4dB以下、さらに好ましくは2dB以下である。
また、平面形状が多い繊維強化複合材料(I)に比較して、フレーム部分(II)は形状設計が比較的容易におこなえることから、電波透過性をフレーム部分(II)の一部に持たせることが好ましい。
また、本発明の携帯電話筐体において、繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)を熱可塑性樹脂(A)を介して一体化する場合には熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着、インサート射出成形、アウトサート射出成形などが好ましく使用され、成形サイクルが速く、生産性が高いことからアウトサート成形、インサート成形が好ましく使用できる。
以下、実施例に基づき、本発明を更に具体的に説明する。下記の実施例および比較例中に示される配合割合(%)は、別途特定している場合を除き、全て重量%に基づく値である。まず、本発明で行った評価方法について記載する。
(1)曲げ弾性率評価
図3に示す携帯電話筐体の繊維強化複合材料(I)の部位より0°方向および90°方向に長さを方向を取り、幅8mm、長さ30mmの試験片を切り出した。試験片個数は各3個とした。測定装置としては“インストロン”(登録商標)5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用した。引張試験は、雰囲気温度が調節可能な試験室において、25℃の雰囲気温度で行った。試験開始前に、試験片は、試験室内において、少なくとも5分間、引張試験の負荷がかからない状態を維持し、また、試験片に熱電対を配置して、雰囲気温度と同等になったことを確認した後に、曲げ試験を行った。曲げ試験は、圧子の速度1.27mm/分にておこなった。
(2)比重評価
ISO1183に記載の方法に基づき、25℃で水中置換法により強化繊維複合材料の密度を測定した。
(3)融点評価
融点は示差走査熱量計(DSC)により評価を行った。容量50μlの密閉型サンプル容器に1〜5mgの試料を詰め、昇温速度10℃/分で30℃の温度から350℃の温度まで昇温し、評価した。評価装置には、PerkinElmer社製Pyris1DSCを使用した。混合物などで融点が複数観測される場合は、最も高い融点をその組成物の融点として採用した。
(4)溶融粘度評価
動的粘弾性測定装置を使用し、直径20mmのパラレルプレートを用い、平行平板間の距離1.0mm、測定周波数0.5Hz、発生トルク3〜200gf・cmの条件下で、所定の温度においてポリエステル樹脂成分3gを用いて粘弾性測定を行い、複素粘性率ηを読み取った。なお動的粘弾性測定装置として、ティー・エイ・インスツルメント社製動的粘弾性測定装置ARESを用いた。
(5)ガラス転移温度(Tg)評価
ISO11357−2記載の方法に基づき、Pyris 1 DSC(パーキンエルマー・インスツルメント社製示差走査熱量計)を用いてガラス転移温度(Tg)を測定した。昇温速度は10℃/分とし、DSC曲線が階段状変化を示す部分について中間点をガラス転移温度とした。混合物などでTgが複数観測される場合は、最も低いTgをその組成物のTgとして採用した。
(6)最大含浸厚みh評価
携帯電話筐体を切り出し、断面を光学顕微鏡にて画像撮影し、画像より最大含浸厚みhを計測して求めた。
(7)接着層厚みt評価
繊維強化複合材料を切り出し、断面を光学顕微鏡にて画像撮影し、画像より接着層厚みtを計測して求めた。
(8)数平均分子量評価
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる公知の技術を用いて評価した。
(9)接着強度評価
携帯電話筐体から図2に示すような繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)が接合一体化した部分を切り出した。図1に示すL、M、W、Tで表す試験片の大きさはL=3mm、M=20mm、W=10mm、T=2mmのとした。測定装置としては“インストロン”(登録商標)5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用した。引張試験は、雰囲気温度が調節可能な試験室において、25℃の雰囲気温度で行った。試験開始前に、試験片は、試験室内において、少なくとも5分間、引張試験の負荷がかからない状態を維持し、また、試験片に熱電対を配置して、雰囲気温度と同等になったことを確認した後に、引張試験を行った。引張試験は、引張速度1.27mm/分にて引っ張って行い、その最大荷重を接着面積で除した値を接着強度(単位:MPa)とした。また、試料数はn=3とした。
(10)電波透過性評価
アドバンテスト法にて測定した。携帯電話筐体からフレーム部分(II)の部位を切り出し、20mm×20mm×厚み1mmの正方形形状に270℃の熱プレス成形で再成形してから評価に供した。試験片を絶乾状態(水分率0.1%以下)とし、四辺に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させた。シールドボックス中に試験片をはさみこんで、スペクトラムアナライザーにて周波数1GHzでの電波シールド性(単位:dB)を測定し、電磁波シールド性とした。
(11)官能基当量の評価
実施例にて用いたポリエステル樹脂は、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂であり、樹脂1gをDMF30mlに溶かし、フェノールフタレインを指示薬として水酸化カリウムで滴定して、樹脂1分子当たりのカルボキシル基の数を定量し、樹脂の数平均分子量をカルボキシル基数で割ってカルボキシル当量を求めた。
[参考例]一方向炭素繊維プリプレグの作成
1.使用原料
<エポキシ樹脂>
“エピコート(登録商標)”828、“エピコート(登録商標)”834、 “エピコート(登録商標)”1001(以上、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピコート(登録商標)”154(以上、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)
<硬化剤>
DICY7(ジシアンジアミド、ジャパンエポキシレジン(株)製)
<硬化促進剤>
3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア
<熱可塑性樹脂>
“ビニレック(登録商標)”K(ポリビニルフォルマール、チッソ(株)製)
<炭素繊維>
“トレカ(登録商標)”T700SC−12K−50C(引張強度4900MPa、引張弾性率235GPa、繊維比重1.80)(東レ(株)製)。
2.エポキシ樹脂を含むマトリックス樹脂[A]の未硬化樹脂組成物(本実施例中では、エポキシ樹脂組成物と略す)の調整方法
以下に示す原料および組成比をもって下に示す手順でニーダーで混合し、ポリビニルホルマールが均一に溶解したエポキシ樹脂組成物を得た。
エポキシ樹脂組成物の原料および組成比
“エピコート(登録商標)”828 : 20
“エピコート(登録商標)”834 : 20
“エピコート(登録商標)”1001 : 25
“エピコート(登録商標)”154 : 35
DICY7 : 4
3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア : 5
“ビニレック(登録商標)”K : 5。
(1)各エポキシ樹脂原料とポリビニルフォルマールとを150〜190℃に加熱しながら1〜3時間攪拌し、ポリビニルフォルマールを均一に溶解する。
(2)樹脂温度を55〜65℃まで降温し、DICY7、および3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアを加え、該温度で30〜40分間混練後、ニーダー中から取り出してエポキシ樹脂組成物を得る。
3.炭素繊維一方向プリプレグの作製
前記エポキシ樹脂組成物をリバースロールコータを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムの単位面積あたりの塗布量は、31g/mとした。
次に、単位面積あたりの繊維重量が125g/mとなるようにシート状に一方向に整列させた炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700SC−12K―50C(東レ株式会社製、引張強度4900MPa、引張弾性率230GPa)に前記樹脂フィルムを両面から重ね、加熱加圧してエポキシ樹脂組成物を含浸させ、一方向プリプレグを作製した。
(実施例1)
(a)熱可塑性樹脂(A)の調整
共重合ポリエステル樹脂(東レデュポン(株)製“ハイトレル”(登録商標)2551、融点164℃)と共重合ポリエステル樹脂(東レ(株)製“ケミット”(登録商標)R248、融点113℃)をJSW製TEX−30α型ニ軸押し出し機(スクリュー直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度200℃、回転数150rpm)を用いて、これらを十分混練した状態でガットを連続的に押し出し、これを冷却後、カッターで5mm長に切断して、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂を温度200℃、圧力50MPaでプレス成形し、フィルムを得た。
(b)繊維強化複合材料(I)の作成
参考例に記載の一方向炭素繊維プリプレグを所定の大きさ(300×300mm)のサイズにカットし、一辺に沿った方向を0°方向として繊維方向が上から0°、90°、0となるように3枚のプリプレグを積層した。最後に積層したプリプレグの上から、上記(a)で作製した熱可塑性樹脂(A)をプリプレグ積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚重ねて積層した。次に、プレス金型に該プリプレグ積層体をセットし、1MPaの圧力をかけながら160℃の温度で30分間加熱硬化させて、プレス成形して繊維強化複合材料(I)を得た。
(c)携帯電話筐体の作成
上記(b)で得られた繊維強化複合材料(I)を所定の大きさにカットしたのち、射出成形のインサート金型内にセットした。このとき、繊維強化複合材料(I)の熱接着用基材面が接着面にくるよう配置した。フレーム部分(II)としてポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン141R)ペレットを射出成形して繊維強化複合材料(I)と一体化させ、図3に示すような携帯電話筐体を得た。評価結果は表1に記載した。
(実施例2)
(a)熱可塑性樹脂(A)の調整
実施例1(a)と同様にして、フィルムを得た。
(b)繊維強化複合材料(I)の作成
実施例1(b)と同様にして繊維強化複合材料(I)を得た。
(c)携帯電話筐体の作成
フレーム部分(II)としてGF/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3412R。GF20重量%)ペレットを用いた以外は実施例1と同様にして、図3に示すような携帯電話筐体を得た。評価結果は表1に記載した。
(実施例3)
(a)熱可塑性樹脂(A)の調整
共重合ポリエステル樹脂(東レデュポン(株)製“ハイトレル”(登録商標)2551、融点164℃)と共重合ポリエステル樹脂(東レ(株)製“ケミット”(登録商標)R248、融点113℃)をJSW製TEX−30α型ニ軸押し出し機(スクリュー直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度200℃、回転数150rpm)を用いて、これらを十分混練した状態でガットを連続的に押し出し、これを冷却後、カッターで5mm長に切断して、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂を温度200℃、圧力50MPaでプレス成形し、フィルムを得た。
(b)繊維強化複合材料の作成
参考例に記載の一方向炭素繊維プリプレグを所定の大きさ(300×300mm)のサイズにカットし、一辺に沿った方向を0°方向として繊維方向が上から0°、90°、0となるように3枚のプリプレグを積層した。最後に積層した一方向炭素繊維プリプレグの上から、上記(a)で作製した熱可塑性樹脂(A)をプリプレグ積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚重ねて積層し、その上にGEプラスチックス(株)製“XYLEX”(登録商標)フィルムD7010MC−112−.007(厚み175μm)をプリプレグ積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚重ねて積層した。さらにプリプレグ積層体の反対側の面にも上記(a)で作製した熱可塑性樹脂(A)をプリプレグ積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚重ねて積層した。次に、プレス金型にそのプリプレグ積層体をセットし、1MPaの圧力をかけながら120℃の温度で60分間加熱硬化させて、プレス成形して繊維強化複合材料を得た。
(c)携帯電話筐体の作成
上記(b)で得られた繊維強化複合材料(I)を所定の大きさにカットしたのち、射出成形のインサート金型内にセットした。このとき、繊維強化複合材料(I)の熱接着用基材面が接着面にくるよう配置した。フレーム部分(II)としてGF/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3412R。GF20重量%)ペレットを射出成形して繊維強化複合材料(I)と一体化させ、図3に示すような携帯電話筐体を得た。評価結果は表1に記載した。
(実施例4)
(a)繊維強化複合材料(I)の作成
熱可塑性樹脂(A)を使用しなかったこと以外は実施例1(b)と同様にして繊維強化複合材料(I)を得た。
(b)携帯電話筐体の作成
フレーム部分(II)としてGF/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3412R。GF20重量%)ペレットを予めフレーム形状に射出成形しておき、(a)で得られた繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)を1液型エポキシ接着剤(住友スリーエム(株)製、EW2070)を用いて接合し、図3に示すような携帯電話筐体を得た。評価結果は表1に記載した。
(実施例5)
(a)熱可塑性樹脂(A)の調整
共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製“バイロン”(登録商標)GM480、融点163℃)50重量%と共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製“バイロン”(登録商標)GM925、融点166℃)50重量%をJSW製TEX−30α型ニ軸押し出し機(スクリュー直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度200℃、回転数150rpm)を用いて、これらを十分混練した状態でガットを連続的に押し出し、これを冷却後、カッターで5mm長に切断して、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂を温度200℃、圧力50MPaでプレス成形し、フィルムを得た。
(b)繊維強化複合材料(I)の作成
上記(a)で作製した熱可塑性樹脂(A)を用いた以外は実施例1(b)と同様にして繊維強化複合材料(I)を得た。
(c)携帯電話筐体の作成
フレーム部分(II)としてGF/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3412R。GF20重量%)ペレットを用いた以外は実施例1と同様にして、図3に示すような携帯電話筐体を得た。評価結果は表1に記載した。
(比較例1)
(a)繊維強化複合材料(I)の作成
熱可塑性樹脂(A)を使用しなかったことと、一方向炭素繊維プリプレグを所定の大きさ(300×300mm)のサイズにカットし、一辺に沿った方向を0°方向として繊維方向が上から0°、90°、0、90°、0°90°、0°、90°、0°となるように9枚のプリプレグを積層した以外は実施例1(b)と同様にして繊維強化複合材料(I)を得た。
(b)携帯電話筐体の作成
フレーム部分(II)としてGF/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3412R。GF20重量%)ペレットを予めフレーム形状に射出成形しておき、(a)で得られた繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)を1液型エポキシ接着剤(住友スリーエム(株)製、EW2070)を用いて接合し、図3に示すような携帯電話筐体を得た。評価結果は表1に記載した。
(比較例2)
(a)繊維強化複合材料(I)の作成
熱可塑性樹脂(A)を使用しなかったこと以外は実施例1(b)と同様にして繊維強化複合材料(I)を得た。
(b)携帯電話筐体の作成
フレーム部分(II)としてGF/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3412R。GF20重量%)ペレットを予めフレーム形状に射出成形した。このとき、繊維強化複合材料(I)との接合部分面積が120mmとなるような金型を使用して成形した。(a)で得られた繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)を1液型エポキシ接着剤(住友スリーエム(株)製、EW2070)を用いて接合し、図3に示すような携帯電話筐体を得た。評価結果は表1に記載した。
Figure 2008054306
以上のように実施例1〜5では薄肉で軽量性に優れた携帯電話筐体となったが、比較例1では繊維強化複合材料(I)が肉厚となり、軽量性に劣り、かつ内部部品との干渉が起こってしまった。さらに実施例3では、表面に意匠層が存在するために平滑で光沢のある外観良好な成形品となった。また比較例2では接合部の割合が3%と小さかったため、携帯電話筐体のフレーム部分(II)が繊維強化複合材料(I)を十分に支持することができなくなり、容易に筐体が変形してしまうほど接合安定性に欠けるものとなった。
本発明の携帯電話筐体は、薄肉かつ軽量で、優れた剛性を有する携帯電話筐体である。
本発明の携帯電話筐体を構成する繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)との接合部の一例を模式的に示す断面図である。 接着強度の試験片の模式図である。 携帯電話筐体の斜視図である。 図3aの携帯電話筐体のA−A’断面図である。 意匠層を付与した繊維強化複合材料の構造を例示説明するための模式断面図である。
符号の説明
1 繊維強化複合材料(I)
2 強化繊維
3 マトリックス樹脂
4 熱可塑性樹脂(A)
5 フレーム部分(II)
6 最大含浸厚みh
7 接着層厚みt
8 繊維強化複合材料(I)
9 熱可塑性樹脂部材(II)
10 接着面積
11 携帯電話筐体
12 意匠層

Claims (23)

  1. 連続した強化繊維およびマトリックス樹脂を含む、実質厚みが0.1〜0.6mmの範囲である繊維強化複合材料(I)と、フレーム部分(II)とが接合され、接合部分の投影面積が前記繊維強化複合材料(I)の投影面積の5〜75%の範囲である携帯電話筺体。
  2. 前記繊維強化複合材料(I)の最大投影面積が10000mm以下である請求項1に記載の携帯電話筺体。
  3. 前記繊維強化複合材料(I)の曲げ弾性率が35GPa以上である請求項1または2に記載の携帯電話筐体。
  4. 前記繊維強化複合材料(I)の比重ρ1が1.4〜1.6の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の携帯電話筐体。
  5. 前記フレーム部分(II)がポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂より選ばれる1種以上の樹脂組成物である請求項1〜4のいずれかに記載の携帯電話筺体。
  6. 前記繊維強化複合材料(I)と前記フレーム部分(II)とが、熱可塑性樹脂(A)を介して接合された請求項1〜5のいずれかに記載の携帯電話筺体。
  7. 前記熱可塑性樹脂(A)が、前記繊維強化複合材料(I)を構成する強化繊維間に最大含浸厚みhが10〜200μmの範囲で凹凸形状を形成して含浸した形態となっている、請求項6に記載の携帯電話筺体。
  8. 前記熱可塑性樹脂(A)がポリエステル樹脂である請求項6または7に記載の携帯電話筐体。
  9. 前記ポリエステル樹脂の融点Tmが120℃〜160℃の範囲である、請求項8に記載の携帯電話筐体。
  10. 前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgが0℃〜80℃の範囲である請求項8または9に記載の携帯電話筐体。
  11. 前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が10,000〜30,000の範囲である請求項8〜10のいずれかに記載の携帯電話筐体。
  12. 前記ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート成分および/またはポリブチレンテレフタレート成分を10〜80重量%の範囲で含有した共重合ポリエステル樹脂である請求項8〜11のいずれかに記載の携帯電話筐体。
  13. 前記ポリエステル樹脂がジオール成分としてポリテトラメチレングリコール成分を含む共重合ポリエステルである請求項12に記載の携帯電話筐体。
  14. 熱可塑性樹脂の引張破断強度が25MPa以上および/または引張破断伸度が200%以上である請求項8〜13のいずれかに記載の携帯電話筐体。
  15. ポリエステル樹脂のうち少なくとも1種のポリエステル樹脂の片末端または両末端が、第1級アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、および酸無水物基からなる群から選ばれた1種または2種の官能基構造を有している請求項8〜14のいずれかに記載の携帯電話筐体。
  16. 官能基の含有量が1000〜100000当量である請求項15に記載の携帯電話筐体。
  17. 前記繊維強化複合材料(I)と前記フレーム部分(II)とが、熱硬化性樹脂接着剤により接合された請求項1〜5のいずれかに記載の携帯電話筐体。
  18. 前記繊維強化複合材料(I)において、少なくとも片方の表面に意匠層を接合した、請求項1〜5または17のいずれかに記載の携帯電話筐体。
  19. 前記繊維強化複合材料(I)において、少なくとも片方の表面に前記熱可塑性樹脂(A)を介してポリエステルまたはポリカーボネートを主成分として含む意匠層を接合し、繊維強化複合材料の反対側の表面にも前記層状に存在する熱可塑性樹脂が形成された、請求項8〜16のいずれかに記載の携帯電話筐体。
  20. 前記繊維強化複合材料(I)を構成する強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜19のいずれかに記載の携帯電話筺体。
  21. 前記繊維強化複合材料(I)を構成するマトリックス樹脂がエポキシ樹脂である請求項1〜20のいずれかに記載の携帯電話筺体。
  22. 少なくとも一部が電波透過性を有する請求項1〜21のいずれかに記載の携帯電話筐体。
  23. 電波透過性を有する部位の電磁波シールド性が6dB以下である請求項22に記載の携帯電話筐体。
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