JP3493845B2 - 多層成形体及びその製造方法 - Google Patents

多層成形体及びその製造方法

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JP3493845B2 JP29103395A JP29103395A JP3493845B2 JP 3493845 B2 JP3493845 B2 JP 3493845B2 JP 29103395 A JP29103395 A JP 29103395A JP 29103395 A JP29103395 A JP 29103395A JP 3493845 B2 JP3493845 B2 JP 3493845B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層成形体及びその
製造方法に関し、詳しくは塩化ビニル系樹脂表皮材層、
接着層およびプロピレン系樹脂芯材層からなる多層成形
体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、表面に皮しぼ、ステッチ等の
複雑な模様を有する成形体は自動車内装材等に使用され
ており、このような成形体として塩化ビニル系樹脂表皮
材層と硬質ウレタン芯材層とからなる多層成形体が広く
用いられている。しかしながら、かかる多層成形体は、
強度的に弱いため厚肉に設定しなければならず、造形的
な制約を受けるとともに軽量化が図れないという硬質ウ
レタンに起因する問題があった。このような問題を解決
するものとして、硬質ウレタンに代えてより強度の高い
プロピレン系樹脂を芯材層として用いた多層成形体、例
えば塩化ビニル系樹脂表皮材層とプロピレン系樹脂芯材
層とからなる多層成形体(特開昭63-251206 号公報) 、
塩化ビニル系樹脂スキン層とポリプロピレンおよび塩化
ビニル樹脂からなる発泡層とを有する表皮材層と、プロ
ピレン系樹脂芯材層とからなる多層成形体(特開平 2-1
98812 号公報) などが提案されている。しかしながら、
これらの多層成形体はいずれも、表皮材層が剥がれ易
く、この点の改善が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この様な状況下、本発
明者らは、表皮材層が容易に剥がれることのない、塩化
ビニル系樹脂表皮材層とプロピレン系樹脂芯材層とから
なる多層成形体を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、塩
化ビニル系樹脂表皮材層とプロピレン系樹脂芯材層とを
特定の接着層により一体的に接着させることにより、塩
化ビニル系樹脂表皮材層が容易には剥がれない多層成形
体を見出し、本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、塩化
ビニル系樹脂表皮材層と接着層とプロピレン系樹脂芯材
層とからなる多層成形体であって、接着層が下記(A) 層
および(B) 層の2層からなり、(A) 層が塩化ビニル系樹
脂表皮材層と接着し、(B) 層がプロピレン系樹脂芯材層
と接着してなることを特徴とする多層成形体を提供する
ものである。 (A) 層:ポリエステル系樹脂およびエポキシ基含有エチ
レン共重合体、またはそれらとエチレン系共重合体とを
樹脂成分とする層 (B) 層:エチレン系共重合体とエポキシ基含有エチレン
共重合体とから選ばれる少なくとも一つ、またはそれと
ポリオレフィンとを樹脂成分とする層
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の多層成形体に用いられる
接着層は、上記の(A) 層と(B) 層との2層からなるもの
であるが、ここで (A)層の樹脂成分を構成する一成分で
あるポリエステル系樹脂とは、カルボン酸類とグリコー
ル類との縮重合体である。
【0006】ここでカルボン酸類としては、例えばテレ
フタール酸、イソフタール酸、フタール酸、2,6-ナフタ
レンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等の芳香族
ジカルボン酸類、コハク酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ダイマー
酸等の脂肪族ジカルボン酸類、p-(2- ヒドロキシエトキ
シ) 安息香酸等のオキシ酸類、ε- カプロラクトン等の
ラクトン類などや、これらの混合物などが挙げられる。
これらの中でもテレフタール酸またはテレフタール酸と
イソフタール酸との混合物を単独で使用するか、これら
と他のカルボン酸類とを併用することが好ましく、併用
する場合、全カルボン酸中におけるテレフタール酸また
はテレフタール酸とイソフタール酸との混合物の含有量
は40モル%以上であることが好ましい。
【0007】また、グリコール類としては、例えばエチ
レングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレン
グリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレ
ングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサ
ンジメタノール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタ
ンジオール、1,6-ヘキサンジオール、N-メチルジエタノ
ールアミン、これらの混合物などが挙げられ、中でも、
エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブ
タンジオールなどが好ましく用いられる。
【0008】かかるポリエステル系樹脂はいずれの製造
方法によって製造されたものであってもよく、通常の方
法、例えば上記のカルボン酸類、そのエステルもしくは
塩化物などとグリコール類とを触媒の存在下に縮重合す
る方法によって製造されたものであってもよいし、ポリ
エチレンテレフタレート樹脂とグリコール類とから、エ
ステル交換反応に基づく解重合反応と再縮合反応とによ
って、ポリエチレンテレフタレート樹脂中のエチレング
リコール単位が部分的にグリコール類に置換されて製造
された変成エーテル型ポリエステル樹脂であってもよ
い。このようなポリエステル系樹脂の中でも、その融点
が50〜200 ℃の範囲、還元粘度ηが0.5 〜2 の範囲のも
のが好ましく使用される。このようなポリエステル系樹
脂はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合し
て用いてもよい。
【0009】(A)層の樹脂成分を構成する他の一成分で
あるエポキシ基含有エチレン共重合体とは、エチレン
と、不飽和カルボン酸グリシジルエステルもしくは不飽
和グリシジルエーテルとの共重合体、またはこれらと不
飽和カルボン酸グリシジルエステル以外のカルボン酸エ
ステルとの共重合体である。
【0010】ここで、不飽和カルボン酸グリシジルエス
テルまたは不飽和グリシジルエーテルとしては、一般式
(1) (式中、Rは炭素数2〜18のアルケニル基を、Xはカル
ボニルオキシ基、メチレンオキシ基、フェニレンオキシ
基をそれぞれ表す。)で示される化合物が代表的であ
り、かかる不飽和カルボン酸グリシジルエステルとして
具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート、イタコン酸グリシジルエステルなどが、不飽
和グリシジルエーテルとしてはアリルグリシジルエーテ
ル、メタアリルグリシジルエーテル、スチレン-p- グリ
シジルエーテルなどがそれぞれ例示される。
【0011】また不飽和カルボン酸グリシジルエステル
以外のカルボン酸エステルとは、分子中に炭素−炭素間
二重結合を有するエステルであって、例えば酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステ
ル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸ブチル等のα,β−不飽和カルボン酸のエ
ステル類などが挙げられ、中でも酢酸ビニル、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチルなどが好ましく使用され
る。
【0012】かかるエポキシ基含有エチレン共重合体
は、通常の方法、例えば高圧ラジカル重合法、溶液重合
法、乳化重合法等の方法で容易に製造する。このような
エポキシ基含有エチレン共重合体の中でも、エチレン単
位含有量が20〜99.9重量%、好ましくは50〜99重量%の
範囲、不飽和カルボン酸グリシジルエステルまたは不飽
和グリシジルエーテル単位含有量が0.1 〜30重量%、特
には0.5 〜20重量%の範囲、不飽和カルボン酸グリシジ
ルエステル以外のカルボン酸エステル単位含有量が0〜
50重量%の範囲であって、そのメルトフローレート(J
IS K6730に準拠して、温度190℃、荷重2.
16kgで測定した値であり、以下、MFRと称す
る。)が0.1 〜300g/10 分、特には0.5 〜80g/10分であ
るエポキシ基含有エチレン共重合体が好ましく使用され
る。このようなエポキシ基含有エチレン共重合体はそれ
ぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用い
てもよい。
【0013】(A) 層の樹脂成分は、上記のようなポリエ
ステル系樹脂およびエポキシ基含有エチレン共重合体の
ほかにエチレン系共重合体を含んでいてもよいが、ここ
でエチレン系共重合体としては、例えばエチレンと不飽
和カルボン酸グリシジルエステル以外のカルボン酸エス
テルとの共重合体などが挙げられ、かかる不飽和カルボ
ン酸グリシジルエステル以外のカルボン酸エステルとし
ては、前記したと同様の分子中に炭素−炭素間二重結合
を有するエステルが挙げられる。かかるエチレン系共重
合体は、通常の方法、例えば高圧ラジカル重合法、溶液
重合法、乳化重合法等の方法によって容易に製造するこ
とができる。このようなエチレン系共重合体の中でも、
エチレン単位含有量が50〜99.9重量%、好ましくは70〜
99重量%の範囲、グリシジルエステル以外のカルボン酸
エステル単位含有量が0.1 〜50重量%の範囲であって、
そのMFRが0.1 〜300g/10分程度、特には0.5 〜80g/1
0分の範囲であるエチレン系共重合体が好ましく用いら
れる。このようなエチレン系共重合体はそれぞれ単独で
用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】(A)層は上記のようなポリエステル系樹脂
およびエポキシ基含有エチレン共重合体、またはそれら
とエチレン系共重合体とを樹脂成分とするものである
が、かかる樹脂成分中のポリエステル系樹脂の含有量は
通常30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%の範囲、エ
ポキシ基含有エチレン共重合体またはこれとエチレン系
共重合体との合計含有量は通常70〜10重量%、好ましく
は60〜20重量%の範囲であり、かつエポキシ基含有エチ
レン共重合体とエチレン系共重合体との合計量中のエポ
キシ基含有エチレン共重合体含有量は通常3 〜100 重量
%、好ましくは10〜100 重量%の範囲である。
【0015】また、 (A)層は上記の樹脂成分の他に、例
えばエポキシ樹脂などの溌水剤、フェノール系安定剤、
フォスファイト系安定剤、アミン系安定剤、アミド系安
定剤などの各種耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、
帯電防止剤などの各種添加剤を含有していてもよく、
(A)層におけるこれら添加剤の含有量は、通常は20重
量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0016】本発明の多層成形体における接着層を構成
する他の層である(B) 層は、エチレン系共重合体とエポ
キシ基含有エチレン共重合体とから選ばれる少なくとも
一つ、またはそれらとポリオレフィンとを樹脂成分とす
るものであるが、ここでエチレン系共重合体、エポキシ
基含有エチレン共重合体としては、前記の (A)層におい
て示したと同様のものが挙げられる。
【0017】また、ポリオレフィンとしては、例えばポ
リエチレン、ポリプロピレンやこれらの混合物等が挙げ
られ、中でもMFRが0.1 〜300g/10 分、好ましくは0.
5 〜80g/10分の範囲のものが好ましく使用される。(B)
層の樹脂成分中におけるポリオレフィンの含有量は、エ
チレン系共重合体とエポキシ基含有エチレン共重合体と
の合計量に対して通常0〜50重量%の範囲である。
【0018】また、(B) 層は上記の樹脂成分の他に、例
えばフェノール系安定剤、サルファイド系安定剤、フォ
スファイト系安定剤、アミン系安定剤、アミド系安定剤
などの各種耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電
防止剤などを含有していてもよく、その含有量は通常は
20重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲であ
る。
【0019】本発明の多層成形体における接着層は、こ
のような (A)層および(B) 層の2層からなるものである
が、かかる接着層は、通常の方法、例えば (A)層を形成
するための成分および(B) 層を形成するための成分をそ
れぞれ一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、
熱ロール等の混練機を用いて溶融、混練した後、例えば
インフレーション法、T-ダイ押出法、押出ラミネート法
などによって製造してもよいし、複数の樹脂通路を設け
たダイと複数の押出機とを組合せて共押出しを行うこと
によって、(A) 層と(B) 層とを一体的に積層して製造し
てもよい。接着層の厚みは、通常10〜1000μm 好ましく
は10〜500 μm の範囲であり、(A) 層と(B) 層との厚み
の比率は通常1/100 〜100/1 、好ましくは1/10〜10/1の
範囲である。
【0020】本発明の多層成形体は、塩化ビニル系樹脂
表皮材層と接着層とプロピレン系樹脂芯材層とからなる
ものであり、かかる塩化ビニル系樹脂表皮材層を構成す
る塩化ビニル系樹脂としては、例えば塩化ビニル単独の
重合体、塩化ビニルとこれと共重合可能なモノマーとの
共重合体、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン
共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビ
ニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン
共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニ
ル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイ
ン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エス
テル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合
体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重
合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル三元共
重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体への塩化ビニル
グラフト共重合体、これらの混合物等が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0021】かかる塩化ビニル系樹脂表皮材層はスキン
層単独であってもよいし、スキン層と発泡層とからなる
ものであってもよい。スキン層としては通常使用される
シート状やフィルム状のものが用いられるが、その表面
に皮しぼ、ステッチ等の複雑な模様を容易に施し得る点
で、例えば流動浸漬法、粉末焼結法、静電塗装法、粉末
溶射法、粉末回転成形法、粉末スラッシュ成形法(特開
昭58-132057 号公報)等の粉末成形法、中でも粉末スラ
ッシュ成形法によって製造されたものが好ましく用いら
れる。
【0022】粉末成形法によってスキン層単独からなる
塩化ビニル系樹脂表皮材層を製造する場合は、スキン層
用の粉末組成物を用いて粉末成形を行えばよい。
【0023】スキン層用の粉末組成物は、粒状の塩化ビ
ニル系樹脂に可塑剤、安定剤、顔料等の各種配合剤をド
ライブレンドした後、微粒の塩化ビニル系樹脂を配合す
ることによって製造され、ドライブレンドは通常60〜13
0 ℃の温度範囲、また微粒の塩化ビニル系樹脂の配合は
通常40〜80℃の温度範囲でそれぞれ行われる。
【0024】粒状の塩化ビニル系樹脂としては、例えば
前記したと同様の塩化ビニル系樹脂からなる粉末が挙げ
られ、その粒径は通常100 〜150 μm の範囲であり、例
えば懸濁重合法、バルク重合法などによって製造するこ
とができる。微粒の塩化ビニル系樹脂は粒状の塩化ビニ
ル系樹脂をコーティングするために用いられるものであ
り、通常用いられると同様の、例えば塩化ビニル重合体
または塩化ビニルと、これと共重合し得るエチレン、プ
ロピレン、酢酸ビニル等との共重合体やこれらの混合物
などが挙げられ、その粒径は通常0.1 〜10μm の範囲で
あり、例えばエマルジョン重合法、ミクロ重合法などに
よって製造することができる。
【0025】可塑剤としては、例えばジイソデシルフタ
レート、ジイソウンデシルフタレート等のアルキル基の
炭素数が9〜11のジアルキルフタレート類、トリオク
チルトリメリテート、トリ−2−エチルヘキシルトリメ
リテート、トリデシルトリメリテート等のアルキル基の
炭素数が7〜11のトリアルキルトリメリテート類等が
挙げられるが、通常の粉末成形に使用できるものであれ
ば特に限定されるものではなく、その使用量は、通常と
同様に、粒状の塩化ビニル系樹脂と微粒の塩化ビニル系
樹脂との合計量100 重量部に対して40〜120 重量部の範
囲である。
【0026】また安定剤としては、例えば亜鉛、バリウ
ム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リチウム、錫
等の金属塩、例えばカルボン酸塩などや、これらの複合
安定剤が用いられ、さらにこれらの安定剤の他に、酸化
マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイ
ト類、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化カルシウム、燐酸
バリウム等や、フェノール系、チオエーテル系、リン系
等の酸化防止剤、ジケト化合物系、サリチル酸系、ベン
ゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の光安定剤、エ
ポキシ系化合物なども併用することができるが、通常の
粉末成形に使用できるものであれば特に限定されるもの
ではなく、その使用量は、通常と同様に塩化ビニル系樹
脂の合計量100 重量部に対して通常は3〜15重量部の範
囲である。
【0027】粉末成形は通常の方法で行われ、例えば粉
末スラッシュ成形法によってスキン層を製造する場合
は、その成形面に皮しぼ、スティッチ模様などの複雑な
模様が施されていてもよい粉末成形用の金型を、スキン
層用粉末組成物の溶融温度よりも充分高温に加熱し、そ
の加熱状態を維持したまま、該金型の開口部と、スキン
層用粉末組成物を入れた容器の開口部とを互いに密着さ
せて、両者を一体化し、その後これを回転または180
°回転させたのち揺動させることによって成形面上に粉
末組成物を付着、溶融させてシート状物を形成させ、そ
の後、付着、溶融しなかった余剰の粉末組成物を容器中
へ回収することによって、スキン層を得ることができ
る。
【0028】上記の粉末スラッシュ成形法における金型
の加熱方式は、特に限定されるものではなく、例えば、
ガス加熱炉方式、電気加熱炉方式、熱媒体油循環方式、
熱媒体油もしくは熱流動砂内への浸漬方式、高周波誘導
加熱方式等が挙げられ、金型の加熱温度は、粉末組成物
の溶融温度以上であって、通常は160 〜300 ℃、好まし
くは180 〜280 ℃の範囲である。粉末組成物の付着、溶
融時間は特に限定されるものではなく、目的とするスキ
ン層の厚みや大きさ等によって適宜選択される。
【0029】塩化ビニル系樹脂表皮材層がスキン層と発
泡層とからなる場合、発泡層は、前記したと同様の塩化
ビニル系樹脂またはこれを主成分とする他の熱可塑性樹
脂や熱可塑性エラストマーとの混合物を用いて予め発泡
されてなる発泡シートをスキン層と一体的に積層して用
いてもよい。かかる発泡層の製造方法は特に限定されな
いが、発泡層用の粉末組成物を用いて粉末成形法によっ
て製造するのが好ましい。
【0030】発泡層用の粉末組成物は、通常と同様に、
ドライブレンドにおいて発泡剤、必要に応じて用いられ
る発泡助剤、セル調整剤等を配合する以外はスキン層用
の粉末組成物と同様にして製造し得る。発泡剤として
は、例えばアゾジカルボンアミド、p・p’−オキシビ
スベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホ
ニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド等の熱
分解型発泡剤が挙げられ、これらはそれぞれ単独または
2種以上を混合して使用されるが、中でも、均一な気泡
を有する発泡層が容易に得られる点でアゾジカルボンア
ミドが好ましく使用される。かかる発泡剤の使用量は、
通常と同様に塩化ビニル系樹脂の合計量100 重量部に対
して、通常1〜10重量部の範囲である。
【0031】粉末成形法によって得られるスキン層に、
上記の粉末成形法による発泡層を積層する場合、例えば
上記のスキン層用粉末組成物と発泡層用粉末組成物とを
用いる通常の粉末多層成形法によって目的の塩化ビニル
系樹脂表皮材を容易に製造することができる。具体的に
は、例えば多層粉末スラッシュ成形法によって製造する
場合、以下の工程によって製造することができる。 (1) 粉末成形用の金型と、スキン層用の粉末組成物とを
用いて前記と同様の粉末スラッシュ成形操作を行い、粉
末成形用金型の成形面上にスキン層を得、その後、付
着、溶融しなかった余剰の粉末組成物を容器中へ回収す
る。 (2) 次いで、金型から余剰の粉末組成物が回収された容
器を取り外し、該金型と発泡層用粉末組成物を入れた容
器とを上記と同様にして一体化し、上記と同様にして発
泡層用の粉末組成物を容器からスキン層上に付着、溶融
させ、発泡層用の粉末組成物を互いに熱融着させて樹脂
層(以下、未発泡層と称する。)を形成させて、金型成
形面上にスキン層と未発泡層とからなる2層シート状物
を得、次いで余剰の発泡層用粉末組成物を容器中に回収
する。 (3) しかる後、該容器を金型から取り外し、得られた2
層シート状物を発泡温度にまで加熱し、未発泡層を発泡
させる。
【0032】未発泡層を発泡させる際の加熱温度は、発
泡剤の分解温度以上であって、通常は180 〜280 ℃、好
ましくは180 〜260 ℃の範囲である。発泡させる際の加
熱時間は特に限定されるものではなく、発泡層の厚みや
発泡倍率により適宜選択される。
【0033】本発明の多層成形体のプロピレン系樹脂芯
材層におけるプロピレン系樹脂としては、例えばホモポ
リプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合
体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−
プロピレン−ブテン三元共重合体やこれらの混合物等が
挙げられ、通常はそのMFRが0.1 〜300g/10 分、好ま
しくは1 〜200g/10 分の範囲のものが使用される。ま
た、かかるプロピレン系樹脂は、無機充填剤、ガラス繊
維等の各種充填剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、安定剤等
の通常用いられると同様の各種添加剤を含有していても
よい。
【0034】本発明の多層成形体は、上記した塩化ビニ
ル系樹脂表皮材層、接着層およびプロピレン系樹脂芯材
層からなるものであって、接着層の(A) 層が塩化ビニル
系樹脂表皮材層と接着し、(B) 層がプロピレン系樹脂芯
材層と接着してなるものであるが、かかる多層成形体
は、例えば、接着層の(A) 層側に塩化ビニル系樹脂表皮
材層を、(B) 層側にプロピレン系樹脂溶融体をそれぞれ
配置し、次いで加圧、冷却することによって、容易に製
造することができる。ここで、プロピレン系樹脂溶融体
とは、その溶融温度以上に加熱された状態のプロピレン
系樹脂である。また、塩化ビニル系樹脂表皮材層と接着
層とは、かかるプロピレン系樹脂溶融体からの熱伝導と
加圧力とによって接着されるが、塩化ビニル系樹脂表皮
材層と接着層とは予め接着されて用いられてもよい。
【0035】多層成形体の製造方法として具体的には、
例えば、開放された雌雄一対の金型間に塩化ビニル系樹
脂表皮材層と、(A) 層および(B) 層の2層からなる接着
層とを、(A) 層が塩化ビニル系樹脂表皮材層に対向し、
(B) 層が一方の金型と対向するように供給し、次いで該
一方の金型と接着層との間にプロピレン系樹脂溶融体を
供給、両金型を型締めしたのち、冷却すればよい。ここ
で、両金型の開閉方向は特に限定されるものではなく、
上下方向であっても、水平方向であってもよい。
【0036】ここで塩化ビニル系樹脂表皮材層が粉末成
形法によって製造される場合は、粉末成形用金型を、そ
の成形面上に粉末成形法によって得られた塩化ビニル系
樹脂表皮材層を保持したまま、上記の多層成形体の製造
における金型の一方として用いてもよい。この方法によ
れば、複雑な模様が転写された塩化ビニル系樹脂表皮層
が脱型されることなく金型間に供給されるので、その表
面に施された模様を殆ど崩すことなく、目的の多層成形
体を製造することができる。
【0037】プロピレン系樹脂溶融体は、両金型を閉鎖
した後に供給してもよいが、塩化ビニル系樹脂表皮材層
がずれたり、その模様が崩れることが殆ど無い点で、両
金型の型締め開始前に予め、または両金型の型締めと同
時的に供給する方法が好ましい。プロピレン系樹脂溶融
体の供給方法は特に限定されるものではなく、例えば、
供給された接着層と対向する一方の金型内に設けた樹脂
通路から供給してもよいし、開放された両金型間にプロ
ピレン系樹脂溶融体の供給ノーズを挿入してプロピレン
系樹脂溶融体を供給し、その後、該供給ノーズを両金型
の系外に退避させる方法であってもよい。
【0038】雌雄一対の金型としては、一方の金型の外
周面と他方の金型の内周面とが摺動可能な一対の雌雄金
型を用いることもでき、この場合、両金型の摺動面のク
リアランスを表皮材層の厚みと略等しくすることによっ
て、その端部に余分の表皮材層を有する多層成形体を得
ることができ、この余分の表皮材層を多層成形体の裏面
に折り返すことによって、その端部が表皮材層で覆われ
た多層成形体を得ることができる。
【0039】
【発明の効果】本発明の多層成形体は、接着層を介して
塩化ビニル系樹脂表皮材層とプロピレン系樹脂芯材層と
が強固に接合一体化しているので、塩化ビニル系樹脂表
皮材層が剥がれ難く、実用的であり、種々の分野で使用
することができる。例えば自動車分野では、インストル
メントパネル、コンソールボックス、アームレスト、ヘ
ッドレスト、ドアトリム、リアパネル、ピラートリム、
サンバイザー、トランクルームトリム、トランクリッド
トリム、エアーバック収納ボックス、シートバックル、
ヘッドライナー、グローブボックス、ステアリングホイ
ールカバー、天井材、キッキングプレート、チェンジレ
バーブーツなど内装成形体、スポイラー、サイドモー
ル、ナンバープレートハウジング、ミラーハウジング、
エアダムスカート、マッドガード等の外装部品などに適
する。
【0040】家電・OA機器分野においては、例えば、
テレビ、ビデオ、洗濯機、乾燥機、掃除機、クーラー、
エアコン等の外装部材として適する。スポーツ用品分野
においては、例えば、ボートの内装材等に適し、建築・
住宅分野においては、例えば、家具、机、椅子、門、
扉、塀、壁装飾材料、天井装飾材料、台所、洗面所、ト
イレ等の屋内用床材等に適する。また、工業用品、雑貨
品等にも使用できる。
【0041】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0042】実施例1 (スキン層用の粉末組成物の製造)高速回転ミキサーに
粒状の塩化ビニル系樹脂(住友化学社製、商品名スミリット
Sx-8G 、平均粒子径140μm )90重量部を入れて一定
回転速度で攪拌しながら加熱し、80℃になった時点でト
リメリット酸エステル系可塑剤60重量部、バリウム−亜
鉛系安定剤 3重量部、顔料1重量部を加えてドライブレ
ンドした。その後、さらに攪拌しながら加熱を続け、組
成物の温度が120 ℃に達した時点で冷却し、50℃になっ
た時点で微粒の塩化ビニル系樹脂(住友化学社製、商品
名スミリット Px-QLT、平均粒子径1μm)10 重量部を加えて
均一分散することによりスキン層用の粉末組成物を得
た。
【0043】(発泡層用の粉末組成物の製造)上記スキ
ン層用の粉末組成物の製造において、ドライブレンド時
に、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(大塚化学社
製、商品名AZL−30、分解温度190℃) 1.5重量
部、発泡助剤として亜鉛華 1重量部、アクリル系セル調
整剤 1重量部を追加する以外は上記と同様に操作して、
発泡層用の粉末組成物を得た。
【0044】(塩化ビニル系樹脂表皮材層の製造)予め
240 ℃に加熱したニッケル製金型に、上記で得たスキン
層用の粉末組成物をふりかけ、8 秒間後に余分の粉末組
成物を払い落とした。さらに10秒経過後に上記で得た発
泡層用の粉末組成物をふりかけ、18秒間後に余分の粉末
組成物を払い落とした。次いで粉末が付着した金型を24
0 ℃のオーブンに入れ、90秒後にこれを取り出し、冷
却、脱型することにより、スキン層の厚みが0.7 mm、発
泡層の厚みが2mmの塩化ビニル系樹脂表皮材層を得た。
【0045】(接着層の製造)(A) 層を形成するための
組成物として、ポリエステル系樹脂(東洋紡績社製、商
品名バイロンGM990)60重量部とエチレン−グリシジル
メタクリレート−酢酸ビニル共重合体(住友化学社製、
商品名ボンドファースト7B、エチレン単位含有量83
重量%、グリシジルメタクリレート単位含有量12重量
%、酢酸ビニル単位含有量5重量%、MFR=7g/10 分
)10重量部とエチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレ
ン単位含有量90重量%、酢酸ビニル単位含有量10重量
%、MFR= 6g/10分) 25重量部とエポキシ樹脂(住
友化学社製、商品名スミエポキシESCN−220)5
重量部とを混練し、組成物を得た。この組成物と、(B)
層を形成するための成分としてのエチレン−グリシジル
メタクリレート−酢酸ビニル共重合体(住友化学社製、
商品名ボンドファースト7B、エチレン単位含有量83
重量%、グリシジルメタクリレート単位含有量12重量
%、酢酸ビニル単位含有量5重量%、MFR=7g/10 分
)とを共押出機を用いて共押し出しして、(A) 層(厚み
25μm )と(B) 層(厚み25μm )とがラミネートされた
2層からなる接着層(厚み50μm )を得た。
【0046】(多層成形体の製造)上記の塩化ビニル系
樹脂表皮材層の発泡層側に、該発泡層とその(A) 層とが
対向するように上記の接着層を重ね合わせた。その後、
アルミ板上に載置したポリプロピレンシート(3mm 厚、
ブロックポリプロピレン、MFR=40g/10分、タルク15 重
量%含有) を220 ℃オーブン中で5 分間加熱して得られ
たシート状ポリプロピレン溶融体を、アルミ板上に保持
したまま接着層の上にさらに重ね合わせ、25g/cm2 で5
分間加圧したのち、除圧、冷却して、多層成形体を得
た。その後、得られた多層成型体を20mm幅の短冊状に切
り出し、温度20℃、剥離速度200mm/分、剥離角度180 °
の条件で表皮材層と芯材層との剥離試験を行った。結果
を表1に示す。
【0047】実施例2 接着層の(B) 層を形成するための成分として、エチレン
−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体(住
友化学社製、商品名ボンドファースト7B)に代えて、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量7
5重量%、酢酸ビニル単位含有量25重量%、MFR=
3g/10分)を用いた以外は、実施例1と同様にして
接着層を得、次いでこれを用いて実施例1と同様にして
多層成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に
示す。
【0048】実施例3 接着層の(B) 層を形成するための成分として、エチレン
−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体(住
友化学社製、商品名ボンドファースト7B)に代えて、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量9
0重量%、酢酸ビニル単位含有量10重量%、MFR=
6g/10分)を用いた以外は、実施例1と同様にして
接着層を得、次いでこれを用いて実施例1と同様にして
多層成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に
示す。
【0049】実施例4 接着層の(B) 層を形成するための成分として、エチレン
−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体(住
友化学社製、商品名ボンドファースト7B)に代えて、
エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重
合体(エチレン単位含有量83重量%、グリシジルメタ
クリレート単位含有量12重量%、酢酸ビニル単位含有
量5重量%、MFR=3g/10 分)を用いた以外は、実施
例1と同様にして接着層を得、次いでこれを用いて実施
例1と同様にして多層成形体を得、その評価を行った。
評価結果を表1に示す。
【0050】実施例5 接着層の(A) 層を形成するための組成物におけるエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量90重量
%、酢酸ビニル単位10重量%、MFR= 6g/10分) に代
えて、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含
有量75重量%、酢酸ビニル単位含有量25重量%、MF
R= 3g/10分) を用いた以外は、実施例1と同様にして
接着層を得、次いでこれを用いて実施例1と同様にして
多層成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に
示す。
【0051】比較例1 接着層を用いない以外は実施例1に準拠して多層成形体
を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0052】比較例2 発泡層用の粉末組成物として、実施例1で得られた発泡
層用の粉末組成物100重量部にポリオレフィン系熱可塑
性エラストマーの粉末(住友化学社製、住友TPE36
81を冷凍粉砕して得た粉末。)48重量部を配合した粉
末組成物を用い、接着層用フィルムを用いない以外は実
施例1に準拠して塩化ビニル系樹脂表皮材層を得、次い
でこれを用いて実施例1と同様にして多層成形体を製造
し、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】実施例6 図1に示すように、実施例1と同様に操作して得たスキ
ン層用の粉末組成物(3)を容器(1)に投入し、240
℃に加熱した成形面に皮しぼ模様を有する粉末成形用金
型(2)を、その開口部を該容器(1)の開口部に合わ
せ置き、双方の開口部のまわりに取付けられている外枠
を密着させることによって互いに固定、一体化した。直
ちにこの一体化した容器と金型とを一軸回転装置により
7秒間かけて1回回転させて該粉末組成物(3)を粉末
成形用金型(2)の成形面上に供給し、付着、溶融さ
せ、回転を止めた後、付着、溶融しなかった余剰の粉末
組成物を容器(1)に回収した。次いで、直ちに実施例
1と同様にして得た発泡層用の粉末組成物を入れた容器
を取り付けて該容器と金型とを一体化し、これを一軸回
転装置により15秒間かけて2回回転させて発泡性組成物
を付着、溶融させ、次いで付着、溶融しなかった余剰の
粉末組成物を容器に排出した。
【0055】次いで、該容器から金型を取り外し、金型
を240 ℃で1分間加熱することにより、発泡層を形成さ
せた。これを冷却固化してスキン層(5)と発泡層
(6)とからなる表皮材層(4)を得た(図2)。次
に、図3に示すように、表皮材層(4)を保持したまま
の粉末成形用金型(2)をモールドベース(7)と一体
化して雌金型(9)とした。続いて、実施例1と同様に
して得た(A) 層と(B) 層との2層からなる接着層(8)
を、その(A) 層が表皮材層(4)と対向し、(B) 層が雄
金型(10)と対向するように雌金型(9)に保持し、
次いで雌金型(9)と雄金型(10)とを型締めしなが
ら、接着層(8)と雄金型(10)との間に樹脂通路
(11)を通じて、190 ℃に加熱したポリプロピレン樹
脂(住友化学社製、住友ノーブレンAX 568、MFR =65g/
10分)(12)を供給し、次いで成形面圧力 50 kg/cm2
で両金型(9、10)を型締めした(図4)。
【0056】冷却後、両金型を開放し、脱型することに
よって、表皮材層(4)、接着層(8)およびプロピレ
ン系樹脂芯材層(13)からなる多層成形体(14)を
得た。この多層成形体の断面を図5に示す。この多層成
形体は、塩化ビニル系樹脂表皮材層(4)におけるスキ
ン層(5)の厚みが0.7mm 、発泡層(6)の厚みが1.5m
m であり、プロピレン系樹脂芯材層(13)の厚みが2m
m であって、その表面にしぼ模様が転写された外観の良
好な多層成形体であった。また、多層成形体は塩化ビニ
ル系樹脂表皮材層とプロピレン系樹脂芯材層との接着性
も大であり、剥離試験を行ったが、材破した。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉末成形用樹脂組成物の入った容器と粉末成形
用金型の断面図である。
【図2】表皮材層を保持した粉末成形用金型の断面図で
ある。
【図3】表皮材層を保持したままの粉末成形用金型をモ
ールドベースと一体化した後、接着層を保持し、圧縮成
形用雄金型よりプロピレン系樹脂溶融体を供給している
状態の断面図である。
【図4】圧縮成形用雄金型と雌金型との型締めが完了し
た状態の断面図である。
【図5】表皮材層、接着層、プロピレン系樹脂芯材層と
からなる多層成形体の断面図である。
【符号の説明】
1・・・容器 2・・・粉末成形用金型 3・・・スキン層用樹脂組成物 4・・・表皮材層 5・・・スキン層 6・・・発泡層 7・・・モールドベース 8・・・接着層 9・・・圧縮成形用雌金型 10・・・圧縮成形用雄金型 11・・・プロピレン系樹脂供給通路 12・・・プロピレン系樹脂溶融体 13・・・プロピレン系樹脂芯材層 14・・・多層成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 27:06 B29K 27:06 B29L 9:00 B29L 9:00 (56)参考文献 特開 平2−196851(JP,A) 特開 昭59−86677(JP,A) 特開 昭63−251206(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C09J 7/00 - 7/04

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系樹脂表皮材層と接着層とプロ
    ピレン系樹脂芯材層とからなる多層成形体であって、接
    着層が下記(A) 層および(B) 層の2層からなり、(A) 層
    が塩化ビニル系樹脂表皮材層と接着し、(B) 層がプロピ
    レン系樹脂芯材層と接着してなることを特徴とする多層
    成形体。 (A) 層:ポリエステル系樹脂およびエポキシ基含有エチ
    レン共重合体、またはそれらとエチレン系共重合体とを
    樹脂成分とする層 (B) 層:エチレン系共重合体とエポキシ基含有エチレン
    共重合体とから選ばれる少なくとも一つ、またはそれと
    ポリオレフィンとを樹脂成分とする層
  2. 【請求項2】(A) 層における樹脂成分中のポリエステル
    系樹脂含有量が30〜90重量%であることを特徴とす
    る請求項1に記載の多層成形体。
  3. 【請求項3】塩化ビニル系樹脂表皮材層が、スキン層と
    発泡層とからなることを特徴とする請求項1に記載の多
    層成形体。
  4. 【請求項4】塩化ビニル系樹脂表皮材層が、粉末成形法
    により得られたものであることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項3に記載の多層成形体。
  5. 【請求項5】下記(A) 層および(B) 層の2層からなる接
    着層の(A) 層側に塩化ビニル系樹脂表皮材層を、(B) 層
    側にプロピレン系樹脂溶融体をそれぞれ配置し、次いで
    加圧、冷却することを特徴とする請求項1に記載の多層
    成形体の製造方法。 (A) 層:ポリエステル系樹脂およびエポキシ基含有エチ
    レン共重合体、またはそれらとエチレン系共重合体とを
    樹脂成分とする層 (B) 層:エチレン系共重合体とエポキシ基含有エチレン
    共重合体とから選ばれる少なくとも一つ、またはそれと
    ポリオレフィンとを樹脂成分とする層
  6. 【請求項6】開放された雌雄一対の金型間に塩化ビニル
    系樹脂表皮材層と下記(A) 層および(B) 層の2層からな
    る接着層とを、(A) 層が塩化ビニル系樹脂表皮材層に対
    向し、(B) 層が一方の金型と対向するように供給し、次
    いで該一方の金型と接着層との間にプロピレン系樹脂溶
    融体を供給、両金型を型締めし、冷却することを特徴と
    する請求項1に記載の多層成形体の製造方法。 (A) 層:ポリエステル系樹脂およびエポキシ基含有エチ
    レン共重合体、またはそれらとエチレン系共重合体とを
    樹脂成分とする層 (B) 層:エチレン系共重合体とエポキシ基含有エチレン
    共重合体とから選ばれる少なくとも一つ、またはそれと
    ポリオレフィンとを樹脂成分とする層
  7. 【請求項7】(A) 層における樹脂成分中のポリエステル
    系樹脂含有量が30〜90重量%であることを特徴とす
    る請求項5または請求項6に記載の多層成形体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】塩化ビニル系樹脂表皮材層が、スキン層と
    発泡層とからなることを特徴とする請求項5または請求
    項6に記載の多層成形体の製造方法。
  9. 【請求項9】塩化ビニル系樹脂表皮材層が、粉末成形法
    により得られたものであることを特徴とする請求項5、
    請求項6または請求項8に記載の多層成形体の製造方
    法。
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