JP2000336429A - フェライト系ステンレス鋼線、線材における結晶方位の異方性を除去する製造方法 - Google Patents
フェライト系ステンレス鋼線、線材における結晶方位の異方性を除去する製造方法Info
- Publication number
- JP2000336429A JP2000336429A JP11149207A JP14920799A JP2000336429A JP 2000336429 A JP2000336429 A JP 2000336429A JP 11149207 A JP11149207 A JP 11149207A JP 14920799 A JP14920799 A JP 14920799A JP 2000336429 A JP2000336429 A JP 2000336429A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 熱間圧延直後の焼鈍条件と伸線、引抜きとの
相乗効果によって、熱間圧延時に生じる結晶方位の異方
性を除去する製造方法を提供すること。 【解決手段】 フェライト系ステンレス鋼線、線材にお
いて熱間圧延された材料を７２０〜８００℃にて熱焼鈍
し、減面率４０％以上の伸線、引抜き作業を行うことを
特徴とするフェライト系ステンレス鋼線、線材における
結晶方位の異方性を除去する製造方法。
相乗効果によって、熱間圧延時に生じる結晶方位の異方
性を除去する製造方法を提供すること。 【解決手段】 フェライト系ステンレス鋼線、線材にお
いて熱間圧延された材料を７２０〜８００℃にて熱焼鈍
し、減面率４０％以上の伸線、引抜き作業を行うことを
特徴とするフェライト系ステンレス鋼線、線材における
結晶方位の異方性を除去する製造方法。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト系ステ
ンレス鋼線、線材における圧延時に生じる結晶方位の異
方性を除去する製造方法に関するものである。
ンレス鋼線、線材における圧延時に生じる結晶方位の異
方性を除去する製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】一般に、フェライト系ステンレスとはク
ロムを１４〜１９重量％含有する鋼である。そのうち、
日本工業規格にＳＵＳ４３０として規定された材料は軟
らかいため冷間鍛造性がよく、また、腐食環境にも耐え
るもので様々な電化機器、自動車装飾品に用いられてい
る。そのフェライト系ステンレス鋼線、線材の用途とし
ては冷間鍛造が多く、結晶粒が粗大であると冷間鍛造時
に割れの原因となる可能性が高いため、製造する時には
２０％程度の減面率（リダクション）をとり、結晶粒度
が４以上になるようにしている。
ロムを１４〜１９重量％含有する鋼である。そのうち、
日本工業規格にＳＵＳ４３０として規定された材料は軟
らかいため冷間鍛造性がよく、また、腐食環境にも耐え
るもので様々な電化機器、自動車装飾品に用いられてい
る。そのフェライト系ステンレス鋼線、線材の用途とし
ては冷間鍛造が多く、結晶粒が粗大であると冷間鍛造時
に割れの原因となる可能性が高いため、製造する時には
２０％程度の減面率（リダクション）をとり、結晶粒度
が４以上になるようにしている。
【０００３】しかし、このように製造したとしても熱間
圧延時に結晶方位に異方性が生じ、この異方性を除去し
なければ、結晶粒度は４以上で微細化されていて確かに
冷間鍛造できるが、ある方向にはよく伸び、別の方向に
はあまり伸びないといったことが起こり、結果として冷
間鍛造して出来あがった製品に形状不良が生じることが
ある。
圧延時に結晶方位に異方性が生じ、この異方性を除去し
なければ、結晶粒度は４以上で微細化されていて確かに
冷間鍛造できるが、ある方向にはよく伸び、別の方向に
はあまり伸びないといったことが起こり、結果として冷
間鍛造して出来あがった製品に形状不良が生じることが
ある。
【０００４】この現象を軽減させる方法、結晶方位の異
方性を除去する方法として、次の方法が提案されてい
る。すなわち、連続鋳造片の凝固段階に電磁攪拌して
微細等軸晶とし、粗大柱状晶を生じさせない方法。熱
間圧延において鋼片の加熱温度を高くし、強圧下圧延に
よって再結晶を促進させ、組織を微細化させる方法であ
る。
方性を除去する方法として、次の方法が提案されてい
る。すなわち、連続鋳造片の凝固段階に電磁攪拌して
微細等軸晶とし、粗大柱状晶を生じさせない方法。熱
間圧延において鋼片の加熱温度を高くし、強圧下圧延に
よって再結晶を促進させ、組織を微細化させる方法であ
る。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したの
方法でも完全な微細等軸晶にすることは困難であり、柱
状晶の残存が避けられない。また、の方法ではフェラ
イトバンドが成長し、また結晶粒も粗大化してしまうた
め冷間鍛造時に割れを引き起こす可能性がある。本発明
は、これらの問題を解消するために行われたもので、そ
の目的は熱間圧延直後の焼鈍条件と伸線、引抜きとの相
乗効果によって、熱間圧延時に生じる結晶方位の異方性
を除去する製造方法を提供することにある。
方法でも完全な微細等軸晶にすることは困難であり、柱
状晶の残存が避けられない。また、の方法ではフェラ
イトバンドが成長し、また結晶粒も粗大化してしまうた
め冷間鍛造時に割れを引き起こす可能性がある。本発明
は、これらの問題を解消するために行われたもので、そ
の目的は熱間圧延直後の焼鈍条件と伸線、引抜きとの相
乗効果によって、熱間圧延時に生じる結晶方位の異方性
を除去する製造方法を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】その発明の要旨とすると
ころは、フェライト系ステンレス鋼線、線材において熱
間圧延された材料を７２０〜８００℃にて熱焼鈍し、減
面率４０％以上の伸線、引抜き作業を行うことを特徴と
するフェライト系ステンレス鋼線、線材における結晶方
位の異方性を除去する製造方法にある。
ころは、フェライト系ステンレス鋼線、線材において熱
間圧延された材料を７２０〜８００℃にて熱焼鈍し、減
面率４０％以上の伸線、引抜き作業を行うことを特徴と
するフェライト系ステンレス鋼線、線材における結晶方
位の異方性を除去する製造方法にある。
【０００７】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。フェライト系ステンレス鋼線、線材を熱間圧延さ
れた材料の焼鈍条件については、７２０〜８００℃とし
た。７２０℃未満では、結晶粒度の成長が見られず、硬
さについては減面率の大きい伸線、引抜きを行うための
軟化が十分得られない。また、８００℃を超える焼鈍温
度では、結晶粒度に混粒が見られる。従って、焼鈍条件
については、７２０〜８００℃とした。次に、減面率４
０％以上とした理由は、伸線、引抜き時の減面率は大き
いほど結晶粒が微細化され、熱間圧延時に生じる結晶方
位の異方性は解消されるということが分かった。ただ
し、減面率が４０％未満だと冷間鍛造時に若干形状不良
が見られることから減面率は４０％以上必要である。
する。フェライト系ステンレス鋼線、線材を熱間圧延さ
れた材料の焼鈍条件については、７２０〜８００℃とし
た。７２０℃未満では、結晶粒度の成長が見られず、硬
さについては減面率の大きい伸線、引抜きを行うための
軟化が十分得られない。また、８００℃を超える焼鈍温
度では、結晶粒度に混粒が見られる。従って、焼鈍条件
については、７２０〜８００℃とした。次に、減面率４
０％以上とした理由は、伸線、引抜き時の減面率は大き
いほど結晶粒が微細化され、熱間圧延時に生じる結晶方
位の異方性は解消されるということが分かった。ただ
し、減面率が４０％未満だと冷間鍛造時に若干形状不良
が見られることから減面率は４０％以上必要である。
【０００８】
【実施例】Ｃ：０．１２％以下、Ｃｒ：１１〜２０％を
含むフェライト系ステンレス鋼線、線材を圧延直後に８
００℃、３時間の焼鈍を行い、次いで伸線、引抜き減面
率４０％以上で行った。その後軟化焼鈍し、スキンパス
を行って冷間鍛造を行った。その冷間鍛造製品のＸ線回
析による１１０面の２θ＝４４．５４°でのＸ線回析強
度を表１に示す。この表１に示すように、リダクション
０％の１回目のＸ線回析強度をＩ0 と定義した場合のＸ
線回析相対強度比（Ｉi ／Ｉ0 ）によって、本発明であ
るＮｏ１〜３の場合のリダクション４０％時の回析相対
強度比の平均値を図１に示す。つまり、リダクション４
０％の時は異方性が崩れるために、リダクション０％時
の回析相対強度比に比べて減少している。このことは、
本発明によれば結晶方位の異方性が除去されていること
分かる。
含むフェライト系ステンレス鋼線、線材を圧延直後に８
００℃、３時間の焼鈍を行い、次いで伸線、引抜き減面
率４０％以上で行った。その後軟化焼鈍し、スキンパス
を行って冷間鍛造を行った。その冷間鍛造製品のＸ線回
析による１１０面の２θ＝４４．５４°でのＸ線回析強
度を表１に示す。この表１に示すように、リダクション
０％の１回目のＸ線回析強度をＩ0 と定義した場合のＸ
線回析相対強度比（Ｉi ／Ｉ0 ）によって、本発明であ
るＮｏ１〜３の場合のリダクション４０％時の回析相対
強度比の平均値を図１に示す。つまり、リダクション４
０％の時は異方性が崩れるために、リダクション０％時
の回析相対強度比に比べて減少している。このことは、
本発明によれば結晶方位の異方性が除去されていること
分かる。
【０００９】一方、比較例として圧延直後に８００℃、
３時間の焼鈍を行い、次いで伸線、引抜き減面率０％の
場合には、上記同様に処理を行ったとき、その冷間鍛造
製品は、表１のＮｏ４〜６に示すように、リダクション
０％時の１１０面での２θ＝４４．５４°で測定された
Ｘ線回析相対強度比の平均値を図２に示す。この図から
分かるように、リダクション４０％時の本発明に比べて
高い値を示している。このことは、比較例によれば結晶
方位の異方性は、本発明と異なり解消されていない。
３時間の焼鈍を行い、次いで伸線、引抜き減面率０％の
場合には、上記同様に処理を行ったとき、その冷間鍛造
製品は、表１のＮｏ４〜６に示すように、リダクション
０％時の１１０面での２θ＝４４．５４°で測定された
Ｘ線回析相対強度比の平均値を図２に示す。この図から
分かるように、リダクション４０％時の本発明に比べて
高い値を示している。このことは、比較例によれば結晶
方位の異方性は、本発明と異なり解消されていない。
【００１０】
【表１】
【００１１】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により冷間鍛
造した製品は圧延時に生じる結晶の異方性が解消される
ことによる形状不良がなくなり、製品として使用可能に
なるという極めて優れた効果を奏するものである。
造した製品は圧延時に生じる結晶の異方性が解消される
ことによる形状不良がなくなり、製品として使用可能に
なるという極めて優れた効果を奏するものである。
【図１】本発明に係るリダクション４０％時の冷間鍛造
製品のＸ線回析による１１０面でのＸ線回析相対強度比
を示す図である。
製品のＸ線回析による１１０面でのＸ線回析相対強度比
を示す図である。
【図２】従来のリダクション０％の冷間鍛造製品のＸ線
回析による１１０面でのＸ線回析相対強度比を示す図で
ある。
回析による１１０面でのＸ線回析相対強度比を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 春名 靖志 兵庫県姫路市飾磨区中島字一文字3007番地 山陽特殊製鋼株式会社内 (72)発明者 村上 俊之 兵庫県姫路市飾磨区中島字一文字3007番地 山陽特殊製鋼株式会社内 Ｆターム(参考） 4E096 EA03 EA12 EA14 GA03 HA21 KA01 KA03 4K032 AA04 AA05 AA13 BA02 CF02 CF03 CG01 CG02
Claims (1)
- 【請求項１】 フェライト系ステンレス鋼線、線材にお
いて熱間圧延された材料を７２０〜８００℃にて熱焼鈍
し、減面率４０％以上の伸線、引抜き作業を行うことを
特徴とするフェライト系ステンレス鋼線、線材における
結晶方位の異方性を除去する製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11149207A JP2000336429A (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | フェライト系ステンレス鋼線、線材における結晶方位の異方性を除去する製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11149207A JP2000336429A (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | フェライト系ステンレス鋼線、線材における結晶方位の異方性を除去する製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000336429A true JP2000336429A (ja) | 2000-12-05 |
Family
ID=15470182
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11149207A Withdrawn JP2000336429A (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | フェライト系ステンレス鋼線、線材における結晶方位の異方性を除去する製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000336429A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN109023121A (zh) * | 2018-10-11 | 2018-12-18 | 山西太钢不锈钢股份有限公司 | 铁素体易切削不锈钢丝的加工方法 |
| CN112921163A (zh) * | 2021-02-03 | 2021-06-08 | 江阴法尔胜泓昇不锈钢制品有限公司 | 一种眼镜框用高塑性不锈钢丝的生产工艺 |
-
1999
- 1999-05-28 JP JP11149207A patent/JP2000336429A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN109023121A (zh) * | 2018-10-11 | 2018-12-18 | 山西太钢不锈钢股份有限公司 | 铁素体易切削不锈钢丝的加工方法 |
| CN109023121B (zh) * | 2018-10-11 | 2020-08-04 | 山西太钢不锈钢股份有限公司 | 铁素体易切削不锈钢丝的加工方法 |
| CN112921163A (zh) * | 2021-02-03 | 2021-06-08 | 江阴法尔胜泓昇不锈钢制品有限公司 | 一种眼镜框用高塑性不锈钢丝的生产工艺 |
| CN112921163B (zh) * | 2021-02-03 | 2024-01-26 | 江阴法尔胜泓昇不锈钢制品有限公司 | 一种眼镜框用高塑性不锈钢丝的生产工艺 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060801 |