JP2000335074A - 3次元形状面への画像転写方法、およびこれに用いる転写フイルム - Google Patents

3次元形状面への画像転写方法、およびこれに用いる転写フイルム

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JP2000335074A
JP2000335074A JP11187997A JP18799799A JP2000335074A JP 2000335074 A JP2000335074 A JP 2000335074A JP 11187997 A JP11187997 A JP 11187997A JP 18799799 A JP18799799 A JP 18799799A JP 2000335074 A JP2000335074 A JP 2000335074A
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Kenichi Furukawa
憲一 古川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性の低い樹脂をも含む樹脂製品一般の3次
元形状面に対して、低温/短時間の熱転写作業で画像を
付与する。 【構成】水溶性フイルムベースに熱可塑性接着剤を積層
してなる転写フイルムの熱可塑性接着剤積層面に、昇華
性染料を含有する記録材料を用いて画像を記録してなる
画像付き転写フイルムを、画像記録面が3次元形状面を
有する基材に対面するように基材に被せて、フイルムと
基材の空隙を減圧しながら、同時にフイルムを加熱して
フイルムと基材を貼合させ、しかるのち基材に貼合した
水溶性フイルムベースを水浸せき/水シャワーなどで溶
解/除去する。これにより昇華性染料で高濃度に染色さ
れた熱可塑性接着剤が、3次元形状面の全面に馴染んで
薄い樹脂皮膜となって固着する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は樹脂製品などへの加飾方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂製品などに模様を付与する技
術として液圧転写法が知られている。(特公昭52−4
1683号公報、特開昭54−33115号公報)。こ
れは活性化された印刷インク模様層を表面に有する水溶
性フイルムを、インク模様層を上面にして水面に浮か
べ、そのあと製品を上面から押し入れることにより、水
圧を利用してインク模様層を製品表面に転写し、しかる
のち水溶性の残滓フイルムを水シャワーをあてて溶解除
去し、乾燥させてからクリアー樹脂を塗装して仕上げる
方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】液圧転写法は、工程が
非常に複雑で熟練を要すること、製品形状ごとに専用の
ジグを要すること、コストが非常に高いこと、膨潤して
いく水溶性フイルムが液圧で製品にまとわりつく現象な
ので、所定の場所に所定の画像を転写するということが
できず、実質的に転写可能な画像は砂目柄/木目柄/迷
彩色柄などに限られること、などの問題点を有する。
【0004】また本発明者は「プラスチック製品の加飾
方法」(特願平10−103249号公報)において、
樹脂製品にデザイン付けが行える方法を開示した。これ
は熱可塑性フイルム上に、昇華性染料を含有する記録材
料により画像を記録して画像付き転写フイルムを作成
し、それを樹脂製品に被せ、両者の空隙を減圧しつつ画
像付きフイルムを非接触方式で加熱する方法である。こ
れにより画像付きフイルム上の昇華性染料が、密着する
相手方の樹脂製品表面に拡散し画像は転写される。
【0005】この方法は高温環境下で数分間にわたり、
樹脂製品と画像付きフイルムが減圧により密着するプロ
セスなので樹脂製品に圧縮力が働く。このため樹脂製品
が軟化を始めても多少の時間形状を保持できるように、
樹脂製品を支える役目を果たす製品の雌型状のジグを必
要とする。しかしそれであっても耐熱性が足らず本発明
に適用できる樹脂の種類が限られるきらいがあった。故
に本発明の課題は、耐熱性の低い汎用樹脂製品に対して
も、低温/短時間で、ましてジグを必要とせずに、転写
フイルム上の昇華性染料を含有する画像を、3次元形状
面を有する基材に熱転写できる方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討の結
果、水溶性フイルムベースに熱可塑性接着剤を積層して
なる転写フイルムの熱可塑性接着剤積層面に、昇華性染
料を含有する記録材料を用いて画像を記録してなる画像
付き転写フイルムを、画像記録面が3次元形状面を有す
る基材に対面するように基材に被せて、画像付き転写フ
イルムと基材の空隙を減圧しながら、同時に画像付きフ
イルムを加熱して画像付き転写フイルムと基材を貼合さ
せ、しかるのち基材に貼合した水溶性フイルムベースを
水浸せき/水シャワーなどで溶解/除去することによ
り、昇華性染料で染色された熱可塑性接着剤が、3次元
形状面の全面に馴染んで薄い接着皮膜となって固着する
ことを見出し、本発明に到達したものである。
【0007】
【作用】昇華性染料は昇華状態にならないと樹脂を染色
することができないというわけではなく、両者の密着度
が高ければ低温においても、分子的な移行という現象に
より拡散する。これから考えれば、昇華性染料を含有す
る記録材料を用いて画像を記録した転写体と、樹脂被膜
を有する被転写体を密着させて加熱し、昇華性染料を樹
脂被膜に拡散させる場合において高温環境を必要とする
のは、ミクロ的に見れば転写体上の昇華性染料と被転写
体の接触面が密着度が足らず非連続であるので、この非
連続面を飛び越えて昇華性染料が被転写体に拡散するた
めに、昇華性染料を加熱により液相もしくは気相の状態
にして、被転写体との接触可能性を高めるためであると
考えることができる。
【0008】この知見を敷衍すれば、昇華性染料の被転
写体への拡散を連続面という系に近い系のなかで行うこ
とができれば、ずっと低温状態で画像転写を実施するこ
とが可能となる筈である。本発明はこの知見に則ったも
ので、熱可塑性接着剤層上に記録された昇華性染料が、
加熱により軟化/溶融した熱可塑性接着剤層に、連続面
への分子的移行という比重を多く占めつつ急速に拡散し
ていく。同時に加熱により軟化/溶融し熱接着適性に達
した熱可塑性接着剤は、基材と減圧により密着状態とな
っているのでスムーズに基材に接着し、冷却後は染色さ
れた樹脂皮膜となって基材上に固着することになる。樹
脂製品の耐熱温度/時間と、昇華性染料の拡散温度/時
間と、熱可塑性接着剤の熱接着温度/時間とがマッチす
るような熱可塑性接着剤を選択することにより、樹脂製
品にダメッジを与えない十分に低い温度/時間で、高濃
度に染色された熱可塑性接着剤の皮膜を3次元形状面に
形成することが可能となる。
【0009】ここにおいて考慮すべきことは、平面形状
の画像付き転写フイルムが延伸/変形して、延面積とし
ては画像付き転写フイルムよりずっと大きい3次元形状
面に密着する、ということが内包する根本的問題であ
る。フイルム自体が熱延伸/熱変形して3次元形状面に
密着することは容易であるが、その上に形成されている
印刷画像は一定限度以上は延伸することができない。本
発明者の知見では、ある一定率までは印刷画像はフイル
ムの延伸にスムーズに追従するにしても、それ以降にお
いて延伸の変化率が急変する部分で印刷画像に破断が発
生してしまう。
【0010】この根本的問題は本発明においては以下の
手順にて回避される。すなわち本発明の画像付きフイル
ムの熱可塑性接着剤層が、加熱される工程のごく初期段
階において、昇華性染料により表面から深部にまで急速
に染色され、しかもそれが水溶性フイルムベースと完全
に一体化して延伸/変形するので、結果的に基材に固着
した熱可塑性接着剤層の皮膜厚みの厚薄はありえるにし
ても、画像が破断するということはない。しかも拡幅し
て固定した画像付きフイルムの、画像に対応した位置に
基材を配置して、基材の下部方向から排気する要領で減
圧することで、画像付きフイルムは一定の延伸/変形の
仕方で基材に密着する。その結果、所定の場所に所定の
画像を付与するということが可能となる。
【0011】基材上に皮膜となって固着した熱可塑性接
着剤は、その性質上、硬度/耐熱性/耐溶剤性などの点
ではあまり期待できない。それを解決する方法として2
つの方法を開示することができる。1番目の方法は画像
転写後、より良好な樹脂皮膜が製品表面に露出するよう
に、転写フイルムを、水溶性フイルムベースに第1層と
して良好な熱可塑性樹脂を積層し、第2層として熱可塑
性接着剤を積層した構造にする方法である。この場合、
結果的に水溶性フイルムベースと熱可塑性樹脂を熱可塑
性接着剤を用いて強固に接着した仕組みとなっているた
め、3者間の一体となった延伸/変形行動に、熱可塑性
接着剤のみによる1層積層と比べて有意な差はない。
【0012】2番目の方法は1番目の方法と同様に画像
転写後、架橋樹脂皮膜が製品表面に露出するように、転
写フイルムを、水溶性フイルムベースに第1層として乾
燥しているだけで未硬化状態の架橋樹脂を積層し、第2
層として熱可塑性接着剤を積層した構造にする方法であ
る。架橋樹脂の場合も乾燥しているだけで未硬化状態の
場合、1番目における熱可塑性樹脂の場合と同様の挙動
を期待することができる。このとき熱硬化型の架橋樹脂
を選択した場合、ものによれば本発明の加熱工程だけで
完全硬化さすことができ好都合である。加熱工程を終了
しても未だ完全硬化に至らない場合や、2液硬化型の架
橋樹脂などを選択した場合においては、常法のキュアリ
ング工程を設けて完全硬化さすことになる。3者間の一
体となった延伸/変形行動は、未硬化のレベルをコント
ルールさえすれば、1番目の場合と同様の結果を得るこ
とができる。
【0013】水溶性樹脂としてはデンプン質/アラビア
ゴムなどの植物粘質物/カゼインなどのタンパク質、な
どの天然高分子と、合成高分子があるが、フイルム化性
/延伸強度などの点から、本発明に用いることができる
水溶性フイルムの材料樹脂としては、実質的には合成高
分子に限られる。合成高分子としてはビスコース/メチ
ルセルロース/エチルセルロース/ヒドロキシエチルセ
ルロース/カルボキシメチルセルロース/ポリビニルア
ルコール/ポリエチレノキシドなどが挙げられるが、水
への溶解性/フイルム強度/延伸性/吸湿性などの要件
を、重合度/鹸化度/可塑剤添加量をいじることにより
自由にコントロールできるポリビニルアルコールが最も
好ましい。
【0014】本発明に用いる熱可塑性接着剤としては特
に限定する必要はなく、作業条件に合わせて融点、流動
点、ガラス転移点、溶解性、接着強度、硬度、色調など
の観点から最適の樹脂を選択すればよい。一般的に選択
対象となるものを列挙すれば、ポリ酢酸ビニル共重合
体、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルブチラール、アクリル系接着剤、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン
−アクリル酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体、ポリビニルエーテル、ポリエステル系樹脂(飽和無
定形ポリエステル)、セルロース誘導体などが挙げられ
る。その積層厚みは、基材との強固な接着性の確保とい
う観点から考慮されればよく、一般的には10〜50ミ
クロン、好ましくは10〜20ミクロンである。
【0015】本発明に用いる熱可塑性樹脂としては特に
限定する必要はなく、硬度、および場合によれば耐熱
性、耐溶剤性などの観点から中心に選択し、それが溶液
としてコーティングによる積層が可能で、かつ水溶性フ
イルムおよび熱可塑性接着剤に対する接着性に関して問
題がなければ採用できる。一般的に選択対象となるもの
を列挙すれば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・
スチレン樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビ
ニル樹脂などが挙げられる。その積層厚みは、もっぱら
製品表層に露出したときに、目的とした機能性が発揮で
きるだけの最小の厚みでよい。
【0016】本発明に用いる架橋樹脂としては特に限定
する必要はなく、作業条件に合わせて、エポキシ樹脂、
アミノアルキド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ポリウレ
タン樹脂、塩化ビニル樹脂などから最適のものを選択す
ればよい。そのうち2液混合型のものは、常温において
も架橋が進んでいくので硬化状態をコントロールしにく
く、しかもその上への後続する画像の記録作業を控えて
いるので、運用に細心の注意を要する。その意味で架橋
剤がブロックされて混合されており、加熱によりブロッ
クが解けて主剤との架橋が開始する1液型のタイプが、
運用上好都合である。その積層厚みは、前記熱可塑性樹
脂を積層する場合と同様の考え方でよい。
【0017】画像付きフイルムを加熱する温度は、主に
赤外線照射方式か加熱炉方式かなどの加熱方式に依存す
るが、少なくとも採用する熱可塑性接着剤層がその熱接
着温度レベルに達していることが要件となる。一般的に
いえば100〜150℃で、ちょうどこの温度領域で
は、昇華性染料は軟化した樹脂に対して連続面への移行
という現象で効率よく拡散していくことできる。加熱に
より基材に貼合した水溶性フイルムベースは、水中への
浸せきや水シャワーなどで容易に溶解/除去できるの
で、乾燥することで転写は完了する。なお必要に応じそ
のあとトッップコートを行って仕上げてもよい。
【0018】
【実施例】(実施例1)水溶性のポリビニルアルコール
フイルムである「ハイセロンC−310」(商標、日合
フイルム社製)に、飽和共重合ポリエステル樹脂系の熱
可塑性接着剤「ケミットR248」(商標、引張破断伸
度729、硬度70、融点113℃、東レ社製)の塩化
エチレン溶液を、乾燥後の厚みが20ミクロンになるよ
うに塗工した。この上に帝国インキ社製の昇華性スクリ
ーンインクを使用して画像を記録した。この画像付きフ
イルムを画像記録面を下にして、ウレタン塗装をしたナ
イロン樹脂製の3次元形状面基材に被せた。これを雰囲
気温度300℃の加熱炉の内部に挿入し、5秒間放置し
てフイルムを軟化させた。そのあと画像付きフイルムと
基材との空隙を急激に減圧し、画像付きフイルムと3次
元形状面を密着させ30秒間放置した。そのあと加熱炉
より取り出し冷却後、水中に10分間浸せきしたあと、
水シャワーを当ててポリビニルアルコール成分を完全に
除去した。これを乾燥した結果、3次元形状面に全面に
馴染んで、画像どおりに濃色に染色された皮膜を有する
基材を得た。
【0019】(実施例2)前記ハイセロンC−310に
第1層として、1液熱硬化型のポリエステルクリアー塗
料「セノコイル」(商標、日本グレーベカシュー社製)
を、乾燥後の厚みが10ミクロンになるように塗工し
た。次に第2層として、前記ケミットR248の塩化エ
チレン溶液を乾燥後の厚みが30ミクロンになるように
塗工した。以降は実施例1と全く同様の手順で作業を行
った。その結果、3次元形状面に全面に馴染んで、画像
どおりに濃色に染色された硬質な架橋樹脂皮膜を有する
基材を得た。
【0020】
【発明の効果】本発明により、耐熱性の低い樹脂をも含
む樹脂製品一般の3次元形状面に対して、低温/短時間
で、画像を付与することが可能となった。また従来の液
圧転写法では不可能であった、製品の所定の場所に、所
定の画像を付与することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H111 AA01 AA27 AB05 CA02 CA03 CA25 2H113 AA01 AA03 BA09 BA22 BB07 BB21 BC06 CA05 DA25 DA57 DA62 DA63 FA10 FA36 3B005 EA01 EB01 EB05 EC11 FA17 FB22 FC01Z FC02Z FC04Z FC08Z FC12Z FG01Z FG02X FG02Z FG04Z FG08Z FG12X FG12Z GA07 GB01 GD10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性フイルムベースに熱可塑性接着剤を
    積層してなる転写フイルムの熱可塑性接着剤積層面に、
    昇華性染料を含有する記録材料を用いて画像を記録して
    なる画像付き転写フイルムを、画像記録面が3次元形状
    面を有する基材に対面するように基材に被せて、画像付
    き転写フイルムと基材の空隙を減圧しながら、同時に画
    像付きフイルムを加熱して画像付き転写フイルムと基材
    を貼合する工程と、基材に貼合した画像付き転写フイル
    の水溶性フイルムベースを水に接触させて除去する工
    程、を有することを特徴とする3次元形状面への画像転
    写方法。
  2. 【請求項2】転写フイルムが、水溶性フイルムベースに
    第1層として熱可塑性樹脂を積層し、第2層として熱可
    塑性接着剤を積層してなるフイルムであること、を特徴
    とする請求項1記載の3次元形状面への画像転写方法。
  3. 【請求項3】転写フイルムが、水溶性フイルムベースに
    第1層として乾燥しているだけで未硬化状態の架橋樹脂
    を積層し、第2層として熱可塑性接着剤を積層してなる
    フイルムであること、を特徴とする請求項1記載の3次
    元形状面への画像転写方法。
  4. 【請求項4】請求項1、もしくは2、もしくは3記載の
    3次元形状面への画像転写方法に用いる転写フイルム。
JP11187997A 1999-05-31 1999-05-31 3次元形状面への画像転写方法、およびこれに用いる転写フイルム Pending JP2000335074A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002254896A (ja) * 2001-03-06 2002-09-11 Seiko Epson Corp 画像形成方法およびこれに用いる転写シートフィルム、並びに画像形成装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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