JP2000331804A - Ptc組成物 - Google Patents

Ptc組成物

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JP2000331804A
JP2000331804A JP11145174A JP14517499A JP2000331804A JP 2000331804 A JP2000331804 A JP 2000331804A JP 11145174 A JP11145174 A JP 11145174A JP 14517499 A JP14517499 A JP 14517499A JP 2000331804 A JP2000331804 A JP 2000331804A
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carbide powder
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Matsuji Hirawatari
末二 平渡
Mitsumune Kataoka
光宗 片岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温で十分な保型性を持ち、定常状態(室
温)での抵抗値が十分低く、電流を流したときに発火せ
ず、高温動作毎の抵抗上昇が少ないPTC組成物を安価
に提供すること。 【解決手段】 PTC組成物は、ポリマー成分、金属炭
化物粉末を主成分とする電気抵抗が正の温度特性(PT
C)を示す複合組成物であつて、金属炭化物粉末の成分
比が前記複合組成物全体の45〜55vol%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PTC(Positive
Temperature Coefficient:正温度係数)を有する導電
性組成物(以下、PTC組成物と呼ぶ)を用いた導電性
樹脂組成物に関し、詳しくは、面状発熱体や、電池、電
子機器の異常発生時に流れる過電流を防止する過電流保
護素子として用いられる導電性樹脂組成物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来からPTC特性を有するものとし
て、Y2 3 を微量添加したBaTiO3 等の無機導電
性組成物(セラミックPTC)、ポリエチレンのような
結晶性高分子に導電性をもつカーボンブラック等の粉末
を混練した有機導電性組成物(高分子PTC)が知られ
ている。
【0003】PTC組成物は、材料固有の抵抗値Rと素
子に流された電流値Iとで、いわゆるジュール熱加熱
(I2 R加熱)により発熱する。そのためPTC組成物
に比較的大きな電流が流れると発熱により温度が上昇
し、抵抗率が上昇する。
【0004】セラミック系のPTC組成物は定常状態で
の抵抗率が〜100Ω・cm程度と高いために数A程度
の比較的大きな電流を流すことができない。このこと
は、セラミックPTC組成物が電池、電子機器の異常発
生時に流れる過電流を防止する過電流保護素子として用
いることが出来ないことを意味している。
【0005】半導体材料は、通常温度上昇と共に抵抗が
小さくなるので、異常発生時過電流が流れ易くなる。回
路に過電流が流れた場合、環境温度は更に上昇して発火
を引き起こし、最悪の場合には、火災に発展する恐れが
ある。従って、過電流保護素子としては、室温で低抵抗
であり、温度上昇と共に抵抗が増大して電流を制限する
特性が要求される。
【0006】また、セラミックPTC組成物は、所望形
状に加工、成型することが困難であり、また耐衝撃性に
も問題があるため、一般的に面状発熱体や携帯機器用の
過電流保護素子としては用いられない。このことに対し
て結晶性高分子に導電性粉末を混練した高分子PTC組
成物は、室温抵抗を低く設定できること、加工、成型が
容易であること、耐衝撃性に優れていることから、過電
流保護素子や面状発熱体等に広く用いられている。
【0007】一方、過電流保護素子として要求される特
性としては、室温で概ね2Ω・cm以下程度の十分小さ
な抵抗率であることである。また、面状発熱体において
も、室温抵抗が高い場合、急激な発熱による取り扱い上
の危険が生じる。
【0008】最も一般的な導電性粉末であるカーボンブ
ラック等の比較的粒径の小さな導電性粉末を用いた高分
子PTC組成物においては、ポリマーマトリックスの結
晶融点より低い温度にある間は、導電性粒子はポリマー
マトリックスの非晶質領域にのみ存在し、導電性粒子相
互に接続されたネットワークを通って移動する電子によ
り低い抵抗率を示す。これに対して、温度上昇によりポ
リマーマトリックスが融解し始めると、ポリマーマトリ
ックスの粘度を保ったまま非結晶相の体積が相対的に増
加し、更に結晶相の融解で非晶質にのみ存在した導電性
粒子がマトリックス全体に拡散するため、導電性粒子間
のネットーワークが切断され、抵抗率が急激に上昇する
(正温度特性)。その後、PTC組成物の温度が常温に
戻ると、導電性粒子はポリマーマトリックスの非晶質領
域に再び集中し粒子間ネットワークが再編成されるた
め、低い抵抗率を示す。
【0009】即ち、導電性粉末としてカーボンブラック
を用いたPTC組成物の抵抗率が急激に立ち上がる温度
(動作温度)は、ポリマーマトリックスの融点によって
決定される。
【0010】更に、高分子PTC組成物の抵抗率が急激
に立ち上がる温度(動作温度)は、一般的に高分子マト
リックスの融点によって決定される。即ち、高分子PT
C組成物の動作温度を変えるには高分子マトリックス自
体を変えなければならない。このことは、高分子PTC
組成物の動作温度を任意に設定することが事実上不可能
なことを意味している。
【0011】一方、室温抵抗率を低下させるためには、
PTC組成物に分散させる導電性粉末分散量を増加させ
る必要がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、室温抵抗率を
低下させるため、高分子PTC組成物においてカーボン
ブラック等の比較的粒径の小さな導電性粉末の分散量を
増加させると、ポリマーマトリックス非晶質領域での部
分的な導電性粉末の凝集がおき、部分的な導電経路が形
成される。そこへ正温度特性を生じさせるため比較的大
きな電流が流れると、以下の様に高分子PTC組成物の
発火が生じる。
【0013】まず、高分子PTC組成物の温度上昇、続
いて高分子PTC組成物の平均抵抗率上昇、次に、部分
的導電経路(導電性粉末凝集部)への電流の集中、或い
は凝集部での絶縁破壊、更に、部分的な異常、発熱〜発
火など。
【0014】室温抵抗率を低下させるための他の方法と
しては、高分子PTC組成物に分散させる導電性粉末を
抵抗率の低い粉末に置き換えることも考えられる。例え
ば、金属粉末の抵抗率は、カーボンブラックの約1/1
000程度である。しかし、PTC組成物に導電性粉末
としてカーボンブラックの代わりに金属粉末を分散させ
た場合、金属粉末自体の凝集により前述と同様の理由
で、PTC組成物に比較的大きな電流が流れた場合に発
火が生じる。また、金属導電性粉末を分散させたPTC
組成物は、繰り返し動作毎に室温抵抗率が上昇するとい
う問題がある。
【0015】このことは、金属導電性粉末を分散させた
高分子PTC組成物が、繰り返し使用に耐えないことを
意味している。
【0016】以上から、PTC組成物に要求される項目
は、定常状態(室温)での抵抗値が十分低く、電流を流
したときに発火せず、動作毎の抵抗上昇が少なく、動作
温度を任意に設定可能なことである。
【0017】そこで、本発明の技術的課題は、高温で十
分な保型性を持ち、定常状態(室温)での抵抗値が十分
低く、電流を流したときに発火せず、高温動作毎の抵抗
上昇が少ないPTC組成物を安価に提供することにあ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、本発明者らは種々検討を行った結果、ポリマー成
分に金属炭化物粉末としてTiC,WC,ZrCのうち
少なくとも1種類を分散させることが有効であることを
見出した。更に、下記のことを見出だし本発明をなすに
至ったものである。
【0019】まず、導電性粉末として金属炭化物粉末T
iC,WC,ZrCのうち少なくとも1種類を分散させ
てもカーボンブラックを分散させた場合と同等のPTC
特性が得られる。また、TiC,WC,ZrCのうち少
なくとも1種類の金属炭化物粉末がポリマー成分に対し
て45vol%以上55vol%以下配合させた場合、
前記金属炭化物粉末がポリマーマトリックスの非品質領
域に集中せず、また、前記金属酸化物粉末自体の凝集も
生じないため、室温抵抗率を低下させるためトータルの
導電性粉末分散量を増加させても、部分的な導電経路が
形成されず、電流を流した際の発火が生じない。また、
前記金属炭化物粉末を分散させた高分子PTC組成物
は、繰り返し動作させても室温抵抗率の顕著な上昇が観
られない。
【0020】即ち、本発明によれば、ポリマー成分、金
属炭化物粉末を主成分とする電気抵抗が正の温度特性
(PTC)を示す複合組成物であつて、金属炭化物粉末
の成分比が前記複合組成物全体の45〜55vol%で
あることを特徴とするPTC組成物が得られる。
【0021】また、本発明によれば、前記PTC組成物
において、前記金属炭化物粉末として、TiC,WC,
ZrCのうちの少なくとも1種が含まれていることを特
徴とするPTC組成物が得られる。
【0022】さらに、本発明によれば、前記いずれかの
PTC組成物において、前記複合組成物のポリマー成分
として、融点が100℃以上のポリエチエレンと、融点
が100℃未満のコポリマーとを前記ポリエチレンに対
する体積比が0〜80%となるように少なくとも2種複
合してなることを特徴とするPTC組成物が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0024】まず、ポリマー成分として融点が130℃
程度の結晶性高密度ポリエチレンに融点が70℃程度の
エチレン系コポリマーを、ポリエテレンに対する体積比
が0〜80vol%となるようにロールミル上で130
〜200℃程度の温度で加熱混練し複合した。
【0025】得られたポリマー成分に、各々の比率を変
えた金属炭化物粉末をポリマー成分に対して45〜55
vol%となるようにロールミル上で加熱混練し、ポリ
マー組成体を得た。
【0026】金属炭化物粉末としては、各々粒径が1〜
10μm程度のTiC,WC,ZrCを用いた。
【0027】次に,得られた混練物に以下の有機過酸化
物架橋剤を0.01〜30wt%、130〜180℃程
度の温度で混練した。
【0028】日本油脂(株)製パーへキサ25B
(2,5−dimethyl−2,5−di−t−bu
tylperoxyhexane);及び日本油脂
(株)製パ−ヘキシン25B(2,5−dimethy
l−2,5−t−butylperoxylhexan
e−3)。
【0029】得られた組成体を粉末化した後、Ni箔の
間に挟んだ状態で有機過酸化物架橋剤の反応温度〜25
0℃程度の温度で加熱圧縮成型することにより、厚さ1
mmの成型体を得、外径15mm、内径10.6mmの
リング状に打ち抜き高分子PTC素子を得た。
【0030】ここで、高分子PTC素子の目標特性は、
室温抵抗が前述の様に2Ω・cm以下であること、抵抗
率が急激に上昇した後(スイッチング後)の抵抗率と室
温での抵抗率の比(スイッチング後R/室温R)が、過
電流保護素子として十分動作し且つ面状発熱対として十
分使用可能である104 以上であることとした。
【0031】また、高温保型性については、高分子PT
C素子をポリマー成分の融点以上の温度とし、5kg/
cm2 の圧力をかけた場合ポリマー成分の変形によるP
TC組成物面積(変形後面積/変形前面積)が、実質的
にPTC素子としての機能を保ち得る0.5%以下であ
ることとした。
【0032】また、高分子PTC素子を繰り返しスイッ
チングさせた際の室温抵抗率目標値は、500回スイッ
チング後にも2Ω・cmを上回らないこととした。抵抗
率の測定は、オイルバス中4短針法によりディジタルマ
ルチメータを用いて行った。
【0033】図1は高分子PTC素子の温度と抵抗率の
測定結果を示す図である。図1から分かるように、曲線
32、33、34に示す高密度ポリエチレンに金属炭化
物粉末を分散させた高分子PTC素子等は、有機過酸化
物架橋剤による架橋処理の有無に関わらず室温での抵抗
率が<2Ω・cmと目標を下回り、かつ温度−抵抗曲線
の挙動は、曲線31に示されるカーボンブラックのみを
分散させた素子とほぼ同等で、抵抗率の比はスイッチン
グ後R/室温R>108 と目標を大きく上回っている。
【0034】また、図2は前述のようにして得られたP
TC素子に10A(50V)の電流を繰り返し通電した
際の素子動作後の抵抗率の変化を示す図である。図2か
ら分かるように、曲線35に示すカーボンブラックのみ
を20vol%分散させた素子は、繰り返し通電後の抵
抗率の変化は少ないが、初期の室温抵抗が目標値より高
い。また、曲線36で示すカーボンブラックのみを30
vol%分散させた素子は、初期の室温抵抗は2Ω・c
m以下であるが1回目の通電で発火した。これに対し
て、曲線37乃至39に示される金属炭化物粉末を分散
させた素子は、有機過酸化物架橋剤による架橋処理の有
無に関わらず室温抵抗率<2Ω・cmと目標値を下回
り、かつ繰り返し通電後も<2Ω・cmと室温抵抗目標
値内を維持した。
【0035】下記表1に、PTC組成物における金属炭
化物粉末分散量、及びポリエチレンに対するコポリマー
複合比を変化させた場合に、高分子PTC素子をスイッ
チング(10A(50V)通電)させた際の特性を示し
た。
【0036】ここで、導電性粉末の分散量が45vol
%未満の場合、スイッチング後の室温抵抗率が>2Ω・
cmと目標に達しないため本発明の範囲から除外した。
また、導電性粉末分散量が55vol%を上回ると、室
温抵抗が著しく低下し通電時の素子動作現象がみられな
くなるため本発明の範囲から除外した。
【0037】さらに、コポリマー複合比が80vol%
を上回ると、室温抵抗率が目標に達しないため本発明の
範囲から除外した。
【0038】
【表1】
【0039】下記表2に、金属炭化物としてTiC,W
C,ZrC各々の比率を変えて分散させた高分子PTC
組成物の特性の評価を、また比較例として金属炭化物に
変えてカーボンブラックのみを分散させた高分子PTC
組成物の特性の評価も示した。
【0040】
【表2】
【0041】この表2において、「○」印は特性が目標
値(室温抵抗、動作後抵抗がともに<2Ω・cm、通電
時発火に関しては発火無し)を達成したことを示し、ま
た「×」印は目標値を達成していないことを示した。
【0042】本発明例1〜21の範囲でTiC,WC,
ZrCの各々の比率を変えても目標を達成した高分子P
TC組成物が得られる。また、比較例1,2からカーボ
ンブラックのみを分散させた素子は、実用上問題がある
ことがわかる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ポリマー成分、金属炭化物粉末を主成分PTC組成物
に、TiC,WC,ZrCのうち少なくとも1種類の金
属炭化物粉末がポリマー成分に対して45vol%以上
55vol%以下配合されることによって高温で十分な
保型性を持ち、定常状態(室温)での抵抗値が十分低
く、電流を流したときに発火せず、高温動作毎の抵抗上
昇が少なく、安価に製造可能なPTC組成物が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるPTC組成物からな
る素子の温度、抵抗率特性を示す図であり、比較のため
のカーボンブラックを分散させたPTC組成物による素
子の特性も併せて示している。
【図2】本発明の実施の形態によるPTC組成物からな
る素子の50V、10A繰り返し印加後の抵抗率との特
性を示す図であり、比較のためのカーボンブラックを分
散させたPTC組成物による素子の特性も併せて示して
いる。
【符号の説明】
31 カーボンブラックを分散させたPTC素子の特
性曲線 32〜34 金属炭化物粉末を分散させたPTC素子の
特性曲線 35 カーボンブラックを分散させたPTC素子の抵
抗率特性曲線 36 カーボンブラックを分散させたPTC素子の抵
抗率特性曲線 37 金属炭化物粉末を分散させたPTC素子の抵抗
率特性曲線 38、39 金属炭化物粉末を分散させ架橋剤を加え
たたPTC素子の抵抗率特性曲線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマー成分及び金属炭化物粉末を主成
    分とする電気抵抗が正の温度特性(PTC)を示す複合
    組成物であつて、前記金属炭化物粉末の成分比が前記複
    合組成物全体の45〜55vol%であることを特徴と
    するPTC組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のPTC組成物において、
    前記金属炭化物粉末として、TiC,WC,ZrCのう
    ちの少なくとも1種を含むことを特徴とするPTC組成
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のPTC組成物にお
    いて、前記複合組成物のポリマー成分として、融点が1
    00℃以上のポリエチエレンと、融点が100℃未満の
    コポリマーとを前記ポリエチレンに対する体積比が0〜
    80%となるように少なくとも2種複合してなることを
    特徴とするPTC組成物。
JP11145174A 1999-05-25 1999-05-25 Ptc組成物 Withdrawn JP2000331804A (ja)

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