JP2000331620A - イオン源 - Google Patents
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Abstract
安定稼動時間を長くする。 【解決手段】 このイオン源は、フィラメント8の二つ
の脚部8aとプラズマ生成容器2との間を電気絶縁する
二つの絶縁体24を備えている。各絶縁体24は、プラ
ズマ生成容器2の壁面を挟んで内外から互いに嵌め合わ
された内側絶縁体24aおよび外側絶縁体24bから成
る。かつこの各内側絶縁体24aを、互いに入り込んで
いて迷路を形成する二つの筒状絶縁体241aおよび2
42aで構成している。
Description
メントをプラズマ生成容器内に設けた構造のイオン源に
関し、より具体的には、その汚れに対する強度を高め
て、安定稼動時間を長くする手段に関する。
平9−35648号公報に開示されている。それを図1
5〜図18を参照して説明する。
s)型イオン源と呼ばれるものであり、陽極を兼ねてい
てガス導入口6からイオン源ガスが導入されるプラズマ
生成容器2と、このプラズマ生成容器2の一方側内にそ
の壁面を貫通して設けられたU字状のフィラメント8
と、プラズマ生成容器2の他方側内にフィラメント8に
対向するように設けられた反射電極10とを備えてい
る。プラズマ生成容器2は、金属、より具体的にはモリ
ブデン(Mo)等の高融点金属で作られている。
ント8と反射電極10とを結ぶ軸に沿う方向に長いイオ
ン引出しスリット4が設けられている。このイオン引出
しスリット4の出口付近には、プラズマ生成容器2内か
ら(より具体的にはそこに生成されるプラズマ12か
ら)イオンビーム16を引き出す引出し電極14が設け
られている。プラズマ生成容器2の外部には、その上記
軸に沿う方向に磁界Bを発生させる磁界発生器18が設
けられている。
フィラメント電源20との接続を明らかにするために便
宜的に示したものであり、実際上は図16および図17
に示すように、U字状に曲げたフィラメント8を含む面
がイオン引出しスリット4にほぼ平行になるように配置
されている。
ように、当該フィラメント8を加熱するためのフィラメ
ント電源20が接続される。フィラメント8の一端とプ
ラズマ生成容器2との間には、両者間でアーク放電を生
じさせるためのアーク電源22が、前者を負極側にして
接続される。フィラメント電源20の出力電圧は例えば
3V前後、アーク電源22の出力電圧は例えば100V
前後である。
縁するために、フィラメント8(具体的にはその二つの
脚部8a)がプラズマ生成容器2を貫通する部分に、フ
ィラメント8とプラズマ生成容器2との間を電気絶縁す
る二つの概ね円筒状をした絶縁体24を設けている。各
絶縁体24は、この例では図16に示すように、概ね円
筒状をしていてプラズマ生成容器2の壁面を挟んで内外
から互いに嵌め合わされた内側絶縁体24aおよび外側
絶縁体24bで構成されている。両絶縁体24aおよび
24bの中心部には、フィラメント8を貫通させてそれ
を保持するフィラメントフィードスルー28が設けられ
ている。このフィラメントフィードスルー28は導体、
より具体的にはモリブデン等の高融点金属から成る。
ように有底円筒状をしており、反射電極側絶縁体30、
支持棒32およびナット34によって、プラズマ生成容
器2に電気的に絶縁して取り付けられている。この反射
電極10は、フィラメント8から放出された電子をはね
返す作用をするものであり、図15に示す例のようにど
こにも接続せずに浮遊電位にしても良いし、フィラメン
ト8に接続してフィラメント電位に固定しても良い。浮
遊電位にしても、この反射電極10には、プラズマ12
中の軽くて移動度の高い電子が、イオンよりも遙かに多
く入射して負電位に帯電するので、フィラメント8から
放出された電子をはね返す作用をする。
ラズマ生成容器2の壁面を挟んで内外から互いに嵌め合
わされた内側絶縁体30aおよび外側絶縁体30bで構
成されている。
フィラメント8から放出された電子は、プラズマ生成容
器2内に印加されている軸方向の磁界Bおよびこれに直
角方向の電界の作用を受けて、磁界Bの周りを旋回しな
がら、フィラメント8と反射電極10との間を往復運動
するようになり、その結果、当該電子とガス分子との衝
突確率が高くなってガスの電離効率が高まり、プラズマ
生成容器2内に密度の高いプラズマ12を生成すること
ができる。
続けると、プラズマ生成容器2内に露出している部分
に、導電性の薄い汚れ膜が付着する。この汚れ膜は、例
えば、プラズマ生成容器2内に導入したガスが分解し
て生じたもの、あるいは当該ガスとプラズマ生成容器
2等を構成する金属とが反応して生じたもの、等であ
る。より具体例を示すと、ホウ素イオンビームを引き出
すためにプラズマ生成容器2内にフッ化ホウ素(B
F3 )ガスを導入すると、そのフッ素とプラズマ生成容
器2を構成する例えばモリブデンとが反応した導電性の
汚れ膜が生じる。
いる二つの内側絶縁体24aに着目すると、当然これら
の表面にも、上記汚れ膜が付着する。そしてイオン源の
稼動時間が長くなって汚れが進むと、この導電性の汚れ
膜によって内側絶縁体24aが絶縁不良を起こす。そう
なると、例えば、フィラメント8とプラズマ生成容器2
との間に前述したアーク放電用電圧を安定して印加して
アーク放電を安定して発生させることや、フィラメント
8を安定して通電加熱することができなくなり、ひいて
は当該イオン源を安定して稼動させることが困難にな
る。
24a以外の絶縁部分でも、例えば上記反射電極側絶縁
体30の部分でも、その絶縁強度が低下して、イオン源
を安定して稼動させることが困難になる。
の汚れに対する強度を高めて、その安定稼動時間を長く
することを主たる目的としている。
の一つは、前記各内側絶縁体を、互いに入り込んでいて
迷路を形成する二つの筒状絶縁体で構成していることを
特徴としている(請求項1)。
付着しにくくなるので、汚れによる内側絶縁体の絶縁強
度低下を防ぐことができる。これによって、アーク放電
の安定化およびフィラメント通電の安定化を図ることが
できるので、イオン源の安定稼動時間を長くすることが
できる。
ラズマ生成容器の外部において前記フィラメントの脚部
に接続されていて同フィラメントに給電する給電導体の
一部分を、当該脚部の近くにおいて、他よりも小断面積
にしていることを特徴としている(請求項2)。
と、プラズマ生成容器を構成する金属等から成る汚れが
フィラメントとフィラメントフィードスルーとの間に入
り込み、フィラメントフィードスルーを通ってフィラメ
ント電流が流れるようになる。この電流は不安定であ
り、結果的にビーム電流を不安定にする。
の小断面積にした部分がフィラメントへの通電によって
発熱し、その熱がフィラメントの脚部に伝わるので、当
該脚部が高温になり、ひいてはフィラメントフィードス
ルーも高温になり、それによってプラズマ生成容器構成
金属等の汚れがフィラメントとフィラメントフィードス
ルーとの間に付着することを防ぐことができる。これに
よって、フィラメント電流を安定化することができるの
で、イオン源の安定稼動時間を長くすることができる。
ラズマ生成容器内にフィラメントの脚部を横切るように
設けられていて電子をはね返す反射板を備えている場合
に、当該反射板を、フィラメントの各脚部をそれぞれ囲
んでおり、かつプラズマ生成容器の壁面から離された2
枚の互いに分離された反射板で構成していることを特徴
としている(請求項3)。
が、絶縁物製としても、その汚れが進むと、絶縁不良を
起こし、その表面がプラズマ生成容器に導通してそれと
同じ電位になる等して、その表面の電位が変動する。そ
れによって、フィラメントから放出された電子をはね返
す作用が不安定になり、結果的にビーム電流を不安定に
する。
板を、フィラメントの各脚部をそれぞれ囲んでおり、か
つプラズマ生成容器の壁面から離された2枚の互いに分
離された反射板で構成しているので、各反射板の表面が
汚れても、フィラメントの脚部間や、フィラメントとプ
ラズマ生成容器間の絶縁破壊が起こりにくくなる。これ
によって、反射板の電位を安定化して電子をはね返す作
用を安定化することができるので、イオン源の安定稼動
時間を長くすることができる。
射電極側絶縁体のプラズマ生成容器外に出ている部分
を、保護カバーで覆っていることを特徴としている(請
求項4)。
着する。そして当該部分が汚れて、反射電極とプラズマ
生成容器との間の電気絶縁が破壊されると、反射電極の
電子をはね返す作用が低下し、それによってビーム電流
が低下するので、結果的にビーム電流が不安定になる。
ーを設けることによって、その内側に熱がこもって上記
反射電極側絶縁体は高温に保たれるようになるので、汚
れの付着を抑制することができる。その結果、反射電極
によって電子をはね返す作用を安定化することができる
ので、イオン源の安定稼動時間を長くすることができ
る。
ラズマ生成容器の内面であって、前記反射電極の反射面
付近に位置する領域および前記フィラメントの先端部付
近に位置する領域の少なくとも一方に、溝または複数の
穴を設けていることを特徴としている(請求項5)。
汚れが膜状になって剥がれ、それが反射電極とプラズマ
生成容器との間や、フィラメントとプラズマ生成容器と
の間をつないで(架け渡して)しまい、それらの間の絶
縁が破壊される。そうなると、前記と同様の理由から、
反射電極が電子をはね返す作用やアーク放電が不安定に
なり、結果的にビーム電流を不安定にする。
生成容器の内面に設けた溝または穴が楔の作用をするの
で、汚れ膜が剥がれにくくなる。その結果、反射電極や
フィラメントとプラズマ生成容器との間の絶縁を長く良
好に保つことができるので、イオン源の安定稼動時間を
長くすることができる。
の一例をイオンビーム引き出し方向側から見て部分的に
示す断面図である。図2は、図1中の内側絶縁体の拡大
断面図である。図15〜図18に示した従来例と同一ま
たは相当する部分には同一符号を付し、以下においては
当該従来例との相違点を主に説明する。
絶縁体24aを、互いに入り込んでいて迷路61を形成
する二つの筒状絶縁体241aおよび242aで構成し
ている。
は、例えば、窒化ホウ素またはアルミナ等の絶縁体から
成る。また、プラズマ生成容器2側の筒状絶縁体242
aを窒化ホウ素またはアルミナ等の絶縁体で構成し、他
方の筒状絶縁体241aをモリブデン、タンタル、タン
グステン等の高融点金属で構成しても良い。
れが付着したとしても、迷路61の部分には汚れが付着
しにくいので、迷路61の部分で絶縁を保つことができ
る。従って、前述した導電性の汚れ膜による内側絶縁体
24aの絶縁強度低下を防ぐことができる。これによっ
て、アーク放電の安定化およびフィラメント通電の安定
化を図ることができるので、イオン源の安定稼動時間を
長くすることができる。
源に比べて、安定稼動時間を2〜3倍以上に延長するこ
とが可能になった。特に、アーク電流の非常に小さい
(例えば10mA程度の)条件での運転時には、従来は
2日程度しか運転することができなかったのに対して、
上記構造を採用したことによって、10日以上の安定性
を保つことができた。
進むと、その汚れによって、筒状絶縁体241aはフィ
ラメント8と同電位になる一方、筒状絶縁体242aは
プラズマ生成容器2と同電位になる。ところが、プラズ
マ生成容器2の内部は、イオン源ガスが導入されるので
真空度が悪く、従って上記電位差で、上記迷路61の部
分のギャップ58においてアーク放電を起こす恐れが無
いとは言えない。この放電は、量としては小さいけれど
も、イオン源の安定動作の点からは好ましくない。
さ)は、0.5mm以下にするのが好ましい。そのよう
にすれば、ガス圧との関係でギャップ58が小さ過ぎて
アーク放電を起こしにくくなる。しかも、汚れそのもの
もギャップ58の内部に入りにくくなる。従って、イオ
ン源の安定稼動時間をより長くすることが可能になる。
ソロバン玉のような構造にして沿面距離を大きくした従
来例も存在するけれども、そのようにしても、内側絶縁
体24aの表面がプラズマ12に直接曝されるので、そ
の表面に汚れが付着しやすい。従って、この発明の上記
構造に比べれば、絶縁劣化を起こしやすい。
は、図1および図2に示す2段よりも多くしても良い。
例えば、図3に示す外側絶縁体24bと同様に、3段に
しても良い。そのようにすれば、絶縁強度をより高める
ことが可能になる。
は図3に示す例のように、互いに入り込んでいて迷路6
2を形成する二つの筒状絶縁体241bおよび242b
で構成しても良い。そのようにすれば、外側絶縁体24
bに関しても、導電性の汚れ膜付着による絶縁強度低下
を防ぐことができるので、イオン源の安定稼動時間をよ
り長くすることが可能になる。迷路62の部分は、図1
に示した例のように2段でも良いし、図3に示す例のよ
うに3段でも良い。後者の方がより絶縁強度が向上す
る。
は、例えば、窒化ホウ素またはアルミナ等の絶縁体から
成る。また、プラズマ生成容器2側の筒状絶縁体242
bを窒化ホウ素またはアルミナ等の絶縁体で構成し、他
方の筒状絶縁体241bをモリブデン、タンタル、タン
グステン等の高融点金属で構成しても良い。
ギャップ60も、内側絶縁体24aについて述べたのと
同様の理由から、0.5mm以下にするのが好ましい。
説明する。前述した各フィラメントフィードスルー28
は、従来は、例えば図1に示すように、フィラメント8
(より具体的にはその脚部8a)を通す単一内径(即ち
内径がどこも同じ大きさの)穴28aを有している。こ
の穴28aの直径は、フィラメント8の脚部8aがきっ
ちり通るように、脚部8aの外径よりも僅かに大きくし
ているだけである。これは、プラズマ生成容器2内に導
入されたイオン源ガスが、両者の隙間から抜け出さない
ようにするためである。例えば、フィラメント8の脚部
8aの外径が2mmφの場合、穴28aの直径は2.1
mmφ程度にしている。
メントフィードスルー28への、ひいてはプラズマ生成
容器2の壁面への熱伝導が大きいので、その分、フィラ
メント8に多くのフィラメント電流を流さなければなら
ず、その結果、前述したフィラメント電源20の容量も
大きなものが必要になるという課題がある。しかし、上
述したガスの抜け出し防止の理由から、フィラメントフ
ィードスルー28の穴28aを単純に大きくすることは
できない。
例のように、上記フィラメントフィードスルー28の穴
28aの一部分に、具体的にはプラズマ生成容器内側端
部から途中までに、他の部分よりも直径の大きい大径部
28bを形成しておけば良い。この大径部28bは、い
わゆるザグリ穴と呼ばれるものである。
ラメントフィードスルー28との間の接触面積が小さく
なって、フィラメント8からフィラメントフィードスル
ー28への熱伝導が小さくなるので、その分、フィラメ
ント8に流す電流を、ひいてはフィラメント電源20の
容量を、小さくすることができる。しかも、大径部28
b以外の部分の穴28aの直径を大きくしなくて済むの
で、ガスの抜け出しを防止することができる。
例を説明する。上記フィラメント8へのフィラメント電
源20からの給電は、従来は図19および図20に示す
ように、フィラメント8の二つの脚部8aにそれぞれ接
続された2本の給電導体36によって行う構造をしてい
る。各給電導体36の途中には、熱変形等を吸収するた
めに、切れ目38を設けてそこをばね導体40でつない
でいる。各給電導体36は、フィラメント8からの伝熱
によって高温になるので、モリブデンのような高融点金
属で形成している。また各給電導体36は、従来は、太
く作り、なるべくその部分で熱を発生させない構造にし
ている。
は、フィラメント8の温度がある一定値より低いと、プ
ラズマ生成容器2を構成する金属(例えばモリブデン)
等から成る汚れがフィラメント8とフィラメントフィー
ドスルー28との間に入り込み、フィラメントフィード
スルー28を通ってフィラメント電流が流れるようにな
る。この電流は不安定であり、結果的にビーム電流を不
安定にする。
図6に示す例のように、上記給電導体36の一部分36
aを、フィラメント8の脚部8aの近くにおいて、他よ
りも小断面積にしておけば良い。小断面積にするために
は、図5および図6に示す例のように、当該一部分36
aを削って薄くしても良いし、当該一部分36aを細く
(例えば直径で言えば8mmφ程度以下に)しても良
い。
積にした一部分36aが、フィラメント8への通電によ
って発熱し、その熱がフィラメント8の脚部8aに伝わ
るので、当該脚部8aが高温になり、ひいてはフィラメ
ントフィードスルー28も高温になり、それによってプ
ラズマ生成容器構成金属等の汚れがフィラメント8とフ
ィラメントフィードスルー28との間に付着するのを防
ぐことができる。これによって、フィラメント電流を安
定化することができるので、イオン源の安定稼動時間を
長くすることができる。
例を説明する。上記プラズマ生成容器2内のフィラメン
ト8側にも、図21および図22に示す従来例のよう
に、フィラメント8の脚部8aを横切るように配置され
ていて電子をはね返す反射板42を設ける場合がある。
そのようにすれば、ガスの電離効率がより高まるので、
プラズマ生成容器2内により高密度のプラズマ12を生
成することが可能になる。
等の絶縁物から成る。この反射板42は、プラズマ12
中の軽くて移動度の高い電子が、イオンよりも遙かに多
く入射して負に帯電するので、前述した反射電極10の
場合と同様に、電子をはね返す作用をする。
と、絶縁不良を起こし、その表面がプラズマ生成容器2
に導通してそれと同じ電位になる等して、その表面の電
位が変動する。それによって、反射板42が電子をはね
返す作用が不安定になり、結果的にビーム電流を不安定
にする。
図8に示す例のように、上記反射板を、フィラメント8
の脚部8aをそれぞれ囲んでおり、かつプラズマ生成容
器2の壁面から離された、2枚の互いに分離された反射
板42で構成すれば良い。各反射板42は、この例で
は、フィラメントフィードスルー28および支持体48
を用いて固定している。但し、図9に示す例のように、
支持体48を用いずにフィラメントフィードスルー28
のみで固定しても良い。
C等の絶縁物で形成しても良いし、高融点金属(例えば
モリブデン)、カーボン等の導体で形成しても良い。い
ずれにしても、上記反射電極10の場合と同様の理由に
よって、電子をはね返す作用をする。
持体48を用いる場合は、支持体48のどこかに絶縁物
を介在させて、各反射板42をプラズマ生成容器2から
電気的に絶縁しておくものとする。また、各反射板42
を導体で形成する場合は、各反射板42の電位を、この
例のようにフィラメントフィードスルー28を用いてフ
ィラメント電位に固定しておくのが、各反射板42の電
位安定化の観点から好ましい。
ト8の各脚部8aをそれぞれ囲んでおり、かつプラズマ
生成容器2の壁面から離された2枚の互いに分離された
反射板42で構成しているので、各反射板42の表面が
汚れても、フィラメント8の二つの脚部8a、8a間
や、フィラメント8とプラズマ生成容器2間の絶縁破壊
が起こりにくくなる。その結果、反射板42の電位を安
定化して電子をはね返す作用を安定化することができる
ので、イオン源の安定稼動時間を長くすることができ
る。
例を説明する。上記反射電極側絶縁体30には、図16
を参照して、その内側絶縁体30aの表面にだけでな
く、外側絶縁体30bの表面にも、ヒ素、リン等のイオ
ン源ガスを構成する物質等から成る汚れが付着する。こ
れは、プラズマ生成容器2の外側周辺にも、プラズマ生
成容器2内に導入したイオン源ガスがイオン引出しスリ
ット4を通して漏れ出して来るからである。
持棒32およびナット34を介して、反射電極10とプ
ラズマ生成容器2との間の電気絶縁が破壊される。そう
なると、反射電極10の電子をはね返す作用が低下し、
それによってビーム電流が低下するので、結果的にビー
ム電流が不安定になる。例えば、反射電極10の電気絶
縁が破壊されると、ビーム電流は正常時の約30%程度
しか得られなくなる。
す例のように、上記外側絶縁体30bの周りを保護カバ
ー50で覆っておけば良い。保護カバー50は、この例
では、支持棒32のねじ部と螺合するねじ部50aを有
しており、外側絶縁体30bを締め付ける働きもする。
この保護カバー50は、例えばモリブデン等の高融点金
属から成る。
たことによって、プラズマ生成容器2や外側絶縁体30
bからの輻射熱が放散されるのを抑制することができる
ので、保護カバー50の内側に熱がこもって上記外側絶
縁体30bは高温に保たれるようになり、それによって
上記ヒ素、リン等の汚れの付着を抑制することができ
る。その結果、外側絶縁体30bの絶縁機能を安定に維
持して、反射電極10によって電子をはね返す作用を安
定化することができるので、イオン源の安定稼動時間を
長くすることができる。
300℃〜1000℃程度にするのが好ましく、そのよ
うにすれば、上記ヒ素、リン等による外側絶縁体30b
の表面の汚れを効果的に抑制することができる。
0に示す例のように、フィラメント8側の上記内側絶縁
体24aおよび外側絶縁体24bの場合と同様に、互い
に入り込んでいて迷路を形成する二つの筒状絶縁体30
1aおよび302aで構成しても良い。そのようにすれ
ば、内側絶縁体30aについても、その絶縁機能を安定
に維持することができるので、反射電極10によって電
子をはね返す作用を安定化することができ、イオン源の
安定稼動時間をより長くすることができる。
例を説明する。プラズマ生成容器2の内面の汚れが進む
と、図23に示す従来例のように、汚れが膜状になって
剥がれ、この汚れ膜52が反射電極10とプラズマ生成
容器2との間や、フィラメント8とプラズマ生成容器2
との間をつないで(架け渡して)しまい、それらの間の
絶縁が破壊される。このような汚れは、反射電極10の
反射面10aの近傍、またはフィラメント8の先端部近
傍に多く付着する。その辺りに、プラズマ12中のイオ
ンによって反射電極10やフィラメント8から叩き出さ
れたスパッタ粒子が多く付着するからである。
に示す例のように、イオン引出しスリット4側に折り曲
げておく場合もある。そのようにすれば、プラズマ12
の高密度の部分をイオン引出しスリット4側に近づけ
て、より高密度のイオンビーム引き出しが可能になるか
らである。
生成容器2との間をつなぐと、反射電極10の電位がプ
ラズマ生成容器2の電位になるので、反射電極10が電
子をはね返す作用が低下したり不安定になったりする。
汚れ膜52がフィラメント8とプラズマ生成容器2との
間をつなぐと、フィラメント8とプラズマ生成容器2と
の間のアーク放電が不安定になる。いずれにしても、結
果的にビーム電流が不安定になる。
マ生成容器2の内面であって、反射電極10の反射面1
0a付近に位置する領域およびフィラメント8の先端部
付近に位置する領域の少なくとも一方に、溝または複数
の穴を設けておけば良い。
2の底面2aであって反射電極10の反射面10a付近
に位置する領域に、複数の穴54を設けた例を示し、図
13および図14に、同領域に溝56を設けた例を示
す。
6内に汚れが楔状に入り込んで、上記穴54または溝5
6が楔の作用をするので、上記汚れ膜52が剥がれにく
くなる。その結果、反射電極10とプラズマ生成容器2
との間の絶縁を長く良好に保つことができるので、イオ
ン源の安定稼動時間を長くすることができる。
しい。その方が、上記楔の作用がより高まるからであ
る。例えば、各穴54の直径を1〜2mm程度、深さを
1〜2mm程度にすれば良い。また上記穴54は、汚れ
の付き方が多い等の場合は、2列以上にしても良い。
しい。その方が、上記楔の作用がより高まるからであ
る。例えば、上記溝56の幅Wを1〜2mm程度、深さ
を1〜2mm程度にすれば良い。更に上記溝56は、図
13に示す例のように、入口が奥よりも狭いアリ溝にす
るのが好ましい。その方が、上記楔の作用がより高まる
からである。また上記溝56も、汚れの付き方が多い等
の場合は、2条以上にしても良い。
は、プラズマ生成容器2の上記底面2aだけでなく、反
射電極10の反射面10a付近に位置する領域におい
て、プラズマ生成容器2の側面2b(図1、図23等参
照)およびスリット面2c(図23参照)にも設けるの
が好ましい。
54は、プラズマ生成容器2のスリット面2cであっ
て、フィラメント8の先端部付近に位置する領域にも設
けるのが好ましい。それによって、それらの上記楔の作
用によって、フィラメント8の先端部付近においても、
上記汚れ膜52が剥がれにくくなる。その結果、フィラ
メント8とプラズマ生成容器2との間の絶縁を長く良好
に保つことができるので、イオン源の安定稼動時間を長
くすることができる。
は、プラズマ生成容器2のスリット面2cだけでなく、
フィラメント8の先端部付近に位置する領域において、
プラズマ生成容器2の側面2bにも、更には底面2aに
も設けても良い。
るので、次のような効果を奏する。
ト用の各内側絶縁体を、互いに入り込んでいて迷路を形
成する二つの筒状絶縁体で構成しているので、迷路の部
分に汚れが付着しにくくなり、汚れによる内側絶縁体の
絶縁強度低下を防ぐことができる。その結果、アーク放
電の安定化およびフィラメント通電の安定化を図ること
ができるので、イオン源の安定稼動時間を長くすること
ができる。
トに給電する給電導体の一部分をフィラメントの脚部の
近くにおいて他よりも小断面積にしているので、小断面
積にした部分がフィラメントへの通電によって発熱し、
その熱がフィラメントの脚部に伝わり、当該脚部が高温
になり、ひいてはフィラメントフィードスルーも高温に
なり、それによってプラズマ生成容器構成金属等の汚れ
がフィラメントとフィラメントフィードスルーの間に付
着するのを防ぐことができる。その結果、フィラメント
電流を安定化することができるので、イオン源の安定稼
動時間を長くすることができる。
ト脚部の反射板を、各脚部をそれぞれ囲んでおり、かつ
プラズマ生成容器の壁面から離された2枚の互いに分離
された反射板で構成しているので、各反射板の表面が汚
れても、フィラメントの二つの脚部間や、フィラメント
とプラズマ生成容器間の絶縁破壊が起こりにくくなる。
その結果,反射板の電位を安定化して電子をはね返す作
用を安定化することができるので、イオン源の安定稼動
時間を長くすることができる。
絶縁体のプラズマ生成容器外に出ている部分を保護カバ
ーで覆っているので、当該保護カバーの内側に熱がこも
って反射電極側絶縁体は高温に保たれるようになり、そ
れへの汚れの付着を抑制することができる。その結果、
反射電極の電位を安定化して電子をはね返す作用を安定
化することができるので、イオン源の安定稼動時間を長
くすることができる。
成容器の内面であって反射電極の反射面付近に位置する
領域およびフィラメントの先端部付近に位置する領域の
少なくとも一方に溝または複数の穴を設けているので、
これらの溝または穴が楔の作用をして汚れ膜が剥がれに
くくなる。その結果、反射電極やフィラメントとプラズ
マ生成容器との間の絶縁を長く良好に保つことができる
ので、イオン源の安定稼動時間を長くすることができ
る。
引き出し方向側から見て部分的に示す断面図である。
である。
大断面図である。
図である。
を示す断面図である。
る。
る。
を示す断面図である。
る。
を示す断面図である。
る。
略断面図である。
イオンビーム引き出し方向側から見て示す拡大断面図で
ある。
面図である。
す断面図である。
図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 陽極を兼ねていてガスが導入されるプラ
ズマ生成容器と、このプラズマ生成容器の一方側内にそ
の壁面を貫通して設けられたフィラメントと、このフィ
ラメントの二つの脚部がプラズマ生成容器の壁面を貫通
する部分に設けられていて各脚部とプラズマ生成容器と
の間を電気絶縁する二つの絶縁体とを備えるイオン源に
おいて、前記各絶縁体が、前記プラズマ生成容器の壁面
を挟んで内外から互いに嵌め合わされた内側絶縁体およ
び外側絶縁体から成り、かつこの各内側絶縁体を、互い
に入り込んでいて迷路を形成する二つの筒状絶縁体で構
成していることを特徴とするイオン源。 - 【請求項2】 陽極を兼ねていてガスが導入されるプラ
ズマ生成容器と、このプラズマ生成容器の一方側内にそ
の壁面を貫通して設けられたフィラメントと、このフィ
ラメントの二つの脚部がプラズマ生成容器の壁面を貫通
する部分に設けられていて各脚部とプラズマ生成容器と
の間を電気絶縁する二つの絶縁体とを備えるイオン源に
おいて、前記プラズマ生成容器の外部において前記フィ
ラメントの脚部に接続されていて同フィラメントに給電
する給電導体の一部分を、当該脚部の近くにおいて、他
よりも小断面積にしていることを特徴とするイオン源。 - 【請求項3】 陽極を兼ねていてガスが導入されるプラ
ズマ生成容器と、このプラズマ生成容器の一方側内にそ
の壁面を貫通して設けられたフィラメントと、このフィ
ラメントの二つの脚部がプラズマ生成容器の壁面を貫通
する部分に設けられていて各脚部とプラズマ生成容器と
の間を電気絶縁する二つの絶縁体と、前記プラズマ生成
容器内に前記フィラメントの脚部を横切るように設けら
れていて電子をはね返す反射板とを備えるイオン源にお
いて、前記反射板を、前記フィラメントの各脚部をそれ
ぞれ囲んでおり、かつ前記プラズマ生成容器の壁面から
離された2枚の互いに分離された反射板で構成している
ことを特徴とするイオン源。 - 【請求項4】 陽極を兼ねていてガスが導入されるプラ
ズマ生成容器と、このプラズマ生成容器の一方側内にそ
の壁面を貫通して設けられたフィラメントと、このフィ
ラメントの二つの脚部がプラズマ生成容器の壁面を貫通
する部分に設けられていて各脚部とプラズマ生成容器と
の間を電気絶縁する二つの絶縁体と、前記プラズマ生成
容器の他方側内に設けられていて電子をはね返す反射電
極と、この反射電極の支持棒が前記プラズマ生成容器の
壁面を貫通する部分を電気絶縁する反射電極側絶縁体と
を備えるイオン源において、前記反射電極側絶縁体のプ
ラズマ生成容器外に出ている部分を、保護カバーで覆っ
ていることを特徴とするイオン源。 - 【請求項5】 陽極を兼ねていてガスが導入されるプラ
ズマ生成容器と、このプラズマ生成容器の一方側内にそ
の壁面を貫通して設けられたフィラメントと、このフィ
ラメントの二つの脚部がプラズマ生成容器の壁面を貫通
する部分に設けられていて各脚部とプラズマ生成容器と
の間を電気絶縁する二つの絶縁体と、前記プラズマ生成
容器の他方側内に同プラズマ生成容器から絶縁して設け
られた反射電極とを備えるイオン源において、前記プラ
ズマ生成容器の内面であって、前記反射電極の反射面付
近に位置する領域および前記フィラメントの先端部付近
に位置する領域の少なくとも一方に、溝または複数の穴
を設けていることを特徴とするイオン源。
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JP13732199A JP4253925B2 (ja) | 1999-05-18 | 1999-05-18 | イオン源 |
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CN104752127A (zh) * | 2013-12-25 | 2015-07-01 | 斯伊恩股份有限公司 | 支承结构及使用该支承结构的离子发生装置 |
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JP7522986B2 (ja) | 2021-06-28 | 2024-07-26 | 島津産機システムズ株式会社 | リークディテクタ及びリークディテクタ用イオン源 |
KR102703865B1 (ko) * | 2021-06-28 | 2024-09-05 | 시마즈 인더스트리얼 시스템즈 가부시키가이샤 | 리크 디텍터 및 리크 디텍터용 이온원 |
-
1999
- 1999-05-18 JP JP13732199A patent/JP4253925B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR102208864B1 (ko) | 2013-12-25 | 2021-01-27 | 스미도모쥬기가이 이온 테크놀로지 가부시키가이샤 | 지지구조 및 이를 이용한 이온발생장치 |
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