JP3575467B2 - イオン源 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマ生成容器内に、電子放出用のフィラメントおよび電子反射用の対向反射電極を有しており、かつプラズマ生成容器内に磁界を印加する構成のイオン源に関し、より具体的には、当該イオン源の安定運転可能時間を長くしてそのメインテナンス頻度を低減させる手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のイオン源の従来例を図5〜図7に示す。このイオン源は、バーナス型イオン源と呼ばれるものであり、同様の構造のものが、例えば特開平11−339674号公報および特開2000−331620号公報に記載されている。
【0003】
このイオン源は、例えば直方体状をしていて陽極を兼ねるプラズマ生成容器2を備えており、その内部には、底面に設けたガス導入穴4から、プラズマ26の生成用のガス(蒸気の場合も含む)が導入される。このプラズマ生成容器2の上面には、イオンビーム28の引き出し用のイオン引出しスリット6が設けられている。このプラズマ生成容器2は、図示しない真空容器内に収納されていて、当該イオン源の運転中はプラズマ生成容器2の周りは真空雰囲気に排気される。
【0004】
このプラズマ生成容器2の一方側(一方の短辺壁側)内には、フィラメント電源30(その出力電圧は例えば2〜4V程度)によって加熱されて電子を放出するこの例ではU字状のフィラメント8が設けられている。このフィラメント8の二つの脚部とプラズマ生成容器2との間は、二つのフィラメント用絶縁体10によって電気的に絶縁されている。
【0005】
フィラメント8の一端とプラズマ生成容器2との間には、フィラメント8とプラズマ生成容器2間でアーク放電を生じさせるために、アーク電源32からアーク電圧(例えば40〜100V程度)が印加される。
【0006】
プラズマ生成容器2の他方側(即ちフィラメント8と相対向する短辺壁側)内には、フィラメント8と相対向させて、電子を反射する対向反射電極12が設けられている。16はそれにつながる導体である。この対向反射電極12とプラズマ生成容器2との間は、反射電極用絶縁体14によって電気的に絶縁されている。この対向反射電極12は、例えば、どこにも接続せずに浮遊電位にする場合と、フィラメント8の一端(より具体的にはマイナス端)に接続してフィラメント電位にする場合とがある。
【0007】
この例では更に、プラズマ生成容器2内であってフィラメント8の背後に位置する箇所に、即ちフィラメント8のU字状部とその背後のプラズマ生成容器2の壁面との間に、対向反射電極12に相対向させて、電子を反射する背後反射電極22を設けている。背後反射電極22は、この例では2枚であり、各フィラメント用絶縁体10の前面にそれぞれ取り付けて、プラズマ生成容器2から電気的に絶縁して支持されている。この背後反射電極22の支持には、この例では図6に示すように、二つの支持用絶縁体11を併用しているが、そのようにしなくて良い場合もある。フィラメント8が背後反射電極22を貫通する部分には、両者間を電気絶縁するための穴24が設けられている。両背後反射電極22は、例えば、フィラメント8の一端(より具体的にはマイナス端)に接続してフィラメント電位にされる。但し、この背後反射電極22は設ける方が好ましいけれども、それを設けない場合もある。
【0008】
プラズマ生成容器2内には、プラズマ26の生成・維持用に、プラズマ生成容器2の外部に設けられた磁界発生器18から、フィラメント8と対向反射電極12とを結ぶ軸に沿う磁界20が印加される。但し、磁界20の向きは図示とは逆でも良い。磁界発生器18は、例えば電磁石である。
【0009】
このイオン源の動作を説明すると、上記アーク放電によって、プラズマ生成容器2内に導入されたガスが電離されてプラズマ26が作られる。そしてこのプラズマ26から、電界の作用で、イオンビーム28を引き出すことができる。その際、磁界20は、プラズマ26中のイオンや電子を閉じ込めて、プラズマ26を生成かつ維持することに寄与する。また、対向反射電極12および背後反射電極22は、フィラメント8から放出された電子やプラズマ26中の電子を反射して、当該電子とガス分子との衝突確率を高めて、密度の高いプラズマ26を生成する、換言すればプラズマ26の生成効率を高めることに寄与する。
【0010】
なお、イオン引出しスリット6に対向する箇所には、通常は、イオンビーム28を引き出す引出し電極が設けられているが、ここではその図示を省略している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記イオン源は、例えば半導体製造における不純物注入等に用いられる。その場合、上記プラズマ生成容器2内へは、例えば、リン(P)、ホウ素(B)、ヒ素(As )等を含む原料のガス(加熱炉によって蒸気化したものを含む)が導入される。
【0012】
この原料のフィラメント8からの熱等による高温化およびプラズマ化によって、プラズマ生成容器2内に露出している部分に、例えばフィラメント用絶縁体10、支持用絶縁体11および反射電極用絶縁体14の表面に、導電性の堆積物が付着して膜となる。その堆積量は、当該イオン源の運転時間が長くなるに従って多くなり、やがて絶縁体10、11、14の絶縁不良を惹き起こすようになる。
【0013】
例えば、フィラメント用絶縁体10に着目すると、その表面に上記堆積物膜が成長したり、それが剥離してフィラメント8の両端部間あるいはフィラメント8とプラズマ生成容器2との間に接触したりすると、フィラメント8の両端部(両脚部)間の絶縁や、フィラメント8とプラズマ生成容器2間の絶縁が破壊され、フィラメント8を安定して通電加熱することや、前記アーク放電を安定して発生させることができなくなる。その結果、プラズマ26を安定して生成することができなくなり、ひいてはイオンビーム28を安定して引き出すことができなくなる。即ち、当該イオン源を安定して運転することができなくなる。これを解決するためには、当該イオン源を大気開放して、上記堆積物を除去するメインテナンスを行う必要があり、その間は当該イオン源を用いた装置を停止しなければならないので、例えば半導体生産量が低下する。
【0014】
また、反射電極用絶縁体14の絶縁が上記堆積物膜によって上記フィラメント用絶縁体10側と同様の現象によって破壊されて、対向反射電極12とプラズマ生成容器2とが同電位になると、対向反射電極12による前記電子の反射作用を損なうので、プラズマ26の生成が不安定になったり、プラズマ26の生成効率が低下して初期のイオンビーム28が得られなくなる。この場合もやはり、当該イオン源を安定して運転することができなくなるので、それを解決するためには当該イオン源のメインテナンスを行う必要がある。背後反射電極22を設けている場合は、フィラメント用絶縁体10の絶縁が上記堆積物膜によって破壊されることによって、対向反射電極12側の場合と同様の問題が生じる。支持用絶縁体11を用いている場合は、それの絶縁が堆積物膜によって破壊されることによっても、同様の問題が生じる。
【0015】
上記のような課題に関して、従来は、堆積物膜が付くことを前提に、絶縁体を二重化して絶縁不良が起こりにくくする構造(前記特開2000−331620号公報参照)や、絶縁体等の表面に格子状の溝を設けて堆積物膜の剥離を防ぐ構造(前記特開平11−339674号公報参照)が提案されているけれども、いずれも、(a)構造が複雑になる、(b)絶縁体表面に堆積する堆積物の量を減らせる訳ではないので効果が少ない、という課題がある。
【0016】
そこでこの発明は、簡単な構造によって、絶縁体表面に堆積する堆積物の量を減らして、イオン源の運転可能時間を長くすることを主たる目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るイオン源の一つは、前記フィラメント用絶縁体および反射電極用絶縁体の少なくとも一方の周辺のプラズマ生成容器に、その壁面を貫通していてプラズマ生成容器内のガスをその外に排出するガス抜き穴を1個以上設けていることを特徴としている(請求項1)。
【0018】
上記絶縁体の周辺に上記ガス抜き穴を設けることによって、プラズマ生成容器に導入されたガスに含まれていて高温化またはプラズマ化した原料が上記絶縁体の周辺に溜まるのを抑えて、当該絶縁体周辺での高温化またはプラズマ化した原料の量を減少させることができるので、上記絶縁体表面に堆積する原料の量、即ち堆積物の量を減少させることができる。その結果、上記絶縁体の絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間を長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度を低減させることができる。これを、ガス抜き穴を設けるという簡単な構造によって実現することができる。
【0019】
前記ガス抜き穴は、前記フィラメント用絶縁体および反射電極用絶縁体の周辺にそれぞれ1個以上ずつ設けのが好ましい(請求項2)。
【0020】
そのようにすれば、フィラメント用絶縁体および反射電極用絶縁体の両方において、それらの絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間をより長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度をより低減させることができる。
【0021】
ガス抜き穴を上記のように両方に設ける場合は、フィラメント用絶縁体の周辺に設けたガス抜き穴全部のコンダクタンスと、反射電極用絶縁体の周辺に設けたガス抜き穴全部のコンダクタンスとを、互いにほぼ等しくするのが好ましい(請求項3)。
【0022】
そのようにすると、フィラメント用絶縁体の周辺に設けたガス抜き穴全部から排出されるガスの量と、反射電極用絶縁体の周辺に設けたガス抜き穴全部から排出されるガスの量とを互いにほぼ等しくすることができるので、ガス抜き穴を設けても、プラズマ生成容器内におけるガス圧の均一性が低下するのを抑えることができる。その結果、プラズマ生成容器内に生成されるプラズマの密度分布の均一性ひいては当該プラズマから引き出すイオンビームの密度分布の均一性が良くなる。
【0023】
この発明に係るイオン源の一つは、対向反射電極の周囲のプラズマ生成容器の内壁に溝を設け、かつこの溝の少なくとも入口まで対向反射電極を延ばして、対向反射電極とプラズマ生成容器の内壁との間を、両者間の電気絶縁を保ちつつ迷路構造にしていることを特徴としている(請求項4)。
【0024】
対向反射電極とプラズマ生成容器の内壁との間を迷路構造にすることによって、プラズマ生成容器に導入されたガスに含まれていて高温化またはプラズマ化した原料が反射電極用絶縁体の周辺に流入するのを抑えて、当該絶縁体周辺での高温化またはプラズマ化した原料の量を減少させることができるので、反射電極用絶縁体表面に堆積する原料の量、即ち堆積物の量を減少させることができる。その結果、上記絶縁体の絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間を長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度を低減させることができる。これを、プラズマ生成容器の内壁に溝を設け、その少なくとも入口まで対向反射電極を延ばすという簡単な構造によって実現することができる。
【0025】
前記フィラメントの背後に、前記対向反射電極に対向させると共に前記プラズマ生成容器から電気的に絶縁して設けられていて電子を反射する背後反射電極を更に備えている場合は、この背後反射電極の周囲のプラズマ生成容器の内壁にも溝を設け、かつこの溝の少なくとも入口まで背後反射電極を延ばして、背後反射電極とプラズマ生成容器の内壁との間も、両者間の電気絶縁を保ちつつ迷路構造にするのが好ましい(請求項5)。
【0026】
そのようにすると、対向反射電極側と同様の作用によって、フィラメント用絶縁体においても、当該絶縁体表面に堆積する原料の量、即ち堆積物の量を減少させることができる。その結果、フィラメント用絶縁体および反射電極用絶縁体の両方において、それらの絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間をより長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度をより低減させることができる。
【0027】
上述したガス抜き穴を設けることと、反射電極とプラズマ生成容器との間を迷路構造にすることとを併用するのがより好ましい。そのようにすれば、ガス抜き穴を設けたことによる上記作用効果と、迷路構造にすることによる上記作用効果の両方を奏することができるので、絶縁体の絶縁性能劣化をより一層抑制することができる。その結果、イオン源の安定運転可能時間をより一層長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度をより一層低減させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係るイオン源の一例を示す断面図である。図2は、図1の線A−Aに沿う拡大断面図である。図3は、図1の線B−Bに沿う拡大断面図である。図5〜図7に示した従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。
【0029】
このイオン源では、前記フィラメント用絶縁体10および支持用絶縁体11の周辺のプラズマ生成容器2の壁面に、より具体的にはフィラメント用絶縁体10が貫通しているプラズマ生成容器2の前記一方の短辺壁に、その壁面を貫通していてプラズマ生成容器2内のガスを外に排出するガス抜き穴34を複数個設けている。より具体的には、ガス抜き穴34は、図2に示すように、二つのフィラメント用絶縁体10および二つの支持用絶縁体11の外側付近にそれぞれ1個ずつと、中央に1個とで合計5個を配置している。このようにガス抜き穴34をバランス良く配置すると、ガス排出のバランスが良くなるので好ましい。各ガス抜き穴34の大きさ(直径)は、前記ガス導入穴4よりも小さくしている。但し、ガス抜き穴34の数および配置等は、この例のものに限られるものではない。
【0030】
このイオン源では、更に、前記反射電極用絶縁体14の周辺のプラズマ生成容器2の壁面にも、より具体的には反射電極用絶縁体14が貫通しているプラズマ生成容器2の前記他方の短辺壁にも、その壁面を貫通していてプラズマ生成容器2内のガスを外に排出するガス抜き穴36を複数個設けている。より具体的には、図3に示すように、4個のガス抜き穴36を反射電極用絶縁体14の周囲にほぼ均等に配置している。このようにガス抜き穴36を配置すると、ガス排出のバランスが良くなるので好ましい。各ガス抜き穴36の大きさ(直径)は、前記ガス導入穴4よりも小さくしている。但し、ガス抜き穴36の数および配置等は、この例のものに限られるものではない。例えば、反射電極用絶縁体14を複数個にしても良く、それに応じてガス抜き穴36の数および配置を変えても良い。
【0031】
上記ガス抜き穴34全部のコンダクタンスと、上記ガス抜き穴36全部のコンダクタンスとを、互いにほぼ等しくするのが好ましい。そのようにするには、例えば、ガス抜き穴34側のプラズマ生成容器2の壁面の厚さと、ガス抜き穴36側の壁面の厚さとが互いに等しい場合は、ガス抜き穴34全部の面積とガス抜き穴36の全部の面積とを互いにほぼ等しくすれば良い。上記コンダクタンスは、より厳密に言えば、ガス導入穴4から見たガス抜き穴34全部のコンダクタンスと、ガス導入穴4から見たガス抜き穴36全部のコンダクタンスとを互いにほぼ等しくするのが好ましい。
【0032】
このイオン源では、更に、前記対向反射電極12の周囲のプラズマ生成容器2の内壁に溝38を設け、かつ対向反射電極12を大きくして溝38の入口まで対向反射電極12を延ばして、対向反射電極12とプラズマ生成容器2の内壁との間を、両者間の電気絶縁を確保しつつ、迷路構造にしている。溝38は、図3も参照して、全体的に見ればこの例では四角い環状をしている。対向反射電極12は、溝38の入口よりも更に奥へ入れても良く、そのようにすれば迷路の経路がより長くなる。
【0033】
このイオン源では、フィラメント8側にも、前記とほぼ同様の背後反射電極22を備えている。但しこの例では、背後反射電極22を1枚の電極としている。そして、この例では、スペーサ42を介して、二つの前記支持用絶縁体11から当該背後反射電極22を支持している(図2も参照)。これによって、この例では、背後反射電極22を各フィラメント用絶縁体10の前面から離している。このようにスペーサ42を介することによって、背後反射電極22の位置を簡単に調整することができるが、勿論、スペーサ42を用いなくても良い。また、支持用絶縁体11を設けずにそれ以外の手段によって、例えばフィラメント用絶縁体10を用いる等して、背後反射電極22をプラズマ生成容器2から絶縁して支持するようにしても良い。
【0034】
このイオン源では、更に、前記背後反射電極22の周囲のプラズマ生成容器2の内壁に溝40を設け、かつ対向反射電極12を大きくして溝40の入口まで背後反射電極22を延ばして、背後反射電極22とプラズマ生成容器2の内壁との間を、両者間の電気絶縁を確保しつつ、迷路構造にしている。溝40は、図2も参照して、全体的に見ればこの例では四角い環状をしている。背後反射電極22は、溝40の入口よりも更に奥へ入れても良く、そのようにすれば迷路の経路がより長くなる。
【0035】
上記ガス抜き穴34を設けることによって、プラズマ生成容器2内に導入されたガスを当該ガス抜き穴34からプラズマ生成容器2外に排出することができる。これは、前述したように、プラズマ生成容器2の周りは、当該イオン源の運転中は真空雰囲気に排気されるからである。その結果、プラズマ生成容器2に導入されたガスに含まれていて高温化またはプラズマ化した原料がフィラメント用絶縁体10および支持用絶縁体11の周辺に溜まるのを抑えて、当該絶縁体10、11周辺での高温化またはプラズマ化した原料の量を減少させることができるので、絶縁体10および11の表面に堆積する原料の量、即ち堆積物の量を減少させることができる。その結果、絶縁体10および11の絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間を長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度を低減させることができる。これを、ガス抜き穴34を設けるという簡単な構造によって実現することができる。
【0036】
ガス抜き穴36を設けることによって、ガス抜き穴34と同様の作用によって、反射電極用絶縁体14においても、当該絶縁体14の表面に堆積する原料の量、即ち堆積物の量を減少させることができる。その結果、反射電極用絶縁体14の絶縁性能劣化を抑制することができるので、この観点からも、イオン源の安定運転可能時間を長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度を低減させることができる。
【0037】
また、前述したようにガス抜き穴34全部のコンダクタンスとガス抜き穴36全部のコンダクタンスとを互いにほぼ等しくしておくと、フィラメント8側のガス抜き穴34全部から排出されるガスの量と、対向反射電極12側のガス抜き穴36全部から排出されるガスの量とを互いにほぼ等しくすることができるので、ガス抜き穴34、36を設けても、プラズマ生成容器2内におけるガス圧の均一性が低下するのを抑えることができる。その結果、プラズマ生成容器2内に生成されるプラズマ26の密度分布の均一性ひいては当該プラズマ26から引き出すイオンビーム28の密度分布の均一性が良くなる。
【0038】
また、対向反射電極12とプラズマ生成容器2の内壁との間を上記のように迷路構造にすることによって、プラズマ生成容器2内に導入されたガスに含まれていて高温化またはプラズマ化した原料が反射電極用絶縁体14の周辺に流入するのを抑えて、当該絶縁体14周辺での高温化またはプラズマ化した原料の量を減少させることができるので、この理由からも、反射電極用絶縁体14の表面に堆積する原料の量、即ち堆積物の量を減少させることができる。その結果、反射電極用絶縁体14の絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間を長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度を低減させることができる。これを、プラズマ生成容器2に溝38を設け、その少なくとも入口まで対向反射電極12を延ばすという簡単な構造によって実現することができる。
【0039】
背後反射電極22とプラズマ生成容器2との間も上記のように迷路構造にすると、対向反射電極12側と同様の作用によって、フィラメント用絶縁体10および支持用絶縁体11においても、当該絶縁体10、11表面に堆積する原料の量、即ち堆積物の量を減少させることができる。その結果、フィラメント用絶縁体10、支持用絶縁体11および反射電極用絶縁体14の全てにおいて、それらの絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間をより長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度をより低減させることができる。
【0040】
更に、この例のように、上記ガス抜き穴34および/または36を設けることと、反射電極12および/または22とプラズマ生成容器2との間を迷路構造にすることとを併用するのがより好ましい。そのようにすれば、ガス抜き穴を設けたことによる上記作用効果と、迷路構造にしたことによる上記作用効果の両方を奏することができるので、フィラメント用絶縁体10や反射電極用絶縁体14等の絶縁体の絶縁性能劣化をより一層抑制することができる。その結果、イオン源の安定運転可能時間をより一層長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度をより一層低減させることができる。
【0041】
なお、上記ガス抜き穴34は、フィラメント用絶縁体10の周辺であれば、上記例以外の位置に設けても良い。例えば、図4に示す例のように、プラズマ生成容器2の長辺壁に設けても良い。上記ガス抜き穴36についても、反射電極用絶縁体14の周辺であれば、上記例以外の位置に設けても良い。例えば、図4に示す例のように、プラズマ生成容器2の長辺壁に設けても良い。
【0042】
【実施例】
上記プラズマ生成容器2内にBFガスを流量2.0ccmで導入しながら、イオンビーム28としてBイオンビームを2mAで引き出す運転を10時間連続した前後の上記フィラメント8側の絶縁体、即ち上記フィラメント用絶縁体10および支持用絶縁体11の合計4個の絶縁体の重量変化を測定した。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003575467
【0044】
表1中の比較例は、迷路構造もガス抜き穴も設けていない例であり、図5に示した従来のイオン源に相当する。実施例1は、ガス抜き穴34は設けずに、背後反射電極22とプラズマ生成容器2との間に上述したような迷路構造を設けた例である。実施例2は、迷路構造は設けずに、上述したような5個のガス抜き穴34を設けた例である。実施例3は、上述したような迷路構造および5個のガス抜き穴34の両方を設けた例である。
【0045】
この表1に示すように、比較例での絶縁体の重量が最も多く増加しており、堆積物が最も多く堆積したことが分かる。
【0046】
これに対して、この発明に係るイオン源では、実施例1のように迷路構造を設けるだけでも、絶縁体の重量増加は比較例の半分以下になっている。
【0047】
実施例2のように、ガス抜き穴34を設けると、絶縁体の重量は10時間運転後に減少している。これは、当該イオン源を組み立てた後の絶縁体10、11は、通常、大気中の水分等を吸着しており、この水分等がプラズマ生成容器2内でプラズマ26あるいはフィラメント8からの熱によって蒸発することによって、堆積物による重量増加よりも水分等の蒸発による重量減少の方が勝ったものと考えられる。同様の考えに立てば、上記比較例および実施例1における堆積物量は、表1に示す重量増加分以上あると言うことができる。
【0048】
実施例3のように迷路構造とガス抜き穴34の両方を設けると、絶縁体の重量はより減少している。これは、実施例2の場合よりも堆積物量が更に減ったことを表している。
【0049】
なお、反射電極用絶縁体14においても、前述したようなガス抜き穴36および/または迷路構造を設けることによって、上記と同傾向の結果が得られるであろうことは容易に推測することができる。
【0050】
【発明の効果】
この発明は、上記のとおり構成されているので、次のような効果を奏する。
【0051】
請求項1記載の発明によれば、フィラメント用絶縁体および反射電極用絶縁体の少なくとも一方の周辺のプラズマ生成容器にガス抜き穴を設けることによって、プラズマ生成容器に導入されたガスに含まれていて高温化またはプラズマ化した原料が上記絶縁体の周辺に溜まるのを抑えて、当該絶縁体周辺での高温化またはプラズマ化した原料の量を減少させることができるので、上記絶縁体表面に堆積する原料の量、即ち堆積物の量を減少させることができる。その結果、上記絶縁体の絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間を長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度を低減させることができる。これを、ガス抜き穴を設けるという簡単な構造によって実現することができる。
【0052】
請求項2記載の発明によれば、上記ガス抜き穴を設けたことによって、フィラメント用絶縁体および反射電極用絶縁体の両方において、それらの絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間をより長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度をより低減させることができる。
【0053】
請求項3記載の発明によれば、フィラメント用絶縁体の周辺に設けたガス抜き穴全部から排出されるガスの量と、反射電極用絶縁体の周辺に設けたガス抜き穴全部から排出されるガスの量とを互いにほぼ等しくすることができるので、ガス抜き穴を設けても、プラズマ生成容器内におけるガス圧の均一性が低下するのを抑えることができる。その結果、プラズマ生成容器内に生成されるプラズマの密度分布の均一性ひいては当該プラズマから引き出すイオンビームの密度分布の均一性が良くなる、という更なる効果を奏する。
【0054】
請求項4記載の発明によれば、対向反射電極とプラズマ生成容器の内壁との間を迷路構造にすることによって、プラズマ生成容器に導入されたガスに含まれていて高温化またはプラズマ化した原料が反射電極用絶縁体の周辺に流入するのを抑えて、当該絶縁体周辺での高温化またはプラズマ化した原料の量を減少させることができるので、反射電極用絶縁体表面に堆積する原料の量、即ち堆積物の量を減少させることができる。その結果、上記絶縁体の絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間を長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度を低減させることができる。これを、プラズマ生成容器に溝を設け、その少なくとも入口まで対向反射電極を延ばすという簡単な構造によって実現することができる。
【0055】
請求項5記載の発明によれば、背後反射電極とプラズマ生成容器の内壁との間も迷路構造にすることによって、対向反射電極側と同様の作用によって、フィラメント用絶縁体においても、当該絶縁体表面に堆積する原料の量、即ち堆積物の量を減少させることができる。その結果、フィラメント用絶縁体および反射電極用絶縁体の両方において、それらの絶縁性能劣化を抑制することができるので、イオン源の安定運転可能時間をより長くすることができ、ひいては当該イオン源のメインテナンス頻度をより低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るイオン源の一例を示す断面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿う拡大断面図である。
【図3】図1の線B−Bに沿う拡大断面図である。
【図4】この発明に係るイオン源の他の例を簡略化して示す断面図である。
【図5】従来のイオン源の一例を示す断面図である。
【図6】図5の線A−Aに沿う拡大断面図である。
【図7】図5の線B−Bに沿う拡大断面図である。
【符号の説明】
2 プラズマ生成容器
4 ガス導入穴
8 フィラメント
10 フィラメント用絶縁体
12 対向反射電極
14 反射電極用絶縁体
18 磁界発生器
22 背後反射電極
26 プラズマ
28 イオンビーム
34、36 ガス抜き穴
38、40 溝

Claims (5)

  1. ガス導入穴を有していてそこからガスが導入されるプラズマ生成容器と、このプラズマ生成容器の一方側内に設けられていて電子を放出するフィラメントと、このフィラメントとプラズマ生成容器との間を電気絶縁するフィラメント用絶縁体と、前記プラズマ生成容器の他方側内に設けられていて電子を反射する対向反射電極と、この対向反射電極とプラズマ生成容器との間を電気絶縁する反射電極用絶縁体と、前記プラズマ生成容器内にフィラメントと対向反射電極とを結ぶ軸に沿う磁界を発生させる磁界発生器とを備えるイオン源において、前記フィラメント用絶縁体および反射電極用絶縁体の少なくとも一方の周辺のプラズマ生成容器に、その壁面を貫通していてプラズマ生成容器内のガスをその外に排出するガス抜き穴を1個以上設けていることを特徴とするイオン源。
  2. 前記ガス抜き穴を、前記フィラメント用絶縁体および反射電極用絶縁体の周辺にそれぞれ1個以上ずつ設けている請求項1記載のイオン源。
  3. 前記フィラメント用絶縁体の周辺に設けたガス抜き穴全部のコンダクタンスと、前記反射電極用絶縁体の周辺に設けたガス抜き穴全部のコンダクタンスとを、互いにほぼ等しくしている請求項2記載のイオン源。
  4. ガス導入穴を有していてそこからガスが導入されるプラズマ生成容器と、このプラズマ生成容器の一方側内に設けられていて電子を放出するフィラメントと、このフィラメントとプラズマ生成容器との間を電気絶縁するフィラメント用絶縁体と、前記プラズマ生成容器の他方側内に設けられていて電子を反射する対向反射電極と、この対向反射電極とプラズマ生成容器との間を電気絶縁する反射電極用絶縁体と、前記プラズマ生成容器内にフィラメントと対向反射電極とを結ぶ軸に沿う磁界を発生させる磁界発生器とを備えるイオン源において、前記対向反射電極の周囲のプラズマ生成容器の内壁に溝を設け、かつこの溝の少なくとも入口まで対向反射電極を延ばして、対向反射電極とプラズマ生成容器の内壁との間を、両者間の電気絶縁を保ちつつ迷路構造にしていることを特徴とするイオン源。
  5. 前記フィラメントの背後に、前記対向反射電極に対向させると共に前記プラズマ生成容器から電気的に絶縁して設けられていて電子を反射する背後反射電極を更に備えており、この背後反射電極の周囲のプラズマ生成容器の内壁に溝を設け、かつこの溝の少なくとも入口まで背後反射電極を延ばして、背後反射電極とプラズマ生成容器の内壁との間を、両者間の電気絶縁を保ちつつ迷路構造にしている請求項4記載のイオン源。
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